JP2002181922A - レーダ断面積の測定方法およびその測定装置およびその制御プログラムを記録した記憶媒体 - Google Patents

レーダ断面積の測定方法およびその測定装置およびその制御プログラムを記録した記憶媒体

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JP2002181922A
JP2002181922A JP2000385157A JP2000385157A JP2002181922A JP 2002181922 A JP2002181922 A JP 2002181922A JP 2000385157 A JP2000385157 A JP 2000385157A JP 2000385157 A JP2000385157 A JP 2000385157A JP 2002181922 A JP2002181922 A JP 2002181922A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 散乱電界の位相の測定が困難な場合にも遠方
でのレーダ断面積を得ることができるレーダ断面積の測
定方法、測定装置およびその制御プログラムを記録した
記憶媒体を提供する。 【解決手段】 レーダ断面積の遠方領域での測定条件か
ら考えて水平方向には大きいが垂直方向には十分小さい
被測定物のレーダ断面積の測定方法であって、被測定物
1からの近傍領域内の被測定物からの距離が異なる少な
くとも2つの位置ρ1、ρ2で、被測定物を回転走査又
は直線移動走査して測定した散乱電界の振幅の測定値を
変換して遠方領域におけるレーダ断面積を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、レーダ断面積の
測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーダ断面積(RCS:Radar Cross Sec
tion)は無限遠方で測定したものとして規定されるた
め、被測定物から十分遠方で測定する必要がある。通
常、被測定物の最大径をD、測定波長をλとすると、十
分遠方で測定するためには測定距離Rは次の(1)式を満
たさなければならない。
【0003】
【数1】
【0004】しかし、十分な測定レンジがとれない場
合、遠方領域のRCSを求める方法の一つとして、近傍
領域での測定値から遠方領域のRCSを推定する方法が
提案されている。この範疇に属する従来のRCS測定と
して、例えば「1999年電子情報通信学会総合大会、
B−1−10」の論文において近傍領域で測定した散乱
界から遠方領域のレーダ断面積を求める方法が提案され
ている。
【0005】図7はこの従来のレーダ断面積の測定方法
で定義されている遠方RCS推定用の座標系を示す。同
図において推定するRCSの方向をX軸とし、被測定物
のある原点から距離ρの位置に実際に測定する波源およ
び観測点P(送信アンテナ及び受信アンテナ)を設置す
る。このとき被測定物のY軸方向およびZ軸方向の最大
長をHw、Zw、測定波長をλとし、測定距離ρは次の
(2)式を満たす近傍領域とする。
【0006】
【数2】
【0007】すなわち、被測定物のY軸方向の大きさに
対しては近傍領域になるが、Z軸方向の大きさに対して
は遠方領域になっているものとする。この測定距離にお
いて波源および観測点を固定し被測定物をXY面内で回
転させ(走査角:φ)散乱電界Es(φ)を測定する。ここ
で散乱電界は電界強度のみでなく位相情報も測定する必
要がある。測定範囲がφwの散乱電界から次の(3)式で
散乱体固有の等価散乱係数Se(y)を求めることができ
る。
【0008】
【数3】
【0009】次に被測定物をY軸に投影した領域相当y
wの等価散乱係数Se(y)から次の(4)式で遠方領域に
おけるRCS:σを求めることができる。
【0010】
【数4】
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来のRCS測定方法
では等価散乱係数を求めるために、近傍領域の位相情報
も含めた散乱電界を必要としていた。しかし、周波数が
高くなると精度良く位相を求めることが困難になるとい
う問題点がある。あるいは、位相を精度よく測定するた
めの測定装置が必要になるため、測定系が複雑になると
いう問題点があった。
【0012】この発明は上記の課題を解消するためにな
されたもので、散乱電界の位相の測定が困難な場合にも
遠方でのレーダ断面積を得ることができるレーダ断面積
の測定方法、測定装置およびその制御プログラムを記録
した記憶媒体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的に鑑み、この
発明は、レーダ断面積の遠方領域での測定条件から考え
て水平方向には大きいが垂直方向には十分小さい被測定
物のレーダ断面積の測定方法であって、被測定物からの
近傍領域内の上記被測定物からの距離が異なる少なくと
も2つの位置で、被測定物を回転走査又は直線移動走査
して測定した散乱電界の振幅の測定値を変換して遠方領
域におけるレーダ断面積を求めることを特徴とするレー
ダ断面積の測定方法にある。
【0014】また、上記被測定物からの距離が短いもの
から第1の位置、第2の位置とし、上記第1および第2
のそれぞれの位置での散乱電界の強度を散乱電界の振幅
として測定する工程と、第1の位置における位相の初期
条件を0に設定する工程と、散乱電界が求められた上記
振幅、位相を0として第1の位置での第1の等価散乱係
数を求める工程と、この第1の等価散乱係数から第2の
位置の散乱電界の振幅と位相を求める工程と、この求め
られた第2の位置の散乱電界における位相、最初に求め
られた第2の位置での散乱電界における振幅とする散乱
電界から第2の等価散乱係数を求める工程と、上記第1
と第2の等価散乱係数が差が十分小さい場合に上記第1
又は第2の等価散乱係数から遠方領域におけるレーダ断
面積を求める工程と、上記第1と第2の等価散乱係数が
差が十分小さくない場合に上記第2の等価散乱係数から
第1の位置における散乱電界を求め、これから求まる位
相を第1の位置における位相に置き換えて再度、上記第
1の等価散乱係数を求める工程から繰り返す工程と、を
備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ断面積
の測定方法にある。
【0015】また、レーダ断面積の遠方領域での測定条
件から考えて水平方向には大きいが垂直方向には十分小
さい被測定物のレーダ断面積を求めるレーダ断面積の測
定装置であって、上記被測定物を回転走査又は直線移動
走査させる走査機構と、上記被測定物に電波を送信する
送信アンテナと、上記被測定物からの電波を受信する受
信アンテナと、これらの送信および受信アンテナを上記
被測定物からの近傍領域内の被測定物からの距離が異な
る少なくとも2つの位置に移動させる移動機構と、上記
送信および受信アンテナにより上記少なくとも2つの位
置で測定した散乱電界の振幅の測定値を変換して遠方領
域におけるレーダ断面積を求める制御ユニットと、を備
えたことを特徴とするレーダ断面積の測定装置にある。
【0016】また、上記制御ユニットが、上記2つの位
置を被測定物からの距離が短いものから第1の位置、第
2の位置とし、上記送信および受信アンテナにより上記
第1および第2のそれぞれの位置での散乱電界の強度を
散乱電界の振幅として測定する手段と、第1の位置にお
ける位相の初期条件を0に設定する手段と、散乱電界が
求められた上記振幅、位相を0として第1の位置での第
1の等価散乱係数を求める手段と、この第1の等価散乱
係数から第2の位置の散乱電界の振幅と位相を求める手
段と、この求められた第2の位置の散乱電界における位
相、最初に求められた第2の位置での散乱電界における
振幅とする散乱電界から第2の等価散乱係数を求める手
段と、上記第1と第2の等価散乱係数が差が十分小さい
場合に上記第1又は第2の等価散乱係数から遠方領域に
おけるレーダ断面積を求める手段と、上記第1と第2の
等価散乱係数が差が十分小さくない場合に上記第2の等
価散乱係数から第1の位置における散乱電界を求め、こ
れから求まる位相を第1の位置における位相に置き換え
て再度、上記第1の等価散乱係数を求める手段から繰り
返す手段と、を備えたことを特徴とする請求項3に記載
のレーダ断面積の測定装置にある。
【0017】また、上記制御ユニットが、上記走査機構
および移動機構を駆動させ走査および移動を制御する手
段をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載のレ
ーダ断面積の測定装置にある。
【0018】また、レーダ断面積の遠方領域での測定条
件から考えて水平方向には大きいが垂直方向には十分小
さい被測定物の遠方領域におけるレーダ断面積を、被測
定物からの近傍領域内の上記被測定物からの距離が異な
る少なくとも2つの位置で、被測定物を回転走査又は直
線移動走査して測定した散乱電界の振幅の測定値を変換
して求める測定をコンピュータによって制御する制御プ
ログラムを記録した記憶媒体であって、上記被測定物か
らの距離が短いものから第1の位置、第2の位置とし、
上記被測定物に電波を送信する送信アンテナと被測定物
からの電波を受信する受信アンテナに上記第1および第
2のそれぞれの位置での散乱電界の強度を散乱電界の振
幅として測定させる手順と、第1の位置における位相の
初期条件を0に設定させる手順と、散乱電界が求められ
た上記振幅、位相を0として第1の位置での第1の等価
散乱係数を求めさせる手順と、この第1の等価散乱係数
から第2の位置の散乱電界の振幅と位相を求めさせる手
順と、この求められた第2の位置の散乱電界における位
相、最初に求められた第2の位置での散乱電界における
振幅とする散乱電界から第2の等価散乱係数を求めさせ
る手順と、上記第1と第2の等価散乱係数が差が十分小
さいことを判別させる手順と、上記差が十分小さい場合
に上記第1又は第2の等価散乱係数から遠方領域におけ
るレーダ断面積を求めさせる手順と、上記差が十分小さ
くない場合に上記第2の等価散乱係数から第1の位置に
おける散乱電界を求め、これから求まる位相を第1の位
置における位相に置き換えて再度、上記第1の等価散乱
係数を求める手順から繰り返させる手順と、を実行させ
るプログラムを記憶した記憶媒体にある。
【0019】また、上記被測定物を回転走査又は直線移
動走査させる走査機構を駆動させて、上記被測定物を回
転走査又は直線移動走査させる手順と、上記送信および
受信アンテナを移動させる移動機構を駆動させて、上記
被測定物からの近傍領域内の被測定物からの距離が異な
る少なくとも2つの位置に移動させる手順と、を実行さ
せるプログラムをさらに記憶したことを特徴とする請求
項6に記載の記憶媒体にある。
【0020】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの発明の
実施の形態1によるレーダ断面積の測定装置の構成を示
す図である。1は被測定物、2は被測定物1を回転走査
させる回転機構(走査機構を構成)、3は被測定物1およ
び回転機構2を支持する支持機構である。
【0021】4は被測定物1に電波を送信する送信アン
テナ、5は被測定物1からの電波を受信する受信アンテ
ナ、6は送受信アンテナ支持機構、7aは送受信アンテ
ナ移動機構部、7bは送受信アンテナ移動用レールであ
る(7aと7bで移動機構を構成)。
【0022】被測定物1は回転機構2で任意の角度に回
転することができる。また送受および受信アンテナ4、
5は送受信アンテナ移動用レール7b上にあり、被測定
物1から任意の距離に移動することができる。
【0023】100はこれらの装置の制御を行う例えば
コンピュータから構成される制御ユニットで、後述する
方法に従って送信および受信アンテナ4、5を駆動して
測定した散乱電界から被測定物1の遠方領域におけるレ
ーダ断面積を求める。
【0024】図2はこの実施の形態における測定方法を
説明する座標系を示す。1は被測定物、4、5は送信お
よび受信アンテナを示す。座標系および被測定物1を回
転する走査方法は従来例に示した方法と同様とする。従
って、上記(2)〜(4)式が成立する。さらに、等価散乱
係数Se(y)から近傍領域の距離ρ、走査角φにおける
散乱電界Es(φ)は次の(5)式で求めることができる。
【0025】
【数5】
【0026】ここで積分範囲ywは被測定物1のY軸へ
の投影領域相当である。制御ユニット100はこの座標
系において図2に示すように異なる距離ρ1、ρ2に送
受信アンテナ4、5を設置してそれぞれにおいて散乱電
界E1、E2を測定し、これらの測定値から図3に示す
フローチャートの手順で遠方RCSを求める。次にこれ
らの各手順について説明する。
【0027】必要とするデータは上述した距離ρ1、ρ
2における散乱電界の測定値であるが、位相成分は不明
で電界強度のみ測定する。またそれぞれの電界強度を振
幅A1、A2とする(ステップS1)。
【0028】距離ρ1での散乱電界の位相成分は不明で
あるが、初期条件として位相:P1が0であると仮定す
る(ステップS2)。
【0029】距離ρ1における散乱電界が振幅A1、位
相P1であると仮定し、(2)式に従い等価散乱係数S
e’(y)を求める(ステップS3)。
【0030】ステップS3で求めた等価散乱係数Se’
(y)から、(2)式に従い距離ρ2における散乱電界を求
め、その振幅をA2’、位相をP2’とする(ステップ
S4)。
【0031】ステップS4で得られた位相P2’、最初
の測定で得られた振幅A2を距離ρ2における散乱電界
とし、(2)式に従い等価散乱係数Se’’(y)を求める
(ステップS5)。
【0032】ステップS3、ステップS5でそれぞれ得
られた等価散乱係数Se’(y)、Se’’(y)の差が十
分小さいか否か判定する。Se’(y)、Se’’(y)は
位置yにより異なるため、例えば被測定物1のy軸投影
領域相当内に等間隔にm点の参照点{yi | i=
1、・・・、m}をとり、これらの参照点でのSe’
(y)、Se’’(y)の誤差平均が微小量δ以下であるか
否か判定すればよい。
【0033】
【数6】
【0034】上記(6)式を満たす場合には十分収束して
いると判定しステップS9に進み、これらの等価散乱係
数から遠方RCSを計算する。上記(6)式を満たさない
場合には次のステップ7に進む(ステップS6)。
【0035】ステップS5で求めた等価散乱係数S
e’’(y)から(5)式に従い距離ρ1における散乱電界
を求め、その振幅をA1’’、位相をP1’’とする
(ステップS7)。
【0036】距離ρ1における位相P1をステップS7
で得られたP1’’で置き換え、ステップS3から繰り
返す(ステップS8)。
【0037】ステップS6で収束条件が満たされている
場合には等価散乱係数Se’(y)あるいはSe’’(y)
で(4)式に従い遠方領域におけるRCSを求める(ステ
ップS9)。
【0038】上述したステップS4〜ステップS8を繰
り返し行うことにより、初期値の散乱電界として位相情
報がなくても、真の等価散乱係数に近いものを得ること
ができ、遠方でのRCSを求めることができる。また本
実施の形態では2つの測定距離で測定した散乱電界の測
定値を用いたが、3つ以上の位置で測定した散乱電界に
対して同様の処理を行ってもよい。
【0039】以上のように本実施の形態によれば、周波
数が高いこと等で散乱電界の位相の測定が困難な場合に
も遠方でのRCSを得ることができる。また、位相測定
機構のない簡易な測定系、装置を実現できるという効果
がある。また、直接遠方でのRCSを測定する測定系と
比べてコンパクトな測定系、装置を実現することができ
る。
【0040】なお、図4に示すように高精度に散乱電界
強度を測定するため、被測定物1と送信および受信アン
テナ4、5間に電波吸収体9を設置し高精度に散乱電界
強度を測定できるようにしてもよい。電波吸収体9が設
置されているため、地面反射などの不要波の影響を取り
除くことができ高精度に散乱電界を測定できるため、高
精度に遠方でのRCSを求めることができるという効果
がある。
【0041】実施の形態2.図5はこの発明の実施の形
態2によるレーダ断面積の測定装置の構成を示す図であ
る。図5において上記実施の形態1と同一もしくは相当
部分は同一符号で示す。8aは被測定物移動機構部、8
bは被測定物移動用レールである(8aと8bで走査機
構を構成)。上記実施の形態1では被測定物1を回転走
査していたがこの実施の形態では直線移動走査させてい
る。
【0042】被測定物1は被測定物移動用レール8b上
にあり、任意の位置に直線的に移動することができる。
また送信および受信アンテナ4、5も送受信アンテナ移
動用レール7上にあり、被測定物から任意の距離に移動
することができる。
【0043】図6はこの実施の形態における測定方法を
説明する座標系を示す。1は被測定物、4、5は送信お
よび受信アンテナを示す。本実施の形態においても図6
に示すように被測定物から距離ρ1、ρ2の位置におい
て散乱電界を測定するが、走査方法は直線走査とする。
被測定物1をY軸方向に移動させ、その移動量をy’と
する。この走査方法において距離ρで測定した散乱電界
Es(y’)から等価散乱係数Se(y)を求める関係式は
次の(7)式で与えられる。
【0044】
【数7】
【0045】また、等価散乱係数Se(y)から距離ρ、
走査量y’で測定した散乱電界Es(y’)は次の(8)式
で与えられる。
【0046】
【数8】
【0047】本実施の形態において距離ρ1、ρ2にお
ける散乱電界の振幅のみの測定値から遠方でのRCSを
求める手順は、前実施の形態における数3、数5の関係
式を数7、数8に置き換えて図2に示す方法で同様に行
えばよい。
【0048】本実施の形態においても、周波数が高いこ
と等で散乱電界の位相の測定が困難な場合にも遠方での
RCSを得ることができる。また、位相測定機構のない
簡易な測定系、装置を実現できるという効果がある。ま
た、直接遠方でのRCSを測定する測定系と比べてコン
パクトな測定系、装置を実現することができる。
【0049】なおこの実施の形態においても、図4に示
したように高精度に散乱電界強度を測定するため、被測
定物1と送信および受信アンテナ4、5間に電波吸収体
9を設置し高精度に散乱電界強度を測定できるようにし
てもよく、同様な効果がある。
【0050】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、レーダ
断面積の遠方領域での測定条件から考えて水平方向には
大きいが垂直方向には十分小さい被測定物のレーダ断面
積の測定方法であって、被測定物からの近傍領域内の上
記被測定物からの距離が異なる少なくとも2つの位置
で、被測定物を回転走査又は直線移動走査して測定した
散乱電界の振幅の測定値を変換して遠方領域におけるレ
ーダ断面積を求めることを特徴とするレーダ断面積の測
定方法としたので、周波数が高いこと等で散乱電界の位
相の測定が困難な場合にも遠方でのRCSを得ることが
できる。
【0051】また、上記被測定物からの距離が短いもの
から第1の位置、第2の位置とし、上記第1および第2
のそれぞれの位置での散乱電界の強度を散乱電界の振幅
として測定する工程と、第1の位置における位相の初期
条件を0に設定する工程と、散乱電界が求められた上記
振幅、位相を0として第1の位置での第1の等価散乱係
数を求める工程と、この第1の等価散乱係数から第2の
位置の散乱電界の振幅と位相を求める工程と、この求め
られた第2の位置の散乱電界における位相、最初に求め
られた第2の位置での散乱電界における振幅とする散乱
電界から第2の等価散乱係数を求める工程と、上記第1
と第2の等価散乱係数が差が十分小さい場合に上記第1
又は第2の等価散乱係数から遠方領域におけるレーダ断
面積を求める工程と、上記第1と第2の等価散乱係数が
差が十分小さくない場合に上記第2の等価散乱係数から
第1の位置における散乱電界を求め、これから求まる位
相を第1の位置における位相に置き換えて再度、上記第
1の等価散乱係数を求める工程から繰り返す工程と、を
備えたので、周波数が高いこと等で散乱電界の位相の測
定が困難な場合にも遠方でのRCSを得ることができ、
また、位相測定機構のない簡易な測定系を実現でき、ま
た、直接遠方でのRCSを測定する測定系と比べてコン
パクトな測定系を実現することができる。
【0052】また、レーダ断面積の遠方領域での測定条
件から考えて水平方向には大きいが垂直方向には十分小
さい被測定物のレーダ断面積を求めるレーダ断面積の測
定装置であって、上記被測定物を回転走査又は直線移動
走査させる走査機構と、上記被測定物に電波を送信する
送信アンテナと、上記被測定物からの電波を受信する受
信アンテナと、これらの送信および受信アンテナを上記
被測定物からの近傍領域内の被測定物からの距離が異な
る少なくとも2つの位置に移動させる移動機構と、上記
送信および受信アンテナにより上記少なくとも2つの位
置で測定した散乱電界の振幅の測定値を変換して遠方領
域におけるレーダ断面積を求める制御ユニットと、を備
えたことを特徴とするレーダ断面積の測定装置としたの
で、周波数が高いこと等で散乱電界の位相の測定が困難
な場合にも遠方でのRCSを得ることができる。
【0053】また、上記制御ユニットが、上記2つの位
置を被測定物からの距離が短いものから第1の位置、第
2の位置とし、上記送信および受信アンテナにより上記
第1および第2のそれぞれの位置での散乱電界の強度を
散乱電界の振幅として測定する手段と、第1の位置にお
ける位相の初期条件を0に設定する手段と、散乱電界が
求められた上記振幅、位相を0として第1の位置での第
1の等価散乱係数を求める手段と、この第1の等価散乱
係数から第2の位置の散乱電界の振幅と位相を求める手
段と、この求められた第2の位置の散乱電界における位
相、最初に求められた第2の位置での散乱電界における
振幅とする散乱電界から第2の等価散乱係数を求める手
段と、上記第1と第2の等価散乱係数が差が十分小さい
場合に上記第1又は第2の等価散乱係数から遠方領域に
おけるレーダ断面積を求める手段と、上記第1と第2の
等価散乱係数が差が十分小さくない場合に上記第2の等
価散乱係数から第1の位置における散乱電界を求め、こ
れから求まる位相を第1の位置における位相に置き換え
て再度、上記第1の等価散乱係数を求める手段から繰り
返す手段と、を備えたので、周波数が高いこと等で散乱
電界の位相の測定が困難な場合にも遠方でのRCSを得
ることができ、また、位相測定機構のない簡易な装置に
することができ、さらに直接遠方でのRCSを測定する
測定系と比べてコンパクトな装置とすることができる。
【0054】また、上記制御ユニットが、上記走査機構
および移動機構を駆動させ走査および移動を制御する手
段をさらに備えることにより、測定全体の総合的な制御
が行える。
【0055】また、レーダ断面積の遠方領域での測定条
件から考えて水平方向には大きいが垂直方向には十分小
さい被測定物の遠方領域におけるレーダ断面積を、被測
定物からの近傍領域内の上記被測定物からの距離が異な
る少なくとも2つの位置で、被測定物を回転走査又は直
線移動走査して測定した散乱電界の振幅の測定値を変換
して求める測定をコンピュータによって制御する制御プ
ログラムを記録した記憶媒体であって、上記被測定物か
らの距離が短いものから第1の位置、第2の位置とし、
上記被測定物に電波を送信する送信アンテナと被測定物
からの電波を受信する受信アンテナに上記第1および第
2のそれぞれの位置での散乱電界の強度を散乱電界の振
幅として測定させる手順と、第1の位置における位相の
初期条件を0に設定させる手順と、散乱電界が求められ
た上記振幅、位相を0として第1の位置での第1の等価
散乱係数を求めさせる手順と、この第1の等価散乱係数
から第2の位置の散乱電界の振幅と位相を求めさせる手
順と、この求められた第2の位置の散乱電界における位
相、最初に求められた第2の位置での散乱電界における
振幅とする散乱電界から第2の等価散乱係数を求めさせ
る手順と、上記第1と第2の等価散乱係数が差が十分小
さいことを判別させる手順と、上記差が十分小さい場合
に上記第1又は第2の等価散乱係数から遠方領域におけ
るレーダ断面積を求めさせる手順と、上記差が十分小さ
くない場合に上記第2の等価散乱係数から第1の位置に
おける散乱電界を求め、これから求まる位相を第1の位
置における位相に置き換えて再度、上記第1の等価散乱
係数を求める手順から繰り返させる手順と、を実行させ
るプログラムを記憶した記憶媒体としたので、周波数が
高いこと等で散乱電界の位相の測定が困難な場合にも遠
方でのRCSを得ることができ、位相測定機構のない簡
易な装置を実現でき、また直接遠方でのRCSを測定す
る測定系と比べてコンパクトな装置を実現することがで
きる。
【0056】また、上記被測定物を回転走査又は直線移
動走査させる走査機構を駆動させて、上記被測定物を回
転走査又は直線移動走査させる手順と、上記送信および
受信アンテナを移動させる移動機構を駆動させて、上記
被測定物からの近傍領域内の被測定物からの距離が異な
る少なくとも2つの位置に移動させる手順と、を実行さ
せるプログラムをさらに記憶したものとしたので、測定
全体の総合的な制御が行える装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるレーダ断面積
の測定装置の構成を示す図である。
【図2】 この発明の実施の形態1における測定方法を
説明する座標系を示す。
【図3】 この発明の実施の形態1によるレーダ断面積
の測定装置の測定動作を説明するためのフローチャート
である。
【図4】 この発明の実施の形態1によるレーダ断面積
の測定装置の変形例を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態2によるレーダ断面積
の測定装置の構成を示す図である。
【図6】 この発明の実施の形態2における測定方法を
説明する座標系を示す。
【図7】 従来のレーダ断面積の測定方法で定義されて
いる遠方RCS推定用の座標系を示す図である。
【符号の説明】
1 被測定物、2 回転機構、3 支持機構、4 送信
アンテナ、5 受信アンテナ、6 送受信アンテナ支持
機構、7a 送受信アンテナ移動機構部、7b送受信ア
ンテナ移動用レール、8a 被測定物移動機構部、8b
被測定物移動用レール、100 制御ユニット。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーダ断面積の遠方領域での測定条件か
    ら考えて水平方向には大きいが垂直方向には十分小さい
    被測定物のレーダ断面積の測定方法であって、被測定物
    からの近傍領域内の上記被測定物からの距離が異なる少
    なくとも2つの位置で、被測定物を回転走査又は直線移
    動走査して測定した散乱電界の振幅の測定値を変換して
    遠方領域におけるレーダ断面積を求めることを特徴とす
    るレーダ断面積の測定方法。
  2. 【請求項2】 上記被測定物からの距離が短いものから
    第1の位置、第2の位置とし、 上記第1および第2のそれぞれの位置での散乱電界の強
    度を散乱電界の振幅として測定する工程と、 第1の位置における位相の初期条件を0に設定する工程
    と、 散乱電界が求められた上記振幅、位相を0として第1の
    位置での第1の等価散乱係数を求める工程と、 この第1の等価散乱係数から第2の位置の散乱電界の振
    幅と位相を求める工程と、 この求められた第2の位置の散乱電界における位相、最
    初に求められた第2の位置での散乱電界における振幅と
    する散乱電界から第2の等価散乱係数を求める工程と、 上記第1と第2の等価散乱係数が差が十分小さい場合に
    上記第1又は第2の等価散乱係数から遠方領域における
    レーダ断面積を求める工程と、 上記第1と第2の等価散乱係数が差が十分小さくない場
    合に上記第2の等価散乱係数から第1の位置における散
    乱電界を求め、これから求まる位相を第1の位置におけ
    る位相に置き換えて再度、上記第1の等価散乱係数を求
    める工程から繰り返す工程と、 を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ断面
    積の測定方法。
  3. 【請求項3】 レーダ断面積の遠方領域での測定条件か
    ら考えて水平方向には大きいが垂直方向には十分小さい
    被測定物のレーダ断面積を求めるレーダ断面積の測定装
    置であって、 上記被測定物を回転走査又は直線移動走査させる走査機
    構と、 上記被測定物に電波を送信する送信アンテナと、 上記被測定物からの電波を受信する受信アンテナと、 これらの送信および受信アンテナを上記被測定物からの
    近傍領域内の被測定物からの距離が異なる少なくとも2
    つの位置に移動させる移動機構と、 上記送信および受信アンテナにより上記少なくとも2つ
    の位置で測定した散乱電界の振幅の測定値を変換して遠
    方領域におけるレーダ断面積を求める制御ユニットと、 を備えたことを特徴とするレーダ断面積の測定装置。
  4. 【請求項4】 上記制御ユニットが、上記2つの位置を
    被測定物からの距離が短いものから第1の位置、第2の
    位置とし、 上記送信および受信アンテナにより上記第1および第2
    のそれぞれの位置での散乱電界の強度を散乱電界の振幅
    として測定する手段と、 第1の位置における位相の初期条件を0に設定する手段
    と、 散乱電界が求められた上記振幅、位相を0として第1の
    位置での第1の等価散乱係数を求める手段と、 この第1の等価散乱係数から第2の位置の散乱電界の振
    幅と位相を求める手段と、 この求められた第2の位置の散乱電界における位相、最
    初に求められた第2の位置での散乱電界における振幅と
    する散乱電界から第2の等価散乱係数を求める手段と、 上記第1と第2の等価散乱係数が差が十分小さい場合に
    上記第1又は第2の等価散乱係数から遠方領域における
    レーダ断面積を求める手段と、 上記第1と第2の等価散乱係数が差が十分小さくない場
    合に上記第2の等価散乱係数から第1の位置における散
    乱電界を求め、これから求まる位相を第1の位置におけ
    る位相に置き換えて再度、上記第1の等価散乱係数を求
    める手段から繰り返す手段と、 を備えたことを特徴とする請求項3に記載のレーダ断面
    積の測定装置。
  5. 【請求項5】 上記制御ユニットが、上記走査機構およ
    び移動機構を駆動させ走査および移動を制御する手段を
    さらに備えたことを特徴とする請求項4に記載のレーダ
    断面積の測定装置。
  6. 【請求項6】 レーダ断面積の遠方領域での測定条件か
    ら考えて水平方向には大きいが垂直方向には十分小さい
    被測定物の遠方領域におけるレーダ断面積を、被測定物
    からの近傍領域内の上記被測定物からの距離が異なる少
    なくとも2つの位置で、被測定物を回転走査又は直線移
    動走査して測定した散乱電界の振幅の測定値を変換して
    求める測定をコンピュータによって制御する制御プログ
    ラムを記録した記憶媒体であって、 上記被測定物からの距離が短いものから第1の位置、第
    2の位置とし、上記被測定物に電波を送信する送信アン
    テナと被測定物からの電波を受信する受信アンテナに上
    記第1および第2のそれぞれの位置での散乱電界の強度
    を散乱電界の振幅として測定させる手順と、 第1の位置における位相の初期条件を0に設定させる手
    順と、 散乱電界が求められた上記振幅、位相を0として第1の
    位置での第1の等価散乱係数を求めさせる手順と、 この第1の等価散乱係数から第2の位置の散乱電界の振
    幅と位相を求めさせる手順と、 この求められた第2の位置の散乱電界における位相、最
    初に求められた第2の位置での散乱電界における振幅と
    する散乱電界から第2の等価散乱係数を求めさせる手順
    と、 上記第1と第2の等価散乱係数が差が十分小さいことを
    判別させる手順と、 上記差が十分小さい場合に上記第1又は第2の等価散乱
    係数から遠方領域におけるレーダ断面積を求めさせる手
    順と、 上記差が十分小さくない場合に上記第2の等価散乱係数
    から第1の位置における散乱電界を求め、これから求ま
    る位相を第1の位置における位相に置き換えて再度、上
    記第1の等価散乱係数を求める手順から繰り返させる手
    順と、 を実行させるプログラムを記憶した記憶媒体。
  7. 【請求項7】 上記被測定物を回転走査又は直線移動走
    査させる走査機構を駆動させて、上記被測定物を回転走
    査又は直線移動走査させる手順と、 上記送信および受信アンテナを移動させる移動機構を駆
    動させて、上記被測定物からの近傍領域内の被測定物か
    らの距離が異なる少なくとも2つの位置に移動させる手
    順と、 を実行させるプログラムをさらに記憶したことを特徴と
    する請求項6に記載の記憶媒体。
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