JP2002257195A - 捩れ振動緩衝装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 限られた寸法の下で得られる捩れ特性の設定
可能な領域を可及的に広くすることが可能な捩れ振動緩
衝装置を提供すること。 【解決手段】 径方向に延在するフランジ３を有すると
ともに軸を取付けるための取付穴２１を中心に有するハ
ブ２と、ハブ２と同軸且つ相対回転可能に配設されるプ
レート４Ａ、４Ｂと、フランジ３の周方向に関して均等
な位置で径方向外方に向けて切り欠かれた切欠き３１
と、切欠き３１に対応すべくプレート４Ａ、４Ｂの周方
向に関して均等な位置に形成される窓４１と、切欠き３
１及び窓４１内で周方向に弾縮可能に配設される３つの
コイルスプリング５とを備える捩れ振動緩衝装置１。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチディスク
やフライホイールダンパ等の車両の駆動系中の捩れ振動
を緩衝する装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の技術として、ドイツ公開特許ＤＥ
１９５３６８６６Ａ１号公報に開示される技術がある。
この公報には、径方向に延在するフランジ８３を有する
ハブ８２と、ハブ８２と同軸かつ相対回転可能に配設さ
れるプレート８４と、フランジ８３及びプレート８４の
外周面よりも内周側の周方向に形成された４つの窓８４
１内に周方向に弾縮可能に配設される４つのコイルスプ
リング８５と、プレート８４の外周側に固設されるピン
８４２と、フランジ８３の外周面に形成され径方向に突
出する凸部８３２とを備える捩れ振動緩衝装置８０を採
用したクラッチディスクが開示されている。図５に該公
報に開示されたクラッチディスクの平面図を示す。図５
のクラッチディスクは、ハブ８２とプレート８４との間
でトルクの変動が発生して相対捩れが生じた際に、ピン
８４２と凸部８３２が当接しない捩れ角度の範囲内では
窓８４１内でコイルスプリング８５が弾縮して捩れによ
る振動を緩衝するが、ハブ８２とプレート８４の間での
トルクの変動が大きくなって捩れ角度が大きくなるとピ
ン８４２と凸部８３２が当接し、それ以上のハブ８２と
プレート８４との相対捩れが許容されなくなってハブ８
２とプレート８４とが一体回転する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ここで、捩れ振動緩衝
装置の捩れ特性、つまり、ハブとプレートとの間にトル
クの変動が発生した際にハブとプレートが捩れることで
吸収するトルク（以下、捩れトルクと称す）の相対捩れ
角度に対する特性（以下、捩れ特性と称す）には、車両
の性質に応じて様々な要求がある。例えば、ハブとプレ
ートとの間の小さなトルク変動を吸収しやすくするため
に相対捩れ角度に対する捩れトルクを小さく設定する、
トルクを徐々に吸収できるように相対捩れ角度を大きく
設定する、また、急激なトルク変動が吸収できるように
相対捩れ角度に対する捩れトルクを大きく設定する等、
要求される特性は車両の性質によって異なる。このよう
な様々な特性を満たすためには、ハブとプレートの間の
コイルスプリングの設置位置を変化させたり、コイルス
プリングの寸法を変化させて対応することが考えられ
る。尚、コイルスプリングの寸法を変化させる際にバネ
径や巻数を変化させればコイルスプリングのバネ定数を
変化させることも可能であり、これもまた任意の捩れ特
性を得るための要因である。コイルスプリングの設置位
置や寸法を変化させるには、コイルスプリングを配設す
る箇所に自由度が必要である。言い換えれば、コイルス
プリングを配設可能なスペースが広いほど任意の捩れ特
性を得やすくなる。

【０００４】しかしながら、捩れ振動緩衝装置は車両の
駆動系中で用いられるので、スペース上の制約により捩
れ振動緩衝装置自体の寸法を大きくできない場合があ
る。そのため、コイルスプリングを配設可能なスペース
が限られてしまい、任意の捩れ特性を得るのは困難であ
る。特に、上述した従来技術では、４つのコイルスプリ
ング８５をフランジ８３の外周端よりも内周側に配設し
ているので、捩れ振動緩衝装置８０自体の寸法が限られ
ている場合にはコイルスプリング８５をこれ以上径方向
外方に設置することは構造上困難である。また、コイル
スプリング８５の寸法に関してもプレート８４及びフラ
ンジ８３の強度を確保するために各窓８４１間の距離を
ある程度確保しなければならないので、コイルスプリン
グ８５の寸法を長くしたりバネ径を大きく設定すること
が困難である。更に、ハブ８２の中心に設けられた取付
穴８２１とコイルスプリング８５との間にはヒステリシ
ス機構の部材等を配設するとともに強度を確保するため
の間隔が必要である。そのため、コイルスプリング８５
が設置される箇所の外径を変化させることなくコイルス
プリング８５のバネ径（直径）を大きくしようとする
と、取付穴８２１とコイルスプリング８５との間隔を確
保できなくなってしまうため、バネ径を大きくすること
も困難である。

【０００５】したがって、上記の従来技術では、捩れ特
性の設定領域（設定可能な捩れ特性）が狭い領域となっ
てしまい、車両の特性に応じて要求される様々な捩れ特
性に設定できない場合が考えられ、好ましくない。

【０００６】そこで本発明は、上記問題点を解決すべ
く、限られた寸法の下で得られる捩れ特性の設定可能な
領域を可及的に広くすることが可能な捩れ振動緩衝装置
を提供することを技術的課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項１の発明は、径方向に延在するフランジを有す
るとともに軸を取付けるための取付穴を中心に有するハ
ブと、ハブと同軸且つ相対回転可能に配設されるプレー
トと、フランジの周方向に関して均等な箇所で径方向外
方に向けて切り欠かれた複数の切欠きと、切欠きに対応
すべくプレートの周方向に関して均等な箇所に形成され
る複数の窓と、切欠き及び窓内で周方向に弾縮可能に配
設される複数のコイルスプリングとを備え、コイルスプ
リングの弾縮方向両端部の外周面側が切欠きの最外周部
分よりも径方向外方となるようにコイルスプリングが切
欠きに配設される捩れ振動緩衝装置とした。

【０００８】請求項１によると、コイルスプリングの弾
縮方向両端部の外周面側が切欠きの最外周部分よりも径
方向外方となるようにコイルスプリングを切欠きに配設
したので、捩れ振動緩衝装置内におけるコイルスプリン
グの配設位置がフランジによって規制されなくなる。そ
のため、コイルスプリングはフランジの外周端面に規制
されることなく、捩れ振動緩衝装置の限られた寸法内
で、従来技術に比べてより径方向外側に配設することが
可能になる。コイルスプリングを径方向外側に配設する
と、コイルスプリング自体の寸法（バネ定数）を変化さ
せない場合には単位捩れ角当りの捩れトルクを大きくす
ることができる。また、コイルスプリングを径方向外側
に配設することでハブの取付穴とフランジの切欠きとの
間隔に余裕ができるので、コイルスプリングのバネ径を
大きくすることも可能になる。つまり、コイルスプリン
グのバネ径を大きくしてもハブの取付穴とフランジの切
欠きとの間隔が確保される。これによると、コイルスプ
リングのバネ定数が飛躍的に小さくなって、単位捩れ角
に対する捩れトルクを小さくすることができる。更に、
コイルスプリングを径方向外方に配設することで、フラ
ンジ及びプレートにおける各切欠き及び窓間の間隔を確
保しながらコイルスプリング自体の軸方向寸法（弾縮方
向）を長くすることができる。これによると、コイルス
プリングの巻数を多くしてバネ定数を小さくしたり、巻
数を多くしない場合にはコイルスプリングの撓み量が多
くできて捩れ角を大きくすることが可能になる。

【０００９】このように、請求項１の発明によると、限
られた寸法の捩れ振動緩衝装置の下でコイルスプリング
を可及的に径方向外側に配設することができるので、コ
イルスプリングの配設の自由度が飛躍的に向上し、これ
によって上述したように捩れ特性を変化させることが可
能になる。したがって、捩れ特性の設定可能な領域を可
及的に広くすることができる。

【００１０】請求項２に示すように、複数の切欠きの周
方向間におけるフランジの外周面から径方向外方へ突出
する凸部と、プレートの外周側に設けられプレートとハ
ブとの相対捩れ角度に応じて周方向に関して凸部と当接
する当接部とを備えることで、コイルスプリングを切欠
きに配設しつつハブとプレートとの相対捩れ角度を規定
するストッパとしての機能を備えることができる。

【００１１】具体的には、請求項３に示すように、当接
部はプレートの各窓と径方向に関して重ならない位置で
各窓の両側に配置され、凸部は異なる窓の間の隣り合う
当接部の間に形成すると、規制された形状の下で凸部と
当接部との周方向間隔を広く設定することができ、捩れ
角を大きくできるので、捩じり特性の設定可能な領域を
更に広くすることが可能になる。

【００１２】また、請求項４に示すように、コイルスプ
リングの弾縮方向両端部と切欠き及び窓との間に、コイ
ルスプリングの外周面の弾縮方向両端部を径方向内方に
向けてガイドするガイド部を有するシート部材を配設す
ると、捩れ振動緩衝装置の回転時に発生する遠心力によ
ってコイルスプリングが径方向外方へ移動するのを防ぐ
ことができ、好適である。

【００１３】請求項５は、切欠き及び窓をフランジの周
方向に関して均等な３箇所に形成することを特徴として
いる。請求項５によると、切欠き及び窓内に配設される
コイルスプリングは３つであるので、従来技術に示すよ
うな４つの窓内にコイルスプリングを設ける形式の捩れ
振動緩衝装置に対して、限られた寸法の下で各切欠き間
及び各窓間の距離を確保しながらコイルスプリング自体
の軸方向（弾縮方向）長さを長くすることができる。こ
のとき、４つのコイルスプリングを配設する場合に対し
てハブの取付穴とコイルスプリングとの距離が短くなっ
てしまうことが考えられるが、先に説明したように本発
明ではコイルスプリングの配設位置はフランジの外周面
に規制されないので、コイルスプリングを径方向外側に
配設することができてハブの取付穴とコイルスプリング
との間隔を確保することができる。したがって、４つの
コイルスプリングを配設した捩れ振動緩衝装置に比べて
更にコイルスプリング自体の軸方向長さを長くすること
が可能になり、捩れ特性の設定可能な領域を更に広くす
ることができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。本実施の形態では、捩れ振動緩衝
装置１を車両用クラッチディスクに採用した例を示して
いる。図１及び図２に示されるように、径方向に延在す
るフランジ３を有するとともに取付穴２１を中心に有す
るハブ２と、ハブ２と同軸且つ相対回転可能に配設され
る２枚のプレート４Ａ、４Ｂと、フランジ３とプレート
４Ａ、４Ｂとの相対捩れを緩衝する３つのコイルスプリ
ング５と、プレート４Ａ、４Ｂと一体回転する摩擦プレ
ート４４と、コイルスプリング５の内周側とハブ２の取
付穴２１との間に設けられるヒステリシス機構６とを主
要な構成として備えている。

【００１５】フランジ３には、周方向に関して均等な３
箇所に径方向外方に向けて切り欠かれた切欠き３１が形
成されている。また、プレート４Ａ、４Ｂには、フラン
ジ３に形成された３つの切欠き３１に対応する３箇所に
窓４１が形成されている。そして各切欠き３１と各窓４
１とによって形成される空間にコイルスプリング５がそ
れぞれ配設されている。更にフランジ３の各切欠き３１
の周方向間における外周面には、径方向外方へ突出する
凸部３２がフランジ３と一体に形成されている。

【００１６】本実施の形態では、ハブ２とフランジ３と
は以下の如く別部材で構成されている。フランジ３の内
周面には内スプライン３３が形成され、ハブ２の外周面
には、ハブ２がフランジ３に対して所定角度の捩れを許
容して内スプライン３３と噛合する外スプライン２２が
形成されている。また、ハブ２の外周面とフランジ３の
内周面の間には、フランジ３とハブ２の間の微少な振動
を吸収するための小バネ１１が配設されている。尚、ハ
ブ２の取付穴２１には内スプライン２３が形成されてお
り、請求の範囲で述べた軸に相当する部材である図示し
ない変速装置の入力軸とスプライン結合する。

【００１７】２枚のプレート４Ａ、４Ｂは、フランジ３
の軸方向両側に配置された状態で外周側の６箇所をピン
４２で連結して一体としている。ピン４２は、各窓４１
と径方向に関して重ならない位置で各窓４１の両側にそ
れぞれ配置されている。そして、凸部３２は異なる窓の
間の隣り合うピンの間に形成されている。また、このピ
ン４２によってプレート４Ａの外周側に円環状のディス
クスプリング４３が取付けられている。尚、ピン４２は
請求の範囲で説明した当接部に相当する部材である。デ
ィスクスプリング４３の軸方向両側には摩擦プレート４
４がリベット４５にて固定されている。このような構成
にて摩擦プレート４４とプレート４Ａ、４Ｂとが一体回
転する。摩擦プレート４４は図示しないプレッシャプレ
ートとフライホイールとの間に設置され、摩擦プレート
４４がプレッシャプレートとフライホイールの間で押付
けられることによって図示しないエンジンの回転がプレ
ート４Ａ、４Ｂ、フランジ３、ハブ２を介して変速機の
入力軸に伝達されるようになっている。

【００１８】ヒステリシス機構６はフランジ３とプレー
ト４Ａ、４Ｂとの相対捩れ時にヒステリシス（引きずり
抵抗）を与える機構であり、周方向に関してプレート４
Ａに係止される摩擦部材６１と、周方向に関してプレー
ト４Ｂに固定される摩擦部材６２と、プレート４Ｂと摩
擦部材６２の間に配される皿バネ６３とから構成され
る。皿バネ６３の付勢力によってフランジ３が２つの摩
擦部材６１、６２にて挟持され、フランジ３とプレート
４Ａ、４Ｂとの相対捩れ時にヒステリシスが発生する。

【００１９】捩れ振動緩衝装置１へのコイルスプリング
５の配設について詳細に説明する。切欠き３１はその径
方向内側部に凹部３１ａを有し、径方向内方側における
周方向の切欠き量が径方向外方側における周方向の切欠
き量より大きくなっている。窓４１の径方向内側部も切
欠き３１と同様の形状を呈している。コイルスプリング
５はその軸方向（弾縮方向）両端部と切欠き３１の周方
向端面との間にシート部材７を介在した状態で切欠き３
１及び窓４１内に配設されている。シート部材７は樹脂
製であり、コイルスプリング５の軸方向両端部における
径方向外方側の面を径方向内方に向けてガイドするガイ
ド部７１と、コイルスプリング５の内周にて軸方向に突
出してガイド部７１と同様にコイルスプリング５の径方
向外方への移動を抑制する突出部７２と、切欠き３１の
凹部３１ａ内に配置され遠心力によるシート部材７の径
方向外方への移動を抑制する膨出部７３とが一体に形成
されている。尚、膨出部７３は凹部３１ａとは固定され
ておらず、フランジ３とプレート４Ａ、４Ｂとの相対捩
れがない状態でシート部材７の膨出部７３とガイド部７
１とを繋ぐ箇所と切欠き３１との間（或いはコイルスプ
リング５の軸方向端部とシート部材７との間）に生じる
隙間に相当する微少な角度の回転を許容するとともに、
相対捩れ時には切欠き３１或いは窓４１の端面から離間
することが可能である。このようなシート部材７を両端
に配設した状態でコイルスプリング５は切欠き３１及び
窓４１内に配設される。本実施の形態では、コイルスプ
リング５の軸方向両端部における径方向外方側の面が、
切欠き３１の外周端部よりも径方向外方となるようにコ
イルスプリング５及びシート部材７を配設している。こ
のように、コイルスプリング５は、プレート４Ａ、４Ｂ
の外径内では、フランジ３の外周面に規制されることな
くその径方向における配設位置が設定される。つまり、
このようなコイルスプリング５の取付け構造としたこと
でコイルスプリング５を可及的に径方向外方に配設する
ことが可能となった。

【００２０】コイルスプリング５を径方向外方に配設す
ることで、コイルスプリングのバネ径を大きくしたり、
線径を大きくすることが可能となり、低剛性化や高トル
ク化等の設計自由度が向上する。例えばコイルスプリン
グ５自体の諸元（バネ定数）を変化させない場合には、
単位捩れ角当りの捩れトルクを大きくすることができ
る。また、コイルスプリング５を径方向外側に配設する
とハブ２の取付穴とフランジ３の切欠き３１との間隔に
余裕ができて、コイルスプリング５のバネ径を大きくす
ることも可能になる。ここで、コイルスプリング５のバ
ネ定数はバネ径の３乗に反比例するので、バネ径を大き
くするとコイルスプリング５のバネ定数が飛躍的に小さ
くなって、単位捩れ角に対する捩れトルクを小さくする
ことができる。更に、コイルスプリング５を径方向外方
に配設することで、フランジ３及びプレート４Ａ、４Ｂ
における各切欠き３１及び窓４１間の間隔を確保しなが
らコイルスプリング５自体の軸方向寸法を長くすること
ができる。コイルスプリング５のバネ定数は巻数にも反
比例するので、コイルスプリング５の巻数を多くしてバ
ネ定数を小さくしたり、巻数を多くしない場合にはコイ
ルスプリング５の撓み量が多くなって捩れ角を大きくす
ることが可能になる。

【００２１】上記のように様々な捩れ特性の設定が可能
な捩れ振動緩衝装置において、本実施の形態の捩れ振動
緩衝装置１で採用される捩れ特性について図３を用いて
説明する。図３は本実施の形態の捩れ振動緩衝装置１の
捩れ特性を示すグラフである。図示しないエンジンの回
転が摩擦プレート４Ａ、４Ｂに伝達されてプレート４
Ａ、４Ｂが回転すると、始めにハブ２とフランジ３との
間の小バネ１１が撓んで回転トルクを吸収する。そして
ハブ２の外周側における周方向端面がフランジ３の内周
側における周方向端面に当接するとハブ２とフランジ３
とが一体回転する状態となる。尚、この状態ではコイル
スプリング５は捩れのない状態から弾縮されていない。
更に回転トルクが大きくなってヒステリシス機構６によ
るヒステリシス範囲を越えると、コイルスプリング５が
窓４１の周方向端面と切欠き３１の周方向端面との間で
弾縮されることで回転トルクを吸収する。コイルスプリ
ング５の弾縮の初期、つまりシート部材７の膨出部７３
とガイド部７１とを繋ぐ箇所と、切欠き３１の周方向端
面との間が埋まるまでは、コイルスプリング５の径方向
内側部分近傍のみが弾縮されるので、相対捩れ角度に対
する捩れトルクはコイルスプリング５の端部全体が弾縮
される場合よりも小さくなる。回転トルクが更に大きく
なってシート部材７の膨出部７３とガイド部７１とを繋
ぐ箇所と、切欠き３１の周方向端面との間が埋まると、
コイルスプリング５の端部全体が窓４１の周方向端面と
切欠き３１の周方向端面との間で弾縮されて回転トルク
を吸収するので、相対捩れ角度に対する捩れトルクは先
の状態よりも大きくなる。捩れ振動緩衝装置による回転
トルクの吸収は、フランジ３の凸部３２がピン４２に当
接するまで行なうことが可能である。凸部３２がピン４
２に当接するとフランジ３とプレート４Ａ、４Ｂとはこ
れ以上の相対捩れを許容できなくなって、フランジ３と
プレート４Ａ、４Ｂとが一体回転する。

【００２２】本実施の形態では、設定可能な捩れ特性の
領域の中で図３の捩れ特性が得られるように設定した
が、本発明は、フランジ３の外径に規制されることなく
コイルスプリング５を配置することができるので、プレ
ート４Ａ、４Ｂの外径が限られている下でコイルスプリ
ング５の配設位置、寸法及びバネ定数を変化させること
が可能な範囲を広くとれる。これによると、捩れ特性の
設定可能な領域が広くなって、捩れ振動緩衝装置の設計
の面から非常に有効である。

【００２３】以上、本発明を実施の形態を参照して説明
したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるもの
ではなく、例えば、図４に示すような４つのコイルスプ
リング１５を配設する形式の捩れ振動緩衝装置１０にも
採用することができる。図４は図２に示すクラッチディ
スクの本発明に関連する構成であるフランジ１３、一方
のプレート１４Ａ、コイルスプリング１５、シート部材
１７、凸部１３２及びピン１４２についてのみ示した図
であり、シート部材１７の形状、コイルスプリング１５
の配設構造、更に図示しない箇所は図１及び図２で説明
したクラッチディスクと略同一の構成である。図４の構
成においても、従来技術に比べて径方向外側にコイルス
プリング１５を配設することができるので、捩れ特性の
設定可能な領域を可及的に広くすることが可能となる。

【００２４】

【発明の効果】本発明によると、捩れ振動緩衝装置内に
おけるコイルスプリングの配設位置がフランジによって
規制されないので、コイルスプリングはフランジの外周
端面に規制されることなく、捩れ振動緩衝装置の限られ
た寸法内で、従来技術に比べてより径方向外側に配設す
ることが可能になる。コイルスプリングを径方向外側に
配設することが可能になることで、コイルスプリング自
体の寸法（バネ定数）を変化させなければ単位捩れ角当
りの捩れトルクを大きくすることができる。また、コイ
ルスプリングを径方向外側に配設すると、ハブの取付穴
とフランジの切欠きとの間隔に余裕ができるので、コイ
ルスプリングのバネ径を大きくすることも可能になる。
つまり、コイルスプリングのバネ径を大きくしてもハブ
の取付穴とフランジの切欠きとの間隔が確保される。こ
れによると、コイルスプリングのバネ定数が飛躍的に小
さくなって、単位捩れ角に対する捩れトルクを小さくす
ることができる。更に、コイルスプリングを径方向外方
に配設することで、フランジ及びプレートにおける各切
欠き及び窓間の間隔を確保しながらコイルスプリング自
体の軸方向寸法を長くすることができる。これによる
と、コイルスプリングの巻数を多くしてバネ定数を小さ
くしたり、巻数を多くしない場合にはコイルスプリング
の撓み量が多くできて捩れ角を大きくすることが可能に
なる。

【００２５】このように、限られた寸法の捩れ振動緩衝
装置の下でコイルスプリングを可及的に径方向外側に配
設することができるので、コイルスプリングの配設の自
由度が飛躍的に向上し、上述したように捩れ特性を変化
させることが可能になる。したがって、捩れ特性の設定
可能な領域を可及的に広くすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係る捩れ振動緩衝装置を
採用したクラッチディスクの断面図である。

【図２】図１の正面図である。

【図３】本実施の形態の捩れ振動緩衝装置の捩れ特性を
示すグラフである。

【図４】本発明の別の実施の形態に係る捩れ振動緩衝装
置の主要部の平面図である。

【図５】従来の捩れ振動緩衝装置を採用したクラッチデ
ィスクの平面図である。

【符号の説明】

１、１０・・・捩れ振動緩衝装置 ２・・・ハブ ３、１３・・・フランジ ４Ａ、４Ｂ、１４Ａ・・・プレート ５、１５・・・コイルスプリング ６・・・ヒステリシス機構 ７、１７・・・シート部材

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 径方向に延在するフランジを有するとと
   もに軸を取付けるための取付穴を中心に有するハブと、 該ハブと同軸且つ相対回転可能に配設されるプレート
   と、 前記フランジの周方向に関して均等な箇所で径方向外方
   に向けて切り欠かれた複数の切欠きと、 前記切欠きに対応すべく前記プレートの周方向に関して
   均等な箇所に形成される複数の窓と、 前記切欠き及び窓内で周方向に弾縮可能に配設される複
   数のコイルスプリングと、 を備え、前記コイルスプリングの弾縮方向両端部の外周
   面側が前記切欠きの最外周部分よりも径方向外方となる
   ように前記コイルスプリングが前記切欠きに配設される
   捩れ振動緩衝装置。
2. 【請求項２】 前記複数の切欠きの周方向間における前
   記フランジの外周面から径方向外方へ突出する凸部と、
   前記プレートの外周側に設けられ前記プレートと前記ハ
   ブとの相対捩れ角度に応じて周方向に関して前記凸部と
   当接する当接部と、を備えること特徴とする請求項１に
   記載の捩れ振動緩衝装置。
3. 【請求項３】 前記当接部は前記プレートの各窓と径方
   向に関して重ならない位置で前記各窓の両側に配置さ
   れ、前記凸部は異なる窓の間の隣り合う当接部の間に形
   成されることを特徴とする、請求項２に記載の捩れ振動
   緩衝装置。
4. 【請求項４】 前記コイルスプリングの弾縮方向両端部
   と前記切欠き及び窓との間には、前記コイルスプリング
   の外周面の弾縮方向両端部を径方向内方に向けてガイド
   するガイド部を有するシート部材が配設されることを特
   徴とする請求項１に記載の捩れ振動緩衝装置。
5. 【請求項５】 前記切欠き及び前記窓は前記フランジの
   周方向に関して均等な３箇所に形成されることを特徴と
   する請求項１に記載の捩れ振動緩衝装置。