JP2002190145A - 光磁気記録媒体およびその再生方法 - Google Patents
光磁気記録媒体およびその再生方法Info
- Publication number
- JP2002190145A JP2002190145A JP2001312831A JP2001312831A JP2002190145A JP 2002190145 A JP2002190145 A JP 2002190145A JP 2001312831 A JP2001312831 A JP 2001312831A JP 2001312831 A JP2001312831 A JP 2001312831A JP 2002190145 A JP2002190145 A JP 2002190145A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic layer
- magnetic
- layer
- magneto
- recording medium
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
(57)【要約】
【課題】 磁区拡大再生方式を適用する光磁気記録媒体
において、磁区拡大を利用した情報の再生の際に隣接ト
ラックからの磁気的影響を抑制できる光磁気記録媒体を
提供する。 【解決手段】 第1磁性層、第2磁性層および第3磁性
層をこの順に含む多層膜を形成し、第2磁性層のキュリ
ー温度TC2を第1磁性層のキュリー温度TC1および第3
磁性層のキュリー温度TC3よりも低くして第3磁性層を
垂直磁化膜とする。TC2未満の温度域の少なくとも一部
において、第1磁性層が第2磁性層との交換結合により
垂直に磁化され、この交換結合により第3磁性層の磁化
が第2磁性層を介して第1磁性層へと転写する。第2磁
性層を、室温では面内磁化膜であって、室温よりも高い
臨界温度TCRとTC2との間の温度域において垂直磁化膜
となる磁性膜とする。
において、磁区拡大を利用した情報の再生の際に隣接ト
ラックからの磁気的影響を抑制できる光磁気記録媒体を
提供する。 【解決手段】 第1磁性層、第2磁性層および第3磁性
層をこの順に含む多層膜を形成し、第2磁性層のキュリ
ー温度TC2を第1磁性層のキュリー温度TC1および第3
磁性層のキュリー温度TC3よりも低くして第3磁性層を
垂直磁化膜とする。TC2未満の温度域の少なくとも一部
において、第1磁性層が第2磁性層との交換結合により
垂直に磁化され、この交換結合により第3磁性層の磁化
が第2磁性層を介して第1磁性層へと転写する。第2磁
性層を、室温では面内磁化膜であって、室温よりも高い
臨界温度TCRとTC2との間の温度域において垂直磁化膜
となる磁性膜とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気光学効果を利
用してレーザ光により情報の記録/再生を行う光磁気記
録媒体およびこの媒体に記録された情報の再生方法に関
する。
用してレーザ光により情報の記録/再生を行う光磁気記
録媒体およびこの媒体に記録された情報の再生方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】繰り返し書き換え可能な高密度記録媒体
として、レーザ光の熱エネルギーを利用して磁性薄膜に
微小な磁区を記録し、磁気光学効果を用いて信号を再生
する光磁気記録媒体の技術開発が盛んに行われている。
この媒体では、媒体上に集光された光ビームのビーム径
に対して、記録用磁区である記録ビットの径および間隔
が小さくなると、再生特性が劣化する。これは、目的と
する記録ビット上に集光された光ビームのビーム径内
に、隣接する記録ビットが入るためである。
として、レーザ光の熱エネルギーを利用して磁性薄膜に
微小な磁区を記録し、磁気光学効果を用いて信号を再生
する光磁気記録媒体の技術開発が盛んに行われている。
この媒体では、媒体上に集光された光ビームのビーム径
に対して、記録用磁区である記録ビットの径および間隔
が小さくなると、再生特性が劣化する。これは、目的と
する記録ビット上に集光された光ビームのビーム径内
に、隣接する記録ビットが入るためである。
【0003】そこで、超解像方式、磁壁移動を利用した
磁区拡大再生方式などが提案されている。以下、特開平
6−290496号公報に開示されている磁区拡大再生
方式について、図8を参照して説明する。磁区拡大再生
方式では、記録層83の微小記録磁区を磁区拡大層81
で拡大することによって、再生信号の振幅を大きくと
る。なお、図中、各層中の矢印は遷移金属の副格子磁化
の方向を示している。ただし、中間層82の一部89で
は、キュリー温度以上に達して磁気秩序が失われてい
る。
磁区拡大再生方式などが提案されている。以下、特開平
6−290496号公報に開示されている磁区拡大再生
方式について、図8を参照して説明する。磁区拡大再生
方式では、記録層83の微小記録磁区を磁区拡大層81
で拡大することによって、再生信号の振幅を大きくと
る。なお、図中、各層中の矢印は遷移金属の副格子磁化
の方向を示している。ただし、中間層82の一部89で
は、キュリー温度以上に達して磁気秩序が失われてい
る。
【0004】光磁気記録媒体にレーザ光80を照射しな
がら、図面右方向にディスクを移動させると、膜温度が
最大となる位置は、ビームスポットの進行方向(図面左
方向)について、ビームスポット中心よりも後方とな
る。磁区拡大層81における磁壁エネルギー密度σ
1は、通常、温度の上昇とともに減少する。従って、温
度勾配があると磁壁エネルギー密度σ1は高温側に向か
って減少していく。媒体上の位置xに存在する各層の磁
壁に対しては、次式で示される力F1が作用する。
がら、図面右方向にディスクを移動させると、膜温度が
最大となる位置は、ビームスポットの進行方向(図面左
方向)について、ビームスポット中心よりも後方とな
る。磁区拡大層81における磁壁エネルギー密度σ
1は、通常、温度の上昇とともに減少する。従って、温
度勾配があると磁壁エネルギー密度σ1は高温側に向か
って減少していく。媒体上の位置xに存在する各層の磁
壁に対しては、次式で示される力F1が作用する。
【0005】F1=−dσ1/dx
【0006】この力F1は、磁壁エネルギー密度が低い
方向、即ち高温側へと磁壁を移動させるように作用す
る。このため、磁壁抗磁力が小さい磁区拡大層81で
は、中間層82がキュリー温度に達して交換結合が遮断
された領域において、力F1により磁壁88が高温側へ
と移動する。このとき磁壁が移動する速度は、媒体の移
動速度に比べて充分に速い。こうして、記録層83に保
存された磁区よりも大きな磁区が磁区拡大層81に転写
される。
方向、即ち高温側へと磁壁を移動させるように作用す
る。このため、磁壁抗磁力が小さい磁区拡大層81で
は、中間層82がキュリー温度に達して交換結合が遮断
された領域において、力F1により磁壁88が高温側へ
と移動する。このとき磁壁が移動する速度は、媒体の移
動速度に比べて充分に速い。こうして、記録層83に保
存された磁区よりも大きな磁区が磁区拡大層81に転写
される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の磁区拡大再
生方式では、隣接トラックに存在する磁区が、トラック
伸長方向への磁壁の円滑な移動を阻害するという問題が
あった。そこで、隣接トラックとの磁気的な分離によっ
て、半径方向の磁壁移動を遮断する方法が提案されてい
る。以下に主な2つの手法を記す。基板上に矩形の案
内溝(グルーブ)を形成し、各トラック間をグルーブで
分離する。隣接トラックの記録層をアニールして面内
磁化膜とする。
生方式では、隣接トラックに存在する磁区が、トラック
伸長方向への磁壁の円滑な移動を阻害するという問題が
あった。そこで、隣接トラックとの磁気的な分離によっ
て、半径方向の磁壁移動を遮断する方法が提案されてい
る。以下に主な2つの手法を記す。基板上に矩形の案
内溝(グルーブ)を形成し、各トラック間をグルーブで
分離する。隣接トラックの記録層をアニールして面内
磁化膜とする。
【0008】しかし、を適用しても、現実には段差部
分にも多少膜が形成されて磁性層がつながってしまうた
め、完全な磁気的分離は困難である。の手法について
は、工業的に適用できる手法が未だ知られておらず、ま
た、隣接トラックの記録膜をアニールすることは高密度
記録の点で不利である。
分にも多少膜が形成されて磁性層がつながってしまうた
め、完全な磁気的分離は困難である。の手法について
は、工業的に適用できる手法が未だ知られておらず、ま
た、隣接トラックの記録膜をアニールすることは高密度
記録の点で不利である。
【0009】本発明は、上記事情に鑑み、磁区拡大再生
方式を適用する光磁気記録媒体の改善、具体的には、磁
区拡大を利用した情報の再生の際に隣接トラックからの
磁気的影響を抑制できる光磁気記録媒体を提供すること
を目的とする。
方式を適用する光磁気記録媒体の改善、具体的には、磁
区拡大を利用した情報の再生の際に隣接トラックからの
磁気的影響を抑制できる光磁気記録媒体を提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の光磁気記録媒体
は、基板と、この基板上に形成された多層膜とを含み、
この多層膜が第1磁性層、第2磁性層および第3磁性層
を含み、第2磁性層が第1磁性層と第3磁性層との間に
配置され、第2磁性層のキュリー温度TC2が第1磁性層
のキュリー温度TC1および第3磁性層のキュリー温度T
C3よりも低く、第3磁性層が垂直磁化膜であり、TC2未
満の温度域の少なくとも一部において、第1磁性層が第
2磁性層との交換結合により垂直に磁化され、この交換
結合により第3磁性層の磁化が第2磁性層を介して第1
磁性層へと転写される光磁気記録媒体であって、第2磁
性層が、室温では面内磁化膜であって、室温よりも高い
臨界温度TCRとキュリー温度TC2との間の温度域におい
て垂直磁化膜となることを特徴とする。本明細書におい
て、室温とは、厳密には20℃を指すものとする。
は、基板と、この基板上に形成された多層膜とを含み、
この多層膜が第1磁性層、第2磁性層および第3磁性層
を含み、第2磁性層が第1磁性層と第3磁性層との間に
配置され、第2磁性層のキュリー温度TC2が第1磁性層
のキュリー温度TC1および第3磁性層のキュリー温度T
C3よりも低く、第3磁性層が垂直磁化膜であり、TC2未
満の温度域の少なくとも一部において、第1磁性層が第
2磁性層との交換結合により垂直に磁化され、この交換
結合により第3磁性層の磁化が第2磁性層を介して第1
磁性層へと転写される光磁気記録媒体であって、第2磁
性層が、室温では面内磁化膜であって、室温よりも高い
臨界温度TCRとキュリー温度TC2との間の温度域におい
て垂直磁化膜となることを特徴とする。本明細書におい
て、室温とは、厳密には20℃を指すものとする。
【0011】また、本発明の光磁気記録媒体の再生方法
は、上記光磁気記録媒体から情報を再生する方法であっ
て、光ビームを上記媒体に対して相対的に移動させなが
ら照射して、第2磁性層のキュリー温度TC2以上であっ
て第1磁性層のキュリー温度TC1および第3磁性層のキ
ュリー温度TC3よりも低い温度となった遮蔽領域と、第
1磁性層が第2磁性層との交換結合により垂直に磁化さ
れ、この交換結合を介して第3磁性層の磁化が第2磁性
層を介して第1磁性層へと転写された垂直磁化領域とを
形成し、第1磁性層の磁壁を上記垂直磁化領域から上記
遮蔽領域へと移動させることにより上記垂直磁化領域の
磁区を拡大し、拡大した磁区からの上記光ビームの反射
光の偏向面の変化を検出することを特徴とする。
は、上記光磁気記録媒体から情報を再生する方法であっ
て、光ビームを上記媒体に対して相対的に移動させなが
ら照射して、第2磁性層のキュリー温度TC2以上であっ
て第1磁性層のキュリー温度TC1および第3磁性層のキ
ュリー温度TC3よりも低い温度となった遮蔽領域と、第
1磁性層が第2磁性層との交換結合により垂直に磁化さ
れ、この交換結合を介して第3磁性層の磁化が第2磁性
層を介して第1磁性層へと転写された垂直磁化領域とを
形成し、第1磁性層の磁壁を上記垂直磁化領域から上記
遮蔽領域へと移動させることにより上記垂直磁化領域の
磁区を拡大し、拡大した磁区からの上記光ビームの反射
光の偏向面の変化を検出することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
ましい実施形態を説明する。図1および図2に示した媒
体には、基板15上に干渉層10を介して磁性多層膜が
配置されている。この磁性多層膜は、基板側から順に、
第1磁性層(磁区拡大層)11、第2磁性層(中間層)
12および第3磁性層(記録層)13を含み、これら各
層が互いに接している。この磁性多層膜上には、さらに
保護膜14が配置されている。
ましい実施形態を説明する。図1および図2に示した媒
体には、基板15上に干渉層10を介して磁性多層膜が
配置されている。この磁性多層膜は、基板側から順に、
第1磁性層(磁区拡大層)11、第2磁性層(中間層)
12および第3磁性層(記録層)13を含み、これら各
層が互いに接している。この磁性多層膜上には、さらに
保護膜14が配置されている。
【0013】中間層12は、室温では面内磁化状態に保
たれている。このため、室温では、磁区拡大層11と記
録層13との交換結合が成立しない。一方、中間層は、
レーザ光20の照射により臨界温度TCRを超えると面内
磁化膜から垂直磁化膜に遷移する特性を有するため、臨
界温度TCRとキュリー温度TC2との間の温度域では、磁
区拡大層11と記録層13との間に中間層12を介した
交換結合が成立する。中間層は、さらに加熱されてこの
層のキュリー温度TC2以上に達すると、磁気秩序を失
う。このため、この領域(遮蔽領域)19では、再び磁
区拡大層11と記録層13との交換結合が切断される。
その結果、交換結合が成立している領域(垂直磁化領
域)における磁区拡大層11の磁壁28が上述の力F1
により高温側へと移動して磁区が拡大する。
たれている。このため、室温では、磁区拡大層11と記
録層13との交換結合が成立しない。一方、中間層は、
レーザ光20の照射により臨界温度TCRを超えると面内
磁化膜から垂直磁化膜に遷移する特性を有するため、臨
界温度TCRとキュリー温度TC2との間の温度域では、磁
区拡大層11と記録層13との間に中間層12を介した
交換結合が成立する。中間層は、さらに加熱されてこの
層のキュリー温度TC2以上に達すると、磁気秩序を失
う。このため、この領域(遮蔽領域)19では、再び磁
区拡大層11と記録層13との交換結合が切断される。
その結果、交換結合が成立している領域(垂直磁化領
域)における磁区拡大層11の磁壁28が上述の力F1
により高温側へと移動して磁区が拡大する。
【0014】隣接トラック(図2ではランド部23)で
は、再生の対象とするトラック(図2ではグルーブ部2
2)よりも温度が低い。このため、図2に示すように、
信号を再生するべきトラックの中間層12が臨界温度T
CRとキュリー温度TC2との間の温度に達していても、隣
接トラックおよびランド壁のテーパ面では、中間層12
と磁区拡大層11とが面内磁化状態に保たれている。こ
うして、隣接トラックからの磁気的なつながりが切断さ
れる。また、隣接トラックからの浮遊磁界による静磁的
な結合力が抑制されるため、クロストークも低減でき
る。さらに、レーザ光のスポット径内において、再生す
る磁区以外の磁区拡大層が面内磁化状態になっているた
め、再生信号にとって余分なノイズを抑制できる。
は、再生の対象とするトラック(図2ではグルーブ部2
2)よりも温度が低い。このため、図2に示すように、
信号を再生するべきトラックの中間層12が臨界温度T
CRとキュリー温度TC2との間の温度に達していても、隣
接トラックおよびランド壁のテーパ面では、中間層12
と磁区拡大層11とが面内磁化状態に保たれている。こ
うして、隣接トラックからの磁気的なつながりが切断さ
れる。また、隣接トラックからの浮遊磁界による静磁的
な結合力が抑制されるため、クロストークも低減でき
る。さらに、レーザ光のスポット径内において、再生す
る磁区以外の磁区拡大層が面内磁化状態になっているた
め、再生信号にとって余分なノイズを抑制できる。
【0015】上記のように、上記特性を有する中間層を
含む媒体に、トラック伸長方向に沿って媒体に対して相
対的に移動させながらレーザ光を連続して照射すること
により、磁性多層膜に局所的にTCR未満の低温からTC2
以上であってTC1およびTC3未満の高温にまで至る温度
分布21を形成すると、隣接トラックからの磁気的影響
を排除しながら、垂直磁化領域から遮蔽領域へと磁区を
拡大し、この拡大した磁区から情報を再生できる。レー
ザ光の照射方法、および拡大した磁区からの反射光に基
づく情報の再生方法には、従来から用いられてきた方法
をそのまま適用すれば足りる。
含む媒体に、トラック伸長方向に沿って媒体に対して相
対的に移動させながらレーザ光を連続して照射すること
により、磁性多層膜に局所的にTCR未満の低温からTC2
以上であってTC1およびTC3未満の高温にまで至る温度
分布21を形成すると、隣接トラックからの磁気的影響
を排除しながら、垂直磁化領域から遮蔽領域へと磁区を
拡大し、この拡大した磁区から情報を再生できる。レー
ザ光の照射方法、および拡大した磁区からの反射光に基
づく情報の再生方法には、従来から用いられてきた方法
をそのまま適用すれば足りる。
【0016】キュリー温度TC2と臨界温度TCRとの差
は、100℃よりも小さいこと、特に80℃よりも小さ
いことが好ましい。TCRとTC2との差が100℃以上あ
ると、TC2近傍での垂直磁気異方性が小さくなる傾向が
あるからである。一方、TC2とTCRとの差が小さすぎる
と、記録層から磁区拡大層への磁区の転写が生じる領域
が狭くなりすぎるため、再生信号に欠落が生じることが
ある。このため、キュリー温度TC2と臨界温度TCRとの
差は20℃よりも大きいことが好ましい。よって、特に
好ましいTCRの範囲は、以下の式により示すことができ
る。TC2−80<TCR<TC2−20
は、100℃よりも小さいこと、特に80℃よりも小さ
いことが好ましい。TCRとTC2との差が100℃以上あ
ると、TC2近傍での垂直磁気異方性が小さくなる傾向が
あるからである。一方、TC2とTCRとの差が小さすぎる
と、記録層から磁区拡大層への磁区の転写が生じる領域
が狭くなりすぎるため、再生信号に欠落が生じることが
ある。このため、キュリー温度TC2と臨界温度TCRとの
差は20℃よりも大きいことが好ましい。よって、特に
好ましいTCRの範囲は、以下の式により示すことができ
る。TC2−80<TCR<TC2−20
【0017】中間層は、室温で面内磁化状態、臨界温度
TCR以上で垂直磁化状態とするためには、その補償組成
温度を室温以上TCR以下とすることが好ましい。中間層
のキュリー温度TC2は130℃以上160℃以下が好適
である。磁区拡大層のキュリー温度TC1とTC2との差
は、100℃以上が好ましい。信号のキャリア値は、キ
ュリー温度と関係しており、キュリー温度が高い程、大
きなキャリア値が期待できる。しかし、本発明の媒体で
は、磁区拡大層に高いキュリー温度を有する磁性膜を用
いると、磁壁抗磁力が大きくなり過ぎて十分な信号を得
ることができない場合がある。
TCR以上で垂直磁化状態とするためには、その補償組成
温度を室温以上TCR以下とすることが好ましい。中間層
のキュリー温度TC2は130℃以上160℃以下が好適
である。磁区拡大層のキュリー温度TC1とTC2との差
は、100℃以上が好ましい。信号のキャリア値は、キ
ュリー温度と関係しており、キュリー温度が高い程、大
きなキャリア値が期待できる。しかし、本発明の媒体で
は、磁区拡大層に高いキュリー温度を有する磁性膜を用
いると、磁壁抗磁力が大きくなり過ぎて十分な信号を得
ることができない場合がある。
【0018】図示したように、磁区拡大層(第1磁性
層)と中間層(第2磁性層)とは接して形成するとよ
い。例えば非磁性層を介在させて静磁結合させるよりも
磁気的結合が強くなるため、0.10μm程度の短い記
録マークでも安定した形成、転写ができるからである。
層)と中間層(第2磁性層)とは接して形成するとよ
い。例えば非磁性層を介在させて静磁結合させるよりも
磁気的結合が強くなるため、0.10μm程度の短い記
録マークでも安定した形成、転写ができるからである。
【0019】中間層(第2磁性層)の材料には、特に制
限はないが、例えば、GdFe、GeFeCo、GeF
eAl、GdFeCr、GdFeCoCr、GdFeS
i、GdFeCoSi、GeFeCoAl、TbFe、
TbFeCo、TbFeAl、TbFeCr、TbFe
CoCr、TbFeSi、TbFeCoSiおよびTb
FeCoAlから選ばれるいずれかの合金が適してい
る。これらの合金から、キュリー温度TC2および臨界温
度TCRが適切な範囲となるように組成を調整するとよ
い。適切な組成範囲を以下に例示する。
限はないが、例えば、GdFe、GeFeCo、GeF
eAl、GdFeCr、GdFeCoCr、GdFeS
i、GdFeCoSi、GeFeCoAl、TbFe、
TbFeCo、TbFeAl、TbFeCr、TbFe
CoCr、TbFeSi、TbFeCoSiおよびTb
FeCoAlから選ばれるいずれかの合金が適してい
る。これらの合金から、キュリー温度TC2および臨界温
度TCRが適切な範囲となるように組成を調整するとよ
い。適切な組成範囲を以下に例示する。
【0020】中間層は、例えば、組成式(GdxF
e1-x)1-yMyにより表示される合金であってよい。た
だし、Mは、CrおよびSiから選ばれる少なくとも1
種であり、xは0.15以上0.40以下、yは0以上
0.30以下の数値である。なお、組成式では、慣用に
従い、原子%(at%)で成分の比率を表示する。また例
えば、中間層は、第2磁性層が、組成式(TbxF
e1-x)1-yMyにより表示される合金であってもよい。
M、xおよびyは、上記と同様である。なお、中間層の
補償組成温度を室温以上TCR以下とするためには、希土
類元素(Gd,Tb)の含有量を23〜27at%とする
ことが好ましい。
e1-x)1-yMyにより表示される合金であってよい。た
だし、Mは、CrおよびSiから選ばれる少なくとも1
種であり、xは0.15以上0.40以下、yは0以上
0.30以下の数値である。なお、組成式では、慣用に
従い、原子%(at%)で成分の比率を表示する。また例
えば、中間層は、第2磁性層が、組成式(TbxF
e1-x)1-yMyにより表示される合金であってもよい。
M、xおよびyは、上記と同様である。なお、中間層の
補償組成温度を室温以上TCR以下とするためには、希土
類元素(Gd,Tb)の含有量を23〜27at%とする
ことが好ましい。
【0021】記録層(第3磁性層)には、希土類−遷移
金属非晶質合金、例えばTbFeCo、DyFeCo、
TbDyFeCo等、微小な記録ビットを形成でき、か
つ形成された記録ビットが安定に保存できるような垂直
磁気異方性および保磁力が大きい材料が適している。ガ
ーネット類、Pt/Co、Pd/Co磁性人工格子膜等
の垂直磁化膜を用いてもよい。記録情報は、この層の各
磁区に磁化の上下の向きにより保持される。なお、記録
層の保磁力は、室温において、第1磁性層の保磁力より
大きいことが好ましく、具体的には3kOe(約238.
8kA/m)以上が好適である。
金属非晶質合金、例えばTbFeCo、DyFeCo、
TbDyFeCo等、微小な記録ビットを形成でき、か
つ形成された記録ビットが安定に保存できるような垂直
磁気異方性および保磁力が大きい材料が適している。ガ
ーネット類、Pt/Co、Pd/Co磁性人工格子膜等
の垂直磁化膜を用いてもよい。記録情報は、この層の各
磁区に磁化の上下の向きにより保持される。なお、記録
層の保磁力は、室温において、第1磁性層の保磁力より
大きいことが好ましく、具体的には3kOe(約238.
8kA/m)以上が好適である。
【0022】磁区拡大層(第1磁性層)は、第1、第3
磁性層に比べて磁壁抗磁力が小さく、磁壁移動度が大き
い材料を用いるとよい。具体的には、局所的に加熱され
てキュリー温度TC2以上となった遮蔽領域において、第
2磁性層との交換結合により垂直に磁化された垂直磁化
領域から遮蔽領域へと磁壁が移動する程度に小さい磁壁
抗磁力を有する層とするとよい。磁区拡大層には、例え
ばGdCo、GdFeCo、GdFe、NdGdFeC
o等の垂直磁気異方性が小さな希土類−遷移金属非晶質
合金が適している。ガーネット等のバブルメモリ用材料
を用いてもよい。また、Al、AlTa、AlTi、A
lCr、Cu等からなる金属層を付加して熱的な特性を
調整してもよい。高分子樹脂からなる保護コートを付加
してもかまわない。
磁性層に比べて磁壁抗磁力が小さく、磁壁移動度が大き
い材料を用いるとよい。具体的には、局所的に加熱され
てキュリー温度TC2以上となった遮蔽領域において、第
2磁性層との交換結合により垂直に磁化された垂直磁化
領域から遮蔽領域へと磁壁が移動する程度に小さい磁壁
抗磁力を有する層とするとよい。磁区拡大層には、例え
ばGdCo、GdFeCo、GdFe、NdGdFeC
o等の垂直磁気異方性が小さな希土類−遷移金属非晶質
合金が適している。ガーネット等のバブルメモリ用材料
を用いてもよい。また、Al、AlTa、AlTi、A
lCr、Cu等からなる金属層を付加して熱的な特性を
調整してもよい。高分子樹脂からなる保護コートを付加
してもかまわない。
【0023】上記各磁性層に加え、後述する干渉層等を
適宜追加してもよい。干渉層は、磁気光学効果の向上と
磁性層の保護とのために形成することが好ましく、例え
ばSi3N4、AlN、AlSiN、SiO2、SiO、
ZnS、MgF2等の透明誘電材料が適している。
適宜追加してもよい。干渉層は、磁気光学効果の向上と
磁性層の保護とのために形成することが好ましく、例え
ばSi3N4、AlN、AlSiN、SiO2、SiO、
ZnS、MgF2等の透明誘電材料が適している。
【0024】上記各層の成膜法に制限はなく、各種スパ
ッタリング法、蒸着法等を適用して形成すればよい。
ッタリング法、蒸着法等を適用して形成すればよい。
【0025】透明基板としては、例えば、ガラス、ポリ
カーボネート系樹脂等を用いればよい。トラッキングサ
ーボのために、案内溝(グルーブ)を形成した連続サー
ボ方式を適用する基板としてもよく、案内溝を形成しな
いサンプルサーボ方式を適用する基板としてもよい。な
お、案内溝を形成する場合には、ランド&グルーブ記録
を行ってもよいが、いずれか一方のみに信号を記録再生
してもよい。
カーボネート系樹脂等を用いればよい。トラッキングサ
ーボのために、案内溝(グルーブ)を形成した連続サー
ボ方式を適用する基板としてもよく、案内溝を形成しな
いサンプルサーボ方式を適用する基板としてもよい。な
お、案内溝を形成する場合には、ランド&グルーブ記録
を行ってもよいが、いずれか一方のみに信号を記録再生
してもよい。
【0026】上記で説明した磁区拡大方式を適用する光
磁気記録媒体は、典型的には、下記の条件を満たすよう
に作製される。 室温から再生時の温度範囲において、微小磁区を安定
に保持する垂直磁化膜である記録層13を有する。 室温から中間層12のキュリー温度TC2に至るまでの
少なくとも一部の温度域で、記録層13、中間層12お
よび磁区拡大層11が互いに交換結合する。 中間層12がそのキュリー温度を越えて磁気秩序を失
った領域(遮蔽領域)19では、記録層13から磁区拡
大層11までの交換結合が断ち切られる。 磁区拡大層11の磁壁抗磁力が小さく、かつ温度勾配
により磁壁エネルギー勾配が生じるため、遮蔽領域19
において、記録層13から転写された磁区を基点として
磁壁28が移動する。その結果、遮蔽領域において磁区
拡大層の磁区は拡大し、同じ方向に揃う。
磁気記録媒体は、典型的には、下記の条件を満たすよう
に作製される。 室温から再生時の温度範囲において、微小磁区を安定
に保持する垂直磁化膜である記録層13を有する。 室温から中間層12のキュリー温度TC2に至るまでの
少なくとも一部の温度域で、記録層13、中間層12お
よび磁区拡大層11が互いに交換結合する。 中間層12がそのキュリー温度を越えて磁気秩序を失
った領域(遮蔽領域)19では、記録層13から磁区拡
大層11までの交換結合が断ち切られる。 磁区拡大層11の磁壁抗磁力が小さく、かつ温度勾配
により磁壁エネルギー勾配が生じるため、遮蔽領域19
において、記録層13から転写された磁区を基点として
磁壁28が移動する。その結果、遮蔽領域において磁区
拡大層の磁区は拡大し、同じ方向に揃う。
【0027】ただし、本発明の媒体は、上記条件を完全
に満たす形態に限らず、種々の形態に適用が可能であ
る。これら形態のいくつかについて、媒体の具体例を以
下に示す。
に満たす形態に限らず、種々の形態に適用が可能であ
る。これら形態のいくつかについて、媒体の具体例を以
下に示す。
【0028】(実施の形態1)直流マグネトロンスパッ
タリング装置に、BをドープしたSi、GdFeCo、
TbFe、Fe、Co、AlTiの各ターゲットを取り
付けた。この装置の基板ホルダーには、トラッキングに
用いる幅0.6μm、深さ55nmの案内溝(グルー
ブ)を有する円盤状のポリカーボネートを設置した。こ
のランド&グルーブ基板は、射出成形により得たもので
ある。
タリング装置に、BをドープしたSi、GdFeCo、
TbFe、Fe、Co、AlTiの各ターゲットを取り
付けた。この装置の基板ホルダーには、トラッキングに
用いる幅0.6μm、深さ55nmの案内溝(グルー
ブ)を有する円盤状のポリカーボネートを設置した。こ
のランド&グルーブ基板は、射出成形により得たもので
ある。
【0029】次いで、装置内が1×10-5Pa以下の高
真空になるまでチャンバー内をクライオポンプで真空排
気し、排気を継続しながら0.3PaとなるまでArガ
スをチャンバー内に導入した。引き続き、基板を回転さ
せながら、干渉層として膜厚80nmのSiN層を、磁
区拡大層として膜厚40nmのGdFeCoAlTi層
(TC1=290℃)を、中間層として膜厚10nmのG
dFeAl層(TC2=150℃、TCR=100℃、組成
式Gd0.25Fe0.55Al0.20)を、記録層として膜厚8
0nmのTbFeCo層(TC3=300℃)を、保護層
として膜厚50nmのSiN層を順次成膜して媒体Aを
得た。なお、SiN層は、Arガスに加えてN2ガスを
導入して行う直流反応性スパッタリングにより成膜し
た。また、中間層を膜厚10nmのTbFe層(キュリ
ー温度=150℃)とした以外は、上記と同様にして媒
体Bを得た。TbFe層は、図8に示したように、室温
において垂直磁化状態にある磁性膜である。
真空になるまでチャンバー内をクライオポンプで真空排
気し、排気を継続しながら0.3PaとなるまでArガ
スをチャンバー内に導入した。引き続き、基板を回転さ
せながら、干渉層として膜厚80nmのSiN層を、磁
区拡大層として膜厚40nmのGdFeCoAlTi層
(TC1=290℃)を、中間層として膜厚10nmのG
dFeAl層(TC2=150℃、TCR=100℃、組成
式Gd0.25Fe0.55Al0.20)を、記録層として膜厚8
0nmのTbFeCo層(TC3=300℃)を、保護層
として膜厚50nmのSiN層を順次成膜して媒体Aを
得た。なお、SiN層は、Arガスに加えてN2ガスを
導入して行う直流反応性スパッタリングにより成膜し
た。また、中間層を膜厚10nmのTbFe層(キュリ
ー温度=150℃)とした以外は、上記と同様にして媒
体Bを得た。TbFe層は、図8に示したように、室温
において垂直磁化状態にある磁性膜である。
【0030】こうして得た両媒体について、記録再生特
性を測定した。特性の評価には、一般的な光磁気ディス
ク記録再生装置の光学系を用いた。この光学系には、レ
ーザ波長660nmの光源が備えられている。記録再生
は媒体を線速1.5m/sで駆動して行った。記録はデ
ューティ33%のパルスレーザ光を10mWで照射しな
がら磁界を±350Oe(約27.86kA/m)で変調
することにより、磁界の変調に対応した上向き磁化と下
向き磁化との繰り返しパターンを形成した。この記録
は、記録層のキュリー温度以上に媒体を加熱して行っ
た。この方法で、媒体A,Bにそれぞれ記録長さ0.2
μmの磁区を形成した。なお、媒体Bの両側の隣接トラ
ックを10mWのDC光でアニール処理を施した媒体C
も作製した。引き続き、これら媒体の磁区拡大再生を評
価するために再生パワー特性を測定した。
性を測定した。特性の評価には、一般的な光磁気ディス
ク記録再生装置の光学系を用いた。この光学系には、レ
ーザ波長660nmの光源が備えられている。記録再生
は媒体を線速1.5m/sで駆動して行った。記録はデ
ューティ33%のパルスレーザ光を10mWで照射しな
がら磁界を±350Oe(約27.86kA/m)で変調
することにより、磁界の変調に対応した上向き磁化と下
向き磁化との繰り返しパターンを形成した。この記録
は、記録層のキュリー温度以上に媒体を加熱して行っ
た。この方法で、媒体A,Bにそれぞれ記録長さ0.2
μmの磁区を形成した。なお、媒体Bの両側の隣接トラ
ックを10mWのDC光でアニール処理を施した媒体C
も作製した。引き続き、これら媒体の磁区拡大再生を評
価するために再生パワー特性を測定した。
【0031】測定結果の信号対雑音比(C/N比)の再
生パワー依存性を図3に示す。
生パワー依存性を図3に示す。
【0032】媒体Aでは、再生パワーが1mW付近で膜
の一部が中間層のキュリー温度TC2に達し、1mW以上
の再生パワーでは磁区拡大層の磁壁移動が起こる。この
ため、マーク長0.2μmという光の回折限界以下の周
期の信号でも再生可能となり、40dBのC/N比が測
定された。一方、媒体Bでは、20dB程度の信号が確
認できることから、磁区拡大現象が起こっていると考え
られるが、レーザ光の進行方向だけではなく、隣のトラ
ックや、ランド壁のテーパ面からも磁壁移動が起こって
おり、安定して信号を再生することができない。
の一部が中間層のキュリー温度TC2に達し、1mW以上
の再生パワーでは磁区拡大層の磁壁移動が起こる。この
ため、マーク長0.2μmという光の回折限界以下の周
期の信号でも再生可能となり、40dBのC/N比が測
定された。一方、媒体Bでは、20dB程度の信号が確
認できることから、磁区拡大現象が起こっていると考え
られるが、レーザ光の進行方向だけではなく、隣のトラ
ックや、ランド壁のテーパ面からも磁壁移動が起こって
おり、安定して信号を再生することができない。
【0033】隣接トラックをアニール処理した媒体Cで
は、C/N比が36dB程度にまで向上した。しかし、
媒体Aからは、さらに高いC/N比が得られているた
め、より広い範囲に磁区が拡大していると考えられる。
特に、両媒体における特性の差は、トラックピッチ幅が
小さい基板でより大きくなった。これは、磁区の拡大が
トラック伸長方向だけではなくトラック幅方向にまで及
んでいることを示唆している。
は、C/N比が36dB程度にまで向上した。しかし、
媒体Aからは、さらに高いC/N比が得られているた
め、より広い範囲に磁区が拡大していると考えられる。
特に、両媒体における特性の差は、トラックピッチ幅が
小さい基板でより大きくなった。これは、磁区の拡大が
トラック伸長方向だけではなくトラック幅方向にまで及
んでいることを示唆している。
【0034】媒体BおよびCでは、磁区拡大層は、それ
自体に保磁力がないにもかかわらず、室温からTC2まで
の範囲で、交換結合によって記録層と同方向に磁気モー
メントが配向している。これに対し、媒体Aでは、室温
からTCRまでの範囲で、磁区拡大層に記録層の磁化方向
が転写されないため、上記のような磁区の拡大が可能に
なったと考えられる。
自体に保磁力がないにもかかわらず、室温からTC2まで
の範囲で、交換結合によって記録層と同方向に磁気モー
メントが配向している。これに対し、媒体Aでは、室温
からTCRまでの範囲で、磁区拡大層に記録層の磁化方向
が転写されないため、上記のような磁区の拡大が可能に
なったと考えられる。
【0035】なお、磁区拡大層に用いたGdFeCoA
lTiは、磁壁エネルギー密度が非常に大きいため、層
内に微小な磁区を形成して磁壁面積を拡大するのはエネ
ルギー的に不利になる。磁壁エネルギー密度が大きい磁
区拡大層を用いると、磁区が安定に存在しやすい大きさ
へと拡大する駆動力も大きくなる。
lTiは、磁壁エネルギー密度が非常に大きいため、層
内に微小な磁区を形成して磁壁面積を拡大するのはエネ
ルギー的に不利になる。磁壁エネルギー密度が大きい磁
区拡大層を用いると、磁区が安定に存在しやすい大きさ
へと拡大する駆動力も大きくなる。
【0036】(実施の形態2)図4に示した光磁気記録
媒体では、基板15上に干渉層10を介して形成された
磁性多層膜において、磁区拡大層11と中間層12との
間に制御層18が配置されている。さらに、磁区拡大層
11の基板側に再生層17が配置されている。
媒体では、基板15上に干渉層10を介して形成された
磁性多層膜において、磁区拡大層11と中間層12との
間に制御層18が配置されている。さらに、磁区拡大層
11の基板側に再生層17が配置されている。
【0037】再生層17には、他の磁性層と同様、希土
類−遷移金属非晶質合金を用いればよいが、磁区拡大層
11よりも高いキュリー温度TC5(TC5>TC1)を有す
る材料が適しており、例えば、GdCo、GdFeC
o、GdFeCoAl、GdFe、NdGdFeCo等
を適用できる。
類−遷移金属非晶質合金を用いればよいが、磁区拡大層
11よりも高いキュリー温度TC5(TC5>TC1)を有す
る材料が適しており、例えば、GdCo、GdFeC
o、GdFeCoAl、GdFe、NdGdFeCo等
を適用できる。
【0038】磁区拡大層11のレーザ光の入射側に再生
層17を配置すると、より大きな振幅で信号を再生でき
る。磁区拡大層11には、磁壁の移動度を考慮すると、
磁壁エネルギー密度の温度勾配が大きい材料が好ましい
が、磁壁エネルギー密度はキュリー温度直下で最も変化
量が大きくなる。このため、磁区拡大層にはキュリー温
度が比較的低い材料が適している。再生層を設ける場合
のキュリー温度TC1は、中間層にもよるが、(TC2+2
0)℃以上(TC2+120)℃以下が好ましい。このよ
うに再生層のキュリー温度を下げてTC2近くにすると、
低い再生パワーで磁壁移動が起こり始めるため、広い再
生パワーマージンを得ることができる。しかし、キュリ
ー温度が低い磁性材料はカー回転角が小さく、小さなカ
ー回転角は信号のキャリア値の低下につながる。このた
め、第1磁性層を、第2磁性層側から順に、磁区拡大層
となる磁性層aと、この磁性層aよりもキュリー温度が
高く、磁区拡大層とともに磁壁が移動する磁性層b(再
生層)とを含む多層膜とすると、振幅を増幅できる。再
生層として、複数の膜を積層してもよい。
層17を配置すると、より大きな振幅で信号を再生でき
る。磁区拡大層11には、磁壁の移動度を考慮すると、
磁壁エネルギー密度の温度勾配が大きい材料が好ましい
が、磁壁エネルギー密度はキュリー温度直下で最も変化
量が大きくなる。このため、磁区拡大層にはキュリー温
度が比較的低い材料が適している。再生層を設ける場合
のキュリー温度TC1は、中間層にもよるが、(TC2+2
0)℃以上(TC2+120)℃以下が好ましい。このよ
うに再生層のキュリー温度を下げてTC2近くにすると、
低い再生パワーで磁壁移動が起こり始めるため、広い再
生パワーマージンを得ることができる。しかし、キュリ
ー温度が低い磁性材料はカー回転角が小さく、小さなカ
ー回転角は信号のキャリア値の低下につながる。このた
め、第1磁性層を、第2磁性層側から順に、磁区拡大層
となる磁性層aと、この磁性層aよりもキュリー温度が
高く、磁区拡大層とともに磁壁が移動する磁性層b(再
生層)とを含む多層膜とすると、振幅を増幅できる。再
生層として、複数の膜を積層してもよい。
【0039】第4磁性層である制御層18には、磁区拡
大層11のキュリー温度TC1よりも低く、中間層12の
キュリー温度TC2よりも高いキュリー温度TC4を有し
(TC2<TC4<TC1)、磁壁抗磁力が大きい磁性材料を
用いるとよい。この層は、室温付近(例えば20℃〜6
0℃)に補償組成温度を有し、室温で垂直磁化状態にあ
る膜がより好ましい。
大層11のキュリー温度TC1よりも低く、中間層12の
キュリー温度TC2よりも高いキュリー温度TC4を有し
(TC2<TC4<TC1)、磁壁抗磁力が大きい磁性材料を
用いるとよい。この層は、室温付近(例えば20℃〜6
0℃)に補償組成温度を有し、室温で垂直磁化状態にあ
る膜がより好ましい。
【0040】制御層18は、垂直磁化膜であっても、図
4に示したようにこの層の磁気モーメントは完全に垂直
にならないことがある。図4に示した状態では、この層
が磁区拡大層11や中間層12に比べて薄く形成されて
いるため、上下で面内磁化状態の磁性層に挟持されるこ
とによって垂直磁気異方性が弱まっている。制御層の膜
厚は、例えば3〜20nmが好適である。
4に示したようにこの層の磁気モーメントは完全に垂直
にならないことがある。図4に示した状態では、この層
が磁区拡大層11や中間層12に比べて薄く形成されて
いるため、上下で面内磁化状態の磁性層に挟持されるこ
とによって垂直磁気異方性が弱まっている。制御層の膜
厚は、例えば3〜20nmが好適である。
【0041】以下、上記媒体の具体例を示す。ここで
は、トラックピッチ0.8μm、記録用の溝部が深さ5
5nm、幅0.6μmであるポリカーボネート基板を用
いた。この基板15上に、干渉層10として膜厚80n
mのSiN層を、再生層17として膜厚20nmのGd
FeCoAl層(TC5=290℃)を、磁区拡大層11
として膜厚20nmのGdFeCoAl層(TC1=24
0℃)を、制御層18として膜厚5nmのTbFeCo
層(TC4=170℃)を、中間層12として膜厚10n
mのTbFeAl層(TC2=160℃、TCR=90℃、
組成式Tb0.25Fe0.48Al0.27)を、記録層13とし
て膜厚80nmのTbFeCo層(TC3=310℃)
を、保護層16として膜厚50nmのSiN層を、実施
例1と同じ条件で順次成膜して、媒体Dを得た。また、
再生層と制御層とを形成しない点を除いては、上記と同
様に各層を成膜して、媒体Eを得た。
は、トラックピッチ0.8μm、記録用の溝部が深さ5
5nm、幅0.6μmであるポリカーボネート基板を用
いた。この基板15上に、干渉層10として膜厚80n
mのSiN層を、再生層17として膜厚20nmのGd
FeCoAl層(TC5=290℃)を、磁区拡大層11
として膜厚20nmのGdFeCoAl層(TC1=24
0℃)を、制御層18として膜厚5nmのTbFeCo
層(TC4=170℃)を、中間層12として膜厚10n
mのTbFeAl層(TC2=160℃、TCR=90℃、
組成式Tb0.25Fe0.48Al0.27)を、記録層13とし
て膜厚80nmのTbFeCo層(TC3=310℃)
を、保護層16として膜厚50nmのSiN層を、実施
例1と同じ条件で順次成膜して、媒体Dを得た。また、
再生層と制御層とを形成しない点を除いては、上記と同
様に各層を成膜して、媒体Eを得た。
【0042】こうして得た各媒体について、グルーブ部
のみを用いて記録再生信号を測定した。媒体Dおよび媒
体Eに対し、記録マーク長さを変化させてキャリアを測
定した結果を図5に示す。なお、再生パワーはともに
2.0mWとした。
のみを用いて記録再生信号を測定した。媒体Dおよび媒
体Eに対し、記録マーク長さを変化させてキャリアを測
定した結果を図5に示す。なお、再生パワーはともに
2.0mWとした。
【0043】媒体Dでは、磁区拡大層よりもキュリー温
度が50℃高い再生層17を挿入することによって、キ
ャリア値が全範囲で向上した。また、媒体Dでは、制御
層18を介在させることにより、特定の記録マーク長で
生じるキャリアの低下を防止することができた。この低
下は、ゴースト信号と呼ばれ、ある特定の周波数信号で
発生する。
度が50℃高い再生層17を挿入することによって、キ
ャリア値が全範囲で向上した。また、媒体Dでは、制御
層18を介在させることにより、特定の記録マーク長で
生じるキャリアの低下を防止することができた。この低
下は、ゴースト信号と呼ばれ、ある特定の周波数信号で
発生する。
【0044】磁区拡大層11における磁壁移動の駆動力
は、レーザ光20の進行方向前方の温度勾配を利用して
いる。しかし、レーザ光の進行方向後方にも、前方より
も勾配が緩いものの、温度勾配による磁壁駆動力が誘起
される。この駆動力は、ゴースト信号を発生させるが、
制御層を形成すると、レーザ光後方で生じる磁壁移動を
抑制できる。図4に示したように、制御層18では、そ
のキュリー温度が中間層12のキュリー温度よりも高い
ため、中間層より先に磁気秩序が発生する。この磁気秩
序発生部25は、磁区拡大層11と交換結合を形成す
る。記録層13からの転写が起こる温度、即ち中間層1
2のキュリー温度付近では制御層14の磁壁エネルギー
密度は高くなっており、この制御層と交換結合している
磁区拡大層11では磁壁移動が抑制される。このよう
に、制御層は、中間層が磁気秩序を喪失した領域19の
レーザ光20後方側においていち早く秩序を回復した領
域25を形成し、キャリア値の記録マーク長依存性を抑
制する作用を奏する。
は、レーザ光20の進行方向前方の温度勾配を利用して
いる。しかし、レーザ光の進行方向後方にも、前方より
も勾配が緩いものの、温度勾配による磁壁駆動力が誘起
される。この駆動力は、ゴースト信号を発生させるが、
制御層を形成すると、レーザ光後方で生じる磁壁移動を
抑制できる。図4に示したように、制御層18では、そ
のキュリー温度が中間層12のキュリー温度よりも高い
ため、中間層より先に磁気秩序が発生する。この磁気秩
序発生部25は、磁区拡大層11と交換結合を形成す
る。記録層13からの転写が起こる温度、即ち中間層1
2のキュリー温度付近では制御層14の磁壁エネルギー
密度は高くなっており、この制御層と交換結合している
磁区拡大層11では磁壁移動が抑制される。このよう
に、制御層は、中間層が磁気秩序を喪失した領域19の
レーザ光20後方側においていち早く秩序を回復した領
域25を形成し、キャリア値の記録マーク長依存性を抑
制する作用を奏する。
【0045】なお、ここでは、中間層12のキュリー温
度を160℃としたが、120〜200℃の範囲で磁壁
移動を確認できた。しかし、より高いC/N比を得るた
めには、中間層のキュリー温度は130〜160℃が適
当であった。
度を160℃としたが、120〜200℃の範囲で磁壁
移動を確認できた。しかし、より高いC/N比を得るた
めには、中間層のキュリー温度は130〜160℃が適
当であった。
【0046】(実施の形態3)図6に示した光磁気記録
媒体は、磁区拡大層11が室温において垂直磁化膜であ
る以外は、室温において面内磁化膜である磁区拡大層を
用いた実施の形態1の媒体と同じ膜構成を有する。この
実施形態では、磁区拡大層11の補償組成温度を調整し
て、室温からキュリー温度TC2までの温度域で、この層
を垂直磁化状態に保つようにした。
媒体は、磁区拡大層11が室温において垂直磁化膜であ
る以外は、室温において面内磁化膜である磁区拡大層を
用いた実施の形態1の媒体と同じ膜構成を有する。この
実施形態では、磁区拡大層11の補償組成温度を調整し
て、室温からキュリー温度TC2までの温度域で、この層
を垂直磁化状態に保つようにした。
【0047】また、磁区拡大層11は、ある点xに存在
する磁壁に作用する駆動力F1が大きくなるように、室
温でも磁壁エネルギー密度σ1が大きい磁性薄膜材料を
用いている。このため、磁区拡大層は磁区を形成しにく
い状態にある。よって、図示したように、臨界温度TCR
以下の温度の領域において磁区拡大層11に磁壁は存在
しない。
する磁壁に作用する駆動力F1が大きくなるように、室
温でも磁壁エネルギー密度σ1が大きい磁性薄膜材料を
用いている。このため、磁区拡大層は磁区を形成しにく
い状態にある。よって、図示したように、臨界温度TCR
以下の温度の領域において磁区拡大層11に磁壁は存在
しない。
【0048】この媒体でも、中間層12が加熱されて垂
直磁化状態に移行すると、磁区拡大層11と記録層13
との間には交換結合力が作用する。この状態では、磁区
拡大層と記録層との間に磁壁を形成するエネルギーと、
磁区拡大層内に磁壁を形成するエネルギーとのいずれか
低いか、によって磁区拡大層に磁区が転写されるか否か
が決まる。磁区拡大層に磁区を転写するためには、磁区
拡大層と記録層との間の界面磁壁エネルギーを高くすれ
ばよい。磁区拡大層11に情報を転写するための方法の
1つは、中間層の補償組成温度を再生温度近傍(例えば
(TC2−40)℃よりも高く(TC2−20)℃よりも低
い範囲)とすることである。具体的には、Gd等の希土
類元素の含有量を25.5〜27at%とするとよく、成
膜に際しては磁区拡大層や記録層よりもAr圧を低くす
ることが好ましい。この媒体でも、多層膜の温度がTC2
以上に達して、中間層12の磁気モーメントがランダム
に動き出すと、交換結合が作用しなくなり、磁区拡大層
11における磁壁の移動が始まる。
直磁化状態に移行すると、磁区拡大層11と記録層13
との間には交換結合力が作用する。この状態では、磁区
拡大層と記録層との間に磁壁を形成するエネルギーと、
磁区拡大層内に磁壁を形成するエネルギーとのいずれか
低いか、によって磁区拡大層に磁区が転写されるか否か
が決まる。磁区拡大層に磁区を転写するためには、磁区
拡大層と記録層との間の界面磁壁エネルギーを高くすれ
ばよい。磁区拡大層11に情報を転写するための方法の
1つは、中間層の補償組成温度を再生温度近傍(例えば
(TC2−40)℃よりも高く(TC2−20)℃よりも低
い範囲)とすることである。具体的には、Gd等の希土
類元素の含有量を25.5〜27at%とするとよく、成
膜に際しては磁区拡大層や記録層よりもAr圧を低くす
ることが好ましい。この媒体でも、多層膜の温度がTC2
以上に達して、中間層12の磁気モーメントがランダム
に動き出すと、交換結合が作用しなくなり、磁区拡大層
11における磁壁の移動が始まる。
【0049】以下、この媒体の具体例を示す。基板に
は、サンプルサーボ方式のポリカーボネート基板を用い
た。この基板上に、干渉層10として膜厚80nmのS
iN層、磁区拡大層11として膜厚20nmのGdFe
CoAl層(TC1=250℃)、中間層12として膜厚
10nmのGdFeCoAl層(TC2=140℃、TCR
=90℃、組成式Gd0.26Fe0.27Co0.07A
l0.4)、記録層13として膜厚80nmのTbFeC
o層(TC3=290℃)、保護層14として膜厚50n
mのSiN層を実施例1と同じ条件で順次成膜し、媒体
Fを得た。なお、中間層は、磁区拡大層や記録層よりも
低いAr圧(0.5Pa)の下で成膜した。
は、サンプルサーボ方式のポリカーボネート基板を用い
た。この基板上に、干渉層10として膜厚80nmのS
iN層、磁区拡大層11として膜厚20nmのGdFe
CoAl層(TC1=250℃)、中間層12として膜厚
10nmのGdFeCoAl層(TC2=140℃、TCR
=90℃、組成式Gd0.26Fe0.27Co0.07A
l0.4)、記録層13として膜厚80nmのTbFeC
o層(TC3=290℃)、保護層14として膜厚50n
mのSiN層を実施例1と同じ条件で順次成膜し、媒体
Fを得た。なお、中間層は、磁区拡大層や記録層よりも
低いAr圧(0.5Pa)の下で成膜した。
【0050】サンプルサーボ基板は、案内溝が形成され
たランドグルーブ基板に比べると、隣接トラックとの物
理的な障害がない。このため、従来の磁区拡大再生方式
をサンプルサーボ基板を用いた媒体に適用すると、隣接
トラックでも記録層の磁区が磁区拡大層に転写され、こ
の転写磁区からの磁壁移動が支配的となって信号を再生
できなかった。
たランドグルーブ基板に比べると、隣接トラックとの物
理的な障害がない。このため、従来の磁区拡大再生方式
をサンプルサーボ基板を用いた媒体に適用すると、隣接
トラックでも記録層の磁区が磁区拡大層に転写され、こ
の転写磁区からの磁壁移動が支配的となって信号を再生
できなかった。
【0051】しかし、本発明を適用すると、レーザ光が
照射されていない領域では中間層12が面内磁化状態で
あるため、この領域では記録層13から磁区拡大層11
への磁区の転写が抑制される。媒体Fでは、記録マーク
長0.15μmでC/N比41.2dBが得られた。こ
のように、本発明の好ましい一形態では、案内溝(グル
ーブ)を形成しない基板を用いても、良好な磁区拡大を
行うことができる。なお、上記信号量が従来例よりも大
きいことから、ここでも、媒体磁壁の移動は、トラック
方向だけなく、トラック幅方向(半径方向)にも及んで
いると考えられる。
照射されていない領域では中間層12が面内磁化状態で
あるため、この領域では記録層13から磁区拡大層11
への磁区の転写が抑制される。媒体Fでは、記録マーク
長0.15μmでC/N比41.2dBが得られた。こ
のように、本発明の好ましい一形態では、案内溝(グル
ーブ)を形成しない基板を用いても、良好な磁区拡大を
行うことができる。なお、上記信号量が従来例よりも大
きいことから、ここでも、媒体磁壁の移動は、トラック
方向だけなく、トラック幅方向(半径方向)にも及んで
いると考えられる。
【0052】(実施の形態4)図7に示した媒体では、
中間層12と記録層13との間に非磁性層16を介在さ
せた以外は、実施の形態1で説明した媒体と同じ膜構成
を有する。ここでは、非磁性層16として、膜厚10n
mのSiN層を挿入した。この媒体では、非磁性層16
により中間層12と記録層13との交換結合は遮断され
るが、静磁結合により、臨界温度TCR以上の温度域で記
録層13から中間層12に磁界が転写される。この磁界
がさらに磁区拡大層11に転写されて磁区拡大再生が実
現できる。非磁性層の膜厚としては、1nm以上10n
m以下が好適である。上記非磁性層を形成した以外は、
実施の形態1と同様の条件で作製した媒体Gからは、マ
ーク長0.2μmでC/N比40dBの再生信号が得ら
れた。
中間層12と記録層13との間に非磁性層16を介在さ
せた以外は、実施の形態1で説明した媒体と同じ膜構成
を有する。ここでは、非磁性層16として、膜厚10n
mのSiN層を挿入した。この媒体では、非磁性層16
により中間層12と記録層13との交換結合は遮断され
るが、静磁結合により、臨界温度TCR以上の温度域で記
録層13から中間層12に磁界が転写される。この磁界
がさらに磁区拡大層11に転写されて磁区拡大再生が実
現できる。非磁性層の膜厚としては、1nm以上10n
m以下が好適である。上記非磁性層を形成した以外は、
実施の形態1と同様の条件で作製した媒体Gからは、マ
ーク長0.2μmでC/N比40dBの再生信号が得ら
れた。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
磁区拡大を利用した情報の再生の際に隣接トラックから
の磁気的影響を抑制できる。また、クロストークの抑制
により再生時のマージンを拡大できるために、装置の小
型化等にも有利である。本発明の媒体は、従来の媒体と
の互換も容易である。
磁区拡大を利用した情報の再生の際に隣接トラックから
の磁気的影響を抑制できる。また、クロストークの抑制
により再生時のマージンを拡大できるために、装置の小
型化等にも有利である。本発明の媒体は、従来の媒体と
の互換も容易である。
【図1】 本発明の光磁気記録媒体の一例の断面を、磁
性膜の磁化状態および温度分布とともに示した図であ
る。
性膜の磁化状態および温度分布とともに示した図であ
る。
【図2】 図1の媒体の垂直磁化領域を横切るように切
断して示した断面図である。
断して示した断面図である。
【図3】 本発明の光磁気記録媒体の再生パワーとC/
N比との関係の一例を従来の媒体と比較して示す図であ
る。
N比との関係の一例を従来の媒体と比較して示す図であ
る。
【図4】 本発明の光磁気記録媒体の別の一例の断面
を、磁性膜の磁化状態および温度分布とともに示した図
である。
を、磁性膜の磁化状態および温度分布とともに示した図
である。
【図5】 本発明の光磁気記録媒体のキャリア値とC/
N比との関係の一例を示す図である。
N比との関係の一例を示す図である。
【図6】 本発明の光磁気記録媒体のまた別の一例の断
面を、磁性膜の磁化状態および温度分布とともに示した
図である。
面を、磁性膜の磁化状態および温度分布とともに示した
図である。
【図7】 本発明の光磁気記録媒体のさらに別の一例の
断面を、磁性膜の磁化状態および温度分布とともに示し
た図である。
断面を、磁性膜の磁化状態および温度分布とともに示し
た図である。
【図8】 磁壁移動型磁区拡大方式を適用する従来の光
磁気記録媒体の再生原理を説明するための図面である。
磁気記録媒体の再生原理を説明するための図面である。
【符号の説明】 10 干渉層 11 磁区拡大層 12 中間層 13 記録層 14 保護層 15 基板 16 非磁性層 19 遮蔽領域 20 レーザ光 21 温度分布 28 磁壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 11/105 511 G11B 11/105 511G 511H 511P 511Q 586 586M
Claims (18)
- 【請求項1】 基板と、前記基板上に形成された多層膜
とを含み、前記多層膜が第1磁性層、第2磁性層および
第3磁性層を含み、前記第2磁性層が前記第1磁性層お
よび第3磁性層の間に配置され、前記第2磁性層のキュ
リー温度TC2が前記第1磁性層のキュリー温度TC1およ
び前記第3磁性層のキュリー温度TC3よりも低く、前記
第3磁性層が垂直磁化膜であり、前記TC2未満の温度域
の少なくとも一部において、前記第1磁性層が前記第2
磁性層との交換結合により垂直に磁化され、前記交換結
合を介して前記第3磁性層の磁化が前記第2磁性層を介
して前記第1磁性層へと転写される光磁気記録媒体であ
って、 前記第2磁性層が、室温では面内磁化膜であって、室温
よりも高い臨界温度T CRと前記TC2との間の温度域にお
いて垂直磁化膜となることを特徴とする光磁気記録媒
体。 - 【請求項2】 第1磁性層と第2磁性層とが接している
請求項1に記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項3】 キュリー温度TC2と臨界温度TCRとの差
が100℃よりも小さい請求項1に記載の光磁気記録媒
体。 - 【請求項4】 キュリー温度TC1とキュリー温度TC2と
の差が100℃以上ある請求項1に記載の光磁気記録媒
体。 - 【請求項5】 キュリー温度TC2が130℃以上160
℃以下である請求項1に記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項6】 第2磁性層が、GdFe、GeFeC
o、GeFeAl、GdFeCr、GdFeCoCr、
GdFeSi、GdFeCoSi、GeFeCoAl、
TbFe、TbFeCo、TbFeAl、TbFeC
r、TbFeCoCr、TbFeSi、TbFeCoS
iおよびTbFeCoAlから選ばれるいずれかの合金
を含む請求項1に記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項7】 第2磁性層が、組成式(GdxFe1-x)
1-yMyにより表示される合金を含む請求項1に記載の光
磁気記録媒体。ただし、Mは、Cr、SiおよびAlか
ら選ばれる少なくとも1種であり、xは0.15以上
0.40以下、yは0以上0.30以下の数値である。 - 【請求項8】 第2磁性層が、組成式(TbxFe1-x)
1-yMyにより表示される合金を含む請求項1に記載の光
磁気記録媒体。ただし、Mは、Cr、SiおよびAlか
ら選ばれる少なくとも1種であり、xは0.15以上
0.40以下、yは0以上0.30以下の数値である。 - 【請求項9】 局所的に加熱されてキュリー温度TC2以
上となった遮蔽領域において、第1磁性層が、第2磁性
層との交換結合により垂直に磁化された垂直磁化領域か
ら前記遮蔽領域へと磁壁が移動する程度に小さい磁壁抗
磁力を有する請求項1に記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項10】 第2磁性層と第3磁性層とが、キュリ
ー温度TC2未満の温度域の少なくとも一部において、交
換結合する請求項1に記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項11】 第2磁性層と第3磁性層との間に非磁
性層が配置され、前記第2磁性層と前記第3磁性層と
が、キュリー温度TC2未満の温度域の少なくとも一部に
おいて、静磁結合する請求項1に記載の光磁気記録媒
体。 - 【請求項12】 非磁性層の膜厚が1nm以上10nm
以下である請求項11に記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項13】 第1磁性層が、室温において面内磁化
膜である請求項1に記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項14】 第1磁性層が、室温において垂直磁化
膜である請求項1に記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項15】 第1磁性層が、2以上の磁性膜からな
る請求項1に記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項16】 第1磁性層が、第2磁性層側から順
に、磁性膜aと、前記磁性膜aよりもキュリー温度が高
い磁性膜bとを含む請求項15に記載の光磁気記録媒
体。 - 【請求項17】 第1磁性層と第2磁性層との間に、キ
ュリー温度TC2よりも高くキュリー温度TC1よりも低い
キュリー温度TC4を有する第4磁性層を有する請求項1
に記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項18】 請求項1に記載の光磁気記録媒体から
情報を再生する方法であって、光ビームを前記媒体に対
して相対的に移動させながら照射して、第2磁性層のキ
ュリー温度TC2以上であって第1磁性層のキュリー温度
TC1および第3磁性層のキュリー温度TC3よりも低い温
度となった遮蔽領域と、前記第1磁性層が前記第2磁性
層との交換結合により垂直に磁化され、前記交換結合を
介して前記第3磁性層の磁化が前記第2磁性層を介して
前記第1磁性層へと転写された垂直磁化領域とを形成
し、前記第1磁性層の磁壁を前記垂直磁化領域から前記
遮蔽領域へと移動させることにより前記垂直磁化領域の
磁区を拡大し、拡大した磁区からの前記光ビームの反射
光の偏向面の変化を検出することを特徴とする光磁気記
録媒体の再生方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001312831A JP2002190145A (ja) | 2000-10-11 | 2001-10-10 | 光磁気記録媒体およびその再生方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000-310394 | 2000-10-11 | ||
JP2000310394 | 2000-10-11 | ||
JP2001312831A JP2002190145A (ja) | 2000-10-11 | 2001-10-10 | 光磁気記録媒体およびその再生方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002190145A true JP2002190145A (ja) | 2002-07-05 |
Family
ID=26601861
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001312831A Pending JP2002190145A (ja) | 2000-10-11 | 2001-10-10 | 光磁気記録媒体およびその再生方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002190145A (ja) |
-
2001
- 2001-10-10 JP JP2001312831A patent/JP2002190145A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5723227A (en) | Magneto-optical recording medium and reproducing method for information recorded on the medium | |
US5966348A (en) | Information reproducing method and apparatus for reproducing information by moving magnetic wall | |
JP3477384B2 (ja) | 光磁気記録媒体 | |
US6826131B2 (en) | Magneto-optical recording medium having multiple magnetic layers | |
JPH10149592A (ja) | 磁壁移動を利用して情報を再生する光磁気記録媒体および信号再生方法 | |
JP2000163815A (ja) | 光磁気記録媒体及び再生装置並びに再生方法 | |
KR20000064429A (ko) | 광자기기록매체및그재생방법 | |
JPH08147777A (ja) | 光学的記録媒体、記録再生方法および再生装置 | |
KR100442070B1 (ko) | 자벽 이동형 광자기 기록 매체, 광자기 기록 매체의 재생 방법 및 재생 장치 | |
JP2000173117A (ja) | 光磁気記録媒体及び再生装置 | |
JP3474464B2 (ja) | 光磁気記録媒体 | |
JP3977238B2 (ja) | 光磁気記録媒体 | |
JP2002190145A (ja) | 光磁気記録媒体およびその再生方法 | |
JPH11328762A (ja) | 光磁気記録媒体 | |
JP2000173116A (ja) | 光磁気記録媒体及び再生装置 | |
WO2002077987A1 (fr) | Support d'enregistrement magneto-optique et procede de reproduction | |
JP2929918B2 (ja) | 光磁気記録媒体及びその再生方法 | |
JP3075048B2 (ja) | 光磁気記録媒体及びその再生方法 | |
JP2005251369A (ja) | 光磁気記録媒体 | |
JP3484185B1 (ja) | 光磁気記録媒体 | |
JP3484184B1 (ja) | 光磁気記録媒体及びその再生方法 | |
JP2000207791A (ja) | 磁性記録媒体 | |
JP2003303456A (ja) | 光磁気記録媒体、および、その製造方法 | |
JP2005050400A (ja) | 光磁気記録媒体 | |
JP2003272262A (ja) | 光磁気記録媒体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040427 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050817 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050822 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20051220 |