JP2002255815A - 新規な微小循環改善剤 - Google Patents

新規な微小循環改善剤

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JP2002255815A
JP2002255815A JP2001052233A JP2001052233A JP2002255815A JP 2002255815 A JP2002255815 A JP 2002255815A JP 2001052233 A JP2001052233 A JP 2001052233A JP 2001052233 A JP2001052233 A JP 2001052233A JP 2002255815 A JP2002255815 A JP 2002255815A
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Akira Orii
亮 折井
Yasuhiko Sugawara
寧彦 菅原
Masakazu Hayashida
真和 林田
Yoshitsugu Yamada
芳嗣 山田
Tadatoshi Takayama
忠利 高山
Masatoshi Makuuchi
雅敏 幕内
Kazuo Hanaoka
一雄 花岡
Kiyouko Cho
京浩 張
Kazuyuki Fujishima
和幸 藤島
Mitsuyasu Abe
充泰 安部
Takashi Kobayashi
小林  隆
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MAKUUCHI MASAHIKO
Meiji Seika Kaisha Ltd
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MAKUUCHI MASAHIKO
Meiji Seika Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、肝切除手術の術中、術後におけ
る、残肝の肝機能の改善を図ることを目的とし、このた
めの薬剤を提供する。特に肝臓癌などにおける肝切除後
の残存する肝機能障害を有する肝臓の肝機能を改善する
ための新規な薬剤を提供することである。 【解決手段】 本発明は、一般式(1) 【化1】 (式中、PYは、1個又は2個の低級アルキル基で置換
されていてもよいピリジニル基又は縮合ピリジニル基で
あり;Rは、水素原子または低級アルキル基であり;
は、水素原子または低級アルキル基であり;Qは、
ニトロ基、シアノ基、水素原子、カルバミル基、ハロゲ
ン原子、又はアミノ基を示す。)で示される2(1H)
−ピリジノン誘導体、その薬学的に許容される塩または
それらの溶媒和物の1種または2種以上を有効成分とす
る肝切除手術後における残肝の肝機能改善剤に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2(1H)−ピリ
ジノン誘導体の1種または2種以上を有効成分とする肝
切除手術後における残肝の肝機能改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】肝臓は消化管に属する最大の腺組織であ
り、極めて多くの機能を担っており、複雑な構造をして
いる。また、肝臓内の血管は多数の血管に枝分かれし、
網の目のように血管が構成され、門脈から大量の静脈血
が流入している臓器である。そのために肝臓の手術は困
難を極め、外科手術の難しい臓器とされていた。近年に
なって、術前、術中、術後管理の確立、外科技術および
器具の進歩、さらに解剖学的の解明などがあいまって、
肝切除手術は現在では一般化された外科手術になってき
ているが、病巣部を外科治療した後においても、手術中
の肝機能の低下から肝不全などの重篤な疾患に陥ること
があった。このような肝臓切除手術は、臓器移植などの
正常な肝臓においても行われ得るが、その多くは肝臓癌
などにおける癌部分の切除の手術である。
【0003】肝細胞癌などの患者では、基礎疾患として
肝炎や肝硬変などのような肝機能障害を持つことが多
く、もともと肝機能の低下がみられ、このような患者に
肝臓手術、特に肝臓切除手術を行った場合には、切除後
の残された肝臓の肝機能が、手術による多種多様の刺激
や負担によりさらに低下したり、その回復が著しく遅延
する。さらに、重篤な場合には肝不全を発症することも
しばしばみられる。したがって、肝切除手術の術中、術
後における、残肝の肝機能を維持又は促進するための措
置方法が求められている。
【0004】一方、2(1H)−ピリジノン誘導体は、
心臓収縮性を増大させる強心剤であることが知られてい
る(特公昭60−32630号、及び特公昭61−59
625号)。これらの2(1H)−ピリジノン誘導体の
なかの3−アミノ−5−(4−ピリジニル)−2(1
H)−ピリジノン(一般名:アムリノン)は、急性心不
全の医薬として1992年に商品名「アムコラル」とし
て上市されてきている。このような2(1H)−ピリジ
ノン誘導体は、心筋、血管平滑筋などのホスホジエステ
ラーゼIII(phosphodiesterase III)を選択的に阻害す
ることにより細胞内のサイクリックAMP(cAMP)
の分解を阻止し、心血管系のcAMPの増加により心筋
では心収縮力を増加させ、一方、血管平滑筋では血管を
弛緩させ、強心、血管拡張作用示す抗心不全薬として知
られている(医学のあゆみ 加藤ら Vol.154(8),p51
1,1990;特開昭52−48675)。
【0005】また、アムリノンが、ラットの皮膚微小循
環の血流を増加させ、皮弁生着面積を延長させることも
報告されている(佐藤裕子ら、「日本形成外科学会学会
誌」、第18巻、第2号、92−96頁(199
8))。さらに、犬の完全肝温阻血モデルにおいて、ア
ムリノンの虚血前投与により、再灌流後の肝臓のcAM
P、cGMPの減少を抑制し、ALTの増加を抑制する
ことが報告されている(石川博人ら、第100回日本外
科学会総会、2000年4月12〜14日、SF6c−
7)。しかし、肝切除後の残肝の組織血流および肝機能
改善効果については、基礎的にも、臨床的にも現在まで
のところ殆ど知られておらず、科学的なデータはこれま
でのところ全く報告されていない。肝細胞癌などにおけ
る患部の肝臓部分の切除手術では、術中の機械的な刺激
や虚血による負担だけでなく、多くの場合肝切除後の残
存する肝臓(残肝)も基礎疾患として肝炎や肝硬変など
のような肝機能障害を持っており、このような肝機能障
害を有する残肝のみで切除された部分を含む術前の肝機
能を担ってゆかねばならず、術中の虚血、再灌流による
再灌流障害の抑制のみならず、肝機能障害を有する残肝
の肝細胞の賦活化が必須の条件とされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、肝切除手術
の術中、術後における、残肝の肝機能の改善を図ること
を目的とし、このための薬剤を提供する。特に肝臓癌な
どにおける肝切除後の残存する肝機能障害を有する肝臓
の肝機能を改善するための新規な薬剤を提供することで
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、肝切除手
術後の残存する肝臓(残肝)の機能を改善するための薬
剤を探索した結果、一般式(I)
【0008】
【化2】
【0009】(式中、PYは、1個又は2個の低級アル
キル基で置換されていてもよいピリジニル基又は縮合ピ
リジニル基であり;Rは、水素原子または低級アルキ
ル基であり;Rは、水素原子または低級アルキル基で
あり;Qは、ニトロ基、シアノ基、水素原子、カルバミ
ル基、ハロゲン原子、又はアミノ基である。)で示され
る2(1H)−ピリジノン誘導体、その薬学的に許容さ
れる塩またはまたはそれらの溶媒和物、より詳細には3
−アミノ−5−(4−ピリジニル)−2(1H)−ピリ
ジノン(アムリノン)、3−シアノ−5−(4−ピリジ
ニル)−6−メチル−2(1H)−ピリジノン(ミルリ
ノン)、及び1,2−ジヒドロ−5−(イミダゾ[1,
2−a]ピリジン−6−イル)−6−メチル−2−オキ
ソ−3−ピリジンカルボニトリル(オルプリノン)が肝
切除手術後の残肝の肝機能低下を改善することを見出し
た。
【0010】即ち、本発明は、前記一般式(I)で示さ
れる2(1H)−ピリジノン誘導体、その薬学的に許容
される塩またはそれらの溶媒和物の1種または2種以上
を有効成分とする肝切除手術後における残肝の肝機能改
善剤に関する。また、本発明は、前記一般式(I)で示
される2(1H)−ピリジノン誘導体、その薬学的に許
容される塩またはそれらの溶媒和物の1種または2種以
上を、肝切除手術後における残肝の肝機能改善剤を製造
するための使用(USE)に関する。さらに、本発明は、
前記一般式(I)で示される2(1H)−ピリジノン誘
導体、その薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和
物の1種または2種以上の有効量を、肝切除手術におけ
る残肝の肝機能が低下した患者に投与することからなる
肝切除手術後における残肝の肝機能を改善する方法に関
する。本発明の前記一般式(I)で示される2(1H)
−ピリジノン誘導体の好ましい例としては、例えば、3
−アミノ−5−(4−ピリジニル)−2(1H)−ピリ
ジノン(アムリノン)、3−シアノ−5−(4−ピリジ
ニル)−6−メチル−2(1H)−ピリジノン(ミルリ
ノン)、及び1,2−ジヒドロ−5−(イミダゾ[1,
2−a]ピリジン−6−イル)−6−メチル−2−オキ
ソ−3−ピリジンカルボニトリル(オルプリノン)が挙
げられる。
【0011】本発明者らは、前記一般式(I)で示され
る2(1H)−ピリジノン誘導体の例としてアムリノン
(3−アミノ−5−(4−ピリジニル)−2(1H)−
ピリジノン)を用いて、1998年4月〜1999年1
0月にかけて、肝亜区域切除術または腫瘍の限定切除術
のいずれかの肝切除手術が計画されている患者の45例
(男性37例、女性8例、年齢48〜76歳)を、無作
為に未処置群(15名)、アムリノン投与群(15名)
およびプロスタグランジンE1(PGE1)投与群(1
5名)の3群に分けて試験した。プロスタグランジンE
1(PGE1)は、連続静脈内投与により肝亜区域切除
術を受けた肝硬変患者の術後期間中に肝に対する好まし
い薬理作用がみられたことが報告されていることから
(Tsukada K, et al., J. Surg. Res., 66, 64-68(199
6))、これを比較のために用いた。
【0012】アムリノン投与群(15名)およびプロス
タグランジンE1(PGE1)投与群(15名)の患者
には、それぞれアムリノンを4.0μg/kg/分で、ま
たPGE1を0.02μg/kg/分の速度で中心静脈カ
テーテルより静脈内持続注入した。アムリノンまたはP
GE1の注入は、手術開始時に開始し、手術終了時に終
了させた。残りの患者15例は対照群とし、これらの薬
物のいずれも投与しなかった。対照群の患者にプラセボ
を投与しなかった。これらの患者の背景因子の詳細を各
群に分けて、その平均値及び標準偏差(カッコ内)を次
の表1に示す。術前の危険因子として、アムリノン投与
群に高血圧患者1例、PGE1投与群に糖尿病患者1例
および高血圧患者1例、対照群に高血圧患者1例および
不整脈患者1例が含まれていたが、各背景因子について
群間で統計学的な差はなかった。
【0013】
【表1】
【0014】全患者における手術所要時間は、410±
137分であった。虚血前期および虚血期は、それぞれ
165±95分間および70±46分間であった。血液
損失は、601±390mlに達した。摘出された肝の重
量は、157±186gであった。これらの患者の外科
的特性の詳細を各群に分けて、その平均値及び標準偏差
(カッコ内)を次の表2に示す。表2に示されるように
外科的特性については群間で統計学的な差はなかった。
【0015】
【表2】
【0016】これらの患者について、インドシアニング
リーン消失率(ICG−K)、動脈血中乳酸値(La
c)、過剰塩基値(BE)、血漿アスパラギン酸アミノ
トランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノト
ランスフェラーゼ(ALT)のレベルの変化を調べた。
【0017】インドシアニングリーン(ICG)消失率
試験は、試験前値をとるため手術の前(T0)に実施し
た。手術中は、次の3回実施した:Pringle手技による
肝虚血誘導直前(T1)、肝再灌流直後、すなわち、肝
切除完了直後(T2)および再灌流後60分目(T3)
に行った。動脈血乳酸濃度(Lac)および過剰塩基
(BE)は、同じタイミングで測定した。
【0018】血中アスパラギン酸アミノトランスフェラ
ーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラー
ゼ(ALT)値は、手術前(D−1)、手術後1時間目
(D0)ならびに術後1日目および3日目(それぞれD
1およびD3)に測定した。各群において麻酔中および
麻酔後に得られた実測値は、Bonferroniの補正による分
散分析法を用いて対応する手術前値と比較した。臨床因
子に対するPGE1またはアムリノンの影響を検討するた
め、麻酔中および麻酔後に得られた実測値を統計学的比
較のために繰り返し測定に関する二元配置分散分析法で
解析した。
【0019】これらの結果を、それぞれ図1〜図5に示
す。これらの図1〜図5の太実線はアムリノン投与群を
示し、細実線はPGE1投与群を示し、破線は対照群を
示す。*印は、手術前の平均レベルに比較してp<0.
008であることを示し、**印は、各因子のレベルに
対するPGE1又はアムリノンの作用の二元配置繰り返
し測定分散分析の結果におけるp<0.05であること
を示す。
【0020】ICG消失率は、肝血流及び肝機能の指標
であり(Leevy CM, et al., J. Cin. Invest., 41,1169
-1176 (1962);Kawasaki S, et al., Am. J. Gastroent
erol, 80,, 801-867 (1985))、図1のICG−Kの変
化についてみると薬物投与後においては、ICG−Kは
アムリノン群において手術前での手術前値と比較して肝
虚血誘導直前には有意に増大した(P=0.006)
が、PGE1群および対照群では増大しなかった。再灌
流直後には、ICG−Kは対照群では手術前値に比較し
て肝切除完了直後に有意に低下した(P=0.006)
が、アムリノン群およびPGE1群では低下しなかっ
た。再灌流後60分目でのICG−Kレベルは、各群と
も手術前値と異ならなかった。
【0021】乳酸値および過剰塩基の変化については、
それぞれ図2および図3に示してあるように一般に、乳
酸値は、虚血前期中、増加する傾向があり、虚血期中は
著しく増加し、虚血後期中は低下する傾向があった(図
2参照)。肝切除完了直後の乳酸値は、各群ともそれぞ
れの手術前値より有意に高かった(<0.0001)。
各期間中の乳酸蓄積率または消失率を表3に示した。
【0022】
【表3】
【0023】過剰塩基は、各群において肝切除完了直後
まで低下し続けた(図3)。肝切除完了直後での過剰塩
基は、PGE1群および対照群において手術前値より有
意に低かった(それぞれP=0.007およびP=0.
003)。
【0024】ASTおよびALTの変化については、そ
れぞれ図4と図5に示したように全ての群のASTレベ
ルは、術後1日目に最大値(アムリノン群、PGE1
群、対照群それぞれ216±239、231±152、
246±125IU/l)に達した(図4)。ALTレ
ベルの変化の平均値は、ASTの変化と同様のパターン
を示した(図5)。
【0025】アムリノン群の虚血前期中の乳酸蓄積率は
対照群のそれより有意に低かった(P=0.03、表
3)。これに反して、虚血期中の乳酸蓄積率は3群で同
等であった。虚血後期には、アムリノン群およびPGE
1群の乳酸消失率は対照群のそれより高い傾向があった
(P=0.09)。
【0026】ICG消失率は、肝血流及び肝機能の指標
であり、また血中乳酸プロファイル、特に乳酸蓄積率及
び消失率は、肝手術中の肝機能の最も感度の高い指標の
ひとつである(Koller J., et al., Transplant Proc.,
23, 1989-1990 (1991);Orii R., et al., Transplant
ation, (in press))。アムリノン群のICG−Kは、
対照群と有意に異なっていた。PGE1群のICG−K
は、対照群やアムリノン群と異なる傾向がみられたが、
これらの差は有意の差には達しなかった(図1参照)。
また、アムリノン群及び対照群の乳酸値及び過剰塩基量
も有意に異なっていた。PGE1群及び対照群の乳酸値
及び過剰塩基量は、アムリノン群と異なる傾向がみられ
たが、これらの差は有意の差には達しなかった(図2及
び図3参照)。アムリノン群の虚血前期中の乳酸変化率
は、対照群のそれよりも有意に低かった。これに反し
て、虚血期中の乳酸変化率は3群で同等であった。虚血
後期には、アムリノン群及びPGE1群の乳酸変化率
は、対照群のそれよりも高い傾向にあった(表3参
照)。以上の結果、アムリノンは、肝硬変患者における
肝切除中のICG−K及び乳酸代謝を促進させることが
わかり、したがって、アムリノンが肝切除後の残肝の肝
機能低下を改善することがわかった。
【0027】次に、このようなアムノリンの作用と心機
能への作用について次のようにして調べた。次の項目に
ついてルーチンにモニターした。すなわち、1)観血的
動脈圧、2)心拍数、3)心電図(5誘導およびIIお
よびVの2チャンネル)、4)パルスオキシメトリー
による動脈血酸素飽和度、5)終末呼気二酸化炭素分
圧、6)食道温の6つの項目である。心係数(CI)
(図9)も色素希釈法を用いてICG濃度曲線の初期相
の曲線下面積をコンピューターにより算出して測定し
た。収縮期、拡張期全身動脈圧(SAP、DAP)(図
6、図7)、心拍数(HR)(図8)、食道温(ET)
(図10)も手術前、肝虚血誘導直前、肝切除完了直後
および再灌流後60分目で記録した。結果を、それぞれ
図6〜図10に示す。これらの図6〜図10の太実線は
アムリノン投与群を示し、細実線はPGE1投与群を示
し、破線は対照群を示す。*印は、手術前の平均レベル
に比較してp<0.008であることを示す。
【0028】収縮期および拡張期圧は、各群と手術前か
ら肝切除完了直後まで有意な変化は無かったが、対照群
およびPGE1群では再灌流後60分では有意に増加し
た(いずれもp<0.0001(図6、図7))。心拍
数は各群において手術前から肝切除完了直後まで有意に
変化しなかったがアムリノン群およびPGE1群の再灌
流後60分では手術前値と比較して同程度に有意に変化
した(それぞれP=0.007およびP=0.001、
図8)。心係数および食道温は、3群全てにおいて観察
期間を通して変化しなかった(図9、図10)。アムリ
ノン群及びPGE1群の収縮期圧、拡張期圧、心拍数、
心係数、食道温、AST、及びALTには観察期間を通
して群間で有意な差はみられなかった。ICG−Kレベ
ルが手術中に低用量のアムリノンにより維持されるメカ
ニズムとして、心機能増強又は肝血管床拡張による肝血
流の増大があげられる。心拍出量の増大により門脈血流
量が増大することが報告されている。しかし、この試験
ではアムノリン群の心係数は対照群のそれと同等であ
り、前記したメカニズムとは異なり、腹部重要臓器の血
管拡張作用による肝血流量の増大が本発明の肝機能改善
作用の主たる要因であると考えられる。
【0029】さらに、本発明の肝切除手術後における残
肝の肝機能改善剤としての作用は、前記してきたアムリ
ノン(3−アミノ−5−(4−ピリジニル)−2(1
H)−ピリジノン)のみならず、他の一般式(I)で表
される2(1H)−ピリジノン誘導体にもみられること
を確認した。雄性日本白色種ウサギを用いてミルリノン
(3−シアノ−5−(4−ピリジニル)−6−メチル−
2(1H)−ピリジノン)及びオルプリノン(1,2−
ジヒドロ−5−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6
−イル)−6−メチル−2−オキソ−3−ピリジンカル
ボニトリル)における肝切除手術後における残肝の肝機
能改善作用を試験した。その結果これらの化合物も血中
乳酸値を有意に低下させ(表4参照)、前記したアムリ
ノンと同様な作用を有することが確認された(実施例2
参照)。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の一般式(I)で示される
2(1H)−ピリジノン誘導体における、置換基R
やPYの置換基としての低級アルキル基としては、
炭素数1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜
4の直鎖又は分枝したアルキル基が挙げられ、好ましい
低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、tert-ブチル基などが挙げられる。また、ハロゲン
原子としてはフッ素、塩素、臭素などが挙げられる。本
発明の一般式(I)で示される2(1H)−ピリジノン
誘導体における、置換基PYにおけるピリジニル基とし
ては、2−、3−、又は4−ピリジニル基が挙げられ、
縮合ピリジニル基としては、前記した2−、3−、又は
4−ピリジン環にさらに他の環が縮合したものが挙げら
れる。ピリジン環に縮合する環としては、4〜7員の炭
素環又は複素環が挙げられ、当該複素環としては1〜3
個の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を異種原子として
有するものが挙げられる。ピリジン環に縮合する位置と
しては特に制限はなく、任意の位置で縮合していてよ
い。ピリジン環の窒素原子を含む位置で縮合した場合に
は、当該窒素原子は縮合する環と共有する異種原子とな
る。縮合ピリジニル基が2(1H)−ピリジノン基に結
合する位置としては、縮合した環から結合することもで
きるが、縮合ピリジニル基のピリジン環から結合したも
のが好ましい。好ましい縮合ピリジニル基としては、イ
ミダゾピリジニル基、ピロロピリジニル基などが挙げら
れ、なかでもイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イ
ル基が好ましい。本発明の一般式(I)で示される2
(1H)−ピリジノン誘導体における、置換基PYは、
前記してきたピリジニル基や縮合ピリジニル基は無置換
のものが好ましいが置換基を有するものであってもよ
い。好ましい置換基としては、1個以上、より詳細には
1個又は2個のの前記した低級アルキル基が置換したも
のであってもい。
【0031】本発明の一般式(I)で示される2(1
H)−ピリジノン誘導体の好ましい例としては、3−ア
ミノ−5−(4−ピリジニル)−2(1H)−ピリジノ
ン(アムリノン)、3−シアノ−5−(4−ピリジニ
ル)−6−メチル−2(1H)−ピリジノン(ミルリノ
ン)、及び1,2−ジヒドロ−5−(イミダゾ[1,2
−a]ピリジン−6−イル)−6−メチル−2−オキソ
−3−ピリジンカルボニトリル(オルプリノン)が挙げ
られる。
【0032】本発明の一般式(I)で示される2(1
H)−ピリジノン誘導体は、遊離塩基と酸付加物のいず
れの形態でも有用であり、このどちらの形態も本発明の
範囲内である。本発明の薬理学的に許容される塩として
は、塩酸、硫酸、リン酸及びスルファミン酸のような鉱
酸並びに酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、メタンスルホ
ン酸等の有機酸から誘導されたものが挙げられる。ま
た、本発明の化合物の溶媒和物としては水、エタノール
等の溶媒和物が挙げられる。本発明の一般式(I)で示
される2(1H)−ピリジノン誘導体は、公知の化合物
であり、公知の方法、例えば、特公昭60−32630
号、特公昭61−59625号、又は特公平5−584
37号に記載された方法で製造することができる。
【0033】本発明における肝切除手術としては、肝臓
癌などの病巣部を切除する外科手術が一般的であるが、
これに限定されるものではなく、肝臓移植のための切除
や、肝臓移植に際しての肝摘出などの肝臓の少なくとも
一部を切除する手術が包含される。また、本発明の肝機
能改善としては、肝臓が有する機能の低下を改善するも
のであり、肝臓が有する各種の機能を包含しているが、
好ましくはインドシアニングリーン(ICG)試験、血
中乳酸値(Lac)、及び/又は過剰塩基値(BE)で
測定される肝機能が挙げられる。したがって、本発明
は、より詳細にはこれらの試験によって計測される肝機
能の改善剤であるということもできる。しかしながら、
これらの試験は生体肝における肝機能の好ましい指標と
されていることから、これらの試験によって計測される
肝機能が改善されたということは、即ち生体肝の機能が
改善されたことを示すものである。
【0034】本発明の該化合物は様々の投薬形態で経口
または非経口で通常投与される。経口投与のための固形
組成物は圧縮錠剤、ピル、粉末及び顆粒である。かかる
固形組成物においては有効成分を少なくとも一種をスタ
ーチ、炭酸カルシウム、蔗糖、またはラクトースの少な
くとも一種と共に混合する。これらの組成物にはこれら
以外の他物質、例えばステアリン酸マグネシウム、タル
クなどのような滑たく剤も含めることができる。経口投
与のための液体組成物は、当業者が一般に使用される水
および流動パラフィンの様な不活性希釈剤を含むエマル
ジョン、シロップ、およびエリキシル剤である。上記以
外のかかる組成物としては、保湿剤、甘味剤、防腐剤な
ども含めることができる。本発明による経口投与用カプ
セルなども挙げられる。非経口投与のための形態として
は、滅菌された水、水−有機溶剤、による注射液、また
はサスペンジョン及びエマルジョンなどが挙げられる。
有機溶剤または懸濁媒体の例はプロピレングリコール、
ポリエチレングリコール、オリーブ油などが挙げられ
る。これら組成物には安定化剤、防腐剤、保湿剤、乳化
剤および分散剤を含有することもできる。
【0035】本発明の薬剤は、経口又は非経口で投与す
ることができるが、好ましくは非経口投与であり、より
好ましくは静脈投与である。また、その投与量は、患者
の様態や、疾患の種類、手術の方法などによって異なる
が、通常は一回、1mg〜100mg/kgで、好ましくは1m
g〜50mg/kg、である。静脈投与で持続投与する場合に
は、0.1〜20μg/kg/分、好ましくは0.5〜5.
0μg/kg/分の低用量で静脈内持続注入がよい。本発明
の有効成分は公知であり、例えば、3−アミノ−5−
(4−ピリジニル)−2(1H)−ピリジノンの雄ラッ
トでの静脈投与での急性毒性、LD50は148mg/kg
である。
【0036】
【実施例】本発明を臨床評価プロトコールとして以下に
具体的に詳細に実施例として記述するが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものではない。
【0037】実施例1 対象患者は肝切除術を受けた患者の45例(男性37
例、女性8例、年齢48〜76歳)で、次の5つの条件
を満たす患者を選択した。すなわち、(1)被験者は、
肝細胞癌を有する肝硬変患者であること。(2)腫瘍
は、肝の1つの亜区域に限定されていること。(3)手術
前のICG消失率(ICG−K)が0.06unit/min以
上であること。(4)肝亜区域切除術または腫瘍の限定
切除術のいずれかが計画されていること。(5)肝虚血
をおこすのにプリングル(Pringle)手法のみが実施さ
れること。ここでプリングル(Pringle)手法とは肝切
除術が完了するまで、肝門で15分間の血管結紮を5分
間隔で反復する方法であり、限定切除とは、周囲に非腫
瘍性肝組織が十分余裕のある腫瘍を非解剖学的に切除す
ることである。肝亜区域切除術は、その門脈枝により供
給を受ける亜区域を解剖学的に完全に切除することを示
す。関係する亜区域を同定する方法は、幕内らの方法
(Surg. Gynecol Obstet 161, 346-350, 1985)を用い
た。
【0038】前記の基準を満たした患者を無作為に未処
置群(15名)、アムリノン群(15名)およびプロス
タグランジンE1(PGE1)群(15名)の3群に分
けた。アムリノン群(15名)およびプロスタグランジ
ンE1(PGE1)群(15名)の患者には、アムリノ
ン(Amcoral(登録商標)、 明治製菓(株)、東京)ま
たはPGE1(Prostandin(登録商標)、 小野薬品工
業(株)、大阪)をそれぞれ4.0μg/kg/分または
0.02μg/kg/分の速度で中心静脈カテーテルより
静脈内持続注入した。アムリノンまたはPGE1の注入
は、手術開始時に開始し、手術終了時に終了させた。残
りの患者15例は対照群とし、これらの薬物のいずれも
投与しなかった。対照群の患者にプラセボを投与しなか
った。
【0039】術前の危険因子として、アムリノン群に高
血圧患者1例、PGE群に糖尿病患者1例および高血圧
患者1例、対照群に高血圧患者1例および不整脈患者1
例が含まれていた。患者の背景因子および外科的特性の
詳細はそれぞれ前記した表1および表2に示した。
【0040】麻酔は、ミダゾラム(0.05〜0.1mg
/kg)、チオペンタールナトリウム(2〜4mg/kg)、
フェンタニール(2μg/kg)を導入し、イソフルラン
(亜酸化窒素−酸素50%混合物ガス中0.8%〜1.
5%)およびフェンタニール(1時間当り1〜2μg/k
g)で維持した。筋弛緩は、臭化パンクロニウム(1時
間当たり0.08mg/kg)で維持した。機械的人工呼吸
の呼吸回数は、10〜15/分とし、吸気/呼気持続時
間の比は1:2に設定した。吸気酸素濃度は、動脈血酸
素分圧が120mmHgを超えるように設定した。動脈血二
酸化炭素分圧は、35〜45mmHgに維持した。
【0041】次の項目についてルーチンにモニターし
た。すなわち、1)観血的動脈圧、2)心拍数、3)心
電図(5誘導およびIIおよびVの2チャンネル)、
4)パルスオキシメトリーによる動脈血酸素飽和度、
5)終末呼気二酸化炭素分圧、6)食道温の6つの項目
である。
【0042】晶質輸液注入は、体内ナトリウム貯留を回
避するため、最小限(1時間当り2〜3ml/kg)にし
た。安定した血行動態を維持するため、必要に応じて新
鮮凍結血漿を輸液した。濃縮赤血球または新鮮な全血を
必要に応じて輸血した。
【0043】ICG(Diagnogreen(登録商品)、第一
製薬(株)、東京)試験は、試験前値をとるため手術の
前(T0)に実施した。手術中は、次の3回実施した:
プリングル(Pringle)手法による肝虚血誘導直前(T
1)、肝再灌流直後、すなわち、肝切除完了直後(T
2)および再灌流後60分目(T3)。手術前のICG
消失率(ICG−K)は常法により測定した。すなわ
ち、0.5mg/kgのICGを静注し、静注後5、10お
よび15分目に血液を採取し、その血漿中濃度をNielse
nの方法(Scand J Clin Lab Invest 15, 613-621, 196
3)を用いて測定した。手術中は、ICGクリアランス
メータRK−1000(TX)(住友電機、東京)の至
適センサーを右第2指に当てた。ICG−Kは、810
nmおよび940nmの2つの波長で指を通しての光透過を
測ることによって測定した。
【0044】心係数(CI)も色素希釈法を用いてIC
G濃度曲線の初期相の曲線下面積をコンピューターによ
り算出して測定した。収縮期、拡張期全身動脈圧(SA
P、DAP)、心拍数(HR)、食道温(ET)も手術
前、肝虚血誘導直前、肝切除完了直後および再灌流後6
0分目で記録した。動脈血乳酸濃度および過剰塩基は、
同じタイミングでアナライザ(ABL625, Radiometer, Co
penhagen, Denmark)で測定した。
【0045】観察期間を次の3期に分けた。虚血前期
(T0からT1まで)、虚血期(T1からT2まで)お
よび虚血後期(T2からT3まで)。虚血前期の乳酸蓄
積率は、肝虚血誘導直前および手術前での血中乳酸濃度
の差をこの期間の持続時間で割って算出した。虚血期の
乳酸蓄積率は、同様に算出した。虚血後期の乳酸消失率
は、肝切除完了直後および再灌流後60分目での血中乳
酸濃度の差をこの期間の持続時間で割って算出した。
【0046】血中アスパラギン酸アミノトランスフェラ
ーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラー
ゼ(ALT)値は、手術前(D−1)、手術後1時間目
(D0)ならびに術後1日目および3日目(それぞれD
1およびD3)に測定した。各群において麻酔中および
麻酔後に得られた実測値は、Bonferroniの補正による分
散分析法を用いて対応する手術前値と比較した。臨床因
子に対するPGE1またはアムリノンの影響を検討する
ため、麻酔中および麻酔後に得られた実測値を統計学的
比較のために繰り返し測定に関する二元配置分散分析法
で解析した。
【0047】全患者における手術所要時間は、410±
137分であった。虚血前期および虚血期は、それぞれ
165±95分間および70±46分間であった。血液
損失は、601±390mlに達した。摘出された肝の重
量は、157±186gであった。表2に示されるよう
に外科的特性については群間で統計学的な差はなかっ
た。これらの結果を図1から図10に示した。
【0048】実施例2 雄性日本白色種ウサギ(2.4-2.8kg)をイソフルラン
(亜酸化窒素−酸素50%混合ガス中0.8%)麻酔下で、プ
リングル手法を用いて肝左葉の20%を切除した。ウサ
ギは無処置群(n=3)、ミルリノン群(n=3)およ
びオルプリノン群(n=3)に分けて処置した。無処置
群は生理食塩水を投与した。ミルリノン群はミルリノン
注射液(Milrila, 登録商標 山之内製薬(株))を生
理食塩水で希釈し、50μg/kgを10分かけて静注
し、引き続き0.5μg/kg/minで静脈内持続注
入した。持続時間はプリングル手法開始30分前から肝
切除終了後120分までの150分とした。またオルプ
リノン群は塩酸オルプリノン注射液(Coretec, 登録商
標 エーザイ(株))を生理食塩水で希釈し、10μg
/kgを5分かけて静注し、引き続き0.5μg/kg
/minで静脈内持続注入した。持続時間はミルリノン
群と同様である。動脈血中の乳酸値をプリングル手法開
始直前、プリングル手法終了5分後および60分後にア
ナライザー(Rapidlab860,Bayer Medical )で測定し
た。プリングル手法前に対するプリングル手法終了5分
後、60分後の血中乳酸値の増加値(それぞれの時間に
おけるプリングル手法開始直前の血中乳酸値を差し引い
た値)の平均値と標準偏差値は表4の通りであった。表
4に示すようにミルリノンおよびオルプリノンは実施例
1に示すアムリノンと同様に部分肝切除後の血中乳酸値
の増加を有意に抑制した。
【0049】 表4 終了5分後(mmol/l) 終了60分後(mmol/l) 無処置群 23.12±0.25 23.78±1.50 ミルリノン群 13.06±1.25* 9.00±0.74* オルプリノン群 6.79±1.65* 4.41±0.83* *:P<0.05において無処置群に比較して有意差があることを示す。
【0050】
【発明の効果】本発明は、肝切除後の残肝の肝機能を改
善し得る新規な薬剤を提供する。肝切除手術は、肝臓癌
などにおいて有効な治療方法であるが、多くの肝臓癌患
者は同時に肝炎や肝硬変などの肝疾患を併発しており、
肝切除後の残肝の肝機能が極度に低下し、肝切除手術自
体は成功しても、残肝の肝機能が回復せずに肝不全とな
ることがあった。本発明の薬剤は、このような肝切除手
術に伴う肝機能の低下を改善できるものであり、肝切除
手術の成功度を飛躍的に高めることができるものであ
る。また、本発明の2(1H)−ピリジノン誘導体は、
PGE1などに比べて副作用が少なく、本発明はより安
全な肝切除後の残肝の肝機能改善剤を提供するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、肝切除手術におけるインドシアニング
リーン消失率(ICG−K)の変化示したものである。
縦軸は、ICG−K(分−1)であり、横軸の、T0は
開腹術前、T1は肝虚血誘導直前、T2は肝切除完了直
後、T3は再灌流後60分目である。太実線はアムリノ
ン投与群を示し、細実線はPGE1投与群を示し、破線
は対照群を示す。
【図2】図2は、肝切除手術における動脈血中乳酸値
(Lac)の変化示したものである。縦軸は、Lac
(mmol・l−1)であり、横軸の、T0は開腹術
前、T1は肝虚血誘導直前、T2は肝切除完了直後、T
3は再灌流後60分目である。太実線はアムリノン投与
群を示し、細実線はPGE1投与群を示し、破線は対照
群を示す。
【図3】図3は、肝切除手術における過剰塩基値(B
E)の変化示したものである。縦軸は、BE(m等量・
−1)であり、横軸の、T0は開腹術前、T1は肝虚
血誘導直前、T2は肝切除完了直後、T3は再灌流後6
0分目である。太実線はアムリノン投与群を示し、細実
線はPGE1投与群を示し、破線は対照群を示す。
【図4】図4は、肝切除手術における血漿アスパラギン
酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルの変化示
したものである。縦軸は、AST(国際単位・l−1
であり、横軸の、D−1は手術前日、D0は手術後1時
間目、D1は術後1日目、D3は術後3日目である。太
実線はアムリノン投与群を示し、細実線はPGE1投与
群を示し、破線は対照群を示す。
【図5】図5は、肝切除手術におけるアラニンアミノト
ランスフェラーゼ(ALT)レベルの変化示したもので
ある。縦軸は、ALT(国際単位・l−1)であり、横
軸の、D−1は手術前日、D0は手術後1時間目、D1
は術後1日目、D3は術後3日目である。太実線はアム
リノン投与群を示し、細実線はPGE1投与群を示し、
破線は対照群を示す。太実線はアムリノン投与群を示
し、細実線はPGE1投与群を示し、破線は対照群を示
す。
【図6】図6は、肝切除手術における収縮期圧(SA
P)の変化示したものである。縦軸は、SAP(mmH
g)であり、横軸の、T0は開腹術前、T1は肝虚血誘
導直前、T2は肝切除完了直後、T3は再灌流後60分
目である。太実線はアムリノン投与群を示し、細実線は
PGE1投与群を示し、破線は対照群を示す。
【図7】図7は、肝切除手術における拡張期圧(DA
P)の変化示したものである。縦軸は、DAP(mmH
g)であり、横軸の、T0は開腹術前、T1は肝虚血誘
導直前、T2は肝切除完了直後、T3は再灌流後60分
目である。太実線はアムリノン投与群を示し、細実線は
PGE1投与群を示し、破線は対照群を示す。
【図8】図8は、肝切除手術における心拍数(HR)の
変化示したものである。縦軸は、HR(分−1)であ
り、横軸の、T0は開腹術前、T1は肝虚血誘導直前、
T2は肝切除完了直後、T3は再灌流後60分目であ
る。太実線はアムリノン投与群を示し、細実線はPGE
1投与群を示し、破線は対照群を示す。
【図9】図9は、肝切除手術における心係数(CI)の
変化示したものである。縦軸は、CI(l・分−1・m
−2)であり、横軸の、T0は開腹術前、T1は肝虚血
誘導直前、T2は肝切除完了直後、T3は再灌流後60
分目である。太実線はアムリノン投与群を示し、細実線
はPGE1投与群を示し、破線は対照群を示す。
【図10】図10は、肝切除手術における食道温(O
T)の変化示したものである。縦軸は、OT(℃)であ
り、横軸の、T0は開腹術前、T1は肝虚血誘導直前、
T2は肝切除完了直後、T3は再灌流後60分目であ
る。太実線はアムリノン投与群を示し、細実線はPGE
1投与群を示し、破線は対照群を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅原 寧彦 東京都墨田区石原1−34−10−401 (72)発明者 林田 真和 茨城県つくば市館野21 山下淳一方 (72)発明者 山田 芳嗣 東京都世田谷区代沢1−37−14 (72)発明者 高山 忠利 東京都北区赤羽北2−24−18 (72)発明者 幕内 雅敏 東京都目黒区中央町2−38−10 (72)発明者 花岡 一雄 東京都中野区上鷺宮5−22−6 (72)発明者 張 京浩 東京都小平市上水本町2−12−9 (72)発明者 藤島 和幸 神奈川県横浜市港北区師岡町760 明治製 菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 安部 充泰 神奈川県横浜市港北区師岡町760 明治製 菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 小林 隆 東京都文京区白山2−4−9−301 Fターム(参考) 4C055 AA01 AA04 BA02 BA42 CA02 CA03 CA27 CA52 DA01 4C065 AA04 BB05 CC01 DD05 EE02 HH01 JJ01 KK05 LL01 PP08 4C086 AA01 BC17 CB05 GA07 MA04 NA14 ZA75

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、PYは、1個又は2個の低級アルキル基で置換
    されていてもよいピリジニル基又は縮合ピリジニル基で
    あり;Rは、水素原子または低級アルキル基であり;
    は、水素原子または低級アルキル基であり;Qは、
    ニトロ基、シアノ基、水素原子、カルバミル基、ハロゲ
    ン原子、又はアミノ基を示す。)で示される2(1H)
    −ピリジノン誘導体、その薬学的に許容される塩または
    それらの溶媒和物の1種または2種以上を有効成分とす
    る肝切除手術後における残肝の肝機能改善剤。
  2. 【請求項2】 有効成分が、3−アミノ−5−(4−ピ
    リジニル)−2(1H)−ピリジノンである請求項1に
    記載の肝機能改善剤。
  3. 【請求項3】 残肝が、肝機能障害を有している請求項
    1又は2に記載の肝機能改善剤。
  4. 【請求項4】 肝切除術手術後における、残肝の肝不全
    を予防するための請求項1〜3のいずれかに記載の肝機
    能改善剤。
  5. 【請求項5】 肝切除手術の術中に投与されるための請
    求項1〜4のいずれかに記載の肝機能改善剤。
  6. 【請求項6】 肝切除手術の術中に持続投与されるもの
    である請求項5に記載の肝機能改善剤。
  7. 【請求項7】 持続投与量が、0.1〜20μg/kg/分
    である請求項6に記載の肝機能改善剤。
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