JP2002226565A - アルキレンナフタレート共重合ポリエステルの製造方法 - Google Patents

アルキレンナフタレート共重合ポリエステルの製造方法

Info

Publication number
JP2002226565A
JP2002226565A JP2001025637A JP2001025637A JP2002226565A JP 2002226565 A JP2002226565 A JP 2002226565A JP 2001025637 A JP2001025637 A JP 2001025637A JP 2001025637 A JP2001025637 A JP 2001025637A JP 2002226565 A JP2002226565 A JP 2002226565A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
alkylene
glycol
alkylene naphthalate
mol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001025637A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahito Tokutake
政仁 徳竹
Sachiko Ozaki
幸子 尾崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Ester Co Ltd filed Critical Nippon Ester Co Ltd
Priority to JP2001025637A priority Critical patent/JP2002226565A/ja
Publication of JP2002226565A publication Critical patent/JP2002226565A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、機械的強度、ガスバリヤー性等の性
能に優れたアルキレンナフタレート共重合ポリエステル
を効率良く製造する方法を提供することであり、さらに
は、そのような共重合ポリエステルを、ポリエチレンナ
フタレート等のポリエステル樹脂の廃棄物を原料とし
て、効率良く製造する方法を提供する。 【解決手段】 アルキレンナフタレート単位を5〜60
モル%含有するアルキレンナフタレート共重合ポリエス
テル(A)の製造方法であって、ナフタレンジカルボン
酸以外の酸成分とグリコール成分とからなるカルボキシ
レート及びその低重合体(B)に、アルキレンナフタレ
ート単位を90モル%以上含有するポリエステル(C)
と、(C)の全酸成分に対して0.5〜5.0倍(物質
量比)のアルキレングリコールとを添加して解重合反応
を行い、その後、重縮合反応を行うことを特徴とするア
ルキレンナフタレート共重合ポリエステル(A)の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、機械的強
度、ガスバリヤー性等の性能に優れたアルキレンナフタ
レート共重合ポリエステルを製造する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(以下PET
と略記することがある。)に代表されるポリエステル
は、その優れた機械的特性および化学的特性のため、衣
料用、産業用等の繊維のほか、磁気テープ用、写真用、
コンデンサー用等のフィルムあるいはボトル等の成形物
用として広く用いられている。しかし近年、各種の用途
において、品質に対する要求が厳しくなってきており、
例えば、ポリエステル容器、特に二軸延伸ブロー容器等
は、充填物の殺菌および保存の観点から、より耐熱性と
ガスバリヤー性の向上が望まれており、PET製の容器で
は、不十分とされる場合がある。
【0003】かかる性能要求を解決するために、例え
ば、特開平3-122116号公報等では、耐熱性、機械的強
度、ガスバリヤー性等に優れた効果を示す2,6-ナフタレ
ンジカルボン酸(以下2,6-NDCAと略記することがあ
る。)をPETに共重合させたアルキレンナフタレート共
重合ポリエステルが提案されている。このような共重合
ポリエステルを製造する方法としては、一般的に、テレ
フタル酸ジメチル(以下DMTと略記することがある。)
に、2.6-ジメチルナフタレート(以下、2,6-NDCMと略記
することがある。)と一種あるいは二種以上のアルキレ
ングリコール成分を添加して反応させるエステル交換法
が行われている。しかしながら、エステル交換法は、多
量のメタノールが副生するため、有害性や危険性の面か
ら好ましいとはいえない。
【0004】これに対し、テレフタル酸(以下TPAと略
記することがある。)と2,6-NDCAとアルキレングリコー
ルとをエステル化反応させる直接エステル化法もある
が、2,6-NDCAは工業的に用いることが可能な適当な溶剤
がないために精製が難しく、純度の高いものが得られに
くく、重合中にポリマーの著しい着色が起こるという問
題がある。
【0005】一方、PETやポリエチレンナフタレート
(以下PENと略記することがある。)等のポリエステル
樹脂は、成形等の加工段階で発生した屑や、製品化され
て使用した後のものは廃棄されていたが、近年の環境問
題の高まりから、このような樹脂を回収リサイクルする
ことが急務となっている。そこで、これまでにもこれら
の屑や廃棄物を回収リサイクルする方法が種々検討され
ている。例えば、特開昭48-62732号公報では、PETをエ
チレングリコール(以下EGと略記することがある。)で
解重合した後にメタノールを添加し、DMTを回収する方
法が開示されている。この方法によれば、回収されたDM
Tを用いて比較的高品位のPETを再生することができ、PE
N等、他のポリエステル樹脂の回収リサイクルにも応用
可能なものである。しかし、この方法は回収装置が複雑
であるためにコストがかかるという問題があり、また、
有害性や危険性の高いメタノールを使用しなければなら
ないという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の現状に鑑み、本
発明の課題は、耐熱性、機械的強度、ガスバリヤー性等
の性能に優れたアルキレンナフタレート共重合ポリエス
テルを効率良く製造する方法を提供することであり、さ
らには、そのような共重合ポリエステルを、ポリエチレ
ンナフタレート等のポリエステル樹脂の廃棄物を原料と
して、効率良く製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決できるものであり、本発明の要旨は、第一に、アルキ
レンナフタレート単位を5〜60モル%含有するアルキ
レンナフタレート共重合ポリエステル(A)の製造方法
であって、ナフタレンジカルボン酸以外の酸成分とグリ
コール成分とからなるカルボキシレート及びその低重合
体(B)の存在下に、アルキレンナフタレート単位を9
0モル%以上含有するポリエステル(C)を投入し、さ
らに(C)の全酸成分に対して0.5〜5.0倍(物質
量比)のアルキレングリコールを添加して解重合反応を
行い、その後、重縮合反応を行うことを特徴とするアル
キレンナフタレート共重合ポリエステル(A)の製造方
法である。第二に、アルキレンナフタレート単位を90
モル%以上含有するポリエステル(C)がリサイクルさ
れたものであることを特徴とする上記のアルキレンナフ
タレート共重合ポリエステル(A)の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明で製造される目標物であるアルキレンナフ
タレート共重合ポリエステル(A)(以下、共重合ポリ
エステルAと略記することがある。)は、その構成単位
として、5〜60モル%のアルキレンナフタレート単位を含
有することが必要である。アルキレンナフタレート単位
の含有率が5モル%未満では、ガラス転移温度(以下Tg
と略記することがある。)が低下して、耐熱性が不足す
る。一方、アルキレンナフタレート単位の含有率が60モ
ル%を超えると、原料としてアルキレンナフタレート単
位を90モル%以上含有するポリエステル(C)(以
下、ポリエステルCと略記することがある。)を大量に
投入する必要が生じ、その結果、反応系内が固化して解
重合反応が均一に進まなくなったり、得られるアルキレ
ンナフタレート共重合ポリエステルの色調が悪くなる
等、品位低下が起こる。
【0009】本発明においては、まず、ナフタレンジカ
ルボン酸以外の酸成分とグリコール成分とからなるカル
ボキシレート及びその低重合体(B)(以下、オリゴマ
ーBということがある。)の存在下に、上記のポリエス
テルCを投入し、さらにアルキレングリコールを添加し
て解重合反応を行う。
【0010】オリゴマーB(ナフタレンジカルボン酸以
外の酸成分とグリコール成分とからなるカルボキシレー
ト及びその低重合体(B))としては、目標とする共重
合ポリエステルAの組成に応じて適宜選択すればよく、
その酸成分及びグリコール成分としては、それぞれ独立
に1種類であっても複数種類が含まれていてもよい。
【0011】オリゴマーBを構成する酸成分の具体例と
しては、TPA、イソフタル酸、無水フタル酸、5-ナトリ
ウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、コハ
ク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪
族ジカルボン酸等、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等
の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。一方、グリコール
成分の具体例としては、EG、1,2-プロピレングリコー
ル、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-
ノナンジオール等の脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサ
ンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジエタノール等の
脂環族ジオール、ビスフェノールAやビスフェノールSの
エチレンオキサイド付加体等の芳香族ジオール等が挙げ
られる。なお、本発明で得られる共重合ポリエステルA
においては、炭素数の多い脂肪族ジカルボン酸成分や脂
肪族ジオール成分が共重合されると、ガラス転移温度が
低下する傾向にある。したがって、共重合ポリエステル
Aの耐熱性を重視する場合には、オリゴマーBを構成す
る酸成分やジオール成分としては、なるべく炭素数の小
さいものを選択することが好ましく、炭素数の大きい脂
肪族ジカルボン酸成分や脂肪族ジオール成分の量は必要
最低限にすることが好ましい。
【0012】また、オリゴマーBを構成する成分として
は、上記の酸及びグリコール成分以外に、δ-バレロラ
クトン、ε-カプロラクトン等の脂肪族オキシカルボン
酸や、P-ヒドロキシ安息香酸のエチレンオイサイド付加
物等の芳香族オキシカルボン酸およびその誘導体を併用
してもよい。
【0013】オリゴマーBを得る方法としては、ジカル
ボン酸とグリコールの直接エステル化法、あるいは、ジ
カルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールのエス
テル交換法により得ることができるが、通常は、安全
性、経済性の面から直接エステル化法が好ましい。な
お、オリゴマーBに含まれるカルボキシレート低重合体
の重合度としては、オリゴマーBにポリエステルC及び
アルキレングリコールを添加した時に固化を生じさせ
ず、解重合反応を均一に行うという観点から、重合度が
概ね10以下であることが好ましい。
【0014】本発明において、共重合ポリエステルAの
アルキレンナフタレート単位を供給するための原料とし
て用いられるポリエステルCとしては、アルキレンナフ
タレート単位を90モル%以上含有している必要がある。
アルキレンナフタレート単位の含有量が90モル%未満で
は、アルキレンナフタレート単位を含有するポリエステ
ルを大量に投入する必要が生じ、その結果、反応系内が
固化したり、得られる共重合ポリエステルAの色調が悪
くなる等、品位低下が起こる。
【0015】そのような原料として用いられるポリエス
テルCの例としては、PEN、ポリブチレンナフタレー
ト、およびこれらにTPAやイソフタル酸等の酸成分が10
モル%未満の範囲で共重合されたポリエステルが挙げら
れる。また、ポリエステルCとしては、リサイクルされ
たものを用いることが、コスト及び地球環境保護等の観
点から好ましい。ここで、リサイクルされたものとは、
何らかの用途に製品として用いらてから回収されたもの
や、あるいは成形品等を製造する工程で発生した屑等が
回収されたもの等をいう。特にPEN、あるいはPENに少量
のTPAが共重合されたポリエステルは、比較的大量に生
産されているので、リサイクルされたものが入手しやす
く、本発明に好適に用いられる。
【0016】ポリエステルCの解重合反応に用いるアル
キレングリコールとしては、目標とする共重合ポリエス
テルAの組成に応じて適宜選択すればよく、ポリエステ
ルCを構成するグリコール成分と同一のものでも異種の
ものでもよく、また、2種類以上のアルキレングリコー
ルを併用してもよい。なお、上記したように、共重合ポ
リエステルAにおいて炭素数の多い脂肪族ジオール成分
が共重合されると、ガラス転移温度が低下する傾向にあ
るので、共重合ポリエステルAの耐熱性を重視する場合
には、なるべく炭素数の少ないアルキレングリコールを
用いることが好ましい。そのような好ましいアルキレン
グリコールの具体例としては、エチレングリコール(E
G)、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリ
コール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール等が挙
げられる。
【0017】また、上記のアルキレングリコールの添加
量としては、ポリエステルCを構成する全酸成分に対し
て、物質量比(モル比)で0.5〜5.0倍とすること
が必要である。0.5倍未満では、ポリエステルCが解
重合されにくく、解重合反応が均一に進まない。一方、
5.0倍を超えると、後の重縮合反応で溜出するアルキ
レングリコールの量が多くなり、重縮合反応時のエネル
ギー原単位が上昇したり、溜出したアルキレングリコー
ルの処理コストが上昇したりするばかりでなく、ジアル
キレングリコールの副生量が多くなり、これが共重合ポ
リエステルAに共重合されてガラス転移温度を低下さ
せ、耐熱性に悪影響を与える。
【0018】また、オリゴマーBの存在下にポリエステ
ルCを投入し、さらにアルキレングリコールを添加して
行う解重合反応の条件としては、250〜300℃の温
度で15分間以上行うことが好ましく、より詳しくは、
オリゴマーBを250〜300℃の温度で溶融貯留した
反応系に、ポリエステルCとアルキレングリコールを添
加し、15分間以上解重合反応を行うことが好ましい。
一般的にポリエステルをアルキレングリコールで完全に
解重合しようとする場合、アルキレングリコールの沸点
以上の温度にする必要があり、加圧可能な設備を必要と
する。しかし、本発明の方法のように、解重合反応時に
カルボキシレート及びその低重合体が存在すると、加圧
系にすることなく解重合の温度を高めることが可能とな
り、短時間で均一に解重合することが可能となる。
【0019】この解重合反応の温度が250℃未満で
は、解重合反応速度が遅くなり、短時間で均一に解重合
することが困難になる傾向にあるので好ましくない。一
方、300℃を超えると、熱劣化が生じて共重合ポリエ
ステルAが着色する場合があるので好ましくない。な
お、250℃未満の温度でも、アルキレングリコールを
多目に添加し、かつ長時間行えば均一に解重合すること
も不可能ではないが、ジアルキレングリコールの副生量
が多くなり、その結果として共重合ポリエステルAの耐
熱性を低下させるので好ましくない。また、解重合反応
の時間が15分間未満では、解重合反応が十分に行われ
ず均一な解重合物が得られない場合があるので好ましく
ない。解重合反応を行う時間の上限としては、あまり長
時間行っても効果が飽和するばかりか、ジアルキレング
リコールの副生量が多くなる場合があるため、概ね60
分間以内とするのが好ましい。
【0020】上記のようにして解重合反応を行った後
は、必要に応じて濾過等の処理を行う。特に、ポリエス
テルCとしてリサイクルされたものを用いた場合には、
異物の除去を行うために濾過を行うことが望ましい。そ
して、減圧下で所定の粘度となるまで重縮合反応を行う
ことにより、均一で高品位の共重合ポリエステルAが得
られる。この重縮合反応は、通常、触媒の存在下に行わ
れ、触媒としては従来一般に用いられているアンチモ
ン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウ
ム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、コバルト等
の金属化合物が好ましく用いられる。このような触媒の
添加量としては、共重合ポリエステルAを構成する酸成
分1モルに対して1×10-5〜1×10-2モルが好まし
く、5×10-5〜5×10-3モルがより好ましく、1×
10-4〜3×10-3モルが特に好ましい。
【0021】また、本発明の目的を損なわない範囲にお
いて、共重合ポリエステルAには、ヒンダードフェノー
ル化合物、リン化合物のような安定剤、コバルト化合
物、蛍光剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンの
ような顔料等の添加物を含有させてもよい。
【0022】本発明を行う好ましい例について順を追っ
て詳細に説明すれば、まず、窒素ガス圧下、温度230〜250
℃でβ-ヒドロキシエチルテレフタレート及びその低重
合体(以下、PETオリゴマーと略記することがある。)
の存在するエステル化反応槽に、EG/TPAの物質量比1.
1〜2.0に調製したスラリーを添加し、滞留時間7〜
8時間で、オリゴマーBとしてのPETオリゴマーを連続的
に得る。次に、このPETオリゴマーを重合反応缶に移送
し、ポリエステルCとしてのリサイクルされたPENのチッ
プを投入し、さらにアルキレングリコールであるEGを所
定量加えて、250℃以上の温度で15分以上解重合反応を
行う。その後、触媒、添加剤等を投入し、重合反応缶の
温度を270〜290℃に昇温しつつ、圧力を徐々に減じて最
終的には0.01〜13.3hPaの減圧下にて、所定の極限粘度の
共重合ポリエステルAが得られるまで重縮合反応を行
う。
【0023】以上に説明したような本発明により得られ
る共重合ポリエステルAは、アルキレンナフタレート成
分が共重合されているために、耐熱性、機械的強度及び
ガスバリヤー性等の性能に優れており、ボトル、フィル
ムはもとより、各種成形品や、織物、固綿等の繊維製品
にも広範囲に展開が可能である。また、アルキレンナフ
タレート成分の原料としてリサイクルされたポリエステ
ルCを用いた場合でも、高品位な共重合ポリエステルA
を製造することが可能である。
【0024】
【作用】本発明の方法により、アルキレンナフタレート
を構成単位に含む高性能の共重合ポリエステルが効率よ
く生産できる理由として、本発明者らは次のように考え
ている。従来、アルキレンナフタレート共重合ポリエス
テルの製造方法としては、比較的安価に入手可能な高純
度原料が2.6-NDCMに限られるため、メタノールの副生を
伴うエステル交換法によって行わざるを得ず、現在、工
業的に有利なポリエステルの製造方法として知られるジ
カルボン酸とグリコールの直接エステル化法を採用する
ことは事実上できなかった。また、直接エステル化法で
生産されたカルボキシレート及びその低重合体に2,6-ND
CMを添加して共重合する方法も考えられるが、有害性、
危険性の高いメタノールの副生という問題は解決でき
ず、また、2,6-NDCMと他のカルボキシレートとのエステ
ル交換反応の速度が遅く、共重合されにくいという問題
があった。
【0025】しかし、本発明者らの検討により、2,6-ND
CMとアルキレングリコールとのエステル交換反応物であ
るアルキレンナフタレートは、他のカルボキシレートと
の反応性が良好であり、共重合が容易であることが見出
された。そこで、本発明者らは、アルキレンナフタレー
トの原料として、アルキレンナフタレート単位を高い割
合で含有するポリエステル、中でもリサイクル品に着目
し、これをアルキレングリコールで解重合させて用いる
方法を発明した。
【0026】また、通常ポリエステルにアルキレングリ
コールを添加して解重合する場合、短時間で完全に解重
合するためには、系内の温度をアルキレングリコールの
沸点以上にすることが必要となり、加圧可能な設備でな
いと対応できなかった。しかし、本発明では、ポリエス
テルの解重合時に、共重合する他のカルボキシレート及
びその低重合体(オリゴマーB)を共存させることによ
り、添加されたアルキレングリコールが速やかにオリゴ
マーBと反応して、オリゴマーBよりも分子量の低いオ
リゴマーのアルキレングリコール付加物が生成すると推
察される。このアルキレングリコール付加物は、アルキ
レングリコールよりも沸点がかなり高いので、加圧状態
にすることなく系内の温度を高めることが可能となり、
また、上記アルキレングリコール付加物は、アルキレン
グリコールよりは高分子量であるが、オリゴマーBより
ははるかに低分子量であり、ポリエステルを解重合する
能力が高い。これらの作用により、本発明では、アルキ
レンナフタレート単位を高い割合で含有するポリエステ
ルを短時間で均一に解重合することができ、得られるア
ルキレンナフタレート共重合ポリエステルの品位低下が
少なく、また、得られた解重合物をそのまま重縮合する
ことにより、効率よく製造することができるのである。
【0027】
【実施例】以下に、実施例により本発明を具体的に説明
する。なお、実施例及び比較例中の特性値の測定法は、
次の通りに行った。 ・極限粘度(η) フェノールとテトラクロロエタンとの混合物(質量比=
1:1)を溶媒とし、温度20℃で測定した。 ・ポリマーの構成1 H-NMRスペクトロメータ(日本電子社製JNM-LA4000
型)を用いて分析した。 ・ジエチレングリコール含有量(D%) 得られた共重合ポリエステルをアルカリ加水分解後、ガ
スクロマトグラフ装置(島津製作所製GC-9A型)を用い
て求めた。 ・ガラス転移温度(Tg) 示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC-7型)を用
いて、昇温速度20℃/minで測定した。
【0028】実施例1 PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶にEG/TPAの
物質量比が1.6/1.0であるスラリーを連続的に供
給し、温度250℃、圧力0.1MPa、滞留時間8時
間の条件で、エステル化反応を行い、反応率95%のPE
Tオリゴマーを連続的に得た。このPETオリゴマー40.
2kgを重縮合反応缶に移送し、これにポリエステルC
としての回収品からリサイクルされたPENのチップ(η
=0.70)を12.1kg投入し、さらにEGを6.2
kg(上記PENの酸成分に対し2.0倍の物質量に相当
する)添加し、缶内温度270℃で30分間解重合反応
を行った。次に、得られた解重合物の酸成分1モルに対
して、2×10-4モルに相当する量の三酸化アンチモン
と、1.7×10-4モルに相当する量のトリエチルホス
フェートとを加えた。そして、重縮合反応缶内の温度を
30分間で280℃に昇温しつつ、圧力を徐々に減じて
1時間後に1.2hPa以下とした。この条件下で、攪
拌しながら重縮合反応を2時間行い、常法により払い出
して共重合ポリエステルAのペレットを得た。
【0029】実施例2〜4 ポリエステルCの種類と仕込量、PETオリゴマー及びEG
の仕込量、並びに解重合反応時の缶内温度及び時間を下
記表1に示すものとなるように変更した以外は、実施例
1と同様に行って、共重合ポリエステルAのペレットを
得た。このとき、全ての実施例において、ポリエステル
Cとしては、回収品からリサイクルされたチップを用い
た。
【0030】実施例5 実施例1と同様にして得たPETオリゴマー40.2kgを
重縮合反応缶に移送し、1,4-シクロヘキサンジメタノー
ル(以下1,4-CHDMと略記する。)を14.4kg添加し
て、缶内温度260℃で30分間解重合反応を行い、TP
A/EG/1,4-CHDMからなり、それらの成分比(物質量
比)が100/50/50であるカルボキシレート及び
その低重合体を得た。 これに回収品からリサイクルさ
れたPENのチップ(η=0.70)を12.1kg投入
し、さらにEGを3.1kg添加し、缶内温度260℃で
30分間解重合反応を行った。このようにして得られた
解重合物の酸成分1モルに対して、2×10-4モルに相
当する量の三酸化アンチモンと、1.7×10-4モルに
相当する量のトリエチルホスフェートとを加えた。そし
て、重縮合反応缶内の温度を30分間で280℃に昇温
しつつ、圧力を徐々に減じて1時間後に1.2hPa以
下とした。この条件下で、攪拌しながら重縮合反応を4
時間行い、常法により払い出して共重合ポリエステルA
のペレットを得た。
【0031】実施例6 カルボキシレート及びその低重合体、回収品からリサイ
クルされたPENのチップ、並びにEGの仕込量を下記表1
に示すものとなるように変更した以外は、実施例5と同
様に行って、共重合ポリエステルAのペレットを得た。
【0032】以上の実施例における製造条件と、その結
果について、下記表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】比較例1〜3 ポリエステルC(もしくはその代替品)の種類と仕込
量、PETオリゴマー及びEGの仕込量、並びに解重合反応
時の缶内温度及び時間を下記表2に示すものとなるよう
に変更した以外は、実施例1と同様に行って、共重合ポ
リエステルのペレットの製造を試みた。このとき、全て
の比較例において、ポリエステルC(もしくはその代替
品)としては、回収品からリサイクルされたチップを用
いた。なお、比較例における製造条件と、その結果につ
いて、下記表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表1から明らかなように、本発明の実施例
では、Tgが80℃以上と優れた耐熱性を有し、ジエチ
レングリコール含有量(D%)も少なく抑えられ、成形
品やフィルム、繊維とするのに十分な極限粘度と良好な
色調を有する高品位のアルキレンナフタレート共重合ポ
リエステルが得られた。これに対し、表2から明らかな
ように、比較例1ではアルキレンナフタレートの含有量
が低すぎるポリエステルを原料として用いたために、該
ポリエステルを多く投入する必要が生じ、PETオリゴマ
ーに対するポリエステルの投入量が多くなりすぎ、投入
後に反応系内の固化が発生して解重合反応を進めること
ができなかった。また、比較例2では解重合反応に用い
るEGの添加量が少なすぎたために、解重合反応終了後も
PENがPETオリゴマー中に分散した状態となっていて均一
な解重合物が得られず、重縮合反応を進めることができ
なかった。また、比較例3では、解重合反応に用いるEG
の添加量が多すぎたために、解重合反応時にジエチレン
グリコールの副生量が多くなり、これが共重合された結
果として共重合ポリエステルAのTgを通常のPETと同レ
ベルにまで低下させ、耐熱性に不足するものとなった。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性、機械的強度、
ガスバリヤー性等の性能に優れた高品位のアルキレンナ
フタレート共重合ポリエステルを、効率良くかつ安全に
製造することができる。また、アルキレンナフタレート
単位を含有するポリエステルのリサイクルされたものを
原料として用いれば、同様に高品位のアルキレンナフタ
レート共重合ポリエステルを、より安価に製造すること
が提供される。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA03 AB05 AC02 AE01 AE02 AE03 BA02 BA03 BA04 BA05 BA08 BA10 BB13A BD06A BD07A BF26 BH02 CA02 CA04 CA06 CB05A CB06A CC06A CD03 CH07 DB13 EB05A EG07 EG09 HB01 HB06 JF131 JF141 JF181 JF221 JF321 JF361 JF371 JF471 JF541 JF571 KB02 KE03 KE06 KE13 KG01 KG02 KG03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルキレンナフタレート単位を5〜60モ
    ル%含有するアルキレンナフタレート共重合ポリエステ
    ル(A)の製造方法であって、ナフタレンジカルボン酸
    以外の酸成分とグリコール成分とからなるカルボキシレ
    ート及びその低重合体(B)の存在下に、アルキレンナ
    フタレート単位を90モル%以上含有するポリエステル
    (C)を投入し、さらに(C)の全酸成分に対して0.
    5〜5.0倍(物質量比)のアルキレングリコールを添
    加して解重合反応を行い、その後、重縮合反応を行うこ
    とを特徴とするアルキレンナフタレート共重合ポリエス
    テル(A)の製造方法。
  2. 【請求項2】アルキレンナフタレート単位を90モル%
    以上含有するポリエステル(C)がリサイクルされたも
    のであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
JP2001025637A 2001-02-01 2001-02-01 アルキレンナフタレート共重合ポリエステルの製造方法 Pending JP2002226565A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001025637A JP2002226565A (ja) 2001-02-01 2001-02-01 アルキレンナフタレート共重合ポリエステルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001025637A JP2002226565A (ja) 2001-02-01 2001-02-01 アルキレンナフタレート共重合ポリエステルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002226565A true JP2002226565A (ja) 2002-08-14

Family

ID=18890591

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001025637A Pending JP2002226565A (ja) 2001-02-01 2001-02-01 アルキレンナフタレート共重合ポリエステルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002226565A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113493561A (zh) * 2020-03-20 2021-10-12 中国科学院大连化学物理研究所 一种2,6-萘二甲酸基共聚酯材料及其制备方法
WO2023149410A1 (ja) * 2022-02-02 2023-08-10 マクセル株式会社 ポリエステル共重合体の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113493561A (zh) * 2020-03-20 2021-10-12 中国科学院大连化学物理研究所 一种2,6-萘二甲酸基共聚酯材料及其制备方法
WO2023149410A1 (ja) * 2022-02-02 2023-08-10 マクセル株式会社 ポリエステル共重合体の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5451611A (en) Process for the conversion of poly(ethylene terephthalate) waste to poly(alkylene terephthalate)
EP1411074B1 (en) Process for producing polyester resins
US5539078A (en) Process for manufacturing polyester copolymers
US20220348715A1 (en) Copolyesters produced from recycled copolyesters
US7795320B2 (en) Copolyetheresters derived from polyethylene terephthalate
JPH08508303A (ja) ポリエステルを形成するためのジカルボン酸及びジカルボン酸のジアルキルエステルの共重合
EP2847244B1 (en) Polyester binder material for coating composition
JP2006225621A (ja) ポリエステル樹脂の製造方法
US8106132B2 (en) Polyester resin composition
TW202404934A (zh) 製備對苯二甲酸雙(二醇)酯之方法及使用其獲得之聚酯樹脂
JP2002226565A (ja) アルキレンナフタレート共重合ポリエステルの製造方法
JP7369178B2 (ja) ポリエステル樹脂およびその製造方法
JP4848631B2 (ja) ポリエステル樹脂の製造方法
JP2004137477A (ja) ポリエステル樹脂の製造方法
JP2000212266A (ja) 難燃性ポリエステルの製造方法
US3506619A (en) Metal fluorides as polycondensation catalysts
TW202419514A (zh) 包含對苯二甲酸雙(二醇)酯的聚酯樹脂及其製備方法
JP3421955B2 (ja) 共重合ポリエステル
JP3193191B2 (ja) ボトル成形用ポリエステル
JP3374544B2 (ja) ポリエステル共重合体の製造法
JP3137789B2 (ja) ポリエステルの製造法
TW202348681A (zh) 使用回收的對苯二甲酸雙(2-羥基乙基)酯的聚酯樹脂及包含其之物件
US3522216A (en) Preparation of polyesters with nickel,manganese,aluminum,or cadmium borate as polycondensation catalysts
CA3213559A1 (en) Process for preparing biodegradable polyester and biodegradable polyester prepared thereby
TW202415702A (zh) 用於製備對苯二甲酸雙(二醇)酯寡聚物及聚酯樹脂的方法