JP2002206163A - 成膜装置及び成膜方法 - Google Patents

成膜装置及び成膜方法

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JP2002206163A JP2001323018A JP2001323018A JP2002206163A JP 2002206163 A JP2002206163 A JP 2002206163A JP 2001323018 A JP2001323018 A JP 2001323018A JP 2001323018 A JP2001323018 A JP 2001323018A JP 2002206163 A JP2002206163 A JP 2002206163A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高純度化したEL材料を用いてEL層を形成
することができる成膜装置を提供する。 【解決手段】 本発明における成膜装置は、成膜直前に
純粋なEL材料の昇華温度を利用してEL材料の昇華精
製を行い、EL材料に含まれる酸素、水およびその他の
不純物を除去すると共に、昇華精製により得られたEL
材料(高純度EL材料)をそのまま蒸発源として用いて
成膜を行うことができるという機能を有する成膜装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上にEL素子
を形成する際に、成膜材料を昇華精製すると共に精製さ
れた材料を用いて成膜を行う際に用いる成膜装置及び成
膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自発光型の素子としてEL素子を
有した発光装置の研究が活発化しており、特に、EL材
料として有機材料を用いた発光装置が注目されている。
この発光装置は有機ELディスプレイ(OELD:Orga
nic EL Display)又は有機発光ダイオード(OLED:
Organic Light Emitting Diode)とも呼ばれている。
【0003】なお、EL素子は、電場を加えることで発
生するルミネッセンス(Electro Luminescence)が得ら
れる有機化合物を含む層(以下、EL層と記す)と、陽
極と、陰極とを有する。有機化合物におけるルミネッセ
ンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光
(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光
(リン光)とがあるが、本発明の成膜装置および成膜方
法により作製される発光装置は、どちらの発光を用いた
場合にも適用可能である。
【0004】発光装置は、液晶表示装置と異なり自発光
型であるため視野角の問題がないという特徴がある。即
ち、屋外に用いられるディスプレイとしては、液晶ディ
スプレイよりも適しており、様々な形での使用が提案さ
れている。
【0005】EL素子は一対の電極間にEL層が挟まれ
た構造となっているが、EL層は通常、積層構造となっ
ている。代表的には、コダック・イーストマン・カンパ
ニーのTangらが提案した「正孔輸送層/発光層/電子輸
送層」という積層構造が挙げられる。この構造は非常に
発光効率が高く、現在、研究開発が進められている発光
装置は殆どこの構造を採用している。
【0006】また、他にも陽極上に正孔注入層/正孔輸
送層/発光層/電子輸送層、または正孔注入層/正孔輸
送層/発光層/電子輸送層/電子注入層の順に積層する
構造も良い。発光層に対して蛍光性色素等をドーピング
しても良い。また、これらの層は、全て低分子系の材料
を用いて形成しても良いし、全て高分子系の材料を用い
て形成しても良い。
【0007】なお、本明細書において、陰極と陽極との
間に設けられる全ての層を総称してEL層という。した
がって、上述した正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電
子輸送層及び電子注入層は、全てEL層に含まれる。
【0008】また、本明細書中では、陰極、EL層及び
陽極で形成される発光素子をEL素子といい、これに
は、互いに直交するように設けられた2種類のストライ
プ状電極の間にEL層を形成する方式(単純マトリクス
方式)、又はTFTに接続されマトリクス状に配列され
た画素電極と対向電極との間にEL層を形成する方式
(アクティブマトリクス方式)の2種類がある。
【0009】EL素子の実用化における最大の問題は、
素子の寿命が不十分な点である。また、素子の劣化は、
長時間発光させると共に非発光領域(ダークスポット)
が広がるという形で現れるが、その原因としてEL層の
劣化が問題となっている。
【0010】EL層を形成するEL材料は、酸素や水等
の不純物により劣化を受ける。また、その他の不純物が
EL材料に含まれることでEL層の劣化に影響を及ぼす
ことも考えられる。
【0011】従来、蒸着法により成膜を行う際には、蒸
発材料をそのまま用いているが、蒸着時の蒸発材料に
は、不純物が混入していることが考えられる。すなわ
ち、EL素子の劣化原因の一つである酸素や水及びその
他の不純物が混入している可能性がある。
【0012】また、蒸発材料を予め精製することにより
純度を高めることはできるが、蒸着するまでの間に不純
物が混入してしまうという可能性もある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
鑑みてなされたものであり、成膜時にEL材料に含まれ
る不純物を分離除去し、これにより純度を高めたEL材
料を用いて成膜を行い、高純度なEL層を形成すること
ができる成膜装置を提供することを課題とする。また、
本発明の成膜装置を用いた成膜方法を提供することを課
題とする。
【0014】
【発明を解決するための手段】本発明は、純粋なEL材
料の昇華温度を利用して、成膜直前にEL材料の昇華精
製を行うことで、EL材料に含まれる複数の不純物を除
去することができ、精製されたEL材料(以下、高純度
EL材料という)を蒸発源として用いて薄膜を成膜する
ことを特徴とする。
【0015】図1では、複数の不純物物質が含まれてい
るEL材料を固体から気化させて、これに温度変化を与
えると各物質の昇華温度の違いにより複数の物質が分離
できる点について説明する。なお、縦軸に温度をとり、
横軸に総析出量を示す。また、本明細書中では、高純度
EL材料よりも昇華温度の高い物質(不純物)を高温材
料とよび、昇華温度の低い物質(不純物)を低温材料と
よぶことにする。また、高温と低温の中間に位置する温
度で昇華する高純度EL材料を中温材料と呼ぶことにす
る。なお、温度毎に析出した材料を予め質量分析(GC
−MS)等の分析により調べておくことで、純粋なEL
材料の昇華温度を調べることができる。
【0016】はじめに、EL材料に含まれる全ての物質
(高純度EL材料及び不純物)が気化する温度(以下完
全昇華温度)をかける。これにより完全昇華領域100
においてEL材料に含まれる全ての物質が気体として存
在する。さらにこの後、徐々に温度を下げていくと、図
1の高温材料析出領域101において昇華温度の高い高
温材料が固体として析出する。
【0017】さらに、温度を下げていくと図1の中温材
料析出領域102において、主生成物である中温材料
(高純度EL材料)が析出する。そして、再び温度を下
げていくと低温材料析出領域103において、低温材料
が析出する。
【0018】つまり、本発明は、析出温度の差を利用し
て高純度EL材料(中温材料)より高温で析出する不純
物(高温材料)、または、低温で析出する不純物(低温
材料)を分離し、高純度EL材料のみで成膜を行う成膜
装置及び成膜方法を提供する。さらに、成膜材料だけで
なく、成膜装置自体も高純度化のための様々な機能を有
していることを特徴とする。
【0019】図2においては、EL材料200を昇華精
製した後で蒸着により成膜を行う方法について説明す
る。図2は、断面図であり、はじめに、図2(A)によ
り低温材料(不純物)の分離を行う。系には、温度調節
機構が備えられており、系においては、EL材料が温度
による固体−気体間の状態変化、すなわち昇華という現
象が生じる。図2に示す複数の系においては、これらの
状態変化が行われている。なお、ここでいう温度調節機
構の具体的な例として、ヒーターが含まれる。系(1)
201には、EL材料200が備えられている。又、系
(1)201には、温度調節機構(a)203が備えら
れており、EL材料を全て気化させる完全昇華温度に温
度を制御することができる。また、このような系(1)
201において気化したEL材料のことを気体EL材料
と呼ぶことにする。
【0020】系(1)201で発生した気体EL材料
は、図2(A)に示すように備えられている系(2)2
04に移動する。また、系(2)204には、温度調節
機構(b)205が備えられていて、系(2)204を
中温に維持することができる。なお、系(2)204
は、図2(A)の断面図から見て下側は、系(1)20
1で発生した気体が全て系(2)204に移動できるよ
うに連結されており、又上側になる部分は、系(2)2
04内部の気体が通過できる程度の開口部210が設け
られている。
【0021】系(2)204に移動した気体EL材料の
うち中温以上の温度で昇華する物質は、系(2)204
の内部の析出領域(a)211に固体として析出する。
本明細書中では、ここで析出した物質を準EL材料と呼
ぶことにする。なお、中温以下の温度で昇華する低温材
料は、気体のままであるため、系(2)204の開口部
210から系(2)204の外部に放出される。ここで
放出される低温材料は、EL材料に含まれていた不純物
であるので外部に回収される。
【0022】次に、気体を除去した系(2)204を図
2(B)に示すように180°反転させて備える。そし
て、温度調節機構(b)205により系(2)204を
完全昇華温度に維持する。これにより、系(2)204
内部に析出した準EL材料は気化し、系(3)206に
移動する。
【0023】系(3)206には、温度調節機構(c)
207が備えられている。ここで、温度調節機構(c)
207により系(3)206は、高温に維持される。こ
のとき、準EL材料のうち、高温材料(不純物)は、系
(3)206内部の領域(b)212に析出する。これ
により、高温材料(不純物)を分離することができ、系
(3)206内部に中温材料(高純度EL材料)のみを
気体として存在させることができる。
【0024】また、系(3)206は、図2(A)にお
ける系(2)204と同様上部に気体が通過できる開口
部213を有しているので、系(3)206の外部に高
純度EL材料(気体)を放出することができる。
【0025】そして、高純度EL材料(気体)が放出さ
れる方向に基板208を備えておくことで、これまでの
昇華精製により得られた高純度EL材料を成膜(蒸着)
することが可能となる。
【0026】なお、基板208は、成膜直前に加熱処理
を行い、基板208上の酸素や水等の不純物を除去して
おくことが好ましい。
【0027】さらに、これらのEL材料の昇華精製及び
成膜を行う成膜室の内部に用いる材料としては、その表
面積を小さくすることで酸素や水等の不純物の吸着性を
小さくすることができるので、電解研磨を施して鏡面化
させたアルミニウムやステンレス(SUS)等を内部壁
面に用いる。これにより、成膜室内部の真空度を10 -5
〜10-6Paに維持することができる。また、気孔がき
わめて少なくなるように処理されたセラミックス等の材
料を内部部材に用いる。なお、これらは、中心線平均粗
さが30Å以下となる表面平滑性を有するものが好まし
い。
【0028】また、本発明の成膜装置が有する成膜室や
搬送室等の処理室において、各処理室にガスが導入され
る場合には、処理室直前に備えられているガス精製機に
より酸素や水等の不純物等が除去され高純度化されたガ
スが導入されるようになっている。
【0029】さらに、本発明の成膜装置が有するこれら
の成膜室や搬送室等の処理室の全てには、磁気浮上型の
ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、またはドライポン
プが備えられている。これにより各処理室の到達真空度
を10-5〜10-6Paにすることが可能であり、さらに
ポンプ側および排気系からの不純物の逆拡散を制御する
ことができる。
【0030】なお、本発明の成膜装置を用いてEL層を
形成する際には、その形成前に基板上に形成されたEL
素子の陽極もしくは陰極の表面処理を行う。その具体的
な方法としては、酸素中で紫外光を照射しつつ加熱処理
を行ったり、酸素または水素プラズマ処理を行いつつ加
熱処理を行う等の方法がある。なお、加熱の温度は10
0℃以下であるのが好ましい。また、成膜室の内部は、
成膜前に成膜室内の不純物を除去するために成膜室を1
00℃以下に加熱する機構を設けておくことも有効であ
る。
【0031】なお、本発明における昇華精製は、EL材
料のみならず、蒸着に用いる金属材料等のその他の材料
の精製にも用いることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の成膜装置に備えられる成
膜室の構成について図3に示す。図3(A)は成膜室の
上面図であり、図3(B)及び図3(C)は、断面図で
ある。なお、共通の部分には、共通の符号を使うものと
する。
【0033】図3(A)において、301は成膜室であ
り、成膜室301の内部に基板302が搬送される。基
板302が搬送されると、成膜室301に備えられてい
る複数の蒸発源のうち、必要な蒸発源のみが使えるよう
にシャッター(2)306が開く構造になっている。な
お、シャッター(2)306は蒸発源と基板302の間
に備えられており、所望の蒸発源のみから基板上に蒸着
が行えるように、その他の蒸発源からの蒸発材料の放出
を遮断する役割を果たしている。図3は、複数の蒸発源
のうち、蒸発源(1)303、蒸発源(2)304を用
いて共蒸着が行われる場合について示している。
【0034】具体的な構造については、図3(A)を点
線AA’で紙面に垂直方向に切断した断面構造である図
3(B)、(C)を用いて説明する。
【0035】まず、図3(B)において、蒸着前のEL
材料に含まれる不純物のうち、低温材料の分離除去が行
われる。系(1)311には、EL材料312が備えて
ある。また、系(1)311には、温度調節機構(1)
313が備えてあるので系(1)311内部の温度が調
節できるようになっている。
【0036】温度調節機構(1)313により、系
(1)311内部はEL材料が気化して気体EL材料と
なる温度(完全昇華温度)に維持される。そして、気体
EL材料は、系(1)311から系(2)314に移動
する。
【0037】系(2)314には、温度調節機構(2)
315が備えてあるので系(2)314内部の温度が調
節できるようになっている。
【0038】温度調節機構(2)315により、系
(2)314内部の気体EL材料のうち中温材料及び高
温材料を含むEL材料が固体として析出する温度(中
温)に維持される。このとき低温材料は気体のままであ
り、系(2)314の開口部316から系(2)314
の外部に放出される。なお、このとき成膜室内部は、シ
ャッター(1)317により系(1)311および系
(2)314と上部に備えられている系(3)318と
は遮断されている。
【0039】また、ここでは、図示されていないが、系
(2)314の開口部316から放出された低温材料
(気体)は、排気系により装置外部に放出されるように
なっている。なお、ここでの排気は、クライオポンプに
より行われている。
【0040】低温材料が除去されると図3(C)に示す
ようにシャッター(1)317が開き、系(2)314
が180°反転する。そして、系(3)318と連結さ
れる。
【0041】系(2)314には、図3(B)において
析出させた中温材料及び高温材料を含むEL材料が存在
するが、温度調節機構(2)315により系(2)31
4の内部を完全昇華温度にすることで、再び気化させる
ことができる。そして、気化したEL材料は、系(2)
314から系(3)318に移動する。系(3)318
には、温度調節機構(3)321が備えられており、温
度調節機構(3)321により、系(3)318内部の
温度は、高温に保たれている。このとき、気化したEL
材料に含まれる高温材料は、昇華により系(3)318
の内部に析出する。以上により、系(3)318に存在
する気体は高純度EL材料(中温材料)のみとなる。
【0042】また、それぞれの蒸発源が有する系(3)
318の上部には、シャッター(2)306が設けられ
ていて、必要な蒸発源のシャッターのみが開くようにな
っている。なお、本実施の形態では、蒸発源(1)30
3と蒸発源(2)304のシャッターのみが開いてい
る。
【0043】つまり、シャッター(2)306が開くこ
とにより、蒸発源(1)303と蒸発源(2)304の
それぞれの系(3)318の開口部322からEL材料
が放出され、系(3)318の上部に備えられている基
板上に蒸着が行われる。なお、蒸発源が複数の場合に
は、共蒸着が行われる。
【0044】また、複数のEL材料を基板上に塗り分け
る場合には、シャッター(2)306と基板の間に開口
部を設けたシャドーマスクを備えておいても良い。な
お、シャドーマスクとしては、金属板やガラス板からな
るものを用いることができる。
【0045】また、これらの成膜室の内部壁面は、アル
ミニウムやステンレス(SUS)等の金属材料で通常形
成されているが、これらの材料は、酸素や水等の不純物
を放出するなどの問題がある。そこで、これらの金属材
料表面を電解研磨により鏡面化させたものを用いる。さ
らに、成膜室内部に用いる部材にも通常のセラミックス
に比べて気孔が極限的に少なく、内部表面における表面
積が小さい材料を用いることが好ましい。これは、内部
の表面積を小さくすることで、水や酸素といった不純物
等の脱離特性を向上させ、成膜室内の不純物汚染を防ぐ
ためである。なお、これらの表面は、中心線平均粗さ1
〜30Åの平滑性を有している。
【0046】次に、これまで説明したものと少し異なる
方法で蒸着前にEL材料を昇華精製し、蒸着を行う場合
について説明する。
【0047】図4において、401は、分離管であり、
内部に窒素や希ガス等の不活性ガスをキャリヤーガスと
して流している。なお、本発明の成膜装置において、装
置内部に導入されるこれらのガスは、装置内に導入され
る前にガス精製機により高純度化されたものを用いる。
従って、ガスが高純度化された後に成膜装置に導入され
るようにガス精製機を備えておく必要がある。これによ
り、ガス中に含まれる酸素や水、その他の不純物を予め
除去することができるため、装置内部にこれらの不純物
が導入されるのを防ぐことができる。
【0048】また、材料室402には、EL材料403
が備えられており、材料室402には、EL材料403
を気化するための加熱機構404が備えられている。な
お、この加熱機構404によりEL材料403を気化す
る前に予めEL材料403を加熱することで、水等の不
純物を除去することができる。また、この時の加熱温度
は、200℃以下であることが好ましい。
【0049】さらに、ここでは図示していないが、材料
室402は、材料交換室とゲートを介して連結される。
なお、材料交換室には、交換したEL材料を加熱するヒ
ーターが設けられている。予め材料を加熱することで水
等の不純物を除去することができる。この時加える温度
は200℃以下であることが望ましい。また、材料交換
室には、内部を減圧状態にすることができる排気ポンプ
が備えられており、外部からEL材料を導入した後、内
部を減圧状態にする。そして、材料室402内と同じ圧
力状態になったところでゲートを開け、材料室402内
部にEL材料備えることができるようになっている。
【0050】材料室402で気化した気体EL材料は、
キャリヤーガスとともに分離管401内を矢印aの方向
に移動する。なお、分離管401には、その内部の温度
を調節するための温度調節機構405(具体的には、ヒ
ーターが含まれる)が備えられている。
【0051】温度調節機構405では、気体EL材料が
流れてくる方向から徐々に温度が低くなるように設定さ
れている。なお、温度調節機構405の高温部分の温度
は、加熱機構404よりも低い温度になるように調節さ
れている。
【0052】そして、気体EL材料が温度調節機構を備
えた分離管内部を移動する際に、昇華温度の違いによ
り、高純度EL材料よりも昇華温度の高い不純物(高温
材料)、昇華温度の低い不純物(低温材料)及び高純度
EL材料(中温材料)を異なる温度領域ごとに分離して
析出させることができる。
【0053】なお、予め純粋なEL材料が析出する温度
を測定しておけば、温度と位置の調節は容易である。ま
た、通常は、純粋なEL材料の融点から±10℃付近が
析出温度となる。そして、分離管401のある領域40
6をゲート(a)407及びゲート(b)408により
分離できるような構造にしておき、この領域に純粋なE
L材料が析出するように温度を調節すればよい。なお、
分離管401をゲート(a)407及びゲート(b)4
08により分離することで、蒸発源分離室409を形成
することができる。
【0054】なお、ここでは図示しないが、分離管40
1は、ゲート(c)410を介して、成膜室と連結され
ている。そこで、分離管401に連結された成膜室の構
成について図5を用いて説明する。
【0055】図5(A)において、分離管501内部の
気体EL材料が温度調節機構502により分離析出し、
高純度なEL材料(高純度EL材料)509のみが分離
管501内部でゲート(a)503、ゲート(b)50
4及びゲート(c)505により遮断された蒸発源分離
室506内部に析出する。なお、蒸発源分離室506
は、ゲート(c)505を介して成膜室507と連結さ
れている。つまり、ゲート(c)505が開くと、領域
(a)508において高純度EL材料の蒸着が可能にな
る。
【0056】なお、図5(B)に領域(a)508の拡
大図を示す。基板511はゲート(d)512を通り、
成膜室507に搬入される。また、基板511は、成膜
面を下面に向け、固定台513上に固定され、蒸着され
る。
【0057】なお、ここでは、EL層を形成するため、
基板上には、予め画素電極514(陽極もしくは陰極)
が形成されている。
【0058】
【実施例】〔実施例1〕本発明の成膜装置について図6
を用いて説明する。図6において、601は搬送室であ
り、搬送室601には搬送機構(A)602が備えら
れ、基板603の搬送が行われる。搬送室601は減圧
雰囲気にされており、各処理室とはゲートによって連結
されている。各処理室への基板の受け渡しは、ゲートを
開けた際に搬送機構(A)602によって行われる。ま
た、搬送室601を減圧するには、ドライポンプ、メカ
ニカルブースターポンプ、ターボ分子ポンプ(磁気浮上
型)もしくはクライオポンプなどの排気ポンプを用いる
ことが可能であるが、より高純度に高真空状態を得るた
めには磁気浮上型のターボ分子ポンプが好ましい。
【0059】以下に、各処理室についての説明を行う。
なお、搬送室601は減圧雰囲気となるので、搬送室6
01に直接的に連結された処理室には全て排気ポンプ
(図示せず)が備えられている。排気ポンプとしては上
述のドライポンプ、メカニカルブースターポンプ、ター
ボ分子ポンプ(磁気浮上型)もしくはクライオポンプが
用いられるが、ここでも磁気浮上型のターボ分子ポンプ
が好ましい。
【0060】まず、604は基板のセッティング(設
置)を行うロード室であり、アンロード室も兼ねてい
る。ロード室604はゲート600aにより搬送室60
1と連結され、ここに基板603をセットしたキャリア
(図示せず)が配置される。なお、ロード室604は基
板搬入用と基板搬出用とで部屋が区別されていても良
い。また、ロード室604は上述の排気ポンプと高純度
の窒素ガスまたは希ガスを導入するためのパージライン
を備えている。なお、排気ポンプとしては、ターボ分子
ポンプが望ましい。さらに、このパージラインには、ガ
ス精製機が備えられており、装置内に導入されるガスの
不純物(酸素や水)が予め除去されるようになってい
る。
【0061】なお、本実施例では基板603として、E
L素子の陽極となる透明導電膜まで形成した基板を用い
る。本実施例では基板603を、被成膜面を下向きにし
てキャリアにセットする。これは後に蒸着法による成膜
を行う際に、フェイスダウン方式(デポアップ方式とも
いう)を行いやすくするためである。フェイスダウン方
式とは、基板の被成膜面が下を向いた状態で成膜する方
式をいい、この方式によればゴミの付着などを抑えるこ
とができる。
【0062】次に、605で示されるのはEL素子の陽
極もしくは陰極(本実施例では陽極)の表面を処理する
処理室(以下、前処理室という)であり、前処理室60
5はゲート600bにより搬送室601と連結される。
前処理室605はEL素子の作製プロセスによって様々
に変えることができるが、本実施例では透明導電膜から
なる陽極の表面に酸素中で紫外光を照射しつつ100〜
120℃で加熱できるようにする。このような前処理
は、EL素子の陽極表面を処理する際に有効である。
【0063】その他の前処理法としては、酸素または水
素中でプラズマを照射しつつ200〜400℃で加熱す
るという方法も有効であり、この場合には、プラズマ処
理及び加熱処理が可能な機構を前処理室に備えておけば
よい。
【0064】次に、606は蒸着法により有機EL材料
を成膜するための成膜室であり、成膜室(A)と呼ぶ。
成膜室(A)606はゲート600cを介して搬送室6
01に連結される。本実施例では成膜室(A)606と
して図3に示した構造の成膜室を設けている。
【0065】本実施例では、成膜室(A)606内の成
膜部607において、赤色に発色する発光層を成膜す
る。従って、成膜室(A)606内に備えられている複
数の蒸発源のうち赤色に発色する発光層となる有機EL
材料が備えられている蒸発源の上部のシャッターを開け
ておく。また、選択的に赤色に発色する発光層を形成す
るためにシャドーマスクがセットされている。なお、赤
色に発色する発光層としては、Alq3にDCMをドー
ピングしたものを用いて形成することができる。その他
にもEu錯体(Eu(DCM)3(Phen)、アルミ
キノリラト錯体(Alq3)にDCM−1をドーパント
として用いたもの等を用いることができるが、その他公
知の材料を用いることもできる。
【0066】また、成膜室(A)606はゲート600
gを介して材料交換室614に連結される。なお、材料
交換室614には、交換した材料を加熱するヒーターが
設けられている。予め材料を加熱することで水等の不純
物を除去することができる。この時加える温度は200
℃以下であることが望ましい。また、材料交換室614
には、内部を減圧状態にすることができる排気ポンプが
備えられているので、外部から蒸発材料を追加または交
換して加熱処理した後、内部を減圧状態にする。そし
て、成膜室内と同じ圧力状態になったところでゲート6
00gを開け、成膜室内部の蒸発源に蒸発材料備えるこ
とができるようになっている。なお、蒸発材料は、搬送
機構などにより成膜室内の蒸発源に備えられる。
【0067】なお、成膜室(A)606内における成膜
プロセスに関しては、図3の説明を参照すれば良い。
【0068】次に、608は蒸着法により有機EL材料
を成膜するための成膜室であり、成膜室(B)と呼ぶ。
成膜室(B)608はゲート600dを介して搬送室6
01に連結される。本実施例では成膜室(B)608と
して図3に示した構造の成膜室を設けている。本実施例
では、成膜室(B)608内の成膜部609において、
緑色に発色する発光層を成膜する。なお、緑色に発色す
る発光層としては、CBPとIr(ppy)3を共蒸着
することにより形成させることができる。なお、この他
にもアルミキノリラト錯体(Alq3)、ベンゾキノリ
ノラトベリリウム錯体(BeBq)を用いることができ
る。さらには、アルミキノリラト錯体(Alq3)にク
マリン6やキナクリドンといった材料をドーパントとし
て用いたものも可能であるが、その他公知の材料を用い
ることもできる。
【0069】また、成膜室(B)608はゲート600
hを介して材料交換室615に連結される。なお、材料
交換室615には、交換した材料を加熱するヒーターが
設けられている。予め材料を加熱することで水等の不純
物を除去することができる。この時加える温度は200
℃以下であることが望ましい。また、材料交換室615
には、内部を減圧状態にすることができる排気ポンプが
備えられているので、外部から蒸発材料を導入した後、
内部を減圧状態にする。そして、成膜室内と同じ圧力状
態になったところでゲート600hを開け、成膜室内部
の蒸発源に蒸発材料備えることができるようになってい
る。なお、蒸発材料は、搬送機構などにより成膜室内の
蒸発源に備えられる。
【0070】なお、成膜室(B)608内における成膜
プロセスに関しては、図3の説明を参照すれば良い。
【0071】次に、610は蒸着法により有機EL材料
を成膜するための成膜室であり、成膜室(C)と呼ぶ。
成膜室(C)610はゲート600eを介して搬送室6
01に連結される。本実施例では成膜室(C)610と
して図3に示した構造の成膜室を設けている。本実施例
では、成膜室(C)610内の成膜部611において、
青色に発色する発光層を成膜する。なお、青色に発色す
る発光層としては、ジスチリル誘導体であるDPVBi
や、アゾメチン化合物を配位子に持つ亜鉛錯体及びDP
VBiにペリレンをドーピングしたものを用いることも
できるが、その他の公知の材料を用いても良い。
【0072】また、成膜室(C)610はゲート600
iを介して材料交換室616に連結される。なお、材料
交換室616には、交換した材料を加熱するヒーターが
設けられている。予め材料を加熱することで水等の不純
物を除去することができる。この時加える温度は200
℃以下であることが望ましい。また、材料交換室616
には、内部を減圧状態にすることができる排気ポンプが
備えられているので、外部から蒸発材料を導入した後、
内部を減圧状態にする。そして、成膜室内と同じ圧力状
態になったところでゲート600iを開け、成膜室内部
の蒸発源に蒸発材料備えることができるようになってい
る。なお、蒸発材料は、搬送機構などにより成膜室内の
蒸発源に備えられる。
【0073】なお、成膜室(C)610内における成膜
プロセスに関しては、図3の説明を参照すれば良い。
【0074】なお、本実施例では、EL素子の陽極もし
くは陰極上に直接発光層を形成させる例について説明し
たが、発光層の形成を行う前に正孔注入層や正孔輸送層
を形成させても良い。なお、正孔注入層としては、銅フ
タロシアニンやポリチオフェン誘導体であるPEDOT
などを用いることができ、正孔輸送層としては、MTD
ATA(4,4',4''-tris(3-methylphenylphenylamino)tri
phenylamine)やα−NPD等を用いることができる。な
お、高分子材料からなる層を形成する場合には、この成
膜室の代わりにスピンコート処理が可能な成膜室を設け
ても良い。
【0075】また、発光層形成後には、電子輸送層や電
子注入層を形成させても良い。なお、電子輸送層として
は、1,3,4−オキサジアゾール誘導体や1,2,4−ト
リアゾール誘導体(TAZ)といった材料を用いること
ができる。さらに、バッファー層として、フッ化リチウ
ム(LiF)、酸化アルミニウム(Al23)、リチウ
ムアセチルアセトネート(Liacac)といった材料
を用いた層を形成させても良い。
【0076】次に、612は蒸着法によりEL素子の陽
極もしくは陰極となる導電膜(本実施例では陰極となる
金属膜)を成膜するための成膜室であり、成膜室(D)
と呼ぶ。成膜室(D)612はゲート600fを介して
搬送室601に連結される。本実施例では、成膜室
(D)612内の成膜部613において、EL素子の陰
極となる導電膜としてAl−Li合金膜(アルミニウム
とリチウムとの合金膜)を成膜する。なお、周期表(元
素周期律)の1族もしくは2族に属する元素とアルミニ
ウムとを共蒸着することも可能である。共蒸着とは、同
時に蒸着セルを加熱し、成膜段階で異なる物質を混合す
る蒸着法をいう。
【0077】また、成膜室(D)612はゲート600
jを介して材料交換室617に連結される。なお、材料
交換室617には、交換した材料を加熱するヒーターが
設けられている。予め材料を加熱することで水等の不純
物を除去することができる。この時加える温度は200
℃以下であることが望ましい。また、材料交換室617
には、内部を減圧状態にすることができる排気ポンプが
備えられているので、外部から蒸発材料を導入した後、
内部を減圧状態にする。そして、成膜室内と同じ圧力状
態になったところでゲート600jを開け、成膜室内部
の蒸発源に蒸発材料備えることができるようになってい
る。
【0078】なお、成膜室(A)606、成膜室(B)
608、成膜室(C)610及び成膜室(D)612に
は、成膜室内にイメージセンサーとして知られているC
CD(Charge Coupled Device)を備えておくことによ
り、メタルマスクを用いて成膜を行う際に基板とメタル
マスクの位置合わせを精度良く行うことを可能にする。
【0079】また、成膜室(A)606、成膜室(B)
608、成膜室(C)610及び成膜室(D)612に
は、各成膜室内を加熱する機構を備えておく。これによ
り、成膜室内の不純物の一部を除去することができる。
【0080】さらにこれらの成膜室に備える排気ポンプ
としては、ドライポンプ、メカニカルブースターポン
プ、ターボ分子ポンプ(磁気浮上型)もしくはクライオ
ポンプなどを用いることが可能であるが、本実施例では
クライオポンプ及びドライポンプが望ましい。
【0081】また、成膜室(A)606、成膜室(B)
608、成膜室(C)610及び成膜室(D)612
は、排気ポンプにより減圧される。なお、この時の到達
真空度は10-6Pa以上であることが望ましく、例え
ば、排気速度が10000l/s(H2O)のクライオ
ポンプを用いて、成膜室内部の表面積を10m2とし、
成膜室内部をアルミニウムで形成したときの成膜室内部
のリーク量は、20時間で4.1×10-7Pa・m3
-1以下になるようにしなければならない。この様な真
空度を得るためには、成膜室内部を電解研磨により表面
積を小さくすることが効果的である。
【0082】次に、618は封止室(封入室またはグロ
ーブボックスともいう)であり、ゲート600kを介し
てロード室604に連結されている。封止室618で
は、最終的にEL素子を密閉空間に封入するための処理
が行われる。この処理は形成されたEL素子を酸素や水
分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に
封入する、又は熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂
で封入するといった手段を用いる。
【0083】カバー材としては、ガラス、セラミック
ス、プラスチックもしくは金属を用いることができる
が、カバー材側に光を放射させる場合は透光性でなけれ
ばならない。また、カバー材と上記EL素子が形成され
た基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシー
ル材を用いて貼り合わせられ、熱処理又は紫外光照射処
理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この
密閉空間の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を設け
ることも有効である。
【0084】また、カバー材とEL素子の形成された基
板との空間を熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂で
充填することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂若
しくは紫外光硬化性樹脂の中に酸化バリウムに代表され
る吸湿材を添加しておくことは有効である。
【0085】図6に示した成膜装置では、封止室618
の内部に紫外光を照射するための機構(以下、紫外光照
射機構という)619が設けられており、この紫外光照
射機構619から発した紫外光によって紫外光硬化性樹
脂を硬化させる構成となっている。また、封止室618
の内部は排気ポンプを取り付けることで減圧にすること
も可能である。上記封入工程をロボット操作で機械的に
行う場合には、減圧下で行うことで酸素や水分の混入を
防ぐことができる。なお、具体的には、酸素及び水の濃
度は0.3ppm以下にすることが望ましい。また、逆
に封止室618の内部を与圧とすることも可能である。
この場合、高純度な窒素ガスや希ガスでパージしつつ与
圧とし、外気から酸素等が侵入することを防ぐ。
【0086】次に、封止室618には受渡室(パスボッ
クス)620が連結される。受渡室620には搬送機構
(B)621が設けられ、封止室618でEL素子の封
入が完了した基板を受渡室620へと搬送する。受渡室
620も排気ポンプを取り付けることで減圧とすること
が可能である。この受渡室620は封止室618を直接
外気に晒さないようにするための設備であり、ここから
基板を取り出す。その他、封止室において用いる部材を
供給する部材供給室を設けることも可能である。
【0087】なお、本実施例において図示しなかった
が、EL素子の形成後に窒化珪素や酸化珪素等の珪素を
含む化合物やこれらの化合物の上に炭素を含むDLC
(Diamond Like Carbon)膜を積層させた絶縁膜をEL
素子上に形成させても良い。なお、DLC(Diamond Li
ke Carbon)膜とは、ダイヤモンド結合(sp3結合)とグ
ラファイト結合(SP2結合)が混在した非晶質膜であ
る。またこの場合には、自己バイアスを印加することで
プラズマを発生させ、原料ガスのプラズマ放電分解によ
り薄膜を形成させるCVD(chemical vapor depositio
n)装置を備えた成膜室を設ければよい。
【0088】なお、CVD(chemical vapor depositio
n)装置を備えた成膜室においては、酸素(O2)、水素
(H2)、メタン(CH4)、アンモニア(NH3)、シ
ラン(SiH4)を用いることができる。また、CVD
装置としては、平行平板型の電極を有しRF電源が1
3.56MHzのものを用いることができる。
【0089】さらに、スパッタリング法(または、スパ
ッタ法ともいう)により成膜を行う成膜室を設けること
も可能である。EL素子の陰極上にEL層が形成された
後、陽極を形成する場合にスパッタリングによる成膜が
有効であるためである。すなわち画素電極が陰極である
場合に有効である。なお、成膜時の成膜室内は、アルゴ
ン中に酸素を添加した雰囲気にしておくことで成膜され
た膜中の酸素濃度を制御し、透過率の高い低抵抗な膜を
形成することができる。また、その他の成膜室と同様に
成膜室はゲートにより搬送室と遮断されるのが望まし
い。
【0090】また、スパッタリングを行う成膜室におい
ては、成膜基板の温度を制御する機構を設けても良い。
なお、成膜基板は20〜150℃に維持されることが望
ましい。さらに、成膜室に備える排気ポンプとしては、
ドライポンプ、メカニカルブースターポンプ、ターボ分
子ポンプ(磁気浮上型)もしくはクライオポンプなどを
用いることが可能であるが、本実施例ではターボ分子ポ
ンプ(磁気浮上型)及びドライポンプが望ましい。
【0091】以上のように、図6に示した成膜装置を用
いることで完全にEL素子を密閉空間に封入するまで外
気に晒さずに済むため、信頼性の高い発光装置を作製す
ることが可能となる。
【0092】また、本実施例で示したのと異なる形状を
有する成膜装置について図11にしめす。図6で示した
成膜装置は、ロード室、前処理室の他にEL材料を成膜
する成膜室が3室、金属材料を成膜する成膜室が1室、
封止室および受渡室を有する構造であったが、図11に
示す成膜装置は、搬送機構(1102、1104)を備
えた搬送室(1101、1103)、ロード室110
5、前処理室1106、EL材料を成膜する成膜室
(A)1107、金属材料を成膜する成膜室(B)11
08、スパッタ処理を行う成膜室(C)1109、搬送
室1110、CVD処理を行う成膜室(D)1115、
ゲート(1100a〜1100i)、封止室1111お
よび受渡室1112から形成されている。なお、EL材
料を成膜する成膜室(A)1107及び金属材料を成膜
する成膜室(B)1108には、材料交換室(111
3、1114)がゲートを介して連結されているが、成
膜室に重なるような構造にして、試料交換時に材料交換
室(1113、1114)を引き出して試料を交換する
構造であっても良い。なお、図11に示す成膜装置に備
えられているこれらの処理室は、本実施例において説明
した機能を有し、また本実施例において説明した処理が
可能である。
【0093】〔実施例2〕本発明の成膜装置をマルチチ
ャンバー方式(クラスターツール方式ともいう)とした
場合について図7を用いて説明する。図7において、7
01は搬送室であり、搬送室701には搬送機構(A)
702が備えられ、基板703の搬送が行われる。搬送
室701は減圧雰囲気にされており、各処理室とはゲー
トによって連結されている。各処理室への基板の受け渡
しは、ゲートを開けた際に搬送機構(A)702によっ
て行われる。また、搬送室701を減圧するには、ドラ
イポンプ、メカニカルブースターポンプ、ターボ分子ポ
ンプ(磁気浮上型)もしくはクライオポンプなどの排気
ポンプを用いることが可能であるが、より高純度に高真
空状態を得るためには磁気浮上型のターボ分子ポンプが
好ましい。
【0094】以下に、各処理室についての説明を行う。
なお、搬送室701は減圧雰囲気となるので、搬送室7
01に直接的に連結された処理室には全て排気ポンプ
(図示せず)が備えられている。排気ポンプとしては上
述のドライポンプ、メカニカルブースターポンプ、ター
ボ分子ポンプ若しくはクライオポンプが用いられるが、
上記同様磁気浮上型のターボ分子ポンプが好ましい。
【0095】又、ゲートは、各処理室および搬送室を完
全な密閉空間とするためにOリング等を用いて密閉性を
高めている。なお、装置内の不純物汚染を防ぐために、
より脱ガスの少ないOリングを用いることが好ましい。
【0096】まず、704は基板のセッティング(設
置)を行うロード室であり、ロードロック室とも呼ばれ
る。ロード室704はゲート700aにより搬送室70
1と連結され、ここに基板703をセットしたキャリア
(図示せず)が配置される。なお、ロード室704は基
板搬入用と基板搬出用とで部屋が区別されていても良
い。また、ロード室704は上述の排気ポンプと高純度
化された窒素ガスまたは希ガスを導入するためのパージ
ラインを備えている。
【0097】次に、705で示されるのはEL素子の陽
極もしくは陰極(本実施例では陽極)の表面を処理する
前処理室であり、前処理室705はゲート700bによ
り搬送室701と連結される。前処理室はEL素子の作
製プロセスによって様々に変えることができるが、本実
施例では透明導電膜からなる陽極の表面に酸素中で紫外
光を照射しつつ100〜120℃で加熱できるようにす
る。このような前処理は、EL素子の陽極表面を処理す
る際に有効である。
【0098】次に、706は蒸着法により有機EL材料
を成膜するための塗布室であり、塗布室と呼ぶ。なお、
塗布室706は搬送室701との間に真空排気用処理室
714を設けて、塗布室706のみ常圧(大気圧)での
処理を可能にした構成を示す。
【0099】実施例1では、薄膜形成装置の内部は、全
て減圧状態にあり、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、
電子輸送層、電子注入層等のEL層の形成も減圧下で行
う例を示したが、高分子材料を用いてEL層を形成する
場合には、窒素や希ガス等の不活性ガスを満たした常圧
で行うため、塗布室706に基板を搬送するためには、
塗布室706とそれ以外の成膜装置内部における圧力差
を克服しなければならない。
【0100】そこで本実施例では、まず真空排気用処理
室714を搬送室701と同じ圧力まで減圧しておき、
その状態でゲート700cを開けて基板を搬送する。そ
して、ゲート700cを閉めた後、真空排気用処理室7
14内を不活性ガスでパージし、常圧に戻った時点でゲ
ート700gを開けて塗布室706へと基板を搬送す
る。ここでは、基板と一緒にステージごと搬送しても良
いし、専用の搬送手段で行っても良い。
【0101】なお、本実施例では、正孔注入層として高
分子材料を形成する場合について説明する。なお、ここ
で用いる高分子材料としては、ポリチオフェン誘導体で
あるPEDOT(polyethylenedioxy thiophene)が好ま
しいが、その他の公知の高分子EL材料を用いることは
可能である。
【0102】そして、塗布室706においてスピンコー
ト法により正孔注入層が形成される。なお、塗布室70
6には、加熱機構を備えておき、塗布後の乾燥を行う機
能を設けておいても良い。
【0103】以上により正孔注入層の形成が終了した
ら、ゲート700gを開けて真空排気用処理室714へ
基板を搬送し、ゲート700g及びゲート700cを閉
めた状態で真空排気を行う。こうして真空排気用処理室
714が搬送室701と同じ減圧状態にまで達したら、
ゲート700cを開けて基板を搬送室701へと搬送す
る。
【0104】次に、708は蒸着法により有機EL材料
を成膜するための成膜室であり、成膜室(A)と呼ぶ。
成膜室(A)708はゲート700dを介して搬送室7
01に連結される。本実施例では成膜室(A)708と
して図5に示した構造の成膜室を設けている。本実施例
では、成膜室(A)708内の成膜部709において、
赤色、緑色および青色に発色する発光層をそれぞれ成膜
する。なお、赤色、緑色および青色に発色する発光層と
しては、実施例1で述べた材料の他、公知の材料を用い
れば良い。また、これらの材料は、それぞれ別の蒸発源
に備えられてあり、各色毎にシャドーマスクを用いて所
望の位置に成膜が行われる。
【0105】さらに、成膜室(A)708に備えられた
複数の蒸発材料は、それぞれ分離管715により昇華精
製された後、蒸着される。また、これらの蒸発材料は、
分離管715とゲート700hを介して連結されている
材料交換室716において、追加もしくは交換される。
なお、材料交換室716には、交換した材料を加熱する
ヒーターが設けられている。予め材料を加熱することで
水等の不純物を除去することができる。この時加える温
度は200℃以下であることが望ましい。また、材料交
換室716には、内部を減圧状態にすることができる排
気ポンプが備えられているので、外部から蒸発材料を導
入した後、内部を減圧状態にする。そして、成膜室内と
同じ圧力状態になったところでゲート700hを開け、
成膜室内部の蒸発源に蒸発材料備えることができるよう
になっている。
【0106】次に、710は蒸着法により有機EL材料
を成膜するための成膜室であり、成膜室(B)と呼ぶ。
成膜室(B)710はゲート700eを介して搬送室7
01に連結される。本実施例では成膜室(B)710と
して図5に示した構造の成膜室を設けている。本実施例
では、成膜室(B)710内の成膜部711において、
電子輸送層もしくは電子注入層を成膜する。なお、電子
輸送層もしくは電子注入層としては公知の材料を用いれ
ば良い。
【0107】さらに、成膜室(B)710に備えられた
複数の蒸発材料は、それぞれ分離管717により昇華精
製された後、蒸着される。また、これらの蒸発材料は、
分離管717とゲート700iを介して連結されている
材料交換室718において、追加もしくは交換される。
なお、材料交換室718には、交換した材料を加熱する
ヒーターが設けられている。予め材料を加熱することで
水等の不純物を除去することができる。この時加える温
度は200℃以下であることが望ましい。また、材料交
換室718には、内部を減圧状態にすることができる排
気ポンプが備えられているので、外部から蒸発材料を導
入した後、内部を減圧状態にする。そして、成膜室内と
同じ圧力状態になったところでゲート700iを開け、
成膜室内部の蒸発源に蒸発材料備えることができるよう
になっている。
【0108】次に、712は蒸着法によりEL素子の陽
極もしくは陰極となる導電膜(本実施例では陰極となる
金属膜)を成膜するための成膜室であり、成膜室(C)
と呼ぶ。成膜室(C)712はゲート700fを介して
搬送室701に連結される。本実施例では成膜室(C)
712として図5に示した構造の成膜室を設けている。
本実施例では、成膜室(C)712内の成膜部713に
おいて、EL素子の陰極となる導電膜としてAl−Li
合金膜(アルミニウムとリチウムとの合金膜)を成膜す
る。なお、周期表の1族もしくは2族に属する元素とア
ルミニウムとを共蒸着することも可能である。
【0109】さらに、成膜室(C)712に備えられた
複数の蒸発材料は、それぞれ分離管719により昇華精
製された後、蒸着される。また、これらの蒸発材料は、
分離管719とゲート700jを介して連結されている
材料交換室720において、追加もしくは交換される。
なお、材料交換室720には、交換した材料を加熱する
ヒーターが設けられている。予め材料を加熱することで
水等の不純物を除去することができる。この時加える温
度は200℃以下であることが望ましい。また、材料交
換室720には、内部を減圧状態にすることができる排
気ポンプが備えられているので、外部から蒸発材料を導
入した後、内部を減圧状態にする。そして、成膜室内と
同じ圧力状態になったところでゲート700jを開け、
成膜室内部の蒸発源に蒸発材料備えることができるよう
になっている。
【0110】次に、721は封止室であり、ゲート70
0kを介してロード室704に連結されている。封止室
721の説明は実施例1を参照すれば良い。また、実施
例1と同様に封止室721の内部には紫外光照射機構7
22が設けられている。さらに、封止室721には受渡
室723が連結される。受渡室723には搬送機構
(B)724が設けられ、封止室721でEL素子の封
入が完了した基板を受渡室723へと搬送する。受渡室
723の説明も実施例1を参照すれば良い。
【0111】以上のように、図7に示した成膜装置を用
いることで完全にEL素子を密閉空間に封入するまで外
気に晒さずに済むため、信頼性の高いEL表示装置を作
製することが可能となる。なお、本実施例の構成は、実
施例1に示したいずれの構成とも自由に組み合わせて実
施することが可能である。
【0112】〔実施例3〕本発明の成膜装置をインライ
ン方式とした場合について図8を用いて説明する。図8
において801はロード室であり、基板の搬送はここか
ら行われる。ロード室801には排気系800aが備え
られ、排気系800aは第1バルブ81、ターボ分子ポ
ンプ82、第2バルブ83、第3バルブ84及びドライ
ポンプ85を含んだ構成からなっている。
【0113】また、本実施例においてもゲートで遮断さ
れたロード室、前処理室、成膜室、封止室及びアンロー
ド室等の各処理室の内部に用いる材料としては、その表
面積を小さくすることで酸素や水等の不純物の吸着性を
小さくすることができるので、電解研磨を施して鏡面化
させたアルミニウムやステンレス(SUS)等の材料を
内部壁面に用い、また、気孔がきわめて少なくなるよう
に処理されたセラミックス等の材料からなる内部部材を
用いる。なおこれらの材料は中心平均粗さが30Å以下
となるような表面平滑性を有する
【0114】第1バルブ81は、ゲート弁を有するメイ
ンバルブであるが、コンダクタンスバルブを兼ねてバタ
フライバルブを用いる場合もある。第2バルブ83およ
び第3バルブ84はフォアバルブであり、まず第2バル
ブ83を開けてドライポンプ84によりロード室801
を粗く減圧し、次に第1バルブ81及び第3バルブ84
を空けてターボ分子ポンプ82でロード室801を高真
空まで減圧する。なお、ターボ分子ポンプの代わりにメ
カニカルブースターポンプを用いても良いし、メカニカ
ルブースターポンプで真空度を高めてからターボ分子ポ
ンプを用いても良い。
【0115】次に、802で示されるのはEL素子の陽
極もしくは陰極(本実施例では陽極)の表面を処理する
前処理室であり、前処理室802は排気系800bを備
えている。また、ロード室801とは図示しないゲート
で密閉遮断されている。前処理室802はEL素子の作
製プロセスによって様々に変えることができるが、本実
施例では透明導電膜からなる陽極の表面に酸素中で紫外
光を照射しつつ100〜120℃で加熱できるようにす
る。その他にも酸素または水素中でプラズマ照射しつつ
200〜400℃で加熱処理をするという方法を用いて
も良い。
【0116】次に、803は蒸着法により有機EL材料
を成膜するための成膜室であり、成膜室(A)と呼ぶ。
成膜室(A)803は排気系800cを備えている。ま
た、前処理室802とは図示しないゲートで密閉遮断さ
れている。本実施例では成膜室(A)803として図3
に示した構造の成膜室を設けている。
【0117】成膜室(A)803に搬送された基板80
4は、成膜室(A)803に備えられた複数の蒸発源8
05のうちシャッターが開いた蒸発源(本実施例では、
蒸発源(a)805)を用いて成膜が行われる。なお、
成膜室(A)803の詳細な動作に関しては、図3の説
明を参照すれば良い。本実施例では、成膜室(A)80
3において、正孔注入層または正孔輸送層もしくは正孔
注入層と正孔輸送層の両方を成膜する。正孔注入層およ
び正孔輸送層を形成する材料としては、公知の材料を用
いれば良い。
【0118】次に、806は蒸着法により有機EL材料
を成膜するための成膜室であり、成膜室(B)と呼ぶ。
成膜室(B)806は排気系800dを備えている。ま
た、成膜室(A)803とは図示しないゲートで密閉遮
断されている。本実施例では成膜室(B)806として
図3に示した構造の成膜室を設けている。従って成膜室
(B)806の詳細な動作に関しては、図3の説明を参
照すれば良い。また、本実施例では、成膜室(B)80
6において、赤色に発色する発光層を成膜する。赤色に
発色する発光層としては公知の材料を用いれば良い。
【0119】次に、807は蒸着法により有機EL材料
を成膜するための成膜室であり、成膜室(C)と呼ぶ。
成膜室(C)807は排気系800eを備えている。ま
た、成膜室(B)806とは図示しないゲートで密閉遮
断されている。本実施例では成膜室(C)807として
図3に示した構造の成膜室を設けている。従って成膜室
(C)807の詳細な動作に関しては、図3の説明を参
照すれば良い。また、本実施例では、成膜室(C)80
7において、緑色に発色する発光層を成膜する。緑色に
発色する発光層としては公知の材料を用いれば良い。
【0120】次に、808は蒸着法により有機EL材料
を成膜するための成膜室であり、成膜室(D)と呼ぶ。
成膜室(D)808は排気系800fを備えている。ま
た、成膜室(C)807とは図示しないゲートで密閉遮
断されている。本実施例では成膜室(D)808として
図3に示した構造の成膜室を設けている。従って成膜室
(D)808の詳細な動作に関しては、図3の説明を参
照すれば良い。また、本実施例では、成膜室(D)80
8において、青色に発色する発光層を成膜する。青色に
発色する発光層としては公知の材料を用いれば良い。
【0121】次に、809は蒸着法により有機EL材料
を成膜するための成膜室であり、成膜室(E)と呼ぶ。
成膜室(E)809は排気系800gを備えている。ま
た、成膜室(D)808とは図示しないゲートで密閉遮
断されている。本実施例では成膜室(E)809として
図3に示した構造の成膜室を設けている。従って成膜室
(E)809の詳細な動作に関しては、図3の説明を参
照すれば良い。また、本実施例では、成膜室(E)80
9において、電子輸送層もしくは電子注入層を成膜す
る。なお、電子輸送層もしくは電子注入層を形成する材
料としては、公知の材料を用いれば良い。
【0122】次に、810は蒸着法によりEL素子の陽
極もしくは陰極となる導電膜(本実施例では陰極となる
金属膜)を成膜するための成膜室であり、成膜室(F)
と呼ぶ。成膜室(F)810は排気系800hを備えて
いる。また、成膜室(E)809とは図示しないゲート
で密閉遮断されている。本実施例では成膜室(F)81
0として図3に示した構造の成膜室を設けている。従っ
て成膜室(F)810の詳細な動作に関しては、図3の
説明を参照すれば良い。
【0123】本実施例では、成膜室(F)810におい
て、EL素子の陰極となる導電膜としてAl−Li合金
膜(アルミニウムとリチウムとの合金膜)を成膜する。
なお、周期表の1族もしくは2族に属する元素とアルミ
ニウムとを共蒸着することも可能である。
【0124】また、ここで、実施例1で説明したのと同
様にCVD室を設けて、窒化珪素膜、酸化珪素膜及びD
LC膜等の絶縁膜をEL素子の保護膜(パッシベーショ
ン膜)として形成させてもよい。
【0125】なお、CVD室を設ける場合には、CVD
室で用いる材料ガスを予め高純度化するためのガス精製
機を設けておくと良い。
【0126】次に、811は封止室であり、排気系80
0iを備えている。また、成膜室(F)810とは図示
しないゲートで密閉遮断されている。封止室811の説
明は実施例1を参照すれば良い。また、実施例1と同様
に封止室811の内部には紫外光照射機構(図示せず)
が設けられている。
【0127】最後に、812はアンロード室であり、排
気系800jを備えている。EL素子が形成された基板
はここから取り出される。
【0128】以上のように、図8に示した成膜装置を用
いることで完全にEL素子を密閉空間に封入するまで外
気に晒さずに済むため、信頼性の高い発光装置を作製す
ることが可能となる。また、インライン方式により高い
スループットで発光装置を作製することができる。な
お、本実施例の構成は、実施例1に示したいずれの構成
とも自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0129】〔実施例4〕本実施例では、本発明の成膜
装置を用いて、EL素子を保護するための封止(または
封入)工程まで行った発光装置について示し、さらに途
中の作製行程においてEL素子における不純物による劣
化を防止するための方法についても説明する。
【0130】図9(A)は、EL素子の封止までを行っ
た状態の断面図である。ガラス基板900の上方には画
素部901、駆動回路902が形成されており、画素部
901は電流制御用TFT903とそのドレインに電気
的に接続された画素電極904を含む複数の画素により
形成される。また、駆動回路902はnチャネル型トラ
ンジスタ905とpチャネル型トランジスタ906とを
組み合わせたCMOS回路を用いて形成される。なお、
ガラス基板900上には、保護膜として窒化珪素、酸化
珪素または酸化窒化珪素といった珪素を含む化合物や炭
素膜(具体的にはダイヤモンドライクカーボン膜)91
6を2〜30nmの厚さに設けると良い。これにより、
基板側からの不純物の侵入を防ぐことができる。
【0131】画素電極904はEL素子の陽極として機
能する。また、画素電極904の両端にはバンク907
が形成され、画素電極904上にはEL層908および
EL素子の陰極909が形成される。陰極909は全画
素に共通の配線としても機能し、接続配線910を経由
してFPC(フレキシブルプリントサーキット)911
に電気的に接続されている。なお、ここではFPCしか
図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤
(PWB)が取り付けられていても良い。さらに、画素
部901及び駆動回路902に含まれる素子は全てパッ
シベーション膜912で覆われている。
【0132】なお、EL素子に酸素や水等の不純物が侵
入するのを防ぐために917の部分で行う処理について
図9(B)及び図9(C)を用いて説明する。
【0133】図9(B)において、91a及び91bは
層間絶縁膜であり、91aは、ポリイミドやポリアミド
といった有機樹脂膜で形成されており、その上には、窒
化珪素膜、酸化珪素膜及びDLC膜といった絶縁膜が形
成される。そして、画素電極92および電流制御用TF
Tからの接続配線93が形成され、さらに画素電極間の
隙間を埋めるようにバンク94が形成される。
【0134】この時バンク94は、ポリイミドやポリア
ミドといった有機樹脂膜で形成されている。そこで、本
実施例では、バンク94の表面をAr等の希ガス中でプ
ラズマ処理を行うことにより表面を緻密化させる。これ
によりバンク表面に含まれていた不純物を除去すること
ができると共に外部からの不純物の侵入を防ぐことがで
きる。
【0135】また、図9(C)は、図9(B)とバンク
94の形成までは同じであるが、バンク94上に窒化珪
素膜、酸化珪素膜及びDLC膜といったパッシベーショ
ン膜95を2〜30nmの膜厚で形成する。なお、この
場合には、バンク94は、パッシベーション膜95によ
り完全に封止されてしまうので、バンク94中に含まれ
る酸素及び水等の不純物が外部に放出されることはな
く、EL素子の劣化を防ぐことができる。
【0136】次に図9(A)に示すように、シール材9
13によりカバー材914が貼り合わされている。な
お、カバー材914とEL素子との間隔を確保するため
にスペーサを設けても良い。そして、シール材913の
内側には空隙915が形成されている。なお、シール材
913は水分や酸素を透過しない材料であることが望ま
しい。さらに、空隙915の内部に吸湿効果をもつ物質
や酸化防止効果をもつ物質を設けることは有効である。
【0137】なお、カバー材914の表面および裏面に
は保護膜として炭素膜(具体的にはダイヤモンドライク
カーボン膜)916a、916bを2〜30nmの厚さに
設けると良い。このような炭素膜は、酸素および水の侵
入を防ぐとともにカバー材914の表面を機械的に保護
する役割をもつ。
【0138】以上のような構造でEL素子を封入するこ
とにより、EL素子を外部から完全に遮断することがで
き、外部から水分や酸素等のEL層の酸化による劣化を
促す物質が侵入することを防ぐことができる。従って、
信頼性の高い発光装置が得られる。なお、本実施例の構
成は、実施例1〜実施例3に示したいずれの構成とも自
由に組み合わせて実施することが可能である。
【0139】〔実施例5〕本実施例では、本発明の成膜
装置を用いてEL層のカラー化を実現するために成膜時
に用いるメタルマスクについて図10を用いて説明す
る。
【0140】図10(A)は、メタルマスクの上面図で
ある。1001は、メタルマスクのマスク部であり、成
膜しない部分を覆う役目を果たす。
【0141】また、1001に複数形成されている10
02は、開口部aであり、蒸着時に開口部a1002を
通過したEL材料が基板上に成膜される。
【0142】なお、本実施例において図10(A)で示
したメタルマスクは、EL材料を一色成膜した後、矢印
xの方向に移動させ、隣の画素に異なる色を成膜してい
く。これを繰り返すことで、複数色のEL材料の成膜が
可能となる。
【0143】また、メタルマスクの開口部a1002の
形状に関しては、横方向(異色の画素列が形成される方
向)に隣り合う開口部aの距離(p)は、10〜200
μmが好ましく、縦方向(同色の画素列が形成される方
向)に隣り合う開口部a1002との距離(q)は、1
0〜40μmが好ましい。さらに、開口部a1002の
短辺(r)は、20〜200μmであるのが好ましい。
【0144】なお、メタルマスクのマスク部1001
は、2層構造のマスク部材から形成されるが、マスク部
1001をマスク枠1003に貼り合わせて3層構造と
することで、より強度の高いメタルマスクを形成するこ
とができる。図10(A)をA−A’で切断した際の断
面図を図10(B)に示す。なお、本実施例において用
いるマスク枠1003には、中空アルミニウムやアルミ
ナ等の部材を用いることができる。また、膜厚は1〜1
5mmであることが好ましい。さらに、マスク枠100
3はメタルマスク(第1マスク1001a、第2マスク
1001b)よりもやや小さい開口部b1011が設け
られており、この開口部b1011にマスク部1001
を重ね、一部が重なるようにしてマスク枠1003と貼
り合わせることによりメタルマスクを完成させることが
できる。
【0145】次に、メタルマスクを形成する方法につい
て図10(C)を用いて説明する。ただし、ここで、図
10(C)により形成されるメタルマスクは、図10
(B)に示すものとは一部の構造が異なるが、本発明に
おいては、どちらの構造のメタルマスクを用いることが
できる。
【0146】はじめに、第1のマスク層1101aが形
成される。なお、1101aは、鉄、銅、ニッケル、コ
バルト、アルミニウム、銀、タンタル、タングステンと
いった金属材料や、これらの金属からなる合金及びステ
ンレス(SUS316)といった磁石に引きつけられる
材料で形成するのが好ましい。なお、ここで形成される
第1のマスク層1101aの膜厚は、50〜200μm
であるのが好ましい。
【0147】次に第1のマスク層1101aに第2のマ
スク層1101bを積層させる。この時の第2のマスク
層1101bは、蒸着法、スパッタリング法およびCV
D法等の公知の成膜方法を用いて成膜すればよい。な
お、ここで形成される第2のマスク層1101bの膜厚
は、0.5〜20μmであるのが好ましい。また、ここ
で形成される第2のマスク層1101bは、第1のマス
ク層1101aと同じエッチング液を用いて同時にエッ
チングを行った際にエッチングの選択比が十分にとれる
ような材料を用いなければならない。
【0148】なお、第1のマスク層1101aに対する
第2のマスク層1101bの膜厚比は0.1〜0.01
となるのが好ましい。さらに、同一のエッチング液を用
いた際の第1のマスク層1101aを形成する材料のエ
ッチング速度に対する第2のマスク層1101bを形成
する材料のエッチング速度の比は、両者の膜厚比が0.
01以下であった場合には、0.001以下であること
が望ましい。
【0149】このようにして、第1のマスク層1101
a及び第2のマスク層1101bを積層させたメタルマ
スクは、両面をレジスト材料(1004aおよび100
4b)で覆った後に一度にエッチングすることで、図1
0(C)の1201a,1201bに示されるような形
状のメタルマスクを形成させることができる。なお、こ
こでは、2種類の材料を用いてメタルマスクを形成する
場合について説明したが、一種類の材料を用いてこれを
エッチングすることにより形成することも可能である。
【0150】メタルマスク(1201a、1201b)
を形成した後、レジスト(1004a、1004b)を
除去し、マスク枠1003と貼り合わせることにより、
より強度の高いメタルマスクを形成することができる。
また、マスク枠1003を用いることにより、400×
500mmや620×720mmといった大判サイズの
メタルマスクを形成させることもできる。
【0151】次に画素電極1006、配線1007及び
バンク1008が形成されたTFT(図示せず)を有す
る基板上に図10(C)により形成したメタルマスクを
備えて成膜を行う方法についてその一部の断面図を示し
た図10(D)を用いて説明する。この時基板のメタル
マスクと反対側に磁石1009を備えておくことで、第
1マスク1201aが磁力で引きつけられるために、基
板とメタルマスク間の距離(s)を小さくし(s≧
0)、基板とメタルマスクの密着性をより向上させるこ
とができる。以上により、メタルマスクの撓みや浮きや
ズレなどにより作製するパターンの不良を防ぐことがで
き、EL材料の成膜を精度良く行うことができる。
【0152】また、本実施例の構成は、実施例1〜実施
例4のいずれの構成とも自由に組み合わせて実施するこ
とが可能である。
【0153】
【発明の効果】本発明の成膜装置を用いることで、より
昇華精製された材料による薄膜形成が可能となり、さら
に成膜装置内部に不純物汚染を防ぐ機能を設けているこ
とから成膜時に不純物による汚染を受けずに成膜ができ
る。以上により、EL素子の素子特性をこれまで以上に
向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の構成を示す図。
【図2】 本発明の構成を示す図。
【図3】 成膜室の構造を示す図。
【図4】 成膜室の構造を示す図。
【図5】 蒸着室の構造を示す図。
【図6】 成膜装置の構造を示す図。
【図7】 成膜装置の構造を示す図。
【図8】 成膜装置の構造を示す図。
【図9】 発光装置の断面構造を示す図。
【図10】 メタルマスクについて説明する図。
【図11】 成膜装置の構造を示す図。
フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB01 AB11 AB18 BA06 BB01 DA01 DB03 EB00 FA01 4K029 AA09 BA62 BB02 CA01 DB06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】材料を加熱する温度調節手段を複数有し、
    昇華精製した材料を成膜する成膜室を備えたことを特徴
    とする薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】温度調節手段により異なる温度に制御され
    た系を複数有し、前記複数の系において材料が昇華精製
    され、精製された材料を用いて薄膜を形成することを特
    徴とする薄膜形成装置。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の薄膜形成
    装置において、蒸発源は、複数の系を有し、前記複数の
    系は異なる温度に制御され、温度ごとに材料が分離され
    ることを特徴とする薄膜形成装置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載
    の薄膜形成装置において、第1の温度に制御された系1
    において材料を気化し、第2の温度に制御された系2に
    おいて、気体1と固体1の状態を有し、前記気体1を除
    去した後で、系2を第1の温度に制御して気化した前記
    固体1は、第3の温度に制御された系3において、気体
    2と固体2の状態を有し、系3において得られた気体2
    は、精製された材料であることを特徴とする薄膜形成装
    置。
  5. 【請求項5】材料を気化させる加熱機構と気化した材料
    を領域ごとに他段階的に冷却する温度調節手段を有する
    薄膜形成装置において、材料の昇華温度に冷却された領
    域のみを隔離する機能を有し、隔離された領域に析出し
    た材料を用いて薄膜を形成することを特徴とする薄膜形
    成装置。
  6. 【請求項6】ロード室、前記ロード室に連結された搬送
    室及び前記搬送室に連結された成膜室を有し、前記成膜
    室が有する蒸発源は、複数の系を有し、前記複数の系は
    異なる温度に制御され、温度ごとに材料が分離されるこ
    とを特徴とする薄膜形成装置。
  7. 【請求項7】ロード室、アンロード室及び成膜室が直列
    に連結され、前記成膜室が有する蒸発源は、複数の系を
    有し、前記複数の系は異なる温度に制御され、温度ごと
    に材料が分離されることを特徴とする薄膜形成装置。
  8. 【請求項8】ロード室、前記ロード室に連結された搬送
    室及び前記搬送室に連結された成膜室を有する薄膜形成
    装置において、材料を気化させる加熱機構と気化した材
    料を領域ごとに他段階的に冷却する温度調節手段を有
    し、材料の昇華温度に冷却された領域のみを隔離する機
    能を有し、隔離された領域に析出した材料を用いて薄膜
    を形成することを特徴とする薄膜形成装置。
  9. 【請求項9】ロード室、アンロード室及び成膜室が直列
    に連結された薄膜形成装置において、材料を気化させる
    加熱機構と気化した材料を領域ごとに他段階的に冷却す
    る温度調節手段を有し、材料の昇華温度に冷却された領
    域のみを隔離する機能を有し、隔離された領域に析出し
    た材料を用いて薄膜を形成することを特徴とする薄膜形
    成装置。
  10. 【請求項10】材料を有する蒸発源において、前記材料
    に異なる温度を複数回加えることにより材料を他段階的
    に昇華精製し、精製された材料を用いて基板上に薄膜を
    形成することを特徴とする成膜方法。
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