JP2002194532A - 真空蒸着方法及び真空蒸着装置 - Google Patents

真空蒸着方法及び真空蒸着装置

Info

Publication number
JP2002194532A
JP2002194532A JP2000391188A JP2000391188A JP2002194532A JP 2002194532 A JP2002194532 A JP 2002194532A JP 2000391188 A JP2000391188 A JP 2000391188A JP 2000391188 A JP2000391188 A JP 2000391188A JP 2002194532 A JP2002194532 A JP 2002194532A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
rod
crucible
vacuum deposition
vacuum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000391188A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiaki Suzuki
俊明 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2000391188A priority Critical patent/JP2002194532A/ja
Publication of JP2002194532A publication Critical patent/JP2002194532A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価な原料を用いて、長時間にわたる連続成
膜を省スペースにて実現する。 【解決手段】 真空室内で、るつぼ5内に収容された原
料を加熱手段により溶解させ、蒸発させることによって
基体上に被膜を形成する真空蒸着方法において、周状に
配された複数の棒状の原料21を順次押し出す工程と、
これら複数の棒状の原料21を周方向に回転させる工程
とを交互に行い、押し出された棒状の原料を加熱・溶解
させてるつぼ5へ供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空室内で、るつ
ぼ内に収容された原料を加熱手段により溶解させ、蒸発
させることによって基体上に被膜を形成する真空蒸着方
法及び真空蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオ装置やビデオ装置、コンピュ
ータ装置等の記録再生装置に用いられる記録媒体とし
て、非磁性支持体上に磁性層を備える磁気記録媒体が広
く使用されている。近年、磁気記録の分野では、記録再
生装置の小型軽量化や高記録容量化が進行しており、こ
れに伴い、磁気記録媒体にはこれまで以上の高密度記録
化が要求されている。
【0003】このため、磁気記録媒体として、非磁性支
持体上に、磁性層として強磁性金属材料からなる金属薄
膜を形成した、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体が採
用されている。この金属薄膜型の磁気記録媒体は、いわ
ゆる塗布型の磁気記録媒体に比べて、磁性金属の結晶微
細化及び配向の均一化に優れ、抗磁力や角形比等の磁気
特性に優れ、短波長領域での高出力化が可能となる。さ
らに、金属薄膜型の磁気記録媒体は、磁性層の厚みを極
めて薄くできるので記録減磁や再生時の厚み損失が著し
く小さいことや、磁性層中に非磁性材料である有機バイ
ンダ等の結合剤を混入させる必要がないので磁性材料の
充填密度が高いこと等、数々の利点を有している。
【0004】ところで、金属薄膜型の磁気記録媒体、特
に金属薄膜型の磁気テープの磁性層を形成する際に採用
される真空蒸着法は、一般に、以下のようにして行われ
る。
【0005】先ず、真空室内で、走査型電子銃から照射
される電子ビームによって、るつぼ内に収容された原料
となるCo系合金を溶解及び蒸発させる。これにより生
じた蒸着粒子を、円筒状の冷却キャンに巻き付けられた
長尺状の高分子フィルム上に堆積させ、磁性層となる金
属薄膜を成膜する。高分子フィルム上への金属薄膜の成
膜は、冷却キャンを回転させることにより連続的に数時
間にわたって行われる。
【0006】このような真空蒸着法においては、高分子
フィルム上に金属薄膜を成膜することに伴って、るつぼ
内の原料が蒸発し、減少する。るつぼ内の原料の量が変
動すると、蒸発量を制御できず、金属薄膜の膜厚が変化
する等の不都合が生じる。このため、蒸発により減少し
た量に相当する原料を、るつぼ内へ随時補給し、るつぼ
内の原料の量を一定に維持する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】るつぼ内に原料を補給
する方法としては様々な方法が存在するが、現在、ペレ
ット方式とロッド方式とが主流である。このうち、ペレ
ット方式は、原料を直径10mm程度、長さ30mm程
度の小型のペレットに成形し、このペレットを原料供給
部に並べ、原料を固体状態のまま順次るつぼ内に投下す
ることにより、るつぼ内へ原料を供給するものである。
【0008】しかしながら、このペレット方式では、各
ペレットが小さいため、ペレットの成形が煩雑となり、
同重量あたりの原料価格が比較的高価となる。したがっ
て磁気記録媒体の製造コストが高くなるという問題があ
る。
【0009】また、各ペレットが小さいため、同重量あ
たりの表面積が増大し、それに比例してペレットに付着
する不純物の量も増加する。この結果、るつぼ内で原料
が蒸発する際に不純物も同時にガス化して真空室内の真
空を汚染し、金属薄膜の膜質を劣化させる虞がある。
【0010】また、金属薄膜の組成を変更する際には、
原料供給部内に残存した多数のペレットを手作業で除去
し、代わりに新たな組成の多数のペレットを手作業で原
料供給部に並べるといった長時間を要する作業が必要と
なる。すなわち原料交換作業の作業効率が悪いという問
題がある。
【0011】一方、ロッド方式とは、電子ビームの照射
範囲内に、棒状に加工した原料(以下、ロッドと称す
る。)の先端を徐々に進入させ、当該ロッドの先端を電
子ビームにより溶解させることによって、るつぼ内へ液
体の状態の原料を供給するものである。このロッド方式
では、ロッドの断面積が大きいと、電子ビームにより溶
解される原料の量が増加するため、るつぼ内への供給量
の調節が困難となる。このため、通常はロッドの直径を
30mm程度とし、電子ビームの照射範囲へのロッドの
進入速度を制御することによって、原料の供給量を調節
している。
【0012】しかしながら、ロッド方式で金属薄膜を連
続成膜する場合、高分子フィルムの長さや金属薄膜の膜
厚にも依存するが、通常5m程度の長さのロッドが必要
となる。すなわち、原料を真空室内に収容するために、
5m分のスペースが必要となり、真空室及び真空排気装
置の大型化が不可避である。このため、長時間の連続成
膜を実現するためには、高額の設備投資が必要となる。
【0013】また、ロッド方式で金属薄膜を連続成膜す
る場合、大量の原料が必要となるため、ロッド自体も大
型化し、その重量は40kgになることがある。このた
め、ロッドの運搬や、原料供給部への原料の装填に特別
な装置が必要となる。
【0014】そこで本発明はこのような従来の実状に鑑
みて提案されたものであり、安価な原料を用いて、長時
間にわたる連続成膜を省スペースにて実現する真空蒸着
方法及び真空蒸着装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る真空蒸着方法は、真空室内で、るつ
ぼ内に収容された原料を加熱手段により溶解させ、蒸発
させることによって基体上に被膜を形成する真空蒸着方
法において、中心軸に対して周状に配された複数の棒状
の原料を順次押し出す工程と、これら複数の棒状の原料
を周方向に回転させる工程とを交互に行い、押し出され
た棒状の原料を加熱・溶解させてるつぼへ供給すること
を特徴とする。
【0016】以上のような真空蒸着方法では、周状に配
された複数の棒状の原料を押し出して、当該棒状の原料
を加熱・溶解させ、るつぼ内へ液体の状態で原料を供給
する。それとともに、未使用の棒状の原料を周方向に回
転させる。上述したような操作を繰り返すことにより、
大量の原料を長時間にわたって連続してるつぼ内へ供給
することができる。
【0017】また、本発明に係る真空蒸着装置は、基体
上に被膜を形成する真空蒸着装置であって、真空室内
に、原料を収容するるつぼと、原料を溶解させる加熱手
段と、るつぼへ原料を供給する原料供給部とを有し、上
記原料供給部は、中心軸に対して回転自在とされ、この
中心軸に対して周状に配されるとともに平行方向に穿設
された複数の貫通孔を有し、当該貫通孔が棒状の原料を
装填可能である回転体と、上記貫通孔内へ進退自在であ
る押し出し部材とを有することを特徴とする。
【0018】以上のような構成の真空蒸着装置は、原料
供給部に装填される原料として、棒状に加工された原料
を使用するため、従来のペレット状に成形された原料を
使用する場合に比べて原料コストが抑えられ、同重量あ
たりの原料の表面に付着する不純物の量を低減でき、原
料の交換作業が短時間で完了する。
【0019】また、原料供給部は、回転体内に、長時間
にわたる連続供給に必要な量の原料を、貫通孔の数に応
じて分割した状態で保持できる。このため、省スペース
で大量の原料を保持可能である。また、長時間にわたる
連続供給に必要な量の原料が、貫通孔の数に応じて分割
されるため、1個あたりの棒状の原料の小型化及び軽量
化を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用して磁気記録
媒体を製造する場合について、図面を参照しながら詳細
に説明する。なお、本発明は、以下の記述に限定される
ことはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更
可能である。
【0021】まず、本発明を適用した真空蒸着装置につ
いて、図1及び図2を参照しながら説明する。この図1
に示す真空蒸着装置1は、長尺状の非磁性支持体2の一
主面上に、強磁性金属材料からなる金属薄膜を形成す
る、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体の製造装置であ
る。
【0022】この真空蒸着装置1は、真空室3内に、略
円筒型の冷却キャン4と、この冷却キャン4の外周面と
対向する位置に配された略直方体状のるつぼ5と、るつ
ぼ5内の強磁性金属材料へ電子ビーム6を照射する走査
型電子銃7と、るつぼ5へ原料を供給する原料供給部と
を備えるものである。
【0023】冷却キャン4は、例えば−20℃程度に冷
却され、その外周面に非磁性支持体2を巻き付けた状態
で図1中矢印A方向に回転することによって、非磁性支
持体2上に強磁性金属材料を堆積させる。
【0024】るつぼ5は、酸化マグネシウム等からな
り、略直方体形状を呈する。このるつぼ5は、冷却キャ
ン4の回転軸と平行方向、すなわち長手方向に溝が形成
されており、この溝内に、電子ビーム6によって溶解さ
れた液体状態の強磁性金属材料を収容する。
【0025】走査型電子銃7は、放出した電子ビーム6
を、スキャナ8を通過させることによって、るつぼ5内
の強磁性金属材料を繰り返し走査する。これにより、走
査型電子銃7は、るつぼ5内の強磁性金属材料及び原料
供給部から供給される原料を加熱し、蒸発させる。
【0026】また、この真空蒸着装置1は、図1に示す
ように、回転自在とされた供給軸9に供給ロール10が
装着されるとともに、図示しない駆動源により回転駆動
される巻き取り軸11に巻き取りロール12が装着さ
れ、非磁性支持体2を冷却キャン4の外周面に巻き付け
た状態で連続して走行させる。
【0027】また、真空蒸着装置1では、るつぼ5と冷
却キャン4との間に防着板13を設け、この防着板13
にシャッタ14を位置調整可能に設けて、非磁性支持体
2に対して所定の角度で入射する蒸着粒子のみを通過さ
せる。
【0028】そして、真空蒸着装置1内には、るつぼ5
の長手方向の延長線上に、図2に示すような原料供給部
20が配設されている。この原料供給部20は、原料で
ある例えば強磁性金属材料を棒状に加工してなるロッド
を収容・保持するとともに、るつぼ5内へ最適量の液体
状の原料を供給するものである。なお、原料供給部20
は、耐熱性を有する材料から構成される。耐熱性を有す
る材料としては、例えばステンレス等が挙げられる。
【0029】原料供給部20は、図3に示すような略円
柱状の回転体22と、回転体22の中心軸を貫通する支
軸23と、支軸23と連結されたインデックスモータ2
4と、押し出し棒25と、押し出し棒25と連結された
モータ26とを有している。
【0030】回転体22は、支軸23が水平となるよう
に設けられるとともに、支軸23に対して回転自在とさ
れている。この回転体22は、8個の貫通孔27a,2
7b,27c,27d,27e,27f,27g,27
h(以下、貫通孔27とまとめて称することがある。)
が、支軸23、すなわち回転体の中心軸に対して平行方
向に穿設されている。これら8個の貫通孔27は、回転
体22の中心軸に対して同一円周上に略等間隔に配され
ている。また、貫通孔27a,27b,27c,27
d,27e,27f,27g,27hは、内部にロッド
21a,21b,21c,21d,21e,21f,2
1g,21h(以下、ロッド21とまとめて称すること
がある。)をそれぞれ装填可能である。
【0031】なお、回転体22は、例えば直径250m
m〜400mm、長さ400mm〜600mm程度とさ
れる。また、回転体22は、合計で60kg〜120k
g程度のロッド21を装填できることが好ましい。
【0032】ロッド21の形状及び大きさは任意に設定
可能であるが、回転体22へ装填する際等に作業し易い
形状及び大きさであることが好ましい。例えば、ロッド
21は、直径40mm〜60mm、長さ500mm程
度、重量5kg〜15kg程度とされる。
【0033】また、貫通孔27の内径は、ロッド21の
直径よりも1mm〜2mm程度大とされることが好まし
い。これにより、貫通孔27とロッド21との間に適度
な隙間が生じ、貫通孔27とロッド21との摩擦を低減
し、ロッド21の押し出しを円滑に行うことが可能とな
るとともに、ロッド21を貫通孔27内へ挿入し易くな
る。具体的には、貫通孔27の内径は、40mm〜60
mm程度とされる。
【0034】また、貫通孔27には、図4に示すよう
な、複数の溝28が形成されていても良い。これによ
り、貫通孔27とロッド21との接触面積が小となり、
貫通孔27とロッド21との摩擦をさらに低減できる。
この各溝28の幅は、例えば3mm〜10mm程度とさ
れる。
【0035】なお、回転体22に穿設される貫通孔27
の数は、図3に示すような8個に限定されるものではな
く、例えば回転体22の径、ロッド21の重量、回転体
22の強度、作業性等に応じて任意に設定可能である。
回転体22に穿設される貫通孔27の数は、例えば8〜
14個であることが好ましい。
【0036】このような回転体22は、図2に示すよう
に、回転体22の中心軸を貫通する支軸23を介して、
回転体22を回転駆動させるインデックスモータ24と
連結されている。
【0037】インデックスモータ24は、回転体22を
支軸23を中心に回転させる。回転体22を回転させる
際に、インデックスモータ24は、各貫通孔27と押し
出し棒25との位置を検知し、貫通孔27と押し出し棒
25の進行方向とが一致するように、回転体22の位置
決めを行うことが可能である。
【0038】押し出し棒25は、回転体22のるつぼ5
とは反対側において、貫通孔27のいずれか1つの長手
方向の延長線上に、回転体22の中心軸に対して平行と
なるように配設される。上述したように、貫通孔27が
回転体の中心軸に対して同一円周上に配されているた
め、押し出し棒25は、貫通孔27内へ進退自在とされ
る。なお、図2において、押し出し棒25は、その進行
方向が、各貫通孔27のうち最も高い位置に位置決めさ
れる貫通孔27の長手方向と一致するように、設置され
ている。
【0039】押し出し棒25の直径は、貫通孔27より
やや小径とされる。具体的には押し出し棒27の直径は
20mm〜30mm程度とされる。また、押し出し棒2
5は、ボールねじ形状又は台形ねじ形状であることが好
ましい。
【0040】モータ26は、押し出し棒25を、押し出
し棒25の長手方向、すなわち回転体22の中心軸に対
して平行方向に、所望の速度で移動させる。
【0041】以上のような構成の真空蒸着装置1は、原
料供給部20に装填される原料として、棒状の原料であ
るロッド21を使用する。ロッド21は、ペレット状に
成形された小型の原料に比べて、原料の加工が簡単であ
り、安価である。したがって、この真空蒸着装置1は、
磁気記録媒体の低価格での製造を実現する。
【0042】また、ロッド21は、ペレット状に成形さ
れた小型の原料に比べて同重量あたりの表面積が小であ
るため、同重量あたりの原料に付着する不純物の量を低
減できる。したがって、ロッド21を原料として用いる
ことで、不純物に起因する真空室3内の真空の汚染が抑
制され、非磁性支持体2上に良好な膜質の金属薄膜を形
成できる。
【0043】また、金属薄膜の組成を変更する場合等に
おいて、ロッド21の交換作業は、貫通孔27から余っ
たロッド21を抜き取り、新たに必要数のロッド21を
回転体22の貫通孔27に装填するのみであるため、簡
単且つ短時間で完了する。また、回転体22が複数種類
のロッドを各貫通孔に装填されている場合は、インデッ
クスモータ24が、押し出し棒25の進行方向と所望の
種類のロット21が装填された貫通孔27とが一致する
ように回転体22を回転させ、停止させる。このよう
に、インデックスモータ24により、押し出し棒25の
進行方向に対する回転体22の位置決めを容易に行うこ
とができるため、金属薄膜の組成を変更する場合に必ず
しも全てのロッドを交換する必要がなくなる。したがっ
て、真空蒸着装置1への原料装着に要する時間が大幅に
短縮され、作業効率の向上を図ることができる。
【0044】ところで、従来の真空蒸着装置において、
1個の棒状の原料を用いて原料を供給するいわゆるロッ
ド方式を採用する場合、非磁性支持体の長さや金属薄膜
の膜厚にも依存するが、通常5m程度の長さの棒状の原
料が必要となる。すなわち、従来の真空蒸着装置では、
原料を真空室内に収容するために、5m分のスペースが
必要となり、真空室及び真空排気装置の大型化が不可避
である。
【0045】しかし、本発明を適用した真空蒸着装置1
において、原料供給部20の回転体22は、貫通孔27
を複数有するため、貫通孔27と同数のロッド21を装
填可能である。具体的には、図3に示すような回転体2
2を有する原料供給部20を用いる場合、8個のロッド
21を用意し、これらを8個の貫通孔27へ装填する。
すなわち、従来の1/8の長さのスペースにて、従来と
同等又はそれ以上の量の原料を収容できる。すなわち、
従来に比べて原料の収容に必要なスペースを飛躍的に縮
小しつつ、大量の原料を真空室3内に収容できる。この
ため、真空蒸着装置1は、長時間にわたる原料の連続供
給が可能となる。
【0046】また、従来用いられる1個の棒状の原料に
比べて、ロッド21は、1/8の長さ及び重量とされて
いる。したがって、原料1個あたりの小型化及び軽量化
が図られ、原料の運搬及び交換作業等における取り扱い
が容易となる。
【0047】つぎに、上述したような真空蒸着装置1を
用いて磁気記録媒体を製造する方法、すなわち非磁性支
持体2上に磁性層として強磁性金属材料からなる金属薄
膜を形成する方法について説明する。
【0048】非磁性支持体2上に強磁性金属材料からな
る金属薄膜を形成するためには、先ず、図示しない真空
排気装置を駆動させることにより、真空室3内を約10
−3Pa程度の真空状態とする。次に、走査型電子銃7
から電子ビーム6を照射することによって、るつぼ5内
の強磁性金属材料を加熱して溶解し、蒸発させる。
【0049】そして、強磁性金属材料の蒸発により生じ
た蒸着粒子が、供給軸9に装着された供給ロール10か
ら図1中矢印B方向に繰り出されて冷却キャン4の外周
面に沿って走行する非磁性支持体2上に被着し、金属薄
膜が形成される。次に、金属薄膜が形成された非磁性支
持体2は、巻き取り軸11に装着された巻き取りロール
12に巻き取られる。
【0050】以上のようにして、非磁性支持体2上に磁
性層として金属薄膜が形成された磁気記録媒体を作製す
る。
【0051】ところで、長尺状の非磁性支持体2上に連
続して金属薄膜を形成することに伴って、るつぼ5内の
原料である強磁性金属材料は、蒸発により減少する。る
つぼ5内の原料の量が変動すると、蒸発量を制御でき
ず、金属薄膜の膜厚が変化する等の不都合が生じる。こ
のため、蒸発により減少した量に相当する原料を、るつ
ぼ5内へ随時供給し、るつぼ5内の原料の量を一定に維
持する必要がある。
【0052】そこで、本発明を適用した真空蒸着装置1
では、非磁性支持体2上への金属薄膜の形成と同時に、
以下に説明するようにして原料供給部20によって、原
料をるつぼ5内へ供給する。
【0053】先ず、インデックスモータ24を駆動させ
て、例えば予めロッド21aが装填された貫通孔27a
の長手方向と押し出し棒25の進行方向とが一致するよ
うに回転体22を回転させ、停止させる。
【0054】次に、モータ26を駆動させて、押し出し
棒25を、図2中矢印C方向へ前進させ、貫通孔27a
内に挿入する。押し出し棒25を前進させることによっ
て、貫通孔27a内のロッド21aは、るつぼ5方向、
すなわち図2中矢印D方向へ押し出され、るつぼ5と回
転体22との間に配設された受け台29に支持される。
【0055】さらに押し出し棒25を矢印C方向へ前進
させると、矢印D方向へ押し出されたロッド21aの先
端部は、るつぼ5の一端の上方に到達し、最終的に電子
ビーム6の走査領域F内に到達する。電子ビーム6の走
査領域F内に存在するロッド21aの先端部は、電子ビ
ーム6を照射されることにより溶解し、液体状の原料と
してるつぼ5内へ落下する。したがって、押し出し棒2
5を一定の速度で貫通孔27内へ前進させることによ
り、ロッド21が徐々に溶解し、原料が一定の速度でる
つぼ5内へ供給されることになる。
【0056】このときのモータ26の駆動、すなわち押
し出し棒25の前進速度を調節することにより、原料の
供給速度を所望の値に調節できる。なお、このときの押
し出し棒25の前進速度は、任意に設定することが可能
であるが、例えば10mm/分〜50mm/分程度であ
ることが好ましい。
【0057】次に、貫通孔27a内のロッド21aの押
し出しが完了したら、モータ26を駆動させることによ
り、押し出し棒25を図2中矢印E方向へ移動させ、押
し出し棒25を貫通孔27aの外へ後退させる。
【0058】なお、このときの押し出し棒25の後退速
度は、任意に設定することが可能であるが、例えば10
00mm/分程度であることが好ましい。
【0059】次に、インデックスモータ24を駆動させ
ることにより、例えばロッド21bが装填された隣接す
る貫通孔27bの長手方向と押し出し棒25の進行方向
とが一致するように、回転体22を回転させ、停止させ
る。
【0060】そして、上述したような操作を、貫通孔2
7b、貫通孔27c・・・に連続して繰り返すことによ
って、大量の、原料供給部20が保持した全てのロッド
21を、長時間にわたってるつぼ5内に連続して供給す
ることができる。
【0061】以上のような真空蒸着方法によれば、従来
のペレット状に成形された原料を用いる場合に比べて安
価な原料であるロッド21を用いるため、磁気記録媒体
を安価に製造することができる。また、省スペースに
て、非磁性支持体2上に良好な膜質の金属薄膜を、長時
間にわたって成膜することが可能である。
【0062】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に係る真空蒸着方法では、周状に配された複数の棒状
の原料を押し出して、当該棒状の原料を加熱・溶解さ
せ、るつぼ内へ液体の状態で原料を供給する。それとと
もに、未使用の棒状の原料を周方向に回転させる。上述
したような操作を繰り返すことにより、大量の原料を長
時間にわたって連続してるつぼ内へ供給することができ
る。したがって、本発明に係る真空蒸着方法によれば、
長時間にわたって基体上に被膜を成膜することが可能で
ある。
【0063】また、本発明に係る真空蒸着装置は、原料
供給部に装填される原料として、棒状に加工された原料
を使用するため、従来のペレット状に成形された原料を
使用する場合に比べて原料コストが抑えられ、同重量あ
たりの原料の表面に付着する不純物の量を低減でき、原
料の交換作業が短時間で完了する。また、真空蒸着装置
に備えられる原料供給部は、回転体内に、長時間にわた
る連続供給に必要な量の原料を、貫通孔の数に応じて分
割した状態で保持できる。このため、省スペースで大量
の原料を保持可能である。また、長時間にわたる連続供
給に必要な量の原料が、貫通孔の数に応じて分割される
ため、1個あたりの棒状の原料の小型化及び軽量化を図
ることができる。したがって、本発明によれば、安価な
原料を用いて、良好な膜質の被膜を省スペースで長時間
成膜することが可能な真空蒸着装置を提供することが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した真空蒸着装置の一構成例を示
す概略構成図である。
【図2】原料供給部の一構成例を示す側面図である。
【図3】原料供給部を構成する回転体を示す断面斜視図
である。
【図4】回転体に穿設された貫通孔を拡大して示す断面
図である。
【符号の説明】
1 真空蒸着装置、2 非磁性支持体、3 真空室、4
冷却キャン、5 るつぼ、6 電子ビーム、7 走査
型電子銃、8 スキャナ、9 供給軸、10供給ロー
ル、11 巻き取り軸、12 巻き取りロール、13
防着板、14シャッタ、20 原料供給部、21 ロッ
ド、22 回転体、23 支軸、24インデックスモー
タ、25 押し出し棒、26 モータ、27 貫通孔、
28溝、29 受け台

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空室内で、るつぼ内に収容された原料
    を加熱手段により溶解させ、蒸発させることによって基
    体上に被膜を形成する真空蒸着方法において、 中心軸に対して周状に配された複数の棒状の原料を順次
    押し出す工程と、これら複数の棒状の原料を周方向に回
    転させる工程とを交互に行い、押し出された棒状の原料
    を加熱・溶解させてるつぼへ供給することを特徴とする
    真空蒸着方法。
  2. 【請求項2】 上記加熱手段として、電子銃を用いるこ
    とを特徴とする請求項1記載の真空蒸着方法。
  3. 【請求項3】 中心軸に対して周状に配されるとともに
    平行方向に穿設された複数の貫通孔を有する回転体に、
    複数の上記棒状の原料を装填することを特徴とする請求
    項1記載の真空蒸着方法。
  4. 【請求項4】 上記回転体の貫通孔内へ進退自在である
    押し出し部材によって、上記棒状の原料を押し出すこと
    を特徴とする請求項3記載の真空蒸着方法。
  5. 【請求項5】 上記基体として非磁性支持体を用いるこ
    とを特徴とする請求項1記載の真空蒸着方法。
  6. 【請求項6】 上記原料として強磁性金属材料を用いる
    ことを特徴とする請求項1記載の真空蒸着方法。
  7. 【請求項7】 基体上に被膜を形成する真空蒸着装置で
    あって、真空室内に、原料を収容するるつぼと、原料を
    溶解させる加熱手段と、るつぼへ原料を供給する原料供
    給部とを有し、 上記原料供給部は、 中心軸に対して回転自在とされ、この中心軸に対して周
    状に配されるとともに平行方向に穿設された複数の貫通
    孔を有し、当該貫通孔が棒状の原料を装填可能である回
    転体と、 上記貫通孔内へ進退自在である押し出し部材とを有する
    ことを特徴とする真空蒸着装置。
  8. 【請求項8】 上記加熱手段は、電子銃であることを特
    徴とする請求項7記載の真空蒸着装置。
  9. 【請求項9】 上記基体は、非磁性支持体であることを
    特徴とする請求項7記載の真空蒸着装置。
  10. 【請求項10】 上記原料は、強磁性金属材料であるこ
    とを特徴とする請求項7記載の真空蒸着装置。
JP2000391188A 2000-12-22 2000-12-22 真空蒸着方法及び真空蒸着装置 Withdrawn JP2002194532A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000391188A JP2002194532A (ja) 2000-12-22 2000-12-22 真空蒸着方法及び真空蒸着装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000391188A JP2002194532A (ja) 2000-12-22 2000-12-22 真空蒸着方法及び真空蒸着装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002194532A true JP2002194532A (ja) 2002-07-10

Family

ID=18857391

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000391188A Withdrawn JP2002194532A (ja) 2000-12-22 2000-12-22 真空蒸着方法及び真空蒸着装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002194532A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009047879A1 (ja) * 2007-10-09 2009-04-16 Panasonic Corporation 成膜方法および成膜装置
JP2010053366A (ja) * 2008-08-26 2010-03-11 Panasonic Corp 成膜方法及び成膜装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009047879A1 (ja) * 2007-10-09 2009-04-16 Panasonic Corporation 成膜方法および成膜装置
KR101182907B1 (ko) 2007-10-09 2012-09-13 파나소닉 주식회사 성막 방법 및 성막 장치
JP2010053366A (ja) * 2008-08-26 2010-03-11 Panasonic Corp 成膜方法及び成膜装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008065917A (ja) 磁気記録媒体、磁気記録媒体製造装置および磁気記録媒体製造方法
JP2001216689A (ja) 基板支持機構及び基板支持回転装置
JP5452141B2 (ja) 成膜方法および成膜装置
JP2002194532A (ja) 真空蒸着方法及び真空蒸着装置
US6852362B2 (en) Film vapor deposition method
JPH0798861A (ja) 磁気記録媒体の製造装置
JP2002212706A (ja) 真空蒸着方法及び真空蒸着装置
JP5262430B2 (ja) 薄膜の製造方法及び薄膜の製造装置
JP2008274356A (ja) 蒸着装置及び蒸着材料の供給方法
JPH08100252A (ja) 成膜装置
JP2005285152A (ja) 磁気記録テープ媒体及びその製造方法
JP2003303409A (ja) 磁気記録媒体
JP2000195044A (ja) 磁気記録媒体の製造装置
JPH0762536A (ja) 成膜装置
JP2812955B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPS60239951A (ja) 真空蒸着装置
JP2001059164A (ja) 蒸着装置と薄膜の製造方法
JPH07220273A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP3529393B2 (ja) 真空蒸着装置
JPH10162357A (ja) テープ状磁気記録媒体の製造方法及び製造装置
JPH0798868A (ja) 磁気記録媒体の製造装置
JPH0633226A (ja) 真空蒸着における原料金属供給方法
JP2001110041A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2001110039A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2005293621A (ja) 磁気記録媒体、その製造方法及び製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080304