JP2002249709A - ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂を含む塗料組成物及び塗膜形成方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂を含む塗料組成物及び塗膜形成方法

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JP2002249709A
JP2002249709A JP2001048539A JP2001048539A JP2002249709A JP 2002249709 A JP2002249709 A JP 2002249709A JP 2001048539 A JP2001048539 A JP 2001048539A JP 2001048539 A JP2001048539 A JP 2001048539A JP 2002249709 A JP2002249709 A JP 2002249709A
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coating
coating composition
coating film
resin
melamine resin
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JP2001048539A
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Kazuyuki Kawamura
和之 川村
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サッシュ部に中塗り塗膜及びサッシュブラッ
クからなる塗膜をウエット・オン・ウエットで積層する
場合において、サッシュのエッジ部のシーラー上におい
ても両塗膜の境面で反転を起さず、かつ、肌荒れ等の他
の外観不良をも生じない塗料組成物及び塗膜形成方法を
提供する。 【解決手段】 ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂を含
む塗料組成物であって、上記メラミン樹脂は、数平均分
子量が1500〜5000であり、かつ、上記塗料組成
物の樹脂固形分に対して1〜10重量%であることを特
徴とする塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル樹脂
及びメラミン樹脂を含む塗料組成物に関し、詳しくは、
ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂を含み、自動車のサ
ッシュ部に塗布することに好適な塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】サッシュ部(ドアの窓ガラスの枠)を含
めた自動車の車体外板は、通常、全体に電着塗膜を形成
した上に中塗り塗料を塗装し、その塗膜を硬化させるこ
となくウエット・オン・ウエット方式でサッシュ部のみ
に黒色塗料(サッシュブラック)を塗装した後、得られ
る塗膜を加熱硬化させてから、外板のサッシュ部以外に
上塗り塗料を塗装し、加熱硬化させている。サッシュ部
のうち、外板の端が内側に折り込まれているエッジ部
は、通常、中塗り塗料の塗布前に、一般的に塩化ビニル
樹脂又はシリコンからなるシーラーを塗布し焼き付け
る。
【0003】サッシュ部を他の部位と同等に仕上げて自
動車塗装の全体的な仕上がり水準を向上させることを目
的として、特開昭62−149765号公報には、アク
リル樹脂45〜30重量%、メラミン樹脂5〜20重量
%、顔料0.5〜5重量%及び溶剤49.5〜45重量
%を含むことを特徴とするポリエステル樹脂を主成分と
する塗膜の上にウエット・オン・ウエットで塗装するの
に適したアクリル/メラミン樹脂塗料が開示されてい
る。
【0004】また、塗膜の反転を防ぐためにはかつて必
要とされていた中塗り塗料及びサッシュ用上塗り塗料の
表面張力の調整をほぼ不要のものにするとともに、サッ
シュ部以外に上塗り塗料のダストを残存させず、シーリ
ング剤等の充填箇所においても仕上がり外観を低下させ
ないような塗装方法の開発を目的として、特開平5−7
827号公報には、未硬化の中塗り塗膜面に着色上塗り
塗料を塗装し、次いで加熱して該両塗膜を硬化せしめる
塗装方法において、該着色上塗り塗料にシリカ系微粉末
を添加してチクソトロピック性を付与せしめておくこと
を特徴とする塗装方法が開示されている。
【0005】しかしながら、サッシュのエッジ部におい
ては、シーラーからブリード(移行)してくる可塑剤の
影響により、中塗り塗料とサッシュブラックとがウエッ
ト・オン・ウエットで塗り重ねられた状態にある両塗膜
の境面において反転が起こり、仕上がり外観が低下する
という問題があった。
【0006】
【解決しようとする課題】本発明の目的は、上記問題に
鑑み、サッシュ部に中塗り塗膜及びサッシュブラックか
らなる塗膜をウエット・オン・ウエットで積層する場合
において、サッシュのエッジ部においても両塗膜の境面
で反転を起さず、かつ、一般面における肌荒れ等の他の
外観不良をも生じない塗料組成物及び塗膜形成方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、通常のポ
リエステル樹脂及びメラミン樹脂を含む塗料組成物は、
添加剤等による表面張力の調整や粘性増加のみでは依然
として反転防止に不充分であり、肌荒れ等の他の不具合
を生じるが、数平均分子量が1500〜5000である
高分子量のメラミン樹脂を特定量添加することにより、
上述の反転のみならず肌不良等の他の外観上の問題をも
起さず、サッシュ部の塗装に好適に用いられることを見
出し、本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明は、ポリエステル樹脂及びメ
ラミン樹脂を含む塗料組成物であって、上記メラミン樹
脂として、数平均分子量が1500〜5000であるも
のを、上記塗料組成物の樹脂固形分に対して1〜10重
量%含有することを特徴とする塗料組成物である。上記
メラミン樹脂は、数平均分子量が1800〜3500で
あることが好ましく、また、上記塗料組成物の樹脂固形
分に対して2〜4重量%であることが好ましい。上記塗
料組成物は、更に、数平均分子量が1500未満のメラ
ミン樹脂を含むものであって、上記ポリエステル樹脂と
合計の上記メラミン樹脂との配合比は、固形分の重量基
準で、好ましくは80/20〜50/50である。上記
塗料組成物は、自動車のサッシュ部に塗布されるもので
あることが好ましい。本発明は、また、基材にシーラー
を塗布して得られる塗膜の上に中塗り塗料を塗布し、こ
の上にウエット・オン・ウエットで上記塗料組成物を塗
布する工程を含む塗膜形成方法である。本発明は、更
に、上記塗膜形成方法により得られる塗膜を有する基材
である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明の塗料組成物は、塗膜形成性樹脂と
して、ポリエステル樹脂の他にメラミン樹脂を含むもの
である。上記メラミン樹脂は、数平均分子量が1500
〜5000である。1500未満であると、特にサッシ
ュのエッジ部においてサッシュブラックにより得られる
塗膜と中塗り塗膜との境面で反転を起こし、5000を
超えると、塗膜が硬く脆くなる等、塗膜物性に劣る。好
ましくは、1800〜3500である。本明細書中にお
いて、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィーによるポリスチレン換算の値である。
【0010】本発明において用いるメラミン樹脂として
は、上記範囲内の数平均分子量を有するものであれば使
用することができるが、反転防止性の点から、トリアジ
ン核が好ましくは3〜10個、より好ましくは5〜8個
縮合した構造を有するものが好適に用いられる。このよ
うに比較的高い縮合度であると、上述の範囲内である比
較的高い数平均分子量を有する傾向にあり、反応開始速
度が速いので加熱時のフロー度合いが小さくなり、塗膜
間の反転が起こりにくくなるとともに、硬化により得ら
れる塗膜の架橋密度が比較的高く、塗膜性能的に優れる
ものと考えられる。
【0011】上記メラミン樹脂は、更に、n−ブチル又
はi−ブチルの各アルキル基により置換されているもの
がより好ましい。これにより、ぬれ性が向上し、反転防
止が効果的に実現される。
【0012】このようなメラミン樹脂としては、MF−
008(日本ペイント社製)が適しているが、他の市販
品も用いることができ、例えば、スーパーベッカミン1
3−548(大日本インキ化学工業社製)等が挙げられ
る。上記メラミン樹脂は、本発明の塗料組成物の樹脂固
形分に対して1〜10重量%である。1重量%未満であ
ると、反転防止が効果的に行われず、10重量%を超え
ると、塗膜の肌荒れ等の外観不良を起すほか、形成され
る塗膜が硬く脆くなり、中塗り塗膜との密着性に劣る。
好ましくは、2〜4重量%である。
【0013】本発明の塗料組成物は、通常、硬化剤とし
て、上述の特定範囲内の数平均分子量を有するメラミン
樹脂と併用して、上記特定範囲内にない数平均分子量を
有するメラミン樹脂を用いるものであり、本発明は、硬
化主剤となる後者のメラミン樹脂以外に上述の高分子量
のメラミン樹脂を比較的少量含有することにより、自動
車車体のサッシュのエッジ部においても中塗り塗膜とサ
ッシュブラック膜との境面における反転を改良すること
ができる。本発明の塗料組成物は、更に、必要に応じ、
アミノ樹脂以外の通常塗料に用いられる硬化剤を使用す
ることもでき、例えば、尿素樹脂等の他のアミノ樹脂、
ブロックポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0014】本発明の塗料組成物に含まれる合計のメラ
ミン樹脂は、ポリエステル樹脂と上記合計のメラミン樹
脂との配合比が、固形分の重量基準で、80/20〜5
0/50になるように配合することが好ましい。メラミ
ン樹脂が上記範囲より少なすぎると、硬化性が不充分と
なり、得られる塗膜の硬度及び耐水性が不良となる。メ
ラミン樹脂がこの範囲より多すぎると、形成される塗膜
が硬く脆くなり、付着性が低下する。より好ましくは、
70/30〜60/40である。
【0015】上記メラミン樹脂その他のアミノ樹脂は、
通常、酸触媒を併用することができる。上記酸触媒とし
ては特に限定されず、例えば、パラトルエンスルホン
酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレン
スルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等を挙げ
ることができる。
【0016】本発明の塗料組成物は、塗膜形成性樹脂と
して、更にポリエステル樹脂を含むものである。上記ポ
リエステル樹脂は、下地の隠蔽並びに表面平滑性等を付
与する基本樹脂成分である。上記ポリエステル樹脂とし
ては特に限定されず、例えば、通常、塗料に塗膜形成性
樹脂として使用されているものを使用することができ
る。
【0017】上記ポリエステル樹脂は、数平均分子量が
1000〜4000であることが好ましい。1000未
満であると、耐水性等の塗膜性能が低下するほか、混じ
り等の起こるおそれがある。4000を超えると、得ら
れる塗膜の外観(肌)が低下すると同時に、塗着時の粘
度が高くなりすぎる場合がある。好ましくは、1500
〜3200である。
【0018】上記ポリエステル樹脂は、酸価が4〜15
mgKOH/gであることが好ましい。4mgKOH/
g未満であると、硬化性が不良となり、15mgKOH
/gを超えると、耐水性が低下する。好ましくは、6〜
10mgKOH/gである。上記ポリエステル樹脂は、
水酸基価が50〜150であることが好ましい。50未
満であると、硬化性が不良となり、150を超えると、
塗膜が硬くなりすぎ、付着性、耐チッピング性が低下す
る。好ましくは、80〜120である。
【0019】上記ポリエステル樹脂は、必須成分として
多価カルボン酸及び/又は酸無水物と多価アルコールと
を重縮合することによって製造することができる。上記
多価カルボン酸及び/又は酸無水物としては特に限定さ
れず、例えば、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロ
フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフ
タル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒド
ロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハ
イミック酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピ
ロメリット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
コハク酸、無水コハク酸、ドデセニルコハク酸、ドデセ
ニル無水コハク酸等が挙げられる。
【0020】上記多価アルコールとしては特に限定され
ず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、
2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジ
オール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−
2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネート、
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、
ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラ
クトンポリオール、グリセリン、ソルビトール、アンニ
トール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペン
タエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げら
れる。
【0021】上記多価カルボン酸及び/又は酸無水物並
びに多価アルコール以外の他の反応成分として、モノカ
ルボン酸、ヒドロキシカルボン酸等を含んでいてもよ
い。また、乾性油、反乾性油及びそれらの脂肪酸を含有
していてもよい。その他には、例えば、カージュラE
(シェル化学社製)等のモノエポキサイド化合物、ラク
トン類を含有することも可能である。上記ラクトン類
は、多価カルボン酸及び多価アルコールのポリエステル
類へ開環付加してグラフト鎖を形成し得るものであり、
例えば、β−プロピオラクロン、ジメチルプロピオラク
トン、ブチルラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプ
ロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクト
ン、クロトラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロ
ラクトン等が挙げられるが、なかでもε−カプロラクト
ンが好ましい。上記多価カルボン酸及び/又は酸無水
物、多価アルコール、その他のラクトン類等について
は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。
【0022】上記ポリエステル樹脂は、塗料組成物の固
形分中に、50〜80重量%の比率で配合することが好
ましい。50重量%未満であると、塗膜形成性が低下
し、また、中塗り塗膜との付着性が悪く、80重量%を
超えると、硬化不良を起こし、得られる塗膜の硬度及び
耐水性が不良となる。より好ましくは、60〜70重量
%である。
【0023】本発明の塗料組成物は、塗膜形成性樹脂と
して、上記ポリエステル樹脂と併用して他の基体樹脂を
含むものであってもよく、例えば、アクリル樹脂、アル
キド樹脂及びエポキシ樹脂が挙げられる。上記ポリエス
テル樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用しても
よい。
【0024】本発明の塗料組成物は、上述のように自動
車のサッシュ部に好適に用いられ、特にサッシュブラッ
クとして好適である。サッシュブラックは、通常、黒色
に着色され、艶有りの黒色である場合もあるが、一般的
には艶消しの黒色である。従って、本発明の塗料組成物
は、上述の塗膜形成性樹脂の他に、通常、顔料を含むも
のである。
【0025】上記顔料としては従来公知の顔料を用いる
ことができるが、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、
艶消剤でもあるシリカ微粉末等を挙げることができ、こ
れらの顔料は、本発明の塗料組成物の固形分重量中の5
〜45重量%であることが好ましい。5重量%未満であ
ると、自動車用サッシュブラックとして適当な黒色又は
塗色(つや)が得られず、45重量%を超えると、得ら
れる塗膜の平滑性に欠け、肌荒れ等の外観不良を起す傾
向にある。より好ましくは、6〜35重量%である。
【0026】本発明の塗料組成物は、所望により、酸化
クロム、フタロシアニン、キナクリドン等の着色顔料;
硫酸バリウム、タルク、焼成カオリン、炭酸カルシウ
ム、珪酸マグネシウム等の体質顔料等のその他の顔料を
併用することができる。
【0027】本発明の塗料組成物は、上記塗膜形成性樹
脂及び所望により添加されるその他の顔料のほかに、増
粘剤として架橋樹脂粒子、有機ベントナイト、脂肪酸ポ
リアマイド、ポリエチレンワックス等;有機溶媒として
芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系、エステル系、ア
ルコール系溶媒等;その他の添加剤として酸触媒、紫外
線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、表
面調整剤、レベリング剤、顔料分散剤、可塑剤、消泡剤
等を使用してもよい。
【0028】本発明の塗料組成物の塗装時の全固形分量
は、20〜70重量%であることが好ましい。20重量
%未満であると、粘性が低すぎて反転、なじみ、ムラ等
の外観不良が発生し、70重量%を超えると、粘性が高
すぎて塗膜外観が低下するおそれがある。好ましくは、
30〜60重量%である。
【0029】本発明の塗料組成物の製造方法としては、
塗料組成物の塗料形態に従って製造することができ、例
えば、顔料、塗膜形成性樹脂、溶剤、及び、所望により
顔料分散剤等の配合物を混合して顔料分散ペーストを得
た後、硬化剤と混合する等の当業者に周知の方法を使用
することができる。
【0030】本発明は、また、基材にシーラーを塗布し
て得られる塗膜の上に中塗り塗料を塗布し、この上にウ
エット・オン・ウエットで上記塗料組成物を塗布する工
程を含む塗膜形成方法である。上記基材としては特に限
定されず、例えば、金属、プラスチック、発泡体等が挙
げられ、これらのうち、金属、特に鋳造物が有利に用い
られるが、カチオン電着塗装可能な金属製品が特に好適
に使用される。
【0031】上記金属製品としては特に限定されず、例
えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等の金属単
体、並びに、これらの金属単体を含む合金及び鋳造物が
挙げられ、具体的には、乗用車、トラック、オートバ
イ、バス等の自動車の車体及び部品が挙げられる。上記
金属製品は、リン酸塩、クロム酸塩等で予め化成処理さ
れたものが特に好ましい。本発明の塗料組成物は、特
に、自動車外板のサッシュ部に好適に用いられる。サッ
シュ部に使用した場合には、エッジ部における反転を効
果的に防止することができる。更に、ドアー下部のロッ
カー部、フロントの垂直部等にも用いることができる。
【0032】上記基材には、上記化成処理を施された鋼
板上に、防食性、防錆性の付与を目的として、電着塗膜
が形成されていることが好ましい。上記電着塗膜を形成
する電着塗料としては、カチオン型又はアニオン型の電
着塗料を使用することができるが、カチオン型電着塗料
が防食性に優れた積層塗膜を与えるため好ましい。
【0033】基材が自動車のサッシュ部である場合に
は、通常、サッシュ内側のエッジ部について、上記電着
塗膜の上にシーラーを塗布する。上記シーラーとしては
特に限定されず、例えば、上記エッジ部に通常用いられ
る塩化ビニル系やシリコン系のものが挙げられる。この
ようなシーラーとしては、例えば、市販品を用いること
ができ、例えば、555T(アイシン社製)、サンダイ
ン2020(アサヒコーポレーション社製)等が挙げら
れる。上記シーラーは、通常、塗布後に例えば90〜1
00℃で5〜15分間加熱する。
【0034】このように必要に応じ化成皮膜、電着塗膜
やシーラーを形成された基材には、次いで中塗り塗料を
塗布する。中塗り塗膜が形成されていると、基材、電着
塗膜やシーラーの欠陥が隠蔽され、サッシュブラックを
塗装した後の表面平滑性が確保されて外観が向上するほ
か、耐衝撃性、耐チッピング性等の塗膜物性を付与する
ことが容易になる。
【0035】上記中塗り塗料としては特に限定されない
が、通常、顔料、塗膜形成樹脂及び硬化剤、並びに、必
要に応じて消泡剤、塗面調整剤等の添加剤を含むもので
ある。本発明においては、通常行われているように、上
記中塗り塗料の樹脂組成はサッシュブラックの樹脂組成
と同様にすることが好ましい。
【0036】上記中塗り塗料に用いられる顔料として
は、本発明の塗料組成物に用い得る顔料として上述した
ものを用いることができ、例えば、これらの着色顔料並
びに体質顔料から1種又は2種以上を用い、カーボンブ
ラックと二酸化チタンとを主要顔料としたグレー系中塗
り塗料とすることができる。上記電着塗料、上記シーラ
ー及び上記中塗り塗料の調製方法は、特に限定されず、
例えば、従来公知の方法により行うことができる。
【0037】上記シーラーを塗布する方法としては特に
限定されない。上記中塗り塗料を塗布する方法としては
特に限定されず、例えば、通称「リアクトガン」と言わ
れるエアー静電スプレー;通称「マイクロ・マイクロ
(μμ)ベル」、「マイクロ(μ)ベル」、「メタベ
ル」等と言われる回転霧化式の静電塗装機等を用いるこ
とにより行うことができる。本発明の塗料組成物を塗布
する方法としても特に限定されないが、通常、エアース
プレーや手吹きスプレー、REAガン塗装機等が用いら
れる。
【0038】本発明の塗料組成物は、上述の中塗り塗膜
を硬化させずにウエット・オン・ウエットで上に塗布
し、これらの2層を一度に加熱硬化させる。上記加熱硬
化は、一般的な焼付条件で行うことができ、例えば、1
20〜160℃にて行うことができ、これにより高い架
橋密度の硬化塗膜が得られる。120℃未満であると、
硬化が充分ではなく、160℃を超えると、塗膜が固く
脆くなるおそれがある。好ましくは、130〜150℃
である。硬化時間は硬化温度により変化するが、130
〜150℃で15〜30分間が適当である。上記中塗り
塗膜に対しては、上記本発明の塗料組成物を塗布する前
に、一定時間室温で放置、又は、例えば60〜100℃
未満にて2〜10分間加熱することによって塗膜を予め
乾燥させるプレヒート工程を施すこともできる。
【0039】このようにして得られる上記各塗膜の乾燥
膜厚は、用途により変化するが、それぞれ、シーラー1
00μm〜5mm、中塗り塗膜10〜60μm、及び、
本発明の塗料組成物からなる塗膜10〜50μmであ
る。これらの上限を超えると、鮮映性が低下したり、塗
装時にムラ、タレ等の不具合が起こることがあり、下限
を下回ると、下地の凹凸が隠蔽できず、膜切れが発生し
たりする。
【0040】本発明の塗料組成物は、上述のように15
00〜5000という高い数平均分子量を有するメラミ
ン樹脂を特定量含有することから、基材上に形成された
未硬化の中塗り塗膜の上にウエット・オン・ウエットで
塗布する場合において、上記中塗り塗膜の下にシーラー
を積層してなるサッシュのエッジ部においても、本発明
の塗料組成物からなる塗膜と中塗り塗膜との境面で反転
を起さず、かつ、肌荒れ等の他の外観不良をも生じな
い。このような有利な効果が得られる理由としては定か
ではないが、次のように考えられる。
【0041】即ち、上記反転は、従来、シーラーに含ま
れる可塑剤がブリードしてくることに起因して生じると
考えられ、また、中塗り塗料の表面張力とサッシュブラ
ックの表面張力との調整が不適切である場合に起こるよ
うに上述の特開平5−7827号公報等に記載されてい
た。そこで、添加剤等により上記表面張力を調整しよう
とする技術が考えられるが、添加剤等による表面張力の
調整や塗料の高粘度化のみでは、上記反転の問題は解消
されなかった。一方、本発明の塗料組成物においては、
上記高分子量のメラミン樹脂を添加することにより、塗
料の粘性と表面張力の調整が適切に行われ、表面張力調
整剤の存在下は勿論、その不存在下においても上記反転
が改良されるとともに、肌荒れ等の他の外観不良をも生
じないものと推定される。
【0042】従って、本発明の塗料組成物は、自動車外
板のサッシュ部に好適に用いられ、サッシュ部に用いる
場合には、中塗り塗膜の下にシーラーが塗布されている
サッシュ内側のエッジ部においても優れた外観を呈する
ことができる。本発明の塗膜形成方法及び基材は、上記
塗料組成物によるものであるので、同様に自動車のサッ
シュ部に好適に用いられる。
【0043】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細
に説明するが、本発明は以下の実施例により限定される
ものではない。部及び%は、それぞれ重量部及び重量%
を意味する。合成例 ポリエステル樹脂の合成 温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、水分離機及び精
留塔を備えた反応槽にイソフタル酸415部、アジピン
酸90部、トリメチロールプロパン100部、ネオペン
チルグリコール200部、2,2−ジメチル−3−ヒド
ロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプ
ロピオネート195部、ジブチル錫オキサイド2部を仕
込み加熱し、210℃まで昇温せしめた。ただし、16
0℃から210℃までは、3時間かけて一定昇温速度で
昇温せしめた。生成する縮合水は系外へ留去した。21
0℃に達したところで保温し、保温1時間後、反応槽内
に還流溶剤としてキシレン30部を徐々に添加し、溶剤
存在下での縮合に切り替え反応を続けた。樹脂酸価が
8.5mgKOH/g(固形分)に達したところで15
0℃まで冷却し、ε−カプロラクトン200部を加え1
50℃で2時間保温した後、100℃まで冷却した。更
にキシレン430部を加え、数平均分子量2700、酸
価7mgKOH/g(固形分)、水酸基価93mgKO
H/g(固形分)のポリエステル樹脂を含む不揮発分7
0%のワニスを得た。
【0044】実施例1〜7、比較例1 上記合成例で得たポリエステル樹脂480部に、キシレ
ン70部、堺化学工業社製硫酸バリウムBF−20を1
35部、三菱化学社製カーボンブラックMA−100を
50部加え予備混合を行った後、ペイントコンディショ
ナー中でガラスビーズ媒体を加え、室温で1時間混合分
散し、粒度5μm以下、不揮発分71%の顔料分散ペー
ストを得た。上記顔料分散ペースト100部に、表1に
示すようにメラミン樹脂を配合するとともに、三井化学
社製レジミックスRL−4を0.1部、三沢化学社製艶
消し剤ミズカシルNP8を5部配合し、サッシュブラッ
ク組成物を得た。メラミン樹脂としては、日本ペイント
社製MF−008(数平均分子量2100、不揮発分6
0%、平均縮合度(Pn )5.4;n−ブチル化メラミ
ン)、大日本インキ化学工業社製スーパーベッカミン1
3−548(数平均分子量3100、不揮発分55%;
iso−ブチル化メラミン)又は三井サイテック社製C
−254(数平均分子量850、不揮発分80%;メチ
ル/ブチル混合アルキルエーテル化メラミン)を用い
た。表1に示すメラミン樹脂の量は、何れも塗料組成物
の樹脂固形分に対する量(重量%)であり、表1の主メ
ラミン樹脂は上記樹脂固形分に含まれるが、表1の添加
メラミン樹脂は上記樹脂固形分に含まれず、上記樹脂固
形分に追加する量として表す。
【0045】厚さ0.8mmのリン酸処理鋼鈑に、カチ
オン電着塗料(日本ペイント社製パワートップU−5
0)を乾燥膜厚で約25μmになるように塗装し、17
0℃で30分間焼き付けた。次いで、シーラーとしてア
イシン社製555Tを乾燥膜厚で約1mmになるように
塗装し、95℃、10分間パスで加熱した。その後、中
塗り塗料として日本ペイント社製OP−30をシンナー
(重量比でトルエン/エクソン社製S−150/酢酸ブ
チル=40/40/20)で希釈したものを乾燥膜厚で
約40μmになるようにエアスプレーガンにて塗装し、
更に上記のサッシュブラック組成物をシンナー(重量比
で酢酸エチル/エクソン社製S−150=70/30)
で希釈し、エアスプレーガンにて乾燥膜厚が約25μm
に塗装した。7〜10分セッティングした後140℃で
30分焼き付け、塗膜を得た。
【0046】(評価)得られた塗膜について、目視によ
り下記基準に従って評価し、結果を表1に示した。 1.中塗り塗膜とサッシュブラックとの間の反転 ○ :反転を全く起さなかった。 ○△:反転がほとんど見られない。 × :反転を顕著に起こした。
【0047】2.肌荒れ ○ :肌荒れが全く生じず、非常に平滑である。 ○△:肌荒れが殆ど生じなかった。 △ :肌荒れがやや生じた。 × :肌荒れが顕著である。
【0048】
【表1】
【0049】表1から、樹脂固形分に対しメラミン樹脂
としてMF−008又はスーパーベッカミン13−54
8を1〜10重量%含むサッシュブラック組成物を用い
た実施例1〜7においては、反転、肌荒れともに全く生
じないか殆ど生じないが、メラミン樹脂としてC−25
4を用いた比較例1においては、反転を顕著に起すこと
が判った。
【0050】
【発明の効果】本発明の塗料組成物は、上述の構成より
なることから、未硬化の中塗り塗膜の上にウエット・オ
ン・ウエットで塗布する場合において、上記中塗り塗膜
の下にシーラーを積層してなる部分においても、本発明
の塗料組成物からなる塗膜と中塗り塗膜との境面で反転
を起さず、かつ、肌荒れ等の他の外観不良をも生じない
ので、優れた仕上がり外観を呈することができる。従っ
て、本発明の塗料組成物、塗膜形成方法及び基材は、自
動車外板のサッシュ部に好適に用いることができ、この
場合にはサッシュのエッジ部においても上記反転等の不
具合を生じない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 161/28 C09D 161/28 Fターム(参考) 4D075 AE09 CA47 DB02 DC12 EB33 EB35 EB52 EB56 4J038 DA161 DA162 DA192 DD001 DD002 DD021 DD111 DD131 GA06 KA03 MA14 NA01 NA03 NA04 NA24 PA03 PA07 PB07 PC02 PC03 PC08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂を含
    む塗料組成物であって、前記メラミン樹脂として、数平
    均分子量が1500〜5000であるものを、前記塗料
    組成物の樹脂固形分に対して1〜10重量%含有するこ
    とを特徴とする塗料組成物。
  2. 【請求項2】 メラミン樹脂は、数平均分子量が180
    0〜3500である請求項1記載の塗料組成物。
  3. 【請求項3】 メラミン樹脂は、塗料組成物の樹脂固形
    分に対して2〜4重量%である請求項1又は2記載の塗
    料組成物。
  4. 【請求項4】 更に、数平均分子量が1500未満のメ
    ラミン樹脂を含むものであって、ポリエステル樹脂と合
    計のメラミン樹脂との配合比は、固形分の重量基準で、
    80/20〜50/50である請求項1、2又は3記載
    の塗料組成物。
  5. 【請求項5】 自動車のサッシュ部に塗布されるもので
    ある請求項1、2、3又は4記載の塗料組成物。
  6. 【請求項6】 基材にシーラーを塗布して得られる塗膜
    の上に中塗り塗料を塗布し、この上にウエット・オン・
    ウエットで請求項1、2、3、4又は5記載の塗料組成
    物を塗布する工程を含む塗膜形成方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の塗膜形成方法により得ら
    れる塗膜を有する基材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7001943B2 (en) 2003-10-17 2006-02-21 E. I. Dupont De Nemours And Company Chip resistant primer composition useful for producing two-tone finishes

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