JP2005298945A - 耐食表面処理品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い耐食性能を有しかつ温度変化にさらされても耐食性能が低下しにくい耐食表面処理品及びこの耐食表面処理品の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 アルミニウムやアルミニウム基合金等からなるワーク2の表面2aに陽極酸化処理によって耐食性被膜(酸化被膜)3が形成された耐食表面処理品1を、耐食性被膜3の表面Fに形成された微小な凹部D内に、パーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分4が充填されて、この凹部Dが封止された構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 アルミニウムやアルミニウム基合金等からなるワーク2の表面2aに陽極酸化処理によって耐食性被膜(酸化被膜)3が形成された耐食表面処理品1を、耐食性被膜3の表面Fに形成された微小な凹部D内に、パーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分4が充填されて、この凹部Dが封止された構成とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、耐食表面処理品とその製造方法に関するものである。
ワークに耐食性をもたせる方法として、ワークに陽極酸化処理やめっき処理等の表面処理を施すことによってワーク表面に耐食性被膜を形成する方法がある。
しかし、耐食性被膜には、微小な空孔あるいは多孔質構造に基づく凹部が形成されていることが多く、耐食性被膜のみによってはワークの確実な保護を行うことは期待できない。
このため、従来は、例えば後記の特許文献1に記載のアルミニウム複合品の表面処理方法のように、ワークに形成された耐食性被膜の表面にさらに保護被膜を形成することによってワークの保護がより確実になるように図っていた。
しかし、耐食性被膜には、微小な空孔あるいは多孔質構造に基づく凹部が形成されていることが多く、耐食性被膜のみによってはワークの確実な保護を行うことは期待できない。
このため、従来は、例えば後記の特許文献1に記載のアルミニウム複合品の表面処理方法のように、ワークに形成された耐食性被膜の表面にさらに保護被膜を形成することによってワークの保護がより確実になるように図っていた。
ここで、ワークには、例えば使用環境の変化に伴って温度変化が生じる。(例えばワークが航空機の機体である場合には、高高度飛行中には−60°C程度の低温に冷却され、熱帯地域での駐機中には50°C程度まで加熱される。しかし、このように耐食性被膜の表面全体を保護被膜によって覆ったワークが温度変化にさらされると、耐食性被膜と保護被膜とにそれぞれ熱膨張率に応じた量の熱変形が生じる。このため、耐食性被膜と保護被膜との間には、熱膨張率の差に由来する応力が生じる。
保護被膜は耐食性被膜全体を覆う単一の膜とされているので、耐食性被膜と保護被膜の各部に生じた応力は他の部分にも伝達される。すなわち、耐食性被膜や保護被膜の各部は、自身に生じた応力以外にも他の部位に生じた応力まで受けるので、温度変化にさらされることによって受ける負荷が大きい。
このため、温度変化量が大きい場合や、温度変化に繰り返しさらされた場合には、耐食性被膜や保護被膜に亀裂等の損傷が生じてしまい、以降のワークの保護が不十分となってしまう場合があった。
保護被膜は耐食性被膜全体を覆う単一の膜とされているので、耐食性被膜と保護被膜の各部に生じた応力は他の部分にも伝達される。すなわち、耐食性被膜や保護被膜の各部は、自身に生じた応力以外にも他の部位に生じた応力まで受けるので、温度変化にさらされることによって受ける負荷が大きい。
このため、温度変化量が大きい場合や、温度変化に繰り返しさらされた場合には、耐食性被膜や保護被膜に亀裂等の損傷が生じてしまい、以降のワークの保護が不十分となってしまう場合があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、高い耐食性能を有しかつ温度変化にさらされても耐食性能が低下しにくい耐食表面処理品及びこの耐食表面処理品の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の耐食表面処理品及び耐食表面処理品の製造方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる耐食表面処理品は、耐食性被膜を有する耐食表面処理品であって、前記耐食性被膜は、該耐食性被膜中に存在する微小な空孔内あるいは多孔質構造に基づく凹部内にポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分が充填されており、かつその表面のうちの少なくとも一部が露出されていることを特徴とする。
すなわち、本発明にかかる耐食表面処理品は、耐食性被膜を有する耐食表面処理品であって、前記耐食性被膜は、該耐食性被膜中に存在する微小な空孔内あるいは多孔質構造に基づく凹部内にポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分が充填されており、かつその表面のうちの少なくとも一部が露出されていることを特徴とする。
このように構成される耐食表面処理品では、耐食性被膜中に存在する微小な空孔内あるいは多孔質構造に基づく凹部内にポリシラザン(例えばパーヒドロポリシラザン(PHPS))由来のケイ素成分、またはポリシラザンの縮合重合体由来のケイ素成分が充填されていて、これによってこの空孔あるいは凹部の封止が行われているので、耐食性被膜による耐食表面処理品本体の保護が確実に行われる。
ここで、ポリシラザンやその縮合重合体は、酸素や水分と反応することで緻密なシリカ層(SiO2層)を形成するものである。このようにして形成されるシリカ層は、耐食性及び機械的強度に優れているので、耐食性被膜中に存在する微小な空孔あるいは多孔質構造に基づく凹部の封止に用いる材料として好適である。
また、ポリシラザンやその縮合重合体は無害な物質であるので、環境に配慮する上でも、耐食性被膜中に存在する微小な空孔あるいは多孔質構造に基づく凹部の封止に用いる材料として好適である。
ここで、ポリシラザンやその縮合重合体は、酸素や水分と反応することで緻密なシリカ層(SiO2層)を形成するものである。このようにして形成されるシリカ層は、耐食性及び機械的強度に優れているので、耐食性被膜中に存在する微小な空孔あるいは多孔質構造に基づく凹部の封止に用いる材料として好適である。
また、ポリシラザンやその縮合重合体は無害な物質であるので、環境に配慮する上でも、耐食性被膜中に存在する微小な空孔あるいは多孔質構造に基づく凹部の封止に用いる材料として好適である。
ここで、空孔内あるいは凹部内に充填されたケイ素成分は、単に耐食性被膜に付着しているだけでなく、空孔内面あるいは凹部内面によって機械的にも保持されている。このため、耐食性被膜に対するケイ素成分の定着性の良し悪しによらず、ケイ素成分の脱落が生じにくいので、耐食表面処理品本体の保護が確実に行われる。
すなわち、ワークに形成される耐食性被膜は、陽極酸化処理によって形成される酸化被膜や、電解めっきによって形成される金属層等によって構成されていてもよい。
すなわち、ワークに形成される耐食性被膜は、陽極酸化処理によって形成される酸化被膜や、電解めっきによって形成される金属層等によって構成されていてもよい。
さらに、この耐食表面処理品では、耐食性被膜の表面のうちの少なくとも一部が露出されているので、温度変化にさらされて耐食性被膜及びケイ素成分の熱変形が生じた場合にもこれらの変形が耐食性被膜の露出部分で逃がされる。このため、この耐食表面処理品では、温度変化にさらされても、耐食性被膜及びケイ素成分の各部には、自身とその周辺に生じる応力のみ作用することとなり、負担が小さいので、温度変化にさらされても耐食性被膜及びケイ素成分に損傷が生じにくく、耐食性能が低下しにくい。
特に、ケイ素成分が耐食性被膜の空孔内あるいは凹部内にのみ存在し、耐食性被膜の表面には存在していない場合には、耐食性被膜及びケイ素成分の各部には、自身に生じる応力のみ作用するので、より負担が小さくて済み、耐食性被膜に損傷が生じにくい。
特に、ケイ素成分が耐食性被膜の空孔内あるいは凹部内にのみ存在し、耐食性被膜の表面には存在していない場合には、耐食性被膜及びケイ素成分の各部には、自身に生じる応力のみ作用するので、より負担が小さくて済み、耐食性被膜に損傷が生じにくい。
本発明にかかる耐食表面処理品の製造方法は、ワークに形成された耐食性被膜の表面に、ポリシラザンまたはその縮合重合体を含むポリシラザン溶液を塗布して、前記耐食性被膜の少なくとも一部表面を露出させた状態にして該耐食性被膜中に存在する微小な空孔内あるいは多孔質構造に基づく凹部内に前記ポリシラザン溶液中のポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分を充填することを特徴とする。
この耐食表面処理品の製造方法では、ワークに形成された耐食性被膜中に存在する微小な空孔内あるいは多孔質構造に基づく凹部内にポリシラザン溶液(例えばパーヒドロポリシラザン溶液)中のポリシラザン(例えばパーヒドロポリシラザン)またはその縮合重合体由来のケイ素成分を充填してこの凹部を封止するので、耐食性被膜の耐食性が十分に確保される。
また、このケイ素成分は、空孔内あるいは凹部内に充填されていて、空孔内面あるいは凹部内面によって機械的にも保持されている。このため、耐食性被膜がケイ素成分の定着性の悪い材質であってもケイ素成分の脱落が生じにくく、耐食表面処理品本体の保護が確実に行われる。
すなわち、ワークに形成される耐食性被膜は、陽極酸化処理によって形成される酸化被膜や、電解めっきによって形成される金属層等によって構成されていてもよい。
また、このケイ素成分は、空孔内あるいは凹部内に充填されていて、空孔内面あるいは凹部内面によって機械的にも保持されている。このため、耐食性被膜がケイ素成分の定着性の悪い材質であってもケイ素成分の脱落が生じにくく、耐食表面処理品本体の保護が確実に行われる。
すなわち、ワークに形成される耐食性被膜は、陽極酸化処理によって形成される酸化被膜や、電解めっきによって形成される金属層等によって構成されていてもよい。
さらに、この耐食表面処理品の製造方法では、耐食性被膜の表面全体をケイ素成分によって覆うのではなく、少なくとも一部表面を露出させるので、この耐食表面処理品の製造方法によって製造される耐食表面処理品では、温度変化にさらされて耐食性被膜及びケイ素成分の熱変形が生じた場合にもこれらの変形が耐食性被膜の露出部分で逃がされることとなり、耐食性被膜及びケイ素成分の各部に生じる応力が小さくて済み、耐食性被膜に損傷が生じにくい。
このように、この耐食表面処理品の製造方法では、耐食性能が高く、かつ温度変化にさらされても耐食性能が低下しにくい耐食表面処理品を製造することができる。
このように、この耐食表面処理品の製造方法では、耐食性能が高く、かつ温度変化にさらされても耐食性能が低下しにくい耐食表面処理品を製造することができる。
本発明にかかる耐食表面処理品の製造方法は、ワークに形成された耐食性被膜の表面に、ポリシラザンまたはその縮合重合体を含むポリシラザン溶液を塗布して前記耐食性被膜中に存在する微小な空孔あるいは多孔質構造に基づく凹部内に前記ポリシラザン溶液中のポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分を充填する塗布工程と、前記表面上の前記ケイ素成分のうちの少なくとも一部を除去して前記表面のうちの少なくとも一部を露出させる除去工程とを有していることを特徴とする。
この耐食表面処理品の製造方法では、塗布工程の後に行われる除去工程で、耐食性被膜の表面上に残っているポリシラザン(例えばパーヒドロポリシラザン)またはその縮合重合体由来のケイ素成分のうちの少なくとも一部を除去して耐食性被膜の表面のうちの少なくとも一部を露出させる。
このため、塗布工程では、耐食性被膜中に存在する微小な空孔内あるいは多孔質構造に基づく凹部内にポリシラザン溶液(例えばパーヒドロポリシラザン溶液)中のポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分が確実に充填されることを重視して適切な塗布方法を採用することができる。例えば、耐食性被膜の表面全体に一旦ケイ素成分の層が形成されるような塗布方法を用いることができるので、本発明の耐食表面処理品を容易かつ確実に製造することができる。
また、この耐食表面処理品の製造方法では、ケイ素成分が耐食性被膜の空孔内あるいは凹部内にのみ存在し、耐食性被膜の表面には存在しない構成の耐食表面処理品を容易に製造することができる。
このため、塗布工程では、耐食性被膜中に存在する微小な空孔内あるいは多孔質構造に基づく凹部内にポリシラザン溶液(例えばパーヒドロポリシラザン溶液)中のポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分が確実に充填されることを重視して適切な塗布方法を採用することができる。例えば、耐食性被膜の表面全体に一旦ケイ素成分の層が形成されるような塗布方法を用いることができるので、本発明の耐食表面処理品を容易かつ確実に製造することができる。
また、この耐食表面処理品の製造方法では、ケイ素成分が耐食性被膜の空孔内あるいは凹部内にのみ存在し、耐食性被膜の表面には存在しない構成の耐食表面処理品を容易に製造することができる。
本発明にかかる耐食表面処理品は、耐食性が高く、かつ温度変化にさらされても耐食性能が低下しにくい。
本発明にかかる耐食表面処理品の製造方法では、耐食性能が高く、かつ温度変化にさらされても耐食性能が低下しにくい耐食表面処理品を製造することができる。
本発明にかかる耐食表面処理品の製造方法では、本発明にかかる耐食表面処理品を容易かつ確実に製造することができる。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態にかかる耐食表面処理品1は、例えばアルミニウムやアルミニウム基合金等からなるワーク2によって構成されている。
このワーク2の表面2aには、陽極酸化処理によって酸化アルミニウム層(アルマイト層)からなる耐食性被膜3が形成されている。
本実施形態にかかる耐食表面処理品1は、例えばアルミニウムやアルミニウム基合金等からなるワーク2によって構成されている。
このワーク2の表面2aには、陽極酸化処理によって酸化アルミニウム層(アルマイト層)からなる耐食性被膜3が形成されている。
この耐食性被膜3は、その形成原理上、表面F全体に微小な凹部(陽極酸化被膜特有の柱状晶的欠陥)D(クラックや空孔等も含む)が多数形成されているが、この凹部D内には、パーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分4が充填されていて、この凹部Dが封止されている。また、このケイ素成分4は、耐食性被膜3の表面Fのうちの少なくとも一部が露出するようにして耐食性被膜3に定着させられている。
本実施形態では、耐食性被膜3に定着させられているケイ素成分4は、緻密なシリカ層を形成しており、優れた耐食性及び機械的強度を有している。
本実施形態では、耐食性被膜3に定着させられているケイ素成分4は、緻密なシリカ層を形成しており、優れた耐食性及び機械的強度を有している。
以下に、このように構成される耐食表面処理品1の製造方法について説明する。
まず、ワーク2の表面2aにおいて耐食性をもたせたい領域に陽極酸化処理を施して、この領域に耐食性被膜3を形成する。
ここで、この陽極酸化処理は、一般的な陽極酸化処理と同じ手法で行うことができる。
まず、ワーク2の表面2aにおいて耐食性をもたせたい領域に陽極酸化処理を施して、この領域に耐食性被膜3を形成する。
ここで、この陽極酸化処理は、一般的な陽極酸化処理と同じ手法で行うことができる。
次に、耐食性被膜3の表面Fに、パーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体を含むパーヒドロポリシラザン溶液を塗布して、表面Fに存在する微小な凹部D内にパーヒドロポリシラザン溶液中のパーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分4を充填する(塗布工程)。
ここで、パーヒドロポリシラザン溶液とは、パーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体(これらの詳細は後述)を、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等の有機溶媒に溶かしたものであって、必要に応じて、水分との反応を促進する触媒が少量添加されている。
このパーヒドロポリシラザン溶液を表面Fに塗布すると、パーヒドロポリシラザン溶液が毛細管現象によって表面Fの微小な凹部D内にしみ込み、これにより、溶液中のケイ素成分4が凹部D内に充填されて、凹部Dの封止が行われる。
このパーヒドロポリシラザン溶液を表面Fに塗布すると、パーヒドロポリシラザン溶液が毛細管現象によって表面Fの微小な凹部D内にしみ込み、これにより、溶液中のケイ素成分4が凹部D内に充填されて、凹部Dの封止が行われる。
この塗布工程では、耐食性被膜3の表面F上にケイ素成分4を残留させていてもよいが、表面F全体がケイ素成分4で覆われないよう、耐食性被膜3の少なくとも一部表面が露出するようにして塗布が行われる。
例えば、パーヒドロポリシラザン溶液のパーヒドロポリシラザン濃度(または縮合重合体濃度)を十分に低くすることで、パーヒドロポリシラザン溶液が凹部D内にしみ込みやすくなり、パーヒドロポリシラザン溶液中のケイ素成分4の大部分が凹部D内に取り込まれるので、耐食性被膜3の表面Fにはケイ素成分4が全く残らないか、または一部のみ残留する。
例えば、パーヒドロポリシラザン溶液のパーヒドロポリシラザン濃度(または縮合重合体濃度)を十分に低くすることで、パーヒドロポリシラザン溶液が凹部D内にしみ込みやすくなり、パーヒドロポリシラザン溶液中のケイ素成分4の大部分が凹部D内に取り込まれるので、耐食性被膜3の表面Fにはケイ素成分4が全く残らないか、または一部のみ残留する。
本実施形態では、5重量%濃度以下のパーヒドロポリシラザン溶液をスプレーによって耐食性被膜3の表面Fに吹付けることによって塗布しており、これによって耐食性被膜3の一部表面を露出させつつ、凹部D内にケイ素成分4を充填している。
また、本実施の形態では、この塗布工程を終えたのちに、耐食性被膜3に供給したパーヒドロポリシラザン溶液中のケイ素成分4を硬化させて緻密なシリカ層とすることで、耐食性被膜3の凹部Dのより確実な封止を図っている(硬化工程)。ここで、前記のようにケイ素成分4は耐食性被膜3の表面F全体を覆っておらず、表面Fの一部は露出されているので、硬化工程を経たのちも、表面Fの一部は露出されたままである。
以下、この硬化工程について詳細に説明する。
まず、パーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体の性質について説明する。
パーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体は、化学式−(SiH2NH)−で表されるユニットを基本ユニットとする高分子であって、O2(酸素分子)やH2O(水分子)と反応してSiO2(二酸化ケイ素)に転化して硬化するものである。このSiO2への転化は常温下でも少しずつ生じるが、加熱したり触媒を添加することによってより高速に転化が行われるとともに、得られるシリカ層も高品質となる。
まず、パーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体の性質について説明する。
パーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体は、化学式−(SiH2NH)−で表されるユニットを基本ユニットとする高分子であって、O2(酸素分子)やH2O(水分子)と反応してSiO2(二酸化ケイ素)に転化して硬化するものである。このSiO2への転化は常温下でも少しずつ生じるが、加熱したり触媒を添加することによってより高速に転化が行われるとともに、得られるシリカ層も高品質となる。
本実施形態では、塗布工程を終えたワーク2を自然乾燥させて溶媒を除去したのち、大気雰囲気下または水蒸気雰囲気下で加熱処理を行ってパーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体の硬化を促進させている。
この熱処理温度は、使用する触媒の種類によって異なる。本実施形態では、触媒としてパラジウム系の触媒を使用しており、この熱処理にあたっては、まず低温で熱処理によって予備硬化を行ったのち、より高温(ただしワーク2の時効温度以下)で熱処理を行ってケイ素成分4を完全に硬化させた。また、この熱処理後は、自然冷却によって常温まで冷却した。
この熱処理温度は、使用する触媒の種類によって異なる。本実施形態では、触媒としてパラジウム系の触媒を使用しており、この熱処理にあたっては、まず低温で熱処理によって予備硬化を行ったのち、より高温(ただしワーク2の時効温度以下)で熱処理を行ってケイ素成分4を完全に硬化させた。また、この熱処理後は、自然冷却によって常温まで冷却した。
このようにして製造される耐食表面処理品1は、上記のように耐食性被膜3の表面Fに存在する微小な凹部D内にパーヒドロポリシラザン由来のケイ素成分4、またはパーヒドロポリシラザンの縮合重合体由来のケイ素成分4が充填されていて、これによってこの凹部Dの封止が行われているので、耐食性被膜3による耐食表面処理品本体の保護が確実に行われる。また、パーヒドロポリシラザンやその縮合重合体は無害な物質であるので、環境に配慮する上でも、耐食性被膜3の凹部Dの封止に用いる材料として好適である。
本実施形態では、耐食表面処理品1に加熱処理を施して凹部D内のパーヒドロポリシラザンやその縮合重合体の反応を促進させて、凹部D内に緻密なシリカ層(SiO2層)を形成している。このようにして形成されるシリカ層は、耐食性及び機械的強度に優れているので、耐食性被膜3の凹部Dの封止に用いる材料として好適である。
また、凹部D内に充填されたケイ素成分4は、単に耐食性被膜3に付着しているだけでなく、凹部Dの内面によって機械的にも保持されているので、ケイ素成分4の脱落が生じにくく、耐食表面処理品1本体の保護が確実に行われる。
また、凹部D内に充填されたケイ素成分4は、単に耐食性被膜3に付着しているだけでなく、凹部Dの内面によって機械的にも保持されているので、ケイ素成分4の脱落が生じにくく、耐食表面処理品1本体の保護が確実に行われる。
さらに、この耐食表面処理品1では、耐食性被膜3の表面Fのうちの少なくとも一部が露出されているので、温度変化にさらされて耐食性被膜3及びケイ素成分4の熱変形が生じた場合にもこれらの変形が耐食性被膜3の露出部分で逃がされる。このため、この耐食表面処理品1では、温度変化にさらされても、耐食性被膜3及びケイ素成分4の各部には、自身とその周辺に生じる応力のみ作用することとなり、負担が小さいので、温度変化にさらされても耐食性被膜3及びケイ素成分4に損傷が生じにくく、耐食性能が低下しにくい。
次に、本発明にかかる耐食表面処理品の耐食性能を検証するために、上記の耐食表面処理品の製造方法によって得た試験片(以下実施例と呼ぶ)について耐食性能試験を行った。以下にこの試験の詳細と試験結果を示す。
実施例は、アルミニウム合金A7075−T6製のプレート(ワーク2)であって、その表面には陽極酸化処理によって厚さ約2μmの耐食性被膜3が形成されている。この耐食性被膜3の表面Fには、上記のパーヒドロポリシラザン溶液を用いた封孔処理が施されている。
以下に、実施例の具体的な製造条件について述べる。
実施例では、耐食性被膜3に塗布するポリシラザン溶液として、常温〜100°C程度の低温でも十分な硬化速度が得られるポリシラザンコーティング液NL110(クラリアントジャパン株式会社製)を用いた。
実施例では、耐食性被膜3に塗布するポリシラザン溶液として、常温〜100°C程度の低温でも十分な硬化速度が得られるポリシラザンコーティング液NL110(クラリアントジャパン株式会社製)を用いた。
塗布工程では、5重量%濃度に調製した上記ポリシラザン溶液を、スプレーによって耐食性被膜3上に吹き付けた。このとき、スプレー範囲が耐食性被膜3の同じ箇所を一回通過するようにして吹き付けを行った。
このようにして吹き付けを行った後、ワーク2を4時間自然乾燥させ、その後、ケイ素成分の焼成を行った(硬化工程)。
硬化工程では、大気雰囲気下で60°Cに加熱した状態で1時間保持することでケイ素成分の予備硬化を行い、さらに大気雰囲気下で80°Cに加熱した状態で5時間保持することで、ケイ素成分を完全に硬化させ、その後は自然冷却によって常温まで冷却した。
硬化工程では、大気雰囲気下で60°Cに加熱した状態で1時間保持することでケイ素成分の予備硬化を行い、さらに大気雰囲気下で80°Cに加熱した状態で5時間保持することで、ケイ素成分を完全に硬化させ、その後は自然冷却によって常温まで冷却した。
このようにして得られた実施例の切断面に対して、EPMA(電子線マイクロアナライザ:Electron Probe X-ray Micro Analyzer)による組成分析を行った。図2に分析結果の模式図を示す。ここで、図2(a)ではAl(アルミニウム)原子の濃度分布を示しており、図2(b)ではO(酸素)原子の濃度分布を示しており、図2(c)ではとSi(ケイ素)原子の濃度分布を示している。また、図2においてハッチングの密度が高い領域は測定対象の原子の濃度(含有率)が高い領域であり、ハッチングの密度が低い領域は測定対象の原子の濃度が低い領域である。
図2(a)から、実施例は全体にAl原子が存在していることが分かる。また、表面近傍の領域では、他の領域に比べてAl原子の濃度が低下していることが分かる。
一方、図2(b)から、表面近傍の領域にはO原子が存在しており、このO原子の存在領域は、図2(a)でAl原子の濃度が低下している領域と一致していることが分かる。
すなわち、実施例の表面近傍領域では、実施例を構成するAl原子が酸化されていて、酸化アルミニウムからなる耐食性被膜3が形成されていることが分かる。
一方、図2(b)から、表面近傍の領域にはO原子が存在しており、このO原子の存在領域は、図2(a)でAl原子の濃度が低下している領域と一致していることが分かる。
すなわち、実施例の表面近傍領域では、実施例を構成するAl原子が酸化されていて、酸化アルミニウムからなる耐食性被膜3が形成されていることが分かる。
さらに、図2(c)から、耐食性被膜3が形成されている領域には、Si原子も存在していることが分かる。一方、耐食性被膜3が形成されている領域以外にはSi原子はほとんど存在していないことが分かる。
これらのことから、実施例では、耐食性被膜3の凹部D内にケイ素成分4が充填されており、また、ケイ素成分4は耐食性被膜3の凹部D内にのみ存在していて、耐食性被膜3の表面F上にはほとんど存在していないことが分かる。
これらのことから、実施例では、耐食性被膜3の凹部D内にケイ素成分4が充填されており、また、ケイ素成分4は耐食性被膜3の凹部D内にのみ存在していて、耐食性被膜3の表面F上にはほとんど存在していないことが分かる。
この実施例の耐食性能試験として、ASTM−B117に基づく塩水噴霧試験を行った。
ここで、この塩水噴霧試験では、比較のために、実施例において上記のパーヒドロポリシラザン溶液を用いた封孔処理を行っていないこと以外は同一の構成とされた試験片を用意し、この試験片についても実施例と同じ条件で耐食性能試験を行った。以下、この比較用の試験片を比較例1とする。
ここで、この塩水噴霧試験では、比較のために、実施例において上記のパーヒドロポリシラザン溶液を用いた封孔処理を行っていないこと以外は同一の構成とされた試験片を用意し、この試験片についても実施例と同じ条件で耐食性能試験を行った。以下、この比較用の試験片を比較例1とする。
この塩水噴霧試験を開始してから144時間経過した時点では、図3に示すように、比較例1はほぼ全面に腐食が生じていた。
一方、実施例にはほとんど腐食が生じておらず、試験開始後から384時間経過した時点においても、図4に示すようにごくわずかな点食が生じているのみであった。
このことから、実施例のように耐食性被膜3の凹部D内にケイ素成分4が充填されていれば、十分な耐食性を得られることが分かる。
一方、実施例にはほとんど腐食が生じておらず、試験開始後から384時間経過した時点においても、図4に示すようにごくわずかな点食が生じているのみであった。
このことから、実施例のように耐食性被膜3の凹部D内にケイ素成分4が充填されていれば、十分な耐食性を得られることが分かる。
ここで、耐食表面処理品1は、耐食性被膜3を形成したのちに、実使用中の環境の変化に伴う温度変化にさらされる。このため、耐食表面処理品1は、このような温度変化にさらされても十分な耐食性を有していることが求められる。
そこで、実施例について、耐食表面処理品自体の基材強度の低下を生じない時効温度まで加熱して再び冷却する加熱試験を行い、このような温度履歴を与えた後も十分な耐食性を有しているかどうか検証した。また、この試験では、比較のために、実施例とは構成の異なる試験片を用意し、この試験片についても実施例と同じ条件で加熱試験を行った。
そこで、実施例について、耐食表面処理品自体の基材強度の低下を生じない時効温度まで加熱して再び冷却する加熱試験を行い、このような温度履歴を与えた後も十分な耐食性を有しているかどうか検証した。また、この試験では、比較のために、実施例とは構成の異なる試験片を用意し、この試験片についても実施例と同じ条件で加熱試験を行った。
この試験片は、実施例の製造工程のうちの塗布工程で、20重量%濃度のパーヒドロポリシラザン溶液を用いて封孔処理を行って、凹部D内だけでなく耐食性被膜3の全面を覆うようにして厚さ数μmのケイ素成分4の膜を形成したこと以外は、実施例と同一の構成とされている。以下、この比較用の試験片を比較例2とする。
ここで、この比較例2についても、EPMAによる組成分析(Si原子の濃度分布の分析)を行った。この結果を図5の模式図に示す。なお、図5においても、ハッチングの密度が高い領域は測定対象の原子の濃度(含有率)が高い領域であり、ハッチングの密度が低い領域は測定対象の原子の濃度が低い領域である。
図5から分かるように、耐食性被膜3が形成されている領域には、Si原子も存在しているが、実施例とは異なり、耐食性被膜3の表面F上にもSi原子が高濃度で存在していることが分かる。すなわち、比較例2では、耐食性被膜3の表面F全体にケイ素成分4の膜が形成されている。
図5から分かるように、耐食性被膜3が形成されている領域には、Si原子も存在しているが、実施例とは異なり、耐食性被膜3の表面F上にもSi原子が高濃度で存在していることが分かる。すなわち、比較例2では、耐食性被膜3の表面F全体にケイ素成分4の膜が形成されている。
この加熱試験では、大気雰囲気下で160°Cに加熱した状態で1時間保持した後、自然冷却させた。
このような加熱と冷却とを行った後に実施例の表面を詳細に観察したところ、耐食性被膜3にはほとんど損傷が生じておらず、加熱試験後も優れた耐食性を維持していることが確認された。
これは、前記のように、実施例では耐食性被膜3の表面Fのうちの少なくとも一部が露出されていて、温度変化にさらされて耐食性被膜3及びケイ素成分4の熱変形が生じた場合にもこれらの変形が耐食性被膜3の露出部分で逃がされることによると思われる。
このような加熱と冷却とを行った後に実施例の表面を詳細に観察したところ、耐食性被膜3にはほとんど損傷が生じておらず、加熱試験後も優れた耐食性を維持していることが確認された。
これは、前記のように、実施例では耐食性被膜3の表面Fのうちの少なくとも一部が露出されていて、温度変化にさらされて耐食性被膜3及びケイ素成分4の熱変形が生じた場合にもこれらの変形が耐食性被膜3の露出部分で逃がされることによると思われる。
一方、比較例2では、図6に示すように、表面のケイ素成分4の膜にクラックが発生していた。このクラックは、熱処理の際に耐食性被膜3とケイ素成分4との熱膨張率の差によって生じた応力によって生じたものと思われる。
このクラックは、ケイ素成分4の下地である耐食性被膜3にまで達しており、このことから、比較例2では、温度履歴により耐食性が低下してしまう可能性があることが分かる。
このクラックは、ケイ素成分4の下地である耐食性被膜3にまで達しており、このことから、比較例2では、温度履歴により耐食性が低下してしまう可能性があることが分かる。
以上のことから、本発明にかかる耐食表面処理品は、従来品に比べて、高い耐食性能を有しかつ温度変化にさらされても耐食性能が低下しにくいことが分かる。
ここで、本実施形態では、本発明を、ワーク2がアルミニウムやアルミニウム基合金等によって構成されている耐食表面処理品1に適用した例を示したが、これに限られることなく、本発明は、ワーク2が他の任意の材質からなる耐食表面処理品1に適用することができる。
例えば、本発明は、ワーク2として、陽極酸化処理を施すことによって耐食性被膜3を形成可能な材料(マグネシウムやマグネシウム基合金等)によって構成されている耐食表面処理品に適用することができる。
例えば、本発明は、ワーク2として、陽極酸化処理を施すことによって耐食性被膜3を形成可能な材料(マグネシウムやマグネシウム基合金等)によって構成されている耐食表面処理品に適用することができる。
また、本発明は、耐食性被膜3が陽極酸化処理以外の方法で形成されている耐食表面処理品に適用してもよい。
例えば、本発明は、電解めっき処理によって得られる金属層や溶射法等によって得られる金属層やセラミックス層等、被膜表面や被膜内部に微小な欠陥や多孔質構造が形成されやすい耐食性被膜3を有する耐食表面処理品に適用することができる。
例えば、本発明は、電解めっき処理によって得られる金属層や溶射法等によって得られる金属層やセラミックス層等、被膜表面や被膜内部に微小な欠陥や多孔質構造が形成されやすい耐食性被膜3を有する耐食表面処理品に適用することができる。
ここで、上記実施の形態では、耐食性被膜3の表面Fに塗布するパーヒドロポリシラザン溶液として低濃度の溶液を用いることによって耐食性被膜3の表面Fのうちの少なくとも一部が露出された耐食表面処理品1を得た例を示したが、これに限られることなく、本発明にかかる耐食表面処理品は、以下に述べる耐食表面処理品の製造方法によって製造することができる。
以下に、本発明にかかる耐食表面処理品の製造方法の他の例を示す。
まず、ワーク2に形成された耐食性被膜3の表面Fに、パーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体を含むパーヒドロポリシラザン溶液を塗布して、表面Fの微小な凹部D内にパーヒドロポリシラザン溶液中のパーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分4を充填する(塗布工程)。このとき、図7に二点鎖線で示すように、ケイ素成分4は耐食性被膜3の表面F上に層を形成していてもよい。
まず、ワーク2に形成された耐食性被膜3の表面Fに、パーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体を含むパーヒドロポリシラザン溶液を塗布して、表面Fの微小な凹部D内にパーヒドロポリシラザン溶液中のパーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分4を充填する(塗布工程)。このとき、図7に二点鎖線で示すように、ケイ素成分4は耐食性被膜3の表面F上に層を形成していてもよい。
次に、表面F上のケイ素成分4のうちの少なくとも一部を除去して、図7に示すように、表面Fのうちの少なくとも一部を露出させる(除去工程)。
ここで、表面F上のケイ素成分4の除去は、例えば表面Fからケイ素成分4を拭き取るなどすることによって行うことができる。なお、図7では、表面F上のケイ素成分4を全て除去した状態を示している。
ここで、表面F上のケイ素成分4の除去は、例えば表面Fからケイ素成分4を拭き取るなどすることによって行うことができる。なお、図7では、表面F上のケイ素成分4を全て除去した状態を示している。
このようにして除去工程を経たのち、上記実施形態と同様にワーク2に熱処理を加えることで、耐食性被膜3の凹部D内及び表面F上に残留しているケイ素成分を硬化させて緻密なシリカ層を得て(硬化工程)、耐食性被膜3の封孔処理が行われた耐食表面処理品11を得る。
この耐食表面処理品の製造方法では、塗布工程の後に行われる除去工程で、耐食性被膜3の表面F上に残っているパーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分4のうちの少なくとも一部を除去して耐食性被膜3の表面Fのうちの少なくとも一部を露出させる。
このため、塗布工程では、耐食性被膜3の表面Fに存在する微小な凹部D内にパーヒドロポリシラザン溶液中のパーヒドロポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分4が確実に充填されることを重視して適切な塗布方法を採用することができる。例えばロールコート法やスリットコート法、スピンコート法、ドクターブレード法等による塗布や、浸漬法(どぶ漬け)、刷毛塗り等、耐食性被膜3の表面全体に一旦ケイ素成分4の層が形成されるような塗布方法を用いることができるので、本発明の耐食表面処理品1を容易かつ確実に製造することができる。
ここで、この耐食表面処理品の製造方法では、パーヒドロポリシラザン溶液は、溶液中のケイ素成分4を耐食性被膜3の凹部3内に浸透させることができる範囲内であれば、塗装方法に応じて適切な濃度のものを選択することができる。
1、11 耐食表面処理品
3 耐食性被膜
4 ケイ素成分
D 凹部
F 表面
3 耐食性被膜
4 ケイ素成分
D 凹部
F 表面
Claims (3)
- 耐食性被膜を有する耐食表面処理品であって、
前記耐食性被膜は、該耐食性被膜中に存在する微小な空孔内あるいは多孔質構造に基づく凹部内にポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分が充填されており、かつその表面のうちの少なくとも一部が露出されていることを特徴とする耐食表面処理品。 - ワークに形成された耐食性被膜の表面に、ポリシラザンまたはその縮合重合体を含むポリシラザン溶液を塗布して、前記耐食性被膜の少なくとも一部表面を露出させた状態にして該耐食性被膜中に存在する微小な空孔内あるいは多孔質構造に基づく凹部内に前記ポリシラザン溶液中のポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分を充填することを特徴とする耐食表面処理品の製造方法。
- ワークに形成された耐食性被膜の表面に、ポリシラザンまたはその縮合重合体を含むポリシラザン溶液を塗布して前記耐食性被膜中に存在する微小な空孔内あるいは多孔質構造に基づく凹部内に前記ポリシラザン溶液中のポリシラザンまたはその縮合重合体由来のケイ素成分を充填する塗布工程と、
前記表面上の前記ケイ素成分のうちの少なくとも一部を除去して前記表面のうちの少なくとも一部を露出させる除去工程とを有していることを特徴とする耐食表面処理品の製造方法。
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-
2004
- 2004-04-15 JP JP2004120018A patent/JP2005298945A/ja active Pending
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