JP2002220664A - スパッタ粒子の放出角度分布計測方法、膜厚分布シミュレーション方法及びスパッタ装置 - Google Patents

スパッタ粒子の放出角度分布計測方法、膜厚分布シミュレーション方法及びスパッタ装置

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JP2002220664A
JP2002220664A JP2001343240A JP2001343240A JP2002220664A JP 2002220664 A JP2002220664 A JP 2002220664A JP 2001343240 A JP2001343240 A JP 2001343240A JP 2001343240 A JP2001343240 A JP 2001343240A JP 2002220664 A JP2002220664 A JP 2002220664A
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Ken Funato
謙 船戸
Hideo Tanabe
秀雄 田辺
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパッタ装置におけるスパッタ粒子の放出角
度分布を精度よく計測することが可能なスパッタ粒子の
放出角度分布計測方法及び膜厚分布のシミュレーション
方法を提供する。 【解決手段】 スパッタ装置において、ターゲット1の
一部を、スパッタ粒子の放出角度分布を計測したい目的
物質12により形成し、ターゲット1に対して所定の位
置関係となるように基板2を配設してスパッタを行い、
基板2の表面に付着した目的物質粒子(スパッタ粒子)
の分布状態を計測して、ターゲット1と基板2の位置関
係及び目的物質の分布状態から、目的物質粒子のターゲ
ット1からの放出角度分布を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、スパッタ技術に
関し、詳しくは、スパッタ装置のターゲットから放出さ
れるスパッタ粒子の放出角度分布を計測する方法、かか
る方法を用いた膜厚分布のシミュレーション方法及びス
パッタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
スパッタ法により薄膜を形成する場合において、膜厚や
密度の均一な薄膜を形成したり、コンタクトホールに薄
膜を埋め込んだりする場合、スパッタ粒子の放出角度分
布を計測しておくことが必要になる。なお、スパッタ粒
子の放出角度分布は、イオンがターゲットのある1点に
衝突したときに、その点から放出される粒子の分布とし
て定義される。また、このスパッタ粒子の放出角度分布
は、スパッタ装置の構造(ターゲットの冷却構造など)
により変化するため、実際のスパッタ装置で放出角度分
布を計測する必要がある。
【0003】従来の、スパッタ装置におけるスパッタ粒
子の放出角度分布の計測方法としては、例えば、図10
に示すように、ターゲット51に対して、所定の位置関
係となるように基板52を配置し、スパッタを行って、
ターゲット51からスパッタ粒子を放出させ、基板52
の表面に付着したスパッタ粒子の量を計測し、その計測
結果からスパッタ粒子の放出角度分布を算出する方法が
ある。
【0004】ところで、この方法においては、スパッタ
による粒子の放出がターゲット51の環状部分(エロー
ジョン部分)53の最深部53aから発生していると仮
定して、スパッタ粒子の放出角度分布を算出している
が、実際には、エロージョンはターゲット51の表面の
広い範囲で発生する。したがって、上述のように環状部
分(エロージョン部分)53の最深部53aから発生し
ていると仮定して放出角度分布を求める方法では、必ず
しも高精度で、信頼性の高い放出角度分布を求めること
ができないという問題点がある。
【0005】本願発明は、上記問題点を解決するもので
あり、スパッタ装置におけるスパッタ粒子の放出角度分
布を精度よく計測することが可能なスパッタ粒子の放出
角度分布計測方法、及び膜厚分布のシミュレーション方
法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明(請求項1)のスパッタ粒子の放出角度分
布計測方法は、スパッタ装置のターゲットから放出され
るスパッタ粒子の放出角度分布を計測する方法におい
て、ターゲットの一部を、スパッタ粒子の放出角度分布
を計測したい目的物質により形成し、前記ターゲットに
対して所定の位置関係となるように基板を配設してスパ
ッタを行い、基板の表面に付着した目的物質粒子(スパ
ッタ粒子)の分布状態を計測して、ターゲットと基板の
位置関係及び目的物質の分布状態から、目的物質粒子の
放出角度分布を求めることを特徴としている。
【0007】ターゲットとして、その一部のみが、スパ
ッタ粒子の放出角度分布を計測したい目的物質により形
成されたターゲットを用い、ターゲットに対して所定の
位置関係となるように基板を配設してスパッタを行い、
基板の表面に付着した目的物質粒子(スパッタ粒子)の
分布状態を計測することにより、狭い領域からの目的物
質粒子の放出の状態を知ることが可能になり、高精度に
放出角度分布を計測することが可能になる。
【0008】また、本願発明(請求項2)のスパッタ粒
子の放出角度分布計測方法は、スパッタ装置のターゲッ
トから放出されるスパッタ粒子の放出角度分布を計測す
る方法において、スパッタ粒子の放出角度分布を計測し
たい目的物質とは異なる材料からなるターゲットの所定
の位置に目的物質の小片を配置し、前記ターゲットに対
して所定の位置関係となるように基板を配設してスパッ
タを行い、基板の表面に付着した目的物質粒子(スパッ
タ粒子)の分布状態を計測して、ターゲットと基板の位
置関係及び目的物質の分布状態から、目的物質粒子の放
出角度分布を求めることを特徴としている。
【0009】目的物質とは異なる材料からなるターゲッ
トの所定の位置に、目的物質の小片を配置し、このター
ゲットに対して所定の位置関係となるように基板を配設
してスパッタを行い、基板の表面に付着した目的物質粒
子(スパッタ粒子)の分布状態を計測するようにした場
合にも、狭い領域からの目的物質粒子の放出の状態を知
ることが可能になり、高精度に放出角度分布を計測する
ことが可能になる。
【0010】また、請求項3のスパッタ粒子の放出角度
分布計測方法は、(a)前記ターゲットの一部を構成す
る、スパッタ粒子の放出角度分布を計測したい目的物質
から形成された部分、又は、(b)前記目的物質とは異な
る材料からなるターゲットの所定の位置に配置された、
スパッタ粒子の放出角度分布を計測したい目的物質の小
片の平面形状を、直径1〜5mmの略円形とすることを特
徴としている。
【0011】ターゲットの一部を構成する目的物質から
形成された部分、又は、目的物質とは異なる材料からな
るターゲットの所定の位置に配置された目的物質の小片
の平面形状を、直径1〜5mmの略円形とするようにした
場合、目的物質粒子を確実に狭い範囲から放出させて、
高精度に放出角度分布を計測することが可能になり、本
願発明をより実効あらしめることができる。なお、目的
物質の小片の直径を1〜5mmとしたのは、直径が1mm以
下になるとスパッタ粒子の発生量が少なくなりすぎて好
ましくなく、また、直径が5mmを超えると、目的物質粒
子を狭い範囲から放出させるという本願発明のねらいに
適合しなくなることによる。
【0012】また、本願発明(請求項4)のスパッタ粒
子の放出角度分布計測方法は、スパッタ装置のターゲッ
トから放出されるスパッタ粒子の放出角度分布を計測す
る方法において、スパッタ粒子の放出角度分布を計測し
たい目的物質からなるターゲットを用い、ターゲット
の、目的物質粒子(スパッタ粒子)を付着させるべき基
板と対向する面に、ターゲットと異なる材料からなり、
所定の位置に貫通孔が形成されたマスクを施し、スパッ
タを行うことにより、ターゲットから放出された目的物
質粒子(スパッタ粒子)を、マスクの貫通孔を通過させ
て基板の表面に付着させ、基板の表面に付着した目的物
質粒子(スパッタ粒子)の分布状態を計測して、ターゲ
ット、マスクの貫通孔、及び基板の位置関係と、目的物
質の分布状態から、ターゲットの任意位置における目的
物質粒子の放出角度分布を求めることを特徴としてい
る。
【0013】本願発明(請求項4)のスパッタ粒子の放
出角度分布計測方法は、スパッタ粒子の放出角度分布を
計測したい目的物質からなるターゲットを用い、ターゲ
ットの基板と対向する面に、ターゲットと異なる材料か
らなり、所定の位置に貫通孔が形成されたマスクを施
し、スパッタを行って目的物質粒子(スパッタ粒子)
を、マスクの貫通孔を通過させて基板の表面に付着さ
せ、基板の表面に付着した目的物質粒子(スパッタ粒
子)の分布状態を計測するようにしているので、狭い領
域からの目的物質粒子の放出の状態を確実に知ることが
可能になり、より高精度に放出角度分布を計測すること
が可能になる。
【0014】なお、請求項4のスパッタ粒子の放出角度
分布計測方法においては、放出角度分布を計測するため
に、請求項1のスパッタ粒子の放出角度分布計測方法の
場合のように、例えば、目的物質の小片を埋め込んだよ
うな放出角度分布計測用のターゲット(このターゲット
は実際の生産には使用できない)を特別に用意すること
が不要で、実際の生産に使用するターゲットを用いて放
出角度分布の測定を行うことができるため、コストの増
大や工程の複雑化を招いたりすることなく、効率よく放
出角度の分布を測定することが可能になるとともに、放
出角度分布を測定する際に用いるターゲットと同じター
ゲットを用いて実際の成膜が行われることから、放出角
度分布の測定の際と実際の成膜の際において、放出角度
の分布に差がなく、測定したスパッタ粒子の放出角度分
布に基づいて、精度よく所望の成膜を行うことが可能に
なる。
【0015】また、請求項5のスパッタ粒子の放出角度
分布計測方法は、前記マスクの貫通孔の平面形状が略円
形で、直径が1〜5mmであることを特徴としている。
【0016】マスクの貫通孔の平面形状を、直径が1〜
5mmの略円形とすることにより、目的物質粒子を確実に
狭い範囲から放出させて、高精度に放出角度分布を計測
することが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめ
ることができる。なお、貫通孔の直径を1〜5mmとした
のは、直径が1mm以下になるとスパッタ粒子の発生量が
少なくなりすぎて好ましくなく、また、直径が5mmを超
えると、目的物質粒子を狭い範囲から放出させるという
本願発明のねらいに適合しなくなることによる。
【0017】また、本願発明(請求項6)の膜厚分布シ
ミュレーション方法は、請求項1〜5のいずれかに記載
の方法により、スパッタ粒子の放出角度分布を計測し、
その計測結果から、ターゲットと基板とを所定の位置関
係になるように配置してスパッタを行うことにより、基
板上に目的物質の薄膜を形成した場合の薄膜の膜厚分布
を求めることを特徴としている。
【0018】請求項1〜5のいずれかに記載の方法によ
り、放出角度分布を計測し、その結果から、スパッタに
より目的物質の薄膜を形成した場合の、薄膜の膜厚分布
を求めることにより、精度よく薄膜の膜厚分布シミュレ
ーションを行うことが可能になり、膜厚分布の均一化を
図ったり、膜厚を制御したりすることが可能になる。
【0019】また、本願発明(請求項7)のスパッタ装
置は、ターゲットと、ターゲットから目的物質をスパッ
タ蒸発させるためにターゲットに照射するイオンの発生
手段とを備え、ターゲットからスパッタ蒸発させた目的
物質粒子(スパッタ粒子)を基板上に沈着させることに
より、基板上に薄膜を形成するためのスパッタ装置であ
って、基板上に形成される薄膜の構成物質であり、か
つ、スパッタ粒子の放出角度分布を計測したい目的物質
からなるターゲットと、ターゲットとは異なる材料から
なり、所定の位置に貫通孔が形成されており、目的物質
粒子(スパッタ粒子)の放出角度分布を計測する場合に
は、ターゲットの基板と対向する面に配設されるマスク
と、マスクの貫通孔を通過し、基板の表面に付着した目
的物質粒子(スパッタ粒子)の分布状態を計測し、ター
ゲット、マスクの貫通孔、及び基板の位置関係と、目的
物質の分布状態から、目的物質粒子の放出角度分布を求
める放出角度分布計測手段とを具備することを特徴とし
ている。
【0020】上記構成を有するスパッタ装置を用いるこ
とにより、本願請求項4記載のスパッタ粒子の放出角度
分布計測方法を確実に実施することが可能になるととも
に、計測されたスパッタ粒子の放出角度分布に基づい
て、所望の成膜を行うことが可能になる。すなわち、タ
ーゲットに上記マスクを施した状態で、スパッタを行う
ことにより、スパッタ粒子の放出角度分布を計測した
後、ターゲットからマスクを取り外してスパッタを行う
ことにより、スパッタ粒子の放出角度分布の計測と、そ
れに基づいた実際の成膜を容易に切り替えて、精度よく
所望の成膜を行うことが可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態を示
して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
なお、以下の実施形態では、マグネトロンスパッタリン
グにおいて、目的物質粒子(スパッタ粒子)の放出角度
分布を計測する場合を例にとって説明する。
【0022】[実施形態1]この実施形態1では、ター
ゲットとして、図1に示すように、アルミニウム製で、
平面形状が円形のターゲット本体11の所定の位置に、
放出角度分布を計測しようとする目的物質(ここではC
u)からなる平面形状が円形の小片12を埋め込んだタ
ーゲット1を用い、このターゲット1を、図2に示すよ
うに、マグネット3の上方に配置するとともに、ターゲ
ット1の上方に、ターゲット1に対して所定の位置関係
となるようにドーム状の基板2を配設してスパッタを行
い、基板2の表面に付着した目的物質粒子(Cuのスパ
ッタ粒子)の分布状態を計測した。
【0023】そして、ターゲット1と基板2の位置関係
及び目的物質であるCuの分布状態から、Cu粒子のタ
ーゲット1からの放出角度分布を算出した。
【0024】このように、本願発明の方法によれば、タ
ーゲットとして、その一部のみが、スパッタ粒子の放出
角度分布を計測したい目的物質により形成されたターゲ
ットを用い、基板を、ターゲットに対して所定の位置関
係となるように配設してスパッタを行い、基板の表面に
付着したスパッタ粒子の分布状態を計測するようにして
いるので、狭い領域からのスパッタ粒子の放出の状態を
知ることが可能になり、高精度の放出角度分布を得るこ
とが可能になる。
【0025】したがって、この実施形態1の方法により
計測した放出角度分布から、スパッタにより、目的物質
の薄膜を形成した場合における薄膜の膜厚分布シミュレ
ーションを行うことにより、膜厚や密度の均一な薄膜を
形成したり、コンタクトホールなどの限られた領域に薄
膜を確実に形成したりすることができる。
【0026】[実施形態2]この実施形態2では、ター
ゲットとして、図3に示すように、アルミニウム製で、
平面形状が円形のターゲット本体11の所定の位置に、
放出角度分布を計測しようとする目的物質(ここではC
u)からなる平面形状が円形の小片12を埋め込んだタ
ーゲット1を用い、このターゲット1をマグネット3の
上方に配置するとともに、ターゲット1の上方に、平板
状の基板2aをターゲット1と平行に配設してスパッタ
を行い、基板2aの表面に付着した目的物質粒子(Cu
のスパッタ粒子)の分布状態を計測した。
【0027】そして、ターゲット1と基板2aの位置関
係及び目的物質であるCuの分布状態から、Cu粒子の
ターゲット1からの放出角度分布を算出した。上述の方
法により求めたCu粒子の放出角度分布を図4に示す。
なお、この実施形態では、平板状の基板2aが用いられ
ていることから、下記の式(1)により補正することによ
り、放出角度分布(pθ)が求められる(図5参照)。 放出角度分布p(θ)=b・t(x)・(L(θ)/COSθ) ……(1) p(θ):放出角度分布 t(x):基板上に形成された薄膜Aの膜厚(目的物質
の膜厚) a,b :定数
【0028】上述のように、基板として、平板状のもの
を用いた場合にも、比較的簡単な上記の式(1)のような
補正を加えるだけで、精度よく放出角度分布を求めるこ
とができる。なお、基板として、平板状のものを用いた
場合、基板に付着した目的物質(この実施形態2ではC
u)の分布の状態を計測しやすく、その点では、実施形
態1のドーム状の基板を用いるよりも有利な面がある。
【0029】なお、この実施形態2の方法により計測し
た放出角度分布から、スパッタにより、目的物質の薄膜
を形成した場合における薄膜の膜厚分布シミュレーショ
ンを行うようにした場合にも、膜厚や密度の均一な薄膜
を形成したり、コンタクトホールなどの限られた領域に
薄膜を確実に形成したりすることができる。
【0030】[実施形態3]また、上記実施形態1,2
では、ターゲット1の一部を、スパッタ粒子の放出角度
分布を計測したい目的物質(Cu)により形成した場合
(すなわち、目的物質(Cu)の小片をターゲット本体
11に埋め込んだ場合)について説明したが、この実施
形態3では、図6に示すように、スパッタ粒子の放出角
度分布を計測したい目的物質とは異なる材料(例えばA
l)からターゲット1aを形成し、このターゲット1a
の所定の位置に、目的物質(例えばCu)の小片12を
配置し、ターゲット1aに対して所定の位置関係となる
ように基板2aを配設してスパッタを行い、上記実施形
態2の場合と同様にして目的物質粒子の放出角度分布を
求めた。
【0031】このように、スパッタ粒子の放出角度分布
を計測したい目的物質(Cu)とは異なる材料(Al)
からなるターゲット1aを用い、ターゲット1aの所定
の位置に、目的物質(Cu)の小片12を配置するよう
に構成した場合にも、上記実施形態の場合と同様の精度
で放出角度分布を求めることができる。
【0032】したがって、この実施形態3の方法により
計測した放出角度分布から、スパッタにより、目的物質
の薄膜を形成した場合における薄膜の膜厚分布シミュレ
ーションを行うようにした場合にも、膜厚や密度の均一
な薄膜を形成したり、コンタクトホールなどの限られた
領域に薄膜を確実に形成したりすることができる。
【0033】[実施形態4]ターゲットとして、図7に
示すように、放出角度分布を計測しようとする目的物質
であるCuからなり、平面形状が円形のターゲット1b
(実際に成膜を行う場合に用いるターゲット)を用い、
このターゲット1bの上面側に、すなわち、Cu粒子
(スパッタ粒子)を付着させるべき基板2b(図8,図
9)と対向する面側に、ターゲット1bと異なる材料で
あるAlからなり、所定の位置に、平面形状が円形で、
直径が5mmの貫通孔5が形成されたマスク4を施した。
【0034】なお、マスク4は、マスク4の所定の位置
に形成されたビス穴(又はボルト穴)7を経て、ターゲ
ット1bに形成されたビス穴(ねじ穴)6に、ビス(又
はボルト)8をねじ込んで締結することにより、ターゲ
ット1bの上面に密着させて取り付け、スパッタ中にマ
スク4に反りが発生しないようにした。
【0035】それから、このマスク4が取り付けられた
ターゲット1bを、図8,図9に示すように、マグネッ
ト3の上方に位置させるとともに、ターゲット1bの上
方に、所定の位置関係となるように平板状の基板2bを
配設し、照射イオンの発生源10からイオンを照射して
スパッタを行い、ターゲット1bとマスク4の構成材料
であるCuとAlの合金膜(薄膜)Bを基板2bの表面
に形成するとともに、基板2bの表面に形成された合金
膜B中の目的物質粒子(Cuのスパッタ粒子)の分布状
態を計測した。
【0036】この実施形態4においては、マスク4が取
り付けられたターゲット1bを用いてスパッタを行い、
目的物質であるCuを、マスク4の貫通孔5を通過させ
て基板2bの表面に到達させ、マスク4を構成するAl
との合金膜Bを基板2bの表面に付着させ、基板2bの
表面に付着した合金膜B中の目的物質粒子(Cuスパッ
タ粒子)の分布状態を計測するようにしているので、直
径が5mmの小面積の貫通孔5からの目的物質粒子の放出
の状態を確実に知ることが可能になり、高精度に放出角
度分布を計測することが可能になる。
【0037】なお、この実施形態4においては、ターゲ
ット1bに上記マスク4を施した状態で、スパッタを行
うことにより、スパッタ粒子の放出角度分布を計測した
後、ターゲット1bからマスク4を取り外してスパッタ
を行うことにより、スパッタ粒子の放出角度分布の計測
と、それに基づいた実際の成膜を容易に切り替えて、効
率よく所望の成膜を行うことが可能になる。
【0038】また、この実施形態4においては、放出角
度分布を計測するために、例えば、実施形態1や実施形
態2の場合のように、平面形状が円形のターゲット本体
の所定の位置に、放出角度分布を計測しようとする目的
物質からなる平面形状が円形の小片を埋め込んだターゲ
ットを用意したり、実施形態3の場合のように、スパッ
タ粒子の放出角度分布を計測したい目的物質とは異なる
材料からターゲットを形成し、このターゲットの所定の
位置に、目的物質の小片を配置したりすることが不要
で、実際の生産に使用するターゲットを用いて放出角度
分布の測定を行うことが可能であるため、高精度に放出
角度分布を計測することが可能になるばかりでなく、工
程を簡略化し、コストを低減することが可能になる。
【0039】また、放出角度分布を測定する際に用いる
ターゲットと同じターゲットを用いて実際の成膜が行わ
れるため、測定の際と実際の成膜の際において、放出角
度の分布に差がないことから、この実施形態4の方法に
より計測した放出角度分布から、スパッタにより目的物
質の薄膜を形成した場合における薄膜の膜厚分布シミュ
レーションを行うことにより、膜厚や密度の均一な薄膜
を形成したり、コンタクトホールなどの限られた領域に
所望の薄膜を確実に形成することが可能になる。
【0040】なお、上記実施形態1,2,3及び4で
は、放出角度分布を計測しようとする目的物質がCuで
ある場合を例にとって説明したが、本願発明は、他の物
質の放出角度分布を計測する場合にも適用することが可
能である。また、上記の各実施形態ではターゲットがA
lである場合を例にとって説明したが、Al以外の種々
の物質からなるターゲットを用いることも可能である。
【0041】また、上記実施形態1,2,3及び4で
は、マグネトロンスパッタリング法を用いる場合を例に
とって説明したが、他のスパッタリング法を用いる場合
にも本願発明を適用することが可能であることはいうま
でもない。
【0042】本願発明は、さらにその他の点においても
上記実施形態に限定されるものではなく、ターゲットの
形状、目的物質の小片の形状や配置位置、基板の材質、
基板の形状や配設位置、スパッタ条件などに関し、発明
の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えるこ
とが可能である。
【0043】
【発明の効果】上述のように、本願発明(請求項1)の
スパッタ粒子の放出角度分布計測方法は、ターゲットと
して、その一部のみが、スパッタ粒子の放出角度分布を
計測したい目的物質により形成されたターゲットを用
い、ターゲットに対して所定の位置関係となるように基
板を配設してスパッタを行い、基板の表面に付着した目
的物質粒子(スパッタ粒子)の分布状態を計測するよう
にしているので、狭い領域からの目的物質粒子の放出の
状態を知ることが可能になり、高精度に放出角度分布を
計測することができる。
【0044】また、本願発明(請求項2)のスパッタ粒
子の放出角度分布計測方法のように、目的物質とは異な
る材料からなるターゲットの所定の位置に、目的物質の
小片を配置し、このターゲットに対して所定の位置関係
となるように基板を配設してスパッタを行い、基板の表
面に付着した目的物質粒子(スパッタ粒子)の分布状態
を計測するようにした場合にも、狭い領域からの目的物
質粒子の放出の状態を知ることが可能になり、高精度に
放出角度分布を計測することができる。
【0045】また、請求項3のスパッタ粒子の放出角度
分布計測方法のように、ターゲットの一部を構成する目
的物質から形成された部分、又は、目的物質とは異なる
材料からなるターゲットの所定の位置に配置された目的
物質の小片の平面形状を、直径1〜5mmの略円形とした
場合、目的物質粒子を確実に狭い範囲から放出させて、
高精度に放出角度分布を計測することが可能になり、本
願発明をより実効あらしめることができる。
【0046】また、本願発明(請求項4)のスパッタ粒
子の放出角度分布計測方法は、スパッタ粒子の放出角度
分布を計測したい目的物質からなるターゲットを用い、
ターゲットの基板と対向する面に、ターゲットと異なる
材料からなり、所定の位置に貫通孔が形成されたマスク
を施し、スパッタを行って目的物質粒子(スパッタ粒
子)を、マスクの貫通孔を通過させて基板の表面に付着
させ、基板の表面に付着した目的物質粒子(スパッタ粒
子)の分布状態を計測するようにしているので、狭い領
域からの目的物質粒子の放出の状態を確実に知ることが
可能になり、より高精度に放出角度分布を計測すること
ができる。
【0047】また、請求項4のスパッタ粒子の放出角度
分布計測方法においては、放出角度分布を計測するため
に、請求項1のスパッタ粒子の放出角度分布計測方法の
場合のように、例えば、目的物質の小片を埋め込んだよ
うな放出角度分布計測用のターゲット(このターゲット
は実際の生産には使用できない)を特別に用意すること
が不要で、実際の生産に使用するターゲットを用いて放
出角度分布の測定を行うことができるため、コストの増
大や工程の複雑化を招いたりすることなく、効率よく放
出角度の分布を測定することが可能になるとともに、放
出角度分布を測定する際に用いるターゲットと同じター
ゲットを用いて実際の成膜が行われることから、放出角
度分布の測定の際と実際の成膜の際において、放出角度
の分布に差がなく、測定したスパッタ粒子の放出角度分
布に基づいて、精度よく所望の成膜を行うことができ
る。
【0048】また、請求項5のスパッタ粒子の放出角度
分布計測方法のように、マスクの貫通孔の平面形状を、
直径が1〜5mmの略円形とすることにより、目的物質粒
子を確実に狭い範囲から放出させて、高精度に放出角度
分布を計測することが可能になり、本願発明をさらに実
効あらしめることができる。
【0049】また、本願発明(請求項6)の膜厚分布シ
ミュレーション方法は、請求項1〜5のいずれかに記載
の方法により、放出角度分布を計測し、その結果から、
スパッタにより目的物質の薄膜を形成した場合の、薄膜
の膜厚分布を求めるようにしているので、精度よく薄膜
の膜厚分布シミュレーションを行うことが可能になり、
膜厚分布の均一化を図ったり、膜厚を制御したりするこ
とが可能になる。
【0050】また、スパッタにより薄膜を形成する場
合、スパッタ粒子が基板に対して、斜めに入射すると、
空隙や孔が多く、低密度で、電気抵抗が高く、光に対す
る鏡面反射率が低い薄膜しか得ることができなくなるた
め、スパッタ粒子が基板に対して垂直に近い状態で入射
することが望ましいが、スパッタ粒子の基板への入射角
度を決定する一つの要因である放出角度分布を計測し
て、スパッタ粒子の基板への斜め入射の少ないスパッタ
条件を求めることにより、膜特性の向上を図ることが可
能になる。
【0051】また、微細化したコンタクトホールに薄膜
を埋め込むためには、コリメータなどの装置形状の改善
だけではなく、放出角度分布の改善が必要になるが、本
願発明の放出角度分布の計測方法及び膜厚分布シミュレ
ーション方法を適用することにより、微細化したコンタ
クトホールに薄膜を精度よく埋め込むことが可能にな
る。
【0052】また、本願発明(請求項7)のスパッタ装
置は、ターゲットと、ターゲットに照射するためのイオ
ンの発生手段とを備え、ターゲットからスパッタ蒸発さ
せた目的物質粒子を基板上に沈着させることにより、基
板上に薄膜を形成するスパッタ装置であって、基板上に
形成される薄膜の構成物質であり、かつ、スパッタ粒子
の放出角度分布を計測したい目的物質からなるターゲッ
トと、ターゲットとは異なる材料からなり、所定の位置
に貫通孔が形成されており、目的物質粒子(スパッタ粒
子)の放出角度分布を計測する場合には、ターゲットの
基板と対向する面に配設されるマスクと、マスクの貫通
孔を通過し、基板の表面に付着した目的物質粒子(スパ
ッタ粒子)の分布状態を計測し、ターゲット、マスクの
貫通孔、及び基板の位置関係と、目的物質の分布状態か
ら、目的物質粒子の放出角度分布を求める放出角度分布
計測手段とを備えているので、本願請求項4記載のスパ
ッタ粒子の放出角度分布計測方法を確実に実施すること
が可能になるとともに、計測されたスパッタ粒子の放出
角度分布に基づいて、所望の成膜を行うことが可能にな
る。すなわち、ターゲットに上記マスクを施した状態
で、スパッタを行うことにより、スパッタ粒子の放出角
度分布を計測した後、ターゲットからマスクを取り外し
てスパッタを行うことにより、スパッタ粒子の放出角度
分布の計測と、それに基づいた実際の成膜を容易に切り
替えて、精度よく所望の成膜を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態(実施形態1)にかかる
スパッタ粒子の放出角度分布計測方法を実施するにあた
って用いたターゲットを示す図であり、(a)は平面図、
(b)は正面断面図である。
【図2】本願発明の一実施形態(実施形態1)にかかる
スパッタ粒子の放出角度分布計測方法を実施するにあた
って用いたスパッタ装置の構成を模式的に示す図であ
る。
【図3】本願発明の他の実施形態(実施形態2)にかか
るスパッタ粒子の放出角度分布計測方法を実施するにあ
たって用いた装置の構成を模式的に示す図である。
【図4】本願発明の他の実施形態(実施形態2)にかか
るスパッタ粒子の放出角度分布計測方法により求めた放
出角度分布を示す図である。
【図5】本願発明の実施形態(実施形態2,3)にかか
るスパッタ粒子の放出角度分布計測方法を実施するにあ
たって用いた装置の構成を模式的に示す図である。
【図6】実施形態3において、放出角度分布を算出する
方法を説明するための図である。
【図7】本願発明の他の実施形態(実施形態4)を実施
するのに用いたターゲット及び該ターゲットに取り付け
られるマスクを示す斜視図である。
【図8】実施形態4において、ターゲットから目的物質
粒子を発生させている状態を模式的に示す斜視図であ
る。
【図9】実施形態4において、ターゲットから目的物質
粒子を発生させて、基板に薄膜(合金膜)を形成してい
る状態を模式的に示す断面図である。
【図10】従来のスパッタ装置におけるスパッタ粒子の
放出角度分布計測方法を示す図である。
【符号の説明】
1,1a,1b ターゲット 2,2a,2b 基板 3 マグネット 4 マスク 5 マスクに形成された貫通孔 6 ターゲットに形成されたビス穴 7 マスクに形成されたビス穴 8 ビス 10 ターゲットへの照射イオンの発生源 11 ターゲット本体 12 目的物質からなる平面形状が円形の
小片 A 薄膜 B 合金膜(薄膜)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スパッタ装置のターゲットから放出される
    スパッタ粒子の放出角度分布を計測する方法において、 ターゲットの一部を、スパッタ粒子の放出角度分布を計
    測したい目的物質により形成し、 前記ターゲットに対して所定の位置関係となるように基
    板を配設してスパッタを行い、 基板の表面に付着した目的物質粒子(スパッタ粒子)の
    分布状態を計測して、ターゲットと基板の位置関係及び
    目的物質の分布状態から、目的物質粒子の放出角度分布
    を求めることを特徴とするスパッタ粒子の放出角度分布
    計測方法。
  2. 【請求項2】スパッタ装置のターゲットから放出される
    スパッタ粒子の放出角度分布を計測する方法において、 スパッタ粒子の放出角度分布を計測したい目的物質とは
    異なる材料からなるターゲットの所定の位置に目的物質
    の小片を配置し、 前記ターゲットに対して所定の位置関係となるように基
    板を配設してスパッタを行い、 基板の表面に付着した目的物質粒子(スパッタ粒子)の
    分布状態を計測して、ターゲットと基板の位置関係及び
    目的物質の分布状態から、目的物質粒子の放出角度分布
    を求めることを特徴とするスパッタ粒子の放出角度分布
    計測方法。
  3. 【請求項3】(a)前記ターゲットの一部を構成する、ス
    パッタ粒子の放出角度分布を計測したい目的物質から形
    成された部分、又は、 (b)前記目的物質とは異なる材料からなるターゲットの
    所定の位置に配置された、スパッタ粒子の放出角度分布
    を計測したい目的物質の小片の平面形状を、直径1〜5
    mmの略円形とすることを特徴とする請求項1又は2記載
    のスパッタ粒子の放出角度分布計測方法。
  4. 【請求項4】スパッタ装置のターゲットから放出される
    スパッタ粒子の放出角度分布を計測する方法において、 スパッタ粒子の放出角度分布を計測したい目的物質から
    なるターゲットを用い、 ターゲットの、目的物質粒子(スパッタ粒子)を付着さ
    せるべき基板と対向する面に、ターゲットと異なる材料
    からなり、所定の位置に貫通孔が形成されたマスクを施
    し、 スパッタを行うことにより、ターゲットから放出された
    目的物質粒子(スパッタ粒子)を、マスクの貫通孔を通
    過させて基板の表面に付着させ、 基板の表面に付着した目的物質粒子(スパッタ粒子)の
    分布状態を計測して、ターゲット、マスクの貫通孔、及
    び基板の位置関係と、目的物質の分布状態から、ターゲ
    ットの任意位置における目的物質粒子の放出角度分布を
    求めることを特徴とするスパッタ粒子の放出角度分布計
    測方法。
  5. 【請求項5】前記マスクの貫通孔の平面形状が略円形
    で、直径が1〜5mmであることを特徴とする請求項4記
    載のスパッタ粒子の放出角度分布計測方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の方法によ
    り、スパッタ粒子の放出角度分布を計測し、その計測結
    果から、ターゲットと基板とを所定の位置関係になるよ
    うに配置してスパッタを行うことにより、基板上に目的
    物質の薄膜を形成した場合の薄膜の膜厚分布を求めるこ
    とを特徴とする膜厚分布シミュレーション方法。
  7. 【請求項7】ターゲットと、ターゲットから目的物質を
    スパッタ蒸発させるためにターゲットに照射するイオン
    の発生手段とを備え、ターゲットからスパッタ蒸発させ
    た目的物質粒子(スパッタ粒子)を基板上に沈着させる
    ことにより、基板上に薄膜を形成するためのスパッタ装
    置であって、 基板上に形成される薄膜の構成物質であり、かつ、スパ
    ッタ粒子の放出角度分布を計測したい目的物質からなる
    ターゲットと、 ターゲットとは異なる材料からなり、所定の位置に貫通
    孔が形成されており、目的物質粒子(スパッタ粒子)の
    放出角度分布を計測する場合には、ターゲットの基板と
    対向する面に配設されるマスクと、 マスクの貫通孔を通過し、基板の表面に付着した目的物
    質粒子(スパッタ粒子)の分布状態を計測し、ターゲッ
    ト、マスクの貫通孔、及び基板の位置関係と、目的物質
    の分布状態から、目的物質粒子の放出角度分布を求める
    放出角度分布計測手段とを具備することを特徴とするス
    パッタ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11414746B2 (en) 2018-07-02 2022-08-16 Canon Kabushiki Kaisha Film forming apparatus and film forming method using the same

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