JP2002208894A - 光通信方法およびその方法を用いた光通信装置 - Google Patents

光通信方法およびその方法を用いた光通信装置

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JP2002208894A
JP2002208894A JP2001003232A JP2001003232A JP2002208894A JP 2002208894 A JP2002208894 A JP 2002208894A JP 2001003232 A JP2001003232 A JP 2001003232A JP 2001003232 A JP2001003232 A JP 2001003232A JP 2002208894 A JP2002208894 A JP 2002208894A
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fiber
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Kazuro Kikuchi
和朗 菊池
Yuichi Takushima
裕一 多久島
Kenneth Zhaboronski Mark
ケンネス ジャボロンスキー マーク
Yuichi Tanaka
佑一 田中
Haruki Kataoka
春樹 片岡
Kenji Kojo
健司 古城
Shin Azuma
伸 東
Kazuya Sato
一也 佐藤
Hiroshi Yaguchi
寛 矢口
Shiro Yamashita
史郎 山下
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Oyokoden Lab Co Ltd
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Oyokoden Lab Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来、通信ビットレートが10Gbps以
上、特に40Gbps以上の光通信においては、光ファ
イバを伝送する信号に波長分散が生じ、通信上大きな支
障があり、これを解決する案として、伝送路にノンゼロ
分散シフトファイバ(NZ−DSF)を用い、それにS
MFと高次モードファイバで分散を補償することも考え
られるが、十分な分散補償ができないこと、分散補償に
よる損失が大きいこと、装置が大型になり、コストも高
いことなど多くの課題があった。 【解決手段】 分散補償を比較的広い波長域にわたって
行う第1の分散補償部と、比較的狭い波長域にわたって
行う第2の分散補償部とに分けて行い、第1の分散補償
部には、たとえば、SMFを配置し、第2の分散補償部
には、たとえば、多層膜を用いた光分散補償素子を配置
して、課題を解決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の以下の説明におい
て、光分散補償のことを単に分散補償とも称し、光分散
補償素子のことを単に分散補償素子ともいい、光分散補
償方法のことを単に分散補償方法ともいう。
【0002】本発明は、伝送路に光ファイバ(以下、光
ファイバのことを、単に、ファイバともいう)を用い、
信号光として、たとえば、これに限定されないが、波長
が1.55μm近傍の光などを用いる光通信において生
ずる分散を補償して光通信を行う通信方法とその方法を
用いた光通信装置に関する。
【0003】本発明では、ファイバを用いた伝送路を伝
送される信号光の波長分散(以下、単に、分散ともい
う)を補償するのに後述の2次以上の分散を補償可能な
素子(以下、2次の分散を補償可能な素子のことを2次
の分散を変えることができる素子、あるいは、2次分散
補償素子ともいう。また、後述の3次の分散を補償可能
な素子についても、これと同様に、3次の分散を変える
ことができる素子、あるいは、3次分散補償素子ともい
う。)を有する分散補償素子を使用する。
【0004】そして、本発明で使用する前記分散補償素
子は、単一の分散補償素子の形態の場合もあるが、分散
補償素子を複数あるいは複数組組み合わせた場合もあ
り、それらの分散補償素子として、前記分散補償素子を
少なくとも一対、光の入射面を対向させて配置した分散
補償素子を含む、複合型の光分散補償素子の場合もあ
る。
【0005】本発明に用いる分散補償素子は、少なくと
もその一部に、多層膜で構成された分散を補償すること
ができる素子を用いている。
【0006】本発明に用いる分散補償素子は、前記の3
次分散補償素子だけの場合もあり、入射面内における入
射光の入射位置等を変化させる手段を含む場合もあり、
また、3次以上の分散補償のみならず、2次の分散補償
が可能なように構成されている場合もあり、ケースに実
装されている場合もあり、ケースに実装されていないい
わゆるチップ状やウェハー状の場合もある。
【0007】本発明に用いる分散補償素子は、これらの
すべての形態を含んでおり、使用状況や販売などの目的
に応じて、種々の形態をとることができるものである。
【0008】本発明では、2次の分散補償とは「図8
(A)を用いて後述する波長−時間特性曲線の傾きを補
償すること」を意味し、3次の分散補償とは「図8
(A)を用いて後述する波長−時間特性曲線の曲がりを
補償すること」を意味する。
【0009】
【従来の技術】通信伝送路に光ファイバを用いる光通信
においては、利用技術の進展および利用範囲の拡大とと
もに、通信伝送路の長距離化や通信ビットレートの高速
化が求められている。このような環境下では、光ファイ
バを伝送するときに生じる分散が大きな問題となり、分
散の補償が種々試みられている。現在、2次の分散が大
きな問題となり、その補償が種々提案され、そのうちの
いくつかの提案が効果をあげている。
【0010】しかし、光通信に対する要求が高度になる
につれて、2次の分散の補償だけでは不充分になり、3
次の分散の補償が課題になりつつある。
【0011】以下、図8および図9を使用して、従来の
2次の分散補償方法を説明する。
【0012】図9は、シングルモードファイバ(以下、
SMFとも称す)と分散補償ファイバ、および分散シフ
トファイバ(以下、DSFともいう)の分散−波長特性
を説明する図である。
【0013】図9において、符号601はSMFの分散
−波長特性を示すグラフ、602は分散補償ファイバの
分散−波長特性を示すグラフ、603はDSFの分散−
波長特性を示すグラフで、縦軸を分散、横軸を波長にと
ったグラフである。
【0014】図9で明らかなように,SMFでは、ファ
イバに入力する(以下、入射するともいう)光の波長が
1.3μmから1.8μmへと長くなるにつれて分散は
増大し,分散補償ファイバでは,ファイバへの入力光
(以下、入射光ともいう)の波長が1.3μmから1.
8μmまで長くなるにつれて分散は減少する。また、D
SFでは、ファイバへの入力光の波長が1.2μmから
1.55μm付近へと長くなるにつれて分散は減少し、
入力光の波長が1.55μm付近から1.8μmへと長
くなるにつれて分散が増大する。
【0015】そして、DSFでは、従来の2.5Gbp
s(毎秒2.5ギガビット)程度の通信ビットレートの
光通信においては、入力光の波長が1.55μm付近で
は、信号光に生じる分散は光通信上支障を生じないこと
が知られている。
【0016】図8は、主として2次の分散の補償方法を
説明する図であり、(A)は波長−時間特性と光強度−
時間特性を、(B)はSMFを用いた伝送路において分
散補償ファイバを用いて分散補償を行った伝送例を、
(C)はSMFだけで構成した伝送路での伝送例を説明
する図である。
【0017】図8において、符号501と511は伝送
路に入力する前の信号光の特性を示すグラフを、530
はSMF531で構成された伝送路を、502と512
は、グラフ501と511で示した特性の信号光が伝送
路530を伝送されて伝送路530から出力された状態
での信号光の特性を示すグラフ、520は分散補償ファ
イバ521とSMF522から構成された伝送路、50
3と513は、グラフ501と511で示した特性の信
号光が伝送路520を伝送されて伝送路520から出力
された状態での信号光の特性を示すグラフである。符号
504および514は、グラフ501と511で示した
特性の信号光が伝送路520を伝送されて伝送路520
から出力されて後、本発明に用いる分散補償素子によっ
て後述の望ましい3次分散補償を施したときの信号光の
特性を示すグラフであり、グラフ501および511と
ほとんど一致している。グラフ501、502、50
3、504はそれぞれ縦軸を波長、横軸を時間(または
時刻)にとったグラフであり、グラフ511、512、
513、514はそれぞれ縦軸を光強度、横軸を時間
(または時刻)にとったグラフである。なお、符号52
4と534は送信器、525と535は受信器である。
【0018】従来のSMFは、前述のように、信号光の
波長が1.3μmから1.8μmへと長くなるにつれて
分散が増加するため、高速通信や長距離伝送の際には、
分散による群速度遅延を生じる。SMFで構成された伝
送路530では、信号光は伝送中に長波長側が短波長側
に比べ大きく遅延して、グラフ502と512に示すよ
うになる。このように変化した信号光は、たとえば高速
通信・長距離伝送においては、正確な信号として受信で
きない場合がある。
【0019】このような問題を解決するため、従来は、
たとえば、図8(B)に示すように分散補償ファイバを
用いて分散を補償(あるいは、補正ともいう)してい
る。
【0020】従来の分散補償ファイバは、波長が1.3
μmから1.8μmへと長くなるにつれて分散が増加す
るというSMFの問題点を解決するため、前述のよう
に、波長が1.3μmから1.8μmへと長くなるにつ
れて分散が減少するように作られている。
【0021】分散補償ファイバは、たとえば、図8の伝
送路520で示すように、SMF522に分散補償ファ
イバ521を接続して用いることができる。上記伝送路
520では、信号光は、SMF522では長波長側が短
波長側に比べて大きく遅延し、分散補償ファイバ521
では短波長側が長波長側に比べて大きく遅延することに
より、グラフ503と513に示すように、グラフ50
2と512に示す変化よりも変化量を小さく抑えること
が出来る。この分散補償は、波長−時間特性曲線の傾き
を補償する、いわゆる2次の分散補償である。
【0022】しかし、分散補償ファイバを使用した上記
従来の2次の波長分散の補償方法では、伝送路を伝送し
た信号光の波長分散を、伝送路に入力する前の信号光の
状態、すなわち、グラフ501の形までには分散補償す
ることができず、グラフ503の形まで補償するのが限
界である。グラフ503に示すように、分散補償ファイ
バを使用した従来の2次の波長分散の補償方法では、信
号光の中心波長の光が短波長側の光および長波長側の光
に比べて遅延せず、信号光の中心波長成分の光より短波
長側および長波長側の成分の光のみが遅延する。そし
て、グラフ513に示すようにグラフの一部にリップル
が生じることがある。
【0023】これに対して、後述するように、信号光の
中心波長の光がそれより短い波長および長い波長の光よ
りも遅延するような本発明で使用する分散補償素子を用
いて、信号光に補償されずに残った分散を補償すること
により、図8に符号504と514で示すように、ほぼ
完全に送信側の信号光と同じ形の特性曲線を有する信号
光として受信することができるようになる。このような
波長−時間特性曲線の曲がりの補償が、いわゆる3次の
分散補償である。
【0024】上記従来の3次の分散が適切に補償されず
に残された現象は、光通信の伝送距離の長距離化と通信
速度の高速化のニーズが高まるに従い、正確な信号受信
ができなくなるなどの大きな問題となりつつある。たと
えば、通信ビットレートが40Gbps(毎秒40ギガ
ビット)以上の高速通信においては、これらの現象がか
なり心配されており、たとえば、通信ビットレートが4
0Gbpsで1万kmを送信したり、80Gbpsで1
000kmオーダーの長い距離を送信したりする通信に
おいては極めて重大な課題となっている。
【0025】そして、このような高速・長距離通信にお
いては、従来の光ファイバ通信システムを使用すること
は困難と考えられており、たとえば、光ファイバ自体の
材質も変える必要が叫ばれるなど、システム構築の経済
的な観点からも重大問題となっている。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】このような分散の補償
を行うには、2次の分散補償だけでは困難であり、3次
以上の分散補償が必要になる。
【0027】従来、波長が1.55μm付近の光に対し
て2次の分散が少なくなるような光ファイバとしてDS
Fがあるが、このファイバだけでは前述の、図8、図9
の特性からも明らかなように、本発明の課題とする3次
の分散補償はできない。
【0028】また、光ファイバ自体の材質として、例え
ば、ノンゼロ・分散シフトファイバ(以下、NZ−DS
Fともいう)を伝送路に用い、それにSMFと高次モー
ドファイバを光路に直列に接続して、SMFにより2次
の分散を補償し、高次モードファイバによって3次の分
散を補償することも考えられるが、低損失での3次の分
散補償が難しいだけでなく、各信号光毎に異なっている
分散を十分に補償することが難しく、信号光の実用的な
レベルまでの分散補償が難しく、従来の課題の解決には
至らなかった。
【0029】光通信の高速通信化、長距離通信化を実現
するにあたり、3次の分散は大きな問題として次第に認
識され、その補償が重要な課題となりつつある。3次の
分散の補償問題を解決すべく、多くの試みが行なわれて
いるが、従来の課題を十分に解決することができる3次
分散補償素子や補償方法はまだ実用化されていない。
【0030】前記の3次分散の補償に用いる光分散補償
素子の一例として本発明者らが提案した誘電体などの多
層膜は、3次の分散補償に成功し、従来の光通信技術を
大きく前進させることが出来た。
【0031】しかし、たとえば通信ビットレートを40
Gbps、80Gbpsなどのように高速化した場合の
3次の分散補償を理想的に行ったり、複数チャネルの光
通信における3次の分散の補償を十分に行うには、さら
に広い波長域において、2次と3次以上の分散を十分に
補償できる分散補償素子の実用化が望まれている。
【0032】その1つの提案として、本発明の発明者ら
によって、群速度遅延の波長帯域および群速度遅延時間
を調整可能な3次分散補償素子の提案が行われている。
特に、各チャネルの波長にも適する3次以上の分散補償
素子を安価に実用化する1つの方法として、本発明の発
明者らは、波長可変な(すなわち、分散補償対象波長を
選択可能な)分散補償素子を提案した。
【0033】しかしながら、たとえば、40Gbpsで
1万kmや80Gbpsで1000kmオーダーの高速
・長距離では、これらの分散補償素子を単に用いただけ
では広い波長域で十分な分散補償を行うことはかなり難
しい。
【0034】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、本発明の目的は、光通信における各チャネル
毎に分散レベルの異なる信号光の少なくとも2次と3次
の分散を、適宜補償することができる、安価で小型な光
通信装置と光通信方法を提供することである。
【0035】
【課題を解決するための手段】本発明の光通信方法およ
びその方法を利用した光通信装置は、伝送路を伝送され
た信号光に生じている分散を、第1の分散補償部と第2
の分散補償部によって、少なくとも、二段階に分けて内
容の異なる分散補償をすることにより、前記の課題を解
決している。その特徴を以下に詳述する。
【0036】本発明の目的の達成を図るために、本発明
の光通信方法は、光通信において波長分散を補償するこ
とができる光通信方法であって、少なくとも主たる伝送
路としてのファイバと前記ファイバを伝送された信号光
を分波する少なくとも1台の波長分波器とを有する通信
システム中に、比較的広い波長域にわたる信号光に対し
て分散補償を行なうことが出来る第1の分散補償部と、
前記波長分波器を介して前記比較的広い波長域よりも狭
い複数の波長域に分波された各波長域の信号光に対して
それぞれ独立に分散補償を行うことができる第2の分散
補償部とを配置して分散補償を行うことを特徴としてい
る。
【0037】本発明の光通信方法の好適な例は、前記第
1の分散補償部には、少なくとも、前記主たる伝送路に
使用されているファイバとは正負の符号の異なる分散傾
向を有する光ファイバを配置して、前記第2の分散補償
部には、波長分波器あるいは前記波長分波器により分波
された光路の少なくとも1つに、3次の分散を補償する
ことができる光分散補償素子を含む光分散補償素子を配
置して、信号光に対して分散補償を行うことを特徴とし
ている。
【0038】そして、本発明の光通信方法の好適な例で
は、伝送路に主としてNZーDSFを用いた場合、前記
第1の分散補償部にSMFを配置し、前記第2の分散補
償部の波長分波器あるいは波長分波器により分波された
光路の少なくとも1つに、SMFと前記3次の分散を補
償することができる光分散補償素子とを信号光の光路に
沿って直列に配置して分散を補償することもできる。
【0039】そして、前記分波された光路に配置される
SMFの長さを各光路毎に異なるようにすることによっ
て、本発明の効果を一層高めることができる。
【0040】また、第2の分散補償部の前記分波された
光路に配置されるSMFに加えてNZーDSFを接続す
ることもできる。
【0041】そして、前記第2の分散補償部の分波され
た各光路に配置される前記SMFとNZ−DSFの長さ
を適切に調節して、分散補償を確実に行うことが出来る
ようにするとともに、各光路の信号光の通過時間をほぼ
同一にすることが出来る。
【0042】そして、本発明の光通信方法の例では、前
記第1の分散補償部に、高次モードファイバを配置して
分散を補償することもできる。
【0043】そして、本発明の光通信方法の例は、前記
第2の分散補償部が配置される波長分波器あるいは波長
分波器により分波された光路の少なくとも1つに前記第
2の分散補償部の構成要素としての、高次モードファイ
バを配置して分散を補償することもできる。。
【0044】そして、本発明の光通信方法の好適な例
は、前記光分散補償素子が多層膜を有する光分散補償素
子であることを特徴としている。
【0045】そして、本発明の目的の達成を図るため、
本発明の前記光通信方法の技術思想を用いた光通信装置
は、光通信に使用して分散を補償することができる光通
信装置であって、比較的広い波長域にわたって分散補償
を行なうことが出来る第1の分散補償部と、前記比較的
広い波長域よりも狭い複数の波長域に分波された各波長
域ごとに分散補償を行うことができる第2の分散補償部
とを有することを特徴としている。
【0046】そして、本発明の光通信装置の好適な例
は、前記第1の分散補償部には、少なくとも、光通信の
主たる伝送路に使用されているファイバとは正負の符号
の異なる分散傾向を有するファイバを配置してあり、前
記第2の分散補償部には、3次の分散を補償することが
できる光分散補償素子を少なくとも1つ配置してあるこ
とを特徴としている。
【0047】そして、本発明の光通信装置の好適な例で
は、前記第1の分散補償部には、少なくとも、SMFを
配置し、前記第2の分散補償部には、波長分波器または
前記波長分波器により分波された光路の少なくとも1つ
に、前記第2の分散補償部の構成要素としてのSMFと
前記3次の分散を補償することができる光分散補償素子
とを光路に沿って直列に配置することもできる。そし
て、前記第2の分散補償部の構成要素としてのSMFの
長さを、その配置される光路の信号光の波長に対応して
異なる長さにすることにより、本発明の効果を一層大き
なものにすることができる。
【0048】そして、本発明の光通信装置の例では、前
記第1の分散補償部に、高次モードファイバを配置する
こともできる。
【0049】そして、本発明の光通信装置の例では、前
記第2の分散補償部に、高次モードファイバを配置する
こともできる。
【0050】そして、本発明の光通信装置の好適な例
は、前記光分散補償素子が多層膜を有する光分散補償素
子であることを特徴としている。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。なお、説明に用いる各図は
本発明を理解できる程度に各構成成分の寸法、形状、配
置関係などを概略的に示してある。そして本発明の説明
の都合上、部分的に拡大率を変えて図示する場合もあ
り、本発明の説明に用いる図は、必ずしも実施例などの
実物や記述と相似形でない場合もある。また、各図にお
いて、同様な構成成分については同一の番号を付けて示
し、重複する説明を省略することもある。
【0052】本発明を説明するにあたり、まず、本発明
に用いる大きな特徴を有する多層膜を用いた光分散補償
素子について説明する。
【0053】図1は光ファイバを伝送路に用いる通信に
おいて生じる3次の分散を光分散補償素子で補償する方
法を説明する図で、符号1101は伝送路を伝送させた
信号光の2次の分散を補償して残った3次の分散を示す
群速度遅延時間−波長特性曲線、1102は3次の分散
を補償することができる光分散補償素子の群速度遅延時
間−波長特性曲線で、1103は、曲線1101の分散
特性を有する信号光の分散を、曲線1102の分散特性
を有する分散補償素子に入射させて分散を補償したあと
の補償対象波長域λ1〜λ2の間の群速度遅延時間−波長
特性曲線で、縦軸は群速度遅延時間、横軸は波長であ
る。
【0054】図2〜図4は、本発明に用いる各光分散補
償素子(本発明では、前記の如く、単体の光分散補償素
子、複合型の光分散補償素子やそれを構成する各光分散
補償素子、そしてそれらのうちで、たとえば、入射面を
対向して配置される各光分散補償素子単体などを特に区
別を必要としないときは、それらをそれぞれ光分散補償
素子と称することもあり、特に、前記入射面を対向して
配置されている各光分散補償素子単体を区別して述べる
必要があるときは、光分散補償素子単体と称することも
ある。)を構成する分散補償を行うことが出来る素子の
例を説明する図で、図2は後述の多層膜の断面図、図3
は膜厚を変化させた多層膜の斜視図、図4は多層膜の群
速度遅延時間−波長特性曲線である。
【0055】図2は本発明に用いる3次の光分散補償素
子の例として用いる多層膜の断面をモデル的に説明する
図である。図2において、符号100は本発明に用いる
光分散補償素子の例としての多層膜、101は入射光の
方向を示す矢印、102は出射光の方向を示す矢印、1
03、104は反射率が100%未満の反射層(以下、
反射膜あるいは光反射層ともいう)、105は反射率が
98〜100%の反射層、108、109は光透過層
(以下、単に透過層ともいう)、111、112はキャ
ビティである。また、符号107は基板で、たとえば、
BK―7ガラス(ドイツ、ショット社の商品名)を使用
している。
【0056】図2の各反射層103、104、105の
各反射率をR(103)、R(104)、R(105)
とすると、それらは、R(103)≦R(104)≦R
(105)の関係にある。各反射層の反射率を、少なく
とも光透過層を挟んで隣り合う反射層間において互いに
異なるように設定することが量産上好ましい。すなわ
ち、入射光が入射する側から多層膜の厚み方向(すなわ
ち、基板107の方向)に向かって、入射光の中心波長
λに対する各反射層の反射率が次第に大きくなるように
形成する。そして、好ましい例として、各反射層の前記
波長λの光に対する反射率を、60%≦R(103)≦
77%、96%≦R(104)≦99.8%、98%≦
R(105)の範囲にし、前記反射率R(103)、R
(104)、R(105)の大小関係を満たすように構
成することにより、後述の図4,図5に示すような群速
度遅延時間−波長特性曲線を得ることができる。そし
て、R(103)<R(104)<R(105)にする
ことがより好ましく、R(105)を100%に近づけ
るか100%にすることがより好ましく、本発明に用い
る光分散補償素子の性能を一層高めることができる。
【0057】そして、本発明に用いる光分散補償素子を
より製造し易くするために、隣り合う各反射層間の光路
長として考えたときの間隔がそれぞれ異なるように各反
射層の形成条件を選ぶことが好ましく、その結果、各反
射層の反射率の設計条件をゆるめることができ、膜厚が
波長λの4分の1の単位膜の組み合わせ(すなわち、λ
/4の整数倍の膜厚の膜)で本発明に用いる2次や3次
の光分散補償素子に用いる多層膜を形成することがで
き、その結果、特に、信頼性が高く、量産性の優れた光
分散補償素子を安価に提供することができる。
【0058】なお、前記多層膜の単位膜の膜厚が波長λ
の4分の1であると記載したが、これは、前記の如く、
量産における膜の形成で許容される誤差の範囲内におい
てλ/4という意味であり、具体的には、λ/4±10%
(ただし、これは、すべての膜の膜厚が同時に±10%
内の誤差の大きな方向に変動しても良いという意味では
なく、いくつかの膜の膜厚が±10%内で誤差が大きな
方向に変動しても他の多くの膜は±1%以内の変動であ
るとか、互いに特性に及ぼす悪い影響を相殺するとか、
などを含み、本発明の主旨を損なわない範囲での意味で
あり、また、仕様によっては、後述の如くさらに狭い誤
差範囲を意味する場合もある。)において本発明でいう
λ/4の膜厚を意味しており、λ/4±1%の膜厚をλ
/4の膜厚として実施したときに、本発明は特に大きな
効果を発する。特に、上記単位膜の厚みをλ/4±0.
5%(この場合のλ/4は誤差無しのλ/4の意味)に
することにより、量産性を損なわずに、バラツキが少な
く、信頼性の高い多層膜を形成することができ、目的に
合った優れた特性を有する光分散補償素子を安価に提供
することができる。
【0059】また、本発明に用いる多層膜が、膜厚がλ
/4の単位膜を積層して形成すると説明している部分が
あるが、これは、1つの単位膜を形成してから次の単位
膜を形成するという方法を繰り返して多層膜を形成する
こともできるが、これに限らず、一般的にはλ/4の整
数倍の膜厚の膜を、時間的に連続して形成することが多
く、このような多層膜も当然のことながら本発明に用い
る、たとえば、膜厚がλ/4の整数倍である積層膜から
成る多層膜に含まれるものである。そして、前記反射層
と前記透過層を連続的に形成する膜形成工程を用いても
本発明に用いる多層膜のいくつかを形成することができ
る。
【0060】図3は、図2の多層膜100の入射面にほ
ぼ平行な方向(以下、入射面内方向ともいう)におい
て、前記多層膜100の膜厚を変化させた例を説明する
図である。
【0061】図3において、符号200は本発明に用い
る光分散補償素子の一例としての多層膜、201は第1
の反射層、202は第2の反射層、203は第3の反射
層、205は基板、206は第1の光透過層、207は
第2の光透過層、211は第1のキャビティ、212は
第2のキャビティ、220は光入射面、230は入射光
の方向を示す矢印、240は出射光の方向を示す矢印、
250は第1の膜厚変化方向を示す矢印、260は第2
の膜厚変化方向を示す矢印、270,271は入射光の
入射位置を移動させる方向を示す矢印である。
【0062】図3において、たとえば、BK−7ガラス
などから成る基板205の上に、第3の反射層203,
第2の光透過層207、第2の反射層202、第1の光
透過層206、第1の反射層201が、順次形成されて
いる。
【0063】第1の光透過層206の入射面内方向にお
ける厚み(膜厚、以下同様)が図3の矢印250で示す
方向に変化するように(すなわち、矢印250で示す方
向の位置によって第1の光透過層206の膜厚が異なる
ように)、そして、第2の光透過層207の入射面内方
向における厚みが矢印260で示す方向に変化するよう
に、前記多層膜を形成する。第1から第3の反射層の厚
みと構成は、入射光の中心波長λに対する、第1、第
2、第3の各反射層の反射率をそれぞれR(201)、
R(202)、R(203)とするとき、前記反射率R
(103)、R(104)、R(105)の大小関係と
同様の条件、すなわち、R(201)≦R(202)≦
R(203)等、を満たすような膜厚構成になるように
形成する。
【0064】なお、前記多層膜を、入射光を透過できる
適切な基板の上に、図3の第1の反射層201と同じ層
を形成し、その上に第1の透過層206と同じ層,第2
の反射層202と同じ層,第2の透過層207と同じ
層,第3の反射層203と同じ層の順になるように形成
し、各反射層の反射率はR(201)≦R(202)≦
R(203)になるように構成しても本発明に用いる光
分散補償素子としての効果を発揮することができる。こ
の場合、前記多層膜への入射光は、前記基板側から入射
される。
【0065】図4は、本発明に用いる光分散補償素子の
例としての多層膜200の入射面220において、図3
の矢印230の方向から入射光を入射し、矢印240の
方向に出射光を得るようにし、入射光の入射位置を後述
のように図3の矢印270あるいは271の方向に移動
した時の、群速度遅延時間−波長特性曲線の変化する様
子を説明するものである。
【0066】図4は、図3の入射位置280〜282に
中心波長λの入射光を入射させたときの群速度遅延時間
−波長特性曲線を示し、縦軸は群速度遅延時間、横軸は
波長である。
【0067】図3の反射層201〜203および光透過
層206と207の各矢印250と260で示す方向に
膜厚を変化させる条件を適切に選ぶことによって、前記
入射光の入射面220における入射位置を矢印270で
示す方向に移動させたとき、群速度遅延時間−波長特性
曲線の形状をほぼ同様の形に維持しつつ、群速度遅延時
間−波長特性曲線の帯域中心波長λ0(たとえば、図4
のほぼ左右対称の形状の群速度遅延時間−波長特性曲線
2801における極値を与える波長)が変化し、そし
て、その各位置から矢印271で示す方向に前記入射位
置を移動させたとき、前記波長λ0はほぼ同じ値で、群
速度遅延時間−波長特性曲線の形状を、図4の曲線28
11、2812のように変化させることができる。図4
の各曲線は、図3の矢印250と260の方向へそれぞ
れ各当該膜の膜厚を単調に増大するように形成した時の
ものである。
【0068】曲線2801、2811,2812におけ
る帯域中心波長λ0は、分散補償の目的によって、たと
えば図4のグラフの適切な波長のところに設定するが、
たとえば、図4に示した曲線の波長の範囲のほぼ中央値
にとってもよく、分散補償の目的に応じて適宜定めても
良い。また、曲線2801から2812、曲線2801
から2811、曲線2811から2812の間のそれぞ
れの極値波長など曲線の各特徴点の波長や曲線の形など
の対応関係をあらかじめ調べておくとよい。
【0069】このようにして、たとえば、まず、分散補
償すべき入射光の中心波長λに帯域中心波長λ0を一致
させるように、入射光の入射位置を矢印270の方向に
移動して決め、次に分散補償すべき補償の内容、すなわ
ち、入射光の分散状況に応じて、分散補償に用いる群速
度遅延時間−波長特性曲線の形状を、たとえば図4の各
曲線などから選択し、それに応じて、図3の矢印271
で示す方向に前記入射位置を移動して、たとえば、符号
280〜282で示す各点などのように入射位置を選択
することにより、信号光に求められる分散補償を効果的
に行うことができる。
【0070】図4の群速度遅延時間−波長特性曲線の形
状からも明らかなように、本発明に用いる光分散補償素
子をそのまま用いても、たとえば、曲線2801を用い
て3次分散補償を行うことができ、曲線2811または
2812の比較的直線成分に近い部分を用いて、2次の
微妙な分散補償を行うことができる。
【0071】以上、図2〜図4を用いて説明したのは、
本発明に用いる分散補償素子の基本ともいえる「分散補
償を行うことが出来る素子」であるが、この「分散補償
を行うことが出来る素子」を用いれば、3次の分散をあ
る程度補償することが出来ることは、図1と図4の各曲
線の説明から明白である。また、上記説明から明らかな
ように、前記「分散補償を行うことが出来る素子」自体
も、本発明に用いる光分散補償素子となり得るものであ
る。
【0072】しかし、「分散補償を行うことが出来る素
子」単独で補償できる分散補償の波長帯域幅は、波長が
1.55μm近傍の信号光について、たとえば、1.5
nm前後、群速度遅延時間の極値の大きさは3〜6ps
(ピコ秒)位にしたり、多層膜の構成条件を変えて、帯
域幅約0.5〜3nm、群速度遅延時間のピーク値が2
〜10ps程度の群速度遅延時間−波長特性曲線を実現
することが出来る。しかし、多数チャネルの光通信に対
応するために分散補償の波長帯域幅を10nmとか30
nmのように広くすると、前記群速度遅延時間のピーク
値は極めて小さな値となり、分散補償を十分に行うこと
が出来る程度の群速度遅延時間を得ることは難しい。
【0073】次に群速度遅延時間ー波長特性曲線の改善
について説明する。
【0074】図5は、たとえば、前記のごとき分散補償
を行うことが出来る素子を複数個用いて群速度遅延時間
−波長特性を改善する方法を説明する図であり、図5
(A)は本発明に用いる分散補償素子を構成する分散補
償を行うことが出来る素子が1個の場合の群速度遅延時
間−波長特性を、図5(B)は群速度遅延時間−波長特
性曲線の形がほぼ同じで、群速度遅延時間−波長特性曲
線のピーク値(以下、極値ともいう)を与える波長(以
下、極値波長ともいう)が異なる分散補償を行うことが
出来る素子を入射光の光路に沿って2個直列に接続した
(以下、入射光の光路に沿って2個直列に接続したこと
を、単に、2個直列に接続したともいう。以下、3個直
列、4個直列などの場合も同様。)本発明に用いる光分
散補償素子の群速度遅延時間−波長特性を、図5(C)
は群速度遅延時間−波長特性曲線の形がほぼ同じで極値
波長が異なる分散補償を行うことが出来る素子を3個直
列に接続した本発明に用いる光分散補償素子の群速度遅
延時間−波長特性を、図5(D)は直列に接続する分散
補償を行うことが出来る素子3個のうちの1個が他の2
個と群速度遅延時間−波長特性曲線の形も極値波長も異
なる分散補償を行うことが出来る図示のような特性の素
子を3個直列に接続した本発明に用いる光分散補償素子
の群速度遅延時間−波長特性を、それぞれ示すグラフで
あり、いずれも縦軸が群速度遅延時間、横軸が波長であ
る。そして、たとえば図5(A)から(D)に示したよ
うな特性を有する光分散補償素子を用いて、これに限ら
れないが、たとえば、図示しないが、2つの光分散補償
素子の入射面を対向させて配置して、前記入射面を対向
させて配置した2つの光分散補償素子(すなわち、各光
分散補償素子単体)の間で信号光を複数回反射させなが
ら進行させて分散補償を行うようにした複合型の光分散
補償素子を構成して、それを光伝送路の中の適切なとこ
ろ、たとえば、光ファイバに直列に接続させたり、伝送
路に設けた増幅器、受信器、波長分波器、中継局の各種
装置等の信号光の経路中に配置して信号光の分散を補償
することができる。
【0075】図5において、符号301〜309は本発
明に用いる分散補償素子を構成する分散補償を行うこと
が出来る素子1個の各群速度遅延時間−波長特性曲線、
310は群速度遅延時間−波長特性曲線の形がほぼ同じ
で極値波長が異なる分散補償を行うことが出来る素子を
2個直列に接続した場合の群速度遅延時間−波長特性曲
線、311は群速度遅延時間−波長特性曲線の形がほぼ
同じで極値波長が異なる分散補償を行うことが出来る素
子を3個直列に接続した場合の群速度遅延時間−波長特
性曲線、312は直列に接続する分散補償を行うことが
出来る素子3個のうちの1個が他の2個と群速度遅延時
間−波長特性曲線の形も極値波長も異なる分散補償を行
うことが出来る図示のような特性の素子を3個直列に接
続した場合の群速度遅延時間−波長特性曲線である。図
5(A)で符号aは分散補償対象波長帯域の帯域幅、b
は群速度遅延時間の極値の大きさ(以下、単に、極値と
もいう)である。曲線302〜307および309の分
散補償対象波長域の帯域幅と群速度遅延時間の極値がほ
ぼ同じで、曲線308は曲線307や309よりも分散
補償対象波長域の帯域幅が狭く群速度遅延時間の極値が
大きい群速度遅延時間−波長特性曲線である。なお、上
記曲線301〜309の極値波長は、図示の如く、それ
ぞれ異なっている。
【0076】図5(B)と(C)において、群速度遅延
時間−波長特性曲線310の群速度遅延時間の極値は分
散補償を行うことが出来る素子1個の場合の1.6倍、
分散補償対象波長帯域の帯域幅は約1.8倍になってお
り、群速度遅延時間−波長特性曲線311の群速度遅延
時間の極値は分散補償を行うことが出来る素子1個の場
合の約2.3倍、分散補償対象波長の帯域幅は分散補償
を行うことが出来る素子1個の場合の約2.5倍になっ
ている。図5(D)においては、群速度遅延時間−波長
特性曲線312の群速度遅延時間の極値が分散補償を行
うことが出来る素子307と309の各1個の場合の約
3倍、分散補償対象波長帯域の帯域幅は分散補償を行う
ことが出来る素子307と309の各1個の場合の約
2.3倍になっている。
【0077】図2〜図4において説明したような多層膜
を用いた分散補償を行うことが出来る素子の群速度遅延
時間−波長特性曲線の群速度遅延時間の極値と分散補償
対象波長帯域の帯域幅は、前記多層膜の各反射層と各光
透過層の構成条件によって変化し、たとえば、図5
(D)の曲線307のような分散補償対象波長帯域の帯
域幅は比較的広いが群速度遅延時間の極値があまり大き
くない群速度遅延時間−波長特性曲線と曲線308のよ
うに分散補償対象波長帯域の帯域幅は狭いが群速度遅延
時間の極値は大きい群速度遅延時間−波長特性曲線を組
み合わせるなどにより、種々の特性を有する分散補償を
行うことが出来る素子を実現することが出来る。
【0078】多層膜として、入射面から膜の厚み方向
に、反射層に挟まれた光透過層(キャビティ、すなわち
入射光に対する共振器を形成している。)が2つ、すな
わち2キャビティの多層膜を例にとって説明したが、本
発明に用いる分散補償素子ではこれに限定されず、1キ
ャビティ、3キャビティ、4キャビティなど種々の構成
の多層膜を用いることを可能にするものである。
【0079】また、図4における群速度遅延時間−波長
特性曲線や、図5(D)における群速度遅延時間−波長
特性曲線など、直列に接続して用いる分散補償を行うこ
とが出来る素子の群速度遅延時間−波長特性を適宜工夫
して選択することにより、3次の分散のみならず分散補
償用のファイバで補償して残った2次の微細な分散をも
補償することが出来る。
【0080】また、通信伝送路の分散補償をより効果的
に行うには、光分散補償素子の群速度遅延時間−波長特
性曲線を利用目的に最も適したものにすることが望まし
い。そのための1つの方法として、分散補償を行うこと
が出来る素子の群速度遅延時間−波長特性を調整できる
手段を有する方法がある。
【0081】その1つの方法として、図3を用いて説明
したような、多層膜の光透過層の膜厚を入射面内方向に
おいて変化させ、分散補償を行うことが出来る素子にお
ける入射光の入射位置を変えて、分散補償を行うことが
出来る素子の群速度遅延時間−波長特性を変えることが
あげられる。この入射光の入射位置を変更する手段は、
たとえば、入射光の位置に対して、多層膜200あるい
は入射光の入射位置そのものの少なくとも一方を移動さ
せる手段がある。前記多層膜または入射光の位置を移動
させる手段としては、光分散補償素子の使用される事
情、コストあるいは特性など、事情によって種々選択す
ることができる。たとえば、コスト上あるいは装置の事
情から、ネジなどの手動的手段により行う方法を用いる
ことができ、また、正確に調整するため、あるいは手動
で調整することができない時にも調整することができる
ようにするためには、たとえば電磁的なステップモータ
や連続駆動モータを用いることが効果的であり、また、
PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などを用いた圧電モー
ターを使用することも効果的である。また、これらの方
法と組み合わせることもできるプリズムや二芯コリメー
タなどを用いたり、光導波路を利用するなどの光学的手
段によって入射位置を選択することにより、容易に、正
確に入射位置を選択することができる。
【0082】また、前記多層膜の少なくとも1つのキャ
ビティを、たとえばエア(空気)ギャップキャビティに
して、エアギャップを可変にすることにより、群速度遅
延時間−波長特性を変えることができる。
【0083】群速度遅延時間ー波長特性を調整する方法
の他の例は、図5を用いて説明したような複数の分散補
償を行うことができる素子を直列に接続して任意の特性
曲線を実現する方法である。
【0084】本発明に使用する光分散補償素子に用いる
ことができる前記分散補償を行うことが出来る素子を構
成する多層膜の各層は、たとえば、厚みが4分の1波長
のSiO2のイオンアシスト蒸着で作成した膜(以下、
イオンアシスト膜ともいう)で形成された層Lと、厚み
が4分の1波長のTa25のイオンアシスト膜で形成さ
れた層Hとを組み合わせて構成されている。前記SiO
2のイオンアシスト膜(層L)1層とTa25のイオン
アシスト膜(層H)1層の組みあわせ層でLHの層1セ
ットと称し、たとえば、「LHの層5セット積層して」
とは、「層L・層H・層L・層H・層L・層H・層L・
層H・層L・層Hの順に各層をそれぞれ1層ずつ重ねて
形成して」ということを意味する。
【0085】同様に、前記LLの層は、厚みが4分の1
波長のSiO2のイオンアシスト膜で構成されている層
Lを2層重ねて形成した層をLLの層1セットと称す。
したがって、たとえば、「LLの層を3セット積層し
て」とは、「層Lを6層重ねて形成して」を意味する。
前記HHの層に関しても同様である。
【0086】なお、層Hを形成する膜の組成として、誘
電体の例を示したが、本発明はこれに限定されるもので
はなく、Ta25と同様の誘電体材料としてはTa25
の他に、TiO2、Nb25などを用いることができ、
さらに、誘電体材料の他に、SiやGeを用いて層Hを
形成することもできる。また、層Lの組成としてSiO
2の例を示したが、SiO2は安価にしかも信頼性高く層
Lを形成できる利点があるが、本発明に使用する分散補
償素子はこれに限定されるものではなく、層Hの屈折率
よりも屈折率が低くなる材質によって層Lを形成すれ
ば、前記効果を発揮する分散補償を行うことができる素
子を実現することができる。
【0087】また、層L、層Hをそれぞれ1種類の材質
により形成する例を説明したが、必ずしもこれに限定さ
れず、複数種類の材料で形成したり、少なくとも1つの
層を他の同様の作用の層とは異なる材料(たとえば、屈
折率の少し異なる材料)で形成することもできる。さら
に、層Lと層Hのほかに、適当な第3の層を設けること
があってもよい。
【0088】また、前記の例では、多層膜を構成する層
Lと層Hをイオンアシスト蒸着で形成したが、本発明に
使用する分散補償素子はこれに限定されるものではな
く、通常の蒸着、スパッタリング、イオンプレーティン
グその他の方法で形成した多層膜を用いても本発明は大
きな効果を発揮するものである。
【0089】本発明に用いる光分散補償素子は、図3に
示す光分散補償素子としての多層膜200のような、ウ
ェハー状のものを適当に保持して用いることもでき、ま
た、入射面220内での必要な部分を含むように、厚み
方向に、すなわち、入射面220から基板205方向
に、たとえば垂直にあるいは斜めに、小さく切断したチ
ップ状にして、たとえばファイバコリメータとともに筒
状のケースに実装して光分散補償素子として用いること
もできるなど、その形態は多様な可能性を有するもので
ある。
【0090】以上の説明で、多層膜を用いた光分散補償
素子を用いれば、光ファイバを伝送させることにより信
号光に生じる分散など光通信の高速・長距離伝送を実現
する上で大きな問題になる3次の分散を補償できること
が明示された。
【0091】前記の本発明に用いる多層膜を用いた光分
散補償素子の大きな特徴は、種々の形の群速度遅延時間
ー波長特性曲線を比較的容易に実現することができ、し
かも、3次の分散補償のみならず、微細な2次の分散補
償も可能なような群速度遅延時間ー波長特性曲線をも実
現できることである。
【0092】そして、本発明に用いる多層膜を用いた光
分散補償素子は、分散補償を行うときの挿入損失がきわ
めて小さいというきわめて大きな利点を有している。
【0093】その挿入損失は、3次の分散を補償しよう
と種々の試みが行われたが実用化は難しいとされている
ファイバーグレーティングの挿入損失の10分の1を大
きく下まわるものであり、さらに、前記分散補償を行う
ことができる素子を複数個直列に接続するときの損失
も、たとえば、一対の素子の入射面を対向させて配置
し、その間で信号光を必要回数反射させるなどにより、
ファイバコリメータの挿入を最小限に押さえることがで
きるなど、従来の分散補償では期待できなかったほど小
さな挿入損失に押さえることができる。
【0094】本発明の発明者らは、このような大きな利
点を有する光分散補償素子を種々提案してきたが、実用
上使いやすい高速光通信の実現には、通信システム全体
を考えて、さらなる改良が必要である。すなわち、多数
チャネルを取り扱う光通信においては、広い波長域にわ
たって信号光の分散を補償するとともに、各チャネルの
信号光毎に分散の内容が異なることを考慮に入れて分散
を補償しなければならない。
【0095】本発明はこの点を特に重要視してなされた
ものである。
【0096】本発明を正確に説明するためには、本発明
に使用する光分散補償素子の特徴の理解が必要であるの
で、図1〜図5を用いて説明してきた。
【0097】次に、前記の如き特徴的な光分散補償素子
を用いた本発明の光通信方法とそこに用いられている分
散補償方法を用いた光通信装置について詳細に説明す
る。
【0098】光通信においては、たとえば10nmとか
30nmといった広い波長域の信号波を合波して送信
し、着信側ではその信号光を波長分波器によって適宜分
波して、より狭い波長域の信号光にする。
【0099】各受信端末(受信器ともいう)には、波長
分波器により分波された信号光のうちのその受信器に該
当する波長の信号が到来し、受信器により受信される。
【0100】しかしながら、たとえば、40Gbpsや
80Gbpsのような高速通信になると、従来の光ファ
イバを用いた場合、伝送中に信号光に加えられる分散の
ため、信号光パルスを正確に取り扱えなくなることが報
告されている。
【0101】この対策として、主たる伝送路にはNZ−
DSFを用い、着信側で、それにSMFを直列に接続し
て2次の分散を補償し、さらに、高次モードファイバを
直列に接続して3次の分散を補償しようとの試みがある
が、いくつかの難しい問題のために、高速・長距離通信
を各受信器で正確に受信することは困難視されている。
【0102】その問題のうちの1つは、各波長域におい
て信号光に生じる分散が異なることへの十分な分散補償
が難しいことである。
【0103】さらに、前記の問題のうちの他の一つは、
補償を行うことによる損失が大きなことである。
【0104】その他、装置が大型になったり、高価にな
ったり、解決を期待されているいくつかの問題がある。
【0105】本発明は、各受信器毎に正確に受信できる
程度にまで、信号光の分散を、適切に、挿入損失が少な
い状態で、補償することができる分散補償方法を用いた
光通信方法と光通信装置を提供するものである。
【0106】以下、通信伝送路の主要部分にNZ−DS
Fを用いた高速光通信を例にとって、その分散補償方法
を、図6と図7を用いて説明する。
【0107】本発明は、信号光の分散補償を、たとえ
ば、波長分波器により分波される前の信号光の分散補償
と波長分波器により分波された後の信号光の分散補償と
に分けて分散を補償することを大きな特徴としている。
【0108】本発明においては、波長分波器により分波
する前の信号光の分散を補償する分散補償部を第1の分
散補償部と称し、波長分波器により分波された後の信号
光の分散を補償する分散補償部を第2の分散補償部と称
す。
【0109】本発明の前記第1と第2の分散補償部の特
徴の一つは、第1の分散補償部が第2の分散補償部の信
号光の波長域よりも広い波長域の信号光の分散を補償す
ることである。
【0110】主たる伝送路の光ファイバとして、たとえ
ば、NZ−DSFを用いる場合、たとえば、波長が15
47〜1554nmの信号光に生じる分散は、図6を用
いて後述するように、主として2次の分散と3次の分散
である。この波長域全体にわたる信号光に生じている分
散はきわめて大きなものであるとともに、この波長域の
波長の違いによって、図6に例示したように2次の分散
と3次の分散の程度が微妙に異なっている。
【0111】図6は種々の光ファイバの群速度遅延時間
(群速度遅延ということもある)−波長特性を示すグラ
フであり、縦軸が群速度遅延時間、横軸が波長である。
【0112】図6において、符号1、10,11は伝送
路であるNZ−DSFにより信号光に生じた分散を、第
1の分散補償部に配置したSMFと第2の分散補償部に
配置した図示の当該波長域毎の分散補償に必要な長さの
SMFとを組み合わせて分散補償を行った後の各当該波
長域の群速度遅延時間−波長特性を示す曲線、2はNZ
−DSFの群速度遅延時間−波長特性を示す曲線、3、
5、7は第1の分散補償部に設けられた各波長域毎のS
MFと第2の分散補償部に設けられたSMFの合計の群
速度遅延時間−波長特性を示す曲線、4、6、8は第2
の分散補償部に設けられた本発明に用いる分散補償素子
の群速度遅延時間−波長特性を示す曲線、9は高次モー
ドファイバの群速度遅延時間−波長特性を示す曲線であ
る。
【0113】横軸である波長軸は、図に周波数に換算し
た数値で示すように、上記各曲線に対して共通の尺度で
あるが、縦軸である群速度遅延時間軸は、曲線1,1
0,11,4,6,8について同一尺度であり、また、
曲線2,3,5,7について同一尺度であるが、曲線
1,10,11,4,6,8,の縦軸の尺度と曲線2,
3,5,7の縦軸の尺度は異なっており、曲線9に対す
る尺度も上記各尺度と同一ではない。
【0114】図示のように、曲線1、4、3は信号光の
周波数が193.9〜193.6THz(テラヘルツ)
の周波数(すなわち、波長域)における特性を示すもの
で、曲線10,6,5は信号光の周波数が193,6〜
193,3THzの周波数域における特性を示すもので
曲線11、8、7は信号光の周波数が193.3〜19
3.0THzの周波数域における特性を示すものであ
る。曲線2と9は信号光の周波数が193.9〜19
3.0THzの周波数域における特性を示すものであ
る。
【0115】図6に示すように、高次モードファイバ
は、曲線9で示すような広い帯域を補償可能な群速度遅
延時間−波長特性を有している。しかしながら、前記高
次モードファイバは、図2〜5を用いて説明した本発明
で使用する多層膜を用いた光分散補償素子のように、各
チャネルの分散特性に適した群速度遅延時間−波長特性
を実現することができないため、高速・長距離通信に適
した分散補償を行うことができないのみならず、コアが
細く、偏波ロスが大きく、高価であり、曲げなどに弱く
扱いにくいなどの問題があり実用化は難しいといわれて
いる。
【0116】上記の問題を解決するため、本発明の光通
信方法においては、長距離伝送などによって分散が生じ
た信号光に対して、第1の分散補償部に高次モードファ
イバとSMFの少なくとも一方を配置して広い波長域の
大きな分散の補償を行い、第2の分散補償部に、少なく
とも、前記の如き分散補償素子を配置して、前記第1の
分散補償部で補償し切れなかった各チャネルに応じた分
散補償を行う。
【0117】たとえば、伝送路がNZ−DSFである場
合、第1の分散補償部に少なくともSMFを配置し、前
記第2の分散補償部には、波長分波器で分波された各光
路に各適切な長さのSMFを配置するとともに、各光路
毎に適切な群速度遅延−波長特性を有する分散補償素子
を配置している。
【0118】また、中継器などに本発明を適用する場合
は、必要に応じて前記分散補償素子の後段に波長合波器
などを配置して合波して再び送信することができる。
【0119】前記のように、伝送路のNZ−DSFは曲
線2で示されるような群速度遅延時間−波長特性曲線を
有しており、前記第1の分散補償部に配置されたSMF
と前記第2の分散補償部に配置された各SMFの合計に
よる群速度遅延時間−波長特性は、各波長域において、
それぞれ3、5、7で示されるような曲線で表される。
そのため、前記NZ−DSFにおいて信号光に生じた分
散をおよび前記曲線3、5,7で示される特性のSMF
によって補償した結果、図示の各波長域における当該信
号光は、それぞれ、曲線1、10,11で示されるよう
な群速度遅延時間−波長特性曲線で表される分散特性を
もっており、第2の分散補償部に配置された各波長域毎
に適宜設計された分散補償素子によってそれぞれ分散を
補償され、正確に受信することができる信号光になる。
【0120】図7は本発明の光通信装置を説明する図で
あり、符号20は光通信装置、21は高次モードファイ
バ、22、25〜27はSMF、23はNZ−DSF、
24および31はWDM(波長分離合成モジュール)、
28〜30は分散補償素子、32は第1の分散補償部を
示す点線、33は第2の分散補償部を示す点線、51は
第1の分散補償部への信号光の入力方向を示す矢印、5
2はWDM31から出力される信号光の方向を示す矢印
である。
【0121】図7に示すように、点線32で示される第
1の分散補償部は、高次モードファイバ21とSMF2
2とから構成されており、広い波長域にわたる信号光の
分散補償を行うことができる。そして、点線33で示さ
れる第2の分散補償部は、波長分波器としてのWDM2
4とSMF25〜27と分散補償素子28〜30とから
構成されており、前記WDM24は入力された信号光を
各波長域毎に複数の信号光に分波することが出来、WD
M24には光路としてのSMF25〜27が接続されて
いる。SMF25〜27はそれぞれ長さが異なってお
り、WDM24によって分波された波長域に対応してそ
れぞれ異なった群速度遅延が生じるように設計されてい
る。そして、SMF25〜27にはそれぞれ分散補償素
子28〜30が接続されており、SMF25〜27およ
び分散補償素子28〜30によって各波長域毎に適切な
分散補償を行うことが出来る。また、第2の分散補償部
の後段には、WDM24によって分波された信号光を合
波する波長合波器としてのWDM31を配置し、分散補
償を行った信号光を再び合波して送信することもでき、
中継器に本発明を適用するときは、このようになる。
【0122】なお、第2の分散補償部はWDM24を含
まない場合もある。たとえば、WDM24を光通信装置
の外部におくこともできる。
【0123】また、第1の分散補償部と第2の分散補償
部に配置されているSMFの代わりに、SMFとNZー
DSFを組み合わせたものを用いることもできる。この
ようにすることにより、部品の規格化に利点を生じるこ
ともある。
【0124】そして、図示しないが、波長分波器として
のWDMから各分波された光路に第2の分散補償部とし
てのSMFと多層膜を用いた前記の如き分散補償素子と
を経て各受信器が配置されている場合や、図7の光路に
波長合波器としてのWDM31を接続した場合には、前
記各分波された光路を信号光が通過する時間が出来るだ
け同じになることが重要であり、この観点からも、第2
の分散補償部に配置するファイバとして、SMFとNZ
−DSFを直列に配置して、分散の補償量を正確に調整
するとともに、信号光の通過時間も各光路で同じになる
ように調整することにより、本発明の効果を一層高める
ことが出来る。
【0125】また、図示しないが、本発明の第2の分散
補償部に、高次モードファイバを配置して、分散補償の
可能性を一層高めることが出来る。
【0126】以上説明したように、本発明は、光通信に
おいて信号光に生じる分散を、高速・長距離通信におい
ても正確に受信できる程度にまで補償できるように、分
散補償を、大きな分散を比較的広い波長域にわたって第
1の分散補償部で補償し、第1の分散補償部で補償でき
ずに残った分散を、波長分波器で分波された比較的狭い
波長域毎に、その波長域に適した分散補償を行う第2の
分散補償部で補償することを特徴とする光通信方法なら
びにその分散補償方法を用いた光通信装置に関するもの
である。
【0127】そして本発明の第1の分散補償部は、主と
して2次の分散を補償することができるものであり、本
発明の第2の分散補償部は、前記の如く、前記第1の分
散補償部で補償できずに残った分散を補償するものであ
り、前記第1の分散補償部で補償しきれずに残った分散
は3次の分散を含むものがあり、少なくとも1つの3次
の分散補償を行うことができる前記多層膜を用いた光分
散補償素子などを有するものである。
【0128】本発明における前記第1の分散補償部と第
2の分散補償部は、前記の如く、伝送路に光ファイバを
用いた光通信システムにおいて、比較的広い波長域にわ
たる信号光を伝送する伝送路(以下、伝送路Aともい
う)と、それを波長分波器に相当する装置で分波された
比較的狭い波長域毎の信号光を伝送する複数の各伝送路
(以下、伝送路Bともいう)とにおいてそれぞれ分散補
償を行うという技術思想に基づくものであり、前記伝送
路Aと伝送路Bの間には、複数段の波長分波器が配置さ
れていてもよい。
【0129】また、第1の分散補償部は、複数段の波長
分波器で順次分波された複数段の伝送路(たとえば、信
号の経路に沿って、順次、A1,A2,A3などと称す
ることにする)にそれぞれ配置されてもよい。この場
合、前記伝送路A1,A2,A3に配置される分散補償
用のSMFの長さは適宜変えてもよい。
【0130】また、第2の分散補償部も、複数段の波長
分波器で順次分波された複数段の伝送路(たとえば、信
号の経路に沿って、順次、B1,B2,B3などと称す
ることにする)にそれぞれ配置されてもよい。この場
合、前記伝送路B1,B2,B3に配置される分散補償
用のSMFの長さと光分散補償素子の群速度遅延時間ー
波長特性曲線は適宜変えてもよい。
【0131】また、信号光の経路に沿って、第1の分散
補償部の後に第2の分散補償部を配置し、その後に前記
第1の分散補償部とは異なる第1の分散補償部を配置
し、その後に、前記第2の分散補償部とは異なる第2の
分散補償部を配置するということを何回か繰り返して分
散補償を行ってもよい。
【0132】本発明は、このように、信号光の分散を段
階的に補償しながら、信号光の分散を適宜補償し、高速
・長距離通信における正確な受信を可能にし、従来実用
化されていなかった高速長距離通信を実現可能にするも
のである。
【0133】そして、本発明でいう第1の分散補償部と
第2の分散補償部の間には、複数段の波長分波器と分散
補償部の配置されていない伝送路を配置することもでき
る。
【0134】そして、これに限定されないが、たとえ
ば、受信器に比較的近い波長分波器のすぐ前の伝送路に
第1の分散補償部を配置し、同じ波長分波器のすぐ後の
各伝送路の少なくとも1つの伝送路に第2の分散補償部
を配置して信号光の分散を補償することにより、より十
分な分散補償を行うことができる。
【0135】
【発明の効果】以上、本発明を詳細に説明したが、本発
明によれば、 第1の分散補償部によって行われる広い
波長域における2次の大きな分散の補償を特徴とする分
散補償と、第2の分散補償部によって行なわれる各波長
域毎の前記第1の分散補償部で補償する2次の分散に比
較すると小さな3次の分散の補償を特徴とする分散補償
とを組み合わせることによって、本発明の光通信方法お
よび光通信装置は広い波長域において少なくとも2次お
よび3次の分散補償を行うことができる。これによっ
て、高速・長距離通信における制約を大幅に緩和するこ
とができ、光通信の利用範囲を飛躍的に拡大することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3次の分散補償を説明する図である。
【図2】本発明に用いる光分散補償素子を構成する多層
膜の例の断面図である。
【図3】本発明に用いる光分散補償素子を構成する多層
膜の例の斜視図である。
【図4】本発明に用いる光分散補償素子を構成する多層
膜の群速度遅延時間−波長特性曲線の例である。
【図5】本発明に用いる分散補償を行うことが出来る素
子を複数個用いて群速度遅延時間−波長特性を改善する
方法を説明する図である。
【図6】光ファイバの群速度遅延時間−波長特性と本発
明による分散補償を説明する図である。
【図7】本発明の光通信装置を説明する図である。
【図8】2次と3次の波長分散の補償方法を説明する図
である。
【図9】従来の光ファイバの波長分散−波長特性を示す
グラフである。
【符号の説明】
1〜11,301〜312,1101,1102,11
03,2801,2811,2812:群速度遅延時間
−波長特性曲線 20:光通信装置 21:高次モードファイバ 22、25〜27、522、531:SMF 23:NZ−DSF 24、31:WDM 28〜30:光分散補償素子 32:第1の分散補償部 33:第2の分散補償部 51、52:信号光の進行方向を示す矢印 100,200:多層膜 101,230:入射光の方向を示す矢印 102,240:出射光の方向を示す矢印 103,104,105,201,202,203:反
射層 108,109,206,207:光透過層 107,205:基板 111,112,211,212:キャビティ 220:光入射面 250,260:膜厚変化方向を示す矢印 270,271:入射光の入射位置を移動させる方向 280,281,282:入射位置 501,502,503,504,511,512,5
13,514:信号光の特性を示すグラフ 520,530:伝送路 521:分散補償ファイバ 524,534:送信器 525,535:受信器 601:SMFの波長分散−波長特性曲線 602:分散補償ファイバの波長分散−波長特性曲線 603:DSFの波長分散−波長特性曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多久島 裕一 神奈川県横浜市港北区日吉本町2−22−7 シャルマン日吉202号室 (72)発明者 マーク ケンネス ジャボロンスキー 東京都目黒区駒場4丁目6番29号 K518 (72)発明者 田中 佑一 埼玉県戸田市新曽南3丁目1番23号 株式 会社応用光電研究室内 (72)発明者 片岡 春樹 埼玉県戸田市新曽南3丁目1番23号 株式 会社応用光電研究室内 (72)発明者 古城 健司 埼玉県戸田市新曽南3丁目1番23号 株式 会社応用光電研究室内 (72)発明者 東 伸 埼玉県戸田市新曽南3丁目1番23号 株式 会社応用光電研究室内 (72)発明者 佐藤 一也 埼玉県戸田市新曽南3丁目1番23号 株式 会社応用光電研究室内 (72)発明者 矢口 寛 埼玉県戸田市新曽南3丁目1番23号 株式 会社応用光電研究室内 (72)発明者 山下 史郎 埼玉県戸田市新曽南3丁目1番23号 株式 会社応用光電研究室内 Fターム(参考) 2H048 GA01 GA04 GA33 GA62 5K002 BA05 CA01 FA02

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光通信において波長分散(以下、単に、
    分散ともいう)を補償することができる光通信方法であ
    って、少なくとも伝送路としての光ファイバ(以下、単
    にファイバともいう)と前記ファイバを伝送された信号
    光を分波する少なくとも1台の波長分波器とを有する通
    信システム中に、比較的広い波長域にわたる信号光に対
    して分散補償を行なうことが出来る第1の分散補償部
    と、前記波長分波器を介して前記比較的広い波長域より
    も狭い複数の波長域に分波された各波長域の信号光に対
    してそれぞれ分散補償を行うことができる第2の分散補
    償部とを配置して分散補償を行うことを特徴とする光通
    信方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光通信方法において、
    前記第1の分散補償部には、少なくとも、前記伝送路に
    使用されているファイバとは正負の符号の異なる分散傾
    向を有する光ファイバを配置して分散補償を行い、前記
    第2の分散補償部には、波長分波器あるいは前記波長分
    波器により分波された光路の少なくとも1つに、3次の
    分散を補償することができる光分散補償素子を少なくと
    も1つ含む光分散補償素子を配置して、信号光に対して
    分散補償を行うことを特徴とする光通信方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の光通信方法において、
    前記伝送路がノンゼロ分散シフトファイバ(以下、NZ
    −DSFともいう)であり、前記第1の分散補償部には
    シングルモードファイバ(以下、SMFともいう)を配
    置し、前記第2の分散補償部には、波長分波器あるいは
    波長分波器により分波された光路の少なくとも1つに、
    SMFと前記3次の分散を補償することができる光分散
    補償素子とを信号光の光路に沿って直列に配置したこと
    を特徴とする光通信方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の光通信方法において、
    前記第2の分散補償部としてのSMFの長さが、前記各
    分波された光路によって異なることを特徴とする光通信
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれか1項に記載の光
    通信方法において、前記第1の分散補償部に、高次モー
    ドファイバを配置したことを特徴とする光通信方法。
  6. 【請求項6】 請求項2〜5のいずれか1項に記載の光
    通信方法において、前記第2の分散補償部が配置されて
    いる波長分波器あるいは波長分波器により分波された光
    路の少なくとも1つに、前記第2の分散補償部の構成要
    素として、高次モードファイバを配置したことを特徴と
    する光通信方法。
  7. 【請求項7】 請求項2〜6のいずれか1項に記載の光
    通信方法において、前記光分散補償素子が多層膜を用い
    た光分散補償素子であることを特徴とする光通信方法。
  8. 【請求項8】 光通信に使用して波長分散(以下、単に
    分散ともいう)を補償することができる光通信装置であ
    って、比較的広い波長域にわたって分散補償を行なうこ
    とが出来る第1の分散補償部と、前記比較的広い波長域
    よりも狭い複数の波長域に分波された各波長域ごとに分
    散補償を行うことができる第2の分散補償部とを有する
    ことを特徴とする光通信装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の光通信装置において、
    前記第1の分散補償部には、少なくとも、光通信の伝送
    路に使用されている光ファイバ(以下、単に、ファイバ
    ともいう)とは正負の符号の異なる分散傾向を有するフ
    ァイバを配置してあり、前記第2の分散補償部には、3
    次の分散を補償することができる光分散補償素子を少な
    くとも1つ配置してあることを特徴とする光通信装置。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の光通信装置におい
    て、前記第1の分散補償部には、少なくとも、シングル
    モードファイバ(以下、SMFともいう)を配置し、前
    記第2の分散補償部には、波長分波器または前記波長分
    波器により分波された光路の少なくとも1つに、SMF
    と前記3次の分散を補償することができる光分散補償素
    子とを光路に沿って直列に配置したことを特徴とする光
    通信装置。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の光通信装置におい
    て、前記第2の分散補償部に配置されたSMFの長さ
    が、前記分波された光路に対応する波長に対応して異な
    る長さであることを特徴とする光通信装置。
  12. 【請求項12】 請求項9〜11のいずれか1項に記載
    の光通信装置において、前記第1の分散補償部に、高次
    モードファイバを配置したことを特徴とする光通信装
    置。
  13. 【請求項13】 請求項9〜12のいずれか1項に記載
    の光通信装置において、前記第2の分散補償部に高次モ
    ードファイバを配置したことを特徴とする光通信装置。
  14. 【請求項14】 請求項9〜13のいずれか1項に記載
    の光通信装置において、前記光分散補償素子が多層膜を
    用いた光分散補償素子であることを特徴とする光通信装
    置。
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