JP2002239728A - アーク溶接の制御方法及びアーク溶接装置 - Google Patents

アーク溶接の制御方法及びアーク溶接装置

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Yusuke Niimura
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明展 井澤
Rintaro Chinen
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 従来のアーク電圧制御では達成できない極薄
板の溶接が可能となる新たな溶接技術を提供する。 【解決手段】 アーク13を光学センサ15でモニター
し、得られた光学情報、例えば照度をパラメータにし
て、電極11を制御する。TIG溶接では、照度とアー
ク長との相関関係で基準電圧とアーク光照度に応じた計
測電圧を比較しトーチを昇降することで良好な溶接部を
得る事が出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアーク溶接装置に有
効な自動化技術に関する。
【0002】
【従来の技術】溶接装置の自動化に伴なって、特開平
7−148576号公報「非消耗電極式自動アーク溶接
方法」や特開平10−249526号公報「回転体T
IG溶接装置」が提案されいる。
【0003】上記は、同公報の図1において、定アー
ク長制御又は定電圧制御により駆動する溶接トーチ2
(符号は公報記載のものを転記した。以下同じ)にレー
ザセンサ1を付属し、このレーザセンサ1で母材4から
の高さHを測るという溶接時の距離測定技術が示されて
いる。
【0004】周知の通り、電極3と母材4との間に架か
るアークは、極めて明るい光を発するため、この光がレ
ーザセンサ1の誤作動を誘発する。そこで、上記では
電極3から離れた箇所にて母材4をレーザセンサ1でセ
ンシングさせるようにしたものと思われる。しかし、溶
接では電極の先端と溶接金属(溶融池)との間隔が重要
であり、電極と母材との間隔に基づいて制御するのでは
正確な制御は困難である。逆に制御精度を高めるために
レーザセンサを電極に接近させると、レーザセンサの視
野にアーク光が入り、レーザセンサの誤作動を招く。従
って、上記の技術では溶接制御の精度上課題が残る。
【0005】上記は、その公報の請求項1に示される
通り、スリット光源とテレビカメラとを備え、スリット
光源で開先を照し、この開先をテレビカメラで撮影し、
画像処理し、その結果に応じて開先幅方向の制御をする
こと、及び上下軸は溶接電圧に応じて開先深さ方向に制
御することを特徴とする。
【0006】テレビカメラの視野には、スリット光線で
照した開先の他に強いアーク光や溶接スパッタが存在す
るため、開先の像だけ選択して取込むには特殊な技術が
必要となり、装置は高価なものとなる。また、電極の高
さ制御は、アーク電圧制御によるため次の様な課題があ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】アーク電圧制御は、ア
ーク長が電圧(電極−母材間電圧)にほぼ比例するとい
うアーク物理現象を依り所として、電極−母材間電圧を
計測し、この計測値からアーク長さを推定し、この推定
したアーク長さが所望の値になるように、電極の昇降制
御をなすことを特徴とする。
【0008】しかし、本発明者らが実験したところ、一
定の条件下では前記アーク電圧制御はパルスアーク、連
続アーク共に制御が困難であることが分かった。図8
(a),(b)は従来のパルスアークによる電圧制御の
実験装置及び得られたグラフを示す。(a)は実験装置
を示し、溶接電源101にて、母材102と電極103
とにアークを飛ばし、そのときの電圧をフィルタ104
を介して記録計105で記録するようにした装置を準備
した。溶接条件中、電流は基準電流を4A、ピーク電流
を20Aとし、パルス周波数は2Hz、デューティは4
0%とした。
【0009】なお、「A」,「B」,「C」は電極10
3を便宜的に3形態に分けて図示したものであり、電極
103は1本のみである。そして、「A」点から「B」
点へは、アーク長LAを0.3mmとした「A」点から
アーク長LBが「B」点で1.0mmとなるように、ト
ーチを一定の速さで上昇しながら、矢印のごとく、図面
右へ20mmほど移動しつつ溶接し、さらに「B」点か
ら「C」点へは、アーク長LCが「C」点で0.3mm
となるようにトーチを一定の速さで下降しながら、矢印
のごとく、図面右へ20mmほど移動しつつ溶接した。
【0010】(b)では横軸は溶接状態「A」,
「B」,「C」、縦軸は計測電圧を示し、アーク長が
0.3mmである「A」では、電圧は10.2V〜1
0.8Vの帯となり、アーク長が1.0mmである
「B」では、電圧は10.0V〜10.6Vの帯とな
り、アーク長が0.3mmである「C」では、電圧は1
0.2V〜10.8Vの帯となった。若干の変化はある
もののパルスアークのアーク長を0.3〜1.0mm変
化させたにも拘らず、計測電圧はほぼ一定である、すな
わち、パルスアークのアーク長と電圧との比例関係が認
められなくなったと言える。
【0011】図9(a),(b)は従来の連続アーク実
験で得たアーク長さと電圧の相関グラフを示す。電極が
1.6mm径のタングステンであるTIG溶接機にて銅
(Cu)板の連続アークによる溶接実験を行った。
(a)は電流値105Aでの連続アーク溶接での結果を
示し、横軸はアーク長、縦軸は電圧であり、アーク長と
電圧がほぼ一次関数に従った比例関係にあることが確認
できた。
【0012】(b)は電流値14Aでの連続アーク溶接
での結果を示し、横軸で1mm以上の領域にはアーク長
と電圧がほぼ一次関数に従った比例関係にあることは確
認できたが、0.5mm以下では電圧の増加が認めら
れ、結果として1mm未満ではアーク長と電圧の比例関
係は認められなかった。すなわち、小電流での連続アー
ク溶接には、アーク電圧制御は不適であることが確認で
きた。
【0013】発明者らは、アーク長が比較的長く(1.
0mmを超え、2mm〜5mm)、電流値が比較的高い
(100A以上)溶接であれば公知のアーク長と電圧の
比例関係は使用できるものの、アーク長が1.0mm以
下であれば公知のアーク長と電圧の比例関係は適用でき
ないと考えるに至った。一方、近年の省エネルギー並び
に環境対策から、車体や排気系を中心に極薄板の採用が
進み、それらの製造には、20A程度の小電流溶接で
0.5mm程度のアーク長さの溶接施工が不可欠となっ
てきた。
【0014】そこで、本発明の目的は従来のアーク電圧
制御では達成できない極薄板の溶接が可能となる新たな
溶接技術を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のア
ーク長制御やアーク電圧制御に代わる溶接制御技術を模
索するなかで、電極と母材との距離を変化させるとアー
ク光が微妙に変化するに気が付いた。図1(a)〜
(c)はTIG溶接実験装置及び得られた相関グラフを
示す図であり、(a)に示す通り、電極1と母材2との
間に架かるアーク3を照度計4で計測することができる
実験装置をつくり、アーク長と照度(ルクス、lx)と
の相関を調べた。
【0016】実験条件は次の通りである。 母材:ステンレス板(SUS 316L) 電極の種類:タングステン 電極の径:1.6mm 電極の突出し長:6mm 電極の先端角度:30゜ 電極と照度計の距離:150mm 溶接機:TIG溶接機 溶接電流:(b)では40A、(c)では81.25A
【0017】(b)は溶接電流を40AとしてTIG溶
接を実施したときのアーク長さと照度の関係をプロット
したものであり、アーク長0.25mmのときに照度は
731ルクス、アーク長1.0mmのときに照度は21
25ルクス、アーク長3.0mmのときに照度は628
9ルクスであって、傾きが正の1次関数になることが判
明した。
【0018】(c)は溶接電流を81.25AとしてT
IG溶接を実施したときのアーク長さと照度の関係をプ
ロットしたものであり、アーク長0.25mmのときに
照度は0.2006×104ルクス、アーク長1.0m
mのときに照度は0.46×104ルクス、アーク長
3.0mmのときに照度は1.2649×104ルクス
であって、傾きが正の1次関数になることが判明した。
【0019】(b),(c)から、母材がSUS316
Lで電極−照度計間の距離を150mmに保ち、溶接電
流を一定に保てば、照度をパラメータとしてアーク長を
管理することができることが分かった。そこで、このル
ールが他の材料や他の溶接法にも適用できるか否かを調
べた。
【0020】図2はMIG溶接実験装置を示す図であ
り、トーチ5に通した消耗電極(ワイヤ)6と母材7と
の間に架かるアーク8に光ファイバ9aの先端を臨ま
せ、この光ファイバ9aの基部に照度計9を取付け、こ
の照度計9でアーク光の照度を計測することができる実
験装置をつくり、母材7からトーチ5までの高さ(トー
チ高さ)と照度(ルクス、lx)との相関を調べた。
【0021】実験条件は次の通りである。 母材:6mmのアルミニウム板又は12mmのステンレ
ス鋼板 電極の径:1.2mm 電極と照度計の距離:65mm 溶接機:MIG溶接機 溶接電流:200A 溶接電圧:25V(アルミニウム板)又は28V(ステ
ンレス鋼板) 溶接速度:600mm/分
【0022】図3(a),(b)はMIG溶接実験装置
で得られた相関グラフを示す。(a)は、アルミニウム
板でMIG溶接を行ったところ、トーチ高さが7.5m
mのときに照度は56.5ルクス、トーチ高さが19m
mのときに照度は41.5ルクス、トーチ高さが22.
5mmのときに照度は34.9ルクスとなり、傾きが負
の一次関数になった。
【0023】(b)は、ステンレス鋼板でMIG溶接を
行ったところ、トーチ高さが10mmのときに照度は7
5ルクス、トーチ高さが19mmのときに照度は58ル
クス、トーチ高さが22.5mmのときに照度は52ル
クスとなり、傾きが負の一次関数になった。
【0024】以上の図1(b),(c)及び図3
(a),(b)から、TIG溶接にあってはアーク長さ
と照度とに良好な相関関係が有り、MIG溶接にあって
はトーチ高さと照度とに良好な相関関係が有り、これら
の相関関係は、母材の種類毎に決まる。
【0025】従って、母材の種類や溶接の種類や溶接電
流や電極形状などを包含した溶接条件毎に基礎実験を実
施し、基準照度若しくはそれに対応した基準電圧等の
「基準情報」を定めておけば、アーク長やトーチ高さを
所望の値に維持することができることになる。このルー
ルに基づいて定めたところの「課題を解決するための手
段」は、次の通りである。
【0026】請求項1のアーク溶接の制御方法は、アー
ク溶接の際に発生するアーク光から光学的情報を得るス
テップと、得られた光学的情報を基準情報と比較するス
テップと、この比較結果に基づいて溶接条件を調整する
ステップと、調整後の溶接条件で溶接を実施するステッ
プとを、繰り返しながらアーク溶接を実施することを特
徴とする。
【0027】アーク光から得られる光学的情報、例えば
照度はアーク長若しくはトーチ高さと良好な相関関係が
ある。そこで、照度等の光学的情報に基づいて、溶接制
御を実施することにした。
【0028】請求項2のアーク溶接の制御方法では、ア
ーク溶接は、非溶極式アーク溶接であることを特徴とす
る。TIG溶接に代表される非溶極式アーク溶接に本発
明を適用すれば、照度とアーク長との相関関係はアーク
長さ0.25mmであっても良好であることが確認でき
ているので、超薄板の溶接を低電流、低電圧で実施する
ときにも本発明は有効になる。
【0029】請求項3のアーク溶接の制御方法では、光
学的情報は、アーク光の照度であることを特徴とする。
光学的情報は、アーク光の照度(全スペクトルにおける
照度)、照度の変動、スペクトル分布、スペクトル強度
などが挙げられるが、その内で照度は入手容易な照度計
で簡単に計測することができ、発明方法を実施する上で
実施費用の高騰化を抑えることがきる。
【0030】請求項4のアーク溶接装置は、電極と母材
との間にアークを発生させる溶接機と、アーク溶接の際
に発生するアーク光から光学的情報を得る光学センサ
と、得られた光学的情報に応じて溶接条件を調整する処
理装置と、からなる。
【0031】アーク光から得られる光学的情報、例えば
照度はアーク長若しくはトーチ高さと良好な相関関係が
ある。そこで、照度等の光学的情報に基づいて、溶接制
御を実施することにした。そのための装置は既存の溶接
機に光学センサ及び処理装置を付加するだけで済むた
め、装置費用の上昇を抑えることができる。
【0032】請求項5のアーク溶接装置では、アーク溶
接は、非溶極式アーク溶接であることを特徴とする。T
IG溶接に代表される非溶極式アーク溶接に本発明を適
用すれば、照度とアーク長との相関関係はアーク長さ
0.25mmであっても良好であることが確認できてい
るので、超薄板の溶接を低電流、低電圧で実施すること
ができ、高い品質の溶接部を得ることができる。
【0033】請求項6のアーク溶接装置では、光学的情
報は、アーク光の照度であることを特徴とする。照度計
は安価であり、容易に入手可能である。この様な照度計
を組込むためアーク溶接装置の費用高騰を十分に抑える
ことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基
づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見る
ものとする。図4は本発明に係るアーク溶接装置の原理
図であり、アーク溶接装置10は、電極11と母材12
との間にアーク13を発生させる溶接機14と、アーク
溶接の際に発生するアーク光から光学的情報を得る光学
センサ15と、得られた光学的情報に応じて、例えば昇
降制御部16、昇降モータ17、スクリュー18を介し
てトーチホルダ19及びトーチ20を上げ下げすること
でアーク13の長さ(アーク長L)を調整するごとく、
溶接条件を調整する中央処理装置(CPU)21と、か
らなる。22はA/D変換器であり、アナログ信号をデ
ジタル信号に変換する必要があるときにのみ設ける。
【0035】前記光学的情報は、アーク光の照度(全ス
ペクトルにおける照度)、照度の変動、スペクトル分
布、スペクトル強度などがあり、これらのうちでアーク
光の照度を例に以下説明する。
【0036】以上に述べたアーク溶接装置の作用を次に
説明する。図5は本発明に係るアーク溶接制御フロー図
であり、ST××はステップ番号を示す。 ST01:基準電圧VstをCPUにインプットする。す
なわち、図1〜図3で説明した通りに、アーク光の照度
はアーク長若しくはトーチ高さと良好な相関関係にあ
る。溶接の種類、溶接電流、母材材質毎に予め実験にて
相関を調べておき、相関を電圧信号に変換したときには
基準電圧を中央処理装置に予め記憶させる。
【0037】ST02:光学センサをアークに臨ませ
る。図4の符号15参照。 ST03:光学センサでアーク光の照度に応じた電圧信
号Vacをサンプリングする。 ST04:計測電圧Vacを基準電圧Vstと比較し、Vac
<VstならST05へ進み、Vac>VstならST06へ
進み、Vac=VstならST07へ進む。
【0038】ST05:Vac<Vstならトーチを上げる
(ただし、母材がステンレスやアルミニウムの場合)。
例えば図1(b)に示す通り、アーク長を長くすれば照
度が大きくなる。この結果Vacが増加し、Vstに近づく
からである。次に、ST03に戻し、上昇による効果を
調べる。 ST06:Vac>Vstならトーチを下げる(ただし、母
材がステンレスやアルミニウムの場合)。例えば図1
(b)に示す通り、アーク長を短くすれば照度が小さく
なる。この結果Vacが減少し、Vstに近づくからであ
る。次に、ST03に戻し、下降による効果を調べる。
【0039】ST07:Vac=Vstなら、アーク長若し
くはトーチ高さが適当であるから、トーチをその位置に
保持する。 ST08:溶接作業を終了するか否かを調べる。具体的
には溶接作業を中断、中止若しくは終了する信号を受け
たときにはYESであり、フローを終了する。終了信号
を受けていないときにはNOであり、ST03に戻り、
制御フォローを継続しつつ溶接を続ける。
【0040】図6は本発明に係るその他のアーク溶接制
御フロー図である。 ST11:前記ST01と同じであり、基準電圧Vstを
CPUにインプットする。 ST12:前記ST02と同じであり、光学センサをア
ークに臨ませる。 ST13:前記ST03と同じであり、光学センサでア
ーク光の照度に応じた電圧信号Vacをサンプリングす
る。
【0041】ST14:計測電圧Vacと基準電圧Vstと
の差を調べ、この差|Vac−Vst|が、予め定めてある
一定値A以下であるか否かを調べる。この一定値Aは通
常の溶接で不可避的に発生し、且つ許容し得る程度の差
を、実験等を重ねて予め定めた値である。|Vac−Vst
|≦Aであれば正常であり、ST15に進む。|Vac−
Vst|>AのときはST16に進む。
【0042】ST15:溶接作業を終了するか否かを調
べる。具体的には溶接作業を中断、中止若しくは終了す
る信号を受けたときにはYESであり、フローを終了す
る。終了信号を受けていないときにはNOであり、ST
13に戻り、制御フォローを継続しつつ溶接を続ける。
【0043】ST16:|Vac−Vst|>Aのときは、
次に述べる溶接異常や材質誤りの可能性があるので、異
常信号を発信して対策を促すとともに、制御フローを終
わらせ、溶接作業を中断若しくは中止する。
【0044】溶接異常や材質誤りの可能性について説明
する。先ず、突合せ溶接では、レ字、V字、U字開先を
溶着金属で埋めるが、これらの開先が局部的に不揃いに
なっていると、溶着不良又は溶着過多となって欠陥とな
る。この要因となる開先不良は、手溶接であれば溶接工
の目で発見可能であるが、自動溶接であれば別途CCD
カメラや画像解析装置が必要となる。この点、本発明で
は、開先が所定の形状から外れた部位に電極が到達する
と、照度が大きく変化したり、スペクトルの大きさが変
化し、若しくはスペクトルの分布が変化することが考え
られる。そこで、例えば照度が急変した場合には、開先
不良の可能性があるとみなせる。
【0045】加えて突合せ溶接では、所定のギャップを
保ちながら2枚の母材を付け合わせ、これらの母材を溶
接で接合するが、一方の母材がずれると電極又はトーチ
から見てギャップがハ字状になることがある。このまま
で、溶接を進めるとギャップが過大の部位ではアークが
突き抜けたり、溶着金属が落ちて溶接が不完全となる。
ギャップが狭過ぎると母材の溶込みが不足して溶接が不
十分となる。この要因となるギャップ不良は、手溶接で
あれば溶接工の目で発見可能であるが、自動溶接であれ
ば別途CCDカメラや画像解析装置が必要となる。この
点、本発明では、ギャップが所定値から外れた部位に電
極が到達すると、照度が大きく変化したり、スペクトル
の大きさが変化し、若しくはスペクトルの分布が変化す
ることが考えられる。そこで、例えば照度が急変した場
合には、ギャップ不良(開先不良)の可能性があるとみ
なせる。この具体例を次に説明する。
【0046】図7(a)〜(d)はアーク光の照度と開
先形状との関係を示すグラフである。(b)は母材12
の要部平面図であり、第1母材12aに第2母材12b
を突合せ、その狭幅部12cに広幅部12d,12dを
実験のために形成した。(c)は(b)のc−c断面図
であり、広幅部12dの断面を示し、母材12a,12
bの厚さの75%に相当する深さのV字切欠きを設け
た。(a)は(b)のa−a断面図であり、狭幅部12
cを示す。
【0047】実験装置は図4と同等の装置を使用する
が、それに光遮蔽カバーを付属し、照度計に外の光が入
らぬように配慮した。その他は次の通りである。 実験条件: 母材:1mmのステンレス板(SUS 316) 電極の種類:タングステン 電極の径:1.6mm 電極の先端角度:60゜ 電極と照度計の距離:300mm 溶接機:TIG溶接機 溶接電流:ピーク70A、ベース4A
【0048】この結果得られたデータをグラフ化して
(d)に示した。(d)は縦軸がアーク光の照度、横軸
が溶接部位を示し、照度はLx1とこれより大幅に大き
いLx2との2つの値が計測できた。(b)の広幅部1
2d,12dから縦線を下ろしたところ、照度Lx2の
部位に良好に合致していることが分かった。狭幅部と広
幅部との一方を健全開先部、他方を欠陥開先部とすれ
ば、照度の変化で開先不良を精度良く検出できることが
確認できた。
【0049】また、母材の材質は目視で識別するには困
難なものが多く、溶接工程では母材の材質のチェックは
実質的に行わない。しかし、本発明によれば、材質別に
特有の基準電圧をCPUにインプットしてあるため、選
択した基準電圧と計測した電圧が極端に異なれば、母材
が指定以外の材質である可能性がある。従って、材質の
誤りを検出することが可能となる。
【0050】ところで本発明は「アーク光の光情報」を
巧みに利用するものであるから、本発明は、アーク光が
露出している溶接であれば、非溶極式アーク溶接(TI
G溶接、原子水素溶接、炭素アーク溶接)並びに溶極式
アーク溶接(MIG溶接、炭酸ガスアーク溶接、エレク
トロガスアーク溶接、被覆アーク溶接、金属アーク溶
接)の何れにも適用可能である。
【0051】そのうちで、非溶極式アーク溶接の代表例
であるTIG溶接では、照度とアーク長との相関関係は
アーク長さ0.25mm〜3.0mmに亘って良好であ
り、超薄板の溶接が極めて精度よく実施できることが確
認できた。
【0052】また、光情報は多岐にわたるが、その内で
光量や照度は安価で入手容易な光量計、照度計で簡単に
計測することができる。そのために、実用上及び経済的
には、光量若しくは照度を溶接制御要素とすることが妥
当である。
【0053】なお、図4のアーク溶接装置10では、ホ
ルダ20の昇降機構のみを説明したが、ホルダ20をロ
ボットアームに取付けることで三次元的に位置決めでき
るようにすることは差支えなく、要は周知の自動溶接装
置、半自動溶接装置に光学センサ及び光学情報を処理す
る処理装置を付加したものであればよい。
【0054】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1のアーク溶接の制御方法は、従来の定電
圧制御や定トーチ高さ制御に代わりに、アーク溶接の際
に発生するアーク光から得た光学的情報に基づいて溶接
条件を調整しつつ電極やトーチの位置制御等を実施する
ものであり、アーク光から得られる光学的情報、例えば
照度はアーク長若しくはトーチ高さと良好な相関関係が
あるので、高い精度並びに信頼性の高い溶接制御が実施
できる。
【0055】請求項2のアーク溶接の制御方法では、T
IG溶接に代表される非溶極式アーク溶接に本発明を適
用したものであり、照度とアーク長との相関関係はアー
ク長さ0.25mmであっても良好であることが確認で
きているので、特に超薄板の溶接の低電流及び低電圧化
が達成でき、低入熱溶接が可能となる。低入熱溶接であ
れば、母材の歪の発生を十分に抑えることができる。
【0056】請求項3のアーク溶接の制御方法では、光
学的情報を照度としたが、照度は入手容易な照度計で簡
単に計測することができ、発明方法を実施する上で実施
費用の高騰化を抑えることがきる。
【0057】請求項4のアーク溶接装置は、既存の溶接
機に光学センサ及び処理装置を付加するだけで済むた
め、装置費用の上昇を抑えることができる。
【0058】請求項5のアーク溶接装置は、非溶極式ア
ーク溶接を行うものであり、TIG溶接に代表される非
溶極式アーク溶接に本発明を適用すれば、照度とアーク
長との相関関係はアーク長さ0.25mmであっても良
好であることが確認できているので、超薄板の溶接を低
電流、低電圧で実施することができ、高い品質の溶接部
を得ることができる。
【0059】請求項6のアーク溶接装置では、光学的情
報をアーク光の照度にした。そのための照度計は安価で
あり、容易に入手可能である。この様な照度計を組込む
ためアーク溶接装置の費用高騰を十分に抑えることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】TIG溶接実験装置及び得られた相関グラフを
示す図
【図2】MIG溶接実験装置を示す図
【図3】MIG溶接実験装置で得られた相関グラフを示
す図
【図4】本発明に係るアーク溶接装置の原理図
【図5】本発明に係るアーク溶接制御フロー図
【図6】本発明に係るその他のアーク溶接制御フロー図
【図7】アーク光の照度と開先形状との関係を示すグラ
【図8】従来のパルスアークによる電圧制御の実験装置
及び得られたグラフを示す図
【図9】従来の連続アーク実験で得たアーク長さと電圧
の相関グラフ
【符号の説明】
10…アーク溶接装置、11…電極、12…母材、13
…アーク、14…溶接機、15…光学センサ、21…処
理装置(中央処理装置、CPU)。
フロントページの続き (72)発明者 村上 学 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 柳田 章 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 山上 武 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 久貝 克弥 大阪府大阪市淀川区田川2丁目1番11号 株式会社ダイヘン内 (72)発明者 新村 祐介 大阪府大阪市淀川区田川2丁目1番11号 株式会社ダイヘン内 (72)発明者 井澤 明展 大阪府大阪市淀川区田川2丁目1番11号 株式会社ダイヘン内 (72)発明者 知念 林太郎 大阪府大阪市淀川区田川2丁目1番11号 株式会社ダイヘン内 Fターム(参考) 4E001 AA03 BB07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アーク溶接の際に発生するアーク光から
    光学的情報を得るステップと、得られた光学的情報を基
    準情報と比較するステップと、この比較結果に基づいて
    溶接条件を調整するステップと、調整後の溶接条件で溶
    接を実施するステップとを、繰り返しながらアーク溶接
    を実施することを特徴とするアーク溶接の制御方法。
  2. 【請求項2】 前記アーク溶接は、非溶極式アーク溶接
    であることを特徴とする請求項1記載のアーク溶接の制
    御方法。
  3. 【請求項3】 前記光学的情報は、アーク光の照度であ
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のアーク
    溶接の制御方法。
  4. 【請求項4】 電極と母材との間にアークを発生させる
    溶接機と、アーク溶接の際に発生するアーク光から光学
    的情報を得る光学センサと、得られた光学的情報に応じ
    て溶接条件を調整する処理装置と、からなるアーク溶接
    装置。
  5. 【請求項5】 前記アーク溶接は、非溶極式アーク溶接
    であることを特徴とする請求項4記載のアーク溶接装
    置。
  6. 【請求項6】 前記光学的情報は、アーク光の照度であ
    ることを特徴とする請求項4又は請求項5記載のアーク
    溶接装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007044741A (ja) * 2005-08-11 2007-02-22 Taiyo Nippon Sanso Corp シールドガス、これを用いた溶接方法および被溶接物
JP2016508071A (ja) * 2013-01-03 2016-03-17 イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド アーク溶接プロセスを制御するシステム及び方法
CN112894080A (zh) * 2019-11-19 2021-06-04 中国石油天然气集团有限公司 焊接电弧长度的控制方法及装置
KR102302446B1 (ko) * 2020-12-08 2021-09-14 이성관 용접 변수 모니터링을 통한 용접토치 제어시스템 및 제어방법

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