JP2002221150A - ロータリ式シリンダ装置 - Google Patents

ロータリ式シリンダ装置

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JP2002221150A
JP2002221150A JP2001017658A JP2001017658A JP2002221150A JP 2002221150 A JP2002221150 A JP 2002221150A JP 2001017658 A JP2001017658 A JP 2001017658A JP 2001017658 A JP2001017658 A JP 2001017658A JP 2002221150 A JP2002221150 A JP 2002221150A
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cylinder
fluid
rotary cylinder
pressure
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JP2001017658A
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English (en)
Inventor
Fumito Komatsu
文人 小松
Kenji Muramatsu
健次 村松
Katsuhiko Hayashi
勝彦 林
Tomohiro Takeuchi
智大 竹内
Masaki Nakamura
優樹 中村
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Nidec Instruments Corp
Original Assignee
Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピストンとシリンダ部材の間からの流体の漏
れを防止する。また、これらの摩擦抵抗を減少させる。 【解決手段】 回転軸心Oを通るようにシリンダ室2
2,23が形成され回転軸心Oを中心として回転する回
転シリンダ部材2と、シリンダ室22,23内を往復直
線運動するピストン3,4と、ピストン3,4を保持し
回転シリンダ部材2の回転軸心Oから偏心した回転中心
Xを中心として回転するピストン保持部材5と、回転シ
リンダ部材2を回転自在に支持すると共に少なくとも1
つの入口と少なくとも1つの出口を有するケーシングと
を備え、ピストン3,4はピストン保持部材5の回転中
心Xから一定の距離おかれた位置にかつその位置を中心
として回転自在に保持されると共に、シリンダ室22,
23内の圧力をピストン3,4の摺動部分に導くことで
摩擦抵抗を低減する圧力導入路29を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポンプやコンプレ
ッサ、流体モータ等として使用できるシリンダ装置、特
に回転運動によりピストンがシリンダ室内に出入りする
ロータリ式シリンダ装置に関するものである。
【0002】なお、本明細書で用いる“ロータリ式シリ
ンダ装置”という語は、流体エネルギを用いて機械的仕
事をする機器は勿論のこと、回転エネルギを用いて流体
を圧縮、圧送する機器も含むものとして使用している。
即ち、“ロータリ式シリンダ装置”という語は、ロータ
リポンプ、ロータリコンプレッサ、流体モータなどを総
称する機器類を意味している。
【0003】
【従来の技術】従来、回転子を回転させその押しのけ作
用で流体を押し出す形式のポンプとして、歯車形の回転
子を用いたロータリポンプが知られている。しかしこの
ポンプの場合、回転子の歯形加工が難しく、コストアッ
プの原因となっていた。そこで、この欠点を解消するた
め、出願人は、吸排メカニズム部分に歯車形部品を必要
としない構成のロータリ式シリンダ装置を開発した(特
開昭56−118501号公報、実開昭57−8718
4号公報及び実開昭58−92486号公報等参照)。
【0004】特開昭56−118501号公報に記載さ
れたロータリ式シリンダ装置は、図79及び図80に示
すように、ケーシング101内に圧入等により固定され
た円形のシリンダ部材102と、このシリンダ部材10
2の中心部分に形成された円形の空洞部103内で回転
する支持部材104とを有している。シリンダ部材10
2には、放射状に配置される6つのシリンダ室105
a,105b,105c,105d,105e,105
fが形成され、中央の空洞部103にそれぞれ連通させ
られている。これらの各シリンダ室105a〜105f
は、支持部材104の回転に伴って、ケーシング101
の外部と連通して流体をシリンダ装置内に取り入れる吸
込口106及び取り入れた流体を加圧して吐き出す吐出
口107に、順次連通するように設けられている。
【0005】支持部材104は、ケーシング101に形
成された孔101aに回転自在に支持された軸108の
一端に固定された円盤状部材であり、軸108と逆側の
面には三日月型の弁座109が取り付けられている。こ
の弁座109は、シリンダ部材102の内壁部103a
の約半周分に相当する領域で密着した状態で回転し得る
ように配置されており、空洞部103と任意のシリンダ
室とを選択的に連通させるように設けられている。な
お、支持部材104には、吐出口107に連通するため
の孔104aが設けられている。
【0006】支持部材104の偏心した位置には、軸1
10が固定され、この軸110に回転ピストン部材11
1が回転自在に支持されている。軸110は、弁座10
9を挟んで対向するように配置された円盤状の支持部材
104と補助板部材113とに両端が固定されている。
補助板部材113には、吸込口106に連通するための
孔113aが設けられている。この補助板部材113
は、支持部材104と一体的に回転する。回転ピストン
部材111は、回転中心部112aと、この回転中心部
112aから放射状に3方向に延出されたピストン11
1a,111b,111cとから構成されている。この
回転ピストン部材111は、支持部材104の回転に伴
ってシリンダ部材102の軸心o1の周囲を周回する。
【0007】この支持部材104の回転に伴い、各ピス
トン111a,111b,111cが、図80(A)〜
図80(D)に示すように、軸110を中心に矢印A1
方向へ回転(自転)しながら軸心o1を中心に矢印B1
方向へ回転(公転)して行くことによって、固定された
各シリンダ室105a〜105fに順次3つのピストン
111a〜111cが出入りして、吸込口106から各
シリンダ室105a〜105fに順次外気が取り入れら
れ、吐出口107から外部へ吐出されるポンプ動作を繰
り返す。この装置によると、高度な歯形加工技術が不要
となるので製造が容易である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、各ピス
トン111a〜111cは、転動しながらシリンダ室1
05a〜105f内に出入りすめため、その動きをスム
ーズかつ容易なものとするため、先端部分を尖らせかつ
各シリンダ室105a〜105f内に入ったときの幅方
向の寸法に余裕を持たせた構造とせざるを得ず、その分
だけピストン111a〜111cとシリンダ室105a
〜105fとの間に隙間が形成されることとなる。その
結果、隙間部分から流体が漏れ易く、その分だけポンプ
効率を下げてしまうという問題を有している。
【0009】また、実開昭57−87184号公報及び
実開昭58−92486号公報に示されるロータリ式シ
リンダ装置は、基本的な構成即ち放射状に配置されたピ
ストンを回転させながら放射状に配置されたシリンダ室
に沿って相対的に回転移動してポンプ作用を得るという
点で、上述の特開昭56−118501号公報に記載さ
れたロータリ式シリンダ装置と同じであるが、シリンダ
部材102が回転ピストン部材111の回転によって回
転すること、弁座109がケースに固定され回転しない
こと及び回転ピストン部材111の回転支点が回動しな
いようになっていることで構成を異にしている。
【0010】したがって、このシリンダ室が回転ピスト
ン部材と共に回転するタイプの場合は、上述のシリンダ
室が固定されたタイプのものとは異なり、ピストンの形
状はシリンダ室の幅とほぼ同等の外径の略円形のディス
クに形成されている。これは、シリンダ部材も回転ピス
トン部材と同方向に回転するため、ピストンがシリンダ
室に出入りする際、シリンダ室との間にほとんど隙間が
なくてもスムーズな動作ができるからである。しかしな
がら、このタイプのものは、ピストンとシリンダ室との
接触面が、円形のディスク状のピストンの外周面と直線
形状のシリンダ室の内壁とで構成されるため、その接触
面の面積が小さくてこの部分が流体の圧力を耐えられず
に流体が漏れることから、圧力が上がるとポンプ効率が
落ちる問題を残している。
【0011】その一方で、ピストンとシリンダ室の内壁
との接触面積を増加させてシール性を向上させた場合で
あっても、摩擦抵抗の増加によるエネルギーロスや摺動
部分の摩耗を低減したいとの要求もある。
【0012】本発明の目的は、ピストンとシリンダ部材
との当接部位からの流体の漏れを防止し、その結果、流
体エネルギを回転運動にあるいは回転運動を流体エネル
ギに低い損失で変換できると共に、ピストンとシリンダ
部材との摩擦抵抗を低減することができるロータリ式シ
リンダ装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに請求項1記載のロータリ式シリンダ装置は、回転軸
心を通るようにシリンダ室が形成され回転軸心を中心と
して回転する回転シリンダ部材と、シリンダ室内を面接
触して往復直線運動するピストンと、ピストンを保持し
回転シリンダ部材の回転軸心から偏心した回転中心を中
心として回転するピストン保持部材と、回転シリンダ部
材とピストン保持部材とを回転自在に支持すると共に少
なくとも1つの流体の入口と少なくとも1つの流体の出
口を有するケーシングとを備え、ピストンがピストン保
持部材の回転中心から一定の距離おかれた位置にかつそ
の位置を中心として回動自在に保持されると共に、シリ
ンダ室内の圧力をピストンの摺動部分に導くことで摩擦
抵抗を低減する圧力導入路を有している。
【0014】したがって、回転シリンダ部材ないしピス
トン保持部材に外部から回転が入力されると、あるいは
流体の入口から圧力を有する流体が導入されることによ
ってシリンダ室内でピストンに圧力が作用すると、回転
シリンダ部材とピストン保持部材との回転により若しく
はピストン自体の移動により、ピストンが自転中心を中
心として回転しながらピストン保持部材の回転中心を中
心とした回転(公転)をすることによってシリンダ室内
をピストンが往復運動する。
【0015】このとき、回転シリンダ部材とピストン保
持部材とがそれぞれケーシングに支持された状態で回転
することができ、かつピストンもそれ自体で回転可能と
なっており、ピストンが自転中心周りに回転し位置を変
えながらシリンダ室内を直線運動することが可能とな
る。その結果、ピストンをシリンダ室に対して面接触さ
せるように構成しても、各部材がスムーズに回転運動を
することが可能となる。例えばピストンの形状をブロッ
ク形状としても、各部材がスムーズに回転運動をするこ
とが可能となる。このため、ピストンが作り易くなり、
ピストンの精度を出し易くなる。ここで、回転シリンダ
部材の回転数とピストン保持部材の回転数とピストンの
シリンダ内往復数すなわちピストン保持軸に対するピス
トンの回転数との比は、1:2:1となるように構成す
ることが好ましい。この場合には、各部材同士が確実に
無理なく回転し、回転時の振動や騒音が軽減される。
【0016】また、ピストンとシリンダ室との接触面積
を大きくとることが可能となり、いわゆる線接触によっ
て接触面が形成されている従来のものに比してその接触
面における流体抵抗が大きく気密・液密性が高まり、接
触面部分からの流体の漏れを防止することができる。こ
のため、流体エネルギを回転運動にあるいは回転運動を
流体エネルギに低い損失で変換することが可能になる。
その一方で、ピストンに圧力導入路を形成してシリンダ
室内の圧力をピストンの摺動部分に導いているので、ピ
ストン摺動時の摩擦抵抗が減少する。このため、エネル
ギーロスの発生や部品の摩耗防止が図られる。即ち、ピ
ストンの摺動部分のシール性の向上と摩擦抵抗の減少
を、ともに高い水準で図ることができる。
【0017】しかも、ピストンがシリンダ室を往復直線
運動するので、ピストン動作がスムーズで安定したもの
となり、回転時の振動や騒音が軽減される構成となる。
また、部品精度の許容範囲を広くすることが可能で部品
加工がし易くなり、逆に従来と同様のレベルの部品精度
とすると、気密性・信頼性は向上するので、ポンプある
いはコンプレッサとした場合若しくは流体モータとした
場合に高性能化させることが容易となる。
【0018】また、本発明のロータリ式シリンダ装置に
おいて、回転シリンダ部材の回転軸心を外部から回転を
導入する駆動軸とすれば、この回転シリンダ部材を回動
させることで、ピストンとピストン保持部材を従動動作
させることができる。このようにすることによって、気
体を吸入して圧縮して吐出するコンプレッサあるいは液
体を吸入して吐出するポンプとして利用可能である。し
かもいわゆるセンター駆動仕様とすることが可能とな
り、駆動軸とモータ軸とを同軸方向に直結させた場合に
製品としての納まりが良く、また振動の面や組み込みの
面でも有利なものとなる。
【0019】例えば、回転式圧縮機として構成する場合
には、回転シリンダ部材とピストン保持部材を回転駆動
源によって相対回転させることでピストンを動かして流
体の入口から吸い込んだ流体を出口から吐出させる。こ
のとき、流体の入口は回転シリンダ部材の回転に伴いピ
ストンが最外周に移動した位置より若干内側に入った位
置から始まりピストンが空洞部付近に移動した位置まで
至るように形成される一方、出口は回転シリンダ部材の
回転に伴いピストンが最外周に移動した位置より若干手
前の位置に僅かに設けられることが好ましい。加えて、
吐出口たる出口に逆止弁を設けることが好ましい。この
場合、回転シリンダ部材の回転により各シリンダ室が順
番に出口に対向するため、出口から吐出される流体の圧
力が脈動しても、逆止弁の働きで圧力低下時の流体の逆
流を防止することができる。さらに、回転シリンダ部材
とピストン保持部材とを相対回転させる入力軸と、回転
シリンダ部材又はピストン保持部材を、ケレープレート
を介して連結することが好ましい。この場合、例えば入
力軸の回転が回転シリンダ部材に伝えられる際に入力軸
の中心と回転シリンダ部材の中心とがずれていても、こ
のずれをシリンダ部材とケレープレートとの間で吸収し
て回転力を伝達する。同様に、入力軸の回転がピストン
保持部材に伝えられる際に入力軸の中心とピストン保持
部材の中心とがずれていても、このずれをケレープレー
トが吸収して回転力を伝達することができる。
【0020】また、圧力流体をシリンダ室に導入して流
体の圧力によってピストンを動かすことによって回転シ
リンダ部材とピストン保持部材を回転させると、回転シ
リンダ部材あるいはピストン保持部材の少なくとも一方
を出力軸として回転を取り出すことができる流体回転機
として構成できる。そして、流体回転機の場合には、流
体の入口は回転シリンダ部材の回転軸心からみて回転シ
リンダ部材の回転に伴いピストンが回転シリンダ部材の
略外周位置でシリンダ室を連通するように開口し、回転
シリンダ部材のピストンに関与しない側のシリンダ室を
流体が入口から出口まで直接通過しない位置でシリンダ
室と閉口するように形成され、出口は回転シリンダ部材
の回転軸心からみて回転シリンダ部材の回転に伴いピス
トンが回転シリンダ部材のピストンに関与しない側のシ
リンダ室を流体が入口から出口まで直接通過しないよう
に開口し、回転シリンダ部材の略外周位置でシリンダ室
と閉口するように形成されることが好ましい。なお、ロ
ータリ式シリンダ装置を回転式圧縮機として構成する場
合には、流体の入口は回転シリンダ部材の回転軸心から
みて回転シリンダ部材の回転に伴いピストンが回転シリ
ンダ部材の略外周位置でシリンダ室を連通するように開
口し、回転シリンダ部材の略中心位置でシリンダ室と閉
口するように形成され、出口は回転シリンダ部材の回転
軸心からみて回転シリンダ部材の回転に伴いピストンが
回転シリンダ部材の略中心位置から外周側に進んだ位置
でシリンダ室を連通するように開口し、回転シリンダ部
材の略外周位置でシリンダ室と閉口するように形成され
ることが好ましい。
【0021】また、これら流体回転機として構成する場
合には、潤滑剤循環機構を備えることが好ましい。この
場合、ピストン,ピストン保持部材,回転シリンダ部材
等の摺動面を潤滑することによってより高速回転が可能
となる。
【0022】さらに、上述の流体回転機の出力側に発電
機構を接続して流体発電機を構成しても良い。この場合
には上述の流体回転機を使用して発電を行うことができ
る。
【0023】また、請求項2記載のロータリ式シリンダ
装置のように、圧力導入路はシリンダ室内の流体が進入
可能な溝であっても良く、請求項3記載のロータリ式シ
リンダ装置のように、圧力導入路はシリンダ室内の流体
が進入可能な孔であっても良い。
【0024】また、請求項4記載のロータリ式シリンダ
装置は、圧力導入路が、ピストンが画するシリンダ室の
うち、高圧側のシリンダ室内の圧力をピストンの一側面
に導く高圧側通路と、低圧側のシリンダ室内の圧力をピ
ストンの他側面に導く低圧側通路を有している。ピスト
ン摺動時にはその前後のシリンダ室間に圧力の差が発生
している。そして、高圧側通路によって高圧側のシリン
ダ室内の圧力をピストンの一側面に導き、低圧側通路に
よって低圧側のシリンダ室内の圧力をピストンの他側面
に導くことで、ピストンの両側面の間に圧力差を発生さ
せることができる。ところで、ロータリ式シリンダ装置
が回転すると、ピストンの片方の側面に、もう片方の側
面に作用する荷重よりも大きな荷重が作用するので、ピ
ストンが片寄り摩擦抵抗を増加させる。このピストンの
側面に発生する荷重の不均衡を打ち消すように上述の圧
力差を発生させることで、ピストンの片寄りが抑えられ
摩擦抵抗を減少させることができる。
【0025】さらに、請求項5記載のロータリ式シリン
ダ装置は、圧力導入路が、ピストンが画するシリンダ室
のうち、高圧側のシリンダ室と低圧側のシリンダ室のい
ずれか一方のシリンダ室内の圧力をピストンの片側面に
導くものである。したがって、請求項4記載のロータリ
式シリンダ装置と同様に、ピストンの両側面の間に圧力
差を発生させることができ、この圧力差をピストンの側
面に発生する荷重の不均衡を打ち消すように発生させる
ことで、ピストンの片寄りが抑えられ摩擦抵抗が減少す
る。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を図面に示す
最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0027】本発明のロータリ式シリンダ装置の実施の
一形態を図1から図3に基づき説明する。なお、各実施
の形態では、気体を一定の方向に送出するロータリ式ポ
ンプ装置として説明するが、送られる媒体は気体に限ら
ず液体も含めたあらゆる流体とすることができる。ま
た、本発明は、ポンプ装置に限らず、回転シリンダ部材
の回転動作を利用することによって構成される種々の装
置、例えば、エアーコンプレッサーやエアーモータ等に
も適したものとなっている。
【0028】ロータリ式シリンダ装置1は、図1及び図
2に示すように、放射状に配置された複数のシリンダ室
22,23を有し回転軸心Oを中心として回転する回転
シリンダ部材2と、シリンダ室22,23内を面接触し
て往復直線運動するピストン3,4と、ピストン3,4
を保持し回転シリンダ部材2から偏心して回転中心X周
りに回転するピストン保持部材5と、回転シリンダ部材
2とピストン保持部材5とを回転自在に支持すると共に
少なくとも1つの流体の入口61と少なくとも1つの流
体の出口62を有するケーシング6とから主に構成さ
れ、ピストン3,4がピストン保持部材5の回転中心か
ら一定の距離おかれた位置の軸心X1,X2を中心とし
て回動自在に保持されると共に、シリンダ室22,23
内の圧力をピストン3,4の摺動部分に導くことで摩擦
抵抗を低減する圧力導入路29を有している。より具体
的には、円形形状の回転シリンダ部材2と、180度離
れた2つの偏心した自転中心位置X1,X2にそれぞれ
ピストン3,4を回動可能に保持しかつ回転シリンダ部
材2の回転軸心Oから偏心した位置を回転中心位置Xと
して回転するピストン保持部材5と、回転シリンダ部材
2及びピストン保持部材5の両回転部材をそれぞれ回転
自在に支持するケーシング6とを有している。尚、本実
施形態では回転シリンダ部材2は、シリンダ室22,2
3及びピストン3,4を採用しているがこれに限られ
ず、少なくとも1つのシリンダ室とピストンを有してい
れば足りる。
【0029】回転シリンダ部材2は、図1,図2及び図
3に示すように、所定の厚みを有する円形形状で形成さ
れており、ケーシング6の内部空間に回転自在に配置さ
れている。この回転シリンダ部材2の一端面、すなわち
図1及び図3において下側の端面の回転軸心Oを囲む凹
部には、支軸21の一端が圧入により挿入固定されてい
る。この支軸21の他端側は、ケーシング6内に配置さ
れた軸方向に重ねて配置された2つの軸受け部材7a,
7bに回転自在に支承されている。そのため、回転シリ
ンダ部材2は、支軸21を回転中心としてケーシング6
内で回転可能となっている。
【0030】回転シリンダ部材2の他端面、すなわち図
1及び図3において上側の端面には、4つの扇状の台部
25を利用して形成された十字状の溝から成る空間が設
置されている。この十字状の空間は、4つのシリンダ部
位22a,22b,23a,23bとこれらが交差する
部位(以下空洞部と呼ぶ)24とから構成されている。
すなわち、回転シリンダ部材2の他側の端面には、回転
軸心Oを中心として所定の広さを備えかつ底面を有する
空洞部24が形成されている。そして、この空洞部24
内の回転軸心Oを中心として放射状に、4つの断面矩形
のシリンダ部位22a,22b,23a,23bが設け
られている。シリンダ部位22a,22b,23a,2
3bは、上面部分が開放され、他の3方の面が全て平面
で形成されている。そして、第1のシリンダ部位22
a、空洞部24、第2のシリンダ部位22bによってシ
リンダ室22が、第3のシリンダ部位23a、空洞部2
4、第4のシリンダ部位23bによってシリンダ室23
がそれぞれ形成されている。図2等からも明らかなよう
に、シリンダ室22,23は回転シリンダ部材2の回転
軸心Oを含んで交差するように形成されており、円周方
向に等配分された位置に配置されている。なお、本明細
書では説明の便宜上、「上」「下」を使用しているが、
この語は、図に基づき、便宜上使用しているもので有
り、絶対的な意味での「上」「下」を意味するものでは
ない。
【0031】なお、これら第1〜第4のシリンダ部位2
2a〜23bには、ピストン保持部材5に保持されたピ
ストン3,4が摺動可能に嵌まり込むようになってい
る。各シリンダ部位22a〜23bのピストン3,4と
の対向面並びにこれに対するピストン3,4側の面は、
互いに平面で形成され、これらが平面同士で摺動するよ
うに設けられている。
【0032】また、ピストン3,4の両側面34,3
4,44,44には、圧力導入路29が形成されてい
る。本実施形態では、シリンダ室22即ちシリンダ部位
22a,22b内の流体が進入可能な溝29a,29b
によって回転シリンダ部材2との間に圧力導入路29を
構成している。溝29aはシリンダ部位22bに、溝2
9bはシリンダ部位22aに通じている。即ち、各溝2
9a,29bは両方のシリンダ部位22a,22bに通
じておらず、各溝29a,29bを通じて流体が漏れる
ことはない。各溝29a,29bは、ピストン3,4の
両側面34,34,44,44に例えば2本ずつ形成さ
れている。圧力導入路29を通じてシリンダ部位22a
〜23b内の圧力をピストン3,4の摺動部分に導くこ
とができ、摩擦の状態を乾燥摩擦が多い状態から境界摩
擦や流体摩擦が多い状態にすることができる。このた
め、摩擦抵抗を低減させることができる。
【0033】このように各ピストン3,4と各シリンダ
部位22a〜23bとの摺動面が平面同士で形成されて
おり、しかも各ピストン3,4に圧力導入路29を形成
しているため、摺動面積の確保によるシール性の向上と
摺動部分の摩擦抵抗の低減とを共に高レベルで実現する
ことができる。そのため、ピストン3,4と各シリンダ
部位22a〜23bとの間の隙間を通過して流体が漏れ
出し難くできると共に、摺動部分の摩耗やエネルギーロ
スの低減を図ることができる。
【0034】なお、上述したように形成されたシリンダ
室22,23は、回転シリンダ部材2を径方向に貫通し
てその外周面2aで開放されている。そのため、各シリ
ンダ室22,23は、ケーシング6に形成された吸込口
(流体の入口)61及び吐出口(流体の出口)62に連
通可能となっている。
【0035】なお、ピストン保持部材5の回転により、
回転シリンダ部材2とピストン保持部材5とが回転する
と、ピストン3,4がシリンダ室22,23を見かけ上
往復直線運動するようになっている。また、各シリンダ
室22,23が交差する部位である空洞部24のピスト
ン3,4の移動方向における長さは、ピストン3,4の
接触面(シリンダ室22,23の両側壁面と対向する
面)の長さよりも短くなっている。
【0036】なお、空洞部24及びこれを中心に放射状
に配置された第1〜第4のシリンダ部位22a〜23b
の底面には2本の細いガイド用溝26a,27aが十字
状に形成されている。他方、ピストン3,4の底部分に
は、上述したガイド用溝26a,27aに嵌まり込むガ
イド係合部たる凸片3b,4bが設けられている。そし
て、凸片3b,4bがガイド用溝26a,27aに係合
することによって直線運動のガイドを構成する。したが
って、この2本のガイド用溝26a,27aに沿ってピ
ストン3,4を一対のシリンダ部位22a,22b間あ
るいは23a,23b間において安定的に往復直線運動
させる。
【0037】一方、ピストン保持部材5は、回転シリン
ダ部材2の外径よりも小さい外径を有する円形形状で形
成されている。このピストン保持部材5の回転中心位置
Xには、支軸51の一端が圧入により挿入固定されてい
る。なお、このピストン保持部材5の回転中心位置X
は、上述の回転シリンダ部材2の回転軸心Oから偏心し
た位置に設けられている。そして、支軸51の他端側
は、ケーシング6内に配置された軸受け部材8a,8b
に回転自在に支承されていると共に、その先端側はケー
シング6の外部に突出している。そして、この突出部分
に、モータ等の駆動源の出力軸(図示省略)に連結させ
ることにより、モータ等の駆動源の駆動力によって支軸
51を中心としてピストン保持部材5が、回転シリンダ
部材2の偏心位置で回転駆動されるようになっている。
【0038】ピストン保持部材5の支軸51が固定され
た面と反対側の面には、ピストン3を自転可能に保持す
る支持軸52と、ピストン4を自転可能に保持する支持
軸53とが立設固定されている。そして、支持軸52,
53に対して、ピストン3,4が回転自在に嵌め込まれ
ている。
【0039】ピストン3,4は、往復直線運動時におけ
る前後の面31,31,41,41が若干丸みを有する
ように形成されているが、他の4面、すなわちシリンダ
室22,23内に嵌まり込んだ状態における上面32,
42、底面33,43及び両側面34,34,44,4
4が平面に形成されている。すなわち、ピストン3,4
は、略長方体のブロック形状を成している。そして、ピ
ストン3,4の平面に形成された各面のうちの上面3
2,42を除く底面33,43と両側面34,34,4
4,44は、シリンダ室22,23内に嵌まり込んだ際
のシリンダ室22,23との摺動面となる。また、ピス
トン3,4の中心部分には、支持軸52,53に回転自
在に嵌められるための有底の孔3a,4aが設けられて
いる。なお、孔3a、4aは、支持軸52、53がガイ
ド溝26a、27aに当たらない長さであれば貫通孔で
もよい。
【0040】なお、ピストン保持部材5とピストン3,
4の回転時の軌跡との関係を、図15に示す。ピストン
保持部材5の半径R1、支持軸52,53の間隔の1/
2の距離R2、ピストン3,4の回転時の最外径軌跡の
半径R3の関係は、R1>(R2+R3)となってお
り、半径差△Rが発生する。半径R1が距離R2+半径
R3よりも小さい場合には、動作時にピストン最外径軌
跡がピストン保持部材5から飛び出すことになり、ピス
トン3,4の回転の安定性、密閉性を確保するためには
部品の加工精度を向上させる必要がある。これに対し、
上述のように半径R1>距離R2+半径R3の関係にす
ることで、部品の加工精度をあまり厳しくしなくてもピ
ストン3,4の回転の安定性、密閉性を確保するのが容
易になる。ただし、かかる関係は密閉性を確保する等の
ためのものであり、この関係に限定されることはなく、
半径R1は距離R2+半径R3とほぼ同等でも、小さく
ても良いことは勿論である。
【0041】ケーシング6は、2つのケース半体、すな
わちピストン保持部材5を回転自在に支持するための上
ケース63と、回転シリンダ部材2を回転自在に支持す
るための下ケース64とから構成されている。上ケース
63及び下ケース64は、互いの嵌め合わせ用突部(い
んろう部)63a,64a同士を嵌め合わせた状態でネ
ジ等により固定することにより、密閉内部空間を形成す
るケーシング6を構成するものとなっている。このよう
に、嵌め合わせ用突部63a,64a同士を嵌め合わせ
るいんろう構造とすることで、上ケース63と下ケース
64を正確に位置決めしてセンタ出しを行い、且つずれ
を防止することができる。
【0042】上ケース63は、下ケース64に取り付け
る際の嵌め合わせ用突部63aを備え、ピストン保持部
材5を回転自在に格納するための円形の大スペース63
bと、ピストン保持部材5の回転中心に固定された支軸
51を回転自在に支持する2つの軸受け部材8a,8b
を圧入固定するための円形の小スペース63cとを内部
空間として有するカップ形状で構成されている。
【0043】嵌め合わせ用突起63aは、円形の大スペ
ース63bの外縁に沿って円形に形成されており、下ケ
ース64側に突出するようになっている。なお、嵌め合
わせ用突起63aの突出高さは、下ケース64に形成さ
れた嵌め合わせ用突起64aの突出高さより若干低くな
っていると共に、その半径は嵌め合わせ用突起64aの
半径より若干大きく形成されている。これによって、上
ケース63の嵌め合わせ用突起63aが、下ケース64
の嵌め合わせ用突起64aの外側に被さるようにして互
いに嵌め合わされるようになっている。
【0044】そして、上ケース63の小スペース63c
の底面には、支軸51を挿通するための挿通孔63dが
設けられている。支軸51の一端側は、この挿通孔63
dよりケーシング6の外部へ突出している。
【0045】一方、下ケース64は、上ケース63に取
り付ける際の嵌め合わせ用突部64aを備え、回転シリ
ンダ部材2を回転自在に格納するための円形の大スペー
ス64bと、回転シリンダ部材2の回転軸心Oに固定さ
れた支軸21を回転自在に支持する2つの軸受け部材7
a,7bを圧入固定するための円形の小スペース64c
とを内部空間として有するカップ形状で構成されてい
る。
【0046】嵌め合わせ用突起64aは、円形の大スペ
ース64bの外縁に沿って円形に形成されており、上ケ
ース63側に突出するようになっている。なお、嵌め合
わせ用突起64aの突出高さは、上ケース63に形成さ
れた嵌め合わせ用突起63aの突出高さより若干高くな
っていると共に、その半径は嵌め合わせ用突起63aの
半径より若干小さく形成されている。
【0047】このように形成された下ケース64の大ス
ペース64b内には、回転シリンダ部材2が回転自在に
配置されている。この回転シリンダ部材2を配置した状
態で、回転シリンダ部材2の外周面2aに対向する位
置、すなわち大スペース64bの内壁64dには、外部
の流体をケーシング6内に吸い込むための吸込口61
と、ケーシング6内に吸い込んだ流体を外部へ吐出する
ための吐出口62とが形成されている。
【0048】吸込口61は、大スペース64bの内壁6
4dに形成された角度約80度の範囲にわたって浅い凹
み61aと、この凹み61aとケーシング6の外部とを
連通させる連通孔61bと、この連通孔61bのケーシ
ング6の外面側に接続される吸気管61cとから構成さ
れている。そして、凹み61aは、回転シリンダ部材2
が回転すると、各シリンダ部位22a〜23bとそれぞ
れ連なるようになっている。
【0049】また、吐出口62は、吸込口61の凹み6
1aから約10度離れた位置から始まり約80度に渡っ
て形成された浅い凹み62aと、この凹み62aとケー
シング6の外部とを連通させる連通孔62bと、この連
通孔62bのケーシング6の外面側に接続される排気管
62cとから構成されている。そして、凹み62aは、
回転シリンダ部材2が回転すると、各シリンダ部位22
a〜23bとそれぞれ連なるようになっている。
【0050】上述したように構成されたロータリ式シリ
ンダ装置1は、ピストン保持部材5がモータ駆動等によ
り等角速度の回転運動を行うと、ピストン3,4が回転
中心位置Xを中心とした等角速度回転運動をし、この動
作に伴って回転シリンダ部材2も等角速度運動を行う。
この動作によって、ポンプ動作を行うものとなってい
る。
【0051】次に、本発明の第1の実施の形態のロータ
リ式シリンダ装置1の動作について、図4〜図7に基づ
いて説明する。尚、ピストン3,4のガイド手段の一部
を構成するガイド用溝26a,27aについては図示省
略している。
【0052】図4において、シリンダ室22を往復動す
るピストン3は、回転シリンダ部材2の空洞部24に位
置し、一端側はシリンダ部位22aの入り口に、他端側
はシリンダ部位22bの入り口にそれぞれ若干進入した
状態となっている。すなわち、ピストン3は、平面に形
成された両側面34,34及び底面33が、同様に平面
で形成されたシリンダ部位22a,22bの両内壁と底
面及び空洞部24の底面に同時に当接した状態となって
いる。このような中間位置においては、ピストン3は、
空洞部24を挟む両側のシリンダ部位22a,22bに
同時に嵌まった状態となっており、シリンダ部位22
a,22bには、共に吸込口61から取り込んだ流体が
充満した状態となっている。
【0053】図4に示す状態時では、シリンダ部位22
aの最外周端部は、吐出口62の凹み62aにわずかに
連通し始めた状態となっており、シリンダ部位22a
は、凹み62aを介して排気管62cと連通した状態と
なっている。また、シリンダ部位22bの最外周端部
は、吸込口61の凹み61aとの連通状態が終了する直
前の状態となっており、シリンダ部位22bは、凹み6
1aを介して吸気管61cと連通した状態となってい
る。なお、上述したように、ピストン3が空洞部24に
差し掛かっている状態であるため、このピストン3によ
って全てのシリンダ部位22a〜23bはそれぞれ分断
され閉じられた状態となっている。
【0054】一方、シリンダ部位23a,23b内を往
復動するピストン4は、回転シリンダ部材2のシリンダ
部位23b内の最外周端部まで進出した状態となってい
る。すなわち、ピストン4は往復動する溝内の一方の端
部にある状態となっており、平面に形成された両側面4
4,44及び底面43は、同様に平面で形成されたシリ
ンダ部位23bの両内壁及び底面に同時に係合した状態
となっている。
【0055】そして、シリンダ部位23bのピストン4
とピストン3とに囲まれた空間には、流体が充満した状
態となっている。また、シリンダ部位23aは、ピスト
ン3によって他のシリンダ部位22a,22b,23b
と隔離された状態となっているが、このシリンダ部位2
3a内にも流体が充満した状態となっている。このと
き、シリンダ部位23bの最外周端部は、吸込口61の
凹み61aと吐出口62の凹み62aの間の位置に対向
した状態となっている。
【0056】上述した図4の状態から、モータ駆動等に
よりピストン保持部材5を時計方向(矢示A方向)に回
転させると、ピストン3,4が支持軸52,53と共に
矢示A方向へ移動する。このときのピストン3,4の動
作によって、回転シリンダ部材2には矢示B方向(時計
方向)への回転力が与えられ、回転シリンダ2は矢示B
方向に回転する。このようなピストン3,4及び回転シ
リンダ部材2の相対回転によって、各ピストン3,4
は、シリンダ室22,23内を往復運動する。
【0057】このときのピストン3,4の周回回転運
動、すなわち、回転中心位置Xを中心としたピストン保
持部材5の回転運動は、回転シリンダ部材2の回転軸心
Oを中心とする回転速度の2倍の回転数の回転運動とな
る。これは、ピストン3,4の回転半径が、回転シリン
ダ部材2の回転半径(シリンダ基準円)の1/2となっ
ており、ピストン3,4の回転運動は、回転シリンダ部
材2の回転運動に対して円サイクロイド運動となってい
るためである。なお、ピストン3,4の自転、すなわち
支持軸52,53を各々回転中心とする回転も、回転シ
リンダ部材2と同じ回転数の等角速度運動となる。従っ
て、回転シリンダ部材2の回転数対ピストン保持部材5
の回転数対ピストン3,4の支持軸52、53に対する
回転数の比が、1:2:1となっている。
【0058】なお、シリンダ基準円は、図2において、
回転シリンダ部材2の回転軸心Oから自転中心位置X2
の中心までの長さを半径とした円としている。
【0059】さらに、この回転動作により、シリンダ室
22,23内のピストン3,4が、回転シリンダ部材2
に対して回転力を与えながら、ピストン3は一対のシリ
ンダ部位22a,22b間を、ピストン4は一対のシリ
ンダ部位23a,23b間を見かけ上往復直線運動す
る。なお、ピストン3,4は、回転シリンダ部材2が1
回転する間にシリンダ部位22a,22b間及び23
a,23b間を1往復するようになっており、ピストン
3,4の往復動作数と回転シリンダ部材2の回転数とが
1:1の関係になっている。
【0060】図4の状態からピストン保持部材5が60
度回転し、これによってシリンダ部材2が30度回転し
た状態を示したのが図5である。
【0061】すなわち、上述の図4から図5への動作に
より、ピストン3は、空洞部24を横切った状態からシ
リンダ部位22aの内部方向へ約1/2程度進入する。
この移動の際、ピストン3とシリンダ部位22aとは、
平面同士で面対向しているため、接触面同士からの流体
の漏れはほとんどないものとなる。この動作により、シ
リンダ部位22a内の流体が、凹み62aを介して排出
管62cに効率よく吐出される。なお、シリンダ室22
aの長手方向の距離は、ピストン3の全長の2倍より短
いものとなっているため、約1/2程度進出している
が、ピストン3の後端部分がまだ空洞部24内に残って
いる状態となっている。
【0062】一方、ピストン3のシリンダ部位22a方
向への動作により、ピストン3により封止されていたシ
リンダ部位22b,23a及びシリンダ部位23bの一
部が一連の空間となる。この一連の空間内には、各シリ
ンダ部位22b,23a,23bに吸込口61から流入
した流体が充満した状態となっている。
【0063】また、この間の動作により、ピストン4は
シリンダ部位23bの最奥部から空洞部24側へ約1/
9程度移動する。この移動の際、ピストン4とシリンダ
部位23bとは、平面同士で当接しているため、接触面
(摺動面)の間からの流体の漏れはほとんどないものと
なる。この動作により、外部の流体が、吸気管61cを
介して凹み61aからシリンダ部位23b内部へ効率的
に流入する。なお、この時点では、ピストン4がシリン
ダ部位23bの内部に完全に入り込んだ状態となってい
る。
【0064】図5の状態からピストン保持部材5がさら
に60度回転し、これによってシリンダ部材2がさらに
30度回転した状態を示したのが図6である。
【0065】すなわち、上述の図5から図6への動作に
より、ピストン3は、シリンダ部位22aの内部へ約1
/2程度進入した位置からさらに奥側、具体的には約8
/9程度進入した位置まで移動する。この動作により、
シリンダ部位22a内に残っていた流体が、さらに凹み
62aを介して排気管62cに効率よく吐出される。
【0066】また、この間の動作により、ピストン4は
シリンダ部位23b内を空洞部24側へさらに移動す
る。この動作により、外部の流体が、吸気管61cを介
して凹み61aからシリンダ部位23bへさらに流入す
る。なお、この時点では、ピストン4の前方端部分が、
空洞部24内に進出した状態となっている。
【0067】一方、この動作の間、シリンダ部位22
b,23aとシリンダ部位22aの一部は、空洞部24
を介して一連の空間となっており、この一連の空間内に
は各シリンダ部位22b,23a内に吸込口61から流
入した流体が充満した状態となっている。
【0068】図6の状態からピストン保持部材5がさら
に60度回転し、これによってシリンダ部材2がさらに
30度回転した状態を示したのが図7である。
【0069】すなわち、上述の図6から図7への動作に
より、ピストン3は、シリンダ部位22aの内部へ約8
/9程度進入した位置からさらに奥側、具体的にはシリ
ンダ部位22aの最外周端部まで移動する。この動作に
より、シリンダ部位22a内に残っていた流体が、さら
に凹み62aを介して排気管62cに効率よく吐出され
る。なお、この時点、すなわち図4に示した最初の状態
から回転シリンダ部材2が矢示B方向に90度回転した
状態では、シリンダ部位22aの最外周端部は、吸込口
61の凹み61aと吐出口62の凹み62aの間の位置
に対向した状態となっており、吐出動作を既に終了した
状態となっている。
【0070】一方、この間の動作により、ピストン4は
シリンダ部位23bの最奥部側から空洞部24を横切
り、先端部分がシリンダ部位23a内に進入する位置ま
でさらに移動する。このピストン4の動作により、ピス
トン4の一端側はシリンダ部位23bの入り口に、他端
側はシリンダ部位23aの入り口に同時に若干進入した
状態となる。すなわち、ピストン4は、往復動する溝内
の中間位置にある状態となっており、平面に形成された
両側面44,44及び底面43は、同様に平面で形成さ
れたシリンダ部位23a,23bの両内壁と底面及び空
洞部24の底面に同時に当接した状態となっている。
【0071】このとき、シリンダ部位23aの最外周端
部は、吐出口62の凹み62aにわずかに連通し始めた
状態となっており、シリンダ室23aは、凹み62aを
介して排気管62cと連通した状態となっている。ま
た、シリンダ部位23bの最外周端部は、吸込口61の
凹み61aとの連通状態が終了する直前の状態となって
おり、シリンダ部位22bは、ほぼ流体の吸引動作が終
了した状態となっている。なお、上述したように、ピス
トン4が空洞部24に差し掛かっている状態であるた
め、このピストン4によって各シリンダ部位22a〜2
3bは、この時点では再びそれぞれ分断され閉じられた
状態となる。
【0072】このときのピストン3,4は、上述した図
4の状態時における互いの位置を入れ換えた状態となっ
ている。すなわち、ピストン3,4は、ピストン保持部
材5が180度回転し、同時に回転シリンダ部材2が9
0度回転することにより、シリンダ部位22a〜23b
のうちの1つのシリンダ部位に入り込むかまたは出てい
くかの動作をし、互いの位置を入れ換える。そして、本
実施の形態のロータリ式シリンダ装置1は、この動作を
繰り返すことによりポンプ動作を行うようになってい
る。すなわち、ピストン3,4は、ピストン保持部材5
がさらに180度、すなわち最初の時点から360度回
転すると、図4に示した最初の位置に戻る。一方、回転
シリンダ部材2はこの間に180度回転する。
【0073】このため、ピストン保持部材5が2回転、
720度の回転を行うと、この間に回転シリンダ部材2
は1回転、360度の回転を行う。これにより、ピスト
ン3,4は、対になっているシリンダ部位22a〜23
bの間を見かけ上の往復直線運動する。すなわち、ピス
トン保持部材5が2回転することにより、ピストン3,
4は一連の往復動作を1回完遂し、支持軸52,53に
対して1回転する。
【0074】なお、このような動作中、各ピストン3,
4は、各シリンダ部位22a〜23bと摺動面積の大き
い平面同士で面対向することとなる。そのため、対向し
ている面同士、実際にはほぼ接触している面同士の隙間
から流体が漏れないような構造となっている。そのた
め、各空間同士での流体の漏れが防止され、効率の良い
ポンプとすることが可能となる。また、各ピストン3,
4には圧力導入路29が形成されているため、各シリン
ダ部位22a〜23b内の圧力を利用して摺動部分の摩
擦抵抗を低減することができる。このため、摺動部分の
摩耗防止を図ることができると共に、エネルギーのロス
を少なくしてより一層効率の良いポンプを実現すること
ができる。
【0075】上述の第1の実施の形態のロータリ式シリ
ンダ装置1では、シリンダ室の数を2つ(4シリンダ部
位)、ピストンの数を2つで構成しているが、ピストン
及びシリンダ室の数を1つとしてもよい。また、図8及
び図9に示す第2や第3の実施の形態のようにシリンダ
室及びピストンの数を3つとしてもよい。
【0076】本発明の第2の実施の形態として図8に示
したロータリ式シリンダ装置1は、上述の第1の実施の
形態のロータリ式シリンダ装置1と同様、ケーシング6
内に6つのシリンダ部位22a,22b,23a,23
b,28a,28bと6つの扇状の台部25を備えた回
転シリンダ部材2が回転自在に配置されている。即ち、
この実施形態ではシリンダ部位22a,22bと空洞部
24によってシリンダ室22が、シリンダ部位23a,
23bと空洞部24によってシリンダ室23が、シリン
ダ部位28a,28bと空洞部24によってシリンダ室
28が形成されている。そして、回転シリンダ部材2の
偏心位置には、ピストン保持部材(図示省略)が回転自
在に配置され、このピストン保持部材には、3つのピス
トン3,4,9が回転自在に保持されている。なお、上
述の実施の形態のロータリ式シリンダ装置1と同様、こ
のロータリ式シリンダ装置1のケーシング6内に配置さ
れた両部材の回転の比率は、ピストン保持部材の回転数
が2に対して回転シリンダ部材2の回転数が1である。
また、上述の実施形態のロータリ式シリンダ装置1と同
様、このロータリ式シリンダ装置1の各ピストン3,
4,9にも圧力導入路29がそれぞれ形成されている。
【0077】このように構成されたロータリ式シリンダ
装置1は、ピストン保持部材の回転により各ピストン
3,4,9が矢示A’方向に回転すると、この動作に伴
い回転シリンダ部材2が矢示B’方向に回転するように
なっている。これにより、ピストン3がシリンダ室22
を、ピストン4がシリンダ室23を、ピストン9がシリ
ンダ室28を、それぞれ空洞部24を横切りながら見た
目上の往復運動するようになっている。
【0078】なお、各ピストン3,4,9の長手方向の
寸法は、空洞部24を横切る際に、空洞部24の両側の
シリンダ室の内壁双方に係合することが可能なものとな
っている。したがって、各ピストン3,4,9は、空洞
部24を横切る際には両側のシリンダ室に同時に接触す
ることとなる。なお、各ピストン3,4,9は、空洞部
24を横切る際に互いに他のピストン3,4,9にぶつ
かり合わないように設計されているのは勿論である。こ
れにより、ロータリ式シリンダ装置1は、各ピストン
3,4,9が常時いずれかのシリンダ室にガイドされな
がら回転移動し、その結果各ピストン3,4,9が各シ
リンダ室22,23,28内に確実に出入りし、ポンプ
動作を行うこととなる。
【0079】また、本発明の第3の実施の形態として図
9に示したロータリ式シリンダ装置1は、上述の第1及
び第2の実施の形態と同様、ケーシング6内に6つのシ
リンダ部位22a,22b,23a,23b,28a,
28bと6つの扇形の台部25を備えた回転シリンダ部
材2が回転自在に配置されており、回転シリンダ部材2
の偏心位置には、ピストン保持部材(図示省略)が回転
自在に配置されている。そして、このピストン保持部材
には、3つのピストン3,4,9が回転自在に保持され
ている。なお、図1及び図8の実施形態のロータリ式シ
リンダ装置1と同様、このロータリ式シリンダ装置1の
ケーシング6内に配置された両部材の回転の比率は、ピ
ストン保持部材の回転数が2に対して回転シリンダ部材
2の回転数とピストン3,4の支軸52,53に対する
回転数は1である。また、図1及び図8の実施形態のロ
ータリ式シリンダ装置1と同様、このロータリ式シリン
ダ装置1の各ピストン3,4,9にも圧力導入路29が
それぞれ形成されている。
【0080】このように構成されたロータリ式シリンダ
装置1は、ピストン保持部材の回転により各ピストン
3,4,9が矢示A”方向に回転すると、この動作に伴
い回転シリンダ部材2が矢示B”方向に回転するように
なっている。これにより、ピストン3がシリンダ室22
を、ピストン4がシリンダ室23を、ピストン9がシリ
ンダ室28を、それぞれ空洞部兼通路241を横切りな
がら見た目上の往復運動するようになっている。
【0081】なお、空洞部兼通路241の両側には、ケ
ーシング6に立設した断面三日月状のガイド柱26と、
断面略半円状のガイド柱27が配置されており、これら
のガイド柱26,27によって、空洞部兼通路241内
を通過する各ピストン3,4,9の案内をしている。こ
の図9に示したロータリ式シリンダ装置1では、各ピス
トン3,4,9は、略立方体のブロックで構成されてお
り、空洞部兼通路241を横切る際には、いずれのシリ
ンダ室からも離れた状態となる。そのため、各ピストン
3,4,9は、空洞部兼通路241を横切る際にはガイ
ド柱26,27によって所定の姿勢を保ちながら通過す
るようになっている。なお、ガイド柱26,27のみで
なく、上述した第1の実施の形態のように空洞部兼通路
241内の底面にガイド用の小溝を設けるようにして、
その小溝とガイド柱26,27とで協働してピストン
3,4,9を案内するようにしても良い。
【0082】なお、図8及び図9に示すような6つのシ
リンダ室及び3つのピストンを有するタイプのロータリ
式シリンダ装置1は、吸排のバランスが取れトルク変動
が少ないものとなる。
【0083】また、上述の第1の実施の形態では、ピス
トン保持部材5の支軸51をケーシング6から突出さ
せ、この突出部分を駆動源に連結することによりピスト
ン保持部材5を回転させ、これに回転シリンダ部材2を
従動させるように構成したが、図10に示すロータリ式
シリンダ装置1のように、逆に回転シリンダ部材2の支
軸21をケーシング6から突出させ、この支軸21の先
端部分21aをモータ等の駆動源(図示省略)に連結す
ることにより支軸21側を入力側とし、ピストン保持部
材5を回転シリンダ部材2に従動させるようにしてもよ
い。このように構成すると、いわゆるセンター駆動用式
となり、モータに支軸21を直結させた場合に製品とし
ての納まりが良くなる。
【0084】さらに、上述の第1の実施の形態では、吸
込口61の凹み61a及び吐出口62の凹み62aを共
に約80度程度の幅で構成したが、これらの凹み61
a,62aの幅は、用途に応じて任意に設定可能となっ
ている。例えば、高圧縮比が適応される場合、例えば、
エアコンプレッサー等に使用するような場合、吐出口6
2の凹み62aを10度程度と小容積に形成すると、圧
縮比を高めることができ一気に流体が吐出口62から外
部へ吐出されることとなる。
【0085】さらに、上述の第1の実施の形態では、ケ
ーシング6の回転シリンダ部材2の外周面に対向する位
置に、それぞれ吸込口61及び吐出口62が設けられ、
回転シリンダ部材2の外側から吸排を行うようになって
いるが、吸込口61及び吐出口62は回転シリンダ部材
2の上下方向両側やあるいは片側に設けられるようにし
てもよい。
【0086】また、上述の第1の実施の形態では、回転
シリンダ部材2の片面側にピストン保持部材5を配置さ
せ、このピストン保持部材5から支持軸52,53を、
回転シリンダ部材2のシリンダ部位22a,22b,2
3a,23b内に突出させることによって、支持軸5
2,53に保持させたピストン3,4を回転シリンダ部
材2の十字状の空間から成るシリンダ室内に配置させる
ようにしたが、図11〜図14に示すように、ピストン
保持部材90を2枚の円盤状部材90a,90bで構成
し、回転シリンダ部材2の両側に配置するものとしても
良い。以下に、第4の実施の形態として説明する。
【0087】第4の実施の形態では、図11〜図14に
示すように、ケーシング6内の円形のスペースの内壁
に、多数のニードル82aを等間隔に配置した輪環形状
の軸受け部材82を配置し、その内側に回転シリンダ部
材2を回転自在に支持させている。この回転シリンダ部
材2には、各端部が半径方向外側には貫通されず、かつ
軸方向両側には貫通している十字状の空間が形成されて
いる。この十字状の空間の中心部は空洞部24、そし
て、空洞部24から放射状に形成された部位は、それぞ
れシリンダ部位22a,22b,23a,23bとなっ
ている。このように形成された十字状の空間には、中心
部に孔3aを備えたブロック形状のピストン3と、中心
部に孔4aを備えたブロック形状のピストン4とが摺動
自在に嵌め込まれている。なお、この実施形態において
もピストン3,4には圧力導入路29が形成されてい
る。
【0088】回転シリンダ部材2の軸方向両側には、ケ
ーシング6の外部に突出する駆動軸89の一端と支軸9
5を回転中心として固定したピストン保持部材90が配
置されている。すなわち、ピストン保持部材90は、回
転シリンダ部材2を挟んで配置された2枚の円盤状部材
90a,90bから構成されており、ピストン3,4を
それぞれ挿通させた2本の支持軸52,53によって連
結されている。そして、駆動軸89の突出部分を、モー
タ等の駆動源(図示省略)に連結することによりピスト
ン保持部材90を回転させると、ピストン3がシリンダ
部位22a,22bと空洞部24で構成されるシリンダ
室22を、ピストン4がシリンダ部位23a,23bと
空洞部24で構成されるシリンダ室23をそれぞれスラ
イド移動する。この動作により、回転シリンダ部材2
は、ピストン保持部材90と同方向に1/2の速度で回
転し、各シリンダ部位22a,22b,23a,23b
が吸込口61a及び吐出口62a,62に連通するよう
になっている。
【0089】なお、この第4の実施の形態は、動作に関
しては、上述した第1の実施の形態と同様のものとなっ
ており、この動作によってポンプ活動を行うようになっ
ている。この第4の実施の形態をポンプとして用いる場
合、各シリンダ部位22a〜23bが回転シリンダ部材
2の外周面に連通していないので、吸排機構を回転シリ
ンダ部材2の両端面もしくは片側の端面の各シリンダ部
位22a〜23bに連通可能な位置の最外周部分に設け
ることとなる。
【0090】以上の各実施の形態では、回転シリンダ部
材とピストン保持部材のいずれか一方を入力側としてケ
ーシング6から突出させ、他方を従動側としてケーシン
グ6内に組込んでいるが、両支軸21,51を共にケー
シング6から突出させ、1つのロータリ式シリンダ装置
で両タイプ可能としてもよい。またさらに、上述した各
実施の形態は、モータの駆動力によりシリンダ部材を回
転させてポンプ活動を行う装置としたが、流体をシリン
ダ部材内に送り込むことにより、両支軸21,51を回
転させて、これら支軸21,51から出力をとる装置と
しても良い。
【0091】次に、図16〜図18に、本発明のロータ
リ式シリンダ装置を流体のエネルギを使って回転出力を
得る流体回転機として構成した実施形態を示す。なお、
この実施形態における動力源として用いる流体はオイ
ル,水等の液体に限るものではなく、空気,ガス等の気
体であっても良い。また、図1〜図4に示す実施形態で
説明した構成と基本的に同じ構成・原理のものについて
は同一符号を付し、説明を省略する。
【0092】この実施形態では回転シリンダ部材2の回
転中心となる軸21を出力軸とし、ケーシング6の外に
その先端を突出させている。更に、ガイド用溝26a,
27aと凸片3b,4bとから成るガイド手段をピスト
ン3,4とシリンダ部材2との間に形成せずに、シリン
ダ室22,23の両側壁と底面との3面のみでピストン
の移動をガイドさせる構造としている。即ち、シリンダ
室22,23を形成する溝の横断面形状は詳しくは後述
するピストン3,4の横断面形状と一致している。ま
た、シリンダ部位22a〜23bの長手方向の一端側
(中央側)は空洞部24に連通している。
【0093】なお、空洞部24の底面は、各シリンダ部
位22a〜23bにそれぞれ対応した形状となってい
る。即ち、シリンダ部位22a〜23bの横断面形状と
これらに連続する空洞部24の断面形状は同一であり、
厚肉の円板材料に十字状の溝を切削等の方法で加工する
ことで、空洞部24及びシリンダ部位22a〜23bよ
り成る十字状の溝を形成することができる。しかも、切
削等の方法で加工される十字状溝の底面の両コーナー部
分は丸みを帯びた形状で良いため、その加工は極めて容
易である。
【0094】ここで、ピストン3,4は、例えば図19
(A)に示すように、その底面の両コーナー部分11を
丸めた形状を成しており、その横断面形状をシリンダ部
位22a〜23bの横断面形状に一致させている。ま
た、ピストン3,4の上面(ピストン保持部材5との対
向面)は平面となっている。したがって、ケーシング6
及びピストン保持部材5によって塞がれたシリンダ部位
22a〜23bに対してピストン3,4の上面,両側
面,底面は面接触することになり、シリンダ部位22a
〜23bとピストン3,4の間の気密性・液密性が確保
される。すなわち、流体の漏れをより確実に防止するこ
とができる。また、各ピストン3,4には、例えば溝2
9a,29bより構成される圧力導入路29が形成され
ており、摺動部分の摩擦抵抗を低減している。
【0095】そして、下ケース64の小スペース64c
の底面には、出力軸21を貫通させるための挿通孔64
eが設けられている。出力軸21の先端は、この挿通孔
64eよりケーシング6の外部へ突出している。また、
挿通孔64eの内面に凹溝を設け、そこにOリング48
を設けることで出力軸21と下ケース64の間をシール
している。これにより、圧力の逃げを防止している。
【0096】流体の入口61は、回転シリンダ部材2の
回転軸心Oからみて回転シリンダ部材2の回転に伴い、
ピストン3,4が回転シリンダ部材2の略外周位置にあ
るときにシリンダ部位22a〜23bを連通するように
開口し、回転シリンダ部材2の中心線が略45度の位置
にあるときにシリンダ部位22a〜23bを閉口するよ
うに形成されている。
【0097】また、流体の出口62は、大スペース64
bの内壁64dに形成された浅い凹み62aと連通す
る。即ち、流体の出口62は、回転シリンダ部材2の回
転軸心Oからみて回転シリンダ部材2の回転にともな
い、ピストン3,4が回転シリンダ部材2の中心線が略
45度の位置にあるときにシリンダ部位22a〜23b
を連通するように開口し、回転シリンダ部材2の略外周
位置にあるときにシリンダ部位22a〜23bを閉口す
るように形成されている。
【0098】流体の入口61と流体の出口62は、流体
の流れに対して流れ抵抗が小さくなり連続回転動作する
ように形成されている。例えば、流体がケーシング6内
を方向転換せずにそのまま直進できるように回転シリン
ダ部材2を挟んで対向する位置に流体の入口61と流体
の出口62を形成している。また、流体の入口61の凹
み61aと流体の出口62の凹み62aは、回転シリン
ダ部材2の回転方向に対して広い範囲に形成されてい
る。例えば、凹み61aは、回転シリンダ部材2の回転
方向に対して、ピストン3,4を最も外側に移動させて
いる状態のシリンダ部位(図17ではシリンダ部位23
b)を通過した位置から連通孔61bが形成されている
範囲に亘って形成されている。また、凹み62aは、回
転シリンダ部材2の回転方向に対して、連通孔62bの
始まる位置からピストン3,4を最も外側に移動させて
いる状態のシリンダ部位(図17ではシリンダ部位23
b)の直前の位置までの範囲に亘って形成されている。
さらに、流体の入口61の連通孔61bと流体の出口6
2の連通孔62bは、各シリンダ部位22a〜23bに
比べて通路面積が十分大きくなっている。この様に、流
体の入口61と流体の出口62が対向した位置に形成さ
れ、しかも凹み61a,62aが広い範囲に形成され、
且つ連通孔61bと62bは通路面積が大きく形成され
ているので、流体の流れ抵抗は小さなものとなる。
【0099】流体の入口61の凹み61aと流体の出口
62の凹み62aは、図17に示すとおり、回転シリン
ダ部材2の回転軸心Oとピストン保持部材5の回転中心
位置Xとを通る線を挟んで線対称となるように形成され
ている。凹み61aの図17下端側の位置は、回転軸心
Oと回転中心位置Xとを通る線上の近傍まで形成され、
より詳細には、上記線上からピストン4(または3)の
幅の略半分、流体の入口側によった位置となっている。
また、凹み61aの図17上端側の位置は、回転軸心O
と回転中心位置Xとを通る線上から時計回転方向に略1
35度回転させ、さらに、ピストン4(または3)の幅
の略半分、反時計回転方向に減じた位置となっている。
また、凹み61a,62aの流路断面積は、深さ方向の
値でコントロールできるので、流体抵抗が小さくなるよ
うに設定してある。
【0100】この流体回転機1は、背圧逃がし手段を備
えている。背圧逃がし手段は、例えば、ピストン前後動
背圧逃がし手段12と、シリンダ側背圧逃がし手段13
と、ピストン保持部材側背圧逃がし手段14より構成さ
れている。
【0101】ピストン前後動背圧逃がし手段12は、例
えば空洞部24の底面の中央に形成された十字溝であ
る。このピストン前後動背圧逃がし手段としての十字溝
12は、ピストン3,4の長さよりも若干長く形成され
ており、図17に示すように、空洞部24にピストン
3,4が位置している場合であっても各シリンダ部位2
2a〜23bを連通することができる。このため、流体
として非圧縮性の液体を使用する場合であっても、ピス
トン3,4が液圧によってロックされることはなく円滑
な動きを可能にしている。なお、十字溝12の通路断面
積はピストン3,4の横断面積よりも十分小さくなって
おり、流体の入口61からシリンダ部位22a〜23b
内に流れ込んだ流体の圧力は殆どピストン3,4に作用
するので、流体回転機1としての効率を悪化させること
はない。ただし、ピストン前後動背圧逃がし手段として
の十字溝12は、例えば流体として気体を使用する場合
等には省略しても良い。
【0102】シリンダ側背圧逃がし手段13は、流体回
転機1の作動中に回転シリンダ部材2と下ケース64の
間に発生する背圧を逃がして回転シリンダ部材2等の回
転を円滑にする為のもので、例えば4つの台部25を貫
通する孔13(図17)である。ただし、シリンダ側背
圧逃がし手段としては台部25を貫通する孔13に限る
ものではなく、例えば図20及び図41に示すように、
回転シリンダ部材2の外周面に形成された溝13でも良
く、又は図21(A)及び図21(B)に示すように、
下ケース64の内壁64dに形成された溝13でも良
い。これら3タイプのシリンダ側背圧逃がし手段13で
は、回転シリンダ部材2の両側の圧力を均一にすること
で背圧を逃がす構造であり、流体がケーシング6の外に
漏れるのを防止することができる。また、流体がケーシ
ング6の外に漏れるのを許容できる場合には、例えば図
22(A)及び図22(B)に示すように、シリンダ側
背圧逃がし手段として下ケース64に貫通孔13を形成
し、背圧をケーシング6の外に逃がすようにしても良
い。
【0103】ピストン保持部材側背圧逃がし手段14
は、流体回転機1の作動中にピストン保持部材5と上ケ
ース63の間に発生する背圧を逃がしてピストン保持部
材5の回転を円滑にする為のもので、例えばピストン保
持部材5を貫通する孔14(図17)である。ただし、
ピストン保持部材側背圧逃がし手段としてはピストン保
持部材5を貫通する孔14に限るものではなく、例えば
図20及び図41に示すように、ピストン保持部材5の
外周面に形成された溝14でも良く、又は図21(A)
及び図21(B)に示すように、上ケース63の内周面
に形成された溝14でも良い。これら3タイプのピスト
ン保持部材側背圧逃がし手段14では、ピストン保持部
材5の両側の圧力を均一にすることで背圧を逃がす構造
であり、流体がケーシング6の外に漏れるのを防止する
ことができる。また、流体がケーシング6の外に漏れる
のを許容できる場合には、例えば図22(A)及び図2
2(B)に示すように、ピストン保持部材側背圧逃がし
手段として上ケース63に貫通孔14を形成し、背圧を
ケーシング6の外に逃がすようにしても良い。
【0104】また、流体回転機1は、潤滑剤循環機構1
5を備えている。この潤滑剤循環機構15は、例えば図
24に示すように、潤滑剤タンク16と、回転シリンダ
部材2の背面に連通し、この潤滑剤タンク16からケー
シング6内に潤滑剤を導く潤滑剤流入通路17と、ピス
トン保持部材5の背面側に連通し、この潤滑剤タンク1
6に潤滑剤を導く潤滑剤流出通路18を備えて構成され
ている。潤滑剤流入通路17の途中には、図示しないフ
ィルタが設けられている。なお、潤滑剤としては、潤滑
オイル、潤滑グリス、水、気体、その他の流体等、潤滑
性を有するものであれば良い。
【0105】潤滑剤流入通路17は、上ケース63に設
けられたポート19に接続されている。このポート19
から上ケース63内に導かれた潤滑剤は、ケーシング6
内の各部材の隙間やシリンダ側背圧逃がし手段13,ピ
ストン保持部材側背圧逃がし手段14等を伝わって摺動
面を潤滑する。そして、下ケース64に設けられたポー
ト20から潤滑剤流出通路18へと流出し、潤滑剤タン
ク16へと循環される。この潤滑剤は、回転シリンダ部
材2やピストン保持部材5の回転によって生じる圧力差
を利用して、潤滑剤タンク16→潤滑剤流入通路17→
ケーシング6内→潤滑剤流出通路18→潤滑剤タンク1
6へと循環する。
【0106】上述したように構成された流体回転機1
は、流体の圧力によって回転する。すなわち、流体の入
口61に流体が供給されると、ピストン保持部材5や回
転シリンダ部材2等が回転運動を行い、出力軸21から
回転力を取り出すことができる。
【0107】図16〜図18に示す流体回転機1の動作
について、図23(A)〜図23(F)を用いて説明す
る。
【0108】まず、図23(A)の状態では、シリンダ
部位22a,22b内を見かけ上往復動するピストン3
は、回転シリンダ部材2の空洞部24に位置している。
この位置では、ピストン3はシリンダ部位22a,22
bに同時に係合している。一方、シリンダ部位23a,
23b内を見かけ上往復動するピストン4は、回転シリ
ンダ部材2のシリンダ部位23b内の最外周端部まで進
出した(押し進められた)状態となっている。
【0109】この状態では、シリンダ部位22bは流体
の入口61の凹み61aに対向しており、シリンダ部位
22aは流体の出口62の凹み62aに対向している。
また、シリンダ部位23a,23bは、凹み61aと凹
み62aの間、即ち凹み61a,62aが形成されてい
ない位置に対向している。
【0110】この状態で、流体の入口61から流体がシ
リンダ部位22bに流入すると、この流体の圧力によっ
てピストン3がシリンダ部位22aに向けて押し進めら
れる。自転中心位置X1は回転中心位置Xに対してずれ
ていることから、ピストン3が進む力はピストン3を保
持するピストン保持部材5を回転させる力となり、ピス
トン保持部材5を回転中心位置Xまわりに回転させる。
この結果、ピストン3は回転中心位置Xまわりに回転す
るので、回転シリンダ部材2を回転軸心Oまわりに回転
させる。
【0111】ピストン3は、シリンダ部位22a内の流
体を流体の出口62から排出しながら、流体の入口61
からシリンダ部位22bに流入した流体の圧力で押し進
められる。一方、ピストン保持部材5の回転に伴い、図
23(B)に示すように、シリンダ部位23b内のピス
トン4は空洞部24に向けて引き戻されることになる
が、この時、ピストン3,4間の流体は十字溝12を通
ってシリンダ部位23bから他のシリンダ部位22a〜
23aに流出し、また、ピストン保持部材5の回転によ
ってシリンダ部位23bが流体の入口61の凹み61a
にオーバーラップ(対向)し始めるので、流体の入口6
1からシリンダ部位23bへと流体が流入し始める。す
なわち、流体の圧力によってピストン3,4の動きが妨
げられる(液圧ロックされる)ことはなく、ピストン
3,4はスムーズに動き、ピストン保持部材5及び回転
シリンダ部材2はスムーズに回転する。
【0112】そして、流体の入口61からシリンダ部位
22bに流入した液体はピストン3を押し進めることで
ピストン保持部材5及び回転シリンダ部材2を回転させ
続ける。より具体的には、ピストン3は、流体の入口6
1の凹み61aからの流体圧力により回転シリンダ部材
2の回転軸心Oの位置から外周へ進み、連通孔62b側
のシリンダ部位22aの流体を押し出そうとする。
【0113】また、流体圧力がピストン3を押すことに
より、ピストン保持部材5の回転力となる。
【0114】一方、この状態では、ピストン4は回転シ
リンダ部材2の回転にはほとんど寄与していない。即
ち、ピストン4は、流体の入口61からシリンダ部位2
3bに流入した流体によって回転シリンダ部材2の回転
軸心Oに向かおうとするが、ピストン4の前後は共に凹
み61aにつながっており、圧力がバランスしているの
で、ピストン3によって回転シリンダ部材2の回転が与
えられる(図23(C))。この状態では、シリンダ部
位22bとシリンダ部位23bが流体の入口61の凹み
61aにオーバーラップしているが、ピストン保持部材
5及び回転シリンダ部材2が更に回転して図23(D)
の位置に達すると、流体の入口61の凹み61aにオー
バーラップしているシリンダ室はシリンダ部位23bの
みとなり、以降、流体の圧力はピストン4に作用する。
即ち、流体圧力がピストン4を押し、ピストン4がシリ
ンダ部位22b,23a、空洞部24の流体を押し、ピ
ストン3が押されることとなり、回転力が継続する。換
言すれば、流体の圧力を受けるピストンがピストン3か
らピストン4へと移り、ピストン保持部材5及び回転シ
リンダ部材2は回転し続ける。
【0115】一方、この状態では、流体の出口62の凹
み62aにオーバーラップしているシリンダ室はシリン
ダ部位22aのみであり、シリンダ部位22a内の流体
が流体の出口62から排出されているが、ピストン保持
部材5及び回転シリンダ部材2が更に回転して図23
(E)の位置に達すると、シリンダ部位23aも流体の
出口62の凹み62aにオーバーラップするようにな
り、凹み61aからの流体圧力は、ピストン4が受け、
ピストン保持部材5に回転を与え、シリンダ部位22a
内の流体とシリンダ部位23a内の流体を流体の出口6
2から排出しながらピストン保持部材5及び回転シリン
ダ部材2は回転する(図23(F))。
【0116】そして、以降、流体の入口61の凹み61
aと流体の出口62の凹み62aに対するシリンダ室の
位置関係がシリンダ部位22b→シリンダ部位23b→
シリンダ部位22a→シリンダ部位23a→シリンダ部
位22bへと順番に変化し、また、流体の圧力を主に受
けるピストンがピストン3→ピストン4→ピストン3へ
と交互に変化することで、ピストン保持部材5及び回転
シリンダ部材2が回転し続ける。したがって、出力軸2
1から回転力が連続して出力される。すなわち、流体モ
ータとして機能する。
【0117】この流体回転機1では、ピストン3,4が
シリンダ部位22a〜23bの外側位置から空洞部24
に向けて引き戻される場合、即ちシリンダ部位22a〜
23b内の容積が増加する場合には、シリンダ部位22
a〜23bは流体の入口61の凹み61aにオーバーラ
ップしている。また、ピストン3,4が空洞部24から
シリンダ部位22a〜23bの外側位置に向けて押し進
められる場合、即ちシリンダ部位22a〜23b内の容
積が減少する場合には、シリンダ部位22a〜23bは
流体の出口62の凹み62aにオーバーラップしてい
る。このため、ピストン3,4はスムーズに移動する。
また、上述したように、流体の入口61と流体の出口6
2は対向した位置に形成されており、しかも凹み61
a,62aが広い範囲に形成され、且つ連通孔61bと
62bは通路面積が大きく形成されているので、流体の
流れ抵抗は小さなものとなる。これらの結果、流体の圧
力が効率よく回転シリンダ部材2即ち出力軸21の回転
力に変換されることになり、効率の良い流体回転機1と
なる。
【0118】この流体回転機1では、ピストン3,4の
周回回転運動、すなわち、回転中心位置Xを中心とした
ピストン保持部材5の回転運動は、回転シリンダ部材2
の回転軸心Oを中心とする回転角速度の2倍の角速度回
転運動となる。
【0119】また、ピストン3は、回転シリンダ部材2
が1回転する間にシリンダ部位22a,22b間を1往
復し支持軸52に対して1回転するため、ピストン3の
回転数と回転シリンダ部材2の回転数とが1:1の関係
になっている。すなわち、回転シリンダ部材2の回転数
対ピストン保持部材5の回転数対ピストン3,4の支持
軸52、53に対する回転数の比が、1:2:1となっ
ている。
【0120】また、上述したように、ピストン3,4の
横断面形状とシリンダ部位22a〜23bの横断面形状
を一致させているので、流体回転機1が組み付けられる
と、シリンダ部位22a〜23bに対してピストン3,
4の上面,両側面,底面は面接触することになり、シリ
ンダ部位22a〜23bとピストン3,4の間の気密性
・液密性が確保される。すなわち、流体の漏れをより確
実に防止することができ、効率の良い流体回転機とする
ことができる。また、各ピストン3,4には、例えば溝
29a,29bより構成される圧力導入路29が形成さ
れている。このため、シリンダ部位22a〜23b内の
流体が圧力導入路29内に進入してその先端部分まで進
み、ピストン3,4を押す力とシリンダ部位22a,2
3b側の面を押す力(ピストン3,4と回転シリンダ部
材2間のクリアランスを大きくする力)を発生させる。
これにより、ピストン3,4と回転シリンダ部材2の間
に流体が介在することになり、摩擦の状態が乾燥摩擦の
多い状態から境界摩擦や流体摩擦が多い状態になる。こ
の結果、摺動部分の摩擦抵抗が減少し、エネルギーのロ
スを防止してより一層効率の良い流体回転機とすること
ができると共に、摺動部分の摩耗防止を図ることができ
る。即ち、シール性の確保と摩擦抵抗の低減とをともに
高レベルで実現することができる。
【0121】次に、この流体回転機1を使用した流体発
電機の実施形態について説明する。なお、この実施形態
では、発電機命令を除いて駆動源としての流体回転機1
は図1〜図4に示す実施形態で説明した構成と基本的に
同じ構成・原理であるから、同一符号を付し、その説明
を省略する。図25〜図31に、この流体発電機70の
一例を示す。この流体発電機70では、流体回転機1の
出力側に発電機構を接続し、これらをケーシング6内に
収容したものである。発電機構は、回転側の要素として
のヨーク73及びマグネット74と、固定側の要素とし
てのステータコア76,巻き線77及びホルダ78を備
えて構成されている。
【0122】すなわち、回転シリンダ部材2に円筒部7
2を一体に成形し、円筒部72にヨーク73とマグネッ
ト74を接着固定している。回転シリンダ部材2は、ス
ラスト方向とラジアル方向を同時に受けるベアリング7
5を介して下ケース64に回転自在に支持されている。
一方、マグネット74に対向するステータコア76およ
び巻き線77は、下ケース64に取り付けられたホルダ
78に設置されている。
【0123】なお、本実施形態では、図42に示すよう
に、ステータコア76の突極の中心とマグネット74の
磁極(N極またはS極)の中心位置とシリンダ部位22
a〜23bになる溝位置とは略一致させている。これ
は、機動性をよくするためであり、シリンダ部位22a
〜23bが停止すると最大トルクを発生し起動し易くす
ることができる。しかし、使用上問題ない範囲であれ
ば、上記位置関係に固執することはない。
【0124】ピストン保持部材5は、スラスト方向とラ
ジアル方向を同時に受けるベアリング79を介して上ケ
ース63に支持されている。上ケース63は下ケース6
4に対してねじ止めされており、これらの間はOリング
80によってシールされている。なお、ケーシング6、
ピストン3,4、ピストン保持部材5、回転シリンダ部
材2等は、肉抜きされて形状の安定化、軽量化が図られ
ている。
【0125】この流体発電機70の流体の入口61に流
体が供給されると、図23に示す作動原理と同様の原理
で回転シリンダ部材2が回転し、それに固定されている
マグネット74がステータコア76に巻かれている巻き
線77に対して回転する。したがって、巻き線77に電
流が生じて発電が行われる。この流体発電機70では、
内側のステータコア76、巻き線77を中心として、そ
の周囲にマグネット74を配置しているので、発電効率
が良好になる。
【0126】なお、上述の流体の出口62を流体の流入
口とし、流体の入口61を流体の流出口として用いるこ
とで、出力軸21から逆回転の出力を得るようにしても
良い。
【0127】また、ピストン3,4の横断面形状と各シ
リンダ部位22a〜23bの横断面形状を一致させるこ
とでピストン3,4の周囲から流体が漏れるのを防止す
る構成となっている。
【0128】また、ピストン3,4の形状やシリンダ部
位22a〜23bの横断面形状は、図19に示したもの
に限るものではなく、例えば図32〜図36に示すよう
に、角張ったU形や、滑らかなU形、ホームベース形ね
台形状、逆三角形状などの様々の異形状の横断面形状を
有するものであっても良く、また、図37(A)、図3
7(B)に示すように正方形状であっても良い。さら
に、その他の形状であっても良い。
【0129】また、図39に示すように、回転シリンダ
部材2の回転軸を出力軸21とすると共にピストン保持
部材5側の支軸51を出力軸としても良い。即ち、回転
シリンダ部材2とピストン保持部材5のうち少なくとも
一方の回転を出力すれば良い。なお、図38及び図39
は、図16と同位置の断面を示したものであり、流入口
や流出口等の図示を省略してある。
【0130】また、上述の説明では、転がり軸受け部材
7a,7bを使用して回転シリンダ部材2を支持してい
たが、滑り軸受け部材を使用して回転シリンダ部材2を
支持するようにしても良い。また、転がり軸受け部材8
a,8bを使用してピストン保持部材5を支持していた
が、滑り軸受け部材を使用してピストン保持部材5を支
持するようにしても良い。
【0131】また、上述の説明では、シリンダ室の数を
2つ(シリンダ部位の数を4つ),ピストンの数を2つ
としていたが、必ずしもこの数の組み合わせに限るもの
ではない。例えば、シリンダ室の数を3つ(シリンダ部
位の数を6つ),ピストンの数を3としてもよい。この
場合の作動原理を、図40に基づいて簡単に説明する。
【0132】図40の例では、ケーシング6内に6つの
シリンダ部位22a,22b,23a,23b,28
a,28bと6つの扇状の台部25を備えた回転シリン
ダ部材2が回転自在に配置されている。即ち、この例で
はシリンダ部位22a,22b、空洞部24によってシ
リンダ室22が、シリンダ部位23a,23b、空洞部
24によってシリンダ室23が、シリンダ部位28a,
28b、空洞部24によってシリンダ室28が形成され
ている。そして、回転シリンダ部材2の偏心位置には、
ピストン保持部材5が回転自在に配置され、このピスト
ン保持部材5には、3つのピストン3,4,9が回転自
在に保持されている。なお、上述の場合と同様に、この
流体回転機1のケーシング6内に配置された回転シリン
ダ部材2とピストン保持部材5の回転の比率は、ピスト
ン保持部材5の回転数が2に対して回転シリンダ部材2
の回転数が1であり、ピストン3,4,9のシリンダ室
22,23,28内の往復回数は1であり、図示しない
支持軸に対するピストンの回転数も1である。
【0133】この例でも図23の場合と同様に、ピスト
ン保持部材5の回転により各ピストン3,4,9が図中
時計回り方向に回転すると、この動作に伴い回転シリン
ダ部材2も同方向に回転するようになっている。これに
より、ピストン3がシリンダ室22を、ピストン4がシ
リンダ室23を、ピストン9がシリンダ室28を、それ
ぞれ空洞部24を横切りながら見た目上の往復運動する
ようになっている。
【0134】なお、各ピストン3,4,9の長手方向の
寸法は、空洞部24を横切る際に、空洞部24の両側の
シリンダ室の内壁双方に係合することが可能なものとな
っている。したがって、各ピストン3,4,9は、空洞
部24を横切る際には両側のシリンダ室に同時に接触す
ることとなる。なお、各ピストン3,4,9は、空洞部
24を横切る際に互いに他のピストン3,4,9にぶつ
かり合わないように設計されているのは勿論である。こ
れにより、図40の例では、各ピストン3,4,9が常
時いずれかのシリンダ室にガイドされながら回転移動
し、その結果各ピストン3,4,9が各シリンダ室2
2,23,28内に確実に出入りし、流体の圧力によっ
て図示しない出力軸を回転させるモータ動作を行うこと
となる。なお、作動流体が非圧縮性流体の場合は、シリ
ンダ室22,23,28が交差する空洞部24には、図
示していないが、放射状に伸びる6本の浅い溝を形成す
ることもある。即ち、ピストン前後動背圧逃がし手段と
して、空洞部24に図示しない6等方に放射した形状の
溝を設けるようにしても良い。
【0135】なお、図40に示すような3つのシリンダ
室22,23,28及び3つのピストン3,4,9を有
するタイプの流体回転機1は、トルク変動が少ないもの
となる。
【0136】次に、図43〜図47に、本発明のロータ
リ式シリンダ装置を回転力の入力により流体を圧縮する
回転式圧縮機として構成した実施形態を示す。なお、こ
の実施形態における圧送する流体はオイル,水等の液体
に限るものではなく、空気,ガス等の気体であっても良
い。また、図1〜図4、図16〜図18に示す実施形態
で説明した構成と基本的に同じ構成・原理のものについ
ては同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0137】本実施形態のピストン3,4は、例えば焼
結メタル(金属等の粉末の焼結体)により形成されてい
る。このため、ピストン3,4が多孔質のものとなり、
予め潤滑オイルを含浸させておくことができ、摺動面の
潤滑に有利になる。ただし、ピストン3,4を焼結メタ
ル以外の材料を使用して形成しても良いことは勿論であ
る。
【0138】この実施形態では、回転シリンダ部材2に
は、ケレープレート221を介して入力軸としての支軸
21の回転が伝達される。具体的に説明すると、回転シ
リンダ部材2の各台部25内には、ピストン保持部材5
に対向する面とは反対側の面、すなわち図44及び図4
5において下側面に開口する大径孔25aが形成されて
いる。そして、各大径孔25aのうち、直線状に配置さ
れた2つの大径孔25aには、ケレープレート221に
立設固定されたケレー軸30が挿入されている。このケ
レー軸30に対して、大径孔25aはシリンダ部位22
a,22b,23a,23bの軸心方向に若干長く形成
されており、たとえ回転シリンダ部材2とケレープレー
ト221の回転中心がずれていたとしても当該ずれを吸
収しながらケレープレート221の回転を回転シリンダ
部材2に良好に伝達することができる。ケレープレート
221と回転シリンダ部材2の間にはクリアランスが設
けられており、後述のようにケレープレート221の傾
き調整を可能にしている。
【0139】ケレープレート221の回転軸心には、入
力軸21が圧入により挿入固定されている。この入力軸
21は、その中央部を滑り軸受け部材7に回転自在に支
承されている。また、入力軸21の先端は、ケーシング
6の外部に突出している。
【0140】回転シリンダ部材2は、軸受けプレート3
2によって回転自在に支持されている。軸受けプレート
32は回転シリンダ部材2を回転自在に平面受けするた
めの部材で、図48に示すように、その受け面には2条
の突部32a,32bが形成されている。各突部32
a,32bは部分的にカットされており、潤滑オイルの
循環を容易にしている。また、各突部32a,32bの
カット部分は回転シリンダ部材2の回転方向に関し90
度ずらして配置されており、回転シリンダ部材2の傾き
防止が図られている。このようにして、回転シリンダ部
材2をその外周付近で平面受けすることができるので、
回転シリンダ部材2の回転状態が安定したものとなり、
傾き難くなり、圧縮性能を確保でき、信頼性を向上させ
ることができる。軸受けプレート32には、後述する潤
滑オイルを循環させるための孔32cが形成されてい
る。
【0141】軸受けプレート32の傾きは、調整ねじ3
3によって調整可能となっている。調整ねじ33は、例
えば3本の押しねじ33aと3本の引きねじ33bより
構成されており、これらを周方向に交互に配置してい
る。押しねじ33aは軸受けプレート32を部分的に回
転シリンダ部材2に近づけ、引きねじ33bは軸受けプ
レート32を部分的に回転シリンダ部材2から引き離す
ようにする。したがって、押しねじ33a、引きねじ3
3bのねじ込み量を変化させることで、軸受けプレート
32の傾きを調整することができる。このため、スラス
ト方向の部品精度を軽減できる。各調整ねじ33と下ケ
ース64、軸受けプレート32との間は、Oリング43
によってシールされている。また、潤滑オイルを循環さ
せるための穴32cが形成されている。
【0142】ピストン保持部材5は、ケレープレート2
21を支持する軸受けプレート32と同様の軸受けプレ
ート134によって回転自在に支持されている。この軸
受けプレート134にも、軸受けプレート32と同様
に、2条の突部134a,134bが形成されており、
ピストン保持部材5をスラスト方向に平面受けするよう
になっている。このようにして、ピストン保持部材5を
その外周付近で平面受けすることができるので、ピスト
ン保持部材5の回転状態が安定したものとなり、傾き難
くなり、圧縮性能を確保でき、信頼性を向上させること
ができる。また、潤滑オイルを循環させるための孔13
4cが形成されている。そして、この軸受けプレート1
34の傾きは、例えば3本の押しねじ33aと3本の引
きねじ33bより構成された調整ねじ33によって調整
可能となっている。このため、スラスト方向の部品精度
を軽減することができる。各調整ねじ33と上ケース6
3、軸受けプレート32との間は、Oリング42によっ
てシールされている。
【0143】なお、ラジアル方向に対して、回転シリン
ダ部材2は下ケース64の周壁64dにより、ピストン
保持部材5は上ケース63の周壁63dによって支持さ
れる。
【0144】各支持軸52,53には、その軸方向及び
径方向に貫通する支持軸内通路52a,53aが形成さ
れている。後述する潤滑オイルの一部は支持軸内通路5
2a,53aを通って流れ、ピストン3,4とピストン
保持部材5との間の摺動面や、支持軸52,53とピス
トン3,4との間の摺動面を潤滑する。
【0145】なお、潤滑の程度にもよるが、支持軸内通
路52a,53aは無くても良い。
【0146】上ケース63と下ケース64はねじ45に
よって固定されている。また、上ケース63と下ケース
64の間はOリング35によってシールされている。
【0147】下ケース64の底部には、入力軸21を貫
通させるための挿通孔64eが設けられている。また、
下ケース64の底部にはキャップ36がねじ37によっ
て固定されている。下ケース64とキャップとの間は、
Oリング38によってシールされている。また、入力軸
21と圧縮機内部のシールは、2段重ねのメカニカルシ
ール99によってシールされている。
【0148】流体の入口である吸込口61の凹み61a
は、回転シリンダ部材2の回転に伴い、ピストン3,4
が最外周に移動した位置より若干内側に入った位置から
始まりピストン3,4が空洞部24付近に移動した位置
まで至るように形成されている。また、流体の出口であ
る吐出口62の凹み62aは、回転シリンダ部材2の回
転に伴い、ピストン3,4が最外周に移動した位置より
若干手前の位置にわずかに設けてある。このように、凹
み62aは、凹み61aに比べて、回転シリンダ部材2
の回転方向に対して極めて狭い範囲に形成されている。
したがって、シリンダ部位22a,22b,23a,2
3b内の圧力が十分増加するまではこれらシリンダ部位
22a,22b,23a,23bは凹み62aと対向す
ることはなく、ピストン3,4によって圧縮されたシリ
ンダ部位22a,22b,23a,23b内の流体を高
圧のまま一気に吐出口62から排出することができる。
【0149】なお、ピストン3,4が最外周位置(図4
9のシリンダ部位23bの位置)では、シリンダ部位2
2a,22b,23a,23b内は最も高圧になる。こ
れに対し、吸込口61は低圧である。したがって、ピス
トン3,4の最外周位置のシリンダ部位22a,22
b,23a,23bから吸込口61への流体の漏洩が考
えられるが、この回転式圧縮機1ではピストン3,4の
最外周位置と吸込口61の凹み61aとの間の仕切部分
(図49のA部分)を十分広くすることで、流体の漏洩
を防止している。また、ピストン3,4の最外周位置の
シリンダ部位22a,22b,23a,23bに比べて
吐出口62はほぼ等圧であるが、ピストン3,4の最外
周位置から回転シリンダ部材2が回転するとシリンダ部
位22a,22b,23a,23bの体積は増加し低圧
化するため、最外周位置と吐出口62の凹み62aとの
間の仕切部分(図49のB部分)を十分広くし、流体の
漏洩を防いでいる。
【0150】また、吐出口62には、例えばボール39
aとスプリング39bより成る逆止弁39が設けられて
おり、流体の逆流を防止している。逆止弁39は、凹み
62aに近い位置に配置されており、逆止弁39の上流
側の容積を減少させて圧縮比を高めるようにしている。
【0151】この回転式圧縮機1も、背圧逃がし手段を
備えている。本実施形態では、背圧逃がし手段は、例え
ば、シリンダ側背圧逃がし手段13と、ピストン保持部
材側背圧逃がし手段14より構成されている。
【0152】シリンダ側背圧逃がし手段13は、回転式
圧縮機1の作動中に回転シリンダ部材2と下ケース64
の間に発生する背圧を逃がして回転シリンダ部材2等の
回転を円滑にする為のもので、例えば4つの台部25を
貫通して大径孔25aに通じる孔13である。ただし、
シリンダ側背圧逃がし手段としては台部25を貫通する
孔13に限るものではなく、例えば図50及び図51に
示すように、回転シリンダ部材2の外周面に形成された
溝13でも良く、又は図55及び図56に示すように、
下ケース64の周壁64dに形成された溝13でも良
い。
【0153】ピストン保持部材側背圧逃がし手段14
は、回転式圧縮機1の作動中にピストン保持部材5と上
ケース63の間に発生する背圧を逃がしてピストン保持
部材5の回転を円滑にする為のもので、例えばピストン
保持部材5を貫通する孔14である。ただし、ピストン
保持部材側背圧逃がし手段としてはピストン保持部材5
を貫通する孔14に限るものではなく、例えば図50及
び図51に示すように、ピストン保持部材5の外周面に
形成された溝14でも良く、又は図55及び図56に示
すように、上ケース63の周壁63dに形成された溝1
4でも良い。
【0154】回転式圧縮機1は、潤滑オイル循環機構1
5を備えている。この潤滑オイル循環機構15は、例え
ば図46に示すように、オイルタンク16と、このオイ
ルタンク16からケーシング6内にオイルを導くオイル
流入通路17と、ケーシング6内からオイルタンク16
にオイルを導くオイル流出通路18を備えて構成されて
いる。オイル流入通路17の途中には、図示しないフィ
ルタが設けられている。
【0155】オイル流入通路17は、上ケース63のポ
ート63aに取り付けられたジョイント19に接続され
ている。このジョイント19からポート63aを通じて
上ケース63内に導かれたオイルは、ケーシング6内の
各部材の隙間やシリンダ側背圧逃がし手段13,ピスト
ン保持部材側背圧逃がし手段14,支持軸内通路52
a,53a,軸受けプレート32,134の孔32c,
134c等を伝わって摺動面を潤滑する。そして、下ケ
ース64のポート64aに取り付けられたジョイント2
0からオイル流出通路18へと流出し、オイルタンク1
6へと循環される。このオイルは、回転シリンダ部材2
やピストン保持部材5の回転によって生じる圧力差を利
用して、オイルタンク16→オイル流入通路17→ジョ
イント19→ポート63a→ケーシング6内→ポート6
4a→ジョイント20→オイル流出通路18→オイルタ
ンク16へと循環する。
【0156】なお、本実施形態では、ピストン3,4を
焼結メタルで形成しているため、ピストン保持部材5等
の回転により発生する背圧によってピストン3,4内に
含浸されている潤滑オイルがピストン3,4外に浸みだ
し、ピストン3,4とピストン保持部材5の間の摺動面
や、ピストン3,4とシリンダ部位22a,22b,2
3a、23bの間の摺動面等を潤滑オイルが潤滑するよ
うになる。また、各ピストン3,4には、例えば溝29
a,29bより構成される圧力導入路29が形成されて
おり、摺動部分の摩擦抵抗を低減している。
【0157】上述したように構成された回転式圧縮機1
では、入力軸21が図示しないモータ等によって駆動さ
れると、この回転力が入力軸21→ケレープレート22
1→ケレー軸30→回転シリンダ部材2→ピストン3,
4→ピストン保持部材5へと伝えられる。これにより、
回転シリンダ部材2とピストン保持部材5が相対回転を
行い、ピストン3,4をシリンダ室22,23に対して
動かして吸込口61から吸い込んだ流体を吐出口62か
ら吐出させる。すなわち、入力軸21が回転されると、
ピストン保持部材5や回転シリンダ部材2等が等角速度
比の回転運動を行い、ピストン3,4を動かしてシリン
ダ部位22a,22b,23a,23b内の容積が増減
し、流体を圧送することができる。
【0158】回転式圧縮機1の動作について、図52
(A)〜図52(F)を用いて説明する。なお、図52
(A)〜図52(F)は、回転シリンダ部材2の回転角
にして15度おきに示したものである。
【0159】この回転式圧縮機1は、各シリンダ部位2
2a,22b,23a,23bが吸気行程と圧縮行程を
交互に繰り返すことで流体を圧縮する。まず最初に吸気
行程について、シリンダ部位23bに着目して説明す
る。回転シリンダ部材2とピストン保持部材5が相対回
転すると、ピストン4は図52(A)に示すシリンダ部
位23bの最外周位置から空洞部24に向けて移動する
(図52(B))。そして、ピストン保持部材5と回転
シリンダ部材2が図52(C)に示す位置まで回転する
と、シリンダ部位23bが吸込口61の凹み61aに対
向(オーバーラップ)するので、ピストン4の移動に伴
う負圧によって流体が吸込口61からシリンダ部位23
b内に吸い込まれる(図52(D)〜(F))。そし
て、ピストン保持部材5と回転シリンダ部材2がさらに
回転すると、シリンダ部位23bが吸込口61の凹み6
1aから外れるので吸気行程が終了し、さらに、このシ
リンダ部位23bが図52(A)のシリンダ部位22a
の位置まで回転すると、圧縮行程が開始される。
【0160】この圧縮行程をシリンダ部位22aに着目
して説明する。回転シリンダ部材2の回転によってピス
トン保持部材5が回転すると、ピストン3は空洞部24
の位置からシリンダ部位22a内に進入する(図52
(A),図52(B))。そして、回転シリンダ部材2
とピストン保持部材5の更なる回転により、ピストン3
はシリンダ部位22a内の外側位置に向けて移動する
(図52(C),図52(D))ので、シリンダ部位2
2a内の流体が圧縮される。そして、この流体が十分圧
縮されると(図52(E))、シリンダ部位22aが吐
出口62の凹み62aとオーバーラップし(図52
(F))、シリンダ部位22a内の流体を逆止弁39を
押し開けて圧送する。
【0161】そして、以上の作動は各シリンダ部位22
a,22b,23a,23bについて順番に繰り返され
るので、ピストン3,4は次々に流体を圧縮して送り出
す。
【0162】この回転式圧縮機1は、例えば蒸発器、凝
縮器、キャピラリチューブ、放熱パイプ等で構成された
冷却回路のコンプレッサとして使用可能である。即ち、
熱交換を行った冷媒を圧縮して循環させるのに用いるこ
とができる。また、入力軸21を回転させるモータを、
ケーシング6内に収容するようにしても良い。
【0163】なお、図44の実施形態では、回転シリン
ダ部材2とピストン保持部材5のうち、回転シリンダ部
材2側に入力軸21を配し回転を伝えるようにしていた
が、ピストン保持部材5側に入力軸21の回転を伝える
ようにしても良い。
【0164】また、図43の実施形態では、滑り軸受け
である軸受けプレート32,134によって回転シリン
ダ部材2やピストン保持部材5を支持していたが、ボー
ルベアリング等の転がり軸受けを使用して回転シリンダ
部材2やピストン保持部材5を支持するようにしても良
い。
【0165】また、軸受けプレート32,134とし
て、図53に示すものを使用しても良い。
【0166】また、図43の実施形態では、ピストン
3,4の孔3a,4a内に支持軸52,53を直接挿入
していたが、これらの間にガイド駒44を介在させるよ
うにしても良い。ガイド駒44を図49に示す。ガイド
駒44とピストン3,4の孔3a,4aとの間には、ピ
ストン幅方向に若干のがた付きが設けられている。した
がって、たとえ支持軸52,53の軸心とピストン3,
4の自転中心位置X1,X2がずれていたとしても当該
ずれを吸収しながらピストン3,4を回転中心位置Xを
中心に回転運動させることができる。このため、要求さ
れる部品の加工精度を落とすことができ、加工が容易に
なって製造コストを下げることができる。
【0167】また、図43の実施形態では、軸受けプレ
ート32,134の傾きを調整ねじ33によって調整す
るようにしていたが、部品精度を確保できる場合等には
調整ねじ33を省略しても良い。
【0168】また、図43の実施形態では、入力軸21
と回転シリンダ部材2との間にケレープレート221と
ケレー軸30を介在させていたが、部品精度を確保でき
る場合等にはケレープレート221にとケレー軸30を
省略して回転シリンダ部材2に入力軸21を取り付ける
ようにしても良い。
【0169】また、図43の実施形態では、シール構造
としてOリングを用いていたが、メカニカルシール等を
用いても良い。また駆動モータと入力軸を直結し、図示
なき圧力容器に入れるとOリングは無くてもよい構造を
とれる。
【0170】また、シリンダ部位の数を6つ、ピストン
の数を3つとしても良い。即ち、図54に示すように、
6つのシリンダ部位22a,22b,23a,23b,
28a,28bと3つのピストン3,4,9を備えても
良い。なお、この場合のピストン3,4,9とシリンダ
室22,23,28の動きの関係は図40の例と同じで
あり、その説明は省略する。
【0171】また、この回転式圧縮機1を複数組み合わ
せて多段式にしても良い。圧縮した流体を次段の圧縮機
1に流入させることで、さらに高圧の流体を得ることが
できる。
【0172】なお、上述の形態は本発明の好適な形態の
例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要
旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、シリンダ部位を回転シリンダ部材2に対して円
周方向に互いに等配分する必要はなく、例えば図57に
示すようにシリンダ部位22a,22b,23a,23
bを回転シリンダ部材2に対して円周方向に等配分しな
くても良い。
【0173】また、図58に示すように、シリンダ部位
22a,22b,23a,23bを回転シリンダ部材2
の回転軸心Oに対してオフセットさせて形成しても良
い。また、図示しないがピストンの幅は異なっても良
い。
【0174】また、ピストンや回転シリンダ部材の台部
にマグネットを配置し、磁性流体によってこれらの間の
隙間から流体が漏れるのを防止するようにしても良い。
かかる構成の概念を例えば図59に示す。ピストン3内
にはマグネット590が配置され、このマグネット59
0に磁性流体591を付着させている。マグネット59
0は、ピストン3のシリンダ室との接触部位の近傍、こ
の実施の形態ではピストン3の中央に設置されている。
かかる構成によって、各マグネット590は、磁性流体
591をピストン3に引き寄せてその外周に保持するこ
とにより、磁性流体591を回転シリンダ部材2との隙
間に充填し、この隙間からの流体の漏れを防止すること
ができる。なお、図中符号N,Sは、マグネット590
の磁極を示すものである。
【0175】なお、ピストン3に配置するマグネット5
90の形状は、図60に示すものであっても良い。ま
た、ピストン3にマグネット590を配置することに代
えて、例えば図61や図62に示すように、回転シリン
ダ部材2の台部25にマグネット590を配置しても良
い。なお、図59及び図60では圧力導入路29の記載
を省略している。
【0176】また、例えば図63に示すように、回転シ
リンダ部材2の空洞部24の角24aを面取りしても良
い。このように面取りを施すことで、ピストン3,4が
回転シリンダ部材2の空洞部24を通過する際に、ピス
トン3,4の進行方向に対する向きが傾いたとしても次
のシリンダ室にスムーズに移動することができる。この
場合、ピストン3,4の角に面取りを施しても良いが、
ピストン3,4側に面取りを施すよりも、図63に示す
ように回転シリンダ部材2側に面取りを施すことがより
望ましい。ピストン側に面取りを施した場合には、ピス
トンが回転シリンダ部材の最外周側に回転しても面取り
部分が隙間となって圧縮された流体が残留することにな
り、この残留した流体がそのまま次の行程に持ち越され
ることになって効率が悪くなるからである。特に、本発
明のロータリ式シリンダ装置を圧縮機に適用する場合に
は、残留する流体が圧縮機としての効率を低下させるば
かりでなく、圧縮された状態の残留流体が吸気口に通じ
ることで急激に膨張し、騒音や振動を発生させる原因と
なってしまう。これに対し、回転シリンダ部材側に面取
りを施し、ピストンの角をコーナーにすることで、シリ
ンダ最外周位置の最高圧流体の残留容積の減少を図るこ
とができ、圧縮機としての効率を低下させることなく、
ピストンの移動をスムーズにすることができる。
【0177】また、背圧逃がし手段は、例えば図64か
ら図66に示す通路580,581であっても良い。即
ち、例えば図64から図66に示すように、回転シリン
ダ部材2の表裏両面を連通する通路580や、ピストン
保持部材5の表裏両面を連通する通路581を形成して
も良い。この場合、通路580,581の形状や大きさ
は特に限定されないことは勿論である。また、回転シリ
ンダ部材2の台部25の上面に窪み582を形成した
り、ピストン保持部材5の通路581の開口部周囲に窪
み583を形成しても良い。この場合、各窪み582,
583の形状や大きさは特に限定されないことは勿論で
ある。
【0178】また、回転シリンダ部材2やピストン保持
部材5の回転数を検出する回転数検出手段を備えても良
い。例えば図67に、ロータリ式シリンダ装置としての
流体発電機に回転数検出手段を備えた場合の例を示す。
この流体発電機では、例えばピストン支持軸52,53
を金属製のものにするとともに、ピストン保持部材5を
別部材とし、ピストン保持部材5のピストン支持軸5
2,53に対向する位置に金属センサ571を取り付
け、金属センサ571によるピストン支持軸52,53
の検出出力をカウンタでカウントすることで、流体発電
機の回転数を検出する。ただし、この方法に限るもので
はなく、例えば、マグネット572の回転を検出するM
R素子やホール素子573等を設け、これらの検出出力
をカウンタでカウントすることで流体発電機の回転数を
検出するようにしても良い。また、図示しない電圧リミ
ッタを設け、発電出力の正弦波形に基づいて流体発電機
の回転数を検出するようにしても良い。さらには、マグ
ネット572の外側リングに図示しないスリット板を設
けるとともに、ケース側に図示しないフォトインタラプ
タを設け、スリット板を通過する光をフォトインタラプ
タで検出し、この検出値をカウンタでカウントすること
で、流体発電機の回転数を検出するようにしても良い。
【0179】また、例えば図68に示すように、ロータ
リ式シリンダ装置に回転数検出手段を設けることで例え
ば流量計とすることも可能である。この例も図67の例
と同様に、例えばピストン支持軸52,53を金属製の
ものにするとともに、ピストン保持部材5を別部材と
し、ピストン保持部材5のピストン支持軸52,53に
対向する位置に金属センサ571を取り付け、金属セン
サによるピストン支持軸52,53の検出出力をカウン
タでカウントするようにしても良い。また、回転シリン
ダ部材2にマグネット572を取り付けるとともに、こ
のマグネット572の回転を検出するMR素子やホール
素子573等を設け、これらの出力をカウンタでカウン
トすることで流量計の回転数を検出するようにしても良
い。さらには、マグネット572の外側リングに図示し
ないスリット板を設けるとともに、ケース側に図示しな
いフォトインタラプタを設け、スリット板を通過する光
をフォトインタラプタで検出し、この検出値をカウンタ
でカウントすることで、流量計の回転数を検出するよう
にしても良い。容積型の流量計では回転シリンダ部材が
一回転した場合の流量がわかっているので、カウンタで
によって回転数をカウントすることで、総流量を計測す
ることができる。
【0180】つまり、本発明のロータリ式シリンダ装置
を流量計に適用した場合に回転数検出手段を設けること
で流体の流量を電気的に検出することができ、検出した
流量に基づいて、例えば流路に設けた電磁式開閉弁をオ
ンオフ制御したり、流量が所定値に達した場合に警報を
鳴らすようにすることができる。
【0181】さらに、例えば図69に示すように、本発
明のロータリ式シリンダ装置を流体ポンプとして使用す
る場合に回転数検出手段を設けることで、流体ポンプの
作動をフィードバック制御するようにしても良い。即
ち、図68の流量計と同様の方法で回転数を検出し、カ
ウンタによるカウント数に基づいて駆動モータ563を
制御するようにしても良い。
【0182】また、上述の説明では、ピストン3,4,
9の両側面に2本ずつ溝29a,29bを形成して圧力
導入路29を構成していたが、溝29a,29bを1本
ずつ又は3本以上ずつ形成しても良い。また、図70に
示すように、溝29a,29bの深さを徐々に減少させ
てピストン3,4,9の側面に作用する圧力を高めるよ
うにしても良い。また、図71に示すように、溝29
a,29bをピストン3,4,9の側面全体にバランス
良く形成し、圧力を側面全体にバランス良く作用させる
ようにしても良い。また、図72に示すように、ピスト
ン3,4,9の両側面に加えて上面及び底面にも溝29
a,29bを形成するようにしても良い。また、図73
に示すように、溝29a,29bの幅を徐々に狭くする
ようにしても良い。さらに、図74に示すように、ピス
トン3,4,9の側面の中央部に向けてV字形状の溝よ
りなる圧力導入路29を形成して中央部分の圧力を高く
するようにしても良い。
【0183】また、シリンダ室内の流体が進入可能な溝
に代えて、シリンダ室内の流体が進入可能な孔によって
圧力導入路29を構成しても良い。例えば図75に示す
ように、ピストン3,4,9の前面及び後面に側面,上
面,底面に通じる孔を形成し、当該孔によって圧力導入
路29を構成しても良い。
【0184】また、ピストンの両側面に等しい大きさの
圧力を作用させる必要はなく、ピストンの摺動時にはピ
ストンの前後でシリンダ室内の圧力に差が生じるので、
高圧側のシリンダ室内の圧力をピストンの一側面に、低
圧側のシリンダ室内の圧力をピストンの他側にそれぞれ
導くようにしてピストンの両側面の間に圧力差を生じさ
せても良い。つまり、ピストンが画するシリンダ室のう
ち、高圧側のシリンダ室(シリンダ部位)内の圧力をピ
ストンの一側面に導く高圧側通路29dと、低圧側のシ
リンダ室(シリンダ部位)内の圧力をピストンの他側面
に導く低圧側通路29eによって圧力導入路29を構成
しても良い。例えば、図23の流体回転機のピストン3
を例に説明すると、図23(A)の状態ではピストン3
が画するシリンダ室22はシリンダ部位22bが高圧側
となり、シリンダ部位22aが低圧側となる。そして、
図23の流体回転機は流体によって出力軸21を回転さ
せるものであるので、回転シリンダ部材2、ピストン
3、ピストン保持部材5の回転運動との関係でピストン
3のシリンダ部位23b側の側面には、反対側のシリン
ダ部位23a側の側面よりも大きな荷重が作用すること
になる。このため、より大きな荷重が作用するピストン
3のシリンダ部位23b側の側面に高圧側通路29dを
形成して高圧側となるシリンダ部位22b内の圧力を導
き、作用する荷重が小さなピストン3のシリンダ部位2
3a側の側面に低圧側通路29eを形成して低圧側とな
るシリンダ部位22a内の圧力を導くようにする。この
場合のピストン3を図76に示す。図76では、より大
きな荷重が作用するシリンダ部位23a側の側面を手前
側に記載し、作用する荷重が小さいシリンダ部位23a
側の側面を奥側に記載している。大きな荷重が作用する
側面に高圧側通路29dを形成し、小さな荷重が作用す
る側面に低圧側通路29eを形成することで、回転運動
にともなってピストン3に作用する荷重の不均衡を打ち
消すように圧力差を発生させることができ、ピストン3
の摺動抵抗を減少させて摩擦によるロスを低減すること
が出来る。この様に、特に流体によって出力軸を回転さ
せる流体回転機では、その構造上ピストンの両側面間に
荷重の不均衡が生じ易いので、高圧側通路29dと低圧
側通路29eを形成してピストンの両側面の間に圧力差
を発生させる方法は、流体回転機に適した方法である。
なお、図76では溝によって高圧側通路29d及び低圧
側通路29eを形成していたが、図77の様に孔によっ
て高圧側通路29d及び低圧側通路29eを形成しても
良い。
【0185】また、ピストンの両側面の間に圧力差を発
生させる方法としては、高圧側通路29d及び低圧側通
路29eを形成する方法に限るものではなく、ピストン
が画するシリンダ室のうち、高圧側のシリンダ室と低圧
側のシリンダ室のいずれか一方のシリンダ室内の圧力を
ピストンの片側面に導く圧力導入路29を形成すること
で、ピストンの両側面の間に圧力差を発生させるように
しても良い。例えば図78に示すように、より大きな荷
重が作用する側面に高圧側となるシリンダ部位内の圧力
を導く圧力導入路29を形成しても良い。この様に、ピ
ストンの片方の側面にのみシリンダ部位内の圧力を導く
ことでピストンの両側面の間に圧力差を発生させること
ができる。
【0186】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載のロ
ータリ式シリンダ装置では、回転軸心を通るようにシリ
ンダ室が形成され回転軸心を中心として回転する回転シ
リンダ部材と、シリンダ室内を面接触して往復直線運動
するピストンと、ピストンを保持し回転シリンダ部材の
回転軸心から偏心した回転中心を中心として回転するピ
ストン保持部材と、回転シリンダ部材とピストン保持部
材とを回転自在に支持すると共に少なくとも1つの流体
の入口と少なくとも1つの流体の出口を有するケーシン
グとを備え、ピストンがピストン保持部材の回転中心か
ら一定の距離おかれた位置にかつその位置を中心として
回動自在に保持されると共に、シリンダ室内の圧力をピ
ストンの摺動部分に導くことで摩擦抵抗を低減する圧力
導入路を有しているので、シリンダ室内をピストンが往
復運動する際、回転シリンダ部材とピストン保持部材と
がそれぞれケーシングに支持された状態で回転すること
ができ、かつピストンもそれ自体で回転可能となってお
り、ピストンが自転中心周りに回転し位置を変えながら
シリンダ室内を直線運動することが可能となる。その結
果、ピストンをシリンダ室に対して面接触させるように
構成しても、各部材がスムーズに回転運動をすることが
可能となる。例えばピストンの形状をブロック形状とし
ても、各部材がスムーズに回転運動をすることが可能と
なる。このため、ピストンが作り易くなり、ピストンの
精度を出し易くすることができる。
【0187】また、ピストンとシリンダ室との接触面積
を大きくとることが可能となり、いわゆる線接触によっ
て接触面が形成されている従来のものに比してその接触
面における流体抵抗が大きく気密・液密性が高まり、接
触面部分からの流体の漏れを防止することができる。こ
のため、流体エネルギを回転運動にあるいは回転運動を
流体エネルギに低い損失で変換することが可能になる。
【0188】しかも、ピストンがシリンダ室を往復直線
運動するので、ピストン動作がスムーズで安定したもの
となり、回転時の振動や騒音が軽減される構成となる。
また、部品精度の許容範囲を広くすることが可能で部品
加工がし易くなり、逆に従来と同様のレベルの部品精度
とすると、気密性・信頼性は向上するので、ポンプある
いはコンプレッサとした場合若しくは流体モータとした
場合に高性能化させることが容易となる。また、シリン
ダ室内の圧力を圧力導入路によってピストンの摺動部分
に導き、ピストン摺動時の摩擦抵抗を低減しているの
で、機械効率が向上してエネルギーロスを抑えることが
できると共に、部品の摩耗やノイズの発生を抑えること
ができる。
【0189】また、請求項2記載のロータリ式シリンダ
装置のように、圧力導入路はシリンダ室内の流体が進入
可能な溝であっても良く、また、請求項3記載のロータ
リ式シリンダ装置のように、圧力導入路はシリンダ室内
の流体が進入可能な孔であっても良い。
【0190】また、請求項4記載のロータリ式シリンダ
装置では、圧力導入路が、ピストンが画するシリンダ室
のうち、高圧側のシリンダ室内の圧力をピストンの一側
面に導く高圧側通路と、低圧側のシリンダ室内の圧力を
ピストンの他側面に導く低圧側通路を有しているので、
ピストンの両側面の間に圧力差を発生させることができ
る。このため、この圧力差を、ロータリ式シリンダ装置
の回転に伴いピストンの両側面間に生じる荷重の不均衡
を打ち消すように発生させることで、回転に伴うピスト
ンの片寄りを抑えて摩擦抵抗を減少させることができ
る。この結果、機械効率が向上してエネルギーロスを抑
えることができる。また、ピストンや回転シリンダ部材
等の摩耗防止を図ることができる。さらには、ノイズの
発生防止を図ることもできる。
【0191】さらに、請求項5記載のロータリ式シリン
ダ装置では、圧力導入路が、ピストンが画するシリンダ
室のうち、高圧側のシリンダ室と低圧側のシリンダ室の
いずれか一方のシリンダ室内の圧力をピストンの片側面
に導いているので、ピストンの両側面の間に圧力差を発
生させることができ、この圧力差を回転時にピストンの
側面に生じる荷重の不均衡を打ち消すように発生させる
ことで、ピストンの片寄りを抑えて摩擦抵抗を減少させ
ることができる。この結果、機械効率が向上してエネル
ギーロスを抑えることができる。また、ピストンや回転
シリンダ部材等の摩耗防止を図ることができる。さらに
は、ノイズの発生防止を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロータリ式シリンダ装置の第1の実施
形態を示す縦断面図である。
【図2】図1のロータリ式シリンダ装置を上ケース及び
ピストン保持部材を取り外した状態の平面図である。
【図3】図1のロータリ式シリンダ装置の回転シリンダ
部材、ピストン保持部材及びピストンを示す分解斜視図
である。
【図4】図1のロータリ式シリンダ装置の動作を説明す
る図で、一方のピストンが空洞部を横切り、他方のピス
トンがシリンダ室の最奥部にまで進入した状態を示して
いる。
【図5】図1のロータリ式シリンダ装置の動作を説明す
る図で、図4の状態から回転シリンダ部材を時計方向に
30度回転させた状態を示している。
【図6】図1のロータリ式シリンダ装置の動作を説明す
る図で、図5の状態から回転シリンダ部材を時計方向に
30度回転させた状態を示している。
【図7】図1のロータリ式シリンダ装置の動作を説明す
る図で、図6の状態から回転シリンダ部材を時計方向に
30度回転させた状態を示している。
【図8】本発明のロータリ式シリンダ装置の第2の実施
形態を示し、その回転シリンダ部材とピストンとの関係
を示す平面図である。
【図9】本発明のロータリ式シリンダ装置の第3の実施
形態を示し、その回転シリンダ部材とピストンとの関係
を示す平面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態のロータリ式シリン
ダ装置の変形例を示す縦断面図である。
【図11】本発明のロータリ式シリンダ装置の第4の実
施形態を示す側面図で、その一部を切り欠いて示してい
る。
【図12】図11のロータリ式シリンダ装置のケーシン
グ蓋を取り除いた状態の平面図である。
【図13】図11のロータリ式シリンダ装置の縦断面図
である。
【図14】軸受けの一部を拡大して示す図である。
【図15】ピストン保持部材とピストンの回転時軌跡と
の関係を示す概念図である。
【図16】本発明のロータリ式シリンダ装置を流体回転
機として構成した実施形態を示す縦断面図である。
【図17】図16の流体回転機を上ケース及びピストン
保持部材を取り外した状態で示す平面図である。
【図18】図16の流体回転機の回転シリンダ部材、ピ
ストン保持部材及びピストンを示す分解斜視図である。
【図19】ピストンの第1の例を示し、(A)はピスト
ンの斜視図、(B)はピストンの縦断面図である。
【図20】背圧逃がし手段の第2の例を示す図で、流体
回転機を上ケース及びピストン保持部材を取り外した状
態で示す平面図である。
【図21】背圧逃がし手段の第3の例を示す図で、
(A)は流体回転機を上ケース及びピストン保持部材を
取り外した状態で示す平面図、(B)は(A)のB−B
線に沿う断面図である。
【図22】背圧逃がし手段の第4の例を適用した流体回
転機を示す図で、(A)は上ケース及びピストン保持部
材を取り外した状態で示す平面図、(B)は(A)のB
−B線に沿う断面図である。
【図23】図16の流体回転機の動作を説明する図で、
(A)は一方のピストンが空洞部を横切り、他方のピス
トンがシリンダ室の最奥部にまで進入した状態を示す
図、(B)は(A)の状態から回転シリンダ部材を15
度回転させた状態を示す図、(C)は(B)の状態から
回転シリンダ部材を15度回転させた状態を示す図、
(D)は(C)の状態から回転シリンダ部材を15度回
転させた状態を示す図、(E)は(D)の状態から回転
シリンダ部材を15度回転させた状態を示す図、(F)
は(E)の状態から回転シリンダ部材を15度回転させ
た状態を示す図である。
【図24】潤滑剤循環機構の概略構成図である。
【図25】本発明のロータリ式シリンダ装置を駆動源に
組み込んだ流体発電機の分解斜視図である。
【図26】流体発電機の上ケース及びピストン保持部材
を取り外した状態の平面図である。
【図27】図26のA−A線に沿う断面図である。
【図28】図25の流体発電機の底面図である。
【図29】図25の流体発電機の上ケースを示す平面図
である。
【図30】図25の流体発電機の回転シリンダ部材を示
す平面図である。
【図31】図25の流体発電機のヨークと巻き線を示す
平面図である。
【図32】ピストンの第2の例を示し、(A)はピスト
ンの斜視図、(B)はピストンの縦断面図である。
【図33】ピストンの第3の例を示し、(A)はピスト
ンの斜視図、(B)はピストンの縦断面図である。
【図34】ピストンの第4の例を示し、(A)はピスト
ンの斜視図、(B)はピストンの縦断面図である。
【図35】ピストンの第5の例を示し、(A)はピスト
ンの斜視図、(B)はピストンの縦断面図である。
【図36】ピストンの第6の例を示し、(A)はピスト
ンの斜視図、(B)はピストンの縦断面図である。
【図37】ピストンの第7の例を示し、(A)はピスト
ンの斜視図、(B)はピストンの縦断面図である。
【図38】本発明のロータリ式シリンダ装置を流体回転
機として構成した第2の実施形態を示す縦断面図であ
る。
【図39】本発明のロータリ式シリンダ装置を流体回転
機として構成した第3の実施形態を示す縦断面図であ
る。
【図40】本発明のロータリ式シリンダ装置の第4の実
施形態の流体回転機の動作を説明する図で、(A)は3
つのピストンのうちの1つがシリンダ室の最奥部にまで
進入している状態を示す図、(B)は(A)の状態から
回転シリンダ部材を10度回転させた状態を示す図、
(C)は(B)の状態から回転シリンダ部材を10度回
転させた状態を示す図、(D)は(C)の状態から回転
シリンダ部材を10度回転させた状態を示す図、(E)
は(D)の状態から回転シリンダ部材を10度回転させ
た状態を示す図、(F)は(E)の状態から回転シリン
ダ部材を10度回転させた状態を示す図である。
【図41】図20に示す背圧逃がし手段の第2の例を適
用した流体回転機の回転シリンダ部材、ピストン保持部
材及びピストンを示す分解斜視図である。
【図42】発電機のステータコアの突極とマグネットの
磁極の中心位置とシリンダ室の位置関係を示す図であ
る。
【図43】本発明のロータリ式シリンダ装置を回転式圧
縮機として構成した第1の実施形態を示し、その上ケー
スとピストン保持部材を取り外した状態の平面図であ
る。
【図44】図43の回転式圧縮機の縦断面図である。
【図45】図43の回転式圧縮機の分解斜視図である。
【図46】潤滑オイル循環機構の概略構成図である。
【図47】図43の回転式圧縮機の底面図である。
【図48】図43の回転式圧縮機の軸受けプレートを示
す斜視図である。
【図49】吸込口及び吐出口とピストンがシリンダ室の
最外周端部にあるシリンダ室との位置関係を示す図であ
る。
【図50】回転式圧縮機の背圧逃がし手段の第2の例
を、回転式圧縮機を上ケース及びピストン保持部材を取
り外した状態で示す平面図である。
【図51】図50の断面図である。
【図52】図43の回転式圧縮機の動作を説明する図
で、(A)は一方のピストンが空洞部を横切り、他方の
ピストンがシリンダ室の最奥部にまで進入した状態を示
す図、(B)は(A)の状態から回転シリンダ部材を1
5度回転させた状態を示す図、(C)は(B)の状態か
ら回転シリンダ部材を15度回転させた状態を示す図、
(D)は(C)の状態から回転シリンダ部材を15度回
転させた状態を示す図、(E)は(D)の状態から回転
シリンダ部材を15度回転させた状態を示す図、(F)
は(E)の状態から回転シリンダ部材を15度回転させ
た状態を示す図である。
【図53】軸受けプレートの変形例を示す斜視図であ
る。
【図54】回転式圧縮機の他の実施形態の動作を説明す
る図で、(A)は3つのピストンのうちの1つがシリン
ダ室の最奥部にまで進入している状態を示す図、(B)
は(A)の状態から回転シリンダ部材を10度回転させ
た状態を示す図、(C)は(B)の状態から回転シリン
ダ部材を10度回転させた状態を示す図、(D)は
(C)の状態から回転シリンダ部材を10度回転させた
状態を示す図、(E)は(D)の状態から回転シリンダ
部材を10度回転させた状態を示す図、(F)は(E)
の状態から回転シリンダ部材を10度回転させた状態を
示す図である。
【図55】は回転式圧縮機の背圧逃がし手段の第3の例
を、上ケース及びピストン保持部材を取り外した状態で
示す平面図である。
【図56】図55の回転式圧縮機の断面図である。
【図57】回転シリンダ部材のシリンダ室が円周方向に
対して等配分されていない例を示す概念図である。
【図58】シリンダ室をオフセットさせて形成した例を
示す概念図である。
【図59】ピストンにマグネットを配置した例を示す斜
視図である。
【図60】ピストンにマグネットを配置した別の例を示
す斜視図である。
【図61】回転シリンダ部材にマグネットを配置した例
を示す斜視図である。
【図62】回転シリンダ部材にマグネットを配置した別
の例を示す斜視図である。
【図63】回転シリンダ部材の空洞部の角に面取りを施
す様子を示す概念図である。
【図64】背圧を逃がすための通路を形成した回転シリ
ンダ部材とピストン保持部材の一例を示す断面図であ
る。
【図65】図64の回転シリンダ部材を示す斜視図であ
る。
【図66】図64のピストン保持部材を示し、(A)は
回転シリンダ部材とは反対側から見た斜視図、(B)は
回転シリンダ部材側から見た斜視図である。
【図67】本発明のロータリ式シリンダ装置を回転数検
出手段を備えた流体発電機とした場合の例を示す断面図
である。
【図68】本発明のロータリ式シリンダ装置を回転数検
出手段を備えた流量計とした場合の例を示す断面図であ
る。
【図69】本発明のロータリ式シリンダ装置を回転数検
出手段を備えた流体ポンプとした場合の例を示す断面図
である。
【図70】圧力導入路の第1の変形例を示す斜視図であ
る。
【図71】圧力導入路の第2の変形例を示す斜視図であ
る。
【図72】圧力導入路の第3の変形例を示す斜視図であ
る。
【図73】圧力導入路の第4の変形例を示す斜視図であ
る。
【図74】圧力導入路の第5の変形例を示す斜視図であ
る。
【図75】圧力導入路の第6の変形例を示す斜視図であ
る。
【図76】圧力導入路の第7の変形例を示す斜視図であ
る。
【図77】圧力導入路の第8の変形例を示す斜視図であ
る。
【図78】圧力導入路の第9の変形例を示す斜視図であ
る。
【図79】従来のロータリ式シリンダ装置を示す分解斜
視図である。
【図80】図79のロータリ式シリンダ装置の動作を説
明する図で、(A)は2つのピストンが2つのシリンダ
室のそれぞれ途中部分まで進入した状態を示す図、
(B)は(A)の状態から支持部材が反時計方向に30
度回転した状態を示す図、(C)は(B)の状態から支
持部材が反時計方向に30度回転した状態を示す図、
(D)は(C)の状態から支持部材が反時計方向に30
度回転した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 ロータリ式シリンダ装置 2 回転シリンダ部材 3,4 ピストン 5 ピストン保持部材 6 ケーシング 61 入口 62 出口 O 回転シリンダ部材の回転軸心 22,23 シリンダ室 29 圧力導入路 X ピストン保持部材の回転中心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F04B 1/047 1/053 (72)発明者 林 勝彦 長野県諏訪郡原村10801番地の2 株式会 社三協精機製作所諏訪南工場内 (72)発明者 竹内 智大 長野県諏訪郡原村10801番地の2 株式会 社三協精機製作所諏訪南工場内 (72)発明者 中村 優樹 長野県諏訪郡原村10801番地の2 株式会 社三協精機製作所諏訪南工場内 Fターム(参考) 3H070 BB03 BB06 CC07 CC29 DD02 DD22 3H084 AA05 BB07 BB09 CC22

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸心を通るようにシリンダ室が形成
    され上記回転軸心を中心として回転する回転シリンダ部
    材と、上記シリンダ室内を面接触して往復直線運動する
    ピストンと、上記ピストンを保持し上記回転シリンダ部
    材の回転軸心から偏心した回転中心を中心として回転す
    るピストン保持部材と、上記回転シリンダ部材と上記ピ
    ストン保持部材とを回転自在に支持して収容すると共に
    少なくとも1つの流体の入口と少なくとも1つの前記流
    体の出口を有するケーシングとを備え、上記ピストンは
    上記ピストン保持部材の回転中心から一定の距離おかれ
    た位置にかつその位置を中心として回転自在に保持され
    ると共に、上記シリンダ室内の圧力を上記ピストンの摺
    動部分に導くことで摩擦抵抗を低減する圧力導入路を有
    することを特徴とするロータリ式シリンダ装置。
  2. 【請求項2】 上記圧力導入路は、上記シリンダ室内の
    流体が進入可能な溝であることを特徴とする請求項1記
    載のロータリ式シリンダ装置。
  3. 【請求項3】 上記圧力導入路は、上記シリンダ室内の
    流体が進入可能な孔であることを特徴とする請求項1記
    載のロータリ式シリンダ装置。
  4. 【請求項4】 上記圧力導入路は、上記ピストンが画す
    る上記シリンダ室のうち、高圧側のシリンダ室内の圧力
    を上記ピストンの一側面に導く高圧側通路と、低圧側の
    シリンダ室内の圧力を上記ピストンの他側面に導く低圧
    側通路を有することを特徴とする請求項2又は3記載の
    ロータリ式シリンダ装置。
  5. 【請求項5】 上記圧力導入路は、上記ピストンが画す
    る上記シリンダ室のうち、高圧側のシリンダ室と低圧側
    のシリンダ室のいずれか一方のシリンダ室内の圧力を上
    記ピストンの片側面に導くことを特徴とする請求項2又
    は3記載のロータリ式シリンダ装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005124263A (ja) * 2003-10-14 2005-05-12 Nano Control:Kk 積層型圧電アクチュエータ用予圧機構および位置決め装置
CN114198206A (zh) * 2020-09-18 2022-03-18 中国航发商用航空发动机有限责任公司 航空发动机组合回油泵及包括其的航空发动机

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