JP2002228431A - タンク底板の板厚測定装置及び測定方法 - Google Patents

タンク底板の板厚測定装置及び測定方法

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JP2002228431A
JP2002228431A JP2001027259A JP2001027259A JP2002228431A JP 2002228431 A JP2002228431 A JP 2002228431A JP 2001027259 A JP2001027259 A JP 2001027259A JP 2001027259 A JP2001027259 A JP 2001027259A JP 2002228431 A JP2002228431 A JP 2002228431A
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tank bottom
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measurement
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JP2001027259A
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Inventor
Nobuyoshi Sato
信義 佐藤
Kazuhiro Nojiri
和寛 野尻
Tatsuya Fukunaga
辰也 福永
Hiroyuki Haga
啓之 芳賀
Fuminori Kiyota
文範 清田
Ryota Kajiki
良太 梶木
Yasuhiko Wakibe
康彦 脇部
Yuji Nishimura
裕二 西村
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Shin Nippon Nondestructive Inspection Co Ltd
Asahi Kasei Engineering Corp
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Asahi Engineering Co Ltd Osaka
Shin Nippon Nondestructive Inspection Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タンク底板の被覆膜を除去しないで、タンク
底板の全体にわたる鋼板の板厚減少状況を高い精度で把
握することが可能なタンク底板の板厚測定装置及び測定
方法を提供する。 【解決手段】 超音波探触子22、23の前側又は後ろ
側の所定位置に、超音波探触子22、23の測定領域と
同等又は狭い領域のタンク底板31の被膜の厚みを測定
する膜厚計24、25が設けられ、ロータリーエンコー
ダ32の出力、超音波探触子22、23の出力、膜厚計
24、25の出力、並びにロータリーエンコーダ32、
超音波探触子22、23及び膜厚計24、25の平面的
位置を入力とし、超音波探触子22、23の出力と膜厚
計24、25の出力から、タンク底板31の鋼板厚とそ
の位置を測定及び記憶してディスプレイ上に表示する演
算・表示部13を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば燃料タンク
等の円筒タンクの底板の板厚減少状況を測定して、これ
を評価することができるタンク底板の板厚測定装置及び
測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、日本では、円筒タンク底板の超音
波による板厚測定は消防通達に従って行われている。即
ち、側板内面から500mmの内側範囲内のアニュラ板
については、概ね100mm間隔で例えば千鳥状に指定
した定点位置で行い、アニュラ板のその他の部分及びそ
の内側にある底板については、概ね1mの間隔で指定し
た定点位置で行われている。そして、以上のような定点
位置での底板の板厚測定の結果、板厚の減少量が基準値
以上となるような問題位置が検出されると、その位置を
中心に半径300mmの範囲を30mm間隔の指定位置
について更に超音波による板厚測定を行い、問題位置付
近のタンク底板の板厚減少状況を把握するようにしてい
る。また、従来はこのように、あらかじめ定めた定点を
超音波厚さ計を用いて計測し、更に底板表面に防食対策
として被覆膜(コーティング、塗装あるいはライニン
グ)が施されているものにあっては、該当個所の被覆膜
を除去して板厚を測定するか、もしくは多重エコー方式
を用いた超音波厚さ計により鋼板厚さを計測していた。
【0003】また、タンク鋼板の広範囲にわたって連続
的に板厚を測定する装置は、例えば、アメリカ特許第5
440929号公報もしくは特開平6−347250号
公報に開示されているような手動もしくは自動装置も併
用されている。また、被覆膜の上から鋼板の厚さを定点
にて計測する技術にあっては、通常、多重エコー方式の
超音波厚さ計にて鋼板厚を求める方法が用いられる他、
超音波探触子と渦電流を利用した膜厚計とを個別に併用
する方法も用いられる。更に、計測する探触子にあって
は、例えば実開昭64−15959号公報に開示されて
いるように、超音波探触子の周囲にコイルを配置したセ
ンサーにて被膜厚さと鋼板厚さを同時測定するものなど
があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
円筒タンク底板の板厚測定においては、解決すべき以下
のような問題が存在していた。 (1)消防通達に示される、間隔を設けて指定する定点
位置のみの測定では、その測定個所で著しい鋼板の板厚
減少が検出されない場合にあっては、実際に著しい板厚
減少が定点以外の部分に存在していても見過ごされてし
まい、特に局所的な腐食による鋼板の板厚減少状況を検
出することが不可能で、タンク底板の全体にわたった鋼
板の板厚減少状況を把握することができないという問題
があった。 (2)また、定点位置で著しい板厚減少が検出される
と、この定点を中心として再分割した新たな定点につい
て再度測定を行うため、タンク底板の板厚測定を簡易に
かつ迅速に行うことができないという問題が存在してい
た。
【0005】(3)超音波を用いたタンク底板の板厚測
定では、被膜部分と鋼板部分では音速が大きく異なるた
め、一般の超音波厚さ計を用いて被膜の上面から測定を
行うと、実際の底板の厚さ、すなわち鋼板厚さの決定に
非常に大きな測定誤差が発生する。この対策として多重
エコー方式の超音波厚さ計が使用されているが、裏面腐
食がある場合には、多重エコーが得られないことがあ
り、タンク底板の腐食による鋼板厚さの減少状況を正確
に判定することが困難であった。 (4)この場合、鋼板厚さの測定に際しては、被膜部分
を取り除いて鋼板部分だけの板厚測定を行い、測定後に
再塗装(コーティングあるいはライニングを含む)を行
うという方法を採用していたが、測定に際してタンクの
休止期間が長くなるという時間的問題と、測定費用以外
に被膜除去と再塗装の費用が発生するという経済的問題
が存在していた。
【0006】更に、タンク底板の広範囲を連続して板厚
測定する場合にあっては、底板の表面の腐食等又は被膜
上の凹凸が存在し、その凹凸による探触子の浮き上がり
や傾きによって、板厚の測定誤差が生じることが少なく
なかった。例えば図15(A)に示すように、超音波探
触子80と膜厚計81とが設けられている子台車82
は、前車輪83と後車輪84の縦横の間隔が互いに、例
えば40mm程度離れて設けられ、その車輪間隔の中央
部に超音波探触子80が設けられ、子台車82の前方端
部に膜厚計81が設けられている。したがって、子台車
82の中央部に設けられた超音波探触子80と子台車8
2の前方端部に設けられた膜厚計81との間が、例えば
20mm程度離れる。
【0007】そのため、タンク底板85に腐食等によっ
て形成された凹凸が有る場合、例えば子台車82進行方
向の前車輪83が凹部86に入り、後車輪84が凸部8
7に上がった状態から、図15(B)に示すように前方
に進み、前車輪83が前方の凸部88に上がり、後車輪
84が凹部86に入ると、膜厚計81とタンク底板85
の測定面との間の間隙は大きく変化しないが、超音波探
触子80とタンク底板85の測定面との間の間隙だけが
大きな、しかも急激な変化をし、更に子台車82の傾き
が生じるため、超音波探触子80から発射されるビーム
の反射角度が変化して、タンク底板85の板厚測定結果
に誤差が生じるという問題があった。
【0008】また、1つの探触子をX、Y平面にて駆動
させ板厚を測定する自動装置にあっては、タンク底板の
ような広大な範囲をもれなく測定しようとした場合、信
号処理と計測時間に膨大な時間を必要とし、実用面では
現実性が乏しかった。また、測定台車に探触子を複数個
利用して、計測するものにおいては、探触子の数に比例
して、測定時間は短縮できるという点で優れていたが、
個々の探触子の有効ビーム幅と探触子間の距離を、又は
装置の形状と全体大きさを深く考慮しなければ、装置の
探傷面(測定面)に未探傷部を生じるという問題があっ
た。たとえば、超音波探触子の周囲に膜厚計のコイルを
配置する構造では、膜厚計で測定する領域が超音波探触
子の測定領域より広くなり、かつ、探傷感度の低下を補
うためにはコイル電流を大きくする必要がある。更に隣
接するコイルの干渉を防止するためには、コイル間の間
隔を大きくする必要があり、そのため、測定台車の幅方
向の全領域を測定することが困難であるという問題があ
った。
【0009】また、タンク底板上に測定台車を走行させ
る場合、例えば、タンクの底板には配管やヒーターコイ
ルなどの障害物が多数付属している。従来の自動測定装
置にあっては、装置が大型化しているため、前述のよう
な障害物付近においては、連続的な計測が困難であっ
た。また、円筒状のタンクの底板において、側板近傍は
円弧形状になっており従来のX、Yの駆動を基準とした
動作では、未探傷域を多く残すなどの問題があった。本
発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、タンク底板
の被覆膜を除去しないで、タンク底板の全体にわたる鋼
板の板厚減少状況を高い精度で把握することが可能なタ
ンク底板の板厚測定装置及び測定方法を提供することを
目的する。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に
係るタンク底板の板厚測定装置は、測定しようとするタ
ンク底板の上を走行する測定台車と、測定台車に取付け
られ、しかも測定台車に幅方向全体に渡って並べて配置
された複数の子台車と、送信子と受信子を有し子台車の
それぞれに取付けられてタンク底板の厚さを測定する反
射型の超音波探触子と、測定台車に取付けられ、測定台
車の走行距離を測定するロータリーエンコーダとを有す
るタンク底板の板厚測定装置において、各超音波探触子
の前側又は後ろ側の所定位置には、超音波探触子とは別
位置に、各超音波探触子の測定領域と同等又は狭い領域
のタンク底板の被膜の厚みを測定する膜厚計がそれぞれ
設けられ、更に、ロータリーエンコーダの出力、各超音
波探触子の出力、各膜厚計の出力、並びにロータリーエ
ンコーダ、各超音波探触子及び各膜厚計の平面的位置を
入力とし、各超音波探触子の出力及びこれに対応する位
置での各膜厚計の出力から、タンク底板の鋼板厚とその
位置を測定台車の走行に対応して測定及び記憶してディ
スプレイ上に表示する演算・表示部を有する。
【0011】これにより、タンク底板の被覆膜を除去し
ないで、測定台車をタンク底板の全体にわたって走行さ
せて、ロータリーエンコーダの出力、超音波探触子及び
膜厚計の出力から実際のタンク底板の厚み(鋼板厚)を
求め、鋼板の局所的な腐食による板厚減少状況を高精度
に測定でき、評価することができる。なお、測定台車を
タンク底板の上を走行させることによって、タンクの底
板の殆どの部分の板厚の測定が可能となる。特に、超音
波探触子とは別位置に、各超音波探触子の測定領域と同
等又は狭い領域のタンク底板の被膜の厚みを測定する膜
厚計がそれぞれ設けられているので、膜厚計の測定範囲
を超音波探触子の大きさに関係なく小さな領域に設定で
き、膜厚計の測定精度を高くすることが可能である。ま
た、ロータリーエンコーダを基点とした超音波探触子及
び膜厚計の位置(各超音波探触子、及び各膜厚計の相対
位置)を予め設定し、それをロータリーエンコーダで測
定した測定台車の位置により演算することにより、各超
音波探触子の出力とこれに対応する各膜厚計の出力が得
られた位置を一致させることができる。
【0012】本発明に係るタンク底板の板厚測定装置に
おいて、各超音波探触子は、平面的に見て千鳥状又は階
段状に設けられて隣り合う超音波探触子の干渉を防止す
ると共に、測定台車の幅方向の全領域の測定を可能と
し、更に、各超音波探触子に加えられる繰り返しパルス
の周期は、超音波探触子の移動方向の有効ビーム幅を測
定台車の移動速度で除した値より小さくして、測定台車
の進行方向の全てに対して板厚測定可能となるようにす
ることが出来る。
【0013】この場合、幅方向の測定範囲については、
各超音波探触子は、平面的に見て千鳥状又は階段状に設
けられて、隣り合う超音波探触子の干渉を防止すると共
に、隣同士及び前後の超音波探触子が互いに補完し合う
ので測定台車の幅方向の全領域を漏れなく測定が可能と
なる。また、進行方向については、各超音波探触子に加
えられる繰り返しパルスの周期を、超音波探触子の移動
方向の有効ビーム幅を測定台車の移動速度で除した値よ
り小さくすることにより漏れなく測定が可能となる。例
えば超音波探触子の移動方向の有効ビーム幅が3mmで
あるとし、測定台車の移動速度が1000mm/秒であ
る場合、超音波探触子に加えられる繰り返しパルスの周
期は0.003秒(=3/1000)以下、すなわち繰
り返し周波数は333Hz以上であればよい。
【0014】本発明に係るタンク底板の板厚測定装置に
おいて、測定台車に設けられている操作用把手は可倒、
伸縮又は取外し可能となって測定台車全体の高さを低く
してもよく、この場合、測定台車がタンク底板の上方に
設けられている配管等の障害物の下を潜ってタンク底板
の厚みが測定可能となる。更に、測定台車において、ロ
ータリーエンコーダと超音波探触子と膜厚計が取付けら
れた子台車を有する前側台車は、膜厚計のコントローラ
を収納可能な後側台車と分離、オフセットすることが可
能となっていてもよく、この場合、操作用把手を可倒、
伸縮又は取外して、測定台車全体の高さを低くした場合
よりも更に低い障害物の下を潜ってタンク底板の厚みが
測定可能となる。
【0015】本発明に係るタンク底板の板厚測定装置に
おいて、測定台車は、突出長さを調整可能に左右に突出
させた水平ガイド車輪を有し、水平ガイド車輪によって
測定台車がタンク側板の内側面に沿って走行すると共
に、タンク底板の板厚の測定が可能となっていてもよ
い。この場合、水平ガイド車輪によって、タンク側板の
内側面に沿った方向の測定が可能となり、タンク側板に
沿って設けられたアニュラ板の測定が効率的に実施可能
となる。
【0016】前記目的に沿う本発明に係るタンク底板の
板厚測定方法は、反射型の超音波探触子、及び超音波探
触子の前又は後ろに設けられた膜厚計を設けた複数台の
子台車を、移動距離を測定するロータリーエンコーダが
設けられた測定台車に取付けて、測定台車をタンク底板
の上に走行させてその鋼板厚を測定するタンク底板の板
厚測定方法において、超音波探触子によってタンク底板
の厚みを測定すると共に、膜厚計でタンク底板の表面の
被膜厚さを測定し、ロータリーエンコーダを基点とした
超音波探触子及び膜厚計の位置を予め設定し、それをロ
ータリーエンコーダで測定した測定台車の位置と対応さ
せて、それぞれの超音波探触子で測定されたタンク底板
の板厚からその部分の被膜厚みを引いて、タンク底板の
鋼板厚を測定する。
【0017】これにより、タンク底板の被膜を除去しな
いで、ロータリーエンコーダの出力、超音波探触子及び
膜厚計の出力から実際のタンク底板の厚みを求め、鋼板
の局所的な腐食による板厚減少状況を高精度に測定でき
る。しかも、各超音波探触子の出力が得られた位置とこ
れに対応する各膜厚計の出力が得られた位置を一致させ
て記憶し、その結果をディスプレイ画面上で表示させる
ことができる。
【0018】本発明に係るタンク底板の板厚測定方法に
おいて、所定の有効ビーム幅を有する超音波探触子を備
えた測定台車により、タンク底板の板厚測定を行って測
定値を求め、測定値からタンク底板に所定の深さ以上の
孔食部を有し、しかも孔食部の平面的大きさが所定の範
囲以下である場合、所定の有効ビーム幅より小さい有効
ビーム幅を有する超音波探触子を備えた測定台車に取り
替えて、タンク底板の減肉部の板厚の測定を再度行って
もよい。
【0019】この場合、最初に測定した個所の測定値が
不安定であったり、測定値からタンク底板に所定の深さ
以上で、しかも平面的大きさが所定の範囲以下の大きさ
の孔食部を有する、例えば微細で深い穴がある減肉部が
検出されたときには、有効ビーム幅が、例えば25mm
×3mm程度の大きい超音波探触子では高い精度で測定
できない。それで、最初に測定した測定台車の信号及び
電源を伝送するケーブルを外し、最初に用いた超音波探
触子の有効ビーム幅(例えば25mm×3mm)より小
さい有効ビーム幅(例えば10mm×3mm)を有する
超音波探触子を取付けた測定台車に取替える。そして、
タンク底板の減肉部の板厚測定を再度行うことにより、
高い精度の測定値を得ることができる。
【0020】本発明に係るタンク底板の板厚測定方法に
おいて、タンク底板の上に液状の接触媒体を介してシー
ト部材を敷設し、シート部材の上から超音波探触子によ
って垂直探傷するようにしてもよい。この場合、膜厚計
とタンク底板の測定面との間の間隙の変化と、超音波探
触子とタンク底板の測定面との間の間隙の変化は実質的
に同じ値となり、タンク底板の表面の凹凸(表面粗さ)
が大きいときでも、急激な形状変化による子台車の傾き
を低減でき、タンク底板の全体にわたる鋼板の板厚減少
状況を把握すると共に、安定したタンク底板の板厚測定
結果が得られる。
【0021】本発明に係るタンク底板の板厚測定方法に
おいて、接触媒体は水、マシン油、でん粉のり、グリセ
リンの1又は2以上を含む液体又はペースト状物であ
り、シート部材は音響インピーダンスが1.0〜4.0
×106 kg/m2 sの合成樹脂材料であってもよい。
この場合、接触媒体に用いる水の音響インピーダンスは
1.5×106 kg/m 2 s程度、マシン油は1.3×
106 kg/m2 s程度、グリセリンは3〜4×106
kg/m2 s程度であるので、水やグリセリン等の音響
インピーダンスに近いシート部材、例えばビニール樹脂
やポリエチレン樹脂(音響インピーダンスが2.5×1
6 kg/m2 s)からなるシート材を用いることによ
り、インピーダンスマッチングが向上し、超音波探触子
の感度の向上及びSN比の改善が期待できる。
【0022】本発明に係るタンク底板の板厚測定方法に
おいて、超音波探触子は、くさび材と振動子材料との組
み合わせを、タンク底板の材質、表面粗さ、タンク底板
の表面の被膜の材質、及びシート部材の材質に応じて選
択し、それを子台車に取付けて使用してもよい。この場
合、測定対象鋼板やコーティングの仕様、表面状況、シ
ート部材によって、それに最も適したくさび材や振動子
材料を用いた超音波探触子を選択し、それを子台車に取
付けて使用することにより、高い精度の測定が可能とな
る。本発明に係るタンク底板の板厚測定方法において、
超音波探触子のくさび材にはアクリル樹脂、ポリスチレ
ン樹脂、もしくは、ポリイミド樹脂を選択し、振動子材
料には圧電セラミックス単体又は圧電セラミックスとポ
リマーの複合材のいずれかを選択してもよい。これによ
って、タンク底板の材質及び表面粗さとタンク底板の表
面の被膜の材質に対して最適な超音波探触子を使用でき
る。
【0023】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の第1の実施
の形態に係るタンク底板の板厚測定装置の各機器のブロ
ック図、図2は同タンク底板の板厚測定装置の測定部の
側面図、図3は同タンク底板の板厚測定装置の測定台車
の側面図、図4は同タンク底板の板厚測定装置の測定台
車の正面図、図5は同タンク底板の板厚測定装置の測定
台車の平面図、図6は同タンク底板の板厚測定装置の超
音波厚さ計の出力波形を示す説明図、図7(A)、
(B)、(C)はそれぞれ同タンク底板の板厚測定装置
の超音波厚さ計のマルチゲート方式の説明図、図8
(A)、(B)は超音波厚さ計のシングルゲート方式の
説明図、図9は同タンク底板の板厚測定装置のデータ処
理システムのブロック図、図10は同タンク底板の板厚
測定装置によって厚みを測定しようとする板の平面図、
図11は同タンク底板の板厚測定装置によって測定する
タンクの底板の板割状態を示す平面図、図12は同タン
ク底板の板厚測定装置の子台車とシート部材との関係を
示す説明図、図13は同タンク底板の板厚測定装置によ
って測定されたタンクの底板の板厚状況を示す説明図、
図14は本発明の第2の実施の形態に係る同タンク底板
の板厚測定装置の測定台車の平面図である。
【0024】図1に示すように、本発明の第1の実施の
形態に係るタンク底板の板厚測定装置10は、測定台車
11を含む測定部12と、測定部12からの測定データ
の処理を行う演算・表示部13と、測定台車11に接触
媒質の一例である水を供給する水供給部14とを有して
いる。以下、これらについて詳細に説明する。なお、演
算・表示部13及び水供給部14は図2〜図5には示さ
れていない。図2〜図5に示すように、測定部12は、
前後に連結配置された前側台車15及び後側台車16を
有する測定台車11を備えている。前側台車15の下部
中央に設けられた開口部17には、前後にそれぞれ複数
の子台車18、19が設けられている。各子台車18、
19はフレーム20とその前後左右に取付けられている
自在車輪21とを有し、各子台車18、19の中央部に
は、反射型の超音波探触子22、23が配置されてい
る。そして、各子台車18の後部及び各子台車19の前
部、すなわち超音波探触子22の後ろ側及び超音波探触
子23の前側には、超音波探触子22、23とは別位置
に、超音波探触子22、23の測定領域と同等又は狭い
測定領域を有し、それぞれ測定面の渦電流を測定する渦
流型の膜厚計24、25が設けられている。
【0025】各子台車18、19は、自在式継手機構の
一例であるジンバル機構26、27を介して前側台車1
5にそれぞれ取付けられ、前側台車15の上下方向の揺
動に関係なく子台車18、19の自在車輪21が常時走
行する面に接して子台車18、19が移動するようにな
っている。ところで、一般にタンク底面30は完全な平
面ではなく、子台車18、19の自在車輪21のピッチ
より大きいピッチの「うねり」を有しており、更に局所
的には底板31の繋ぎ目部分の溶接箇所に凸部や表面に
腐食等によって形成される腐食箇所に凹部が存在するこ
とで、タンク底面30に凹凸が存在する。それで、タン
ク底面30上に液状の、例えば水又はグリセリン等から
なる接触媒体29Aを介して、例えば厚みが0.5〜2
mm程度で、幅が測定台車11の幅より広く、長さが1
0m程度の長尺もののシート部材29を敷設しておく。
【0026】このようなシート部材29の上面には「う
ねり」は有っても凹凸のない走行面が形成され、各子台
車18、19は「うねり」には追従するが、タンク底面
30上の凹凸には追従せずにタンク底面30上に敷設さ
れたシート部材29上を走行する。したがって、各子台
車18、19に取付けられた超音波探触子22、23及
び膜厚計24、25は常時シート部材29から一定の隙
間G(図4参照)を有して、シート部材29及び接触媒
体29Aを介してタンク底面30上を移動できるように
なっている。なお、符号28は前側台車15の前後左右
の車輪を示す。開口部17の前側に配置された子台車1
8と後側に配置された子台車19は、それぞれ同一間隔
で測定台車11の幅方向に並べて配置されているが、前
列の子台車18に対し後列の子台車19はその取付け位
置が半ピッチ(図5において、X/2)ずつ、ずれて配
置されている。
【0027】このようにして、前列の子台車18と後列
の子台車19を千鳥状(ジグザグ状)に配置した理由は
以下の通りである。超音波探触子22、23は探傷領域
に一定の幅を有しているが、それぞれが子台車18、1
9に取付けられているので、そのフレーム20や自在車
輪21の存在で、同一列内で隣り合う超音波探触子2
2、23同士の接近距離L(図4参照)に必然的に限界
が生じる。このため、例えば、横一列に並べた前列(即
ち、一方の)の子台車18の超音波探触子22のみで
は、隣り合う超音波探触子22の中間部分に帯状の測定
不能領域が発生する。このような子台車18の走行によ
り生じた帯状の測定不能領域を、後列(即ち、他方の)
の子台車19の超音波探触子23によって測定できるよ
うに、前側台車15の移動方向に対して各子台車18間
の中心位置に子台車19を配置し、一方の超音波探触子
22の測定不能領域を他方の超音波探触子23が測定で
きるようにしている。
【0028】なお、それぞれの超音波探触子22、23
の超音波パルスは、探触子の全面から発射されるが、測
定に有効に使用できるものは、これより幅の狭い部分
(有効ビーム幅)から発射される超音波である。従っ
て、各子台車18、19の列において、各子台車18、
19の幅方向の中心間のピッチXは、隣り合う超音波探
触子18、19が干渉しない幅でしかも、各超音波探触
子18、19の有効ビーム幅の2倍以下となるようにす
る必要がある。
【0029】ここで、一列の超音波探触子の測定不能領
域の幅が広く、即ち、測定不能領域が各超音波探触子の
取付けピッチの半分以上の幅を有する場合には、2列に
配置された超音波探触子の群であっても全領域を測定す
ることはできないので、この場合は3列以上の超音波探
触子の群を階段状に設けることによって測定台車11の
幅方向の全領域の測定が可能となる。この実施の形態に
使用した反射型の超音波探触子22、23としては、例
えば、送信子と受信子を別々に有する分割型の超音波探
触子(即ち、2振動子型探触子)とし、アクリル樹脂、
ポリスチレン樹脂もしくは、ポリイミド樹脂等のクサビ
を通して超音波の送信及び受信をしているので、送信パ
ルスと近接している円筒タンクの底板31の上表面(即
ち、タンク底面30)からの超音波の反射波の影響を受
けずに、底板31の下面(裏面側)の反射波を受信する
ことが可能となり、底板31に発生した局所的な減肉部
分までの距離を正確に測定することができる。
【0030】子台車18、19にそれぞれ設けられてい
る膜厚計24、25には渦流型のセンサーを使用してい
る。この膜厚計24、25は、タンク底面30の表面に
被覆膜(コーティング、塗装あるいはライニングによる
被膜を含む)があると、超音波探触子22、23で測定
した板厚は、被膜厚さと鋼板厚さの合計厚さを含む厚さ
となる。そこで、渦流型のセンサーからなる膜厚計2
4、25によって実際の被覆膜の厚みを測定し、超音波
探触子22、23の距離測定値から引いてより正確な測
定値を得るようにしている。なお、コーティング等の材
質としては、エポキシ、タールエポキシ、ガラスフレー
ク、FRP、亜鉛塗料、アルミ溶射等がある。前記した
前側台車15の前側にはロータリーエンコーダ32が設
けられ、ロータリーエンコーダ32の入力軸に取付けら
れた車輪33の回転数を検知し、この測定台車11の走
行距離を電気的に測定できるようになっている。ロータ
リーエンコーダ32が取付けられているフレーム34は
前側台車15に上下動可能又は自在移動可能に取付けら
れ、常時ロータリーエンコーダ32の車輪33がタンク
底面30に接して回転するようになっている。
【0031】そして、図2、図3に示すように、前側台
車15の上側前後には支持台35、36を介して左右両
側に水平ガイド車輪37が左右にその一部を突出させた
状態で、突出長さを調整できるように設けられている。
この水平ガイド車輪37は、前側台車15がタンク側板
の内側面の近傍に位置する場合には、水平ガイド車輪3
7がタンク側板の内側面に当接して円滑に移動できるよ
うになっている。更に、水平ガイド車輪37の突出長さ
を延ばすことによって、タンク側板の内側面に沿った方
向の測定を繰り返し実施することが可能となる。例え
ば、水平ガイド車輪37の突出し長さを275mmまで
延ばすことで、2回の走行でタンク側板の内側面から5
50mmまでの全範囲が探傷できる。支持台35の前側
には、アイボルト38が設けられてこの測定台車11を
アイボルト38に一端を固定したロープ等で引っ張るこ
とができるようになっている。
【0032】更には、図1〜図5に示すように、前側台
車15の上部には水分配部39が設けられ、前後に配置
されたホース接続具(ニップル)40、41に接続され
る図示しないフレキシブルホースによって、前側台車1
5に設けられている水供給孔を介して各超音波探触子2
2、23の下端部分に設けられている散水部に給水さ
れ、超音波探触子22、23とタンク底面30の上に敷
設したシート部材29との隙間に水からなる接触媒体2
9Bを充填するようになっている。これによって、超音
波探触子22、23から接触媒体29B、シート部材2
9及び接触媒体29Aを介して超音波を確実に底板31
に伝搬すると共に、底板31からの反射波も確実に超音
波探触子22、23に伝搬できるようにしている。
【0033】この前側台車15に連結されている後側台
車16は、台車フレーム44と前後左右に設けられてい
る4つの車輪45とを有し、この上に蓋46付きの収納
箱47が設けられ、この収納箱47内に膜厚計24、2
5を構成する渦流センサーのコントローラ48が配置さ
れている。このコントローラ48によって、タンクの底
板31の表面上に塗布されている被膜の厚みを測定し、
演算・表示部13に出力するようになっている。なお、
渦流センサーの原理は周知であるが、検知コイルに交流
を流し、下部の底板31の上表面との距離が大きくなる
と検知コイルのインピーダンスが小さくなるのを検知
し、これを予め測定された基準のものと比較し、被覆膜
の厚みを検知するようになっている。なお、収納箱47
の蓋46にコントローラ48の表示器を配置することも
可能である。
【0034】後側台車16の最後部には、可倒、伸縮又
は取外し可能な所定高さ(約60〜90cm)の操作用
把手49が設けられ、作業者がこの操作用把手49を持
ってこの測定台車11を前後方向に移動させることがで
きるようになっている。なお、操作用把手49を可倒、
伸縮又は取外すことによって、この測定台車11の全体
の高さを低くし、タンク底面30の上方に配置された配
管の下を測定台車11が潜ってタンクの底板31の検査
を行うことができるようになっている。従って、操作用
把手49を取り除いた場合の、測定台車11の高さHを
例えば、200mm程度とすることができる。更に低く
しようとする場合には、前側台車15と後側台車16と
を分離、オフセットすることによって100mm程度と
することもできる。
【0035】この後側台車16の後部には、各超音波探
触子22、23の信号線、コントローラ48へ接続する
信号線及び電源線、ロータリーエンコーダ32の信号
線、及び測定開始・終了のスイッチ50の制御線を束ね
たケーブル51が設けられている。このケーブル51は
根元の部分でケーブル止め52によって後側台車16に
固定されている。なお、前記したスイッチ50は、演算
・表示部13にその信号が送られて、タンクの底板31
の板厚測定の開始及び終了を行うことになる。
【0036】また、図1に示す水供給部14は、十分な
水を溜めることができる水タンク56と、水タンク56
からの水を汲み出すポンプ57と、ポンプ57から吐出
される水のオンオフを行う電磁弁58とを有し、ポンプ
57の運転の運転開始と停止、並びに電磁弁58のオン
オフは、測定台車11に設けられた測定開始・終了のス
イッチ50の信号が、演算・表示部13のコンピュータ
64に入力され、このコンピュータ64の指示に基づい
て行われる。この水供給部14と測定台車11の水分配
部39とが柔軟性を有するホース60によって連結され
て、必要な場合、水タンク56からの水を超音波探触子
22、23とタンク底面30との間に供給している。
【0037】図1、図9に示すように、演算・表示部1
3は、各超音波探触子22、23に所定の信号を送っ
て、各超音波探触子22、23からの出力信号を受ける
多チャンネル型の超音波厚さ計63と、この超音波厚さ
計63が図示しないI/Oボードを介して接続されてい
るコンピュータ64とを有している。この超音波厚さ計
63は多チャンネル型でこれに接続される複数の超音波
探触子22、23にパルス信号を送ると共に、超音波探
触子22、23が検知したパルス信号を受けて板厚を測
定し、デジタル信号に変換してコンピュータ64に送っ
ている。
【0038】なお、超音波厚さ計63は出力電圧が入力
電圧に対数的に比例するログアンプ(対数増幅器)を備
えている。これはリニアアンプ(直線増幅器)よりも監
視範囲が広くなり、スレッシュレベルを多くすることが
できる。例えば、図6に示すように、ログアンプでは底
板の健全部のエコー高さから27dB低い第1のスレッ
シュレベルではノイズの影響を受けやすいが直径が2m
mの平底穴を検出できる。第1のスレッシュレベルより
6dB上の第2のスレッシュレベルではノイズの影響を
受け難く、比較的広い範囲の腐食部を検出できるが、2
mmの平底穴の検出がむずかしい。更に6dB上の第3
のスレッシュレベルでは小さな孔腐食、介在物等は検出
が難しくなるが、更に広い範囲の腐食部を検出すること
ができる。これに対してリニアアンプでは第2のスレッ
シュレベルが辛うじて可能で、第3のスレッシュレベル
の検出は不可能である。したがって、ログアンプによっ
て常に超音波探触子22、23から得られた広い監視範
囲のエコーをディスプレイの画面中に表示することがで
き、エコーの減衰状況、ノイズの発生状況とその影響を
把握し易く、最適なゲートの設定が容易となる。
【0039】また、超音波厚さ計63はマルチゲート方
式によって出力電圧を検出し、鋼板内の介在物と裏面腐
食の判別を行っている。例えば、図7(A)に示すよう
に、低い出力電圧を検出する第1のゲート(ゲート1)
と、第1のゲートの検出電圧より高い出力電圧を検出す
る第2のゲート(ゲート2)を備えて、それぞれエコー
波形からそれぞれ時間t1、t2で異なる出力電圧を検
出し、第1のゲートで小さい出力電圧を検出した場合は
介在物と判断する。図7(B)に示すように、第1のゲ
ートで時間t1に出力電圧を検出し、第2のゲートでは
出力電圧を検出しない場合は、減肉部の板厚であると判
断する。図7(C)に示すように、第1のゲート、第2
のゲートで共に時間t2に出力電圧を検出した場合は健
全部であると判断する。したがって、介在物と裏面腐食
との判別が可能となり減肉部を識別できる。なお、シン
グルゲート方式によって出力電圧を検出する場合は、図
8(A)、(B)に示すように、一つのゲートが検出し
た時間t1に差がなく、介在物と減肉部とを識別するこ
とができない。
【0040】また、コンピュータ64には、コントロー
ラ48を介して膜厚計24、25が接続され、カウンタ
ーボード65を介してロータリーエンコーダ32がそれ
ぞれ接続されている。なお、コンピュータ64はCP
U、RAM、ROM、補助記憶装置、及びI/O(例え
ば、A/D変換器)を備えた市販のパーソナルコンピュ
ータで、以下に説明する予め設定されたプログラムによ
って、ロータリーエンコーダ32、各超音波探触子2
2、23及び各膜厚計24、25から送られる信号の処
理を行って底板31の実際の板厚を演算し、その位置と
共に、付属する出力装置(ディスプレイ又はプリンタ
ー)に出力するようになっている。
【0041】このコンピュータ64のシステムの概要を
図9に示すが、ハードディスク等の記憶装置には、演算
・表示部13の実際の処理を行う板取図プログラム6
6、板厚表示プログラム67及び測定プログラム68が
格納されている。以下、これらについて詳しく説明す
る。前記した板取図プログラム66は、タンクの底板3
1の周囲に配置されているアニュラ板の枚数、底板31
の基本となる板のサイズ等、タンク板割図作成に必要な
基本データを入力することによって、タンクの底板31
の板取図を作成する(図10参照)。
【0042】ここで、タンクの底板31の板取図の作成
手順を以下に詳細に説明する。タンク底板の内径を入力
し、アニュラ板がある場合は、その枚数とアニュラ板間
境界線の長さ及び基準となるアニュラの角度位置を入力
する。これらの情報を元に分割されていない底板を有す
るタンク底板図(アニュラ板がない場合は、円)を作成
し記憶する。実際に測定するタンクの図面に合わせて、
底板の基本となる板の長辺及び短辺の長さを入力し、こ
の基本となる板の長辺あるいは短辺の長さの間隔で、分
割されていないタンク内側を縦又は横に分割する。分割
された領域をさらに基本となる板の長辺あるいは短辺の
長さの間隔で分割する。これを分割された領域の大きさ
が基本となる板のサイズ以下になるまで繰り返す。この
手順を縦の場合は上側が2分木左側に下側が2分木右側
に、横の場合は、左側が2分木の左側に右側が2分木の
右側になるよう2分木構造に保存すると2分木の末端
は、板になる。この2分木を左回りに再帰的に辿ってい
くと、板に行き着いたときその板を囲む分割線(上、
下、左、右)が得られる。分割線が存在しない場合は、
タンク外周との交点を求めることにより、板1枚の領域
の情報が得られ、1枚の板のみを単独でCRT等に表示
させることが可能となり、測定開始の基準となる板の角
の座標も取得できる。タンク底板の内径及びアニュラ板
の情報及び2分木の構造を作図データ70としてファイ
ル保存している。
【0043】また、測定プログラム68では、測定を行
う板(単位板)について、底板31の任意のコーナー
(又は特定の位置)を原点として、この原点からの距離
及び測定方向を入力することによって、測定方向のロー
タリーエンコーダ測定長さに合わせて、測定された板厚
データに板中の位置情報を付加する。データは測定方向
に一定距離進む毎に、1点/チャンネル、即ち一つの小
区分に対して一つのデータを保存する。一つの小区分に
多数のデータが存在する場合は、その代表値(例えば、
最小板厚値)をその区分のデータとして保存する。板取
図プログラム66で作成した作図データ70を用いて測
定対象物の板及び原点に用いるコーナーを選定する。タ
ンク円周に沿って測定台車11を走行させる場合も考慮
して、直線以外に測定台車11の円弧走行の場合でも板
厚測定を可能としている。なお、作成される測定位置と
板厚及び膜厚の情報をもったファイルを測定データ71
として保存する。
【0044】次に、板厚表示プログラム67について説
明するが、板厚表示プログラム67は、各板毎に板厚分
布図の作成と、これらを合わせた全体板厚分布図の作成
を行う。以下これらについて説明するが、最初に、板毎
板厚分布図の作成について説明する。作図データ70と
測定データ71を用いて、1枚の板毎にその該当位置へ
板厚に応じた色分け表示を行う。表示するCRT(ディ
スプレイの一例)の画素1つに測定データ71の適正な
代表値が表示されるように、次のような処理を行う。即
ち、図11に示すように、例えば、一枚の板72を測定
データ71が採取された間隔(測定方向の一定間隔)を
1辺とする格子に区切り、この格子目1つをセル73と
する。次に、測定データ71より位置と板厚を計算し、
該当するセル73へ板厚データをセットする。セットし
ようとするセル73へ既に板厚データがセットされてい
る場合は、所定の演算を行い(例えば最小値を取得す
る)、そのセル73の板厚データを更新する。ここで、
生成されるファイルを板毎板厚データAとしてファイル
に保存する。そして、CRTに板全体が表示されるよう
に画素サイズを計算する。
【0045】なお、この画素サイズはセル73の面積の
整数倍になるようにしておく。この数でまとめられたセ
ルをブロック74とする(なお、ブロック74と画素と
は1対1の関係にある)。この具体例を示すと次の通り
である。 (例)CRT画素数が640×480、板の横長さが7
200mm、セルのサイズが5mmの場合には、 7200/640=11.25≒12(mm/画素)切
り上げ、 12/5=2.25≒3(セル/画素)切り上げ、 以上より、3×3のセルが1つの画素に相当する。そし
て、セル73を以上の方法で求められたブロック74ご
とに所定の演算を行い(例えば最小値を取得する)その
ブロック74の代表値を計算し、このブロック74の代
表値に対して、板厚による色分け表示を行う。以上の手
順により、代表値による適正な色分け分布が表示でき
る。
【0046】次に、全体板厚分布図の作成について説明
する。前記した方法で作成した板毎板厚データAを用い
て、タンクの底板31の全体について板厚に応じた色分
け表示を行う。表示するCRTの画素1つに測定データ
の適正な代表値が表示されるように、次の処理を行う。
まず、タンクの底板31の全体を測定データが採取され
た間隔(測定方向の一定間隔)の定数倍(例えば5倍)
を1辺とする格子に区切る。この格子目1つをセルHと
呼ぶ。そして、板毎板厚データAより、該当するセルH
へ板厚データをセットする。セットしようとするセルH
へ既に板厚データがセットされている場合は、所定の演
算を行い(例えば最小値を取得する)、そのセルHの板
厚データを更新する。ここで、生成されるファイルを全
体板厚データBと呼ぶ。
【0047】次に、CRTにタンク底板全体が表示され
るように画素サイズを計算する(セルHの整数倍になる
ようにする)。この数でまとめられたセルHをブロック
Dと呼ぶ。ブロックDと画素は1対1の関係にあり、次
に具体例を示す。 (例)CRT画素数が640×480、タンク底板の径
が48000mm、セルの一辺のサイズが25mmの場
合 48000/480=100(mm/画素)切り上げ 100/25=4(セル/画素)切り上げ 以上より、4×4のセルが1つの画素に相当することに
なる。以上の方法で求めたセルHをブロックDごとに所
定の演算を行い(例えば最小値を取得する)そのブロッ
クDの代表値を計算し、このブロックDの代表値に対し
て、板厚による色分け表示を行う。これらの手順によ
り、代表値による適正な色分け分布が表示できる。
【0048】次に、本発明の第1の実施の形態に係るタ
ンク底板の板厚測定装置10を適用した円筒タンクの底
板31の板厚測定方法について説明する。図12に示す
ように、タンクの底板31の上に水又はグリセリン等の
液状の接触媒体29Aを塗布し、接触媒体29Aを介し
てシート部材29を敷設する。その後、シート部材29
の上に水からなる接触媒体29Bを充填しながら測定台
車11の子台車18、19を走行させ、各超音波探触子
22、23からタンクの底板31に対して垂直方向に超
音波を発信させ、反射波を受信する垂直探傷を行い、タ
ンクの底板31の板厚を測定する。シート部材は音響イ
ンピーダンスが1.3〜3.5×106 kg/m2 sの
合成樹脂材料を用いる。これは、接触媒体29A、29
Bに用いる水の音響インピーダンスは1.5×106
g/m2 s程度であり、グリセリンの音響インピーダン
スは、3〜4×106 kg/m2 s程度であるので、水
やグリセリンの音響インピーダンスに近いシート部材、
例えばビニール樹脂やポリエチレン樹脂(音響インピー
ダンスが2.5×106 kg/m 2 s)、すなわち、音
響インピーダンスが1.0〜4.0×106 kg/m2
sのシート部材を用いることにより、インピーダンスマ
ッチングが向上し、超音波の伝達(カップリング)不良
を改善でき、感度の向上及びSN比の改善が期待できる
ためである。
【0049】なお、空気の音響インピーダンスが0.0
007×106 kg/m2 s、鉄の音響インピーダンス
が70〜80×106 kg/m2 sであるのに比較し
て、シート部材の音響インピーダンスは遙かに接触媒体
に用いる水やグリセリンの音響インピーダンスに近い値
であり、超音波の伝達(カップリング)不良を改善でき
る。また、タンクの底板31の上にシート部材29を敷
設することにより、子台車18、19は凹凸のない平板
な走行面を移動することになる。例えば先に膜厚計24
が底面30を測定した位置に凹部30Aがあるとする。
膜厚計24が凹部30Aを測定した後、子台車18が移
動して超音波探触子22が凹部30Aの表面を測定する
とき、超音波探触子22から凹部30Aの表面までの間
隔は、膜厚計24が測定したときの膜厚計24から凹部
30Aの表面までの間隔と実質的に同じ値になり、しか
も超音波探触子22及び膜厚計24は底板31に対して
傾斜することはなく、超音波探触子22及び膜厚計24
の測定条件は一致する。
【0050】したがって、底板31に「うねり」があっ
ても、膜厚計24、25とタンクの底板31の測定面と
の間の間隙の変化と、超音波探触子22、23とタンク
の底板31の測定面との間の間隙の変化は、膜厚計2
4、25が測定した位置に超音波探触子22、23が移
動(ロータリーエンコーダ32によって測定)したとき
の超音波探触子22、23の測定値をとれば実質的に同
じ値となり、測定誤差を低減することができる。しか
も、底板31の表面の凹凸(表面粗さ)が大きいときで
も、急激な形状変化による子台車18、19の傾きを低
減でき、安定した円筒タンクの底板31の板厚測定結果
が得られる。
【0051】超音波探触子22、23による板厚測定
は、送信子からタンクの底板31に垂直に発射された超
音波パルスが接触媒体29A、シート部材29を介して
被膜、鋼板、鋼板底面反射、鋼板、被膜の順に伝搬し、
受信子に到達するまでの時間を測定する垂直探傷により
行われるので、超音波探触子22、23で測定した板厚
は、被膜厚さと鋼板厚さの合計厚さを含む厚みとなる。
一方、膜厚計24、25で測定される厚さは、被膜厚さ
だけである。従って、超音波探触子22、23で得られ
る板厚から、膜厚計24、25で測定される被膜厚さを
それぞれ差し引くことで、タンクの底板31の被覆膜を
除去することなく鋼板厚さ、すなわち実際のタンクの底
板31の厚さが得られる。
【0052】また、幅方向に6台ずつ並べられている子
台車18、19にそれぞれ設けられている超音波探触子
22、23と膜厚計24、25は、平面的に見て(図5
参照)一定の位置関係の下に測定台車11に取付けられ
ているため、測定台車11内の一箇所の位置がタンクの
底板31とどのような位置関係となるかが判れば、子台
車18、19内の超音波探触子22、23と膜厚計2
4、25の測定している位置が、タンクの底板31のど
の位置に相当するかが判る。従って、測定台車11に走
行距離を測定するロータリーエンコーダ32を取付け
て、タンクの底板31の特定位置からの走行位置を把握
することで、走行中の超音波探触子22、23と膜厚計
24、25の測定位置がタンクの底板31のどの位置に
相当するかリアルタイムで特定することができ、特定位
置の被膜厚さと板厚を同時に測定することができる。
【0053】このように、超音波探触子22、23によ
る板厚、膜厚計24、25による被膜厚さ、及びロータ
リーエンコーダ32の測定値を組み合わせることで、タ
ンクの底板31内の特定位置の鋼板厚さを求めることが
できる。また、位置と鋼板厚さの関係を画面上に表示す
ると、タンクの底板31の全体にわたって鋼板の腐食に
よる板厚減少状況を把握することができる。実際のタン
クの底板31の板厚測定では、測定者は、タンクの底板
31上のあらかじめ決められた経路に沿って、測定台車
11を手動で移動させて測定を行う。測定台車11の走
行速度は、測定データの処理速度を考慮して決定され、
通常は500〜1000mm/秒の走行速度で測定を行
っている。なお、この実施の形態では、測定台車11を
手押し式としたが、必要によりセンサーを設けるか、あ
るいは予めコースを決めておき、測定台車11を自走式
とすることもできる。
【0054】進入高さに制約があるタンク内のベースヒ
ータ等の構造物の下では、後側台車16に設けられた操
作用把手49を倒す、収縮させる、取外すことで、測定
台車11の進入が可能となり、タンクの底板31の測定
ができる。また、後側台車16には、膜厚計24、25
のコントローラ48と測定値の表示器が組み込まれてい
るため、高さHは例えば200mm程度となるが、前側
台車15の高さは、例えば約100mmの高さにするこ
とが可能である。このため、測定台車11から、前側台
車15を分離又はオフセットして、前側台車15単独で
測定を行うと、100mm程度の隙間の部分までの測定
が可能となる。前側台車15単独で測定を行う場合、前
側台車15の移動方法の一例として、前側台車15の前
端に設けたアイボルト38に紐を取付けて牽引する方法
が採用できる。
【0055】タンクの底板31の面内では、測定台車1
1の近接限界のため、当板等の障害物近辺には障害物を
中心とした測定不能領域が必然的に発生する。この場合
も、前側台車15を分離又はオフセットすることで、測
定不能領域を縮小させることが可能となる。この実施の
形態においては、超音波探触子22、23として、有効
ビーム幅25mm×3mm、静止状態の下で測定方向に
対して5〜35mmの範囲に存在する直径2mmの平底
穴が検出できる能力を有するものを、膜厚計24、25
として、0〜2mmの範囲の厚さが測定できる渦流型の
センサーを、ロータリーエンコーダ32として、測長精
度が0.1%で、前進、後退の距離測定ができるものを
使用している。この場合、超音波探触子22、23と渦
流型のセンサーを組み合わせた場合の板厚の測定精度
は、±0.1mmとなる。
【0056】測定データは、移動距離が例えば5mmと
なるまでに読み込まれた全データの中から最小値を求め
て、これを5mm移動区間の代表値としてコンピュータ
64(図9参照)内に記録するようにしている。各超音
波探触子22、23に加えられる繰り返しパルスの周期
は、超音波探触子22、23の移動方向の有効ビーム幅
を測定台車11の移動速度で除した値より小さくしてい
る。例えば超音波探触子22、23の移動方向の有効ビ
ーム幅が3mmであるとし、測定台車11の移動速度を
1000mm/秒とすると、3/1000=0.003
秒(333Hz)となり、超音波探触子22、23に加
えられる繰り返しパルスの周期は3msより小さく、す
なわちパルス繰り返し周波数は333Hzより大きい周
波数であればよく、安全を期して500Hz以上の周波
数であれば確実に移動方向の未探傷範囲は生じることな
く板厚測定が可能である。超音波厚さ計63のパルス繰
り返し周波数は500Hz〜2kHzとし、超音波探触
子22、23からの1回の超音波パルスの送信と受信で
測定される範囲は、25mm×3mmの範囲としている
(25mmは超音波探触子22、23の移動方向と直角
な有効ビーム幅、3mmは移動方向の有効ビーム幅)。
従って、測定台車11を500〜1000mm/秒の速
度で移動させても移動方向の未探傷範囲は生じない。
【0057】従って、本発明の第1の実施の形態に係る
タンク底板の板厚測定装置においては、前述したよう
に、以下の工程で測定を行うことになる。 第1工程(板取図プログラム66によるタンク底板板割
図の作成) 測定前にタンクの図面をもとに、底板板割図を作成す
る。 第2工程(測定プログラム68による測定) 底板板割図より、測定を開始する板を選択する。 第3工程(測定開始位置の原点の選択) 測定開始位置の原点を板のコーナーより選択する。 第4工程(測定開始位置の入力) 測定開始位置を第3工程で選択した原点からの距離で入
力する。 第5工程(測定方向の選択) 測定方向を上下左右より選択する。
【0058】第6工程(測定モードの選択) 直線走行か円周走行かを選択する。 第7工程(測定の開始) 第4工程で入力した測定開始位置に測定台車11の基準
点を合わせて、測定開始のスイッチ50を押す。その
後、第5工程で選択した測定方向へ測定台車11を押し
ながら、測定を行う。 第8工程(測定の終了) 測定方向の板の終点に、測定台車ホルダがきた時点で、
測定終了のスイッチ50を押す。
【0059】第9工程(次の測定) 測定台車11を次の測定開始位置に移動させ、第4工程
から第8工程を繰り返す。これにより測定対象板の測定
を完了する。 第10工程(板毎板厚分布図の作成) 板厚表示プログラム67を用いて、測定対象板を板厚に
応じた色分け表示を行う。 第11工程(次の板の測定) 第2工程から第10工程を繰り返して、全ての測定対象
板の測定を完了する。 第12工程(全体板厚分布図の作成) 板厚表示プログラム67を用いて、タンク底板全体を板
厚に応じた色分け表示を行う。
【0060】続いて、本発明の第1の実施の形態に係る
タンク底板の板厚測定装置10を内径が15mの円筒タ
ンクの底板31の板厚測定に適用した場合について更に
説明する。測定の内容は、初期条件設定、測定条件設
定、測定方法、測定結果表示に分けられる。
【0061】〔初期条件設定〕タンク内径、アニュラ板
の枚数、底板基本板のサイズを演算・表示部13のコン
ピュータ64に入力する。コンピュータ64は入力デー
タに基づき、アニュラ板の作図と、底板全体を縦又は横
に分割し、分割された領域の各々を更に分割しながら底
板板割図を作成する。分割された領域には、自動的に番
号が付けられる。図10に内径15mの円筒タンクの底
板31の板厚測定を行う場合に作成した底板板割図を示
す。なお、このような処理は、前述の部分に詳細に説明
したので、ここでは省略する。〔測定条件設定〕底板板
割図より測定を行う板の番号(図10参照)を選択し、
選択した番号の板について測定時の原点、測定開始点及
び測定方向を決定する。
【0062】〔測定方法〕 a)測定開始点の位置を原点からの変位で入力する。 b)測定開始位置に測定台車11の基準点を一致させ
て、測定開始のスイッチ50を入れる。 c)測定台車11を500〜1000mm/秒の速度で
測定方向に移動させる。測定台車11は、測定方向を示
すように前もって設置しておいたレーザー発振器のレー
ザー光線の光軸と測定台車11の進行方向が一致するよ
うに移動させる。 d)測定台車11が板の終点に到達した時点で測定終了
のスイッチ50を入れる。
【0063】e)終点位置より、測定台車11を次の測
定開始位置に移動させる。なお、測定台車11の測定方
向と直角(90度)方向への移動の場合は、直交方向移
動台車を使用した。直交方向移動台車は、測定台車11
を乗せて、測定台車11の測定方向と直角方向に移動さ
せる専用の台車である。 f)以上のa)〜e)を繰り返して、選択した番号の板
内全面を測定台車11が移動したとき、選択した番号の
板の測定が終了する。 g)底板板割図より次に測定を行う板の番号を選択し、
a)〜f)を行う。 h)底板板割図において、すべての板の板厚測定が終了
したとき、タンクの底板31の板厚測定が終了したこと
になる。
【0064】〔測定結果表示〕測定中に、底板(鋼板)
31の板厚の測定結果を、板厚程度に応じてリアルタイ
ムに色分け表示し、板厚減少状況を画面に示すことがで
きる。測定後では、底板板割図中に鋼板板厚の測定結果
を板厚程度に応じて色分け表示し、任意の番号の板を選
択して、板厚の色分け分布図と選択板内の任意位置での
縦方向及び横方向の板厚断面の状態等を画面表示でき
る。これらの画面表示内容は、出力装置の一例であるカ
ラープリンターにより出力できる。また、板の番号別に
板厚平均値、板厚最小値、一定板厚以上の部分の面積の
分布を表示、出力することが可能である。内径15mの
円筒タンクの底板31の板厚測定において得られた板厚
減少状況の一例として、設計底板厚さ10mmに対し
て、底板厚さ8mm未満の箇所の分布状況を図13に示
す。また、タンクの底板31全体にわたって得られた、
底板厚さと面積の関係を表1に示す。なお、このような
処理は、前述の部分に詳細に記載したので、ここでは省
略する。
【0065】
【表1】
【0066】図14に示すように、本発明の第2の実施
の形態に係るタンク底板の板厚測定装置78を用いた板
厚測定方法は、最初に円筒タンク底板の板厚測定装置1
0によって測定した個所の測定値が不安定であったり、
測定値から円筒タンク底板に所定の深さ以上の孔食部
で、しかも平面的大きさが所定の範囲以下の大きさの孔
食部を有するときに用いる方法である。なお、第1の実
施の形態に係る円筒タンク底板の板厚測定装置10と同
一の構成要素については同一符号を付して説明する。す
なわち、円筒タンク底板の板厚測定装置10によって、
所定(例えば25mm×3mm)の有効ビーム幅を有す
る超音波探触子22、23を備えた測定台車11により
円筒タンク底板31の板厚測定を行って測定値を求め、
測定値から円筒タンク底板31に所定(例えば残肉3m
m以下)の深さ以上の孔食部を有し、しかも孔食部の平
面的大きさが所定(例えば直径が2mm程度の円)の範
囲以下の大きさである減肉部が検出されたとする。
【0067】例えば1〜2mm程度の径の微細で、概
ね、残肉が3mm以下の深い穴がある減肉部が検出され
たときには、移動方向の有効ビーム幅が、例えば25m
m×3mm程度の大きい超音波探触子22、23では高
い精度で測定できない。それで、最初に測定した測定台
車11の信号及び電源を伝送するケーブル51を外し、
最初に用いた超音波探触子22、23の有効ビーム幅
(例えば25mm×3mm)より小さい有効ビーム幅
(例えば10mm×3mm)を有する超音波探触子75
を、子台車77を介して取付けた測定台車76に取替え
た円筒タンク底板の板厚測定装置78を用いる。
【0068】なお、測定台車76には測定台車11と同
様の膜厚計79及びロータリーエンコーダ78Aが設け
られている。測定台車76に設ける超音波探触子75を
取付けた子台車77は、隣り合う超音波探触子75の間
隔が最小になるように小型に形成され、しかも最初に用
いた測定台車11よりも進行方向の段数を多くすること
で未探傷範囲が生じないように配置する。例えば最初に
用いた測定台車11の幅が300mm程度で、子台車1
8、19が幅方向に6台並べられ、進行方向の段数が2
段であれば、新しく用いる測定台車76の幅は150m
mで、子台車77を幅方向に4台並べ、進行方向の段数
を3段にして、10mm幅程度の小さい測定ピッチで測
定できるようにする。この測定台車76を用いて、円筒
タンク底板31の減肉部の板厚測定を再度行うことによ
り、高い精度の測定値を得ることができる。なお、この
とき、有効ビーム幅や焦点距離の異なる超音波探触子7
5に取替えて、さらに測定精度を高めるようにしてもよ
い。
【0069】以上、本発明を第1、第2の実施の形態に
係るタンク底板の板厚測定装置及び板厚測定方法につい
て説明してきたが、本発明は、何ら前記の実施の形態に
記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲
に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実
施の形態や変形例も含むものである。例えば、本発明に
係るタンク底板の板厚測定装置及び板厚測定方法におい
て、超音波探触子のくさび材にアクリル樹脂、ポリスチ
レン樹脂、もしくは、ポリイミド樹脂のいずれかを選択
し、更に振動子材料に圧電セラミックス単体又は圧電セ
ラミックスとポリマーの複合材のいずれかを選択するこ
とによって、前記タンク底板の材質及び表面粗さと前記
タンク底板の表面の被膜の材質に対して最適な超音波探
触子を使用してもよい。この場合、測定対象鋼板やコー
ティングの仕様、表面状況、シート部材によって、それ
に最も適したくさび材や振動子材料を用いた超音波探触
子の選択し、それを子台車に取付けて使用することによ
り、高い精度の測定が可能となる。また、前記実施の形
態では、具体的な数字を用いて説明したが、本発明は、
これらの数字に限定されるものではない。また、シート
部材はビニール樹脂やポリエチレン樹脂に限るものでは
なく、接触媒体の音響インピーダンスに近い値を有する
シート材であればよい。
【0070】また、前記実施の形態では、シート部材は
測定台車を走行する前に、長尺もののシート部材を底板
の上に敷設する例について説明したが、例えば前側台車
に設けた前後の車輪を介して子台車の車輪の下側と上側
を通したエンドレスのシート部材を設けてもよい。この
場合、接触媒体を自動的に前側台車の進行方向の前側と
超音波探触子の下方に供給するようにする。したがっ
て、前側台車が移動することにより無限軌道のように自
動的に子台車の走行面をシート部材が覆い、そのシート
部材を介して超音波探触子及び膜厚計によって底板の板
厚を測定することができる。また、前記実施の形態で
は、タンク底板の板厚測定方法に用いる円筒タンク底板
の板厚測定装置が、その測定台車を平面状の板の上に走
行させてその板厚を測定する場合について説明したが、
測定台車を例えばパイプ等の筒状体の中に走行できるよ
うにし、超音波探傷子を筒状体の内面に対向させて、筒
状体の長手方向に走行させながら筒状体の内面を探傷さ
せることも可能である。
【0071】
【発明の効果】請求項1〜4記載のタンク底板の板厚測
定装置においては、タンク底板の厚さを測定する反射型
の超音波探触子と、底板表面の被膜厚さを測定する膜厚
計と、測定台車の走行距離を測定するロータリーエンコ
ーダとが取付けられた測定台車をタンク底板の上で走行
させてタンク底板の板厚を測定し、各超音波探触子の出
力及びこれに対応する位置での各膜厚計の出力から、タ
ンク底板の実際の厚さとその位置を測定及び記憶してデ
ィスプレイ上に表示するので、タンク底板の被覆膜を除
去しないで、測定台車をタンク底板の全体にわたって局
所的な鋼板の腐食による板厚減少状況を高精度で簡単、
迅速に測定し評価することができる。また、超音波探触
子とは別位置に、各超音波探触子の測定領域と同等又は
狭い領域のタンク底板の被膜の厚みを測定する膜厚計を
設けて膜厚計の測定範囲を超音波探触子の大きさに関係
なく設定し、ロータリーエンコーダによって、各超音波
探触子の出力とこれに対応する各膜厚計の出力が得られ
た位置を決めることにより、超音波探触子と膜厚計の取
付け位置の違いによる誤差を生じることなく、膜厚計の
測定精度を高くすることが可能である。
【0072】特に、請求項2記載のタンク底板の板厚測
定装置においては、各超音波探触子は、平面的に見て千
鳥状又は階段状に設けられて隣り合う超音波探触子の干
渉を防止すると共に、隣同士及び前後の超音波探触子が
互いに補完し合うので、測定台車の幅方向の全領域の測
定が可能となる。更に、各超音波探触子に加えられる繰
り返しパルスの周期は、超音波探触子の移動方向の有効
ビーム幅を測定台車の移動速度で除した値より小さくし
ているので、移動方向の未探傷範囲を生じることなく測
定台車の進行方向の全てに対して板厚測定可能となる。
【0073】請求項3記載のタンク底板の板厚測定装置
においては、測定台車に設けられている操作用把手は可
倒、伸縮又は取外し可能となって、測定台車がタンク底
板の上方に設けられている配管の下を潜ってタンク底板
の厚みが測定可能となっており、更に、測定台車に設け
られていて突出し長さを延長できる水平ガイド車輪によ
って、タンク側板の内側面に沿った方向の測定が可能と
なっているので、操作用把手を可倒、伸縮又は取外すこ
とにより、測定台車の高さを低くし、しかも水平ガイド
車輪を設けることよって、タンク側板の内側面に沿った
方向の測定が可能となり、タンク側板に沿って設けられ
たアニュラ板の板厚測定も可能となる。請求項4記載の
タンク底板の板厚測定装置においては、測定台車は、突
出長さを調整可能に、しかも一部を左右に突出させた水
平ガイド車輪を有し、水平ガイド車輪によって測定台車
がタンク側板の内側面に沿って走行すると共に、タンク
底板の板厚の測定が可能となっているので、水平ガイド
車輪によって、タンク側板の内側面に沿った方向の測定
が可能となり、タンク側板に沿って設けられたアニュラ
板の測定が効率的に実施可能となる。
【0074】請求項5〜10記載のタンク底板の板厚測
定方法においては、反射型の超音波探触子、及び超音波
探触子の前又は後ろに設けられた膜厚計を設けた複数台
の子台車を、移動距離を測定するロータリーエンコーダ
が設けられた測定台車に取付けて、各子台車上にそれぞ
れ設けられた超音波探触子と膜厚計のロータリーエンコ
ーダを基準とした平面的位置とロータリーエンコーダに
よって測定される位置とを対応させて、それぞれの超音
波探触子で測定されたタンク底板の板厚からその部分の
被膜厚みを引いて、タンク底板の真の厚みを測定するの
で、タンク底板の全体にわたって局所的な鋼板の腐食に
よる板厚減少状況を高精度で簡単、迅速に、しかも超音
波探触子と膜厚計の取付け位置の違いによる誤差を生じ
ることなく、タンク底板の実際の厚さを測定することが
できる。
【0075】特に、請求項6記載のタンク底板の板厚測
定方法においては、所定の有効ビーム幅を有する超音波
探触子を備えた測定台車により円筒タンク底板の板厚測
定を行って測定値を求め、測定値から円筒タンク底板に
所定の深さ以上の孔食部を有し、しかも孔食部の平面的
大きさが所定の範囲以下である場合、所定の有効ビーム
幅より小さい有効ビーム幅を有する超音波探触子を備え
た測定台車によって円筒タンク底板の減肉部の板厚測定
を再度行うので、高い精度の測定値を得ることができ
る。
【0076】請求項7記載のタンク底板の板厚測定方法
においては、タンク底板の上に液状の接触媒体を介して
シート部材を敷設し、シート部材の上から超音波探触子
によって垂直探傷するので、膜厚計とタンク底板の測定
面との間の間隙の変化と、超音波探触子とタンク底板の
測定面との間の間隙の変化は実質的に同じ値となり、タ
ンク底板の表面の凹凸(表面粗さ)が大きいときでも、
急激な形状変化による子台車の傾きを低減でき、タンク
底板の被覆膜を除去しないで、タンク底板の全体にわた
る鋼板の板厚減少状況を把握すると共に、安定した円筒
タンク底板の板厚測定結果が得られる。請求項8記載の
タンク底板の板厚測定方法においては、接触媒体は水、
マシン油、でん粉のり、グリセリンの1又は2以上を含
む液体又はペースト状物であり、シート部材は音響イン
ピーダンスが1.0〜4.0×106 kg/m2 sの合
成樹脂材料であるので超音波の伝達(カップリング)不
良を防ぎ、感度の向上及びSN比の改善がなされ、測定
精度の高い円筒タンク底板の板厚測定結果が得られる。
【0077】請求項9記載のタンク底板の板厚測定方法
においては、測定対象鋼板やコーティングの仕様、表面
状況、シート部材によって、それに最も適したくさび材
や振動子材料を用いた超音波探触子を選択し、それを子
台車に取付けて使用することにより、高い精度の測定が
可能となる。請求項10記載のタンク底板の板厚測定方
法においては、超音波探触子のくさび材にアクリル樹
脂、ポリスチレン樹脂、もしくは、ポリイミド樹脂を選
択し、振動子材料に圧電セラミックス単体又は圧電セラ
ミックスとポリマーの複合材のいずれかを選択すること
によって、タンク底板の材質及び表面粗さとタンク底板
の表面の被膜の材質に対して最適な超音波探触子を使用
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るタンク底板の
板厚測定装置の各機器のブロック図である。
【図2】同タンク底板の板厚測定装置の測定部の側面図
である。
【図3】同タンク底板の板厚測定装置の測定台車の側面
図である。
【図4】同タンク底板の板厚測定装置の測定台車の正面
図である。
【図5】同タンク底板の板厚測定装置の測定台車の平面
図である。
【図6】同タンク底板の板厚測定装置の超音波厚さ計の
出力波形を示すせ説明図である。
【図7】(A)、(B)、(C)はそれぞれ同タンク底
板の板厚測定装置の超音波厚さ計のマルチゲート方式の
説明図である。
【図8】(A)、(B)はそれぞれ超音波厚さ計のシン
グルゲート方式の説明図である。
【図9】同タンク底板の板厚測定装置のデータ処理シス
テムのブロック図である。
【図10】同タンク底板の板厚測定装置によって厚みを
測定しようとする板の平面図である。
【図11】同タンク底板の板厚測定装置によって測定す
る円筒タンクの底板の板割状態を示す平面図である。
【図12】同タンク底板の板厚測定装置の子台車とシー
ト部材との関係を示す説明図である。
【図13】同タンク底板の板厚測定装置によって測定さ
れた円筒タンクの底板の板厚状況を示す説明図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る同タンク底
板の板厚測定装置の測定台車の平面図である。
【図15】(A)、(B)は従来例の円筒タンク底板の
板厚測定方法の説明図である。
【符号の説明】
10:円筒タンク底板の板厚測定装置、11:測定台
車、12:測定部、13:演算・表示部、14:水供給
部、15:前側台車、16:後側台車、17:開口部、
18、19:子台車、20:フレーム、21:自在車
輪、22、23:超音波探触子、24、25:膜厚計、
26、27:ジンバル機構、28:車輪、29:シート
部材、29A、29B:接触媒体、30:タンク底面、
30A:凹部、31:底板、32:ロータリーエンコー
ダ、33:車輪、34:フレーム、35、36:支持
台、37:水平ガイド車輪、38:アイボルト、39:
水分配部、40、41:ホース接続具(ニップル)、4
4:台車フレーム、45:車輪、46:蓋、47:収納
箱、48:コントローラ、49:操作用把手、50:ス
イッチ、51:ケーブル、52:ケーブル止め、56:
水タンク、57:ポンプ、58:電磁弁、60:ホー
ス、63:超音波厚さ計、64:コンピュータ、65:
カウンターボード、66:板取部プログラム、67:板
厚表示プログラム、68:測定プログラム、70:作図
データ、71:測定データ、72:板、73:セル、7
4:ブロック、75:超音波探触子、76:測定台車、
77:子台車、78:円筒タンク底板の板厚測定装置、
78A:ロータリーエンコーダ、79:膜厚計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野尻 和寛 東京都港区港南4丁目1番8号 旭エンジ ニアリング株式会社内 (72)発明者 福永 辰也 東京都港区港南4丁目1番8号 旭エンジ ニアリング株式会社内 (72)発明者 芳賀 啓之 東京都港区港南4丁目1番8号 旭エンジ ニアリング株式会社内 (72)発明者 清田 文範 福岡県北九州市小倉北区井堀4丁目10番13 号 新日本非破壊検査株式会社内 (72)発明者 梶木 良太 福岡県北九州市小倉北区井堀4丁目10番13 号 新日本非破壊検査株式会社内 (72)発明者 脇部 康彦 福岡県北九州市小倉北区井堀4丁目10番13 号 新日本非破壊検査株式会社内 (72)発明者 西村 裕二 福岡県北九州市小倉北区井堀4丁目10番13 号 新日本非破壊検査株式会社内 Fターム(参考) 2F068 AA29 BB02 BB23 CC09 DD04 DD12 DD13 FF03 FF12 FF14 JJ13 KK04 KK07 LL11 LL24 QQ01 QQ07 QQ42 RR02 RR05 RR13 2G047 AA07 AB04 AC12 BA03 BC18 CA01 DB03 DB12 EA10 GA19 GB27 GE01 GE02 GJ02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定しようとするタンク底板の上を走行
    する測定台車と、該測定台車に取付けられ、しかも該測
    定台車に幅方向全体に渡って並べて配置された複数の子
    台車と、送信子と受信子を有し前記子台車のそれぞれに
    取付けられて前記タンク底板の厚さを測定する反射型の
    超音波探触子と、前記測定台車に取付けられ、該測定台
    車の走行距離を測定するロータリーエンコーダとを有す
    るタンク底板の板厚測定装置において、前記各超音波探
    触子の前側又は後ろ側の所定位置には、前記超音波探触
    子とは別位置に、前記各超音波探触子の測定領域と同等
    又は狭い領域の前記タンク底板の被膜の厚みを測定する
    膜厚計がそれぞれ設けられ、更に、前記ロータリーエン
    コーダの出力、前記各超音波探触子の出力、前記各膜厚
    計の出力、並びに前記ロータリーエンコーダ、前記各超
    音波探触子及び前記各膜厚計の平面的位置を入力とし、
    前記各超音波探触子の出力及びこれに対応する位置での
    前記各膜厚計の出力から、前記タンク底板の鋼板厚とそ
    の位置を前記測定台車の走行に対応して測定及び記憶し
    てディスプレイ上に表示する演算・表示部を有すること
    を特徴とするタンク底板の板厚測定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のタンク底板の板厚測定装
    置において、前記各超音波探触子は、平面的に見て千鳥
    状又は階段状に設けられて隣り合う前記超音波探触子の
    干渉を防止すると共に、前記測定台車の幅方向の全領域
    の測定を可能とし、更に、前記各超音波探触子に加えら
    れる繰り返しパルスの周期は、前記超音波探触子の移動
    方向の有効ビーム幅を前記測定台車の移動速度で除した
    値より小さくして、該測定台車の進行方向の全てに対し
    て板厚測定可能となっていることを特徴とするタンク底
    板の板厚測定装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のタンク底板の板厚
    測定装置において、前記測定台車に設けられている操作
    用把手は可倒、伸縮又は取外し可能となって前記測定台
    車全体の高さを低くでき、該測定台車が前記タンク底板
    の上方に設けられている配管等の障害物の下を潜って前
    記タンク底板の厚みが測定可能となっており、更に、前
    記測定台車は、前記ロータリーエンコーダと前記超音波
    探触子と前記膜厚計が取付けられた前記子台車を有する
    前側台車と前記膜厚計のコントローラを収納可能な後側
    台車とを有し、前記前側台車と後側台車とは分離、オフ
    セットすることが可能となっており、前記操作用把手を
    可倒、伸縮又は取外して前記測定台車全体の高さを低く
    した場合よりも、更に低い障害物の下を潜って前記タン
    ク底板の厚みが測定可能とっていることを特徴とするタ
    ンク底板の板厚測定装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のタ
    ンク底板の板厚測定装置において、前記測定台車は、突
    出長さを調整可能に左右に突出させた水平ガイド車輪を
    有し、該水平ガイド車輪によって前記測定台車がタンク
    側板の内側面に沿って走行すると共に、前記タンク底板
    の板厚の測定が可能となっていることを特徴とするタン
    ク底板の板厚測定装置。
  5. 【請求項5】 反射型の超音波探触子、及び該超音波探
    触子の前又は後ろに設けられた膜厚計を設けた複数台の
    子台車を、移動距離を測定するロータリーエンコーダが
    設けられた測定台車に取付けて、該測定台車をタンク底
    板の上に走行させてその鋼板厚を測定するタンク底板の
    板厚測定方法において、前記超音波探触子によって前記
    タンク底板の厚みを測定すると共に、前記膜厚計で前記
    タンク底板の表面の被膜厚さを測定し、前記ロータリー
    エンコーダを基点とした前記超音波探触子及び前記膜厚
    計の位置を予め設定し、それを前記ロータリーエンコー
    ダで測定した測定台車の位置と対応させて、それぞれの
    前記超音波探触子で測定された前記タンク底板の板厚か
    らその部分の被膜厚みを引いて、前記タンク底板の鋼板
    厚を測定することを特徴とするタンク底板の板厚測定方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のタンク底板の板厚測定方
    法において、所定の有効ビーム幅を有する超音波探触子
    を備えた前記測定台車により、前記タンク底板の板厚測
    定を行って測定値を求め、前記測定値から前記タンク底
    板に所定の深さ以上の孔食部を有し、しかも該孔食部の
    平面的大きさが所定の範囲以下である場合、前記所定の
    有効ビーム幅より小さい有効ビーム幅を有する超音波探
    触子を備えた測定台車に取り替えて、タンク底板の減肉
    部の板厚の測定を再度行うことを特徴とするタンク底板
    の板厚測定方法。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6に記載のタンク底板の板
    厚測定方法において、前記タンク底板の上に液状の接触
    媒体を介してシート部材を敷設し、該シート部材の上か
    ら前記超音波探触子によって垂直探傷することを特徴と
    するタンク底板の板厚測定方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のタンク底板の板厚測定方
    法において、前記接触媒体は水、マシン油、でん粉の
    り、グリセリンの1又は2以上を含む液体又はペースト
    状物であり、前記シート部材は音響インピーダンスが
    1.0〜4.0×10 6 kg/m2 sの合成樹脂材料で
    あることを特徴とするタンク底板の板厚測定方法。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8記載のタンク底板の板厚
    測定方法において、前記超音波探触子は、くさび材と振
    動子材料との組み合わせを、前記タンク底板の材質、表
    面粗さ、前記タンク底板の表面の被膜の材質、及び前記
    シート部材の材質に応じて選択し、それを前記子台車に
    取付けて使用することを特徴とするタンク底板の板厚測
    定方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のタンク底板の板厚測定
    方法において、前記超音波探触子のくさび材にはアクリ
    ル樹脂、ポリスチレン樹脂、もしくは、ポリイミド樹脂
    を選択し、前記振動子材料には圧電セラミックス単体又
    は圧電セラミックスとポリマーの複合材のいずれかを選
    択することを特徴とするタンク底板の板厚測定方法。
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