JP2002257770A - 成形モニタリング複合材料およびモニタリング手法 - Google Patents

成形モニタリング複合材料およびモニタリング手法

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JP2002257770A JP2001110632A JP2001110632A JP2002257770A JP 2002257770 A JP2002257770 A JP 2002257770A JP 2001110632 A JP2001110632 A JP 2001110632A JP 2001110632 A JP2001110632 A JP 2001110632A JP 2002257770 A JP2002257770 A JP 2002257770A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】導電性材料と誘電材料からなる複合材料の成形
時において、成形状態をモニタリングする複合材料およ
びその装置に関して、特別なセンサーを必要としない
で、複合材料内部の成形状態を測定可能でかつ成形中の
複合材料の空隙などの異物を検知することが可能な複合
材料およびそのモニタリング方法の開発が本発明の課題
である。 【解決手段】当該複合材料に直接電極を設置し、その電
極から複合材料中に直接交流電流を成形中に流して成形
中の電気特性を測定して、あらかじめ測定しておいた電
気特性と成形状態との関係から成形状態をモニタリング
する。なお、複数の交流周波数を流すことにより、誘電
材料の誘電率の周波数依存性の関係から複合材料中の異
物などを検知する。あるいは、電気特性の最大値または
最小値の変化から異物を検知する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合材料の成形時
における成形状態の測定手法および測定を実施する複合
材料に関する。
【0002】
【従来の技術】熱硬化性樹脂やゴムを母材として炭素繊
維や炭化珪素や金属材料の強化材とからなる複合材料
は、軽量性や耐腐食性などの要因からさまざまな用途に
適用されつつある。また、熱可塑性樹脂を母材とする前
記の強化材からなる複合材料も同様に適用が拡大されつ
つある。これらの複合材料では、硬化時あるいは型成形
時に高温または常温で型に成形を行う。これらの複合材
料は材料費が従来の金属材料よりも高い場合が多いた
め、複雑構造の一体成形や製品に近い形状の成形などの
複雑な製品形状で成形してコスト低下を図る場合が多
い。このような複雑な形状の成形時においては、樹脂の
含侵や硬化反応、熱可塑性樹脂の固体化の製品全体の均
一性が問題となる場合がある。熱硬化性樹脂において
は、硬化度が最終製品の機械的な特性に大きな影響を及
ぼすため、硬化度の不均一は製品として良好でない。ま
た複雑製品を樹脂トランスファー成形などで成形する際
に樹脂の含侵を常に監視している必要がある。
【0003】これらの樹脂成形時の硬化度や含侵性、溶
融性の測定方法として、従来からさまざまな技術が提案
されている。例えば、針を使用する方法(特開昭51−
131589)、圧力を利用する方法(特開昭54−9
7660)、電気物性を利用する方法(特開昭54−1
24094)、色の変化を利用する方法(特開平6−4
1312)、発生ガスの分析を利用する方法(特開平6
−344366)があげられる。また、アメリカ合衆国
においては、超音波を入射して測定する方法(US58
04725)、誘電率センサーを用いて測定する方法
(US4236109およびUS4777431および
US6099162)、光ファイバーを用いる方法(U
S5770155)などがあげられる。
【0004】また、樹脂トランスファー成形(強化材を
型内部に設置後に樹脂を注入して製品を作成する成形
法)時の樹脂の含侵の程度を確認する方法として、誘電
率センサーを改善した方法が研究されている(伊藤ほか
4名、第24回複合材料シンポジウム講演要旨集、日本
複合材料学会、1999年P.35−36)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの方法はいずれ
も大きな装置を必要とするものであるか、または特別な
センサーを成形時に複合材料に設置する必要があった。
また色の変化は多くの複合材料では強化繊維の色彩で測
定が困難となるために測定できないこと、成形中の色彩
の変化の測定が困難という問題点を有している。
【0006】一般には市販の誘電率センサーを使用する
場合が多い。これは櫛状の電極を有するセンサーを設置
して櫛間の樹脂の誘電率の変化を測定する方法である。
この方法自体は比較的安価であり、実用的であるが、特
別な誘電率センサーを設置する必要があるため、製品に
センサーが残留したり、あるいは内部の測定が困難であ
るなどの問題点を有している。
【0007】また、樹脂中の気泡や樹脂含侵度や水分な
どの測定も成形中に同時に実施することが成形状態の把
握に必要であるが、これらの測定を可能な方法は誘電率
センサーを除いて存在していない。誘電率センサーを使
用すれば樹脂含侵度を測定することは可能であるが、成
形中の複合材料内部の気泡などを測定することはできな
い。これらの、特別なセンサーを必要としないで、複合
材料内部の成形状態を測定可能でかつ成形中の複合材料
の空隙などの異物を検知することが可能な複合材料およ
びそのモニタリング方法の開発が本発明の課題である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、導電性材料と誘電材料とからなる複合材料
の成形において、当該複合材料に電極を接触させて設置
し、当該複合材料の成形中に当該複合材料に交流電流を
印加して当該複合材料の電気的特性を測定することによ
り成形時の誘電材料の変化を測定することで、複合材料
の成形状態をモニタリングすることを特徴とする複合材
料およびモニタリング手法である。
【0009】また、前記複合材料において、導電性材料
と誘電材料としての熱硬化性樹脂とからなる複合材料を
対象として、測定する電気特性と熱硬化性樹脂の硬化度
との関係を関数近似化またはデータベース化またはニュ
ーラルネットワーク化していた上で、当該複合材料に電
極を接触させて設置し、当該複合材料の硬化成形時に当
該複合材料に交流電流を印加して当該複合材料の電気的
特性を測定することにより前記関係を用いて成形時の電
気特性変化を測定することで、複合材料の硬化度を測定
することを特徴とする複合材料およびモニタリング手法
である。
【0010】また前記の複合材料において、導電性材料
と誘電材料としての熱可塑性樹脂とからなる複合材料を
対象として、測定する電気特性と熱可塑性樹脂の溶融状
態との関係を関数近似化またはデータベース化またはニ
ューラルネットワーク化していた上で、当該複合材料に
電極を接触させて設置し、成形時に当該複合材料に交流
電流を印加して当該複合材料の電気的特性を測定するこ
とにより成形時の電気特性の変化を測定することで、複
合材料の溶融状態を測定することを特徴とする複合材料
およびモニタリング手法である。
【0011】また、前記の測定する電気特性として誘電
正接、誘電率、キャパシタンス、インピーダンス、電流
と電圧の位相角のいずれか一つまたは少なくとも一つを
測定する、複合材料およびモニタリング手法である。
【0012】また、前記の測定する電極として当該複合
材料に導電性材料からなる箔あるいは線あるいは導電性
材料の塊からなるブロック(箔や線に該当しないが導電
性を有する塊)あるいは接着剤あるいは液体を当該複合
材料の導電性材料に接触させて設置するか、1μm〜1
mmの範囲で当該複合材料中の導電性材料に接近させて
設置し、当該複合材料の成形中に直接交流電流を当該複
合材料に印加する複合材料およびモニタリング手法であ
る。
【0013】また、導電性材料と誘電材料としての熱硬
化性樹脂とからなる複合材料を対象として、当該複合材
料に電極を設置し、当該複合材料の硬化成形時に当該複
合材料に交流電流を印加して当該複合材料の電気的特性
を測定し、電気特性の変化の減少から複合材料の硬化終
了を測定することを特徴とする複合材料およびモニタリ
ング手法である。
【0014】また、導電性材料と誘電材料としての熱可
塑性樹脂とからなる複合材料を対象として、当該複合材
料に電極を設置し、当該複合材料の成形時に当該複合材
料に交流電流を印加して当該複合材料の電気的特性を測
定し、電気特性の変化の減少から複合材料の溶融状態を
測定することを特徴とする複合材料およびモニタリング
手法である。
【0015】また、前記の電気特性測定用印加交流電流
として少なくとも2種類以上の周波数の交流を同時また
は別々に印加し、前記電気特性を測定することで、誘電
材料の誘電率の周波数依存性の関係を用いて、当該複合
材料の成形中に含有される複数の誘電材料の含有率を検
出することを特徴とする複合材料およびモニタリング手
法である。
【0016】また、前記の電気特性測定用印加交流電流
として少なくとも2種類以上の周波数の交流を同時また
は別々に印加し、前記電気特性を測定することで、誘電
材料の誘電率の周波数依存性の関係を用いて、最小二乗
法により当該複合材料の成形中に含有される複数の誘電
材料の含有率を検出することを特徴とする複合材料およ
びモニタリング手法である。
【0017】また、前記の電気特性測定用印加交流電流
として少なくとも2種類以上の周波数の交流を同時また
は別々に印加し、前記電気特性を測定することで、誘電
材料の誘電率の周波数依存性の関係を用いて、連立方程
式を解くことにより当該複合材料の成形中に含有される
複数の誘電材料の含有率を検出することを特徴とする複
合材料およびモニタリング手法である。
【0018】また前記の電気特性測定用印加交流電流と
して少なくとも2種類以上の周波数の交流を同時または
別々に印加し、前記電気特性を測定することで、誘電材
料の誘電率の周波数依存性の関係を用いて、逆問題を解
くことにより当該複合材料の成形中に含有される複数の
誘電材料の含有率を検出することを特徴とする複合材料
およびモニタリング手法である。
【0019】また前記の前記電気特性を1つの周波数で
測定し、その最大値または最小値を比較することで、当
該複合材料の成形中に含有される複数の誘電材料の含有
率を検出することを特徴とする請求項1および2および
3記載の複合材料およびモニタリング手法である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して詳細に説明する。本発明の成形モニタリング
複合材料の装置を図1に示す。複合材料1は導電性材料
と誘電材料からなっている。導電性材料としては、炭素
繊維、炭素粒子、金属、炭化珪素繊維、炭化珪素粒子、
導電性の炭素や金属でコーティングされた繊維や粒子な
どが用いられる。誘電材料としては、熱硬化性樹脂、熱
可塑性樹脂、ゴムなどが用いられる。複合材料1には電
極2および電極3が設置されている。電極には複合材料
1に交流を印加して電気的特性を測定する装置4が接続
されている。
【0021】図1
【0022】本実施例では炭素繊維強化エポキシを用い
る。つまり導電性材料として長繊維の炭素繊維を用い、
誘電材料としてエポキシ樹脂を用いて、エポキシ樹脂の
硬化時の電気的特性を測定する。炭素繊維は東レ製のT
300であり、樹脂には高温硬化エポキシの日本合成化
学社製のニカトールVX−1315(120℃硬化)を
用いた。
【0023】まず、硬化モニタリングに先立ち、エポキ
シ樹脂とキャパシタンス変化の関係を求めるため、エポ
キシ樹脂の硬化度解析を実施した。セイコー電子工業製
示差走査熱量計(DSC22)を用いて6mgの資料か
ら定温測定と昇温測定により発熱量を測定した。定温測
定は110℃、120℃、130℃で実施した。昇温測
定は5℃/minで昇温した。測定した定温測定での単
位時間あたりの発熱量を図2に示す。
【0024】図2
【0025】図中で縦軸は単位時間単位質量あたりの発
熱量であり、横軸は時間である。定温硬化時の硬化度β
は次式で計算される。
【0026】
【0027】ここで、HTは定温測定での全発熱量であ
る。式(1)は近似的に次の式で表される。
【0028】
【0029】ここで、各係数k1、k2、m、nは絶対
温度Tの関数であり、図2の結果の結果を式(2)にあ
てはめるように求められる。つまり、式(1)から定温
測定時のβが求められ、定温測定時のβと時刻との関係
に合うように係数が最小二乗法で決定される。図2のエ
ポキシの場合の係数は以下になる。
【0030】
【0031】これらの値を用いて近似した発熱量を図2
の破線で示す。破線から、よく近似されていることがわ
かる。なお、以上の詳細はKimらの印刷論文(Jin
Soo Kim and Dai Gil Lee、
Journal of Composite Mate
rials、30、13、1996、p.1436−1
457)に公開されており、公知の手法である。
【0032】次にエポキシ樹脂単体で図3に示すように
並行平板間にエポキシ樹脂を入れたコンデンサーを用い
て硬化試験を実施し、硬化時にコンデンサーのキャパシ
タンスを測定することでキャパシタンス変化と硬化度の
関係式を求める。ただし、並行平板のキャパシタンスC
は、C=εS/dであり、平板面積と距離を固定すれば
キャパシタンス変化は誘電率εの変化となる。ここで
は、10mm×10mmの並行平板銅箔を用い、電極間
隔は0.5mmとした。キャパシタンス変化測定には日
置製LCRハイテスタ3522を用いた。
【0033】図3
【0034】硬化温度120℃での測定結果を図4に示
す。測定は複数の周波数で行った。図中には交流周波数
として1kHzと5kHzを印加した際の結果を示して
いる。また同時に温度も示す。なお、Kimらはエポキ
シ樹脂誘電率の周波数依存性は用いていない。周波数依
存性の測定はこの発明の特徴である。
【0035】図4
【0036】図4から明らかにエポキシの硬化反応でキ
ャパシタンスが変化している。またキャパシタンス変化
(誘電率変化)は印加する交流周波数に依存して変化す
ることがわかる。図5に昇温課程で100℃到達時に温
度を保持して800Hz、1kHz、1.2kHz、
1.4kHz、1.6kHzで実測したキャパシタンス
と交流周波数の関係を示す。周波数の増加に伴いほぼ線
形にキャパシタンスは低下している。
【0037】図5
【0038】Kimらの論文と同様に、基準化したキャ
パシタンスCを用いて硬化度との関連を定量化する。
は次式で定義される。
【0039】
【0040】ここで、Cmaxは実測した樹脂硬化過程
の最大キャパシタンスであり、Cminは硬化後のキャ
パシタンスの最小値、Cは実測したキャパシタンスであ
る。硬化開始点はKimらと同様にdC/dtが最大
となる点とする。120℃まで昇温する場合の実測した
dC/dtを図6に示す。
【0041】図6
【0042】図6のdC/dtの最大値から硬化開始
時刻を決定する。硬化開始後の硬化度βとCとの関係
は次式で近似される。
【0043】
【0044】ここで、C1とC2は絶対温度の関数であ
り、硬化度βとCから実験的に最小二乗法で決定され
る。このdC/dtが最大となる点はCmax点より
もごくわずかに前に起こるため、C1、C2はCmax
以前とCmax以後の2つを分離して決定し、2つの場
合に分けて2つの式を利用する。1kHzの結果を用い
て決定した式を以下に示す。
【0044】
【0045】これを用いた120℃硬化時の硬化度の計
算値と推定値を図7に示す。なお、本来は上記の硬化度
の推定式の係数は絶対温度の関数であるが、ここでは推
奨硬化温度の120℃硬化だけを対象としているため、
温度の関数としなかった。上記の硬化度推定式を求める
手法の概要は既に述べたKimらの文献に述べられてい
る。
【0046】図7
【0047】以上の結果を踏まえて、本発明による炭素
繊維/エポキシCFRP(T300/エポキシ:エポキ
シ樹脂は前述の高温硬化樹脂VX−1315)の硬化モ
ニタリングの実施の形態を示す。このCFRPでは、繊
維が導体でありエポキシ樹脂が誘電体である。本発明の
根幹をなす電極の複合材料への直接接続を解説する。5
0mm四方のCFRPの炭素繊維に接触するようにほぼ
中央近辺に幅10mm、長さ30mmの厚さ0.2mm
のエナメルリード線つき銅箔を繊維に直角方位に電流を
流す方位に間隔5mmで2つ設置し、高温硬化樹脂を含
有させる。この時、電極間抵抗を測定して、電極が十分
繊維に接触してCFRP中に直接的に電流が流れること
を確認する。絶縁用に1.5mm厚のGFRP板を載せ
てCFRPを加圧して炉の中に設置した。
【0048】1kHzの交流周波数を繊維に直角方位に
印加して一方向CFRPの120℃硬化過程のキャパシ
タンスをCFRPに直接設置した電極から測定した。結
果を図8に示す。
【0049】図8
【0050】図8から、CFRPの場合もエポキシ樹脂
のコンデンサと同様にキャパシタンスが変化しているこ
とがわかる。CFRPの等価回路を図9に示す。
【0051】図9
【0052】炭素繊維は90°方位にも互いに各所で接
触しており、90°方位にも電気抵抗は有限値となる。
このため、CFRPの繊維に90°方位に電流を流す際
には抵抗とコンデンサの並列回路となる。この等価回路
のキャパシタンス測定ではコンデンサCのキャパシタン
スが測定される。コンデンサCは電極間の炭素繊維と樹
脂からなる微小なコンデンサの直列接続からなってい
る。これを等価な並行平板コンデンサC’と表示した場
合、C’のキャパシタンスはC’=εS/dで表され
る。ここで、εは樹脂の誘電率であり、S/dはコンデ
ンサの等価な面積と平板間距離となる。つまり、S/d
は面積や距離の実測値ではなく、回路上の等価な値であ
る。このため、CFRPのキャパシタンスの絶対値はエ
ポキシ樹脂のコンデンサのキャパシタンスと異なってい
る。実際には繊維間隔が小さいため、キャパシタンスは
エポキシ樹脂のコンデンサーの結果よりも増大する。
【0053】このS/dの値は成形中の繊維流動などに
よっても変化するが、CFRPのキャパシタンス変化は
120℃に達した後に生じており、エポキシ樹脂が液状
化する80℃〜100℃の温度でキャパシタンス変化が
ないことからCFRPのS/dの値は成形中は一定値で
あるとみなすことができる。CFRPを並行平板コンデ
ンサとしてS/dを成形中に一定と見なした場合には、
規格化キャパシタンスCに対しては、規格化時S/d
の項が消去されるためS/dの影響は無い。このため、
CFRPにおいてもKimらが使用しているエポキシ樹
脂を挿入した並行平板コンデンサのC変化を用いたエ
ポキシ樹脂の硬化度βの推定式がそのまま利用できる。
この点がこの発明の特徴の一つである。CFRPにおけ
る硬化度βとエポキシ樹脂から得たCを用いたβの推
定式の結果を比較して図10に示す。
【0054】図10
【0055】図からわかるように、硬化度βの値(実
線)と推定値(□印)は良く一致している。このことか
ら、エポキシ樹脂の硬化度の推定式を求めておけば、セ
ンサーなしでCFRPのキャパシタンスを本発明の手法
で実測することによってCFRPの硬化度が実測可能で
あることがわかる。言いかえると、複合材料中の導電体
の炭素繊維そのものがエポキシ樹脂の誘電率センサーと
なっており、先に述べたように、この点がこの発明の特
徴の一つである。
【0056】次に、この発明の特徴のもう一つである異
物の検知例を示す。図3に示したエポキシ樹脂単体のコ
ンデンサーに樹脂を半分だけ挿入して、空隙のモニタリ
ングを実施した。空隙はキャパシタンスの周波数依存性
の差異から推定可能である。空隙があるコンデンサのキ
ャパシタンスCtは次式で表される。
【0057】
【0058】ここで、εrは樹脂の誘電率、εaは空気
の誘電率、αはS/dの値、Vvは空隙率(空隙の複合
材料全体に対する体積含有率)である。y=Ct、x1
=εr、x2=εa−εr,b0=α、b1=αVvと
すると、式(5)は次式に書きかえられる。
【0059】
【0060】n種類(n≧2)の周波数でキャパシタン
スを測定すれば、異なる周波数での樹脂の誘電率εrは
異なるため、式(6)において、x1、およびx2の値
が異なる場合のキャパシタンスyを測定していることに
なる。このことから、n種類の周波数でのキャパシタン
ス測定によって最小二乗法で空隙率が求められる。これ
は、Vv=b1/b0である。
【0061】図3のコンデンサーにほぼ半分のエポキシ
樹脂を挿入して空隙モニタリングを実施した。キャパシ
タンスの測定結果を図11に示す。
【0062】図11
【0063】エポキシ樹脂がコンデンサー内に満たされ
ている結果と比較して、キャパシタンスが周波数増大に
よって減少する程度が小さいことがわかる。これは空隙
の誘電率が周波数依存性を有していないためである。ま
た、空気の誘電率はエポキシに比較して著しく小さいた
めにキャパシタンスの値そのものも小さくなる。先に述
べた方法で測定した空隙率はVv=0.475であり、
実際の値と一致している。この結果から、本発明で複合
材料中の空気、水分、油分、シートなどの異物の混入が
成形時に検知できることがわかる。
【0064】なお、一つの周波数だけで測定する場合で
も、キャパシタンスの最大値に着目すれば、キャパシタ
ンス最大値は空隙の存在の影響で低下する。これを利用
して空隙率を測定することも可能である。この場合には
式(5)のαの値が既知である必要がある。αの測定に
は電極設置位置を同じにして異なる周波数の交流でキャ
パシタンスを測定してαを求めた後に、類似の電極では
αを同じと仮定して解くことができる。
【0064】本発明の手法は複合材料そのものの電極間
の誘電率変化に基づいているため、電極を厚さ方位に設
置すれば厚さ方位の成形状態が測定可能であり、また、
電極を複合材料内部に設置すれば内部の成形状態を知る
ことも可能である。なお、電極はここでは導体に接触さ
せたが、1μm〜1mmの誘電材料または導体を含有す
る誘電材料を入れて電極を設置させることも可能であ
る。ただし、電極部分ではこの誘電材料の挿入によって
コンデンサの直列接続となるため、電極部分のキャパシ
タンスが低下し、内部のキャパシタンス変化が測定しに
くくなる。また、実際の炭素繊維は数μmの直径を有し
ているため、表面の凹凸は1μmが限度であり、これ以
下は実用上不可能である。1mm以上の誘電材料および
導体を含む場合はS/dの値のdが大きすぎるため、1
mmくらいが限度である。ただし、導体と誘電体を混合
させてキャパシタンスの大きい材料を作成して電極に設
置する場合は、内部のキャパシタンス測定に影響を及ぼ
さないため測定可能である。さらに誘電率センサー型の
箔状の材料に導体を設置したセンサーを電極として複合
材料に設置して、これを電極の代わりに使用することも
可能である。
【0065】また、熱可塑性樹脂においても、加熱後の
溶融によって樹脂の流動性が増加し、誘電率が変化する
材料であれば、基本的に原理は同じであり、本発明の手
法で溶融度あるいは固体化度を測定できる。ただし、誘
電率変化と溶融状態の関係を前もって調査する必要があ
る。
【0067】電気特性の変化が終了したあるいは減少し
たことをもって、定性的に熱硬化性樹脂の硬化反応の終
了や熱可塑性樹脂の固体化を検知することも可能であ
る。この方法は正確でないが安価な方法である。
【0068】
【効果】以上から、本発明を用いることで、導電性材料
と誘電材料からなる複合材料で、複合材料に直接交流電
流を印加して電気特性を測定することにより、誘電材料
の特性を知ることが可能となり、熱硬化樹脂の硬化度や
ゴムの硬化度、熱可塑性樹脂の溶融状態成形中にモニタ
リングすることが可能である。また、複数の周波数で測
定または単一周波数で測定することにより材料中の空気
や水分などの異物の存在を検知することが可能である。
本発明の重要な点は、複合材料にセンサーを設置するこ
となく、直接的に電気特性を測定する電極を設置するこ
と、誘電材料の結果を使用して複合材料の成形状態が簡
便にモニタリングできること、電気的特性の周波数依存
性を利用して空隙や水分、油分、シートなどの異物の混
入を成形時に測定・検知できることにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形モニタリング複合材料及び装置図
【図2】定温測定時の単位時間あたりの発熱量
【図3】平行平板コンデンサによるキャパシタンス測定
装置
【図4】120℃でのエポキシ樹脂のキャパシタンス測
定結果
【図5】交流周波数変化によるキャパシタンス変化の測
定結果
【図6】dC/dtを用いた硬化開始点の決定
【図7】エポキシ樹脂の硬化度βと硬化度の推定値の比
【図8】CFRPの硬化時のキャパシタンス変化測定結
【図9】CFRPの90°方位の等価回路
【図10】CFRPの硬化度βと硬化度の推定値の比較
【図11】空隙を有するエポキシ樹脂コンデンサーの異
なる周波数でのキャパシタンス変化
【符号の説明】
1 複合材料 2 電極 3 電気的特性測定装置 4 GFRP支持材 5 電極 6 エポキシ樹脂 7 キャパシタンス測定装置(LCRメータ) 8 CFRP 9 繊維直角(90°)方位炭素繊維接触抵抗をモデル
化した電気抵抗 10 炭素繊維間のエポキシ樹脂によるコンデンサの直
列接続全体をモデル化したコンデンサ

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性材料と誘電材料とからなる複合材料
    の成形において、当該複合材料に電極を接触させて設置
    し、当該複合材料の成形中に当該複合材料に交流電流を
    印加して当該複合材料の電気的特性を測定することによ
    り成形時の誘電材料の変化を測定することで、複合材料
    の成形状態をモニタリングすることを特徴とする複合材
    料およびモニタリング手法。
  2. 【請求項2】請求請1記載の複合材料において、導電性
    材料と誘電材料としての熱硬化性樹脂とからなる複合材
    料を対象として、測定する電気特性と熱硬化性樹脂の硬
    化度との関係を関数近似化またはデータベース化または
    ニューラルネットワーク化していた上で、当該複合材料
    に電極を接触させて設置し、当該複合材料の硬化成形時
    に当該複合材料に交流電流を印加して当該複合材料の電
    気的特性を測定することにより前記関係を用いて成形時
    の電気特性変化を測定することで、複合材料の硬化度を
    測定することを特徴とする複合材料およびモニタリング
    手法。
  3. 【請求項3】請求請1記載の複合材料において、導電性
    材料と誘電材料としての熱可塑性樹脂とからなる複合材
    料を対象として、測定する電気特性と熱可塑性樹脂の溶
    融状態との関係を関数近似化またはデータベース化また
    はニューラルネットワーク化していた上で、当該複合材
    料に電極を接触させて設置し、成形時に当該複合材料に
    交流電流を印加して当該複合材料の電気的特性を測定す
    ることにより成形時の電気特性の変化を測定すること
    で、複合材料の溶融状態を測定することを特徴とする複
    合材料およびモニタリング手法。
  4. 【請求項4】前記の測定する電気特性として誘電正接、
    誘電率、キャパシタンス、インピーダンス、電流と電圧
    の位相角のいずれか一つまたは少なくとも一つを測定す
    る、請求請1および2および3記載の複合材料およびモ
    ニタリング装置。
  5. 【請求項5】前記の測定する電極として当該複合材料に
    導電性材料からなる箔あるいは線あるいはブロックある
    いは接着剤あるいは液体を当該複合材料の導電性材料に
    接触させて設置するか、1μm〜1mmの範囲で当該複
    合材料中の導電性材料に接近させて設置し、当該複合材
    料の成形中に直接交流電流を当該複合材料に印加する請
    求請1および2および3記載の複合材料およびモニタリ
    ング手法。
  6. 【請求項6】導電性材料と誘電材料としての熱硬化性樹
    脂とからなる複合材料を対象として、当該複合材料に電
    極を設置し、当該複合材料の硬化成形時に当該複合材料
    に交流電流を印加して当該複合材料の電気的特性を測定
    し、電気特性の変化の減少から複合材料の硬化終了を測
    定することを特徴とする請求請1および2記載の複合材
    料およびモニタリング手法。
  7. 【請求項7】導電性材料と誘電材料としての熱可塑性樹
    脂とからなる複合材料を対象として、当該複合材料に電
    極を設置し、当該複合材料の成形時に当該複合材料に交
    流電流を印加して当該複合材料の電気的特性を測定し、
    電気特性の変化の減少から複合材料の溶融状態を測定す
    ることを特徴とする請求請1および3記載の複合材料お
    よびモニタリング手法。
  8. 【請求項8】前記の電気特性測定用印加交流電流として
    少なくとも2種類以上の周波数の交流を同時または別々
    に印加し、前記電気特性を測定することで、誘電材料の
    誘電率の周波数依存性の関係を用いて、当該複合材料の
    成形中に含有される複数の誘電材料の含有率を検出する
    ことを特徴とする請求項1および2および3記載の複合
    材料およびモニタリング手法。
  9. 【請求項9】前記の電気特性測定用印加交流電流として
    少なくとも2種類以上の周波数の交流を同時または別々
    に印加し、前記電気特性を測定することで、誘電材料の
    誘電率の周波数依存性の関係を用いて、最小二乗法によ
    り当該複合材料の成形中に含有される複数の誘電材料の
    含有率を検出することを特徴とする請求項1および2お
    よび3記載の複合材料およびモニタリング手法。
  10. 【請求項10】前記の電気特性測定用印加交流電流とし
    て少なくとも2種類以上の周波数の交流を同時または別
    々に印加し、前記電気特性を測定することで、誘電材料
    の誘電率の周波数依存性の関係を用いて、連立方程式を
    解くことにより当該複合材料の成形中に含有される複数
    の誘電材料の含有率を検出することを特徴とする請求項
    1および2および3記載の複合材料およびモニタリング
    手法。
  11. 【請求項11】前記の電気特性測定用印加交流電流とし
    て少なくとも2種類以上の周波数の交流を同時または別
    々に印加し、前記電気特性を測定することで、誘電材料
    の誘電率の周波数依存性の関係を用いて、逆問題を解く
    ことにより当該複合材料の成形中に含有される複数の誘
    電材料の含有率を検出することを特徴とする請求項1お
    よび2および3記載の複合材料およびモニタリング手
    法。
  12. 【請求項12】前記の電気特性を1つの周波数で測定
    し、その最大値または最小値を比較することで、当該複
    合材料の成形中に含有される複数の誘電材料の含有率を
    検出することを特徴とする請求項1および2および3記
    載の複合材料およびモニタリング手法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024106345A1 (ja) * 2022-11-14 2024-05-23 国立大学法人秋田大学 成形品質の評価方法、成形品の検査方法、成形品質の評価装置及び成形品の検査装置

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