JP2002232029A - 極低温格納容器 - Google Patents

極低温格納容器

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JP2002232029A
JP2002232029A JP2001023519A JP2001023519A JP2002232029A JP 2002232029 A JP2002232029 A JP 2002232029A JP 2001023519 A JP2001023519 A JP 2001023519A JP 2001023519 A JP2001023519 A JP 2001023519A JP 2002232029 A JP2002232029 A JP 2002232029A
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heat
inner container
heat shield
shield material
neck portion
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JP2001023519A
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English (en)
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Hiroyuki Tanaka
弘之 田中
Norihide Saho
典英 佐保
Hitoshi Sasabuchi
笹渕  仁
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)
  • Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】液体ヘリウムを用いて微弱磁気計測装置を断熱
する断熱容器は、わずかな熱の進入により液体ヘリユウ
ムが蒸発する。このため液体ヘリユウムの補充が必要
で、メインテナンスに手間がかかる上に、ランニングコ
ストが増大する。本発明は、前記液体ヘリユウムの蒸発
を小さくできる断熱容器を提供することにある。 【解決手段】内部に冷媒を貯蔵し被冷却物を格納する内
容器と,前記内容器と結合し上面において開口した室温
端を有する中空筒状のネック部と,前記内容器との間に
真空槽を形成する外容器と,前記真空槽中に設置された
熱シールド材と、前記熱シールド材と熱的に結合した冷
却手段と,前記ネック部と前記熱シールド材が熱的に結
合した結合部を有する極低温格納容器であって、前記ネ
ック部の長さに対する前記室温端から前記結合部までの
距離の比が室温端より3%から75%の範囲内の位置に
前記結合部を設けて成ることに特徴がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,液体ヘリウム等を
用いて磁束計を冷却する微弱磁気計測装置用断熱容器に
係り,液体ヘリウム等の冷媒の消費量を低減し運転コス
トを低減する断熱容器の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】脳や心臓から発生する磁気を測定する生
体磁気計測においては、計測対象磁気の大きさが10
-15Tと極めて微弱なため、SQUID(Superc
onducting Quantum Interfe
rence Device:超電導量子干渉素子)を利
用した高感度磁束センサが使用されている。このSQU
IDはジョセフソン結合を利用した超電導デバイスであ
り、超電導臨界温度以下に冷却しなければ動作しないた
め、主に液体ヘリウム等の極低温冷媒を用いて冷却され
る。そのため生体磁気計測装置で使用されるSQUID
磁束センサを格納する容器には、クライオスタットある
いはデュワと呼ばれる極低温格納容器が使用されてい
る。
【0003】図9は従来使用されている生体磁気計測用
クライオスタットの構造を示したものである。クライオ
スタットは、底部にSQUID磁束センサ2が配置可能
であり、液体ヘリウム3を貯蔵するための内容器1と、
内容器1との間に真空槽5を形成する外容器4と、真空
槽5内に設置される高温側第1熱シールド7と低温側第
2熱シールド8と,内容器1の開口部に挿入される断熱
材6と,開口部を塞ぐための蓋(上部フランジ)12に
より構成される。生体磁気計測装置においては,装置自
身からの磁気の発生を抑制するために,主にガラス繊維
強化プラスチック(GFRP)で製作され,高分子接着
剤を利用して組み立てられている。クライオスタットは
極めて断熱性に優れているが,内容器1の内部に貯蔵さ
れる液体ヘリウム3の蒸発潜熱は非常に小さいため,わ
ずかな熱の侵入により大量の液体ヘリウムが蒸発し,定
期的な液体ヘリウムの補充が必要である。これにより,
生体磁気計測装置を運転するには高額なランニングコス
トが発生するとともに,メインテナンス性に劣るという
欠点があった。
【0004】内容器1内部の液体ヘリウム3への侵入熱
は,開口した室温端と液体ヘリウム温度(4.2K)と
が熱的に結合している内容器1の壁を伝わる熱伝導成分
13と,内容器1への輻射成分(輻射熱量14、15,
16)の総和である。内容器1に加わる輻射成分を小さ
くするために,内容器1の周りには高温側熱シールド材
7と低温側熱シールド材8が設置されている。この構造
により,内容器1には低温側熱シールド8からの輻射熱
量14が加わっている。
【0005】高温側熱シールド材7および低温側熱シー
ルド材8の一端は内容器1と熱的に結合しており、侵入
熱量により蒸発したヘリウムガスの顕熱を利用して冷却
されている。ここで,高温側熱シールド材7は室温であ
る外容器4からの輻射熱量15を受け,低温側熱シール
ド材8は高温側熱シールド材7からの輻射熱量16を受
ける。高温側熱シールド材7および低温側熱シールド材
8が受けた熱量は,各熱シールド材の熱伝導により内容
器1へ伝わることになり,各熱シールド材と内容器1の
結合部以下(下部)を伝わる熱伝導成分は増加する。
【0006】また,侵入熱量が小さくなり蒸発ガス量が
低減すると,蒸発ヘリウムガスが各熱シールド材を冷却
する能力が低下し,高温側熱シールド材7および低温側
熱シールド材8の温度が上昇するため輻射熱量が増大す
る。このように従来のクライオスタットにおいては,侵
入熱量の低減が困難であった。
【0007】図10は従来の生体磁気計測装置全体の構
成例を示している。生体磁気計測装置は微弱な磁気を計
測するため,外部環境磁場変動の影響を除外する必要が
あり,磁気シールドルーム20の内部で行われる。磁気
シールドルーム20の内部には,SQUID磁束センサ
2を格納し液体ヘリウム3を貯蔵するクライオスタット
21,クライオスタットを支持・固定するガントリー2
2,被験者23が横になるためのベッド24が設置され
ている。被験者23は通常仰向けの状態で計測が行われ
るが,伏臥で計測される場合もある。SQUID磁束セ
ンサ2での計測値はケーブルC1,C2などによって磁
気シールドルーム20の外部に設置された計測回路25
を経て,計測用コンピュータ26に取り込まれ,ディス
プレイ27に表示される。
【0008】なお,生体磁気計測装置における液体ヘリ
ウム消費量を低減する先行技術として,特開平11−8
9811号公報に記載された方法がある。この方法で
は,熱シールドと熱的に結合した蓄熱材を取り付け,外
部から熱シールド材を介して伝わった熱を吸収すること
により,内容器に伝わる熱量を低減している。また、特
開2000−241516号公報に記載された方法で
は、デュワの内筒容器と外筒容器の間に、内筒容器の挿
入口近傍に接した状態で当該内筒容器を包み込むように
形成された非磁性金属からなるサーマルシールド材を設
け、かつこのサーマルシールド材を冷却機で冷却するよ
うにしている。また、特開昭63−117409号公報
には、超電導マグネットなどに使用する冷凍機付極低温
容器についての記載がある。この容器は配管内の熱シー
ルド材貫通部分に着脱可能で配管と接触する仕切り版を
取り付けたものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の生体磁気計測装
置では、格納容器、特に内容器への伝導進入熱量の低減
が大きな問題である。伝熱量の進入があると冷媒が蒸発
し、頻繁に補充しなければならず、どうしてもランニン
グコストが高額になり、メインテナンス性にも問題があ
った。
【0010】前記従来技術等をみても、ネック部に対す
る熱シールド材の取り付け位置の最適化について言及さ
れているものはない。本発明は熱シールド材の取り付け
位置に最適な位置があることを確かめ、生まれた発明で
ある。
【0011】また,熱シールドの冷却源として例えば液
体窒素等の冷媒を使用しているため,熱シールド材を冷
媒の沸点温度以下に冷却することが困難であり,上記構
造の生体磁気計測装置においてはクライオスタット内部
への侵入熱量の低減化が困難であった。また上記の従来
技術においても、蓄熱材による熱の吸収、あるいは非磁
性金属からなるサーマルシールド材を設けている。
【0012】本発明の目的は,ネック部に対する熱シー
ルド取り付け位置の最適化をはかり、クライオスタット
内部への侵入熱量を小さくすることによって,冷媒の消
費量を低減し,生体磁気計測装置のランニングコストを
低減することが可能となる極低温格納容器を提供するこ
とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を以
下の手段によって解決することができる。内部に冷媒を
貯蔵し被冷却物を格納する内容器と,前記内容器と結合
し上面において開口しフランジ部をもつ中空筒状のネッ
ク部と,前記内容器との間に真空槽を形成する外容器と
を有する格納容器において、前記真空槽に設置された熱
シールド材と、前記熱シールド材と熱的に結合した冷却
手段と、前記ネック部と前記熱シールド材を熱的に結合
した結合部とを具備し、前記結合部は前記熱シールド材
から内容器への輻射熱と前記ネック部の壁により内容器
へ伝わる熱伝導成分の和が前記結合部をもたないときよ
りも小さくなる位置に設けたことに特徴がある。
【0014】また、前記ネック部と前記熱シールド材と
の結合部を前記熱シールドから内容器への輻射熱と前記
ネック部の壁により内容器へ伝わる熱伝導成分の和が最
も小さくなる位置に設けたこと、また、前記ネック部と
前記熱シールド材との結合部を前記熱シールドから内容
器への輻射熱と前記ネック部の壁により内容器へ伝わる
熱伝導成分の和が最も小さくなる位置に対してあらかじ
め定められた範囲内の位置に設けたこと、また前記ネッ
ク部と前記熱シールド材との結合部を前記ネック部の長
さに対して前記フランジ端部からの長さの比が3%から
75%の範囲内の位置に設けたことに特徴がある。
【0015】また、前記ネック部と前記熱シールド材と
の結合部を前記ネック部の長さに対して前記フランジ端
部からの長さの比が17%から26%の範囲の位置に設
けたこと、前記ネック部の径あるいは断面積が前記内容
器の径あるいは底部断面積よりも小さいネック部で構成
したことに特徴がある。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に
もとづいて説明する。図1は,本発明における生体磁気
計測装置の一実施例の断面図である。内容器1は底部に
SQUID磁束センサ2を格納するための面積を有し,
内部には液体ヘリウム3を貯蔵できる構造である。ま
た,内容器1と結合し,開口部の大きさが内容器1の底
面の大きさよりも小さなネック部10を有する狭首型構
造を採用することによって,開口した室温端から液体ヘ
リウム温度を結ぶ部分の熱伝導面積を減少し,開口部上
端からの熱伝導成分の低減化を行っている。ここで内容
器1の底面の大きさよりも小さなネック部10というの
は、内容器の径よりも小さな径を有するネック部という
意味である。さらに,ネック部10の壁の厚さを強度的
に十分な信頼性が保証できる範囲で可能な限り薄くし,
熱伝導面積を小さくしている。
【0017】ネック部10の内部には熱伝導率の低い発
泡ポリウレタンで構成された断熱材6を積層することに
より,室温である上面からの熱伝導による熱侵入を低減
している。6a〜fは熱の均等化を図る部材であって、
この実施例ではアルミの板を使用している。発泡ポリウ
レタン内部に存在する気泡は,極低温状態では液化する
ため真空断熱の役割を果たし,極低温域で高い断熱効果
を有する。
【0018】外容器4は内容器1との間に真空槽5を実
現するために,図示しない真空排気口を有する。ここで
真空排気口をネック部10の側面位置に配置することに
より,真空排気時に真空排気口から内部の断熱材等を吸
い込むことを防止している。
【0019】内容器1,ネック部10,外容器4は熱伝
導率が小さく且つ極低温域での高い強度を有するガラス
繊維強化プラスチック(GFRP)製であり,高分子接
着剤を用いて形成している。ネック部10の内部に挿入
される断熱材6の外径はネック部10の内径よりも小さ
くなっており,蒸発したヘリウムガスは断熱材6とネッ
ク部10の隙間を流れる構造となっている。また検出信
号を取り出す信号ケーブルC0もこの隙間を利用して取
り出す。蒸発したヘリウムガスは上部フランジ12に取
り付けられた図示しないガス抜きポートより外部に排出
される。侵入熱量により蒸発したヘリウムガスは,断熱
材6とネック部10の隙間を流れる間に断熱材6および
ネック部10と熱交換を行い,ネック部10を伝わる熱
伝導成分の低減に寄与している。
【0020】内容器1の表面と熱シールド材37の表面
には,表面にアルミニウムが蒸着されたテープを全面に
わたって貼り付け,輻射を受ける面の放射率を低減する
ことにより,内容器1が熱シールド材37から受ける輻
射熱量35が小さくなるようにしている。また,熱シー
ルド材37が外容器4から受ける輻射熱量34を低減す
る効果も有する。
【0021】熱シールド材37と外容器4との間には図
示しない断熱材を施しており,室温である外容器4から
熱シールド材37が受ける輻射熱量34を低減してい
る。ここで断熱材は,ポリエステル薄膜の片面にアルミ
ニウムを蒸着させたものと,表面に凹凸を有するポリエ
ステル薄膜の両面にアルミニウムを蒸着させたものを相
互に多数重ね合わせた積層断熱材を使用している。
【0022】本発明では熱シールド材37は1枚のみ設
置し,パルス管冷凍機9により低温に冷却される。熱シ
ールド材37は非磁性且つ熱伝導率に優れた銅製であ
り,またSUID磁束センサ2近傍では被覆銅線や板を
短冊状に加工した部材を用いることにより,冷却特性に
優れかつ外部磁場の変動により導体表面に発生する渦電
流を抑制可能な構造としている。
【0023】熱シールド材37とパルス管冷凍機9の間
には,極低温域での熱伝導率が高いインジウムや真空用
グリースを挟み込むことによって接触熱抵抗を小さく
し,熱シールド材37とパルス管冷凍機9の間に生じる
温度差を小さくしている。
【0024】パルス管冷凍機9には,外容器4から受け
る輻射熱量34と熱シールド材37とネック部10の結
合部19からパルス管冷凍機9への熱移動32が熱負荷
として加わり,パルス管冷凍機9はこの熱負荷に対応し
た冷却温度に冷却される。
【0025】図2は本発明における生体磁気計測装置の
全体構成の例を示している。従来の生体磁気計測装置の
構成(図10)と同様に,計測は磁気シールドルーム2
0の内部で行われる。SQUID磁束センサ2を格納
し、液体ヘリウム3を貯蔵するクライオスタット21に
はパルス管冷凍機9が取り付けられている。パルス管冷
凍機9は寒冷を発生するコールドヘッド部に機械駆動す
る要素を持たず,機械駆動する圧縮機ユニット40およ
びヘリウムガス流れ方向を周期的に切り替えるバルブユ
ニット41は冷凍機コールドヘッド部から離して設置さ
れる。
【0026】本発明では,圧縮機ユニット40とバルブ
ユニット41は磁気シールドルーム20の外側に置き,
圧縮機ユニット40とバルブユニット41はフレキシブ
ルチューブ42により結合されている。また,バルブユ
ニット41とコールドヘッド部は連結管43にて結合さ
れている。連結管43が振動することによる磁場変動を
回避するために,連結管43は磁気シールドルーム20
と非接触な形で固定されている。図3は,本発明におけ
る一実施例における熱シールド材とネック部の熱的結合
構造を示した断面図である。全長L0のネック部10に
おいて,室温端である開口部からLs離れた位置に熱シ
ールド37とネック部10の結合部19を設けている。
また,熱シールド材37はパルス管冷凍機9とも熱的に
結合している。35は上記のように熱シールド材37か
ら受ける輻射熱量である。
【0027】図4は結合部19の温度がパルス管冷凍機
の冷却温度よりも高い場合における熱の流れを示したも
のである。結合部19の温度がパルス管冷凍機9の冷却
温度よりも高くなる場合には,結合部19から熱シール
ド材37を介してパルス管冷凍機9への熱移動32が生
じるため,結合部19よりも下方のネック部10の壁を
伝わる熱伝導成分33が小さくなる。パルス管冷凍機9
が受ける熱負荷は,外容器4からの輻射熱量34と結合
部19からパルス管冷凍機9への熱移動32の総和であ
るため,パルス管冷凍機9が受ける熱負荷は増大し,パ
ルス管冷凍機9の冷却温度は上昇し,熱シールド材37
の温度が上がり,熱シールド材37から内容器1への輻
射熱量35が増大する。
【0028】図5は結合部19の温度がパルス管冷凍機
の冷却温度よりも低い場合における熱の流れを示したも
のである。結合部19の温度がパルス管冷凍機9の冷却
温度よりも低い場合には,パルス管冷凍機9から熱シー
ルド材37を介して結合部19への熱移動38が生じる
ため,結合部19以下(結合部19の下方部)では,ネ
ック部10の壁を伝わる熱伝導成分33が大きくなる。
また,パルス管冷凍機9が受ける熱負荷は,外容器4か
ら熱シールド材37が受ける輻射熱量34とパルス管冷
凍機9から結合部19への熱移動38の差となり,パル
ス管冷凍機9が受ける熱負荷は減少し,パルス管冷凍機
9の冷却温度は降下し,熱シールド材37の温度が下が
り,熱シールド材37から内容器1への輻射熱量35は
減少する。
【0029】結合部19の温度がパルス管冷凍機の冷却
温度よりも高い場合においても,結合部19の位置によ
り侵入熱量は変化する。すなわち,結合部19が室温側
に近すぎる場合には,結合部19の温度が高いために,
結合部19から熱シールド材37を介してパルス管冷凍
機9への伝わる熱伝導成分の一部32が大きくなり,冷
凍機9が受ける熱負荷が増大し,パルス管冷凍機9の温
度が上昇する。パルス管冷凍機9の温度の上昇は,パル
ス管冷凍機9と熱的に結合した熱シールド材37の温度
上昇に直結しているため,熱シールド材37の温度も上
昇する。したがって,熱シールド材37から内容器1へ
の輻射熱量35が増大してしまう。しかし,熱伝導成分
に着目すると,温度差が生じる区間の距離(Lo―L
s)が長くなるため,結合部19以下(結合部19より
下方部)のネック部10の壁を伝わる熱伝導成分33が
小さくなる。
【0030】一方,結合部19の位置が低温側に近すぎ
る場合には,結合部19の温度が低いために,結合部1
9から熱シールド材37を介してパルス管冷凍機9へ伝
わる熱伝導成分の一部32は小さくなるため,パルス管
冷凍機9が受ける全熱負荷は減少し ,パルス管冷凍機
9の冷却温度は低下する。そして,パルス管冷凍機9と
熱的に結合した熱シールド材37の温度は低下する。し
たがって,熱シールド材37から内容器1への輻射熱量
35は小さくなる。しかし,結合部19が低温側にある
ため,温度差が生じる区間の距離(Lo―Ls)が短くな
ることにより,結合部19より下方のネック部10の壁
を伝わる熱伝導成分33が大きくなる。
【0031】内容器1の内部の液体ヘリウム2への侵入
熱量は,結合部19から下方に伝わる熱伝導成分33
と,熱シールド材37から内容器1への輻射熱量35の
総和である。結合部19の位置の変化(鉛直方向の位置
変化、(Lo―Ls))により,結合部19から下方に伝
わる熱伝導成分33と,熱シールド材37から内容器1
への輻射熱量35は変化し,結合位置の変化に対して熱
伝導成分33と輻射成分35はそれぞれ相反する変化を
することから,両者の関係から決まる侵入熱量には最小
値が存在することになる。
【0032】図6は熱シールド材とネック部を結合しな
い場合における生体磁気計測装置の断面構造を説明する
図である。熱シールド材37とネック部10を結合しな
い場合においては,パルス管冷凍機9には外容器4から
熱シールド材37が受ける輻射熱量34に相当する熱負
荷を受ける。この熱負荷は,外容器4の温度が所定の値
に保たれている限り一定であると考えられる。したがっ
て、パルス管冷凍機9および熱シールド材37の温度は
一定に保たれ,熱シールド材37から内容器1が受ける
輻射熱量35も一定となる。内容器1の内部の液体ヘリ
ウム3には,室温である開口端部から液体ヘリウム温度
(4.2K)までネック部10の壁を伝わる熱伝導成分
39と熱シールド材37からの輻射成分35が侵入熱量
として加わるため,これに相当した液体ヘリウムが蒸発
する。
【0033】図7は熱シールド材とネック部の結合部の
位置と熱伝導成分および輻射成分の関係を示す解析結果
の一例である。横軸はLs/Lo、縦軸はQ/Q0で表わし
ている。図6で示した熱シールド材37とネック部10
とを結合しなかった場合における侵入熱量よりも,侵入
熱量が小さかった場合にのみ,本発明における熱シール
ド材37とネック部10とを結合したことによる侵入熱
量の低減の効果が発揮されるものである。そこで,熱シ
ールド材37とネック部10を熱的に結合しない場合の
クライオスタットにおける侵入熱量をQoとし,このQo
を用いて侵入熱量を無次元化する。Qoは図6におい
て、ネック部10の壁を伝わる熱伝導成分39(QC
と熱シールド材37からの輻射成分35(Qr ')の和であ
る(Qo=Q C +Qr ')。また,結合部(取り付け位置)
19の位置はネック部10の全長Loを用いて無次元化
する。
【0034】ここで,ネック部10の壁を伝わる熱伝導
成分33をQc,熱シールド材からの輻射成分35をQr
とする。また,全侵入熱量は熱伝導成分と輻射成分の総
和であり、(Qc+Qr)=Qで表わす。
【0035】熱シールド材37は、ネック部10と室温
部である開口端からLsだけ離れた位置で結合する。し
たがって、無次元長さLs/Loは結合部19の位置を示
し、ネック部10の室温部である開口端でLs/Lo=0で
あり、ネック部10の低温端でLs/Lo=1である。
【0036】熱シールド材37とネック部10とを結合
しない場合における侵入熱量Qoと比較して、熱シール
ド材37とネック部10とを結合することにより侵入熱
量が低減した効果は、 ((Qc+Qr)/Qo)<1 の場合にのみ発揮する。したがって図7の結果より 0.03<(Ls/Lo)<0.75 の範囲で熱シールド材37とネック部10を結合すれ
ば、熱シールド材37とネック部10とを結合しない場
合に比べて侵入熱量を低減することが可能であることが
わかる。
【0037】また、熱シールド材37とネック部10を
結合した場合の全侵入熱量Q(Q=Qc+Qr)は、図7
から分かるように Qmin=0.17<(Ls/Lo)<0.26 の範囲において最小値をとり、熱シールド材37とネッ
ク部10とを結合しない場合の40%の侵入熱量に低減
することが可能である。図7の例ではLs/Loが0.1
7〜0.26の間が平坦な場合であるが、場合によって
は平坦部が非常に狭い場合もある。そのような場合は、
最小値を含みLs/Loが予め定められた範囲内、あるい
はQ/Q0が最小値を含む予め定められた範囲内に対応
するところに結合部を設けるのがよい。
【0038】このように結合部の位置を変えることによ
って、内容器への進入熱量を大幅に減少することができ
る。結局その分だけ冷媒の消費を抑えることができるの
で、ヘリウムの補充周期の間隔を長くすることができ
る。
【0039】図8は本発明の他の実施例を示している。
この実施例は、熱シールド材37とネック部10の結合
方法に特徴がある。図8は、熱シールド材37とネック
部10との結合を、熱伝導体11を介して結合してい
る。この場合における熱シールド材37とネック部10
の結合位置の温度は,ネック部10と熱伝導体11との
結合部19(ネック部10側)の温度で代表する。ま
た,結合位置の長さLsは室温端から結合部19(ネッ
ク部10側)までの距離である。この場合も図7と同様
に内容器1に伝わる熱量が最小になる結合部19の位置
が存在する。熱シールド材に接続されている熱伝導体1
1とネック部10の結合部19の最適位置に結合部を設
ける個とが望ましい。また、最適位置に対して予め定め
られた範囲の位置に結合部を設けることは、上記の実施
例の場合と全く同じである。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、クライオスタット内部
への侵入熱量が小さくなり,液体ヘリウム消費量が低減
するため,液体ヘリウムの補給周期を長くすることがで
きるので,ランニングコストが低減するとともに,メイ
ンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる一実施例の生体磁気計測装置の断
面構造を説明する断面図である。
【図2】本発明になる生体磁気計測システム全体を説明
する図である。
【図3】本発明における一実施例における熱シールドと
ネック部の熱的結合構造を示した断面図である。
【図4】本発明になる一実施例における結合部の熱の流
れを説明する図である。
【図5】本発明になる一実施例における結合部の熱の流
れを説明する図である。
【図6】熱シールドとネック部とを結合しない場合にお
ける生体磁気装置の断面構造を説明する図である。
【図7】熱シールドとネック部の結合位置とクライオス
タット内部への侵入熱量の関係を示す一例である。
【図8】本発明における他の実施例における熱シールド
とネック部の熱的結合構造を示した断面図である。
【図9】従来の生体磁気計測装置の断面構造を説明する
断面図である。
【図10】従来の生体磁気計測全体システムを説明する
図である。
【符号の説明】
1;内容器, 2;SQUID磁束センサ, 3;液体
ヘリウム, 4;外容器, 5;真空槽, 6断熱材,
7;高温側第1熱シールド材, 8低温側第2熱シー
ルド材, 9;冷凍機, 10;ネック部, 11;熱
伝導体, 12;上部フランジ, 13;熱伝導成分、
14;内容器に加わる輻射成分、 15;外容器から
高温側熱シールドに加わる輻射成分、 16;高温側熱
シールド材から低温側熱シールド材に加わる輻射成分、
19;結合部、 20;磁気シールドルーム, 2
1;クライオスタット, 22;ガントリー, 23;
被験者, 24;ベッド, 25;磁気計測回路, 2
6;計測用パソコン, 27;ディスプレイ、 31;
熱伝導成分、 32;ネック部から熱シールドへの移動
熱量、 33;熱シールド材とネック部の結合部以下の
熱伝導成分、 34外容器から熱シールド材が受ける輻
射熱量、 35;熱シールドから内容器が受ける輻射熱
量(輻射成分)、 37;熱シールド材、 38;熱シ
ールド材からネック部への移動熱量、 39;ネック部
と熱シールド材が結合しない場合の熱伝導成分、 4
0;冷凍機圧縮機ユニット、 41;冷凍機バルブユニ
ット、 42;フレキシブルチューブ、 43;連結管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笹渕 仁 茨城県ひたちなか市大字市毛882番地 株 式会社日立製作所計測器グループ内 Fターム(参考) 3L044 AA04 BA08 CA13 DB03 DD07 KA04 4C027 AA10 CC00 KK00 KK01 4M114 AA02 AA19 AA28 BB03 CC08 CC16 DA02 DA03 DA07 DA13 DA15 DA18 DA32 DA51 DA54

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に冷媒を貯蔵し被冷却物を格納する内
    容器と,前記内容器と結合し上面において開口しフラン
    ジ部をもつ中空筒状のネック部と,前記内容器との間に
    真空槽を形成する外容器とを有する格納容器において、
    前記真空槽に設置された熱シールド材と、前記熱シール
    ド材と熱的に結合した冷却手段と、前記ネック部と前記
    熱シールド材を熱的に結合した結合部とから構成し、前
    記結合部は前記熱シールド材から内容器への輻射熱と前
    記ネック部の壁により内容器へ伝わる熱伝導成分の和が
    前記結合部をもたないときよりも小さくなる位置に設け
    たことを特徴とする極低温格納容器。
  2. 【請求項2】前記請求項1記載において、前記ネック部
    と前記熱シールド材との結合部を前記熱シールド材から
    内容器への輻射熱と前記ネック部の壁により内容器へ伝
    わる熱伝導成分の和が最も小さくなる位置に設けたこと
    を特徴とする極低温格納容器。
  3. 【請求項3】前記請求項2記載において、前記ネック部
    と前記熱シールド材との結合部を前記熱シールド材から
    内容器への輻射熱と前記ネック部の壁により内容器へ伝
    わる熱伝導成分の和が最も小さくなる位置に対してあら
    かじめ定められた範囲内の位置に設けたことを特徴とす
    る極低温格納容器。
  4. 【請求項4】前記請求項1記載において、前記ネック部
    と前記熱シールド材との結合部を前記ネック部の長さに
    対して前記フランジ端部からの長さの比が3%から75
    %の範囲内の位置に設けたことを特徴とする極低温格納
    容器。
  5. 【請求項5】前記請求項1記載において、前記ネック部
    と前記熱シールド材との結合部を前記ネック部の長さに
    対して前記フランジ端部からの長さの比が17%から2
    6%の範囲の位置に設けたことを特徴とする極低温格納
    容器。
  6. 【請求項6】前記請求項1の記載において,前記ネック
    部の径あるいは断面積が前記内容器の径あるいは底部断
    面積よりも小さいネック部で構成したことを特徴とする
    極低温格納容器。
  7. 【請求項7】前記請求項1記載において,前記冷却手段
    がパルス管冷凍機であることを特徴とする極低温格納容
    器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005049071A (ja) * 2003-07-31 2005-02-24 Fuji Electric Holdings Co Ltd パルス管冷凍機

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1197754A (ja) * 1997-09-16 1999-04-09 Hitachi Ltd 超電導量子干渉デバイス格納用極低温容器

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