JP2002188695A - 車両用自動変速装置 - Google Patents

車両用自動変速装置

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JP2002188695A
JP2002188695A JP2000391003A JP2000391003A JP2002188695A JP 2002188695 A JP2002188695 A JP 2002188695A JP 2000391003 A JP2000391003 A JP 2000391003A JP 2000391003 A JP2000391003 A JP 2000391003A JP 2002188695 A JP2002188695 A JP 2002188695A
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transmission
speed
gear
shaft
ratio
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JP2000391003A
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Hiroshi Ogawa
浩 小川
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Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少ない損失での動力伝達を行うことができ、
且つ、異音やショックなどを発生させることなく全変速
段へのパワーオン変速を行うことのできる車両用自動変
速装置を提供する。 【解決手段】 タービン軸14から入力された動力を変
速比i1〜i3のAT1速〜AT3速に変速して第1の変速軸
21に伝達する第1の変速機20と、第1の変速軸21
の変速動力を変速比i4の第1のギヤ列55或いは変速
比i5の第2のギヤ列56で変速して第2の変速軸51
に伝達する第2の変速機50とを備えて自動変速装置を
構成する。第2の変速機50に、タービン軸14からの
動力を第1のギヤ列55に直結可能な第2のドグクラッ
チ58を設ける。各変速比の関係を、i1・i5=i3・
i4=i4となるよう設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発進クラッチから
の入力を多段に変速する車両用自動変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両用自動変速装置に採用さ
れる変速機としては、ギヤトレーンにおいて変速に寄与
するギヤ列等の組み合わせを複数の湿式クラッチやブレ
ーキ等の締結/解放制御により選択的に切り替えて有限
段数の変速段を得るいわゆる多段湿式クラッチ式の自動
変速機や、ベルト式或いはトラクション式の動力伝達機
構を備えた無段変速機(CVT)や、ギヤトレーンにお
いて変速に寄与するギヤ列等の組み合わせをシンクロメ
ッシュ機構を備えた複数のドグクラッチ等の締結/解放
制御により選択的に切り替えて有限段数の変速段を得る
いわゆる多段シンクロメッシュ式の自動変速機等が主と
して実用化されている。
【0003】上記多段湿式クラッチ式の自動変速機は、
湿式クラッチ及びブレーキが任意の相対回転数を有する
部材間を締結することができるので走行中にトルク伝達
を行いながら変速(パワーオン変速)することができ、
変速中の伝達トルク変動を抑制することができるという
利点を有する。
【0004】また、上記無段変速機は、走行中のエンジ
ン回転数を無段階に制御できるのでエンジンを最良点で
運転することができ、燃費や走行性を高めることができ
る。また、この種の変速機は、構造を複雑化させること
なく変速比の幅を広く設定できるという利点を有する。
【0005】また、上記多段シンクロメッシュ式の自動
変速機は、ギヤの締結/解放等をドグクラッチで行うた
め締結時の摩擦損失が少なく、また、トルク伝達を維持
するための押し付け力が不要なので変速制御のための動
力損失が少ないという利点を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記多
段湿式クラッチ式の自動変速機においては、解放中の湿
式クラッチ等に相対滑りによる摩擦が発生して動力伝達
効率を低下させる虞がある。また、この種の変速機は、
湿式クラッチ等の締結を維持するための押し付け力を常
時作用させる必要があり、例えばこれを油圧で行うと油
圧ポンプ駆動用のトルクが増大して動力損失の要因とな
る。さらに、この種の変速機において変速段を増加させ
る場合には制御用クラッチ等を増加させる必要があり、
このようなクラッチ等の増加は構造の複雑化や損失トル
クの増大等を招く虞がある。
【0007】また、上記無段変速機においては、ベルト
等に動力伝達を行うための摩擦接触部が狭い部分に限定
されるため、この摩擦接触部に対する高い押圧力を必要
とし、このような押圧力を発生させるためには高い動力
損失を伴う。加えて、この種の変速機においては、摩擦
接触部等が押圧されて変形することによる動力損失も大
きい。
【0008】また、上記多段シンクロメッシュ式の自動
変速機においては、ドグクラッチ等にシンクロメッシュ
機構を備えた構成であるため構造が複雑化し、しかも、
シンクロメッシュ機構は湿式クラッチ等と比べてトルク
容量が小さいため、変速時には動力伝達を一旦切断する
いわゆるパワーオフ変速を行う必要がある。そして、こ
のようなパワーオフ変速は加速度の大きな変動を伴うた
め走行性を損なう虞がある。
【0009】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、少ない損失での動力伝達を行うことができ、且つ、
異音やショックなどを発生させることなく全変速段への
パワーオン変速を行うことのできる車両用自動変速装置
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1記載の発明による車両用自動変速装置は、
発進デバイスから入力軸に伝達された動力を切断するこ
となく複数の変速比で変速して第1の変速軸に伝達可能
な第1の変速機と、変速比の異なる複数のギヤ列を有し
て構成されこれらのギヤ列を選択的に連絡して上記第1
の変速軸の変速動力を第2の変速軸に伝達可能な第2の
変速機とを備えた車両用自動変速装置であって、上記第
2の変速機は、上記第2の変速機或いは上記第2の変速
軸に対し上記入力軸の動力を直接的に伝達可能な動力伝
達手段を有し、少なくとも、上記第1の変速機による一
の変速比と上記第2の変速機による一の変速比との積
と、上記第1の変速機による他の一の変速比と上記第2
の変速機による他の一の変速比とが等しくなるよう上記
各変速比を設定するとともに、これら等しく設定された
変速比の積を、上記入力軸から上記動力伝達手段を介し
て上記第2の変速軸に伝達される動力の変速比と等しく
設定したことを特徴とする。
【0011】すなわち、請求項1記載の発明は、第2の
変速機において変速に供するギヤ列を一のギヤ列と他の
一のギヤ列との間で切り替える際に、動力伝達手段を介
して入力軸からの動力を第2の変速軸に伝達しながら行
うことにより、入力軸から上記第2の変速軸への動力伝
達を切断することなく上記切り替えを行う。
【0012】また、請求項2記載の発明による車両用自
動変速装置は、請求項1記載の発明において、上記第1
の変速機を、複数のプラネタリギヤ列を有し摩擦締結手
段による締結の切換によって複数の変速比を得る自動変
速機で構成したことを特徴とする。
【0013】また、請求項3記載の発明による車両用自
動変速装置は、請求項1記載の発明において、上記第1
の変速機を、変速比の固定が可能な無段変速機で構成し
たことを特徴とする。
【0014】また、請求項4記載の発明による車両用自
動変速装置は、請求項1記載の発明において、上記第1
の変速機を、上記入力軸と上記第1の変速軸との間を連
絡可能な複数のギヤ列を有し摩擦係合手段の締結の切換
によって複数の変速比を得る自動変速機で構成したこと
を特徴とする。
【0015】また、請求項5記載の発明による車両用自
動変速装置は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の
発明において、上記第1の変速機を、前進3段の変速段
を有して構成するとともに、上記第2の変速機を、低速
ギヤ列と高速ギヤ列とを有して構成し、上記第1の変速
機の1速による変速比と上記第2の変速機の上記高速ギ
ヤ列による変速比との積と、上記第1の変速機の3速に
よる変速比と上記第2の変速機の上記低速ギヤ列による
変速比との積とを等しく設定したことを特徴とする。
【0016】また、請求項6記載の発明による車両用自
動変速装置は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の
発明において、上記第1の変速機を、前進3段の変速段
を有して構成するとともに、上記第2の変速機を、低速
ギヤ列と中速ギヤ列と高速ギヤ列とを有して構成し、上
記第1の変速機の1速による変速比と上記第2の変速機
の上記中速ギヤ列による変速比との積と、上記第1の変
速機の3速による変速比と上記第2の変速機の上記低速
ギヤ列による変速比との積とを等しく設定するととも
に、上記第1の変速機の3速による変速比と上記第2の
変速機の上記中速ギヤ列による変速比との積と、上記第
1の変速機の1速による変速比と上記第2の変速機の上
記中速ギヤ列による変速比との積とを等しく設定したこ
とを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1〜図8は本発明の第1の実施
の形態に係わり、図1は自動変速装置の概略構成図、図
2は第1の変速機による各変速段と各クラッチ及び各ブ
レーキの締結を示す図表、図3は第1の変速機及び第2
の変速機による最終的な変速段と各クラッチ及び各ブレ
ーキの締結を示す図表、図4は第1の変速機及び第2の
変速機で得られる変速比と最終的な変速比との関係を示
す図表、図5は第2速から第3速へのアップシフト時の
制御を示すタイムチャート、図6は第3速から第2速へ
のダウンシフト時の制御を示すタイムチャート、図7は
第3速から第4速へのアップシフト時の制御を示すタイ
ムチャート、図8は第4速から第3速へのダウンシフト
時の制御を示すタイムチャートである。
【0018】図1において、符号1はトルクコンバータ
ケースを示し、このトルクコンバータケース1の下部に
はディファレンシャルケース2が形成されている。ま
た、これらトルクコンバータケース1及びディファレン
シャルケース2の後部には、トランスミッションケース
3が接合され、トランスミッションケース3の後部には
エクステンションケース4が接合されている。さらに、
トランスミッションケース3の下部には、オイルパン5
が取り付けられている。
【0019】トルクコンバータケース1内には発進デバ
イスとしてのトルクコンバータ10が配設され、このト
ルクコンバータ10のインペラ11には、エンジン(図
示せず)のクランク軸12が連結されている。また、イ
ンペラ11にはタービン13が対向され、このタービン
13に連結された入力軸としてのタービン軸14がエク
ステンションケース4まで延設されている。なお、この
トルクコンバータ10にはロックアップクラッチ15が
併設されており、このロックアップクラッチ15が締結
するとクランク軸12とタービン軸14とが流体を介さ
ず直結状態となる。
【0020】また、トルクコンバータ10の後部には、
インペラ11を介してクランク軸12に連結されたエン
ジン駆動式のオイルポンプ16が配設され、このオイル
ポンプ16の吸入口(図示せず)がオイルパン5に連通
されている。
【0021】トランスミッションケース3内には、ター
ビン軸14から入力された動力を変速する第1の変速機
20と、タービン軸14から直接入力された動力或いは
第1の変速機20で変速された動力を変速する第2の変
速機50とが配設されている。
【0022】第1の変速機20は、タービン軸14の外
周で相対回転自在に配設された中空の第1の変速軸21
上に、フロントプラネタリギヤユニット22と、リヤプ
ラネタリギヤユニット23とを備えたいわゆるシンプソ
ン配列の変速機で構成され、これらギヤユニット22,
23による変速動力が第1の変速軸21に伝達されるよ
うになっている。
【0023】具体的に説明すると、フロントプラネタリ
ギヤユニット22は、第1の変速軸21の外周に相対回
転自在に配設された第1のサンギヤ25を備え、この第
1のサンギヤ25の外周には第1のリングギヤ26が相
対回転自在に対向して配設されている。また第1のサン
ギヤ25と第1のリングギヤ26との間には、第1のキ
ャリヤ27に支持された第1のプラネタリギヤ28が配
設され、この第1のプラネタリギヤ28が第1のサンギ
ヤ25と第1のリングギヤ26とに噛合されている。
【0024】同様に、リヤプラネタリギヤユニット23
は、第1の変速軸21の外周に相対回転自在に配設され
た第2のサンギヤ32を備え、この第2のサンギヤ32
の外周には第2のリングギヤ33が相対回転自在に対向
して配設されている。また、第2のサンギヤ32と第2
のリングギヤ33との間には、第2のキャリヤ34に支
持された第2のプラネタリギヤ35が配設され、この第
2のプラネタリギヤ35が第2のサンギヤ32と第2の
リングギヤ33とに噛合されている。
【0025】ここで、第1のキャリヤ27及び第2のリ
ングギヤ33は、第1の変速軸21と連結されている。
また、第1のサンギヤ25と第2のサンギヤ32とが、
スリーブ36を介して互いに連結されている。
【0026】また、第1の変速機20は、タービン軸1
4と第1のリングギヤ26とを締結可能な油圧多板式の
フォワードクラッチ38と、タービン軸14とスリーブ
36とを締結可能な油圧多板式のダイレクトクラッチ3
9と、トランスミッションケース3とスリーブ36とを
締結可能な油圧多板式の2ndブレーキ40と、トラン
スミッションケース3と第2のキャリヤ34とを締結可
能な油圧多板式のL&Rブレーキ41とを備え、これら
の締結/解放によってギヤユニット22,23における
各ギヤの組み合わせを変更し、前進3段、後進1段の変
速を実現する。
【0027】この場合、図2に示すように、第1の変速
機20による第1速(以下、AT1速と称す)は、フォワ
ードクラッチ38とL&Rブレーキ41とが締結される
ことにより実現し、これにより、タービン軸14の動力
は、変速比(ギヤ比)i1で変速されて第1の変速軸2
1に伝達される。
【0028】また、第1の変速機20による第2速(以
下、AT2速と称す)は、フォワードクラッチ38と2n
dブレーキ40とが締結されることにより実現し、これ
により、タービン軸14の動力は、変速比i2(i1>i
2)で変速されて第1の変速軸21に伝達される。
【0029】また、第1の変速機20による第3速(以
下、AT3速と称す)は、フォワードクラッチ38とダイ
レクトクラッチ39とが締結されることにより実現し、
これにより、タービン軸14の動力は、変速比i3(i1
>i2>i3=1)で変速されて第1の変速軸21に伝達
される。
【0030】また、第1の変速機20によるR速(以
下、ATR速と称す)は、ダイレクトクラッチ39とL&
Rブレーキ41とが締結されることにより実現し、これ
により、タービン軸14の動力は反転されるとともに変
速比iRで変速されて第1の変速軸21に伝達される。
【0031】トランスミッションケース3内において、
タービン軸14及び第1の変速軸21の下方には、第2
の変速軸51が平行に配設され、これらの間に第2の変
速機50が設けられている。
【0032】具体的に説明すると、第2の変速機50
は、第1の変速軸21と第2の変速軸51との間を連絡
可能な常時噛み合い式の低速ギヤ列としての第1のギヤ
列55と、同じく第1の変速軸21と第2の変速軸51
との間を連絡可能な常時噛み合い式の高速ギヤ列として
の第2のギヤ列56とを備えて構成されている。
【0033】第1のギヤ列55は、第1の変速軸21に
回動自在に軸支された第1のドライブギヤ55aと、第
2の変速軸51上に固設された第1のドリブンギヤ55
bとを備え、第1のドライブギヤ55aに第1の変速軸
21或いはタービン軸14が締結された際に、これら第
1の変速機20或いはタービン軸14からの動力を変速
比i4で変速して第2の変速軸51に伝達可能に構成さ
れている。
【0034】また、第2のギヤ列56は、第1の変速軸
21に回動自在に軸支された第2のドライブギヤ56a
と、第2の変速軸51上に固設された第2のドリブンギ
ヤ56bとを備え、第2のドライブギヤ56aに第1の
変速軸21が締結された際に、この第1の変速軸21か
らの変速動力を変速比i5(i4>i5)で変速して第2
の変速軸51に伝達可能に構成されている。
【0035】また、第1の変速軸21において、第1の
ギヤ列55と第2のギヤ列56との間には、第1の変速
軸21と、第1のドライブギヤ55a或いは第2のドラ
イブギヤ56aとを選択的に締結可能な第1のドグクラ
ッチ57が設けられている。この第1のドグクラッチ5
7は、油圧式の第1のアクチュエータ57aによって進
退動作されるもので、後退位置で第1のドライブギヤ5
5aと第1の変速軸21との締結(以下、L締結と称
す)を行うとともに、進出位置で第2のドライブギヤ5
6aと第1の変速軸21との締結(以下、H締結と称
す)を行い、中立位置でこれらを解放するようになって
いる。
【0036】また、タービン軸14には、第1のドライ
ブギヤ55aとタービン軸14とを締結可能な動力伝達
手段としての第2のドグクラッチ58が設けられてい
る。この第2のドグクラッチは、油圧式の第2のアクチ
ュエータ58aによって進退移動されるもので、進出位
置で第1のドライブギヤ55aとタービン軸14との締
結(以下、M締結と称す)を行い、後退位置でこれらの
解放を行うようになっている。この場合、第2のドグク
ラッチ58は、M締結時に、タービン軸14の動力を等
速のまま(すなわち、変速比=1で)第2の変速機50
(第1のドライブギヤ55a)に直接的に伝達する。
【0037】ここで、変速比i4,i5は、第1の変速機
20の変速比i1,i3(=1)に対し、 i1・i5=i3・i4=i4 …(1) の関係を満たすよう設定されている。
【0038】そして、この自動変速装置は、第1の変速
機20と第2の変速機50の各変速比の組み合わせによ
って、前進5段、後進1段の変速段を得るようになって
いる。
【0039】なお、ディファレンシャルケース2にはフ
ロントディファレンシャル装置60が設けられ、第2の
変速機20による変速動力は、第2の変速軸51の先端
に設けられた変向ギヤ61を介してフロントディファレ
ンシャル装置60に伝達される。また、エクステンショ
ンケース4にはリヤドライブ軸63が設けられ、第2の
変速機20による変速動力は、第2の変速軸51とリヤ
ドライブ軸63との間に設けられたリダクションギヤ列
64を介してリヤドライブ軸63に伝達され、これによ
り4輪駆動走行が実現する。
【0040】次に、上記構成による自動変速装置の制御
系について説明する。図1において符号70はトランス
ミッションコントロールユニット(以下、TCUと称
す)を示す。このTCU70には、エンジン回転数セン
サ71からのエンジン回転数、スロットル開度センサ7
2からのスロットル開度、エンジン水温センサ73から
のエンジン水温、シフト位置センサ74からのシフト位
置、第2のドグクラッチ58に対向されたタービン軸回
転数センサ75からのタービン軸回転数、第2のリング
ギヤ33に対向された第1の変速軸回転数センサ76か
らの第1の変速軸回転数、リダクションギヤ列64のド
ライブ側に対向された第2の変速軸回転数センサ77か
らの第2の変速軸回転数等の各種信号が入力され、これ
らの信号に基づき、コントロールバルブユニット(以
下、C/Vと称す)80に動作信号を出力するようにな
っている。
【0041】C/V80は、TCU70からの動作信号
に基づき、オイルポンプ16からの吐出流を元圧とした
油圧制御を行い、各クラッチ、各ブレーキ、及び、各ア
クチュエータ等の動作制御等を行うようになっている。
【0042】すなわち、C/V80には、オイル通路8
1,82を介してトルクコンバータ10が接続され、ト
ルクコンバータ10への作動油の供給を行うとともにロ
ックアップクラッチ15の動作制御を行う。また、C/
V80には、オイル通路83,84を介してフォワード
クラッチ38,ダイレクトクラッチ39がそれぞれ接続
され、これら各クラッチにオイル通路83,84を介し
て作動油圧を供給することにより動作制御を行う。ま
た、C/V80には、オイル通路85,86を介して2
ndブレーキ40,L&Rブレーキ41がそれぞれ接続
され、これら各ブレーキにオイル通路85,86を介し
て作動油圧を供給することにより動作制御を行う。さら
に、C/V80には、オイル通路87,88を介してア
クチュエータ57a,58aがそれぞれ接続され、これ
ら各アクチュエータにオイル通路87,88を介して作
動油圧を供給することにより動作制御を行う。
【0043】次に、上記構成による自動変速装置の作用
について説明する。シフトレバーによって走行レンジが
選択されると、TCU70はC/V80を通じてトルク
コンバータ10に作動油の供給を行い、これによりトル
クコンバータ10は、エンジンのクランク軸12からの
動力をタービン軸14に伝達する。このとき、トルクコ
ンバータ10は、作動油を介してトルク伝達を行うの
で、発進時のトルク増幅作用や回転変動遮断作用等を実
現し、走行性を高めることができる。また、一定走行時
等において、TCU70はC/V80を通じてトルクコ
ンバータ10に供給される作動油の流れを切り替え、ロ
ックアップクラッチ15の締結を行うことで動力損失を
低減することができる。
【0044】また、TCU70は、各種センサからの入
力等に基づいて前進5段、後進1段の変速段の何れかを
選択し、C/V80を通じて各クラッチ38,39,5
7,58及び各ブレーキ40,41の締結/解放制御を
行う。以下、各変速段の制御について図3,4を参照し
て説明する。
【0045】TCU70は、第1速を選択すると、フォ
ワードクラッチ38及びL&Rブレーキ41の締結を行
うとともに、第1のドグクラッチ57をL締結する。こ
れにより第1の変速機20はAT1速となり、タービン軸
14からの動力が変速比i1で変速されて第1の変速軸
21に伝達される。さらに、この変速動力は第1のドグ
クラッチ57を介して第2の変速機50に入力され、第
1のギヤ列55によって変速比i4で変速された後、第
2の変速軸51に伝達される。そして、自動変速装置
は、タービン軸14からの動力を変速比i1・i4で変
速する第1速の変速段を得る。
【0046】また、TCU70は、第2速を選択する
と、フォワードクラッチ38及び2ndブレーキ40の
締結を行うとともに、第1のドグクラッチ57をL締結
する。これにより第1の変速機20はAT2速となり、タ
ービン軸14からの動力が変速比i2で変速されて第1
の変速軸21に伝達される。さらに、この変速動力は第
1のドグクラッチ57を介して第2の変速機50に入力
され、第1のギヤ列55によって変速比i4で変速され
た後、第2の変速軸51に伝達される。そして、自動変
速装置は、タービン軸14からの動力を変速比i2・i4
で変速する第2速の変速段を得る。
【0047】ここで、自動変速装置の第1速から第2速
へのアップシフト及び第2速から第1速へのダウンシフ
トは、第1の変速機20におけるL&Rブレーキ41と
2ndブレーキ40とのかけ替えのみにより行われる。
すなわち、TCU70は、フォワードクラッチ38の締
結及び第1のドグクラッチ57のL締結を維持したま
ま、L&Rブレーキ41を解放して2ndブレーキ40
を締結することにより第1速から第2速へのアップシフ
トを行い、2ndブレーキ40を解放してL&Rブレー
キ41を締結することにより第2速から第1速へのダウ
ンシフトを行う。
【0048】TCU70は、第3速を選択すると、第2
のドグクラッチ58をM締結する。これにより、タービ
ン軸14からの動力が第2のドグクラッチ58を介して
第2の変速機50に直接入力され、第1のギヤ列55に
よって変速比i4で変速された後、第2の変速軸51に
伝達される。そして、自動変速装置は、タービン軸14
からの動力を変速比i4で変速する第3速の変速動力を
得る。
【0049】ここで、自動変速装置の第2速から第3速
へのアップシフト時には、TCU70は、以下の制御を
行う。すなわち、第2速から第3速へのアップシフト時
には、TCU70は、第1のドグクラッチ57のL締結
を維持したまま第1の変速機20をAT2速からAT3速に
アップシフトさせることで、実質的な第3速(∴ 変速
比=i3・i4=1・i4=i4)へのアップシフトをパワ
ーオン状態で実現するとともに第1の変速軸21とター
ビン軸14との回転数を一致させ、その後、第2のドグ
クラッチ58をM締結するとともに第1のドグクラッチ
57を解放して、タービン軸14に第1のギヤ列55が
直結された、自動変速装置の第3速状態を得る。
【0050】具体的に説明すると、図5に示すように、
第2速での走行時において第3速へのアップシフトが選
択されると、TCU70は、フォワードクラッチ38の
締結及び第1のドグクラッチ57のL締結を維持したま
ま、2ndブレーキ41を解放するとともにダイレクト
クラッチ39の締結を開始し(t1)、これによりター
ビン軸14の回転数は引き下げられる。
【0051】ダイレクトクラッチ39の締結が完了する
と(t2)、第1の変速機20はAT3速となって第1の
ドグクラッチ57を介して締結された第1のギヤ列55
との間に実質的な第3速状態を得、また、このときの変
速比はi3=1であるので、第1の変速軸21の回転数
とタービン軸14の回転数とが一致してこれらの相対回
転数が”0”となる。
【0052】その後、TCU70は、第2のドグクラッ
チ58をM締結する(t3)。このとき、上述のように
第1の変速軸21とタービン軸14との間の相対回転数
は”0”であり、第1のドグクラッチ57によってL締
結された第1のドライブギヤ55aは第1の変速軸21
と一体回転しているので、第2のドグクラッチ58がス
ムーズにM締結される。
【0053】その後、TCU70は、第1のドグクラッ
チ57を解放(t4)することでタービン軸14にのみ
第1のギヤ列55が直結された第3速状態を得る。な
お、第1のドグクラッチ57の解放後には、第1の変速
機20に係る全てのクラッチ38,39及びブレーキ4
0,41を解放して第1の変速機20をニュートラル状
態とすることも可能であるが、本実施の形態において
は、後述する第3速から第2速へのダウンシフト或いは
第3速から第4速へのアップシフトを考慮して、AT2速
にダウンシフトする。
【0054】一方、自動変速装置の第3速から第2速へ
のダウンシフト時には、TCU70は、以下の制御を行
う。すなわち、第3速から第2速へのダウンシフト時に
は、TCU70は、第2のドグクラッチ58のM締結を
維持したまま第1の変速機20をAT2速からAT3速にア
ップシフトさせることで第1の変速軸21とタービン軸
14との回転数を一致させ、第1のドグクラッチ57を
L締結するとともに第2のドグクラッチ58を解放した
後、第1の変速機20をAT3速からAT2速にダウンシフ
トすることにより、自動変速装置の第2速状態を得る。
【0055】具体的に説明すると、図6に示すように、
第3速での走行時において第2速へのダウンシフトが選
択されると、TCU70は、フォワードクラッチ38の
締結及び第2のドグクラッチ57のM締結を維持したま
ま、2ndブレーキ41を解放するとともにダイレクト
クラッチ39の締結を開始し(t1)、これにより第1
の変速軸21の回転数は引き上げられる。
【0056】ダイレクトクラッチ39の締結が完了する
と(t2)、第1の変速機20はAT3速となり、このと
きの変速比はi3=1であるので、第1の変速軸21の
回転数とタービン軸14の回転数とが一致してこれらの
相対回転数が”0”となる。
【0057】その後、TCU70は、第1のドグクラッ
チ57をL締結する(t3)。このとき、上述のように
第1の変速軸21とタービン軸14との間の相対回転数
は”0”であり、第2のドグクラッチ58によってM締
結された第1のドライブギヤ55aはタービン軸14と
一体回転しているので、第1のドグクラッチ57がスム
ーズにL締結される。
【0058】その後、TCU70は、第2のドグクラッ
チ58を解放し(t4)、ダイレクトクラッチ39の解
放を行う(t5)とともに2ndブレーキ40の締結を
行う(t5→t6)ことにより第3速状態を得る。
【0059】TCU70は、第4速を選択すると、フォ
ワードクラッチ38及び2ndブレーキ40の締結を行
うとともに、第1のドグクラッチ57をH締結する。こ
れにより第1の変速機20はAT2速となり、タービン軸
14からの動力が変速比i2で変速されて第1の変速軸
21に伝達される。さらに、この変速動力は第1のドグ
クラッチ57を介して第2の変速機50に入力され、第
2のギヤ列56によって変速比i5で変速された後、第
2の変速軸51に伝達される。そして、自動変速装置
は、タービン軸14からの動力を変速比i2・i5で変速
する第4速の変速段を得る。
【0060】ここで、自動変速装置の第3速から第4速
へのアップシフト時には、TCU70は、以下の制御を
行う。すなわち、第3速から第4速へのアップシフト時
には、TCU70は、第2のドグクラッチ57のM締結
を維持したまま第1の変速機20をAT2速からAT1速に
ダウンシフトさせることで、第1の変速軸21と第2の
ドライブギヤ56aとの回転数を一致させ(∴ i1・
i5=i3・i4=i4)、第1のドグクラッチ57をH締
結するとともに第2のドグクラッチ58を解放した後、
第1の変速機をAT1速からAT2速にアップシフトするこ
とにより、自動変速装置の第4速を得る。
【0061】具体的に説明すると、図7に示すように、
第3速での走行時において第4速へのアップシフトが選
択されると、TCU70は、フォワードクラッチ38の
締結及び第2のドグクラッチ58のM締結を維持したま
ま、2ndブレーキ40を解放するとともにL&Rブレ
ーキ41の締結を開始し(t1)、これにより第1の変
速軸21の回転数は引き下げられる。
【0062】L&Rブレーキ41の締結が完了すると
(t2)第1の変速機20はAT1速となり、このとき変
速比i1・i5=i4であるので、第1の変速軸21の回
転数と第2のドライブギヤ56aの回転数とが一致して
これらの相対回転数が”0”となる。
【0063】その後、TCU70は、第1のドグクラッ
チ57をH締結する(t3)。このとき、上述のように
第1の変速軸21と第2のドライブギヤ56aとの間の
相対回転数は”0”であるので、第1のドグクラッチ5
7がスムーズにH締結される。
【0064】その後、TCU70は、第2のドグクラッ
チ58を解放し(t4)、L&Rブレーキ41の解放を
行う(t5)とともに2ndブレーキ40の締結を行う
(t4→t5)ことにより第4速状態を得る。
【0065】一方、第4速から第3速へのダウンシフト
時には、TCU70は、以下の制御を行う。すなわち、
第4速から第3速へのダウンシフト時には、TCU70
は、第1のドグクラッチ58のH締結を維持したまま第
1の変速機20をAT2速からAT1速にダウンシフトさせ
ることで、実質的な第3速(∴ i1・i5=i4)への
ダウンシフトをパワーオン状態で実現するとともに第1
のドライブギヤ55aとタービン軸14との回転数を一
致させ、その後、第2のドグクラッチ58をM締結する
とともに第1のドグクラッチ57を解放して、タービン
軸14に第1のギヤ列55が直結された、自動変速装置
の第3速状態を得る。
【0066】具体的に説明すると、図8に示すように、
第4速での走行時において第3速へのダウンシフトが選
択されると、TCU70は、フォワードクラッチ38の
締結及び第1のドグクラッチ57のH締結を維持したま
ま、2ndブレーキ40を解放するとともにL&Rブレ
ーキ41の締結を開始し(t1)、これによりタービン
軸14の回転数は引き上げられる。
【0067】L&Rブレーキ41の締結が完了すると
(t2)、第1の変速機20はAT1速となって第1のド
グクラッチ57を介して締結された第2のギヤ列56と
の間に実質的な第3速状態(変速比=i1・i5)を得、
また、このとき、i1・i5=i4であるので、第1のド
ライブギヤ55aの回転数とタービン軸14の回転数と
が一致してこれらの相対回転数が”0”となる。
【0068】その後、TCU70は、第2のドグクラッ
チ58をM締結する(t3)。このとき、上述のように
第1のドライブギヤ55aとタービン軸14との間の相
対回転数は”0”であるので、第2のドグクラッチ58
がスムーズにM締結される。
【0069】その後、TCU70は、第1のドグクラッ
チ57を解放(t4)することでタービン軸14にのみ
第1のギヤ列55が直結された第3速状態を得る。な
お、第1のドグクラッチ57の解放後には、第1の変速
機20に係る全てのクラッチ38,39及びブレーキ4
0,41を解放して第1の変速機20をニュートラル状
態とすることも可能であるが、本実施の形態において
は、第3速から第2速へのダウンシフト或いは第3速か
ら第4速へのアップシフトを考慮して、AT2速にダウン
シフトする。
【0070】TCU70は、第5速を選択すると、フォ
ワードクラッチ38及びダイレクトクラッチ39の締結
を行うとともに、第1のドグクラッチ57をH締結す
る。これにより第1の変速機20はAT3速となり、ター
ビン軸14からの動力が変速比i3で変速されて第1の
変速軸21に伝達される。さらに、この変速動力は第1
のドグクラッチ57を介して第2の変速機50に入力さ
れ、第2のギヤ列56によって変速比i5で変速された
後、第2の変速軸51に伝達される。そして、自動変速
装置は、タービン軸14からの動力を変速比i3・i5で
変速する第5速の変速段を得る。
【0071】ここで、第4速から第5速へのアップシフ
ト及び第5速から第4速へのダウンシフトは、第1の変
速機20におけるダイレクトクラッチ39と2ndブレ
ーキ40とのかけ替えのみにより行われる。すなわち、
TCU70は、フォワードクラッチ38の締結及び第1
のドグクラッチ57のH締結を維持したまま、2ndブ
レーキ40を解放してダイレクトクラッチ39を締結す
ることにより第4速から第5速へのアップシフトを行
い、ダイレクトクラッチ39を解放して2ndブレーキ
40を締結することにより第5速から第4速へのダウン
シフトを行う。
【0072】また、TCU70においてキックダウン状
態における第5速から第3速へのダウンシフトが必要で
あると判断された場合には、第1のドグクラッチ57の
H締結を維持したまま、第1の変速機20をAT3速から
AT1速にキックダウン応答させ、その後、第2のドグク
ラッチ58のM締結を行うことにより、速やかなキック
ダウン効果を得ることができる。
【0073】また、シフトレバーによってリバースレン
ジが選択されると、TCU70は、ダイレクトクラッチ
39及びL&Rブレーキ41の締結を行うとともに、第
1のドグクラッチ57をL締結する。これにより、第1
の変速機20はATR速となり、タービン軸14からの動
力が反転されるとともに変速比iRで変速されて第1の
変速軸21に伝達される。さらに、この変速動力は第1
のドグクラッチ57を介して第2の変速機50に入力さ
れ、第1のギヤ列によって変速比i4で変速された後、
第2の変速軸51に伝達される。そして、自動変速装置
は、タービン軸14からの動力を反転させて変速比iR
・i4で変速するリバースの変速段を得る。
【0074】また、シフトレバーによってニュートラル
レンジが選択されると、TCU70はC/V80を通じ
て各クラッチ38,39,57,58及び各ブレーキ4
0,41の解放を行う。
【0075】このような実施の形態によれば、異なるタ
イプの2つの変速機を組み合わせることにより、互いの
長所が補完された多段式の自動変速装置を簡単な構造で
安価に構成することができる。
【0076】本実施の形態において具体的には、一対の
プラネタリギヤユニットと4組の湿式クラッチ/ブレー
キを用いて前進3段,後進1段の第1の変速機を構成す
るとともに、この第1の変速機に、一対のギヤ列と一対
のドグクラッチを用いた第2の変速機を組み合わせるこ
とにより、湿式クラッチ/ブレーキを全体として4組し
か用いない簡単な構成で前進5段,後進1段の自動変速
装置を実現することができる。
【0077】この際、第1,第2の変速機の変速比等を
適切に設定することにより、ドグクラッチによる締結を
切り替える際に各ドグクラッチの締結要素を同期させる
ことができるので、ドグクラッチにシンクロメッシュ機
構等を設けることなく、簡単な構造で変速時の異音やシ
ョック等を防止することができる。
【0078】本実施の形態において具体的には、変速比
をi1・i5=i3・i4=i4に設定することにより、第
1のドグクラッチ57のL締結時と第2のドグクラッチ
58のM締結時の各締結要素の同期、及び、第1のドグ
クラッチ57のH締結時と第2のドグクラッチ58のM
締結時の各締結要素の同期を行うことができ、各ドグク
ラッチ57,58にシンクロメッシュ機構等を設けるこ
となく、簡単な構造で変速時の異音やショックを防止す
ることができる。
【0079】また、上述のような変速比に設定すること
で、第1の変速機20の各クラッチ38,39/各ブレ
ーキ40,41による同期機能を全変速段への切替時に
反映させることができるので、全変速段へのパワーオン
変速が可能となり、加速度の大きな変動等を防止して走
行性を向上することができる。
【0080】また、第1の変速機の各クラッチ38,3
9/各ブレーキ40,41による同期機能を全変速段に
反映することにより、トルクコンバータを発進クラッチ
として使用することができ、摩耗を伴う摩擦クラッチと
比べて信頼性を向上することができる。
【0081】また、少数の湿式クラッチ/ブレーキによ
って自動変速装置を構成することができるので、油圧を
発生させるためのトルク損失を低減することができ、さ
らに、各湿式クラッチ/ブレーキ等の摩擦に起因するト
ルク損失を低減することができる。
【0082】また、第1の変速機の湿式クラッチ/ブレ
ーキの操作によってリバース変速も可能とすることによ
り、多段湿式クラッチ式の自動変速機のみを用いた従来
の自動変速装置と同様の操作感を得ることができ、この
場合特に、ギヤの切換を伴うシンクロメッシュ式のもの
に比べて前後進切換時の騒音やショック等を低減するこ
とができる。
【0083】なお、上述の実施の形態において(1)式
は必ずしも厳密に満たされるべきものではなく、数%程
度の誤差であれば発生する相対回転はドグクラッチのバ
ックラッシュで吸収することができる。但し、誤差を生
じる場合には、変速の最終段階にあるドグクラッチの解
放等は速やかに行う必要がある。
【0084】また、第1の変速機は入力された動力を切
断することなく変速可能な構成であればよく、例えば無
段変速機を第1の変速機として適用することも可能であ
る。
【0085】次に、図9,10は本発明の第2の実施の
形態に係わり、図9は自動変速装置の概略構成図、図1
0は第1の変速機及び第2の変速機で得られる変速比
(プーリー比)と最終的な変速比との関係を示す図表で
ある。
【0086】図9において、符号101はトルクコンバ
ータケースを示し、このトルクコンバータケース101
の下部にはディファレンシャルケース102が形成され
ている。また、これらトルクコンバータケース101及
びディファレンシャルケース102の後部にはトランス
ミッションケース103が接合され、トランスミッショ
ンケース103の後部には、エクステンションケース1
04が接合されている。
【0087】トルクコンバータケース101内には、ロ
ックアップクラッチを備えた発進デバイスとしてのトル
クコンバータ10が配設され、このトルクコンバータ1
0のインペラ側がエンジンのクランク軸(何れも図示せ
ず)に連結されている。さらに、トルクコンバータ10
のインペラ側にはオイルポンプ16が連結され、このオ
イルポンプ16の吸入口がオイルパン(何れも図示せ
ず)に連通されている。また、トルクコンバータ10の
タービン軸105はトランスミッションケース103内
に延設されている。
【0088】トランスミッションケース103内には、
タービン軸105からの動力を無段階に変速する無段変
速機(CVT)からなる第1の変速機110と、この第
1の変速機110を構成する入力軸としてのプーリ入力
軸115から直接入力された動力或いは第1の変速機1
10で変速された動力を変速する第2の変速機140と
が配設されている。
【0089】第1の変速機110は、タービン軸105
とプーリ入力軸115との間に配設されたダブルピニオ
ンギヤユニット116と、プーリ入力軸115上に配設
されたプライマリプーリ117と、プーリ入力軸115
と平行に配設された第1の変速軸としてのプーリ出力軸
118上に配設されたセカンダリプーリ120と、これ
らプライマリプーリ117とセカンダリプーリ120と
の間に架設されたベルト121とを備えて構成されてい
る。
【0090】具体的に説明すると、ダブルピニオンギヤ
ユニット116は、タービン軸105上に固設されたサ
ンギヤ123を備え、このサンギヤ123の外周にはリ
ングギヤ124が相対回転自在に対向して配設されてい
る。また、サンギヤ123とリングギヤ124との間に
はプーリ入力軸115に固設されたキャリヤ125に支
持されたダブルピニオンギヤ126が配設され、このダ
ブルピニオンギヤ126がサンギヤ123とリングギヤ
124とに噛合されている。また、リングギヤ124に
は、リバースブレーキ127とフォワードクラッチ12
8とが設けられ、リバースブレーキ127を介してリン
グギヤ124とトランスミッションケース103とを締
結可能とするとともに、フォワードクラッチ128を介
してリングギヤ124とキャリヤ125とを締結可能と
する。そして、ダブルピニオンギヤユニット116は、
フォワードクラッチ128が締結された際に、タービン
軸105からの動力を順方向のままプーリ入力軸115
に伝達するとともに、リバースブレーキ127が締結さ
れた際に、タービン軸105からの動力を反転させてプ
ーリ入力軸115に伝達するようになっている。
【0091】また、プライマリプーリ117は、プーリ
入力軸115に固設されたプライマリ固定シーブ130
と、プーリ入力軸115にスプライン結合されたプライ
マリ可動シーブ131とを備え、これらが互いに対向さ
れている。また、プライマリ可動シーブ131の後部に
は、プーリ入力軸115に固定されたプライマリシリン
ダ132が設けられ、プライマリ可動シーブ131とプ
ライマリシリンダ132との間には油圧によりプライマ
リ可動シーブ131を進退移動させる油圧室133が形
成されている。
【0092】また、セカンダリプーリ120は、プーリ
出力軸118に固設されたセカンダリ固定シーブ136
と、プーリ出力軸118にスプライン結合されたセカン
ダリ可動シーブ135とを備え、これらが互いに対向さ
れている。また、セカンダリ可動シーブ135の前部に
は、プーリ出力軸118に固設されたセカンダリシリン
ダ137が設けられ、セカンダリ可動シーブ135とセ
カンダリシリンダ137との間には油圧によりセカンダ
リ可動シーブ135を進退移動させる油圧室138が形
成されている。
【0093】そして、周知のように、第1の変速機11
0は、プライマリ可動シーブ131とセカンダリ可動シ
ーブ135を進退移動させることによりベルト121の
締結位置を変化させ、ベルト121を介して、プーリ入
力軸115からの動力を無段階に変速してプーリ出力軸
118に伝達するようになっている。
【0094】ここで、上記第1の変速機110は、上述
のようにプーリ入力軸115からの動力を無段階に変速
してプーリ出力軸118に伝達可能なものであるが、本
実施の形態においては、トランスミッションコントロー
ルユニット150(後述する)の制御によって、主とし
て変速比がi1〜i6(i1=2.164、i2=1.26
6、i3=0.8、i4=1.000、i5=1.72
3、i6=1.293)の6段の変速段(以下、順に、C
VT1速、CVT2速、CVT3速、CVT4速、CVT5速、CVT6
速と称す)に節度感を持たせて変速するようになってい
る。
【0095】トランスミッションケース103内におい
て、プーリ入力軸115とプーリ出力軸118との間に
は、第2の変速軸139が平行に配設され、これら3軸
の間に第2の変速機140が設けられている。
【0096】具体的に説明すると、第2の変速機140
は、プーリ出力軸118と第2の変速軸139との間を
連絡可能な常時噛み合い式の低速ギヤ列としての第1の
ギヤ列141と、同じくプーリ出力軸118と第2の変
速軸139との間を連絡可能な常時噛み合い式の高速ギ
ヤ列としての第2のギヤ列142と、プーリ入力軸11
5と第2の変速軸139との間を連絡可能な第3のギヤ
列143とを備えて構成されている。
【0097】第1のギヤ列141は、プーリ出力軸11
8に回動自在に軸支された第1のドライブ軸141a
と、第2の変速軸139に固設された第1のドリブンギ
ヤ141bとを備え、第1のドライブギヤ141aがプ
ーリ出力軸118に締結された際に、プーリ出力軸11
8からの動力を変速比i7(i7=1.697)で変速し
て第2の変速軸139に伝達可能に構成されている。
【0098】また、第2のギヤ列142は、プーリ出力
軸118に回動自在に軸支された第2のドライブギヤ1
42aと、第2の変速軸139に固設された第2のドリ
ブンギヤ142bとを備え、第2のドライブギヤ142
aがプーリ出力軸118に締結された際に、プーリ出力
軸118からの動力を変速比i8(i8=0.788)で
変速して第2の変速軸139に伝達可能に構成されてい
る。
【0099】また、第3のギヤ列143は、プーリ入力
軸115に回動自在に軸支された第3のドライブギヤ1
43aと、第2の変速軸139に固設された第3のドリ
ブンギヤ143bとを備え、第3のドライブギヤ143
aがプーリ入力軸115に締結された際にプーリ入力軸
115からの動力を変速比i9(i9=1.358)で変
速して第2の変速軸143に伝達可能に構成されてい
る。
【0100】また、プーリ出力軸118において、第1
のギヤ列141と第2のギヤ列142との間には、プー
リ出力軸118と、第1のドライブギヤ141a或いは
第2のドライブギヤ142aとを選択的に締結可能な第
1のドグクラッチ145が設けられている。このドグク
ラッチ145は油圧式の第1のアクチュエータ145a
によって進退動作されるもので、後退位置で第1のドラ
イブギヤ141aとプーリ出力軸118との締結(以
下、L締結と称す)を行うとともに、進出位置で第2の
ドライブギヤ142aとプーリ出力軸118との締結
(以下、H締結と称す)を行い、中立位置でこれらを解
放するようになっている。
【0101】また、プーリ入力軸115には、プーリ入
力軸115と第3のドライブギヤ143aとを締結可能
な第2のドグクラッチ146が設けられている。この第
2のドグクラッチ146は、油圧式の第2のアクチュエ
ータ146aによって進退移動されるもので、後退位置
で第3のドライブギヤ143aとプーリ入力軸115と
の締結(以下、M締結と称す)を行い、進出位置でこれ
らの解放を行うようになっている。すなわち、第3のギ
ヤ列143と第2のドグクラッチ146とによって、プ
ーリ入力軸115の動力を直接的に第2の変速機140
(第2の変速軸139)に伝達可能な動力伝達手段が構
成されている。
【0102】そして、この自動変速装置は、ダブルピニ
オンギヤユニット116、及び、第1の変速機110と
第2の変速機140の各変速比の組み合わせによって、
前進5段、後進1段の変速段を得るようになっている。
【0103】なお、ディファレンシャルケース102に
はフロントディファレンシャル装置60が設けられ、第
2の変速機140による変速動力は、第2の変速軸13
9の先端に設けられた変向ギヤ61を介してフロントデ
ィファレンシャル装置60に伝達される。また、エクス
テンションケース104にはリヤドライブ軸63が設け
られ、第2の変速機140による変速動力は、第2の変
速軸139とリヤドライブ軸63との間に設けられたリ
ダクションギヤ列64を介してリヤドライブ軸63に伝
達され、これにより4輪駆動走行が実現する。
【0104】次に、上記構成による自動変速装置の制御
系について説明する。トランスミッションコントロール
ユニット(以下、TCUと称す)150には、エンジン
回転数センサ71からのエンジン回転数、スロットル開
度センサ72からのスロットル開度、エンジン水温セン
サ73からのエンジン水温、シフト位置センサ74から
のシフト位置、プライマリ可動シーブ131に対向され
たプライマリ回転数センサ155からのプライマリ回転
数、セカンダリ可動シーブ135に対向されたセカンダ
リ回転数センサ156からのセカンダリ回転数、リダク
ションギヤ列64のドライブ側に対向された第2の変速
軸回転数センサ157からの第2の変速軸回転数、オイ
ル通路166(後述する)の途中に介装されたセカンダ
リ圧センサ158からのセカンダリ圧等の各種信号が入
力され、これらの信号に基づき、コントロールバルブユ
ニット(以下、C/Vと称す)160に動作信号を出力
するようになっている。
【0105】C/V160は、TCU150からの動作
信号に基づき、オイルポンプ16からの吐出流を元圧と
した油圧制御を行い、各クラッチ、各ブレーキ、各可動
シーブ、及び、各アクチュエータ等の動作制御等を行う
ようになっている。
【0106】すなわち、C/V160には、オイル通路
161,162を介してトルクコンバータ10が接続さ
れ、トルクコンバータ10への作動油の供給を行うとと
もにロックアップクラッチの動作制御を行う。また、C
/V160には、オイル通路163,164を介してリ
バースブレーキ127,フォワードクラッチ128がそ
れぞれ接続され、これらブレーキ/クラッチにオイル通
路163,164を介して作動油圧を供給することによ
り動作制御を行う。また、C/V160には、オイル通
路165,166を介して各可動シーブ131,135
がそれぞれ接続され、これら各シーブ131,135に
オイル通路165,166を介して作動油圧を供給する
ことにより動作制御を行う。さらに、C/V160に
は、オイル通路167,168を介してアクチュエータ
145a,146aがそれぞれ接続され、これら各アク
チュエータ145a,146aにオイル通路167,1
68を介して作動油圧を供給することにより動作制御を
行う。
【0107】次に、上記構成による自動変速装置の作用
について説明する。シフトレバーによって走行レンジが
選択されると、TCU150はC/V160を通じてト
ルクコンバータ10に作動油の供給を行い、これにより
トルクコンバータ10はエンジンのクランク軸からの動
力をタービン軸105に伝達する。
【0108】また、TCU150は、各種センサからの
入力等に基づいて前進5段、後進1段の変速段の何れか
を選択し、C/V160を通じて各クラッチ、各ブレー
キ、各可動シーブ、及び、各アクチュエータ等の動作制
御等を行う。以下、各変速段の制御について図10を参
照して説明する。
【0109】TCU150は、第1速を選択すると、フ
ォワードクラッチ128の締結を行うとともに可動シー
ブ131,135を動作させて第1の変速機110の変
速段がCVT1速となるよう制御し、さらに、第1のドグ
クラッチ145をL締結する。これにより、第1の変速
機110において、プーリ入力軸115の動力は、変速
比i1(=2.164)で変速されて第1の変速軸11
8に伝達される。さらに、この変速動力は、第1のドグ
クラッチ145を介して第2の変速機140に入力さ
れ、第1のギヤ列141によって変速比i7(=1.6
97)で変速された後、第2の変速軸139に伝達され
る。そして、自動変速装置は、プーリ入力軸115の動
力を変速比i1・i7(=3.672)で変速する第1速
の変速段を得る。
【0110】TCU150は、第2速を選択すると、フ
ォワードクラッチ128の締結を行うとともに各可動シ
ーブ131,135を動作させて第1の変速機110の
変速段がCVT2速となるよう制御し、さらに、第1のド
グクラッチ145をL締結する。これにより、第1の変
速機110において、プーリ入力軸115の動力は、変
速比i2(=1.266)で変速されて第1の変速軸1
18に伝達される。さらに、この変速動力は、第1のド
グクラッチ145を介して第2の変速機140に入力さ
れ、第1のギヤ列141によって変速比i7(=1.6
97)で変速された後、第2の変速軸139に伝達され
る。そして、自動変速装置は、プーリ入力軸115の動
力を変速比i2・i7(=2.149)で変速する第1速
の変速段を得る。
【0111】ここで、自動変速装置の第1速から第2速
へのアップシフト及び第2速から第1速へのダウンシフ
トは、TCU150は、フォワードクラッチ128の締
結及び第1のドグクラッチ145のL締結を維持したま
ま、第1の変速機110における各可動シーブ131,
135の制御のみにより行われる。
【0112】TCU150は、第3速を選択すると、フ
ォワードクラッチ128の締結を行うとともに第2のド
グクラッチ146をM締結する。これにより、プーリ入
力軸115の動力は、変速比i9(=1.358)で変
速されて第2の変速軸139に伝達される。そして、自
動変速装置は、プーリ入力軸115の動力を変速比i9
(=1.358)で変速する第3速の変速段を得る。こ
のとき、TCU150は、各可動シーブ131,135
を動作させ、第1の変速機110の変速段を動力損失が
最も少ないCVT4速(=1.000)となるよう制御す
る。
【0113】ここで、第2速から第3速へのアップシフ
ト時には、TCU150は、フォワードクラッチ128
の締結及び第1のドグクラッチ145のL締結を維持し
たまま第1の変速機20をCVT2速からCVT3速にアップ
シフトさせることで、実質的な第3速(∴ 変速比=i
3・i7=i9=1.358)へのアップシフトをパワー
オン状態で実現するとともにプーリ入力軸115と第3
のドライブギヤ143aとの回転数を一致させ、その
後、第2のドグクラッチ146をM締結するとともに第
1のドグクラッチ145を解放して、プーリ入力軸11
5に第3のギヤ列143を介して第2の変速軸139が
直結された、自動変速装置の第3速状態を得る。一方、
第3速から第2速へのダウンシフト時には、TCU15
0は、上述の制御と逆の制御を行う。
【0114】TCU150は、第4速を選択すると、フ
ォワードクラッチ128の締結を行うとともに各可動シ
ーブ131,135を動作させて第1の変速機110の
変速段がCVT6速となるよう制御し、さらに、第1のド
グクラッチ145をH締結する。これにより、第1の変
速機110において、プーリ入力軸115の動力は、変
速比i6(=1.293)で変速されて第1の変速軸1
18に伝達される。さらに、この変速動力は、第1のド
グクラッチ145を介して第2の変速機140に入力さ
れ、第2のギヤ列142によって変速比i8(=0.7
88)で変速された後、第2の変速軸139に伝達され
る。そして、自動変速装置は、プーリ入力軸115の動
力を変速比i6・i8(=1.019)で変速する第4速
の変速段を得る。
【0115】ここで、第3速から第4速へのアップシフ
ト時には、TCU150は、フォワードクラッチ128
の締結及び第3のドグクラッチ146のM締結を維持し
たまま第1の変速機20をCVT4速からCVT5速にアップ
シフトさせるとともに第1のドグクラッチ145をH締
結し、第3のドグクラッチ146を解放することで、第
1のドグクラッチ145がH締結された状態での実質的
な第3速(∴ 変速比=i5・i8=i9=1.358)
を得、その後、各可動シーブ131,135を動作させ
て第1の変速機110をパワーオン状態のままCVT6速
にアップシフトすることにより、自動変速装置の第4速
状態を得る。一方、第4速から第3速へのダウンシフト
時には、TCU150は、上述の制御と逆の制御を行
う。
【0116】TCU150は、第5速を選択すると、フ
ォワードクラッチ128の締結を行うとともに各可動シ
ーブ131,135を動作させて第1の変速機110の
変速段がCVT4速となるよう制御し、さらに、第1のド
グクラッチ145をH締結する。これにより、第1の変
速機110において、プーリ入力軸115の動力は、変
速比i4(=1.000)で変速されて第1の変速軸1
18に伝達される。さらに、この変速動力は、第1のド
グクラッチ145を介して第2の変速機140に入力さ
れ、第2のギヤ列142によって変速比i8(=0.7
88)で変速された後、第2の変速軸139に伝達され
る。そして、自動変速装置は、プーリ入力軸115の動
力を変速比i4・i8(=0.788)で変速する第5速
の変速段を得る。
【0117】また、シフトレバーによってリバースレン
ジが選択されると、TCU150は、リバースブレーキ
127を締結するとともに可動シーブ131,135を
動作させて第1の変速機110の変速段がCVT1速とな
るよう制御し、さらに、第1のドグクラッチ145をL
締結する。これにより、タービン軸105からの動力は
反転されてプーリ入力軸115に伝達され、第1の変速
機110において、変速比i1(=2.164)で変速
されて第1の変速軸118に伝達される。さらに、この
変速動力は、第1のドグクラッチ145を介して第2の
変速機140に入力され、第1のギヤ列141によって
変速比i7(=1.697)で変速された後、第2の変
速軸139に伝達される。そして、自動変速装置は、プ
ーリ入力軸115の動力を変速比i1・i7(=3.67
2)で変速するリバースの変速段を得る。
【0118】また、シフトレバーによってニュートラル
レンジが選択されると、TCU150はC/V160を
通じてフォワードクラッチ128、リバースブレーキ1
24、及び、各ドグクラッチ145,146の解放を行
う。
【0119】このような実施の形態によれば、上述の第
1の実施の形態で得られる作用・効果に加え、第1速と
第2速の変速比の変化率と、第4速と第5速の変速比の
変化率とを不等に設定することができる。すなわち、第
1の変速機に無段変速機を採用することにより、各変速
段の変速比の変化率を容易に不等設定することができ
る。この場合、高速段での変速比の変化率を小さくする
ことにより、高速段におけるエンジン回転数の変化が小
さくなるよう設定することができ、燃費や走行性を向上
することができる。
【0120】また、無段変速機においてスチールのコマ
を間断なく連ね、両側にスチールバンドでガイドしたス
チールベルトはプーリー比1.0で最もトルク損失が少
ないことが知られており、第1の変速機において設定さ
れる変速段に変速比1.0(=i4)の変速段を設ける
ことにより、変速時のトルク損失を低減することができ
る。
【0121】また、無段変速機に第2の変速機を付加す
る構成とすることにより、無段変速機における変速幅を
小さくすることができ、プーリーの小型化、軽量化を図
ることができ、さらに、慣性質量を小さくすることがで
きる。上述の実施の形態において具体的には、第1の変
速機(無段変速機)110の変速幅は2.705(i1
/i3=2.164/0.8)であるがギヤ列による変
速を加えることにより自動変速装置全体としての変速幅
を4.659(3.672/0.788)に拡大するこ
とができる。
【0122】なお、上述の実施の形態において、第1の
変速機は入力された動力を切断することなく変速可能な
構成であればよく、例えば多段湿式クラッチ式の自動変
速機を変速機を第1の変速機として適用することも可能
である。
【0123】また、第1の変速機に無段変速機を採用す
る場合には、上述のベルト式のものに限定されるもので
なく、いわゆるハーフトロイダル式或いはフルトロイダ
ル式のものを採用してもよい。
【0124】次に、図11〜図13は本発明の第3の実
施の形態に係わり、図11は自動変速装置の概略構成
図、図12は第1の変速機及び第2の変速機による最終
的な変速段と各クラッチの締結を示す図表、図13は第
1の変速機及び第2の変速機で得られる変速比と最終的
な変速比との関係を示す図表である。
【0125】図11において、符号201はトルクコン
バータケースを示し、このトルクコンバータケース20
1の下部にはディファレンシャルケース202が形成さ
れている。また、これらトルクコンバータケース201
及びディファレンシャルケース202の後部には、トラ
ンスミッションケース203が接合され、トランスミッ
ションケース203の後部にはエクステンションケース
204が接合されている。さらに、トランスミッション
ケース203の下部には、オイルパン205が取り付け
られている。
【0126】トルクコンバータケース201内には、ロ
ックアップクラッチを備えた発進デバイスとしてのトル
クコンバータ10が配設され、このトルクコンバータ1
0のインペラ側がエンジンのクランク軸(何れも図示せ
ず)に連結されている。さらに、トルクコンバータ10
のインペラ側にはオイルポンプ16が連結され、このオ
イルポンプ16の吸入口がオイルパン(何れも図示せ
ず)に連通されている。また、トルクコンバータ10の
タービン軸206は、入力軸として構成され、トランス
ミッションケース203内に延設されている。
【0127】トランスミッションケース201内には、
タービン軸206から入力された動力を変速する第1の
変速機220と、タービン軸206から直接入力された
動力或いは第1の変速機220で変速された動力を変速
する第2の変速機240とが配設されている。
【0128】第1の変速機220は、タービン軸206
とこのタービン軸206の下部に平行に配設された第1
の変速軸221との間に、常時噛み合い式の、低速ギヤ
列としての第1のギヤ列225と、中速ギヤ列としての
第2のギヤ列226と、高速ギヤ列としての第3のギヤ
列227とを備えたいわゆるレイシャフト式の変速機で
構成され、これら各ギヤ列225,226,227によ
る変速動力が第1の変速軸221に伝達されるようにな
っている。
【0129】具体的に説明すると、第1のギヤ列225
は、タービン軸206に相対回転自在に軸支された第1
のドライブギヤ225aと、第1の変速軸221に固設
された第1のドリブンギヤ225bとを備えて構成さ
れ、第1の変速機220は、第1の油圧多板クラッチ2
30を介して第1のドライブギヤ225aがタービン軸
206に締結された際に、タービン軸206からの動力
を変速比i1で変速して第1の変速軸221に伝達する
第1速(以下、AT1速と称す)を得るようになってい
る。
【0130】また、第2のギヤ列226は、タービン軸
206に相対回転自在に軸支された第2のドライブギヤ
226aと、第1の変速軸221に固設された第2のド
リブンギヤ226bとを備えて構成され、第1の変速機
220は、第2の油圧多板クラッチ231を介して第2
のドライブギヤ226aがタービン軸206に締結され
た際に、タービン軸206からの動力を変速比i2(i1
>i2)で変速して第1の変速軸221に伝達する第2
速(以下、AT2速と称す)を得るようになっている。
【0131】また、第3のギヤ列227は、タービン軸
206に相対回転自在に軸支された第3のドライブギヤ
227aと、第1の変速軸221に固設された第3のド
リブンギヤ227bとを備えて構成され、第1の変速機
220は、第3の油圧多板クラッチ232を介して第3
のドライブギヤ227aがタービン軸206に締結され
た際に、タービン軸206からの動力を変速比i3(i1
>i2>i3)で変速して第1の変速軸221に伝達する
第3速(以下、AT3速と称す)を得るようになってい
る。
【0132】すなわち、第1の変速機220は、第1〜
第3の油圧多板クラッチ230〜232を選択的に締結
することにより、AT1速からAT3速までの前進3段の変
速段を得る。
【0133】トランスミッションケース203内におい
て、タービン軸206及び第1の変速軸221の下方に
は、第2に変速軸241が平行に配設され、これらの間
に第2の変速機240が設けられている。
【0134】具体的に説明すると、第2の変速機240
は、第1の変速軸221と第2の変速軸241との間を
それぞれ連絡可能な、第4のギヤ列245と、第5のギ
ヤ列246と、第6のギヤ列247と、リバースギヤ列
248とを備え、さらに、タービン軸206と第1の変
速軸221との間に、第7のギヤ列249を備えて構成
されている。
【0135】第4のギヤ列245は、第1の変速軸22
1に回動自在に軸支された第4のドライブギヤ245a
と、第2の変速軸241上に固設された第4のドリブン
ギヤ245bとを備え、第4のドライブギヤ245aに
第1の変速軸221が締結された際、或いは、第4のド
ライブギヤ245aに第7のギヤ列249を介してター
ビン軸206が締結された際に、これら第1の変速軸2
21或いはタービン軸206からの動力を変速比i4で
変速して第2の変速軸241に伝達可能に構成されてい
る。
【0136】また、第5のギヤ列246は、第1の変速
軸221に回動自在に軸支された第5のドライブギヤ2
46aと、第2の変速軸241上に固設された第5のド
リブンギヤ246bとを備え、第5のドライブギヤ24
6aに第1の変速軸221が締結された際、或いは、第
5のドライブ軸246aに第7のギヤ列249を介して
タービン軸206が締結された際に、これら第1の変速
軸221或いはタービン軸206からの動力を変速比i
5(i4>i5)で変速して第2の変速軸241に伝達可
能に構成されている。
【0137】また、第6のギヤ列247は、第1の変速
軸221に回動自在に軸支された第6のドライブギヤ2
47aと、第2の変速軸241上に固設された第6のド
リブンギヤ247bとを備え、第6のドライブギヤ24
7aに第1の変速軸221が締結された際に、第1の変
速軸221からの動力を変速比i6(i4>i5>i6)で
変速して第2の変速軸241に伝達可能に構成されてい
る。
【0138】また、リバースギヤ列248は、第1の変
速軸221に回動自在に軸支されたリバースドライブギ
ヤ248aと、第2の変速軸241上に固設されたリバ
ースドリブンギヤ248bと、これら両ギヤ248a,
248bに噛合されたリバースアイドラギヤ248cと
を備え、リバースドライブギヤ248aに第1の変速軸
221が締結された際に、第1の変速軸221からの動
力を変速比iRで変速するとともに反転して第2の変速
軸241に伝達可能に構成されている。
【0139】また、第7のギヤ列249は、タービン軸
206上に固設された第7のドライブギヤ249aと、
第1の変速軸221に回動自在に軸支された第7のドリ
ブンギヤ249bとを備え、第7のドリブンギヤ249
bに第4のドライブギヤ245a或いは第5のドライブ
ギヤ246aが締結された際に、タービン軸206から
の動力を変速比i7で変速して各ドライブギヤ245
a,246aに伝達可能に構成されている。
【0140】また、第1の変速軸221において、第4
のギヤ列245とリバースギヤ列248との間には、第
1の変速軸221と、第4のドライブギヤ245a或い
はリバースドライブギヤ248aとを選択的に締結可能
な第1のドグクラッチ250が設けられている。この第
1のドグクラッチ250は、油圧式の第1のアクチュエ
ータ250aによって進退動作されるもので、後退位置
で第4のドライブギヤ245aと第1の変速軸221と
の締結(以下、L1締結と称す)を行うとともに、進出
位置でリバースドライブギヤ248aと第1の変速軸2
21との締結(以下、R締結と称す)を行い、中立位置
でこれらを解放するようになっている。
【0141】また、第1の変速軸221において、第4
のギヤ列245と第7のギヤ列249との間には、第4
のドライブギヤ245aと第7のドリブンギヤ249b
とを締結可能な第2のドグクラッチ251が設けられて
いる。この第2のドグクラッチ251は、油圧式の第2
のアクチュエータ251aによって進退動作されるもの
で、進出位置で第4のドライブギヤ245aと第7のド
リブンギヤ249bとの締結(以下、L2締結と称す)
を行い、後退位置でこれらの解放を行うようになってい
る。すなわち、第7のギヤ列249と第2のドグクラッ
チ251とによって、タービン軸206の動力を直接的
に第2の変速機240(第4のドライブギヤ245a)
に伝達可能な動力伝達手段が構成されている。
【0142】また、第1の変速軸221において、第7
のギヤ列249と第5のギヤ列246との間には、第7
のドリブンギヤ249bと第5のドライブギヤ246a
とを締結可能な第3のドグクラッチ252が設けられて
いる。この第3のドグクラッチ252は、油圧式の第3
のアクチュエータ252aによって進退動作されるもの
で、後退位置で第7のドリブンギヤ249bと第5のド
ライブギヤ246aとの締結(以下、M3締結と称す)
を行い、進出位置でこれらの解放を行うようになってい
る。すなわち、第7のギヤ列249と第3のドグクラッ
チ252とによって、タービン軸206の動力を直接的
に第2の変速機240(第5のドライブギヤ246a)
に伝達可能な動力伝達手段が構成されている。
【0143】また、第1の変速軸221において、第5
のギヤ列246と第6のギヤ列247との間には、第1
の変速軸221と、第5のドライブギヤ246a或いは
第6のドライブギヤ247aとを締結可能な第4のドグ
クラッチ253が設けられている。この第4のドグクラ
ッチ253は、油圧式の第5のアクチュエータ253a
によって進退動作されるもので、進出位置で第1の変速
軸221と第5のドライブギヤ246aとの締結(以
下、M4締結と称す)を行うとともに、後退位置で第1
の変速軸221と第6のドライブギヤ247aとの締結
(以下、H4締結と称す)を行い、中立位置でこれらの
解放を行うようになっている。
【0144】ここで、上記各変速比は、 i3=i7 …(2) i4・i3=i5・i1 …(3) i5・i3=i6・i1 …(4) の関係が成立するよう設定されている。
【0145】そして、この自動変速装置は、第1の変速
機220と第2の変速機240の各変速比の組み合わせ
によって、前進7段、後進1段の変速段を得るようにな
っている。
【0146】なお、ディファレンシャルケース202に
はフロントディファレンシャル装置60が設けられ、第
2の変速機240による変速動力は、第2の変速軸24
1の先端に設けられた変向ギヤ61を介してフロントデ
ィファレンシャル装置60に伝達される。また、エクス
テンションケース204にはリヤドライブ軸63が設け
られ、第2の変速機240による変速動力は、第2の変
速軸241とリヤドライブ軸63との間に設けられたリ
ダクションギヤ列64を介してリヤドライブ軸63に伝
達され、これにより4輪駆動走行が実現する。
【0147】次に、上記構成による自動変速装置の制御
系について説明する。トランスミッションコントロール
ユニット(以下、TCUと称す)260には、エンジン
回転数センサ71からのエンジン回転数、スロットル開
度センサ72からのスロットル開度、エンジン水温セン
サ73からのエンジン水温、シフト位置センサ74から
のシフト位置、第7のドライブギヤ249aに対向され
たタービン軸回転数センサ261からのタービン軸回転
数、第2のドリブンギヤ226bに対向された第1の変
速軸回転センサ262からの第1の変速軸回転数、リダ
クションギヤ列64のドライブ側に対向された第2の変
速軸回転数センサ263からの第2の変速軸回転数等の
各種信号が入力され、これらの信号に基づき、コントロ
ールバルブユニット(以下、C/Vと称す)270に動
作信号を出力するようになっている。
【0148】C/V270は、TCU260からの動作
信号に基づき、オイルポンプ16からの吐出流を元圧と
した油圧制御を行い、各クラッチ、各アクチュエータ等
の動作制御を行うようになっている。
【0149】すなわち、C/V270には、オイル通路
271,272を介してトルクコンバータ10が接続さ
れ、トルクコンバータ10への作動油の供給を行うとと
もにロックアップクラッチ(図示せず)の動作制御を行
う。また、C/V270には、オイル通路273,27
4,275を介して第1,第2,第3の油圧多板クラッ
チ230,231,232がそれぞれ接続され、これら
各油圧多板クラッチ230,231,232にオイル通
路273,274,275を供給することにより動作制
御を行う。また、C/V270にはオイル通路276,
277,278,279を介して第1,第2,第3,第
4のドグクラッチ250a,251a,252a,25
3aがそれぞれ接続され、これら各ドグクラッチ250
a,251a,252a,253aにオイル通路27
6,277,278,279を介して作動油圧を供給す
ることにより動作制御を行う。
【0150】次に、上記構成による自動変速装置の作用
について説明する。シフトレバーによって走行レンジが
選択されると、TCU260は、C/V270を通じて
トルクコンバータ10に作動油の供給を行い、これによ
りトルクコンバータ10はエンジンのクランク軸からの
動力をタービン軸206に伝達する。
【0151】また、TCU260は、各種センサからの
入力等に基づいて前進7段、後進1段の変速段の何れか
を選択し、C/V270を通じて各クラッチや各アクチ
ュエータ等の動作制御等を行う。以下、各変速段の制御
について、図12,13を参照して説明する。
【0152】TCU260は、第1速を選択すると、第
1の油圧多板クラッチ230の締結を行うとともに第1
のドグクラッチ250をL1締結する。これにより、第1
の変速機220はAT1速となり、タービン軸206から
の動力が第1のギヤ列225によって変速比i1で変速
されて第1の変速軸221に伝達される。さらに、この
変速動力は第1のドグクラッチ250を介して第2の変
速機240に入力され、第4のギヤ列245によって変
速比i4で変速された後、第2の変速軸241に伝達さ
れる。そして、自動変速装置は、タービン軸206から
の動力を変速比i1・i4で変速する第1速の変速段を得
る。
【0153】TCU260は、第2速を選択すると、第
2の油圧多板クラッチ231の締結を行うとともに第1
のドグクラッチ250をL1締結する。これにより、第
1の変速機220はAT2速となり、タービン軸206か
らの動力が第2のギヤ列226によって変速比i2で変
速されて第1の変速軸221に伝達される。さらに、こ
の変速動力は第1のドグクラッチ250を介して第2の
変速機240に入力され、第4のギヤ列245によって
変速比i5で変速された後、第2の変速軸241に伝達
される。そして、自動変速装置は、タービン軸206か
らの動力を変速比i1・i5で変速する第2速の変速段を
得る。
【0154】ここで、自動変速装置の第1速から第2速
へのアップシフト及び第2速から第1速へのダウンシフ
トは、第1の変速機220における第1の油圧多板クラ
ッチ230と第2の油圧多板クラッチ231とのかけ替
えのみにより行われる。すなわち、TCU260は、第
1のドグクラッチ250のL1締結を維持したまま、第
1の油圧多板クラッチ230を解放して第2の油圧多板
クラッチ231を締結することにより、第1速から第2
速へのアップシフトを行い、第2の油圧多板クラッチ2
31を解放して第1の油圧多板クラッチ230を締結す
ることにより第2速から第1速へのダウンシフトを行
う。
【0155】TCU260は、第3速を選択すると、第
2のドグクラッチ251をL2締結する。これにより、
第7のドリブンギヤ249bと第4のドライブギヤ24
5aは連結され、タービン軸206からの動力は、第7
のギヤ列249によって変速比i7で変速されて第2の
変速機240に入力され、第4のギヤ列245によって
変速比i4で変速された後、第2の変速軸241に伝達
される。そして、自動変速装置は、タービン軸206か
らの動力を変速比i7・i4で変速する第3速の変速段を
得る。
【0156】ここで、第2速から第3速へのアップシフ
ト時には、TCU260は、第1のドグクラッチ250
のL1締結を維持したまま第1の変速機220をAT2速
からAT3速へアップシフトさせることで、実質的な第3
速(∴ i3=i7)へのアップシフトをパワーオン状態
で実現するとともに第4のドライブギヤ245aと第7
のドリブンギヤ249bとの回転数を一致させ、その
後、第2のドグクラッチ251をL2締結するとともに
第1のドグクラッチ250を解放して、タービン軸20
6に第7のギヤ列249を介して第4のギヤ列245が
直結された、自動変速装置の第3速を得る。一方、第3
速から第2速へのダウンシフト時には、TCU260
は、上述の制御と逆の制御を行う。
【0157】TCU260は、第4速を選択すると、第
2の油圧多板クラッチ231の締結を行うとともに第4
のドグクラッチ253をM4締結する。これにより、第
1の変速機220はAT2速となり、タービン軸206か
らの動力が第2のギヤ列226によって変速比i2で変
速されて第1の変速軸221に伝達される。さらに、こ
の変速動力は第4のドグクラッチ253を介して第2の
変速機240に入力され、第5のギヤ列246によって
変速比i5で変速された後、第2の変速軸241に伝達
される。そして、自動変速装置は、タービン軸206か
らの動力を変速比i2・i5で変速する第4速の変速段を
得る。
【0158】ここで、第3速から第4速へのアップシフ
ト時には、TCU260は、第2のドグクラッチ251
のL2締結を維持したまま、第1の変速機220をAT1
速とすることにより第1の変速軸221の回転数と第5
のドライブギヤ246aの回転数を一致させ(∴ i3
=i7、i4・i3=i5・i1)、その後、第4のドグク
ラッチ253をM4締結する。さらにその後、第2のド
グクラッチ251を解放するとともに、第1の変速機2
20をAT1速からAT2速へとアップシフトすることによ
り、自動変速装置の第4速状態を得る。一方、第4速か
ら第2速へのダウンシフト時には、TCU260は、上
述の制御と逆の制御を行う。
【0159】TCU260は、第5速を選択すると、第
3のドグクラッチ252をM3締結する。これにより、
第7のドリブンギヤ249bと第5のドライブギヤ24
6aは連結され、タービン軸206からの動力は、第7
のギヤ列249によって変速比i7で変速されて第2の
変速機240に入力され、第5のギヤ列246によって
変速比i5で変速された後、第2の変速軸241に伝達
される。そして、自動変速装置は、タービン軸206か
らの動力を変速比i7・i5で変速する第5速の変速段を
得る。
【0160】ここで、第4速から第5速へのアップシフ
ト時には、TCU260は、第4のドグクラッチ253
のM4締結を維持したまま第1の変速機220をAT2速
からAT3速へアップシフトさせることで、実質的な第5
速(∴ i3=i7)へのアップシフトをパワーオン状態
で実現するとともに第5のドライブギヤ246aと第7
のドリブンギヤ249bとの回転数を一致させ、その
後、第3のドグクラッチ252をM3締結するとともに
第4のドグクラッチ253を解放して、タービン軸20
6に第7のギヤ列249を介して第5のギヤ列246が
直結された、自動変速装置の第3速を得る。一方、第5
速から第3速へのダウンシフト時には、TCU260
は、上述の制御と逆の制御を行う。
【0161】TCU260は、第6速を選択すると、第
2の油圧多板クラッチ231の締結を行うとともに第4
のドグクラッチ253をH4締結する。これにより、第1
の変速機220はAT2速となり、タービン軸206から
の動力が第2のギヤ列226によって変速比i2で変速
されて第1の変速軸221に伝達される。さらに、この
変速動力は第4のドグクラッチ253を介して第2の変
速機240に入力され、第6のギヤ列247によって変
速比i6で変速された後、第2の変速軸241に伝達さ
れる。そして、自動変速装置は、タービン軸206から
の動力を変速比i2・i6で変速する第6速の変速段を得
る。
【0162】ここで、第5速から第6速へのアップシフ
ト時には、TCU260は、第3のドグクラッチ252
のM3締結を維持したまま、第1の変速機220をAT1
速とすることにより第1の変速軸221の回転数と第6
のドライブギヤ247aの回転数を一致させ(∴ i3
=i7、i5・i3=i6・i1)、その後、第4のドグク
ラッチ253をH4締結する。さらにその後、第3のド
グクラッチ252を解放するとともに、第1の変速機2
20をAT1速からAT2速へとアップシフトすることによ
り、自動変速装置の第6速状態を得る。一方、第6速か
ら第5速へのダウンシフト時には、TCU260は、上
述の制御と逆の制御を行う。
【0163】TCU260は、第7速を選択すると、第
3の油圧多板クラッチ232の締結を行うとともに第4
のドグクラッチ253をH4締結する。これにより、第1
の変速機220はAT3速となり、タービン軸206から
の動力が第3のギヤ列226によって変速比i3で変速
されて第1の変速軸221に伝達される。さらに、この
変速動力は第4のドグクラッチ253を介して第2の変
速機240に入力され、第6のギヤ列247によって変
速比i6で変速された後、第2の変速軸241に伝達さ
れる。そして、自動変速装置は、タービン軸206から
の動力を変速比i3・i6で変速する第7速の変速段を得
る。
【0164】ここで、自動変速装置の第6速から第7速
へのアップシフト及び第7速から第6速へのダウンシフ
トは、第1の変速機220における第2の油圧多板クラ
ッチ231と第3の油圧多板クラッチ232とのかけ替
えのみにより行われる。すなわち、TCU260は、第
4のドグクラッチ253のH4締結を維持したまま、第
2の油圧多板クラッチ231を解放して第3の油圧多板
クラッチ232を締結することにより、第6速から第7
速へのアップシフトを行い、第3の油圧多板クラッチ2
32を解放して第2の油圧多板クラッチ231を締結す
ることにより第7速から第6速へのダウンシフトを行
う。
【0165】また、シフトレバーによってリバースレン
ジが選択されると、TCU260は、第1の油圧多板ク
ラッチ230の締結を行うとともに、第1のドグクラッ
チ250のR締結をおこなう。これにより、第1の変速
機220はAT1速となり、タービン軸206からの動力
が第1のギヤ列225によって変速比i1で変速されて
第1の変速軸221に伝達される。さらに、この変速動
力は第1のドグクラッチ250を介して第2の変速機2
40に入力され、リバースギヤ列248によって所定に
変速されるとともに反転されて第2の変速軸241に伝
達される。そして、自動変速装置は、タービン軸206
からの動力を反転させて変速比iR・i1で変速するリバ
ースの変速段を得る。
【0166】ここで、自動変速装置のリバースの際に
は、TCU260は、第1〜第3の油圧多板クラッチ2
30〜232を一旦解放した後、第1のドグクラッチ2
50のR締結を行い、さらにその後、第1の油圧多板ク
ラッチ230の締結を行う。このように制御すること
で、たとえ車両が完全に停止していない状態であって
も、第1の油圧多板クラッチ230の制御により車両は
滑らかに減速しやがて後退を開始する。なお、自動変速
装置のリバースへの変速は、上述の制御によるものであ
るので、第1のドグクラッチ250のR締結側に限って
は、シンクロメッシュ機構を設けることが望ましい。
【0167】また、シフトレバーによってニュートラル
レンジが選択されると、TCU260はC/V270を
通じて各油圧多板クラッチ230,231,232及び
各ドグクラッチ250,251,252,253の解放
を行う。
【0168】このような実施の形態によれば、上述の第
1の実施の形態で得られる作用・効果に加え、第2の変
速機のギヤ列の数を増やすことにより総変速段数を容易
に増加させることができる。
【0169】この際、レイシャフト式の自動変速機を第
1の変速機に採用することにより、いわゆるシンプソン
配列の自動変速機等に比べ噛み合い条件等による歯数の
限定がないので、変速比ステップの選択の自由度を高く
することができる。
【0170】また、第1の変速機の変速比ステップの選
択の自由度を高めることにより、自動変速装置の更なる
多段化を図る際の設計の自由度を向上させることができ
る。
【0171】また、第1の変速機の変速比ステップの選
択の自由度を高めることにより、最適な変速比を選択す
ることができ、走行性を向上することができる。
【0172】なお、上述の実施の形態において、第1の
変速機は入力された動力を切断することなく変速可能な
構成であればよく、例えば無段変速機を第1の変速機と
して適用することも可能である。
【0173】また、上述の各実施の形態において、ドグ
クラッチのアクチュエータとして油圧式のものを採用し
た一例を示したが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、例えば、エンジンのバキュームや別置きのコンプ
レッサを元圧とした空気圧式のアクチュエータや、電気
モータとボールナットの組み合わせによる直動式のアク
チュエータ等を適用してもよい。
【0174】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、少
ない損失での動力伝達を行うことができ、且つ、異音や
ショックなどを発生させることなく全変速段へのパワー
オン変速を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1〜図8は本発明の第1の実施の形態に係わ
り、図1は自動変速装置の概略構成図
【図2】第1の変速機による各変速段と各クラッチ及び
各ブレーキの締結を示す図表
【図3】第1の変速機及び第2の変速機による最終的な
変速段と各クラッチ及び各ブレーキの締結を示す図表
【図4】第1の変速機及び第2の変速機で得られる変速
比と最終的な変速比との関係を示す図表
【図5】第2速から第3速へのアップシフト時の制御を
示すタイムチャート
【図6】第3速から第2速へのダウンシフト時の制御を
示すタイムチャート
【図7】第3速から第4速へのアップシフト時の制御を
示すタイムチャート
【図8】第4速から第3速へのダウンシフト時の制御を
示すタイムチャート
【図9】図9,10は本発明の第2の実施の形態に係わ
り、図9は自動変速装置の概略構成図
【図10】第1の変速機及び第2の変速機で得られる変
速比(プーリー比)と最終的な変速比との関係を示す図
【図11】図11〜図13は本発明の第3の実施の形態
に係わり、図11は自動変速装置の概略構成図
【図12】第1の変速機及び第2の変速機による最終的
な変速段と各クラッチの締結を示す図表
【図13】第1の変速機及び第2の変速機で得られる変
速比と最終的な変速比との関係を示す図表
【符号の説明】
10 トルクコンバータ(発進デバイス) 14 タービン軸(入力軸) 20 第1の変速機 21 第1の変速軸 22 フロントプラネタリギヤユニット 23 リヤプラネタリギヤユニット 38 フォワードクラッチ(摩擦締結手段) 39 ダイレクトクラッチ(摩擦締結手段) 40 2ndブレーキ(摩擦締結手段) 41 L&Rブレーキ(摩擦締結手段) 50 第2の変速機 51 第2の変速軸 55 第1のギヤ列(低速ギヤ列) 56 第2のギヤ列(高速ギヤ列) 58 第2のドグクラッチ(動力伝達手段) 110 第1の変速機 115 プーリ入力軸(入力軸) 118 第1の変速軸 139 第2の変速軸 140 第2の変速機 141 第1のギヤ列(低速ギヤ列) 142 第2のギヤ列(高速ギヤ列) 143 第3のギヤ列(動力伝達手段) 146 第2のドグクラッチ(動力伝達手段) 220 第1の変速機 221 第1の変速軸 225 第1のギヤ列 226 第2のギヤ列 227 第3のギヤ列 230 第1の油圧多板クラッチ(摩擦締結手段) 231 第2の油圧多板クラッチ(摩擦締結手段) 232 第3の油圧多板クラッチ(摩擦締結手段) 240 第2の変速機 241 第2の変速軸 245 第4のギヤ列(低速ギヤ列) 246 第5のギヤ列(中速ギヤ列) 247 第6のギヤ列(高速ギヤ列) 249 第7のギヤ列(動力伝達手段) 250 ドグクラッチ(動力伝達手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J028 EA21 EA27 EB05 EB08 EB09 EB13 EB25 EB31 EB37 EB44 EB54 EB62 EB66 FA06 FB05 FC13 FC24 FC64 FC65 GA01 3J552 MA02 MA12 MA21 NA01 NB01 PA02 PA59 RA04 RA07 VA62Z VC01Z VC03Z VC07Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発進デバイスから入力軸に伝達された動
    力を切断することなく複数の変速比で変速して第1の変
    速軸に伝達可能な第1の変速機と、 変速比の異なる複数のギヤ列を有して構成されこれらの
    ギヤ列を選択的に連絡して上記第1の変速軸の変速動力
    を第2の変速軸に伝達可能な第2の変速機とを備えた車
    両用自動変速装置であって、 上記第2の変速機は、上記第2の変速機或いは上記第2
    の変速軸に対し上記入力軸の動力を直接的に伝達可能な
    動力伝達手段を有し、 少なくとも、上記第1の変速機による一の変速比と上記
    第2の変速機による一の変速比との積と、上記第1の変
    速機による他の一の変速比と上記第2の変速機による他
    の一の変速比とが等しくなるよう上記各変速比を設定す
    るとともに、 これら等しく設定された変速比の積を、上記入力軸から
    上記動力伝達手段を介して上記第2の変速軸に伝達され
    る動力の変速比と等しく設定したことを特徴とする車両
    用自動変速装置。
  2. 【請求項2】 上記第1の変速機を、複数のプラネタリ
    ギヤ列を有し摩擦締結手段による締結の切換によって複
    数の変速比を得る自動変速機で構成したことを特徴とす
    る請求項1記載の車両用自動変速装置。
  3. 【請求項3】 上記第1の変速機を、変速比の固定が可
    能な無段変速機で構成したことを特徴とする請求項1記
    載の車両用自動変速装置。
  4. 【請求項4】 上記第1の変速機を、上記入力軸と上記
    第1の変速軸との間を連絡可能な複数のギヤ列を有し摩
    擦係合手段の締結の切換によって複数の変速比を得る自
    動変速機で構成したことを特徴とする請求項1記載の自
    動変速装置。
  5. 【請求項5】 上記第1の変速機を、前進3段の変速段
    を有して構成するとともに、 上記第2の変速機を、低速ギヤ列と高速ギヤ列とを有し
    て構成し、 上記第1の変速機の1速による変速比と上記第2の変速
    機の上記高速ギヤ列による変速比との積と、上記第1の
    変速機の3速による変速比と上記第2の変速機の上記低
    速ギヤ列による変速比との積とを等しく設定したことを
    特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の車両
    用自動変速装置。
  6. 【請求項6】 上記第1の変速機を、前進3段の変速段
    を有して構成するとともに、 上記第2の変速機を、低速ギヤ列と中速ギヤ列と高速ギ
    ヤ列とを有して構成し、 上記第1の変速機の1速による変速比と上記第2の変速
    機の上記中速ギヤ列による変速比との積と、上記第1の
    変速機の3速による変速比と上記第2の変速機の上記低
    速ギヤ列による変速比との積とを等しく設定するととも
    に、 上記第1の変速機の3速による変速比と上記第2の変速
    機の上記中速ギヤ列による変速比との積と、上記第1の
    変速機の1速による変速比と上記第2の変速機の上記中
    速ギヤ列による変速比との積とを等しく設定したことを
    特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の車両
    用自動変速装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2853779A4 (en) * 2012-05-23 2016-04-06 Toyota Motor Co Ltd DEVICE FOR TRANSMITTING VEHICLE POWER

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