JP2002212416A - ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法

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JP2002212416A JP2001008801A JP2001008801A JP2002212416A JP 2002212416 A JP2002212416 A JP 2002212416A JP 2001008801 A JP2001008801 A JP 2001008801A JP 2001008801 A JP2001008801 A JP 2001008801A JP 2002212416 A JP2002212416 A JP 2002212416A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は,結晶化速度又は固化速度が
改善され、ペレット化時の融着性(ブロッキング性)が
なく、成形・加工性等に優れたポリアミド樹脂組成物と
その簡便な製造方法を提供することである。 【構成】 ポリアミド樹脂と特定のモノアルキルカルボ
ン酸及び又はモノアルキルアミンと特定のアミノカルボ
ン酸、ラクタム及びジアミンと脂肪族、脂環族又は芳香
族ジカルボン酸及びこれらのエステル誘導体からなるポ
リアミド形成モノマーの1種または2種以上とから得ら
れる分子末端をアルキル基で封止され、分子内に3個以
上のアミド結合を有した平均分子量600〜1,800
の結晶性アミド化合物とからなることを特徴とするポリ
アミド樹脂組成物及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶化速度又は固
化速度が改善され、ペレット化時の融着性(ブロッキン
グ性)がなく、成形・加工性等に優れた、ポリアミド樹
脂組成物とその簡便な製造方法を提供することに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ナイロン6やナイロン66に代表
されるポリアミド樹脂は、その優れた性質から、射出成
形品、中空成形品、フィルム、シート、繊維などに加工
され、繊維製品はもとより、自動車部品、電気部品、一
般機械部品、建材部品からホットメルト接着剤、粉体塗
料にいたるまで、様々な分野に用いられている。しかし
ながら、用途によってはこれらのポリアミド樹脂では剛
性、耐熱剛性が不足したり、又、可撓性、耐衝撃性及び
接着性などが満足されない場合がある。可撓性、耐衝撃
性及び接着性を求められる場面では、柔軟性、可撓性に
優れる重合脂肪酸成分を共重合成分として含有するポリ
アミド樹脂が用いられている。
【0003】このような重合脂肪酸成分を構成単位とし
て含有するポリアミド樹脂は、例えば、特公昭45−6
825,特公昭45−9390,特開昭54−711
9,特開昭64−45428,特開平5−320335
号公報など広く知られている。しかし、このような重合
脂肪酸を構成単位として含有させることにより、柔軟
性、可撓性に優れるポリアミド樹脂を提供できる半面、
重合脂肪酸が結晶性を阻害する性質を有するため、ポリ
アミド樹脂の結晶性が低下し、その結晶化速度又は固化
速度が遅くなり、このようなポリアミド樹脂には、ペレ
ット化時の融着性(ブロッキング性)及び接着、塗装時
の施工性、或いは成形・加工時の成形性、特に成形離型
性等に問題があった。
【0004】このようなポリアミド樹脂の成形性、加工
性及び施工性を向上させるには、従来から高級脂肪酸及
びその誘導体や金属塩、高級脂肪族アミンなどの滑剤を
添加配合し、改善が試みられている。
【0005】例えば、成形性を例にとると、滑剤として
モンタン酸エステルに代表される脂肪族カルボン酸誘導
体を用いる方法(特開昭52−42549号公報)、ス
テアリルアミンに代表される脂肪族モノアミンを用いる
方法(特開昭56−67361号公報)等がある。しか
し、これらの滑剤だけを添加配合したものは、主として
成形品と金型の密着性を小さくする役割のみしか果たせ
ず、形状が複雑な成形品に対しての成形サイクルの短縮
及び成形物の剛性、耐熱剛性等を高めるには樹脂自体の
固化速度を速くする必要があるので、十分に満足できる
組成物ではない。
【0006】このようなポリアミド樹脂の成形性、加工
性及び施工性を向上させるには、ポリアミドの結晶化速
度を速め、成形・加工・施工時に微細な結晶を急速に生
成させればよいことが知られている。このため従来から
ポリアミド樹脂の結晶化速度を速めるために、たとえば
タルクなどの無機系の結晶核剤が用いられている。ま
た、有機系の結晶核剤では、特開昭58−160343
や特開平8−59983ではロジン類の金属塩を結晶核
剤として使用することが提案されている。
【0007】しかしながらこのような従来の結晶核剤で
は、結晶化速度の向上効果が必ずしも充分ではなく、添
加量を多くしないと効果が現れず、多量に添加するに伴
い機械的性質が変化し、成形・加工・施工時の流動性が
低下する等必ずしも満足できるものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らが目指す目
的は、ポリアミド樹脂、特に、柔軟性、可撓性に優れる
重合脂肪酸成分を構成単位として含有するポリアミド樹
脂であって、機械的性質及び流動性を低下させることな
く結晶化速度又は固化速度が改善された、そしてペレッ
ト化時の融着性(ブロッキング性)がなく、成形性、加
工性及び施工性に優れたポリアミド樹脂組成物、及びそ
の簡便な製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、特定のポリアミド
樹脂を特定の結晶性アミド化合物で変性することによ
り、上記目的に合致するポリアミド樹脂組成物とその簡
便な製造方法を提供できることを見出し、この発明を完
成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、(a)ポリアミド樹脂に
対して、分子末端を炭素数7〜22の炭化水素基で封止
され、分子内に3個以上のアミド結合を有する、平均分
子量600〜1,800の結晶性アミド化合物(b)を
必須成分として配合することを特徴とするポリアミド樹
脂組成物、及びその製造方法に関する。上記結晶性アミ
ド化合物(b)は、(イ)炭化水素残基を有する炭素数7
〜23のモノカルボン酸及び/又は炭化水素残基を有す
る炭素数7〜22のモノアミンと、(ロ)炭素数6以上の
アミノカルボン酸、炭素数6以上ラクタム、炭素数2か
ら12のジアミン、炭素数6から12の脂肪族、脂環族
又は芳香族ジカルボン酸及びこれらのエステル誘導体か
らなる群から選ばれる1種又は2種以上のポリアミド形
成モノマー又はポリアミド形成可能なモノマーの組、と
を反応させることにより得られる。また、本発明のポリ
アミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(a)100重量
部に対して結晶性アミド化合物(b)0.1〜20重量
部をポリアミド樹脂(a)の重合反応時に配合するとい
う簡便な方法で製造される事を特徴としている。
【0011】以下、本発明のポリアミド樹脂組成物及び
その製造方法について詳細に説明する。
【0012】本発明のポリアミド樹脂(a)には、炭素
数6以上のアミノカルボン酸、炭素数6以上のラクタ
ム、炭素数2から12のジアミン、炭素数6から12の
脂肪族、脂環族又は芳香族ジカルボン酸及びそれらのエ
ステル誘導体、炭素数20〜48の重合脂肪酸及びこれ
らのエステル誘導体からなる群から選ばれる1種又は2
種以上のポリアミド形成モノマー又はポリアミド形成可
能なモノマーの組を反応させることにより得られる、分
子末端基が炭化水素基、カルボキシル基、アミノ基の1
種類又は2種以上のもので反応停止されたポリアミド樹
脂が用いられる。より好ましくは、ポリアミド樹脂
(a)が、炭素数2から12の脂肪族、脂環族又は芳香
族ジアミンから選択される1種又は2種以上のジアミン
と、炭素数6〜12の脂肪族、脂環族又は芳香族ジカル
ボン酸及びそれらのエステル誘導体、及び炭素数20〜
48の重合脂肪酸及びそのエステル誘導体から選択され
る1種又は2種以上のジカルボン酸とから得られるポリ
アミド樹脂であって、少なくとも重合脂肪酸及びそのエ
ステル誘導体からなる成分に由来する単位を、該ポリア
ミド樹脂の成分割合で5重量%以上含有しているポリア
ミド樹脂が用いられる。
【0013】本発明に用いるポリアミド樹脂(a)の具
体的な原料には次の化合物が挙げられる。下記で説明す
るものは、1種又は2種以上の混合物であっても良い。
炭素数6以上のアミノカルボン酸類としては、例えば、
6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−ア
ミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミ
デカン酸等が挙げられる。
【0014】炭素数6以上のラクタム類としては、例え
ば、ω−カプロラクタム、エナントラクタム、カプリル
ラクタム、ラウリルラクタム、ω−ラウロラクタム等が
挙げられる。
【0015】炭素数2から12のジアミン類としては、
例えば、エチレンジアミン、ピペラジン、ヘキサメチレ
ンジアミン、テトラメチレンジアミン、ノナメチレンジ
アミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジ
アミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチル
ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、ビス−
(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシ
リレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の脂環族及
び芳香族ジアミンが挙げられる。
【0016】炭素数6から22の脂肪族、脂環族又は芳
香族ジカルボン酸及びこれらのエステル誘導体として
は、例えば、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、ス
ベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオ
ン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、エイコ
サンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、ジグリコール
酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、キシレンジカ
ルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸及びこれらのエステル誘導体等
が挙げられる。
【0017】炭素数20〜48の重合脂肪酸及びこれら
のエステル誘導体としては、例えば炭素数10〜24の
二重結合又は三重結合を一個以上有する一塩基性脂肪酸
を重合して得た重合脂肪酸が用いられる。具体例として
は、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸等の二量体及び
これらのエステル誘導体が挙げられる。
【0018】市販されている重合脂肪酸は、通常ダイマ
ー酸(二量体化脂肪酸)を主成分とし、他に原料の脂肪
酸や三量体化以上の脂肪酸を含有しており、ホットメル
ト接着剤として用いらる場合には、ダイマー酸(二量体
化脂肪酸)含有量が70%以上のものが好ましく用いら
れている。例えば、プリポール1013,プリポール1
017,プリポール1025(以上ユニケマ社製)、エ
ンポール1062、エンポール1014,エンポール1
018(コグニス社製)等の市販品が好ましい。又、成
形材料として用いる場合には、好ましくはダイマー酸
(二量体化脂肪酸)含有量が93%以上であり、かつ水
素添加して不飽和度を下げたものが望ましい。特に、プ
リポール1009,プリポール1010(以上ユニケマ
社製)やエンポール1010(ヘンケル社製)等の市販
品が好ましい。むろんこれらの混合物及びエステル誘導
体も用いられる。
【0019】本発明に用いられるポリアミド樹脂(a)
の末端は、ポリアミド樹脂の原料に由来するアミノ基及
び/又はカルボキシル基だけではなく、ポリアミド樹脂
末端をヒドロカルビル化しても良い。この末端炭化水素
基は、炭素数6〜22の炭化水素基が好ましく、炭化水
素残基を有する炭素数6〜23のモノカルボン酸及びそ
のエステル誘導体と前記ポリアミド形成モノマーとを重
縮合させることにより得られる。
【0020】前記の炭化水素残基を有するモノカルボン
酸としては、例えば、エナント酸、カプリル酸、カプリ
ン酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリ
デカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等の脂肪族
モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、メチルシ
クロヘキサンカルボン酸等の脂環族モノカルボン酸、安
息香酸、トルイル酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸等
の芳香族モノカルボン酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪
酸、菜種油脂肪酸、これを精製したオレイン酸、リノー
ル酸、エルカ酸及びそのエステル誘導体等が挙げられ
る。これらのモノカルボン酸は、1種又は2種以上を混
合して使用しても良く、その使用量は、本発明の目的を
満たす限り、制約されるものではない。
【0021】次に、結晶性アミド化合物(b)について
説明する。
【0022】この結晶性アミド化合物は、末端を炭素数
7〜22の炭化水素基で封止され、少なくとも分子内に
3個以上のアミド結合を有し、数平均分子量が600〜
1800、好ましくは数平均分子量800〜1200の
ものが用いられる。数平均分子量が600より小さいと
ペレット及び成型品の外観及び機械的強度が低下し、1
800より大きいと目的とする結晶化速度の向上効果が
必ずしも充分ではなく好ましくない。
【0023】この結晶性アミド化合物は、例えば、炭化
水素残基を有する炭素数7〜23のモノカルボン酸及び
/又は炭化水素残基を有するモノアミン2モルと炭素数
6から22の脂肪族、脂環族又は芳香族ジカルボン酸及
びこれらのエステル誘導体1〜4モルと炭素数2から1
2のジアミン類1〜4モルとの縮合反応、または、炭化
水素残基を有する炭素数7〜23のモノカルボン酸1モ
ル及び/又は炭化水素残基を有する炭素数7〜22のモ
ノアミン1モルと炭素数6以上のアミノカルボン酸類及
び又は炭素数6以上のラクタム1〜3モルとの縮合反応
等により容易に得られる。これらの結晶性アミド化合物
は、単独又は2種類以上混合して使用しても良い。
【0024】ここに用いられる炭化水素基は、特に飽和
又は不飽和に制約されるものではないが、炭素数7〜2
2の飽和炭化水素基が好ましい。具体的には、例えばカ
プリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸及びn−オクチル
アミン、n−ドデシルアミン,n−ヘキサデシルアミ
ン、n−オクタデシルアミン等より導入された飽和脂肪
族炭化水素の残基(アルキル基)が挙げられる。特に好
ましくは、炭素数14〜22のアルキル基が良い。ここ
で具体的に挙げた酸又はアミンと同じ役割を果たしうる
誘導体、例えばエステル、酸無水物等も使用することが
できる。
【0025】結晶性アミド化合物(b)のより詳しく
は、分子末端を封止した炭素数7〜22の炭化水素基
が、炭素数7〜22の飽和脂肪族炭化水素基であり、少
なくとも3個以上のアミド結合を介して炭素数6〜22
の飽和脂肪族炭化水素鎖で連結している結晶性アミド化
合物がより好ましく用いられる。
【0026】本発明の結晶化速度又は固化速度が改善さ
れ、ペレット化時の融着性(ブロッキング性)がなく、
成形・加工性等に優れたポリアミド樹脂組成物を得るた
めには、結晶性アミド化合物(b)をポリアミド樹脂
(a)の製造時に添加する方法が好ましい。結晶性アミ
ド化合物(b)の添加は、ポリアミド樹脂(a)のポリ
アミド形成モノマーを緩やかにアミド化させる段階か
ら、減圧下で重縮合を進めるまでの任意の段階で添加す
ることができるが、減圧下で重縮合反応を進め、高重合
度化させる過程で添加するのが特に好ましい。
【0027】ポリアミド樹脂(a)との配合割合は、ポ
リアミド樹脂(a)100重量部に対して結晶性アミド
化合物(b)0.1〜20重量部を配合するのが良い。
好ましくは、0.5〜15重量部、更に好ましくは、1
〜10重量部の範囲とするのが良い。結晶性アミド化合
物(b)の配合量が、0.1重量部より少ないと目的と
する結晶化速度又は固化速度が改善された組成物が得ら
れない。又、配合量が20重量部より多くなると、ポリ
アミド樹脂組成物の機械的性質が低下し好ましくない。
【0028】本発明のポリアミド樹脂組成物の製造時に
おいて、既知のプラスチック成形用滑剤、結晶核剤及び
種々の安定剤等を添加することができる。
【0029】滑剤としては、例えばパラフィンワック
ス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロ
ピレンワックス、エステルワックス、カルナウバワック
ス、マイクロワックスなどのワックス類;ステアリン
酸、1,2−オキシステアリン酸、ラウリン酸、パルミ
チン酸、オレイン酸などの脂肪酸類;ステアリン酸カル
シウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシ
ウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステ
アリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、リノー
ル酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、2−エチルヘキソ
イン酸亜鉛などの脂肪酸塩(金属石鹸類);ステアリン
酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、べへン
酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒ
ドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン
酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレン
ビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミ
ド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピ
ン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミドなどの
脂肪酸アミド類;ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エス
テル;エチレングリコール、ステアリルアルコールなど
のアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ポリテトラメチレングリコールおよび
これら変性物からなるポリエーテル類;ジメチルポリシ
ロキサン、シリコーングリースなどのポリシロキサン
類;フッ素系オイル、フッ素系グリ一ス、含フッ素樹脂
粉末などのフッ素化合物;ならびに窒化ケイ素、炭化ケ
イ素、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化ケイ素、二
硫化モリブデンなどの無機化合物粉体が挙げられる。こ
れらの滑剤は、1種又は2種以上組み合わせてもよい。
【0030】結晶核剤としては、例えば、カーボンブラ
ック、炭酸カルシウム、合成ケイ酸及びケイ酸塩、亜鉛
華、ハイサイトクレー、カオリン、塩基性炭酸マグネシ
ウム、マイカ、タルク、石英粉、ケイ藻土、ドロマイト
粉、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、硫酸バリ
ウム、硫酸カルシウム、アルミナ、ケイ酸カルシウム、
窒化ホウ素等;カルボキシル基の金属塩を有する低分子
有機化合物、例示すると、オクチル酸、トルイル酸、ヘ
プタン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、
パルチミン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン酸、
モンタン酸、メリシン酸、安息香酸、p−tert−ブ
チル安息香酸、テレフタル酸、テレフタル酸モノメチル
エステル、イソフタル酸、イソフタル酸モノメチルエス
テル等の金属塩等;カルボキシル基の金属塩を有する高
分子有機化合物、例示すると、ポリエチレンの酸化によ
って得られるカルボキシル基含有ポリエチレン、ポリプ
ロピレンの酸化によって得られるカルボキシル基含有ポ
リプロピレン、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の
オレフィン類とアクリル酸又はメタクリル酸との共重合
体、スチレンとアクリル酸又はメタクリル酸との共重合
体、オレフィン類と無水マレイン酸との共重合体、スチ
レンと無水マレイン酸との共重合体等の金属塩等;高分
子有機化合物、例示すると、3,3−ジメチルブテン−
1,3−メチルブテン−1,3−メチルペンテン−1,
3−メチルヘキセン−1,3,5,5−トリメチルヘキ
セン−1などの炭素数5以上の3位分岐α−オレフィ
ン、ならびにビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキ
サン、ビニルノルボルナンなどのビニルシクロアルカン
の重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコールなどのポリアルキレングリコール、ポリグリコ
ール酸、セルロース、セルロースエステル、セルロース
エーテル等;リン酸又は亜リン酸及びその金属塩、例示
すると、リン酸ジフェニル、亜リン酸ジフェニル、リン
酸ビス(4−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、
リン酸メチレン(2,4−tert−ブチルフェニル)
ナトリウム等;ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビ
トール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール
等のソルビトール誘導体;無水チオグリコール酸、パラ
トルエンスルホン酸およびその金属塩等が挙げられる。
これらの結晶核剤は、1種又は2種以上組み合わせても
よい。
【0031】安定剤としては、例えば、ビス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリ
ジル)セバケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−第
三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シ}−4−{3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン、8−べンジル−7,7,
9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,2,3−ト
リアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、
4−べンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン、こはく酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシ
エチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメ
チルピぺリジン重縮合物、ポリ[[6−(1,1,3,
3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリア
ジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジル)イミノ]へキサメチレン
[[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]
イミノ]]、2−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒド
ロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)など
のヒンダードアミン系安定剤;ならびにフェノール系、
ホスファイト系、チオエーテル系などの抗酸化剤等が挙
げられる。これらの安定剤も、一種単独でも二種以上組
み合わせてもよい。
【0032】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具
体的に説明する。尚、実施例、比較例に用いた各成分の
詳細及び試験方法、評価を例示するが、本発明の趣旨を
逸脱しない限り、これに限定されるものではない。
【0033】<ポリアミド樹脂及び結晶性アミド化合物
の評価> 1)末端カルボキシル基(以下酸価と省略する)及びア
ミノ基濃度(以下アミン価と省略する)の測定 酸価は、試料1gをベンジルアルコール50gに溶解
し、1/10NのKOHメタノール溶液でフェノールフ
タレイン指示薬を用い、アミン価は、試料1gをフェノ
ール/メタノール混合溶液50gに溶解し、1/10N
塩酸メタノール溶液でブロムフェノールブルー指示薬を
用いて滴定し、樹脂1g当たりのKOHのmg数で表し
た。
【0034】2)平均分子量の測定 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に
より、スチレンゲル換算の平均分子量より求めた。 カラム ;東ソ製GMHHR―M ×2本 +ガードカラム カラム温度 ;40℃又は80℃ 溶媒 ;m−クレゾール/クロロホルム又はオルソクロロフェノール サンプル濃度;0.1〜0.7wt%
【0035】3)融点(Tm)、結晶化温度(Tc)の
測定 マックサイエンス社製のDSC3100S型示差走査熱
量計(DSC)を用いて以下の方法により測定した。窒
素雰囲気中で試料5mgを、試料中のポリアミド樹脂の
融点以上に加熱して完全に溶融させた後、10℃/分の
速度で冷却した後、再度同条件で昇温、冷却走査を行
い、溶融、結晶化に伴う吸熱、発熱ピークを記録し、融
点、結晶化温度を測定した。
【0036】4)溶融粘度・流動性の測定 成形グレードの粘度の高いポリアミド樹脂は、メルトイ
ンデクサー(安田精機製)を用いて、測定温度230
℃、ダイ1mm(径)×1.0mm(長)、荷重21.18Nの条件
でメルトフローレイト(MFR,g/10min)を測
定した。また、ホットメルト接着剤に使用するような比
較的低粘度のポリアミド樹脂は、単一円筒式回転粘度計
を用いて、測定温度200℃で測定した。
【0037】5)ペレットの融着性 ペレれトの融着性は、合成反応終了後、直ちに、15℃
に設定した水中又はステンレススチール製ベルト上に押
しだし、ストランドカットすることによりぺレット化
し、このときのペレットのブロッキング状態より下記の
ように評価した。 ◎: 表面タックがなく、ブロッキングを起こさない。 ○: やや表面タックがあるが、すぐに無くなる。 △: 表面タックがあり、ブロッキングがやや認められ
る。 ×: 表面タック、ブロッキングが激しい。
【0038】6)成形離型性 金型温度を40℃一定にし、ポリアミド樹脂組成物のペ
レットを射出成形し、一定時間(15秒)後に取り出
し、成型物の表面タック及び変形状態を観察し、下記の
ように評価した。 ◎: 表面タックがなく、変形しない。 ○: 表面タックがなく、やや変形する。 △: 表面タックがややあり、変形が認められる。 ×: 表面タック、変形あり。
【0039】7)オープンタイムの測定 ホットメルト接着剤用ポリアミド樹脂については、固化
スピードの測定を目的にオープンタイムを測定した。こ
の測定には、簡便法として下記の方法により評価した。
ブリキ皿に樹脂を定量秤取し、更に酸化防止及び保温の
ため蓋をした後、200℃のホットプレート上で十分に樹
脂を溶融させる。素早くブリキ皿を乾燥した十分厚みの
ある厚紙上に置く。この時より時間計測を開始し、適当
な大きさの紙片で樹脂表面を軽くつつき、糸曳きが観察
されなくなる時間をオープンタイムとした。
【0040】<結晶性アミド化合物の合成>
【参考例1】結晶性アミド化合物PAC−1 攪拌機、窒素導入口及び留去管を取り付けた1000m
lの4口フラスコ中で、得られる結晶性アミド化合物の
末端が、ステアリル基(炭素数17)で封止されるよう
に、ステアリン酸340.8g、ヘキサメチレンジアミ
ン139.2g、セバシン酸121.2g及びキシレン
60gを配合し、窒素を一定量流しながら昇温し、17
0℃でのキシレン環留下、反応水を留去させながら縮合
反応を進めた。系内が透明均一溶液になった後、キシレ
ン、反応水を留去させながら250℃まで昇温し、脱水
縮合反応を進めた。最終的には、酸価、アミン価を当量
関係になるように調製し、減圧下40mmHgで反応を
進めた。得られた結晶性アミド化合物PAC−1は、酸
価、アミン価、0.5以下で数平均分子量900の白色
固形物で、融点142℃ 、結晶化温度174℃であっ
た。
【0041】
【参考例2】結晶性アミド化合物PAC−2 参考例1と同様の装置に、ステアリルアミン141.9
g、ドデカ二酸255.2g、1,10ジアミノデカン
94.6gを配合した以外は同様の方法で反応を進め
た。得られた結晶性アミド化合物PAC−2は、酸価、
アミン価、0.5以下で平均分子量820の白色固形物
で、融点160℃ 、結晶化温度194℃であった。
【0042】
【参考例3】結晶性アミド化合物PAC−3 参考例1と同様の装置に、ステアリン酸113.6g、
ステアリルアミン107.6g、12−アミノドデカン
酸258.0gを配合した以外は同様の方法で反応を進
めた。得られた結晶性アミド化合物化合物PAC−3
は、酸価、アミン価、0.5以下で平均分子量1200
の白色固形物で、融点164℃、結晶化温度144℃で
あった。
【0043】次に、本発明のボリアミド樹脂組成物につ
いて具体的に説明する。ここで例示した各原料の配合割
合は、カルボキシル基濃度とアミノ基濃度との総和が原
則として、当量関係にある。まず、成型用途向けポリア
ミド樹脂組成物について具体的に説明する。
【0044】
【実施例1】撹拌機、窒素導入口及び溜去管を取り付け
た1000mlの4口フラスコに、水添タイプの重合脂肪酸
(Pripol 1009,ユニケマ社製,ダイマー酸
含有量99%)112.8g、アゼライン酸150.4
g、ステアリン酸4.5g、ヘキサメチレンジアミン1
16.0gを仕込み、窒素を一定量流しながら250℃
まで昇温し、脱水重縮合反応を減圧下160トールで3
0分間進めた。この後、サンプリングし、酸価、アミン
価を測定し、カルボキシル基濃度とアミノ基濃度が実質
当量関係になるように調整した後、酸化防止剤としてイ
ルガノックス1098を1.7gと参考例1で製造した
結晶性アミド化合物PAC−1を、生成するポリアミド
樹脂100重量部に対し5重量部を添加し、40トール
まで再減圧し、所定の粘度に到達するまで重縮合反応を
進めた。反応終了後、直ちに、15℃に設定した水中に
押出機より押しだし、ストランドカットすることにより
ペレット化した。このときのペレットの融着状態(ブロ
ッキング性)を記録した。このようにして、MFR 1
2 g/10min、結晶化温度168℃のポリアミド
樹脂組成物が得られた。このポリアミド樹脂組成物用い
て、前記評価項目に従い評価し、具体的な配合を含めて
表1にまとめて例示した。
【0045】
【実施例2】実施例2のポリアミド樹脂組成物は、実施
例1のポリアミド形成モノマーに代えて、Pripol
1009を169.2g、セバシン酸を141.4
g、ステアリン酸を17.0g、ヘキサメチレンジアミ
ンを116.0g使用した以外は実施例1と同様の方法
で製造した。
【0046】
【実施例3】実施例3のポリアミド樹脂組成物は、実施
例2の結晶性アミド化合物PAC−1の配合量をポリア
ミド樹脂100重量部に対し10重量部に替え、ステア
リン酸の量を5.7gとした以外は実施例2と同様の原
料を用いて、実施例1と同様の方法で製造した。
【0047】
【実施例4】実施例4のポリアミド樹脂組成物は、実施
例1のポリアミド形成モノマーに代えて、Pripol
1009を163.6g、セバシン酸を143.4
g、ステアリン酸を4.6g、ピペラジンを87.6g
使用し、酸化防止剤イルガノックス1098を1.8g
にした以外は実施例1と同様の方法で製造した。
【0048】
【比較例1】比較例1のポリアミド樹脂は、実施例1の
ポリアミド樹脂組成物の製造時に、結晶性アミド化合物
PAC−1を添加しないで、実施例1と同様の方法で製
造した。
【0049】
【比較例2】比較例2のポリアミド樹脂は、実施例2の
ポリアミド樹脂組成物の製造時に、結晶性アミド化合物
PAC−1を添加しないで、実施例2と同様の方法で製
造した。
【0050】
【比較例3】比較例3のポリアミド樹脂は、実施例4の
ポリアミド樹脂組成物の製造時に、結晶性アミド化合物
PAC−1を添加しないで、実施例4と同様の方法で製
造した。
【0051】比較例1,2,3のポリアミド樹脂につい
て、実施例1と同様に評価し、具体的な配合を含めて表
1に例示した。比較例1,2,3のいずれのポリアミド
樹脂もペレット化直後に表面タックがあり、また、これ
を用いて射出成形した成形物にも表面タック、変形が認
められた。特に、比較例3で得たポリアミド樹脂はペレ
ットのタック、融着が激しく、かつ射出成形品もタッ
ク、変形の激しいものであった。
【0052】
【比較例4】比較例4のポリアミド樹脂組成物は、実施
例2のポリアミド樹脂組成物の製造時に、結晶性アミド
化合物PAC−1の替わりに、ゲルオールMD(ジベン
ジリデンソルビトール系結晶核剤;新日本理化製)を、
実施例2のポリアミド樹脂100重量部に対して5重量
部になるように添加する以外は、実施例2と同様の方法
で製造した。金型温度を40℃一定にし、このポリアミ
ド樹脂組成物を射出成形し、15秒後に取り出し、成形
物の表面タック及び変形状態を観察したところ、表面タ
ックがややあり、変形が認められるものであった。
【0053】
【比較例5】比較例5のポリアミド樹脂組成物は、実施
例2のポリアミド樹脂組成物の製造時に、結晶性アミド
化合物PAC−1の替わりに、アデカスタブNA−11
(リン系結晶核剤;旭電化工業社製)を、実施例2のポ
リアミド樹脂100重量部に対して5重量部になるよう
に添加する以外は、実施例2と同様の方法で製造した。
ペレット化したものは、表面にややタックがあるポリア
ミド樹脂組成物で、実施例2と同様に射出成形した成形
物は、表面タックがややあり、変形が認められるもので
あった。
【0054】
【比較例6】比較例6のポリアミド樹脂組成物は、実施
例2のポリアミド樹脂組成物の製造時に、結晶性アミド
化合物PAC−1を添加する替わりに、分子内に2個の
アミド結合を有する結晶性の分子量594のアミド化合
物であるエチレンビスステアリルアミドを、実施例2の
ポリアミド樹脂100重量部に対して5重量部になるよ
うに添加する以外は、実施例2と同様の方法で、減圧
下、同一条件で反応を進行させて製造しようとしたもの
であったが、フラスコ上部にエチレンビスステアリルア
ミドによると思われる昇華物が付着し、目的のポリアミ
ド樹脂組成物が得られなかった。
【0055】
【比較例7】比較7のポリアミド樹脂組成物は、実施例
2のポリアミド樹脂組成物の製造時に、結晶性アミド化
合物PAC−1を添加する替わりに、数平均分子量分子
量18000の結晶性ポリアミド樹脂であるナイロン6
6を実施例2のポリアミド樹脂100重量部に対して5
重量部になるように添加する以外は、実施例2と同様の
方法で、減圧下、同一条件で反応させて製造し、実施例
2と同様にペレット化した。しかしこれは、なにも入れ
ないものと同様の表面タックがあるポリアミド樹脂組成
物であった。また、実施例2と同様に射出成形した成形
物の表面タック及び変形状態を観察したところ、改善効
果が認められなかった。
【0056】以上の評価結果は、具体的な配合を含めて
表1に例示した。また、結晶化温度のDSCによる発熱
ピークを比較する目的で、代表して、実施例4と比較例
3のポリアミド樹脂についてのものを図1に例示した。
図1に観察されるように、本発明に係る結晶性アミド化
合物を配合することにより、共重合体に見られる結晶化
に伴うブロードな発熱ピークがシャープなものになり、
ピーク温度が14℃も高くなり、結晶性及び結晶化速度
が大きく改善されていることが認められた。
【0057】次に、ホットメルト接着剤向けポリアミド
樹脂組成物について具体的に説明する。
【実施例5】実施例5のポリアミド樹脂組成物は、次の
ようにして製造した。実施例1と同様の装置に、ポリア
ミド形成モノマーである蒸留重合脂肪酸(Pripol
1013:ユニケマ社製,ダイマー酸含有量約93
%)を135.4g、セバシン酸149.5g、ステア
リン酸28.4g、ピペラジン86gを仕込み、窒素を
一定量流しながら250℃まで昇温し、脱水重縮合反応
を減圧下160トールで30分間進めた。この後、サン
プリングし、酸価、アミン価を測定し、カルボキシル基
濃度とアミノ基濃度が実質当量関係になるように調整し
た後、酸化防止剤としてイルガノックス1098を1.
gと、参考例1で製造した結晶性アミド化合物PA
C−1を、生成するポリアミド樹脂100重量部に対し
5重量部を添加し、再度160トールまで減圧し、所定
の粘度に到達するまで重縮合反応を進めた。反応終了
後、直ちに、15℃に設定したステンレス製ベルト上に
押し出し、ストランドカットすることによりペレット化
した。このときのペレットの融着状態(ブロッキング
性)を記録した。このようにして、溶融粘度10000
mPa・s/200℃、結晶化温度114℃のポリアミ
ド樹脂組成物が得られた。このポリアミド樹脂組成物を
用いて、上記評価項目に従い評価し、具体的な配合を含
めて表2にまとめて例示した。
【0058】
【実施例6】実施例6のポリアミド樹脂組成物は、実施
例5のポリアミド樹脂組成物の製造時に、結晶性アミド
化合物PAC−1の代わりに、参考例2で製造した結晶
性アミド化合物PAC−2を実施例5のポリアミド樹脂
100重量部に対し5重量部を添加する以外は実施例5
と同様の方法で製造した。
【0059】
【実施例7】実施例7のポリアミド樹脂組成物は、実施
例5のポリアミド樹脂組成物の製造時に、結晶性アミド
化合物PAC−1の代わりに、参考例3で製造した結晶
性アミド化合物PAC−3を実施例5のポリアミド樹脂
100重量部に対し5重量部を添加する以外は実施例5
と同様の方法で製造した。
【0060】
【実施例8】実施例8のポリアミド樹脂組成物は、実施
例5のポリアミド樹脂組成物の製造時に、実施例5のポ
リアミド形成モノマーに代えて、Pripol 101
3を、285.2g、アゼライン酸136.8g、大豆
油脂肪酸8.0g、ピペラジン103.2g、エチレン
ジアミン21.2gを使用し、酸化防止剤イルガノック
ス1098を2.39gにして配合する以外は実施例5
と同様の方法で製造した。
【0061】
【実施例9】実施例9のポリアミド樹脂組成物は、実施
例5のポリアミド樹脂組成物の製造時に、ポリアミド形
成モノマーを、重合脂肪酸(Empol1018:コグ
ニス社製,ダイマー酸含有量約83%)337.2g、
アゼライン酸56.4g、大豆油脂肪酸56.8g、ピ
ペラジン20.8g、エチレンジアミン42.0g、ヘ
キサメチレンジアミン11.6gに替え、酸化防止剤イ
ルガノックス1098を2.44gにして配合した以外
は実施例5と同様の方法で製造した。
【0062】
【実施例10】実施例10のポリアミド樹脂組成物は、
実施例9のポリアミド樹脂組成物の製造時に、結晶性ア
ミド化合物PAC−1の添加量を生成するポリアミド樹
脂100重量部に対し10重量部に増量して添加する以
外は実施例9と同様の方法で製造した。実施例6〜10
のポリアミド樹脂組成物は、実施例5と同様に前記評価
項目に従い評価し、配合を含めてその結果を表2に例示
した。実施例6〜10のポリアミド樹脂組成物は、いず
れもペレットのブロッキング性もなく、結晶化速度及び
固化速度が改善されたものであった。
【0063】
【比較例8,9,10】比較例8,9,10のポリアミ
ド樹脂は、実施例5〜9,実施例8及び実施例9,10
のポリアミド樹脂製造時に、結晶性アミド化合物を添加
しないで実施例と同様の方法で製造した。この比較例
8,9,10のポリアミド樹脂は、実施例のポリアミド
樹脂組成物と同様に、前記評価項目に従い評価したとこ
ろ、いずれもペレットのブロッキング性が激しく、結晶
化ピークも不明瞭かブロードで、固化速度も満足できる
ものではなかった。これらの評価結果を、具体的な配合
を含めて表2にまとめて例示した。
【0064】
【発明の効果】本発明により、結晶化速度又は固化速度
が改善され、ペレット化時の融着性(ブロッキング性)
がなく、成形・加工性等に優れた、ポリアミド樹脂組成
物、及びその簡便な製造方法が提供される。従って、得
られるポリアミド樹脂組成物は、射出成形品、中空成形
品、フィルム、シート、繊維などに加工され、繊維製品
はもとより、自動車部品、電気部品、一般機械部品、建
材部品からホットメルト接着剤、粉体塗料にいたるま
で、様々な分野に幅広く用いられる。
【表1】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例4及び比較例3の結晶化に伴
う発熱ピークを比較するグラフを表す。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CL001 CL002 CL011 CL031 CL032 CL041 EP036 FD030 FD170 GH01 GJ01 GK01 GL00 GM00 GN00 GQ00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ポリアミド樹脂に対して、 (b)分子末端が炭素数7〜22の炭化水素基で封止さ
    れ、且つ分子内に3個以上のアミド結合を有する、平均
    分子量600〜1,800の結晶性アミド化合物、を必
    須成分として配合したことを特徴とし、そして該結晶性
    アミド化合物(b)が、 (イ) 炭化水素残基を有する炭素数7〜23のモノカルボ
    ン酸及び/又は炭化水素残基を有する炭素数7〜22の
    モノアミンと、 (ロ)(1)炭素数6以上のアミノカルボン酸;(2)炭素数6
    以上ラクタム;(3)炭素数2から12のジアミン;及び
    (4)炭素数6から22の脂肪族、脂環族又は芳香族ジカ
    ルボン酸及び/又はこれらのエステル誘導体;からなる
    群から選ばれる1種または2種以上のアミド形成モノマ
    ー又はアミド形成可能なモノマーの組、とを反応させる
    ことにより得られることを特徴とするポリアミド樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】必須成分として配合される結晶性アミド化
    合物(b)が、該分子末端を封止する炭素数7〜22の
    炭化水素基として、炭素数7〜22の飽和脂肪族炭化水
    素基を有し、且つ、少なくとも3個以上のアミド結合を
    介して炭素数6〜22の飽和脂肪族炭化水素鎖が連結し
    ている構造を有することを特徴とする請求項1記載のポ
    リアミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】ポリアミド樹脂(a)が、(1) 炭素数6以
    上のアミノカルボン酸、(2) 炭素数6以上のラクタム、
    (3) 炭素数2から12のジアミン、(4) 炭素数6から1
    2の脂肪族、脂環族又は芳香族ジカルボン酸、(5) 炭素
    数20〜48の重合脂肪酸、及び(6) 上記(4)及び(5)の
    酸のエステル誘導体からなる群から選ばれる1種又は2
    種以上のポリアミド形成モノマー又はポリアミド形成可
    能なモノマーの組を反応させることにより得られる、分
    子末端基が炭化水素基、カルボキシル基、アミノ基の少
    なくとも1種類で反応停止されたポリアミド樹脂である
    請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】ポリアミド樹脂(a)が、炭素数2から1
    2の脂肪族、脂環族又は芳香族ジアミンから選択される
    1種又は2種以上のジアミンと、炭素数6〜12の脂肪
    族、脂環族又は芳香族ジカルボン酸及びそれらのエステ
    ル誘導体、及び炭素数20〜48の重合脂肪酸及びそれ
    らのエステル誘導体から選択される1種又は2種以上の
    ジカルボン酸とから得られるポリアミド樹脂であって、
    少なくとも重合脂肪酸及びそのエステル誘導体からなる
    成分に由来する単位を、該ポリアミド樹脂の成分割合で
    5重量%以上含有している請求項1〜3のいずれか一に
    記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の、ポリア
    ミド樹脂(a)と結晶性ポリアミド化合物(b)とを用
    いて、ポリアミド樹脂(a)100重量部に対して、結
    晶性ポリアミド化合物(b)0.1〜20重量部を、該
    ポリアミド樹脂(a)の重合反応時に配合することを特
    徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
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