JP2002208724A - 半導体素子およびその製造方法 - Google Patents

半導体素子およびその製造方法

Info

Publication number
JP2002208724A
JP2002208724A JP2001001751A JP2001001751A JP2002208724A JP 2002208724 A JP2002208724 A JP 2002208724A JP 2001001751 A JP2001001751 A JP 2001001751A JP 2001001751 A JP2001001751 A JP 2001001751A JP 2002208724 A JP2002208724 A JP 2002208724A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor layer
semiconductor
substrate
layer
crystal growth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001001751A
Other languages
English (en)
Inventor
Hikari Hirano
光 平野
Isamu Akasaki
勇 赤崎
Hiroshi Amano
浩 天野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Co Ltd filed Critical Osaka Gas Co Ltd
Priority to JP2001001751A priority Critical patent/JP2002208724A/ja
Publication of JP2002208724A publication Critical patent/JP2002208724A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 大面積にわたって低欠陥密度の半導体膜を用
いた半導体素子であって、基板による光の吸収および散
乱の影響を排除した半導体素子を提供する 【解決手段】 半導体素子が、部分的に内部に後退した
第1凹部10が表面に形成された結晶成長面上に成長さ
れた窒化物半導体からなる第1半導体層3であって、隣
り合う上記第1凹部10の中間位置の上方の上記第1半
導体層3の表面に、部分的に内部に後退した第2凹部1
1が形成された第1半導体層3と、上記第1半導体層3
上に成長され、上記第1半導体層3と同じ材料からなる
単層または複数層の第2半導体層4とを備えてなり、上
記結晶成長面において、上記結晶成長面の原子配列構造
と上記第1半導体層3の原子配列構造が同じである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体素子およびそ
の製造方法に関し、特に火炎センサとして利用可能な素
子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から窒化物半導体を受光素子や発光
素子に応用することが試みられてきた。しかしながら、
得られた窒化物半導体を素子として使用するためにはい
くつかの要件がある。1つ目は、目的に合った波長で受
光素子や発光素子として機能する半導体を得ることがで
きるかどうかであり、これは受光層または発光層となる
半導体のバンドギャップに依存する。2つ目は、その目
的とするバンドギャップを有する良好な半導体膜を成長
させることができるかどうかである。特に、微弱な光を
検出する受光素子においては半導体膜中の欠陥密度が少
ない良好な膜を得ることが必須である。結晶成長過程に
おいて発生するこの欠陥は、結晶成長面とその上に成長
する膜との格子定数との違いによって生じ、具体的には
膜が成長するにつれて結晶成長面の横方向の格子定数の
違いにより発生する横方向応力が成長中の膜に印加さ
れ、それが膜中に転位となって現れる。
【0003】1つ目の要件に関しては、例えば、受光素
子である火炎センサとしての使用のために必要な波長約
200nm〜約344nmの範囲で感度を有する受光層
の材料としてAlxGa1-xNが知られている。 Alx
1-xNはAlの組成比を変えることでバンドギャップ
が大きく変化し、それに伴って吸収端波長も大きく変化
するため、目的にあった波長で動作する素子に利用する
ことができる。
【0004】次に、2つ目の要件に関しては、欠陥密度
が低いAlGaN層を成長させることができるかである
が、欠陥密度が低い膜を形成する方法としては以下の2
つの方法が提案されている。第1の方法は、基板とAl
GaN層との間に結晶改善層(GaN層)とインターレ
ーヤ層(AlN層)を設ける方法であり、それにより基
板の表面とAlGaN層との間の格子定数の差をGaN
層およびAlN層によって緩和することで、AlGaN
層の成長過程においてAlGaN層にかかる横方向応力
が緩和され、転位密度も小さくなる。
【0005】第2の方法は、上述した結晶改善層(Ga
N層)の上に島状のSiO2等を作製し、島の頂部から
上方向および横方向に放射状にGaN層を成長させ、そ
の上にAlGaN層を成長させることで、横方向応力を
島状部分の上方で部分的に緩和しようとするものであっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
1の方法では基板から目的とする膜へ段階的に格子定数
の整合をとってはいるものの、結晶成長面が平坦である
ため横方向応力に関する対応策が十分に取られていると
は言えず、完全な横方向応力の緩和を行うことができな
かった。
【0007】また、第1の方法および第2の方法の何れ
の方法を用いても、目的とするAlGaN層を得るため
には下地層としてGaN層を設ける工程を必要としてい
た。しかしながら、GaNは比較的長い波長域に吸収端
があり、基板側からAlGaN層に光を取り込む形態の
受光素子、または基板側から光を放出する形態の発光素
子として使用する場合には、そのGaN層によって紫外
光などの光が吸収されるという問題があった。
【0008】更に、得られた半導体素子を高出力の発光
素子や弱い光に対しても感度を有するような高感度の受
光素子として使用するためには受光面積または発光面積
が大きいことが要求されるが、大面積にわたって欠陥密
度が低い半導体膜を形成する方法についての提案は為さ
れていなかった。
【0009】また更に、得られた半導体素子を受光素子
または発光素子として利用する際に基板側から光を出し
入れする場合、基板による光の吸収または散乱によって
光強度が弱められてしまうという問題もあった。
【0010】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、大面積にわたって低欠陥密度の
半導体膜を用いた半導体素子であって、基板による光の
吸収および散乱の影響を排除した半導体素子を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明に係る半導体素子の第一の特徴構成は、特許請
求の範囲の欄の請求項1に記載の如く、部分的に内部に
後退した第1凹部が表面に形成された結晶成長面上に成
長された窒化物半導体からなる単層または複数層の第2
半導体層とを備えてなり、前記結晶成長面において、前
記結晶成長面の原子配列構造と前記第2半導体層の原子
配列構造が同じであり、前記結晶成長面を有していた基
板を除去してなる点にある。ここで、第1凹部が形成さ
れる結晶成長面は、単一の基板の表面に形成されること
だけでなく、基板上に所定の膜を形成する前処理を行
い、その膜表面、或いは膜を部分的に除去した表面(基
板の部分と膜の部分とが存在する表面)を結晶成長面と
することもできる。
【0012】上記課題を解決するための本発明に係る半
導体素子の第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項2に記載の如く、部分的に内部に後退した第1凹部
が表面に形成された結晶成長面上に成長された窒化物半
導体からなる第1半導体層と、前記第1半導体層上に成
長され、前記第1半導体層と同じ材料からなる単層また
は複数層の第2半導体層とを備えてなり、前記結晶成長
面に形成された隣り合う前記第1凹部の中間位置の上方
の前記第1半導体層の表面に、部分的に内部に後退した
第2凹部が形成され、前記結晶成長面において、前記結
晶成長面の原子配列構造と前記第1半導体層の原子配列
構造が同じであり、前記結晶成長面を有していた基板を
除去してなる点にある。
【0013】上記課題を解決するための本発明に係る半
導体素子の第三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項3に記載の如く、上記第一の特徴構成に加えて、前
記第1凹部は、前記第1凹部の内部に後退した深さが
0.003μm〜300μmであり、前記第1凹部の幅
が0.5μm〜50μmであり、隣り合う前記第1凹部
の間隔が0.5μm〜50μmであるようなストライプ
状、または格子状である点にある。
【0014】上記課題を解決するための本発明に係る半
導体素子の第四の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項4に記載の如く、上記第二の特徴構成に加えて、前
記第1凹部は、前記第1凹部の内部に後退した深さが
0.003μm〜300μmであり、前記第1凹部の幅
が0.5μm〜50μmであり、隣り合う前記第1凹部
の間隔が0.5μm〜50μmであるようなストライプ
状、格子状、または穴状であって、前記第2凹部は、前
記第2凹部の内部に後退した深さが0.003μm〜3
00μmであり、前記第2凹部の幅が0.5μm〜50
μmであり、隣り合う前記第2凹部の間隔が0.5μm
〜50μmである点にある。ここで、ストライプ状とは
直線状または曲線状の凹部が平行に単数または複数本並
んだ形態を言い、格子状とはストライプ状の凹部が交差
して並んだ形態を言い、穴状とは四角形や円形などの様
々な形状の単一の窪みを言う。凹部が穴状であって、そ
れが正方形である場合の幅とは一辺の長さを指し、円形
である場合の幅とは直径を指す。
【0015】上記課題を解決するための本発明に係る半
導体素子の第五の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項5に記載の如く、上記第一から第四の特徴構成に加
えて、前記第2半導体層がAl、Ga、およびNを少な
くとも含む窒化物半導体からなる点にある。
【0016】上記課題を解決するための本発明に係る半
導体素子の第六の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項6に記載の如く、上記第一から第五の何れかの特徴
構成に加えて、前記第2半導体層がn型半導体層とp型
半導体層とを少なくとも備えてなり、前記n型半導体層
を下方に、前記p型半導体層を上方に配置した構造を含
む点にある。
【0017】上記課題を解決するための本発明に係る光
機能素子の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項7に記載の如く、請求項1から請求項6の何れかに
記載の第2半導体層が、少なくとも感光性または発光性
を有する活性層を少なくとも備えてなる点にある。
【0018】上記課題を解決するための本発明に係る光
機能素子の第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項8に記載の如く、上記第一の特徴構成に加えて、前
記活性層のバンドギャップエネルギが3.6eV以上で
あり、且つ前記活性層より前記基板側にある層のバンド
ギャップエネルギが前記活性層のバンドギャップエネル
ギよりも大きい点にある。
【0019】上記課題を解決するための本発明に係る光
機能素子の第三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項9に記載の如く、上記第二の特徴構成に加えて、前
記活性層における吸収端波長が320nm以下にある点
にある。
【0020】上記課題を解決するための本発明に係る光
機能素子の第四の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項10に記載の如く、上記第三の特徴構成に加えて、
前記活性層における吸収端波長が290nm以下にある
点にある。
【0021】上記課題を解決するための本発明に係る光
機能素子の第五の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項11に記載の如く、上記第一から第四の何れかの特
徴構成に加えて、前記基板がSi基板を備えてなる点に
ある。
【0022】上記課題を解決するための本発明に係る半
導体素子の製造方法の第一の特徴構成は、特許請求の範
囲の欄の請求項12に記載の如く、基板の表面に、部分
的に内部に後退した第1凹部が形成された結晶成長面を
形成する工程と、前記結晶成長面上に、前記結晶成長面
の原子配列構造が前記結晶成長面の原子配列構造と同じ
である窒化物半導体からなる第1半導体層を成長させる
工程と、少なくとも前記第1半導体層が残るように前記
基板をエッチングにより除去する工程とを含む点にあ
る。
【0023】上記課題を解決するための本発明に係る半
導体素子の製造方法の第二の特徴構成は、特許請求の範
囲の欄の請求項13に記載の如く、基板の表面に、部分
的に内部に後退した第1凹部が形成された結晶成長面を
形成する工程と、前記結晶成長面上に、前記結晶成長面
の原子配列構造が前記結晶成長面の原子配列構造と同じ
である窒化物半導体からなる第1半導体層を成長させる
工程と、前記第1半導体層の表面の隣り合う前記第1凹
部の中間位置の上方の表面に、部分的に内部に後退した
第2凹部を形成する工程と、前記第1半導体層上に、前
記第1半導体層と同じ材料からなる単層または複数層の
第2半導体層を堆積させる工程と、少なくとも前記第1
半導体層が残るように前記基板をエッチングにより除去
する工程とを含む点にある。
【0024】以下に作用並びに効果を説明する。本発明
に係る半導体素子の第一の特徴構成によれば、部分的に
内部に後退した凹部が表面に形成された結晶成長面上に
半導体層を成長させる場合、半導体層の成長は凹部の底
の部分とその両側の頂上の部分とで同時に開始される
が、頂上部分から成長する膜は凹部の底部分の上方に向
かって横方向に自由に成長することができる。その結
果、成長される半導体層と結晶成長面との間の格子定数
の差により発生し得る横方向応力による制約をそれほど
受けないために、半導体層内に発生し得る転位による欠
陥の密度を低下させることができる。従って、得られた
半導体素子において電子または正孔が欠陥に捕獲される
確率が低くなり、低抵抗かつ高速にキャリアを移動させ
ることができる大面積の半導体素子を得ることができ
る。また、従来のようなGaNだけでなくAlGaNや
InAlGaNなどの窒化物半導体であっても低転位密
度(低欠陥密度)で成膜することができる。
【0025】更に、各半導体層を成長させた後で基板を
除去することで、得られた半導体素子を受光素子または
発光素子として利用する際に基板側から光を出し入れす
る場合、基板による吸収または散乱によって光強度が弱
められてしまうことが発生するという問題を解決するこ
とができる。また、基板を除去するのであれば、基板の
バンドギャップエネルギを考慮する必要はなく、その結
果、基板の格子定数とその上に成長させる半導体層の格
子定数との間の整合をとることを最優先に考えて基板を
選択することができる。例えば、半導体素子の内部に基
板を透過させて光を入射させるような形態を取る場合、
基板はその光を透過しなければならないが、基板を除去
するのであれば、Si基板などのバンドギャップエネル
ギの低い基板を使用することも許容される。
【0026】本発明に係る半導体素子の第二の特徴構成
によれば、部分的に内部に後退した第1凹部が表面に形
成された結晶成長面上に第1半導体層を成長させる場
合、第1半導体層の成長は第1凹部の底の部分とその両
側の頂上の部分とで同時に開始されるが、頂上部分から
成長する膜は第1凹部の底部分の上方に向かって横方向
に自由に成長することができる。その結果、成長される
第1半導体層と結晶成長面との間の格子定数の差により
発生し得る横方向応力による制約をそれほど受けないた
めに、第1半導体層内に発生し得る転位による欠陥の密
度を低下させることができる。
【0027】ただし、第1凹部の底部分の上方では第1
凹部の両側の頂上部分から自由に成長してきた第1半導
体層がぶつかり、応力が印加されるため、転位などによ
る欠陥密度が局所的に上昇する可能性がある。そのた
め、第1半導体層上に更なる第2半導体層を成長させ、
その際に、第1半導体層において局所的に欠陥密度が高
いと思われる部分の上方にある第2半導体層の部分の欠
陥密度が低くなるような方策を講じればよい。本発明に
係る半導体素子の第一の特徴構成によれば、第1半導体
層上には第2半導体が形成されるが、第2半導体層の結
晶成長面となる第1半導体層の表面には、隣り合う前記
第1凹部の中間位置の上方の前記第1半導体層の表面
に、部分的に内部に後退した第2凹部が設けられてお
り、第1半導体層において局所的に欠陥密度が高いと思
われる部分の上方にある第2半導体層の部分の欠陥密度
を低くすることができる。その結果、欠陥密度の低い半
導体層を第2半導体層の全面にわたる広い面積で得るこ
とができる。従って、得られた半導体素子において電子
または正孔が欠陥に捕獲される確率が低くなり、低抵抗
かつ高速にキャリアを移動させることができる大面積の
半導体素子を得ることができる。また、従来のようなG
aNだけでなくAlGaNやInAlGaNなどの窒化
物半導体であっても低転位密度(低欠陥密度)で成膜す
ることができる。
【0028】更に、各半導体層を成長させた後で基板を
除去することで、得られた半導体素子を受光素子または
発光素子として利用する際に基板側から光を出し入れす
る場合、基板による吸収または散乱によって光強度が弱
められてしまうことが発生するという問題を解決するこ
とができる。また、基板を除去するのであれば、基板の
バンドギャップエネルギを考慮する必要はなく、その結
果、基板の格子定数とその上に成長させる半導体層の格
子定数との間の整合をとることを最優先に考えて基板を
選択することができる。例えば、半導体素子の内部に基
板を透過させて光を入射させるような形態を取る場合、
基板はその光を透過しなければならないが、基板を除去
するのであれば、Si基板などのバンドギャップエネル
ギの低い基板を使用することも許容される。
【0029】本発明に係る半導体素子の第三の特徴構成
によれば、凹部の寸法を上述の範囲に設定することで、
低欠陥密度の領域を半導体層に形成することができ、そ
の領域の大きさを任意に調整することができる。尚、第
1凹部がストライプ状である場合には第2凹部がストラ
イプ状となり、第1凹部が格子状である場合には第2凹
部が穴状となり、第1凹部が穴状である場合には第2凹
部が格子状となる。ここで、第2凹部における凹部の幅
は、第1凹部における隣り合う凹部の間隔よりも広いこ
とが好ましい。
【0030】本発明に係る半導体素子の第四の特徴構成
によれば、第1凹部および第2凹部の寸法を上述の範囲
に設定することで、低欠陥密度の領域を半導体層に形成
することができ、その領域の大きさを任意に調整するこ
とができる。
【0031】本発明に係る半導体素子の第五の特徴構成
によれば、AlGaNやInAlGaNなどの窒化物半
導体を第2半導体層に用いた場合、アルミニウムのガリ
ウムに対する組成比を変えるだけで、その化合物のバン
ドギャップエネルギを幅広く変化させることができる。
従って、紫外域で感度を有する受光素子や可視域で発光
する発光素子など、様々な波長域で動作させることがで
きる半導体素子に応用することができる。
【0032】本発明に係る半導体素子の第六の特徴構成
によれば、p型の窒化物半導体よりもn型(またはi
型)の窒化物半導体の方が良好な(欠陥の少ない)結晶
を得ることができるが、そのn型の窒化物半導体を下方
に配置した素子を形成しているため、基板とn型半導体
層とp型半導体層とを順次積層した素子においては、入
射される光や放射される光がp型半導体層を通ることな
く基板側を通り、電子および正孔のキャリアの発生や再
結合を結晶性の良好なn型半導体層で行わせることので
きる効率の良い素子を構成することができる。また、得
られた半導体素子をpn接合ダイオード、pin接合ダ
イオード、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ、アバラ
ンシェフォトダイオードなどに応用することもできる。
【0033】本発明に係る光機能素子の第一の特徴構成
によれば、設けられた活性層を光励起することで発生し
た電子正孔対による光電流を観測することで受光素子と
して機能させることができ、電気的に励起することで注
入された電子および正孔の再結合発光を行わせることで
発光素子として機能させることができる。特に、AlG
aNやInAlGaNなどの窒化物半導体を活性層に用
いた場合には、アルミニウムのガリウムに対する組成比
を変えることで、バンドギャップエネルギを調整するこ
とが容易にできるため、所望の波長範囲で感度を有する
受光素子や発光素子などを容易に作製することができ
る。
【0034】本発明に係る光機能素子の第二の特徴構成
によれば、活性層のバンドギャップが少なくとも3.6
eV以上であること、即ち活性層の吸収端波長が約3.
6eV(=約344nm)よりも短波長側にあること
で、火炎の発光スペクトルのピーク波長付近(約344
nm)から短波長側に広がる発光を検出可能な受光素子
を作製することができる。また、発光素子として使用す
る場合は、発光ピーク波長が約344nmにある紫外発
光の素子を作製することができる。
【0035】本発明に係る光機能素子の第三の特徴構成
によれば、活性層の吸収端波長が320nm以下にある
ことで、波長約320nmよりも長波長側に広がる室内
光に応答せず、波長約320nm以下の火炎の光にのみ
応答して光電流を発生する受光素子を作製することがで
きる。従って、作製された受光素子を室内で用いた場合
であっても室内光によるノイズの発生を確実に抑制する
ことができ、火炎センサとしての信頼性を向上させるこ
とができる。
【0036】本発明に係る光機能素子の第四の特徴構成
によれば、活性層の吸収端波長が290nm以下にある
ことで、波長約290nmよりも長波長側に広がる自然
光(太陽光)に応答せず、波長約290nm以下の火炎
の光に応答して光電流を発生する受光素子を作製するこ
とができる。従って、作製された受光素子を屋外の光が
入射する部屋、または屋外で用いた場合であっても太陽
光によるノイズの発生を確実に抑制することができ、火
炎センサとしての信頼性を向上させることができる。
【0037】本発明に係る光機能素子の第五の特徴構成
によれば、基板にSi基板を用いたことで、エッチング
により基板を除去することを容易に行うことができる。
また、基板を用意する段階において、基板面(結晶成長
面)に現れる原子配列構造をSiの切断方向によって容
易に選択することができるので、上に成長する半導体層
の原子配列構造と同じ原子配列構造の結晶成長面を用意
することができる。その結果、基板と半導体層の間の格
子定数の差により半導体層に応力が印加されることによ
る格子歪みが発生することもない。例えば、上にAlG
aN(六方晶)を成長させる場合、Si(111)面は
原子が六角形に配列しているため、両者の原子配列構造
を同じにすることができ、欠陥密度の低いAlGaN層
を得ることができる。
【0038】本発明に係る半導体素子の製造方法の第一
の特徴構成によれば、部分的に内部に後退した凹部が表
面に形成された結晶成長面上に半導体層を成長させる場
合、半導体層の成長は凹部の底の部分とその両側の頂上
の部分とで同時に開始されるが、頂上部分から成長する
膜は凹部の底部分の上方に向かって横方向に自由に成長
することができる。その結果、成長される半導体層と結
晶成長面との間の格子定数の差により発生し得る横方向
応力による制約をそれほど受けないために、半導体層内
に発生し得る転位による欠陥の密度を低下させることが
できる。従って、得られた半導体素子において電子また
は正孔が欠陥に捕獲される確率が低くなり、低抵抗かつ
高速にキャリアを移動させることができる大面積の半導
体素子を得ることができる。また、従来のようなGaN
だけでなくAlGaNやInAlGaNなどの窒化物半
導体であっても低転位密度(低欠陥密度)で成膜するこ
とができる。
【0039】更に、各半導体層を成長させた後で基板を
除去することで、得られた半導体素子を受光素子または
発光素子として利用する際に基板側から光を出し入れす
る場合、基板による吸収または散乱によって光強度が弱
められてしまうことが発生するという問題を解決するこ
とができる。また、基板を除去するのであれば、基板の
バンドギャップエネルギを考慮する必要はなく、その結
果、基板の格子定数とその上に成長させる半導体層の格
子定数との間の整合をとることを最優先に考えて基板を
選択することができる。例えば、半導体素子の内部に基
板を透過させて光を入射させるような形態を取る場合、
基板はその光を透過しなければならないが、基板を除去
するのであれば、Si基板などのバンドギャップエネル
ギの低い基板を使用することも許容される。
【0040】本発明に係る半導体素子の製造方法の第二
の特徴構成によれば、部分的に内部に後退した第1凹部
が表面に形成された結晶成長面上に第1半導体層を成長
させる場合、第1半導体層の成長は第1凹部の底の部分
とその両側の頂上の部分とで同時に開始されるが、頂上
部分から成長する膜は第1凹部の底部分の上方に向かっ
て横方向に自由に成長することができる。その結果、成
長される第1半導体層と結晶成長面との間の格子定数の
差により発生し得る横方向応力による制約をそれほど受
けないために、第1半導体層内に発生し得る転位による
欠陥の密度を低下させることができる。
【0041】ただし、第1凹部の底部分の上方では第1
凹部の両側の頂上部分から自由に成長してきた第1半導
体層がぶつかり、応力が印加されるため、転位などによ
る欠陥密度が局所的に上昇する可能性がある。そのた
め、第1半導体層上に更なる第2半導体層を成長させ、
その際に、第1半導体層において局所的に欠陥密度が高
いと思われる部分の上方にある第2半導体層の部分の欠
陥密度が低くなるような方策を講じればよい。本発明に
係る半導体素子の第一の特徴構成によれば、第1半導体
層上には第2半導体が形成されるが、第2半導体層の結
晶成長面となる第1半導体層の表面には、隣り合う前記
第1凹部の中間位置の上方の前記第1半導体層の表面
に、部分的に内部に後退した第2凹部が設けられてお
り、第1半導体層において局所的に欠陥密度が高いと思
われる部分の上方にある第2半導体層の部分の欠陥密度
を低くすることができる。その結果、欠陥密度の低い半
導体層を第2半導体層の全面にわたる広い面積で得るこ
とができる。従って、得られた半導体素子において電子
または正孔が欠陥に捕獲される確率が低くなり、低抵抗
かつ高速にキャリアを移動させることができる大面積の
半導体素子を得ることができる。また、従来のようなG
aNだけでなくAlGaNやInAlGaNなどの窒化
物半導体であっても低転位密度(低欠陥密度)で成膜す
ることができる。
【0042】更に、各半導体層を成長させた後で基板を
除去することで、得られた半導体素子を受光素子または
発光素子として利用する際に基板側から光を出し入れす
る場合、基板による吸収または散乱によって光強度が弱
められてしまうことが発生するという問題を解決するこ
とができる。また、基板を除去するのであれば、基板の
バンドギャップエネルギを考慮する必要はなく、その結
果、基板の格子定数とその上に成長させる半導体層の格
子定数との間の整合をとることを最優先に考えて基板を
選択することができる。例えば、半導体素子の内部に基
板を透過させて光を入射させるような形態を取る場合、
基板はその光を透過しなければならないが、基板を除去
するのであれば、Si基板などのバンドギャップエネル
ギの低い基板を使用することも許容される。
【0043】
【発明の実施の形態】図1(a)は本発明に係る半導体
素子の断面図であり、部分的に内部に後退した第1凹部
10がストライプ状、格子状、または穴状に形成された
結晶成長面上に半導体層3が設けられ、隣り合う上記第
1凹部10の中間位置の上方の半導体層3の表面にも、
部分的に内部に後退した第2凹部11が形成され、半導
体層3上に半導体層4が成長されている。ここで結晶成
長面は基板1と半導体層2上に第1凹部10を作製する
ことで形成されるが、半導体素子が完成後に基板1を除
去しているため、図1(a)では基板1を破線で示して
いる。
【0044】図1(a)では凹部を形成する工程と、半
導体層を成長させる工程とを2回行い、その後に基板1
を除去した半導体素子を示しているが、凹部を形成する
工程と半導体層を成長させる工程とを1回だけ行い、そ
の後に基板1を除去して作製する半導体素子に応用する
こともできる。
【0045】更に、基板1の結晶成長面において、結晶
成長面の原子配列構造と半導体層2および半導体層3の
原子配列構造は同じである。基板1および半導体層2上
に作製された第1凹部10の寸法は図1(a)および図
1(b)に示すように、凹部の幅がW、凹部の深さが
D、隣り合う凹部の間隔がLであるようなストライプ
状、格子状、または穴状に形成されており、第2凹部1
1についても同様である。尚、半導体層2は基板1と半
導体層3との間の格子定数の差を緩和する緩衝層として
機能させるために設けており、必ずしも設ける必要はな
い。
【0046】図2を参照して、図1(a)に示した半導
体素子の製造工程について説明する。まず、図2(a)
に示すような基板1上に半導体層2を堆積させる(図2
(b))。 最終的に得られた半導体素子を受光素子ま
たは発光素子のような光機能素子として使用する場合、
従来の方法では基板1側から素子内部に光を取り込むた
め、或いは素子で発生された光を効率よく外部に放出す
るために、その所定の波長範囲の光を透過させるような
材料であることが求められていた。しかしながら、上述
したように本願発明では基板1を最終的に除去する形態
をとっているので、基板1が光を透過するか否か、即ち
基板1のバンドギャップエネルギを考慮する必要はな
い。従って、基板1の材料は、結晶成長面の原子配列構
造が半導体層2の原子配列構造と同じであるような材料
であることを最優先にして選択することができる。その
ような点に鑑みて本実施形態では基板1にSi基板を用
いており、他にもGaN基板などを用いることもでき
る。
【0047】次に、基板1および半導体層2を同時にエ
ッチングし、図2(c)に示すようなストライプ状、格
子状、または穴状の第1凹部10を形成する。その後、
図2(d)に示すように半導体層3を堆積させ、隣り合
う上記第1凹部10の中間位置の上方の半導体層3の表
面にも、部分的に内部に後退した第2凹部11を形成す
る(図2(e))。次に、半導体層3上に半導体層4を
成長させ(図2(f))、上述したように基板1をエッ
チング法などによって除去する(図2(g))。半導体
層2〜4は窒化物半導体からなる単層または複数層の半
導体層である。
【0048】このように、第1凹部10の底部分の上方
では第1凹部10の両側の頂上部分から自由に成長して
きた半導体層3がぶつかり、応力が印加されるため、転
位などによる欠陥密度が局所的に上昇する可能性があ
る。そのため、半導体層3上に更なる半導体層4を成長
させ、その際に、半導体層3において局所的に欠陥密度
が高いと思われる部分の上方にある半導体層4の部分の
欠陥密度が低くなるような方策を講じればよい。半導体
層3上には半導体層4が形成されるが、半導体層4の結
晶成長面となる半導体層3の表面には、隣り合う第1凹
部10の中間位置の上方の半導体層3の表面に、部分的
に内部に後退した第2凹部11が設けられており、半導
体層3において局所的に欠陥密度が高いと思われる部分
の上方にある半導体層4の部分の欠陥密度を低くするこ
とができる。その結果、欠陥密度の低い半導体層4を広
い面積で得ることができる。従って、得られた半導体素
子において電子または正孔が欠陥に捕獲される確率が低
くなり、低抵抗かつ高速にキャリアを移動させることが
できる大面積の半導体素子を得ることができる。
【0049】尚、上述したような第1凹部10および第
2凹部11が形成された結晶成長面上に半導体層を成長
させる際に第1凹部10および第2凹部11の深さが深
い場合、第1凹部10および第2凹部11の底の両側の
頂上部分から縦方向および横方向に成長した半導体層に
よって第1凹部10および第2凹部11に蓋がされた格
好となり、第1凹部10および第2凹部11の底には原
料ガスが供給されなくなる可能性がある。その場合、図
中に示すように第1凹部10および第2凹部11には中
空の部分(斜線の無い部分)が残されるが、その中空部
分が問題になることはない。また破線で示すのは、凹部
10の両側から成長してきた半導体層が互いに押し合っ
て(横方向応力が印加されて)できた結晶性の比較的悪
い部位である。
【0050】基板1および半導体層2、並びに半導体層
3表面に形成されるストライプ状、格子状、または穴状
の凹部は、エッチングによって形成され得る。エッチン
グによって行う場合、ストライプ状、格子状、または穴
状の凹部を形成するためのマスクで覆われた基板1およ
び半導体層2に、例えばCl2ガスまたはCF4ガスを用
いたプラズマエッチング(反応性イオンエッチング)
や、レーザアブレーションを施すことで、基板1および
半導体層2、並びに半導体層3に対して所定の深さ、
幅、間隔の第1凹部10および第2凹部11がストライ
プ状、格子状、または穴状に形成される。第1凹部10
および第2凹部11は、凹部の内部に後退した深さDが
0.003μm〜300μmの範囲であり、凹部の幅W
が0.5μm〜50μmの範囲であり、隣り合う凹部の
間隔Lが0.5μm〜50μmの範囲であるような寸法
で形成されることが好ましい。更に好ましくは、第1凹
部10および第2凹部11は、凹部の内部に後退した深
さDが0.05μm〜50μmの範囲であり、凹部の幅
Wが5μm〜30μmの範囲であり、隣り合う凹部の間
隔Lが5μm〜30μmの範囲であるような寸法であ
る。
【0051】次に図3を参照して、得られた半導体素子
を光機能素子として利用する場合を説明する。まず、図
3(a)に示すようなデバイス層である半導体層5を下
地層である半導体層4上に更に堆積させる。ここで、半
導体層5は図3(c)に示すような半導体層6、7、1
2、13からなる多層構造であるが、図3(a)および
図3(b)には図面の簡略化のため参照番号は記さな
い。次に、半導体層5の内のいくつかの層を部分的に除
去する(図3(b))。ここでは、半導体層7、12、
13を部分的に除去し、半導体層6はそのまま残してい
る。その後、半導体層6上の半導体層7、12、13を
除去した部分に電極8を形成し、半導体層13上に電極
9を形成することで光機能素子として利用可能な構成に
なる。尚、半導体層5の構成および電極8、9の配置形
態は図3(c)に示したものに限定されない。
【0052】図3(c)に示したこの光機能素子を火炎
センサとして利用するためには、火炎の光を吸収して電
子正孔対を発生するようなバンドギャップエネルギを有
する材料を活性層として半導体層4および半導体層5
(半導体層6、7、12、13)の積層構造中に設ける
必要があるが、一方で、ノイズとなる太陽光および室内
光によって光励起されないだけのバンドギャップエネル
ギ(下限値)を有していなければならない。つまり、あ
る波長範囲では感度を有するが、それ以外の波長範囲で
は感度を有さないようにバンドギャップエネルギを設計
する必要がある。
【0053】図4には、太陽光、室内光、および火炎の
光のスペクトルを示す。尚、火炎の光はガス光で代表さ
せている。図4から明らかであるように、火炎センサと
して使用する光機能素子に要求される波長範囲は約20
0nm〜約344nmであり、その間に活性層の吸収端
波長があれば(感度を有していれば)よい。更に、室内
光に対して感度を有しないためには活性層の吸収端波長
が約320nm以下であればよく、太陽光に対して感度
を有しないためには活性層の吸収端波長が約290nm
以下にあればよい。
【0054】次に、このような吸収端波長のAlxGa
1-xNを活性層として成長させる場合、アルミニウムの
ガリウムに対する組成比(以下、アルミニウムの組成比
と記す)をどのような値に設定すれば良いのかについて
図5を参照して説明する。尚、AlxGa1-xN層は、通
常の有機金属気相成長法(MOVPE)により成長可能
である。上述したように、AlxGa1-xNはアルミニウ
ムの組成比を変えることで、そのバンドギャップエネル
ギを変えることができ、アルミニウムの組成比xと得ら
れたAlxGa1-xNのバンドギャップエネルギとの関係
は図5のようになる。
【0055】室内光および太陽光が存在しない空間、例
えば、閉め切られた部屋、地下室、地下坑道などの空間
において火炎センサとして使用する場合、活性層の吸収
端波長が火炎の発光ピーク波長付近(約344nm=約
3.6eV)にあることが好ましく、従って、その際の
アルミニウムの組成比xは0.05、或いはそれ以上で
あればよい。
【0056】蛍光灯などが点灯しているが、太陽光は入
ってこない空間において火炎センサとして使用する場
合、活性層の吸収端波長が、火炎の発光波長範囲にあ
り、且つ蛍光灯などによる室内光の発光波長の最短波長
付近(約320nm=約3.9eV)よりも短波長側の
範囲にあることが必要であり、従って、その際のアルミ
ニウムの組成比xは約0.18、或いはそれ以上であれ
ばよい。
【0057】太陽光が入ってくるような空間または屋外
において火炎センサとして使用する場合、活性層の吸収
端波長が、火炎の発光波長範囲にあり、且つ太陽光の波
長の最短波長付近(約290nm=約4.3eV)より
も短波長側の範囲にあることが必要であり、従って、そ
の際のアルミニウムの組成比xは0.33、或いはそれ
以上であればよい。尚、図5に示した組成比とバンドギ
ャップエネルギとの関係は、AlxGa1-xNが真性半導
体(i型)である場合の典型的な例を示したものであ
り、p型半導体である場合やn型半導体である場合に
は、組成比とバンドギャップエネルギとの関係は図5に
示した関係図と異なるため、実際に吸収スペクトルの測
定を行うことで組成比とバンドギャップエネルギとの関
係を求める必要がある場合もある。
【0058】以上のように活性層のバンドギャップエネ
ルギを設定した上で、実際に半導体素子として使用する
場合について図3(c)を参照して以下に説明する。
尚、図3(c)に示した光機能素子において、半導体層
2がAlNであり、半導体層3がアンドープのAlx
1-xN( x=0.4))であり、半導体層4がアンド
ープのAlxGa1-xN(x=0.4)であり、半導体層
6がn型AlxGa1-xN(x=0.4)であり、半導体
層7がi型AlxGa1-xN(x=0.2)であり、半導
体層12がp型AlxGa1-xN(x=0.2)であり、
半導体層13がp型GaN(過剰ドープ層)であるよう
にそれぞれ形成されているものとする。半導体層6、1
2、13には不純物が添加されることで、それぞれn型
およびp型の半導体層となっている。注入される不純物
としてはMgやCaなどの元素があり、何れのキャリア
濃度も約1017〜1018/cm3以上となることが好ま
しい。尚、所望のキャリア濃度を得るためには、Alx
Ga1-xNを成長させる際のアルミニウムの組成比が制
約を受ける場合もある。第1凹部10の寸法は、深さD
が20μm、幅Wが10μm、間隔Lが10μmのスト
ライプ形状であり、第2凹部の寸法は深さDが20μ
m、幅Wが11μm、間隔Lが9μmのストライプ形状
とした。
【0059】上記のような組成の半導体層を備えた光機
能素子を使用することで、波長約280nm〜約320
nmの範囲で感度を有する受光素子として動作させるこ
とができる。また、各半導体層のアルミニウムの組成比
を上述の値から変更して、半導体層3がアンドープのA
xGa1-xN( x=0.6))であり、半導体層4が
アンドープのAlxGa1-xN(x=0.6)であり、半
導体層6がn型AlxGa1-xN(x=0.6)であり、
半導体層7がi型AlxGa1-xN(x=0.4)であ
り、半導体層12がp型AlxGa1-xN(x=0.2)
であるようにそれぞれ形成した場合には、 AlxGa
1-xNのバンドギャップエネルギが大きくなる方向に変
化するために、波長約250nm〜約280nmの範囲
で感度を有する受光素子として動作させることができ
る。
【0060】次に、電極8および電極9について説明す
る。n型AlxGa1-xNである半導体層6上に蒸着さ
れ、400℃〜800℃で約5分間の熱処理を経て完成
された電極8と半導体層6との金属−半導体界面はオー
ミック接触であり、その電極材料にはTi/Al/Au
の3層構造でそれぞれの厚さがそれぞれ5nm/20n
m/50nmのものを用いた。p型GaN(過剰ドープ
層)である半導体層13上に蒸着され、400℃〜80
0℃で約5分間の熱処理を経て完成された電極9と半導
体層13との金属−半導体界面はオーミック接触であ
り、その電極材料にはNi/Auの2層構造でそれぞれ
の厚さがそれぞれ5nm/50nmのものを用いた。半
導体層13にはGaNの他にAlGaNを用いることも
できる。
【0061】上述した形態では電極9がp型GaNの過
剰ドープ層上に形成されているために、その金属−半導
体界面をオーミック接触とすることができるが、電極9
が形成される下地の半導体層13が過剰ドープ層でない
場合にはオーミック接触とすることができない。この場
合、以下のような方法を用いることで過剰ドープ層でな
い半導体層と電極との間の金属−半導体層界面をオーミ
ック接触とすることもできる。
【0062】まず電極材料としてNi、Au、Pt、ま
たはWの単層金属膜、或いはNi、Au、Pt、Wの内
の2種以上からなる多層金属膜または合金層からなる電
極9を蒸着形成し、その後、電極9と半導体層13との
間に電流を流す通電処理を行うことにより、上述した高
抵抗の金属−半導体界面が局所的に発熱する。この局所
的な発熱さようにより電極9中のAuなどが半導体層1
3内部に拡散し、その結果、高抵抗であった金属−半導
体界面をオーミック接触とすることができる。
【0063】以下に図3(c)に示した光機能素子を受
光素子として機能させる場合、および発光素子として機
能させる場合の動作を説明する。ここで、p型Alx
1-xNである半導体層13上に形成された電極9を正
極とし、n型AlxGa1-xNである半導体層6上に形成
された電極8を負極としている。尚、AlxGa1-xNの
代わりにInyAlxGa1-x-yNを用いることもでき
る。
【0064】受光素子として機能させる場合、電極8お
よび電極9の間には予め逆バイアス電圧が印加されてい
る。半導体層2側から光が入射し、活性層が光励起され
ることで電子正孔対が発生する。この電子正孔対は予め
印加されている逆バイアス電圧によって解離され、それ
ぞれ電極8または電極9の方向に加速される。電極8お
よび電極9に到達した電子および正孔は光電流として観
測され、その電流量の大小を解析することで光強度が判
定される。尚、半導体層2側から入射された光が活性層
で吸収されるためには、活性層よりも半導体層2側にあ
る層のバンドギャップエネルギが入射光の光エネルギよ
りも大きく、その結果、それらの層が入射光を透過させ
るような構成である必要がある。
【0065】発光素子として機能させる場合、電極8お
よび電極9に順バイアス電圧を印加して素子内部に電子
および正孔を注入し、活性層で電子および正孔の再結合
発光を行わせることで活性層のバンドギャップエネルギ
に対応した波長の光が半導体層2側から放出される。
尚、活性層において発生した光が半導体層2側から放出
されるためには、活性層よりも半導体層2側にある層の
バンドギャップエネルギが、発生した光の光エネルギよ
りも大きく、その光を半導体層2を介して透過させるよ
うな構成である必要がある。
【0066】また、凹部の形状は上述したストライプ形
状または格子形状に限定されず、結晶成長面に島を形成
するような凹部が設けられた形状をとり得る。その場
合、凹部を格子形状にして、その凹部の幅を広くし、隣
り合う凹部の間隔を狭くすることで、結晶成長面に島が
残されたような凸部を作ることができる。さらにこの場
合、残された島の部分を正方形や長方形などの四角形で
はなく、角を取った他の形状に変更してもよい。また、
規則正しい格子形状ではなく、島の部分が結晶成長面上
に不規則に並んでいてもよい。また、深さが段階的に変
わる凹部などを作製することもできる。
【0067】また或いは、受光素子や発光素子といった
光機能素子に応用するだけでなく、pn接合ダイオー
ド、pin接合ダイオード、ヘテロ接合バイポーラトラ
ンジスタ、アバランシェフォトダイオードなどの半導体
素子に応用することもできる。
【0068】また或いは上記実施形態では、第1凹部1
0、半導体層3、第2凹部11、および半導体層4が順
次形成されたような、2段階で凹部を設けた構成の半導
体素子を説明した。しかし、必ずしもこのような多層構
造である必要はなく、第2凹部および半導体層4を設け
ない1段構造の半導体素子の上に図3に示したデバイス
層(半導体層5)を設けるような構成をとってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は半導体素子の断面図であり、(b)は
基板のストライプ形状を示すための斜視図である。
【図2】半導体素子の作製工程を示す図である。
【図3】半導体素子の作製工程を示す図である。
【図4】太陽光、室内光、および火炎の光のスペクトル
を示すグラフである。
【図5】AlxGa1-xNにおける、アルミニウムのガリ
ウムに対する組成比とバンドギャップエネルギとの関係
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板 2 半導体層(AlN) 3 半導体層(AlGaN) 4 半導体層(AlGaN) 5 半導体層 6 半導体層(n−AlGaN) 7 半導体層(i−AlGaN) 8 電極 9 電極 10 第1凹部 11 第2凹部 12 半導体層(p−AlGaN) 13 半導体層(p−GaN)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/861 H01L 31/10 A 5F049 33/00 27/14 K 5F052 // H01L 21/20 29/91 F (72)発明者 天野 浩 愛知県名古屋市天白区塩釜口1−501 名 城大学理工学部 Fターム(参考) 4K030 AA11 BA02 BA08 BA38 CA04 DA08 FA10 JA01 LA14 4M104 AA04 BB05 BB07 BB09 BB14 BB18 CC01 DD79 FF17 FF31 GG02 GG04 GG05 GG06 4M118 AA10 AB10 BA06 CA03 CA05 CB01 CB14 EA01 GA10 5F041 CA33 CA40 CA65 CA74 CA75 CA77 5F045 AA04 AB14 AB17 AF03 AF04 BB12 CA02 CA13 HA03 5F049 MA02 MA03 MA04 MA07 MA13 MB07 NA10 NB10 PA04 PA20 SE05 SE12 SS03 WA03 5F052 GC01 GC03 JA10

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部分的に内部に後退した第1凹部が表面
    に形成された結晶成長面上に成長された窒化物半導体か
    らなる単層または複数層の第2半導体層を備えてなり、 前記結晶成長面において、前記結晶成長面の原子配列構
    造と前記半導体層の原子配列構造が同じであり、前記結
    晶成長面を有していた基板を除去してなることを特徴と
    する半導体素子。
  2. 【請求項2】 部分的に内部に後退した第1凹部が表面
    に形成された結晶成長面上に成長された窒化物半導体か
    らなる第1半導体層と、 前記第1半導体層上に成長され、前記第1半導体層と同
    じ材料からなる単層または複数層の第2半導体層とを備
    えてなり、 前記結晶成長面に形成された隣り合う前記第1凹部の中
    間位置の上方の前記第1半導体層の表面に、部分的に内
    部に後退した第2凹部が形成され、 前記結晶成長面において、前記結晶成長面の原子配列構
    造と前記第1半導体層の原子配列構造が同じであり、前
    記結晶成長面を有していた基板を除去してなることを特
    徴とする半導体素子。
  3. 【請求項3】 前記第1凹部は、前記第1凹部の内部に
    後退した深さが0.003μm〜300μmであり、前
    記第1凹部の幅が0.5μm〜50μmであり、隣り合
    う前記第1凹部の間隔が0.5μm〜50μmであるよ
    うなストライプ状、または格子状であることを特徴とす
    る請求項1に記載の半導体素子。
  4. 【請求項4】 前記第1凹部は、前記第1凹部の内部に
    後退した深さが0.003μm〜300μmであり、前
    記第1凹部の幅が0.5μm〜50μmであり、隣り合
    う前記第1凹部の間隔が0.5μm〜50μmであるよ
    うなストライプ状、格子状、または穴状であって、 前記第2凹部は、前記第2凹部の内部に後退した深さが
    0.003μm〜300μmであり、前記第2凹部の幅
    が0.5μm〜50μmであり、隣り合う前記第2凹部
    の間隔が0.5μm〜50μmであることを特徴とする
    請求項2に記載の半導体素子。
  5. 【請求項5】 前記第2半導体層がAl、Ga、および
    Nを少なくとも含む窒化物半導体からなることを特徴と
    する請求項1から請求項4の何れかに記載の半導体素
    子。
  6. 【請求項6】 前記第2半導体層がn型半導体層とp型
    半導体層とを少なくとも備えてなり、前記n型半導体層
    を下方に、前記p型半導体層を上方に配置した構造を含
    むことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記
    載の半導体素子。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項6の何れかに記載の
    第2半導体層が、少なくとも感光性または発光性を有す
    る活性層を少なくとも備えてなることを特徴とする光機
    能素子。
  8. 【請求項8】 前記活性層のバンドギャップエネルギが
    3.6eV以上であり、且つ前記活性層より前記基板側
    にある層のバンドギャップエネルギが前記活性層のバン
    ドギャップエネルギよりも大きいことを特徴とする請求
    項7に記載の光機能素子。
  9. 【請求項9】 前記活性層における吸収端波長が320
    nm以下にあることを特徴とする請求項8に記載の光機
    能素子。
  10. 【請求項10】 前記活性層における吸収端波長が29
    0nm以下にあることを特徴とする請求項9に記載の光
    機能素子。
  11. 【請求項11】 前記基板がSi基板であることを特徴
    とする請求項7から請求項10の何れかに記載の光機能
    素子。
  12. 【請求項12】 基板の表面に、部分的に内部に後退し
    た凹部が形成された結晶成長面を形成する工程と、 前記結晶成長面上に、前記結晶成長面の原子配列構造が
    前記結晶成長面の原子配列構造と同じである窒化物半導
    体からなる半導体層を成長させる工程と、 少なくとも前記半導体層が残るように前記基板をエッチ
    ングにより除去する工程とを含む半導体素子の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 基板の表面に、部分的に内部に後退し
    た第1凹部が形成された結晶成長面を形成する工程と、 前記結晶成長面上に、前記結晶成長面の原子配列構造が
    前記結晶成長面の原子配列構造と同じである窒化物半導
    体からなる第1半導体層を成長させる工程と、 前記第1半導体層の表面の隣り合う前記第1凹部の中間
    位置の上方の表面に、部分的に内部に後退した第2凹部
    を形成する工程と、 前記第1半導体層上に、前記第1半導体層と同じ材料か
    らなる単層または複数層の第2半導体層を堆積させる工
    程と、 少なくとも前記第1半導体層が残るように前記基板をエ
    ッチングにより除去する工程とを含む半導体素子の製造
    方法。
JP2001001751A 2001-01-09 2001-01-09 半導体素子およびその製造方法 Pending JP2002208724A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001001751A JP2002208724A (ja) 2001-01-09 2001-01-09 半導体素子およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001001751A JP2002208724A (ja) 2001-01-09 2001-01-09 半導体素子およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002208724A true JP2002208724A (ja) 2002-07-26

Family

ID=18870353

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001001751A Pending JP2002208724A (ja) 2001-01-09 2001-01-09 半導体素子およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002208724A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005340625A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Nichia Chem Ind Ltd 窒化物半導体レーザ素子
JP2006156953A (ja) * 2004-11-05 2006-06-15 Sharp Corp 窒化物半導体素子及びその製造方法
US8368183B2 (en) 2004-11-02 2013-02-05 Sharp Kabushiki Kaisha Nitride semiconductor device
WO2024038897A1 (ja) * 2022-08-18 2024-02-22 国立大学法人東京大学 素子、素子の製造方法、及びフォトニックスピンレジスタ

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005340625A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Nichia Chem Ind Ltd 窒化物半導体レーザ素子
US8368183B2 (en) 2004-11-02 2013-02-05 Sharp Kabushiki Kaisha Nitride semiconductor device
JP2006156953A (ja) * 2004-11-05 2006-06-15 Sharp Corp 窒化物半導体素子及びその製造方法
WO2024038897A1 (ja) * 2022-08-18 2024-02-22 国立大学法人東京大学 素子、素子の製造方法、及びフォトニックスピンレジスタ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4954549B2 (ja) 半導体発光素子およびその製法
US6720570B2 (en) Gallium nitride-based semiconductor light emitting device
JP3631157B2 (ja) 紫外発光ダイオード
US7521329B2 (en) Semiconductor light emitting diode having textured structure and method of manufacturing the same
JP2000174339A (ja) GaN系半導体発光素子およびGaN系半導体受光素子
JPH09312416A (ja) 3族窒化物化合物半導体発光素子
JPH0621511A (ja) 半導体発光素子
CN110085707B (zh) Iii族氮化物半导体隧道结及其制备方法与应用
US7964425B2 (en) Method for manufacturing p type gallium nitride based device
KR100818269B1 (ko) 질화물 반도체 발광소자
KR100960277B1 (ko) 3족 질화물 반도체 발광소자를 제조하는 방법
JP2005235908A (ja) 窒化物半導体積層基板及びGaN系化合物半導体装置
JP2002208724A (ja) 半導体素子およびその製造方法
WO2011111853A1 (ja) 光電変換装置及びその特性検査方法
KR100751632B1 (ko) 발광 소자
JP2002208722A (ja) 半導体素子およびその製造方法
JP2803791B2 (ja) 半導体素子の製造方法
KR20090073940A (ko) 3족 질화물 반도체 발광소자 및 그 제조방법
JP2002208723A (ja) 半導体素子およびその製造方法
KR20070041203A (ko) 질화물계 발광 다이오드 및 그 제조방법
JP3674412B2 (ja) AlGaInP系発光ダイオード及びその製造方法
US20200321440A1 (en) Semiconductor device
JP2001015805A (ja) AlGaInP系発光素子及び発光素子用エピタキシャルウェハ
JP3630881B2 (ja) 3族窒化物半導体発光素子の製造方法
KR101008286B1 (ko) 3족 질화물 반도체 발광소자

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070405

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20070523

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090312

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090709