JP2002201445A - 段ボール用接着剤及び該接着剤を用いた段ボールの製造方法 - Google Patents

段ボール用接着剤及び該接着剤を用いた段ボールの製造方法

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JP2002201445A
JP2002201445A JP2000399913A JP2000399913A JP2002201445A JP 2002201445 A JP2002201445 A JP 2002201445A JP 2000399913 A JP2000399913 A JP 2000399913A JP 2000399913 A JP2000399913 A JP 2000399913A JP 2002201445 A JP2002201445 A JP 2002201445A
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starch
silicate
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corrugated cardboard
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JP2000399913A
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Seiki Maeda
成輝 前田
Kazunari Nishiguchi
一成 西口
Koji Yamada
浩司 山田
Toshiyuki Kaneko
俊之 金子
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SHIKISHIMA STARCH KK
Showa Sangyo Co Ltd
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SHIKISHIMA STARCH KK
Showa Sangyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 如何なる坪量や銘柄の原紙にも安定して接着
でき、接着剤の物性に影響を及ぼす硼砂を含まない、省
エネルギー型の段ボール用接着剤及び該接着剤を用いた
段ボールの製造方法を提供すること。 【解決手段】 水に低分子化澱粉と珪酸塩含有物を分散
させた分散液に、アルカリを添加して得られる糊液から
なる段ボール用接着剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、段ボール製造時の
加熱温度を低減できる経済的な段ボール用接着剤に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、段ボールの製造に使用される澱
粉系接着剤は、ステインホール方式やノーキャリヤー方
式と呼ばれる製糊方法で製造されている。ステインホー
ル方式の接着剤は、キャリヤー部と呼ばれるアルカリ糊
化した澱粉糊液と、メイン部と呼ばれる未糊化澱粉の懸
濁液との混合物からなっている。また、ノーキャリヤ一
方式の接着剤は、アルカリによって大部分が半糊化した
澱粉と、製糊過程で生じる少量の糊化澱粉を含む糊液か
らなっている。さらに、いずれの方式の接着剤も、接着
性や接着強度を高めるために、必須成分として硼砂が含
まれている。
【0003】これらの接着剤の接着機構は、基本的に
は、貼合工程時に加熱することによってメイン部の未糊
化および半糊化した澱粉分を完全に膨潤糊化して、接着
力を発現させ、さらに加熱することによって水分を蒸発
させ、乾燥により強固な接着を完了することによる。
【0004】上記のような澱粉系接着剤は、糊化澱粉と
未糊化澱粉の混合物のため、工業的段ボール製造装置
(コルゲーター)では、一般的には、蒸気圧10kg/
2前後で180℃程度に加熱することで、段ボール原
紙を介して加熱し、未糊化澱粉を糊化して接着力を発現
させるとともに、段ボールシートを乾燥している。
【0005】未糊化澱粉が糊化して接着剤が流動性を失
う温度を糊化温度と称し、接着剤に関して最も重要な性
質の一つである。すなわち、接着剤の糊化温度以下では
接着力は発現せず、接着不良が発生する。
【0006】段ボール製造工場では、段ボールの用途に
よって使用する原紙の種類を頻繁に変えているが、原紙
の坪量や水分などによって伝熱速度が異なることから、
接着剤の糊化温度以上に加熱し接着力が発現するまで、
段ボール製造装置の貼合速度を遅くしなければならな
い。この際、段ボール原紙は高温となるため水分を失
い、貼合した段ボールシートは常温に戻るに従い、吸湿
するという水分移動から、反りと呼ばれる変形が発生し
やすい。
【0007】また、接着剤の糊化温度は、取り扱い中の
粘度、温度とともに、接着剤の管理項目の中では最も重
要な管理項目の一つであり、アルカリの添加量で調整す
る。しかし、接着剤の粘度管理は段ボール工場の担当者
が行えるが、糊化温度の管理は事実上無理と言っても良
く、厳密な製糊処方に基づき接着剤を調製するか、粘度
変化から推測する以外ない。この糊化温度は、使用する
澱粉が天然物であるため変化しやすく、また接着剤を調
製した後、一定ではなく、経時変化する性質がある。こ
のように糊化温度の変化を把握することが難しいため、
これに起因する接着不良がしばしば発生する。
【0008】段ボール製造工場では原単位の低減が推し
進められているが、重油に関しては、前述のように、接
着剤の接着機構から大幅な低減は難しい。さらに、前述
のような澱粉系接着剤には、接着性や接着強度を高める
ための硼砂が不可欠である。しかし、硼砂は、接着剤の
物性に大きく影響し、しばしば粘度変化が大きくなり、
接着が安定しないなどの原因となる。
【0009】上述したように、従来の段ボール用接着剤
は硼砂を必須成分とするが、最近、硼砂等の硼素化合物
に対して、PRTR(Pollutant Release and Transfer
Register)法や環境基準等からみて、法的規制が強化
されることが予想されるので、その対策が緊急の課題と
なっている。
【0010】一方、省エネルギーの観点からコールドコ
ルゲーションシステムと呼ばれる方式、即ち、貼合行程
時に加熱を必要としない方式の、段ボール用接着剤の開
発も行われている。例えば、アミロース含有35重量
%以上の酸処理とうもろこし澱粉の加工澱粉を蒸煮した
ものを有効成分とする蒸煮糊液からなるもの(特開昭6
0−84370公報)、低粘度化した加工デンプンに
オルトホウ酸、ホウ砂およびメタホウ酸塩から成る群か
ら選ばれた少なくとも1種のホウ素化合物及び酸化剤あ
るいは酸処理剤を添加し、その混合物を蒸煮し、次いで
pHを9.5ないし11.0に調整したもの(特開昭6
0−28474公報)、30〜50重量%澱粉懸濁液
を150℃以上の温度で、該温度における飽和蒸気圧以
上の圧力化で溶解し、次に糊化澱粉溶液のpHを12以
上にしたもの(特開昭64−16881公報)等が挙げ
られる。
【0011】しかしながら、上記は糊液温度を70〜
95℃に維持する必要がある、上記はホウ素化合物が
必要である、上記は製糊が加圧下である等、条件が特
殊である等の点で、何れも未だ十分なものとはいえな
い。したがって、如何なる坪量や銘柄の原紙にも安定し
て接着でき、接着剤の物性に影響を及ぼす硼砂を含まな
い、省エネルギー型の段ボール用接着剤が求められてい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、如何なる坪
量や銘柄の原紙にも安定して接着でき、接着剤の物性に
影響を及ぼす硼砂を含まない、省エネルギー型の段ボー
ル用接着剤及び該接着剤を用いた段ボールの製造方法を
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、低分子化澱
粉と珪酸塩含有物からなる懸濁液に、アルカリを添加す
ると、常温で完全糊化が生起し、得られた糊液の接着性
が優れていることを見出し、更に研究を重ねた結果、本
発明を完成した。
【0014】即ち、本発明は、下記の構成からなる段ボ
ール用接着剤及び該接着剤を用いた段ボールの製造方法
に関するものである。
【0015】(1)水に低分子化澱粉と珪酸塩含有物を
分散させた分散液に、アルカリを添加して得られる糊液
からなる段ボール用接着剤。 (2)糊液が、完全糊化型で、珪酸塩含有物が均一に分
散していることを特徴とする上記1記載の段ボール用接
着剤。 (3)低分子化澱粉が、酸化澱粉、酸分解澱粉、酵素分
解澱粉、酸焙焼澱粉の一種又は二種以上からなるもので
ある上記1又は2記載の段ボール用接着剤。 (4)珪酸塩含有物が、疎水コロイドを形成するもので
ある上記1、2又は3記載の段ボール用接着剤。 (5)アルカリが、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化
カリウムである上記1、2、3又は4記載の接着剤。 (6)糊化澱粉濃度が20〜50重量%、粘度が300
〜3000m.Pa.s(30℃)である上記1、2、3、
4又は5記載の接着剤。 (7)珪酸塩含有物の使用量が、糊液重量に対して1〜
20重量%である上記1、2、3、4、5又は6記載の
接着剤。 (8)上記1、2、3、4、5、6又は7記載の段ボー
ル用接着剤を、中芯とライナー間に塗布し、接着するこ
とを特徴とする段ボール製造法。
【0016】本発明の接着剤の特徴は、水に低分子化澱
粉と珪酸塩含有物を分散した分散液に、アルカリを添加
して得られる常温で完全糊化した糊液を有効成分とし、
優れた接着性を有する点にある。
【0017】このような本発明は、以下の新事実の発見
に基づいてなされたものである。「水に低分子化澱粉と
珪酸塩含有物を分散した分散懸濁液に、アルカリを添加
すると、常温で完全糊化が生起し、得られた糊液には、
優れた接着性があり、従来のように、硼砂等を用いる必
要もないこと。」
【0018】本発明の接着剤は、常温で完全に糊化し
ており、糊化澱粉濃度が高いが(20〜50重量
%)、糊料としての作業性(伸展性)を確保するたの適
性な粘度を有しており(300〜3000m.Pa.s(3
0℃))、しかも接着速度が速いので、常温でも接着
力を発現する段ボール用接着剤として最適である。本発
明の接着剤の上記〜で、はアルカリが、は低分
子化澱粉が、は珪酸塩含有物が、主として貢献してい
る。
【0019】一般に、疎水コロイドに親水コロイドを加
えると、親水コロイドが疎水コロイドの粒子に吸着され
てこれを取り囲み、全体が親水コロイドの性質を帯びて
安定度を増すと言われている。このように、親水コロイ
ドが疎水コロイドの安定度を増すことを保護作用とい
い、その際の親水コロイドを保護コロイドという。とこ
ろで、粘土の溶液は疎水コロイドであり、また、澱粉の
溶液は親水コロイドであるとされている。
【0020】従って、水に低分子化澱粉と珪酸塩含有物
を分散した場合、該澱粉は親水コロイドを形成し、ま
た、該珪酸塩含有物は疎水コロイドを形成し、全体が安
定度を増すこととなる。
【0021】その結果、低分子化澱粉と珪酸塩含有物は
分散液中に安定した状態で分散しているので、該澱粉粒
子はアルカリの糊化作用を受け易くなるとともに、得ら
れた糊液中に珪酸塩含有物が均一に分散することになる
ので、該珪酸塩の接着助剤としての作用はより一層効果
的に発揮されることになる。
【0022】よって、珪酸塩含有物の添加時期も大切で
あり、該塩は、最初に低分子化澱粉とともに、水に分散
することが必要であり、澱粉の糊化後に、珪酸塩含有物
を添加しても、本発明の効果は達成されない。
【0023】何れにしても、本発明の優れた効果は、低
分子化澱粉、珪酸塩含有物、及びアルカリの3成分の相
互作用によるものであることは明らかであり、該3成分
のどの成分を欠いても、本発明の目的は達成されない。
【0024】本発明の接着剤は、従来のステインホール
法の接着剤のように未糊化澱粉を含まず、すべての澱粉
分が糊化しているため、接着力を高めるための硼砂や接
着力を発現させる熱を必要とせず、圧着するだけで良
く、又後述するように、従来の代表的な段ボール用接着
剤であるステインホール法のものに比べて、同一の接着
強度で、貼合速度を速くすることができるので、工業的
な段ボール用接着剤として最適である。
【0025】本発明の接着剤は、従来のステインホール
法の接着剤のように未糊化澱粉を含まず、すべての澱粉
分が糊化していることは、以下のことから分かる。
【0026】図1は、ステインホール法による糊液の加
熱に伴う粘度変化を示すアミログラムである。図1によ
ると、ステインホール法による糊液(比較例4)は、4
4℃から加熱し、50℃までは糊液温度の上昇に伴い粘
度が低下した。更に、加熱するに従い、糊液は流動性を
失い固化するが、本装置では測定不可能である。上記の
粘度変化は、糊液に含まれる未糊化の澱粉が加熱によっ
て膨潤、糊化するための現象である。
【0027】一方、図2は、本発明による糊液の加熱に
伴う粘度変化を示すアミログラムである。本発明による
糊液(実施例3)では、44℃から95℃まで糊液温度
の上昇に伴い、粘度は低下するだけで、上記のステイン
ホール法のように、糊液の粘度上昇や固化という現象は
ない。これは、糊液には未糊化の澱粉は含まれないこ
と、即ち、本発明では、原料の澱粉は全て糊化されてい
ることを示している。
【0028】以上、本発明の接着剤の優れた特性からみ
て、本発明の3成分、即ち、低分子化澱粉、珪酸塩含有
物、及びアルカリの組み合わせには、格別の意義がある
ことが分かるであろう。
【0029】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明の接着剤は、水に、(1)低分子化澱粉と(2)珪酸
塩含有物を分散した分散液に、(3)アルカリを添加し
て得られるものであり、(4)高速貼合と熱エネルギー
削減とが求められる工業的段ボール製造装置に用いる段
ボール用接着剤及び段ボールの製造方法に最適である。
【0030】以下、上記の構成要件等について説明す
る。 (1) 低分子化澱粉 本低分子化澱粉の使用により、糊化澱粉濃度が高いが
(20〜50重量%)、糊料としての作業性(伸展性)
を確保するたの適性な粘度(300〜3000m.Pa.s
(30℃))を有することが可能となった。
【0031】本低分子化澱粉の代わりに、未加工の澱粉
を使用すると、糊化澱粉濃度5%程度で、段ボール用接
着剤の限界糊液粘度になり、目的とする高濃度の糊化澱
粉濃度のものは得られないので、本発明の目的は達成す
ることができない。
【0032】また、前述したように、糊液中に珪酸塩含
有物を均一に分散するために、アルカリ処理の前に、本
低分子化澱粉は、珪酸塩含有物とともに、水に分散する
ことが必要である。
【0033】本低分子化澱粉としては、澱粉を低分子化
したものであれば、その種類は特に問わない。例えば、
酸化澱粉、酸処理澱粉、酵素分解澱粉、酸焙焼澱粉等が
挙げられる。低分子化用の澱粉としては、コーンスター
チ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、サゴ澱粉、
甘藷澱粉、米澱粉、又はこれらの澱粉をエステル化やエ
ーテル化したもの等が挙げられる。
【0034】(2) 珪酸塩含有物 本珪酸塩含有物は、接着助剤、即ち、初期接着性を高
め、接着速度を速くする作用を有するものであり、本接
着剤の根幹をなすものである。
【0035】珪酸塩含有物が上記のような優れた特性を
発揮するのは、その有する特性(大きな内部表面積、膨
潤力、懸濁力、増粘力、吸着力、結合力、可塑性付与
力、フィルム形成力等)が寄与しているものと考えられ
る。
【0036】本珪酸塩含有物は、最初に、低分子化澱粉
と一緒に水に分散することが必要である。低分子化澱粉
をアルカリで糊化した後に、珪酸塩含有物を添加して
も、目的とする接着剤は得られない。その理由は、前述
するように、前者の本発明による方法では、珪酸塩含有
物は糊液中に均一に分散するが、後者の方法では、均一
に分散しないためと考えられる。
【0037】前述したように、珪酸塩含有物は、低分子
化澱粉とともに、分散液中に安定した状態で分散するこ
とが必要であるが、そのためには、疎水コロイドを形成
するものがよい。
【0038】珪酸塩含有物としては、上記のような特性
を有するものであれば、その種類は問わない。例えば、
クレーやその構成成分である鉱物等が挙げられる。クレ
ーとしては、ベントナイト、カオリン等が挙げられる。
また、鉱物としては、ハロイサイト、スメクタイト、バ
ーミキュライト等が挙げられる。鉱物は、天然のもので
も、合成のものでも、何れのものでもよい。
【0039】珪酸塩含有物の使用量は、糊液重量に対し
て1〜20重量%にするのがよい。1重量%より少ない
と、接着助剤効果が発揮されない。また、20重量%よ
り多く用いても、特に効果の向上は期待できない。
【0040】(3) アルカリ 本アルカリは、澱粉の常温糊化に資するものである。ア
ルカリは、澱粉を加熱することなく糊化する作用だけで
はなく、糊液粘度を安定にする作用も有する。
【0041】アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等が挙げられる。アルカリは、水溶液の状
態で使用するのがよい。アルカリの使用量は、使用する
澱粉や温度によって変わるが、通常、全糊液重量に対し
0.5〜3重量%が好ましい。使用量が0.5%以下の
場合は、接着性の低下や糊液粘度が不安定になる傾向が
ある。3重量%以上使用しても、特に効果の向上は期待
できない。
【0042】なお、段ボール用接着剤として代表的なス
テインホール法では、澱粉に対する水酸化ナトリウムの
量は、0.6%が限度であるとされている(例えば、段
ボール包装技術 実務編、株式会社日報、平成8年9月
25日、第35頁参照)ことからみても、本発明のアル
カリの使用目的は、ステインホール法のものとは異なる
ものであることは明らかである。
【0043】(4) 段ボール用接着剤及び段ボールの
製造方法 本発明の接着剤は、従来のステインホール法の接着剤の
ように未糊化澱粉を含まず、全ての澱粉分が糊化してい
るため、接着力を高めるための硼砂や接着力を発現させ
る熱を必要とせず、圧着するだけで良いので、段ボール
用接着剤として最適である。
【0044】段ボール製造において、中芯段頂に塗布さ
れた接着剤は、ライナーに圧着することによってすみや
かに紙層内に浸透し、また接着剤中の水も紙層内に拡散
することで接着が完了する。従って、強く圧着すること
で接着の速度が向上する。また、わずかに加熱すること
も接着性を向上させる効果がある。
【0045】このように、接着に関し基本的には熱は不
必要であることから、段ボール製造で必要な熱はシング
ルフェイサーでの片段成型、および熱盤でのシートの滑
り性向上に限られる。従来の接着剤のように、接着力を
発現させるための熱が必要でないことから、段ボール製
造での重油の使用量は大幅に低減できる。
【0046】接着に熱が必要でないメリットは省エネル
ギーだけではない。従来、厚物シートの貼合では、原紙
を介し接着剤を加熱していたため、貼合速度を一般シー
トの貼合速度より落とす必要があったが、本発明の接着
剤は加熱する必要がないため、コルゲーターの能力での
高速貼合が可能となる。また、トリプルウォールのよう
な加熱の難しい段ボールシートの接着にも有効である。
【0047】更に、原紙を熱する必要がないため、原紙
の水分が過度に失われることがなく、貼合した段ボール
シートの反りも改善できる。また、本発明の接着剤は、
全ての澱粉分が糊化しているため、従来の接着剤にある
糊化温度がなく、糊化温度の変化に起因する接着不良は
解消する。
【0048】
【発明の実施の形態】本発明を実施例により更に詳細に
説明する。本発明はこれら実施例に限定されない。
【0049】
【実施例1】コーンスターチ由来の次亜塩素酸ソーダ酸
化澱粉310gとクレー62gを水460mlに分散
し、スラリーとした後、水40mlに溶解した水酸化ナ
トリウム23.5gを攪拌しながら加え、糊化した。更
に20分間攪拌し、30℃で1700m.Pa.sの接着剤
を得た。
【0050】この接着剤をガラス板に0.1mmの厚み
で塗布した後、段と平行に50mm、直角方向に85m
mのAフルート片段ボール(Kライナー280g/
2)の試験片と強化中芯(180g/m2)の片段ボー
ル片を押し付け、中芯段頂に接着剤を転移させる。これ
に同じ寸法のKライナー(280g/m2)を乗せ、予
め決められた時間5kgの荷重をかけた後、熊谷理機工
業製リングクラッシヤーを用い、特定時間経過後の接着
強度を測定した。
【0051】
【比較例1】クレー62gを使用しないことを除いて
は、実施例1と同様にして、接着剤の製造を行い、30
℃で1400m.Pa.sの接着剤を得た。この接着剤を用
いて、実施例1と同じ方法で、接着強度を測定した。
【0052】
【比較例2】酸化澱粉310gの代わりに、未加工のコ
ーンスターチ310gを使用したことを除いては、実施
例1と同様にして、接着剤の製造を行った。しかし、水
酸化ナトリウム溶液を加えるに従い、流動性が失われ固
化し、接着剤としての使用が不可能となり、接着強度は
測定不能であった。
【0053】
【比較例3】比較例2では、糊液は固化し、接着強度は
測定不能であったので、本例では、未加工のコーンスタ
ーチの使用量を大幅に減らし、接着強度が測定可能にし
た。即ち、酸化澱粉310gの代わりに、未加工のコー
ンスターチ25gを使用したことを除いては、実施例1
と同様にして、接着剤の製造を行い、30℃で1500
m.Pa.sの接着剤を得た。この接着剤を用いて、実施例
1と同じ方法で、接着強度を測定した。
【0054】以上の実施例1及び比較例1〜3の測定結
果を、表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】表1の結果によると、クレー(珪酸塩含有
物)を使用しないと、初期接着性が劣り(比較例1)、
低分子化澱粉の代わりに通常の澱粉を使用すると、固化
し、段ボール用接着剤として適した粘度のものが得られ
ず(比較例2)、低分子化澱粉の代わりに通常の澱粉を
使用して、段ボール用接着剤に適した粘度のものにする
ためには、澱粉濃度を極めて低くする必要があり(約1
/10)、その結果、接着性が極めて弱くなるので(比
較例3)、比較例1〜3のものは、何れも段ボール用接
着剤として不適当であることが分かる。
【0057】以上のことから、澱粉のアルカリ糊化法に
よって、段ボール用接着剤を得るためには、澱粉として
低分子化澱粉の使用と、珪酸塩含有物の使用が不可欠で
あるといえる。
【0058】
【実施例2】コーンスターチ由来の次亜塩素酸ソーダ酸
化澱粉140kgとクレー30kgを水230Lに分散
し、スラリーとした後、水20Lに溶解した水酸化ナト
リウム11kgを攪拌しながら加え、糊化した。更に2
0分間攪拌し、30℃で800m.Pa.sの接着剤を得
た。
【0059】この接着剤を使用し、最高貼合速度150
m/分の丹羽鐵工所製コルゲーターにて、段ボールのシ
ングルフェーサー側における貼合を行った。コルゲータ
ーのシングルフェーサーの上段ロール、下段ロールは段
を成型する為に蒸気圧7kg/cm2で加熱し、他のプ
レヒーターやプレスロールは加熱しない条件とした。段
ボール原紙は、Kライナー(280g/m2)と強化中
芯(180g/m2)を使用し、Aフルートでの貼合速
度と接着強度を測定した。接着強度は、熊谷理機工業製
リングクラッシヤーを用い、段ボール接着力試験法JI
SZ0402に従い測定した。
【0060】
【実施例3】コーンスターチ由来の次亜塩素酸ソーダ酸
化澱粉155kgとクレー30kgを水230Lに分散
し、スラリーとした後、水20Lに溶解した水酸化ナト
リウム11.5kgを攪拌しながら加え、糊化した。更
に20分間攪拌し、30℃で1600m.Pa.sの接着剤
を得た。
【0061】この接着剤を使用し、実施例2の丹羽鐵工
所製コルゲーターにて、段ボールのダブルバッカー側に
おける貼合を行った。コルゲ一夕ーの熱盤は段ボールシ
ートが円滑に滑るように、1群のみ蒸気圧7kg/cm
2で加熱し、他のプレヒーターや熱盤2群、3群は加熱
しない条件とした。
【0062】段ボール原紙は、Kライナー(280g/
2)と強化中芯(180g/m2)を使用し、実施例2
で貼合した片段にKライナー(280g/m2)を貼り
合わせ、貼合速度と接着強度を測定した。接着強度は、
熊谷理機工業製リングクラッシャーを用い、段ボール接
着力試験法JISZ0402に従い測定した。
【0063】
【比較例4】ステインホール法に従い、キャリヤー部に
加工コーンスターチM−100、メイン部にコーンスタ
ーチ(敷島スターチ(株)製)を用い、澱粉濃度23.
8%の接着剤を調製し、実施例2と同様に、シングルフ
ェーサー側に使用した。いわゆる仕上がり時での接着剤
の粘度は、40℃で500m.Pa.sであった。
【0064】この接着剤を使用し、実施例1と同様に丹
羽鐵工所製コルゲーターにて、段ボールのシングルフェ
ーサー側における貼合を行った。コルゲーターは蒸気圧
10.5kg/cm2で、一般的に用いられるプレヒー
ターや3群全ての熱盤を加熱した。また、段ボール原紙
は、実施例2と同様にKライナー(280g/m2)と
強化中芯(180g/m2)を使用し、貼合速度と接着
強度を測定した。接着強度は、熊谷理機工業製リングク
ラッシャーを用い、段ボール接着力試験法JISZ04
02に従い測定した。
【0065】
【比較例5】比較例4の接着剤を、実施例3と同様に、
ダブルバッカー側に使用した以外は、比較例4と同様に
して、貼合速度と接着強度を測定した。
【0066】なお、上記の実施例2、3及び比較例4、
5の貼合速度は、貼合面のずれやはがれ等の不完全な接
着状態を生じないコルゲーターの最高速度を測定したも
のである。
【0067】以上の実施例2、3および比較例4、5に
おける測定結果を、表2に示す。
【0068】
【表2】 S/F:シングルフェザー側を示す。 D/B:ダブルバッカー側を示す。
【0069】表2の結果から、本発明の接着剤を段ボー
ル用接着剤として用いた場合、熱エネルギーを削除した
接着にもかかわらず、厚物段ボール原紙では、従来の代
表的なステインホール法のものに比し、同一の接着強度
で、貼合速度を速くすることができるので、本発明の接
着剤は、工業的な段ボール用接着剤として最適であるこ
とが分かる。
【0070】
【発明の効果】本発明の接着剤は、以下のような優れた
接着特性を有する。 (1)本発明の接着剤は、従来のステインホール法の接
着剤のように未糊化澱粉を含まず、全ての澱粉分が糊化
しているため、接着力を高めるための硼砂や接着力を発
現させる熱を必要とせず、圧着するだけで良いだけでは
なく、従来の代表的なステインホール法のものに比べ
て、同一の接着強度で、貼合速度が速くなるので、段ボ
ール用接着剤として最適である。
【0071】(2)従来の接着剤のように、接着力を発
現させるための熱が必要でないことから、段ボール製造
での重油の使用量は大幅に低減できる。
【0072】(3)従来、厚物シートの貼合では、原紙
を介し接着剤を加熱していたため、貼合速度を一般シー
トの貼合速度より落とす必要があったが、本発明の接着
剤は加熱する必要がないため、コルゲーターの能力での
高速貼合が可能となる。また、トリプルウォールのよう
な加熱の難しい段ボールシートの接着にも有効である。
【0073】(4)原紙を熱する必要がないため、原紙
の水分が過度に失われることがなく、貼合した段ボール
シートの反りも改善できる。
【0074】(5)本発明の接着剤は、全ての澱粉分が
糊化しているため、従来の接着剤にある糊化温度がな
く、糊化温度の変化に起因する接着不良は解消する。
【0075】(6)以上のことから、本発明の段ボール
接着剤及びそれを用いた製造方法によれば、接着剤の調
製や管理が容易となり、段ボールシートの生産性が向上
できる。しかも、シートの品質は向上し、重油の使用量
も低減できるので極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステインホール法による糊液の加熱に伴う粘度
変化を示すアミログラムである。
【図2】本発明による糊液の加熱に伴う粘度変化を示す
アミログラムである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西口 一成 三重県鈴鹿市長太栄町5丁目5番1号 敷 島スターチ株式会社技術開発部内 (72)発明者 山田 浩司 千葉県船橋市日の出2丁目20番2号 昭和 産業株式会社総合研究所内 (72)発明者 金子 俊之 千葉県船橋市日の出2丁目20番2号 昭和 産業株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 3E078 AA20 BB01 CC23X 4J040 BA121 HA146 HA316 JA03 NA07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水に低分子化澱粉と珪酸塩含有物を分散
    させた分散液に、アルカリを添加して得られる糊液から
    なる段ボール用接着剤。
  2. 【請求項2】 糊液が、完全糊化型で、珪酸塩含有物が
    均一に分散していることを特徴とする請求項1記載の段
    ボール用接着剤。
  3. 【請求項3】 低分子化澱粉が、酸化澱粉、酸処理澱
    粉、酵素分解澱粉、酸焙焼澱粉の一種又は二種以上から
    なるものである請求項1又は2記載の段ボール用接着
    剤。
  4. 【請求項4】 珪酸塩含有物が、疎水コロイドを形成す
    るものである請求項1、2又は3記載の段ボール用接着
    剤。
  5. 【請求項5】 アルカリが、水酸化ナトリウム及び/又
    は水酸化カリウムである請求項1、2、3又は4記載の
    接着剤。
  6. 【請求項6】 糊化澱粉濃度が20〜50重量%、粘度
    が300〜3000m.Pa.s(30℃)である請求項
    1、2、3、4又は5記載の接着剤。
  7. 【請求項7】 珪酸塩含有物の使用量が、糊液重量に対
    して1〜20重量%である請求項1、2、3、4、5又
    は6記載の接着剤。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6又は7記
    載の段ボール用接着剤を、中芯とライナー間に塗布し、
    接着することを特徴とする段ボール製造法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005097430A (ja) * 2003-09-25 2005-04-14 Shikishima Starch Kk 硼素化合物を含有しない段ボール用接着剤
JP2009057516A (ja) * 2007-09-03 2009-03-19 Oji Cornstarch Co Ltd 環境にやさしい段ボール用接着剤
JP2009096850A (ja) * 2007-10-15 2009-05-07 Oji Cornstarch Co Ltd 改良された段ボール用接着剤
CN109414045A (zh) * 2016-04-28 2019-03-01 J-制油株式会社 包裹料粉、使用该包裹料粉的包裹料混合物、面衣材料以及油炸(类)食品及其制造方法
CN109971392A (zh) * 2019-03-12 2019-07-05 天长市天翔包装有限公司 一种用于瓦楞包装的高强度水性胶粘

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