JP2002223760A - オリゴヌクレオチドアレイ及びスプライシングの検出方法 - Google Patents
オリゴヌクレオチドアレイ及びスプライシングの検出方法Info
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- JP2002223760A JP2002223760A JP2001021021A JP2001021021A JP2002223760A JP 2002223760 A JP2002223760 A JP 2002223760A JP 2001021021 A JP2001021021 A JP 2001021021A JP 2001021021 A JP2001021021 A JP 2001021021A JP 2002223760 A JP2002223760 A JP 2002223760A
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- JP
- Japan
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- splicing
- exon
- array
- oligonucleotide
- oligonucleotide array
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- Pending
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- Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 遺伝子のスプライシングを調べる目的に特化
した、スプライシング解析用オリゴヌクレオチドアレイ
を提供する 【解決手段】 構成要素として考えられ得るすべてのエ
クソン領域の配列をそれぞれ独立のプローブとするオリ
ゴヌクレオチドアレイを作製し、そのDNAアレイを用い
て発現解析を行う。 【発明の効果】 ゲノム上の遺伝子配列の転写から成熟
mRNAが形成される過程でどのようにイントロンが除去さ
れエクソンがつながり成熟mRNAが形成されるかを、網羅
的に数多くの遺伝子に対して簡便に調べることができ
る。
した、スプライシング解析用オリゴヌクレオチドアレイ
を提供する 【解決手段】 構成要素として考えられ得るすべてのエ
クソン領域の配列をそれぞれ独立のプローブとするオリ
ゴヌクレオチドアレイを作製し、そのDNAアレイを用い
て発現解析を行う。 【発明の効果】 ゲノム上の遺伝子配列の転写から成熟
mRNAが形成される過程でどのようにイントロンが除去さ
れエクソンがつながり成熟mRNAが形成されるかを、網羅
的に数多くの遺伝子に対して簡便に調べることができ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子の選択的ス
プライシングを調べるためのオリゴヌクレオチドアレイ
及びそれを用いたスプライシングの検出方法に関する。
プライシングを調べるためのオリゴヌクレオチドアレイ
及びそれを用いたスプライシングの検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子の構造解析が近年急速に進み、遺
伝子の異常による疾病、すなわちガンや糖尿病、高血圧
などを含んだ遺伝性の疾病の病因が明らかにされつつあ
る。そのほとんどは遺伝子産物が異常となるものであ
り、コーディング領域に起こった変異や転写・翻訳過程
の障害によるものが多い。真核生物の多くの遺伝子はイ
ントロンと呼ばれる遺伝情報としては意味がないと考え
られている領域によって分断された形でDNA上に存在し
ている。これらの遺伝子から転写された前駆メッセンジ
ャーRNA(mRNA)は、イントロンを除去する過程を経て
成熟mRNAとなり、タンパク質に翻訳される。このイント
ロンを除去する過程を選択的スプライシング(Alternat
ive Splicing)と呼ぶ。この選択的スプライシングは全
遺伝子の少なくとも30%以上に起こるものと推定され、
エクソンの組み合わせによって多様なタンパク質を産生
する重要な遺伝子発現制御過程である。数多くの疾病に
ついてスプライシングの異常との関連が指摘されてお
り、ガン、糖尿病、アルツハイマーとの関連性について
精力的に研究されている。例えば、CD44遺伝子のv6(va
riant6)は、ガンの進行が進んだ症状で特徴的に見ら
れ、このvariantが発現している場合には転移がおきて
いることが非常に多いことが知られている。一方、数多
くの遺伝子の発現状況を網羅的に調べる方法として、DN
AアレイあるいはDNAチップとよばれる、配列の異なる多
数のDNA断片(プローブDNA)を基板のそれぞれ異なる個
所に固定したものに、遺伝子の発現状態を調べたい組織
や細胞から取り出したメッセンジャーRNAの逆転写物
(蛍光標識あるいはラジオアイソトープ標識をしたも
の)をふりかけてハイブリダイゼーションを行った後、
それぞれの配列のDNA断片固定箇所にどの程度逆転写物
がハイブリダイゼーションしたかを調べ、試料細胞中の
遺伝子発現を調べる方法が注目されている。
伝子の異常による疾病、すなわちガンや糖尿病、高血圧
などを含んだ遺伝性の疾病の病因が明らかにされつつあ
る。そのほとんどは遺伝子産物が異常となるものであ
り、コーディング領域に起こった変異や転写・翻訳過程
の障害によるものが多い。真核生物の多くの遺伝子はイ
ントロンと呼ばれる遺伝情報としては意味がないと考え
られている領域によって分断された形でDNA上に存在し
ている。これらの遺伝子から転写された前駆メッセンジ
ャーRNA(mRNA)は、イントロンを除去する過程を経て
成熟mRNAとなり、タンパク質に翻訳される。このイント
ロンを除去する過程を選択的スプライシング(Alternat
ive Splicing)と呼ぶ。この選択的スプライシングは全
遺伝子の少なくとも30%以上に起こるものと推定され、
エクソンの組み合わせによって多様なタンパク質を産生
する重要な遺伝子発現制御過程である。数多くの疾病に
ついてスプライシングの異常との関連が指摘されてお
り、ガン、糖尿病、アルツハイマーとの関連性について
精力的に研究されている。例えば、CD44遺伝子のv6(va
riant6)は、ガンの進行が進んだ症状で特徴的に見ら
れ、このvariantが発現している場合には転移がおきて
いることが非常に多いことが知られている。一方、数多
くの遺伝子の発現状況を網羅的に調べる方法として、DN
AアレイあるいはDNAチップとよばれる、配列の異なる多
数のDNA断片(プローブDNA)を基板のそれぞれ異なる個
所に固定したものに、遺伝子の発現状態を調べたい組織
や細胞から取り出したメッセンジャーRNAの逆転写物
(蛍光標識あるいはラジオアイソトープ標識をしたも
の)をふりかけてハイブリダイゼーションを行った後、
それぞれの配列のDNA断片固定箇所にどの程度逆転写物
がハイブリダイゼーションしたかを調べ、試料細胞中の
遺伝子発現を調べる方法が注目されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、スプライシン
グを調べる従来の方法はRT-PCRによるものであるが、数
多くの遺伝子に対して網羅的に調べることは困難であり
かつ作業は煩雑で熟練を要するなど問題点が多く残され
ており、臨床・診断への適用は不可能であった。また、
上記の数多くの遺伝子の発現状況を網羅的に調べる方法
では、基板上に固定化されるDNA断片の配列としてはcDN
Aあるいは代表的なmRNAの配列情報から特定の配列を抜
き出したものが使われており、多くの場合一つの遺伝子
に対して一つの配列のDNA断片が対応していた。一つの
遺伝子に対して複数の配列のDNA断片が対応している場
合でも、網羅的に、エクソンごとの配列をプローブDNA
として用いている例はなかった。まして、遺伝情報とし
て意味を成さないイントロンだけの配列をプローブDNA
として用いた例はなかった。さらに、スプライシングを
調べる目的に特化したオリゴヌクレオチドアレイは発明
者らが知る限り報告例はない。本発明の目的は、簡便
に、数多くの遺伝子に対してスプライシングの状況を網
羅的に調べることができる、遺伝子のスプライシングを
調べる目的に特化した、スプライシング解析用オリゴヌ
クレオチドアレイを提供することにある。また、それを
用いたスプライシングの検出方法を提供することにあ
る。
グを調べる従来の方法はRT-PCRによるものであるが、数
多くの遺伝子に対して網羅的に調べることは困難であり
かつ作業は煩雑で熟練を要するなど問題点が多く残され
ており、臨床・診断への適用は不可能であった。また、
上記の数多くの遺伝子の発現状況を網羅的に調べる方法
では、基板上に固定化されるDNA断片の配列としてはcDN
Aあるいは代表的なmRNAの配列情報から特定の配列を抜
き出したものが使われており、多くの場合一つの遺伝子
に対して一つの配列のDNA断片が対応していた。一つの
遺伝子に対して複数の配列のDNA断片が対応している場
合でも、網羅的に、エクソンごとの配列をプローブDNA
として用いている例はなかった。まして、遺伝情報とし
て意味を成さないイントロンだけの配列をプローブDNA
として用いた例はなかった。さらに、スプライシングを
調べる目的に特化したオリゴヌクレオチドアレイは発明
者らが知る限り報告例はない。本発明の目的は、簡便
に、数多くの遺伝子に対してスプライシングの状況を網
羅的に調べることができる、遺伝子のスプライシングを
調べる目的に特化した、スプライシング解析用オリゴヌ
クレオチドアレイを提供することにある。また、それを
用いたスプライシングの検出方法を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために、オリゴヌクレオチドアレイの技術を
用いて網羅的にスプライシングを調べる方法を鋭意検討
した。その結果、ゲノム上の一つの遺伝子配列から転写
後スプライシングを経てどのような成熟mRNAが形成され
たかを調べるためには、構成要素として考えられ得るす
べてのエクソン領域の配列をそれぞれ独立のプローブと
するオリゴヌクレオチドアレイを作製し、そのDNAアレ
イを用いて発現解析を行うことで数多くの遺伝子の発現
プロファイルを調べることが極めて有効であることを見
出した。また、エクソン領域だけではなく、エクソンと
の境界領域近くのイントロン配列をもプローブとしたDN
Aアレイを作製し、それを用いて発現解析することでス
プライシングの異常をより細かく調べることができる。
さらに、被験者の疾病の疑いのある臓器切片からmRNAを
抽出し本発明のオリゴヌクレオチドアレイを用いてスプ
ライシングの状況を調べることで、疾患の種類や進行度
を診断できる方法を見出し、本発明を完成するに至っ
た。本発明は、塩基配列の異なる複数のオリゴヌクレオ
チドを、支持体上の既知の異なる位置に固定化したアレ
イであって、一つの位置には一種類のエクソンの配列を
有するオリゴヌクレオチドが固定化されていることを特
徴とするオリゴヌクレオチドアレイである。また、本発
明は、塩基配列の異なる複数のオリゴヌクレオチドを、
支持体上の既知の異なる位置に固定化したアレイであっ
て、ゲノム上の1つの遺伝子配列領域に含まれる各エク
ソンと各イントロンの塩基配列を有するオリゴヌクレオ
チドを、それぞれ異なる位置に固定化したことを特徴と
するオリゴヌクレオチドアレイである。また、本発明
は、塩基配列の異なる複数のオリゴヌクレオチドを、支
持体上の既知の異なる位置に固定化したアレイを用いる
ことで、遺伝子のスプライシングを検出する、スプライ
シングの検出方法である。以下、本発明について詳細に
説明する。スプライシングとは、DNA転写物であるmRNA
前駆体からイントロンが除去され、場合によってはエク
ソンの繋ぎ代えが起こり成熟mRNAが形成される過程であ
るため、スプライシングがどのように起こったかを調べ
るためには、成熟mRNA中にどのエクソンが含まれている
かを検出する必要がある。そこで、スプライシングを調
べようとする遺伝子のDNA上の全エクソン配列の各々に
対応した相補配列を有するプローブDNAを合成し、それ
らが基板上に固定されたDNAアレイを作製して発現解析
を行えば、成熟mRNAに含まれている発現したエクソンの
相補鎖を固定したスポットにはハイブリに基づく信号が
観測され、逆に成熟mRNAに欠失しているエクソンの相補
鎖を固定したスポットにはハイブリに基づく信号は観測
されず、含有・欠失したエクソンを容易に調べることが
できる。図1に概念図を示す。エクソンの欠失は正常・
異常を問わず観測される場合があるが、疾病との関わり
のあるエクソンの含有・欠失が知られている場合には、
その簡便な診断として非常に有効である。
を達成するために、オリゴヌクレオチドアレイの技術を
用いて網羅的にスプライシングを調べる方法を鋭意検討
した。その結果、ゲノム上の一つの遺伝子配列から転写
後スプライシングを経てどのような成熟mRNAが形成され
たかを調べるためには、構成要素として考えられ得るす
べてのエクソン領域の配列をそれぞれ独立のプローブと
するオリゴヌクレオチドアレイを作製し、そのDNAアレ
イを用いて発現解析を行うことで数多くの遺伝子の発現
プロファイルを調べることが極めて有効であることを見
出した。また、エクソン領域だけではなく、エクソンと
の境界領域近くのイントロン配列をもプローブとしたDN
Aアレイを作製し、それを用いて発現解析することでス
プライシングの異常をより細かく調べることができる。
さらに、被験者の疾病の疑いのある臓器切片からmRNAを
抽出し本発明のオリゴヌクレオチドアレイを用いてスプ
ライシングの状況を調べることで、疾患の種類や進行度
を診断できる方法を見出し、本発明を完成するに至っ
た。本発明は、塩基配列の異なる複数のオリゴヌクレオ
チドを、支持体上の既知の異なる位置に固定化したアレ
イであって、一つの位置には一種類のエクソンの配列を
有するオリゴヌクレオチドが固定化されていることを特
徴とするオリゴヌクレオチドアレイである。また、本発
明は、塩基配列の異なる複数のオリゴヌクレオチドを、
支持体上の既知の異なる位置に固定化したアレイであっ
て、ゲノム上の1つの遺伝子配列領域に含まれる各エク
ソンと各イントロンの塩基配列を有するオリゴヌクレオ
チドを、それぞれ異なる位置に固定化したことを特徴と
するオリゴヌクレオチドアレイである。また、本発明
は、塩基配列の異なる複数のオリゴヌクレオチドを、支
持体上の既知の異なる位置に固定化したアレイを用いる
ことで、遺伝子のスプライシングを検出する、スプライ
シングの検出方法である。以下、本発明について詳細に
説明する。スプライシングとは、DNA転写物であるmRNA
前駆体からイントロンが除去され、場合によってはエク
ソンの繋ぎ代えが起こり成熟mRNAが形成される過程であ
るため、スプライシングがどのように起こったかを調べ
るためには、成熟mRNA中にどのエクソンが含まれている
かを検出する必要がある。そこで、スプライシングを調
べようとする遺伝子のDNA上の全エクソン配列の各々に
対応した相補配列を有するプローブDNAを合成し、それ
らが基板上に固定されたDNAアレイを作製して発現解析
を行えば、成熟mRNAに含まれている発現したエクソンの
相補鎖を固定したスポットにはハイブリに基づく信号が
観測され、逆に成熟mRNAに欠失しているエクソンの相補
鎖を固定したスポットにはハイブリに基づく信号は観測
されず、含有・欠失したエクソンを容易に調べることが
できる。図1に概念図を示す。エクソンの欠失は正常・
異常を問わず観測される場合があるが、疾病との関わり
のあるエクソンの含有・欠失が知られている場合には、
その簡便な診断として非常に有効である。
【0005】また、スプライシングの異常な場合(aber
rant splicing)として、エクソンの一部分の欠失や、
イントロンの一部分あるいはエクソン間に挟まれたイン
トロンがそのまま成熟mRNA中に取り込まれることがあ
る。これらは、スプライス部位が正確に認識されなかっ
たことによる。これらの異常スプライシングを検出する
には、エクソンとイントロンの各々の境界領域の相補鎖
をプローブとしたDNAアレイを作製して発現解析すれば
よい。図2に概念図を示す。エクソンの一部分が欠失す
る場合には、イントロンとの境界領域がほとんどである
ため、エクソンの両端の配列との相補鎖をプローブとす
れば、そのエクソンが欠落部分なく成熟mRNAに取り込ま
れているかどうかを調べることができる。イントロンが
成熟mRNAに取り込まれる場合には、やはり、エクソンと
の境界領域であるため、イントロンの両端近傍との相補
鎖をプローブとすれば、そのイントロンの一部分あるい
は全部が成熟mRNAに取り込まれているかどうかを容易に
調べることができる。オリゴヌクレオチドアレイのプロ
ーブとしてエクソンあるいはイントロンの相補鎖を作る
方法としては、PCR産物を用いる方法と合成オリゴヌク
レオチド(以下合成オリゴと呼ぶ)を用いる方法があ
る。但し、エクソンの塩基長は120から150塩基程
度と短いものが多いため、エクソンのイントロンとの境
界近傍の相補鎖をPCRで効率よく増やすことは困難であ
り、合成オリゴを用いた方が好ましい。プローブDNAの
基板への固定化方法としては、従来から知られていた方
法を用いることができる。PCR産物を用いる場合には、
基板にポリーL―リジンやアミノシランをあらかじめコ
ートしておき、この上にプローブDNA溶液を適当なスポ
ッターでスポットすればよい。合成オリゴを用いる場合
には、あらかじめ合成オリゴ末端にアミノ基等の官能基
を修飾しておき、基板上にもあらかじめアミノ基等の官
能基と反応するような官能基、例えばカルボジイミドを
導入しておき、両者を反応させることで基板上に合成オ
リゴを固定化することができる。上記オリゴヌクレオチ
ドアレイを用いてスプライシングを調べるには、以下の
手順で行うことができる。対象となる組織や細胞からmR
NAを抽出し、オリゴdTプライマーとCy5−dCTPなどを
用いた逆転写反応により蛍光標識されたcDNAを合成
して、これを前述のDNAアレイにかけて所定の温度、時
間の間ハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション
温度は45−70℃、ハイブリダイゼーション時間は6
−18時間が好ましい。ハイブリダイゼーション後、蛍
光スキャナーにより各エクソン、イントロン配列をスポ
ットした箇所のCy5の蛍光強度を測定し、含有・欠失
しているエクソン配列や取り込まれたイントロン配列を
調べることができる。このように、cDNAをDNAアレイに
かける場合には、あらかじめエクソン、イントロン配列
と同じ塩基配列をプローブとして固定化しておく必要が
ある。また、生体試料から抽出したmRNAを直接DNAアレ
イにかけてハイブリダイゼーションさせた後、二本鎖中
にインターカレートする蛍光色素をふりかけてその蛍光
強度から含有・欠失しているエクソン配列や取り込まれ
たイントロン配列を調べることもできる。使用できる色
素としては、例えば、エチジウムブロマイド、ヘキスト
33258、ピコグリーン(モレキュラープローブ社製)な
どを挙げることが出来る。あるいは、ナフタレンテトラ
カルボン酸二無水物などの二本鎖(DNA-mRNA)中にイン
ターカレートする化合物と蛍光剤とを炭素鎖で結び付け
た化合物も挙げられる。但し、これらの場合にはあらか
じめエクソン、イントロン配列と相補的な塩基配列をプ
ローブとして固定化しておく必要がある。通常のオリゴ
ヌクレオチドアレイを用いた発現解析と同じように、比
較試料との競合ハイブリダイゼーションを行い、比較試
料とのスプライシングの違いを検出する方法も利用でき
る。測定試料と比較試料から各々mRNAを抽出し、オリゴ
dTプライマーあるいは特定配列を持つプライマーを用い
た逆転写反応により測定試料のmRNAについてはCy5−
dCTPを用いて蛍光標識されたcDNAを合成し、参照
試料のmRNAについてはCy3−dCTPを用いて蛍光標識さ
れたcDNAを合成し、両者を混合して同一の前記DNA
アレイにかけハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーシ
ョン後、蛍光スキャナーにより各スポットのCy5とCy
3のそれぞれの蛍光強度を比較し、両者で成熟mRNAに取
り込まれた各エクソン、イントロンの差を求めることが
できる。この場合にも、cDNAをオリゴヌクレオチドアレ
イにかけるため、あらかじめエクソン、イントロン配列
と同じ塩基配列をDNAアレイのプローブとして固定化し
ておく必要がある。
rant splicing)として、エクソンの一部分の欠失や、
イントロンの一部分あるいはエクソン間に挟まれたイン
トロンがそのまま成熟mRNA中に取り込まれることがあ
る。これらは、スプライス部位が正確に認識されなかっ
たことによる。これらの異常スプライシングを検出する
には、エクソンとイントロンの各々の境界領域の相補鎖
をプローブとしたDNAアレイを作製して発現解析すれば
よい。図2に概念図を示す。エクソンの一部分が欠失す
る場合には、イントロンとの境界領域がほとんどである
ため、エクソンの両端の配列との相補鎖をプローブとす
れば、そのエクソンが欠落部分なく成熟mRNAに取り込ま
れているかどうかを調べることができる。イントロンが
成熟mRNAに取り込まれる場合には、やはり、エクソンと
の境界領域であるため、イントロンの両端近傍との相補
鎖をプローブとすれば、そのイントロンの一部分あるい
は全部が成熟mRNAに取り込まれているかどうかを容易に
調べることができる。オリゴヌクレオチドアレイのプロ
ーブとしてエクソンあるいはイントロンの相補鎖を作る
方法としては、PCR産物を用いる方法と合成オリゴヌク
レオチド(以下合成オリゴと呼ぶ)を用いる方法があ
る。但し、エクソンの塩基長は120から150塩基程
度と短いものが多いため、エクソンのイントロンとの境
界近傍の相補鎖をPCRで効率よく増やすことは困難であ
り、合成オリゴを用いた方が好ましい。プローブDNAの
基板への固定化方法としては、従来から知られていた方
法を用いることができる。PCR産物を用いる場合には、
基板にポリーL―リジンやアミノシランをあらかじめコ
ートしておき、この上にプローブDNA溶液を適当なスポ
ッターでスポットすればよい。合成オリゴを用いる場合
には、あらかじめ合成オリゴ末端にアミノ基等の官能基
を修飾しておき、基板上にもあらかじめアミノ基等の官
能基と反応するような官能基、例えばカルボジイミドを
導入しておき、両者を反応させることで基板上に合成オ
リゴを固定化することができる。上記オリゴヌクレオチ
ドアレイを用いてスプライシングを調べるには、以下の
手順で行うことができる。対象となる組織や細胞からmR
NAを抽出し、オリゴdTプライマーとCy5−dCTPなどを
用いた逆転写反応により蛍光標識されたcDNAを合成
して、これを前述のDNAアレイにかけて所定の温度、時
間の間ハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション
温度は45−70℃、ハイブリダイゼーション時間は6
−18時間が好ましい。ハイブリダイゼーション後、蛍
光スキャナーにより各エクソン、イントロン配列をスポ
ットした箇所のCy5の蛍光強度を測定し、含有・欠失
しているエクソン配列や取り込まれたイントロン配列を
調べることができる。このように、cDNAをDNAアレイに
かける場合には、あらかじめエクソン、イントロン配列
と同じ塩基配列をプローブとして固定化しておく必要が
ある。また、生体試料から抽出したmRNAを直接DNAアレ
イにかけてハイブリダイゼーションさせた後、二本鎖中
にインターカレートする蛍光色素をふりかけてその蛍光
強度から含有・欠失しているエクソン配列や取り込まれ
たイントロン配列を調べることもできる。使用できる色
素としては、例えば、エチジウムブロマイド、ヘキスト
33258、ピコグリーン(モレキュラープローブ社製)な
どを挙げることが出来る。あるいは、ナフタレンテトラ
カルボン酸二無水物などの二本鎖(DNA-mRNA)中にイン
ターカレートする化合物と蛍光剤とを炭素鎖で結び付け
た化合物も挙げられる。但し、これらの場合にはあらか
じめエクソン、イントロン配列と相補的な塩基配列をプ
ローブとして固定化しておく必要がある。通常のオリゴ
ヌクレオチドアレイを用いた発現解析と同じように、比
較試料との競合ハイブリダイゼーションを行い、比較試
料とのスプライシングの違いを検出する方法も利用でき
る。測定試料と比較試料から各々mRNAを抽出し、オリゴ
dTプライマーあるいは特定配列を持つプライマーを用い
た逆転写反応により測定試料のmRNAについてはCy5−
dCTPを用いて蛍光標識されたcDNAを合成し、参照
試料のmRNAについてはCy3−dCTPを用いて蛍光標識さ
れたcDNAを合成し、両者を混合して同一の前記DNA
アレイにかけハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーシ
ョン後、蛍光スキャナーにより各スポットのCy5とCy
3のそれぞれの蛍光強度を比較し、両者で成熟mRNAに取
り込まれた各エクソン、イントロンの差を求めることが
できる。この場合にも、cDNAをオリゴヌクレオチドアレ
イにかけるため、あらかじめエクソン、イントロン配列
と同じ塩基配列をDNAアレイのプローブとして固定化し
ておく必要がある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、以
下具体例を示して詳細に説明する。 (実施例)本発明を、2種類のヒト結腸線ガン由来培養
細胞(HT-29及びDLD-1)、ヒト乳ガン由来培養細胞(MC
F7)、ヒト肺ガン由来培養細胞(A549)及びヒト子宮ガ
ン由来培養細胞(KLE)において、遺伝子CD44のスプラ
イシングの状況を調べた例を記す。CD44におけるエクソ
ンの構成を図3に示す。この遺伝子は20個のエクソンを
持ち、そのうち10個のエクソンがスプライシングによっ
て成熟mRNA中に挿入されるかどうかが決まることが知ら
れている。そこで、スプライシングによらず成熟mRNA中
に取り込まれるエクソン5の配列と、スプライシングを
受けるエクソン6(variant1:v1)からエクソン15(vari
ant10:v10)の配列から各々80塩基長の配列を選定し、
それらのオリゴヌクレオチドを合成した。選定したオリ
ゴヌクレオチドの配列を表1に示す。
下具体例を示して詳細に説明する。 (実施例)本発明を、2種類のヒト結腸線ガン由来培養
細胞(HT-29及びDLD-1)、ヒト乳ガン由来培養細胞(MC
F7)、ヒト肺ガン由来培養細胞(A549)及びヒト子宮ガ
ン由来培養細胞(KLE)において、遺伝子CD44のスプラ
イシングの状況を調べた例を記す。CD44におけるエクソ
ンの構成を図3に示す。この遺伝子は20個のエクソンを
持ち、そのうち10個のエクソンがスプライシングによっ
て成熟mRNA中に挿入されるかどうかが決まることが知ら
れている。そこで、スプライシングによらず成熟mRNA中
に取り込まれるエクソン5の配列と、スプライシングを
受けるエクソン6(variant1:v1)からエクソン15(vari
ant10:v10)の配列から各々80塩基長の配列を選定し、
それらのオリゴヌクレオチドを合成した。選定したオリ
ゴヌクレオチドの配列を表1に示す。
【0007】
【表1】 濃度0.4μMのオリゴヌクレオチドプロ−ブ水溶液5μl
と、ジメチルスルホキシド(和光純薬製)5μlを混合
してスポッティング溶液を作製した。このスポッティン
グ溶液をスポッタ(日立ソフト社製 SPBIO 2000)を用
いてポリリジンコートスライドガラス(松波ガラス製)
上の任意の点にスポッティングした後、UVクロスリンカ
ー(ストラタ社製)を用いてUVを照射してスライドガラ
ス上にオリゴヌクレオチドを固定化しオリゴヌクレオチ
ドアレイを作製した。 次に、無水コハク酸6gをN-メ
チルピロリドン(和光純薬製)180mlに溶かした溶液を
作り、これにオリゴヌクレオチドアレイを入れ15分間放
置した。その後、オリゴヌクレオチドアレイを沸騰水中
に2分間入れ、次に95%エタノール(和光純薬製)中に5
秒間入れた後常温常圧下で乾燥した。2種類のヒト結腸
線ガン由来培養細胞(HT-29及びDLD-1)、ヒト肺ガン由
来培養細胞(A549)、ヒト乳ガン由来培養細胞(MCF7)及
びヒト子宮ガン由来培養細胞(KLE)は、大日本製薬
(株)より購入し、カタログで推奨している培地及び培
養方法に従って各培養細胞を培養した。培養後、ディッ
シュから培地を取り除き、さらにGTC溶液(グアニジン
チオシアネ−ト;4M、トリス(ヒドロキシメチル)アミ
ノメタン;0.1M、2-メルカプトエタノ−ル;1%、pH7.
5)を加え培養細胞を溶解した。次に、N-ラウロイルサ
ルコシン酸ナトリウムを最終濃度が0.5%なるように加え
た後、5000r.p.m.で10分間遠心してから上清液を取り出
した。得られた上清液に5.7Mの塩化セシウム溶液を上清
液と塩化セシウム溶液の比が7:3になるように加えた
後、さらに適量の軽質流動パラフィンを加え35000r.p.
m.で12時間遠心した。遠心後、下層に沈殿しているRNA
ペレットを取り出した。得られたRNAペレットを適量のT
ES溶液(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン;10
mM、エチレンジアミン四酢酸;5mM、ドデシル硫酸ナト
リウム;1%、pH7.4)に溶解した後、エタノ−ル沈殿を
行ってRNAペレットを濃縮・精製した。次に、精製され
たRNAペレットをDEPC溶液(二酸化ジエチル;0.1%)に
溶解した後、m-RNA精製キット(Invitrogen社製、Micro
-FastTrack2.0 Kit)を用いてRNAペレットからmRNAを取
り出した。得られたmRNAを1μg/μlに希釈した後、希釈
液1μlに0.5μg/μlの Oligo dTプライマ(ライフテッ
ク オリエンタル社製)1μlとDEPC溶液5μlを加え70℃
で5分間保温した。次に、得られた溶液5μlにSuperScri
ptIIバッファー(ライフテックオリエンタル社製、Supe
r Script IIReverse Transcriptase)5μl、dNTP mixtu
re (2mM dUTP、 5mM dATP、5mM dGTP、5mM dCTP) 2μ
l、100mMDTT(Dithiothreitol)2μl、40U Rnasin(TOY
OBO社製 Rnase Inhibitor)2.5μl、1mM FluoriLink dU
TP(アマシャムファルマシア社製、FluoroLink Cy5-dUT
P )2μl、及びSSII(ライフテックオリエンタル社製、
Super Script IIReverseTranscriptase)1μlを混合し
た後、42℃で30分間保温した。その後、さらにSSII(ラ
イフテックオリエンタル社製、Super Script IIReverse
Transcriptase)を1μl加え再び42℃で30分保温した。
保温後の溶液にDEPC溶液20μl、0.5Mエチレンジアミン
四酢酸5μl、及び1Nの水酸化ナトリウム水溶液10μlを
加え65℃で60分保温した後、1M のトリス(ヒドロキシ
メチル)アミノメタン緩衝溶液(pH7.5)を25μl加え中
和した。その後、中和したサンプル溶液をMicrocon−30
(Amicon社製)に入れ8000r.p.m.で4分間遠心した後10
〜20μlに濃縮して未反応のdNTPを除去した。得られた
溶液、20×Denhardt,s soution(SIGMA社製)、20×SS
C、及びドデシル硫酸ナトリウムを適量混合し、最終濃
度が100pg/μl核酸タ−ゲット、2×Denhardt,s soutio
n、 4×SSC、0.2%ドデシル硫酸ナトリウムとなるような
ハイブリダイゼーション溶液24.5μlを作成した。次
に、前述の方法で得られたオリゴヌクレオチドアレイと
ハイブリダイゼーション溶液を用いて以下のようなハイ
ブリダイゼ−ション反応を行った。ハイブリダイゼ−シ
ョン溶液を95℃で一分間熱変性した後、スライドガラス
上にハイブリダイゼ−ション溶液を滴下しカバ−ガラス
を乗せた。その後、スライドガラスを40℃の恒温槽内に
12時間放置してハイブリダイゼ−ション反応を行った。
ハイブリダイゼ−ション反応後、20×SSCの10倍希釈液
と10%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液の300倍希釈液との
混合液中にスライドガラスをしてカバ−ガラスをはずし
た後、20×SSCの100倍希釈液でスライドガラスを洗浄し
た。次に、マイクロタイタ−プレ−ト用遠心機を用いて
スライドガラス上の水分を除いた後、マイクロアレイ用
スキャナ−(GSI Lumonics社製 Scan Array 5000)を
用いて11点のスポットの蛍光強度(ハイブリダイゼ−シ
ョンシグナル)とオリゴヌクレオチドプロ−ブが固定化
されていない領域の蛍光強度(バックグランドシグナ
ル)を測定した。各スポットについて、得られたハイブ
リダイゼ−ションシグナルからバックグランドシグナル
を差し引いて各エクソン配列が固定化されているスポッ
トの発現量を求めた。測定結果を表2にまとめて示す。
と、ジメチルスルホキシド(和光純薬製)5μlを混合
してスポッティング溶液を作製した。このスポッティン
グ溶液をスポッタ(日立ソフト社製 SPBIO 2000)を用
いてポリリジンコートスライドガラス(松波ガラス製)
上の任意の点にスポッティングした後、UVクロスリンカ
ー(ストラタ社製)を用いてUVを照射してスライドガラ
ス上にオリゴヌクレオチドを固定化しオリゴヌクレオチ
ドアレイを作製した。 次に、無水コハク酸6gをN-メ
チルピロリドン(和光純薬製)180mlに溶かした溶液を
作り、これにオリゴヌクレオチドアレイを入れ15分間放
置した。その後、オリゴヌクレオチドアレイを沸騰水中
に2分間入れ、次に95%エタノール(和光純薬製)中に5
秒間入れた後常温常圧下で乾燥した。2種類のヒト結腸
線ガン由来培養細胞(HT-29及びDLD-1)、ヒト肺ガン由
来培養細胞(A549)、ヒト乳ガン由来培養細胞(MCF7)及
びヒト子宮ガン由来培養細胞(KLE)は、大日本製薬
(株)より購入し、カタログで推奨している培地及び培
養方法に従って各培養細胞を培養した。培養後、ディッ
シュから培地を取り除き、さらにGTC溶液(グアニジン
チオシアネ−ト;4M、トリス(ヒドロキシメチル)アミ
ノメタン;0.1M、2-メルカプトエタノ−ル;1%、pH7.
5)を加え培養細胞を溶解した。次に、N-ラウロイルサ
ルコシン酸ナトリウムを最終濃度が0.5%なるように加え
た後、5000r.p.m.で10分間遠心してから上清液を取り出
した。得られた上清液に5.7Mの塩化セシウム溶液を上清
液と塩化セシウム溶液の比が7:3になるように加えた
後、さらに適量の軽質流動パラフィンを加え35000r.p.
m.で12時間遠心した。遠心後、下層に沈殿しているRNA
ペレットを取り出した。得られたRNAペレットを適量のT
ES溶液(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン;10
mM、エチレンジアミン四酢酸;5mM、ドデシル硫酸ナト
リウム;1%、pH7.4)に溶解した後、エタノ−ル沈殿を
行ってRNAペレットを濃縮・精製した。次に、精製され
たRNAペレットをDEPC溶液(二酸化ジエチル;0.1%)に
溶解した後、m-RNA精製キット(Invitrogen社製、Micro
-FastTrack2.0 Kit)を用いてRNAペレットからmRNAを取
り出した。得られたmRNAを1μg/μlに希釈した後、希釈
液1μlに0.5μg/μlの Oligo dTプライマ(ライフテッ
ク オリエンタル社製)1μlとDEPC溶液5μlを加え70℃
で5分間保温した。次に、得られた溶液5μlにSuperScri
ptIIバッファー(ライフテックオリエンタル社製、Supe
r Script IIReverse Transcriptase)5μl、dNTP mixtu
re (2mM dUTP、 5mM dATP、5mM dGTP、5mM dCTP) 2μ
l、100mMDTT(Dithiothreitol)2μl、40U Rnasin(TOY
OBO社製 Rnase Inhibitor)2.5μl、1mM FluoriLink dU
TP(アマシャムファルマシア社製、FluoroLink Cy5-dUT
P )2μl、及びSSII(ライフテックオリエンタル社製、
Super Script IIReverseTranscriptase)1μlを混合し
た後、42℃で30分間保温した。その後、さらにSSII(ラ
イフテックオリエンタル社製、Super Script IIReverse
Transcriptase)を1μl加え再び42℃で30分保温した。
保温後の溶液にDEPC溶液20μl、0.5Mエチレンジアミン
四酢酸5μl、及び1Nの水酸化ナトリウム水溶液10μlを
加え65℃で60分保温した後、1M のトリス(ヒドロキシ
メチル)アミノメタン緩衝溶液(pH7.5)を25μl加え中
和した。その後、中和したサンプル溶液をMicrocon−30
(Amicon社製)に入れ8000r.p.m.で4分間遠心した後10
〜20μlに濃縮して未反応のdNTPを除去した。得られた
溶液、20×Denhardt,s soution(SIGMA社製)、20×SS
C、及びドデシル硫酸ナトリウムを適量混合し、最終濃
度が100pg/μl核酸タ−ゲット、2×Denhardt,s soutio
n、 4×SSC、0.2%ドデシル硫酸ナトリウムとなるような
ハイブリダイゼーション溶液24.5μlを作成した。次
に、前述の方法で得られたオリゴヌクレオチドアレイと
ハイブリダイゼーション溶液を用いて以下のようなハイ
ブリダイゼ−ション反応を行った。ハイブリダイゼ−シ
ョン溶液を95℃で一分間熱変性した後、スライドガラス
上にハイブリダイゼ−ション溶液を滴下しカバ−ガラス
を乗せた。その後、スライドガラスを40℃の恒温槽内に
12時間放置してハイブリダイゼ−ション反応を行った。
ハイブリダイゼ−ション反応後、20×SSCの10倍希釈液
と10%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液の300倍希釈液との
混合液中にスライドガラスをしてカバ−ガラスをはずし
た後、20×SSCの100倍希釈液でスライドガラスを洗浄し
た。次に、マイクロタイタ−プレ−ト用遠心機を用いて
スライドガラス上の水分を除いた後、マイクロアレイ用
スキャナ−(GSI Lumonics社製 Scan Array 5000)を
用いて11点のスポットの蛍光強度(ハイブリダイゼ−シ
ョンシグナル)とオリゴヌクレオチドプロ−ブが固定化
されていない領域の蛍光強度(バックグランドシグナ
ル)を測定した。各スポットについて、得られたハイブ
リダイゼ−ションシグナルからバックグランドシグナル
を差し引いて各エクソン配列が固定化されているスポッ
トの発現量を求めた。測定結果を表2にまとめて示す。
【0008】
【表2】 HT-29(結腸ガン細胞)ではエクソン11(v6)が成熟mRN
A中に取り込まれているが、同じ結腸ガン細胞のDLD-1で
はエクソン5のスポットでシグナルが見られることからC
D44自身は発現しているもののエクソン6(v1)からエク
ソン15(v10)はシグナルが極端に弱いことからスタン
ダードな成熟mRNAばかりでありvariantは発現していな
いことが分かった。一方、肺ガン細胞(A549)、乳ガン
細胞(MCF7)ではエクソン10(v5)が、子宮ガン細胞
(KLE)ではエクソン10(v5)とエクソン11(v6)が成
熟mRNA中に取り込まれていることが明らかとなった。異
常のように、同じガンとはいっても発生する臓器ごとに
スプライシングが違うこと、また同じ臓器のガンであっ
てもその種類によってスプライシングが違うことが分か
る。したがって、スプライシングの違いから、そのガン
の種類分けに関し有用な知見が得られ臨床診断に有益で
あることが明らかとなった。
A中に取り込まれているが、同じ結腸ガン細胞のDLD-1で
はエクソン5のスポットでシグナルが見られることからC
D44自身は発現しているもののエクソン6(v1)からエク
ソン15(v10)はシグナルが極端に弱いことからスタン
ダードな成熟mRNAばかりでありvariantは発現していな
いことが分かった。一方、肺ガン細胞(A549)、乳ガン
細胞(MCF7)ではエクソン10(v5)が、子宮ガン細胞
(KLE)ではエクソン10(v5)とエクソン11(v6)が成
熟mRNA中に取り込まれていることが明らかとなった。異
常のように、同じガンとはいっても発生する臓器ごとに
スプライシングが違うこと、また同じ臓器のガンであっ
てもその種類によってスプライシングが違うことが分か
る。したがって、スプライシングの違いから、そのガン
の種類分けに関し有用な知見が得られ臨床診断に有益で
あることが明らかとなった。
【0009】
【発明の効果】本発明は、上記スプライシングに関する
検討結果をもとに完成されたものであって、本発明のオ
リゴヌクレオチドアレイを用いることで、ゲノム上の遺
伝子配列の転写から成熟mRNAが形成される過程でどのよ
うにイントロンが除去されエクソンがつながり成熟mRNA
が形成されるかを、網羅的に数多くの遺伝子に対して簡
便に調べることができる。さらに、疾病患者の病理組織
あるいは細胞中における遺伝子の選択的スプライシング
を調べてその異常を簡便に検出できることから、疾病と
スプライシング異常との関連性データベースを基に、疾
病の種類や進行度などを調べる臨床・診断に用いること
ができる。
検討結果をもとに完成されたものであって、本発明のオ
リゴヌクレオチドアレイを用いることで、ゲノム上の遺
伝子配列の転写から成熟mRNAが形成される過程でどのよ
うにイントロンが除去されエクソンがつながり成熟mRNA
が形成されるかを、網羅的に数多くの遺伝子に対して簡
便に調べることができる。さらに、疾病患者の病理組織
あるいは細胞中における遺伝子の選択的スプライシング
を調べてその異常を簡便に検出できることから、疾病と
スプライシング異常との関連性データベースを基に、疾
病の種類や進行度などを調べる臨床・診断に用いること
ができる。
【図1】本発明の概念を示す図。
【図2】本発明の概念を示す図。
【図3】CD44遺伝子のエクソン構成を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 37/00 102 C12N 15/00 ZNAF Fターム(参考) 4B024 AA11 AA19 AA20 CA02 HA14 4B029 AA07 AA23 FA15 4B063 QA01 QA19 QQ08 QQ43 QR08 QR33 QR56 QR66 QS25 QS34 QS39 QX02
Claims (3)
- 【請求項1】塩基配列の異なる複数のオリゴヌクレオチ
ドを、支持体上の既知の異なる位置に固定化したアレイ
であって、一つの位置には一種類のエクソンの配列を有
するオリゴヌクレオチドが固定化されていることを特徴
とするオリゴヌクレオチドアレイ。 - 【請求項2】塩基配列の異なる複数のオリゴヌクレオチ
ドを、支持体上の既知の異なる位置に固定化したアレイ
であって、ゲノム上の一つの遺伝子配列領域に含まれる
各エクソンと各イントロンの塩基配列を有するオリゴヌ
クレオチドを、それぞれ異なる位置に固定化したことを
特徴とするオリゴヌクレオチドアレイ。 - 【請求項3】塩基配列の異なる複数のオリゴヌクレオチ
ドを、支持体上の既知の異なる位置に固定化したアレイ
を用いることで、遺伝子のスプライシングを検出する、
スプライシングの検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001021021A JP2002223760A (ja) | 2001-01-30 | 2001-01-30 | オリゴヌクレオチドアレイ及びスプライシングの検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001021021A JP2002223760A (ja) | 2001-01-30 | 2001-01-30 | オリゴヌクレオチドアレイ及びスプライシングの検出方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002223760A true JP2002223760A (ja) | 2002-08-13 |
Family
ID=18886641
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001021021A Pending JP2002223760A (ja) | 2001-01-30 | 2001-01-30 | オリゴヌクレオチドアレイ及びスプライシングの検出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002223760A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100772897B1 (ko) | 2006-05-02 | 2007-11-05 | 삼성전자주식회사 | 향상된 잡음률을 나타내는 올리고머 프로브 어레이 및 그제조 방법 |
WO2008111464A1 (ja) * | 2007-03-05 | 2008-09-18 | Eisai R & D Management Co., Ltd. | スプライシング異常を指標とする抗ガン剤の作用検定方法 |
-
2001
- 2001-01-30 JP JP2001021021A patent/JP2002223760A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100772897B1 (ko) | 2006-05-02 | 2007-11-05 | 삼성전자주식회사 | 향상된 잡음률을 나타내는 올리고머 프로브 어레이 및 그제조 방법 |
US8546130B2 (en) | 2006-05-02 | 2013-10-01 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Oligomer probe array with improved signal-to-noise ratio fabrication method thereof |
WO2008111464A1 (ja) * | 2007-03-05 | 2008-09-18 | Eisai R & D Management Co., Ltd. | スプライシング異常を指標とする抗ガン剤の作用検定方法 |
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