JP2002224617A - 塗膜形成方法及びこの塗膜形成方法による塗膜を有する基材 - Google Patents

塗膜形成方法及びこの塗膜形成方法による塗膜を有する基材

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JP2002224617A
JP2002224617A JP2001028123A JP2001028123A JP2002224617A JP 2002224617 A JP2002224617 A JP 2002224617A JP 2001028123 A JP2001028123 A JP 2001028123A JP 2001028123 A JP2001028123 A JP 2001028123A JP 2002224617 A JP2002224617 A JP 2002224617A
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coating film
pigment
coating
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JP2001028123A
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Shinichi Fujiwara
真一 藤原
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光干渉性薄片顔料を用いる塗膜形成方法であ
って、良好な意匠性と優れた外観とを両立する塗膜を幅
広い範囲で得ることができる塗膜形成方法を提供する。 【解決手段】 光干渉性薄片顔料を含有するベース塗料
を被塗装物に塗布する工程、及び、クリヤー塗料を塗布
する工程を含む塗膜形成方法であって、上記被塗装物
は、L値が25〜40であり、上記光干渉性薄片顔料
は、上記ベース塗料の固形分に対する顔料重量濃度(P
WC)として3〜6重量%であり、上記クリヤー塗料は
少なくとも1回塗布するものである塗膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗膜形成方法、詳
しくは、光干渉性薄片顔料を含有するベース塗料及びク
リヤー塗料を塗布する工程を含む塗膜形成方法に関し、
並びに、上記塗膜形成方法により塗膜を有する基材に関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車の車体や部品類に、下塗りとして
電着塗膜を形成し、この上に中塗り塗膜、ベース塗膜及
びクリヤー塗膜が順次形成される塗膜形成方法におい
て、ベース塗膜に光干渉性薄片顔料を含有させると、入
射光の角度又は見る角度の変化に応じて色が移り変わる
ように観察される多色性を呈するので、多様な意匠性に
対するニーズに応じるものとして使用が期待される。
【0003】この光干渉性薄片顔料は、例えば、特許3
056253号公報において開示されているように、ク
ロム層等の半透明金属層、フッ化マグネシウム層等の誘
電体層、アルミニウム層等の金属反射層、上記半透明金
属層及び上記誘電体層がこの順に形成されてなる多層構
造を有する。
【0004】特開平11−262727号公報には、多
層干渉薄片顔料の配合量を少なくするものとして、L値
が20以下の濃色塗膜を形成する上塗り塗料(A)、多
層干渉薄片顔料を樹脂固形分100重量部あたり0.1
〜2重量部含有し、かつ下地隠蔽膜厚が40μm以上で
ある光干渉性塗膜を形成する上塗り塗料(B)及び透明
塗膜形成クリヤ塗料(C)を塗装することを特徴とする
複層上塗り塗膜形成方法が開示されている。この技術
は、光干渉性薄片顔料は一般に高額であるところ、意匠
性を損なうことなく低PWC化した塗装系を提供するも
のである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光干渉性薄
片顔料を用いる塗膜形成方法であって、良好な意匠性と
優れた外観とを両立する塗膜を幅広い範囲で得ることが
できる塗膜形成方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、光干渉性薄
片顔料をベース塗料に配合して用いる塗膜形成方法にお
いて、上述のように多層構造を有する光干渉性薄片顔料
は、従来のマイカに比べて平均粒径は同程度であるもの
の厚さは約1μm以上と大きいため、ベース塗料の固形
分に対し6重量%を超えるPWCで配合すると塗膜表面
上に頭出しの状態となり、クリヤー塗料を少なくとも2
回塗装することにより充分な外観が得られること、上記
PWCが3〜6重量%であるとクリヤー塗料は少なくと
も1回塗装することで充分であること、上記PWCが低
い場合であっても下地のL値を25〜40に調整するこ
とにより充分な意匠性が得られること、及び、これらに
より意匠性、外観ともに優れる塗膜が幅広い範囲で提供
されることを見出し、本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は、光干渉性薄片顔料を含有
するベース塗料を被塗装物に塗布する工程、及び、クリ
ヤー塗料を塗布する工程を含む塗膜形成方法であって、
上記被塗装物は、L値が25〜40であり、上記光干渉
性薄片顔料は、上記ベース塗料の固形分に対する顔料重
量濃度(PWC)として3〜6重量%であり、上記クリ
ヤー塗料は少なくとも1回塗布することを特徴とする塗
膜形成方法である。本発明は、また、光干渉性薄片顔料
を含有するベース塗料を被塗装物に塗布する工程、及
び、クリヤー塗料を塗布する工程を含む塗膜形成方法で
あって、上記被塗装物は、L値が25〜40であり、上
記光干渉性薄片顔料は、上記ベース塗料の固形分に対す
る顔料重量濃度(PWC)として6重量%を超えるもの
であり、上記クリヤー塗料は少なくとも2回塗布するこ
とを特徴とする塗膜形成方法である。上記クリヤー塗料
は、1回の塗布により乾燥膜厚が25〜40μmとなる
ように塗布することが好ましい。本発明は、また、上記
塗膜形成方法によって形成されてなる塗膜を有する基材
である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明の塗膜形成方法は、光干渉性薄片顔
料を含有するベース塗料を被塗装物に塗布する工程、及
び、クリヤー塗料を塗布する工程を含むものである。上
記光干渉性薄片顔料は、一般的に、塗膜中に存在する
と、入射光の角度又は見る角度の変化に応じて、例え
ば、金色〜緑色、緑色〜深紅色、緑色〜青色、銀色〜緑
色、金色〜銀色、青色〜赤色等の各色の間で塗膜の色が
次第に移り変わって多色性を呈するように観察される。
上記光干渉性薄片顔料は、例えば、上述の特許3056
253号公報において開示されているように、干渉構造
を含む多層構造を有する薄膜小板であって、各小板は、
外側面の最長寸法と厚さとが少なくとも2:1、好まし
くは5:1のアスペクト比を有し、どの面についても2
〜200μmの最大寸法を有するものが好ましい。
【0009】上記干渉構造は一般に、金属反射層、誘電
体層及び半透明金属層をそれぞれ少なくとも一つずつ有
する。上記干渉構造としては、例えば、(1)半透明金
属層、誘電体層、金属反射層、誘電体層及び半透明金属
層とこの順に積層された構造(a)をなすものであっ
て、上記各誘電体層及び上記各半透明金属層は材料が同
じであり厚さに関して上記金属反射層を挟んで対称的で
あるもの、(2)上記積層構造(a)であって上記2つ
の誘電体層が厚さに関して非対称であるもの、(3)金
属反射層、誘電体層及び半透明金属層とこの順に積層さ
れた構造をなすもの等が挙げられ、本発明においては上
記(1)の構造が好ましい。
【0010】上述の多色性は、上記誘電体層を所望の色
に応じて適当な光学的厚さ、例えば、400nmの設計
波長で2/4波長厚さから700nmの設計波長で6/
4波長厚さにまで堆積させることにより得られる。上記
金属反射層としては、例えばアルミニウムが使用される
ことが多いが、金、銅、銀等も使用され得る。上記半透
明金属層は、クロム、ニッケル又はインコネル等の金属
から形成することができる。上記誘電体層は、二酸化ケ
イ素、フッ化マグネシウム又は酸化アルミニウム等から
形成することができる。
【0011】上記光干渉性薄片顔料は、柔軟性ウエブの
上に上述の半透明金属層、誘電体層及び金属反射層を施
し、この多層構造から上記ウエブを分離して顔料フレ−
クを形成することにより製造される。上記ウエブは一般
的に重合体物質、例えば、ポリビニルアルコ−ル、ポリ
エチレンテレフタレ−ト等からなる。上記分離を行うた
めに、公知の方法により上記ウエブ上に剥離層を堆積さ
せてから上記干渉構造を施すことが好ましい。上記剥離
層としては、例えば、アクリル樹脂、セルロ−スプロピ
オネ−ト、ポリビニルピロリジン・ポリビニルアルコ−
ル、ポリ酢酸ビニル等の有機溶剤溶解性又は水溶性の塗
膜等が挙げられる。上記分離工程においては、熱及び/
又は溶媒を使用することができ、例えば、上記ウエブを
なす物質の溶解性に応じた水又は有機溶剤の適当な溶媒
に上記ウエブを溶解させることにより分離を行うことが
できる。
【0012】上記干渉構造を有する多層構造は一般的
に、上記ウエブから分離されると、壊れて不規則な形状
や大きさを有するフレ−クになる。通常、これらのフレ
−クは被覆組成物用に必要な大きさにするために更に処
理することが好ましい。上記処理は、公知の技術、例え
ば超音波撹拌、粉砕又はすりつぶし等により行うことが
できる。必要な大きさに処理された上記光干渉性薄片顔
料は、顔料に望まれる特定の性質にもよるが、例えば、
上記各半透明金属層が50〜150Å、好適には約70
Åの厚さを有し、上記金属反射層が80〜500Å、好
適には約100Åの厚さを有し、上記各誘電体層が特定
設計波長の半波長の倍数の厚さを有することが好まし
い。
【0013】このような光干渉性薄片顔料としては、例
えば、フレックスプロダクツ社(Flex Produ
cts, Inc.)製のクロマフレア(Chroma
Flair)シリーズ等が挙げられる。上記クロマフレ
アシリーズには、例えば、ゴールド/シルバー080、
レッド/ゴールド000、マジェンダ/ゴールド33
0、パープル/オレンジ300、ブルー/レッド28
0、シアン/パープル230、グリーン/パープル19
0、シルバー/グリーン060等がある。
【0014】本発明においては、上記光干渉性薄片顔料
として、BASF社製のパリオクロムマジックシリー
ズ、例えば、マジックゴールドL−1400、マジック
パープルL−5520、マジックレッドL−4420等
を用いることもできる。本発明に用いることができる上
記光干渉性薄片顔料としては、特開平2−173162
号公報に開示されているように、好ましくは離型層を付
着させた担体上にプラズマによりフィルムを形成させて
製造される顔料フレーク、例えば、スペクトルの可視域
を反射又は吸収し、波長2〜4μmの光を透過させるよ
う設計され、SiO2 層とこれと交互に配設したSi層
とから成る多層フィルムや、SiO 2 /TiO2 多層体
等の顔料フレークを挙げることもできる。
【0015】本発明に用いることができる上記光干渉性
薄片顔料としては、また、特開平3−120351号公
報に開示されているように、光の干渉によって所望の色
を生じさせ得る厚さの干渉被膜が表面にコーティングし
てある基材を粉末化又は小片化したプラスチック成形用
添加材を用いることもでき、例えば、雲母又はアルミニ
ウム箔等の基材の表面に、ZrO2 、ZnS、CeO
2 、TiO2 等からなる高屈折膜、MgF2 、AlF2
・3NaF、SiO2 、ThF4 、Al23 等からな
る低屈折膜及び上記高屈折膜からなる3層の干渉被膜を
形成し又は上記3層の干渉被膜を更に複数回重ねて形成
したものを挙げることもできる。
【0016】上記光干渉性薄片顔料の配合量は、上記ベ
ース塗料の固形分に対する顔料重量濃度(PWC)とし
て3〜15重量%であることが好ましい。3重量%未満
であると、下地が透けて見えるので、下地の色と相俟っ
て濁った色彩の外観を呈する等、上記光干渉性薄片顔料
に基づく光干渉多色性が充分に発揮されにくく,15重
量%を超えると、PWCが高くなりすぎて、塗料の流動
性や作業性が低下したり、塗膜の物性が劣る場合があ
る。より好ましくは、3.5〜12重量%である。PW
Cが比較的高い場合には、ベース塗膜下の下地の明度に
もよるが、一般的に、得られる塗膜は濃色となり、多色
性がより明確に現れる傾向にあり、PWCが比較的低い
場合には、下地が透けて見えるほどベース塗膜が淡色と
なることがあり、多色性が淡色化して現れる傾向にある
が、ニーズに合わせてこれら意匠性を選択することがで
きる。
【0017】本発明において用いるベース塗料としては
上記光干渉性薄片顔料を含有するものであれば特に限定
されず、例えば、更に、塗膜形成性樹脂、硬化剤、顔料
及びその他の添加剤を含有するものを挙げることができ
る。上記塗膜形成性樹脂としては特に限定されず、例え
ば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、
エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、これらは通
常、アミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネート樹脂
等の硬化剤と組み合わせて用いられる。上記塗膜形成性
樹脂は、顔料分散性や作業性の点から、アクリル樹脂及
び/又はポリエステル樹脂並びにメラミン樹脂の組み合
わせが好ましい。
【0018】上記塗膜形成性樹脂は、上記ベース塗料の
固形分100重量部に対し、固形分として20〜80重
量部であることが好ましい。20重量部未満であると、
塗膜が硬く脆くなり、塗膜物性に劣ることがあり、80
重量部を超えると、作業性、塗膜の外観や物性が低下す
ることがある。
【0019】上記ベース塗料に用いる硬化剤としては、
アミノ樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、エポキシ化
合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキ
サゾリン化合物等が好ましいものとして挙げられ、混合
物を用いることができる。得られた塗膜の諸性能、コス
トの点からアミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネー
ト樹脂が特に好ましく用いられる。
【0020】上記硬化剤の含有量は、上記塗膜形成性樹
脂の固形分総量に対して固形分として15〜100重量
%であることが好ましい。15重量%未満であると、硬
化性が不充分となりやすく、100重量%を超えると、
硬化膜が堅くなりすぎ脆くなる場合がある。
【0021】上記アミノ樹脂としては、特に限定される
ものではなく、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミ
ン樹脂又はメチル、ブチル混合型メラミン樹脂を用いる
ことができる。例えば、三井化学株式会社から市販され
ている「サイメル−303」、「サイメル254」等の
「サイメルシリーズ」;及び「ユーバン226」、「ユ
ーバン20N60」等の「ユーバンシリーズ」;住友化
学工業株式会社から市販されている「スミマールシリー
ズ」等が挙げられる。
【0022】上記アミノ樹脂の含有量は、上記塗膜形成
性樹脂の固形分に対して固形分として15〜100重量
%とすることが好ましく、更に好ましくは20〜100
重量%である。15重量%未満であると、硬化性が不充
分となり、100重量%を超えると、硬化膜が堅くなり
すぎ脆くなる。
【0023】上記ブロックイソシアネート樹脂として
は、ポリイソシアネートに活性水素を有するブロック剤
を付加させることによって得られ、加熱によりブロック
剤が解離してイソシアネート基が発生し、上記塗膜形成
性樹脂中の官能基と反応し硬化するものが挙げられる。
【0024】上記ブロックイソシアネート樹脂は、特に
限定されず、代表的なポリイソシアネート類としては、
トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソ
シアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレン
ジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;1,3−
シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキ
サンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソ
シアネート等の脂肪族環式イソシアネート;キシリレン
ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート等の芳香族イソ
シアネート;イソホロンジイソシアネート、ノルボルナ
ンジイソシアネートメチル等の脂環族イソシアネート;
これらのヌレート体等の多量体及び混合物を用いること
ができる。
【0025】上記ブロック剤としては、例えば、ハロゲ
ン化炭化水素、メタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、イソプロパノール、フルフリルアルコール、アル
キル基置換フルフリルアルコール、ベンジルアルコール
等の脂肪族、芳香族又は複素環式アルコール;メチルエ
チルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシ
ム、アセトンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオ
キシム類;カプロラクタム等を挙げることができる。こ
れらのうち、オキシム類、アルコール類が好ましい。上
記ベース塗料においては更に、上記ブロック剤を解離さ
せるための触媒を用いることができる。
【0026】上記ブロックイソシアネートの配合量は、
上記塗膜形成性樹脂の固形分に対して、20〜100重
量%であることが好ましく、40〜100重量%である
ことがより好ましい。上記範囲外では、硬化が不足す
る。
【0027】本発明に用いるベース塗料に使用し得る顔
料としては、上述の光干渉性薄片顔料と併用して他の光
輝性顔料を含むことができ、例えば、干渉マイカ粉、着
色マイカ粉、ホワイトマイカ粉、グラファイト、アルミ
ニウム、着色アルミニウム、板状酸化鉄顔料、板状グラ
ファイト顔料、ガラスフレーク等の無色有色偏平顔料;
酸化アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ等の
金属や合金等の無着色若しくは着色された金属性光輝材
等を挙げることができる。これらの他の光輝性顔料を含
むことにより、上記光干渉性薄片顔料と相俟って多様な
意匠性を呈することができる。
【0028】上記光干渉性薄片顔料以外の他の光輝性顔
料としては、形状は特に限定されず、更に着色されてい
ても良いが、例えば、平均粒径(D50)が2〜50μm
であり、厚さが0.1〜5μmであるものが好ましい。
また、平均粒径が10〜35μmであるものが光輝感に
優れ、更に好適に用いられる。
【0029】上記光干渉性薄片顔料以外の他の光輝性顔
料は、上記光干渉性薄片顔料との合計量が本発明のベー
ス塗料の固形分に対する顔料重量濃度(PWC)として
3〜23重量%となるように配合することが好ましい。
上記光干渉性薄片顔料/上記他の光輝性顔料の配合量
は、重量比で100/0〜50/50であることが好ま
しい。上記他の光輝性顔料、なかでもマイカ粉等の偏平
顔料の配合量が上記上限を超えると、光輝感過剰等、仕
上がり外観に劣る場合がある。
【0030】上記ベース塗料は、上述の光干渉性薄片顔
料と併用して、光輝性顔料以外の顔料を含むこともでき
る。このような顔料としては特に限定されず、例えば、
アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔
料、モノアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、ジケトピロロピ
ロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシア
ニン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ペ
リノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キ
ナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ナフトー
ル系顔料、ピラゾロン系顔料、アントラキノン系顔料、
アンソラピリミジン系顔料、金属錯体顔料等の有機系着
色顔料;黄鉛、黄色酸化鉄、酸化クロム、モリブデート
オレンジ、ベンガラ、チタン白、チタンイエロー、亜鉛
華、カーボンブラック、二酸化チタン、コバルトグリー
ン、フタロシアニングリーン、群青、コバルトブルー、
フタロシアニンブルー、コバルトバイオレット等の無機
着色顔料等が挙げられる。上記ベース塗料には、更に、
炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪酸マ
グネシウム、クレー、タルク、シリカ、焼成カオリン等
の体質顔料を併用してもよい。これらは1種又は2種以
上を使用してもよい。
【0031】これらのうち、上記有機系着色顔料を上記
光干渉性薄片顔料と併用することにより、多色性を抑え
た意匠性を呈することができ、これにより意匠性の多様
さを拡大して、使用者のニーズに合わせて選択の幅を広
げることができる。上記併用の方法としては特に限定さ
れないが、マンセル表示において、ハイライト色とシェ
ード色との間で色が移り変わって観察される多色性を呈
する光干渉性薄片顔料に、上記ハイライト色とシェード
色との間の何れかの色相を単独で呈する着色顔料を少な
くとも1種類併存させる場合は、全体として、上記着色
顔料の単独で呈する色が強調される一方、上記光干渉性
薄片顔料が単独で呈する多色性の程度を抑えることがで
きるので、好ましい。
【0032】上記併用における上記着色顔料の配合量
は、固形分として、上記光干渉性薄片顔料100重量部
に対し1〜30重量部であることが好ましく、上述のベ
ース塗料の固形分100重量部に対し0.2〜5.0重
量部であることが好ましい。これらの下限未満では、上
記着色顔料を添加することによる意匠性の多様化が効果
的に実現されないことがあり、上限を超えると、上記光
干渉性薄片顔料に基づく多色性が抑制されすぎ、意匠性
の多様化に効率的ではない。
【0033】上記併用としては、例えば、上記光干渉性
薄片顔料として、単独で上記ハイライト色としてグリー
ンを呈し、上記シェード色としてパープルを呈するクロ
マフレア グリーン/パープル(フレックスプロダクツ
社製)を用い、上記有機系着色顔料として、色相環にお
いてグリーンとパープルとの間の色であるブルーを単独
で呈するファーストゲンブルー10GN(大日本インキ
化学工業社製)を併わせて用いる場合において、全体の
色調としては、後者が単独で呈するブルーが強調される
一方、前者が本来有する多色性の程度が抑えられる。
【0034】上記光干渉性薄片顔料、他の光輝性顔料及
びその他の全ての顔料を含めた上記ベース塗料の固形分
に対する顔料重量濃度(PWC)は、一般的には3〜5
0重量%であり、好ましくは4〜40重量%である。5
0重量%を超えると、塗膜物性に劣る。
【0035】本発明に用いるベース塗料は、上記各成分
の他に添加剤を含むものであってもよい。上記添加剤と
しては特に限定されないが、例えば、塗装作業性を確保
するために、粘性制御剤を挙げることができる。上記粘
性制御剤としては特に限定されないが、一般にチクソト
ロピー性を示すものを使用することができ、例えば、架
橋性又は非架橋性重合体微粒子、脂肪酸アマイドの膨潤
分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドの
リン酸塩等のポリアマイド系のもの;酸化ポリエチレン
のコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系のもの;有
機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイト等の有機ベン
トナイト系のもの;ケイ酸アルミ、硫酸バリウム等の無
機顔料;顔料の形状により粘性が発現する偏平顔料等を
挙げることができる。上記添加剤としては、上記粘性制
御剤の他に、塗料に通常添加される添加剤、例えば、表
面調整剤、酸化防止剤、消泡剤等を配合してもよい。こ
れらの配合量としては、当業者が通常用いる量を使用す
る。
【0036】本発明のベース塗料の全固形分量は、10
〜70重量%であることが好ましい。10重量%未満で
あると、粘性が低すぎてなじみやムラ等の外観不良が発
生し、70重量%を超えると、粘性が高すぎて塗膜外観
が低下するおそれがある。好ましくは、15〜60重量
%である。
【0037】上記ベース塗料の塗料形態としては、水溶
性、水分散性又はエマルションからなる水性型のほか、
有機溶剤型、非水分散型、粉体型の何れでもよい。本発
明のベース塗料の製造方法としては特に限定されず、例
えば、顔料等の配合物を所望により顔料分散樹脂等を用
いて分散する等の当業者に周知の方法を使用することが
できる。
【0038】上記ベース塗料は、被塗装物に塗布する。
上記被塗装物は、基材並びに必要に応じて上記基材上に
表面処理及び/又は塗膜が施されてなるものである。上
記基材としては特に限定されず、例えば、金属、プラス
チック、発泡体等が挙げられ、これらのうち、金属、特
に鋳造物が有利に用いられるが、カチオン電着塗装可能
な金属製品が特に好適に使用される。
【0039】上記金属製品としては特に限定されず、例
えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等の金属単
体、並びに、これらの金属単体を含む合金及び鋳造物が
挙げられる。具体的には、乗用車、トラック、オートバ
イ、バス等の自動車の車体及び部品が挙げられる。上記
金属製品は、リン酸塩、クロム酸塩等で予め化成処理さ
れたものが特に好ましい。このように化成処理された鋼
板上には、更に、カチオン型又はアニオン型の電着塗料
を用いて電着塗膜を形成することができるが、防食性に
おいて優れた積層塗膜を与えるので、カチオン型電着塗
料組成物が好ましい。
【0040】上記プラスチック基材としては、ポリプロ
ピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリスチレン樹胆、ABS樹脂、塩化
ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等の製品が挙げられ、例え
ば、スポイラー、バンパー、ミラーカバー、グリル、ド
アノブ等の自動車部品等が挙げられる。上記プラスチッ
ク製品は、トリクロロエタンによる蒸気洗浄又は中性洗
剤による洗浄が施されたものが好ましく、更に、静電塗
装を可能にするためのプライマー塗装が施されたもので
あってもよい。
【0041】上記基材には、必要に応じ上述の化成皮
膜、電着塗膜やプライマー塗膜が施された上に、更に中
塗り塗膜が形成されていてもよい。中塗り塗膜が形成さ
れていると、基材や中塗り塗膜下の層の欠陥が隠蔽さ
れ、上塗り塗装後の表面平滑性が確保されて外観が向上
するほか、耐衝撃性、耐チッピング性等の塗膜物性を付
与することが容易になる。上記中塗り塗膜を形成する中
塗り塗料としては特に限定されないが、通常、顔料、塗
膜形成樹脂及び硬化剤を含むものであり、一般的に、メ
ラミン硬化系又はイソシアネート硬化系のものが用いら
れる。
【0042】本発明においては、上述のベース塗料を塗
布する上記被塗装物は、L値が25〜40である。25
未満であると、下地の明度が低くなりすぎ、上述の光干
渉性薄片顔料を有するベース塗膜は下地の色調の隠蔽性
が低いものであるところ、透けて見える下地の色とベー
ス塗膜の色調とにより全体として濁って見える等、かえ
って仕上がり塗膜の意匠性に劣る。40を超えると、下
地の明度が高くなりすぎ、上記ベース塗膜の下地隠蔽性
の低さにより、仕上がり塗膜を目視で観察すると上記下
地からの反射光が多く上記光干渉性薄片顔料の光干渉が
相対的に弱くなって多色性が明確に呈されず、多色性を
出そうとすると上記光干渉性薄片顔料のPWCを高くす
る必要が生じ、作業性や仕上がり外観の低下を招く。好
ましくは、30〜40である。
【0043】上記被塗装物がこの範囲のL値を有するよ
うにするためには、例えば、(イ)上記中塗り塗膜のL
値を25〜40の範囲に調整する方法、(ロ)通常の中
塗り塗膜の上にL値を上記範囲に調整したカラーベース
塗膜を更に設ける方法、(ハ)上記中塗り塗膜及びその
上に形成するカラーベース塗膜の両方によりL値を上記
範囲に調整する方法等がある。これらのうち、工程数の
低減化等の点から上記(イ)又は上記(ロ)の何れかが
好ましく、上記中塗り塗膜のL値を上記範囲に調整すれ
ばカラーベースは不要となりコスト低減化に資する点
で、上記(イ)がより好ましい。
【0044】これら被塗装物のL値の調整は、主として
着色顔料により行うことができる。上記L値調整のため
の着色顔料としては特に限定されず、例えば、上述のベ
ース塗料に含有し得る着色顔料として例示したものから
選択して用いることができる。上記被塗装物には更に、
上記ベース塗料について説明したような光輝性顔料及び
/又は体質顔料を配合してもよい。
【0045】上記中塗り塗膜は、上記ベース塗膜下の被
塗装物のL値が25〜40となる場合には、一般的塗膜
形成方法における中塗り塗膜と同様に、例えば、上記有
機系及び無機系の着色顔料並びに体質顔料から1種又は
2種以上を用い、例えば、カーボンブラックと二酸化チ
タンとを主要顔料としたグレー系中塗り塗料とすること
ができる。
【0046】本発明の塗膜形成方法においては、上記被
塗装物に上述のベース塗料を塗布した後、クリヤー塗料
を塗布する。上記クリヤー塗料としては特に限定され
ず、例えば、塗膜形成性樹脂、硬化剤及びその他の添加
剤からなるものを挙げることができる。上記塗膜形成性
樹脂としては特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、
ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙
げられ、これらはアミノ樹脂及び/又はブロックイソシ
アネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用いられる。透
明性又は耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂及
び/若しくはポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組み合
わせ、又は、カルボン酸・エポキシ硬化系を有するアク
リル樹脂及び/若しくはポリエステル樹脂等を用いるこ
とが好ましい。
【0047】本発明の塗膜形成方法においては、上記ク
リヤー塗料は、好ましくは上述のベース塗料を塗装後、
未硬化の状態で塗装するので、層間のなじみや反転、タ
レ等を防止するべく、上記ベース塗料について記載した
粘性制御剤を含有することが好ましい。上記粘性制御剤
の添加量は、上記クリヤー塗料の樹脂固形分100重量
部に対して0.01〜10重量部であることが好まし
い。0.01重量部未満であると、粘性制御効果が得ら
れず、タレ等の不具合を招くおそれがあり、10重量部
を超えると、外観が低下する傾向にある。より好ましく
は、0.02〜8重量部であり、更に好ましくは、0.
03〜6重量部である。
【0048】上記クリヤー塗料中の固形分含有量は、好
ましくは30〜80重量%であり、より好ましくは40
〜70重量%であるが、塗布時の固形分含有量として
は、好ましくは25〜75重量%であり、より好ましく
は30〜70重量%である。
【0049】上記クリヤー塗料の塗料形態としては、水
溶性、水分散性又はエマルションからなる水性型のほ
か、有機溶剤型、非水分散型、粉体型の何れでもよく、
必要により、硬化触媒、表面調整剤等を用いることがで
きる。上記電着塗料、上記中塗り塗料、上記カラーベー
ス塗料及び上記クリヤー塗料の調製方法としてはそれぞ
れ特に限定されず、例えば、従来公知の方法を用いるこ
とができる。
【0050】上記中塗り塗料、上記カラーベース塗料、
上記ベース塗料及び上記クリヤー塗料を塗布する方法と
しては、それぞれ特に限定されず、例えば、当業者に知
られた方法を用いることができる。このような方法とし
ては、例えば、通称「リアクトガン」と言われるエアー
静電スプレー;通称「マイクロ・マイクロ(μμ)ベ
ル」、「マイクロ(μ)ベル」、「メタベル」等と言わ
れる回転霧化式の静電塗装機等を用いることにより行う
ことができる。好ましくは、回転霧化式の静電塗装機等
を用いる方法である。
【0051】上記ベース塗料を自動車車体等に対して塗
装する場合には、意匠性を高めるために、エアー静電ス
プレーによる多ステージ塗装、好ましくは2ステージで
塗装するか、又は、エアー静電スプレーと上記の回転霧
化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装方法により行う
ことが好ましい。
【0052】上記クリヤー塗料は、上記光干渉性薄片顔
料が上記ベース塗料の固形分に対する顔料重量濃度(P
WC)として6重量%を超える場合には、少なくとも2
回塗布する。1回以下では、上述のように多層構造を有
する光干渉性薄片顔料が、約1〜100μmもの厚さを
有するため、仕上がり塗膜の表面上に頭出しの状態とな
り、仕上がり外観や塗膜物性に劣る。本発明において、
上記頭出しの状態を解消するために、クリヤー塗料を2
回塗布すれば足りる。3回以上では、塗布回数に見合っ
た効果が得られず、不経済であるのみならず、着色する
等仕上がり外観がかえって劣る場合がある。
【0053】上記クリヤー塗料は、上記光干渉性薄片顔
料が上記ベース塗料の固形分に対する顔料重量濃度(P
WC)として3〜6重量%である場合には、少なくとも
1回塗布する。上記光干渉性薄片顔料は上述のように比
較的厚い形状を有するものであるが、上記PWCが3〜
6重量%である場合には、仕上がり塗膜の上に頭出しの
状態とならないので、上記クリヤー塗料は1回塗布する
ことで足りる。従って、2回以上塗布することも可能で
あるが、経済性の点からその必要はない。本発明におい
ては、このように、上記光干渉性薄片顔料のPWCに応
じて上記クリヤー塗料の塗布回数を選択することによ
り、平滑性等の優れた仕上がり外観と経済性とを両立す
ることができる。
【0054】上記各塗膜の乾燥膜厚は、用途により変化
するが、それぞれ、中塗り塗膜5〜45μm、カラーベ
ース塗膜5〜35μm、ベース塗膜5〜35μmであ
り、クリヤー塗膜は、総膜厚として10〜80μmであ
り、1回の塗布によるクリヤー塗膜として25〜40μ
mである。これらの上限を超えると、鮮映性が低下した
り、塗装時にムラ、流れ等の不具合が起こることがあ
り、下限を下回ると、下地の凹凸が隠蔽できず、膜切れ
が発生したりする。
【0055】上記中塗り塗膜及び/又は上記カラーベー
ス塗膜は、優れた意匠性と仕上がり外観を得る点で、上
記ベース塗料を塗布する前に、100〜180℃、好ま
しくは120〜160℃で焼き付け硬化を行うことが好
ましい。硬化時間は硬化温度により変化するが、120
〜160℃で10〜60分間が適当である。上記中塗り
塗膜及び/又は上記カラーベース塗膜は、上記焼き付け
硬化を行う前に、一定時間室温で放置することによっ
て、水分や溶剤を揮散させ、塗膜を予め乾燥させてもよ
い。
【0056】本発明においては、上記クリヤー塗料は、
上記ベース塗膜を上記焼き付け条件により硬化させた後
に塗布することもできるが、工程数の低減化の点から、
上記ベース塗膜を硬化させることなく、ウエット・オン
・ウエット方式により上に塗装してから一度に焼き付け
硬化を行う、いわゆる2コート1ベーク法により行うこ
とが好ましい。上記ベース塗料を塗装後クリヤー塗料を
塗装する前に、一定時間室温で放置、又は、例えば60
〜100℃未満にて2〜10分間加熱することによって
塗膜を予め乾燥させるプレヒート工程を施すこともで
き、この工程を施すことにより高い架橋度の硬化塗膜が
得られる。
【0057】上記クリヤー塗料塗装後の焼き付け硬化
は、通常、100〜180℃にて行うことができ、これ
により高い架橋密度の硬化塗膜が得られる。100℃未
満であると、硬化が充分ではなく、180℃を超える
と、塗膜が固く脆くなる。好ましくは、120〜160
℃である。硬化時間は硬化温度により変化するが、12
0〜160℃で10〜60分間が適当である。
【0058】このようにして得られる中塗り塗膜及び必
要に応じてカラーベース塗膜、並びに、ベース塗膜及び
クリヤー塗膜からなる膜厚の合計は、通常30〜300
μmである。300μmを超えると、冷熱サイクル等の
膜物性が低下し、30μm未満であると、膜自体の強度
が低下する。好ましくは、50〜250μmである。
【0059】本発明の塗膜形成方法は、L値が25〜4
0である被塗装物に、上述の光干渉性薄片顔料を有する
ベース塗料を塗布する工程を含み、上述のクリヤー塗料
は、上記光干渉性薄片顔料の上記ベース塗料の固形分に
対するPWCが3〜6重量%であるときは少なくとも1
回塗布し、上記光干渉性薄片顔料の上記PWCが6重量
%を超えるときは少なくとも2回塗布するものであるの
で、多色性を呈する優れた意匠と、塗膜表面の平滑性等
の優れた仕上がり外観とを併有する塗膜を幅広い範囲で
得ることができる。従って、本発明の塗膜形成方法及び
上記方法により得られる塗膜を有する基材は、自動車の
車体及び部品類の塗装に好適に使用することができる。
【0060】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細
に説明するが、本発明はこれらにより限定されるもので
はない。部、%は、それぞれ重量部、重量%を意味す
る。製造例 ベース塗料の製造 熱硬化性アクリル樹脂(水酸基価45、酸価15mgK
OH/g、数平均分子量21000、固形分50%、日
本ペイント社製)126.0部、ブチル化メラミン樹脂
(ユーバン20N60、固形分60%、三井東圧社製)
45.0部、アクリル系表面調整剤0.2部、架橋樹脂
粒子(構造粘性付与剤、固形分20%、日本ペイント社
製)35.0部、n−ブタノール2.2部、トルエン
2.4部及び表1に示す顔料を混合し、ベース塗料を製
造した。顔料としては、光干渉性薄片顔料(クロマフレ
ア グリーン/パープル(GR/P)#190、フレッ
クスプロダクツ社製)、黒色顔料(ラーベン5000ウ
ルトラ3、コロンビア社製カーボンブラック)及び青色
顔料(ファーストゲンブルー10GN、大日本インキ化
学工業社製)を用い、表1においてはベース塗料の固形
分に対する顔料重量濃度(PWC;重量%)により配合
量を表した。
【0061】実施例1〜7 (塗膜形成方法) 1)20cm×30cm、厚さ0.8mmのダル鋼板を
リン酸亜鉛処理した後、カチオン電着塗料(パワートッ
プU−50、日本ペイント社製)を乾燥膜厚20μmと
なるように塗布し160℃で30分間加熱硬化させた
後、グレー色中塗り塗料(オルガP−2グレー、日本ペ
イント社製)を乾燥膜厚30μmとなるようにスプレー
塗装し、室温で約3分間放置後、140℃で20分間加
熱し硬化させて下地塗膜を得た。ミノルタCR−300
(ミノルタ社製)を用いて下地塗膜のL値を測定したと
ころ、40であった。 2)この下地塗膜を水平に設置したものと垂直に設置し
たもののそれぞれについて、製造例で得たベース塗料を
乾燥膜厚15μmとなるように内部印加型のメタベルを
用い、印加電圧−60kV、回転数25000rpm、
シェービングエアー圧3.5kg/cm2 、吐出量25
0cc/分で2ステージ塗装した。2回の塗布の間に、
1.5分間のインターバルを行い、2回目の塗布後に7
分間セッティングを行った。 3)次いで、ウエット・オン・ウエットでクリヤー塗料
(スーパーラック O−381クリヤー、日本ペイント
社製酸・エポキシ硬化型アクリル樹脂系塗料)を、乾燥
膜厚が30μmとなるようにマイクロマイクロベルを用
いて、印加電圧−90kV、回転数25000rpm、
シェービングエアー圧1.5kg/cm、吐出量28
0cc/分で、1ステージの回転霧化型静電塗装をし、
7分間セッティングした。 4)最後に、得られた塗装板を乾燥機で140℃で20
分間焼き付けを行い、評価用塗膜を得た。
【0062】(評価)上記塗膜形成方法により得られた
クリヤー塗料1回塗装(シングルクリヤー)の場合の評
価用塗膜、及び、上記塗膜形成方法のうち、3)を2回
行った後、4)を施すクリヤー塗料2回塗装(ダブルク
リヤー)の場合の評価用塗膜のそれぞれについて、下記
評価を行った。結果を表1に示す。
【0063】1.外観 評価用塗膜として上述の下地塗膜を水平に設置したもの
と垂直に設置したもののそれぞれについて上述のように
ベース塗料及びクリヤー塗料を塗布し焼き付けたものを
用意し、それぞれの外観をウェーブスキャン(ビッグケ
ミー社製)のG値(SW)により評価した。数値の小さ
いもの程、良好な外観が得られたことを示す。
【0064】2.意匠性 目視により意匠性を下記の基準に従って評価した。 ◎:充分に濃色の多色性を呈する。 ○:濃色の多色性を呈する。 △:やや濃色の多色性を呈する。 ×:淡色の多色性を呈する。
【0065】3.実施可能性 それぞれシングルクリヤー又はダブルクリヤーで外観上
実施可能であるかどうかを下記の基準により評価した。 ○:実施可能。 ×:実施不可能。
【0066】
【表1】
【0067】表1から、光干渉性薄片顔料のPWCが3
〜6重量%である実施例5〜7では、外観は良好であ
り、やや濃色〜淡色の多色性を呈し、クリヤー塗料は1
回塗装することで外観上充分であったが、光干渉性薄片
顔料のPWCが6重量%を超える実施例1〜4では、外
観はやや劣るものの、充分な濃色〜濃色の多色性を呈
し、クリヤー塗料は2回塗装すると外観上良好であるこ
とが分かった。
【0068】
【発明の効果】本発明の塗膜形成方法は、上述の構成を
有することから、上述の光干渉性薄片顔料を用いる塗装
系において、良好な意匠性と優れた仕上がり外観とを両
立する塗膜を幅広い範囲で提供することができるので、
特に自動車の車体や部品類の塗装において、意匠性に対
する顧客ニーズが多様であっても幅広く応じることがで
きる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光干渉性薄片顔料を含有するベース塗料
    を被塗装物に塗布する工程、及び、クリヤー塗料を塗布
    する工程を含む塗膜形成方法であって、前記被塗装物
    は、L値が25〜40であり、前記光干渉性薄片顔料
    は、前記ベース塗料の固形分に対する顔料重量濃度(P
    WC)として3〜6重量%であり、前記クリヤー塗料は
    少なくとも1回塗布することを特徴とする塗膜形成方
    法。
  2. 【請求項2】 光干渉性薄片顔料を含有するベース塗料
    を被塗装物に塗布する工程、及び、クリヤー塗料を塗布
    する工程を含む塗膜形成方法であって、前記被塗装物
    は、L値が25〜40であり、前記光干渉性薄片顔料
    は、前記ベース塗料の固形分に対する顔料重量濃度(P
    WC)として6重量%を超えるものであり、前記クリヤ
    ー塗料は少なくとも2回塗布することを特徴とする塗膜
    形成方法。
  3. 【請求項3】 クリヤー塗料は、1回の塗布により乾燥
    膜厚が25〜40μmとなるように塗布するものである
    請求項1又は2記載の塗膜形成方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の塗膜形成方法
    によって形成されてなる塗膜を有する基材。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH091050A (ja) * 1995-06-23 1997-01-07 Toyota Motor Corp 塗膜形成法
JPH11262727A (ja) * 1998-03-17 1999-09-28 Kansai Paint Co Ltd 複層上塗り塗膜形成方法

Patent Citations (2)

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