JP2002219899A

JP2002219899A - 管状体

Info

Publication number: JP2002219899A
Application number: JP2001018447A
Authority: JP
Inventors: Eiji Sugaya; 英二菅谷
Original assignee: Daiwa Seiko Co Ltd
Current assignee: Globeride Inc
Priority date: 2001-01-26
Filing date: 2001-01-26
Publication date: 2002-08-06

Abstract

(57)【要約】【課題】管状体本体の外側に、見る位置あるいは方向に
よって色が変化して見え、変化に富んだ外観を形成する
と共に、密着性に優れ、厚さに比して軽量化を図ること
が可能な装飾層を備えた管状体を提供すること【解決手段】強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグ
を巻回して形成した管状体本体１２と、この管状体本体
の外側に形成され、多層構造発色繊維チップ２０を混合
した塗料又はインキコーティングを含む装飾層１４とを
備える管状体１０。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、管状体に関し、特
に、例えば釣竿等の釣り用品、あるいは、ゴルフシャフ
ト、テニスラケット等のスポーツ用品に用いる管状体に
関する。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】このような釣用品あるいは
スポーツ用品に用いる管状体は、強化繊維に合成樹脂を
含浸したプリプレグを巻回して管状体本体を形成し、こ
の管状体本体の外側に例えばアルミニューム、金あるい
は銀等の適宜の金属を金属箔として貼り付け、金属層と
してコーティングし、あるいは、金属粒子として装飾層
に混合して光輝性のある外観とすることが知られてい
る。

【０００３】しかし、このように実際に種々の形態の金
属を用いて塗装する場合には、このような装飾層の厚さ
の割には重量が重くなる。また、僅かな傷からでも腐食
が進行し易く、したがって装飾層が剥離し易い。更に、
金属光輝性は得られるものの、金属自体の持つ色が変化
するものではなく、深みのない装飾層となり、また、見
る角度を変えても外部から見える模様は常に同じであ
る。例えば模様が複数の色から形成されている場合であ
っても、その彩りおよび色調に変化はなく、全体的な外
観は単調な感じとなり易く、変化に富んだ装飾効果を生
じさせることが望まれている。

【０００４】本発明は、このような事情に基づいてなさ
れたもので、管状体を見る角度と光を照射する角度とに
よって色相と彩度と明度との少なくとも１つが変化して
見え、深みのある鮮やかな色により、変化に富んだ外観
を形成する管状体を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の管状体は、強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレ
グを巻回形成した管状体本体と、この管状体本体の外側
に形成され、多層構造発色繊維チップを混合した装飾層
とを備えることを特徴とする。

【０００６】この発色繊維チップは、横断面における短
径方向寸法を長径方向寸法の１／２以下とした扁平状構
造を有してもよく、また、装飾層の厚さよりも大きな最
大幅を有してもよい。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１および図２は、本発明の好ま
しい実施形態による管状体で形成した釣竿の一部を示
す。釣竿を形成する本実施形態の管状体１０は、強化繊
維に合成樹脂を含浸したプリプレグを芯金に巻回するこ
とで形成された中空薄肉構造の管状体本体１２を有す
る。この管状体本体１２の表面には、所要位置あるいは
その全体にわたって、下地層１４と、彩色あるいは模様
を形成する装飾層１６と、周囲環境から内側に位置する
種々の層を保護する透明あるいは半透明の保護層１８と
が外方に向けて順に積層された状態で配置されている。

【０００８】装飾層１６を形成する塗料は任意のものを
用いることができるが、このような塗料の例には、例え
ば天然あるいは人工うるしを含むうるし系樹脂、更に、
ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、
フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、あるい
は、アクリルシリコーン樹脂等の管状体１０のたわみや
断面の変化に耐えられる樹脂からなるものが好ましく、
塗膜硬度としては、鉛筆硬度２Ｂ〜４Ｈの範囲が好まし
い。また、後述する多層構造発色繊維チップを混合した
ときに、内部の発色繊維チップの色が外部から見えるよ
うにするために、透明あるいは半透明の性質を持つ透明
性塗料であることが望ましい。更に、このような管状体
１０を釣竿に用いる場合には、カーボン素材又はガラス
素材との密着性の良いエポキシ樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂あるいはうるし等
の下地層１４を形成する材料との密着性の良好な塗料で
あることが望ましい。

【０００９】図３は、管状体１２の外面に施された彩色
あるいは模様の部分を拡大して示し、図４および図５
は、これらの彩色あるいは模様を形成する多層構造発色
繊維チップを拡大して示す。

【００１０】本実施形態の発色繊維チップ２０は、例え
ば平均長さが１００μｍ等の比較的大きな粒子構造を形
成する短繊維状の形状に形成されており、合成樹脂製の
多層構造を備える。各発色繊維チップ２０は、その姿勢
あるいは傾きによって互いに異なる干渉色を発色する。
したがって、図３に微細な点の密度差による濃淡模様で
概略的に示すように、管状体１０の外部から見たとき
に、比較的大きな発色繊維チップ２０が様々な色彩およ
び濃淡を持つ干渉色を発色させる。これらの発色繊維チ
ップ２０の干渉色は、見る角度が変化することにより、
様々に移り変わるようにすることもできる。

【００１１】図４は、このような発色繊維チップ２０の
表面に表れた干渉色を例示するものである。図４に示す
ように、発色繊維チップ２０は、周面のほぼ中央部２２
が最も色の濃い部分を形成し、この中央部２２の周部２
４は色のやや濃い部分を形成し、側縁部２６は透明状、
半透明状あるいは色の薄い部分を形成しており、したが
って、中央部２２から縁部２６に移行するにつれて色が
次第に薄くなる。この中央部２２は、下側の色すなわち
発色繊維チップ２０よりも管状体本体１２側に位置する
他の発色繊維チップあるいは下地層１４（図２）の色が
見えるように半透明状に形成することができる。更に、
各発色繊維チップ２０の色も単一色だけでなく、複数の
色が互いに長手方向に沿って平行に配列された状態で視
認することができる。更に、周部２４は、通常は中央部
２２よりも薄い色を発色するが、これに限らず、中央部
２２と同程度の濃度に発色するものであってもよい。こ
のような発色繊維チップ２０は、例えば特開平１１−１
８２６号公報に記載の光学干渉機能を有する複合繊維で
形成したものを用いることができる。

【００１２】図５は、このような発色繊維チップ２０の
構造例を示す。この発色繊維チップ２０は、ポリアミド
系樹脂の複数の繊維層２８をほぼ平行に引き揃えた状態
で配置し、これらの繊維層２８を屈折率の高い結晶性ポ
リマーの透明樹脂３０で覆った構造を備え、その平均的
な寸法は、厚さＡがほぼ１０μｍ、幅Ｂがほぼ５０〜７
０μｍであり、厚さＡで形成される短径と幅Ｂで形成さ
れる長径とを持つ略楕円状の横断面形状を有する。この
楕円状の横断面形状は、短径が長径の１／２以下の扁平
状であることが好ましい。また、長さＬは例えば約３０
μｍ〜５００μｍ程度の長さに形成するのが好ましい。
なお、このような発色繊維チップ２０は、図５に示すよ
うな楕円状の断面形状に限らず、これらの繊維層２８と
透明樹脂３０との大きな屈折率差を利用した干渉色を発
色させることができるものであれば、円形状あるいは六
角形状等の適宜の多角形形状であってもよい。いずれの
場合であっても、繊維層２８が透明樹脂層３０で覆われ
ているため、発色繊維チップ２０のそれぞれは、その周
縁部が透明感のある短繊維状の淡い発色状態を醸し出
し、全体的にぼかしを施した状態の形態となる。

【００１３】このような発色繊維チップ２０は、所要の
塗料に混合し、例えば吹付け等の適宜の手段により、管
状体本体１２の所要部位に塗布する。発色繊維チップ２
０の粒子サイズが大きいため、少ない量で所要の装飾効
果を得ることができる。また、様々に着色した発色繊維
チップ２０を種々の比率で混合することも可能であり、
この場合には、様々な色彩が混在した複合的あるいは華
麗な装飾層１６を形成する。この装飾層１６の厚さを、
種々の扁平状形状の発色繊維チップ２０のうちの、最も
大きいものの幅Ｂよりも薄く形成する場合には、発色繊
維チップ２０の量を少なくすることができると共に、こ
れらの発色繊維チップ２０を目立たせ、かつ、引立たせ
た装飾層１６を形成することができる。このような装飾
層１６の厚さは、塗膜重量、この塗膜を形成する素材に
対する塗膜の追従性等を考慮すると、例えば１５〜５０
μｍの範囲であるのが好ましく、例えば２５μｍ程度に
形成することが更に好ましい。

【００１４】特に、このように装飾層１６の厚さを発色
繊維チップ２０のうちの最大の幅よりも薄く形成するこ
とにより、各発色繊維チップ２０の姿勢を、その幅Ｂの
延在方向が管状体本体１２の表面にほぼ沿う状態にほぼ
揃えて配置することができる。装飾層１６の厚さよりも
発色繊維チップ２０の最大の幅Ｂの方が大きい場合に
は、発色繊維チップ２０の外縁部の一部が装飾層１６か
ら突出することもある。この場合には、装飾層１６を覆
う保護層１８により、発色繊維チップ２０が保護され
る。このため、保護層１８は、例えばアクリルウレタン
樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂あ
るいはアクリルシリコーン樹脂等の好適な材料により、
塗膜重量、この塗膜を形成する素材に対する塗膜の追従
性等を考慮すると、ほぼ５〜３０μｍの範囲であるのが
好ましく、例えば１５μｍ程度の厚さに形成することが
更に好ましい。また、透明性の高い塗料を例えば２０〜
３０μｍの厚さで塗ることにより、レンズ効果を生じさ
せ、これにより、ハイライト部とその他の部分との明る
さに差を生じさせ、より深みがあり、より光輝性あるい
はきらめきを強調した外観を呈する。

【００１５】このような管状体１０によると、装飾層１
６に、合成樹脂製の多層構造発色繊維チップ２０が混合
されていることにより、透明性保護層１８を通じて発色
繊維チップ２０のきらめきによる光輝感を醸し出す優れ
た外観が形成される。また、発色繊維チップ２０が多層
構造の合成樹脂製であるため、この発色繊維チップ２０
内の各層の積層方向が異なることにより干渉光も変化
し、この管状体１０を見る位置あるいは方向によって色
が次第に複合的に変化する極めて独特の美しい外観を形
成することもできる。更に、装飾層１６内の発色繊維チ
ップ２０が合成樹脂で形成されているため、密着性に優
れると共に、金属粒子を混合した場合よりも軽量化する
ことができ、管状体１０の全体の軽量化が図られる。仮
に、発色繊維チップ２０が外部に露出しても、腐食する
ことはない。

【００１６】この装飾層１６中に含ませる発色繊維チッ
プ２０は、コスト、外観、塗装の作業性、発色繊維チッ
プ同士の重なり等を考慮し、塗料中に例えば５〜２０重
量％程度含ませることが望ましい。また、管状体１０の
外径に応じて発色繊維チップ２０の配合量および発色繊
維チップ２０のサイズを変えることにより、これらの発
色繊維チップ２０が管状体１０の外観に与える効率を変
更することができる。上述の値は、管状体１０の外径が
３〜２５ｍｍ程度の大きさを対象としたものであり、こ
れよりも外径が小さい場合には、発色繊維チップ２０の
配合量を少なくし、発色繊維チップ２０のサイズも小さ
く形成する方が好ましい。

【００１７】また、発色繊維チップ２０の横断面におけ
る短径方向寸法を長径方向寸法の１／２以下の扁平状構
造とすることにより、装飾層１６の厚さを薄くし、長径
側を管状体本体１２の外表面に沿わせて配置させること
が可能となる。これにより、管状体１０の外部から見え
る発色の幅あるいは長さを大きくさせて発色面積を増大
させ、装飾層１６を形成する塗料に対する発色繊維チッ
プ２０の少ない混合量でも、これらの発色繊維チップ２
０の干渉色を引き立たせた外観を形成することができ
る。

【００１８】更に、管状体１０の装飾層１６は、それぞ
れの発色繊維チップ２０が、干渉光を形成する発色部を
透明樹脂層３０内に配置させ、装飾層１６内で占める位
置に応じて色彩と濃度との少なくとも一方を変化させる
ため、装飾層１６内で境界がぼかされた状態で複雑な干
渉光色を発色させ、この管状体１０を見る位置あるいは
方向によってこの色が次第に複合的に変化する極めて独
特の美しい外観を形成する。

【００１９】そして、発色繊維チップ２０が装飾層１６
の厚さよりも大きな最大幅Ｂを有する場合、すなわち多
数の発色繊維チップ２０のうちの幅Ｂの寸法が最も大き
なものよりも装飾層１６の厚さの方が厚い場合には、発
色繊維チップ２０の量が少なくてもこれらの発色繊維チ
ップ２０を装飾層１６の外周面の近部で目立たせあるい
は引立たせた装飾層１６を形成することができる。この
ように装飾層１６が薄く形成される場合には、装飾層１
６したがって管状体１０の全体が軽量化される。そし
て、このように寸法の大きな発色繊維チップ２０を含ん
でも、この発色繊維チップ２０自体がしなやかなもので
あるため、管状体１０に馴染み、薄膜構造に形成するこ
とができる。

【００２０】なお、仮に発色繊維チップ２０が装飾層１
６から突出する状態であっても、これらの発色繊維チッ
プ２０が合成樹脂で形成されているため、金属顔料を用
いた場合のような腐食の虞はなく、したがって、保護層
１８を薄くし、あるいは、省略することも可能である。
この場合には、管状体１０の軽量化が更に促進される。
また、上述のような装飾層１６は、一層に限らず複数の
層を積層して形成してもよく、この場合には、各装飾層
１６内の発色繊維チップ２０の材質および寸法等の特質
を適宜に選定することが可能である。

【００２１】また、発色繊維チップ２０は、上述の実施
形態におけるように合成樹脂で形成することに代え、金
属酸化物で形成することも可能であり、更に、合成樹脂
製あるいは金属酸化物製の発色繊維チップ２０の外側に
透光性を有する金属被膜を形成することも可能である。
また、発色繊維チップ２０の繊維層２８についても、上
述のような合成樹脂に限らず、金属酸化物で形成するこ
とも可能である。

【００２２】上述の管状体１０は、釣竿に限らず、例え
ばゴルフクラブのシャフト、テニスラケット等のスポー
ツ用品にも適用可能である。

【００２３】

【発明の効果】以上明らかなように、本発明の管状体に
よると、管状体を見る角度と光を照射する角度とによっ
て色相と彩度と明度との少なくとも１つが変化して見
え、しかも、発色繊維チップの深みのある、鮮やかな色
により、変化に富んだ複合的な外観を形成する。

【００２４】また、発色繊維チップを扁平状にすること
で、発色繊維チップを使用する割には装飾層の厚さを薄
くでき、軽量化が図れると共に、密着性耐久性に優れた
装飾層を有する管状体にできる。

【００２５】また、装飾層の厚さより大きな最大幅を有
する発色繊維チップにより、装飾層の外観を目立たせる
ことができ、優れた外観の管状体にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の好ましい実施形態による管状体の概略
図。

【図２】図１に示す管状体の壁部構造を示す拡大断面
図。

【図３】図１の管状体外周面に形成した模様層中の発色
繊維チップを含む部分を拡大して示す説明図。

【図４】発色繊維チップの表面に表れる色の濃淡の分布
を示す拡大図。

【図５】発色繊維チップの構造を例示する拡大図。

【符号の説明】

１０…管状体、１２…管状体本体、１４…装飾層、２０
…発色繊維チップ。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレ
グを巻回形成した管状体本体と、この管状体本体の外側
に形成され、多層構造発色繊維チップを混合した装飾層
とを備えることを特徴とする管状体。
【請求項２】前記発色繊維チップは、横断面における
短径方向寸法を長径方向寸法の１／２以下とした扁平状
構造を有する請求項１に記載の管状体。
【請求項３】前記発色繊維チップは、装飾層の厚さよ
りも大きな最大幅を有することを特徴とする請求項１又
は２に記載の管状体。