JP2002204793A - X線診断装置 - Google Patents
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Abstract
セットの上昇が生じた場合でも、適切にX線検出器の出
力を補正することにより、良好な画像を取得可能なX線
診断装置を実現すること。 【解決手段】 多いX線量にてX線照射が行われ、一時
的な感度の低下、あるいは一時的なオフセットの上昇が
生じた場合に、各画素の感度特性、或いはオフセット特
性に基づいて感度補正係数を算出し、データ補正を行う
X線診断装置である。本X線診断装置では、データ補正
のための感度補正係数は、少なくとも前回検出された信
号値に基づいて決定する。この感度補正値を各画素から
の出力信号に積算することで、一時的な感度の低下、あ
るいは一時的なオフセットの上昇による影響を取り除
く。
Description
下、あるいは一時的なオフセットの上昇が生じた場合で
も、適切にX線検出器の出力を補正することにより、良
好な画像を取得可能なX線診断装置に関する。
ンテンシファイア(I.I.)−TVカメラ系を備えた
X線透視撮影装置が用いられている。このI.I.と
は、図12にその模式断面図を示すように、入射X線を
可視光の画像に変換する入力蛍光面81と、この可視光
の画像の光の強度分布を光電子放出密度分布に変換する
とともに陰極電位が与えられる光電変換膜82と、光電
変換膜から放出された電子ビームを加速する加速電界を
与える陽極83と、電子ビームを出力蛍光面に集束させ
る集束電極84と、加速された電子ビームが入射して再
び光学像に変換される出力蛍光面85とを備えている。
そして出力蛍光面に形成された光学像は、入力蛍光面の
光学像より数千倍の輝度に増幅される。この輝度増幅さ
れた画像は、テレビカメラを通じてモニタ装置に映し出
したり、画像記録装置に記録される。
型の観点からX線検知部分に半導体を利用したX線検出
器が提案されている。
して、間接変換型X線検出器(米国特許第468948
7号)、及び直接変換型X線検出器(米国特許第531
9206号)などが提案されている。
ヨウ化セシウム(CsI)結晶などの化学物質を介して
光に変換し、この光の強度をフォトダイオードの光電変
換作用で電荷に変換し、この電荷を画素毎の容量に蓄積
する。そして、薄膜トランジスタ(以下、TFTと略
す)マトリックス等のスイッチング手段により蓄積され
た電荷を順次読み出して、チャージアンプ(初段積分ア
ンプとも呼ばれる)により電圧に変換し、この電圧をA
/D変換してディジタル画像信号を得るものである。
模式断面図を示すように、高電界下のセレン(Se)等
の半導体へ入射したX線が直接光電効果により電荷生成
に寄与し、この電荷が画素毎の信号蓄積容量に蓄積され
る。そして、間接変換型と同様に、蓄積された電荷をT
FTのスイッチングにより順次読み出し、図示されない
チャージアンプにより電圧に変換し、A/D変換してデ
ィジタル画像信号を得る。
断を行う際、X線検出器に設けられた複数の検出素子の
感度にばらつきがある。この感度のばらつきを是正する
ために、従来では、図14に示されるように、オフセッ
ト補正テーブル102およびゲイン(感度)補正テーブ
ル103を用いた補正を行っている。
予めX線検出器における感度特性を測定しておき、ピク
セル毎(検出素子毎)に異なる感度補正係数を格納した
ものである。ゲイン補正テーブル103は、X線検出器
の出力に乗算することにより補正された検出値を出力す
る。また、オフセット補正テーブル102は、予めX線
検出器におけるオフセット特性を測定しておき、ピクセ
ル毎に異なるオフセット補正係数を格納したものであ
る。オフセット補正テーブル102は、X線検出器10
1の出力から引算を行うことにより補正された検出値を
出力する。
器、中でも特に半導体を用いたX線検出器は、所定値以
上の強さのX線が入射した場合、X線の強さに応じて、
一時的に感度が低下し、また一時的にオフセットが上昇
する現象、さらにこれらの現象は時間と共に回復する現
象を発見した。これは、各ピクセルにおいて、感度また
はオフセットが時間的に変化することを意味している。
X線管電流と曝射時間との積であるX線量が大きく異な
る場合などに顕著に表われる。例えば、比較的弱いX線
を連続的に曝射する透視では、曝射時間が長い場合であ
り、また、比較的強いX線を断続的に曝射する撮影にお
いては、強X線を曝射した場合等である。なお、透視と
撮影では、1画素に蓄積される最大電荷量で数百倍の差
がある場合がある。
昇は、例えば、透視或いは撮影によって取得された画像
上に、ゴーストと呼ばれる前回に検出したX線に基づく
残像を、正規の画像に重畳させる原因となる。
課題を解決し、一時的な感度の低下、あるいは一時的な
オフセットの上昇が生じた場合でも、適切にX線検出器
の出力を補正することにより、良好な画像を取得可能な
X線診断装置を提供することを目的としている。
成するため、次のような手段を講じている。
出するX線検出器と、少なくとも前回に前記X線検出器
が検出した信号値に基づいて、前記X線検出器の特性の
変化を推定する演算器と、前記X線検出器から出力され
た信号値に対して、前記推定された特性の変化を相殺す
る補正を行う第1の補正装置とを具備することを特徴と
するX線診断装置である。
出し電気情報を発生する複数の半導体素子を二次元マト
リックス状に配列したX線検出器と、少なくとも前回に
前記各半導体素子が検出した信号に基づいて、前記各半
導体素子の特性の変化を推定する演算器と、前記各半導
体素子から出力された信号に対して、前記推定された各
特性の変化を相殺する補正を行う補正装置とを具備する
ことを特徴とするX線診断装置である。
出し電気情報を発生する複数の半導体素子を二次元マト
リックス状に配列したX線検出器と、前記前記各半導体
素子のオフセット特性の変化と感度特性の変化との相関
関係を記憶するメモリと、少なくとも前回に前記各半導
体素子が検出した信号に基づいて、前記各半導体素子の
オフセット特性の変化を推定する第1の演算器と、前記
相関関係に基づいて、推定された前記オフセット特性の
変化から前記前記各半導体素子の感度特性の変化を推定
する第2の演算器と、前記各半導体素子から出力された
信号に対して、前記推定された各感度特性の変化を相殺
する補正を行う補正装置とを具備するX線診断装置であ
る。
低下、あるいは一時的なオフセットの上昇が生じた場合
でも、適切にX線検出器の出力を補正することにより、
良好な画像を取得可能なX線診断装置を実現することが
できる。
第2実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説
明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素に
ついては、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にの
み行う。
におけるX線診断装置1のブロック図である。なお、一
般に、X線診断装置1には、入射X線を直接電気信号に
変換する直接型と、入射X線を一旦光信号に変換した後
電気信号に変換する間接型とがある。説明の簡単のた
め、本実施形態に係るX線診断装置1は直接型とする。
しかしながら、本発明の思想は、間接型のX線診断装置
にも適用可能である。
であるX線管球11と、X線管球11からのX線曝射条
件を制御するX線曝射制御部13と、X線曝射条件選択
部19と、X線画像情報を補正し画像表示信号に変換す
る信号処理部21と、X線曝射条件を入力するためのキ
ーボード(以下、KBと略す)23と、X線画像を表示
するCRT25と、X線固体平面検出器37とを備えて
構成されている。なお、信号処理部は、データ補正部2
1aを有している。
00×1000の行列状に配置された各画素に対応する
複数のX線変換素子43と、各X線変換素子43のそれ
ぞれに対応して設けられた読出スイッチとしての複数の
TFT41と、各X線変換素子43に共通にバイアス電
圧を印加するバイアス電極95と、各列のTFT41の
ゲートに駆動信号を送出するゲートドライバ45と、各
行のTFT41のドレインが共通に接続された初段積分
アンプ71と、各初段積分アンプ71の出力を時分割多
重化するマルチプレクサ61と、マルチプレクサ61の
出力を増幅するアンプ63と、アンプ63の出力をアナ
ログ/ディジタル変換して信号処理部21へ出力するア
ナログデジタルコンバータ(ADC)65とを備えてい
る。
えばアモルファス-セレン膜(以下、a-Seと略す)を
用いる。また、X線変換素子43は、X線を直接電荷に
変換する直接変換型であっても良いし、X線入射面に形
成された図示されない蛍光体によりX線を可視光に変換
し、この可視光の強度分布を電荷に変換する間接変換型
であっても良い。
と、コンデンサと、電子的に開閉動作が行われる例えば
相補型MOS-FETを用いたバイラテラルゲートのよ
うな半導体スイッチとを備えて構成されている。
画像表示信号変換部21bを有している。
下、あるいは一時的なオフセットの上昇による影響を取
り除くため、入力したデータに対して所定の補正処理を
施す。画像表示信号変換部21bは、上記補正後のデー
タを画像表示信号へ変換し、CRT25への出力する。
である。図2に示すように、データ補正部21aは、電
子数推定部51、X−P変換部52、トラップ個数算出
部53、感度補正係数算出部54、乗算器55、メモリ
56を有している。
号に基づいて1ピクセル内の電子数Xiを推定する。こ
の推定は、メモリ56に記憶された収集条件に基づいて
実行される。ここで、収集条件とは、1ピクセル内に入
力されるX線強度と1ピクセル内に発生する電子数Xiと
の関係を示したものである。この収集条件は、例えば、
検出膜の材質、X線変換素子43に印加される電圧等の
ゲインファクターなどから算出することが可能である。
X−P変換部52は、電子数推定部51において推定さ
れた電子数Xiをに基づいて、後述する電子トラップの
生成確率Piを算出する。トラップ個数算出部53は、
X−P変換部52において求められた電子トラップの生
成確率Piからトラップの個数Yiを求める。感度補正
係数算出部54は、トラップの個数Yiに基づいて、感
度補正係数1/(1−Yi/N)を算出する。ここで、
Nは、感度補正係数を求めるために基準とされる、例え
ば1ピクセルの長さの検出膜の分割領域の数を意味す
る。乗算器55は、算出された感度補正係数1/(1−
Yi/N)と各画素データとを乗算して、補正されたデ
ータ値を算出する。メモリ56は、電子数推定部51の
各処理において使用される各種パラメータ、1ピクセル
内の電子数Xiを推定するための収集条件、及びX−P
変換部におけるトラップの個数Yi算出処理において使
用されるLUT(Look Up Table)等を記憶する。
ータ補正部21aによって実行されるデータ補正処理に
ついては、後で詳しく説明する。
例を説明すると、次のようである。すなわち、X線撮影
または透視等に際して、まずCRT25にメニュー画面
が表示され、このメニューに従って、KB23より、管
電圧、管電流、曝射時間等のX線曝射条件がX線曝射条
件選択部19に入力される。X線曝射条件選択部19
は、入力されたX線曝射条件に応じた制御信号をX線曝
射制御部13に出力する。
て、X線管球11からX線が曝射されたとき、図示され
ない被検体を透過してX線固体平面検出器37の各画素
に入射したX線の強度は、X線変換素子43により電荷
に変換され、各X線変換素子43に蓄積された電荷量
は、各画素毎に設けられたTFT41のスイッチにより
初段積分アンプ71により電圧に変換される。
クサ61を介して、アンプ63で増幅された後、ADC
65に入力され、アナログ/ディジタル変換された後、
信号処理部21に書き込まれ、データ補正および画像表
示信号の変換を行い、X線画像がCRT25で表示され
る。
半導体を用いたX線検出器では、所定値以上の強さのX
線が入射した場合、X線の強さに応じて一時的に感度が
低下、あるいは一時的にオフセットが上昇する現象が発
生する。この現象の発生には、電子トラップが影響して
いる考えられる。この電子トラップとは、X線などの外
部エネルギーによって生じた電子(もしくは正孔)が、
あるエネルギー準位にトラップされることである。以
下、このトラップにより、画素の所定部分に一時的な感
度の低下が発生するメカニズムについて、図3を参照し
ながら定量的に説明する。なお、説明を具体的にするた
め、X線検出器は直接変換型であるとする。
断面図である。ここでは、説明の簡単のため、1ピクセ
ル分の断面図を示している。図3中の斜線の部分は、1
ピクセルの長さの検出膜をN個の微小領域に分けた場
合、トラップを起こす可能性のある領域(以下、「トラ
ップ可能領域」と称する)である。いま、このトラップ
可能領域の最大個数をM0個とする。従って、N−M0個の
領域ではトラップは生じていない。
が照射されると、1つのピクセル内にX0個の電子(もし
くはホール)が発生する。
能領域がある。このトラップ可能領域が、実際にトラッ
プを発生した領域(以下、「トラップ発生領域」と称す
る)となる確率をP0とする。このとき、全トラップ発生
領域の数(以下、「トラップ個数」と称する)はM0P0個
である。なお、トラップ可能領域がトラップ発生領域と
なる確率P0は、一般に発生する電子数によって異なる。
場合、検出膜からの出力電子数Z0はX0(1-M0P0/N)であ
る。
P0は、何らかの作用で時間とともに減衰していくと考え
られる。この減衰は、曲線Mt =M0P0exp(-at)に従うと仮
定する。ここで、Mtは時間t経過後におけるトラップ個
数(すなわち、トラップ発生領域の個数)を表す。従っ
て、時刻tにおけるトラップ発生領域の数はMt個であ
り、トラップを発生していないトラップ可能領域の数
は、M0-Mt個である。
個の電子を発生させる強さで二回目のX線が照射され
る。このX線照射によりトラップ可能領域がトラップ発
生領域となる確率をP1とすれば、上記トラップを発生
していないトラップ可能領域から、(M0-Mt)P1個の新し
いトラップ発生領域が発生することとなる。
線が照射された時点で、一回目のX線照射と合わせて累
積(M0-Mt)P1+Mt個のトラップ発生領域が存在すること
になる。
び実用性の観点から、例えばtを単位時間、つまりt=
1とし、またA=exp(-a)とする。このとき、時間t経過
後におけるトラップ個数Mtは、Mt=M0P0Aとなる。従っ
て、前回のX線照射と合わせた累積トラップ発生領域数
Y1は、Y1=M0P1+(1-P1)M0P0Aとなる。
時点で、電子トラップにより通過が阻止された電子の数
は、X1Y1/Nであり、検出膜から出力される電子数Z1は、
Z1=X1{1-Y1/N}である。
合計i回のX線照射が実行される。各X線照射において
1ピクセル内に発生する電子数、トラップ生成確率、ト
ラップ個数、出力される電子数および検出器の感度の関
係を、図4に示す。これから明らかなように、所定の時
間tにおけるi回目のX線照射によって発生する電子数
をXi、このXiに応じたトラップ生成確率をPiとすると、
トラップ個数YiはYi=M 0Pi+(1-Pi)Yi-1Aと表すことがで
きる。また、図4に記載されたトラップの個数Y i= M0P
1 +(1-Pi) Yi-1Aは、回帰型の演算である。
おいて、Piについては、記述の如く収集条件として予め
決定され、メモリ56に記憶される。従って、トラップ
の個数を定量的に推定するためには、トラップ可能領域
の最大個数M0、パラメータA、aを決定する必要があ
る。これらは、例えば次のようにして決定することがで
きる。
X線管球11よりX線固体平面検出器37へ比較的強い
X線を同じ強さで連続的に曝射する。この時のX線の曝
射条件(管電流、管電圧など)および上述の収集条件か
ら、1ピクセル内に発生する電子数Xiを推定することが
できる。
電子数ZiはXiではなく、上述のようにZi=Xi(1-Yi/N)と
なるため、N=1000と仮定した場合には、これらZi、Xi、
およびNから、Yi=N(1-Zi/Xi)として、Yiを求めること
ができる。なお、ZiはX線検出器の出力から算出するこ
とができる。なお、Nに関しては、必要な精度、計算量
などを考慮して決定すれば良い。Nを大きな値にした場
合には、計算量は多くなるが、より精度の高い補正が可
能である。
定の値で出力される電子数つまり検出器の出力値が下限
値となるトラップの飽和状態が発生する。これは、電子
トラップが最大に発生した場合を示しており、つまり、
Piがほぼ1となる状態を表している。X線を連続的に曝
射した場合の時間と出力値の関係をグラフとして、図7
に例示する。
=1よりYs=M0であるため、M0=Ys=N(1-Zs/Xi)となり、Nを
適当な値、例えば、N=1000とすると、M0を算出すること
ができる。なお、Zsは飽和状態の際に検出膜から出力さ
れる電子数である。
め、比較的長い間隔をもって同じ強さのX線を断続的に
曝射する。この時の時間と出力値の関係を測定すると、
例として図8のようなグラフとなる。なお、断続的に表
示されている白丸がX線照射時の出力を表す実測値であ
り、実線は補間曲線を表している。
ち、3回の照射ついて考慮する。この3回におけるトラ
ップ個数をそれぞれYj-1、Yj、Yj+1とすると、図4のと
おり、Yj=M0Pj+(1-Pj)Yj-1exp(-at1)およびYj+1=M0Pj+1
+(1-Pj+1)Yj exp(-at2)と表される。同一の強さのX線
である場合、発生する電子数は同一であるため、トラッ
プ生成確率も同一となり、Pj=Pj+1となる。なおt1は1
回目と2回目、つまりj-1とjのX線照射間隔時間、t2は
2回目と3回目つまりjとj+1のX線照射間隔時間を示し
ている。
述のように出力される電子数Zj-1乃至Zj+1から求めるこ
とができる。従って、Yj=M0Pj+(1-Pj)Yj-1exp(-at1)お
よびY j+1=M0Pj+(1-Pj)Yjexp(-at2)の2式から、aを求め
ることができる。
実験にて、測定する場合を示したが当然にM0とaはそれ
ぞれ別に測定することも可能である。特にaに関して
は、回復の度合いが測定できる程度であれば、飽和値ま
でX線を曝射しなくても良い。
様に、トラップ個数Yi=M0Pi+(1-Pi)Yi-1Aより、検出膜
から出力される電子数Ziは、Zi=Xi{1-Yi/N}と推定され
る。すなわち、各画素から出力される信号値は、電子ト
ラップにより係数{1-Yi/N}だけの影響をうけることにな
る。従って、この係数を相殺する補正、すなわち、各画
素からの出力値に1/{1-Yi/N}を積算することで、電子ト
ラップによる影響を排除することができる。このよう
に、電子トラップによる影響を取り除くため、各画素か
らの出力値に積算される係数を、感度補正係数と呼ぶ。
上記例では、感度補正係数は1/{1-Yi/N}である。
は、感度特性に基づく方法とオフセット特性に基づく方
法とがある。感度特性に基づく方法とは、上述で説明し
た様に、入力電子数と電子トラップの影響を受けた出力
電子数とから感度補正係数を直接求める方法である。一
方、オフセット特性に基づく方法とは、オフセット特性
と電子トラップとの相関関係から、感度補正係数を間接
的に求める方法である。
基づく方法によるデータ補正について、図5及び図6を
参照しながら説明する。なお、オフセット特性に基づく
方法については、第2の実施形態にて説明される。
タ補正を説明するためのフローチャートである。図5に
おいて、まず、所定のシーケンスに従ったX線照射が実
行され、X線信号が検出される(ステップS1)。
X線固体平面検出器の出力のタイミングチャートを示し
ている。同図では、X線の曝射が不定期に与えられてお
り、X線固体平面検出器の出力は、X線曝射と同期して
行なわれていない場合を示している。
は、所定の時間間隔、例えば10秒〜1分間隔の間に当
てられたX線加算あるいは、平均して出力する。なお、
加算もしくは平均して出力を得る方法としては、ゲート
ドライバ45、初段積分アンプ71を制御することによ
り行う。
は、ADC65から出力された信号およびメモリ56に
記憶されている収集条件から、検出膜22の1ピクセル
内に発生する電子数Xiを推定する(ステップS2)。
としては、被検体がない場合のように、X線の曝射条件
から行うのではなく、検出膜から出力される電子数Ziに
1つ前のデータにおける感度補正係数1/(1-Yi-1/N)の逆
数を乗算したものを基準とする。つまり、発生する電子
数XiをZi(1-Yi-1/N)と仮定する。これは、被検体がいな
い場合と異なり、被検体がいる場合では被検体の体内で
X線が吸収され、どの程度のX線がX線検出器に到達す
るかを知ることは困難なためである。
に記憶された所定のルックアップテーブルを用いて、推
定された電子数Xiに対応するトラップ発生確率Piを求め
る(ステップS3)。なお、ルックアップテーブルにXi
と同一の値がない場合、ルックアップテーブル上でXiと
最も近い値で近似してPiを求めても良い。また、前後の
値から直線補間などを行ってPiを求めても良い。なお、
ルックアップテーブルの作成については後述する。
の通り、Yi=M0Pi+(1-Pi)Yi-1Aなる回帰型演算を行なっ
て現在のトラップ数Yiを求める(ステップS4)。な
お、この演算には、メモリ56に記憶されたパラメータ
M0、a、および1つ前のサンプリングの際に既に算出さ
れたYi-1が使用される。
補正係数を1/(1-Yi/N)が算出される(ステップS
5)。この感度補正係数の算出方法は、上述した通りで
ある。
X線検出器の元の出力に乗算させることにより、感度補
正が行われる(ステップS6)。
表示信号変換部21bにて画像表示信号へ変換される。
CRT25は、入力した表示信号に基づいて、X線画像
を表示する。
され、上記データ補正処理において使用されるLUTに
ついて詳しく説明する。上記データ補正処理で用いられ
るルックアップテーブルとは、具体的にはXiとPiの関係
を記載したものであり、例えば次の様にして作成され
る。
いない状態で、X線の曝射条件等から、1ピクセル内に
発生する電子数Xiを推定する。
i)Yi-1Aであるが、時間が経過し感度がほぼ回復した状
態では、トラップされた状態がなくなり、つまりトラッ
プ個数Yi-1=0とすることができ、Yi=M0Piである。従っ
て、すでに求められているM0と、実際の出力値から求め
られるZiから得られるYiからPi=Yi/M0としてPiを求める
ことができる。
た状態で、X線の強度を変化させて、X線検出器の出力
を複数回測定を行うことにより、発生する電子数Xiとト
ラップ生成確率Piの関係を求めることが可能であり、こ
れを記録したものが、ルックアップテーブルである。
リ56に記憶させておく情報であり、これらの情報を使
用して、被検体の撮影等を行う。なお、ここで記憶され
た情報は操作者自ら求めても良いし、予め装置の出荷時
にハードディスク、CD−R、DVDなどの記憶媒体に
保存させておいても良い。なお、定期的に検査を行い、
これらの記憶された情報を更新すると、より正確な補正
が可能となる。
る第1の変形例について説明する。第1の実施の形態に
では検出膜22の性質として、トラップ数が時間と共に
単に減少していく例をしめした。これに対し、本変形例
では、この現象の過程でトラップされていた電子を放出
するような例を示す。このトラップされた電子が時間と
共に放出されるモデルは、オフセットの増加を加味した
モデルであると考えることができる。
電子はトラップ数に比例した成分とする。つまり、検出
膜の1ピクセルから出力される電子数は、ひとつ前の時
刻のトラップ数Yi-1に比例した電子数、BYi-1が加わ
り、Xi(1-Yi/N)+BYi-1として感度を計算すればよ
い。なお、ここで、B≧0とする。
いた検出器の感度が飽和した状態を使用する。具体的に
は、第1の実施の形態と同様、図6で示したように、X
線の曝射を連続的に行い、検出器から出力される電子数
Ziを求める。このZiは、上述のようにZi=Xi(1-Yi/N)
+BYi-1とすることができ、また検出器の感度が飽和し
た状態では、Yi≒Yi-1およびYi-1=M0であるため、Zi=Xi
(1-M0/N)+BM0である。
で、次にX線の曝射を止める。すると、X線の曝射がな
いため検出膜には電子数が発生せず、つまり、Xi=0とす
ることができる。この時の検出器からはわずかにオフセ
ット分だけ電子が出力され、この電子数Z'iはM0Bとする
ことができる。つまり、Z'i=M0Bである。
M0に代入すると、M0=N{1-(Zi-Z'i)/Xi}となり、M0を求
めることができ、B=Z'i/M0からBを求めることが可能で
ある。
態と同様、メモリ56に記憶され、使用される。
と共に放出される場合であり、オフセットの上昇を加味
した、より厳密な補正を行うことが可能である。
とができ、例えば放出される電子数がトラップ数に比例
するのではなく、トラップ数の変化に比例するモデル、
つまり、Zi=Xi(1-Yi/N)+B'(Yi-1-Yi)のように考える
ことも可能である。これらのモデルの選択は、実験によ
り適当なモデルを定めても良いし、また計算の量、回路
の複雑性などを鑑みて決定しても良い。
較してみると、本変形例では、Bを用いる分だけ、計算
の量としては多いと考えることができるが、一方オフセ
ットを加味した補正が可能である。
および変形例のような回帰型演算の出力に基づいて、感
度補正またはオフセット補正を行なうものは極めて応用
範囲が広く、また、簡単な回路で感度、オフセットの劣
化を補正することが可能である。
は、初期状態のトラップ個数を0である、つまり、Y0=M
0P0としたが、この他にも、以前に行なわれた最後のY'i
の値に設定しても良い。
と、現在の時刻との間の経過時間Tに基づいてY'iの値を
多少変更した方が良い。
通電の状態に応じてトラップ数がどのように変化するか
を測定しておけばこの変更は可能である。
減少することが測定で得られたとすれば、経過時間T
(時間)ではexp(-0.01T)のトラップ数の減少が見込ま
れるので、トラップ個数の初期値は、Y0=M0P0+exp(-0.0
1t) Y'iとして演算を開始することができる。
平面検出器と呼ばれるものについて説明したが、特に検
出素子の並びなどに限定されるものではない。
は、X線の曝射と、検出器出力は同期させない場合を示
したが、同期させても良い。
1の実施の形態および変形例の2つの場合を示したが、
特に検出膜の性質を限定するものではなく、上記で説明
したモデルを多少変更して用いる場合が有効な場合もあ
る。
例では、ハードウェアによって、感度補正を行う方法を
示したが、これらを全て、あるいは一部のみソフトウェ
ア上で行っても良い。
1によって得られる効果をについて、幾つかの例を挙げ
て説明する。
場合に得られる効果について説明する。
照射して図9に示すような頸部画像を撮影する。このと
き、領域AおよびBは、被検体を透過せずに直接曝射さ
れたX線に基づいて画像化された領域である。従って、
被検体を透過してX線が入射した領域Cに比較して、こ
の領域AおよびBには強いX線が照射される。その結
果、領域AおよびBでは、一時的に領域Cよりも感度が
低下し、またオフセットが増加する。
増加が発生した状態で、弱いX線を照射して図10に示
すような腹部の透視画像を取得すると、透視画像には、
図10に示すように前回の撮影画像がゴーストGとして
重畳する場合がある。これは、特に領域A及びBに存在
する画素が、前回の撮影にて検出した信号の影響を受け
るためである。
素の出力値に対して、前回検出された信号の影響を取り
除くデータ補正を行うので、図10に示すようなゴース
トGを取り除くことができる。
果について説明する。
に比べてコントラスト差が小さい。従って、撮影による
感度の低下またオフセットの増加に対して、例えば、図
10に示されるように、領域Aと領域C、あるいは領域
Bと領域Cは異なった輝度の画像を形成してしまうな
ど、著しく影響を受けることが考えられ、適切な画像を
表示することができない場合がある。なお、この例で
は、さらに、透視で使用されることがあるカテーテル
(実線で示されている)が被検体に挿入された場合を示
している。なお、このカテーテルは被検体の領域Aと領
域Cをまたいで存在する場合を示しており、カテーテル
の領域Aは領域Cに比べて、輝度が暗く表示される。
置1では、各画素の出力値に対して、前回検出された信
号の影響を取り除くデータ補正を行うので、図10に示
すような輝度の変化を取り除くことができる。
でなく、他にも、例えばコリメータなどを用いて撮影を
行った場合、X線検出器上のコリメータによりX線が遮
断された領域と遮断されていない領域の感度は、著しく
異なることになり、コリメータを交換した際などには、
上述のように適切な画像を表示することができない場合
がある。
るいはコリメータを交換する場合以外にも、撮像する位
置が単に違うだけで、筋肉と骨などX線の透過率が異な
り、同様の問題が生じる可能性がある。
置によれば、検出器の感度およびオフセットのうち少な
くとも1つを時間的な変化を考慮して補正することがで
き、検出器感度のばらつきの影響を軽減させて、測定を
行うことができる。従って、良好な画像を提供すること
が可能である。
合でも、この感度に応じた補正を行うことにより、良好
な画像を提供することが可能である。
セット特性との相関関係から感度補正係数を取得し、こ
れによってデータを補正するX線診断装置について説明
する。なお、以下の説明においては、電子トラップによ
って発生するゴースト画像を取り除くための補正を、
「ゴースト補正」と称する。
施形態におけるブロック図である。図11に示すよう
に、データ補正部21aは、オフセット画像保持部13
1、初期オフセット保持部132、減算器133、減算
器134、ゴースト補正係数算出部135、初期感度補
正係数保持部136、乗算器137、乗算器138を有
している。
直前のオフセット画像(以下、第1のオフセット画像と
称する)データを保持する。ここで、オフセット画像と
は、X線曝射を伴わないでX線平面検出器37が検出す
る画像である。すなわち、X線平面検出器37において
各画素が有する暗電流や各積分アンプが有するオフセッ
ト、X線発生系からの暗流X線等を原因として、X線が
曝射されていない状態で検出される電気信号のバックグ
ラウンドに基づく画像である。このオフセット画像に
は、それ以前のX線曝射によって生じたオフセット成分
の増加分が含まれている。
の曝射によるオフセット成分の増加を含んでいない状態
でのオフセット画像(以下、第2のオフセット画像と称
する)データを保持する。
力されたX線画像データから、オフセット画像保持部1
31に保持されたX線曝射直前に格納されたオフセット
画像データを減算することで、オフセット補正を施す。
画像から第2のオフセット画像を減算して、画像間の差
分を求める。この差分は、それ以前のX線曝射によって
生じたオフセット成分の増加分である。
じめ求められたオフセット成分の増加分と感度低下の相
関関係によって求めた感度補正係数(以下、「第1の感
度補正係数」)を格納している。具体的には、ゴースト
補正係数算出部135は、例えばLUT(Look Up Tabl
e)である。ゴースト補正係数算出部135は、格納す
るオフセット成分の増加分と感度低下の相関関係に基づ
いて、入力したオフセット成分の増加分から感度低下分
を補正する第1の感度補正係数を算出して出力する。
曝射による感度低下を含んでいない状態での感度補正係
数(以下、「第2の感度補正係数」)を保持している。
当該第2の感度補正係数をX線画像データに積算するこ
とで、X線曝射を原因としない感度変化を補正すること
ができる。
保持部136からの第2の感度補正係数と、ゴースト補
正係数算出部135からの第1の感度補正係数とを掛け
合わせる。
入力したX線画像データに対して、第1の乗算器137
から入力した第2の感度補正係数と第1の感度補正係数
との積値を掛け合わせる。
によって実行される、データ補正処理を説明する。
データは、第1の減算器133において、オフセット画
像保持部131に保持されX線曝射直前に収集されたオ
フセット画像データによってオフセット補正が施され
る。
1の乗算器137から入力した第2の感度補正係数と第
1の感度補正係数との積値を掛け合わせることで、初期
感度の補正、及びゴースト補正が施される。
画像データは、画像表示信号に変換され、X線画像とし
てCRT25に表示される。
態と同様の効果を得ることができる。
についても、第2の実施形態に係るX線診断装置に適用
可能である。
が、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各
種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら
変形例及び修正例についても本発明の範囲に属するもの
と了解される。
わせて実施してもよく、その場合組合わせた効果が得ら
れる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含
まれており、開示される複数の構成要件における適宜な
組合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実
施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削
除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた
課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果
の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が
削除された構成が発明として抽出され得る。
下、あるいは一時的なオフセットの上昇が生じた場合で
も、適切にX線検出器の出力を補正することにより、良
好な画像を取得可能なX線診断装置を実現できる。
1のブロック図である。
る。
図である。
ル内に発生する電子数、トラップ生成確率、トラップ個
数、出力される電子数および検出器の感度の関係を示し
ている。
正を説明するためのフローチャートである。
の出力のタイミングチャートを示している。
関係を表したグラフである。
を表したグラフである。
を説明するための図である。
効果を説明するための図である。
形態におけるブロック図である。
式断面図を示している。
ク図を示している。
面図を示している。
Claims (17)
- 【請求項1】入射したX線を検出するX線検出器と、 少なくとも前回に前記X線検出器が検出した信号値に基
づいて、前記X線検出器の特性の変化を推定する演算器
と、 前記X線検出器から出力された信号値に対して、前記推
定された特性の変化を相殺する補正を行う第1の補正装
置と、 を具備することを特徴とするX線診断装置。 - 【請求項2】前記X線検出器の特性の変化は、感度特性
であることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。 - 【請求項3】前記X線検出器の特性の変化は、オフセッ
ト特性であることを特徴とする請求項1記載のX線診断
装置。 - 【請求項4】前記X線検出器は、X線検知部分に半導体
を利用したX線検出器であることを特徴とする請求項1
記載のX線診断装置。 - 【請求項5】前記X線検出器は、直接変換型の検出器で
あることを特徴とする請求項4記載のX線診断装置。 - 【請求項6】前記半導体検出器は、セレンを有すること
を特徴とする請求項5記載のX線診断装置。 - 【請求項7】前記X線検出器による前回の信号値検出時
からの経過時間に基づいて、少なくとも前回に前記X線
検出器が検出した信号値を補正する第2の補正装置をさ
らに具備することを特徴とする請求項1記載のX線診断
装置。 - 【請求項8】入射したX線を検出し電気情報を発生する
複数の半導体素子を二次元マトリックス状に配列したX
線検出器と、 少なくとも前回に前記各半導体素子が検出した信号に基
づいて、前記各半導体素子の特性の変化を推定する演算
器と、 前記各半導体素子から出力された信号に対して、前記推
定された各特性の変化を相殺する補正を行う補正装置
と、 を具備することを特徴とするX線診断装置。 - 【請求項9】前記各半導体素子の特性の変化は、感度特
性であることを特徴とする請求項8記載のX線診断装
置。 - 【請求項10】前記各半導体素子の特性の変化は、オフ
セット特性であることを特徴とする請求項8記載のX線
診断装置。 - 【請求項11】前記複数の半導体素子は、入射したX線
を直接電気信号に変換する直接変換型の素子であること
を特徴とする請求項8記載のX線診断装置。 - 【請求項12】前記各半導体素子は、セレンを使用した
検出膜を有することを特徴とする請求項8記載のX線診
断装置。 - 【請求項13】前記前記各半導体素子による前回の信号
値検出時からの経過時間に基づいて、少なくとも前回に
前記前記各半導体素子が検出した各信号値を補正する第
2の補正装置をさらに具備することを特徴とする請求項
8記載のX線診断装置。 - 【請求項14】入射したX線を検出し電気情報を発生す
る複数の半導体素子を二次元マトリックス状に配列した
X線検出器と、 前記前記各半導体素子のオフセット特性の変化と感度特
性の変化との相関関係を記憶するメモリと、 少なくとも前回に前記各半導体素子が検出した信号に基
づいて、前記各半導体素子のオフセット特性の変化を推
定する第1の演算器と、 前記相関関係に基づいて、推定された前記オフセット特
性の変化から前記前記各半導体素子の感度特性の変化を
推定する第2の演算器と、 前記各半導体素子から出力された信号に対して、前記推
定された各感度特性の変化を相殺する補正を行う補正装
置と、 を具備するX線診断装置。 - 【請求項15】前記複数の半導体素子は、入射したX線
を直接電気信号に変換する直接変換型の素子であること
を特徴とする請求項14記載のX線診断装置。 - 【請求項16】前記各半導体素子は、セレンを使用した
検出膜を有することを特徴とする請求項14記載のX線
診断装置。 - 【請求項17】前記前記各半導体素子による前回の信号
値検出時からの経過時間に基づいて、少なくとも前回に
前記前記各半導体素子が検出した各信号値を補正する第
2の補正装置をさらに具備することを特徴とする請求項
14記載のX線診断装置。
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