JP2002234732A - ジルコニア系複合材料及びその製造方法 - Google Patents

ジルコニア系複合材料及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002234732A
JP2002234732A JP2001026477A JP2001026477A JP2002234732A JP 2002234732 A JP2002234732 A JP 2002234732A JP 2001026477 A JP2001026477 A JP 2001026477A JP 2001026477 A JP2001026477 A JP 2001026477A JP 2002234732 A JP2002234732 A JP 2002234732A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zirconia
zirconium
composite material
heat treatment
based composite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001026477A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiko Ito
克彦 伊藤
Toshio Nakatani
利雄 中谷
Kimio Ouchi
公夫 大内
Yukio Asami
幸雄 浅見
Hironobu Iwashita
博信 岩下
Koji Hasegawa
公司 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daiichi Kigenso Kagaku Kogyo Co Ltd
Iwatani Industrial Gases Corp
Original Assignee
Daiichi Kigenso Kagaku Kogyo Co Ltd
Iwatani Industrial Gases Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daiichi Kigenso Kagaku Kogyo Co Ltd, Iwatani Industrial Gases Corp filed Critical Daiichi Kigenso Kagaku Kogyo Co Ltd
Priority to JP2001026477A priority Critical patent/JP2002234732A/ja
Publication of JP2002234732A publication Critical patent/JP2002234732A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】化学安定性に優れるとともに比較的大きな比表
面積を有する材料を提供する。 【解決手段】酸化ジルコニウム及びリン酸含有ジルコニ
アを含有することを特徴とするジルコニア系複合材料及
びその製造方法に係る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なジルコニア
系複合材料及びその製造方法に関する。特に、本発明
は、有機ハロゲン化合物の処理に適した材料に関する。
【0002】
【従来技術】リン酸イオンとジルコニウムイオンとは容
易に反応し、リン酸ジルコニウムを生成する。一般的に
は、リン酸化合物溶液とジルコニウム化合物溶液とを混
合して反応することによりリン酸ジルコニウムが製造さ
れている。リン酸ジルコニウムは、耐熱性、耐薬品性等
に優れたミクロ多孔質材料として知られており、ジルコ
ニア、アルミナ等の酸化物に比して、酸化イオウ、塩
素、フッ素ガス等の腐食性ガスに安定である。ところ
が、熱処理したリン酸ジルコニウムは加熱により構造変
化し、その細孔径が数オングストロームと小さくなり、
比表面積が低くなることが知られている。
【0003】一方、リン酸含有ジルコニアは、リン酸根
(例えば、PO4)を含むジルコニアであり、例えばジ
ルコニア粉末にリン酸化合物溶液を含浸させることによ
り得られる。このリン酸含有ジルコニアはリンとジルコ
ニウムとが完全に反応(P−O−Zr)していないため
に、製造中の洗浄工程中又は使用中にリン酸が流失して
最終的にはジルコニアとなる。
【0004】ジルコニア(ZrO2)は、耐熱性、耐薬
品性等に優れた触媒材料として知られている。しかし、
酸化イオウ、塩素、フッ素ガス等の腐食性ガスを含有し
た数百度の高温多湿条件下ではガスに直接接触した表面
から徐々に化学反応を起こして腐食される。また、ジル
コニアは、前駆体である非晶質体では比表面積が高いも
のの、500℃以上に加熱される場合はその温度上昇に
伴って結晶化度・結晶構造変化し、比表面積が低下する
という問題がある。
【0005】ところで、クロロフルオロカーボン、トリ
クロロエチレン、ハロン等の有機ハロゲン化合物は、冷
媒をはじめ、発泡剤、消火剤等の工業用材料として幅広
く利用されている。その一方で、これらの有機ハロゲン
化合物は、オゾン層破壊、人体への悪影響等の点で問題
視されている材料である。このため、有機ハロゲン化合
物を分解等によって無害化するための処理剤の開発が急
務とされている。
【0006】このような処理剤としては、例えば気相で
水蒸気又は水蒸気と分子状酸素の存在下、パーフルオロ
化合物を分解する反応において、リン酸塩を触媒に用い
ることを特徴とするパーフルオロ化合物の分解方法(特
開平10−323537号)が知られている。
【0007】上記リン酸塩の中でも、とりわけジルコニ
ウムのリン酸塩(リン酸ジルコニウム等)は、それ自体
高温多湿雰囲気下、ハロゲン雰囲気下又は硫黄含有雰囲
気下において安定であり、その点において有機ハロゲン
化合物処理剤等の用途として期待できる材料の一つであ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機ハ
ロゲン化合物処理剤等の用途として実用化するために
は、上記のような化学的安定性のほか、ある程度大きな
比表面積を確保することが必要となるが、リン酸ジルコ
ニウム比表面積が比較的小さく、かかる用途に利用する
にはなお改善の余地が残されている。
【0009】従って、本発明の主な目的は、化学安定性
に優れるとともに比較的大きな比表面積を有するジルコ
ニア系複合材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、これら従来
技術の問題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定の方法
によって得られる材料が特異な物性を有することから、
上記目的を達成できることを見出し、ついに本発明を完
成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、下記のジルコニア系
複合材料及びその製造方法に係る。
【0012】1.酸化ジルコニウム及びリン酸含有ジル
コニアを含有することを特徴とするジルコニア系複合材
料。
【0013】2.モル比P/Zrが0.02〜1である
前項1記載のジルコニア系複合材料。
【0014】3.600℃の熱処理後における比表面積
が100m2/g以上の粉状体からなる前項1又は2に
記載のジルコニア系複合材料。
【0015】4.600℃の熱処理後における結晶構造
が非晶質である前項3記載のジルコニア系複合材料。
【0016】5.前項1〜4のいずれかに記載のジルコ
ニア系複合材料を含む有機ハロゲン化合物処理剤。
【0017】6.ジルコニウムイオンを含む溶液にアル
カリを添加して得られるジルコニウム含有沈殿物を当該
溶液中で60℃以上で加熱エージングし、次いで当該沈
殿物とリン酸イオンを含む溶液とを混合した後、当該混
合液から固形分を回収し、当該固形分を400〜110
0℃で熱処理することを特徴とするジルコニア系複合材
料の製造方法。(第一方法) 7.難溶性ないしは不溶性ジルコニウム化合物とリン酸
イオンを含む溶液とを混合した後、当該混合液から固形
分を回収し、当該固形分を400〜1100℃で熱処理
することを特徴とするジルコニア系複合材料の製造方
法。(第二方法)
【0018】
【発明の実施の形態】1.ジルコニア系複合材料 本発明のジルコニア系複合材料は、酸化ジルコニウム及
びリン酸含有ジルコニアを含有することを特徴とする。
【0019】リン酸含有ジルコニアは、PO4等のリン
酸根とジルコニウム成分とを含むものであれば限定的で
ない。例えば、リン酸ジルコニウムのようなものも包含
される。
【0020】本発明のジルコニア系複合材料の全体組成
は特に限定されず、最終製品の用途、使用目的等に応じ
て適宜設定できる。例えば、本発明材料を有機ハロゲン
化合物処理剤として使用する場合は、モル比でP/Zr
が0.02〜1程度、好ましくは0.1〜0.7に設定
すれば良い。
【0021】本発明材料の形態は限定的でなく、最終製
品の用途、使用目的等に応じて適宜変更することができ
る。例えば、成形体、粉状体、粒状体(造粒体)等のい
ずれであっても良い。
【0022】本発明材料が粉状体である場合、その粒度
等の限定は特にないが、平均粒径0.2〜30μm程度
とすることが好ましい。また、粉状体を600℃の熱処
理に供した後のBET比表面積が100m2/g以上で
あることが好ましい。本発明では、上記熱処理条件は、
具体的には、100gのサンプルを大気中600℃で3
時間熱処理するものとする(以下同じ。)。
【0023】また、本発明材料は、600℃の熱処理後
における結晶構造が非晶質であることが好ましい。かか
る非晶質構造を有することによって、比表面積の増大を
図ることができる。
【0024】上記粉状体を構成する各粒子は、リン酸根
の存在割合が粒子表面から中心部に向かって次第に少な
くなるような傾斜構造を有することが望ましい。すなわ
ち、粒子表面は主としてリン酸含有ジルコニアが存在
し、粒子中心部に向かうに従いリン酸含有ジルコニアの
割合が減少するとともに酸化ジルコニウムの割合が増加
し、粒子中心部では主として酸化ジルコニウムから構成
されるような構造が好ましい。かかる構造をとる場合に
は、高温多湿下で分解生成された腐食性ハロゲン化水素
に耐久性のあるリン酸含有ジルコニア(リン酸ジルコニ
ウム等)で粒子表面を保護し、粒子内部にある触媒活性
の高いジルコニアで有機ハロゲン化合物を分解促進する
という機能をより効果的に発揮することができる。
【0025】本発明材料は、さまざまな用途に使用で
き、特に有機ハロゲン化合物処理剤として有用である。
すなわち、本発明は、ジルコニア系複合材料を含む有機
ハロゲン化合物処理剤を提供することができる。 2.ジルコニア系複合材料の製造方法 (1)第一方法 第一方法は、ジルコニウムイオンを含む溶液にアルカリ
を添加して得られるジルコニウム含有沈殿物を当該溶液
中で60℃以上で加熱エージングし、次いで当該沈殿物
とリン酸イオンを含む溶液とを混合した後、当該混合液
から固形分を回収し、得られた固形分を400〜110
0℃で熱処理することを特徴とする。
【0026】ジルコニウムイオンを含む溶液は、例えば
水溶性ジルコニウム化合物を水又は適当な水系溶媒に溶
解させて得られる溶液を用いることができる。水溶性ジ
ルコニウム化合物としては、例えばオキシ塩化ジルコニ
ウム、ヒドロオキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニ
ウム、臭化ジルコニウム等のハロゲン化ジルコニウム;
硫酸ジルコニウム、塩基性硫酸ジルコニウム、硝酸ジル
コニウム等の鉱酸のジルコニウム塩;酢酸ジルコニル、
ギ酸ジルコニル等の有機酸ジルコニウム塩;炭酸ジルコ
ニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナトリウム、酢
酸ジルコニウムアンモニウム、シュウ酸ジルコニウムナ
トリウム、クエン酸ジルコニウムアンモニウム等のジル
コニウム錯塩のほか、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコ
ニウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使
用することができる。これらの中でも、オキシ塩化ジル
コニウム及び硫酸ジルコニウムの少なくとも1種を用い
ることが好ましい。
【0027】上記のジルコニウムイオンを含む溶液のジ
ルコニウム(イオン)濃度は特に限定されないが、通常
は0.01〜25重量%程度、好ましくは0.1〜10
重量%とすれば良い。
【0028】上記溶液に添加するアルカリの種類は特に
限定されない。例えば、アンモニア水、アミン等のほ
か、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩等が挙げられ
る。これらは1種又は2種以上で使用することができ
る。これらの中でも水酸化ナトリウム及びアンモニア水
の少なくとも1種が好ましい。これらアルカリは、水溶
液で使用することが好ましい。
【0029】アルカリの添加によって生成したジルコニ
ウム含有沈殿物を上記溶液中で加熱エージングする。主
として、沈殿物を加熱エージングすることにより粉状物
(通常はケーキ状)を形成させる。従って、かかる粉状
物が形成される限りエージング条件は制限されないが、
加熱温度については60℃以上(特に70℃以上)とす
ることが好ましい。エージング時間は、加熱温度等によ
って適宜変更できるが、通常は1時間以上とすれば良
い。
【0030】加熱エージング後は、必要に応じてエージ
ングされた沈殿物を固液分離により回収し、水洗しても
良い。固液分離は公知の方法に従えば良く、例えばろ
過、遠心分離、デカンテーション等が挙げられる。
【0031】次いで、当該沈殿物(粉状物)とリン酸イ
オン(PO4 3-)を含む溶液とを混合する。沈殿物は、
適当な量の水に分散させた水分散液として用いることが
望ましい。水の使用量は、粉状物の状態等により適宜設
定すれば良い。
【0032】また、リン酸イオンを含む溶液は、例えば
水溶性リン酸化合物を水に溶解させることよって調製す
ることができる。上記リン酸化合物としては、水溶性で
あれば特に限定されない。例えば、リン酸のほか、第一
リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸
ナトリウム等のオルトリン酸のアルカリ金属塩;第一リ
ン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第三リン
酸アンモニウム等のオルトリン酸のアンモニウム塩;メ
タリン酸、ピロリン酸等の少なくとも1個のP−O−P
結合を有する縮合リン酸のアルカリ金属塩及びアンモニ
ウム塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使
用することができる。これらの中でも、リン酸及びオル
トリン酸のアルカリ塩の少なくとも1種を用いることが
好ましい。
【0033】リン酸イオンを含む水溶液のリン酸濃度
は、用いるジルコニウム化合物の種類、所望の特性等に
応じて適宜設定すれば良い。また、上記水溶液の使用量
は、リン酸濃度、上記ジルコニウム化合物の種類等によ
って適宜変更することができるが、通常は最終的に得ら
れる複合材料のP/Zrモル比が0.02〜1程度、好
ましくは0.1〜0.7となるように調節すれば良い。
【0034】リン酸イオンを含む溶液は、例えば上記沈
殿物に滴下することにより添加すれば良い。必要に応じ
て、pH調整等のために、上記溶液を添加した混合液に
対してアルカリを添加することによって、pH3〜11
(好ましくは3〜9)の範囲に調整することもできる。
この場合、pH値が変化しなくなった時点をアルカリ添
加の終点とすれば良い。
【0035】最後に、上記混合液から固形分を回収し、
得られた固形分を熱処理する。固形分の回収は、公知の
固液分離方法に従って行えば良い。例えば、ろ過、遠心
分離、デカンテーション等の方法を採用できる。また、
必要に応じて固形分を水洗、乾燥等をしても良い。
【0036】次いで、得られた固形分を400〜110
0℃で熱処理する。熱処理温度は限定的ではないが、通
常は400〜1100℃程度、好ましくは600〜10
00℃とすれば良い。熱処理雰囲気は限定的でなく、通
常は大気中又は酸化性雰囲気中とすれば良い。熱処理時
間は、熱処理温度等に応じて適宜設定すれば良い。 (2)第二方法 第二方法は、難溶性ないしは不溶性ジルコニウム化合物
にリン酸イオンを含む溶液に添加混合した後、当該混合
液から固形分を回収し、得られた固形分を400〜11
00℃で熱処理することを特徴とする。
【0037】ジルコニウム化合物は、水に対して難溶性
ないしは不溶性のものであれば限定的でない。例えば、
水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、塩基性硫酸ジ
ルコニウム等が挙げられる。水酸化ジルコニウムの水酸
根、炭酸ジルコニウムの炭酸根又は塩基性硫酸ジルコニ
ウムの硫酸根は、リン酸根と容易に反応してZr−O−
Pのイオン結合を形成する。一般に、このイオン結合
は、水洗工程、熱処理工程等により破壊されない。従っ
て、本発明では、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウ
ム及び塩基性硫酸ジルコニウムの少なくとも1種を用い
ることが好ましい。
【0038】上記ジルコニウム化合物の形態は特に制限
されない。例えば、顆粒状、粉末状等のいずれの形態で
あっても良い。
【0039】リン酸イオンを含む溶液は、第二方法と同
様のものを使用すれば良い。また、使用量は、ジルコニ
ウム化合物の種類、温度等によって変更されるが、通常
は最終的に得られる複合材料のP/Zrモル比が0.0
2〜1.0程度、好ましくは0.1〜0.7となるよう
に調節すれば良い。
【0040】リン酸イオンを含む溶液は、例えば上記沈
殿物に滴下して付与すれば良い。必要に応じて、pH調
整等のために上記溶液が添加された混合液に対してアル
カリを添加することにより、pH3〜11程度(好まし
くは3〜9)の範囲に調整することができる。この場
合、pH値が変化しなくなった時点をアルカリ添加の終
点とする。
【0041】最後に、上記混合液から固形分を回収し、
得られた固形分を熱処理する。固形分の回収は、公知の
固液分離方法に従って行えば良い。例えば、ろ過、遠心
分離、デカンテーション等の方法を採用できる。また、
必要に応じて固形分の水洗、乾燥等を実施しても良い。
【0042】熱処理の条件は限定的ではないが、通常は
400〜1100℃程度、好ましくは600〜1000
℃すれば良い。熱処理雰囲気は限定的でなく、通常は大
気中又は酸化性雰囲気中とすれば良い。熱処理時間は、
熱処理温度等に応じて適宜設定すれば良い。
【0043】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、新規な構造
及び物性をもつジルコニウム系複合材料を提供すること
ができる。
【0044】本発明のジルコニウム系複合材料は、化学
的安定性に優れるとともに、比較的大きな比表面積を有
している。このため、有機ハロゲン化合物処理剤をはじ
め、各種の触媒材料(触媒担体、触媒活性体等)にも好
適に用いることができる。有機ハロゲン化合物処理剤と
して使用する場合は、例えば本発明材料を充填した装置
に有機ハロゲン化合物を含むガスを流通させれば良い。
【0045】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴をより明確にする。但し、本発明は、これらの実施例
に限定されるものではない。
【0046】実施例1 塩基性硫酸ジルコニウム(ZrO2:28wt%)29
6gを純水に分散させ、これに10%H3PO4水溶液2
33gを攪拌しながら添加し、これに5%NH 4OH濃
度の調整したアンモニア水を室温条件下で添加し、pH
6.8まで中和し、濾過、水洗後に固液分離し、ケーキ
状生成物を回収した。この生成物を600℃で3時間で
焼成した後、焼成体を粉砕してリン酸含有ジルコニア粉
末100gを得た。この生成物の化学組成は、酸化物換
算(重量%)でZrO2:83%,P25:17%,灼
熱減量(H2O)5%であり、P/Zrモル比は0.3
5であった。
【0047】得られた粉末をBET法による比表面積測
定、X線回折法による構造分析測定、示差熱分析法によ
る熱分析測定(DTA)、アンモニア昇温脱離法による
TPD測定をそれぞれ行った。その結果を図1〜4に示
す。
【0048】図1では、大気中600℃で3時間熱処理
後の結果とともに、800℃及び1000℃で3時間熱
処理した後の比表面積(図1の縦軸、単位m2/g)も
併記する。図1(A)からも明らかなように、600℃
で3時間の熱処理した後の上記粉末の比表面積は152
2/gであった。
【0049】また、上記粉末を大気中600℃で3時間
焼成した後の結晶構造の分析結果を図2に示す。図2よ
り、この材料は、非晶質であることが確認された。
【0050】図3からも明らかなように、示差熱分析で
は1000℃まで変化がなかった。一方、TPDデータ
を示す図4にも示されているように、200℃付近に著
しい変化が確認された。これらの結果より、本発明品
は、固体酸量が高いことがわかる。
【0051】実施例2 結晶オキシ塩化ジルコニウム(ZrO2:34wt%)
256gを純水に溶解することにより、ZrO2換算で
1%溶液を調整した。これに3%NH4OH濃度に調整
したアンモニア水を室温中で添加し、pH8.5まで中
和した後、90〜102℃で7時間加熱エージングし、
水酸化ジルコニウムの沈殿物を得た。約3時間静置した
後、上澄み液を除去し、沈殿物を含有した残液に10%
リン酸含有水溶液180gを攪拌しながら添加した。次
いで、濾過、水洗後に固液分離し、ケーキ状生成物を回
収した。この生成物を大気中600℃で3時間焼成した
後、粉砕してリン酸含有ジルコニア粉末100gを得
た。
【0052】得られた粉末の化学組成は、酸化物換算
(重量%)でZrO2:87%,P2 5:13%,H
2O:5%であり、P/Zrモル比は0.25であっ
た。
【0053】また、得られた粉末を大気中600℃で3
時間熱処理した後の比表面積は148m/gであっ
た。また、上記熱処理をした後の結晶構造は非晶質であ
ることが確認された。
【0054】比較例1 実施例2と同じ操作で水酸化ジルコニウムの沈殿物を得
た。この沈殿物を濾過及び水洗した後に固液分離し、ケ
ーキ状生成物を得た。この生成物を600℃で3時間焼
成し、得られた焼成体を粉砕してジルコニア粉末を得
た。次いで、上記ジルコニア粉末を純水に分散した後、
これに10%リン酸含有水溶液28gを添加し、濾過及
び水洗した後に固液分離し、ケーキ状生成物を回収し
た。この生成物を600℃で3時間で焼成し、粉砕して
粉末を得た。
【0055】得られた粉末の化学組成は酸化物換算(重
量%)でZrO2:99.86%,P25:0.02
%,灼熱減量(H2O):0.12%であり、P/Zr
モル比は0.0003であった。
【0056】また、上記粉末について実施例1と同様に
して各物性の測定を行った。その結果を図1〜4に示
す。
【0057】図1(B)には、上記粉末を大気中600
℃で3時間焼成した後の比表面積を示す。上記粉末を大
気中600℃で3時間焼成した後の比表面積は67m
/gであった。図1には、この粉末の一部をさらに80
0℃及び1000℃で熱処理後の比表面積を測定した結
果も図1に併記する。
【0058】また、上記粉末を大気中600℃で3時間
焼成した後における構造分析の結果を図2に示す。この
材料は結晶質であり、ジルコニアの立方晶系に属するこ
とが確認された。
【0059】DTAデータを図3に示す。示差熱分析で
は1000℃まで変化がないことがわかる。一方、TP
Dデータを図4に示す。200℃付近で観察されている
吸着アンモニアの脱離量が実施例1のそれと比べて少な
い。このことから、比較例1の材料は、実施例1よりも
固定酸量が低いことがわかる。さらに、比較例1では、
より低温側でアンモニアの脱離が完了している。このこ
とから、比較例1の材料は、実施例1よりも固体酸強度
が低いことがわかる。
【0060】比較例2 実施例2と同じ操作で、結晶オキシ塩化ジルコニウム1
47gを純粋に溶解しZrO2換算で1%溶液を調整し
た。これに10%リン酸含有水溶液690gを攪拌しな
がら添加後、3%NH4OH濃度の調整したアンモニア
水を室温中で添加し、pH8.5まで中和し、次いで9
0〜102℃で7時間加熱エージングし、沈殿物を得
た。静置後、濾過及び水洗した後に固液分離し、ケーキ
状生成物を回収した。この生成物を600℃で3時間焼
成し、得られた焼成体を粉砕して粉末を得た。
【0061】得られた粉末の化学組成は酸化物換算(重
量%)でZrO2:50%,P25:50%,H2O:
1.62%で、P/Zrモル比=1.8であった。この
粉末を実施例1と同様にして物性の測定を行った。図1
(C)、図3及び図4にそれぞれ示す。
【0062】図1(C)からも明らかなように、大気中
600℃で3時間熱処理した後の比表面積は17m2
gであった。さらに、粉末の一部を800℃及び100
0℃で3時間熱処理した後の比表面積を測定した。その
結果も図1に併記する。600℃で3時間熱処理した後
の結晶構造は図2の実施例1のものと同様の非晶質パタ
ーンを示した。
【0063】また、粉末の一部を分取した示差熱データ
では、900℃付近で発熱ピークが観測された。大気中
900℃で3時間焼成したものをX線回折法による構造
分析測定した結果、ピロリン酸ジルコニウム結晶構造を
示した。すなわち、600℃での生成物は非晶質リン酸
ジルコニムであり、上記発熱ピークは非晶質リン酸ジル
コニウムから結晶質ピロリン酸ジルコニウムへの結晶構
造変化を示すことがわかる。
【0064】試験例1 実施例において得られたリン酸含有ジルコニア組生物
(PO4/ZrO2モル比:0.35)を打錠成型(直径
3mm×高さ3mm)し、大気中800℃で3時間処理
した。この成型体Aを常圧固定床反応器中に充填し、有
機ハロゲン化合物としてクロロフルオロカーボン(CF
C−12)の分解反応用触媒として用いた。
【0065】反応条件は、温度300℃〜700℃、圧
力:常圧、供給ガスGHSV:540hr-1、触媒10
mlとした。供給ガスの組成はCFC−12:O2
2:H 2O(vol%)=1.2:7.7:30.8:
60.3とした。なお、O2源としては空気を用いた。
反応温度とCFC−12の分解結果を図5に示す。
【0066】比較のため、比較例1及び2で得られた材
料を用い、成型体Aと同様にして作製された成型体B及
びCについて同様の試験をした結果を併せて示す。
【0067】図5より、成型体Aは、成型体B(比較例
1)及びC(比較例2)よりも低温域からCFC−12
が分解しはじめていることから、これらよりも分解活性
に優れていることがわかる。
【0068】試験例2 上記の成型体A及び成型体Bの触媒寿命を比較した。
【0069】供給ガスの組成はCFC−12:O2
2:H2O(vol%)=12.0:5.5:22.
2:60.3とした。なお、O2源としては空気を用い
た。反応温CFC−12含有雰囲気(CFC−12の濃
度が12vol%)下550℃において、870時間の
加速連続反応を実施した。
【0070】その結果、成型体Bは、150時間経過後
に分解率が急激に低下し、最終分解率は32%まで低下
した。これに対し、本発明品である成型体Aは、分解率
100%を維持することができ、分解率や耐久性におい
て優れた効果を発揮することがわかる。
【手続補正書】
【提出日】平成13年2月15日(2001.2.1
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】BET法による比表面積測定の結果を示す。
【図2】X線回折法による耕造分析測定の結果を示す。
【図3】示差熱分析法による熱分析測定(DTA)の結
果を示す。
【図4】アンモニア昇温脱離によるTPD測定の結果を
示す。
【図5】反応温度とCFC−12の分解結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中谷 利雄 大阪府大阪市住之江区平林南1丁目6番38 号 第一稀元素化学工業株式会社内 (72)発明者 大内 公夫 大阪府大阪市住之江区平林南1丁目6番38 号 第一稀元素化学工業株式会社内 (72)発明者 浅見 幸雄 兵庫県尼崎市大高洲町10番地 岩谷瓦斯株 式会社内 (72)発明者 岩下 博信 兵庫県尼崎市大高洲町10番地 岩谷瓦斯株 式会社内 (72)発明者 長谷川 公司 兵庫県尼崎市大高洲町10番地 岩谷瓦斯株 式会社内 Fターム(参考) 4G031 AA12 AA33 BA27 CA07 GA01 GA11 4G048 AA01 AA10 AB02 AB05 AB08 AC08 AD04 AD06 AE05 AE06 AE08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化ジルコニウム及びリン酸含有ジルコニ
    アを含有することを特徴とするジルコニア系複合材料。
  2. 【請求項2】モル比P/Zrが0.02〜1である請求
    項1記載のジルコニア系複合材料。
  3. 【請求項3】600℃の熱処理後における比表面積が1
    00m2/g以上の粉状体からなる請求項1又は2に記
    載のジルコニア系複合材料。
  4. 【請求項4】600℃の熱処理後における結晶構造が非
    晶質である請求項3記載のジルコニア系複合材料。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載のジルコニ
    ア系複合材料を含む有機ハロゲン化合物処理剤。
  6. 【請求項6】ジルコニウムイオンを含む溶液にアルカリ
    を添加して得られるジルコニウム含有沈殿物を当該溶液
    中で60℃以上で加熱エージングし、次いで当該沈殿物
    とリン酸イオンを含む溶液とを混合した後、当該混合液
    から固形分を回収し、当該固形分を400〜1100℃
    で熱処理することを特徴とするジルコニア系複合材料の
    製造方法。
  7. 【請求項7】難溶性ないしは不溶性ジルコニウム化合物
    とリン酸イオンを含む溶液とを混合した後、当該混合液
    から固形分を回収し、当該固形分を400〜1100℃
    で熱処理することを特徴とするジルコニア系複合材料の
    製造方法。
JP2001026477A 2001-02-02 2001-02-02 ジルコニア系複合材料及びその製造方法 Pending JP2002234732A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001026477A JP2002234732A (ja) 2001-02-02 2001-02-02 ジルコニア系複合材料及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001026477A JP2002234732A (ja) 2001-02-02 2001-02-02 ジルコニア系複合材料及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002234732A true JP2002234732A (ja) 2002-08-23

Family

ID=18891287

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001026477A Pending JP2002234732A (ja) 2001-02-02 2001-02-02 ジルコニア系複合材料及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002234732A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007223963A (ja) * 2006-02-24 2007-09-06 Koei Chem Co Ltd アニリン類の製造方法
JP2013521104A (ja) * 2009-03-02 2013-06-10 ズードケミー インコーポレイテッド 活性化された酸化ジルコニウム触媒支持体

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007223963A (ja) * 2006-02-24 2007-09-06 Koei Chem Co Ltd アニリン類の製造方法
JP2013521104A (ja) * 2009-03-02 2013-06-10 ズードケミー インコーポレイテッド 活性化された酸化ジルコニウム触媒支持体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6381131B2 (ja) アンモニア分解触媒及び該触媒の製造方法並びに該触媒を用いたアンモニアの分解方法
CA2636558C (en) Preparation of palladium-gold catalysts
JP4890444B2 (ja) カルシウム及び/又はマグネシウムを含む多孔質粒子からなる粒状物
EP0460738A1 (en) High surface area zirconia
JP2002507478A (ja) 毛管凝縮が起こらないようにしながら汚染物含有ガスを触媒作用で処理する方法
US4518710A (en) Catalyst for the reduction of nitrogen oxides in gaseous mixtures and method of making the catalyst
JPH02303539A (ja) Coを酸化するための担持触媒の製造法、担持触媒および接触法によるco酸化法
EP0214085B1 (en) Process for preparing a catalyst for removing nitrogen oxides
US2657182A (en) Metal oxide impregnated with silver permanganate as oxidation agent
US20110243829A1 (en) Method of decomposing n20 using a catalyst based on a cerium lanthanum oxide
KR100832814B1 (ko) 저온소성용 바인더 조성물
JP3417490B2 (ja) 酸化カルシウム多孔質粒状複合体及びその製造方法
US4521528A (en) Preparation of zirconium phosphate activated carbon adsorbent
KR100746528B1 (ko) 퍼플루오로 화합물 분해 방법, 분해 촉매 및 처리 장치
JP2020132465A (ja) 酸化イリジウムの製造方法および酸化イリジウム
JP2002234732A (ja) ジルコニア系複合材料及びその製造方法
JPS58135116A (ja) 膨張した黒鉛粒子の製造方法
Zhang et al. Catalytic decomposition of chlorodifluoromethane (HCFC-22) over platinum supported on TiO2–ZrO2 mixed oxides
JP2711463B2 (ja) 排ガスの浄化方法
JPH0925119A (ja) 耐熱性遷移アルミナの製造方法
JPH11292538A (ja) ジルコニア−セリア組成物の製造方法
US4386215A (en) Maleic anhydride production with high crush strength catalysts
GB2090155A (en) Process for producing phosphorous-vanadium-oxygen catalysts
JP2002501823A (ja) 酸性化合物の気体を清浄化する方法
CN1559681A (zh) 一种高性能一氧化碳氧化催化剂及其制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040706

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070801

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070927

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071205