JP2002248783A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP2002248783A
JP2002248783A JP2001048690A JP2001048690A JP2002248783A JP 2002248783 A JP2002248783 A JP 2002248783A JP 2001048690 A JP2001048690 A JP 2001048690A JP 2001048690 A JP2001048690 A JP 2001048690A JP 2002248783 A JP2002248783 A JP 2002248783A
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ink
liquid
storing
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ink jet
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Katsushi Kato
勝志 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 供給できる濃淡インクの種類数を増やし、幅
広い階調領域で滑らかで正確な濃度表現の画像出力が可
能であるインクジェット記録装置を提供する。 【解決手段】 インクジェット記録装置は、原液を貯留
する原液貯留手段と、所定量の原液同士を混合して所望
濃度を有するインクを生成し、生成されたインクを記録
ヘッドに送出するインク混成手段と、原液貯留手段とイ
ンク混成手段との間に配置され、原液貯留手段からの原
液を計量貯留部に適量計量貯留し、計量貯留した原液を
所定量前記インク混成手段に送出する分配貯留手段とを
備える。該分配貯留手段の計量貯留部は、その上部に、
垂直上向きに液体を排出するために配設されている管部
材を有する。該管部材内部に原液が進入し、その後、前
記管部材に一定時間空気を流通させて該管部材に残留す
る原液を余剰液として排出することにより計量貯留が完
了する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同系色のそれぞれ
濃度の異なるインクを吐出する複数のヘッドを用いて記
録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記
録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置において、プリ
ント速度の向上等のために、複数のインク吐出口を集積
配列した記録ヘッドを用いるもの、また、カラー対応と
してそのような記録ヘッドを複数個備えたものが多くあ
る。
【0003】このようなインクジェット記録装置におい
ては、印字面への記録方式がインク吐出の有無による二
値表現であり、例えば、階調性に富んだ濃淡画像を表現
する場合には、疑似中間調方式を利用した種々の手法が
採られている。画像表現画素単位を1画素から複数画素
にその比率を変えて描画表現する面積階調法や、濃度閾
値マトリックスに対する画素データの大小比較によるデ
ィザ方式、その誤差を周辺データに散りばめる誤差拡散
方式等が代表的な例として挙げられる。
【0004】ところで、この疑似中間調処理を用いる場
合においても、さらに高画質画像を出力するために、記
録媒体の同一位置にインクを多重打ちして階調を表現す
るいわゆるマルチドロップ方式や、同系色で濃度の異な
るインクを用いて階調を表現する多階調インク方式等が
提案されている。
【0005】複数個の記録ヘッドを備えてインクを同一
位置に多重打ちして階調を表現する場合や、同系色で濃
度の異なるインクを用いて階調を表現する場合、同系色
毎に濃度の異なるインクを用意する必要がある。例え
ば、カラー画像記録においては、シアン、マゼンダ、イ
エロー、ブラックの4色を原色として描画するのである
が、よりきめ細かい濃淡を表現する写真調の高画質を得
るためには、少なくともシアンとマゼンダの2色は濃淡
2種類のインクを用意するのがよい。よって、最低でも
6種類、場合によってはそれ以上の種類のインクを用意
する。
【0006】このような傾向は、単純X線撮影、コンピ
ュータ断層撮影(CT)、血管造影法(Angiograph
y)、ディジタル消去血管造影法(DSA)、超音波断
層法、磁気共鳴像(MRI)、陽電子放射断層撮影法
(PET)等の医療用画像をプリント出力する場合にも
同様である。
【0007】診断の基礎となる医療用画像は、モノクロ
濃淡画像であり、透過フィルムに描画される診断画像
は、CT、MRI画像の読影作業に必要とされる透過光
学濃度3.0程度までの濃淡域を、濃度階調数256階
調程度に階調分割して描画することが要求されている。
単純X線撮影画像診断では、さらに細かな階調表現が必
要とされ、4096階調程度の高階調表現が望まれてい
る。
【0008】このように、医療用画像の場合、幅広い濃
度域で高階調記録を行うことが必要であり、この場合
に、上述の同系色について濃度の異なるインクを用いて
階調を表現する方式では、各濃淡インクの濃度差が大き
いとインクの切り替え部分で階調の再現が線形になら
ず、濃度段差(疑似輪郭)が生じ易くなったり、階調性
を維持するために解像度を犠牲にしたり、記録された画
像の粒状感が悪くなり画質がざらついてしまうこと等が
ある。
【0009】それらの解決のためには、濃淡インク数を
増やして記録を行うことが必要とされるが、医療用画像
等の高階調画像記録装置では、多数の濃度のインクが必
要であり、そのインクの種類の分だけインクを貯留する
インク貯留手段を装備しなくてはならず、装置自体の大
型化は避けられなくなる。また、インク濃度差が微小な
場合にはインクの補充交換も複雑になり、誤装填を引き
起こすという問題があった。
【0010】そこで、上記問題を解決する方法として以
下のような提案がなされている。
【0011】すなわち、濃度の比較的高いインクである
第1の原液と、第1の原液を希釈するための希釈液又は
濃度の比較的低いインクである第2の原液を貯留するた
めの少なくとも2つの貯留槽を備え、ヘッドにインクを
供給する以前の段階において、第1の原液及び第2の原
液とを所望の比率にて混合することで中間濃度のインク
を生成する方法である。
【0012】インク混合槽を複数個備え各混合層へ供給
する第1の原液及び第2の原液の供給比率を所望のイン
ク濃度比となるよう割り振る。この時、混合槽への原液
供給量を制御する方式としては、原液槽と混合槽との間
の供給路に供給液の流量を制御する開閉弁等を介在さ
せ、各混合槽へ所望流量だけ原液を供給する。これによ
り得られる各濃度混合液と原液を記録用ヘッドに供給す
ることで高階調な描画が可能となる。
【0013】しかしながら、流量制御弁による供給で
は、管路での流速が一定しない等の原因により流量にバ
ラツキが生じ、混合比が安定しない恐れがある。特に、
粘性の高いインクを用いる場合に顕著であり、流路抵抗
を減らすために貯留槽としてのタンク等の位置関係に制
限が出てきたり、装置の全体構成に影響を与える。さら
に、仮に制御系にトラブルが起きた場合に、インクが混
合槽から溢れる恐れもある。
【0014】そのために、図6に示される混合生成機構
が提案されている。
【0015】図において、101Dは、濃度の比較的高
いインクである第1の原液を貯留するための原液貯留手
段としてのタンクであり、101Lは、第1の原液を希
釈するための希釈液又は濃度の比較的低いインクである
第2の原液を貯留するための原液貯留手段としてのタン
クである。
【0016】103は、インク混成手段であり、少なく
とも1つは用意されている。該インク混成手段103
は、原液同士を混合し、所定の濃度を有する少なくとも
1種類のインクを生成し、得られたインクをヘッド1に
送出する。
【0017】102D及び102Lは、前記タンク10
1D、101Lと前記インク混成手段103との間に配
置されている分配貯留手段である。該分配貯留手段10
2D及び102Lは、前記タンク101D及び101L
からの原液をそれぞれ所定の容量だけ貯留する少なくと
も1つの計量貯留部と、分配の際に生じる余剰液を排出
する排出系とを備え、前記計量貯留部に分配貯留された
第1の原液あるいは第2の原液を前記インク混成手段1
03へ送出する。
【0018】送出路105、106、107は、上記タ
ンク101D、101L、分配貯留手段102D、10
2L、インク混成手段103及びヘッド1を連結し、前
記原液又は混合液を送出する。
【0019】104は、第1の原液であるインクと同一
濃度で記録する場合に設けられたインク一時貯留手段で
ある。また、108は、分配貯留手段102D、102
Lから排出される余剰液を、それぞれタンク101D、
101Lに還流させるようにした還流路である。
【0020】上記構成を有する混合生成機構において、
原液貯留手段からの原液を一定の液体貯留容積を持つ複
数の計量貯留部に一旦前記原液が分配貯留され、前記容
積が一定している前記計量貯留部に完全に満たされ、そ
の後、該計量貯留部の一定容量の原液が前記インク混成
手段に送出される。各計量貯留部から集められた第1の
原液及び第2の原液は、インク混成手段において混合さ
れ、所望の濃度のインクに生成される。
【0021】ここで、前記分配貯留手段につき図7を用
いて詳細に説明する。
【0022】分配貯留手段102は、計量分配タンク1
51及び第1の原液用タンク101Dもしくは第2の原
液用タンク101Lから原液が供給されてくる供給管1
52、空気を排出して計量分配タンク151内部の気圧
を下げ供給管152からの液体の呼び込みを推進するた
めのポンプ200と連通する排気管153、計量分配タ
ンク151からインク混成手段103へ液体を送り出す
ための送出管154乃至158、そして、供給管152
及び送出管154乃至158に通じる送出路を開閉制御
する開閉バルブ159及び160乃至164から構成さ
れている。
【0023】計量分配タンク151は、その内部を複数
の高さの異なる仕切り壁171乃至174により仕切ら
れて、複数の計量貯留槽に分割されている。この例にお
いては、計量貯留部としての計量貯留槽151a、15
1b、151c、151d及び余剰液槽151eという
ように5槽に分割されている。
【0024】計量貯留槽151a、151b、151
c、151dは、第1の原液又は第2の原液である液体
が供給され、液体が仕切り壁171乃至174を越えて
溢れた時点で最大の液体貯留量となる。計量貯留槽15
1a、151b、151c、151dの全てに最大量の
液体貯留が行われた後、余剰液槽151eに液体が到達
し、且つ余剰液槽151eを完全に満たすよりも早い時
点で供給管152よりの液体の供給が停止される。この
ために、液体レベルセンサ165等の検知手段及び供給
管の開閉手段である開閉弁159が設けられている。
【0025】この段階で、計量貯留槽151a、151
b、151c、151dの所望の容量に分配された原液
は、次の工程として送出管154乃至157を通って対
応するインク混成手段103に送り出される。所望の容
積比でインク混成手段103に供給された原液同士は、
所望の濃度のインクへと混合生成され、結果として多種
類の濃度のインクが用意される。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、計量貯
留部に原液を貯留する工程において、各計量貯留部を満
たした後溢れた液体は仕切り壁を乗り越えるのである
が、液体と壁面と空気との間において、界面張力が働く
ため、液体が仕切り壁の高さと一致する高さに納まって
くれるとは限らず、計量貯留部の容積設定が難しい。ま
た、仕切り壁の表面状態によっては貯留される液体の量
の再現性が不十分なこともままあった。
【0027】そのために、容積比率が所望の値に一定せ
ず、混合生成されたインクの濃度が所望の濃度値になら
なくなり、出力画像にエラーが生じてしまう。
【0028】本発明は、上記の観点に鑑みてなされたも
のであって、上記した課題を解決し、濃淡インク数を増
やし、幅広い階調領域で滑らかで正確な濃度表現の画像
出力が可能であるインクジェット記録装置を提供するこ
とを目的としている。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のインクジェット記録装置は、同系色のそれ
ぞれ濃度の異なるインクを吐出する複数のヘッドを用い
て記録媒体の印字面にインクを吐出して所望の印字情報
を該記録媒体に記録するインクジェット記録装置におい
て、少なくとも2種類の原液を貯留する少なくとも2つ
の原液貯留手段と、該原液同士を混合して所定の濃度を
有するように少なくとも1種類のインクを生成し、生成
されたインクを前記ヘッドに送出するインク混成手段
と、前記原液貯留手段と前記インク混成手段との間に配
置され、前記原液貯留手段からの原液を少なくとも1つ
の計量貯留部に所定の容量だけ計量貯留し、計量の際に
生じる余剰液を排出し、計量貯留した原液を前記インク
混成手段に送出する少なくとも2つの分配貯留手段とを
備え、前記分配貯留手段における前記計量貯留部は、気
密性のある容器であって、該容器の天井部に、垂直上向
きに液体を排出するために配設されている管部材を有
し、計量貯留時、該管部材内部に原液が進入することに
より、前記計量貯留部への計量貯留が終了することを特
徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】最初に、本発明のインクジェット
記録装置の概要に関して簡単に説明する。
【0031】図1に本実施例のインクジェット記録装置
の構成が模式的に示されている。図1に示されるよう
に、キャリッジ2上には、各色インクに対応して、記録
ヘッドとして複数のインク吐出口を備えたマルチノズル
ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)1が装填され
ている。本実施例では、ヘッド1をさらに4個装備し、
それぞれブラック(K)のインクについて濃度の低いイ
ンクから順に、第1の濃度インク(D1)、第2の濃度
インク(D2)、第3の濃度インク(D3)、第4の濃
度インク(D4)をそれぞれ吐出させる。これらのヘッ
ド1−D1、1−D2、1−D3、1−D4には、それ
ぞれ多数の導線を配したケーブル4を介して駆動信号が
供給される。
【0032】キャリッジ2は、2本のガイドレール5と
摺動可能に結合され、また、ベルト6を介してキャリッ
ジ駆動モータ8の駆動力が伝達されることにより、図中
X方向に往復動して一連の主走査を行うことができる。
さらに、不図示の紙送りモータにより図中Y方向矢印の
向きに記録用紙等の記録媒体7を搬送して副走査が行わ
れる。前記主走査及び副走査は交互に行われ、該主走査
中に各ヘッド1から吐出される各インクにより記録媒体
7に順次画像が記録される。
【0033】ヘッド1−D1、1−D2、1−D3、1
−D4に対しては、キャリッジ2とは別の箇所、例えば
装置本体、に装着された後述するインク混成タンク群か
ら各インク供給管3−D1、3−D2、3−D3、3−
D4を介してD1インク、D2インク、D3インク及び
D4インクが供給される。
【0034】キャリッジ2の移動範囲である一方の端部
には、ヘッドクリーニング機構9が設けられており、待
機時にヘッド1の各インク吐出口に対してキャッピング
をするとともに、このキャッピング状態でインク吸引を
行ない、あるいはヘッド表面をブレードで洗浄するワイ
ピング等を行う。
【0035】次に、本発明に係るインクジェット記録装
置のインク供給系の構成を図2乃至5に基づいて説明す
る。
【0036】インクジェット記録装置のインク供給系の
主なる構成は、従来例として例示した図6に示す構成と
略同じである。したがって、ここでは従来例と異なる構
成を中心に説明することとする。
【0037】濃度の比較的濃い(高い)原液インクが予
め注入されている原液貯留手段101としての原液イン
クタンク51Dは、適切な使用環境の下においては十分
な印字が可能なだけのインク量を保有する内容積を有す
るとともに、インクを使い切った際には、外部からのイ
ンク補充が可能な構造、もしくは本体である記録装置に
対して交換できるように着脱可能な構造になっている。
該原液インクタンク51Dは、その底部に供出口51D
aを有しており、該供出口51Daからインク供給路5
2Dを経て分配貯留手段102を構成する計量貯留タン
ク57Dに連結されている。該原液インクタンク51D
は、その天井部に給入口51Dbを有しており、還流路
69Dに連結されている。さらに、該原液インクタンク
51Dは、上記天井部に大気連通口51Dcを有してお
り、前記供出口51Da及び給入口51Dbにおけるイ
ンクの出入りが支障なく行なわれるようになっている。
【0038】インク供給路52Dには、供給制御弁53
Dとしての開閉制御弁が設けられており、原液インクタ
ンク51Dからのインクの供給動作は、該供給制御弁5
3Dにより制御可能とされている。また、インク供給路
52Dに空気導入路54Dが接続され、該空気導入路5
4Dには、空気導入制御弁55Dが設けられている。
【0039】空気導入制御弁55Dとしては、電気信号
等を受けて流路を開閉制御するタイプの弁であってもよ
いが、制御系統が複雑化するのを避けることができるの
で圧力差自動開閉弁を使用することが好ましい。
【0040】ここで、該圧力差自動開閉弁の構造を図4
に示される該圧力差自動開閉弁の断面図を用いて詳細に
説明する。
【0041】301は、弁ケースで、流路以外は密封さ
れた容器とされている。弁ケース301には、流路とし
て上流側管部材302、下流側管部材303が接続され
ている。弁ケース301の内側に突出部301aが設け
られており、内部には前記突出部301aと密着した際
に流路を遮断する可動封止部材304及び該可動封止部
材304に付勢力を与えるバネ部材305が収容されて
いる。
【0042】上流側管部材302内の流体圧力が下流側
管部材303内の流体圧力より低い状態では、可動部材
304は、バネ部材305により突出部301aに押付
けられて、上流側と下流側の連通を遮断していおり、圧
力差自動開閉弁は閉じられたままである。
【0043】上流側管部材302内の流体圧力が下流側
管部材303内に流体圧力に相対して高まると流路が徐
々に開く。このことは、上流側管部材302内の流体圧
力をP1、下流側管部材303内の流体圧力をP2、上
流側管部材302内の流体に接し、突出部301aに囲
まれた部分の可動封止部材304の面積をS、バネ部材
305の付勢力をFとすると、圧力差(P1−P2)が
(F/S)を上回った時、圧力差自動開閉弁が開くこと
を意味する。
【0044】圧力差自動開閉弁が開けば圧力差により上
流側から下流側へ向って流体が流れ込むが、それ以外で
は該圧力差自動開閉弁が閉じているため、下流側から上
流側へ向って流体が流れ込むことはない。すなわち、こ
の圧力差自動開閉弁は、空気導入路54Dで逆流が起き
た時液が外部に漏れてしまうことを防止し得る逆止弁と
しても機能している。
【0045】また、前記バネ部材305の不勢力Fと前
記面積Sの適切な設定によって、弁が開放する時の圧力
差(P1−P2)の値を任意に設定することも可能であ
る。さらに、圧力差自動開閉弁は、電気的な制御をする
ことなく他の制御弁やポンプとの連携のみで開閉を制御
することも可能である。
【0046】本実施例において、分配貯留手段102
は、以下に説明するように、複数の容器とそれぞれを連
結する複数の管部材から構成されている。
【0047】57D−1、57D−2、57D−3、5
7D−4は、計量貯留部としての計量貯留タンクであ
り、後述される構成を有することによりその容積が決め
られている容器である。61Dは、計量貯留タンク57
D1〜4の貯留の完了を検出するする検出センサ62D
を備え、一時的に余剰インクを貯留する余剰液タンクで
ある。計量貯留タンク57D1〜4及び余剰液タンク6
1Dは、気密性のある容器で、それぞれ複数の管部材が
接続されており、管部材管内以外での空気及び液体の出
入りは遮断されている。
【0048】58D−1、58D−2、58D−3、5
8D−4は、計量貯留タンク57D−1、57D−2、
57D−3、57D−4と余剰液タンク61Dをそれぞ
れ連結する連結管であり、この連結管を通して空気や液
体のやりとりが行なわれる。59D−1、59D−2、
59D−3、59D−4は、原液が分配貯留された後
に、該原液をインク混成手段103へ導くための供給路
であり、それぞれ供給動作を制御する供給制御弁60D
−1、60D−2、60D−3、60D−4が設けられ
ている。
【0049】余剰液タンク61Dの検出センサ62D
は、電極63Dと金属管(電極)64Dとを設け、イン
クの導電性を利用し、両電極間の電気的な導通、非導通
を検知して液体の有無を判断するセンサである。検出セ
ンサは、本実施例に限られることはなく、液体の有無で
の反射光や透過光の状態の差異を検知するタイプのセン
サでもよいし、液体の挙動をフロートや羽根車等の運動
に変換して検知するタイプのセンサであってもよい。
【0050】余剰液タンク61D内の天井から下向きに
配置された前記電極である金属管64Dに連続して管部
材が接続されており、該管部材は、還流路69Dとして
原液インクタンク51Dへと連結されている。また、還
流路69Dの途中には、吸引ポンプ200Dが設けられ
ている。該吸引ポンプ200Dは、分配貯留手段102
を構成する計量貯留タンク57D1〜4および余剰液タ
ンク61D内の流体圧力を減圧し、余剰インクを原液イ
ンクタンク51Dへ排出する。
【0051】ここで、吸引ポンプ200の一例として、
チューブポンプの構造を図5を用いて説明する。201
は、ポンプケースで、弾力性を持ち、断面積が可変の管
部材(チューブ)202を保持している。203は、回
転ドラムで、外側にチューブ202の一部を押しつぶす
コロ204を少なくとも一つ備えている。回転ドラム2
03は、不図示の動力源(モータ等)によって軸203
pを中心に矢印方向に回動し、コロ204で押しつぶさ
れたチューブ202の一部分により密閉されたチューブ
202内の空間が矢印方向に移動し、流体を下流側Lへ
配送するとともに、上流側Uの流体の圧力を減少させ
る。チューブ202内の流体は、空気でもインク等の液
体でもどちらでも同様の作用をする。本実施例において
は、吸引ポンプとして上記の通りチューブポンプを採用
しているが、他にも同様に流体を送り出すとともに上流
側の流体の圧力を減少させるポンプであれば、どのよう
なポンプであってもよい。
【0052】インク供給路59D−1、59D−2、5
9D−3、59D−4に設けられた供給制御弁60D−
1、60D−2、60D−3、60D−4は、電気信号
を受けて流路を開閉制御するタイプの弁であってもよい
が、装置全体の制御の複雑化を考慮すると、空気導入弁
55Dと同様の圧力差自動制御弁を使用することが好ま
しい。
【0053】本実施例では圧力差自動制御弁を採用して
いる。この場合、下流側であるインク混成手段103内
の圧力が、後述する吸引ポンプ210により減圧され、
大気圧を大きく下回った時のみ圧力差自動制御弁が開放
されるように、パラメータである面積Sとバネの付勢力
Fが設定されている。
【0054】続いて、第2の原液としての希釈液に関す
る原液貯留手段101、分配貯留手段102、インク混
成手段及びそれら周辺の供給路等の説明に入るが、基本
的な構成は、第1の原液であるインクに関するものと概
ね同様である。分かり易いように、同様の機能を有する
部材については記号の“D”と“L”とを置き換えて示
している。
【0055】本実施例では、第2の原液は希釈液であ
り、第1の原液の濃度を薄める働きしか持っていない
が、第1の原液であるインクに比べて濃度の異なる(薄
い)第2のインクを第2の原液としてもよい。そうする
ことにより、混合せずに記録に使用できるインク種類が
増えて、インク混合手段が少なくなり装置構成上シンプ
ル化、低コスト化を図ることができる。
【0056】原液貯留手段101として希釈液が予め注
入されている希釈液タンク51Lがあり、該希釈液タン
ク51Lは、適切な使用環境の下では十分な印字が可能
である液量を保有する内容積を有するとともに、液を使
い切った際には、外部からのインク補充が可能な構造、
もしくは本体である記録装置に対して交換できるように
着脱可能な構造になっている。希釈液タンク51Lは、
その底部に供出口51Laを有しており、、該供出口5
1Laから希釈液供給路52Lを経て分配貯留手段10
2としての計量貯留タンク57Lに連結されている。ま
た、該希釈液タンク51Lは、その天井部に給入口51
Lbを有しており、還流路69Lに連結されている。さ
らに、該希釈液タンク51Lは、大気連通口51Lcを
有しており、前記供出口51La及び給入口51Lbに
おける希釈液の出入りが支障なく行なわれるようになっ
ている。
【0057】希釈液供給路52Lには、供給制御弁53
Lとしての開閉制御弁が設けられており、希釈液タンク
51Lからの希釈液の供給動作は、該供給制御弁53L
により制御可能とされている。また、希釈液供給路52
Lに空気導入路54Lが接続され、該空気導入路54L
には、空気導入制御弁55Lが設けられている。
【0058】空気導入制御弁55Lとしては、上記した
空気導入制御弁55Dと同様に、電気信号等を受けて流
路を開閉制御するタイプの弁であってもよいが、制御系
統が複雑化するのを避けることができるので圧力差自動
開閉弁を使用することが好ましい。
【0059】本実施例において、分配貯留手段102
は、複数の容器とそれぞれを連結する複数の管部材から
構成されている。
【0060】57L−1、57L−2、57L−3は、
希釈液用の計量貯留タンクであり、後述される構成を有
することによりその容積が決められている容器である。
61Lは、計量貯留タンク57L1〜3の貯留の完了を
検出するする検出センサ62Lを備え、一時的に余剰希
釈液を貯留する余剰液タンクである。計量貯留タンク5
7L1〜3及び余剰液タンク61Lは、気密性のある容
器で、それぞれ複数の管部材が接続されており、管部材
管内以外での空気及び液体の出入りは遮断されている。
【0061】58L−1、58L−2、58L−3は、
計量貯留タンク57L−1、57L−2、57L−3と
余剰液タンク61Lをそれぞれ連結する連結管であり、
この連結管を通して空気や希釈液のやりとりが行なわれ
る。59L−1、59L−2、59L−3は、希釈液が
分配貯留された後に、該希釈液をインク混成手段103
へ導くための希釈液供給路であり、それぞれ供給動作を
制御する供給制御弁60L−1、60L−2、60L−
3が設けられている。
【0062】余剰液タンク61Lの検出センサ62L
は、電極63Lと金属管(電極)64Lとを設け、希釈
液の導電性を利用し、両電極間の電気的な導通、非導通
を検知して液体の有無を判断するセンサである。余剰液
タンク61L内の天井から下向きに配置された前記電極
である金属管64Lに連続して管部材が接続されてお
り、該管部材は、還流路69Lとして希釈液タンク51
Lへと連結されている。還流路69Lの途中には、吸引
ポンプ200Lが設けられている。該ポンプ200L
は、分配貯留手段102を構成する計量貯留タンク57
L1〜3および余剰液タンク61L内の流体圧力を減圧
し、希釈液を希釈液タンク51Lへ排出する。該吸引ポ
ンプ200Lは、上記吸引ポンプ200Dと同様、チュ
ーブポンプを使用している。
【0063】希釈液供給路59L−1、59L−2、5
9L−3に設けられた供給制御弁60L−1、60L−
2、60L−3は、電気信号を受けて流路を開閉制御す
るタイプ弁であってもよいが、装置全体の制御の複雑化
を考慮すると、上記空気導入弁55Dと同様の圧力差自
動制御弁を使用することが好ましい。
【0064】原液インク分配貯留手段と希釈液分配貯留
手段の異なる部分は、原液分配貯留手段が計量貯留タン
クを4個備えるのに対して、希釈液分配貯留手段は3個
であることである。これは、希釈液のみでの記録は行わ
れないが、原液インクは希釈されずにそのままの濃度の
インクが記録に使用されるためである。すなわち、原液
インク分配貯留手段においては、上記従来例で述べたイ
ンク一時貯留手段104に分配するための計量貯留タン
クが1個余分に備えられている。なお、余分の計量貯留
タンクは、必ずしも必要ではなく、原液インクタンク5
1Dから直接ヘッド1へ送出されてもよく、その場合、
4個あった計量貯留タンクは1個省略することができ
る。
【0065】記録に使用されるインク濃度D1、D2、
D3の3種のインクに対応して3個備えられているイン
ク混成手段103は、インク混成タンク71−D1、7
1−D2、71−D3から構成されている。
【0066】インク混成タンク71−D1の天井部に
は、インク供給路59D−4に連結されるインク供給口
71−D1a、希釈液供給路59L−1に連結される希
釈液供給口71−D1b、ポンプ210−D1へ導かれ
る排気路73−D1に連結される排気口71−D1c
が、底部には所望の濃度に混成されたインクをヘッド1
−D1へ導くための混合液供給路78−D1に連結され
る混合液供出口71−D1dがそれぞれ設けられてい
る。同様に、インク混成タンク71−D2の天井部に
は、インク供給路59D−3に連結されるインク供給口
71−D2a、希釈液供給路59L−2に連結される希
釈液供給口71−D2b、ポンプ210−D2へ導かれ
る排気路73−D2に連結される排気口71−D2c
が、底部には所望の濃度に混成されたインクをヘッド1
−D2へ導くための混合液供給路78−D2に連結され
る混合液供出口71−D2dがそれぞれ設けられてい
る。さらに同様に、インク混成タンク71−D3の天井
部には、インク供給路59D−2に連結されるインク供
給口71−D3a、希釈液供給路59L−3に連結され
る希釈液供給口71−D3b、ポンプ210−D3へ導
かれる排気路73−D3に連結される排気口71−D3
cが、底部には所望の濃度に混成されたインクをヘッド
1−D3へ導くための混合液供給路78−D3に連結さ
れる混合液供出口71−D3dがそれぞれ設けられてい
る。
【0067】また、インク混成タンク71−D1、71
−D2、71−D3には、該混成タンク71−D1、7
1−D2、71−D3内部のインクの混成を促すため
に、回転翼74−D1、74−D2、74−D3とその
動力源であるモータ75−D1、75−D2、75−D
3がそれぞれ備えられ、適時攪拌を行なえるようにされ
ている。なお、攪拌手段として本実施例では、上記回転
翼を使用しているが、例えば容器自体を揺動する等他の
攪拌手段を用いてもよい。
【0068】インク濃度D4の記録インクは、原液イン
クをそのままで使用するためにインク一時貯留手段10
4としての貯留タンク76に一度導かれる。該貯留タン
ク76は、その上部で、原液インクを供給するインク供
給路59D−1、ポンプ210−D4へ導かれる排気路
73−D4に、その底部で、インクをヘッド1−D4に
導くインク供給路78−D4に接続されている。該貯留
タンク76は、インクのみを貯留するために回転翼等の
攪拌手段を必要としない。なお、第2の原液が比較的濃
度の低いインクである場合には、同様に第2の原液に対
応したインク一時貯留手段としての貯留タンクを設けて
もよい。また、この貯留タンク76は、原液インクタン
ク51Dから直接ヘッド1に送出することも可能で、し
たがって、上記計量貯留タンクを1個省略できることと
関連して該貯留タンク76も省略できる。
【0069】インク混成タンク71−D1、71−D
2、71−D3及び貯留タンク76には、インクの貯留
量を検出するセンサ77−D1、77−D2、77−D
3、77−D4が、それぞれ設けられている。これらの
センサは、タンク内のインクがヘッドへ送り出された後
に、インクの残量がわずかになったことを検知して信号
を出力する。
【0070】排気路73−D1、73−D2、73−D
3、73−D4は、上記したように、それぞれ吸引ポン
プ210−D1、210−D2、210−D3、210
−D4へ連結されている。これらの吸引ポンプ210−
D1〜4は、対応するインク混成タンク71−D1〜3
及び貯留タンク76内の空気を排出するとともに該イン
ク混成タンク71−D1〜3及び貯留タンク76内の圧
力を減少させる。これらの吸引ポンプ210−D1〜4
も、上記したように、吸引ポンプ200D等と同じくチ
ューブポンプであってもよいし、ダイアフラムポンプ、
ロータリーポンプのような他の種類のポンプであっても
よい。
【0071】上記インク混成タンク71−D1、71−
D2、71−D3及び貯留タンク76からヘッド1−D
1、1−D2、1−D3、1−D4へそれぞれ記録用イ
ンクを導くための混合液供給路78−D1、78−D
2、78−D3、78−D4には、それぞれ該記録用イ
ンクの供給を制御するための供給路開閉弁79−D1、
79−D2、79−D3、79−D4が設けられてい
る。
【0072】次に、以上の構成による記録装置を用いた
インクの混合生成及び充填動作について説明する。
【0073】インク混成タンク71−D1〜3及び貯留
タンク76のセンサ77−D1、77−D2、77−D
3、77−D4のいずれかのセンサにより残量減少との
出力信号を得ると、インク混合及び充填動作が開始され
る。印字中又は待機中において、全ての開閉弁が閉状態
に保持されている状態から、先ず、混合液を生成するた
めに、開閉弁53D及び53Lが開かれる。
【0074】続いて、吸引ポンプ200D、200Lが
作動されると、計量貯留タンク57D−1〜4、57L
−1〜3及び余剰液タンク61D、61L内が負圧状態
になる。これらのタンク内が負圧状態になることによ
り、原液インクタンク51D及び希釈液タンク51Lか
らインク又は希釈液がインク供給路52D又は希釈液供
給路52Lを経て計量貯留タンク57D−1及び57L
−1に注ぎ込まれる。
【0075】ここで、計量貯留タンク57D−1〜4及
び57L−1〜3の詳細について図3を用いて説明す
る。
【0076】各計量貯留タンクは、共通の特徴を有する
形状を備えており、ここでの説明においては、付されて
いる記号の内目的別貯留液体を識別するD−1〜4、L
−1〜3を省略して説明する。
【0077】図3(a)は、計量貯留タンク57の断面
斜視図である。計量貯留タンク57は、液体を所定量だ
け貯留した後に所定量を排出するという機能を有する。
このため、計量貯留タンク57から排出される液体の分
量は、常に再現性を持たなければならない。すなわち、
液体排出後タンク内に残る液体の量は一定していなくて
はならず、タンク内壁面に液体が付着する等の不定量の
液体残りが発生してはならない。この観点から、計量貯
留タンク57は、液体が残り易い角隅部が存在しないよ
うな断面円形状のものが望ましい。
【0078】したがって、本実施例においては、計量貯
留タンク57は、液体貯留部分の断面積が一定の円筒形
状を採用している。該円筒形状を採用することにより、
計量貯留タンク57の貯留容積の設定についても、上記
断面円の直径と液面の高さのみで設定可能であり、さら
に製作が容易であるとともに誤差も少ない。また、断面
積が一定である円筒形状であることは、容積の異なる容
器を製作する際に、高さのみを異なるように変更すれば
よく、本実施例のように複数の容積の異なる容器を製作
するのに対して容易にこれをなし得る。
【0079】計量貯留タンク57は、天井部に、液体が
流入してくる流入口57a、空気及び液体を吸引する吸
引口57bを、下底部に、供給路59に接続され、適量
貯留された後の液体を排出する排出口57cを備えてい
る。計量貯留タンク57D−1、57L−1における流
入口57aは、それぞれインク供給路52D、希釈液供
給路57Lに接続されている。計量貯留タンク57D−
2、57D−3、57D−4、57L−2、57L−3
における流入口57aは、それぞれ連絡管58D−1、
58D−2、58D−3、58L−1、58L−2に接
続されている。また、計量貯留タンク57D−1、57
D−2、57D−3、57D−4、57L−1、57L
−2、57L−3の吸引口57bは、それぞれ連絡管5
8D−1、58D−2、58D−3、58D−4、58
L−1、58L−2、58L−3に接続されている。
【0080】計量貯留タンク57の流入口57aは、該
計量貯留タンク57内に液体を安定して流し出し、液体
の供給が停止された時に液体切れが良好であるように、
計量貯留タンク57内に筒先を突出させた断面円形の管
部材として構成されている。また、該流入口57aは、
垂直下向きに開口させることで特に液体の切れをよくす
ることができる。
【0081】計量貯留タンク57の吸引口57bも同様
に該タンク57内垂直方向下向きに筒先を突出させた断
面円形の管部材である。該吸引口57bの筒先開口部の
位置は、計量貯留タンク57内に計量、貯留される液体
の最大貯留量を決定する。ところで、液体の最大貯留時
に、液体と流入口57aが接触してしまうと、液面形状
の変形により液体貯留量にバラツキが生じてしまう。こ
れを避けるため、液体と流入口57aの筒先を接触させ
ないように、吸引口57bの筒先のほうを流入口57a
の筒先よりも低い位置まで突出させることが好ましい。
【0082】吸引ポンプ200の作動により吸引口57
bから空気が吸われて排出されると、計量貯留タンク5
7内の圧力が下がり始める。この時、供給制御弁60は
閉じられ、供給制御弁53は開かれているので、原液貯
留タンク51からの液体は、流入口57aより計量貯留
タンク57内に導かれ、液体の貯留が始まる。
【0083】貯留の進展により、液体の液面が上昇し、
該液面が吸引口57bに接触すると、液体は、該吸引口
57bから吸引され、連絡管58内に進入し始める。す
なわち、該計量貯留タンク57における液体貯留は終了
し、連結管58を介して次の計量貯留タンク57へ液体
を送り出し、該次の計量貯留タンク57の貯留を始める
ことになる。このような動作の繰り返しで、原液インク
用の計量貯留タンク57D−1、57D−2、57D−
3、57D−4及び希釈液用の57L−1、57L−
2、57L−3に順次原液インク又は希釈液の貯留が行
なわれ、最後の計量貯留タンク57D−4又は57L−
3に液体が満たされた後、該液体は、余剰液タンク61
D、61Lに流れ込む。該余剰液タンク61D、61L
の液体検出センサ62D、62Lが、流入する液体を検
出すると、供給制御弁53D又は53Lが閉じられ、液
体の供給が停止される。液体検出センサ62D又は62
Lの液体検出の後先は重要ではなく、センサ62Dが液
体を検出すれば供給弁53Dを、センサ62Lが液体を
検出すれば供給弁53Lをそれぞれ閉じる。
【0084】供給制御弁53が閉じられた後も吸引ポン
プ200を停止させないでおくと、圧力差自動開閉弁で
ある空気導入制御弁55は、上流側圧力(大気圧)に比
して下流側圧力が低くなるため開放状態となる。空気導
入制御弁55の開放により、空気導入路54を介して計
量貯留タンク57の流入口57aから該計量貯留タンク
57内に空気が進入する。計量貯留タンク57の給入口
57b付近の液体が吸引し尽くされると、該吸引口57
bから空気のみが吸引されるようになる。該空気の流入
により、連絡管58内に存在していた液体は、全て押し
出されて余剰液タンク61に送り出され、さらに金属管
64、還流路69を通って原液貯留タンク51に戻され
る。このように余剰液は、廃棄されずすべて元に戻され
再利用されるので無駄がない。
【0085】金属管64付近の液体も吸引し尽くされる
と、電極63と金属管64との間の電気的導通が失われ
て、液体検出センサ62は、液体を検出できなくなる。
これをトリガーにして吸引ポンプ200は停止され、液
体の計量、貯留が完了する。
【0086】図3(b)に、計量貯留タンク57に計
量、貯留が完了した液体の状態が示されている。計量、
貯留された液体の液面は、吸引口57bの筒先と微量の
ギャップを与えられたわずかに低い高さに位置してい
る。この状態は、該吸引口57bの周囲の液体が吸引し
尽くされたためであり、このギャップの量は、吸引口5
7bの筒先と空気と液体の界面張力により決定される。
該ギャップの量は、比較的再現性が高く、結果として計
量、貯留される液体分量の再現精度を高めている。計量
貯留タンク57の吸引口57bの形状、配置がこの結果
に大きく影響を与えている。
【0087】引き続き、液体貯留後の動作につき、順序
にしたがい説明をする。
【0088】吸引ポンプ200が停止された後、計量、
貯留された液体は、インク混成手段であるインク混成タ
ンク71−D1、71−D2、71−D3及びインク一
時貯留手段である一時貯留タンク76にインクを移送す
る工程に進む。供給路開閉弁79−D1、79−D2、
79−D3、79−D4を閉じた状態で、上記したイン
ク残量が不足していることを検出したインク混成タンク
71に対応する吸引ポンプ210が作動される。例え
ば、インク混成タンク71−D1の残量検出器77−D
1が残存液量減少の信号を発信したとすると、吸引ポン
プ210−D1が作動される。
【0089】続いて、吸引ポンプ210の負圧作用によ
り、インク混成タンク71もしくは一時貯留タンク76
内の負圧が高まり、圧力差自動開閉弁である供給制御弁
60が、上流と下流の圧力差(P1−P2)がF/Sを
上回って、開放する。すると、原液インク用計量貯留タ
ンク57D−1、57D−2、57D−3、57D−4
及び希釈液用計量貯留タンク57L−1、57L−2、
57L−3に貯留されていた液体は、対応する供給路5
9D−1、59D−2、59D−3、59D−4、59
L−1、59L−2、59L−3のいずれかを通ってイ
ンク混成タンク71−D1、71−D2、71−D3及
びインク一時貯留手段である一時貯留タンク76のいず
れかに供給される。計量、貯留されていた液体がなくな
れば、液体供給は終了するが、確実性を見込んで前記吸
引ポンプ210を所定時間だけさらに作動し続けた後に
停止させることにより、インク移送を完了する。なお、
移送完了を検出する何らかのセンサを設けてもよい。
【0090】計量貯留タンク57内の液体が全量インク
混成タンク71に移送されると、該インク混成タンク7
1内の原液インクと希釈液は、モータ75の駆動により
回転される回転翼74により攪拌される。該原液インク
と希釈液は、予め所定量だけインク混成タンク71内に
分配されるのであるから、インク混成タンク71内にお
いて、均一化された所望濃度のインクが生成されること
になる。同様に、他のインク混成タンク71でも、所定
量の液体が供給され、攪拌されて、印字記録に必要な種
々の濃度のインクが生成されることとなる。
【0091】なお、装置の設置時等、インク混成タンク
71−D1、71−D2、71−D3及びインク一時貯
留タンク76の全てが空の際には、ポンプ210−D
1、210−D2、210−D3、210−D4を同時
運転して、全インク混成タンクに液体を供給してインク
を生成することができる。
【0092】以上の工程により生成された種々の濃度の
インクは、不図示のポンプの動作等により供給路78−
D1、78−D2、78−D3、78−D4を通って対
応するヘッド1−D1、1−D2、1−D3、1−D4
へ送り込まれる。
【0093】ここで、図3(c)に示される、計量貯留
タンク57に残留している液体の状態について検討す
る。
【0094】残留している液体の液面は、計量貯留タン
ク57の排出口57cの筒先よりわずかに高い高さに位
置し、該排出口57cの筒先より以下に液体が残留して
いることが解かる。したがって、移送工程において排出
された液体の分量は、図3(c)にハッチングで示され
る部分に相当する。すなわち、排出された液体の分量
は、排出口57cの筒内部及び筒先周囲の微妙な形状を
無視すれば、ほぼ円筒形状となる。
【0095】また、図3(b)に示されるように、液体
と空気と計量貯留タンク57の壁面の界面張力により、
該壁面と接触する液体の液面が歪む。しかし、図3
(c)に示されるように、液体排出後に残留する液体の
液面も、ほぼ同様の形状に歪めば、このひずみ分は相殺
されることになる。そのためにも、計量貯留タンク57
の貯留空間は、水平断面が一定の円筒形状に作られてい
ることが好ましい。
【0096】なお、上記計量貯留タンク57の排出口5
7cが、タンク底部に単なる穴として形成されていて、
貯留している液体を全て排出できるようにした場合、タ
ンク側壁部と底部とが接する隅部などに液が残留し易
く、この残留を防ぐことは難しい。しかもその残留量
は、貯留のたびに一定するものでもなく、計量、貯留さ
れた液体を分配する分量の安定性に対して不利となるも
のである。したがって、本実施例で示されるように、計
量貯留タンク57の排出口57cの筒先をタンク下底よ
り突出させて設けることが好ましい。上記排出口57c
の筒先を突出させ、計量貯留タンク57下方に適量の液
体を残留させることにより、排出分量が安定し、混合生
成されるインクの濃度の再現精度を向上させることがで
きる。
【0097】計量貯留タンク57に計量貯留される液体
の分量は、原液インクと希釈液により混合生成される各
インクの混合成分量に応じて設定される。上記図3
(c)におけるハッチングで示される部分の容量をそれ
ぞれ設定することにより混合比が決定される。例えば、
混合生成されるインクの所望濃度比をD1:D2:D
3:D4=1:2:4:8とする。混成後の各インク容
量がほぼ均一に生成されるべく原液のまま供給されるイ
ンク(D4)の容量を仮に100とすると、インク計量
貯留タンク57−D1〜D4における容量比は、10
0:50:25:12.5となるように設定すればよい
ことがわかる。また、希釈液計量貯留タンク57−L1
〜L3における容量比は、87.5:75:50となる
ように設定すればよいこともわかる。本実施例において
は、貯留空間の形状が円筒形状であるため、水平断面の
円の径を同一にしておけば、高さに相当する部分(排出
口57cの開口部から吸引口57bの開口部までの高さ
H)を所望の比になるように設定すればよく、計量貯留
タンク57の製作が容易である。
【0098】ここで、計量貯留タンク57が傾いて設置
された場合、計量貯留タンク57の形状によっては、貯
留される原液インク又は希釈液の分量が変動することが
考えられる。しかしながら、計量貯留タンク57の吸引
口57b及び排出口57cを円筒形状の該計量貯留タン
ク57の中心軸線上に配置することにより、図3(d)
のハッチングで示されるように排出される液体の容積は
ほとんど変わることがない。したがって、計量貯留タン
ク57が傾いていたとしても、原液インクと希釈液の混
合比が変わることもなく、混合生成されるインクの濃度
に影響を与えることはない。
【0099】このように、本実施例によれば、インクの
補充は4種類の濃淡インク全てに対して行う必要はな
く、原液インクと希釈液のみの補充だけでよい。このた
め、インクの複雑で煩雑な補充作業を減少させることが
できる。同時に、装置の大型化も避けられ、計量分配に
際しても無駄な廃液を出さない記録装置の提供が可能と
なる。
【0100】本実施例では、4種類の濃淡インクの例を
示したが、より滑らかな画像記録を行うためには、濃淡
インクの種類を増やすことが考えられ、その場合より一
層の効果が期待できる。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ある一定量の濃度の高いインクと希釈液又は濃度の低い
インクから複数種の濃度のインクを混合生成するに際
し、所望の液体分配が可能で、濃度再現精度の高い複数
種類の濃度のインクを生成でき、濃度階調表現の正確な
画質の優れたインクジェット記録装置が実現できる。
【0102】計量貯留部吸引口として天井部に垂直上向
きに流体を吸引する管部材を配設することにより、貯留
量の誤差の少ない液体の貯留が可能である。
【0103】空気導入路と空気導入制御弁を設け、前記
管部材に一定時間空気を流通せしめて、前記管部材内部
に残留する液体を一掃する工程を実施することによっ
て、余計な残留を生じさせず計量貯留した液体を送出す
る際の排出量の誤差を少なくすることができる。
【0104】前記計量貯留部の貯留空間の水平断面が円
形状であれば、該計量貯留部側面に液体がたまり易い角
隅部がなくなり、排出される液体の分量の再現性を高め
られる。
【0105】前記計量貯留部の貯留空間の水平断面積を
垂直方向に一定にすることにより、計量貯留部壁面と接
触する液体液面が歪んでも排出量容積に影響が出ず、排
出量の誤差を少なくすることができる。さらに、前記計
量貯留部の貯留空間を、垂直方向に断面積が一定である
円筒形状にすることにより、製作が容易で誤差も少なく
でき、また、容積の異なる計量貯留容器を製作する際も
単に高さを異ならせるだけでよい。
【0106】前記計量貯留部の排出口の筒先をタンク下
底部より突出させて、該計量貯留部下方に決まった量の
原液インクを残留させることによっても、排出量の誤差
を少なくできる。
【0107】装置全体が傾いて設置された場合であって
も、前記吸引口及び排出口を円筒の中心軸線上に配置す
ることにより、排出量はほぼ変わることなく誤差も少な
い。
【0108】複数の円筒形計量貯留部の水平断面円の径
を同一にすれば、高さに相当する部分の寸法を所望の比
にしておくだけでよいので製作が容易である。
【0109】空気導入制御弁として圧力差自動開閉弁を
使用すると、制御系統が複雑化するのを避けることがで
きる。また、逆流防止効果をもたせることもでき、液体
が漏れる恐れがない。分配貯留手段空の排出液の供給を
制御する供給弁に対しても圧力差自動開閉弁を使用すれ
ば、制御系統の複雑化をさらに避けることができる。
【0110】余剰液タンクから主なる貯留槽への還流路
を設けることにより、計量の際に余剰となった液体が再
利用されるため、廃液が生じることもなく無駄がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の模式的上面
図である。
【図2】本発明のインクジェット記録装置におけるイン
ク供給系を示す構成図である。
【図3】本発明を構成する計量貯留タンクの詳細を示す
図で、(a)は、計量貯留タンクの断面斜視図、(b)
は、計量貯留完了時の計量貯留タンクの断面図、(c)
は、分配(排出)完了時の計量貯留タンクの断面図、
(d)は、傾斜時の計量貯留タンクの断面図ある。
【図4】圧力差自動開閉弁の詳細を示す断面図である。
【図5】チューブポンプの詳細を示す断面図である。
【図6】従来例におけるインク供給形を示す概略構成図
である。
【図7】従来例における分配貯留手段の詳細を示す計量
分配タンクの断面図である。
【符号の説明】
1、1−D1〜D4 ヘッド 2 キャリッジ 3、3−D1〜D4 インク供給管 4 制御ケーブル 5 ガイドレール 6 ベルト 7 記録媒体 8 駆動モータ 9 ヘッドクリーニング機構 51(51D、51L) 原液貯留タンク(識別を示す
D、Lは、それぞれ、原液インク用、希釈液用を示す。
以下、特に指摘しない限り、同様であるので省略す
る。) 51a 供出口 51b 給入口 51c 大気連通孔 52 原液供給路 53 供給制御弁 54 空気導入路 55 空気導入制御弁 57 計量貯留タンク 57a 流入口 57b 吸引口 57c 排出口 58 連結管 59 (計量貯留後の)原液供給路 60 供給制御弁 61 余剰液タンク 62 検出センサ 63 電極 64 金属管(電極) 69 還流路 71−D1〜D3 インク混成タンク 71−D1a〜D3a 原液インク供給口 71−D1b〜D3b 希釈液供給口 71−D1c〜D3c 排気口 71−D1d〜D3d 混合液供給口 73−D1〜D4 排気路 74−D1〜D3 回転翼 75−D1〜D3 (回転翼駆動)モータ 76 一時貯留タンク 76a 原液インク供給口 76b 排気口 76c インク供給口 77−D1〜D4 液体検出センサ 78−D1〜D4 混合液供給路 79−D1〜D4 供給路開閉弁 101 原液貯留手段 102 分配貯留手段 103 インク混成手段 104 インク一時貯留手段 105 原液供給路 106 (計量貯留後の)原液供給路 108 還流路 151 計量貯留タンク 151a〜151e 計量貯留部 152 原液供給路 153 排気路 154〜158 原液排出路 159 供給制御弁 160〜164 排出開閉弁 165 液体センサ 200、210 吸引ポンプ(チューブポン
プ) 201 ポンプケース 202 管部材(チューブ) 203 回転ドラム 203p (回転中心)軸 204 コロ 300 圧力差自動開閉弁 301 弁ケース 301a 突出部 302 上流側管部材 303 下流側管部材 304 可動封止部材 305 バネ部材

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同系色のそれぞれ濃度の異なるインクを
    吐出する複数のヘッドを用いて記録媒体の印字面にイン
    クを吐出して所望の印字情報を該記録媒体に記録するイ
    ンクジェット記録装置において、 少なくとも2種類の原液を貯留する少なくとも2つの原
    液貯留手段と、 該原液同士を混合して所望の濃度を有するように少なく
    とも1種類のインクを生成し、生成されたインクを前記
    ヘッドに送出するインク混成手段と、 前記原液貯留手段と前記インク混成手段との間に配置さ
    れ、前記原液貯留手段からの原液を少なくとも1つの計
    量貯留部に所定の容量だけ計量貯留し、計量の際に生じ
    る余剰液を排出し、計量貯留した原液を前記インク混成
    手段に送出する少なくとも2つの分配貯留手段と、 を備え、 前記分配貯留手段における前記計量貯留部は、気密性の
    ある容器であって、該容器の天井部に、垂直上向きに液
    体を排出するために配設されている管部材を有し、計量
    貯留時、該管部材内部に原液が進入することにより、前
    記計量貯留部への計量貯留が終了することを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記計量貯留部への計量貯留が終了した
    後に、前記管部材に一定時間空気を流通させて該管部材
    に残留する原液を余剰液として排出することを特徴とす
    る請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 前記計量貯留部への原液の計量貯留、管
    部材への空気の流通及び余剰液の排出は、吸引ポンプに
    より実行されることを特徴とする請求項2に記載のイン
    クジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記吸引ポンプは、チューブポンプであ
    ることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記
    録装置。
  5. 【請求項5】 前記空気は、圧力差で自動開閉する逆止
    弁を介して大気中から前記計量貯留部に供給されること
    を特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のインク
    ジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記計量貯留部は、水平断面が円形状で
    且つ垂直方向に一定の円筒形を成していることを特徴と
    する請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット
    記録装置。
  7. 【請求項7】 前記管部材は、前記円筒形を成す計量貯
    留部の略中心軸上に配設されていることを特徴とする請
    求項6に記載のインクジェット記録装置。
  8. 【請求項8】 前記計量貯留部から前記インク混成手段
    へ原液を送出するための送出口が、前記円筒形を成す計
    量貯留部の下底部の略中心軸上に設けられていることを
    特徴とする請求項6又は7に記載のインクジェット記録
    装置。
  9. 【請求項9】 前記送出口は、前記計量貯留部の下底部
    から筒先が突出する管部材で形成されていることを特徴
    とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  10. 【請求項10】 前記余剰液は、前記原液貯留手段に還
    流されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに
    記載のインクジェット記録装置。
  11. 【請求項11】 前記インク混成手段への原液の送出
    は、該インク混成手段に連結された吸引ポンプにより実
    行されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか
    に記載のインクジェット記録装置。
  12. 【請求項12】 前記少なくとも2つの原液は、比較的
    濃度の高いインクと希釈液であることを特徴とする請求
    項1乃至11のいずれかに記載のインクジェット記録装
    置。
  13. 【請求項13】 前記少なくとも2つの原液は、比較的
    濃度の高いインクと比較的濃度の低いインクであること
    を特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のイン
    クジェット記録装置。
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