JP2002192166A - 芳香族化合物および/またはハロゲン化有機化合物の分解処理方法 - Google Patents

芳香族化合物および/またはハロゲン化有機化合物の分解処理方法

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JP2002192166A
JP2002192166A JP2000398638A JP2000398638A JP2002192166A JP 2002192166 A JP2002192166 A JP 2002192166A JP 2000398638 A JP2000398638 A JP 2000398638A JP 2000398638 A JP2000398638 A JP 2000398638A JP 2002192166 A JP2002192166 A JP 2002192166A
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JP2000398638A
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Masaaki Matsubara
正明 松原
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Kobe Steel Ltd
Research Institute of Innovative Technology for the Earth RITE
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Kobe Steel Ltd
Research Institute of Innovative Technology for the Earth RITE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の微生物処理法や酵素処理法に代わり得
ることができ、安全で芳香族化合物やハロゲン化有機化
合物を効率良く分解処理できる様な生物学的処理方法を
提供する。 【解決手段】 芳香族化合物および/またはハロゲン化
有機化合物を、木材腐朽菌を用いて生物学的に分解処理
する方法において、下記(1)〜(3)の工程含んで操
業する。 (1)木材腐朽菌を培養する工程 (2)上記(1)の培養工程で得られた培養物を加熱処
理する工程 (3)上記熱処理工程で処理した培養物を上記化合物と
接触させる分解処理工程

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族化合物やハ
ロゲン化有機化合物を、木材腐朽菌を用いて生物学的に
分解処理する方法に関するものであり、殊に上記各種化
合物を含む排水の処理や、上記化合物を多量に含有する
汚染地を浄化することを始めとして、上記化合物を分解
して無害化するための種々の技術分野に幅広く利用でき
る分解処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の産業発達に伴って、様々な有害化
学物質が自然界に放出若しくは漏洩されており、こうし
た有害化学物質が原因となって地球上の環境破壊が急速
に進んでいるのが実状である。また、環境破壊を招く上
記有害化学物質は、人体にも悪影響を与えることが指摘
されており、大きな社会問題ともなっている。
【0003】上記有害化合物のうち、特にベンゾピレン
やアントラセン等の芳香族化合物、或はダイオキシン類
やクロロフェノール類を始めとする有機塩素化合物等の
ハロゲン化有機化合物は、有害且つ難分解性で、しかも
環境中や人体等への蓄積性も高いので、これらの有害化
学物質を効率良く処理する方法の確立が急務となってい
る。
【0004】上記の様な有害化学物質を分解処理する為
の方法は、これまでにも様々提案・実施されており、そ
の代表的なものとして、燃焼法、アルカリ処理法、超臨
界水分解法、触媒酸化法、オゾン分解法等の物理的若し
くは化学的方法(以下、総括して「物理・化学的方法」
と呼ぶ)が知られている。しかしながら、これらの物理
・化学的方法では、エネルギー消費量が大きくコストも
高くなるという欠点がある。
【0005】こうしたことから最近では、エネルギー消
費が小さい分解処理方法として、微生物を利用した生物
学的処理方法が注目され、検討が進められている。こう
した生物学的処理方法のうち、微生物として細菌を用い
る方法では、分解対象物質に対する基質特異性が高く、
例えば塩素置換数が4個以上のダイオキシン類は分解で
きない等、分解できる化合物が限られており、また誘導
物質として有機化合物が必要であるなどの問題がある。
【0006】一方、微生物としてファネロケーテ属等の
所謂木材腐朽菌を用いる方法も提案されており、こうし
た微生物を利用することによって、塩素置換数が4個以
上のダイオキシン類も分解できることが報告されている
[Bumpusら、「Science」,228,1434(1985)、TAKADAら、
「Appl.Environ.Mcrobiol」,62,4323(1996)等]。
【0007】しかしながら、上記の様な木材腐朽菌を有
害化学物質の分解処理に用いる場合においても、木材腐
朽菌の生育に適さない環境や、他の微生物が優先して生
育するような環境では、木材腐朽菌の生育が阻害される
ために本来の分解能力が発揮されないという問題があっ
た。また、微生物を分解処理用として実用化するに際し
ては、微生物自体の安全性や微生物が生態系に与える影
響等をも考慮する必要があるが、木材腐朽菌はこうした
点についても不明な部分が多い。尚、こうした点を考慮
して、微生物(分解菌)から分離・調製した酵素を用い
て分解処理を行なう方法(酵素処理法)も提案されてい
るが、[例えば、「リグニンペルオキシダーゼによるペ
ンタクロロフェノールの分解」、(Davis等、「Appl.Mi
crobiol.Biotechrol」,32,721,(1990))]、得られる
酵素は一般に不安定であり、失活し易いという実用上の
問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、微生物を
用いる有害化学物質の分解処理方法は、多くのコストや
エネルギーを必要とする物理・化学的方法に代わる分解
処理法として有望な技術であると考えられているが、用
いる微生物の生存に適した条件で処理を行なうものであ
るため、処理後に微生物が残存し、微生物自体の安全性
や生態系への影響が懸念される等の問題がある。また、
酵素を用いる場合においても、酵素が失活するなどの問
題があった。こうしたことから、従来の微生物処理法や
酵素処理法に代わり得る様な有効な分解処理法の開発が
望まれている。
【0009】本発明はこうした状況の下でなされたもの
であり、その目的は、従来の微生物処理法や酵素処理法
に代わり得ることができ、安全で芳香族化合物やハロゲ
ン化有機化合物を効率良く分解処理できる様な生物学的
処理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明とは、芳香族化合物および/またはハロゲン化有機
化合物を、木材腐朽菌を用いて生物学的に分解処理する
方法において、下記(1)〜(3)の工程含んで操業す
る点に要旨を有するものである。この方法において、下
記(2)の工程における加熱処理温度は、具体的には5
0℃以上であることが好ましい。 (1)木材腐朽菌を培養する工程 (2)上記(1)の培養工程で得られた培養物を加熱処
理する工程 (3)上記熱処理工程で処理した培養物を上記化合物と
接触させる分解処理工程 また、上記方法における(1)〜(3)の工程の代り
に、下記(4)および(5)の工程を含んで操業するこ
とによっても本発明の目的を達成することができる。こ
の方法において、下記(5)の工程における木材腐朽菌
が生存できない温度は、具体的には50℃以上であるこ
とが好ましい。 (4)木材腐朽菌を培養する工程 (5)上記(4)の培養工程の後、木材腐朽菌が生存で
きない温度以上で上記培養物を上記化合物と接触させる
分解処理工程。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記の目的に適う
生物学的処理方法の実現を目指して様々な角度から検討
した。その結果、木材腐朽菌を培養後加熱処理により殺
菌しても、その培養物は芳香族化合物やハロゲン化有機
化合物に対して高い分解能力を有していること、或は分
解処理時の温度を、木材腐朽菌が生存できず、酵素が失
活することが予想される様な高温にしても、上記化合物
の分解反応が効率良く進行すること等を見出し、本発明
を完成した。
【0012】本発明方法では、上述の如く木材腐朽菌を
培養し、この培養物を加熱処理してから芳香族化合物や
ハロゲン化有機化合物等の有害有機化合物と接触させて
分解処理するものであるが、このときの加熱処理は、使
用する木材腐朽菌を死滅させる為のものである。この加
熱処理温度は、木材腐朽菌の種類によっても異なるが、
通常50℃以上とするのが好ましい。尚、加熱処理後の
培養物を化合物と接触させるときの温度については、必
ずしも高温(加熱処理温度)である必要はなく、常温で
あれば良い。また、分解処理に使用する木材腐朽菌の培
養物については、菌体と液体(培地)が混合した状態の
もの、或は菌体を除去して液体のみにしたもののいずれ
を用いても構わない。
【0013】一方、木材腐朽菌の培養物を高温状態で上
記化合物と接触させて分解処理する場合の温度について
も、使用する木材腐朽菌のが死滅する程度以上とするも
のである。この温度についても、木材腐朽菌の種類によ
って異なるが、上記方法と同様に50℃以上とすること
が好ましい。尚、この方法においては、高温状態にする
時期についてまで限定するものでなく、木材腐朽菌の培
養物を高温状態の化合物を接触させても良いし、木材腐
朽菌の培養物を常温の化合物に接触させた後に常温でし
ばらく菌を生育し、その後高温状態にして分解処理をす
る様にしても良い。
【0014】本発明において、木材腐朽菌の培養物と上
記化合物を接触させる手段についても、特に限定するも
のでなく、例えば別途培養を行った培養物を、上記化合
物を含む水や土壌等に混合しても良いし、培養槽と分解
処理槽からなる装置等を用いて培養物を連続的に培養し
ながら、得られた培養物を上記化合物を含む水や土壌等
に順次接触させる様にしても良い。
【0015】上述の如く本発明方法は、木材腐朽菌が生
存していない状態で上記化合物の分解処理を行なうもの
であるが、こうした状態においても、分解反応が進行す
る理由についてはその全てを解明し得た訳ではないが、
おそらく次の様に考えることができる。即ち、木材腐朽
菌が生存しない温度領域(例えば、50℃以上)では、
酵素も失活するので、木材腐朽菌が生産する酵素以外の
何らかの物質が分解反応に深く関わっているものと推察
できる。この物質に関して、本発明者らが木材腐朽菌の
培養物を分子量分画して検討したところ、分子量が50
00以上の成分を除去した分離培養液が同様の分解活性
を示していたことから、分解に関与する成分は熱に強
く、分子量が5000以下の物質であると考えられた。
【0016】本発明で用いる木材腐朽菌としては、特に
限定するものではなく、例えばファネロケーテ属(Phan
erochaete chrysosporium ATCC 34541等)、トラメテス
属[Trametes versicolor IFO 30388(カワラタケ)、Tr
ametes dickinsii IFO 6488等]、ポリポラス属(Polypo
rus mikadoi IFO 6517等)、ステレウム属(Stereumfru
stulosum IFO 4932等)、ガノデルマ属(Ganoderma app
lanatum IFO 6499等)、レンチテス属(Lenzites betul
ina IFO 8714等)、ホーメス属(Fomes fomentarius IF
O 30371等)、ポロデイスキュラス属(Porodisculus pe
ndulus IFO 4967等)、レンチヌス属(Lentinus edodes
IFO 31336,Lentinus lepideus IFO7043等)、セルプ
ラ属(Serpula lacymans IFO 8697等)、その他の属に
属するもの等が挙げられる。
【0017】ところで、「芳香族化合物」には、ハロゲ
ン化された芳香族化合物も含まれるが、本発明において
は、ハロゲン化された芳香族化合物は全て「ハロゲン化
有機化合物」に含有されるものとし、「芳香族化合物」
は、ハロゲン化されていない芳香族化合物を意味するも
のとする。従って、本発明方法で対象とする「ハロゲン
化有機化合物」のなかには、芳香族化合物であるかの如
何を問わず、ハロゲン化された有機化合物であれば全て
包含されることになり、また「芳香族化合物」のなかに
は、ハロゲン化された芳香族化合物は除かれることにな
る。
【0018】本発明で対象とする「芳香族化合物」とし
ては、ハロゲン化されたものを除き、芳香環を有する化
合物であれば全て含まれ、単素環式化合物または複素環
式化合物等の種類も問わない。このうち、単素環式化合
物としては、ベンゼン;ニトロベンゼンやフルオランテ
ン等の置換基を有するベンゼン;フェノール;ニトロフ
ェノール;ノニルフェノール、オクチルフェノールまた
はペンチルフェノール等のアルキルフェノール;カテコ
ール;フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸
ジブチル、フタル酸ジヘプチルまたはフタル酸ジオクチ
ル等のフタル酸エステル;ナフタレン;アントラセン;
ピレン、ベンゾピレンまたはジベンゾピレン等のピレン
類;ビスフェノールA等のビスフェノール系化合物;エ
ストラジオール等が挙げられる。
【0019】また、複素環式化合物としては、炭素以外
に、N,O,S等のヘテロ原子を1個以上含む環が挙げ
られ、例えばピリジン、ピリミジン、フラン、チオフェ
ン、ピロール等の芳香族化合物、或はこれらの関連化合
物が包含される。尚、単素環式化合物および複素環式化
合物の混合物も、本発明で対象とする「芳香族化合物」
の範囲内に含まれるもは勿論である。また、芳香環を有
するポリマー原料やその分解物(オリゴマー、部分分解
物等)なども包含される。
【0020】一方、本発明で対象とする「ハロゲン化有
機化合物」としては、塩素、臭素を少なくとも1種含有
する有機化合物であれば特に限定されない。また、こう
した「ハロゲン化有機化合物」のなかには、PCDDs
(ポリ塩化ジベンソダイオキシン類)やPCDFs(ポ
リ塩化ジベンゾフラン類)等に代表されるダイオキシン
類;前記ダイオキシン類において塩素の代わりに臭素を
含むダイオキシン類;コプラナーPCBを含むPCBs
(ポリ塩化ビフェニル類);トリクロロベンゼンやヘキ
サクロロベンゼン等のクロロベンゼン類;ジクロロフェ
ノールやペンタクロロフェノール等のクロロフェノール
類;トリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の塩
素置換有機溶媒;DDT、ディルドリンまたはヘキサク
ロロシクロヘキサン等の有機塩素系農薬等が包含され
る。
【0021】本発明においては、上記した様な木材腐朽
菌を使用すればその効果が発揮されるが、芳香族化合物
および/またはハロゲン化有機化合物に対する分解能に
特に優れる菌を単用若しくは2種類以上併用すれば、さ
らに処理効率が上昇するので有利である。この様な高効
率分解菌(木材腐朽菌)としては、担子菌LSB−69
株(工業技術院生命工学工業技術研究所受託番号 FE
RM P−17514)が例示される。
【0022】木材腐朽菌を培養する為の培地としては、
木材腐朽菌の培養や酵素調製用に通常に使用される培地
であればいずれも使用でき、例えばポテト・グルコース
培地、麦芽エキス培地、サブロー培地、低窒素合成培地
等を用いることができる。これらの培地の組成を、下記
表1〜4に示す。尚、低窒素培地にマンガンイオン(M
2+)を加える場合には、0.2mmol/Lとなるよ
うに硫酸マンガン添加する。また、木粉、木材チップ、
おがくず等に20%程度の水分を補給し、固体培地とし
て用いることもできる。尚、下記表4中の「微量金属溶
液の組成を下記表5に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】次に、本発明方法を実施する際における具
体的な条件について説明する。まず、木材腐朽菌を培養
後加熱処理により殺菌した状態で芳香族化合物やハロゲ
ン化有機化合物と接触させる方法においては、木材腐朽
菌を上記の培地で培養するときの最適な培養日数は、木
材腐朽菌の種類、培地の種類によって異なるが、通常1
〜14日間程度である。そして、得られた培養物は、5
0〜80℃の温度で30分〜2時間程度、或は80〜1
20℃で15〜30分程度加熱処理して殺菌した後、上
記化合物を含む水、土壌等に混合して常温で分解処理を
行なう。
【0029】一方、木材腐朽菌が生存できず、酵素が失
活することが予想される様な高温で、培養物を上記化合
物に接触させて分解処理する方法では、木材腐朽菌は上
記方法と同様に、まず上記の培地で木材腐朽菌が培養さ
れ、最適な培養日数は木材腐朽菌の種類、培地の種類に
よって異なるが、通常1〜14日間である。得られた培
養物を、上記化合物を含む水や土壌等に混合した後、数
日間〜数ヶ月間放置後、または混合直後に、50〜12
0℃程度で加熱、保温することにより分解処理を行う。
これにより、使用した木材腐朽菌の殺菌と分解処理が同
時に行なわれる。
【0030】以下、本発明を実施例によって更に詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を限定するものではな
く、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれ
も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0031】
【実施例】実施例1 50mL容量の三角フラスコに、前記表4に示した低窒
素合成培地(15mL)を入れ、120℃で15分間加
熱滅菌した後、木材腐朽菌として、担子菌LSB−69
株(工業技術院生命工学工業技術研究所受託番号:FE
RM P−17514)、リグニン分解菌NK−114
8(工業技術院生命工学工業技術研究所受託番号:FE
RM P−9384)またはカワラタケ(Trametes ver
sicolorIFO 30388)を夫々接種し、30℃で5日間培養
した。
【0032】得られた培養液を80℃で60分間加熱処
理し、これらにハロゲン化有機化合物としてペンタクロ
ロフェノールを20mg/Lとなる様に添加し、30℃
で反応させた。このとき、加熱処理しない系についても
同様の操作を行なった。
【0033】そして96時間まで経時的にサンプリング
を行い、上記化合物をアセトニトリルで3回抽出した
後、高速液体クロマトグラフィーで定量分析し、分解率
を算出した。それらの結果を、図1〜3の夫々に示す
が、加熱処理した木材腐朽菌培養液を使用した場合に
は、有機塩素化合物が効率良く分解されていることが分
かる。
【0034】実施例2 50mL容量の三角フラスコに、前記表4に示した低窒
素合成培地(15mL)を入れ、120℃で15分問加
熱滅菌した後、木材腐朽菌として、担子菌LSB−69
株(工業技術院生命工学工業技術研究所受託番号:FE
RM P−17514)、リグニン分解菌NK−114
8(工業技術院生命工学工業技術研究所受託番号:FE
RM P−9384)、カワラタケ(Trametesnersicol
or IFO 30388)およびファネロケーテ・クリンスポリウ
ム(Phanerochaete chrysosporium ATCC 34541)を夫々
接種し、30℃で5日間培養した。
【0035】得られた培養液に、ハロゲン化有機化合物
としてペンタクロロフェノールを20mg/Lとなる様
に添加し、30〜100℃の種々の温度で反応させた。
24時問後に上記化合物をアセトニトリルで3回抽出し
た後、高速液体クロマトグラフィーで定量分析し、分解
率を算出した。その結果を図4に示すが、これらの菌株
が死滅する50℃以上の温度で加熱処理した場合にも、
効率よく上記化合物が分解されていることが分かる。ま
た、加熱処理温度が高いほど分解率が高くなっているこ
とが分かる。尚、これらの菌株が50℃以上の温度で死
滅することも確認した。
【0036】実施例3 50mL容三角フラスコに、前記表1に示したポテト・
グルコース培地(15mL)を入れ、120℃で15分
問加熱滅菌した後、担子菌LSB−69株(工業技術院
生命工学工業技術研究所受託番号:FERM P−17
514)を接種し、実施例2と同様の方法でペンタクロ
ロフェノールの分解率を求めた。その結果を図5に示す
が、ポテト・グルコース培地を用いた場合も、この菌株
が死滅する50℃以上の温度で、上記化合物が効率良く
分解されていることが分かる。また、加熱処理温度が高
いほど分解率が高くなっていることが分かる。
【0037】実施例4 50mL容量の三角フラスコに、前記表4に示した低窒
素合成培地(15mL)を入れ、120℃で15分間加
熱滅菌した後、担子菌LSB−69株(工業技術院生命
工学工業技術研究所受託番号:FERM P−1751
4)を接種し、30℃で5日間培養した。
【0038】得られた培養液を80℃で60分間加熱処
理した。これに、芳香族化合物としてジベンゾ−p−ジ
オキシンを20mg/Lとなる様に添加し、30℃で反
応させた。また、加熱処理しない系についても同様の操
作を行った。
【0039】そして24時問後に上記化合物をアセトニ
トリルで3回抽出した後、高速液体クロマトグラフィー
で定量分析し、分解率を算出した。その結果を図6に示
すが、加熱処理した木材腐朽菌の培養液を用いた場合も
効率的に芳香族化合物を分解し得ることが分かる。
【0040】実施例5 50mL容量の三角フラスコに、前記表4に示した低窒
素合成培地(15mL)を入れ、120℃で15分問加
熱滅菌した後、担子菌LSB−69株(工業技術院生命
工学工業技術研究所受託番号:FERM P−1751
4)を接種し、30℃で5日間培養した。
【0041】得られた培養液を80℃で60分間加熱処
理した。これに、ダイオキシン溶液を4000ng/L
(50ng−TEQ/L)となる様に添加し、30℃で
14日間反応させた。尚、このとき用いたダイオキシン
溶液は、都市ゴミ焼却灰から溶媒抽出したものである。
【0042】反応後、「廃棄物処理におけるダイオキシ
ン類標準測定分析マニュアル(平成9年2月厚生省生活
衛生局水道環境部環境整備課)」に準拠し、濃縮、クリ
ーンアップ、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計に
よる測定を行ない、ダイオキシン類の各異性体[ジベン
ゾパラダイオキシン(四塩化物、五塩化物、六塩化物、
七塩化物、および八塩化物);ジベンゾフラン(四塩化
物、五塩化物、六塩化物、七塩化物、および八塩化
物)]を定量分析した。
【0043】その結果を図7に示すが、加熱処理した木
材腐朽菌培養液によって効率的にダイオキシン類が分解
されていることが分かる。
【0044】実施例6 50mL容量の三角フラスコに、前記表4に示した低窒
素合成培地を15mL入れ、120℃で15分間加熱滅
菌した後、担子菌LSB−69株(工業技術院生命工学
工業技術研究所受託番号:FERM P−17514)
を接種し、30℃で5日間培養した。
【0045】得られた培養液を80℃で60分間加熱処
理した。また、5gの乾燥土壌に、有機塩素化合物とし
てペンタクロロフェノールを0.1mg/(g−土壌)
となるように添加、混合した。これに上記の加熱処理培
養液を1mL添加、混合し、30℃で13日間反応させ
た。また、加熱処理しない系についても同様の操作を行
った。
【0046】反応後、10mLのアセトニトリルを添加
し、20分間超音波にかけた後、遠心分離して上清(抽
出液)を回収した。沈殿に10mLのアセトニトリルを
添加し、上記と同様の抽出操作を合計3回繰り返し行な
い、合わせて分析用試料とした。これを高速液体クロマ
トグラフィーで定量分析し、分解率を算出した。その結
果を図6に示すが、加熱処理した木材腐朽菌培養液によ
って土壌中の有機塩素化合物が効率良く分解されている
ことが分かる。
【0047】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、木
材腐朽菌培養液を用いて、芳香族化合物やハロゲン化有
機化合物を効率よく分解処理でき、しかも投入した菌が
生きた状態で残存しない、安全で効率的な分解処理方法
が実現できた。また本発明による上記化合物の分解作用
は菌が生存していない状態、若しくは酵素が機能しない
高温領域においても発揮されるものであるので、適用で
きる環境条件が限られていたり、安全性の問題や生態系
への影響等の問題があったり、酵素が失活するなどの問
題等は基本的に発生することがなく、産業上極めて有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において担子菌LSB−69株を用い
たときのペンタクロロフェノールの分解率を示すグラフ
である。
【図2】実施例1においてリグニン分解菌NK−114
8を用いたときのペンタクロロフェノールの分解率を示
すグラフである。
【図3】実施例1においてカワラタケを用いたときのペ
ンタクロロフェノールの分解率を示すグラフである。
【図4】木材腐朽菌の培養液によるペンタクロロフェノ
ールの分解率に与える反応温度の影響を示すグラフであ
る。
【図5】LSB−69株の培養液によるペンタクロロフ
ェノールの分解率に与える反応温度の影響を示すグラフ
である。
【図6】LSB−69株の加熱処理培養液によるジベン
ゾ−p−ジオキシンの分解率を示すグラフである。
【図7】LSB−69株の加熱処理培養液によるダイオ
キシン類の分解率を示すグラフである。
【図8】LSB−69株の加熱処理培養液による土壌中
ペンタクロロフェノールの分解率を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/00 C12N 1/14 B 1/14 B09B 3/00 E Fターム(参考) 2E191 BA11 BA12 BC05 BD20 4B065 AA57X AC20 BB04 BC03 CA56 4D004 AA41 AB05 AB06 AB07 AB08 CA18 CC07 DA03 DA06 4D038 AA08 AB08 AB11 AB14 BB01 BB20 4D040 DD03 DD11 DD12 DD14 DD16

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族化合物および/またはハロゲン化
    有機化合物を、木材腐朽菌を用いて生物学的に分解処理
    する方法において、下記(1)〜(3)の工程を含んで
    操業することを特徴とする芳香族化合物および/または
    ハロゲン化有機化合物の分解処理方法。 (1)木材腐朽菌を培養する工程 (2)上記(1)の培養工程で得られた培養物を加熱処
    理する工程 (3)上記熱処理工程で処理した培養物を上記化合物と
    接触させる分解処理工程
  2. 【請求項2】 上記(2)の工程における加熱処理温度
    が、50℃以上である請求項1に記載の分解処理方法。
  3. 【請求項3】 芳香族化合物および/またはハロゲン化
    有機化合物を、木材腐朽菌を用いて生物学的に分解処理
    する方法において、下記(4)および(5)の工程を含
    んで操業することを特徴とする分解処理方法。 (4)木材腐朽菌を培養する工程 (5)上記(4)の培養工程の後、木材腐朽菌が生存で
    きない温度以上で上記培養物を上記化合物と接触させる
    分解処理工程。
  4. 【請求項4】 上記(5)の工程における木材腐朽菌が
    生存できない温度が、50℃以上である請求項3に記載
    の分解処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009166027A (ja) * 2007-12-20 2009-07-30 Ehime Univ 石油汚染土壌の浄化方法

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