JP2002210477A - オゾン含有排水の処理方法及び処理装置 - Google Patents

オゾン含有排水の処理方法及び処理装置

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JP2002210477A
JP2002210477A JP2001012719A JP2001012719A JP2002210477A JP 2002210477 A JP2002210477 A JP 2002210477A JP 2001012719 A JP2001012719 A JP 2001012719A JP 2001012719 A JP2001012719 A JP 2001012719A JP 2002210477 A JP2002210477 A JP 2002210477A
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幸福 山下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 例えば、電子部品の洗浄後に排出されるオゾ
ン含有排水の処理において、紫外線照射装置等の高価な
装備を必要とせず、安価であり簡便で、且つ低エネルギ
ーで残存オゾンを処理することを可能にし、さらには、
処理後のオゾン含有排水を回収再利用することができる
オゾン含有排水中の残留オゾンの処理方法を提供するこ
と。 【解決手段】 オゾン含有排水に過酸化水素水を混合す
ることによってオゾン含有排水中の残留オゾンを処理す
る方法であって、前記オゾン含有排水は、全有機炭素濃
度が110μgC/L以下のものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洗浄や表面酸化処
理、あるいは殺菌などの目的で広く用いられているオゾ
ン水の使用後に排出されるオゾン含有排水の処理方法及
び処理装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】オゾン水はその強力な酸化力により、有機
物の酸化・分解、殺菌、金属の酸化などの効果が確認さ
れている。このような効果を有するオゾン水の用途とし
ては、電子部品類の洗浄・酸化、排水中の有機物処理、
プール水の殺菌、上水中のカビ臭除去、手指の殺菌、脱
脂、メッキ処理用基体の粗化など数多く挙げられる。こ
の中で、電子部品類の洗浄におけるオゾン水の使用につ
いて説明する。
【0003】電子部品はシリコン単元素やガリウムと砒
素の化合物などに代表される基板上に金属と絶縁膜を交
互に成膜して回路となし、これを裁断して一つの部品を
なすものであるが製品となるまでには極めて多くの工程
を経る。これらの電子部品類は急速に微細化が進み、D
RAMと称されるメモリー素子の集積度は256Mbitに
達し、配線の幅は0.18μm にまで達している。
【0004】微細構造を作成するためにはレジストと呼
ばれる感光性樹脂を基板上に塗布し、マスク基板を通し
て紫外光などの短波長の光線を照射して感光、硬化せし
め、ついで現像液にて現像した後に不要部分のエッチン
グとレジストの除去が行われる。マスク基板とは石英製
の透明基板にクロムやモリブデンなどの金属を成膜し、
これにレーザービームにより配線の一部または全部をあ
らかじめ描画したものであるが、該描画模様がそのまま
転写されるわけであるから、マスク基板上の微粒子や有
機物などの汚れは配線の正確な転写を妨げるものである
ので極めて好ましくない。このため、マスク基板上の汚
れを洗浄する洗浄工程は配線の正確な転写のため、非常
に重要な工程である。
【0005】洗浄工程としては、例えば、硫酸・過酸化
水素混合溶液、塩酸・過酸化水素混合溶液、フッ酸溶液
などの濃厚薬品による洗浄と、超純水による洗浄(すす
ぎ)とを組み合わせて行っている。洗浄工程のうち、濃
厚薬品による洗浄方法をシリコンウエハの洗浄例を用い
て述べる。シリコンウエハは、表面に付着した有機物、
金属、微粒子汚染を除去するために、硫酸や塩酸、過酸
化水素水、水酸化アンモニウムといった無機薬品をパー
セントオーダーで混合、加熱した溶液で洗浄される。例
えば有機物の除去には硫酸と過酸化水素水を4:1程度
で混合し、反応熱にて130℃程にまで液温が上昇した
溶液が用いられるし、微粒子汚染除去には、水酸化アン
モニウムと過酸化水素水と水とを1:4:20で混合し
60℃程度に加温した溶液が用いられるし、さらに金属
の除去には塩酸と過酸化水素水と水とを1:1:5で混
合した溶液が用いられる。この方法はRCA洗浄法と呼
ばれ、その利用から四半世紀が過ぎた現在も該洗浄方法
を基本として混合比や液温などを調整した洗浄が広く行
われている。
【0006】上記の濃厚薬品による洗浄工程におけるオ
ゾン水の利用の可能性について、例えば、前記RCA洗
浄法と比較した場合の代替利用として次のようなものが
ある。すなわち、オゾンの持つ強力な酸化力によって有
機物を分解することができるので、硫酸過酸化水素混合
液の代替が期待できる。酸化性溶液中でイオン化する金
属に対してもまた除去効果が期待できるので、塩酸過酸
化水素混合液の代替ができる。
【0007】さらに、昨今の環境保護意識の高まりや製
造コスト削減の徹底から、オゾン水の利用が拡大してい
る。すなわち、濃厚薬品洗浄の代替が可能であることか
ら消耗品としての薬品使用量を削減することが可能であ
り、使用後のオゾン水には酸やアルカリが含まれていな
いのでオゾン含有排水を排水処理系に流したときの中和
処理やそれに用いる薬品も不要で、さらには中和処理後
の塩の生成もないので溶解固形物量削減にも貢献でき
る。
【0008】オゾン水の利用は拡大する傾向にあるが、
その理由の一つとして、オゾン水を利用した後に排出さ
れるオゾン含有排水中の残留オゾンが、自己分解により
水中から消滅することがある。洗浄するにあたって酸や
アルカリなどの薬剤を用いた場合、使用後の排液は中和
処理を必要とするが、オゾン水で同等の洗浄効果が得ら
れるのであれば、使用後のオゾン含有排水は、残留オゾ
ンの自己分解に期待すれば中和処理が省略できる場合が
ある。
【0009】しかしながら、例えば、上記した電子部品
の洗浄などに見られるように、洗浄後に排出されるオゾ
ン含有排水の排出に、一般に排水用配管として用いられ
る塩化ビニル製配管を用いる場合、該塩化ビニル製配管
がオゾンにより劣化し、内面に微細なひび割れ発生して
白濁する。場合によっては、配管が破損する恐れがあ
る。このような配管の劣化を防ぐために、オゾン耐性を
有するフッ素樹脂製配管を使用するか、又は洗浄機外部
にオゾン含有排水処理装置を設ける必要があるが、コス
ト、設置面積等で問題が多い。オゾン水に溶存するオゾ
ンの分解を促進して、オゾンによる配管の劣化を防ぐ必
要がある。そこで、オゾン水の分解を促進する手段とし
ては、活性炭に通ずる方法が工業的に用いられている。
この方法を用いることによって、オゾンの分解時間を大
幅に短縮することができる。
【0010】しかしながら、例えば、オゾン水の利用が
電子部品類の洗浄を目的としている場合には、電子部品
類の洗浄に用いられるオゾン水は極めて高度に処理され
た純水または超純水にオゾンガスを溶解せしめて得られ
るが、上記した活性炭を用いるオゾン水処理方法には以
下のごとき問題がある。
【0011】すなわち、活性炭を用いてオゾン含有排水
を処理した場合には、活性炭より混入する微粉炭の存在
により超純水用の回収水として使用することができなく
なってしまう。酸化膜の生成促進やすすぎ用として用い
られるオゾン含有排水中の不純物濃度は極めて低く、こ
れを回収水として再利用できないことは洗浄用の超純水
使用量の削減を図っている昨今の動きの中では望ましく
ない。
【0012】そこで、紫外線照射によりオゾン含有排水
を処理する方法が、オゾン含有排水中への不純物の混入
は伴わずに処理後のオゾン含有排水を純水回収用として
利用することが可能であるため用いられている。以下に
紫外線照射によりオゾン含有排水を処理する方法の一例
を図6に基づいて説明する。
【0013】超純水製造装置1で製造された超純水は、
超純水供給配管2によりオゾン水製造の原料水としてオ
ゾン水製造装置5に供給される。オゾン水製造装置5に
より製造されたオゾン水は洗浄用水として洗浄槽11に
供給される。洗浄部3においては、超純水供給配管2に
より供給される超純水により、洗浄槽10において前洗
浄が、洗浄槽12においてすすぎが行われ、洗浄槽11
においてオゾン水により洗浄が行われる。洗浄槽11よ
り排出される洗浄後のオゾン含有排水は、オゾン含有排
水配管7を経て、紫外線照射装置35に送られ、紫外線
照射により残留オゾンを処理した後、純水回収用排水配
管9に回収されて超純水製造の原水として再利用され
る。なお、洗浄槽10及び洗浄槽12の洗浄後の排水
は、純水排水配管4より純水回収用排水配管9に回収さ
れる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、紫外線
照射を行うための紫外線照射装置は初期投資に多額の費
用が必要であるだけでなく、高価な紫外線照射灯の交換
が一年ごとに推奨されることが多く、また運転には高電
圧を必要とするエネルギーを大量に消費してしまう。オ
ゾン水を製造するには高価なオゾン水製造装置の購入が
必要であるが、使用後に排出されるオゾン含有排水を処
理するために更に多大な費用をかけ、さらにエネルギー
を大量に消費することは望ましくない。従って、オゾン
含有排水を低い費用で且つ低エネルギーで処理すること
ができ、更に、処理後のオゾン含有排水を純水回収用と
して利用することができれば製造費用の低減および環境
負荷低減の両方の面からも好ましい。
【0015】従って、本発明の目的は、例えば、電子部
品の洗浄後に排出されるオゾン含有排水の処理におい
て、紫外線照射装置等の高価な装備を必要とせず、安価
であり簡便で、且つ低エネルギーで残存オゾンを処理す
ることを可能にし、さらには、処理後のオゾン含有排水
を回収再利用することができるオゾン含有排水中の残留
オゾンの処理方法及び処理装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】かかる実状において、本
発明者等は鋭意検討を行なった結果、オゾン含有排水
が、それに含まれる全有機炭素濃度が特定濃度以下の場
合、これに極めて微量の過酸化水素水を混合すること
で、オゾン含有排水を安価で低エネルギーで、且つ極め
て高効率で処理できることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0017】すなわち、本発明(1)の発明は、オゾン
含有排水に過酸化水素水を混合することによってオゾン
含有排水中の残留オゾンを処理する方法であって、前記
オゾン含有排水は、全有機炭素濃度が110μgC/L以下
のものであることを特徴とするオゾン含有排水の処理方
法を提供するものである。かかる構成とすることによ
り、自己分解によるオゾン水濃度の半減期を短くするこ
とができるとともに、微量の過酸化水素により、残留オ
ゾンの分解速度を飛躍的に向上させることができる。こ
の結果として、オゾン含有排水を安価で簡便に、且つ低
エネルギーで極めて高効率で処理することができる。
【0018】また、本発明(2)は、過酸化水素水を、
前記オゾン含有排水に残留するオゾン1mgに対して、過
酸化水素濃度100%相当で0.001〜1.0ml添加
することを特徴とする前記(1)に記載のオゾン含有排
水の処理方法を提供するものである。かかる構成とする
ことにより、前記(1)に記載の発明と同様の効果を奏
する他、オゾン水を処理するために添加する過酸化水素
水の混合量を極微量な範囲で適宜に決定できるため、安
価で、且つオゾン水処理後に過剰の過酸化水素が残留す
ることがなく好ましい。
【0019】また、本発明(3)は、オゾン含有排水貯
留槽を設け、該オゾン含有排水貯留槽において、前記過
酸化水素水とオゾン含有排水とを混合することを特徴と
する前記(1)又は(2)に記載のオゾン含有排水の処
理方法を提供するものである。かかる構成を採ることに
より、前記(1)又は(2)に記載の発明と同様の効果
を奏する他、混合方法を限定することにより、さらにオ
ゾン分解効率を高めることができる。
【0020】また、本発明(4)は、予め、前記オゾン
含有排水貯留槽に前記過酸化水素水を滴下し、次いで、
オゾン含有排水を該オゾン含有排水貯留槽に流入させて
混合することを特徴とする前記(3)に記載のオゾン含
有排水の処理方法を提供するものである。かかる構成と
することにより、前記(3)に記載の発明と同様の効果
を奏する他、過酸化水素水の混合量が微量であるにもか
かわらず、過酸化水素水とオゾン水との混合当初は高濃
度の過酸化水素と接触することとなり、その後もオゾン
分解時に生成する活性種が連鎖的にオゾンの分解を引き
起こすことで効果的なオゾン含有排水処理が実現でき
る。
【0021】また、本発明(5)は、オゾン含有排水用
配管に、前記過酸化水素水を添加する過酸化水素水注入
部を備え、該オゾン含有排水用配管中で、前記過酸化水
素水とオゾン含有排水とを混合することを特徴とする前
記(1)又は(2)に記載のオゾン含有排水の処理方法
を提供するものである。かかる構成を採ることにより、
前記(1)又は(2)に記載の発明と同様の効果を奏す
る他、オゾン含有排水処理系のための占有面積を最小に
抑えることができるので好ましい。
【0022】また、本発明(6)は、過酸化水素水貯留
タンクと、過酸化水素水送液用ポンプと、オゾン含有排
水貯留タンクまたはオゾン含有排水配管に過酸化水素水
を合流させるための配管と、過酸化水素水を混合後また
は混合前後のオゾン含有排水中の残留オゾン濃度を測定
するための溶存オゾン濃度計と、該溶存オゾン濃度計で
測定される溶存オゾン濃度を過酸化水素水混合後から5
分以内に1mgO3/L以下に到達させるように過酸化水素水
送液用ポンプの吐出量を制御する制御部と、からなるこ
とを特徴とするオゾン含有排水処置装置を提供するもの
である。かかる構成を採ることにより、オゾン含有排水
流量、オゾン含有排水中の残留溶存オゾン濃度、排水中
の全有機炭素濃度などの変動に鋭敏に追従して過不足な
く過酸化水素水の注入ができるのできわめて好ましい。
【0023】また、本発明(7)は、オゾン水により被
処理物を洗浄する洗浄部と、過酸化水素水貯留タンク
と、過酸化水素水送液用ポンプと、前記洗浄部から排出
されるオゾン含有排水に過酸化水素水を合流させるため
の配管と、過酸化水素水を混合後または混合前後のオゾ
ン含有排水中の残留溶存オゾン濃度を測定するための溶
存オゾン濃度計と、該溶存オゾン濃度計で測定した溶存
オゾン濃度を過酸化水素水混合後から5分以内に1mgO3
/L以下に到達させるように過酸化水素水送液用ポンプの
吐出量を制御する制御部からなるオゾン含有排水処置装
置と、を備え、且つこれらの構成部材を一つの枠体に収
納したこと特徴する洗浄ユニットを提供するものであ
る。かかる構成を採ることにより、オゾン含有排水は洗
浄ユニット内で処理されるので、洗浄ユニットに接続さ
れる排水送水配管はオゾン水耐性を備える必要がないの
で好ましい。また、可搬式にできるため、修理などにお
ける交換作業が楽になる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明において、オゾン含有排水
としては、オゾン水を用いて被洗浄物を処理した後の排
水又は被洗浄物未処理の排水を意味し、被洗浄物の種類
や状態、あるいは被洗浄物の処理方法などで限定される
ものではない。被洗浄物を洗浄するオゾン水としては、
例えば、超純水にオゾンガスを溶解させたものが使用で
きる。超純水は、原水中から金属、有機物、微粒子、生
菌などを極限まで取り除いた水であるが、その製造方法
には例えば次のようなものがある。すなわち、原水を凝
集沈殿装置、砂ろ過装置、活性炭ろ過装置、逆浸透膜装
置、2床3塔イオン交換装置、混床式イオン交換装置、
精密フィルター等の1次純水処理系の装置で処理して1
次純水を得、該1次純水を1次純水槽に貯留し、紫外線
照射装置、混床式ポリッシャー、限外ろ過膜装置、逆浸
透膜装置又は膜脱気装置のような膜処理装置を用いて順
次2次処理し、前記1次純水中に残留する微粒子、コロ
イダル物質、有機物、金属、陰イオン、溶存酸素などを
可及的に取り除いて、電子部品などの洗浄に適する超純
水(2次純水)とするものである。
【0025】上記した超純水の水質としては明確な基準
はないが、例えば表1に記した値を挙げることができ
る。
【0026】
【表1】
【0027】超純水にオゾンガスを溶解させる方法とし
ては、水を電気分解することによって陽極にてオゾンガ
スを生成せしめてこれを超純水に溶解せしめてオゾン水
を得る方法、空気または酸素に高電圧を印加してオゾン
ガスを生成せしめてこれを超純水に溶解せしめてオゾン
水を得る方法などが挙げられる。また、オゾン水は、水
の電気分解により得られる陽極水を使用することもでき
る。これらは、何れもオゾン水の製造方法としては一般
に用いられるものであるが、一旦オゾンガスを生成せし
めてからこれを水に溶解せしめる方法が高濃度のオゾン
水を得るためには好適である。一方、水の電気分解によ
り直接オゾン水を生成せしめる方法は、製造装置が簡素
化できることから小型の装置または比較的低濃度のオゾ
ン水を製造する装置の場合に用いられる。
【0028】上記オゾン水を製造するためのオゾンガス
は、その組成について特に限定するものではなく、その
組成としてオゾンを含んでいればよい。水の電気分解に
より得られるオゾンガスや空気や酸素に高電圧を印加す
ることで得られるオゾンガスは、生成されるガス中のオ
ゾン濃度は10〜20%程度であり、それ以外のほとん
どを酸素が占め、若干の窒素または窒素酸化物や炭酸ガ
スを含む場合もある。このような高純度の水を用いて製
造されたオゾン水の利用方法としては、例えば、先に述
べた電子部品類やその基板類、液晶表示装置、精密部品
類、光学レンズなどの洗浄への利用方法が挙げられる。
何れの洗浄もオゾンの代表的な物性である酸化力による
洗浄効果を利用するものである。
【0029】本発明において、オゾン含有排水中の溶存
オゾン濃度は、特に制限されないが、1.0mgO3/L以
上、特に、1.0〜150mgO3/Lのものが適用できる。
オゾン含有排水中の溶存オゾン濃度が高すぎると、過酸
化水素の添加量が増えると共に、オゾンの分解速度が低
下し、オゾン水耐性を備える排水配管を付設する必要が
ある等の点で好ましくない。従って、オゾン含有排水中
の溶存オゾン濃度が150mgO3/Lを越える場合には、溶
存オゾン濃度が上記範囲となるように希釈すればよい。
オゾン含有排水中の溶存オゾン濃度は、溶存オゾン濃度
計により測定することができる。また、オゾン含有排水
中の溶存オゾン濃度が、1.0mgO3/L未満となるときに
は、本発明のオゾン含有排水の処理方法によらず、残留
オゾンの自己分解を待ってもよい。
【0030】本発明において、該オゾン含有排水は全有
機炭素濃度が110μgC/L以下、好ましくは、100μ
gC/L以下である。全有機炭素濃度が110μgC/Lを越え
るものは、過酸化水素の添加量が多くなるか、又はオゾ
ンの分解速度が低下し、オゾン水耐性を備える排水配管
を付設する必要がある等の点で好ましくない。例えば、
電子部品類の洗浄部から排出されるオゾン含有排水の全
有機炭素濃度が110μg C/L を越える場合には、11
0μg C/L 以下となるように希釈水により希釈すればよ
い。希釈水は希釈水中の全有機炭素濃度が110μg C/
L 未満の水であれば、特に限定されない。また、全有機
炭素濃度は、TOC計をオゾン含有排水を排出する配管
に設けることにより測定することができる。全有機炭素
濃度を110μg C/L 以下とし、次いで微量の過酸化水
素水を混合することにより、オゾンの分解が、飛躍的に
促進され、極めて短時間で溶存オゾンを分解できる。
【0031】また、本発明のオゾン含有排水の処理方法
において用いる過酸化水素水の濃度としては、30〜1
00重量%濃度の過酸化水素水を用いることが、効果的
な排水処理を実現できる点で好適である。また、過酸化
水素の添加量は、特に制限されないが、オゾン含有排水
に溶存するオゾン1mg当たり、100%過酸化水素相当
で、0.001〜1.0ml、特に、0.005〜0.7
5mlが好ましい。本発明において、全有機炭素濃度が1
10μg C/L 以下のオゾン含有排水に何らの処理をする
ことが無い場合、思ったほどオゾンの自己分解が進みに
くいこと、一方、全有機炭素濃度が110μg C/L 以下
のオゾン含有排水に上記範囲の極微量の過酸化水素を添
加するだけで、残留オゾンの分解速度を飛躍的に向上さ
せることができることは、驚くべきことである。
【0032】本発明において、オゾン含有排水に対する
過酸化水素水の混合方法については、特に制限されない
が、オゾン含有排水は過酸化水素水の混合前から、また
は混合後に攪拌手段を用いて撹拌することでオゾン含有
排水処理効果を更に高めることもできる。以下に、本発
明のオゾン含有排水の処理方法及び該方法を実施する処
理装置について、図1〜図5のフロー図を参照して説明
する。
【0033】第1の実施の形態例におけるオゾン含有排
水の処理方法を実施する処理装置を図1に示す。図中、
本例の処理装置は、超純水製造装置1と、オゾン水製造
装置5と、第一洗浄槽10、第二洗浄槽11及び第三洗
浄槽12からなる洗浄部3と、オゾン含有排水配管7、
排水貯留タンク8、過酸化水素水貯留タンク13、薬注
ポンプ15、及び過酸化水素水注入配管16よりなるオ
ゾン含有排水処理系とからなる。超純水製造装置1は、
洗浄用水となり、且つオゾン水製造の原料水ともなる超
純水を製造する。オゾン水製造装置5は、超純水供給配
管2より供給される超純水にオゾンを溶解して洗浄用の
オゾン水を製造する。オゾン水装置5によって製造され
たオゾン水はオゾン水供給配管6を通り洗浄部3の第二
洗浄槽11に送水される。洗浄部3は、洗浄槽10にお
いて超純水供給配管2より供給される前記超純水により
前洗浄を行い、洗浄槽11において前記オゾン水により
洗浄を行い、さらに、洗浄槽12において超純水により
すすぎを行う。洗浄槽10及び洗浄槽12で排出される
排水は、純水排水配管4により、純水回収用排水配管9
に排出され、純水製造の原料に利用されるが、排水貯留
タンク8において、第一洗浄槽10又は第三洗浄槽12
からの純水排水の1部または全部が、オゾン含有排水と
合流する配管構造としてもよい。また、洗浄装置の形
式、洗浄槽の数および形状、洗浄条件などは特に限定さ
れるものではない。
【0034】第二洗浄槽11内にて被処理物を処理した
後、溢れ出したオゾン含有排水はオゾン含有排水配管7
を通り、排水貯留タンク8へと送られる。過酸化水素水
貯留タンク13中の過酸化水素水は、薬注ポンプ15及
び過酸化水素水注入配管16によって、排水貯留タンク
8へと注入されて、該貯留タンク8内にて、オゾン含有
排水と混合することにより、オゾン含有排水が処理され
る。排水貯留タンク8へ過酸化水素水を注入する目処と
しては特に限定するものではなく、該排水貯留タンクへ
オゾン含有排水が流入する前後いずれでもよい。
【0035】全有機炭素濃度が110μgC/L以下である
オゾン含有排水は排水貯留タンク8内で過酸化水素水と
混合されることによって速やかに分解し、処理後のオゾ
ン含有排水は純水回収用配管9へ送液される。
【0036】第2の実施の形態にかかるオゾン含有排水
の処理方法を実施する処理装置を図2に示す。図2にお
いて、図1の処理装置と同一の構成要素には、同一符号
を付してその説明を省略し、図1と異なる点についての
み主に説明する(以下、図3〜図5においても同様であ
る。)。すなわち、図1と異なる点は、オゾン含有排水
処理系において、排水貯留タンク8を設けない点、オゾ
ン含有排水配管7に過酸化水素水注入配管16が接続さ
れている点、及びスタティックミキサー18を過酸化水
素水注入配管接続点以降に設置するとともに、過酸化水
素水を混合した後のオゾン含有排水中の残留オゾン濃度
を確認するための溶存オゾン濃度計17を設置している
点である。このような構成をとることにより、オゾン含
有排水配管7内にてオゾン含有排水と過酸化水素水が混
合され、さらにスタティックミキサー8により該混合が
一層促進される。
【0037】第3の実施の形態にかかるオゾン含有排水
の処理方法を実施する処理装置を図3に示す。図3にお
いて、図1と異なる点は、更に排水貯留タンク8の天井
部に過酸化水素水噴霧ノズル19を設置した点、及び排
水貯留タンク底部に撹拌機20を設置した点である。噴
霧ノズル19は、排水貯留タンクに貯留されたオゾン含
有排水の水面に過酸化水素水を噴霧し、撹拌機20は、
過酸化水素水とオゾン水の混合を促進する。
【0038】第4の実施の形態にかかるオゾン含有排水
の処理方法を実施する処理装置を図4に示す。図4にお
いて、図1と異なる点は、オゾン含有排水が、洗浄槽溢
出水受槽21にて受けられた後、オゾン含有排水配管7
へと排出される点及び、オゾン含有排水配管7、過酸化
水素水貯留タンク13、薬注ポンプ15、過酸化水素水
注入配管16及びスタティックミキサー18からなるオ
ゾン含有排水処理系が枠体で形成される洗浄部3の内部
に設置され、洗浄ユニットを形成した点にある。洗浄ユ
ニットには、第5の実施の形態例で使用される制御部
を、更に付設するものであってもよい。
【0039】第5の実施の形態にかかるオゾン含有排水
の処理方法を実施する洗浄装置を図5に示す。図5にお
いて、図1と異なる点は、制御部22、及び信号線23
からなる制御を行う制御系、溶存オゾン濃度計17、処
理前のオゾン含有排水を溶存オゾン濃度計に供給する未
処理溶存オゾン含有排水濃度測定用配管25、処理済み
オゾン水排水濃度測定用配管26、溶存オゾン濃度計1
7に供給する被測定オゾン水を切り替えるための三方弁
27よりなる溶存オゾン濃度測定系、及びオゾン含有排
水の流量を測定する流量計24を設置した点にある。処
理前後のオゾン含有排水の溶存オゾン濃度を溶存オゾン
濃度計17により計測し、且つオゾン含有排水の流量を
流量計24により計測し、これらの計測結果を、信号線
23を通じて制御部22に伝達する。制御部22は、伝
達されたオゾン含有排水のオゾン濃度及び流量に応じ
て、該溶存オゾン濃度計で測定されるオゾン含有排水を
処理した後の処理液中の溶存オゾン濃度を1mgO3/L以下
に到達させるべく、薬注ポンプ15を駆動して過酸化水
素水注入配管16より排水貯留タンク8に送る過酸化水
素水量を制御する。本発明で述べるオゾン含有排水処理
のために用いる過酸化水素水の注入量は、オゾン含有排
水の温度、全有機炭素濃度、流量などによって大きく変
動するため一概にはいえない。そこで、溶存オゾン濃度
計17にてオゾン含有排水中の残留オゾンが確認された
場合には更に過酸化水素水の注入量を増やすべく薬注ポ
ンプ15を制御すれば、オゾン含有排水中の残留溶存オ
ゾン濃度やオゾン含有排水量の変動によっても適切にオ
ゾン含有排水を処理できる。過酸化水素水混合後の残留
溶存オゾン濃度を監視して、残留溶存オゾン濃度が管理
値から外れている場合には薬注ポンプ15の過酸化水素
水吐出量を調整して過不足ない過酸化水素水注入ができ
る。管理値とは、例えば、オゾン含有排水に過酸化水素
水を注入した後の溶存オゾン濃度を5分以内に1mgO3/L
以下とする値である。
【0040】
【実施例】以下に本発明の実施例を例示するが、本発明
はこれら実施例により制限されるものではない。 (実験装置)実施例及び比較例の実験を行う実験装置を
図7に示す。図7において、超純水製造装置1から超純
水が供給され、オゾン水製造装置5にて製造されたオゾ
ン水は、以下に示す5つの配管を通って、流路切り替え
器32に供給されるようになっている。該流路切替え器
32から、上記5つの配管のうちただ一つの配管から送
水されるオゾン水が、溶存オゾン濃度計17a、17
b、及び17cに供給される。溶存オゾン濃度計17
a、17b、及び17cはそれぞれ流路切り替え器通過
後、10秒後、1分後、5分後での残留溶存オゾン濃度
を測定するものである。 ・第1配管;オゾン水供給配管6より供給される未処理
のオゾン水が流れる配管(配管6) ・第2配管;オゾン水にイソプロピルアルコール(IPA)
が添加された水、又は該オゾン水に過酸化水素水を混合
して処理した処理水が流れる配管(配管28) ・第3配管;オゾン水に過酸化水素水を混合して処理し
た処理水が流れる配管(配管29) ・第4配管;排水貯留タンク8内でオゾン水に過酸化水
素水を混合して処理された処理水が流れる配管(配管3
1) ・第5配管;紫外線照射により処理された処理水が流れ
る配管(配管36)
【0041】第2配管系において、IPA 添加手段は、IP
A 貯留槽33及びIPA 供給ポンプ34からなり、過酸化
水素添加手段は、過酸化水素水貯槽13、過酸化水素水
供給ポンプ15a及び過酸化水素供給配管16aとから
なり、IPA 及び過酸化水素添加箇所の下流にはスタティ
ックミキサー18を備える。また、第3配管系におい
て、過酸化水素添加手段は、過酸化水素水貯槽13、過
酸化水素水供給ポンプ15b及び過酸化水素水供給配管
16bとからなり、過酸化水素添加箇所の下流にはスタ
ティックミキサー18を備える。また、第4配管系にお
いて、排水貯留タンク8にはオゾン水供給配管6と、他
端が過酸化水素水供給ポンプ15cに接続する過酸化水
素水供給配管16cがそれぞれ接続され、更に、排水貯
留タンク8で処理された処理水を送水ポンプ30で流路
切替え器32に流すようにしている。また、第5配管系
には、紫外線照射装置35を付設している。
【0042】オゾンを溶解する超純水は前記表1に示す
水質のものを使用し、オゾン水濃度計17a、17b及
び17cは、紫外線吸光光度式溶存オゾン濃度計OZL-UI
-02(アプリクス社製)を使用し、オゾン水処理用に用
いた過酸化水素水は、市販の過酸化水素30%水溶液
(関東化学社製ELグレード)を使用した。また、紫外線
照射装置は、高出力紫外線流水殺菌装置HP-3S (フナテ
ック社製)を用い、内蔵する紫外線照射灯としては波長
254nmの紫外線を照射するものを3本用いた。
【0043】実施例1 図7に示した実験設備において、オゾン水製造装置5で
初期濃度30mgO3/Lとなるように製造したオゾン水を、
オゾン水供給配管6に流入させ、過酸化水素水注入配管
16bより、該オゾン水に溶存するオゾン1mgに対して
100%過酸化水素換算で0.005mlの過酸化水素水
を添加するように、過酸化水素水を供給し、スタティッ
クミキサー18で混合して処理した。得られた処理水を
オゾン水供給配管29より流路切替え器32を経て、溶
存オゾン濃度計17a、17b及び17cに対して、そ
れぞれ、流路切替え器32を通過して10秒後、1分後
及び5分後の処理水を供給して、残留溶存オゾン濃度を
測定した。結果を表2に示す。表中、過酸化水素水注入
量は、過酸化水素水の注入量を100%過酸化水素(液
体、比重1.4422)の注入量に換算した値を示す
(以下の実施例及び比較例について同様である。)。
【0044】実施例2 過酸化水素の添加量0.005mlに代えて、0.75ml
とする以外は、実施例1と同様に実験操作を行った。結
果を表2に示す。
【0045】実施例3 図7に示した実験設備において、オゾン水製造装置5で
初期濃度30mgO3/Lとなるように製造したオゾン水を、
排水貯槽タンク8に流入させ、過酸化水素水注入配管1
6cより、該オゾン水に溶存するオゾン1mgに対して1
00%過酸化水素換算で0.005mlの過酸化水素水を
添加するように、排水貯槽タンク8に対して過酸化水素
を供給混合して処理した。得られた処理水を送水ポンプ
30の駆動力で、オゾン水供給配管31より流路切替え
器32を経て、溶存オゾン濃度計17a、17b及び1
7cに対して、それぞれ、流路切替え器32を通過して
10秒後、1分後及び5分後の処理水を供給して、残留
溶存オゾン濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0046】実施例4 過酸化水素の添加量0.005mlを、0.75mlと変更
する以外は、実施例3と同様に実験操作を行った。結果
を表2に示す。
【0047】比較例1 図7に示した実験設備において、オゾン水製造装置5で
初期濃度30mgO3/Lとなるように製造したオゾン水を、
オゾン水供給配管6より流路切替え器32を経て、溶存
オゾン濃度計17a、17b及び17cに対して、それ
ぞれ、流路切替え器を通過して10秒後、1分後及び5
分後のオゾン水を供給して、残留溶存オゾン濃度を測定
した。結果を表2に示す。
【0048】比較例2 図7に示した実験設備において、オゾン水製造装置5で
初期濃度30mgO3/Lとなるように製造したオゾン水を、
紫外線照射装置35に流入させ、紫外線照射により該オ
ゾン水を処理した。得られた紫外線による処理水を、オ
ゾン水供給配管36により流路切替え器32を経て、溶
存オゾン濃度計17a、17b及び17cに対して、そ
れぞれ、流路切替え器32を通過して10秒後、1分後
及び5分後の処理水を供給して、残留溶存オゾン濃度を
測定した。結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】表2から、比較例1に示すように、何ら処
理することなくオゾンの自己分解による濃度減衰だけに
よれば、流路切り替え器32を通過後5分のオゾン含有
排水中の残留溶存オゾン濃度は14 mgO3/L と高い。こ
れに対し、実施例1及び2のように、排水配管中でオゾ
ン含有排水に過酸化水素を混合した場合には、オゾン水
1 mgO3/L 、1リットル当たり0.75mlの過酸化水素
水を混合するだけで約10秒後には残留溶存オゾン濃度
が0.9 mgO3/L まで低下し、1分後には完全に分解処
理されている。更に0.005ml という極めて少量の過酸化
水素を添加した場合でも5分後には完全に分解処理でき
た。
【0051】また、実施例3及び実施例4の結果から、
貯留タンク内にてオゾン含有排水と過酸化水素水を混合
した場合には、更に効率よく分解処理できる。すなわ
ち、配管中でオゾン含有排水に過酸化水素水を混合する
場合(実施例1及び2)と比較して貯留タンク内で混合
する場合(実施例3及び実施例4)では、同じ経過時間
における残留溶存オゾン濃度が更に低くなっている。比
較例2に示すように、紫外線照射装置を用いた場合には
1 mgO3/L 以下にするのに5分必要であった。
【0052】実施例5〜8、比較例3及び4 初期濃度が5 mgO3/L であるオゾン水を製造して使用す
る以外は、実施例1〜4、比較例1及び2とそれぞれ同
様の方法で実験を行った。結果を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】表3から、比較例3に示すように、何ら処
理することなくオゾンの自己分解による濃度減衰だけに
よれば、流路切り替え器32を通過後5分のオゾン含有
排水中の残留溶存オゾン濃度は3.0 mgO3/L と高い。
これに対し、排水配管中でオゾン水に過酸化水素水を混
合した場合には、実施例6に示すように、溶存オゾン1
mgあたり 0.75mlの100%過酸化水素を混合する
だけで約10秒後には残留オゾンは完全に分解処理され
ている。更に実施例5に示すように、0.005mlとい
う極めて少量の過酸化水素を添加した場合でも1分後に
は1 mgO3/L 以下にまで低減でき、5分後には完全に分
解処理できた。
【0055】また、実施例7及び8に示すように、排水
貯留タンク8内にてオゾン含有排水と過酸化水素水を混
合した場合には、更に効率よく分解処理できる。すなわ
ち、配管中でオゾン含有排水に過酸化水素水を混合する
場合(実施例5及び6)と比較して貯留タンク内で混合
する場合(実施例7及び8)では、同じ経過時間におけ
る残留溶存オゾン濃度が更に低くなっている。従来法で
ある紫外線照射装置を用いた場合には1 mgO3/L 以下に
するのに10秒で十分であったが、完全に分解するには
5分必要であった。
【0056】実施例9 図7に示した実験設備において、オゾン水製造装置5で
初期濃度30mgO3/Lとなるように製造したオゾン水を、
オゾン水供給配管6に流通させ、IPA 注入ポンプ34よ
り、該オゾン水のTOC 濃度が10μgC/Lとなるように、
IPA ( 関東化学社製 ELグレードIPA ) を注入した。さ
らに、過酸化水素水注入配管16aより、前記オゾン水
に溶存するオゾン1mgに対して100%過酸化水素換算
で0.75mlの過酸化水素を添加し、スタティックミキ
サー18により混合して処理した。得られた処理水を、
オゾン水供給配管28より流路切替え器32に供給し
た。流路切替え器32から溶存オゾン濃度計17a、1
7b及び17cに対して、それぞれ、流路切替え器32
を通過して10秒後、1分後、及び5分後の処理水を供
給して、残留溶存オゾン濃度を測定した。結果を表4に
示す。
【0057】実施例10 前記オゾン水のTOC 濃度10μgC/Lに代えて、IPA 添加
濃度を増加し、該オゾン水のTOC 濃度を100μgC/Lと
する以外には、実施例9と同様に実験を行った。結果を
表4に示す。
【0058】比較例5 過酸化水素を添加しないこと以外は、実施例9と同様に
実験を行った。結果を表4に示す。
【0059】比較例6 前記オゾン水のTOC 濃度10μgC/Lに代えて、IPA 添加
濃度を増加し、該オゾン水のTOC 濃度を100μgC/Lと
し、且つ過酸化水素を添加しないこと以外は、実施例9
と同様に実験を行った。結果を表4に示す。
【0060】比較例7 前記オゾン水のTOC 濃度10μgC/Lに代えて、IPA 添加
濃度を増加し、該オゾン水のTOC 濃度を120μgC/Lと
なるようにした以外には、実施例9と同様に実験を行っ
た。結果を表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】表4から、比較例5に示すように、何ら処
理することなくオゾンの自己分解による濃度減衰だけに
よれば、流路切り替え器32を通過後5分のオゾン含有
排水中の残留溶存オゾン濃度は27.5mgO3/Lと高く、
表1で示した有機物を添加していないオゾン水に比べて
自己分解の速度が大幅に遅い。また、TOC 濃度が高くな
るほど残留溶存オゾン濃度は高くなる傾向があり、過酸
化水素水混合後でもこの傾向は同様である。これらの結
果から、TOC 濃度が120μgC/lの場合には過酸化水素
水の注入量がかなり多くなってしまうことから、オゾン
含有排水処理としてはオゾン水中のTOC 濃度が110μ
gC/l以下であることが好ましい。
【0063】実施例11及び12、比較例8〜10 オゾン水製造装置5により製造するオゾン水の初期濃度
を5mgO3/Lとする以外は、実施例9及び10、比較例5
〜7と同様に実験を行った。結果を表5に示す。
【0064】
【表5】
【0065】表5から、何ら処理することなくオゾンの
自己分解による濃度減衰だけによれば、流路切り替え器
32を通過後5分のオゾン含有排水中の残留溶存オゾン
濃度は4.2mgO3/Lと高く、表1で示した有機物を添加
していないオゾン水に比べて自己分解速度が大幅に遅
い。また、TOC 濃度が高くなるほど残留溶存オゾン濃度
は高くなる傾向があり、過酸化水素水混合後でもこの傾
向は同様である。これらの結果から、TOC 濃度が120
μgC/Lの場合には過酸化水素水の注入量がかなり多くな
ってしまうことから、オゾン含有排水処理としてはオゾ
ン水中のTOC 濃度は110μgC/L以下であることが好ま
しい。
【0066】
【発明の効果】本発明(1)によれば、自己分解による
溶存オゾン濃度の半減期を短くすることができるととも
に、微量の過酸化水素により、残留オゾンの分解速度を
飛躍的に向上させることができる。この結果として、オ
ゾン含有排水を安価で簡便に、且つ低エネルギーで極め
て高効率で処理することができる。また、本発明(2)
によれば、前記(1)に記載の発明と同様の効果を奏す
る他、オゾン水を処理するために添加する過酸化水素の
混合量を極微量な範囲で適宜に決定できるため、安価
で、且つオゾン水処理後に過剰の過酸化水素が残留する
ことがなく好ましい。また、本発明(3)によれば、前
記(1)又は(2)に記載の発明と同様の効果を奏する
他、混合方法を限定することにより、さらにオゾン分解
効率を高めることができる。また、本発明(4)によれ
ば、前記(3)に記載の発明と同様の効果を奏する他、
過酸化水素水の混合量が微量であるにもかかわらず、過
酸化水素水とオゾン水との混合当初は高濃度の過酸化水
素と接触することとなり、その後もオゾン分解時に生成
する活性種が連鎖的にオゾンの分解を引き起こすことで
効果的なオゾン含有排水処理が実現できる。また、本発
明(5)によれば、前記(1)又は(2)に記載の発明
と同様の効果を奏する他、オゾン含有排水処理系のため
の占有面積を最小に抑えることができるので好ましい。
また、本発明(6)によれば、オゾン含有排水流量、オ
ゾン含有排水中の残留溶存オゾン濃度、排水中の全有機
炭素濃度などの変動に鋭敏に追従して過不足なく過酸化
水素水の注入ができるのできわめて好ましい。また、本
発明(7)によれば、オゾン含有排水は洗浄ユニット内
で処理されるので、洗浄ユニットに接続される排水送水
配管はオゾン水耐性を備える必要がないので好ましい。
また、可搬式にできるため、修理などにおける交換作業
が楽になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態におけるオゾン含有排水の処
理装置を示す。
【図2】第2の実施の形態におけるオゾン含有排水の処
理装置を示す。
【図3】第3の実施の形態にかかるオゾン含有排水の処
理処理装置を示す。
【図4】第4の実施の形態にかかるオゾン含有排水の処
理装置を示す。
【図5】第5の実施の形態にかかるオゾン含有排水の処
理装置を示す。
【図6】従来のオゾン含有排水の処理装置を示す。
【図7】実施例及び比較例の実験を行う実験装置を示
す。
【符号の説明】
1 超純水製造装置 2 超純水供給配管 3 洗浄部 4、25、26、28、29、31、36 配管 5 オゾン水製造装置 6 オゾン水供給配管 7 オゾン含有排水配管 8 排水貯留タンク 9 純水回収用排水配管 10、11、12 洗浄槽 13 過酸化水素水貯留タンク 14 過酸化水素水 15、15a〜15c 薬注ポンプ 16、16a〜16c 過酸化水素水注入配管 17、17a〜17c 溶存オゾン濃度計 18 スタティックミキサー 19 噴霧ノズル 20 攪拌機 22 制御部 23 信号線 24 流量計 27 三方弁 30 送水ポンプ 32 流路切替え器 33 IPA 貯留槽 34 IPA 供給ポンプ 35 紫外線照射装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オゾン含有排水に過酸化水素水を混合す
    ることによってオゾン含有排水中の残留オゾンを処理す
    る方法であって、前記オゾン含有排水は、全有機炭素濃
    度が110μgC/L以下のものであることを特徴とするオ
    ゾン含有排水の処理方法。
  2. 【請求項2】 過酸化水素水を、前記オゾン含有排水に
    残留するオゾン1mgに対して、過酸化水素濃度100%
    相当で0.001〜1.0ml添加することを特徴とする
    請求項1に記載のオゾン含有排水の処理方法。
  3. 【請求項3】 オゾン含有排水貯留槽を設け、該オゾン
    含有排水貯留槽において、前記過酸化水素水とオゾン含
    有排水とを混合することを特徴とする請求項1又は2に
    記載のオゾン含有排水の処理方法。
  4. 【請求項4】 予め、前記オゾン含有排水貯留槽に前記
    過酸化水素水を滴下し、次いで、オゾン含有排水を該オ
    ゾン含有排水貯留槽に流入させて混合することを特徴と
    する請求項3に記載のオゾン含有排水の処理方法。
  5. 【請求項5】 オゾン含有排水用配管に、前記過酸化水
    素水を添加する過酸化水素水注入部を備え、該オゾン含
    有排水用配管中で、前記過酸化水素水とオゾン含有排水
    とを混合することを特徴とする請求項1又は2に記載の
    オゾン含有排水の処理方法。
  6. 【請求項6】 過酸化水素水貯留タンクと、過酸化水素
    水送液用ポンプと、オゾン含有排水貯留タンクまたはオ
    ゾン含有排水配管に過酸化水素水を合流させるための配
    管と、過酸化水素水を混合後または混合前後のオゾン含
    有排水中の残留オゾン濃度を測定するための溶存オゾン
    濃度計と、該溶存オゾン濃度計で測定される溶存オゾン
    濃度を過酸化水素水混合後から5分以内に1mgO3/L以下
    に到達させるように過酸化水素水送液用ポンプの吐出量
    を制御する制御部と、からなることを特徴とするオゾン
    含有排水処置装置。
  7. 【請求項7】 オゾン水により被処理物を洗浄する洗浄
    部と、 過酸化水素水貯留タンクと、過酸化水素水送液用ポンプ
    と、前記洗浄部から排出されるオゾン含有排水に過酸化
    水素水を合流させるための配管と、過酸化水素水を混合
    後または混合前後のオゾン含有排水中の残留溶存オゾン
    濃度を測定するための溶存オゾン濃度計と、該溶存オゾ
    ン濃度計で測定した溶存オゾン濃度を過酸化水素水混合
    後から5分以内に1mgO3/L以下に到達させるように過酸
    化水素水送液用ポンプの吐出量を制御する制御部からな
    るオゾン含有排水処置装置と、を備え、且つこれらの構
    成部材を一つの枠体に収納したこと特徴する洗浄ユニッ
    ト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0747377A (ja) * 1993-08-06 1995-02-21 Permelec Electrode Ltd オゾン水処理方法及び装置
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