JP2002223102A - 付加回路接続型フィルタ回路及びそれを用いた高周波フロントエンド回路 - Google Patents

付加回路接続型フィルタ回路及びそれを用いた高周波フロントエンド回路

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JP2002223102A
JP2002223102A JP2001016352A JP2001016352A JP2002223102A JP 2002223102 A JP2002223102 A JP 2002223102A JP 2001016352 A JP2001016352 A JP 2001016352A JP 2001016352 A JP2001016352 A JP 2001016352A JP 2002223102 A JP2002223102 A JP 2002223102A
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filter
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filter circuit
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Kunio Tochi
邦生 土地
Kiyoshi Mizushima
清 水島
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Nikko Co Ltd
Nikko KK
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Nikko Co Ltd
Nikko KK
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Abstract

(57)【要約】 【解決課題】 高周波フィルタ回路における特性の改
善及び小型で消費電力の小さい高周波フロントエンド回
路の提供。 【解決手段】 フィルタ回路の入出力ポートのそれぞ
れに、フィルタ特性を改善するための同一構成の付加回
路を接続したことを特徴とする付加回路接続型フィルタ
回路及びこれを用いたフロントエンド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波帯域におい
て有用なフィルタ回路及びそれを用いた高周波フロント
エンド回路に関する。
【0002】
【従来技術】携帯電話機等の通信端末には、送受信信号
を分けるためのデュプレクサが用いられ、現状では、小
型化及び高性能化の要請から表面弾性波素子(SAW)
を用いたフィルタが多く用いられている。これは図2
(a)に示すように、伝送線路を分岐させて中心周波数
の異なる表面弾性波素子(SAW)を並列に設けたもの
である。分波するべき周波数をF1とF2とした場合、一
方のSAW(例えば、SAW1)はF1を通過させF2
阻止し、他方のSAW(例えば、SAW2)はF2を通過
させF1を阻止する。
【0003】しかし、現実にこの条件を満たすために
は、図2(b)に示すようにSAWの前段にインピーダ
ンス整合回路を設ける必要がある(例えば、特開平5−
167389号参照)。しかし、インピーダンス整合回
路は挿入損失の増大や帯域外減衰量の劣化等の問題を招
く。この問題を解決するべく種々の方法が提案されてい
るが(例えば、前記公報の他、特開平5−167388
号、特許第2905094号等)、未だ十分な解決とは
なっていない。
【0004】また、実際には、F1とF2とは幅を有する
帯域であるので帯域幅の縁部における急峻性も必要とな
る。SAWフィルタではSAW共振子の縦列接続を増や
すことにより高い急峻性が得られるが、縦列接続数の増
大はフィルタ寸法及び許容電力の低下につながる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解消を課題とするものであり、
無線通信端末等に用いる高周波フィルタ回路において、
挿入損失の増大等の特性の劣化を招くことなく帯域外減
衰量、急峻性等の特性改善を実現するフィルタ回路の提
供を目的とする。また、本発明は、各種の携帯電話方式
において上記フィルタを構成要素とすることにより、小
型で消費電力の小さいフロントエンド回路の提供を目的
とする。
【0006】
【課題解決の手段】従来技術欄で例として挙げたSAW
デュプレクサのように、フィルタ回路の一方のポートに
特性改善のための回路を付加する構成は既知である。し
かし、付加回路の付設によりある特性が改善されても、
挿入損失の増大等の他の特性の劣化を招くため、入出力
ポートの両側に付加回路を設ける構成は考えられていな
かった。本発明者らは、フィルタ回路の入出力ポートの
双方に付加回路を対称的に接続することにより、かかる
問題を生じることなく目的とする特性改善を実現できる
という予想外の知見を得て本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の高周波フィルタ回路及びこ
れを用いた高周波回路用フロントエンドを提供する。
【0007】(1) フィルタ回路の入出力ポートのそ
れぞれに、フィルタ特性を改善するための同一構成の付
加回路を接続したことを特徴とする付加回路接続型フィ
ルタ回路。 (2) フィルタ回路の入力ポートに接続される付加回
路と出力ポートに接続される付加回路の構成が回路素子
の定数まで含めて同一である前記1に記載の付加回路接
続型フィルタ回路。
【0008】(3) 前記付加回路が、伝送線路間また
は伝送線路上に直列若しくは並列に設けられたキャパシ
タ及び/若しくはインダクタからなる付加回路、若しく
はこれらのいずれかと等価な分布定数回路またはこれら
の回路の2以上の組み合わせである前記1または2に記
載の付加回路接続型フィルタ回路。 (4) 前記フィルタ回路が平衡型回路であり、かつ、
付加回路が、各伝送線路について往路と復路に対称的に
回路素子を設けることにより平衡化された回路である前
記1乃至3のいずれかに記載の付加回路接続型平衡型フ
ィルタ回路。
【0009】(5) 前記フィルタ回路が、誘電体共振
器(DRO)を含むフィルタ回路、表面弾性波素子(S
AW)を含むフィルタ回路、または圧電フィルタを含む
フィルタ回路のいずれかである前記1乃至4のいずれか
に記載の付加回路接続型フィルタ回路。 (6) 異なる周波数帯域を通過または阻止するのに適
合した複数のSAWフィルタを共通線路に接続して構成
したSAWデュプレクサにおいて、少なくとも1つのS
AWフィルタ回路の入出力ポートに前記1乃至4のいず
れかに従い付加回路を設けたことを特徴とするSAWデ
ュプレクサ。
【0010】(7) 伝送線路上に、DROを有する複
数の側路とそのDROの少なくとも1つと並列にキャパ
シタ手段を設け、(1)前記キャパシタ手段の容量を可変
とするか、(2)前記キャパシタ手段を切替え可能な複数
のキャパシタで構成するか、(3)伝送線路の一部を複数
の経路に分岐させて各経路の側路にそれぞれ異なる容量
のキャパシタを設けて前記キャパシタ手段とし、(a)
(1)においてはキャパシタ手段の容量を変更し、(b) (2)
においてはキャパシタを切り替え、(c) (3)においては
前記経路を切り替えることにより通過帯域または阻止帯
域を切替え可能とした帯域可変DROフィルタにおい
て、帯域可変DROフィルタ回路の入出力ポートに前記
1乃至4のいずれかに従い付加回路を設けたことを特徴
とする帯域可変DROフィルタ。
【0011】(8) アンテナへの入出力部近傍におけ
る帯域制限手段が、前記1乃至5のいずれかの付加回路
接続型フィルタを含む高周波フロントエンド回路。 (9) アンテナへの入出力部近傍における帯域切替手
段が、前記6のSAWデュプレクサまたは前記7の帯域
可変BPFにより構成され、これにより、同一の信号多
重化方式における複数の受信周波数帯域間での切替え、
または複数の信号多重化方式におけるそれぞれの受信周
波数帯域間での切替えを行ない、かつ、いずれの帯域に
おいても受信時のイメージ信号を実質的に抑圧する高周
波フロントエンド回路。 (10) 複数の帯域を切り換えて使用するマルチバン
ド携帯電話機または複数の信号多重化方式を含む携帯電
話機に用いる前記9に記載の高周波フロントエンド回
路。
【0012】
【発明の実施の態様】(A)フィルタ回路 本発明の付加回路接続型フィルタ回路は、図1に示すよ
うに、フィルタ回路の入出力ポートのそれぞれに、フィ
ルタ特性を改善するための同一構成の付加回路を接続し
たことを特徴とする。
【0013】本発明で用いることのできる付加回路は、
フィルタ特性を改善するための付加回路であれば限定さ
れない。例えば、インピーダンス整合回路、位相整合回
路、急峻性や帯域外減衰量を改善するための回路等が含
まれる。具体的な回路構成としては、伝送線路間または
伝送線路上に直列または並列に設けられたキャパシタ及
び/若しくはインダクタからなる回路、並びにこれらの
いずれかと等価な分布定数回路を含む。典型的な付加回
路の例を図3に記載した。
【0014】図中、上下の水平線は伝送線路を表わす。
例えば、(A-1)は側路に開放及び短絡のDROを設けた
不平衡型かつ分布定数型の付加回路、(A-2)は側路にキ
ャパシタCとインダクタLを設けた不平衡型かつ集中定数
型の付加回路、(A-3)は側路に開放及び短絡の平行平板
型DROを設けた平衡型かつ分布定数型の付加回路、(A
-4)は側路にキャパシタCとインダクタLを設けた平衡型
かつ集中定数型の付加回路である。(B)〜(G)も同様であ
り、(D)では伝送線路にDRO等を設けている。(C)、
(F)及び(G)は特性インピーダンスの調整に有用である。
本発明ではいずれも使用できる。
【0015】本発明において、入出力ポートの両側に同
一構成の付加回路を設けるとは、フィルタ回路の入出力
ポートの両側に機能の等しい付加回路を設けることを意
味する。例えば、図3に例示した同一グループ(A〜
E)の構造の付加回路を設ける。これらの回路は2以上
を組み合わせて使用してもよいが、この場合、フィルタ
回路を中心として対称的な構成とすることが重要であ
る。例えば、図1において(B-2)と(D-2)との組み合わせ
からなる付加回路を設ける場合、左側の付加回路を(D-
2)+(B-2)とするのであれば右側の付加回路は(B-2)+(D
-2)とする。
【0016】平衡−不平衡入出力型のSAWフィルタ等
では、入力ポートと出力ポートで互いに異なる伝送モー
ド(平衡・不平衡)の付加回路を用いることになるが、
通常は伝送モード、集中定数型・分布定数型の区別まで
含め同一種類の付加回路を接続することが好ましい。ま
た、入出力ポートの一方の付加回路を構成する回路素子
(インダクタL,キャパシタC,誘電体共振器DRO)
の定数や特性(例えば、インダクタンス、キャパシタン
ス、誘電体共振器の共振長等)は、他方の付加回路を構
成する回路素子と必ずしも同一でなくてもよいが、両者
の値や特性をより近い値や特性とすることが好ましく、
回路素子の定数まで含めて同一とすることがより好まし
い。
【0017】本発明が適用されるフィルタ回路は特に限
定されない。SAWフィルタ、DROフィルタ、積層型
LCフィルタのいずれでもよい。圧電フィルタその他の
フィルタ(例えば、特開2000-332568号等のバルク音波
共振器を含むフィルタ)でもよい。また、フィルタ回路
は帯域通過フィルタ(BPF)、帯域阻止フィルタ(B
EF)、低域通過フィルタ(LPF)、高域通過フィル
タ(HPF)のいずれでもよい。
【0018】さらにまた、これらのフィルタを複数含
み、そのうちの少なくとも一つを本発明に従い付加回路
を対称接続したフィルタ回路とした高周波回路も含まれ
る。例えば、図2(c)は本発明に従い構成したSAW
デュプレクサである。受信側のSAWフィルタのみに本
発明を適用してもよいし(実線)、送受信双方のSAW
フィルタに本発明を適用してもよい(実線・破線)。S
AWフィルタの構造は特に限定されず、例えば、ラダー
型、DMS型等の種々の構造が含まれる。従来のラダー
型SAWフィルタは急峻性には優れるものの最大減衰量
が不十分であるという問題があったが、本発明に従い付
加回路を対称接続したSAWフィルタでは、挿入損失の
増大をほとんど伴うことなく帯域縁部での減衰量が70
dB以上まで改善される。
【0019】DROフィルタの構成も特に限定されない
が、以下に本発明が好適に適用されるDRO−BPFの
例を挙げる。図4に示すBPF回路は、伝送線路上に誘
電体共振器(DRO)を含む側路を設けてなるフィルタ
回路であって、前記側路の少なくとも1段にDROと並
列にキャパシタ手段を有する。図ではm段の各段にDR
O1〜DROmを配置し、それぞれと並列に並列キャパシ
タ手段C1〜Cmを接続した例を示した。各段は、キャパ
シタ手段Cc2〜Ccmを介して結合されている。また、図
示するように、側路上のDROがその端子部において2
分岐された接点を介して伝送線路に挿入されることによ
って伝送線路に直接に接続された構造とすることが好ま
しい(以下のDRO−BPF及びその変形例でも同様で
ある。)。
【0020】上記のBPF回路は本発明者らがPCT/JP00
/00466(WO00/45459号)で提案したものである。また、上
記の特異な端子構造は、本発明者らがPCT/JP99/07395(W
O00/39881号)で提案したものである。従来のDRO端子
では、内導体から1本の金属線が引き出され伝送線路に
接続されていたが、本発明で用いるBPF回路では、図
5に示すようにDROの開放端面から2本の端子として
引き出し、それぞれを伝送線路に接続することにより形
成される構造を有する。
【0021】図5では角型のDROについて図示した
が、本発明で用いるDROは、角型でもよいし円筒形状
でもよい。後述の平行平板型誘電体共振器でもよい。線
路端は短絡でも開放でもよく、DRO当りの共振線路数
に制限はない。また、TEM波が伝搬する分布定数線路
を含む。例えば、マイクロストリップライン線路でもよ
い。マイクロストリップライン線路を用いた場合、誘電
体線路端部の両側に電極パッドを設け、これを伝送路の
一部とすることにより図5に相当する端子構造とするこ
とができる。かかる構造を用いることにより、通常の端
子構造を採った場合には不可避的に存在する端子部イン
ダクタンスが伝送線路に移行する。この結果、従来のD
RO型BPFでは実現できない優れた特性が得られる。
キャパシタについても同様の端子構造をとってもよい。
【0022】DRO-BPF回路は帯域可変回路とする
こともできる。これは図4の基本構造におけるキャパシ
タ手段を、可変容量ダイオードまたは切り替え可能な複
数個のキャパシタのセットとしたものである。あるい
は、図6〜8に図示するように、伝送線路上に、誘電体
共振器(DRO)を含む側路とキャパシタを含む側路を
1組以上有するフィルタ回路であって、当該伝送線路の
一部として切り替え可能な複数の線路を有する回路であ
る。これらの線路はいずれか1つが選択されて伝送の際
の経路となる。
【0023】上記の説明では、いずれの経路においても
DROを含む側路全部に対応してキャパシタンスを設け
た帯域固定BPF回路及び帯域可変BPF回路の例を示
したが、DROのうち一部にのみ対応させて並列キャパ
シタを設けてもよい。
【0024】並列キャパシタはフィルタの用途にもよる
が、一般には0.5pF以上、好ましくは1pF以上、
より好ましくは約3pF以上とする。下限値未満では、
BPFの中心周波数のシフト量はわずかであり(GHz
帯域で高々十数MHz程度)、低周波化の意味が乏し
い。また、後述する帯域外減衰量等の改善効果が十分に
得られない。上限値は特に限定されない。基本的には4
0MHz以上、好ましくは100MHz以上、より好ま
しくは200MHz以上、さらに好ましくは500MH
z以上のシフト量を実現する容量値で本発明の効果が十
分に示される。個々の並列キャパシタはどのように形成
してもよいが、より有効に本発明の効果を得るために、
DROの外部に別個の素子として設ける。例えば、DR
O搭載基板上にキャパシタとして搭載するか、DRO搭
載基板に積層キャパシタ用積層基板を適用してキャパシ
タを内層化する。
【0025】上記構造の帯域可変型BPFは、適当な制
御手段と組み合わせて精巧な帯域切換制御を行なうこと
が可能である。具体的には、帯域外減衰量が大きく各段
において異なる仕様のDRO及び並列キャパシタを用い
ることにより、従来の同一仕様のDROによる帯域可変
型BPFでは実現できない特性を得ることができる。例
えば、高調波の高周波化またはBPF各段のアドミタン
スの調整によりスプリアスの抑圧が実現される。
【0026】高調波の高周波化は、本発明で用いるDR
O型BPF回路に特有の現象であり、BPFの中心周波
数F0に対する高調波の周波数F0′の比は、並列キャパ
シタの容量を増すことにより大きくなる。すなわち、大
容量の並列キャパシタを用いることにより高調波は高周
波化される。電力増幅器で抑圧するべきスプリアスの周
波数がFs2、Fs3、Fs4、・・・である場合、通常は、
Fsx(x=3)までを抑圧すれば十分であるので、Fsx
<F0′となるような条件を満たせばよい。
【0027】スプリアスの抑圧は、BPF各段のアドミ
タンスの調整により行なうこともできる。すなわち、フ
ィルタ各段において高調波が打ち消し合うようにDRO
及び並列キャパシタを用いることにより、Fsx以下の周
波数での高調波特性を打ち消せば実質的に無高調波のア
ンテナフィルタとなる。帯域外減衰量の調整やフィルタ
の急峻性の改善も同様に実現することができる。
【0028】DRO及び並列キャパシタの容量は、上記
の条件によって決定されるが、さらに、回路に対称性を
付与する条件を加えることが好ましい。具体的には、図
6〜8の回路において、結合キャパシタについて、Cc
F=CcL、CcA1=CcA(α+1)、CcA2=CcAα、C
cA3=CcA(α-1)等〔一般式ではCcAk=CcA(α+2-
k)〕とし、並列キャパシタについて、CA0=CA(α+
1)、CA1=CAα、CA2=CA(α-1)等〔一般式ではC
k=Cm+1-k〕とすることにより対称的な回路構成となる
(なお、kは奇数段の回路では1以上(α+1)/2以下の整
数、偶数段の回路では1以上α/2以下の整数)。線路B
〜Pについても同様である。この条件を満たすBPFで
は特性が大きく改善されるという効果が得られる。
【0029】また、各段に異なった仕様のDROを用い
れば、極の周波数は任意に設計できる。従って、帯域外
減衰量の調整やフィルタの急峻性の改善を実現すること
ができる。
【0030】本発明においてDROは、角型でもよいし
円筒形状でもよい。後述の平行平板型誘電体共振器でも
よい。線路端は短絡でも開放でもよく、DRO当りの共
振線路数に制限はない。また、TEM波が伝搬する分布
定数線路を含む。例えば、マイクロストリップライン線
路でもよい。マイクロストリップライン線路を用いた場
合、誘電体線路端部の両側に電極パッドを設け、これを
伝送路の一部とすることによりDROの端子インダクタ
ンスを側路から伝送路に移すことができる。
【0031】本発明では平行な2枚の導体板により誘電
体を挟持した構造が、誘電体共振器として有用である。
両極版を(直流的に)絶縁した先端開放型、接続した先
端短絡型のいずれでもよい。このような構造は、従来、
誘電体共振器としては用いられていない。
【0032】平行平板による誘電体共振器(本明細書に
おいて「平行平板型誘電体共振器」という。)は、以下
の特長を有する。
【0033】第一に、平行平板型誘電体共振器は、大き
な特性インピーダンスが得易く、フィルタの急峻性を改
善できる。すなわち、Z0を大きくすることによりフィ
ルタ回路の急峻性は改善され得るが、同軸型DROでは
実用的な特性インピーダンスZ0は10Ω以下であり特
性改善に限界があった。同軸型DROにおいても、外径
を大きくするか内径を小さくすることによりZ0を10
Ω以上とすることは不可能ではないが、外径を大きくす
ると小型化の要請に反し、内径を小さくするのは製造技
術及びコストの上で問題がある。このため、現実にはD
ROのZ0によるフィルタの急峻性改善に限界があっ
た。これに対し、平行平板型誘電体共振器では10Ω以
上のZ0が容易に得られる。誘電率40程度の誘電体を
用いれば40Ω以上も可能である。
【0034】第二に、平行平板型誘電体共振器は、両面
に電極を付与した適当な長さの誘電体基板を切断するだ
けで製造できるので大量生産が容易である。また、特性
調整が不要である。さらに、基板に直接に搭載できるの
で端子も不要となる。
【0035】第三に、平行平板型誘電体共振器を用いる
ことにより、フィルタ回路を平衡型とすることが可能で
ある。すなわち、一般に、2つの高周波線路またはデバ
イスを接続する場合には、その接続点で、特性インピー
ダンスが同一であるだけでなく、電磁界の分布も同一で
なければならない。現在、低電圧で駆動し広いダイナミ
ックレンジと高いゲインとを実現する平衡型の電力増幅
器、低雑音増幅器(LNA)及び混合器が実用化されつ
つある。高周波回路(携帯電話機送・受信器など)の平
衡化で、電源スイッチ、負電圧発生用DC/DCコンバ
ータ等のMMICを不要とした回路構成が可能であり、
携帯電話機送・受信器の大幅な小型化と低価格化を実現
する。平衡型高周波回路は次世代の高周波回路技術とし
て有力で、ここに適用されるBPFも平衡化が必要とな
る。ところが、平衡型のSAWフィルタは設計が難しく
高価である。平衡―不平衡変換回路を適用して不平衡型
SAWフィルタの電磁界モードを平衡型に変換し、平衡
型高周波回路に適用することも可能であるが、携帯電話
機ではSAWフィルタは5〜7個も使用される。従っ
て、この方法では、平衡型高周波回路の小型化・低価格
化を阻害し実用性が乏しくなる。
【0036】この解決には、回路構成の全体を平衡化す
ることである。不平衡型のDROを平行平板型DROの
ような平衡型構造のDROに置き換え、各線路が両線路
で対称となるように、すなわち、伝送線路が往路と復路
で同一となるように回路素子を設ける。なお、数十MH
zを超える帯域シフト量とするためには、前記と同様に
DROの端子部のインダクタンスを伝送路に移行する必
要がある。
【0037】平行平板型誘電体共振器の寸法は特に限定
されないが、フィルタ全体の小型化を図る上では、厚さ
(極板間距離)1mm以下、幅1〜10mm、長さ1〜
10mm程度、好ましくは厚さ0.5mm以下、幅1〜
5mm、長さ1〜5mm程度が好ましい。平行平板型誘
電体共振器は、長さ方向において幅を連続的に変化させ
てもよい。これにより、特性インピーダンスZ0が幅方
向に連続的に変化した特異なDROが得られる。インピ
ーダンス連続変化型の平行平板型誘電体共振器を用いる
ことにより、高調波の抑圧が可能である。
【0038】誘電体材料及び極板材料は、それぞれ、従
来の同軸型DROで使用されている材料が利用できる。
また、誘電体基板への電極付与は、厚膜印刷、薄膜形成
等の既存の導体層付与方法により行なうことができる。
【0039】なお、以上において、携帯端末と関連付け
て本発明の帯域可変型BPFを説明してきたが、本発明
の帯域可変型BPFは数百MHz〜十数GHzの範囲で
有効であり、携帯端末のフロントエンドへの適用のみな
らず、高周波回路あるいは中間周波数帯一般に帯域可変
型BPFとして有用である。
【0040】(B)高周波フロントエンド回路 本発明を帯域制限手段や帯域切替手段に用いることによ
り、挿入損失増大等の特性劣化を伴うことなく帯域外減
衰量や急峻性等の諸特性を改善することができる。この
ため、本発明は、高周波フロントエンド、特に携帯端末
用のフロントエンドとして従来にない構成を提供する。
例えば、従来技術のフロントエンドでは、電力増幅器
(PA)で発生するスプリアスを除去するために送信側
からみてアンテナの前段にLPFをが不可欠である。ま
た、受信側ではSAWフィルタを多段に設ける必要があ
った。しかし、本発明による帯域可変型BPF等を用い
ることによりかかるLPFを不要とすることが可能であ
る。また、本発明によれば、受信時におけるイメージ信
号の抑圧が可能であり、SAWの多段構成は不要とな
る。
【0041】このように、本発明が適用可能なフロント
エンド回路の例としては、ADC、US−PCS、K−
PCS等のCDMA方式、GSM、EGSM、AMP
S、DCS、PDC800、PDC1500等のTDM
A方式の携帯電話のフロントエンドが挙げられる。ま
た、W−CDMA及びcdma2000等の広帯域CD
MAでは、本発明のフロントエンド回路は特に有効であ
る。
【0042】また、これらの方式の組み合わせであるマ
ルチモード方式やこれらとPHSあるいはDECT等と
を組み合わせた携帯電話システム用のフロントエンドと
しても有用である。例えば、GSMとDCS等のTDM
A方式を2つ組み合わせたデュアルモード携帯電話用の
フロントエンド構成、GSM/DCS/US−PCS、
その一つをW−CDMAで置換したトリプルモードCD
MA用のフロントエンド構成が挙げられる。
【0043】さらに、中間周波数(IF)への変換を必
要としないダイレクトコンバージョン(及び低IF方
式)でも本発明は適用可能である。本発明では受信用段
間フィルタが省略できるため、受信感度の改善が期待で
きる。このため、ダイレクトコンバージョンでも好適に
適用できる。
【0044】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより具体的に
説明する。なお、以下の各例のいずれにおいても、DR
O−BPFは端子インダクタンスを伝送線路に移した回
路を用いている。
【0045】実施例1 図9(a)に示すように、同一仕様のDROを用いた2
段構成のDRO−BPFを構成し、DCS受信波(1805
〜1880MHz)用のフィルタ回路として適合するように各
回路素子のパラメータを下表のように設定した。DRO
1とDRO2は同一仕様(下表)のものを用いた。
【0046】
【表1】
【0047】また、図9(a)に示すDRO−BPF回
路において、図3(D-2)の付加回路を出力ポートに設け
高周波側に極を設けたフィルタ回路を構成した〔図9
(b)〕。キャパシタCは0.24pF、インダクタL
は6.6nHである(コイル寸法:φ1mm)。これら
の回路の通過帯域特性及び高調波特性をそれぞれ図10
(a)と(b)に示す。
【0048】図10に示すように、フィルタ回路のみの
構成(図中I)と比較し、有極性付与回路の接続例(図
中II)では高周波側の帯域外減衰量に大きな改善が見ら
れるが、通過帯域での挿入損失が増大している。後者に
おいて回路素子のパラメータを変更して特性改善を試み
たが、基本的にIとIIの中間の特性が得られるだけであ
り、帯域外減衰量と挿入損失は一方を改善すれば他方が
劣化する関係にあることが確認された。
【0049】次に本発明に従いフィルタ回路の入出力ポ
ートのそれぞれに図3(D-2)の付加回路を接続したフィ
ルタ回路を構成した〔図9(c)〕。キャパシタCA及
びCBは図9(b)のキャパシタCと、インダクタLA及び
LBは図9(b)のインダクタLとそれぞれ同一である。パ
ラメータを変更した数例の試行例のうちから最も特性の
優れた回路の高周波特性を図10に符号IIIで示し、各
回路素子のパラメータを下表に示す。
【0050】
【表2】
【0051】図10に示す通り、本発明に従い付加回路
を対称接続した場合には、挿入損失、帯域縁部における
急峻性及び帯域外減衰量が同時に改善されるという顕著
な効果が得られている。
【0052】実施例2 実施例1の図9(a)と同様な2段構成のDRO−BP
Fにおいて、本発明に従いフィルタ回路の入出力ポート
のそれぞれに図3(B-2)の付加回路を接続したフィルタ
回路を構成した。キャパシタの容量値は入力ポート側、
出力ポート側ともに10pFとした。他の回路素子のパ
ラメータを変更した試行例のうちから最も特性の優れた
回路の高周波特性を図11に符号IVで示す。図中の符号
Iは図9(a)の回路による高周波特性である。
【0053】
【表3】
【0054】図11に示す通り、本発明に従い付加回路
を対称接続した場合には、挿入損失、帯域縁部における
急峻性及び帯域外減衰量が同時に改善されるという顕著
な効果が得られている。
【0055】実施例3 本例では本発明を帯域可変型BPFに適用した例を示
す。図12に示す通り、帯域可変型DRO−BPFを組
み合わせたCdmaone用デュプレクサを構成した。図中、
(a)が送信側回路(Tx)、(b)が受信側回路(R
x)であり、スイッチによりLow⇔Highを切り替える。T
x、Rxのいずれも図3(B-2)の付加回路を出力ポートに
のみ接続した(非対称接続)。また、本発明に従い前記
付加回路を入出力ポートそれぞれに接続した対称接続型
回路も構成した(図示していない。)。非対称接続、対
称接続のいずれにおいても、外径寸法:□2×φ0.7
×L6.0(mm)、Er:82、Z0:8.55[Ω]のD
ROを用いた。なお、本発明によるCdmaone用デュプレ
クサの特性例を表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】これらのCdmaone用デュプレクサの特性を
図13(Tx)と図14(Rx)に示す。図中、(a)通過
帯域特性、(b)遅延特性、(c)定在波比、(d)高調波特性
である。太線は付加回路を入出力ポートに対称接続した
例であり、細線は付加回路を出力ポートにのみ接続した
例である。
【0058】これらの図に示すように、片側ポートにの
み付加回路を接続した場合には挿入損失の増大が顕著で
ある。これに対し、入出力ポートの双方に同一の回路素
子からなる付加回路を接続した本発明の例では挿入損失
の劣化を最小限に抑えつつ、帯域外減衰量を大きく改善
できることが確認された。
【0059】実施例4 本例では付加回路を構成する回路素子定数の対称性と特
性との関係について検討した。
【0060】図15(a)に示すように、本発明に従い
付加回路を対称接続してCdmaone用デュプレクサの受信
側(Rx)の回路に相当する回路を構成した。入力側付
加回路のキャパシタは10pFで固定し、出力側付加回
路のキャパシタCは4pF、6pF、8pF及び10p
Fの4つの値について検討した結果、キャパシタCが4
pFでは挿入損失は2dB以上であり帯域内での平坦性が
著しく劣っていた。6〜8PFで挿入損失は1dB前後と
なり、10pFでは1dB未満であった。帯域外減衰量
その他の特性も、キャパシタCの容量が10pFに近づ
き回路全体の対称性が増すに連れ改善されることが確認
された。
【0061】さらに、図15(b)に示すように、本発
明に従い付加回路を対称接続してCdmaone用デュプレク
サのRxに相当する回路を構成した。但し、入力側付加
回路のキャパシタは10pFとし、出力側付加回路のキ
ャパシタC2は4pF、6pF、8pF及び10pFの
4つの値について検討した。
【0062】キャパシタC2のそれぞれの値について、
図中のC1について容量値を変更して最適な回路特性を
得ることができるか否かについて調べた結果、図15
(a)の場合と同様に回路の対称性が増すに連れ特性の
最適化(特に通過帯域特性の平坦化)が可能となるが、
C2が4pFの場合には、C1の値をどのように変えても
通過帯域特性の平坦性が実現できなかった。
【0063】実施例5 本例では本発明を帯域可変型BPFに適用した別の例を
示す。図16に示す通り、本発明に従い付加回路を対称
接続してCdmaone用デュプレクサを構成した。付加回路
は実施例4と同様に図3(B-2)の付加回路とした。このC
dmaone用デュプレクサの特性を図17〔(a)通過帯域特
性、(b)遅延特性、(c)定在波比、(d)高調波特性〕に示
す。
【0064】実施例6 本例では本発明をSAWフィルタに適用した例を示す。
SAWフィルタは中心周波数が903MHz(SAW1)
と中心周波数が927MHz(SAW2)の2種類を用意
し、側路に対して並列にキャパシタを設ける付加回路
(図3(B-2))とインダクタを設ける付加回路(図3(D-
2))をSAWを中心に対称的に接続した。
【0065】SAW1とSAW2について、キャパシタの
容量値を変化させた結果をそれぞれ図18と図19
〔(a)通過帯域特性、(b)反射特性、(c)高調波特性〕に
示す。キャパシタの接続がないときと比較して、SAW
1とSAW2の試料はともにF0±300MHz付近の減衰量
が改善されている。スーパ・ヘテロダイン方式の携帯電
話受信機ではこの付近がイメージ信号周波数であるの
で、側路キャパシタの接続はイメージ減衰量の改善に効
果的であることがわかる。
【0066】また、SAW1とSAW2について、付加回
路のインダクタンスを変化させた結果をそれぞれ図20
と図21〔(a)通過帯域特性、(b)反射特性、(c)高調波
特性〕に示す。インダクタの接続がないときと比較し
て、SAW1とSAW2の試料はともに3×F0付近の減
衰量が改善されている。従って、かかる付加回路の接続
は、高周波フロントエンドの構成上、送信時に電力増幅
器で発生する不要波(スプリアス)の減衰に効果的である
ことがわかる。
【0067】このため、付加回路(D-2)を接続したSA
Wフィルタは電力増幅器(PA)と混合器(MIX)と
の間に挿入して用いる送信用段間フィルタとして有用で
ある。現状において、Tx用段間フィルタとしてSAW
フィルタの適用が一般的であるが、従来のSAWフィル
タではスプリアス(2×F0及び3×F0)は抑圧できな
い。それ故、スプリアスの抑圧用としてアンテナとPA
との間に送信用フィルタが挿入されている。しかし、(D
-2)を接続したSAWフィルタでは実質的な無高調波特
性が得られるので、これを送信用段間フィルタに用いれ
ばスプリアスは送信用段間フィルタで抑圧されて送信用
フィルタは不要となる。送信用フィルタの省略は携帯電
話機の通話時間の延長に有効である。
【0068】さらに、キャパシタ接続及びインダクタ接
続それぞれの特長から、図2(c)の回路において、T
x用SAWフィルタには伝送線路にインダクタを設ける
付加回路(図3(D-2))を対称接続し、Rx用SAWフィ
ルタには側路キャパシタを設ける付加回路(図3(B-
2))を対称接続すれば、良好な特性を有するSAWデュ
プレクサが構成できる。なお、いずれの付加回路も積層
パッケージへの内層化が容易である。
【0069】なお、この実施例では、付加回路を接続す
る前のSAW自体において急峻性が高いため、付加回路
接続による急峻性の改善効果は目立たないものとなって
いる。一般にSAWフィルタにおける高い急峻性はSA
W共振子の縦列接続の多段化により実現されているが、
SAW共振子の縦列接続数の増大は許容電力の低下を招
く。SAWフィルタの許容電力の改善は未だ解決されな
い大きな技術課題であり、本発明に従い側路インダクタ
を設ける付加回路(図3(B-2))を対称接続すれば縦列
接続数を減じても送受信波の分離が可能なSAWデュプ
レクサが実現でき、結果として許容電力の改善が期待で
きる。
【0070】実施例7 実施例6で用いたSAW1とSAW2について、図3(B-
2)の付加回路(キャパシタンス:4pF)を入出力ポー
トの双方に接続した対称接続フィルタについて高周波特
性を測定した。
【0071】次に、図3(B-2)の付加回路を入出力ポー
トの一方のみに対称的に接続した非対称接続フィルタに
ついて、帯域外減衰量が前記対称接続フィルタで得られ
たのと同レベルに達するまでキャパシタンスを増加させ
た。この結果、10pFのキャパシタを非対称接続する
ことにより4pFの対称接続と同水準の帯域外減衰量が
得られることが確認された。
【0072】また、実施例6で用いたSAW1とSAW2
について、図3(C-2)の付加回路(インダクタンス:8
nH)を入出力ポートの双方に接続した対称接続フィル
タについて高周波特性を測定した。次に、図3(C-2)の
付加回路を入出力ポートの一方のみに対称的に接続した
非対称接続フィルタについて、帯域外減衰量が前記対称
接続フィルタで得られたのと同レベルに達するまでイン
ダクタンスを増加させた。この結果、23nHのインダ
クタを非対称接続することにより10nHの対称接続と
同水準の帯域外減衰量が得られることが確認された。
【0073】以上の対称接続・非対称接続の双方につい
て帯域外減衰量が同水準の場合における挿入損失の値を
下表に示す。
【0074】
【表5】 接続容量を増加すれば、付加回路を非対称に接続しても
対称接続と同等の帯域外減衰量を実現することは可能で
ある。しかし、回路の非対称化により挿入損失は8dB
に増大し実用的な通過帯域特性は得られない。
【0075】実施例8 実施例6において、図3(B-2)の付加回路の接続はSA
Wフィルタの急峻性の改善に有効であり、(D-2)の付加
回路の接続は高調波の抑圧に有効である。そこで、図2
2に示すように、(B-2)及び(D-2)の付加回路を組み合わ
せてSAWチップ(実施例6で用いたSAW2)の入出
力ポートの双方に対称的に接続したフィルタを作製し、
その高周波特性を調べた。結果を図23〔(a)通過帯域
特性、(b)反射特性、(c)高調波特性〕に示す。対比のた
め、付加回路の非接続例も併せて示した。
【0076】図23に示されているように、(B-2)+(D-
2)の接続により、SAWフィルタ特性の急峻性の改善と
高調波の抑圧とが同時に実現されており、本願発明に従
い複数の付加回路を組み合わせて設けることによって、
それぞれの付加回路の効果が重畳的乃至相乗的に発揮さ
れることが確認された。
【0077】実施例9 付加回路の接続は特性インピーダンスZoの調整にも有
効である。図24には上記のSAW2について、基準抵
抗Ro=50Ωとした場合、Ro=100Ωとした場合、
及び、SAWチップの入出力ポートの双方に1pFの側
路キャパシタ〔図3(B-2)〕を接続することによりZoを
調整した場合の特性曲線を示した。
【0078】図24〔(a)通過帯域特性、(b)反射特性〕
によれば、SAW2のみではRo=100Ωの下で急峻性
が低下する。これは、SAW2がZo=50Ωで設計され
ているためである。図中に太実線で示すように、付加回
路(1pFの側路キャパシタ)を対称的に接続すること
により急峻性は改善される。すなわち、特性インピーダ
ンスZoの調整が可能であることがわかる。
【0079】一般に特性インピーダンスが大きくなるほ
ど消費電力は小さくなるので、大きなZoのSAWフィ
ルタの開発は重要である。しかし、特性劣化の補償をS
AWチップの設計のみによって実現しようとすると、電
極パターンの微細化が必要となり、製造コストの増大に
つながるとともに許容電力が制限される。本発明によれ
ば、付加回路の対称接続によりSAWフィルタのZoを
大きくすることが可能であり、この際に挿入損失の増大
等の問題も生じない。より実用的には付加回路の接続を
考慮して、SAW電極パターンを設計することが好まし
いが、基本的にはSAWチップの製造プロセスの大幅な
変更は不要であり、その実用的意義は極めて大きい。
【0080】
【発明の効果】本発明の対称接続型フィルタ回路では、
挿入損失の増大等を伴うことなく回路の諸特性を改善す
ることができる。従って、SAWフィルタ、DROフィ
ルタその他のフィルタ回路に適用することによって、ス
プリアスの抑圧を実現する送信用フィルタ、イメージ信
号の抑圧を実現する受信用フィルタ、受信時におけるイ
メージ信号の抑圧及び送信時におけるスプリアスの抑制
を実現するデュプレクサ等の構成に有用である。従っ
て、携帯電話機のような無線端末のフロントエンドに用
いることにより、省電力化の妨げになっていたLPFの
挿入損失の問題を解消し、イメージ信号抑圧回路の簡略
化することが可能であり、さらにマルチモード携帯電話
機等における異なるモードでの部品を共通化して小型で
消費電力の小さい新規なフロントエンド構成が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による付加回路接続型フィルタの基本
構成を模式的に示したブロック図。
【図2】 SAWデュプレクサの従来例(a)及びその
改善例(b)並びに本発明によるSAWデュプレクサ
(c)の構成を模式的に示したブロック図。
【図3】 本発明において適用可能な付加回路を列記し
た回路図。
【図4】 本発明が適用可能なDRO−BPFの一例を
示した回路図。
【図5】 本発明によるDROフィルタにおける端子構
造を模式的に表した斜視図。
【図6】 本発明が適用可能な帯域可変DRO−BPF
の一例を示した回路図。
【図7】 本発明が適用可能な帯域可変DRO−BPF
の別の態様を示した回路図。
【図8】 本発明が適用可能な帯域可変DRO−BPF
のさらに別の態様を示した回路図。
【図9】 DRO−BPFの基本構成(a)、非対称接
続型構成(b)及び対称接続型構成(c)を対照して示
した回路図。
【図10】 図9(a)、(b)及び(c)に対応する
DRO−BPFの帯域通過特性(a)及び高調波特性
(b)を示すグラフ。
【図11】 図9(c)とは異なる本発明による対称接
続型DRO−BPFの帯域通過特性(a)及び高調波特
性(c)を示すグラフ。
【図12】 実施例3のCdmaone用デュプレクサに対応
する非対称接続の構成例を示す回路図。
【図13】 実施例3のCdmaone用デュプレクサTx回路
の(a)通過帯域特性、(b)遅延特性、(c)定在波比、(d)高
調波特性を示すグラフ。
【図14】 実施例3のCdmaone用デュプレクサRx回路
の(a)通過帯域特性、(b)遅延特性、(c)定在波比、(d)高
調波特性を示すグラフ。
【図15】 実施例4の帯域可変BPF回路の基本構成
を示す回路図。
【図16】 実施例5のCdmaone用デュプレクサの構成
を示す回路図。
【図17】 実施例5のCdmaone用デュプレクサの(a)通
過帯域特性、(b)遅延特性、(c)定在波比、(d)高調波特
性を示すグラフ。
【図18】 実施例6のキャパシタ接続型SAWデュプ
レクサ(SAW1)の (a)通過帯域特性、(b)反射特性、
(c)高調波特性を示すグラフ。
【図19】 実施例6のキャパシタ接続型SAWデュプ
レクサ(SAW2)の (a)通過帯域特性、(b)反射特性、
(c)高調波特性を示すグラフ。
【図20】 実施例6のインダクタ接続型SAWデュプ
レクサ(SAW1)の (a)通過帯域特性、(b)反射特性、
(c)高調波特性を示すグラフ。
【図21】 実施例6のインダクタ接続型SAWデュプ
レクサ(SAW2)の (a)通過帯域特性、(b)反射特性、
(c)高調波特性を示すグラフ。
【図22】 実施例8の付加回路接続型SAWフィルタ
回路の基本構成を示す回路図。
【図23】 実施例8の付加回路接続型SAWフィルタ
回路の(a)通過帯域特性、(b)反射特性、(c)高調波特性
を付加回路を接続しないSAWフィルタ回路と対比して
示したグラフ。
【図24】 実施例9において特性インピーダンスを調
整したSAWチップの(a)通過帯域特性及び(b)反射特性
をインピーダンス調整しないSAWチップと対比して示
したグラフ。
フロントページの続き Fターム(参考) 5J006 HA03 HA15 HA21 HA33 JA01 JA31 KA02 KA11 KA24 LA03 LA11 LA21 MA07 MA08 MA12 NA04 NA05 NB07 NC01 NE16 PB03 5J097 AA11 AA16 AA18 BB15 HA04 LL07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルタ回路の入出力ポートのそれぞれ
    に、フィルタ特性を改善するための同一構成の付加回路
    を接続したことを特徴とする付加回路接続型フィルタ回
    路。
  2. 【請求項2】 フィルタ回路の入力ポートに接続される
    付加回路と出力ポートに接続される付加回路の構成が回
    路素子の定数まで含めて同一である請求項1に記載の付
    加回路接続型フィルタ回路。
  3. 【請求項3】 前記付加回路が、伝送線路間または伝送
    線路上に直列若しくは並列に設けられたキャパシタ及び
    /若しくはインダクタからなる付加回路、若しくはこれ
    らのいずれかと等価な分布定数回路またはこれらの回路
    の2以上の組み合わせである請求項1または2に記載の
    付加回路接続型フィルタ回路。
  4. 【請求項4】 前記フィルタ回路が平衡型回路であり、
    かつ、付加回路が、各伝送線路について往路と復路に対
    称的に回路素子を設けることにより平衡化された回路で
    ある請求項1乃至3のいずれかに記載の付加回路接続型
    平衡型フィルタ回路。
  5. 【請求項5】 前記フィルタ回路が、誘電体共振器(D
    RO)を含むフィルタ回路、表面弾性波素子(SAW)
    を含むフィルタ回路、または圧電フィルタを含むフィル
    タ回路のいずれかである請求項1乃至4のいずれかに記
    載の付加回路接続型フィルタ回路。
  6. 【請求項6】 異なる周波数帯域を通過または阻止する
    のに適合した複数のSAWフィルタを共通線路に接続し
    て構成したSAWデュプレクサにおいて、少なくとも1
    つのSAWフィルタ回路の入出力ポートに請求項1乃至
    4のいずれかに従い付加回路を設けたことを特徴とする
    SAWデュプレクサ。
  7. 【請求項7】 伝送線路上に、DROを有する複数の側
    路とそのDROの少なくとも1つと並列にキャパシタ手
    段を設け、(1)前記キャパシタ手段の容量を可変とする
    か、(2)前記キャパシタ手段を切替え可能な複数のキャ
    パシタで構成するか、(3)伝送線路の一部を複数の経路
    に分岐させて各経路の側路にそれぞれ異なる容量のキャ
    パシタを設けて前記キャパシタ手段とし、(a)前記(1)に
    おいてはキャパシタ手段の容量を変更し、(b)前記(2)に
    おいてはキャパシタを切り替え、(c)前記(3)においては
    前記経路を切り替えることにより通過帯域または阻止帯
    域を切替え可能とした帯域可変DROフィルタにおい
    て、帯域可変DROフィルタ回路の入出力ポートに請求
    項1乃至4のいずれかに従い付加回路を設けたことを特
    徴とする帯域可変DROフィルタ。
  8. 【請求項8】 アンテナへの入出力部近傍における帯域
    制限手段が、請求項1乃至5のいずれかの付加回路接続
    型フィルタを含む高周波フロントエンド回路。
  9. 【請求項9】 アンテナへの入出力部近傍における帯域
    切替手段が、請求項6のSAWデュプレクサまたは請求
    項7の帯域可変DROフィルタにより構成され、これに
    より、同一の信号多重化方式における複数の受信周波数
    帯域間での切替え、または複数の信号多重化方式におけ
    るそれぞれの受信周波数帯域間での切替えを行ない、か
    つ、いずれの帯域においても受信時のイメージ信号を実
    質的に抑圧する高周波フロントエンド回路。
  10. 【請求項10】 複数の帯域を切り換えて使用するマル
    チバンド携帯電話機または複数の信号多重化方式を含む
    携帯電話機に用いる請求項9に記載の高周波フロントエ
    ンド回路。
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