JP2002249999A - 加工紙及びそれを用いた紙壁紙 - Google Patents
加工紙及びそれを用いた紙壁紙Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 環境に優しい上ボリューム感があり、エンボ
ス加工性に優れる紙壁紙の上層紙として好適な加工紙、
及び、環境に優しい上意匠性及び隠蔽性を兼備した紙壁
紙を提供する。 【解決手段】 マーセル化したセルロース繊維を多価ア
ルコールで処理して得た嵩高パルプ、繊維状バインダー
及び熱融着性繊維から成ることを特徴とする加工紙、及
び、該加工紙を裏打ち紙上に積層してなる紙壁紙。
ス加工性に優れる紙壁紙の上層紙として好適な加工紙、
及び、環境に優しい上意匠性及び隠蔽性を兼備した紙壁
紙を提供する。 【解決手段】 マーセル化したセルロース繊維を多価ア
ルコールで処理して得た嵩高パルプ、繊維状バインダー
及び熱融着性繊維から成ることを特徴とする加工紙、及
び、該加工紙を裏打ち紙上に積層してなる紙壁紙。
Description
【0001】
【発明に属する技術分野】本発明は、嵩高で、かつエン
ボス加工適性に優れる、壁紙の上層紙として利用できる
加工紙に関し、特に安全性、意匠性及び隠蔽性を兼備し
た紙壁紙に好適な加工紙に関する。
ボス加工適性に優れる、壁紙の上層紙として利用できる
加工紙に関し、特に安全性、意匠性及び隠蔽性を兼備し
た紙壁紙に好適な加工紙に関する。
【0002】
【従来の技術】壁紙の大部分は、コスト、意匠性、施工
性等、他の素材に比べて優れていることから塩ビ壁紙が
使われている。しかしながら、樹脂として使用されてい
る塩化ビニルは廃棄物として焼却処理される際にダイオ
キシンを発生する恐れがあるため、環境面の配慮から
「脱塩ビ壁紙」へと移行しつつある。そこで、塩ビ壁紙
に代わり、合成樹脂を塗工あるいは貼合した壁紙や紙壁
紙が増加しつつある。
性等、他の素材に比べて優れていることから塩ビ壁紙が
使われている。しかしながら、樹脂として使用されてい
る塩化ビニルは廃棄物として焼却処理される際にダイオ
キシンを発生する恐れがあるため、環境面の配慮から
「脱塩ビ壁紙」へと移行しつつある。そこで、塩ビ壁紙
に代わり、合成樹脂を塗工あるいは貼合した壁紙や紙壁
紙が増加しつつある。
【0003】一般に紙壁紙は上層紙と裏打ち紙の2層で
構成されている。上層紙と裏打ち紙との接着には、接着
剤や熱融着性樹脂フィルムが使用されている。貼合後、
樹脂系の紙壁紙とは異なり、紙自体に印刷・エンボス加
工が施され、紙壁紙として施工される。上層紙に紙を使
用した紙壁紙は主材がセルロース材料であり、環境面で
は優れていると考えられるが、構造が緻密になり易いた
めエンボス加工や加熱加工することが難しく、ボリュー
ム感や意匠性に劣るものであった。これに対し、壁紙の
上層紙として不織布を用い、裏打ち紙と貼合するタイプ
のボリューム感を持たせた壁紙も開発されているが、隠
蔽性に劣るため、施工時に下地の汚れや色が透けて見え
たり、印刷適性が劣るなどの欠点があった。
構成されている。上層紙と裏打ち紙との接着には、接着
剤や熱融着性樹脂フィルムが使用されている。貼合後、
樹脂系の紙壁紙とは異なり、紙自体に印刷・エンボス加
工が施され、紙壁紙として施工される。上層紙に紙を使
用した紙壁紙は主材がセルロース材料であり、環境面で
は優れていると考えられるが、構造が緻密になり易いた
めエンボス加工や加熱加工することが難しく、ボリュー
ム感や意匠性に劣るものであった。これに対し、壁紙の
上層紙として不織布を用い、裏打ち紙と貼合するタイプ
のボリューム感を持たせた壁紙も開発されているが、隠
蔽性に劣るため、施工時に下地の汚れや色が透けて見え
たり、印刷適性が劣るなどの欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の第1の
目的は、従来の壁紙の上層紙に見られるような欠点がな
く、環境に優しい上ボリューム感があり、エンボス加工
適性に優れた加工紙を提供することにある。本発明の第
2の目的は、環境に優しい上隠蔽性や意匠性を有した紙
壁紙を提供することにある。
目的は、従来の壁紙の上層紙に見られるような欠点がな
く、環境に優しい上ボリューム感があり、エンボス加工
適性に優れた加工紙を提供することにある。本発明の第
2の目的は、環境に優しい上隠蔽性や意匠性を有した紙
壁紙を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の諸目的
は、マーセル化したセルロース繊維を多価アルコールで
処理して得た嵩高パルプ、繊維状バインダー及び熱融着
性繊維からなることを特徴とする加工紙、及び、この加
工紙を上層紙とし、さらに裏打ち紙を貼合してなる紙壁
紙によって達成された。
は、マーセル化したセルロース繊維を多価アルコールで
処理して得た嵩高パルプ、繊維状バインダー及び熱融着
性繊維からなることを特徴とする加工紙、及び、この加
工紙を上層紙とし、さらに裏打ち紙を貼合してなる紙壁
紙によって達成された。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の加工紙に使用される嵩高
パルプは、パルプをアルカリ水溶液を用いてマーセル化
処理した後、多価アルコールを用いて処理することによ
り製造される。この時に使用される嵩高パルプの原料は
特に制限されるものではなく、針葉樹、広葉樹、非木材
繊維等を使用することができる。非木材繊維は、例えば
ケナフ、ジュート、リンター、マニラ麻、竹、わら、バ
ガス、エスパルト等から選択することが可能である。本
発明においては、これらの材種を、亜硫酸塩パルプ化
(サルファイト法。これによって得られたパルプをSP
とする。)あるいは硫酸塩パルプ化(クラフト法。これ
によって得られたパルプをKPとする。)するか、SP
やKPを更に化学的に精製し、α−セルロース含有量を
高めた溶解パルプ(DP)を嵩高パルプの原料として使
用する。
パルプは、パルプをアルカリ水溶液を用いてマーセル化
処理した後、多価アルコールを用いて処理することによ
り製造される。この時に使用される嵩高パルプの原料は
特に制限されるものではなく、針葉樹、広葉樹、非木材
繊維等を使用することができる。非木材繊維は、例えば
ケナフ、ジュート、リンター、マニラ麻、竹、わら、バ
ガス、エスパルト等から選択することが可能である。本
発明においては、これらの材種を、亜硫酸塩パルプ化
(サルファイト法。これによって得られたパルプをSP
とする。)あるいは硫酸塩パルプ化(クラフト法。これ
によって得られたパルプをKPとする。)するか、SP
やKPを更に化学的に精製し、α−セルロース含有量を
高めた溶解パルプ(DP)を嵩高パルプの原料として使
用する。
【0007】パルプのマーセル化処理は、アルカリ水溶
液に浸漬する方法に限定されず、噴霧等によりアルカリ
水溶液を含浸させる方法であっても良い。アルカリ水溶
液としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム等の苛
性アルカリ及び炭酸塩等の水溶液アルカリを使用するこ
とが好ましい。マーセル化処理を行うとセルロースは著
しく膨潤し、セルロースの結晶構造はセルロースIから
より安定的な結晶形をとるセルロースIIへと変化す
る。この変化と同時に吸着性が増し、種々の試薬に対し
て反応しやすくなる。本発明においては、十分な嵩高性
を付与するために、セルロースIIの含有量が50〜100
%となるまでマーセル化処理することが好ましく、特に
セルロースIIの含有量が80〜100%となることが好ま
しい。マーセル化は公知の方法によって行えば良く、通
常は、パルプをアルカリ水溶液中に浸漬し、室温で10分
〜24時間程度処理すれば良い。
液に浸漬する方法に限定されず、噴霧等によりアルカリ
水溶液を含浸させる方法であっても良い。アルカリ水溶
液としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム等の苛
性アルカリ及び炭酸塩等の水溶液アルカリを使用するこ
とが好ましい。マーセル化処理を行うとセルロースは著
しく膨潤し、セルロースの結晶構造はセルロースIから
より安定的な結晶形をとるセルロースIIへと変化す
る。この変化と同時に吸着性が増し、種々の試薬に対し
て反応しやすくなる。本発明においては、十分な嵩高性
を付与するために、セルロースIIの含有量が50〜100
%となるまでマーセル化処理することが好ましく、特に
セルロースIIの含有量が80〜100%となることが好ま
しい。マーセル化は公知の方法によって行えば良く、通
常は、パルプをアルカリ水溶液中に浸漬し、室温で10分
〜24時間程度処理すれば良い。
【0008】セルロースIIの含有量は次式により算出
される。 セルロースII含有量(%)=(I−II)/(III−II)
×100 ここでII及びIIIは、それぞれ原料(セルロースI含
有量100%)と完全にマーセル化処理した試料(セルロ
ースII含有量100%)の、2θ=19.8°におけるバック
グラウンドの強度を差引いた結晶性干渉強度である。ま
た、Iは測定しようとする試料の2θ=19.8°における
結晶性干渉強度である(北海道大学工学部研究報告N
o.75、p125)。水酸化ナトリウムを用いたマーセル
化処理を例に取ると、セルロースIIの含有量が50〜10
0%に達するのに必要なアルカリ水溶液の濃度は9重量%
以上であり、好ましくは12〜20重量%である。
される。 セルロースII含有量(%)=(I−II)/(III−II)
×100 ここでII及びIIIは、それぞれ原料(セルロースI含
有量100%)と完全にマーセル化処理した試料(セルロ
ースII含有量100%)の、2θ=19.8°におけるバック
グラウンドの強度を差引いた結晶性干渉強度である。ま
た、Iは測定しようとする試料の2θ=19.8°における
結晶性干渉強度である(北海道大学工学部研究報告N
o.75、p125)。水酸化ナトリウムを用いたマーセル
化処理を例に取ると、セルロースIIの含有量が50〜10
0%に達するのに必要なアルカリ水溶液の濃度は9重量%
以上であり、好ましくは12〜20重量%である。
【0009】パルプをマーセル化処理した後、アルカリ
水溶液を濾過や遠心分離などによってパルプから分離
し、リサイクルさせることができる。更に、パルプに付
着しているアルカリは、水洗浄や酸性薬品で中和するこ
とによって除去される。酸性薬品としては鉱酸又はこれ
らの酸性塩を使用することができる。マーセル化処理す
るだけでもパルプを嵩高化することは可能であるが、そ
れのみでは、シート形成時のプレスやカレンダー等の外
力に対してその嵩高性を維持し難いため、本発明におい
ては、マーセル化処理した後に更に多価アルコールで処
理する。これによって、セルロース結晶内に多価アルコ
ールを浸入させ、嵩高構造を保持した嵩高パルプを得る
ことが可能となる。
水溶液を濾過や遠心分離などによってパルプから分離
し、リサイクルさせることができる。更に、パルプに付
着しているアルカリは、水洗浄や酸性薬品で中和するこ
とによって除去される。酸性薬品としては鉱酸又はこれ
らの酸性塩を使用することができる。マーセル化処理す
るだけでもパルプを嵩高化することは可能であるが、そ
れのみでは、シート形成時のプレスやカレンダー等の外
力に対してその嵩高性を維持し難いため、本発明におい
ては、マーセル化処理した後に更に多価アルコールで処
理する。これによって、セルロース結晶内に多価アルコ
ールを浸入させ、嵩高構造を保持した嵩高パルプを得る
ことが可能となる。
【0010】マーセル化処理後の多価アルコールに使用
することができる多価アルコールは水に溶解可能なもの
が好ましく、2価アルコールとしては、例えば、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、ブチレングリコール、ジブチレングリコールなど
が挙げられる。また、3価以上のアルコールとしては、
例えば、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリ
トール、ジペンタエリスリトール、アラビトール、ソル
ビトール、エリトリット、グルコース、ショ糖などが挙
げられる。
することができる多価アルコールは水に溶解可能なもの
が好ましく、2価アルコールとしては、例えば、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、ブチレングリコール、ジブチレングリコールなど
が挙げられる。また、3価以上のアルコールとしては、
例えば、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリ
トール、ジペンタエリスリトール、アラビトール、ソル
ビトール、エリトリット、グルコース、ショ糖などが挙
げられる。
【0011】本発明で使用する嵩高パルプを得るために
は、上記の如くパルプをアルカリ水溶液でマーセル化処
理した後、ウエット状態で多価アルコールを用いて処理
する。この場合の多価アルコールは、単独の水溶液又は
粉末状態で添加する。処理温度は30〜100℃、好ましく
は50〜90℃に加温して行う。マーセル化処理によってパ
ルプ繊維は十分に膨潤するため、繊維壁内部にも溶解し
た多価アルコールが浸入し、これにより繊維がより膨潤
した状態を維持することが可能な構造となる。
は、上記の如くパルプをアルカリ水溶液でマーセル化処
理した後、ウエット状態で多価アルコールを用いて処理
する。この場合の多価アルコールは、単独の水溶液又は
粉末状態で添加する。処理温度は30〜100℃、好ましく
は50〜90℃に加温して行う。マーセル化処理によってパ
ルプ繊維は十分に膨潤するため、繊維壁内部にも溶解し
た多価アルコールが浸入し、これにより繊維がより膨潤
した状態を維持することが可能な構造となる。
【0012】上記の如くして得られた嵩高パルプは十分
な嵩高性が得られる一方、繊維表面が疎水化され、繊維
間結合が形成しにくいので、十分なシート強度を得るこ
とができない。よって、本発明では、別途バインダーを
混抄する必要がある。該バインダーとしては繊維状バイ
ンダーが好ましく、嵩高パルプと後記する熱融着性繊維
と共に混抄する。これを湿潤状態で若干の加圧下で加熱
することにより、繊維状バインダーが接着剤として働
き、極めて強度の高いシートを得ることができる。
な嵩高性が得られる一方、繊維表面が疎水化され、繊維
間結合が形成しにくいので、十分なシート強度を得るこ
とができない。よって、本発明では、別途バインダーを
混抄する必要がある。該バインダーとしては繊維状バイ
ンダーが好ましく、嵩高パルプと後記する熱融着性繊維
と共に混抄する。これを湿潤状態で若干の加圧下で加熱
することにより、繊維状バインダーが接着剤として働
き、極めて強度の高いシートを得ることができる。
【0013】本発明で使用する繊維状バインダーの一例
としては熱水溶解性繊維が挙げられる。熱水溶解性繊維
とは、常温の水ではほとんど溶解しないで繊維形態を保
っているが、抄紙後のドライヤー面で加熱されると容易
に溶解し始め、その後の脱水乾燥で再凝固し強力な紙層
構成繊維となるものを言う。本発明で使用する熱水溶解
性繊維としては、ポリビニルアルコール系の繊維状バイ
ンダーが好ましい。これは、通常、ポリビニルアルコー
ル繊維を短くカットしたもので、常温の水では膨潤する
だけで溶解しないが、60〜90℃以上の温水には溶解しバ
インダーとして機能する。
としては熱水溶解性繊維が挙げられる。熱水溶解性繊維
とは、常温の水ではほとんど溶解しないで繊維形態を保
っているが、抄紙後のドライヤー面で加熱されると容易
に溶解し始め、その後の脱水乾燥で再凝固し強力な紙層
構成繊維となるものを言う。本発明で使用する熱水溶解
性繊維としては、ポリビニルアルコール系の繊維状バイ
ンダーが好ましい。これは、通常、ポリビニルアルコー
ル繊維を短くカットしたもので、常温の水では膨潤する
だけで溶解しないが、60〜90℃以上の温水には溶解しバ
インダーとして機能する。
【0014】また、本発明においては、シートにエンボ
ス加工適性を付与する目的で、熱融着性繊維を混抄する
必要がある。これらの熱融着性繊維は、いわゆる熱可塑
性繊維の中でも、軟化点が200℃以下の低いポリマー
の繊維であって、加熱により溶融して接着強度を高める
と共に、熱圧着により容易にヒートシールまたはエンボ
ス加工が可能となる繊維である。このような熱融着性繊
維の代表例としては、ポリオレフィン複合繊維又は親水
性を有するパルプ状多分岐繊維が挙げられる。
ス加工適性を付与する目的で、熱融着性繊維を混抄する
必要がある。これらの熱融着性繊維は、いわゆる熱可塑
性繊維の中でも、軟化点が200℃以下の低いポリマー
の繊維であって、加熱により溶融して接着強度を高める
と共に、熱圧着により容易にヒートシールまたはエンボ
ス加工が可能となる繊維である。このような熱融着性繊
維の代表例としては、ポリオレフィン複合繊維又は親水
性を有するパルプ状多分岐繊維が挙げられる。
【0015】ポリオレフィン複合繊維としては、鞘部
(低融点成分)がポリエチレンで、芯部(高融点成分)
がポリプロピレンから構成された複合繊維が挙げられ
る。また、親水性を有するパルプ状多分岐繊維はポリオ
レフィン合成パルプとも称されるものであり、例えば、
三井化学株式会社よりSWPの商品名で市販されている
ものを例として挙げることができる。
(低融点成分)がポリエチレンで、芯部(高融点成分)
がポリプロピレンから構成された複合繊維が挙げられ
る。また、親水性を有するパルプ状多分岐繊維はポリオ
レフィン合成パルプとも称されるものであり、例えば、
三井化学株式会社よりSWPの商品名で市販されている
ものを例として挙げることができる。
【0016】嵩高パルプ、繊維状バインダー、及び熱融
着性繊維の配合比率は要求される壁紙によって異なる
が、嵩高パルプの配合率は全繊維分中の60〜95重量%、
好ましくは70〜90重量%である。60重量%未満になると
十分な嵩高性が得られず、95重量%を超えるとシート強
度が弱すぎるため壁紙に加工する際支障が生ずる。ま
た、繊維状バインダーの配合率が高いほど強度は大きく
なるが、得られるシートは固くなり風合いもなくなる傾
向になり、繊維状バインダーの配合率が低い場合には必
要とされる強度が得られない。よって、繊維状バインダ
ーのシート中の配合率は3〜25重量%の範囲であること
が好ましい。一方、熱融着性繊維については、配合率が
少ないほどエンボス加工がされにくく、エンボス加工後
の形状も維持しにくい。配合率が多くなれば嵩高性が失
われる。よって、熱融着性繊維の配合率は5〜30重量%
の範囲であることが好ましい。
着性繊維の配合比率は要求される壁紙によって異なる
が、嵩高パルプの配合率は全繊維分中の60〜95重量%、
好ましくは70〜90重量%である。60重量%未満になると
十分な嵩高性が得られず、95重量%を超えるとシート強
度が弱すぎるため壁紙に加工する際支障が生ずる。ま
た、繊維状バインダーの配合率が高いほど強度は大きく
なるが、得られるシートは固くなり風合いもなくなる傾
向になり、繊維状バインダーの配合率が低い場合には必
要とされる強度が得られない。よって、繊維状バインダ
ーのシート中の配合率は3〜25重量%の範囲であること
が好ましい。一方、熱融着性繊維については、配合率が
少ないほどエンボス加工がされにくく、エンボス加工後
の形状も維持しにくい。配合率が多くなれば嵩高性が失
われる。よって、熱融着性繊維の配合率は5〜30重量%
の範囲であることが好ましい。
【0017】本発明の加工紙は、紙壁紙の上層紙として
好ましく使用される。紙壁紙は、壁面との接着層あるい
は上層紙支持層としての裏打ち紙を本発明の加工紙の裏
側に接着させた構成であり、表面側となる上層紙(本発
明の加工紙)へグラビア印刷ロール等によるプリント加
工や、エンボスロールによるエンボス加工を加えること
によって製造される。また、壁紙は、その用途によって
は表面が汚れやすく、摩耗も受けやすいため、表面側に
防汚性や耐摩耗性等を付与する目的で、合成樹脂エマル
ジョンを塗布したり、EVOHフィルム等を貼合するこ
とができる。
好ましく使用される。紙壁紙は、壁面との接着層あるい
は上層紙支持層としての裏打ち紙を本発明の加工紙の裏
側に接着させた構成であり、表面側となる上層紙(本発
明の加工紙)へグラビア印刷ロール等によるプリント加
工や、エンボスロールによるエンボス加工を加えること
によって製造される。また、壁紙は、その用途によって
は表面が汚れやすく、摩耗も受けやすいため、表面側に
防汚性や耐摩耗性等を付与する目的で、合成樹脂エマル
ジョンを塗布したり、EVOHフィルム等を貼合するこ
とができる。
【0018】
【発明の効果】本発明の加工紙は、嵩高である上強度及
び不透明性も十分であるので、紙壁紙の上層紙として好
適である。また、本発明の紙壁紙はグラビア印刷ロール
等によるプリント加工やエンボスロールによるエンボス
加工適性に優れているので、意匠性に優れた紙壁紙とす
ることができる上、セルロース繊維が主材であるので環
境適合性にも優れており、実用上極めて有用である。
び不透明性も十分であるので、紙壁紙の上層紙として好
適である。また、本発明の紙壁紙はグラビア印刷ロール
等によるプリント加工やエンボスロールによるエンボス
加工適性に優れているので、意匠性に優れた紙壁紙とす
ることができる上、セルロース繊維が主材であるので環
境適合性にも優れており、実用上極めて有用である。
【0019】
【実施例】以下に、実施例によって本発明を更に具体的
に説明するが、本発明はこれらによって限定されるもの
ではない。なお、「%」は、特に明記しない限り「重量
%」を表す。
に説明するが、本発明はこれらによって限定されるもの
ではない。なお、「%」は、特に明記しない限り「重量
%」を表す。
【0020】実施例1. <嵩高パルプ(A)の製造>針葉樹晒クラフトパルプ
(NBKP)の未叩解品を、濃度が15%の水酸化ナトリ
ウム水溶液中に20℃で30分間浸漬した。液量は、20g/
パルプ1gとし、反応後十分水洗した。水洗後のパルプ
に、濃度が5%のペンタエリスリトール水溶液を加え、7
0℃で2時間撹拌しながら処理を行った。液量は20g/パ
ルプ1gとした。処理後遠心脱水機にかけ、パルプと反
応液を分別した。
(NBKP)の未叩解品を、濃度が15%の水酸化ナトリ
ウム水溶液中に20℃で30分間浸漬した。液量は、20g/
パルプ1gとし、反応後十分水洗した。水洗後のパルプ
に、濃度が5%のペンタエリスリトール水溶液を加え、7
0℃で2時間撹拌しながら処理を行った。液量は20g/パ
ルプ1gとした。処理後遠心脱水機にかけ、パルプと反
応液を分別した。
【0021】<繊維状バインダー(B)>ポリビニルア
ルコールを主成分とする繊維状バインダー(商品名:V
PB105−1、平均繊維長3mm、水中溶解温度70
℃、クラレ株式会社製)を使用した。 <熱融着性繊維(C)>熱融着性繊維として、ポリオレ
フィン合成パルプ(商品名:SWP E790、平均繊
維長1.6mm、密度0.96g/cm3、融点135℃、三井化
学株式会社製)を使用した。
ルコールを主成分とする繊維状バインダー(商品名:V
PB105−1、平均繊維長3mm、水中溶解温度70
℃、クラレ株式会社製)を使用した。 <熱融着性繊維(C)>熱融着性繊維として、ポリオレ
フィン合成パルプ(商品名:SWP E790、平均繊
維長1.6mm、密度0.96g/cm3、融点135℃、三井化
学株式会社製)を使用した。
【0022】<加工紙の製造>上記3種類の原料繊維
A、B、Cを、Tappi離解機にてそれぞれ十分に離
解解繊した後、配合比率がA/B/C=85/5/10とな
るように調製し、Tappi標準角型手抄き機を用い、
坪量が80g/m2となるように量り取ってから抄紙し、
プレスした後シリンダードライヤによって乾燥した。ド
ライヤの表面温度は100℃とした。乾燥後、シートを恒
温恒湿下(23℃、50%RH)で調湿した。調湿後、JI
S規格に準拠して、シート密度、強度、及び不透明度を
測定した。
A、B、Cを、Tappi離解機にてそれぞれ十分に離
解解繊した後、配合比率がA/B/C=85/5/10とな
るように調製し、Tappi標準角型手抄き機を用い、
坪量が80g/m2となるように量り取ってから抄紙し、
プレスした後シリンダードライヤによって乾燥した。ド
ライヤの表面温度は100℃とした。乾燥後、シートを恒
温恒湿下(23℃、50%RH)で調湿した。調湿後、JI
S規格に準拠して、シート密度、強度、及び不透明度を
測定した。
【0023】<壁紙の製造>加工紙の片面に、エチレン
酢酸ビニル共重合樹脂接着剤を介して坪量65g/m 2の
裏打ち紙を貼合させ、ゴムロールと加熱エンボスロール
の間に通してエンボス加工を実施し、壁紙を得た。得ら
れた壁紙の意匠性、及び、壁紙を水に浸漬し風乾した後
のエンボス形状維持性を、目視によって評価した。結果
は、シート物性評価と併せて表1に示した。
酢酸ビニル共重合樹脂接着剤を介して坪量65g/m 2の
裏打ち紙を貼合させ、ゴムロールと加熱エンボスロール
の間に通してエンボス加工を実施し、壁紙を得た。得ら
れた壁紙の意匠性、及び、壁紙を水に浸漬し風乾した後
のエンボス形状維持性を、目視によって評価した。結果
は、シート物性評価と併せて表1に示した。
【0024】実施例2.3種類の原料繊維の比率を75/1
0/15としたこと以外は実施例1と同様にして、角型手
抄き紙を用いて坪量が80g/m2の加工紙を作製し、さ
らに実施例1と同様にして壁紙を作製し評価した。
0/15としたこと以外は実施例1と同様にして、角型手
抄き紙を用いて坪量が80g/m2の加工紙を作製し、さ
らに実施例1と同様にして壁紙を作製し評価した。
【0025】比較例1.原料繊維をAのみとしたこと以
外は実施例1と同様にして、角型手抄き機を用いて坪量
が80g/m2の加工紙を作製し、さらに実施例1と同様
にして壁紙を作製し評価した。
外は実施例1と同様にして、角型手抄き機を用いて坪量
が80g/m2の加工紙を作製し、さらに実施例1と同様
にして壁紙を作製し評価した。
【0026】比較例2.原料繊維のA、B、Cの配合比
率をA/B/C=45/25/30としたこと以外は実施例1
と同様にして、角型手抄き機を用いて坪量が80g/m2
の加工紙を作製し、さらに実施例1と同様にして壁紙を
作製し評価した。
率をA/B/C=45/25/30としたこと以外は実施例1
と同様にして、角型手抄き機を用いて坪量が80g/m2
の加工紙を作製し、さらに実施例1と同様にして壁紙を
作製し評価した。
【0027】比較例3.原料繊維のAをNBKP未叩解
品に変更したこと以外は実施例1と同様にして、角型手
抄き機を用いて坪量が80g/m2の加工紙を作製し、さ
らに実施例1と同様にして壁紙を作製し評価した。
品に変更したこと以外は実施例1と同様にして、角型手
抄き機を用いて坪量が80g/m2の加工紙を作製し、さ
らに実施例1と同様にして壁紙を作製し評価した。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示したように、本発明の実施例1及
び実施例2の場合には、比較例1〜3に比べて嵩高性を
維持している上、強度的にも十分である。また、不透明
度も、通常のパルプ(比較例3)と同等であり、十分な
隠蔽性も有している。更に、エンボス適性に関しても、
エンボス後のシートには十分なボリューム感が有るので
意匠性に優れ、エンボス形状も形くずれしないことが実
証された。
び実施例2の場合には、比較例1〜3に比べて嵩高性を
維持している上、強度的にも十分である。また、不透明
度も、通常のパルプ(比較例3)と同等であり、十分な
隠蔽性も有している。更に、エンボス適性に関しても、
エンボス後のシートには十分なボリューム感が有るので
意匠性に優れ、エンボス形状も形くずれしないことが実
証された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊池 彩 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製紙 株式会社商品研究所内 (72)発明者 成島 倫史 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製紙 株式会社商品研究所内 Fターム(参考) 4L055 AA02 AC06 AC10 AF16 AF17 AF21 AF46 AG34 BB30 BE14 BE15 EA02 FA16 GA23
Claims (4)
- 【請求項1】 マーセル化したセルロース繊維を多価ア
ルコールで処理して得た嵩高パルプ、繊維状バインダー
及び熱融着性繊維から成ることを特徴とする加工紙。 - 【請求項2】 加工紙を形成する全繊維分中の嵩高パル
プの配合率が60〜95重量%である請求項1に記載された
加工紙。 - 【請求項3】 嵩高パルプ中のセルロースIIの含有量
が50〜100重量%である請求項1又は2に記載された加
工紙。 - 【請求項4】 裏打ち紙上に、請求項1〜3のいずれか
に記載された加工紙を積層したことを特徴とする紙壁
紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001044702A JP2002249999A (ja) | 2001-02-21 | 2001-02-21 | 加工紙及びそれを用いた紙壁紙 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001044702A JP2002249999A (ja) | 2001-02-21 | 2001-02-21 | 加工紙及びそれを用いた紙壁紙 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002249999A true JP2002249999A (ja) | 2002-09-06 |
Family
ID=18906645
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001044702A Pending JP2002249999A (ja) | 2001-02-21 | 2001-02-21 | 加工紙及びそれを用いた紙壁紙 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002249999A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003010384A1 (en) * | 2001-07-24 | 2003-02-06 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | Bulky pulp, method for production thereof and converted paper or multi-ply paper using the bulky pulp |
WO2009038314A2 (en) * | 2007-09-17 | 2009-03-26 | Hyo Chul Jun | Laminated wallpaper using a filter master sheet |
-
2001
- 2001-02-21 JP JP2001044702A patent/JP2002249999A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003010384A1 (en) * | 2001-07-24 | 2003-02-06 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | Bulky pulp, method for production thereof and converted paper or multi-ply paper using the bulky pulp |
WO2009038314A2 (en) * | 2007-09-17 | 2009-03-26 | Hyo Chul Jun | Laminated wallpaper using a filter master sheet |
WO2009038314A3 (en) * | 2007-09-17 | 2009-05-14 | Hyo Chul Jun | Laminated wallpaper using a filter master sheet |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20040408 |
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20071227 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080826 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081226 |