JP2002195922A - 薄片試料処理装置及び薄片試料処理方法 - Google Patents

薄片試料処理装置及び薄片試料処理方法

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JP2002195922A JP2000394859A JP2000394859A JP2002195922A JP 2002195922 A JP2002195922 A JP 2002195922A JP 2000394859 A JP2000394859 A JP 2000394859A JP 2000394859 A JP2000394859 A JP 2000394859A JP 2002195922 A JP2002195922 A JP 2002195922A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】薄片化した試料を破損することなく、試料を処
理するに際して秒単位の反応時間制御が可能なことによ
り再現性がよく、短時間で化学処理を含む表面処理を行
なうことが可能な薄片試料処理装置及び薄片試料処理方
法を提供する。 【解決手段】試料保持機構11に試料9を固定したま
ま、処理室30に設けられたそれぞれのノズル1(1a
〜1f)、2(2a〜2b)から試料9に対して液体を
順次噴霧又は噴射することによって、試料9に化学処理
を含む表面処理を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主として透過型
電子顕微鏡(TEM)に用いる薄片試料に化学処理を含
む表面処理をする為の処理装置とその処理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、透過電子顕微鏡試料用として薄片
化した試料を化学処理する方法としては、図1に示すよ
うに、試料101を先端鋭利なピンセット102でつか
んで直接薬液槽103に浸して処理する方法が一般的で
あった。
【0003】この方法においては、所定の寸法に薄片化
した試料101を単孔メッシュ106に固定し、ピンセ
ット102によって単孔メッシュ106の端部を保持し
つつ、薬液槽103、純水槽104、及び有機溶剤槽1
05の順に所定の溶液処理を施した後にガラス板107
上に配置し、試料上方からの乾燥器108の送風により
乾燥させる方法が多く用いられていた。
【0004】また、特開平9−133618号公報に
は、イオンミリング装置と一体化しており、イオンミリ
ングを行なった直後に化学処理をするための薬液を噴霧
する薄膜作成装置についての記載があり、これによれば
イオンダメージ層のない高分解能観察、EDX分析に適
した薄膜試料の作製が可能である、とされている。
【0005】一方、特開昭60−36676号公報に
は、試料を回転させた状態で1つのノズルから薬液を試
料に対して供給した後、同ノズルから水を供給すること
を特徴とする板状物処理装置についての記載があり、こ
れにより半導体工業で望まれる均一かつ清浄なエッチン
グが達成できると、されている。
【0006】さらに、特開平4−215436号公報に
は、試料が保持されている処理室とは別室で薬液を噴霧
し、その霧雰囲気を試料が保持されている処理室に輸送
して反応させ、処理室で水洗を行なうことを特徴するシ
リコンウエハの洗浄装置についての記載があり、これに
よればシリコンウエハの表裏面全体を均一かつ高い洗浄
度で洗浄することができる、とされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通常、
透過型電子顕微鏡試料は電子線の透過観察のために0.
1μm以下の厚さに薄片化されており、上述の溶液処理
中に破損してしまうことが多い。また、破損を防ぐため
には溶液処理中に急激な操作が行なえず正確な溶液処理
時間の管理も困難である。さらに、弗酸処理を行なう場
合には光の影響によりSi表面に低質な酸化膜が形成さ
れ観察の障害となるおそれがある。
【0008】また、特開平9−133618号公報に記
載の薄膜作成装置では、真空装置内で処理を行なうため
に、水洗時は試料をこの薄膜作成装置から取り出す必要
があり、反応時間の制御が困難である。また、水洗いは
ピンセットで試料を保持しつつ行なう必要があり、試料
破損のおそれがある。
【0009】一方、特開昭60−36676号公報に記
載の板状物処理装置では、薬液が試料内に均一に行き渡
るようにするために試料を回転させることから、試料厚
みが0.1μm以下となっている透過型電子顕微鏡試料
では破損するおそれがある。その上、薬液と水洗のノズ
ルを共用しており、処理時間を短くすることが困難であ
る。
【0010】さらに、特開平4−215436号公報に
記載のシリコンウエハの洗浄装置では、別室で霧を発生
させるための機構が必要となり、洗浄装置の構成が複雑
となる。また、薬液の種類を変更するためには前に使用
した薬液と混合された霧が発生しないように霧雰囲気室
及び処理室内で前に使用した薬液を十分除去する必要が
あり、容易に溶液の種類を変更できない。さらに、透過
型電子顕微鏡用試料は非常に薄いため秒単位での処理時
間の制御が必要となるが、霧雰囲気の輸送により室内の
雰囲気が均一になるために時間を要し、試料表面の雰囲
気を秒単位で制御することが困難である。
【0011】この発明の目的は、薄片化した試料を破損
することなく、試料を処理するに際して秒単位の反応時
間制御が可能なことにより再現性がよく、短時間で化学
処理を含む表面処理を行なうことが可能な薄片試料処理
装置及び薄片試料処理方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は以下の構成を
備えている。
【0013】(1)薄片試料に複数種類の液体による化
学処理を含む表面処理をする処理室内に、該薄片試料を
保持する試料保持機構が備えられており、前記試料の近
傍には前記複数種類の液体毎に少なくとも1つのノズル
を設け、該ノズルから該試料保持機構に保持された該試
料に向かって前記液体を噴霧又は噴射することを特徴と
する。
【0014】この構成においては、処理室内に薄片試料
を保持する試料保持機構が備えられており、この試料保
持機構に保持された試料に対して前記表面処理が施せる
ように、複数のノズルの先端が向けられていることか
ら、試料を移動させることなく複数種類の液体による表
面処理がされ、瞬時に薬液、洗浄純粋等の切替が出来る
ために処理時間が高精度に制御され、移動による試料の
破損も防止される。また、各ノズル毎に1種類のみの液
体を噴霧又は噴射することにより、異なる種類の液体の
混合を防止するとともに、液体を噴霧又は噴射する毎の
ノズルの清掃が不要となり作業時間の短縮化が図られ
る。
【0015】(2)前記処理室は、特定の光源の光を試
料に照射する光源部と、この特定の光源の光以外の光を
遮断する遮光壁と、を備えたことを特徴とする。
【0016】この構成においては、前記表面処理を促進
する光源の光を試料に照射し、前記表面処理に不要な光
を遮断することから、表面処理における光の影響が制御
される。
【0017】(3)前記処理室は前記表面処理に用いら
れる液体毎に個別に排気を行なう排気機構を備えたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の薄片試料処理装
置。
【0018】この構成においては、前記表面処理に用い
られる複数種類の液体により生じる気体の混合がなくな
ることから、安全に薄片試料処理装置の操作が行なわれ
る。
【0019】(4)前記処理室は、試料に供給される前
記ノズルによる液体の噴霧又は噴射による廃液を廃液毎
に個別に収容する複数の廃液タンクと、これらの廃液タ
ンクのそれぞれと処理室とを個別に連通する複数の廃液
経路と、を備えていることを特徴とする。
【0020】この構成においては、ノズルによる液体の
噴霧又は噴射によって生じる廃液を廃液毎に個別に収容
することから、異なった種類の廃液が混合して化学反応
を引き起こす危険がなく、またこれらの廃液の処理が容
易に行なわれる。
【0021】(5)前記処理室は、試料に対して温風又
は冷風を供給する送風機構を備えており、試料に対して
所定のタイミングで送風を行なうことを特徴とする。
【0022】この構成においては、ノズルによる前記表
面処理による試料表面が瞬時に乾燥されることから、一
連の表面処理に要する時間の短縮化と、試料破損の防止
と、が図られる。
【0023】(6)前記試料保持機構の試料保持部は導
電材料とこれを覆う耐薬品材料とにより形成されてお
り、処理室外部に設けられた電源より該導電材料に所望
の電圧が印加されることを特徴とする。
【0024】この構成においては、前記表面処理がされ
ている薄片試料に対して、処理室外部に設けられた電源
より試料保持機構を介して電圧が印加されることから、
電解エッチング等の電気・化学的な反応による処理が容
易に行なわれる。また、試料保持部の表面は耐薬品材料
によって形成されていることから、前記表面処理に用い
られる液体によって生じる腐食等による試料保持部の導
電性機能及び保持機能等の劣化が防止される。
【0025】(7)前記試料保持機構は、前記処理室に
設けられた挿入口により処理室に対して挿脱自在であ
り、該挿入口には耐薬品性のシール材料によって、試料
保持機構と挿入口との接合部からの液体の漏洩を防止す
る漏洩防止機構を備えたことを特徴をする。
【0026】この構成においては、試料保持機構が処理
室に設けられた挿入口において挿入又は脱着される際の
試料保持機構と挿入口との接合部からの液体の漏洩を防
止する漏洩防止機構を備えていることから、薄片試料処
理装置からの危険な液体の漏出が防止され、試料保持機
構の挿入又は脱着が安全に行なわれる。
【0027】(8)前記処理室は、処理室内に不活性ガ
スを充填する不活性ガス供給ノズルを備えたことを特徴
とする。
【0028】この構成においては、処理室内を試料の酸
化がされにくい窒素雰囲気にする窒素供給ノズルが備え
られていることから、表面処理後の試料表面の酸化が防
止される。
【0029】(9)処理室内に保持された薄片試料に対
して、液体の噴霧又は噴射を行なう化学処理を含む表面
処理工程と、送風機構から該薄片試料に対して送風を行
なう乾燥工程と、処理室内の気体及び液体の排気及び排
液を行なう排気・排液工程と、を含む一連の処理を複数
種類の液体のそれぞれに対して繰り返し実行し、必要に
より前記表面処理工程が光源からの光の照射を行なう照
射工程と、電源から試料保持機構を介して電圧を印加す
る電圧印加工程と、を含むことを特徴とする。
【0030】この構成においては、前記表面処理工程
と、乾燥工程と、排気・排液工程と、を含む一連の処理
を効率的に行なわせる制御部が設けられており、必要に
より照射工程と、電圧印加工程とを前記一連の工程に追
加するように制御することから、前記薄片試料の表面処
理が短時間で効率良く行なわれる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明について図を用いて
説明する。
【0032】図2(a)は本発明の薄片試料処理装置2
0の正面図であり、図2(b)は同処理装置の上面図で
ある。処理装置の内壁は、ポリテトラフルオロエチレン
のように酸性溶液及びアルカリ性溶液に耐え得る素材で
被われている。このとき、不要な光が試料のエッチング
工程に与える影響を考慮して、内壁のみで十分な遮光性
が得られない場合には、遮光用の外壁を別に設ける。
【0033】上述の内壁のうちのいずれかの内壁面に
は、試料ホルダ挿入口14が設けられており、試料9を
保持する単孔メッシュ10を固定する試料ホルダ11は
試料ホルダ挿入口14から挿入及び脱着が可能となって
いる。なお、この実施形態においては試料ホルダ11が
試料保持機構としての役割をしている。
【0034】この試料ホルダ11が薄片試料処理装置2
0内に完全に挿入されている状態における試料9の位置
を、便宜上、試料処理位置Aとすると、この試料処理位
置Aは処理室30のほぼ中央に位置している。
【0035】そして、処理室30の壁面から化学処理を
含む表面処理を行なう複数のノズルが突出しており、そ
れらの先端は試料9の近傍において、試料処理位置Aに
対向するような状態になるように配置されている。な
お、これらのノズルは、試料9を挟んで両側に同種類の
化学処理を含む表面処理を行なうノズルが位置するよう
に設けられている。
【0036】まず、これらのノズルのうち試料9の斜め
上方に位置するのが、試料9を乾燥させるために温風又
は冷風を試料9に対して送風するエアノズル3である。
図2(b)中において、このエアノズル3から試料9を
中心に反時計周りにノズル1b、1d、1f、2b、が
それぞれ設けられており、これらに対して試料9を挟ん
で反対側にそれぞれノズル1a、1c、1e、2aが設
けられている。
【0037】これらのノズルのうち、ノズル1b及びそ
の反対側のノズル1aは後述するMダッシュ液を噴霧す
るものであり、ノズル1d及びその反対側のノズル1c
は後述の弗酸を噴霧するものである。なお、本実施形態
では、ノズル1f及びその反対側の1eは使用しない
が、試料9に対して行なう表面処理の種類によってはこ
れらのノズルも使用する。なお、ノズルの本数は本実施
形態のものに限定されることはなく、処理される薄片試
料の用途によっては、さらに多数のノズルを用いてもよ
い。
【0038】また、ノズル2a,2bは、試料表面の水
洗を行なう純水を噴射するノズルであり、これにより試
料9の表面に噴霧された液体を洗い流す。
【0039】一方、試料9の近傍ではないが、処理室3
0の内壁には試料室30内を試料9の酸化が生じにくい
窒素雰囲気に保つための窒素ノズル4が設けられてい
る。同じく処理室30の内壁には、アルカリ排気口5a
を酸排気口5bと有機溶剤を使用するときに用いる有機
排気口5cとが設けられている。
【0040】また、処理室30底面には、試料9に供給
された液体を廃液経路6へと導くために、底面中央に向
かって下っていく傾斜が設けられており、底面の液体が
最終的には廃液経路6へと導かれる。
【0041】さらに、試料室30には、この廃液経路6
とそれぞれ異なった廃液を個別に収容する図外の廃液タ
ンクとを連通する廃液経路6a、6b、及び6cが設け
られている。
【0042】それぞれの廃液経路6a〜6cの入り口に
は、それぞれバルブ15a〜15cが備えられており、
図外の制御部により試料9に供給される液体に応じてバ
ルブ15a〜15cの開閉が制御され、これにより各廃
液タンク毎に同種類の廃液が収容される。
【0043】また、試料処理位置Aのほぼ真上には特定
の光源7の光を照射する光源部8が設けられており、こ
こから試料9に向かって、試料の表面処理を促進させる
特定の光源の光が照射される。
【0044】ここで、表面処理の方法として、通常、単
に試料9を薄くすることが目的であれば、酸性溶液のみ
を用いて表面処理を行なえば良いが、ある程度薄くなっ
た試料9に表面処理を行なうときであって、試料9の酸
化膜に段差を形成することを目的とする場合は酸性溶液
を用い、酸化膜ではなく試料本体となるシリコン基板に
段差を形成することを目的とする場合はアルカリ性溶液
を用いる必要がある。よって、表面処理には酸性溶液と
アルカリ性溶液の両方を使用することが必要となるが、
酸性溶液及びアルカリ性溶液のそれぞれに対応した排気
口、廃液経路、及びバルブを有することで、試料に対す
る処理を1つの処理装置内で行なうことが可能となる。
【0045】通常、TEM等に用いる試料は非常に薄い
ため破損し易く、酸性溶液による表面処理及びアルカリ
性溶液による表面処理のそれぞれに専用の装置を用いた
場合には、酸性溶液による処理専用の装置からアルカリ
性溶液による処理専用の装置へ試料を移す際の破損を防
止することが必要であるが、本発明によればこのような
破損を防止することができる。
【0046】また、周辺からの光を遮断し、特定の光源
から光を照射するように装置を構成することで、光によ
り表面処理速度の調整が行なえることから、周囲の光の
影響による反応を防止、或いは所望の波長の光による反
応のみを制御性良く行なうことが可能となる。
【0047】次に、本発明の薄片試料処理装置20の動
作について説明する。ここで、図3は試料ホルダの構成
を示す図である。
【0048】TEM観察可能な形状に加工された試料9
を保持している単孔メッシュ10の周辺部分を試料ホル
ダ11に差し込み固定する。この試料ホルダ11は内部
が導電性の金属材料を素材とする芯部材12で出来てお
り、外部は吸水性がなく、耐薬品性、耐熱性、及び耐溶
剤性があるポリテトラフルオロエチレン等の被覆部材1
3で被われている。
【0049】試料9を保持した単孔メッシュ10を固定
する部分は被覆部材13に切り込み部が設けられてお
り、単孔メッシュ10を押し込むと、試料9は被覆部材
13に嵌合する。また、被覆部材13には貫通孔が形成
されており、試料9を固定するために予め単孔メッシュ
10に設けられた孔に被覆部材13の表面から留め具1
6を嵌入する。このとき、単孔メッシュ10と芯部材1
2とが接するようになっているため、芯部材12に印加
された電圧は単孔メッシュ10を介して試料9にも印加
されることになる。
【0050】よって、導電性の芯部材12に電圧を印加
することにより、試料9に電位を与えることができ、必
要に応じてこの電位を調整することで試料9のエッチン
グレートの調整を行なうことができる。
【0051】実際に、薄片試料処理装置20を動作させ
るに際しては、試料9を固定した試料ホルダ11を処理
室30の試料ホルダ挿入口14から挿入し、試料9が試
料処理位置Aに配置される状態で、試料ホルダ11を固
定する。
【0052】そして、エッチング処理後における試料9
の表面の酸化を防ぐため、窒素ノズル4により処理室3
0内を窒素雰囲気にしておく。このとき、拡散部分をエ
ッチングする薬液は通常Mダッシュ液と呼ばれる混合液
を用いる。
【0053】Mダッシュ液の組成比として一般的なもの
は、HNO3 :HF:CH3 COOH:AgNO3 =2
6:6:172:1である。Mダッシュ液はエッチング
レートが速く、このMダッシュ液を使用する場合であっ
て、観察対象箇所が0.1μm以下と薄いTEM試料の
処理には、秒単位での時間管理が必要となる。この実施
形態では、Mダッシュ液を薬液ノズル1a及び1bから
約10秒噴霧する。
【0054】このMダッシュ液による噴霧を試料9に対
して行なった後に、試料9に付着したままのMダッシュ
液を十分除去するのために、純水ノズル2からの純水の
噴射がされる。
【0055】このとき、本発明の処理装置では試料9近
傍において薬液を直接噴霧する事で、瞬時に使用表面を
薬液雰囲気にすることで表面処理ができ、純水を噴射す
る事で、表面処理に寄与する液体を洗い流しこの表面処
理を止めることができるため、秒単位の反応時間制御が
可能となる。
【0056】また、表面処理が行なわれている間じゅ
う、試料9を垂直に立てた状態で保持することが可能な
ため、水の置換乾燥を目的とした有機溶剤への浸漬をす
ることなく試料9表面を十分に乾燥させることができ
る。
【0057】さらに、試料9の乾燥については、エアノ
ズル3からの送風を行なうことにより試料9表面の乾燥
をさらに効率良く行なうことができる。
【0058】本処理装置は複数の薬液ノズルを有してい
るため、別種類の薬液処理の実施も連続して行なうこと
も可能である。例えば、Mダッシュ液による表面処理に
続いてSi酸化膜に段差を生じさせる場合には、薬液ノ
ズル1c及び1dより5%希釈弗酸を10秒噴霧した
後、純水ノズル2から純水を噴霧し弗酸を十分に除去
し、エアノズル3から送風し試料表面を十分乾燥させる
ことにより、異なった表面処理を同一の処理室において
連続して行なうことができる。
【0059】なお、有機溶剤による処理が必要な場合、
有機溶剤に酸性溶液を混合すると爆発する危険があるた
め、同一の処理装置内で処理することは危険であること
が多い。また、処理室30内に設けられたノズルの本数
以上の種類の液体による表面処理が必要な場合もある。
【0060】このような場合には、本装置は試料ホルダ
11が処理室30の試料ホルダ挿入口14から抜き取れ
ることから、本発明の構成と同一の処理装置をもう1つ
別に準備して、有機溶剤を用いるときに使用するように
してもよい。これにより、試料9を試料ホルダ11から
取り外し、再度試料ホルダ11に固定し直すことなく、
試料ホルダ11を予め準備しておいた別の処理装置に差
し替えた後に、上述と同様にノズルより有機溶剤を噴霧
し、この試料9の表面処理を引き続き行なうことが可能
となる。
【0061】なお、本発明の挿入口14には、上記の差
し替え動作における液体の漏洩を防止するためのシール
部材による加工がされている。
【0062】以上のように、薄片試料を処理を行なった
後に、試料ホルダ11を処理装置から抜き取り、試料と
単孔メッシュ10を、例えば、本実施の形態において
は、TEM観察用の試料として用いることができる。
【0063】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、 (1)処理室内に薄片試料を保持する試料保持機構が備
えられており、この試料保持機構に保持された試料に対
して前記表面処理が施せるように、複数のノズルの先端
が向けられていることから、試料を移動させることなく
複数種類の液体による表面処理がされ、瞬時に薬液と洗
浄純粋等の切替が可能で、秒単位での高い制御性の処理
が可能になると共に、移動による試料の破損を防止する
ことができる。また、各ノズル毎に1種類のみの液体を
噴霧又は噴射することにより、異なる種類の液体の混合
を防止することができ、液体を噴霧又は噴射する毎のノ
ズルの清掃が不要となり作業時間の短縮化を図ることが
できる。
【0064】(2)前記表面処理を促進する光源の光を
試料に照射し、前記表面処理に不要な光を遮断すること
から、表面処理における光の影響を制御できる。
【0065】(3)前記表面処理に用いられる複数種類
の液体により生じる気体の混合がなくなることから、安
全に薄片試料処理装置の操作を行なうことができる。
【0066】(4)ノズルによる液体の噴霧又は噴射に
よって生じる廃液を廃液毎に個別に収容することから、
異なった種類の廃液が混合して化学反応を引き起こす危
険をなくすことができ、またこれらの廃液の処理が容易
に行ないことができる。
【0067】(5)ノズルによる前記表面処理による試
料表面が瞬時に乾燥されることから、一連の表面処理に
要する時間の短縮化と試料破損の防止とを図ることがで
きる。
【0068】(6)前記表面処理がされている薄片試料
に対して、処理室外部に設けられた電源より試料保持機
構を介して電圧が印加されることから、電解エッチング
等の電気・化学的な反応による処理を容易に行なうこと
ができる。また、試料保持部の表面は耐薬品材料によっ
て形成されていることから、前記表面処理に用いられる
液体によって生じる腐食等による試料保持部の導電性機
能及び保持機能等の劣化を防止することができる。
【0069】(7)試料保持機構が処理室に設けられた
挿入口において挿入又は脱着される際の試料保持機構と
挿入口との接合部からの液体の漏洩を防止する漏洩防止
機構を備えていることから、薄片試料処理装置からの危
険な液体の漏出を防止でき、試料保持機構の挿入又は脱
着を安全に行なうことができる。
【0070】(8)処理室内を試料の酸化がされにくい
窒素雰囲気にする窒素供給ノズルが備えられていること
から、表面処理後の試料表面の酸化を防止することがで
きる。
【0071】(9)前記表面処理工程と、乾燥工程と、
排気・排液工程と、を含む一連の処理を効率的に行なわ
せる制御部が設けられており、必要により照射工程と、
電圧印加工程とを前記一連の工程に追加するように制御
することから、前記薄片試料の表面処理が短時間で効率
良く行なうことができる。
【0072】本発明の薄片試料処理装置を用いることに
より、試料を破損することなく、一連の操作で再現性よ
く試料を作製する事が可能となる。
【0073】また、従来の試料作製方法では観察するこ
とが困難であった、主成分が同一の多層構造部の境界位
置観察やイオン注入の拡散形状を高解像度で観察するこ
とが可能となる。
【0074】さらに、酸による処理後、試料を洗浄し更
にアルカリによる処理を行なう等の連続した処理を効率
よく行なうことが可能となる。
【0075】よって、薄片化した試料を破損することな
く、試料を処理するに際して秒単位の反応時間制御が可
能なことにより再現性がよく、短時間で化学処理を含む
表面処理を行なうことが可能な薄片試料処理装置及び薄
片試料処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の薄片試料処理方法を示す図である。
【図2】本発明の薄片試料処理装置の構成を示す図であ
る。
【図3】本発明の試料ホルダの構成を示す図である。
【符号の説明】
1(1a〜1f)−薬液ノズル 2−純水ノズル 3−エアノズル 4−窒素ノズル 5(5a〜5b)−排気口 6(6a〜6b)−廃液口 7−光源 8−窓 9−試料 10−単孔メッシュ 11−試料ホルダ 12−芯部材 13−被覆部材 14−試料ホルダ挿入口 15(15a〜15c)−バルブ 16−留め具 20−薄片試料処理装置 30−処理室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鮎川 あきつ 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 岡崎 裕子 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 増田 亮一 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2G001 AA03 BA11 CA03 LA11 MA05 PA07 RA02 RA03 RA05 RA20 2G052 CA03 CA29 EC14 FC02 FD18 GA34 5C001 BB07 CC01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄片試料に複数種類の液体による化学処理
    を含む表面処理をする処理室内に、該薄片試料を保持す
    る試料保持機構が備えられており、前記試料の近傍には
    前記複数種類の液体毎に少なくとも1つのノズルを設
    け、該ノズルから該試料保持機構に保持された該試料に
    向かって前記液体を噴霧又は噴射することを特徴とする
    薄片試料処理装置。
  2. 【請求項2】前記処理室は、特定の光源の光を試料に照
    射する光源部と、この特定の光源の光以外の光を遮断す
    る遮光壁と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載
    の薄片試料処理装置。
  3. 【請求項3】前記処理室は前記表面処理に用いられる液
    体毎に個別に排気を行なう排気機構を備えたことを特徴
    とする請求項1又は2に記載の薄片試料処理装置。
  4. 【請求項4】前記処理室は、試料に供給される前記ノズ
    ルによる液体の噴霧又は噴射による廃液を廃液毎に個別
    に収容する複数の廃液タンクと、これらの廃液タンクの
    それぞれと処理室とを個別に連通する複数の廃液経路
    と、を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の薄片試料処理装置。
  5. 【請求項5】前記処理室は、試料に対して温風又は冷風
    を供給する送風機構を備えており、試料に対して所定の
    タイミングで送風を行なうことを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の薄片試料処理装置。
  6. 【請求項6】前記試料保持機構の試料保持部は導電材料
    とこれを覆う耐薬品材料とにより形成されており、処理
    室外部に設けられた電源より該導電材料に所望の電圧が
    印加されることを特徴とする請求項1〜5に記載の薄片
    試料処理装置。
  7. 【請求項7】前記試料保持機構は、前記処理室に設けら
    れた挿入口により処理室に対して挿脱自在であり、該挿
    入口には耐薬品性のシール材料によって、試料保持機構
    と挿入口との接合部からの液体の漏洩を防止する漏洩防
    止機構を備えたことを特徴をする請求項1〜6のいずれ
    かに記載の薄片試料処理装置。
  8. 【請求項8】前記処理室は、処理室内に不活性ガスを充
    填する不活性ガス供給ノズルを備えたことを特徴とする
    請求項1〜7のいずれかに記載の薄片試料処理装置。
  9. 【請求項9】処理室内に保持された薄片試料に対して、
    液体の噴霧又は噴射を行なう化学処理を含む表面処理工
    程と、送風機構から該薄片試料に対して送風を行なう乾
    燥工程と、処理室内の気体及び液体の排気及び排液を行
    なう排気・排液工程と、を含む一連の処理を複数種類の
    液体のそれぞれに対して繰り返し実行し、必要により前
    記表面処理工程が光源からの光の照射を行なう照射工程
    と、電源から試料保持機構を介して電圧を印加する電圧
    印加工程と、を含むことを特徴とする薄片試料処理方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010133710A (ja) * 2008-12-02 2010-06-17 Hitachi High-Technologies Corp 微小試料採取装置
JP2013164419A (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 Fei Co 電子顕微鏡用のガラス化された試料を作製する方法
JP2014522478A (ja) * 2011-04-04 2014-09-04 オムニプローブ、インコーポレイテッド 冷凍標本を抽出する方法および標本アッセンブリーの製造
KR101677379B1 (ko) * 2015-07-21 2016-11-18 주식회사 포스코 표면 처리 장치

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