JP2002252428A - 長波長帯面発光レーザ素子を用いた光通信システム - Google Patents

長波長帯面発光レーザ素子を用いた光通信システム

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JP2002252428A
JP2002252428A JP2001051255A JP2001051255A JP2002252428A JP 2002252428 A JP2002252428 A JP 2002252428A JP 2001051255 A JP2001051255 A JP 2001051255A JP 2001051255 A JP2001051255 A JP 2001051255A JP 2002252428 A JP2002252428 A JP 2002252428A
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Kazuya Miyagaki
一也 宮垣
Masayoshi Kato
正良 加藤
Akira Sakurai
彰 桜井
Teruyuki Furuta
輝幸 古田
Takeshi Kanai
健 金井
Atsuyuki Watada
篤行 和多田
Shunichi Sato
俊一 佐藤
Yukie Suzuki
幸栄 鈴木
Satoru Sugawara
悟 菅原
Shinji Sato
新治 佐藤
Shuichi Hikiji
秀一 曳地
Takuro Sekiya
卓朗 関谷
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動作電圧、発振閾値電流等を低くできる面発
光型半導体レーザチップを発光光源として利用し、カッ
プリングレンズを用いることなく高効率でレーザ光を光
ファイバにカップリング可能な光通信システムを提供す
る。 【解決手段】 (1)上記もしくは下部反射鏡領域の少
なくとも一方の反射鏡の反射率を半径方向に変化させ
る、(2)上部もしくは下部反射領域、または、活性層
の利得もしくは損失を半径方向で変化させる、少なくと
も1つの特徴を有する同心円状の微細構造を有する面発
光型半導体レーザ素子チップであって、半径方向の変化
の間隔は半径方向に対して不均一とし、レーザ素子チッ
プの発光部から所定の距離の位置に光ファイバの端面が
発光部と相対するように光ファイバを配設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光通信などに用いら
れる半導体レーザならびにその光通信システムに関する
ものであり、中でも半導体レーザとして製作に使用する
半導体基板面に対して垂直方向に光を発するいわゆる面
発光レーザを用い複数のレーザ素子を形成して、大容量
の通信を可能にした光通信システムに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】面発光半導体レーザは、基板の表面から
垂直方向にレーザ光を放射するので2次元並列集積が可
能であり、更に、その出力光の広がり角が比較的狭い
(10度前後)ので光ファイバとのカップリングが容易
であるほか、素子の検査が容易であるという特徴を有し
ている。そのため、特に、並列伝送型の光送信モジュー
ル(光インタコネクション装置)を構成するのに適した
素子として開発が盛んに行なわれている。光インタコネ
クション装置の当面の応用対象は、コンピュータ等の筐
体間やボード間の並列接続のほか、短距離の光ファイバ
通信であるが、将来の期待される応用として大規模なコ
ンピュータ・ネットワークや長距離大容量通信の幹線系
がある。
【0003】一般に、面発光半導体レーザは、GaAs
又はGaInAs からなる活性層と、当該活性層を上下に
挟んで配置された上部の半導体分布ブラッグ反射鏡と基
板側の下部の半導体分布ブラッグ反射鏡からなる光共振
器をもって構成するのが普通であるが、端面発光型半導
体レーザの場合に比較して光共振器の長さが著しく短い
ため、反射鏡の反射率を極めて高い値(99%以上)に設
定することによってレーザ発振を起こし易くする必要が
ある。このため、通常は、AlAs からなる低屈折率材
料とGaAs からなる高屈折率材料を1/4波長の周期
で交互に積層することによって形成した半導体分布ブラ
ッグ反射鏡が使用されている。
【0004】ところで上記のように、光通信に使用され
るようなレーザ波長が1.1μm以上の長波長帯レー
ザ、例えばレーザ波長が1.3μm帯や1.55μm帯
であるような長波長帯レーザは、製作基板にInPが用
いられ、活性層にInGaAsPが用いられるが、基板の
InPの格子定数が大きく、これに整合する反射鏡材料
では屈折率差が大きく取れず、従って積層数を40対以
上とする必要がある。またInP基板上に形成される半
導体レーザには、別の問題として、温度によって特性が
大きく変化する点がある。そのため、温度を一定にする
装置を付加して使用する必要があり、民生用等一般用に
供することが困難であり、このような積層数と温度特性
の問題から、実用的な長波長帯面発光半導体は、未だ実
用化されるに至っていない。
【0005】このような問題を解決するためになされた
発明として、特開平9−237942号公報に開示され
たものが知られている。それによると、製作基板として
GaAs 基板を用い、基板側の下部上部のうち少なくと
も一方の半導体分布ブラッグ反射鏡の低屈折率層に同基
板と格子整合が取れるAlInPからなる半導体層を用
い、さらに、下部上部のうち少なくとも一方の半導体分
布ブラッグ反射鏡の高屈折率層にGaInNAs からなる
半導体層を用い、従来よりも大きい屈折率差を得るよう
にし、少ない積層数で高反射率の半導体分布ブラッグ反
射鏡を実現しようというものである。
【0006】また、GaInNAs を活性層の材料として
使用している。これは、N組成を増加させることによっ
てバンドギャップ(禁制帯幅)を1.4eVから0eV
へ向かって低下させることができるので、0.85μm
よりも長い波長を発光する材料として用いることが可能
となるからである。しかもGaAs 基板と格子整合が可
能なので、GaInNAs からなる半導体層は、1.3μ
m帯及び1.55μm帯の長波長帯面発光半導体レーザ
のための材料として好ましい点についても言及してい
る。
【0007】しかしながら、従来は0.85μmよりも
長い波長帯の面発光半導体レーザ実現の可能性を示唆す
るにとどまっているだけであり、実際にはそのようなも
のは実現していない。これは基本的な構成は理論的には
ほぼ決まってはいるものの実際に安定したレーザ発光が
得られるようにするためのより具体的な構成がまだ不明
だからである。
【0008】一例を挙げると、上記のようにAlAs か
らなる低屈折率材料とGaAs からなる高屈折率材料を
1/4波長の周期で交互に積層することによって形成し
た半導体分布ブラッグ反射鏡を使用したものや、あるい
は特開平9−237942号公報に開示されたもののよ
うに、半導体分布ブラッグ反射鏡の低屈折率層に同基板
と格子整合が取れるAlInPからなる半導体層を用いた
ものにおいては、レーザ素子が全く発光しなかったり、
あるいは、発光してもその発光効率が低く、実用レベル
には程遠いものであった。これは、Alを含んだ材料が
化学的に非常に活性であり、Alに起因する結晶欠陥が
生じ易いためである。これを解決するためには、特開平
8−340146号公報や特開平7−307525号公
報に開示された発明のようにAlを含まないGaInNP
とGaAsとから半導体分布ブラッグ反射鏡を構成する提
案がある。しかしながらGaInNPとGaAs との屈折
率差はAlAsとGaAsとの屈折率差に比べて約半分であ
り、反射鏡の積層数を非常に多くなり製作が困難とな
る。
【0009】すなわち現状では、コンピュータ・ネット
ワークなどで光ファイバ通信が期待されているが、それ
に使用できるレーザ波長が1.1μm〜1.7μmの長
波長帯面発光半導体レーザおよびそれを用いた光通信シ
ステムが存在せず、その出現が切望されている。
【0010】さらにまた、このような光通信システムを
効率の良いものとするための1.1〜1.7μmの長波
長帯面発光半導体レーザと光ファイバの良好なカップリ
ングの方法についてもその出現が期待されている。この
ような光ファイバカップリングの方法の一例として、特
許第3102742号公報に記載された発明が知られて
いる。これは、0.85μm帯の面発光レーザ素子にフ
レネルゾーンのはたらきをする微細構造を設けたもので
あるが、本発明のように1.1〜1.7μm帯のような
長波長帯レーザ素子に良好に適用する事が可能かどうか
わからない。その理由は、利用する発振波長が異なるか
らであるが、本発明ではこの点に着目し鋭意検討を行っ
た結果、未だ解決すべき課題があることを見出した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような光
通信などに用いられるレーザ発振波長が1.1μm〜
1.7μmの長波長帯面発光半導体レーザならびにその
光通信システムに関するものであり、その第1の目的
は、動作電圧、発振閾値電流等を低くできる面発光型半
導体レーザ素子チップを発光光源として利用し、カップ
リングレンズを用いることなくレーザ光が光ファイバに
高効率にカップリングできることを可能とする光通信シ
ステムを提案することにある。
【0012】また第2の目的は、安定して使用できるレ
ーザ発振波長が1.1μm〜1.7μmの長波長帯面発
光半導体レーザ素子チップを発光光源として利用し、カ
ップリングレンズを用いることなくレーザ光が光ファイ
バに高効率にカップリングできることを可能とする光通
信システムを提案することにある。
【0013】さらに第3の目的は、このような光通信シ
ステムにおいて、カップリングレンズを用いることなく
レーザ光が光ファイバにカップリングでき、かつ、レー
ザチップの作製が容易である光通信システムを提案する
ことにある。
【0014】また第4の目的は、このような光通信シス
テムにおいて、カップリングレンズを用いることなくレ
ーザ光が光ファイバに高効率にカップリングでき、大容
量の通信を提案することにある。
【0015】また第5の目的は、このような光通信シス
テムにおいて、集光スポットを小さくすることにある。
【0016】また第6の目的は、このような光通信シス
テムにおいて、集光スポットの光強度を大きくすること
にある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために第1に、レーザチップと該レーザチップと接
続される光通信システムにおいて、レーザチップは発振
波長が1.1μm〜1.7μmであり、光を発生する活
性層を、主たる元素がGa、In、N、Asからなる
層、もしくはGa、In、Asよりなる層とし、レーザ
光を得るために活性層の上部及び下部に設けられた反射
鏡を含んだ共振器構造を有する面発光型半導体レーザ素
子チップであって、反射鏡はそれを構成する材料層の屈
折率が小/大と周期的に変化し入射光を光波干渉によっ
て反射する半導体分布ブラッグ反射鏡であるとともに、
屈折率が小の材料層はAlxGa1-xAs(0<x≦1)
とし、屈折率が大の材料層はAlyGa1-yAs(0≦y
<x≦1)とした反射鏡であり、かつ屈折率が小と大の
材料層の間に屈折率が小と大の間の値をとる材料層Al
zGa1-zAs(0≦y<z<x≦1)を設けてなる面発
光型半導体レーザ素子チップを発光光源としたものであ
り、面発光型半導体レーザ素子チップは、同心円状の微
細構造を有し、微細構造は、(1)上部もしくは下部反
射鏡領域の少なくとも一方の反射鏡の反射率を半径方向
に変化させる、または、(2)上部もしくは下部反射鏡
領域、または、活性層の利得もしくは損失を半径方向で
変化させる、または、(3)上部もしくは下部反射鏡領
域の少なくとも一方の反射鏡の反射率を半径方向で変化
させ、かつ、上部もしくは下部反射鏡領域、または、活
性層の利得もしくは損失を半径方向で変化させることを
特徴とし、半径方向の変化の間隔は半径方向に対して不
均一であり、レーザ素子チップの発光部から所定の距離
の位置に光ファイバの端面が発光部と相対するように光
ファイバを配置するようにした。
【0018】また第2に、レーザチップとレーザチップ
と接続される光通信システムにおいて、レーザチップは
発振波長が1.1μm〜1.7μmであり、光を発生す
る活性層を、主たる元素がGa、In、N、Asからな
る層、もしくはGa、In、Asよりなる層とし、レー
ザ光を得るために活性層の上部及び下部に設けられた反
射鏡を含んだ共振器構造を有する面発光型半導体レーザ
素子チップであって、反射鏡はそれを構成する材料の屈
折率が小/大と周期的に変化し入射光を光波干渉によっ
て反射する半導体分布ブラッグ反射鏡であるとともに、
屈折率が小の材料はAlxGa1-xAs(0<x≦1)と
し、屈折率が大の材料はAlyGa1-yAs(0≦y<x
≦1)とした反射鏡であり、活性層と反射鏡の間にGa
InPもしくはGaInPAsよりなる非発光再カップ
リング防止層を設けてなる面発光型半導体レーザ素子チ
ップを発光光源としたものであり、面発光型半導体レー
ザ素子チップは、同心円状の微細構造を有し、微細構造
は、(1)上部もしくは下部反射鏡領域の少なくとも一
方の反射鏡の反射率を半径方向に変化させる、または、
(2)上部もしくは下部反射鏡領域、または、活性層の
利得もしくは損失を半径方向で変化させる、または、
(3)上部もしくは下部反射鏡領域の少なくとも一方の
反射鏡の反射率を半径方向で変化させ、かつ、上部もし
くは下部反射鏡領域、または、活性層の利得もしくは損
失を半径方向で変化させることを特徴とし、半径方向の
変化の間隔は半径方向に対して不均一であり、レーザ素
子チップの発光部から所定の距離の位置に光ファイバの
端面が発光部と相対するように光ファイバを配置するよ
うにした。
【0019】さらに第3に、上記第1、第2の光通信シ
ステムにおいて、面発光型半導体レーザ素子チップの上
部のコンタクト層を相異なる半径を有する同心円状のパ
ターン形状とし、隣接する同心円パターンの間隔は不等
ピッチであり、レーザ素子チップの発光部から所定の距
離の位置に光ファイバの端面が発光部と相対するように
光ファイバを配置するようにした。
【0020】また第4に、上記第1、第2、第3の光通
信システムにおいて、微細構造、または、同心円状のパ
ターンがアレイ状にn個配列され、光ファイバも微細構
造またはパターンに対応してアレイ状にn個配列するよ
うにした。
【0021】また第5に、上記第1、第2、第3、第4
の光通信システムにおいて、微細構造で反射鏡の反射率
が高い部分、または、レーザ素子の利得の高い部分、ま
たはレーザ素子の損失の小さい部分どうしの間の間隔
は、1つの半径方向変化の中心から光ファイバ端までの
光路に対応する位相が、1つの半径方向変化の中心から
前記光ファイバ端までの光路に対応する位相と2mπ
(mは正の整数)だけ異なるようにした。
【0022】また第6に、上記第1、第2、第3、第4
の光通信システムにおいて、微細構造で反射鏡の反射率
が低い部分、または、レーザ素子の利得の低い部分、ま
たはレーザ素子の損失の大きい部分どうしの間の間隔
は、1つの半径方向変化の中心から光ファイバ端までの
光路に対応する位相が、1つの半径方向変化の中心から
光ファイバ端までの光路に対応する位相とnπ(nは奇
数)だけ異なるようにした。
【0023】
【発明の実施の形態】最初に本発明の光通信システムに
適用される発光素子である伝送ロスの少ないレーザ発振
波長が1.1μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体
レーザの1例について図1を用いて説明する。
【0024】前述のように、従来は本発明が適用しよう
としているレーザ発振波長が1.1μm〜1.7μmの
長波長帯面発光半導体レーザに関しては、その可能性の
示唆があるのみで、実現のための材料、ならびにより具
体的、詳細な構成は不明であった。本発明では、活性層
としてGaInNAs等の材料を使用し、さらに具体的な
構成を明確にした。以下にそれを詳述する。
【0025】本発明では、面方位(100)のn−Ga
As基板上に、それぞれの媒質内における発振波長λの
1/4倍の厚さ(λ/4の厚さ)でn−AlxGa1-x
s(x=1.0)(低屈折率層〜屈折率小の層)とn−
AlyGa1-yAs(y=0)(高屈折率層〜屈折率大の
層)を交互に35周期積層したn−半導体分布ブラッグ
反射鏡(AlAs/GaAs下部半導体分布ブラッグ反射鏡)を
形成し、その上にλ/4の厚さのn−GaxIn1-xy
As1-y(x=0.5、y=1)層を積層した。この例
ではn−GaxIn1-xyAs1-y(x=0.5、y=
1)層も下部反射鏡の一部であり低屈折率層(屈折率小
の層)となっている。
【0026】そしてその上にアンドープ下部GaAsス
ペーサ層と、3層のGaxIn1-xAs量子井戸層である
活性層(量子井戸活性層)とGaAsバリア層(20n
m)からなる多重量子井戸活性層と、アンドープ上部G
aAsスペーサ層とが積層されて、媒質内における発振
波長λの1波長分の厚さ(λの厚さ)の共振器を形成し
ている。
【0027】さらにその上に、C(炭素)ドープのp−
GaxIn1-xyAs1-y(x=0.5、y=1)層とZ
nドープp−AlxGa1-xAs(x=0)をそれぞれの
媒質内における発振波長λの1/4倍の厚さで交互に積
層した周期構造(1周期)を積層し、その上にCドープ
のp−AlxGa1-xAs(x=0.9)とZnドープp
−AlxGa1-xAs(x=0)をそれぞれの媒質内にお
ける発振波長λの1/4倍の厚さで交互に積層した周期
構造(25周期)とからなる半導体分布ブラッグ反射鏡
(Al0.9Ga0.1As/GaAs上部半導体分布ブラッグ反射鏡)
を形成している。この例ではp−GaxIn1-xyAs
1-y(x=0.5、y=1)層も上部反射鏡の一部であ
り、低屈折率層(屈折率小の層)となっている。
【0028】なおここで、上部/下部反射鏡ともそれぞ
れ低屈折率層(屈折率小の層)/高屈折率層(屈折率大
の層)を交互に積層して形成するが、本発明ではこれら
の間に、屈折率が小と大の間の値をとる材料層Alz
1-zAs(0≦y<z<x≦1)を設けている。図2
は、低屈折率層(屈折率小の層)と高屈折率層(屈折率
大の層)の間に、屈折率が小と大の間の値をとる材料層
AlzGa1-zAs(0≦y<z<x≦1)を設けた半導
体分布ブラッグ反射鏡の一部を示したものである(図1
では図が複雑になるので図示することを省略してい
る)。
【0029】従来レーザ波長が0.85μm帯の半導体
レーザに関して、このような材料層を設けることも検討
はされているが、まだ検討段階であり、その材料、ある
いはその厚さなどまで詳細には検討されていない。また
本発明のようなレーザ発振波長が1.1μm〜1.7μ
mの長波長帯面発光半導体レーザに関しては全く検討さ
れていない。その理由はこの分野(レーザ発振波長が
1.1μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体レー
ザ)が新しい分野であり、まだほとんど研究が進んでい
ないからである。
【0030】本発明者はいち早くこの分野(レーザ発振
波長が1.1μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体
レーザおよびそれを用いた光通信)の有用性に気付き、
それを実現するために鋭意検討を行った。
【0031】このような材料層は形成時にガス流量をコ
ントロールするなどして、そのAl組成を連続的もしく
は段階的に変えるようにしてその材料層の屈折率が連続
的もしくは段階的に変化するようにして形成する。
【0032】より具体的には、AlzGa1-zAs(0≦
y<z<x≦1)層のzの値を0から1.0まで変わる
ように、つまりGaAs〜AlGaAs〜AlAsとい
う具合にAlとGaの比率が徐々に変わるようにして形
成する。これは前述のように層形成時にガス流量をコン
トロールすることによって作成される。また、AlとG
aの比率が前述のように連続的に変わるようにして形成
しても良いし、段階的にその比率が変わるようにしても
同等の効果がある。
【0033】このような材料層を設ける理由は、半導体
分布ブラッグ反射鏡の持つ問題点の一つであるp−半導
体分布ブラッグ反射鏡の電気抵抗が高いという課題を解
決するためである。これは半導体分布ブラッグ反射鏡を
構成する2種類の半導体層の界面に生じるヘテロ障壁が
原因であるが、本発明のように低屈折率層と高屈折率層
の界面に一方の組成から他方の組成へ次第にAl組成が
変化するようにして、屈折率も変化させることによって
ヘテロ障壁の発生を抑制することが可能である。
【0034】またこのような屈折率が小と大の間の値を
とる材料層AlzGa1-zAs(0≦y<z<x≦1)は
本発明のようなレーザ発振波長が1.1μm〜1.7μ
mの長波長帯面発光半導体レーザの場合、5nm〜50
nmの厚さとするのが良く、これより薄いと抵抗が大と
なり電流が流れにくく、素子が発熱したり、駆動エネル
ギーが高くなるという不具合がある。また厚いと抵抗が
小となり、素子の発熱や、駆動エネルギーの面で有利に
なるが、今度は反射率がとれないという不具合があり、
前述のように最適の範囲(5nm〜50nmの厚さ)を
選ぶ必要がある。
【0035】なお、前述のように従来のレーザ波長が
0.85μm帯の半導体レーザに関してこのような材料
層を設けることも検討されているが、本発明のようなレ
ーザ発振波長が1.1μm〜1.7μmの長波長帯面発
光半導体レーザの場合は、より効果的である。なぜな
ら、例えば同等の反射率(例えば99.5%以上)を得
るためには、0.85μm帯よりも1.1μm帯〜1.
7μm帯の場合、このような材料層を約2倍程度にする
ことができるので、半導体分布ブラッグ反射鏡の抵抗値
を低減させることができ、動作電圧、発振閾値電流等が
低くなり、レーザ素子の発熱防止ならびに安定発振、少
エネルギー駆動の面で有利となる。
【0036】つまり半導体分布ブラッグ反射鏡にこのよ
うな材料層を設けることは、本発明のようなレーザ発振
波長が1.1μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体
レーザの場合に特に効果的な工夫といえる。
【0037】なお効果的な反射率を得るためのより詳細
な検討結果の一例を挙げると、例えば1.3μm帯面発
光型レーザ素子では、AlxGa1-xAs(x=1.0)
(低屈折率層〜屈折率小の層)とAlyGa1-yAs(y
=0)(高屈折率層〜屈折率大の層)を20周期積層し
た場合においては、半導体分布ブラッグ反射鏡の反射率
が99.7%以下となるAlzGa1-zAs(0≦y<z
<x≦1)層の厚さは30nmである。また、反射率が
99.5%以上となる波長帯域は53nmであり、反射
率を99.5%以上と設計した場合、±2%の膜厚制御
ができればよい。そこでこれと同等およびこれより薄
い、10nm、20nm、30nmのものを試作したと
ころ、反射率を実用上問題のない程度に保つことがで
き、半導体分布ブラッグ反射鏡の抵抗値を低減させるこ
とができた1.3μm帯面発光型レーザ素子を実現、レ
ーザ発振に成功した。なお試作したレーザ素子の他の構
成は後述のとおりである。
【0038】なお多層膜反射鏡においては設計波長(膜
厚制御が完全にできたとして)を含んで反射率の高い帯
域がある。高反射率の帯域(反射率が狙いの波長に対し
て必要値以上である領域を含む)と呼ぶ。設計波長の反
射率が最も高く、波長が離れるにしたがってごくわずか
ずつ低下している領域である。これはある領域から急激
に低下する。そして狙いの波長に対して必要な反射率以
上となるように、本来、多層膜反射鏡の膜厚を原子層レ
ベルで完全に制御する必要がある。しかし実際には±1
%程度の膜厚誤差は生じるので狙いの波長と最も反射率
の高い波長はずれてしまう。例えば狙いの波長が1.3
μmの場合、膜厚制御が1%ずれたとき、最も反射率の
高い波長は13nmずれてしまう。よってこの高反射率
の帯域(ここでは反射率が狙いの波長に対して必要値以
上である領域)は広い方が望ましい。しかし中間層を厚
くするとこの帯域が狭くなる傾向にある。
【0039】このように本発明のようなレーザ発振波長
が1.1μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体レー
ザにおいて、このような半導体分布ブラッグ反射鏡の構
成を工夫、最適化することにより、反射率を高く維持し
たまま抵抗値を低減させることができるので、動作電
圧、発振閾値電流等を低くでき、レーザ素子の発熱防止
ならびに安定発振、少エネルギー駆動が可能となる。
【0040】再び図1に戻り、最上部の、p−Alx
1-xAs(x=0)層は、電極とコンタクトを取るた
めのコンタクト層(p−コンタクト層)としての役割も
持っている。
【0041】ここで、量子井戸活性層のIn組成xは3
9%(Ga0.61In0.39As)とした。また量子井戸活性層の
厚さは7nmとした。なお量子井戸活性層は、GaAs
基板に対して約2.8%の圧縮歪を有していた。
【0042】またこの面発光型半導体レーザ全体の成長
方法はMOCVD法で行った。この場合、格子緩和は見
られなかった。半導体レーザの各層を構成する原料に
は、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMG(トリ
メチルガリウム)、TMI(トリメチルインジウム)、
AsH3(アルシン)、PH3(フォスフィン)を用い
た。また、キャリアガスにはH2を用いた。図1に示し
た素子の活性層(量子井戸活性層)のように歪が大きい
場合は、非平衡となる低温成長が好ましい。ここでは、
GaInAs層(量子井戸活性層)は550℃で成長さ
せている。ここで使用したMOCVD法は過飽和度が高
く高歪活性層の結晶成長に適している。またMBE法の
ような高真空を必要とせず、原料ガスの供給流量や供給
時間を制御すれば良いので量産性にも優れている。
【0043】またこの例では、電流経路外の部分をプロ
トン(H+)照射によって絶縁層(高抵抗部)を作っ
て、電流狭さく部を形成した。
【0044】そしてこの例では、上部反射鏡の最上部の
層であり上部反射鏡一部となっているp−コンタクト層
上に光出射部を除いてp側電極を形成し、基板の裏面に
n側電極を形成した。
【0045】この例では、上下反射鏡に挟まれた、キャ
リアが注入され再カップリングする活性領域(本実施例
では上部及び下部スペーサ層と多重量子井戸活性層とか
らなる共振器)において、活性領域内にはAlを含んだ
材料(III 族に占める割合が1%以上)を用いず、さら
に、下部及び上部反射鏡の低屈折率層の最も活性層に近
い層をGaxIn1-xyAs1-y(0<x<1、0<y≦
1)の非発光再カップリング防止層としている。キャリ
アは、活性層に最も近くワイドギャップである上部及び
下部反射鏡の低屈折率層間に閉じ込められるので、活性
領域のみをAlを含まない層(III 族に占める割合が1
%以下)で構成しても活性領域に接する反射鏡の低屈折
率層(ワイドギャップ層)にAlを含んだ構造としたの
では、キャリアが注入され再カップリングする時、この
界面で非発光再カップリングが生じ発光効率は低下して
しまう。よって活性領域はAlを含まない層で構成する
ことが望ましい。
【0046】またこのGaxIn1-xyAs1-y(0<x
<1、0<y≦1)層よりなる非発光再結合防止層は、
その格子定数がGaAs基板よりも小さく、引張り歪を
有している。
【0047】エピタキシャル成長では下地の情報を反映
して成長するので基板表面に欠陥があると成長層へ這い
上がっていく。しかし歪層があるとそのような欠陥の這
い上がりが抑えられ効果があることが知られている。
【0048】上記欠陥が活性層に達すると発光効率を低
減させてしまう。また、歪を有する活性層では臨界膜厚
が低減し必要な厚さの層を成長できないなどの問題が生
じる。特に活性層の圧縮歪量が例えば2%以上と大きい
場合や、歪層の厚さ臨界膜厚より厚く成長する場合、低
温成長などの非平衡成長を行っても欠陥の存在で成長で
きないなど、特に問題となる。歪層があるとそのような
欠陥の這い上がりが抑えられるので、発光効率を改善し
たり、活性層の圧縮歪量が例えば2%以上の層を成長で
きたり、歪層の厚さを臨界膜厚より厚く成長することが
可能となる。
【0049】このGaxIn1-xyAs1-y(0<x<
1、0<y≦1)層は活性領域に接しており活性領域に
キャリアを閉じ込める役割も持っているが、GaxIn
1-xyAs1-y(0<x<1、0<y≦1)層は格子定
数が小さくなるほどバンドギャップエネルギーを大きく
取り得る。例えばGaxIn1-xP(y=1の場合)の場
合、xが大きくなりGaPに近づくと格子定数が大きく
なり、バンドギャップは大きくなる。バンドギャップE
gは、直接遷移でEg(Γ)=1.351+0.643x+0.786
2、間接遷移でEg(X)=2.24+0.02xと与えられ
ている。よって活性領域とGaxIn1-xyAs1-y(0
<x<1、0<y≦1)層のヘテロ障壁は大きくなるの
でキャリア閉じ込めが良好となり、しきい値電流低減、
温度特性改善などの効果がある。
【0050】さらにこのGaxIn1-xyAs1-y(0<
x<1、0<y≦1)層よりなる非発光再結合防止層
は、その格子定数がGaAs基板よりも大きく、圧縮歪
を有しており、かつ前記活性層の格子定数が前記Gax
In1-xyAs1-y(0<x<1、0<y≦1)層より
も大きく圧縮歪を有している。
【0051】またこのGaxIn1-xyAs1-y(0<x
<1、0<y≦1)層の歪の方向が活性層と同じ方向な
ので、活性層が感じる実質的な圧縮歪量を低減する方向
に働く。歪が大きいほど外的要因の影響を受けやすいの
で、活性層の圧縮歪量が例えば2%以上と大きい場合
や、臨界膜厚を超えた場合に特に有効である。
【0052】例えば発振波長が1.3μm帯の面発光型
レーザはGaAs基板上に形成するのが好ましく、共振
器には半導体多層膜反射鏡を用いる場合が多く、トータ
ル厚さが5〜8μmで50〜80層の半導体層を活性層
成長前に成長する必要がある。(一方、端面発光型レー
ザの場合、活性層成長前のトータル厚さは2μm程度で
3層程度の半導体層を成長するだけで良い。)この場
合、高品質のGaAs基板を用いてもさまざまな原因
(一度発生した欠陥は基本的には結晶成長方向に這い上
がるし、ヘテロ界面での欠陥発生などがある)でGaA
s基板表面の欠陥密度に比べて活性層成長直前の表面の
欠陥密度はどうしても増えてしまう。活性層成長以前
に、歪層の挿入や、活性層が感じる実質的な圧縮歪量が
低減すると、活性層成長直前の表面にある欠陥の影響を
低減できるようになる。
【0053】この例では、活性領域内及び反射鏡と活性
領域との界面にAlを含まない構成としたので、キャリ
ア注入時にAlに起因していた結晶欠陥が原因となる非
発光再カップリングがなくなり、非発光再カップリング
が低減した。
【0054】前述のように、反射鏡と活性領域との界面
にAlを含まない構成とする、すなわち非発光再カップ
リング防止層を設けることを、上下反射鏡ともに適用す
ることが好ましいが、一方の反射鏡に適用するだけでも
効果がある。またこの例では、上下反射鏡とも半導体分
布ブラッグ反射鏡としたが、一方の反射鏡を半導体分布
ブラッグ反射鏡とし、他方の反射鏡を誘電体反射鏡とし
ても良い。また前述の例では、反射鏡低屈折率層の最も
活性層に近い層のみをGaxIn1-xyAs1-y(0<x
<1、0<y≦1)の非発光再カップリング防止層とし
ているが、複数層のGaxIn1-xyAs1-y(0<x<
1、0<y≦1)を非発光再カップリング防止層として
も良い。
【0055】さらにこの例では、GaAs基板と活性層
との間の下部反射鏡にこの考えを適用し、活性層の成長
時に問題となる、Alに起因する結晶欠陥の活性層への
這い上がりによる悪影響が押さえられ、活性層を高品質
に結晶成長することができる。これらにより、発光効率
は高く、信頼性は実用上十分な面発光型半導体レーザが
得られた。また、半導体分布ブラッグ反射鏡の低屈折率
層のすべてではなく、少なくとも活性領域に最も近い部
分をAlを含まないGaxIn1-xyAs1-y(0<x<
1、0<y≦1)層としただけなので、反射鏡の積層数
を特に増加させることなく、上記効果を得ることができ
ている。
【0056】このようにして製作した面発光型半導体レ
ーザの発振波長は約1.2μmであった。GaAs基板
上のGaInAsは、In組成の増加で長波長化するが
歪み量の増加をともない、従来1.1μmまでが長波長
化の限界と考えられていた(文献「IEEE Phot
onics.Technol.Lett.Vol.9
(1997)pp.1319−1321」参照)。
【0057】しかしながら今回発明者が製作したよう
に、600℃以下の低温成長などの非平衡度の高い成長
法により高歪のGaInAs量子井戸活性層を従来より
厚くコヒーレント成長することが可能となり、波長は
1.2μmまで到達できた。なおこの波長はSi半導体
基板に対して透明である。従ってSi基板上に電子素子
と光素子を集積した回路チップにおいてSi基板を通し
た光伝送が可能となる。
【0058】以上の説明より明らかなようにIn組成が
大きい高圧縮歪のGaInAsを活性層に用いることに
より、GaAs基板上に長波長帯の面発光型半導体レー
ザを形成できることがわかった。
【0059】なお前述のように、このような面発光型半
導体レーザは、MOCVD法で成長させることができる
が、MBE法等の他の成長方法を用いることもできる。
また活性層の積層構造として、3重量子井戸構造(TQ
W)の例を示したが、他の井戸数の量子井戸を用いた構
造(SQW、MQW)等を用いることもできる。
【0060】レーザの構造も他の構造にしてもかまわな
い。また共振器長はλの厚さとしたがλ/2の整数倍と
することができる。望ましくはλの整数倍である。また
半導体基板としてGaAsを用いた例を示したが、In
Pなどの他の半導体基板を用いた場合でも上記の考え方
を適用できる。反射鏡の周期は他の周期でも良い。
【0061】なおこの例では活性層として、主たる元素
がGa、In、Asよりなる層、すなわちGaxIn1-x
As(GaInAs活性層)の例を示したが、より長波
長のレーザ発振を行うためには、Nを添加し主たる元素
がGa、In、N、Asからなる層(GaInNAs活
性層)とすればよい。
【0062】実際にGaInNAs活性層の組成を変え
ることにより、1.3μm帯、1.55μm帯のそれぞ
れにおいて、レーザ発振を行うことが可能であった。組
成を検討することにより、さらに長波長の例えば1.7
μm帯の面発光レーザも可能となる。
【0063】また、活性層にGaAsSbを用いてもG
aAs基板上に1.3μm帯面発光レーザを実現でき
る。このように波長1.1μm〜1.7μmの半導体レ
ーザは従来適した材料がなかったが、活性層に高歪のG
aInAs、GaInNAs、GaAsSbを用い、か
つ、非発光再カップリング防止層を設けることにより、
従来安定発振が困難であった波長1.1μm〜1.7μ
m帯の長波長領域において、高性能な面発光レーザを実
現できるようになった。
【0064】次に本発明の光送受信システムに適用され
る発光素子である長波長帯面発光型半導体レーザの他の
構成について、図3を用いて説明する。
【0065】この場合も図1の場合と同様に面方位(1
00)のn−GaAs基板を使用している。それぞれの
媒質内における発振波長λの1/4倍の厚さ(λ/4の
厚さ)でn−AlxGa1-xAs(x=0.9)とn−A
xGa1-xAs(x=0)を交互に35周期積層したn
−半導体分布ブラッグ反射鏡(Al0.9Ga0.1As/GaAs下部
反射鏡)を形成し、その上にλ/4の厚さのn−Gax
In1-xyAs1-y(x=0.5、y=1)層を積層し
た。この例ではn−GaxIn1-xyAs1-y(x=0.
5、y=1)層も下部反射鏡の一部であり低屈折率層と
なっている。
【0066】そしてその上に、アンドープ下部GaAs
スペーサ層と、3層のGaxIn1-xyAs1-y量子井戸
層である活性層(量子井戸活性層)とGaAsバリア層
(15nm)から構成される多重量子井戸活性層(この
例では3重量子井戸(TQW))と、アンドープ上部Ga
Asスペーサ層とが積層されて、媒質内における発振波
長の1波長分の厚さ(λの厚さ)の共振器を形成してい
る。
【0067】さらにその上に、p−半導体分布ブラッグ
反射鏡(上部反射鏡)が形成されている。
【0068】上部反射鏡は、被選択酸化層となるAlA
s層を、GaInP層とAlGaAs層で挟んだ3λ/
4の厚さの低屈折率層(厚さが(λ/4−15nm)の
Cドープp−GaxIn1-xyAs1-y(x=0.5、y
=1)層、Cドープp−Al zGa1-zAs(z=1)被
選択酸化層(厚さ30nm)、厚さが(2λ/4−15
nm)のCドープp−AlxGa1-xAs層(x=0.
9))と、厚さがλ/4のGaAs層(1周期)と、C
ドープのp−AlxGa1-xAs層(x=0.9)とp−
AlxGa1-xAs(x=0)層をそれぞれの媒質内にお
ける発振波長の1/4倍の厚さで交互に積層した周期構
造(22周期)とから構成されている半導体分布ブラッ
グ反射鏡(Al0.9Ga0.1As/GaAs上部反射鏡)である。
【0069】なおこの例においても、図3では複雑にな
るので図示することは省略しているが、半導体分布ブラ
ッグ反射鏡の構造は、図2に示したような低屈折率層
(屈折率小の層)と高屈折率層(屈折率大の層)の間
に、屈折率が小と大の間の値をとる材料層AlzGa1-z
As(0≦y<z<x≦1)を設けたものである。
【0070】そして、最上部の、p−AlxGa1-xAs
(x=0)層は、電極とコンタクトを取るためのコンタ
クト層(p−コンタクト層)としての役割も持たせてい
る。
【0071】ここで量子井戸活性層のIn組成xは37
%、N(窒素)組成は0.5%とした。また量子井戸活
性層の厚さは7nmとした。
【0072】またこの面発光型半導体レーザの成長方法
はMOCVD法で行った。半導体レーザの各層を構成す
る原料には、TMA(トリメチルアルミニウム)、TM
G(トリメチルガリウム)、TMI(トリメチルインジ
ウム)、AsH3(アルシン)、PH3(フォスフィ
ン)、そして窒素の原料にはDMHy(ジメチルヒドラ
ジン)を用いた。DMHyは低温で分解するので600
℃以下のような低温成長に適しており、特に低温成長の
必要な歪みの大きい量子井戸層を成長する場合に好まし
い。なおキャリアガスにはH2を用いた。
【0073】またこの例では、GaInNAs層(量子
井戸活性層)は540℃で成長した。MOCVD法は過
飽和度が高くNと他のV族を同時に含んだ材料の結晶成
長に適している。またMBE法のような高真空を必要と
せず、原料ガスの供給流量や供給時間を制御すれば良い
ので量産性にも優れている。
【0074】さらにこの例では、所定の大きさのメサ部
分をp−GaxIn1-xyAs1-y(x=0.5、y=
1)層に達するまで、p−AlzGa1-zAs(z=1)
被選択酸化層の側面を露出させて形成し、側面の現れた
AlzGa1-zAs(z=1)層を水蒸気で側面から酸化
してAlxy電流狭さく層を形成している。
【0075】最後にポリイミド(絶縁膜)でメサエッチ
ングで除去した部分を埋め込んで平坦化し、上部反射鏡
上のポリイミドを除去し、p−コンタクト層上に光出射
部を除いてp側電極を形成し、GaAs基板の裏面にn
側電極を形成した。
【0076】この例においては、被選択酸化層の下部に
上部反射鏡の一部としてGaxIn1 -xyAs1-y(0<
x<1、0<y≦1)層が挿入している。例えばウェッ
トエッチングの場合では、硫酸系エッチャントを用いれ
ば、AlGaAs系に対してGaInPAs系はエッチ
ング停止層として用いることができるため、GaxIn
1-xyAs1-y(0<x<1、0<y≦1)層が挿入さ
れていることで、選択酸化のためのメサエッチングの高
さを厳密に制御できる。このため、均一性、再現性を高
められ、低コスト化が図れる。
【0077】またこの例の面発光型半導体レーザ(素
子)を一次元または二次元に集積した場合、素子製作時
における制御性が良好になることにより、アレイ内の各
素子の素子特性の均一性、再現性も極めて良好になると
いう効果がある。
【0078】なおこの例では、エッチングストップ層を
兼ねるGaxIn1-xyAs1-y(0<x<1、0<y≦
1)層を上部反射鏡側に設けたが、下部反射鏡側に設け
ても良い。
【0079】またこの例においても、上下反射鏡に挟ま
れた、キャリアが注入され再カップリングする活性領域
(本実施例では上部及び下部スペーサ層と多重量子井戸
活性層とからなる共振器)において、活性領域内にはA
lを含んだ材料を用いず、さらに下部及び上部反射鏡の
低屈折率層の最も活性層に近い層をGaxIn1-xy
1-y(0<x<1、0<y≦1)の非発光再カップリ
ング防止層としている。つまりこの例では、活性領域内
及び反射鏡と活性領域との界面に、Alを含まない構成
としているので、キャリア注入時に、Alに起因してい
た結晶欠陥が原因となる非発光再カップリングを低減さ
せることができる。
【0080】なお反射鏡と活性領域との界面にAlを含
まない構成を、この例のように上下反射鏡に適用するこ
とが好ましいが、いずれか一方の反射鏡に適用するだけ
でも効果がある。またこの例では、上下反射鏡とも半導
体分布ブラッグ反射鏡としたが、一方の反射鏡を半導体
分布ブラッグ反射鏡とし、他方の反射鏡を誘電体反射鏡
としても良い。
【0081】さらにこの例でも、GaAs基板と活性層
との間の下部反射鏡に図1の例の場合と同様の考えを適
用したので、活性層の成長時に問題となるAlに起因す
る結晶欠陥の活性層への這い上がりによる悪影響が押さ
えられ、活性層を高品質に結晶成長することができる。
【0082】なお、このような非発光再カップリング防
止層は、図1、図3のいずれの構成においても半導体分
布ブラッグ反射鏡の一部を構成するので、その厚さは、
媒質内における発振波長λの1/4倍の厚さ(λ/4の
厚さ)としている。あるいはそれを複数層も設けても良
い。
【0083】以上の説明より明らかなように、このよう
な構成により、発光効率は高く、信頼性は実用上十分な
面発光型半導体レーザが得られた。また、半導体分布ブ
ラッグ反射鏡の低屈折率層のすべてではなく、少なくと
も活性領域に最も近い部分をAlを含まないGaxIn
1-xyAs1-y(0<x<1、0<y≦1)の非発光再
カップリング防止層としただけなので、反射鏡の積層数
を特に増加させることなく、上記効果を得ることができ
た。
【0084】またこのような構成にしても、ポリイミド
の埋め込みは容易であるので、配線(この例ではp側電
極)が段切れしにくく、素子の信頼性は高いものが得ら
れる。
【0085】このように製作した面発光型半導体レーザ
の発振波長は約1.3μmであった。
【0086】この例では、主たる元素がGa、In、
N、Asからなる層を活性層に用いた(GaInNAs
活性層)ので、GaAs基板上に長波長帯の面発光型半
導体レーザを形成できた。またAlとAsを主成分とし
た被選択酸化層の選択酸化により電流狭さくを行ったの
で、しきい値電流は低かった。
【0087】被選択酸化層を選択酸化したAl酸化膜か
らなる電流狭さく層を用いた電流狭さく構造によると、
電流狭さく層を活性層に近づけて形成することで電流の
広がりを抑えられ、大気に触れない微小領域に効率良く
キャリアを閉じ込めることができる。更に酸化してAl
酸化膜となることで屈折率が小さくなり凸レンズの効果
でキャリアの閉じ込められた微小領域に効率良く光を閉
じ込めることができ、極めて効率が良くなり、しきい値
電流は低減できる。また容易に電流狭さく構造を形成で
きることから、製造コストを低減できる。
【0088】以上の説明から明らかなように図3のよう
な構成においても図1の場合と同様に、1.3μm帯の
面発光型半導体レーザを実現でき、しかも低消費電力で
低コストの素子が得られる。
【0089】なお、図3の面発光型半導体レーザも図1
の場合と同様にMOCVD法で成長させることができる
が、MBE法等の他の成長方法を用いることもできる。
また窒素の原料に、DMHyを用いたが、活性化した窒
素やNH3等他の窒素化合物を用いることもできる。
【0090】さらに活性層の積層構造として3重量子井
戸構造(TQW)の例を示したが、他の井戸数の量子井
戸を用いた構造(SQW、DQW、MQW)等を用いる
こともできる。レーザの構造も他の構造にしてもかまわ
ない。
【0091】また図3の面発光型半導体レーザにおい
て、GaInNAs活性層の組成を変えることで、1.
55μm帯、更にはもっと長波長の1.7μm帯の面発
光型半導体レーザも可能となる。GaInNAs活性層
にTl、Sb、Pなど他のIII−V族元素が含まれてい
てもかまわない。また活性層にGaAsSbを用いて
も、GaAs基板上に1.3μm帯の面発光型半導体レ
ーザを実現できる。
【0092】なお活性層にGaInAsを用いた場合、
従来1.1μmまでが長波長化の限界と考えられていた
が、600℃以下の低温成長により高歪のGaInAs
量子井戸活性層を従来よりも厚く成長することが可能と
なり、波長は1.2μmまで到達できる。このように、
波長1.1μm〜1.7μmの半導体レーザは従来適し
た材料がなかったが、活性層に高歪のGaInAs、G
aInNAs、GaAsSbを用い、かつ非発光再カッ
プリング防止層を設けることにより、従来安定発振が困
難であった波長1.1μm〜1.7μm帯の長波長領域
において、高性能な面発光レーザを実現できるようにな
り、光通信システムへの応用ができるようになった。
【0093】図4はこのような長波長帯面発光半導体レ
ーザ素子を、面方位(100)のn−GaAsウエハに
多数のチップとして形成した例、ならびにレーザ素子チ
ップを示したものである。ここで示したレーザ素子チッ
プには、1〜n個のレーザ素子が形成されているが、そ
の個数nはその用途に応じて、数ならびに配列方法が決
められる。
【0094】図5は本発明の光通信システムに用いる長
波長帯面発光半導体レーザの一例であり、面発光レーザ
チップ部分の断面部を示している。図5の例では上部の
コンタクト層を同心円状のパターンとしている。しか
し、この実施例以外にも上部半導体分布反射鏡や下部半
導体分布反射鏡を同心円状に屈折率を変えて反射率を局
所的に変化させる構造でも同様の効果が得られる。すな
わち、同心円状の微細構造は(1)前記上部もしくは下
部反射鏡領域の少なくとも一方の反射鏡の反射率を半径
方向に変化させる、または、(2)前記上部もしくは下
部反射鏡領域、または、前記活性層の利得もしくは損失
を半径方向で変化させる、または、(3)前記上部もし
くは下部反射鏡領域の少なくとも一方の反射鏡の反射率
を半径方向で変化させ、かつ、前記上部もしくは下部反
射鏡領域、または、前記活性層の利得もしくは損失を半
径方向で変化させる、これら3つのいずれかの構造をと
りさえすれば良い。これらの微細構造は、光ファイバの
コアの断面形状が通常円形であるためカップリング損失
を小さくするために円形が好ましい。
【0095】同心円状の微細構造の設計は以下の通り行
う。反射率の高い環状部またはレーザ利得の高い部分の
平均半径をrとし、環状部幅の中心から光ファイバ端面
までの距離をL、レーザ発振波長をλ、mを正の整数
(m=1、2、…)とすると、 r=√(2mLλ) で表される。例えば、L=300μm、λ=1.3μm
とすると平均半径は次のように設定すれば良い。
【0096】
【表1】
【0097】また、反射率の低い環状部またはレーザ利
得の低い部分は、その平均半径をrとし、レーザチップ
から光ファイバまでの距離をL、レーザ発振波長をλ、
さらに、mを正の整数(m=1、2、…)とすると、 r=√((2m−1)Lλ) とする。例えば、L=300μm、λ=1.3μmとす
ると平均半径は次のように設定すれば良い。
【0098】
【表2】
【0099】同心円状の微細加工は従来の光リソグラフ
と反応性イオンエッチングを用いて作ることができる。
反射率またはレーザ利得を同心円状に半径方向で変化さ
せるには、図3に示されるレーザチップの断面図で、上
部半導体分布ブラッグ反射鏡と下部半導体ブラッグ反射
鏡の少なくとも一方を膜面内で膜厚を変化させて反射率
に分布を持たせる。また、電流狭さく層を同心円状の環
状開口に作製しても同様の効果が得られる。
【0100】上記面発光レーザを点灯するとレーザビー
ムは凸レンズもしくはフレネルレンズなどによって集光
されるように、レーザ発光部から所定の位置(この例で
は300μm先)で集光スポットが得られる。この位置
に光ファイバをその端面が発光部と相対するように配置
させる。
【0101】上記面発光レーザを用いた光通信システム
の一実施例を図6に示す。同心円状にパターンを有する
面発光レーザ61と集光スポット付近に光ファイバ62
を配置させる。面発光レーザの発光部は例えば上記のよ
うなパターンを有しており、カップリングレンズを用い
ることなくビームを集光させることができる。面発光レ
ーザは前述の通り、1.1μm帯から1.7μm帯の長
波長帯レーザある。この波長域でも特に1.3μm帯や
1.55μm帯は石英ファイバの内部損失が非常に小さ
くなる波長である。従って、本発明によって、従来の面
発光レーザでは不可能であった長距離光通信に適したシ
ステムが実現され、特に、面発光レーザの出射部がレン
ズ機能を有するため、カップリングレンズを用いること
なく光ファイバにカップリングすることができる。端面
発光型レーザではレンズや光ファイバからの戻り光によ
ってレーザ発振条件が変わり光強度変化や発振波長の変
化を引き起こす。このため従来では光アイソレータが必
要となり光通信システムを低コストにできなかった。し
かし、本発明では面発光型レーザを用いており、レーザ
には高反射率の反射鏡があるため戻り光の影響を受けに
くい。したがって光アイソレータが不要となり、かつ、
上記同心円状パターン形成によるレンズ機能を有するた
めカップリングレンズも不要となる。レーザ素子と光フ
ァイバとの位置調整になるので実装が比較的に容易にな
る。したがって、低コストで実装が容易な光通信システ
ムが実現できる。
【0102】なお、レーザ利得または損失を変化させる
方法として次のような実施例がある。図示しないが、電
流狭さく層に表2のような同心円状パターンを形成す
る。この場合、上部と下部の半導体反射膜の反射率は面
内で局所的に変化させる必要は無い。また、上部のコン
タクト層にも同心円状のパターンを形成する必要はな
い。電流狭さく層に同心円状のパターンを形成すること
によって面発光レーザのレーザ利得(または損失)をフ
レネルゾーンのような空間分布を持たせる事ができる。
このため凸レンズ効果をもったレーザ光が出射されるた
め、所定の位置で集光スポットが得られる。この位置に
光ファイバ端面を配置させることによってカップリング
レンズを用いることなく光ファイバにカップリングする
ことができる。
【0103】(請求項3の実施例)図5に示すように、
面発光半導体レーザ素子チップの上部のコンタクト層を
同心円状のパターン形状とする。これらの同心円状の半
径は例えば表1に示すように設計できる。このパターン
はフレネルゾーンとして動作するため、レーザ発振した
ビームは同心円状のパターンを通過して所定の位置に集
光される。この位置に光ファイバ端面を設置すれば、カ
ップリングレンズを用いることなくカップリングでき
る。本発明ではコンタクト層に同心円状のパターン形成
を施すため、レーザ素子チップを構成する多数の膜のう
ち上部のコンタクト層のみにフレネルゾーン構造を施す
ことで凸レンズ効果を得る。この同心円状のパターンは
従来の光リソグラフと反応性イオンエッチングを用いる
と作製可能であり、反射鏡の反射率を局所的に変化させ
る場合に比べて作製プロセスが簡単になる。
【0104】上記に示したように1.1μm帯〜1.7
μm帯の面発光型レーザを用いるため、従来の0.85
μm帯面発光型レーザでは不可能であった長距離光通信
に適したシステムが実現され、特に、面発光レーザの出
射部がレンズ機能を有するため、カップリングレンズを
用いることなく光ファイバにカップリングすることがで
きる。面発光レーザ特有の戻り光に強い特性を持つた
め、光アイソレータが不要である。さらに、同心円状の
パターンによってレーザ光を集光させる機能を持たせる
ため、半導体反射膜の反射率やレーザ利得を局所的に変
化させる構造に比べて作製プロセスが容易になる。
【0105】(請求項4の実施例)図7には請求項4の
発明の一実施例を示す。面発光レーザ63の上部のコン
タクト層には同心円状のパターンがアレイ状に配列され
ている。この例では1つのレーザチップに同心円状のパ
ターンを施した発光素子を3つ形成した例を示してい
る。アレイ数は本発明の効果に影響を及ぼさないのでい
くつでも良い。また、光ファイバアレイ64が面発光レ
ーザの直後に配置される。光ファイバアレイの各ファイ
バは面発光レーザからの集光ビームのビームウエストに
設置されるのが理想である。同心円状のパターンは表1
に示すように、または、パターン間の遮蔽部は表2のよ
うに配置させることによってカップリングレンズを用い
ることなく集光スポットを得ることができる。同心円状
のパターンがアレイ状に配列されているので集光スポッ
トもアレイ状に配列される。このアレイ形状に合わせて
光ファイバを配列させる。このため、カップリングレン
ズアレイを用いることなく光ファイバアレイにレーザア
レイ光をカップリングすることが可能である。また、本
発明に使われる面発光レーザは発振波長が、前述の通
り、1.1μm帯から1.7μm帯である。特に1.3
μm帯や1.55μm帯は石英ファイバでの内部損失が
非常に小さいため長距離伝送に適する。以上より、カッ
プリングレンズアレイを用いることなくレーザアレイ光
を光ファイバアレイにカップリングさせることが可能に
なるため、大容量の光通信システムを実現できる。
【0106】(請求項5の実施例)同心円状の微細構造
で反射鏡の反射率が高い部分、または、レーザ素子の利
得の高い部分、またはレーザ素子の損失の小さい部分ど
うしの間の間隔は、1つの半径方向変化の中心から光フ
ァイバ端までの光路に対応する位相が、前記1つの半径
方向変化の中心から前記光ファイバ端までの光路に対応
する位相と2mπ(mは正の整数)だけ異なるようにす
る。例えば、表1のように微細構造の半径を設定すれば
所定の距離(この場合300μm先の位置)でビームが
集光される。さらに、例えば反射率を変化させる場合で
半径方向に見た時、好ましくは反射率の高い部分の幅は
反射率の低い部分の幅より短くする。以上の構成にする
と、位相のずれの少ない干渉スポットになるため集光ス
ポット径を小さくすることができる。単一モード光ファ
イバへのカップリングでは集光スポットはファイバのコ
ア径程度に小さくする方が効率よくカップリングしやす
い。
【0107】本発明に使われる面発光レーザは発振波長
が、前述の通り、1.1μm帯から1.7μm帯であ
る。特に1.3μm帯や1.55μm帯は石英ファイバ
での内部損失が非常に小さいため長距離伝送に適する。
以上より、光アイソレータやカップリングレンズを用い
ることなく長距離伝送に適した波長帯の面発光レーザを
用いて単一モード光ファイバにカップリングできる光通
信システムを実現できる。
【0108】(請求項6の実施例)同心円状の微細構造
で反射鏡の反射率が低い部分、または、レーザ素子の利
得の低い部分、またはレーザ素子の損失の大きい部分ど
うしの間の間隔は、1つの半径方向変化の中心から光フ
ァイバ端までの光路に対応する位相が、前記1つの半径
方向変化の中心から前記光ファイバ端までの光路に対応
する位相とnπ(nは奇数)だけ異なるようにする。例
えば表2のように微細構造の半径を設定すれば所定の距
離(この場合300μm先の位置)でビームが集光され
る。さらに、例えば反射率を変化させる場合で半径方向
に見た時、好ましくは反射率の低い部分の幅は反射率の
高い部分の幅よりも短くする。以上の構成によれば、集
光スポット位置で光強度を弱める位相をもつ光を除外す
ることができる。また、集光スポット径は大きくなる
が、集光スポットの光強度を高くすることができる。
【0109】本発明に使われる面発光レーザは発振波長
が、前述の通り、1.1μm帯から1.7μm帯であ
る。特に1.3μm帯や1.55μm帯は石英ファイバ
での内部損失が非常に小さいため長距離伝送に適する。
集光スポット径は先の実施例に比べ大きくなるが光強度
は逆に大きくすることができる。このため、光アイソレ
ータやカップリングレンズを不要とする長波長帯面発光
レーザを用いた光通信システムを実現できる。
【0110】
【発明の効果】請求項1に対応した効果 コンピュータ・ネットワーク、長距離大容量通信の幹線
系など光ファイバ通信が期待されているレーザ発振波長
が1.1μm帯〜1.7μm帯の分野において、動作電
圧、発振閾値電流等を低くでき、レーザ素子の発熱も少
なく安定した発振ができる面発光型半導体レーザおよび
それを用いた光通信システムが存在しなかったが、本発
明のように半導体分布ブラッグ反射鏡を工夫することに
より、動作電圧、発振閾値電流等を低くでき、レーザ素
子の発熱も少なく安定した発振ができ、また低コストで
実用的な光通信システムが実現できた。
【0111】さらに、従来1.1μm帯〜1.7μm帯
の端面発光型レーザと単一モード光ファイバとのカップ
リングを高効率にするにはレーザの光出射部の形状やカ
ップリングレンズ系などを工夫しなければならなかった
が、本発明の面発光レーザを用いるとカップリングレン
ズが不要となる。また、面発光レーザを用いるため光ア
イソレータを不要とする。従って、低コストで実装が容
易な光通信システムが実現できた。
【0112】請求項2に対応した効果 コンピュータ・ネットワーク、長距離大容量通信の幹線
系など光ファイバ通信が期待されているレーザ発振波長
が1.1μm帯〜1.7μm帯の分野において、安定し
て使用できる長波長帯面発光半導体レーザおよびそれを
用いた光通信システムが存在しなかったが、本発明のよ
うに、非発光再カップリング防止層を設けてなる面発光
型半導体レーザ素子チップとすることにより安定した発
振が可能となり、これを発光光源とした実用的な光通信
システムが実現できた。
【0113】さらに、従来1.1μm帯〜1.7μm帯
の端面発光型レーザと単一モード光ファイバとのカップ
リングを高効率にするにはレーザの光出射部の形状やカ
ップリングレンズ系などを工夫しなければならなかった
が、本発明の面発光レーザを用いるとカップリングレン
ズが不要となる。また、面発光レーザを用いるため光ア
イソレータを不要とする。従って、低コストで実装が容
易な光通信システムが実現できた。
【0114】請求項3に対応した効果 このような光通信システムにおいて、上部のコンタクト
層のみを同心円状のパターン形成としたため作製が容易
で、カップリングレンズを不要とするさらに低コストで
実装が容易な光通信システムを実現できた。
【0115】請求項4に対応した効果 このような光通信システムにおいて、発光部分をアレイ
化し光ファイバアレイにカップリングさせるため、カッ
プリングレンズアレイが不要となり、低コストで実装が
容易な大容量の光通信システムを実現できた。
【0116】請求項5に対応した効果 このような光通信システムにおいて、同心円状の微細構
造からのレーザ光が光ファイバ端面で強め合うためレー
ザ光の集光スポットを小さくできる光通信システムを実
現できた。
【0117】請求項6に対応した効果 このような光通信システムにおいて、光ファイバ端面で
位相がπの奇数倍となる位置からのビームを除去するよ
うに同心円状の微細構造を設定するため集光位置での光
強度を強くすることができる光通信システムを実現でき
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半導
体レーザの素子部断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半導
体レーザの半導体分布ブラッグ反射鏡の構成の部分断面
図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半導
体レーザの他の構成の素子部断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半導
体レーザ素子を形成したウエハ基板ならびにレーザ素子
チップを示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半導
体レーザ素子チップの図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半導
体レーザ素子と光ファイバを用いた光通信システムの図
である。
【図7】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半導
体レーザ素子と光ファイバアレイを用いた光通信システ
ムの図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古田 輝幸 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 金井 健 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 和多田 篤行 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 佐藤 俊一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 鈴木 幸栄 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 菅原 悟 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 佐藤 新治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 曳地 秀一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 関谷 卓朗 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 5F073 AA74 AB17 AB28 BA01 CA07 CB02 DA05 DA22 EA23 FA07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザチップと該レーザチップと接続さ
    れる光通信システムにおいて、前記レーザチップは発振
    波長が1.1μm〜1.7μmであり、光を発生する活
    性層を、主たる元素がGa、In、N、Asからなる
    層、もしくはGa、In、Asよりなる層とし、レーザ
    光を得るために前記活性層の上部及び下部に設けられた
    反射鏡を含んだ共振器構造を有する面発光型半導体レー
    ザ素子チップであって、前記反射鏡はそれを構成する材
    料層の屈折率が小/大と周期的に変化し入射光を光波干
    渉によって反射する半導体分布ブラッグ反射鏡であると
    ともに、前記屈折率が小の材料層はAlxGa1-xAs
    (0<x≦1)とし、前記屈折率が大の材料層はAly
    Ga1-yAs(0≦y<x≦1)とした反射鏡であり、
    かつ前記屈折率が小と大の材料層の間に該屈折率が小と
    大の間の値をとる材料層AlzGa1-zAs(0≦y<z
    <x≦1)を設けてなる面発光型半導体レーザ素子チッ
    プを発光光源としたものであり、前記面発光型半導体レ
    ーザ素子チップは、同心円状の微細構造を有し、前記微
    細構造は、(1)前記上部もしくは下部反射鏡領域の少
    なくとも一方の反射鏡の反射率を半径方向に変化させ
    る、または、(2)前記上部もしくは下部反射鏡領域、
    または、前記活性層の利得もしくは損失を半径方向で変
    化させる、または、(3)前記上部もしくは下部反射鏡
    領域の少なくとも一方の反射鏡の反射率を半径方向で変
    化させ、かつ、前記上部もしくは下部反射鏡領域、また
    は、前記活性層の利得もしくは損失を半径方向で変化さ
    せることを特徴とし、前記半径方向の変化の間隔は半径
    方向に対して不均一であり、前記レーザ素子チップの発
    光部から所定の距離の位置に光ファイバの端面が前記発
    光部と相対するように光ファイバを配置したことを特徴
    とする光通信システム。
  2. 【請求項2】 レーザチップと該レーザチップと接続さ
    れる光通信システムにおいて、前記レーザチップは発振
    波長が1.1μm〜1.7μmであり、光を発生する活
    性層を、主たる元素がGa、In、N、Asからなる
    層、もしくはGa、In、Asよりなる層とし、レーザ
    光を得るために前記活性層の上部及び下部に設けられた
    反射鏡を含んだ共振器構造を有する面発光型半導体レー
    ザ素子チップであって、前記反射鏡はそれを構成する材
    料の屈折率が小/大と周期的に変化し入射光を光波干渉
    によって反射する半導体分布ブラッグ反射鏡であるとと
    もに、前記屈折率が小の材料はAlxGa1-xAs(0<
    x≦1)とし、前記屈折率が大の材料はAlyGa1-y
    s(0≦y<x≦1)とした反射鏡であり、前記活性層
    と前記反射鏡の間にGaInPもしくはGaInPAs
    よりなる非発光再カップリング防止層を設けてなる面発
    光型半導体レーザ素子チップを発光光源としたものであ
    り、前記面発光型半導体レーザ素子チップは、同心円状
    の微細構造を有し、前記微細構造は、(1)前記上部も
    しくは下部反射鏡領域の少なくとも一方の反射鏡の反射
    率を半径方向に変化させる、または、(2)前記上部も
    しくは下部反射鏡領域、または、前記活性層の利得もし
    くは損失を半径方向で変化させる、または、(3)前記
    上部もしくは下部反射鏡領域の少なくとも一方の反射鏡
    の反射率を半径方向で変化させ、かつ、前記上部もしく
    は下部反射鏡領域、または、前記活性層の利得もしくは
    損失を半径方向で変化させることを特徴とし、前記半径
    方向の変化の間隔は半径方向に対して不均一であり、前
    記レーザ素子チップの発光部から所定の距離の位置に光
    ファイバの端面が前記発光部と相対するように光ファイ
    バを配置したことを特徴とする光通信システム。
  3. 【請求項3】 前記面発光型半導体レーザ素子チップの
    上部のコンタクト層を相異なる半径を有する同心円状の
    パターン形状とし、隣接する同心円パターンの間隔は不
    等ピッチであり、前記レーザ素子チップの発光部から所
    定の距離の位置に光ファイバの端面が前記発光部と相対
    するように光ファイバを配置したことを特徴とする請求
    項1又は2に記載の光通信システム。
  4. 【請求項4】 前記微細構造、または、前記同心円状の
    パターンがアレイ状にn個配列され、光ファイバも前記
    微細構造または前記パターンに対応してアレイ状にn個
    配列されることを特徴とする請求項1乃至3に記載の光
    通信システム。
  5. 【請求項5】 前記微細構造で反射鏡の反射率が高い部
    分、または、レーザ素子の利得の高い部分、またはレー
    ザ素子の損失の小さい部分どうしの間の間隔は、1つの
    半径方向変化の中心から光ファイバ端までの光路に対応
    する位相が、前記1つの半径方向変化の中心から前記光
    ファイバ端までの光路に対応する位相と2mπ(mは正
    の整数)だけ異なることを特徴とする請求項1乃至4に
    記載の光通信システム。
  6. 【請求項6】 前記微細構造で反射鏡の反射率が低い部
    分、または、レーザ素子の利得の低い部分、またはレー
    ザ素子の損失の大きい部分どうしの間の間隔は、1つの
    半径方向変化の中心から光ファイバ端までの光路に対応
    する位相が、前記1つの半径方向変化の中心から前記光
    ファイバ端までの光路に対応する位相とnπ(nは奇
    数)だけ異なることを特徴とする請求項1乃至4に記載
    の光通信システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005071808A1 (ja) * 2004-01-23 2005-08-04 Nec Corporation 面発光レーザ
WO2005074080A1 (ja) * 2004-01-30 2005-08-11 Nec Corporation 面発光レーザ及びその製造方法

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WO2005071808A1 (ja) * 2004-01-23 2005-08-04 Nec Corporation 面発光レーザ
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