JP2002220648A - アルミニウム合金製コイルばねとその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金製コイルばねとその製造方法

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JP2002220648A
JP2002220648A JP2001016017A JP2001016017A JP2002220648A JP 2002220648 A JP2002220648 A JP 2002220648A JP 2001016017 A JP2001016017 A JP 2001016017A JP 2001016017 A JP2001016017 A JP 2001016017A JP 2002220648 A JP2002220648 A JP 2002220648A
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wire
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coil
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Satoru Kondo
覚 近藤
Toru Imura
徹 井村
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Togo Seisakusho Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軽量で高強度のアルミニウム合金製コイルばね
を歩留りよく得られる製造方法を提供する。 【解決手段】アルミニウム合金粉末を用いて線材を成形
する線材成形工程と、その線材を温間でコイリングする
温間コイリング工程と、得られたコイルに溶体化処理を
施す溶体化処理工程と、その後のコイルを急冷して焼入
れする焼入工程と、焼入工程後のコイルに時効処理を施
す時効処理工程と、を備えることを特徴とするアルミニ
ウム合金製コイルばねの製造方法。温間コイリングを行
うことで、ばね指数に拘らずコイリング時の折損が防止
でき、その後の熱処理で耐疲労性の向上を図ることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量で高強度のア
ルミニウム合金製コイルばねと、その効率的な製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コイルばねは、高荷重が繰返し係ること
が多いため、従来は、強度に優れたばね鋼線をコイリン
グして成形されていた。ところが、最近では、種々の部
品に軽量化が厳しく求められるため、コイルばねも従来
の鉄鋼製コイルばねの他に、アルミニウム合金製コイル
ばねも開発、使用されつつるある。例えば、特開平10
−226839号公報には、「成分が重量%でSi0.
2〜13、Fe0.2〜1.0、Cu0.2〜6.0、
Mn<1.2及び又はMg<4.5、残部がAl及び不
可避的乃至任意の微量添加物よりなり、結晶粒の縦/横
比が10以上で、硬度はHMV140〜200であるこ
とを特徴とする高強度Al合金ワイヤ。」を用いたコイ
ルばねと、そのコイルばねの製造方法が開示されてい
る。
【0003】なお、その高強度Al合金ワイヤは、「
所要成分に配合された合金粉を温間鍛造、押出しなどに
より固化する工程と、該固化物を直接又は他の工程を経
た後、次のA、B、Cの何れか1つ以上の工程を具備せ
しめることを特徴とする高強度Al合金ワイヤの製造方
法。A 伸線する工程。B Aによる伸線物を溶体化処理
した後、伸線する工程。C 溶体化処理と伸線を繰り返
す工程。」により製造されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記公報中の
実施例によると、伸線して得た高強度Al合金ワイヤを
そのまま用いてコイリングし、その後に熱処理を施して
コイルばねを製造している。このような製造方法では、
その実施例の記載からも解るように、折損なしにコイリ
ングできるD/d(d:線径、D:コイル中心径)が制
限され、また、コイリング後のワイヤの表面にツールマ
ークが残る。コイル表面にツールマークが残ると、その
部分が疵となり、その疵が疲労破壊の起点となって、高
疲労強度のコイルばねを得ることはできない。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものである。つまり、軽量で高強度のアルミニウム合
金製コイルばねを製造するに際し、割れ、疵、シワまた
は折損等の発生を低減または防止することができる、ア
ルミニウム合金製コイルばねの製造方法を提供すること
を目的とする。また、軽量で高強度または疲労強度に優
れたアルミニウム合金製コイルばねを提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者はこの
課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、
アルミニウム合金粉末からなる線材のコイリング時に、
温間コイリングすることにより、折損、疵等のないアル
ミニウム合金製コイルばねが得られることを見出し、本
発明のアルミニウム合金製コイルばねの製造方法を完成
するに至ったものである。
【0007】すなわち、本発明のアルミニウム合金製コ
イルばねの製造方法は、アルミニウム合金粉末を用いて
線材を成形する線材成形工程と、該線材成形工程により
得られた線材を温間でコイリングする温間コイリング工
程と、該温間コイリング工程で得られたコイルに溶体化
処理を施す溶体化処理工程と、該溶体化処理工程後のコ
イルを急冷して焼入れする焼入工程と、該焼入工程後の
コイルに時効処理を施す時効処理工程と、を備えること
を特徴とする。
【0008】アルミニウム合金粉末から成形した線材は
高強度であるため、従来のように、そのままコイリング
すると、疵、折損等を生じる。そこで、本発明では、そ
の線材のコイリングに際して、温間コイリングを行うこ
ととした。つまり、温間状態でコイリングすることによ
り、線材の強度を一時的に低下させることができ、その
状態でコイリングを行うため、疵、折損等の発生を抑
制、防止しつつ、アルミニウム合金製コイルばねの製造
が可能になったと考えられる。そして、それ以降の溶体
化処理工程、焼入工程、時効処理工程を施すことによ
り、線材の強度が向上して、高強度または高疲労強度で
軽量のアルミニウム合金製コイルばねが得られる。具体
的には、溶体化処理工程で、温間コイリング時に線材に
生じた残留応力が除去されると共に組織の均質化がなさ
れ、焼入工程で、線材の硬質化、高強度化または圧縮残
留応力の付与がなされ、さらに、時効処理工程では、微
細な強化粒子が析出して時効析出硬化が起り、コイルば
ねの一層の高硬度化、高強度化がなされると考えられ
る。
【0009】ところで、軽量で高強度のコイルばねを製
造するに際し、アルミニウム合金粉末として、Al−Z
n−Mg系合金粉末が好ましいことを本発明者は確認し
ている。特に、前記アルミニウム合金粉末は、全体を1
00質量%としたときに5〜11質量%の亜鉛(Zn)
と、2〜4.5質量%のマグネシウム(Mg)と、0.
5〜2質量%の銅(Cu)と、0.01〜0.5質量%
の銀(Ag)と、残部が実質的にAlとからなると、好
適である。Al−Zn−Mg系合金は、いわゆる超々ジ
ュラルミン(7000系)であり、時効処理を施すこと
により優れた高強度を発揮することは良く知られている
が、そのAl−Zn−Mg系合金にAgをさらに添加し
た合金粉末を用いて線材を成形し、その線材でコイルば
ねを製造すると、従来になく、高強度のアルミニウム合
金製コイルばねが得られることが解った。そして、その
Al−Zn−Mg系合金の線材を用いて温間コイリング
を行う場合、65℃以上に加熱してコイリングすると、
折損の発生等を低減、防止でき、好ましい。さらに、温
度が70℃以上の温間状態でコイリングするとより好ま
しい。
【0010】また、その組成からなるアルミニウム合金
粉末を用いて、本発明のアルミニウム合金製コイルばね
が得られる。つまり、本発明のアルミニウム合金製コイ
ルばねは、全体を100質量%としたときに、5〜11
質量%のZnと、2〜4.5質量%のMgと、0.5〜
2質量%のCuと、0.01〜0.5質量%のAgと、
残部が実質的にAlとからなるアルミニウム合金粉末を
用いて成形されたことを特徴とする。このアルミニウム
合金製コイルばねは、高強度または高疲労強度であると
共に軽量で、熱伝達性、電気伝導性等に優れるため、各
種分野の各種製品に応用することができる。なお、この
アルミニウム合金製コイルばねは、前述した製造方法に
より得られたものに限られるものではない。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、実施形態を挙げ、本発明を
より具体的に説明する。 (1)アルミニウム合金粉末 アルミニウム合金粉末は、機械粉砕した粉末でも良い
が、アトマイズ粉末を用いると微細でほぼ均一な粒径の
粉末が容易に得られるので好ましい。アトマイズは、空
気アトマイズ法、Ar、Heなどを用いる不活性ガスア
トマイズ法、N2ガスアトマイズ法など、何れでも良
い。そして、アルミニウム合金粉末は、添加元素の晶出
・偏析を抑制して、それらの添加元素がAl中にできる
だけ多く固溶できるように、Al合金溶湯を102K/
秒以上の冷却速度で凝固させた急冷凝固粉末であること
が好ましい。アルミニウム合金粉末の組成は、Al−Z
n−Mg系合金、特に、前述した組成を備えると好まし
い。添加元素であるZn、Mg、Cu、Agの範囲を上
記のように制限したのは、それらの添加量が多すぎる
と、例え、急冷凝固を経たとしても、それらの添加元素
がAl中に十分に固溶できず、粗大な晶出物を形成し、
Al合金の強度低下の原因となるため好ましくないから
である。一方、それらの添加量が少なすぎると、時効処
理を行ったときに、微細析出相の体積分率が減少して、
時効析出硬化によるAl合金の強度改善が十分には図れ
ない。
【0012】(2)線材成形工程 線材成形工程は、アルミニウム合金粉末を用いて線材を
成形する工程であるが、例えば、そのアルミニウム合金
粉末を押出成形して押出線材とする押出工程とすること
ができる。より具体的には、アルミニウム合金粉末を容
器に充填後、冷間静水圧成形(CIP)等で所定の形状
にした後、さらに熱間押出成形等を行って線状の粉末成
形体(ビレット)を得て、これを押出線材(素材)とし
ても良い。通常、このようなビレットは大径であるた
め、さらに所望の線径まで伸線加工を施すと良い。つま
り、前記線材成形工程は、さらに、前記押出線材を伸線
する第1伸線工程を含むと、好適である。また、一度の
伸線工程で所望の線径が得られない場合は、この伸線工
程を繰返し行うと良いが、その途中に、加工歪みや残留
応力を取除くために溶体化処理を行ったり、さらなる高
強度、高疲労強度の伸線を得るために焼入工程を行って
も良い。つまり、前記線材成形工程は、前記第1伸線工
程後に得られた線材に溶体化処理と焼入れとを施した後
にさらに伸線する第2伸線工程を含むと、好適である。
【0013】(3)溶体化処理工程、焼入工程および時
効処理工程 溶体化処理工程は、温間コイリング工程で得られたコ
イルを、そのアルミニウム合金の固溶体の溶解度曲線よ
りも高い温度に加熱して、添加元素(溶質元素)を均一
に分布させる工程である。アルミニウム合金粉末の組成
にもよるが、具体的には、この溶体化処理工程が、前記
コイルを400〜510℃で5分〜3時間保持する工程
であると、好適である。そのような範囲で溶体化処理を
行うことにより、組織の粗大化を防止しつつ、添加元素
の効率的な均質化を図れる。なお、この加熱処理とその
後に続けて行われる急冷とを含めて溶体化処理と呼ばれ
ることも多いが、本明細書中では、その急冷を焼入工程
と呼び、両者を区別した。
【0014】焼入工程は、溶体化処理工程後のコイル
を急冷して焼入れする工程である。この焼入れは、油焼
入れでも良いが、より高強度のコイルばねを得るため
に、水焼入れが好ましい。つまり、焼入工程は、溶体化
処理工程後の加熱した前記コイルを水冷する工程である
と、好適である。この焼入工程は、コイルばね線材を高
硬度化し、圧縮残留応力を表面に付与するため、コイル
ばねの耐疲労性向上に有効であると考えられる。
【0015】時効処理工程 時効処理工程は、焼入工程後のコイルをある温度に保持
して、強化粒子を分散析出させて、コイルばねの線材を
時効硬化させる工程である。アルミニウム合金の場合、
この時効処理により、著しく高硬度化し、非常に大きな
強度が得られる。アルミニウム合金粉末の組成にも依る
が、例えば、この時効処理工程が、前記コイルを90〜
130℃で10〜30時間保持する工程であると、好適
である。そのような範囲で時効処理を行うことにより、
時効析出粒子の均一かつ微細な分散が可能となり、コイ
ルばねの強度向上に有効だからである。なお、組成にも
よるが、7000系のアルミニウム合金の場合、以上の
溶体化処理工程、焼入工程および時効処理工程は、T6
処理等と呼ばれることも多い。
【0016】(4)ホーニング工程 ホーニング工程は、前記時効処理工程後に前記コイルの
表面をホーニングする工程である。この工程を含むと、
コイルばねのバリ、スケール等の除去が行えると共に、
表面に圧縮残留応力を付与することができるので、コイ
ルばねのさらなる耐疲労性の向上を図ることができる。
ホーニング工程は、液体ホーニングでも良いが、例え
ば、ドライホーニング工程とすると、比較的簡易な設備
でホーニングを行え、また、局所的なホーニングも容易
であるため、好適である。そして、この場合、ドライホ
ーニング工程が、粒径45〜90μmのガラスビーズを
0.1〜0.5MPaで前記コイルの表面に吹き付ける
工程であると、より好適である。アルミニウム合金製コ
イルばねは、鋼製コイルばねに比べて表面硬度が低いた
め、使用するショット(ブラスト)も低硬度のガラスビ
ーズを用いることが好ましい。また、その粒径を45〜
90μmとすることにより、コイルばねの表面粗さを荒
すこともなく、耐疲労性に有効なドライホーニングを行
うことができる。
【0017】(5)セッチング工程 セッチング工程は、前記時効処理工程後または前記ホー
ニング工程後に前記コイルの使用方向に過荷重を付与し
てセッチングを行う工程である。セッチングを行うこと
により、コイルばねの比例限が延び、耐へたり性が向上
する。また、このセッチング後に低温焼鈍しを行うと、
耐へたり性が一層向上する。なお、セッチングは冷間セ
ッチングでも温間セッチングでもよいが、比較的高温環
境下でコイルばねを使用する場合は、温間セッチングが
好ましい。
【0018】(6)端面形成工程 端面形成工程は、前記時効処理工程、前記ホーニング工
程または前記セッチング工程後に前記コイルの端面を形
成する工程である。コイルばねを圧縮コイルばねとして
使用する場合、この工程を行うことにより、コイルばね
の端面が座面に安定して当接する。端面形成工程は、放
電加工や湿式研磨等により行えるが、特に、この端面形
成工程が圧縮コイルばねの両端面を研削面とする端面形
成工程であると、端面の平面度等の加工精度の向上を図
れて、好ましい。
【0019】(7)用途 本発明に係るアルミニウム合金製コイルばねは、自動車
等の車両用、その他機械用、OA機器用、通信機器用、
スポーツ・レジャー品用等の各種分野の各種部品に使用
でき、特に、軽量性が求められる場合に好適である。
【0020】
【実施例】次に、実施例を挙げて、本発明に係るアルミ
ニウム合金製コイルばねおよびその製造方法をより具体
的に説明する。 (1)コイルばねの製作 Cu:1.5%(質量%、以下同様)、Mg:3%、A
g:0.04%、Zn:9.5%、残部Alの組成を有
し、粒径が150μm以下のアルミニウム合金粉末(Y
KK社製、高強度ナノクリスタル合金、商品名「GIG
AS」)を用いて、350〜500℃×押出し比49の
押出成形を行い、φ6.0mmのビレット(押出線材)
を製作した(線材成形工程、押出工程)。なお、以下の
何れの試料についても、このことは共通する。
【0021】実施例1 前述の押出線材を150℃に加熱してコイリングし(温
間コイリング工程)、490℃×2時間の溶体化処理を
行い(溶体化処理工程)、水冷して焼入れし(焼入工
程)、110℃×20時間の時効処理を行い(時効処理
工程)、両端面を研削した後(端面形成工程)、圧縮荷
重350MPa×10秒×1回の冷間セッチングを行っ
た(セッチング工程)。これにより、線径φ6.0m
m、コイル中心径が39.0mm、総巻数6.25巻、
自由高さ95mmの圧縮コイルばね(試料1)を得た。
【0022】実施例2 本実施例は、実施例1と基本的に同様の工程で行った
が、実施例1の端面研削とセッチングとの間でドライホ
ーニングを行った(ドライホーニング工程)点が実施例
1と相違する。このドライホーニング工程は、粒径45
〜90μmのガラスビーズを、投射圧0.2MPa×投
射時間5分×大気中でコイルばねに吹付けたものであ
り、このときのカバレッジはほぼ100%であった。こ
うして、実施例1と同様の形状・寸法をもつ圧縮コイル
ばね(試料2)を得た。
【0023】実施例3 本実施例は、先ず、前述の押出線材(φ6.0mm)を
φ4.3mmまで伸線加工した後(第1伸線工程)、4
60℃×2時間の溶体化処理を施し、これを水冷して焼
入れし、その後さらにφ3.2mmまで伸線加工した
(第2伸線工程)。これをばね線材として、実施例1と
同様の温間コイリング工程、溶体化処理工程、焼入工
程、時効処理工程、端面形成工程、セッチング工程を、
順次行った。こうして、線径φ3.2mm、コイル中心
径が20.3mm、総巻数6.25巻、自由高さ53m
mの圧縮コイルばね(試料3)を得た。こうして得られ
た試料1〜3について、硬さ、圧縮残留応力、表面粗さ
を測定すると共に疲労試験を行ったので、その結果を表
1に示す。なお、上述した何れの実施例においても、コ
イリング時に折損や疵付き、表面クラック等が発生する
ことは無かった。
【0024】
【表1】
【0025】(2)評価 コイリング時の折損について ばね指数D/d=5とD/d=7の圧縮コイルばねにつ
いて、コイリング時の加熱温度を室温(約20℃)、4
0℃、70℃と変化させて、コイリング時の折損に及す
温度の影響を調べた結果を図1に示す。もっとも、いず
れの場合にもコイリング時に折損まで到らなかったた
め、展開長さ100mmあたりのクラック数でコイリン
グ時の温度の影響を評価した。また、ここで使用したい
ずれの圧縮コイルばねも、前述の実施例1と同様にして
製造したものであり、コイリング時の温度とコイル中心
径(ばね指数D/d)とが異なるのみである。ちなみ
に、前述の試料1のばね指数はD/d=6.5であり、
併せて図1に示した。この図1の結果から、ばね指数D
/dが大きいときは室温程度でコイリングを行って線材
の表面にクラック等が発生しないが、ばね指数D/dが
小さくなると表面にクラックが発生する。しかし、コイ
リング時の温度を上昇させることにより、ばね指数D/
dの小さい場合でも、クラックの発生数を低減させるこ
とができる。例えば、ばね指数D/d=5の場合、70
℃程度に加熱してコイリングすることで、クラックの発
生を防止できることが解った。
【0026】強度および耐疲労性 表1から解るように、試料1と試料2とを対比すると、
温間コイリング後に溶体化処理、焼入工程および時効処
理を施しているため、十分な硬さと疲労強度を備えるこ
とが解る。特に、試料2では、ドライホーニングを行っ
ているため、圧縮残留応力が増加しており、その分、耐
疲労性が急激に上昇していることが解る。また、試料3
のように、押出線材からさらに伸線加工した線材でコイ
ルばねを製造した場合でも、十分な疲労強度を有し、加
工硬化により表面の硬さは試料1や試料2より上昇して
いることも解る。
【0027】
【発明の効果】本発明のアルミニウム合金製コイルばね
の製造方法によれば、折損等の低減、防止を図りつつ、
歩留りよくアルミニウム合金製コイルばねを製造するこ
とができる。また、本発明に係るアルミニウム合金製コ
イルばねは、軽量で高強度であり、軽量化が求められる
種々の製品に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ばね指数D/dとコイリング時の温度との関係
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21D 9/02 C21D 9/02 A C22C 21/10 C22C 21/10 F16F 1/02 F16F 1/02 A B // C22F 1/00 602 C22F 1/00 602 630 630F 685 685Z 691 691B 691C Fターム(参考) 3J059 AB12 AD04 BA01 BC01 EA09 EA17 4E096 EA05 EA12 4K018 AA15 BA08 CA23 EA31 FA02 FA08 KA01 KA55 4K042 AA01 BA04 BA14 DA01 DD03 DE02

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム合金粉末を用いて線材を成形
    する線材成形工程と、 該線材成形工程により得られた線材を温間でコイリング
    する温間コイリング工程と、 該温間コイリング工程で得られたコイルに溶体化処理を
    施す溶体化処理工程と、 該溶体化処理工程後のコイルを急冷して焼入れする焼入
    工程と、 該焼入工程後のコイルに時効処理を施す時効処理工程
    と、を備えることを特徴とするアルミニウム合金製コイ
    ルばねの製造方法。
  2. 【請求項2】前記アルミニウム合金粉末は、全体を10
    0質量%としたときに5〜11質量%の亜鉛(Zn)
    と、2〜4.5質量%のマグネシウム(Mg)と、0.
    5〜2質量%の銅(Cu)と、0.01〜0.5質量%
    の銀(Ag)と、残部が実質的にAlとからなる請求項
    1に記載のアルミニウム合金製コイルばねの製造方法。
  3. 【請求項3】前記線材成形工程は、前記アルミニウム合
    金粉末を押出成形して押出線材とする押出工程である請
    求項1に記載のアルミニウム合金製コイルばねの製造方
    法。
  4. 【請求項4】前記線材成形工程は、さらに、前記押出線
    材を伸線する第1伸線工程を含む請求項3に記載のアル
    ミニウム合金製コイルばねの製造方法。
  5. 【請求項5】前記線材成形工程は、前記第1伸線工程後
    に得られた線材に溶体化処理と焼入れとを施した後にさ
    らに伸線する第2伸線工程を含む請求項4に記載のアル
    ミニウム合金製コイルばねの製造方法。
  6. 【請求項6】前記溶体化処理工程は、前記コイルを40
    0〜510℃で5分〜3時間保持する工程である請求項
    1または5に記載のアルミニウム合金製コイルばねの製
    造方法。
  7. 【請求項7】前記焼入工程は、加熱した前記コイルを水
    冷する工程である請求項1または5に記載のアルミニウ
    ム合金製コイルばねの製造方法。
  8. 【請求項8】前記時効処理工程は、前記コイルを90〜
    130℃で10〜30時間保持する工程である請求項1
    に記載のアルミニウム合金製コイルばねの製造方法。
  9. 【請求項9】さらに、前記時効処理工程後に前記コイル
    の表面をホーニングするホーニング工程を含む請求項1
    に記載のアルミニウム合金製コイルばねの製造方法。
  10. 【請求項10】前記ホーニング工程は、ドライホーニン
    グ工程である請求項9に記載のアルミニウム合金製コイ
    ルばねの製造方法。
  11. 【請求項11】前記ドライホーニング工程は、粒径45
    〜90μmのガラスビーズを0.1〜0.5MPaで前
    記コイルの表面に吹き付ける工程である請求項10に記
    載のアルミニウム合金製コイルばねの製造方法。
  12. 【請求項12】さらに、前記時効処理工程後または前記
    ホーニング工程後に前記コイルの使用方向に過荷重を付
    与してセッチングを行うセッチング工程を含む請求項1
    または9のいずれかに記載のアルミニウム合金製コイル
    ばねの製造方法。
  13. 【請求項13】さらに、前記時効処理工程、前記ホーニ
    ング工程または前記セッチング工程後に前記コイルの端
    面を形成する端面形成工程を含む請求項1、9または1
    2のいずれかに記載のアルミニウム合金製コイルばねの
    製造方法。
  14. 【請求項14】全体を100質量%としたときに、5〜
    11質量%のZnと、2〜4.5質量%のMgと、0.
    5〜2質量%のCuと、0.01〜0.5質量%のAg
    と、残部が実質的にAlとからなるアルミニウム合金粉
    末を用いて成形されたことを特徴とするアルミニウム合
    金製コイルばね。
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