JP2002227952A - トロイダル型無段変速機及びこれに用いるローラの加工方法 - Google Patents
トロイダル型無段変速機及びこれに用いるローラの加工方法Info
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Abstract
トを抑えることができるトロイダル型無段変速機、並び
に製造コストを抑えることができるとともに、生産性を
高めることができるトロイダル型無段変速機のローラの
加工方法を提供する。 【解決手段】 円盤状素材30の両側面30b,30c
の中心軸回りに、環状の凹部30d,30eを旋削にて
形成し、さらに外周面30aを一次旋削した後、それら
の凹部30d,30eを設けた円盤状素材30を熱処理
硬化する。その後、一方の凹部30dの小径側の周壁を
チャックして、少なくとも外周面30aを二次旋削によ
り仕上げる。
Description
無段変速機に用いられるトロイダル型無段変速機及びこ
れに用いるローラの加工方法に関する。
状のローラを入力ディスクと出力ディスクとの間に配置
して、各ローラの外周面(軌道面)と両ディスクに設け
た各軌道面とを転がり接触させた構成を有している。各
ローラは回転自在に軸支され、入力ディスクはエンジン
により回転駆動される入力軸に一体回転可能に取り付け
られている。この入力軸の回転により、入力ディスクか
らローラを介在して出力ディスクにトルクが伝達され
る。変速は、ローラの回転軸が傾くことにより無段階で
行われる。上記のようなローラは、軸受鋼等の金属製の
円盤状素材を所定形状に加工し、熱処理硬化させた後、
仕上げ加工するものであり、主として上記の転がり接触
によるトルク伝達を安定して行わせるために、特に外径
を所望の寸法に高精度に仕上げることが要求されてい
る。
ル型無段変速機のローラの加工方法について具体的に説
明する。従来のローラの加工方法では、図3(a)に示
す断面矩形状の円盤状素材50に対して、一次旋削、熱
処理、二次旋削、幅研削、内・外径研削、及び軌道面ラ
ップを順次行い、所望のローラを形成していた。尚、図
3(c)〜(f)に一点鎖線にて示す部分は、上記二次
旋削、幅研削、内・外径研削、及び軌道面ラップでの加
工部分をそれぞれ示している。
状素材50の外周面50aを旋盤のチャック爪(図示せ
ず)によってチャックし、一方の側面50bに対して、
例えば外周面50aから中心軸Aの方向に旋削を行って
同図(b)に示すボス部50dを形成する。その後、当
該円盤状素材50を反転し上記チャック爪でボス部50
dの外周をチャックして、他方の側面50cにも上記の
旋削を行い、その側面50c側にもボス部50eを形成
するとともに、円盤状素材50の中心部分に軸孔50g
を形成し、さらに外周面50aの角落としを行いその断
面形状を円弧状として、一次旋削を終了する。尚、図3
(b)に示すように、一方のボス部50dは、少なくと
も外周面50aに二次旋削を施すために、他方のボス部
50eよりも大きい形状に形成されている。その後、そ
の円盤状素材50をチャック爪から一旦取り外して焼入
れ処理等の熱処理を行って硬化させる。
材50の表面全体に対して二次旋削を行って、上記熱処
理による熱膨張や熱歪み等の熱変形した部分が除去され
る。具体的には、まずボス部50d(図3(b))の外
周をチャックして、外周面50a、側面50c、ボス部
50e、及び軸孔50gの内周面50g1を旋削する。
続いて、例えば外周面50aの外周をチャックした状態
で、側面50bを旋削するとともに、ローラの回転バラ
ンスを確保するために、上記ボス部50dに旋削を行っ
て他方のボス部50eと対称形状のボス部50fを形成
する。続いて、図3(d)において、例えば平面研削盤
によってボス部50f,50eの各端面50f1,50
e1を研削することにより、円盤状素材50の幅を所望
の寸法に仕上げる幅研削が行われる。
をチャックした状態で、上記端面50e1を加工基準と
して内周面50g1を研削することにより、軸孔50g
の内径が所望の寸法に仕上げられる。また、上記内周面
50g1をチャックした状態で、上記側面50cを加工
基準として外周面50aを研削することにより、円盤状
素材50の外径が所望の寸法に仕上げられる。続いて、
図3(f)において、外周面50aにラップ仕上げを施
すことにより、当該外周面50aがローラの軌道面とし
て好適な表面粗さに仕上げられる。このように、この従
来のローラの加工方法では、上述の一連の加工を円盤状
素材50に施し所望のローラを形成していた。
ような従来のローラの加工方法では、少なくとも外周面
50aを二次旋削するためのボス部50dを一方の側面
50bに形成していたので、ローラとして実際に必要な
幅寸法(図3(f)に”b”にて図示)よりもかなり大
きい幅寸法(図3(a)に”B”にて図示)を有する円
環状素材50からローラを形成する必要があり、円盤状
素材(ローラ)50の素材歩留まりを向上することがで
きず、当該無段変速機の製造コストが高くつくという問
題があった。また、この従来のローラの加工方法では、
円盤状素材50の熱処理硬化後に、少なくともボス部5
0dに対して、上記の二次旋削を実施する必要があり、
この二次旋削に時間及び手間を要するとともに旋削用工
具の寿命が短く、生産性を高めることが困難であった。
は、ローラの素材歩留まりを向上して、製造コストを削
減することができるトロイダル型無段変速機を提供する
ことを目的とする。また、本発明は、製造コストを削減
することができるとともに、生産性を高めることができ
るトロイダル型無段変速機に用いるローラの加工方法を
提供することを目的とする。
段変速機は、回転自在に軸支された円盤状のローラを介
在して入力ディスクと出力ディスクとの間のトルク伝達
を行うトロイダル型無段変速機であって、前記ローラの
一側面の中心軸回りに、当該ローラをその加工時にチャ
ックするための環状の凹部を形成し、当該ローラの回転
バランスを確保するための凹部を他側面に形成したこと
を特徴としている(請求項1)。
変速機では、ローラをチャックするための環状の凹部を
当該ローラの一側面の中心軸回りに形成したことによ
り、その加工時においてローラの素材の幅寸法を大きく
することなく当該ローラをチャックすることができる。
のローラの加工方法は、回転自在に軸支された円盤状の
ローラを介在して入力ディスクと出力ディスクとの間の
トルク伝達を行うトロイダル型無段変速機の前記ローラ
の加工方法において、円盤状素材の一側面の中心軸回り
に、環状の凹部を旋削にて形成するとともに、外周面を
一次旋削する工程と、前記凹部を形成した円盤状素材を
熱処理硬化する工程と、前記凹部の周壁をチャックし
て、少なくとも前記外周面を二次旋削により仕上げる工
程とを備えたことを特徴としている(請求項2)。
変速機のローラの加工方法では、円盤状素材の一側面の
中心軸回りに、環状の凹部を旋削にて形成するととも
に、外周面を一次旋削する工程を行い、その形成した凹
部の周壁をチャックして、少なくとも前記外周面を二次
旋削により仕上げているので、円盤状素材の幅寸法を大
きくすることなく当該円盤状素材を所望のローラに形成
することができる。また、熱処理硬化する工程の前に、
環状の凹部を形成しているので、当該凹部を形成する工
程を容易に行うことができる。さらに、上記凹部は旋削
等による仕上げ工程を実施する必要がないので、ローラ
の製造工数を削減することができる。
ラの加工方法(請求項2)において、前記円盤状素材の
幅寸法が、前記ローラの幅寸法とほぼ同じ寸法とするこ
とが好ましい(請求項3)。この場合、完成品のローラ
とほぼ同じ幅寸法の円盤状素材が使用されるので、ロー
ラの歩留まりを向上することができる。
変速機及びこれに用いるローラの加工方法を示す好まし
い実施形態について、図面を参照しながら説明する。図
1(a)は本発明の一実施形態であるトロイダル型無段
変速機の要部構成を示す概略図であり、図1(b)は図
1(a)のB−B線における拡大断面図である。図にお
いて、トロイダル型無段変速機は、例えば自動車のエン
ジンに直結される入力軸(図示せず)に一体回転可能に
連結された入力ディスク1と、上記入力軸に相対回転可
能に設けられた出力ディスク2と、これらの入力ディス
ク1及び出力ディスク2の間で回転自在に軸支された円
盤状のローラ3とを備えている。尚、トロイダル型無段
変速機は、例えば3個のローラ3を上記入力軸の周方向
に沿って等間隔に配置しているものであるが、図1
(a)ではそのうちの1つのローラ3のみを図示してい
る。
面には、凹湾曲状の軌道面1a及び2aがそれぞれ形成
されており、各軌道面1a,2aが互いに対向するよう
配置されている。また、これらの軌道面1a,2aの間
はトロイド状隙間として構成されており、このトロイド
状隙間において、上記ローラ3の軌道面である外周面3
aと各軌道面1a,2aとが転がり接触することによ
り、入力ディスク1からローラ3を介して出力ディスク
2にトルクを伝達している。尚、上記外周面3aと各軌
道面1a,2aとの間には、潤滑剤として例えば潤滑油
が供給されている。
れたものであり、キャリッジ4によって回転自在に支持
されている。具体的にいえば、ローラ3には、その中心
部分に軸孔3fが形成されており、この軸孔3fに回転
軸5が挿嵌されている。この回転軸5は、上記キャリッ
ジ4に固定された玉軸受6,7によって回転自在に支持
されたものであり、ローラ3とともに一体回転可能にキ
ャリッジ4に取り付けられている。また、ローラ3は、
上記キャリッジ4によって各軌道面1a,2aとの相対
位置を調整できるようになっている。このように、ロー
ラ3の相対位置をキャリッジ4によって調整することに
より、出力ディスク2の回転数(変速比)を増減させる
ことができる。また、上記ローラ3の両側面3b,3c
には、環状の凹部3d,3eがそれぞれ形成されてい
る。これらの凹部3d,3eは、対応する側面3b,3
cを対称形状に旋削して中心軸回りに設けられたもので
あり、その加工時において旋盤のチャック爪等により当
該ローラ3をチャック可能に構成されている。
て、図2を参照して具体的に説明する。本実施形態のロ
ーラの加工方法では、図2(a)に示す断面矩形状の円
盤状素材30に対して、一次旋削、熱処理、二次旋削、
幅研削、内・外径研削、及び軌道面ラップを順次行い、
所望のローラ3を形成する。上記円盤状素材30は、そ
の幅寸法が上記ローラ3とほぼ同じ幅寸法のものが用い
られている。尚、図2(c)〜(f)に一点鎖線にて示
す部分は、上記二次旋削、幅研削、内・外径研削、及び
軌道面ラップでの加工部分をそれぞれ示している。
状素材30の外周面30aを旋盤のチャック爪(図示せ
ず)によってチャックし、一側面30bに対して、図示
を省略した切削バイトを用いて中心軸A回りに旋削処理
を行い同図(b)に示す凹部30dを形成する。これに
より、中心軸Aの回りにボス部30gが形成される。
尚、この凹部30dの具体的な深さ(上記チャック爪の
チャック代)は、例えば5mmであり、その大径側は、
ローラ3の外周付近に達している。その後、この凹部3
0dの小径側の周壁(ボス部30gの外周)をチャック
爪でチャックして、他側面30cにも上記の旋削を行
い、その側面30c側にも凹部30eを形成する。これ
らの凹部30d,30eは上記ローラ3の凹部3d,3
eをそれぞれ構成するものであり、対称形状に形成され
ているのでローラ3の回転バランスを確保することがで
きる。続いて、例えば凹部30dの小径側の周壁をチャ
ックした状態で、旋削によって外周面30aの角落とし
を行いその断面形状を円弧状とし、さらに円盤状素材3
0の中心部分に軸孔30fを旋削にて形成し、一次旋削
を終了する。その後、その円盤状素材30をチャック爪
から一旦取り外して焼入れ処理等の熱処理を行って硬化
させる。尚、上記説明以外に、外周面30aをチャック
して軸孔30fを形成し、その軸孔30fの内周面30
f1をチャックして外周面30aの角落としを行っても
よい。
d,30eを除いた側面30b,30cと軸孔30fの
内周面30f1に対して二次旋削を行って、上記熱処理
による熱膨張や熱歪み等の熱変形した部分が除去され
る。具体的には、まず一方の凹部30d(図2(b))
の小径側の周壁をチャックして、外周面30a、側面3
0c、及び軸孔30fの内周面30f1を旋削する。続
いて、例えば他方の凹部30eの小径側の周壁をチャッ
クした状態で、側面30bを旋削する。尚、上記熱処理
による熱変形量が少なければ、両側面30b,30cに
対する二次旋削を省略して、後続の幅研削で当該両側面
30b,30cにおける熱変形した部分を除去してもよ
い。続いて、図2(d)において、例えば平面研削盤を
用いて側面30c,30bをそれぞれ研削することによ
り、円盤状素材30の幅を所望の寸法に仕上げる幅研削
が行われる。
と内周面30f1とを選択的にチャックした状態で、側
面30cを加工基準として内周面30f1及び外周面3
0aを研削することにより、軸孔30fの内径及び円盤
状素材30の外径がそれぞれ所望の寸法に仕上げられ
る。続いて、図2(f)において、例えば凹部30dの
小径側の周壁をチャックした状態で、外周面30aにラ
ップ仕上げを施すことにより、当該外周面30aがロー
ラ3の外周面(軌道面)3aとして好適な表面粗さに仕
上げられる。
変速機及びローラの加工方法では、円盤状素材30の両
側面30b,30cを対称形状に旋削して環状の凹部3
0d,30eを中心軸回りに形成している。そして、一
側面30bに形成した凹部30dの小径側の周壁をチャ
ックして、少なくとも上記外周面30aを二次旋削によ
り仕上げている。これにより、円盤状素材30の幅寸法
を大きくすることなく当該円盤状素材30を所望のロー
ラ3に形成することができる。従って、ローラ3の素材
歩留まりを向上して、製造コストを削減することができ
る。
は、上記の熱処理を行って円盤状素材30を硬化する前
に、凹部30d,30eを円盤状素材30に形成してい
るので、それらの凹部30d,30eを容易に形成する
ことができ、当該トロイダル型無段変速機の生産性を高
めることができる。また、図2(c)及び(d)にそれ
ぞれ示したように、二次旋削や幅研削を凹部30d,3
0eに施す必要がないので、円盤状素材30の加工工数
(ローラ3の製造工数)を削減することができる。さら
に、これらの凹部30d,30eは対称形状に形成して
いるので、ローラ3の回転バランスを確保することがで
きる。また、円盤状素材30の幅寸法が完成品のローラ
3の幅寸法とほぼ同じ寸法であるので、上記ローラ3の
歩留まりを向上して、当該ローラ3及びこれを用いたト
ロイダル型無段変速機の製造コストをより削減すること
ができる。
対称形状の環状の凹部3d,3eをそれぞれ設けた構成
について説明したが、本発明はこれに限定されるもので
はなく、ローラ3をチャックするための環状の凹部3d
をローラ3の一側面3bの中心軸回りに形成し、かつ当
該ローラ3の回転バランスを確保するための凹部3eを
他側面3cに形成したものであれば何等限定されない。
具体的には、上記環状の凹部3eの代わりに、例えば複
数の凹部を他側面3cに同心状にて一定間隔に設けて、
ローラ3の回転バランスを確保する構成でもよい。ま
た、上記の説明では、チャック爪により凹部30d,3
0eの小径側の周壁をチャックして、二次旋削等の加工
を施す場合について説明したが、凹部30d,30eの
大径側の周壁をチャックして、上記の加工を行ってもよ
い。
果を奏する。請求項1のトロイダル型無段変速機によれ
ば、加工時においてローラの素材の幅寸法を大きくする
ことなくローラをチャックすることができるので、その
チャックした状態で一方の側面を加工基準として当該ロ
ーラの外径を所望の寸法に高精度に仕上げることができ
る。従って、ローラの素材歩留まりを向上して、製造コ
ストを削減することができる。
ラの加工方法によれば、円盤状素材の幅寸法を大きくす
ることなく当該円盤状素材を所望のローラに形成するこ
とができるので、当該トロイダル型無段変速機の製造コ
ストを削減することができる。上記凹部を形成する工程
を容易に行うことができるので、当該トロイダル型無段
変速機の生産性を高めることができる。さらに、上記凹
部は旋削等による仕上げ工程を実施する必要がないの
で、ローラの製造工数を削減することができる。
ラの加工方法によれば、ローラの歩留まりを向上するこ
とができるので、ローラ及び当該トロイダル型無段変速
機の製造コストをより削減することができる。
型無段変速機の要部構成を示す概略図であり、(b)は
(a)のB−B線における拡大断面図である。
速機のローラの加工方法を示す説明図である。
方法を示す説明図である。
Claims (3)
- 【請求項1】回転自在に軸支された円盤状のローラを介
在して入力ディスクと出力ディスクとの間のトルク伝達
を行うトロイダル型無段変速機であって、 前記ローラの一側面の中心軸回りに、当該ローラをその
加工時にチャックするための環状の凹部を形成し、当該
ローラの回転バランスを確保するための凹部を他側面に
形成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 【請求項2】回転自在に軸支された円盤状のローラを介
在して入力ディスクと出力ディスクとの間のトルク伝達
を行うトロイダル型無段変速機の前記ローラの加工方法
において、 円盤状素材の一側面の中心軸回りに、環状の凹部を旋削
にて形成するとともに、外周面を一次旋削する工程と、 前記凹部を形成した円盤状素材を熱処理硬化する工程
と、 前記凹部の周壁をチャックして、少なくとも前記外周面
を二次旋削により仕上げる工程とを備えたことを特徴と
するトロイダル型無段変速機のローラの加工方法。 - 【請求項3】前記円盤状素材の幅寸法が、前記ローラの
幅寸法とほぼ同じ寸法であることを特徴とする請求項2
記載のトロイダル型無段変速機のローラの加工方法。
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