JP2002241180A - 高密度金属酸化物焼結体ターゲットの製法 - Google Patents
高密度金属酸化物焼結体ターゲットの製法Info
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Abstract
より、組成ズレがなく、しかも従来法よりも格段に低い
焼結温度で高性能の高密度金属酸化物焼結体ターゲット
を得ることのできる製法を提供すること。 【解決手段】 高密度金属酸化物焼結体ターゲットを製
造するに当たり、(1)分子レベルで均一に混合された有
機金属キレート錯体を含む粉末を製造する工程、(2)上
記工程(1)で作製した粉末を焼成して金属酸化物粉末を
得る工程、(3)上記工程(2)で得た金属酸化物粉末を成形
してから焼結する工程、を含む、高密度の金属酸化物焼
結体ターゲットを製造する新規な方法を開示する。
Description
の金属酸化物焼結体ターゲットを製造する方法に関し、
詳細には、例えばエレクトロニクス、光学、精密機械、
切削工具等の分野において、スパッタリング法によって
薄膜を形成する際の原料として用いられる高密度金属酸
化物焼結体ターゲットの製法に関するものである。
る方法の一つとして広く実用化されている。該スパッタ
リング法では、成膜物質と同成分のターゲット材を使用
し、通常はこのターゲットにグロー放電で発生させたア
ルゴンガスイオンを衝突させてターゲットの構成原子を
叩き出し、該原子を基板上に堆積させることにより成膜
が行われる。
には、その要求品質として、理論密度に近い緻密な密度
を有し、且つ組成が均一で高強度であることが求められ
る。ちなみに、理論密度に近い密度に焼結されていない
ターゲットでは、当該ターゲットが密度不足になって強
度が劣るものとなり、機械加工時に欠けたり、使用中の
熱衝撃などによってターゲットが割れを起こしたり、支
持部が欠落するといったトラブルが多発し、更にはター
ゲット材内部に多数の空孔ができ、エロージョンと共に
これが表面に現れて成膜時のスパッタリング速度を低下
させたり、ターゲットの表面剥離によるドロップレット
放出で薄膜表面が荒れを起こす原因になる。
クス焼結体は、一般的には一軸加圧しながら加熱するホ
ットプレス(Hot Press:以下、HPと記す)法、粉末
をキャニングした後、全周から均等に加圧しながら加熱
する熱間静水圧プレス(HotIsostatic Press:以下、
HIPと記す)法、粉末を成形した後、常圧で焼結する
常圧焼結法によって製造されている。
易である反面、焼結体の大型化に不向きであり、生産設
備に要する設備投資に多大な負担が強いられるといった
問題がある。また常圧焼結法は、前記2つの方法に比べ
ると焼結体の大型化には有利であり、生産設備の設備投
資に要するコストが低いという利点を有しているが、そ
の反面、高密度化を達成するための条件範囲が狭く、し
かも通常はかなり高温で焼成しなければならない。そし
て焼成を高温で行なうと、焼結過程で材料中から一部の
成分元素が優先的に揮発して組成ズレが生じたり粒界に
異相が析出し、あるいは更に、酸素が放出されて酸素欠
陥が生じる恐れもある。
結体ターゲットを製造するに当たっては、固体原料を所
望の金属組成比となる様に混合したものを焼成する所謂
固相法が採用される。即ち固体同士で混合を行なうの
で、ミクロ的観点からすると混合物は明らかに不均一相
となり、固相間の拡散を十分に進めるには高いエネルギ
ー条件で焼成しなければならない。
て、ターゲット材を原料面から見直す検討が進められて
いる。その一つとして、例えば高反応性でミクロ的にも
均一な出発物質を用いる方法が挙げられる。均一な出発
物質を得るには、原料段階から均一系の状態を経て合成
する必要があり、そのための方法として、ゾル−ゲル法
や共沈法に代表される化学的プロセスを重視した液相法
が挙げられる。しかしこれら従来の液相法は、出発溶液
が均一であったとしても、金属元素の種類により当該金
属化合物の加水分解速度や溶解度積などが異なるため、
その後の加水分解、中和あるいは沈殿生成の過程で、た
とえ微粒子状の粉末を得ることができたとしても、系が
不均一になるという本質的傾向は避けて通れない。
系において金属イオンをクエン酸との間で金属錯体と
し、これを、架橋剤としてエチレングリコールを用いて
エステル重合させることによりゲル状の錯体重合体を
得、これを熱分解する方法が提案され[M.P.Pechini,
U.S.Pat.,3330697(1967)]、最近では、クエン酸を他の
有機酸やアミノ酸に代えた変法も多数提案されている。
キシル基がエステル重合工程で消費されるためクエン酸
のキレート力が低下し、金属錯体から金属が外れて偏析
を生じる恐れがある。またこれを出発物質として使用す
るには、ゲルを熱分解することによって得られる焼成物
を粉砕しなければならないため、作業が煩雑で製造コス
トが高くなる。
案されているが、いずれも操作が煩雑であり、結果とし
て組成の均一な焼結用原料は得られ難く、たとえ緻密な
焼結体を得ることができたとしても、根本的な解決策に
はなっていないのが実状である。
情に着目してなされたものであって、その目的は、高密
度の金属酸化物焼結体ターゲットを製造する際に、分子
レベルで均一な出発原料を用いることにより、従来例に
比べて格段に低い焼成温度で均質な金属酸化物を製造す
ることのできる方法を確立すると共に、該金属酸化物を
成形して常圧焼結法により組成ズレを抑制しつつ、従来
法よりも格段に低い焼結温度で高密度焼結体を得ること
のできる有用な方法を提供することにある。
のできた本発明にかかる高密度金属酸化物焼結体ターゲ
ットの製法とは、高密度金属酸化物焼結体ターゲットを
製造するに当たり、(1)分子レベルで均一に混合された
有機金属キレート錯体を含む粉末を製造する工程、(2)
上記工程(1)で得た粉末を焼成して金属酸化物粉末を得
る工程、(3)上記工程(2)で得た金属酸化物粉末を成形し
てから焼結する工程、を含むところに要旨を有してい
る。
程(1)として、金属及び/又は無機質金属化合物と、有
機キレート形成剤とを所定の金属組成となる様に混合し
て澄明な有機金属キレート錯体水溶液を調製し、該水溶
液を噴霧乾燥して有機金属キレート錯体粉末を得る方法
を採用することが好ましく、この際に用いられる有機キ
レート形成剤としては、アミノカルボン酸系およびヒド
ロキシカルボン酸系よりなる群から選択される少なくと
も1種、中でも、200℃以下の温度で熱分解を起こさ
ないアミノカルボン酸系のキレート形成剤が好ましく使
用される。また、上記工程(3)としては、金属酸化物粉
末を冷間静水圧プレスにより成形した後、常圧で焼結す
る方法が好ましく採用される。
元系の金属キレート錯体水溶液を調製するに当たって
は、全ての金属イオンが完全に錯塩を形成する様に、各
金属に対し当量以上の有機キレート形成剤を混合して澄
明な水溶液とする方法が好ましく採用される。また、水
溶液中で有機金属キレート錯体の金属イオンが空気酸化
などを受けて金属酸化物に変化したり、価数の高い金属
イオンに変化し易い金属を使用する場合は、金属キレー
ト錯体の水溶液中での安定性を更に向上させるため、上
記有機金属キレート錯体水溶液に還元剤及び/又は酸化
防止剤を添加し、金属イオンの酸化を防止することが望
ましく、例えば、前記金属及び/又は無機質金属化合物
としてチタンを使用する場合には、還元剤を加えること
によってTi(III)の安定化を図ることが有効である。
一に混合された有機金属キレート錯体を含む粉末とは、
アモルファス状であって分子レベルで均一な組成を有し
ており、外観は略球形の粉末である。しかもこの粉末
は、後記実施例でも明らかにする如く従来法によって製
造される金属酸化物粉末に比べて格段に低い温度で焼成
することができ、また、得られる酸化物粉末は、成形後
に常圧で焼結するだけで、従来材に比べて格段に低い温
度で高密度の焼結体を与える。
ものであるが、要するに、分子レベルで均一に混合され
た有機金属キレート錯体を含む粉末を金属酸化物の生成
原料として用いる方法であり、この様な有機金属キレー
ト錯体を含むアモルファスな粉末は、前述した如き従来
の金属酸化物焼結体ターゲットの製法を採用する場合に
比べて、格段に低い温度で焼成することができ、しかも
それにより単相の金属酸化物粉末を得ることができる。
しかも、該粉末を加圧成形してから常圧焼結を行なうこ
とにより、高密度の焼結体を容易に得ることができる。
ス状の有機金属キレート錯体は、後記実施例(図1参
照)でも明らかにする如く、X線回折分析で入射X線の
散乱によるハロー図形を示し、結晶構造的に非晶質のも
のである。そして、上記金属キレート錯体を、均一相で
ある液相から噴霧乾燥法などによって瞬時に乾燥する
と、均一相を保ったままで固相となり、多元素系有機金
属キレート錯体であっても各錯体が分子レベルで均一に
分布し結晶の形態を取らないまま各分子が凝集した非晶
質のものとなる(ミクロ的には、構造内に残存している
規則性に若干の差異が見られるのが一般的であるが、前
述した従来技術に比べるとその規則性は極めて小さく、
結晶質の錯体とは明確に差別化できる)。
造される金属酸化物粉末は、たとえば後記図2に示す如
く略球形で方向性を有していないので、これを出発原料
として用いて成形すると、他の形状の出発原料を使用し
た場合に比べて充填率を均一且つ高度に高めることが可
能となる。従って上記方法によって得られる金属酸化物
粉末は、高密度金属酸化物焼結体ターゲットの合成に極
めて有用である。
有機金属キレート錯体粉末の製法について詳細に説明す
る。
定の金属組成となる様に金属または金属化合物を精秤
し、これを有機キレート形成剤と反応させて澄明な有機
金属キレート錯体水溶液を調製する。このキレート形成
反応は、通常水性媒体中で温度20℃〜沸点、好ましく
は50〜70℃の範囲で行われる。水溶液濃度は、固形
分で1〜30質量%の範囲が好ましく、より好ましい濃
度は10〜20質量%である。また有機キレート形成剤
の使用量は、全金属イオンに対して当モル量以上であれ
ば特に制限されないが、全金属イオンに対して1.0〜
1.5倍モルの範囲が好ましい。有機金属キレート錯体
または有機キレート形成剤が完全に溶解しない場合は、
アンモニアやアミン等を加えて完全溶解させるのがよ
い。
に最も問題になるのは不純金属の混入である。殊に、有
機金属キレート錯体の中でもナトリウム塩やカリウム塩
などは、熱分解後も酸化物系内に残留して組成を狂わせ
る要因になるため、ターゲット内に積極的に取り込む場
合を除いて使用は極力避けるべきである。また塩素や硫
黄、リン等を含む無機酸や無機酸塩(塩酸、硫酸、リン
酸またはこれらの塩など)および有機物(チオール化合
物など)も、ターゲット内に塩素やリン、硫黄、ホウ素
などの非金属成分を積極的に取り込む場合を除いて、同
様の理由から使用すべきではない。これらのもの以外
(すなわち塩素、硫黄、リンなどを含まない有機物、硝
酸、硝酸塩、アンモニアなど)であれば、熱分解乃至焼
成工程ですべて分解除去されるので、必要により適量を
加えても差し支えない。しかし大量に加えると、それら
有機物中に含まれる不純物によってターゲットが汚染さ
れることもあるので、必要最小限に止めることが望まし
い。
しては、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキ
サンジアミン四酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ジ
アミノプロパノール四酢酸、ジエチレントリアミン五酢
酸、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミン二プロ
ピオン酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、グリコ
ールエーテルジアミン四酢酸、ヘキサメチレンジアミン
四酢酸、エチレンジアミンジ(o−ヒドロキシフェニ
ル)酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢
酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、1,2−ジアミ
ノプロパン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピ
オン酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、エチレンジア
ミンニこはく酸、1,3−ジアミノプロパン二こはく
酸、グルタミン酸−N,N−二酢酸、アスパラギン酸−
N,N−二酢酸、などの如き水溶性のアミノカルボン酸
系キレート形成剤を挙げることができ、これらのモノマ
ー、オリゴマー或はポリマーのいずれも使用可能であ
る。
ルコン酸、グルコヘプトン酸、クエン酸、酒石酸、リン
ゴ酸などのヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシエチリデ
ンジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン
酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)
などの有機ホスホン酸などが挙げられる。これらの中で
も本発明において最も好ましいのはポリアミノカルボン
酸系のキレート形成剤である。
はアミン塩を使用し、各金属とのキレート生成定数やキ
レート錯体の安定性、更にはキレート錯体の水またはア
ルカリ水溶液中への溶解性などを考慮して、使用する各
金属元素毎に適切なものを選択することが望ましい。
形態としては、金属単体、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、
酸化物など、様々な形態のものを使用できるが、特に好
ましいのは、反応性や反応後に余分なイオン等が残らな
い炭酸塩、水酸化物および酸化物である。尚、例えばク
ロムの如く金属原料の反応性が乏しい場合や、例えばチ
タンの如く炭酸塩、硝酸塩、水酸化物の形態をとらず、
且つ酸化物が非常に安定な金属を用いる場合は、塩化物
や硫酸塩などを用いてまず有機キレート錯体溶液を調製
し、晶析によって高純度の有機キレート錯体結晶を予め
製造しておき、これを使用することが望ましい。
たとえばケイ素、モリブデン、タングステン等は、有機
金属キレート錯体として得ることが困難なこともあるの
で、これらの元素については、オキソ酸の如き金属無機
酸化物の形態で前記有機金属キレート錯体と併用するこ
とにより、前記工程(1)の粉末を製造することも可能で
ある。この場合、金属無機酸化物を併用する際の配合法
としては、金属酸化物焼結体ターゲットの目標金属組成
に応じて、有機金属キレート錯体を形成する前の原料段
階で金属無機酸化物を配合しておいてもよいし、或いは
有機金属キレート錯体の形成後に適量の金属無機酸化物
を配合してもよい。併用されることのある上記金属無機
酸化物は、共存する前記有機金属キレート錯体との均一
な混合状態から噴霧乾燥などによって乾燥することによ
り、均一なアモルファス状の粉末として得ることができ
る。
属キレート錯体を形成していても、金属イオンの空気接
触またはその他の酸化還元作用により酸化を受けて水溶
液中で不安定な相になることがある。この様な現象を防
止するため、事前に処理系に還元剤や酸化防止剤を加
え、金属の酸化を防止すると共に金属イオンを安定化さ
せた後、他の金属イオンが錯塩を形成する様に各原料金
属とキレート形成剤との量を当量に合わせてから完全に
澄明な水溶液とし、有機金属キレート錯体水溶液を作製
することが望ましい。こうした手段を採用する際に用い
る還元剤(または酸化防止剤)としては、例えばアスコ
ルビン酸、イソアスコルビン酸、シュウ酸、ヒドラジン
等が例示される。
ト錯体水溶液、または有機金属キレート錯体含有混合液
は、次いで乾燥することにより粉末化される。ドライア
ップにより液相から固相を得る方法としては、一般に真
空乾燥や薄膜乾燥など種々の乾燥法が考えられるが、こ
れらの乾燥法では、乾燥過程で一部の金属塩が偏析する
傾向があるため、ミクロ的に均一な粉末は得られ難い。
従って本発明では、こうした問題を回避するため、瞬時
に乾燥することにより、微細球状で且つ均一なアモルフ
ァス粉末を得ることのできる噴霧乾燥法が採用される。
度、噴霧空気量、熱風量などに応じて適宜に設定すれば
よい。しかし乾燥温度は、有機物が熱分解を起こさない
温度で、しかも短時間で十分に乾燥することのできる温
度を採用すべきである。こうした観点から、好ましい乾
燥温度は100〜200℃、より好ましくは140〜1
80℃の範囲である。また、こうした乾燥温度を考慮す
れば、本発明で用いる上記アミノカルボン酸系キレート
形成剤は、200℃以下の温度で熱分解しないものであ
ることが好ましい。
の粉末をそのまま仮焼すると、単相の金属酸化物粉末を
得ることができる。この粉末は高い反応性を有している
ので、1000℃以下の比較的低い温度で仮焼すること
ができる。仮焼温度のより好ましい範囲は400℃以
上、1000℃以下、更に好ましくは500℃以上、9
00℃以下の範囲である。仮焼には通常の電気炉を使用
すればよいが、勿論電気炉以外の加熱炉で仮焼すること
も可能である。なお、焼成雰囲気は必ずしも空気中であ
る必要はなく、中性雰囲気や還元性雰囲気で焼成しても
構わない。
は、粒径の揃った略球形で方向性を有していない。よっ
て、ボールミル等を用いた機械的粉砕法(ブレークダウ
ン法)によって粉砕すれば、粒度構成や粒径などの粉末
特性を調整することなくそのままで焼成を行なっても、
充填率を均一且つ高度に高めることができる。
形し、該成形体を、金属組成にもよるが例えば900℃
以上の温度で焼結すると、緻密な金属酸化物焼結体を得
ることができる。成形の方法は、高密度の均一な成形体
を得ることのできる方法であれば制限されないが、好ま
しい方法としては冷間静水圧プレス(CIP)法が例示
される。
焼結体ターゲット合成用の出発物質として分子レベルで
均一に混合された有機金属キレート錯体粉末を使用する
ことにより、従来法に比べて低い焼成温度で単相の金属
酸化物粉末を容易に得ることができる。しかもこの粉末
は、分子レベルで均一に混合された前記有機キレート金
属錯体粉末の使用に由来して、極めて高度な組成制御が
可能となる。またこの粉末を成形してから焼結すること
により、高密度の金属酸化物焼結体ターゲットを簡単且
つ確実に得ることできる。
するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受
けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で
適当に変更して実施することも可能であり、それらはい
ずれも本発明の技術的範囲に包含される。
9.784g(0.10×1.02モル)を加え、これ
に水を加えて総量を500m1とした後、攪拌しながら
加熱し60℃にまで昇温する。同温度に保って攪拌しな
がら、これに炭酸ストロンチウム15.080g(0.
10ml)を吹きこぼれない様ゆっくりと投入してか
ら、同温度で30分間保持する。次いで室温まで冷却し
た後、攪拌しながらL(+)−アスコルビン酸17.61
3g(0.10モル)と、エチレンジアミン四酢酸一ア
ンモニウムチタン(III)塩(チタン含量:12.6
%)38.000g(チタン:0.10モル)を順次投
入する。この溶液に水を加えて総量を1000gにする
と、暗赤褐色澄明の混合有機金属キレート錯体水溶液が
得られる。この溶液を、噴霧乾燥機により乾燥温度16
0℃で乾燥して粉末化し、混合有機金属キレート錯体の
アモルファス粉末55gを得る。
ており、入射X線の散乱によるハロー図形を示し、結晶
構造的にもアモルファス(非晶質)のものであることが
分かる。また図2は、該粉末のSEM写真であり、略球
形を呈していることが分かる。
て、500℃および600℃で3時間仮焼し、SrTi
O3の粉末を得る。
9.784g(0.10×1.02モル)を入れ、これ
に水を加えて総量を500mlとした後、アンモニア水
15gを加えて溶解する。これを攪拌しながら加熱して
60℃に昇温し、同温度に保って攪拌しながら、炭酸ス
トロンチウム6.032g(0.10×0.4モル)と
炭酸バリウム11.924g(0.10×0.6モル)
を吹きこぼれない様に順次ゆっくりと投入する。その
後、液温を100℃に高めて同温度で1時間保持し、次
いでアンモニア水20gを加えると、反応液のpHは
8.5となって完全な溶液となる。これを室温まで冷却
した後、攪拌しながらL(+)−アスコルビン酸17.6
13g(0.10ml)、エチレンジアミン四酢酸一ア
ンモニウムチタン(III)塩(チタン含量:12.0%)
39.900g(チタン:0.10モル)を順次投入す
る。この溶液に水を加えて総量を1000gにすると、
暗赤褐色澄明の混合有機金属キレート錯体水溶液が得ら
れる。この溶液を噴霧乾燥機により乾燥温度160℃で
乾燥して粉末化すると、混合有機金属キレート錯体のア
モルファス粉末57gが得られる。
いて500℃または600℃で3時間仮焼すると、Ba
0.5Sr0.4TiO3の粉末が得られる。
線回折スペクトルを図3に示す。この図からも明らかな
様に、焼成温度500℃でSrTiO3の単相が得られ
ていることを確認できる。
線回折スペクトルを図4に示す。この図からも明らかな
様に、焼成温度500℃でBa0.5Sr0.4TiO 3の単
相が得られていることを確認できる。
で得られた金属酸化物粉末を、油圧プレスにより成形圧
力1.3MPaで一軸成形した後、170MPaの圧力
でClP成形することにより、直径20mm、厚さ約3
mmの円筒状ペレットに成形した。このペレットを11
00℃で10時間焼結し、SrTiO3の焼結体を得
た。
で得た金属酸化物粉末を、油圧プレスにより成形圧力
1.3MPaで一軸成形した後、170MPaの圧力で
CIP成形することにより、直径20mm、厚さ約3m
mの円筒状ペレットに成形した。このペレットを110
0℃で10時間焼結し、Ba0.5Sr0.4TiO3の焼結
体を得た。
スペクトルを図5,6に、またアルキメデス法により測
定した理論密度に対する各焼結体の密度の到達率(相対
密度)を下に示す。 実施例1 相対密度:99.2 実施例2 相対密度:98.9 図5,6からも明らかな様に、実施例1,2のいずれの
焼結体についても、焼金属酸化物単相が保持されている
ことを確認できる。また上記からは、実施例1,2で得
た何れの焼結体も、常圧焼結法を採用したものであるに
もかかわらず、スパッタリング用ターゲットに供するの
に十分な相対密度を有していることが分かる。
属酸化物焼結体ターゲットを製造する際に、分子レベル
で均一に混合された有機金属キレート錯体粉末、または
該キレート錯体粉末と金属無機化合物の均一混合粉末を
製造し、次いで該粉末を焼成して金属酸化物粉末とした
後、該金属酸化物粉末を成形してから焼結することによ
り、均一で組成ズレがなく目標通りの組成を有する高密
度の金属酸化物焼結体ターゲットを、低い焼成温度で効
率よく製造し得ることになった。
ート錯体アモルファス粉末のX線回折チャートである。
ート錯体アモルファス粉末のSEM写真である。
のX線回折スペクトルである。
のX線回折スペクトルである。
体のX線回折スペクトルである。
体のX線回折スペクトルである。
Claims (4)
- 【請求項1】 高密度金属酸化物焼結体ターゲットを製
造するに当たり、 (1)分子レベルで均一に混合された有機金属キレート錯
体を含む粉末を製造する工程、 (2)上記工程(1)で得た粉末を焼成して金属酸化物粉末を
得る工程、 (3)上記工程(2)で得た金属酸化物粉末を成形してから焼
結する工程、を含むことを特徴とする高密度金属酸化物
焼結体ターゲットの製法。 - 【請求項2】前記工程(1)が、金属及び/又は無機質金
属化合物と、有機キレート形成剤とを所定の金属組成と
なる様に混合して澄明な有機金属キレート錯体水溶液を
調製し、該水溶液を噴霧乾燥して有機金属キレート錯体
粉末を得る工程からなる請求項1に記載の製法。 - 【請求項3】 有機キレート形成剤が、アミノカルボン
酸系およびヒドロキシカルボン酸系よりなる群から選択
される少なくとも1種である請求項1または2に記載の
製法。 - 【請求項4】 前記工程(3)が、金属酸化物粉末を冷間
静水圧プレス法により成形した後、常圧で焼結するもの
である請求項1〜3のいずれかに記載の製法。
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- 2001-02-09 JP JP2001034293A patent/JP2002241180A/ja active Pending
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