JP2002225106A - 表面平滑性の良いフィルムの製造方法及びそれを使用した半導電性ベルト - Google Patents

表面平滑性の良いフィルムの製造方法及びそれを使用した半導電性ベルト

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JP2002225106A
JP2002225106A JP2001021200A JP2001021200A JP2002225106A JP 2002225106 A JP2002225106 A JP 2002225106A JP 2001021200 A JP2001021200 A JP 2001021200A JP 2001021200 A JP2001021200 A JP 2001021200A JP 2002225106 A JP2002225106 A JP 2002225106A
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Jiro Watanabe
次郎 渡邊
Masuo Kuroda
益夫 黒田
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面平滑性に優れたフィルムを得るためのフィ
ルムの製造方法、及びそれを使用した半導電性ベルトの
提供。 【解決手段】少なくとも本体と表面層とからなる2層フ
ィルムを円筒形に成形した後、表面層のみ剥離するフィ
ルムの製造方法、及び前記製造方法により成形したフィ
ルムを使用する半導電性ベルト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも本体と
表面層の二層からなるフィルムを成形した後、表面層の
み剥離して表面の平滑性に優れた本体を得ることを特徴
とするフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、複写機、またはファクシミリ
等のOA機器に用いられる転写ベルトは極めて精密な表
面平坦性が要求される。特に、レーザープリンタ、イン
クジェットプリンタ、熱転写プリンタ、インパクトプリ
ンタ等に用いられる転写ベルトは、カラー画像を転写す
る際に色むらを小さくするために表面の平滑性が必須で
ある。このような転写ベルトは、多くの場合電圧が印可
されて使用されている。適度なバイアス電位をトナーや
記録紙等に印可しつつ、リークや部材の電圧破壊を起こ
さないためには、中抵抗領域の抵抗値を有する半導電性
ベルトが好ましく、このような半導電性ベルトの製造に
は、樹脂に導電性のカーボン等を添加して使用されてい
る。このようにカーボン等を含む場合は特に、表面の平
滑性に優れたフィルムを得ることが難しい。
【0003】一般的に、熱可塑性樹脂フィルムの製造方
法としては、Tダイ法等の平板状にフィルムを成形する
場合とインフレーション法や円筒押出し法等の円筒形に
成形する方法がある。表面平滑性に優れた平板状フィル
ムを成形する場合は、特開平9−39075号公報の従
来の技術に記載される、ダイスから押出された溶融シー
トを電界の作用により冷却体に密着させて成形する静電
密着法があり、該公報には静電密着法を用いずに押出し
成形シートと冷却体との間に薄い空気層を存在させ、そ
の空気層にポリオキシエチレングリコールエーテル水溶
液を流し、冷却体表面に均一なシート膜を形成する方法
が提案されている。また特開平7−138385号公報
には、表面が平滑な耐熱性樹脂フィルム上にシートを押
出しラミネートする方法が開示されている。しかし、こ
のような平板状フィルムの成形法では、ベルトに成形す
る場合には継ぎ目が生じてしまうため使用できない。
【0004】一方、円筒成形に用いられるインフレーシ
ョン法には空冷と水冷インフレーション法があるが、こ
れらの方法ではフィルム表面に微細な起伏が多くなり表
面平滑性に欠ける。また、円筒押出し法では、ダイ表面
で擦られてフィルムの表面平滑性が損なわれる恐れがあ
り、円筒成形をする場合の適切な表面平滑性フィルムの
製造方法が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、円
筒形フィルムを成形するに際し、表面平滑性に優れたフ
ィルムを得ることができるフィルムの製造方法を提供
し、この方法を用いて転写ベルトなどに好適な半導電性
ベルトを製造することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決するため鋭意研究した結果、二層フィルムを作
製した後、表面層のみを剥離して得られたフィルムが、
表面平滑性に非常に優れていることを見出し、本発明を
完成させた。すなわち、本発明は、少なくとも本体と表
面層とからなる二層フィルムを円筒形に成形した後、表
面層のみ剥離するフィルムの製造方法を提供する。前記
二層フィルムの本体及び表面層のSP値の差は1.5以
上であることが好ましい。また、表面層に使用する材料
の溶融粘度が、成形条件にて100〜50,000po
iseであり、かつ本体の溶融粘度よりも低粘度である
ことが好ましい。また、本発明は、インフレーションま
たはチューブ押出し成形にてフィルムを円筒形に成形す
る前記フィルムの製造方法を提供する。さらに、本発明
は上記円筒形フィルムを使用した半導電性ベルトを提供
する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を具体的に説明す
る。本発明の製造方法は、少なくとも本体と表面層とか
らなる二層フィルムを成形して作製した後、表面層のみ
を剥離することにより、表面平滑性に優れたフィルムを
得るためのフィルムの製造方法である。本発明では、イ
ンフレーションまたはチューブ押出し法により、本体と
表面層の二層を積層させて押出し、連続的に円筒形に成
形する。インフレーションまたはチューブ押出し法に
は、公知の共押出し装置を使用できる。図1は、本発明
に用いるチューブ押出し装置の概略図である。ホッパー
5から流し入れた本体及び表面層の材料は、本体材料用
押出し機3及び表面層材料用押出し機4内でそれぞれ溶
融され、押出し機の先端に設けられた二重円筒状のダイ
6から円筒状のサイジングダイ7内に、本体1の表面に
表面層2が被覆された二層円筒状に押し出される。
【0008】本体と表面層は、共押出しにより二層フィ
ルムとしてもよいし、先に表面層を成形した後、後から
本体を押出して二層フィルムとすることもできるが、共
押出しにより成形する方が本体の表面平滑性を向上させ
るためには好ましい。これまで本体の一層のみで押出す
場合では、特にチューブ押出しの際に、サイジングダイ
表面と本体表面との摩擦により本体表面の平滑性が損な
われる恐れがあったが、本発明では本体の表皮に表面層
を積層させて押出すことにより、本体の表面をサイジン
グダイ表面との摩擦から保護し、表面平滑性の高いフィ
ルムが得られる。本発明のフィルムの表面平滑性は、十
点平均粗さRz で、好ましくは20μm以内、より好ま
しくは10μm以内である。このようにして得られた円
筒形の二層フィルムは、用途に合わせて輪切りにした
後、図2に示すように、表面層2を剥離して本体1を使
用する。また、二層フィルムに成形し、表面層を剥離し
た後に、目的の長さに切断して使用することもできる。
【0009】本体の厚さは、用途に合わせて選択でき
る。例えば、転写ベルトとして使用する場合には、0.
01〜1.0mmの範囲とするのが好ましい。表面層の
厚さは、0.01〜5mmの範囲とするのが好ましく、
0.05〜0.5mmの範囲とするのがより好ましい。
0.01mm未満では、表面層のざらつきが本体にも影
響するため好ましくない。また、5mmを超えると冷却
に時間がかかり生産性に劣る問題がある。
【0010】本発明の二層フィルムは、後に表面層が本
体から容易に剥離できるように成形するのが好ましい。
例えば、本体と表面層とに使用する材料のSP値の差が
1.5以上、好ましくは3以上であると、本体と表面層
との相溶性が悪く、成形後に剥離しやすいので好まし
い。
【0011】ここで、本発明におけるSP値の定義につ
いて簡単に説明する。SP値とは、液体のモル蒸発エネ
ルギーΔEv をモル体積Vで割った値(凝集エネルギー
密度)の平方根(ΔEv /V)1/2 の略称である。この
パラメータは、(kcal/mol)1/2 の単位で表さ
れ、液体どうしの溶解性を大まかに見積もるための指標
である。特に、2種類の樹脂材料を接着する場合に、S
P値が近似していると相溶性がよく、接着性が高いと言
える。本発明の場合には、本体と表面層とを剥す必要が
あることから、SP値は離れていた方が好ましい。2種
類以上の材料を混合し、海島構造をとる材料の場合に
は、材料のSP値は海側の材料のSP値とする。
【0012】また、本発明の二層フィルムの本体側をよ
り平滑にする条件としては、表面層に使用する材料の成
形時の溶融粘度が、成形条件にて100〜50,000
poiseの範囲であり、かつ、本体材料よりも表面層
の材料が低粘度になるよう選択することが好ましい。表
面層の溶融粘度が100poise未満であると、流動
性が高いために均一な表面層に成形することが困難とな
り、また、50,000poiseを超えると流動性に
劣るため、作業性が悪い上に本体の表面平滑性が損なわ
れやすい。
【0013】本体材料の溶融粘度は、3,000〜1,
000,000poiseが好ましい。特に、本体を半
導電性ベルトに使用する場合、本体の溶融粘度は100
〜10,000poiseとするのがより好ましい。こ
のように本体と表面層の溶融粘度を調整するためには、
表面層に使用する材料の分子量が500,000以内で
あり、かつ、本体に使用する材料との分子量の差が1
0,000以上であるのが好ましい。表面層の溶融粘度
を低くすると、溶融成形時の流動によってより平滑にな
りやすくなる。ただし、本体側まで溶融粘度が低すぎる
と、ダイ押出し後に垂れが生じて成形が不可能となって
しまう。
【0014】これらの材料は、表面層材料の溶融粘度が
本体材料よりも低粘度となるよう選択するのが好ましい
が、必要に応じて適宜可塑剤または充填剤を添加するこ
とにより、所望の範囲となるよう微調整してもよい。ま
た、表面層の溶融粘度が成形条件にて100〜50,0
00poiseの範囲外であっても、可塑剤や充填剤の
種類または添加量により、溶融粘度を所望の範囲とする
ことができる。本発明の表面層を本体から容易に剥離す
るために、上記表面層には剥離部を形成してもよい。剥
離部は、例えば一定間隔の切り込みや、円筒形の軸方向
に沿って延びる切り欠き線等が挙げられ、剥離部がある
ことにより表面層が剥離しやすくできる。
【0015】以下に、本発明の本体及び表面層に用いる
材料について説明する。 1.本体 本体としては、熱可塑性樹脂組成物または熱可塑性エラ
ストマー組成物が挙げられる。本発明の熱可塑性樹脂組
成物は、熱可塑性樹脂を造膜成分とし、必要に応じて導
電性付与剤等を含む組成物である。熱可塑性樹脂として
は、特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミ
ド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、
ポリメタクリレート系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロ
ース系樹脂、フッ素系樹脂、イミド系樹脂、ポリアセタ
ール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリウ
レタン樹脂等が挙げられる。
【0016】ポリオレフィン系樹脂としては、アイソタ
クティック、シンジオタクティックあるいはエチレン等
とのランダムあるいはブロック共重合体等のポリプロピ
レン樹脂(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、
低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチ
レン(L−LDPE)、塩素化ポリエチレン樹脂等のポ
リエチレン樹脂やエチレン・アクリル酸エチル共重合体
(EEA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(E
MA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・α
−オレフィン共重合体等;ポリアミド系樹脂としては、
ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン1
1、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、
ナイロン6/66共重合体、ナイロンMXD6、ナイロ
ン6T、非晶ナイロン、ナイロン6/6T共重合体、ナ
イロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS等;
ポリエステル系樹脂としては、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソ
フタレート、ポリカーボネート、PET/PEI共重合
体、ポリアリレート、ポリブチレンナフタレート、液晶
ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミド酸/ポリ
ブチレートテレフタレート共重合体等;
【0017】ポリニトリル系樹脂としては、ポリアクリ
ロニトリル、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリ
ル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン
共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン
共重合体等;ポリメタクリレート系樹脂としては、ポリ
メタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等;ポリ
ビニル系樹脂としては、酢酸ビニル、ポリビニルアルコ
ール、ビニルアルコール/エチレン共重合体、ポリ塩化
ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/塩化ビニリ
デン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共
重合体等;セルロース系樹脂としては、酢酸セルロー
ス、酢酸酪酸セルロース等;フッ素系樹脂としては、ポ
リフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロルフ
ルオロエチレン、テトラフロロエチレン/エチレン共重
合体等;イミド系樹脂としては、芳香族ポリイミド等;
ポリアセタール系樹脂としては、ポリオキシメチレン
等;が挙げられる。これらの中でも、ポリアミド系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリイミ
ド系樹脂、ポリサルファイド系またはポリサルホン系樹
脂等を用いるのが好ましい。また、これらの樹脂は2種
類以上を混合して用いても構わない。
【0018】導電性付与剤は、公知の導電性付与剤を使
用できる。好ましい例としては、金属系フィラーとカー
ボン系フィラーが挙げられる。金属系フィラーとして
は、Ag粉、Ni粉、Cu粉、AgメッキCu粉などの
金属粉、黄銅繊維、Al繊維、Cu繊維、ステンレス繊
維等の金属繊維、金属フレーク等がある。一方、カーボ
ン系のフィラーとしては、ケッチェンブラック、ファー
ネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック
等のカーボンブラックや、黒鉛、カーボン繊維等が挙げ
られる。これらは2種以上を添加しても単独で添加して
もよい。導電性付与剤の配合量は、必要な導電性に対し
て適宜決めればよいが、熱可塑性樹脂に対し、5〜30
vol%の範囲で添加するのが好ましい。
【0019】本発明の製造方法により半導電性ベルトを
製造する場合、導電性付与剤は上述の中でも、最も一般
的に導電性カーボンブラックとして用いられるケッチェ
ンブラックと、吸油量が0.5cc/g以上の高ストラ
クチャーのカーボンブラックとを併用するのが好まし
い。ケッチェンブラックは、非常にかさ高く、多量に含
ませることは困難であるため、ケッチェンブラック粒子
間を高ストラクチャーのカーボンブラックで導電回路を
つくることにより、比較的少量のカーボンブラックで、
安定した導電性を示すようにすることができる。この場
合は、ケッチェンブラックと吸油量0.5cc/g以上
のカーボンブラックの比率は、20/80〜90/10
の範囲が望ましい。ケッチェンブラックは、ケッチェン
ブラックEC、ケッチェンブラックEC−600JD
(以上、ライオンアクゾ社製)等を使用でき、吸油量
0.5cc/g以上のカーボンブラックとしては、一般
的なSAF、HAF、GPF、FEF等を使用できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述の各成分をバンバ
リーミキサー、二軸混練機等で、均一になるまで混練す
ることにより得られる。
【0020】次に、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物について説明する。本発明の熱可塑性エラストマー組
成物は、熱可塑性樹脂のマトリクス(均質相)と、架橋
されたゴム粒子のドメイン(分散相)とからなり、導電
性付与剤、架橋剤、加硫促進剤、加硫助剤等を必要に応
じて添加してなる組成物である。
【0021】熱可塑性樹脂は上述の熱可塑性樹脂と同様
のものを使用することができ、ゴム成分は各種のゴムを
使用できる。例えば、ジエン系ゴム及びその水添物(例
えば、NR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、BR
(高シスBR及び低シスBR)、NBR、水素化NB
R、水素化SBR)、オレフィン系ゴム(例えば、エチ
レン・プロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン
酸変性エチレン・プロピレンゴム(M−EPM)、II
R、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマ
ー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマ
ー)、含ハロゲンゴム(例えば、Br−IIR、Cl−
IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭
素化物(BIMS)、CR、ヒドリンゴム(CHR)、
クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリ
エチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン
(M−CM)、シリコンゴム(例えば、メチルビニルシ
リコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム)、含
イオウゴム(例えば、ポリスルフィドゴム)、フッ素ゴ
ム(例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素
ビニルエーテル系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム)
が挙げられる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物に
おいて、ゴム成分は5〜80重量%、好ましくは20〜
50重量%である。5重量%未満では所望の導電性が得
られなくなり、逆に80重量%を超えるとゴム成分と熱
可塑性樹脂の相逆転が起こり、熱可塑性を示さなくなる
からである。
【0022】導電性付与剤は、上記例示したものを使用
することができ、ゴム成分100重量部に対して、10
〜90vol%の範囲で含むのが好ましい。本発明の熱
可塑性エラストマー組成物を用いて半導電性ベルトを製
造する場合も、前述と同様の配合量でケッチャンブラッ
クとカーボンブラックとを併用するのが好ましい。本発
明の熱可塑性エラストマー組成物は、ゴム成分中に導電
性付与剤を混入させて得られたゴム組成物を熱可塑性樹
脂中に分散させるのが好ましく、この構造にすることに
より導電性のバラツキをより小さくすることができる。
【0023】また、ゴム組成物は相構造を安定させるた
め架橋するのが好ましい。架橋剤の種類や動的な架橋条
件(温度、時間)等は、ゴム組成物の組成に応じて適宜
決定すればよく、特に限定されない。架橋剤としては、
例えば、イオウ系、有機過酸化物系またはフェノール樹
脂系などを使用できる。具体的には、イオウ系架橋剤と
しては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表
面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルフ
ァイド、アルキルフェノールジサルファイド等が挙げら
れる。その添加量は、例えばゴム成分100重量部に対
して0.5〜4重量部程度を用いればよい。有機過酸化
物系の架橋剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t
−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベン
ゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル
ヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等
が挙げられ、例えばゴム成分100重量部に対しては1
〜15重量部程度を用いればよい。また、フェノール樹
脂系の架橋剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素
化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーと
アルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が挙
げられ、例えばゴム100重量部に対して1〜20重量
部程度を用いればよい。
【0024】本発明に用いられる加硫促進剤または加硫
助剤としては、ステアリン酸、ラウリル酸等の脂肪酸、
これらの脂肪酸の亜鉛塩等の金属塩、亜鉛華等の金属酸
化物、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMT
M)、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMT
D)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド
(DPTS)、ジペンタメチレンチウラムヘキササルフ
ァイド(DPTHS)等のチウラム系促進剤、ジベンゾ
ジチアジルジサルファイド等のチアゾール系促進剤、N
−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンア
ミド(CBS)等のスルフェンアミド系促進剤、ジンク
ジメチルジチオカーバメイト(ZnMDC)等のジチオ
カルバミン酸塩系促進剤が例示される、例えばゴム10
0重量部に対して0.1〜5.0重量部程度を用いれば
よい。
【0025】その他に、ゴム成分100重量部に対し
て、酸化マグネシウム(4重量部程度)、リサージ(1
0〜20重量部程度)、p−キノンジオキシム、p−ジ
ベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベン
ゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10重
量部程度)、メチレンジアニリン(0.2〜10重量部
程度)を添加することができる。
【0026】本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用
いると、本体の体積固有抵抗値を106 〜1013Ω・c
mの範囲とすることができ、しかもそのバラツキを1乗
以内にすることができる。そのため、本発明の熱可塑性
エラストマーを用いて製造した上記範囲の体積固有抵抗
値を有する半導電性ベルトは、転写ベルトとして使用す
ると、画像濃度が均一であり、色むらのない優れた画像
が得られる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は次
のようにして得られる。すなわち、予め導電性を示すだ
けの導電性付与剤、例えばカーボンブラックなどを含ま
せたゴム組成物を調製しておき、そのゴム組成物と熱可
塑性樹脂を混練し、その混練途中でゴム成分を架橋して
熱可塑性樹脂中に導電性のゴム相を分散・固定すれば、
ゴム同士が導電性回路を形成することができず、導電性
はトンネル効果と呼ばれる導電性を有するゴム間を電子
がジャンプすることにより発現する。この際、体積固有
抵抗値はゴム粒子間の距離によって決まる。したがっ
て、本発明の熱可塑性エラストマー組成物中のゴム成分
の量と、ゴム粒径とによって、体積固有抵抗値を自由に
コントロールでき、かつ、系中のゴム粒径はほぼ均一に
なるため、極めて導電性バラツキの小さい材料が得られ
る。
【0027】このようにして得られる本発明の熱可塑性
樹脂組成物または熱可塑性エラストマー組成物には、上
述の各成分に加え、本発明の目的を損なわない範囲で、
可塑剤、相溶化剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料や染料等の着色
剤、加工助剤等の添加剤を配合することができる。
【0028】2.表面層 表面層の材料は、一般的な熱可塑性樹脂を使用すること
ができる。熱可塑性樹脂は特に限定されず、本体で例示
したものが挙げられる。ただし、表面層の材料は、上述
したように溶融粘度が成形条件にて100〜50,00
0poiseの範囲であり、かつ本体の溶融粘度よりも
低粘度である材料を選択するのが好ましい。したがっ
て、表面層に使用する材料の分子量は500,000以
内であり、かつ、上記本体に使用する材料との分子量の
差が10,000以上であるのが好ましい。
【0029】このような条件を満たす材料のうちでも、
本発明では、本体と表面層とを積層させて成形した後に
この二層の界面で剥離しやすいものを選択するのが好ま
しい。例えば、本体及び表面層の材料のSP値の差が
1.5以上、好ましくは3以上であると剥離しやすいの
で好ましい。1.5未満ではこれら二層の界面の接着性
が高く剥離が困難で、たとえ剥離できても剥離する際に
本体の表面平滑性を損われる恐れがあるからである。S
P値の差が上記範囲内の材料としては、表面層/本体
が、例えば、ポリエチレン/ポリカーボネート、ポリエ
チレン/ナイロン6、ポリプロピレン/ポリカーボネー
ト、ポリスチレン/ナイロン6、ポリプロピレン/ポリ
エチレンテレフタレート等である。これらの中でも、ポ
リエチレン/ポリカーボネート、ポリプレピレン/ポリ
カーボネートが好ましい。
【0030】以上のように、本発明の方法に従って製造
されるフィルムは、表面の平滑性が高く転写性能に優れ
ているため、OA機器等の転写ベルトに好適である。特
に本発明の製造方法は、導電性付与剤等の成分を含むた
めにこれまで平滑な表面に成形することが困難であった
半導電性ベルト等を製造するのに有用である。
【0031】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いてより具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 (本体材料の調製・本体1)第1表に示す配合で非晶ナ
イロン、イオウ、加硫促進剤CZ以外の各成分を密閉式
バンバリーミキサーで初期温度40℃で4分間混合し、
ロールでシート化した後、ゴム用ペレタイザーでペレッ
ト化した。次いで、ゴムペレットと非晶ナイロンを25
0℃に設定した二軸混練機に投入し、樹脂中にゴムを細
かく分散させた後、イオウ、加硫促進剤CZを加え、ゴ
ム成分を動的に加硫させ、本体1の材料を調製した。 (本体材料の調製・本体2)第1表に示す配合で、26
0℃に設定した二軸混練機に投入し、約5分間連続混練
し、本体2の材料を調製した。
【0032】
【0033】注)非晶ナイロン:ノバミッドX21−S
04(三菱エンヂニアリングプラスチックス社製) ポリカーボネート:レキサン131(日本GEプラスチ
ックス社製) カルボキシ変性NBR:Nipol1072(日本ゼオ
ン) ケッチェンブラック:ケッチェンEC(ライオンアクゾ
社製) カーボンブラック:アサヒサーマルFTF(旭カーボン
社製) 亜鉛華:亜鉛華3号(軽井沢精練所製) ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日本油脂社製) イオウ:粉末イオウ(軽井沢精錬所製) 加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチア
ゾールスルフェンアミド、ノクセラーCZ(大内新興化
学社製)
【0034】実施例1〜4 (ベルトの成形)第2表に示すように、本体及び表面層
の材料を選択し、図1に示す装置の押出し機にそれぞれ
本体材料、表面層材料を投入し、共押出し機により二層
の円筒物を成形した。本体は外径150mm、厚さ0.
2mmとし、表面層は0.1mmまたは0.005mm
とした。その後、円筒物は350mmの長さに切断し、
表面層を剥ぎ取った。その後ベルトは、本体の十点平均
粗さ(Rz )を下記のように測定し、表面平滑性を評価
した。結果を第2表に示す。 <十点平均粗さ(Rz )>基準長さ内での、平均線に対
する最高山頂から5番目までの山頂の標高(Yp)の絶
対値の平均と、最低谷底から5番目までの谷底の標高
(Yv )の絶対値との和。下記式で算出した。
【0035】
【数1】
【0036】また、このベルトをレーザープリンタの転
写ベルト部分に使用し、ベタ印刷を行って、色むらを目
視で観察し印刷字の色むらを評価した。結果を第2表に
示す。表中、◎は色むらがなかったことを示し、○は色
むらが少し見られるが、画質上は問題がなかったことを
示す。また、―は本体と表面層とがこれら二層の界面で
剥離しなかったことを示す。
【0037】比較例1 本体の材料と表面層の材料とのSP値の差が小さいた
め、界面で剥離しなかった。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明の方法により得ら
れたフィルムは表面平滑性に優れている。本発明の方法
を用いて、転写ベルトに好適な半導電性ベルトを製造す
ると、転写性能の非常に優れた半導電性ベルトが得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に使用する共押出し装置の概略図であ
る。
【図2】 本発明の表面層の剥離を示すモデル図であ
る。
【符号の説明】
1 本体 2 表面層 3 本体材料用押出し機 4 表面層材料用押出し機 5 ホッパー 6 ダイ 7 サイジングダイ
フロントページの続き Fターム(参考) 2H032 BA09 BA18 BA23 4F207 AA03 AA28 AA29 AA45 AB16 AC01 AG03 AG08 AH33 AH53 KA01 KA17 KA19 KL65 KW21

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも本体と表面層とからなる二層フ
    ィルムを円筒形に成形した後、表面層のみ剥離するフィ
    ルムの製造方法。
  2. 【請求項2】前記二層フィルムの本体及び表面層のSP
    値の差が1.5以上である請求項1に記載のフィルムの
    製造方法。
  3. 【請求項3】表面層に使用する材料の溶融粘度が、成形
    条件にて100〜50, 000poiseであり、かつ
    本体の溶融粘度よりも低粘度である請求項1または2に
    記載のフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】インフレーションまたはチューブ押出し成
    形にてフィルムを円筒形に成形する請求項1〜3のいず
    れかに記載のフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の方法により得られた円筒
    形フィルムを使用した半導電性ベルト。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004354716A (ja) * 2003-05-29 2004-12-16 Hitachi Printing Solutions Ltd カラー画像形成装置
JP2013252684A (ja) * 2012-06-08 2013-12-19 Konica Minolta Inc 導電性樹脂成形体の製造方法

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