JP2002204546A - 電動機のステータ - Google Patents
電動機のステータInfo
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- JP2002204546A JP2002204546A JP2001001496A JP2001001496A JP2002204546A JP 2002204546 A JP2002204546 A JP 2002204546A JP 2001001496 A JP2001001496 A JP 2001001496A JP 2001001496 A JP2001001496 A JP 2001001496A JP 2002204546 A JP2002204546 A JP 2002204546A
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- insulating
- stator
- melting point
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- Windings For Motors And Generators (AREA)
- Insulation, Fastening Of Motor, Generator Windings (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 保護装置を用いることなく、ステータコアと
コイルとの間の絶縁層が溶融することを防止できるよう
にする。 【解決手段】 コイル9の絶縁被膜11はウレタン樹脂
とし、ステータコアとコイルとの間の絶縁樹脂端板(絶
縁層)7は、PPSにガラスを20%以上含有したもの
から構成し、コイル9の絶縁被膜11の実使用上の融点
を、絶縁樹脂端板7の実使用上の融点より低くなるよう
に設定する。温度が異常に上昇した場合、絶縁樹脂端板
7が溶融する前に、コイル9の絶縁被膜11が溶融する
ようになり、これに伴いコイル9相間でレアーショート
が発生し、当該コイル9が断線するようになる。これに
より、電源の供給が遮断され、それ以上温度が上昇する
ことが防止されるから、絶縁樹脂端板7が溶融すること
を防止できる。
コイルとの間の絶縁層が溶融することを防止できるよう
にする。 【解決手段】 コイル9の絶縁被膜11はウレタン樹脂
とし、ステータコアとコイルとの間の絶縁樹脂端板(絶
縁層)7は、PPSにガラスを20%以上含有したもの
から構成し、コイル9の絶縁被膜11の実使用上の融点
を、絶縁樹脂端板7の実使用上の融点より低くなるよう
に設定する。温度が異常に上昇した場合、絶縁樹脂端板
7が溶融する前に、コイル9の絶縁被膜11が溶融する
ようになり、これに伴いコイル9相間でレアーショート
が発生し、当該コイル9が断線するようになる。これに
より、電源の供給が遮断され、それ以上温度が上昇する
ことが防止されるから、絶縁樹脂端板7が溶融すること
を防止できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステータコアに、
絶縁被膜を有するコイルを絶縁層を介し装着して構成さ
れる電動機のステータに関する。
絶縁被膜を有するコイルを絶縁層を介し装着して構成さ
れる電動機のステータに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】近年、脱水兼用洗濯機
のモータ(電動機)として、アウターロータ形の3相D
Cブラシレスモータを採用したものがある。この種のモ
ータのステータは、ステータコアに、合成樹脂からなる
絶縁樹脂端板を設けると共に、その絶縁樹脂端板を介し
てコイルを巻装した構成となっていて、絶縁樹脂端板
が、ステータコアとコイルとの間の絶縁層を構成してい
る。その絶縁樹脂端板としては、成形品をステータコア
に対して装着したり、或いは、ステータコアをモールド
するように成形によって設けたりされる。
のモータ(電動機)として、アウターロータ形の3相D
Cブラシレスモータを採用したものがある。この種のモ
ータのステータは、ステータコアに、合成樹脂からなる
絶縁樹脂端板を設けると共に、その絶縁樹脂端板を介し
てコイルを巻装した構成となっていて、絶縁樹脂端板
が、ステータコアとコイルとの間の絶縁層を構成してい
る。その絶縁樹脂端板としては、成形品をステータコア
に対して装着したり、或いは、ステータコアをモールド
するように成形によって設けたりされる。
【0003】ここで、従来においては、コイルとして
は、その絶縁被膜にポリイミドを用いたポリイミド銅線
を使用し、また、上記絶縁樹脂端板としては、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)が用いられていた。
は、その絶縁被膜にポリイミドを用いたポリイミド銅線
を使用し、また、上記絶縁樹脂端板としては、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)が用いられていた。
【0004】しかしながら、上記した従来構成のものに
おいては、次のような問題点があった。モータの寿命末
期やロータ回転の拘束等によりモータの温度が異常に上
昇した場合、ステータコアとコイルとの間の絶縁樹脂端
板が熱によって溶融し、ステータコアとコイルとが接触
することによって短絡が発生し、ステータ部分の絶縁抵
抗が0Ω状態となるおそれがある。また、上記絶縁樹脂
端板が溶融すると、その溶融した樹脂がモータの内部や
外部へ滴下することになる。このため、従来では、製品
(洗濯機)への組み込み状態での漏電や感電、絶縁樹脂
端板の溶融を防止するため、温度ヒューズや電流ヒュー
ズなどの保護装置を取り付けると共に、モータよりも外
側部分に電気絶縁層を設けるなどの対策が必要であっ
た。
おいては、次のような問題点があった。モータの寿命末
期やロータ回転の拘束等によりモータの温度が異常に上
昇した場合、ステータコアとコイルとの間の絶縁樹脂端
板が熱によって溶融し、ステータコアとコイルとが接触
することによって短絡が発生し、ステータ部分の絶縁抵
抗が0Ω状態となるおそれがある。また、上記絶縁樹脂
端板が溶融すると、その溶融した樹脂がモータの内部や
外部へ滴下することになる。このため、従来では、製品
(洗濯機)への組み込み状態での漏電や感電、絶縁樹脂
端板の溶融を防止するため、温度ヒューズや電流ヒュー
ズなどの保護装置を取り付けると共に、モータよりも外
側部分に電気絶縁層を設けるなどの対策が必要であっ
た。
【0005】本発明は上記した事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、保護装置を用いることなく、ス
テータコアとコイルとの間の絶縁層が溶融することを防
止でき、これにより、保護装置を廃止することを可能と
し、また、保護装置も用いることで安全性を一層向上で
きる電動機のステータを提供するにある。
のであり、その目的は、保護装置を用いることなく、ス
テータコアとコイルとの間の絶縁層が溶融することを防
止でき、これにより、保護装置を廃止することを可能と
し、また、保護装置も用いることで安全性を一層向上で
きる電動機のステータを提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、ステータコアに、絶縁被膜を
有するコイルを絶縁層を介し装着して構成される電動機
のステータにおいて、前記コイルにおける前記絶縁被膜
の実使用上の融点を、前記絶縁層の実使用上の融点より
低くなるように設定したことを特徴とする。
めに、請求項1の発明は、ステータコアに、絶縁被膜を
有するコイルを絶縁層を介し装着して構成される電動機
のステータにおいて、前記コイルにおける前記絶縁被膜
の実使用上の融点を、前記絶縁層の実使用上の融点より
低くなるように設定したことを特徴とする。
【0007】ここで、コイルにおける絶縁被膜の実使用
上の融点とは、ステータへの組み込み状態で、温度上昇
によりコイルの絶縁被膜が軟化・溶融し、コイル相間で
レアショートが発生し、コイルが断線する温度をいうも
のとする。また、絶縁層の実使用上の融点とは、ステー
タへの組み込み状態で、温度上昇により絶縁層が軟化・
溶融し、コイルとステータコアが接触し、ステータコア
の絶縁抵抗が0Ω状態となる温度をいうものとする。
上の融点とは、ステータへの組み込み状態で、温度上昇
によりコイルの絶縁被膜が軟化・溶融し、コイル相間で
レアショートが発生し、コイルが断線する温度をいうも
のとする。また、絶縁層の実使用上の融点とは、ステー
タへの組み込み状態で、温度上昇により絶縁層が軟化・
溶融し、コイルとステータコアが接触し、ステータコア
の絶縁抵抗が0Ω状態となる温度をいうものとする。
【0008】上記した手段においては、コイルにおける
絶縁被膜の実使用上の融点が、ステータコアとコイルと
の間に介在された絶縁層の実使用上の融点より低くなる
ように設定されているから、ステータの温度が異常に上
昇した場合、絶縁層が溶融する前に、コイルの絶縁被膜
が溶融するようになり、これに伴いコイル相間でレアー
ショートが発生し、当該コイルが断線するようになる。
これにより、電源の供給が遮断され、それ以上温度が上
昇することが防止されるから、絶縁層が溶融することを
防止できる。このため、温度ヒューズや電流ヒューズな
どの保護装置を廃止することが可能となる。また、保護
装置を廃止しないまでも、保護装置も併せて用いること
で、多重の安全性を確保でき、安全性を一層向上できる
ようになる。
絶縁被膜の実使用上の融点が、ステータコアとコイルと
の間に介在された絶縁層の実使用上の融点より低くなる
ように設定されているから、ステータの温度が異常に上
昇した場合、絶縁層が溶融する前に、コイルの絶縁被膜
が溶融するようになり、これに伴いコイル相間でレアー
ショートが発生し、当該コイルが断線するようになる。
これにより、電源の供給が遮断され、それ以上温度が上
昇することが防止されるから、絶縁層が溶融することを
防止できる。このため、温度ヒューズや電流ヒューズな
どの保護装置を廃止することが可能となる。また、保護
装置を廃止しないまでも、保護装置も併せて用いること
で、多重の安全性を確保でき、安全性を一層向上できる
ようになる。
【0009】この場合、請求項2の発明のように、コイ
ルの絶縁被膜の材料は、ウレタン樹脂系を用いることが
好ましい。ウレタン樹脂系の絶縁被膜は溶融温度が比較
的低いため、温度上昇時にその絶縁被膜が比較的容易に
溶融し、比較的短時間でコイルを断線させることが可能
となる。
ルの絶縁被膜の材料は、ウレタン樹脂系を用いることが
好ましい。ウレタン樹脂系の絶縁被膜は溶融温度が比較
的低いため、温度上昇時にその絶縁被膜が比較的容易に
溶融し、比較的短時間でコイルを断線させることが可能
となる。
【0010】また、請求項3の発明のように、絶縁層と
しては、ポリフェニレンサルファイドまたはポリブチレ
ンテレフタレートにより構成することが好ましい。ポリ
フェニレンサルファイドやポリブチレンテレフタレート
は、比較的耐熱性が高いため、温度上昇時にその絶縁層
が溶融し難くなり、コイルとステータコアとが接触する
ことを極力避けることができる。
しては、ポリフェニレンサルファイドまたはポリブチレ
ンテレフタレートにより構成することが好ましい。ポリ
フェニレンサルファイドやポリブチレンテレフタレート
は、比較的耐熱性が高いため、温度上昇時にその絶縁層
が溶融し難くなり、コイルとステータコアとが接触する
ことを極力避けることができる。
【0011】さらに、請求項4の発明のように、絶縁層
はガラスを含有したものを用いることが好ましい。これ
によれば、温度上昇時に絶縁層が溶融温度に達して軟化
しても、コイルとステータコアが接触するまでの時間を
遅らせることができ、コイルの断線が先に発生するよう
にコントロールすることが可能となる。
はガラスを含有したものを用いることが好ましい。これ
によれば、温度上昇時に絶縁層が溶融温度に達して軟化
しても、コイルとステータコアが接触するまでの時間を
遅らせることができ、コイルの断線が先に発生するよう
にコントロールすることが可能となる。
【0012】請求項5の発明は、絶縁層の実使用上の融
点と、コイルにおける絶縁被膜の実使用上の融点との差
が20℃以上あることを特徴とする。絶縁層の実使用上
の融点、および絶縁被膜の実使用上の融点にはばらつき
があり、これを考慮すると、それらの間に20℃以上の
差があれば、温度上昇時に、絶縁層よりもコイルの絶縁
被膜の方を確実に早く溶融させることができるようにな
る。
点と、コイルにおける絶縁被膜の実使用上の融点との差
が20℃以上あることを特徴とする。絶縁層の実使用上
の融点、および絶縁被膜の実使用上の融点にはばらつき
があり、これを考慮すると、それらの間に20℃以上の
差があれば、温度上昇時に、絶縁層よりもコイルの絶縁
被膜の方を確実に早く溶融させることができるようにな
る。
【0013】請求項6の発明は、コイルは、導線の直径
が0.5mm以上であることを特徴とする。コイルの導
線の直径が0.5mm以上の場合、一般に線径が太いこ
とから、断線しにくく、このため、従来では、温度ヒュ
ーズや電流ヒューズ等の保護装置の取り付けが必ず必要
とされていた。この点、請求項1の発明のように、コイ
ルにおける絶縁被膜の実使用上の融点を、絶縁層の実使
用上の融点より低くなるように設定することにより、直
径が0.5mm以上の太い導線のコイルにおいても、上
記保護装置を廃止できる利点を得ることができる。
が0.5mm以上であることを特徴とする。コイルの導
線の直径が0.5mm以上の場合、一般に線径が太いこ
とから、断線しにくく、このため、従来では、温度ヒュ
ーズや電流ヒューズ等の保護装置の取り付けが必ず必要
とされていた。この点、請求項1の発明のように、コイ
ルにおける絶縁被膜の実使用上の融点を、絶縁層の実使
用上の融点より低くなるように設定することにより、直
径が0.5mm以上の太い導線のコイルにおいても、上
記保護装置を廃止できる利点を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例につい
て、図面を参照して説明する。まず、図2には、アウタ
ーロータ形の3相DCブラシレスモータからなる電動機
1の断面図が示されている。この電動機1は、ステータ
2とロータ3とから構成されている。
て、図面を参照して説明する。まず、図2には、アウタ
ーロータ形の3相DCブラシレスモータからなる電動機
1の断面図が示されている。この電動機1は、ステータ
2とロータ3とから構成されている。
【0015】ステータ2におけるステータコア4は、多
数枚のケイ素鋼板を積層して構成されたもので、図3に
も示すように、環状をなすヨーク5と、このヨーク5か
ら外側に向けて突出する多数本のティース6を有してい
る。このステータコア4の外面には、図1にも示すよう
に、合成樹脂製の絶縁樹脂端板7が設けられている。絶
縁樹脂端板7には、各ティース6を覆うようにコイル装
着部8が設けられていて、各コイル装着部8にコイル9
が巻装されている。従って、絶縁樹脂端板7の各コイル
装着部8は、ステータコア4とコイル9との間の絶縁層
を構成している。コイル9は、導線10の外面に絶縁被
膜11を有する構成である。導線10としては、直径が
0.5mm以上、例えば0.6mmのものを使用してい
る。
数枚のケイ素鋼板を積層して構成されたもので、図3に
も示すように、環状をなすヨーク5と、このヨーク5か
ら外側に向けて突出する多数本のティース6を有してい
る。このステータコア4の外面には、図1にも示すよう
に、合成樹脂製の絶縁樹脂端板7が設けられている。絶
縁樹脂端板7には、各ティース6を覆うようにコイル装
着部8が設けられていて、各コイル装着部8にコイル9
が巻装されている。従って、絶縁樹脂端板7の各コイル
装着部8は、ステータコア4とコイル9との間の絶縁層
を構成している。コイル9は、導線10の外面に絶縁被
膜11を有する構成である。導線10としては、直径が
0.5mm以上、例えば0.6mmのものを使用してい
る。
【0016】ステータコア4の内周部側には、取付孔1
2aを有する複数の取付部12が設けられている。しか
して、図2に示すように、取付孔12aに挿通したボル
ト13の先端部をステータ固定部14に貫通させると共
に、そのボルト13の先端部にナット13aを締め付け
ることにより、ステータ2は、ステータ固定部14に固
定状態に取り付けられている。ステータ固定部14は、
取付板15に固定されている。
2aを有する複数の取付部12が設けられている。しか
して、図2に示すように、取付孔12aに挿通したボル
ト13の先端部をステータ固定部14に貫通させると共
に、そのボルト13の先端部にナット13aを締め付け
ることにより、ステータ2は、ステータ固定部14に固
定状態に取り付けられている。ステータ固定部14は、
取付板15に固定されている。
【0017】一方、上記ロータ3は、ステータ2を径方
向の外側から覆うようにステータ3の外側に回転可能に
配設されている。ロータ3におけるロータベース16
は、例えば合成樹脂により浅底容器状に形成されてい
て、その底部の中心部に、ボス17を介して回転軸18
が固着されている。ロータベース16は、短円筒状をな
すヨーク装着部16aを有していて、このヨーク装着部
16aの内周部に、円筒状をなすロータヨーク19が装
着されていると共に、このロータヨーク19の内周部に
複数個のロータマグネット20が装着されている。各ロ
ータマグネット20の内面は、上記ステータ2における
各ティース6の先端面に対して所定の隙間を介して対向
している。上記回転軸18は、上記ステータ固定部14
および取付板15に設けられた軸受21、22により回
転自在に支承されている。
向の外側から覆うようにステータ3の外側に回転可能に
配設されている。ロータ3におけるロータベース16
は、例えば合成樹脂により浅底容器状に形成されてい
て、その底部の中心部に、ボス17を介して回転軸18
が固着されている。ロータベース16は、短円筒状をな
すヨーク装着部16aを有していて、このヨーク装着部
16aの内周部に、円筒状をなすロータヨーク19が装
着されていると共に、このロータヨーク19の内周部に
複数個のロータマグネット20が装着されている。各ロ
ータマグネット20の内面は、上記ステータ2における
各ティース6の先端面に対して所定の隙間を介して対向
している。上記回転軸18は、上記ステータ固定部14
および取付板15に設けられた軸受21、22により回
転自在に支承されている。
【0018】しかして、上記コイル9における絶縁被膜
11の実使用上の融点が、上記コイル装着部8を有する
絶縁樹脂端板7の実使用上の融点より低くなるように設
定している。具体的には、コイル9としては、絶縁被膜
11にウレタン樹脂を用いたウレタン銅線を使用し、絶
縁樹脂端板7としては、この場合、ポリフェニレンサル
ファイド(PPS)にガラス(図示せず)を20%以上
含有したものを用いている。図4には、電動機のステー
タに用いる主な材料の、温度と絶縁抵抗との関係が示さ
れている。なお、図4において、PPS端板とは、ポリ
フェニレンサルファイド(PPS)製の絶縁樹脂端板の
ことであり、また、PBT端板とは、ポリブチレンテレ
フタレート(PBT)製の絶縁樹脂端板のことである。
11の実使用上の融点が、上記コイル装着部8を有する
絶縁樹脂端板7の実使用上の融点より低くなるように設
定している。具体的には、コイル9としては、絶縁被膜
11にウレタン樹脂を用いたウレタン銅線を使用し、絶
縁樹脂端板7としては、この場合、ポリフェニレンサル
ファイド(PPS)にガラス(図示せず)を20%以上
含有したものを用いている。図4には、電動機のステー
タに用いる主な材料の、温度と絶縁抵抗との関係が示さ
れている。なお、図4において、PPS端板とは、ポリ
フェニレンサルファイド(PPS)製の絶縁樹脂端板の
ことであり、また、PBT端板とは、ポリブチレンテレ
フタレート(PBT)製の絶縁樹脂端板のことである。
【0019】ここで、上記コイル9における絶縁被膜1
1の実使用上の融点とは、ステータ2への組み込み状態
で、温度上昇によりコイル9の絶縁被膜11が軟化・溶
融し、コイル9相間でレアショートが発生し、コイル9
が断線する温度をいうものとする。この絶縁被膜11の
実使用上の融点は、絶縁被膜11の厚さや、コイル9間
の隙間、或いはコイル9が巻回される際に発生する絶縁
被膜11の欠陥(ピンホール)等によっても左右される
ものであり、コイル9単品での絶縁被膜11の溶融温度
を指すものではない。
1の実使用上の融点とは、ステータ2への組み込み状態
で、温度上昇によりコイル9の絶縁被膜11が軟化・溶
融し、コイル9相間でレアショートが発生し、コイル9
が断線する温度をいうものとする。この絶縁被膜11の
実使用上の融点は、絶縁被膜11の厚さや、コイル9間
の隙間、或いはコイル9が巻回される際に発生する絶縁
被膜11の欠陥(ピンホール)等によっても左右される
ものであり、コイル9単品での絶縁被膜11の溶融温度
を指すものではない。
【0020】また、絶縁樹脂端板7の実使用上の融点と
は、ステータ2への組み込み状態で、温度上昇により絶
縁樹脂端板7のコイル装着部8が軟化・溶融し、コイル
9とステータコア4が接触し、ステータコア4の絶縁抵
抗が0Ω状態となる温度をいうものとする。この絶縁樹
脂端板7の実使用上の融点も、絶縁樹脂端板7の厚さ
や、軟化の度合い、或いは巻回されたコイル9のテンシ
ョンの強さ等によっても左右されるものであり、絶縁樹
脂端板7の単品状態での溶融温度を指すものではない。
は、ステータ2への組み込み状態で、温度上昇により絶
縁樹脂端板7のコイル装着部8が軟化・溶融し、コイル
9とステータコア4が接触し、ステータコア4の絶縁抵
抗が0Ω状態となる温度をいうものとする。この絶縁樹
脂端板7の実使用上の融点も、絶縁樹脂端板7の厚さ
や、軟化の度合い、或いは巻回されたコイル9のテンシ
ョンの強さ等によっても左右されるものであり、絶縁樹
脂端板7の単品状態での溶融温度を指すものではない。
【0021】上記した実施例においては、コイル9とし
ては、絶縁被膜11が比較的耐熱性の低いウレタン樹脂
のものを用いると共に、絶縁樹脂端板7としては、比較
的耐熱性の高いポリフェニレンサルファイド(PPS)
を用いていて、コイル9における絶縁被膜11の実使用
上の融点が、上記コイル装着部8を有する絶縁樹脂端板
7の実使用上の融点より低くなるように設定しているの
で、ステータ2の温度が異常に上昇した場合、絶縁樹脂
端板7が溶融する前に、コイル9の絶縁被膜11が溶融
するようになり、これに伴いコイル9相間でレアーショ
ートが発生し、当該コイル9が断線するようになる。こ
れにより、コイル9への電源の供給が遮断され、それ以
上温度が上昇することが防止されるから、絶縁樹脂端板
7が溶融することを防止できる。このため、温度ヒュー
ズや電流ヒューズなどの保護装置を廃止することが可能
となる。また、保護装置を廃止しないまでも、保護装置
も併せて用いることで、多重の安全性を確保でき、安全
性を一層向上できるようになる。
ては、絶縁被膜11が比較的耐熱性の低いウレタン樹脂
のものを用いると共に、絶縁樹脂端板7としては、比較
的耐熱性の高いポリフェニレンサルファイド(PPS)
を用いていて、コイル9における絶縁被膜11の実使用
上の融点が、上記コイル装着部8を有する絶縁樹脂端板
7の実使用上の融点より低くなるように設定しているの
で、ステータ2の温度が異常に上昇した場合、絶縁樹脂
端板7が溶融する前に、コイル9の絶縁被膜11が溶融
するようになり、これに伴いコイル9相間でレアーショ
ートが発生し、当該コイル9が断線するようになる。こ
れにより、コイル9への電源の供給が遮断され、それ以
上温度が上昇することが防止されるから、絶縁樹脂端板
7が溶融することを防止できる。このため、温度ヒュー
ズや電流ヒューズなどの保護装置を廃止することが可能
となる。また、保護装置を廃止しないまでも、保護装置
も併せて用いることで、多重の安全性を確保でき、安全
性を一層向上できるようになる。
【0022】コイル9の絶縁被膜11の材料は、溶融温
度が比較的低いウレタン樹脂のものを用いているため、
温度上昇時にその絶縁被膜11が比較的容易に溶融し、
比較的短時間でコイル9を断線させることが可能とな
る。
度が比較的低いウレタン樹脂のものを用いているため、
温度上昇時にその絶縁被膜11が比較的容易に溶融し、
比較的短時間でコイル9を断線させることが可能とな
る。
【0023】また、絶縁樹脂端板7としては、ガラスを
例えば20%以上含有する構成としているため、温度上
昇時に仮に絶縁樹脂端板7が溶融温度に達して軟化して
も、コイル9とステータコア4が接触するまでの時間を
遅らせることができ、コイル9の断線が先に発生するよ
うにコントロールすることが可能となる。また、このよ
うにガラスを含有する構成とした場合、絶縁樹脂端板7
の実使用上の融点と、コイル9における絶縁被膜11の
実使用上の融点とが近い場合に一層有効となる。
例えば20%以上含有する構成としているため、温度上
昇時に仮に絶縁樹脂端板7が溶融温度に達して軟化して
も、コイル9とステータコア4が接触するまでの時間を
遅らせることができ、コイル9の断線が先に発生するよ
うにコントロールすることが可能となる。また、このよ
うにガラスを含有する構成とした場合、絶縁樹脂端板7
の実使用上の融点と、コイル9における絶縁被膜11の
実使用上の融点とが近い場合に一層有効となる。
【0024】絶縁樹脂端板7の実使用上の融点と、コイ
ル9における絶縁被膜11の実使用上の融点は、ばらつ
きが発生しやすい。これを考慮すると、それらの間に2
0℃以上の差があれば、効果的である。特に、コイル9
にウレタン銅線(絶縁被膜11がウレタン樹脂)を用い
ると共に、絶縁樹脂端板7をPPS製とした場合には、
図4に示すように、絶縁樹脂端板7の実使用上の融点
と、コイル9における絶縁被膜11の実使用上の融点と
の差が20℃以上となっているため、効果的である。
ル9における絶縁被膜11の実使用上の融点は、ばらつ
きが発生しやすい。これを考慮すると、それらの間に2
0℃以上の差があれば、効果的である。特に、コイル9
にウレタン銅線(絶縁被膜11がウレタン樹脂)を用い
ると共に、絶縁樹脂端板7をPPS製とした場合には、
図4に示すように、絶縁樹脂端板7の実使用上の融点
と、コイル9における絶縁被膜11の実使用上の融点と
の差が20℃以上となっているため、効果的である。
【0025】また、コイル9の導線10の直径が0.5
mm以上の場合、一般に線径が太いことから、断線しに
くく、このため、従来では、温度ヒューズや電流ヒュー
ズ等の保護装置の取り付けが必ず必要とされていた。こ
の点、本実施例のように、コイル9における絶縁被膜1
1の実使用上の融点を、絶縁樹脂端板7の実使用上の融
点より低くなるように設定することにより、直径が0.
5mm以上の太い導線10のコイル9においても、上記
保護装置を廃止できる利点を得ることができる。
mm以上の場合、一般に線径が太いことから、断線しに
くく、このため、従来では、温度ヒューズや電流ヒュー
ズ等の保護装置の取り付けが必ず必要とされていた。こ
の点、本実施例のように、コイル9における絶縁被膜1
1の実使用上の融点を、絶縁樹脂端板7の実使用上の融
点より低くなるように設定することにより、直径が0.
5mm以上の太い導線10のコイル9においても、上記
保護装置を廃止できる利点を得ることができる。
【0026】本発明は、上記した実施例にのみ限定され
るものではなく、次のように変形または拡張することが
できる。コイル9にウレタン銅線を用いた場合には、絶
縁樹脂端板7としては、PPSに代えて、PBTにより
構成するようにしても良い。また、絶縁樹脂端板7とし
てPPSを用いた場合には、コイル9としては、ポリイ
ミド銅線を用いるようにしても良い。絶縁樹脂端板7
は、ステータコア4に対して、成形品を装着しても良い
し、ステータコア4をモールドするように成形によって
設けるようにしても良い。
るものではなく、次のように変形または拡張することが
できる。コイル9にウレタン銅線を用いた場合には、絶
縁樹脂端板7としては、PPSに代えて、PBTにより
構成するようにしても良い。また、絶縁樹脂端板7とし
てPPSを用いた場合には、コイル9としては、ポリイ
ミド銅線を用いるようにしても良い。絶縁樹脂端板7
は、ステータコア4に対して、成形品を装着しても良い
し、ステータコア4をモールドするように成形によって
設けるようにしても良い。
【0027】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、コイルにおける絶縁被膜の実使用上の融点
を、ステータコアとコイルとの間に介在された絶縁層の
実使用上の融点より低くなるように設定したことによ
り、ステータの温度が異常に上昇した場合、絶縁層が溶
融する前に、コイルの絶縁被膜が溶融するようになり、
これに伴いコイル相間でレアーショートが発生し、当該
コイルが断線するようになる。これにより、電源の供給
が遮断され、それ以上温度が上昇することが防止される
から、絶縁層が溶融することを防止できる。このため、
温度ヒューズや電流ヒューズなどの保護装置を廃止する
ことが可能となる。また、保護装置を廃止しないまで
も、保護装置も併せて用いることで、多重の安全性を確
保でき、安全性を一層向上できるようになる。
によれば、コイルにおける絶縁被膜の実使用上の融点
を、ステータコアとコイルとの間に介在された絶縁層の
実使用上の融点より低くなるように設定したことによ
り、ステータの温度が異常に上昇した場合、絶縁層が溶
融する前に、コイルの絶縁被膜が溶融するようになり、
これに伴いコイル相間でレアーショートが発生し、当該
コイルが断線するようになる。これにより、電源の供給
が遮断され、それ以上温度が上昇することが防止される
から、絶縁層が溶融することを防止できる。このため、
温度ヒューズや電流ヒューズなどの保護装置を廃止する
ことが可能となる。また、保護装置を廃止しないまで
も、保護装置も併せて用いることで、多重の安全性を確
保でき、安全性を一層向上できるようになる。
【図1】本発明の一実施例を示す要部の断面図
【図2】電動機の断面図
【図3】ステータの斜視図
【図4】ステータに使用される材料の温度と絶縁抵抗と
の関係を示す図
の関係を示す図
図面中、1は電動機、2はステータ、3はロータ、4は
ステータコア、7は絶縁樹脂端板(絶縁層)、8はコイ
ル装着部(絶縁層)、9はコイル、10は導線、11は
絶縁被膜を示す。
ステータコア、7は絶縁樹脂端板(絶縁層)、8はコイ
ル装着部(絶縁層)、9はコイル、10は導線、11は
絶縁被膜を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H002 AA08 AB04 AB06 AC04 AC07 5H603 AA04 BB01 BB07 CA01 CA05 CB02 CB03 CB17 CB19 CB20 CB22 CB23 CC17 CC18 CD32 EE09 EE10 FA13 FA16 5H604 AA02 AA05 BB01 BB15 CC01 CC05 CC14 DA06 DA14 DA23 DB03 DB18 PB02 PB03 PB04 QB16
Claims (6)
- 【請求項1】 ステータコアに、絶縁被膜を有するコイ
ルを絶縁層を介し装着して構成される電動機のステータ
において、 前記コイルにおける前記絶縁被膜の実使用上の融点を、
前記絶縁層の実使用上の融点より低くなるように設定し
たことを特徴とする電動機のステータ。 - 【請求項2】 コイルの絶縁被膜の材料は、ウレタン樹
脂系であることを特徴とする請求項1記載の電動機のス
テータ。 - 【請求項3】 絶縁層は、ポリフェニレンサルファイド
またはポリブチレンテレフタレートにより構成したこと
を特徴とする請求項1または2記載の電動機のステー
タ。 - 【請求項4】 絶縁層はガラスを含有したものであるこ
とを特徴とする請求項1または3記載の電動機のステー
タ。 - 【請求項5】 絶縁層の実使用上の融点と、コイルにお
ける絶縁被膜の実使用上の融点との差が20℃以上ある
ことを特徴とする請求項1記載の電動機のステータ。 - 【請求項6】 コイルは、導線の直径が0.5mm以上
であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに
記載の電動機のステータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001001496A JP2002204546A (ja) | 2001-01-09 | 2001-01-09 | 電動機のステータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001001496A JP2002204546A (ja) | 2001-01-09 | 2001-01-09 | 電動機のステータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002204546A true JP2002204546A (ja) | 2002-07-19 |
Family
ID=18870130
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001001496A Withdrawn JP2002204546A (ja) | 2001-01-09 | 2001-01-09 | 電動機のステータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002204546A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013005464A (ja) * | 2011-06-10 | 2013-01-07 | Denso Corp | 回転電機 |
US9906084B2 (en) | 2010-12-22 | 2018-02-27 | Fisher & Paykel Appliances Limited | Appliance, motor or stator |
-
2001
- 2001-01-09 JP JP2001001496A patent/JP2002204546A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9906084B2 (en) | 2010-12-22 | 2018-02-27 | Fisher & Paykel Appliances Limited | Appliance, motor or stator |
US10998784B2 (en) | 2010-12-22 | 2021-05-04 | Fisher & Paykel Appliances Limited | Appliance, motor or stator |
JP2013005464A (ja) * | 2011-06-10 | 2013-01-07 | Denso Corp | 回転電機 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041108 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070725 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071030 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20071226 |