JP2002212787A - 高耐食性Al合金部材およびその製法 - Google Patents
高耐食性Al合金部材およびその製法Info
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Abstract
気、あるいは常温の塩酸や臭素酸の如く、水や湿気を含
む腐食性ガス雰囲気下においても優れた耐食性を示すA
l合金部材を提供すると共に、その様な高耐食性Al合
金を効率よく製造することのできる方法を提供するこ
と。 【解決手段】 ポーラス層を有する陽極酸化皮膜が形成
されたAl合金部材であって、前記ポーラス層は、表面
に開口した多数の細孔を有し、該細孔は、基材側底部の
内径が10nm以上で、底部から連なる孔径10nm以
上の部分が長さ方向に0.5μm以上連続しており、且
つ、該細孔の50%以上が、5原子%以上のSiを含む
Si−O結合を有するSi含有化合物で充填されている
ところに要旨を有する。
Description
クロデバイス製造装置、あるいは塩素や臭素の如きハロ
ゲン系ガスやそのプラズマを用いる反応容器または装
置、もしくはそれら設備の周辺部材などとして使用され
る、含水雰囲気下または乾燥ガス雰囲気下の耐ガス腐食
性に優れたAl合金部材とその製法に関するものであ
る。
ンバ内に配置される部品としては、従来より主としてア
ルミニウム合金が用いられている。そしてこれらの部材
は、ハロゲン系の腐食性ガス環境で使用されることがあ
り、それら腐食性ガスによる腐食によって生成する塩化
物や臭化物などが、半導体製造設備の汚染源になること
が懸念される。そこで、これらの用途に適用されるアル
ミニウム合金部材には、上記腐食性ガス中での耐食性や
耐プラズマ性を向上させるため陽極酸化処理が行われて
いる(特公平5−53870号公報など)。
のハロゲンガスを含む腐食性ガス中での耐食性は必ずし
も十分でなく、また設備内に汚染物質を洗浄する際に、
系内に残留したガス成分と水から高腐食性の塩酸や臭素
酸が生成するので、陽極酸化処理を施した部材であって
も腐食が問題になることも多い。特に高温条件下で使用
される部材については、使用時の温度変化によって生じ
る熱歪みの影響で陽極酸化層にクラックが発生し易いた
め、これによる耐食性低下も懸念される。
食層の耐食性向上手段として、陽極酸化膜にアルコキシ
シラン等を含む溶液を塗布し、陽極酸化膜中の微細孔を
SiO2で充填する方法が提案されている(特開平6−
316787号公報)。しかし該公報に記載の方法で
は、SiO2の充填量が少ないため腐食性ガスに対する
遮断効果が十分とはいえず、半導体製造装置などの用途
に適用する上では、必ずしも満足のいく耐食性改善効果
は得られない。
情に着目してなされたものであって、その目的は、特に
塩素系ガスや臭素系ガスの如きハロゲン系の腐食性ガス
雰囲気、あるいは常温の塩酸や臭素酸の如く、水や湿気
を含む腐食性ガス雰囲気下においても優れた耐食性を示
すAl合金部材を提供すると共に、その様な高耐食性A
l合金を効率よく製造することのできる方法を提供する
ことにある。
発明に係るAl合金部材とは、ポーラス層を有する陽極
酸化皮膜が形成されたAl合金部材であって、前記ポー
ラス層は、表面に開口した多数の細孔を有し、該細孔
は、基材側底部の内径が10nm以上で、底部から連な
る孔径10nm以上の部分が長さ方向に0.5μm以上
連続しており、且つ、該細孔の50%以上が、5原子%
以上のSiを含むSi−O結合を有するSi含有化合物
で充填されているところに要旨を有している。
気下や乾燥ガス雰囲気下で優れた耐腐食ガス性を発揮す
る。
のクラックが形成されると共に、該クラック内がSi−
O結合を有するSi含有化合物で充填されているもの
も、優れた耐食性を示すものとして推奨される。従って
本発明の耐食性Al合金部材は、特に塩素系ガスおよび
/または臭素系ガス存在下での各種工程、水洗工程を含
む半導体製造プロセスで使用することにより、その優れ
た特性を極めて有効に生かすことができる。
示すAl合金部材を効率よく製造する方法として位置付
けられるもので、Al合金基材を、蓚酸を含む酸性水溶
液中において50〜110Vの電解電圧で陽極酸化処理
し、該処理により形成された陽極酸化皮膜に、Si−O
結合を有するSi含有化合物を含む有機溶剤溶液を供給
した後、前記有機溶剤を乾燥除去し、次いで100℃以
上で焼成するところに要旨を有している。この際、上記
陽極酸化処理後のAl合金基材を前記焼成温度以上の温
度に予備加熱しておき、これに前記有機溶剤溶液を供給
する方法を採用すれば、前記細孔、あるいは更に前記ク
ラック内へのSi含有化合物の充填を効率よく行なうこ
とができ、より短時間の処理でより高レベルの耐食性を
付与できるので好ましい。
の下で、Al合金部材の耐食性改善策についてかねてよ
り研究を進めており、その成果の一環として、陽極酸化
処理時の電解電圧や陽極酸化皮膜の形態を制御すること
により、ハロゲン系ガス中で優れた耐食性を示す皮膜を
形成する技術を開発し、先に幾つかの発明を提案してい
る(特許第2943634号、特開平8−144089
号、同8−193295号、および同8−260196
号など)。
径を大きくし、腐食性ガスと反応する実質的な表面積を
小さくすると共に、ポーラス層とAl合金基材との間に
介在するバリア層(細孔が存在しない層)を厚く形成す
ることによってAl合金基材との接触を遮断し、耐食性
の向上を図るもので、これらの陽極酸化皮膜は高温の腐
食性ガス中で使用される場合にも優れた耐食性を示す。
これらの発明に対し本発明は、高温もしくは乾燥状態の
腐食性ガス雰囲気はもとより、例えば、水溶液中あるい
多湿下の腐食性ガス雰囲気下(特に塩素系あるいは臭素
系水溶液)においても、優れた耐食性を発揮し得る様な
Al合金部材の提供を企画するものである。
は不動態皮膜であって、上記腐食性のガスや水溶液中で
もほとんど腐食しないと考えられている。従って前述し
た水溶液中もしくは湿潤雰囲気下での腐食は、陽極酸化
皮膜に存在する細孔から腐食性の水溶液が侵入し金属A
1と反応することにより進行するためと考えられる。
食性ガスやこれが溶解した水溶液に対して耐食性を示す
Si−O結合を有するSi含有化合物で充填すれば、耐
食性は更に高められると考えた。
される耐食性向上効果は、ポーラス層を有する陽極酸化
皮膜であれば全て有効に発揮されると考えられる。しか
し本発明では、こうした耐ガス腐食性に加えて、耐水溶
液腐食性をも兼備させることを目的としているので、本
発明における前記陽極酸化皮膜も、当然に耐ガス腐食性
に優れたものでなければならない。陽極酸化皮膜の構造
については限定されないが、該皮膜自体が優れた耐食性
を有するものが望ましく、その様な皮膜としてはポーラ
ス層の表面側の細孔径よりも基材側の細孔径が広い構造
を有しているものが好ましく、特に耐ガス腐食性と耐プ
ラズマ性が要求される環境下で使用する場合、陽極酸化
皮膜中に存在する該細孔は、その基材側底部の内径が大
きいものであることが推奨される。
ラズマ/ガス成分の皮膜内部への侵入が起こりにくく、
またポーラス層表面の均一性が向上するためプラズマの
局部集中を抑制できると共に、基材側の細孔径を大きく
することによって腐食性ガスとの実質的な反応可能表面
積が減少する。また基材側の細孔径を大きくすることに
よってバリア層を厚く形成できるため、腐食性ガスに対
して高い遮断効果を発揮することができる。従って細孔
の基材側底部の内径が相対的に小さいものでは、バリア
層が厚く形成できず、時間の経過に伴って徐々にバリア
層を侵入してくる腐食性ガスに対して十分な遮断効果を
発揮することができなくなり、満足のいく耐ガス腐食性
を保障できなくなることがある。しかも、基材側底部の
細孔径が小さい場合は、細孔の基材に近接した部位をS
i含有化合物で充填することが困難になり、本発明で意
図する「基材底部側細孔の充填による水性腐食液のバリ
ア効果」が有効に発揮されなくなる。
わらず、基材側底部の細孔径で10nm以上を確保する
と共に、該細孔底部へのSi含有化合物の充填によって
水性腐食液に対する十分な遮蔽作用を発揮させるため、
該基材側底部から連続して少なくとも0.5μm以上の
膜厚さ領域が、10nm以上の細孔径を有していること
が必要となる。
側の細孔径は基材側とほぼ同じであるが、特開平8−1
93295号公報においては、耐プラズマ性を発揮させ
るため意図的に表面側の細孔径を基材側よりも小さくし
ている。このような細孔構造では、表面側で細孔径が1
0nm未満であっても基材側の細孔径が10nm以上で
あれば、該基材側底部の細孔部にSi含有化合物を充填
することによって、前記水性腐食液に対して十分なバリ
ア作用を与えることが可能となる。こうしたバリア作用
をより有効に発揮させる上でより好ましい基材側底部の
細孔径は50n以上で、その長さ(深さ)領域は2μm
以上50μm以下である。
格別の制限はないが、細孔径を大きくするには処理電圧
を大きくしなければならず、又ある電圧以上ではバリア
層が破壊されやすく陽極酸化皮膜がそれ以上に成長しに
くくなる。従って、陽極酸化処理、即ちポーラス層の形
成作業を含めた実用性を考慮し、更には該ポーラス層へ
のSi含有化合物の充填性や充填効率を考えると、該細
孔径は100nm程度以下、より好ましくは80nm程
度以下が望ましい。
向上効果を得るには、該細孔内に充填されるSi含有化
合物はSi含量が5原子%(at%)以上で、分子中に
Si−O結合を有するものであり、更にその充填量も細
孔容積の50%以上を占める様に充填されていることが
必要となる。
at%未満では、十分な充填量を与えたとしても満足の
いくバリア性が得られ難くなり、またSi含有化合物の
細孔内充填率が50%未満でも、同様に満足のいくバリ
ア性が得られない。水性腐食液に対してより高レベルの
バリア性を確保する上でより好ましい細孔充填物中のS
i含有量は10at%以上、更に好ましくは20at%
以上であり、該Si含有化合物のより好ましい細孔内充
填率は80%以上、更に好ましくは100%(完全充填
状態)である。なお、細孔内充填物がSiO2である場
合、Si含有量の好ましい上限は33at%である。
ーラス層の細孔がSi含有化合物で充填されている状
態、および充填物の組成は、Si充填処理を終えた陽極
酸化層の断面を例えばTEM観察(日立製作所「HF−
2000」)することによって容易に確認できる。
Si成分は主として酸化物状態であるが、有機物を原料
とした処理の後にメチル基などとして化合物中にCが含
まれていることで柔軟性がありクラック等による耐食性
劣化が起こり難くなるものと推定される。しかし、TE
MやSEMを用いた微量Cの分析は困難であり、Si含
有化合物中のC含有量の確認はできなかった。また、ポ
ーラス皮膜全体に対してその有機成分の割合は少ないた
め、赤外分光(IR)等の方法で細孔内の充填物の有機
成分の構造を確認することもできなかった。
態を実現する方法としては、Si−O結合を含む化合物
を溶解した有機溶剤溶液を刷毛や布を用いて塗布した
後、100℃以上で焼成する方法が例示される。あるい
は、対象とする部材の形状に応じて塗布に変えて前記溶
液中に浸漬した後に引き上げ、100℃以上で焼成する
方法も適用できる。Si−O結合を有する化合物は、モ
ノマー、オリゴマー、ポリマーいずれの形態であっても
よく、側鎖にメチル基やフェニル基等の官能基を有する
オルガノポリシロキサンやオルガノシルセスキオキサン
(例えば、フェニルシルセスキオキサンなど)、シラノ
ール等を用いれば良く、これらの化合物を溶媒に溶か
し、陽極酸化皮膜に塗布もしくは含浸させた後、焼成し
てSi−O含有化合物とすればよい。このSi−O含有
化合物の充填には、電子工業の分野でSOG(Spin on
Glass)や塗布ガラスと呼ばれている技術を用いるこ
とができる。また、上記Si−O結合を有する化合物を
溶かす溶媒としては、トルエン、エタノール、イソプロ
パノール、ブタノール、メチルイソブチルケトン(MI
BK)、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の有機溶
媒を用いれば良い。焼成温度条件は少なくとも100℃
以上であり、且つ使用時の最高温度より高いことが望ま
しい。
ウム部材を高温条件下で使用すると、陽極酸化皮膜にク
ラックが発生し耐食性劣化の原因になる恐れがある。そ
こで、上記Si含有化合物充填処理前に、該部材を最高
使用温度以上、即ち、該部材が使用される温度条件以上
の温度に加熱し、事前に陽極酸化皮膜にクラックを生成
させ、上記細孔と共に該クラックにSi含有化合物を充
填すれば、使用時における新たなクラックの発生が低減
され、より安定した性能が得られる。
た多数のクラックの50%以上において、Si含有量が
10原子%以上であるSi含有化合物がクラック容積の
1%以上充填されていることが好ましい。この際の充填
方法は特に限定されず、上記充填方法を用いれば良い。
膜構造を適宜調整し、例えば細孔をSi含有化合物で充
填し、更に陽極酸化皮膜の最表面にSi含有化合物の膜
が形成される様にしてもよい。この様な状態では最表面
に存在するSi含有化合物によって耐食性向上効果が付
加され、特にプラズマに曝されない部位では塩素系のガ
スや水溶液中での耐食性を更に向上することが出来るの
で望ましい。この際の充填方法は特に限定されず、上記
充填方法を用いればよく、塗布量や基材引上げ速度を調
節して充填必要量以上のSi含有化合物を供給すれば際
表面にSi化合物の膜を形成させることができる。ある
いは該溶液の塗布と焼成を繰返すことによってSi化合
物の供給量を調整する方法でもよい。
酸化皮膜は上記所定の構造を有していればよく、陽極酸
化皮膜の形成方法は特に限定されない。例えばシュウ酸
を含有する酸性水溶液を電解液として用い、Al合金を
50〜110Vから選択される定電圧で陽極酸化処理す
ることによって、少なくとも10nmの細孔径と所定の
膜厚さを有する陽極酸化皮膜を形成することができる。
処理電圧が50V未満では細孔径が小さくなりすぎて十
分にSi含有化合物を充填できなくなる恐れがある。好
ましい下限は70Vである。一方、処理電圧が大き過ぎ
ると処理の均一性や皮膜の耐食性も低下することがある
ので、上限は110Vが好ましく、より好ましくは90
Vである。尚、陽極酸化処理時間は特に限定されず、所
望の膜厚が得られる様に適宜設定すればよい。
ためには多孔質構造が望ましく、0.5μm以上とする
ことが好ましいが、厚過ぎるとクラックが発生し易くな
るので、70μm以下とすることが好ましい。
れる環境下で使用する場合は、表面側の細孔径が小さ
く、Al合金基板側の細孔径が大きい陽極酸化皮膜を有
するAl合金部材にSi含有化合物充填処理を行なって
も良い。例えば特開平8−193295号などに記載さ
れている様に陽極酸化処理時の電解電圧を制御すること
によって陽極酸化皮膜のポーラス層における基材側の細
孔径の大きい形状とすることができるので、処理電圧を
初期電圧より終期電圧を高くして陽極酸化皮膜を形成す
ることが好ましい。好ましい初期電圧は50V以下、よ
り好ましくは30V以下であって、好ましい終期電圧は
50V以上、より好ましくは70V以上、好ましくは1
10V以下、より好ましくは90V以下である。初期電
圧から終期電圧にかけては連続的、および/または非連
続的に電圧を変化させてもよく、また該電圧を維持する
時間的な要素も特に限定されず、上記所定の細孔径が得
られる範囲で適宜調整することができる。陽極酸化処理
時間についても特に限定されず、所望の膜厚が出来る様
に処理時間を調節すればよい。
材側の細孔径(内径)が少なくとも10nmを有し、か
つ該内径を有する基材側細孔径が膜厚さ方向に少なくと
も0.5μm連続する構造を得るために必要な電圧を意
味する。従って該内径(10nm以上)が該膜厚(5μ
m以上)となるまで終期電圧を50〜110Vの範囲内
で維持することが推奨される。
外にもりん酸系の水溶液を用いてもよく、該水溶液中で
処理した陽極酸化皮膜も多孔質であることから同様の耐
食性改善効果が得られるので好ましい。
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
「A6061」を用いた。電解液は蓚酸浴(No.1〜
8、No.11〜14)、蓚酸−硫酸混合浴(No.1
0)、またはりん酸浴(No.9)を用いた(何れも浴
温20℃)。表1記載の電圧電解で陽極酸化処理を施
し、陽極酸化皮膜(膜厚0.1〜50μm)を形成した
(尚、No.5、No.6を除いては基材側と表面側の
細孔径は同一である)。No.1〜10(本発明例)
は、陽極酸化処理後のAl基板をSi−O結合およびC
H3基、C6H5基を有するラダー型シリコーンオリゴマ
ーをメチルイソブチルケトンに20質量%溶解した液に
浸漬してから引き上げ、その後所定の温度(表1記載)
で30分間焼成してSi含有化合物を陽極酸化皮膜の細
孔に充填した。充填率及びSi含有量は表1に示す通り
である。
電圧15V、終期電圧80V)することによって、陽極
酸化を表面側と基板側で細孔径の異なる2層構造(表面
側5μm、基材側50μm)とした。またNo.6は処
理電圧を制御(初期電圧40V、終期電圧80V)する
ことによって、陽極酸化を表面側と基板側で細孔径の異
なる2層構造(表面側20μm、基材側50μm)とし
た。No.11は陽極酸化まま、No.12、No.1
3は陽極酸化の膜厚を0.1μmとしてNo.1と同様
の処理をしたもの、No.14は珪酸エチルをSiO2
換算で1%、塩酸を0.05%、水を1%添加したエチ
ルアルコールに溶解した溶液に浸漬した後、130℃で
1時間乾燥(SiO2充填処理)したものである。
法によって陽極酸化層の薄膜断面を作製し、エネルギー
分散型X線検出器を備えた透過電子顕微鏡(TEM)観
察によって測定した。測定は、60,000倍で1μm
角を5視野観察し、その平均値をとった。2層構造のも
のは基材側を測定した。耐食性は、実使用環境の温度変
化−洗浄時の酸生成を模擬し、300℃×30分で加熱
した後、7%塩酸水溶液浸漬での水素発生時間で評価し
た。
示し、例えば本発明例であるNo.1は同じ陽極酸化条
件の比較例No.11に比べて500倍以上の耐食性を
示すことが確認できる。比較例No.12は、膜厚が薄
いため明確なポーラス層が特定できず、充填率などは測
定できなかったが、本発明の要件とする構造ではなく耐
食性は不十分であった。比較例No.13ではSiO充
填率が小さく耐食性が不十分であった。
状況を模擬して、400℃×1時間の加熱後に塩酸中で
耐食性を評価した結果である。Si含有量が細孔に充填
された量を測定した結果である。(尚、クラック中に
は、Si含有量が同じで充填率は同程度以下含有されて
いる。)No.1は、事前に加熱してクラックを生成さ
せてSiO含浸処理を行い、クラックと細孔を同時に充
填したものである。No.2は含浸前の加熱を行なわ
ず、細孔にSiO含浸処理を施したものである。No.
3は陽極酸化処理のみを施したものである。
示しており、またNo.2は耐食性向上効果が認められ
るものの、No.1よりも劣る。尚、No.3は耐食性
が不十分である。
合金部材は高温の塩素や臭素の如きハロゲン系の腐食性
ガス雰囲気下、あるいは常温の塩酸や臭素酸の如く、水
や湿気を含む腐食性ガス雰囲気下、特に含水雰囲気下に
おいても優れた耐食性を示すと共に、本発明によってそ
の様な高耐食性Al合金を効率よく製造することが可能
となった。本発明に係るAl合金部材の好適な用途であ
る半導体製造装置の部材の寿命を著しく向上させること
ができる。また塩素系ガスあるいは臭素系ガスを使用す
る工程や該部材が水洗される工程を含む半導体製造プロ
セスに用いることができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 ポーラス層を有する陽極酸化皮膜が形成
されたAl合金部材であって、前記ポーラス層は、表面
に開口した多数の細孔を有し、該細孔は、基材側底部の
内径が10nm以上で、底部から連なる孔径10nm以
上の部分が長さ方向に0.5μm以上連続しており、且
つ、該細孔の50%以上が、5原子%以上のSiを含む
Si−O結合を有するSi含有化合物で充填されている
ことを特徴とする耐腐食ガス性に優れた高耐食性Al合
金部材。 - 【請求項2】 含水雰囲気下または乾燥ガス雰囲気下の
耐腐食ガス性に優れたものである請求項1に記載の高耐
食性Al合金部材。 - 【請求項3】 前記ポーラス層に多数のクラックが形成
されると共に、該クラック内がSi−O結合を有するS
i含有化合物で充填されている請求項1または2に記載
のAl合金部材。 - 【請求項4】 塩素系ガスおよび/または臭素系ガス存
在下での各種工程、水洗工程を含む半導体製造プロセス
で使用されるものである請求項1〜3のいずれかに記載
のAl合金部材。 - 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載のAl合
金部材を製造する方法であって、Al合金基材を、蓚酸
を含む酸性水溶液中において50〜110Vの電解電圧
で陽極酸化処理し、該処理により形成された陽極酸化皮
膜に、Si−O結合を有する化合物を含む有機溶剤溶液
を供給した後、前記有機溶剤を乾燥除去し、次いで10
0℃以上で焼成することを特徴とする耐ガス腐食性に優
れたAl合金部材の製法。 - 【請求項6】 陽極酸化処理後のAl合金基材を前記焼
成温度以上の温度に予備加熱しておき、これに前記有機
溶剤溶液を供給する請求項5に記載の製法。
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