JP2002187875A - 光学活性な2−アミノ−5−メトキシテトラリンの製造方法 - Google Patents

光学活性な2−アミノ−5−メトキシテトラリンの製造方法

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JP2002187875A
JP2002187875A JP2000385161A JP2000385161A JP2002187875A JP 2002187875 A JP2002187875 A JP 2002187875A JP 2000385161 A JP2000385161 A JP 2000385161A JP 2000385161 A JP2000385161 A JP 2000385161A JP 2002187875 A JP2002187875 A JP 2002187875A
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Atsushi Matsumoto
淳 松本
Masaya Ikenaka
雅也 生中
Yoshito Fujima
義人 藤間
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Nagase and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 5−メトキシ−2−テトラロンを出発原料と
して、(S)−2−アミノ−5−メトキシテトラリンを効
率よく製造する方法を提供する。 【解決手段】 5−メトキシ−2−テトラロンを、適当
な溶媒中、適当な接触還元触媒の存在下に、アンモニア
で還元的にアミノ化して2−アミノ−5−メトキシテト
ラリンのラセミ体を得、次いでこれを、適当な溶媒中、
適当な光学活性有機酸を用いることにより光学分割し、
さらに、2−アミノ−5−メトキシテトラリンの光学活
性体を、水素雰囲気下、接触還元触媒を用いてラセミ化
することにより上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、5−メトキシ−2
−テトラロンを出発原料として、(S)−2−アミノ−5
−メトキシテトラリンを効率よく製造する方法に関す
る。さらに詳しくは、本発明は、5−メトキシ−2−テ
トラロンから2−アミノ−5−メトキシテトラリンのラ
セミ体を効率よく製造する方法、2−アミノ−5−メト
キシテトラリンのラセミ体を光学分割することにより
(S)−2−アミノ−5−メトキシテトラリンを効率よく
製造する方法、ならびに、(R)−2−アミノ−5−メト
キシテトラリンから2−アミノ−5−メトキシテトラリ
ンのラセミ体を効率よく製造する方法に関する。本発明
により製造される(S)−2−アミノ−5−メトキシテト
ラリンは、医薬中間体として有用であり、例えばD2
動活性を有する(S)−5−ヒドロキシ−2−[N−プロ
ピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]−5−
テトラリンの合成に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】2−(N−プロピルアミノ)−5−メトキ
シテトラリンを、酢酸エチルまたはアセトンを溶媒とし
て、ジベンゾイル酒石酸で光学分割を行うと、2−(N
−プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリンの(+)体
または(−)体が得られることが米国特許第496883
7号に明らかにされている。ところが同特許は、同化合
物を、アセトン中、(−)−マンデル酸で光学分割を行う
と、旋光度[α]D=−42°の塩から得られた2−(N−
プロピルアミノ)−5−メトキシテトラリンは、結果的
にラセミ体であって、光学分割ができなかったことを明
らかにしている。さらに同特許は、2−(N−プロピル
アミノ)−5−メトキシテトラリンの光学分割に成功し
たジベンゾイル酒石酸を用い、アセトンを溶媒として、
5−ヒドロキシ−2−[N−プロピル−N−[2−(2−
チエニル)エチル]アミノ]−5−テトラリンの光学分割
を試みたが、失敗に終わったことも明らかにしている。
【0003】このように、分割剤を使用する光学分割方
法にあっては、成果を予測することは極めて困難であ
る。いかなるジアステレオマー塩を形成させるべきかに
ついては何の指針もなく、塩を形成させて、溶解度に差
が生ずる条件を広範囲にわたって探さなければならな
い。分割剤にも特定のものがあるわけではなく、通常は
入手し易い光学活性化合物が多く用いられるにすぎな
い。光学的に安定で、しかも大量に使用し得る光学活性
化合物であれば、すべて分割剤となりうる。しかしなが
ら、あるラセミ体の分割にいかなる分割剤を選択すべき
か、またこれを用いた場合にいずれの対掌体が選択的に
析出するかについて一般則はない。したがって、新しい
合成ラセミ体を分割するためには、通常、種々の分割剤
と種々の溶媒を用いて相当の試行錯誤を行うことが必要
である。このような分割は溶解度の差に基づくものであ
るから、実施に当って困難に遭遇することも多く、2つ
のジアステレオマーの完全な分別に成功することは比較
的稀であり、最もよい方法が見つかるまでには多大な努
力を要する。
【0004】事実、本発明者らは、先に引用した米国特
許第4968837号に従い、2−アミノ−5−メトキ
シテトラリンのラセミ体を、アセトン中またはメタノー
ル中でジベンゾイル酒石酸を用いて光学分割を試みた
が、アセトン中ではラセミ体が得られ、メタノール中で
も35%ee(エナンチオマー過剰率)の分割結果を得た
に留まり、良好な結果は得られなかった(比較例を参
照)。
【0005】また、この光学分割の原料となる2−アミ
ノ−5−メトキシテトラリンのラセミ体の製造方法とし
ては、5−メトキシ−2−テトラロンのオキシムを調製
し、ラネーニッケルまたは塩酸存在下のPd−Cを用い
て接触還元する方法[J.Chem.Soc. (196
5)、第2636−2641頁]、あるいは、ギ酸アンモ
ニウムと水素化シアノホウ素ナトリウムを用いて還元的
にアミノ化する方法(特開昭60−255769)などが
知られているが、安価で工業的な製造方法の開発が望ま
れていた。
【0006】また、光学活性なアミンをラセミ化する方
法として、1−メチル−3−フェニルプロピルアミン
を、ラネーニッケルやラネーコバルトなどの接触還元触
媒と水素加圧下に加熱する方法(特開昭63−1859
43)が知られている。しかしながら、2−アミノテト
ラリン類のラセミ化方法は知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、5−メトキ
シ−2−テトラロンを出発原料として、(S)−2−アミ
ノ−5−メトキシテトラリンを効率よく製造する方法を
提供するものである。すなわち、本発明の第1の目的
は、5−メトキシ−2−テトラロンから2−アミノ−5
−メトキシテトラリンのラセミ体を効率よく製造する方
法を提供することである。また、本発明の第2の目的
は、2−アミノ−5−メトキシテトラリンのラセミ体を
光学分割することにより、(S)−2−アミノ−5−メト
キシテトラリンを効率よく製造する方法を提供すること
である。さらに、本発明の第3の目的は、(R)−2−ア
ミノ−5−メトキシテトラリンから2−アミノ−5−メ
トキシテトラリンのラセミ体を効率よく製造する方法を
提供することである。この方法により、5−メトキシ−
2−テトラロンから出発して(S)−2−アミノ−5−メ
トキシテトラリンを製造する方法の全体の効率を高める
ことができる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために種々検討を重ねた結果、適当な溶媒
中、適当な接触還元触媒(特に、ラネー触媒)の存在下
に、5−メトキシ−2−テトラロンをアンモニアにより
直接的に還元的アミノ化して、2−アミノ−5−メトキ
シテトラリンのラセミ体を効率的に製造し得ることを見
い出した。すなわち、本発明は、5−メトキシ−2−テ
トラロンを、接触還元触媒の存在下、アンモニアで還元
的にアミノ化することを特徴とする、2−アミノ−5−
メトキシテトラリンのラセミ体およびその無機酸との塩
の製造方法を提供するものである。
【0009】また、本発明者らは、適当な溶媒(特に、
含水アルコール)中で適当な光学活性有機酸[特に、D−
酒石酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、ジ−p−トルオイ
ル−L−酒石酸、または(S)−マンデル酸]を用いるこ
とにより、2−アミノ−5−メトキシテトラリンのラセ
ミ体を効率的に光学分割できることを見い出した。すな
わち、本発明は、2−アミノ−5−メトキシテトラリン
のラセミ体に、適当な溶媒中で適当な光学活性有機酸を
作用させて、(S)−2−アミノ−5−メトキシテトラリ
ンと光学活性な有機酸との塩を生成させ、該塩を単離し
た後に複分解することを特徴とする、(S)−2−アミノ
−5−メトキシテトラリンおよびその無機酸との塩の製
造方法を提供するものである。
【0010】さらに、本発明者らは、(S)−2−アミノ
−5−メトキシテトラリンの鏡像体である(R)−2−ア
ミノ−5−メトキシテトラリンを、水素雰囲気下、接触
還元触媒を用い、好ましくは120〜140℃の温度で
処理すると、この化合物のラセミ体が効率よく得られる
ことを見い出した。すなわち、本発明は、(R)−2−ア
ミノ−5−メトキシテトラリンを、水素雰囲気下、接触
還元触媒を用いてラセミ化することを特徴とする、2−
アミノ−5−メトキシテトラリンのラセミ体の製造方法
を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に示す反応式に従い、本発明
を順を追って詳しく説明する。
【化8】
【化9】
【0012】工程(1):ラセミの2−アミノ−5−メト
キシテトラリン塩酸塩(II)の調製 上記のように、ラセミの2−アミノ−5−メトキシテト
ラリン塩酸塩(II)の製造方法として、いくつかの方法が
知られているが、本発明においては、アミノ源に比較的
安価なアンモニアを用いて、水素雰囲気下、適当な溶媒
中、接触還元触媒の存在下、5−メトキシ−2−テトラ
ロン(I)を直接的に還元的アミノ化してラセミの2−ア
ミノ−5−メトキシテトラリン塩酸塩(II)を収率よく得
る。
【0013】適当な溶媒としては、メタノール、エタノ
ール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールな
どのアルコール系溶媒、ならびに、これらアルコール系
溶媒と水との混合溶媒が挙げられる。好ましくは、メタ
ノールと水との混合溶媒を使用する。アンモニアはガス
または水溶液の形態で使用され、その使用量は化合物
(I)1当量に対して2〜20当量、好ましくは5〜10
当量である。接触還元触媒としては、ラネーニッケル、
ラネーコバルト(スポンジコバルト)、ラネー銅、ラネー
鉄などのラネー触媒、ならびに、パラジウム炭素などの
貴金属系触媒が挙げられる。好ましくは、ラネーニッケ
ルまたはラネーコバルト(スポンジコバルト)を使用す
る。触媒の使用量は、化合物(I)に対し、1〜50重量
%であってよく、好ましくは5〜20重量%である。水
素圧は、常圧〜50kg/cm2、好ましくは2〜5k
g/cm2である。反応温度は、通常は室温〜120℃
であり、好ましくは50〜90℃である。通常、1〜1
0時間の反応時間で、化合物(I)のケトンが還元的にア
ミノ化される。次いで、この粗生成物を、塩化水素メタ
ノール溶液で処理することによって塩酸塩(II)とし、そ
れを純粋な形態で得ることができる。
【0014】工程(2):ラセミの遊離2−アミノ−5−
メトキシテトラリン(III)の調製 ラセミの塩酸塩(II)を水酸化ナトリウム水溶液などの強
塩基で処理し、次いで適当な溶媒で抽出して、ラセミの
遊離2−アミノ−5−メトキシテトラリン(III)を得る
ことができる。この時、水酸化ナトリウムの使用量は、
塩酸塩1当量に対し、1当量以上であればよく、好まし
くは1〜2当量である。
【0015】工程(3):光学活性な有機酸による光学分
ラセミの遊離2−アミノ−5−メトキシテトラリン(II
I)の光学分割は、以下のように実施する。初めに、光学
活性な有機酸を適当な溶媒に溶解し、次に、この溶液に
ラセミの2−アミノ−5−メトキシテトラリン(III)を
加え、(S)−2−アミノ−5−メトキシテトラリンと光
学活性有機酸とのジアステレオマー塩(IV)を生成させ
る。ここで分割剤として使用される光学活性な有機酸と
しては、一般に入手可能な光学活性な有機カルボン酸、
例えば、(S)−3−ヒドロキシブタン酸、L−2−ピロ
リドン−5−カルボン酸、L−リンゴ酸、(S)−マンデ
ル酸、D−酒石酸、ジ−p−トルオイル−L−酒石酸、
ジベンゾイル−L−酒石酸が挙げられる。好ましくは
(S)−マンデル酸、D−酒石酸、ジ−p−トルオイル−
L−酒石酸、ジベンゾイル−L−酒石酸であり、最も好
ましくは(S)−マンデル酸である。適当な溶媒として
は、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イ
ソプロピルアルコールなどの低級アルコール類、メチル
t-ブチルエーテルなどのエーテル類、トルエンなどの
芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのカルボン酸エステル
類、アセトニトリル、水、あるいはそれらの混合溶媒が
挙げられる。好ましくは、含水低級アルコールである。
【0016】光学活性な有機酸の使用量は、ラセミの2
−アミノ−5−メトキシテトラリン(III)1当量に対
し、0.4〜1.2当量、好ましくは0.5〜1.1当量で
ある。ジアステレオマー塩の形成反応は、通常は室温〜
80℃、好ましくは室温〜60℃にて混合撹拌すること
により行なう。ジアステレオマー塩の分離は、通常の物
理的手段、例えば、濾過、遠心分離などによって行なっ
てよい。通常は、5℃〜室温に冷却し、必要に応じて種
晶を添加し、結晶を析出させ、これを濾取する。さら
に、このようにして得たジアステレオマー塩を、メタノ
ール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール
類、水もしくはそれらの混合溶媒からの再結晶、あるい
は、これら溶媒を用いるスラリー洗浄などにより精製す
ることができる(通常は1回または2回行う)。このよう
にして、ジアステレオマー塩を構成するアミン成分の光
学純度を、98%ee以上に、時には99%ee以上に
することができる。
【0017】また、適当な溶媒を選択することにより、
工程(2)と工程(3)とを同時に行なうこともできる。例
えば、メタノールと水の混合溶媒中で塩酸塩(II)を48
%水酸化ナトリウム水溶液で処理し、その溶液に分割剤
を直接加え、(S)−2−アミノ−5−メトキシテトラリ
ンと光学活性有機酸とのジアステレオマー塩(IV)を生成
させることもできる。
【0018】工程(4):ジアステレオマー塩(IV)の複分
解と塩酸塩(V)の調製 例えば、ジアステレオマー塩(IV)を水に懸濁し、強塩基
(例えば、水酸化ナトリウムなど)を加え、適当な溶媒
(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、イソプロピ
ルエーテル、酢酸エステルなど)で抽出した後、塩化水
素のメタノール溶液で処理することにより、(S)−2−
アミノ−5−メトキシテトラリンの塩酸塩(V)を得るこ
とができる。水酸化ナトリウムの使用量は、ジアステレ
オマー塩(IV)1当量に対し、1〜5当量、好ましくは
2.5〜3.5当量である。
【0019】鏡像体 (R)−2−アミノ−5−メトキシ
テトラリン(VI)の回収 上記の工程(3)においてジアステレオマー塩(IV)を分離
した後の濾液を濃縮する。次いで、強塩基(例えば、水
酸化ナトリウムなど)を加えて塩基性にし、適当な溶媒
で抽出することにより、(R)−2−アミノ−5−メトキ
シテトラリン(VI)を得る。水酸化ナトリウムの使用量
は、(R)−2−アミノ−5−メトキシテトラリン(VI)1
当量に対し、1〜5当量、好ましくは2.5〜3.5当量
である。
【0020】工程(5):ラセミ化 (R)−2−アミノ−5−メトキシテトラリン(VI)を、無
溶媒または適当な溶媒中で、水素雰囲気下、接触還元触
媒とともに加熱する。適当な溶媒としては、キシレン、
トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン
などの脂肪族炭化水素系溶媒、メチルt-ブチルエーテ
ル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、イソプ
ロピルアルコール、メタノール、ブタノールなどのアル
コール系溶媒、水、あるいはそれらの混合溶媒が挙げら
れる。好ましい溶媒は、キシレン、トルエンなどの芳香
族炭化水素系溶媒である。
【0021】接触還元触媒としては、ラネーコバルト
(スポンジコバルト)、ラネーニッケル、ラネー銅、ラネ
ー鉄などのラネー触媒、ならびに、パラジウム炭素など
の貴金属系触媒が挙げられる。好ましくは、ラネーコバ
ルト(スポンジコバルト)またはラネーニッケルを使用す
る。触媒の使用量は、(R)−2−アミノ−5−メトキシ
テトラリン(VI)に対し、1〜50重量%であってよく、
好ましくは5〜20重量%である。水素圧は、1〜10
kg/cm2、好ましくは2〜5kg/cm2である。
【0022】反応温度は、ラセミ化が進行し、かつ副反
応ができるだけ起こらないような温度であるのが望まし
く、通常は100〜180℃、好ましくは120〜14
0℃である。反応温度を必要以上に高くすると、ラセミ
化のみならず、(R)−2−アミノ−5−メトキシテトラ
リンの分解によるタール化が起こる。さらに、所望の箇
所以外での脱水素反応による芳香化により、式(VII):
【化10】 で示される2−アミノ−5−メトキシナフタレンが副成
する。通常、10〜20時間の反応時間で、化合物(VI)
が完全にラセミ化する。使用した触媒を濾別し、濾液を
塩化水素のメタノール溶液で処理して、ラセミの2−ア
ミノ−5−メトキシテトラリンの塩酸塩(II)を得ること
ができる。
【0023】このようなラセミ化によって得たラセミの
2−アミノ−5−メトキシテトラリンの塩酸塩(II)を、
上記の工程(2)以降の光学分割の原料として使用するこ
とができる。また、(S)−2−アミノ−5−メトキシテ
トラリンも同様な方法によりラセミ化することができ
る。
【0024】
【実施例】以下に、本発明を具体的に説明するために実
施例を記述するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。分析条件 1.化学純度(HPLC分析) (a)分析用サンプルの調製 塩酸塩(II)または(V)のサンプル(約1mg)を、HPL
C溶離液(2mL)に溶解し、HPLCに注入する。 (b)HPLCの分析条件 カラム:COSMOSIL 5C18(4.6mmID x
250mm) 溶離液:40/60(v/v)のイソプロピルアルコール/
0.15%リン酸と10mM1−オクタンスルホン酸ナ
トリウムの水溶液 検出:254nm 流量:0.5mL/分 注入量:10μL カラム温度:室温 分析時間:30分 保持時間:7.3分に(II);13.1分に(I)
【0025】2.化学純度(GLC分析) (a)分析用サンプルの調製 塩酸塩(II)または(V)のサンプル(約10mg)の水溶液
に2N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH>10とし
た後、酢酸エチル(200μL)を加え、よくかき混ぜ
る。酢酸エチル層から3μLを取ってGLCに注入す
る。 (b)GLCの分析条件 カラム:Hicap(CBP1 M−25)(25m x
0.2mmφ) カラム温度:40℃から250℃に10℃/分で昇温
後、5分間250℃で保持 注入温度:270℃ 検出温度:290℃ キャリアーガス:He 流量:1.5mL/分 スプリット比:1:100 注入量:3μL 検出器:FID 分析時間:26分 保持時間:16.7分に化合物(II)または(V)の遊離ア
ミンのピーク;19.3分に化合物(VII)
【0026】3.光学純度(HPLC) (a)ジアステレオマー塩(IV)からの分析サンプルの調製 化合物(IV)(約10mg)の水懸濁液に2N水酸化ナトリ
ウム水溶液を加えてpH>10とし、酢酸エチル(20
0μL)とよくかき混ぜる。酢酸エチル層から20μL
を取り、減圧濃縮する。残渣を、HPLC溶離液(2m
L)に溶解し、その10μLをHPLCに注入する。 (b)ラセミ化反応の追跡と終点を確認するための分析サ
ンプルの調製 反応液(約20μL)を取り、減圧濃縮する。残渣をHP
LC溶離液(2mL)に溶かし、その10μLをHPLC
に注入する。 (c)HPLCの分析条件 カラム:DAICEL CROWNPACK CR (+)
(4.0mmID x 150mm) 溶離液:15/85(v/v)のメタノール/1%HClO4
水溶液 検出器:220nm 流速:1.3mL/分 注入量:10μL カラム温度:45℃ 分析時間:90分 tR:54分に(R)−2−アミノ−5−メトキシテトラ
リン(VI);70分に(S)−2−アミノ−5−メトキシテ
トラリン(VIII)
【0027】分割効率E 分割効率Eは、以下の式に従って計算した。
【数1】 上記式において、塩の収率(Y)は、分割剤と2−アミノ
−5−メトキシテトラリン(III)のジアステレオマー塩
の収率(%)であり、ラセミの(III)がすべてジアステレ
オマー塩として析出した量を100%とする。また、塩
中のアミンの光学純度(OP)は、ジアステレオマー塩中
に含まれるアミンの光学純度(%ee;エナンチオマー
過剰率)である。
【0028】実施例1 2−アミノ−5−メトキシテト
ラリン塩酸塩(II) 230mLのオートクレーブに28%アンモニア水(2
0.4g)を入れ、次いで、5−メトキシ−2−テトラロ
ン(I)(9.87g)とメタノール(27mL)とを加え
た。均一になるまで撹拌した後、ラネーニッケルNDH
T−90(0.60g、川研ファインケミカル製)を加え
た。水素で置換し、初期水素圧を室温で4kg/cm2
に設定した。撹拌下(1000rpm)、約15分間かけ
て70℃まで温度を上げた。70℃で4時間撹拌を続け
た後、80℃まで温度を上げ、80℃で3.5時間撹拌
を続けた。この間、水素圧を4kg/cm2に維持し
た。水素の吸収が止まった後に冷却し、HPLC分析に
よって、原料(I)の消失を確認した。触媒を濾別し、メ
タノール(10mL)で洗った。濾液と洗液を集め、減圧
濃縮した。残渣に10%塩化水素のメタノール溶液(2
0g)を加え、混合物を減圧濃縮した。残渣(15.1g)
に酢酸エチル(30mL)を加え、懸濁液を15分間加熱
還流した。撹拌下、室温まで放冷した。析出した結晶を
濾取し、酢酸エチル(10mL)で洗った。50℃で一晩
送風乾燥して、2−アミノ−5−メトキシテトラリン塩
酸塩(II)を9.48g得た。 化学純度(HPLC):99.2% mp:260〜264℃1 H−NMR(400MHz) δ(CD3OD):7.12
(t,J=8.0Hz,1H),6.74(dd,J=8.0
Hz,8.0Hz,2H),3.80(s,3H),3.58
−3.42(m,1H),3.18−3.08(m,1H),
3.01−2.90(m,1H),2.88−2.76(m,
1H),2.72−2.60(m,1H),2.30−2.1
6(m,1H),1.88−1.70(m,1H)ppm
【0029】実施例2 (S)−マンデル酸による光学分
割 (2-1) 2−アミノ−5−メトキシテトラリン(III)の
遊離と単離 氷冷下に撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液(80m
L)に、2−アミノ−5−メトキシテトラリン塩酸塩(I
I)(12.2g)を加えた。トルエン(70mL)を加えて
撹拌した後、静置した。分液して、水層をトルエン(7
0mL)で抽出した。一緒にしたトルエン抽出液を、水
(50mL)で洗浄した。乾燥(硫酸ナトリウム)および活
性炭(Darco G−60,0.3g)処理の後、減圧濃
縮して2−アミノ−5−メトキシテトラリン(III)を1
0.0g(定量的)得た。
【0030】(2-2) (S)−マンデル酸とのジアステレ
オマー塩(IV)の形成 (S)−マンデル酸(8.58g,56.4mモル)を、イソ
プロピルアルコール(50mL)および80%(v/v)メ
タノール水溶液(30mL)に溶解した。撹拌下、この溶
液に、2−アミノ−5−メトキシテトラリン(III)(1
0.0g,56.1mモル)をトルエン(5.8mL)および
80%(v/v)メタノール水溶液(20mL)に溶解した
溶液を滴下した。この混合物を、撹拌下に30分間加熱
還流した。その後、混合物を冷却し、23〜27℃で3
時間保持した。析出した結晶を濾取し、イソプロピルア
ルコール(20mL)で洗い、50℃で一晩送風乾燥し
て、(S)−2−アミノ−5−メトキシテトラリンと(S)
−マンデル酸とのジアステレオマー塩(IV)を7.94g
(43.0%)得た。この塩に含まれるアミンの光学純度
は82.0%eeであった。分割効率Eは35.26(8
2.0×43.0÷100)であった。
【0031】(2-3) ジアステレオマー塩(IV)の再結晶 上記(2-2)で得たジアステレオマー塩(IV)(7.94g)
に80%(v/v)メタノール水溶液(39.7mL)を加え
た。この懸濁液を、撹拌下に30分間加熱還流した。そ
の後、5℃まで冷却した。5℃で1時間保持した後、析
出した結晶を濾取し、イソプロピルアルコール(10m
L)で洗った。50℃で一晩送風乾燥して、(S)−2−
アミノ−5−メトキシテトラリンと(S)−マンデル酸と
のジアステレオマー塩(IV)を6.37g[80.2%、ラ
セミ体(III)からの通算収率35.3%]得た。これに含
まれるアミンの光学純度は、98.0%eeであった。 []D 20:−0.60(c=1.00,MeOH) mp:200〜201℃1 H−NMR(400MHz) δ(DMSO−d6):7.3
6(d,J=7.6Hz,2H),7.25−7.16(m,
2H),7.14−7.04(m,2H),6.70(dd,
J=7.6Hz,2H),4.66(s,1H),3.78
(s,3H),3.36−3.32(m,1H),3.00−
2.90(m,1H),2.82−2.64(m,2H),2.
54−2.40(m,1H),2.10−1.98(m,1
H),1.70−1.54(m,1H)ppm
【0032】(2-4) ジアステレオマー塩(IV)の複分解
と塩酸塩(V)の調製 氷冷下に撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液(51m
L)に、上記(2-3)で得たジアステレオマー塩(IV)(5.
65g,17.2mモル)を加えた。キシレン(50mL)
を加えて撹拌した後、静置した。分液し、水層をキシレ
ン(50mL)で抽出した。一緒にしたキシレン溶液を、
水洗(20mL,x3)、乾燥(硫酸ナトリウム)、活性炭
処理(Darco G−60,0.1g)した。濾過した
後、キシレン溶液を60mLまで濃縮した。この残渣
に、メタノール(15mL)および10%塩化水素のメタ
ノール溶液(6.5g,1.05当量)を加えた後、減圧下
にメタノールを留去すると、結晶が析出した。室温まで
冷却して、結晶を濾取し、酢酸エチル(20mL)で洗っ
た。50℃で4時間送風乾燥して、(S)−2−アミノ−
5−メトキシテトラリン塩酸塩(V)を、白色の固体とし
て3.80g[水分含量(7.9%)を考慮した収率:95.
2%]得た。 化学純度(HPLC):100% 光学純度:98.0%ee mp:262〜265℃ []D 20:−68.0(c=2.00,MeOH)1 H−NMR(400MHz) δ(CD3OD):7.12
(t,J=8.0Hz,1H),6.74(dd,J=8.0
Hz,8.0Hz,2H),3.80(s,3H),3.58
−3.42(m,1H),3.18−3.08(m,1H),
3.01−2.90(m,1H),2.88−2.76(m,
1H),2.72−2.60(m,1H),2.30−2.1
6(m,1H),1.88−1.70(m,1H)ppm IR ν(KBr):3446,2921,1587,1
531,1469,1259,1238,1078,7
67,694cm-1
【0033】実施例3 鏡像体のラセミ化と低光学純度
の化合物の回収 (3-1) (R)−2−アミノ−5−メトキシテトラリン(V
I)の調製 上記実施例2の(2-2)においてジアステレオマー塩を
濾取した後の濾液と洗液を合わせ、これに水(50mL)
を加えた後、減圧下にメタノールとイソプロピルアルコ
ールとを留去した。ジアステレオマー塩が一部析出した
懸濁液に、2N水酸化ナトリウム水溶液(48mL)を加
え、撹拌した。混合物をトルエン(50mL,x2)で抽
出した。トルエン抽出液を合わせ、水洗(20mL,x
3)した後、減圧濃縮して、粗製の遊離(R)−2−アミ
ノ−5−メトキシテトラリン(VI)を5.53g(96.5
%)得た。 光学純度:60.3%ee 化学純度(GLC):99.3%
【0034】(3-2) (±)−5−メトキシ−2−アミノ
テトラリン塩酸塩(II)の調製(ラセミ化) 上記(3-1)で得た遊離の(R)−2−アミノ−5−メト
キシテトラリン(VI)(5.53g)のキシレン(50mL)
溶液に、ラネーコバルト(関西触媒製;0.55g)を加
えた。次いで水素で置換した。初期水素圧2kg/cm
2および最大水素圧2.8kg/cm2とし、130℃で
14時間撹拌した。触媒を濾別し、メタノール(10m
L)で洗った。濾液と洗液を集め、10%塩化水素のメ
タノール溶液(11.2g,1.05当量)を加えた。この
溶液から、減圧下にメタノールを留去すると、結晶が析
出した。室温まで冷却して、結晶を濾取し、キシレン
(10mL)で洗った。50℃で一晩送風乾燥して、(±)
−2−アミノ−5−メトキシテトラリン塩酸塩(II)を淡
褐色結晶(1番晶)として5.36g(80.5%)得た。 化学純度(GLC):99.7% 光学純度(HPLC):0%ee 1番晶を得た際の濾液と洗液を合わせ、減圧濃縮した。
残渣に、トルエン(15mL)を加えた。懸濁液を、撹拌
下に30分間加熱還流した。室温まで冷却して、析出し
た結晶を濾取し、トルエン(5mL)で洗った。50℃で
一晩送風乾燥して、化合物(II)を褐色結晶(2番晶)とし
て0.97g(14.7%)得た。 化学純度(GLC):98.2% 光学純度(HPLC):0%ee 1番晶と2番晶を合わせた収率の合計は、95.2%で
あった。
【0035】実施例4 (S)−マンデル酸による光学分
割 (4-1) (S)−マンデル酸とのジアステレオマー塩の形
成 (S)−マンデル酸(3.73g,24.5mモル)を、イソ
プロピルアルコール(20mL)および80%(v/v)メ
タノール水溶液(10mL)に溶解した。この均一な混合
物に、撹拌下、2−アミノ−5−メトキシテトラリン(I
II)(4.35g,24.5mモル)を酢酸エチル(2.4m
L)および80%(v/v)メタノール水溶液(10mL)に
溶解した溶液を滴下した。この混合物を、撹拌下に30
分間加熱還流した。その後、5℃まで冷却し、5℃で3
0分間保持した。析出した結晶を濾取し、イソプロピル
アルコール(10mL)で洗った。50℃で一晩送風乾燥
した後、(S)−2−アミノ−5−メトキシテトラリンと
(S)−マンデル酸のジアステレオマー塩(IV)を3.95
g(48.8%)得た。これに含まれるアミンの光学純度
は78.4%eeであった。分割効率Eは38.26(7
8.4×48.8÷100)であった。
【0036】(4-2) ジアステレオマー塩の精製(スラ
リー洗浄) 上記(4-1)で得たジアステレオマー塩(IV)(3.95g)
に、イソプロピルアルコール(15mL)および80%
(v/v)メタノール水溶液(5mL)を加えた。この懸濁
液を、撹拌下に30分間加熱還流した。次いで、3時間
かけて5℃まで冷却し、5℃で1時間保持した。析出し
た結晶を濾取し、イソプロピルアルコール(10mL)で
洗った。50℃で一晩送風乾燥して、(S)−2−アミノ
−5−メトキシテトラリンと(S)−マンデル酸のジアス
テレオマー塩(IV)を3.38g(85.6%)得た。これに
含まれるアミンの光学純度は、95.7%eeであっ
た。
【0037】(4-3) ジアステレオマー塩の精製(スラ
リー洗浄) 上記(4-2)で得たジアステレオマー塩(IV)(3.38g)
に、イソプロピルアルコール(12mL)および80%
(v/v)メタノール水溶液(4mL)を加えた。この懸濁
液を、撹拌下に加熱し、30分間還流した。次いで、3
時間かけて5℃まで冷却し、5℃で1時間保持した。析
出した結晶を濾取し、イソプロピルアルコール(8mL)
で洗った。50℃で一晩送風乾燥して、(S)−2−アミ
ノ−5−メトキシテトラリンと(S)−マンデル酸の精製
ジアステレオマー塩(IV)を3.11g[92.0%,ラセ
ミ体(III)からの通算収率38.5%]得た。これに含ま
れるアミンの光学純度は、98.5%eeであった。
【0038】(4-4) ジアステレオマー塩(IV)の複分解
と塩酸塩(V)への変換 氷冷下に撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液(31m
L)に、上記(4-3)で得たジアステレオマー塩(IV)(3.
11g)を加え、次いでキシレン(30mL)を加えた。
しばらく撹拌した後、静置し、分液した。水層をキシレ
ン(30mL)で抽出した。キシレン抽出液を合わせ、水
(20mL)で3回洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)した。
次いで、活性炭(Darco G−60、0.1g)を加
え、濾過し、キシレン溶液を40mLまで濃縮した。こ
の溶液に、メタノール(10mL)および10%塩化水素
のメタノール溶液(3.6g,1.05当量)を加えた。こ
の均一な溶液からエバポレーターでメタノールを留去し
たところ、結晶が析出した。室温まで冷却した後、析出
した結晶を濾取し、酢酸エチル(10mL)で洗った。5
0℃で一晩送風乾燥した後、(S)−2−アミノ−5−メ
トキシテトラリン塩酸塩(V)を2.01g得た。 化学純度(HPLC):100% 光学純度:98.5%ee []D 20:−67.4(c=1.00,MeOH) mp:262〜265℃1 H−NMR(400MHz) δ(CD3OD):7.12
(t,J=8.0Hz,1H),6.74(dd,J=8.0
Hz,8.0Hz,2H),3.80(s,3H),3.58
−3.42(m,1H),3.18−3.08(m,1H),
3.01−2.90(m,1H),2.88−2.76(m,
1H),2.72−2.60(m,1H),2.30−2.1
6(m,1H),1.88−1.70(m,1H)ppm IR ν(KBr):3446,2921,1587,1
531,1469,1259,1238,1078,7
67,694cm-1
【0039】実施例5 2−アミノ−5−メトキシテトラリン塩酸塩(II)(1.0
7g,5.0mモル)を80%(v/v)メタノール水溶液
(10mL)に溶解した。この溶液に、撹拌下、48%水
酸化ナトリウム(0.4g)を加え、さらに(S)−マンデ
ル酸(0.76g,5.0mモル)を加えた。種晶として
(S)−2−アミノ−5−メトキシテトラリンと(S)−マ
ンデル酸のジアステレオマー塩(IV)を室温で接種したと
ころ、30分ほど撹拌した時点で結晶が析出した。この
混合物を、撹拌下に30分間加熱還流した。その後、5
℃まで冷却し、5℃で30分間保持した。析出した結晶
を濾取し、イソプロピルアルコール(10mL)で洗っ
た。50℃で一晩送風乾燥した後、(S)−2−アミノ−
5−メトキシテトラリンと(S)−マンデル酸のジアステ
レオマー塩(IV)を0.59g(35.8%)得た。これに含
まれるアミンの光学純度は85.8%eeであった。分
割効率Eは30.7(85.8×35.8÷100)であっ
た。
【0040】実施例6 ジ−p−トルオイル−L−酒石酸(0.39g,1.01
mモル)をメタノール(3mL)および水(2mL)に溶解
した。撹拌下、この溶液に、2−アミノ−5−メトキシ
テトラリン(III)(0.35g,1.97mモル)をメタノ
ール(5mL)に溶解した溶液を滴下した。この混合物
を、撹拌下に30分間加熱還流した。その後冷却し、2
3〜27℃で30分間保持した。析出した結晶を濾取
し、メタノール(10mL)で洗った後、50℃で一晩送
風乾燥して、(S)−2−アミノ−5−メトキシテトラリ
ンとジ−p−トルオイル−L−酒石酸とのジアステレオ
マー塩を0.30g(45.6%)得た。このジアステレオ
マー塩を遊離させたときに0.15gの遊離アミンが得
られたことから、このジアステレオマー塩は、(S)−2
−アミノ−5−メトキシテトラリンとジ−p−トルオイ
ル−L−酒石酸の比が2:1のジアステレオマー塩であ
ることを確認した。また、この遊離アミンの光学純度は
62.0%eeであった。分割効率Eは28.3(62.0
×45.6÷100)であった。
【0041】実施例7 2−アミノ−5−メトキシテトラリン塩酸塩(II)(0.2
1g,0.98mモル)を80%(v/v)メタノール水溶
液(5mL)に溶解した。この溶液に、撹拌下、モルホリ
ン(87μL)を加え、さらにジ−p−トルオイル−L−
酒石酸(0.39g,1.0mモル)を加えると、結晶が析
出した。この混合物を、撹拌下に30分間加熱還流し
た。その後冷却し、23〜27℃で30分間保持し、析
出した結晶を濾取し、メタノール(3mL)で洗った。5
0℃で一晩送風乾燥した後、(S)−2−アミノ−5−メ
トキシテトラリンとジ−p−トルオイル−L−酒石酸の
ジアステレオマー塩を0.31g(51.8%)得た。この
ジアステレオマー塩を遊離させたときに0.09gの遊
離アミンが得られたことから、このジアステレオマー塩
は、(S)−2−アミノ−5−メトキシテトラリンとジ−
p−トルオイル−L−酒石酸の比が1:1のジアステレ
オマー塩であることを確認した。これに含まれるアミン
の光学純度は20.6%eeであった。分割効率Eは1
0.7(51.8×20.6÷100)であった。
【0042】実施例8 ジベンゾイル−L−酒石酸・1水和物(0.29g,0.
77mモル)をメタノール(10mL)に溶解した。撹拌
下、この溶液に、2−アミノ−5−メトキシテトラリン
(III)(0.14g,0.79mモル)をメタノール(5m
L)に溶解した溶液を滴下した。この混合物を、撹拌下
に30分間加熱還流した。その後冷却し、23〜27℃
で30分間保持した。析出した結晶を濾取し、メタノー
ル(5mL)で洗った後、50℃で一晩送風乾燥して、
(S)−2−アミノ−5−メトキシテトラリンとジベンゾ
イル−L−酒石酸とのジアステレオマー塩を0.14g
(45.6%)得た。このジアステレオマー塩を遊離させ
たときに0.05gの遊離アミンが得られたことから、
このジアステレオマー塩は、(S)−2−アミノ−5−メ
トキシテトラリンとジベンゾイル−L−酒石酸の比が
1:1のジアステレオマー塩であることを確認した。ま
た、この遊離アミンの光学純度は35.7%eeであっ
た。分割効率Eは11.3(33.5×35.7÷100)
であった。
【0043】実施例9 2−アミノ−5−メトキシテトラリン(III)(0.36
g,2.0mモル)を80%(v/v)メタノール水溶液(4
mL)に溶解した。この溶液に、撹拌下、ジベンゾイル
−L−酒石酸・1水和物(0.38g,1.0mモル)をメ
タノール(5mL)および水(3mL)の混合溶液に溶解し
た溶液を滴下した。この混合物を、撹拌下に30分間加
熱還流した。その後冷却し、23〜27℃で30分間保
持し、析出した結晶を濾取し、メタノール(5mL)で洗
った。50℃で一晩送風乾燥した後、(S)−2−アミノ
−5−メトキシテトラリンとジベンゾイル−L−酒石酸
のジアステレオマー塩を0.30g(40.8%)得た。こ
のジアステレオマー塩を遊離させたときに0.14gの
遊離アミンが得られたことから、このジアステレオマー
塩は、(S)−2−アミノ−5−メトキシテトラリンとジ
ベンゾイル−L−酒石酸の比が2:1のジアステレオマ
ー塩であることを確認した。これに含まれるアミンの光
学純度は39.1%eeであった。分割効率Eは16.0
(40.8×39.1÷100)であった。
【0044】実施例10 D−酒石酸(0.23g,1.5mモル)を80%(v/v)
メタノール水溶液(10mL)に溶解した。撹拌下、この
溶液に、2−アミノ−5−メトキシテトラリン(III)
(0.27g,1.5mモル)をメタノール(5mL)に溶解
した溶液を滴下した。この混合物を、撹拌下に30分間
加熱還流した。その後冷却し、23〜27℃で30分間
保持した。析出した結晶を濾取し、メタノール(5mL)
で洗った後、50℃で一晩送風乾燥して、(S)−2−ア
ミノ−5−メトキシテトラリンとD−酒石酸とのジアス
テレオマー塩を0.07g(14.0%)得た。遊離させた
アミンの光学純度は73.1%eeであった。分割効率
Eは10.2(14.0×73.1÷100)であった。
【0045】比較例1〜3 各種分割剤を使用し、工程(3)の方法に準じて、ラセミ
の2−アミノ−5−メトキシテトラリン(III)の光学分
割を行った結果を以下の表1に示す。上記実施例に示し
た分割効率Eと、表1に示した各種分割剤と2−アミノ
−5−メトキシテトラリン(III)のジアステレオマー塩
形成時の分割効率Eを比較することによって、実施例に
記載した分割剤が、ラセミの2−アミノ−5−メトキシ
テトラリン(III)を極めて効果的に光学分割できること
が明らかである。
【0046】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07M 7:00 C07M 7:00 (72)発明者 藤間 義人 兵庫県神戸市西区室谷2丁目2番3号 長 瀬産業株式会社研究開発センター内 Fターム(参考) 4H006 AA01 AA02 AB84 AC52 AC82 AC83 AD30 BA20 BA21 BA70 BB11 BB14 BC10 BC31 BD70 BE20 BJ50 BP30 BU44 4H039 CA71 CJ10 CJ20

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(IV): 【化1】 [式中、A*Hは光学活性な有機酸であり、nは0.5〜
    1の係数である]で示される光学活性な2−アミノ−5
    −メトキシテトラリンと光学活性な有機酸との塩。
  2. 【請求項2】 A*Hで示される光学活性な有機酸が、
    D−酒石酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、ジ−p−トル
    オイル−L−酒石酸、および(S)−マンデル酸からなる
    群から選ばれた有機酸である請求項1に記載の塩。
  3. 【請求項3】 A*Hで示される光学活性な有機酸が
    (S)−マンデル酸であり、nが1である請求項1に記載
    の塩。
  4. 【請求項4】 A*Hで示される光学活性な有機酸がジ
    −p−トルオイル−L−酒石酸であり、nが0.5であ
    る請求項1に記載の塩。
  5. 【請求項5】 式(III): 【化2】 で示される2−アミノ−5−メトキシテトラリンのラセ
    ミ体に、適当な溶媒中、A*Hで示される光学活性な有
    機酸を作用させて、式(IV): 【化3】 [式中、A*Hは光学活性な有機酸であり、nは0.5〜
    1の係数である]で示される光学活性な2−アミノ−5
    −メトキシテトラリンと光学活性な有機酸との塩を生成
    させ、該塩を単離した後に複分解することを特徴とす
    る、式(VIII): 【化4】 で示される光学活性な2−アミノ−5−メトキシテトラ
    リンおよびその無機酸との塩の製造方法。
  6. 【請求項6】 溶媒が含水低級アルコールである請求項
    5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 低級アルコールがメタノールである請求
    項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 低級アルコールが複数のアルコールの混
    合物である請求項6に記載の方法。
  9. 【請求項9】 低級アルコールがメタノールとイソプロ
    ピルアルコールの混合物である請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 A*Hで示される光学活性な有機酸
    が、D−酒石酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、ジ−p−
    トルオイル−L−酒石酸、および(S)−マンデル酸から
    なる群から選ばれた有機酸である請求項5ないし9のい
    ずれかに記載の方法。
  11. 【請求項11】 (S)−マンデル酸を、式(III)のラセ
    ミ体1当量に対して1当量作用させる請求項10に記載
    の方法。
  12. 【請求項12】 ジ−p−トルオイル−L−酒石酸を、
    式(III)のラセミ体1当量に対して0.5当量作用させる
    請求項10に記載の方法。
  13. 【請求項13】 式(I): 【化5】 で示される5−メトキシ−2−テトラロンを、接触還元
    触媒の存在下、アンモニアで還元的にアミノ化すること
    を特徴とする、式(III): 【化6】 で示される2−アミノ−5−メトキシテトラリンのラセ
    ミ体およびその無機酸との塩の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の方法によって製造
    した、式(III)で示される2−アミノ−5−メトキシテ
    トラリンのラセミ体およびその無機酸との塩を用いる請
    求項5ないし12のいずれかに記載の方法。
  15. 【請求項15】 (S)−2−アミノ−5−メトキシテト
    ラリンまたは(R)−2−アミノ−5−メトキシテトラリ
    ンを、水素雰囲気下、接触還元触媒を用いてラセミ化す
    ることを特徴とする、式(III): 【化7】 で示される2−アミノ−5−メトキシテトラリンのラセ
    ミ体の製造方法。
  16. 【請求項16】 接触還元触媒がラネー触媒であり、反
    応温度が120〜140℃である請求項15に記載の方
    法。
  17. 【請求項17】 ラネー触媒がラネーコバルトである請
    求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 芳香族炭化水素系の溶媒を使用する請
    求項16または17に記載の方法。
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