JP2002181197A - グランドパッキンおよびこれを用いた密封装置 - Google Patents

グランドパッキンおよびこれを用いた密封装置

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JP2002181197A
JP2002181197A JP2000382701A JP2000382701A JP2002181197A JP 2002181197 A JP2002181197 A JP 2002181197A JP 2000382701 A JP2000382701 A JP 2000382701A JP 2000382701 A JP2000382701 A JP 2000382701A JP 2002181197 A JP2002181197 A JP 2002181197A
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packing
gland packing
gland
sealing
sealing device
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Makoto Ishida
誠 石田
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Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
Original Assignee
Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステムおよびスタフィングボックス内壁面の
優れた封止能を備え、さらに、ステムの動作抵抗の低
減、形状安定性、腐食・磨耗したステムおよびスタフィ
ングボックスへの適応性、軸受け機能、装着の容易性、
封止構造の単純化、封止装置のコンパクト化などに優れ
た効果をもたらす、新規なグランドパッキンおよびこれ
を用いた密封装置を提供することにある。 【解決手段】 本発明に係るグランドパッキンは、断面
形状が四辺形のリング状パッキンであって、前記四辺形
の内径側と外径側の2辺はともに中心軸に対して平行で
あり、かつ他の2辺は前記中心軸と直交する軸に対して
同方向の傾きを有するがそれぞれの傾きの角度が異なる
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スタフィングボッ
クス内に装着し前記スタフィングボックス内のステム等
を封止する新規なグランドパッキンおよびそのグランド
パッキンを複数用いた新規な密封装置に関する。さらに
詳しくは、回転ポンプ、バルブ、撹拌機および往復動ポ
ンプ等のスタフィングボックス内に装着しこのスタフィ
ングボックス内のステム等を封止するに際し、ステム等
の様々な動作特性および封止要求特性のすべてに適応さ
せ利用する場合に有効な、新規グランドパッキンおよび
そのグランドパッキンを複数用いた密封装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、スタフィングボックス内に装
着し、スタフィングボックス内のステムおよびスタフィ
ングボックス内壁面等を密封・封止するグランドパッキ
ンとしては、その断面形状が矩形(正方形または長方
形)、平行四辺形または直角を有する台形のものが一般
的であり、そのいずれかを複数互いに密着させ積み重ね
て用いることが一般的に知られている。しかしながら、
従来のグランドパッキンにはいろいろな問題があり、例
えば、断面形状がすべて上記矩形のものを複数積み重ね
てステムに装着した場合は、パッキン押えの締付け面圧
に対する垂直な方向(以下、内外径方向と称す)へのグ
ランドパッキンの拡張・変形に関してばらつきが多く、
締付け過剰の部位と締付け不足の部位が混在しやすいと
いう不具合があり、そのため必然的にパッキン押えの締
付け面圧が過剰に大きくなり、それに伴って、ステムの
動作抵抗および要求トルクが増大するという欠点や、ス
テム側の隙間にグランドパッキンの材質がはみ出し、封
止性能(シール性)の低下と封入物の漏れの原因となる
という難点がある。
【0003】そこで、用いるグランドパッキンを比較的
低密度にする(柔らかくする)ことで、グランドパッキ
ンの拡張・変形を容易にし、パッキン押えの締付け面圧
を小さくしようとする試みもなされているが、前記低密
度のグランドパッキンの内外径方向への拡張・変形の量
は、パッキン押えの締付け方向の圧縮・変形の量より小
さいという特性のため、十分にステムを封止するには、
結局パッキン押えの締付け面圧をより大きくすることが
必要であった。さらに、前記低密度のグランドパッキン
は歪み率(歪み量)が大きいため、ステムの封止に必要
なグランドパッキンの数がスタフィングボックス内の許
容量を超えてしまう事がある他、その柔らかさのためス
テムの動作ぶれや振動を防止する軸受けとしての機能を
果たさないという欠点や、低密度ゆえに材料自体の浸透
漏洩の問題もある。
【0004】一方、高密度にすることによって、グラン
ドパッキンは形状安定性が向上し、軸受けとしての機能
等に優れたものとすることができるが、パッキン押えの
締付け面圧に対する内外径方向の拡張・変形の量は基本
的に小さいため、十分にステムを封止するにはパッキン
押えの締付け面圧をより大きくすることが必要となり、
これに伴って密封装置の大型化および取扱いの簡便性損
失といった不具合が生じる。密封装置については、上記
のようにメインパッキンとして同一種のものを用いると
いう構造のほかに、従来から、異なる材質または物性の
グランドパッキンを、2種またはそれ以上、互いに密着
させてスタフィングボックス内に装着するステム等の密
封装置がよく知られている。しかし、その構造をとる理
由は、シール性、耐熱性、耐圧力性および耐摩擦性等の
要求性能もしくは不足性能を一挙に複数満たすためであ
り、これは従来のグランドパッキンでは同一種のみでは
不可能であったため、必然的に2種以上のグランドパッ
キンをメインパッキンとして装着せざるを得ないとい
う、密封装置の簡単性・単純化という面での不具合があ
る。
【0005】また、米国特許第4328974号では、
低密度で断面が平行四辺形のグランドパッキンを、高密
度で断面が直角を有する台形のグランドパッキンの間に
配し、互いに密着しない形状とした上で、スタフィング
ボックス内のステムに積み重ねて装着し、その後パッキ
ン押えを締付けることによって互いのパッキンを密着さ
せ、パッキンの内外径方向へ応力が集中する部分を持つ
ようにした密封装置が開示されている。しかしながら、
この発明にかかる密封装置では、1)密度の異なるパッ
キンを複数組み合わせる必要がある、2)歪み率の大き
い低密度パッキンが大部分を占めている、3)応力の集
中する部分はあるもののその数が少ない、4)応力集中
部分以外では矩形のパッキンよりも締付け面圧が伝わら
ない、5)低密度のパッキンの部分は軸受けとしての機
能を低下させている、など様々な問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、ステムおよびスタフィングボックス内壁面の優れた
封止能を備え、さらに、ステムの動作抵抗の低減、形状
安定性、腐食・磨耗したステムおよびスタフィングボッ
クスへの適応性、軸受け機能、装着の容易性、封止構造
の単純化、封止装置のコンパクト化などに優れた効果を
もたらす、新規なグランドパッキンおよびこれを用いた
密封装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するべく鋭意検討を行った。その結果、リング状パ
ッキンの輪形をなす部分の断面形状に着目し、その断面
形状が四辺形であって、この四辺形が、内径側と外径側
の2辺が共にリングの中心軸に対して平行であり、かつ
他の向かいあった2辺が前記中心軸と直交する軸に対し
てともに同方向の傾きを有するがそれぞれの傾きの角度
が異なる、というグランドパッキンおよびそのグランド
パッキンを複数用いた新規な密封装置が、上記課題を解
決できることを見いだし、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明にかかるグランドパッキ
ンは、断面形状が四辺形のリング状パッキンであって、
前記四辺形の内径側と外径側の2辺はともに中心軸に対
して平行であり、かつ他の2辺は前記中心軸と直交する
軸に対して同方向の傾きを有するがそれぞれの傾きの角
度が異なることを特徴とする。また、本発明にかかるグ
ランドパッキンを用いた密封装置は、断面形状が四辺形
のグランドパッキンをスタフィングボックス内に積み重
ねて装着し、前記スタフィングボックス内を封止する密
封装置において、前記グランドパッキンのすべてが上記
本発明にかかるグランドパッキンであり、前記他の2辺
の傾き方向がすべてのグランドパッキンにおいて同じく
なるように積み重ねられていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるグランドパ
ッキンおよびこれを用いた密封装置について具体的に説
明する。本発明にかかるグランドパッキンは、図1
(a)、(b)に示すように、その形状は一般的なグラ
ンドパッキンと同様にリング状パッキンである。しかし
ながら、本発明にかかるグランドパッキンは、図2
(a)および(b)に示すように、その断面形状が四辺
形である。そして、この四辺形は、内径側の辺1cと外
径側の辺1dが共に中心軸2aに対して平行で、その他
の2辺である1aおよび1bは、前記中心軸2aと直交
する直交軸2bに対して、同方向の傾きを有するがそれ
ぞれの傾きの角度が異なる、という特徴を有する。前記
「傾きの角度」とは、図2(a)に示すような、角度α
と角度βのことをいい、角度αは直交軸2bと辺1aの
なす角度で、角度βは直交軸2bと辺1bのなす角度で
あり、さらに、前記「同方向の傾き」とは、直交軸2b
を基準にし、直交軸2b上に辺1aおよび辺1bが重な
る場合を角度0°とする前提の下で、直交軸2bに対し
て辺1aおよび辺1bが角度を有する場合の、角度の広
がり方向が同一であるということが好ましい。
【0010】上記のようにそれぞれの傾きの角度(角度
αおよび角度β)が異なることにより、図4(a)に示
すように、すべて同形状である複数のグランドパッキン
をスタフィングボックス6内のステム5に積み重ねて装
着した場合、各パッキン間に一定形状の空間が存在する
構造となり、この構造(後に詳しく説明する)が、一定
の締付け面圧の下で、容易に従来以上の高シール性を実
現できる一つの要因となっている。図2(a)、(b)
に示すような角度αおよび角度βの取り得る範囲につい
ては、0<α<50、0<β<50が好ましく、15<
α<25、25<β<35であることがより好ましい。
また、角度αと角度βの角度差は、0<|α−β|<3
0であることが好ましく、より好ましくは5<|α−β
|<15である。
【0011】本発明にかかるグランドパッキンの断面形
状としては、前記角度αおよび角度βが上記範囲を満た
すものであれば、特に限定されるわけではないが、具体
的には、図2(a)に示すように前記四辺形の内径側と
外径側の2辺において外径側の辺の方が長い、つまりα
<βとなっている場合と、図2(b)に示すように前記
四辺形の内径側と外径側の2辺において内径側の辺の方
が長い、つまりα>βとなっている場合とを好ましく挙
げることができる。また、本発明にかかるグランドパッ
キンの断面形状においては、その内径や外径、または、
内径側の辺1cおよび外径側の辺1d等の寸法は、特に
限定されるわけではなく、上述した角度αおよび角度β
を好ましく有するリング状のパッキン、特に、グランド
パッキンとして成り立つ範囲であればよい。
【0012】本発明にかかるグランドパッキンは上述の
ような形状をしているため、例えば、図4(a)に示す
ように、スタフィングボックス6内のステム5に装着し
て、図4(b)に示すように、前記グランドパッキンの
凸部方向からパッキン押え8により締付けた場合は、図
3の(a)から(b)への変化で示すように、傘が広が
るように内外径方向への拡張・変形(円錐板形座金に似
た動き)し、シール性において優れた機能を有する。ま
た、前記グランドパッキンを、締付け前の形状図3
(a)から締付け後の形状図3(b)へと拡張・変形さ
せるのに必要な荷重は、例えば、従来のグランドパッキ
ン(例えば断面が矩形のもの)で同程度のシール性を出
そうとした場合に比べ、小さくてよい。ここで、前記
「凸部」とは、本発明にかかるグランドパッキンの、図
2(a)における角部3a側であるとし、逆に「凹部」
とは、図2(a)における角部3b側であるとする。
【0013】詳しくは、パッキン押えの締付け面8aな
どの荷重を与える部分から、本発明のグランドパッキン
の凸部が圧力を受けるような方向で、ステム5に装着し
た場合、パッキン押え8を締付けるとグランドパッキン
の凸部が締付け面圧を受け、図3(b)に示すように、
グランドパッキンは全体として厚み方向に好ましく圧縮
される。この圧縮による形状の変形に関し、前記角度α
と角度βの角度差が、容易に内外径方向への変形・拡張
を起こし得るための一要因となっている。さらにこの圧
縮による変形・拡張によって、図3(b)に示されるグ
ランドパッキンにおいて、凸部側の内径側角部3cから
ステム側へ、またその角部と断面形状で対角関係にある
外径側角部4cからスタフィングボックス内壁面側へ
と、特にこれらの部分で顕著に内外径方向へのピーク的
な応力が効率的に伝達される。本発明のグランドパッキ
ンにおける、この効率的に応力を伝え得る部分を、以
下、便宜上、応力集中ポイントと称す。
【0014】本発明にかかるグランドパッキンは、例え
ば、ステムやスタフィングボックス内壁面等の封止をす
る場合、内外径方向に拡張変形した際に応力集中ポイン
トで発生するピーク的な応力によって封止能を発揮する
ため、内外径方向へ伝達される応力の総量(例えば、ス
テムを抱え込む力の総量)が従来のグランドパッキンの
使用時より小さい場合でも、シール性の低下は見られな
い。従って、締付けにより発生する動作抵抗の増加およ
び摩擦による、ステムやパッキン等の劣化を防止し、従
来よりも低い締付け面圧であっても従来どおりまたはそ
れ以上のシール性を好ましく有する。
【0015】本発明にかかるグランドパッキンは、従来
と同等もしくはそれ以上の、効率的かつ優れた封止能を
発揮するに際し、従来より低い締付け面圧であってもよ
いので、例えば、パッキン押え8など、特に限定される
わけではないが、これら周辺の装置をコンパクトにする
ことができ、ひいては、密封装置全体としての大型化を
避けることができる。高度の密封性を要求される特定の
用途にあっては、従来、ステムの外径やスタフィングボ
ックス内の寸法に対し厳格に寸法設定された(いわゆる
許容公差が少なく、グランドパッキンとステム、およ
び、グランドパッキンとスタフィングボックス内壁との
間の空隙が少ない)グランドパッキンで対応することと
なっていたが、本発明にかかるグランドパッキンは、上
述したように内外径方向への効率的な変形・拡張能を有
しているため、特定用途における対象に応じた厳格な寸
法設定がなされていなくても対応可能である。さらに、
通常の使用の場合においても、1つの寸法のグランドパ
ッキンで幅広い条件(様々な対象の寸法条件)に対応で
きるため、グランドパッキンのサイズの種類(製品サイ
ズの種類)の設定が少なくてよく、生産効率が上がり、
製造コストを低減することができる。すなわち、本発明
のグランドパッキンをスタフィングボックス等を含む密
封装置に用いた場合は、締付け面圧を調整することで、
前記グランドパッキンに、種々の対象の個別条件に対応
するための最適な変形・拡張量を与えることができ、幅
広い条件で使用可能であり、高シール性を達成すること
ができる。また、従来、グランドパッキンをスタフィン
グボックス内のステムなどへ装着する場合には、ある程
度の装着困難性を伴っていたが(特に、高密度タイプの
密封装置、または上述のような高度の密封性を要求され
る場合には、より困難性が大きいが)、本発明のグラン
ドパッキンを用いる場合は、内外径方向への効率的な変
形・拡張能による高シール性が確保されていることか
ら、従来品に比べて装着を容易にするようにゆとりを持
たせた寸法設定ができる。さらに、グランドパッキンが
摩擦や経時的な腐食等により元のサイズから変化してし
まった場合、および、ステムやスタフィングボックス内
壁が磨耗や腐食等により元のサイズから変化してしまっ
た場合など、特にこれらに限定されるわけではないが、
あらゆるサイズ変化に対しても、締付け面圧を調整して
グランドパッキンを内外径方向へ効率的に拡張・変形さ
せ、サイズを適応させることにより、再度、最適な密封
性(シール性)を確保することができる。
【0016】本発明にかかるグランドパッキンの密度
(硬さ)については、特に限定されるものではなく、要
求されるシール性や周辺装置への対応により、適宜最適
な密度に調製すればよい。前記グランドパッキンは上述
のように内外径方向への効率的な変形・拡張能を有する
ため、例えば、従来、密度を通常より高くした場合に必
要とされていた締付け面圧よりも小さい締付け面圧によ
って、内外径方向へ、良好な変形・拡張をさせることが
可能である。よって、本発明にかかるグランドパッキン
を用いた場合は、従来における、通常よりも高密度のグ
ランドパッキン、特に、矩形の高密度グランドパッキン
などで問題となっていた、内外径方向への柔軟性(変形
・拡張性)不足による締付け面圧に対する応力の伝達不
足、装着の困難さ、力学的要求等に対する装置の大型
化、不均一な変形に起因する軸抵抗の増大などの欠点が
解消され得る。このような理由から、本発明のグランド
パッキンを高密度に成形した場合は、形状安定性、耐磨
耗性、耐腐食性、ステム等の軸受け機能(軸ぶれや軸振
動を抑える機能)および装着の容易性など、これらに限
定されるわけではないが、様々な優れた機能を持たせる
ことができる。
【0017】本発明にかかるグランドパッキンの構造上
の形態および材質としては、特に限定されるわけではな
いが、具体的には、編組パッキン、積層パッキン、金属
パッキン、黒鉛パッキン、樹脂成形パッキン等を好まし
く挙げることができる。前記編組パッキンとは、一般的
に、種々の繊維材料(例えば、炭素繊維、アラミド繊維
など)からなるヤーンを単数または複数撚り合わせたも
のを編組み、袋編み、八編み、格子編み等により所望の
形状に編組みしたものである。前記積層パッキンとは、
一般的に、シート状の材料を打ち抜き、裁断等の適当な
方法で所望の形状に加工し、これを金型等でプレス成形
したものである。
【0018】前記金属パッキンとは、主として金属箔等
を圧縮して成形したものである。これらの中でも、本発
明のグランドパッキンに用いる材質としては、黒鉛パッ
キンとフッ素樹脂とが、耐薬品性および自己潤滑性に優
れていることから特に好ましい。前記黒鉛パッキンと
は、一般的に、膨張黒鉛を主材料としたものであって、
具体的には、特に限定されるわけではないが、テープモ
ールド型(渦巻き型)型、金網入りテープモールド型、
金属箔入りテープモールド型、ブレード型、積層型、圧
縮成形型などを好ましく挙げることができる。主原料は
膨張黒鉛であるが、さらに補助材料として金属箔、金属
線、金属不織布、各種繊維材、液体潤滑剤、固体潤滑剤
等を好ましく用いることができ、これらは単独で用いて
も2種以上併用してもよい。
【0019】フッ素樹脂パッキンとは、一般的にフッ素
系の樹脂を主原料としたものであって、具体的原料とし
ては、特に限定されるわけではないが、PTFE(ポリ
テトラフルオロエチレン)、PFA(ポリテトラフルオ
ロエチレンパーフルオロアルキルエーテル共重合体)、
FEP(テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロ
ピレンとの共重合体)等を好ましく挙げることができ、
スリーブ状成形体の切削加工や原料ペレットからの射出
成形等により成形される。主原料はフッ素樹脂である
が、さらに補助材料として、金属箔、金属線、金属不織
布、各種繊維材、その他、塗布もしくは配合のための液
体潤滑剤および固体潤滑剤などを好ましく用いることが
でき、これらは単独で用いても2種以上併用してもよ
い。
【0020】前記補助材料としての金属には、特に限定
されるわけではないが、アルミニウム、鉛、銅、ステン
レス、モネル、インコネル等を好ましく挙げることがで
きる。またこれらは単独で用いても、2種以上併用して
もよく、使用の際の形状としては、特に限定されるわけ
ではないが、箔状、リボン状、粒状、チップ綿等を好ま
しく挙げることができる。前記補助材料としての繊維材
には、特に限定されるわけではないが、木綿、麻、ナイ
ロン、PPS繊維、フッ素系樹脂繊維、黒鉛入りフッ素
系樹脂繊維、炭素繊維、炭化繊維、黒鉛化繊維、金属繊
維、ガラス繊維、アラミド繊維、フェノール系繊維、セ
ラミック繊維、石綿等を好ましく挙げることができ、こ
れらは単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0021】前記補助材料としての液体潤滑剤には、特
に限定されるわけではないが、鉱物油、合成油、油脂、
合成油脂、フッ素系オイル、シリコン系オイル、ワセリ
ンおよび各種グリース等を好ましく挙げることができ、
これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。前記
補助材料としての固体潤滑剤には、特に限定されるわけ
ではないが、黒鉛(グラファイト)、二硫化モリブデ
ン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、フッ素樹脂、雲
母(マイカ)、タルク、金、銀、鉛および各種軟質金属
等を好ましく挙げることができ、これらは単独で用いて
も2種以上併用してもよい。
【0022】アロイおよびブレンドする樹脂としては、
特に限定されるわけではないが、ナイロン樹脂、PPS
樹脂、アセタール樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂
および各種ゴム等を好ましく挙げることができ、これら
は単独で用いても2種以上併用してもよい。本発明にか
かるグランドパッキンの成型にあたって、前記膨張黒鉛
を材料として含む場合は、耐薬品性、摺動性、応力緩和
性、特に広範囲な温度での安定性など、特に限定される
わけではないが、これら諸性能に優れたものを得ること
ができる。また、前記膨張黒鉛を材料に含み、本発明の
グランドパッキンを成型する方法としては、特に限定さ
れるわけではないが、具体的には、1)膨張黒鉛テープ
を渦巻状に巻き回した後、巻き軸方向からプレス成形す
るテープモールド成形方法、2)膨張黒鉛シートを金型
等で所望の形状に打ち抜き、これを重ねてプレス成形す
る積層シート成形方法、3)膨張黒鉛ヤーンを網組みし
てプレス成形する成形方法、4)3次元編組み機で所望
の形状に成形する3次元編組み成形方法等を好ましく挙
げることができ、なかでも1)テープモールド成形方
法、2)積層シート成形方法が特に好ましい。
【0023】本発明にかかるグランドパッキンの成形に
あたって、PTFEやPFA等のフッ素樹脂を材料とし
て含む場合は、耐薬品性、摺動性、低発塵性など、特に
限定されるわけではないが、これら諸性能に優れたもの
を得ることができる。また、前記フッ素樹脂を含み、本
発明のグランドパッキンを成型する方法としては、特に
限定されるわけではないが、具体的には、1)PTFE
を用いる場合は、スリーブ状成形品から所望の形状に切
削加工する成形方法、2)PFAを用いる場合は、原料
ペレットから射出成形等により直接所望の形状にする成
形方法等を好ましく挙げることができる。
【0024】本発明にかかるグランドパッキンを用いた
密封装置とは、上記本発明のグランドパッキンをスタフ
ィングボックス内のステムに複数装着する密封装置を好
ましく挙げることができる。詳しくは、図4(a)に示
すように、本発明にかかるグランドパッキンを用いた密
封装置とは、スタフィングボックス6内のステム5に上
記本発明のグランドパッキン1を複数積み重ねて装着
し、パッキン押え8を締付けることによってステム5お
よびスタフィングボックス6内壁面を封止することが好
ましい。この際、装着するグランドパッキン1の形状の
方向性は、前記他の2辺(1aおよび1b)の傾き方向
がすべてのグランドパッキンにおいて統一されているこ
とが好ましく、より好ましくは、パッキン押え8に最も
近いグランドパッキンの、パッキン押え8からの圧力を
直接受ける部分が、内径側凸部(内径側角部3a側)と
なるようにされていることであり、前記グランドパッキ
ン各々は全体の外観として、繰り返し構造状に積み重ね
られたようになっていることが好ましい。
【0025】本発明にかかるグランドパッキンを用いた
密封装置では、用いるグランドパッキン1の種類はすべ
て同一であることが好ましい。なお、図5に示すよう
に、スタフィングボックス内の底面部7側および/また
はパッキン押え8側に、さらにアダプターパッキン10
を装着させて、共に用いた場合は、このアダプターパッ
キン10以外のメインパッキンとなるもの、すなわち本
発明のグランドパッキン1の形状がすべて好ましく同一
種であればよい。従来は、ステムなどの封止に際して、
同一種のグランドパッキンのみを用いていたのでは「満
たすことが不可能な要求性能や要求事項」や「補うこと
のできない不足性能」などが多々あったため、例えば、
形状、密度および材質等の異なる2種以上のグランドパ
ッキンを採用し、組み合わせて用いていた。上記要求性
能および不足性能とは、特に限定されるわけではない
が、具体的には、均一な締付け分布性能(シール性)、
耐熱性、耐圧力性、耐摩擦性等を好ましく挙げることが
できる。
【0026】本発明のグランドパッキンとして、例え
ば、高密度特性をもつ同一種を採用した場合は、その高
密度特性に加え、本発明のグランドパッキンが持つ効率
的な拡張・変形能も発揮されるため、少なくとも従来考
えられていた低密度と高密度の両方の性質を合わせ持つ
ものとすることができ、本発明の密封装置の構造などに
おいても、簡単化という点で好ましい。本発明にかかる
グランドパッキンは、上述のように、効率的な拡張・変
形能を有するため、複数のグランドパッキンを密封装置
に用いた場合、個々のグランドパッキンが内径側と外径
側に応力集中ポイントを有し、他種類のグランドパッキ
ンを必要とせず効率的な応力発生をさせるため、構造の
簡単化の面から見ても、本発明にかかるグランドパッキ
ンを用いた密封装置には、前記グランドパッキンは同一
種で用いることが好ましい。
【0027】本発明にかかるグランドパッキンを用いた
密封装置では、図4(a)に示すように、パッキン押え
8の締付け前は、ステム5に装着された各グランドパッ
キン1の間に一定形状の空間を設けることができる。前
記空間は、グランドパッキン1の断面形状における前記
他の2辺(1aおよび1b)がそれぞれ異なる角度の傾
きとなっていることに起因するものである。スタフィン
グボックス6内のステム5に装着された本発明の各グラ
ンドパッキン1が、上述のように、内外径方向の効率的
な拡張・変形能を発揮する場合には、このような一定形
状の空間的猶予を設けることが必要である。
【0028】本発明にかかるグランドパッキンを用いた
密封装置においては、パッキン押えによる締付け面圧が
加えられると、図4(b)に示すように、各グランドパ
ッキン1はパッキン間の空間を利用してその空間を減少
させるように拡張・変形し、同時に各グランドパッキン
1それぞれが有する応力集中ポイントから効率的に応力
が伝達され、ステム5ならびにスタフィングボックス6
内壁面が封止される。この際、パッキン押え8によって
加えられた締付け面圧が各グランドパッキン1に効率的
に伝達されるので、全てのグランドパッキン1が応力集
中ポイントを有することとなり、全体としての封止効果
は多段シール的な効果となり、きわめて優れたシール性
を発揮することとなる。
【0029】本発明にかかるグランドパッキンを用いた
密封装置としては、上述のように、図5に示すように、
スタフィングボックス内の底面部7側および/またはパ
ッキン押え8側に、さらにアダプターパッキン10を装
着させてなる封止構造も好ましく挙げることができる。
アダプターパッキン10としては、具体的には、高強
度、高弾性を有するものが好ましい。また、アダプター
パッキン10を用いた場合は、はみ出し防止などの効果
を好ましく得ることができる。この「はみ出し」とは、
図4(a)に示す、ステム5がスタフィングボックス内
の底面部7を貫通している部分のわずかな隙間、また
は、ステム5とパッキン押え8とのわずかな隙間など
に、荷重のかかったグランドパッキンの一部が入り込ん
でしまうことであり、装置の密封性(シール性)を低下
させる要因となる。
【0030】本発明にかかるグランドパッキンを用いた
密封装置は、封止部分の構造が、いわゆる標準方式また
はランタリング方式のものなど、特にこれらに限定され
るわけではないが、あらゆる方式のものに用いることが
でき、さらに、具体的に利用できる例としては、特に限
定されるものではないが、例えば、回転ポンプ、往復動
ポンプ等のポンプ類;ゲートバルブ、グローブバルブ等
のバルブ類;各種撹拌機等を好ましく挙げることができ
る。本発明にかかるグランドパッキン1においては、有
する特性を維持しつつ、以下のような様々な構造的(形
状の)変化を好ましく持たせることができ、本発明の密
封装置に用いることができる。また、密封装置において
も様々な構造的(形状の)変化を好ましく持たせること
ができる。これらの中には、構造の変化により、さらに
優れた特性を有するようになるものも含まれる。この構
造的変化としては、特に限定されるわけではないが、前
記グランドパッキン1については、図2(a)に示され
るグランドパッキン1の断面形状において、中心軸2a
に対する直交軸2bに対し同方向かつ異角度をなす辺1
aと辺1b、内径側の角部3aと角部3bおよび外径側
の角部4aと角部4bに着目し、1)図6(a)に示す
ように角部3a、3b、4aおよび4bに直交軸2bと
同方向の平面部を有するようにしたもの、2)図6
(b)に示すように辺1aおよび1bをアーチ状(円弧
状)としたもの、3)図6(c)に示すように角部3
a、3b、4aおよび4bに面取り部を有するようにし
たもの等を好ましく挙げることができる。同様に、前記
密封装置については、4)パッキン押え8の、パッキン
押え加圧面8a(グランドパッキンとの接触面)に傾斜
を設けたもの、5)スタフィングボックス内の底面部7
に傾斜を設けたもの等を好ましく挙げることができる。
これら構造的変化1)〜3)それぞれについては、着目
した上記部分すべてが変化していてもそうでなくてもよ
い。また、構造的変化1)〜5)は1つ採用しても2つ
以上採用してもよい。なかでも、構造的変化1)と2)
とを組み合わせたものであって、角部3a、3b、4a
および4bがすべて構造的変化1)を採用し、かつ辺1
aは平面のままで辺1bが構造的変化2)を採用したも
のを、本発明のグランドパッキンの好ましい構造的変化
の例として挙げることができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。 −実施例1− 主原料として膨張黒鉛製シートをスリットして膨張黒鉛
テープとし、このテープを渦巻状に巻いた後、圧縮成形
して、パッキン内径20mm、パッキン外径33mm、
外径側厚み7.0mmで、図2に示す角度αが30°、
角度βが20°、密度1.65g/cm3である、実施
例1の黒鉛製グランドパッキン(以下、グランドパッキ
ン(1)と称す)を得た。ここで、上記「外径側厚み」
とは、図2(a)または(b)に示す辺1dの長さをい
う。このグランドパッキン(1)について、図10に示
すように密封装置(以下、シール性試験装置と称す)に
4リング装着し、シール性の評価を行った。
【0032】シール性試験装置は、ステム(駆動軸)1
5、スタフィングボックス6およびパッキン押え8等を
有する上部容体と、この上部容体にOリング11を介し
て締付け用ボルト12で一体化させた下部容体からな
る。下部容体には、窒素ガスを注入するための加圧孔1
3、ガス封入部16、ステム(駆動軸)15を回転させ
るためのベアリング14およびスラストベアリング17
が設けられている。シール性の試験に用いるグランドパ
ッキン(4リング)は、スタフィングボックス内底面部
7側とパッキン押え加圧面8a側に装着されたアダプタ
ーパッキン10の間に装着され、パッキン押え8を締付
けることによって、スタフィングボックス6内壁面およ
びステム(駆動軸)15表面が封止される。
【0033】シール性試験にあっては、シール性試験装
置内のガス封入部16に密封する、シール対象となる流
体として窒素ガスを用いた。窒素ガスは、ガス封入部1
6に、ガス圧が常に10MPaとなるように、加圧孔1
3から注入される。このガス圧を保持したまま、シール
性試験装置全体を水中に浸漬させ、パッキン押え8の締
付け面圧を0MPaから45MPaまで、5MPaずつ
段階的に増加させていき、順に各段階ごとにシール性を
試験した。シール性の成否の判断は、水中での窒素ガス
の漏洩速度を基準にし、この値が5.0×10-5Pa・
3/s未満となった時をシールできた時とした。この
窒素ガスをシールできた時の「締付け面圧」を記録し、
「歪み率」、「接触面積あたりの軸抵抗」を測定した。
その結果を表1に示す。なお、窒素ガスの漏洩は、スタ
フィングボックス6内以外からは全くなく、前記漏洩速
度の測定は、水上置換により漏洩した窒素ガスを回収し
(約3分間)、その回収体積と回収時間から求める。
【0034】また、締付け面圧、歪み率、接触面積あた
りの軸抵抗の測定方法は以下に示す。締付け面圧(MPa): 前記窒素ガスをシールできた時
の、中心軸方向から見たグランドパッキンの投影(単
位)面積あたりの締付け荷重である。歪み率(%): グランドパッキンの軸方向装着長さ(パ
ッキン抑え加圧面からスタフィングボックス内の底面部
までの長さ)が、締付け前から締付け後の前記窒素ガス
をシールできた時までの間に減少した割合をいう。すな
わち、グランドパッキンの軸方向装着長さについて、締
付け前をTとし、締付け後をtとした時、歪み率(%)
は「歪み率(%)=(T−t)/T×100」の式より
求めることができる。
【0035】接触面積あたりの軸抵抗(MPa):前記
窒素ガスをシールできた時の、軸抵抗(すなわち、軸を
回転させるために要する力(荷重))をトルクレンチを
用いて測定し、これを、グランドパッキン締付け後の装
着長さtに軸周を乗じた見かけの接触面積で除した値で
ある。−実施例2〜4−実施例1において調製した角度
αおよび角度βを表1に示したとおりにする以外は、実
施例1と同様の操作を繰り返して実施例2〜4の黒鉛製
グランドパッキン(以下、グランドパッキン(2)〜
(4)と称す)を得た。また、実施例1と同様のシール
性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0036】−比較例1− 実施例1において調製した角度αおよび角度βを表1に
示したとおりにする以外は、実施例1と同様の操作を繰
り返して比較例1の黒鉛製グランドパッキン(以下、比
較グランドパッキン(1)と称す)を得た。また、実施
例1と同様のシール性の評価を行った。その結果を表1
に示す。 −比較例2− 実施例1において調製した角度αおよび角度β、密度を
表1に示したとおりにし、外径厚み(内径側厚みも同
様)を6.5mmにする以外は、実施例1と同様の操作
を繰り返して比較例2の黒鉛製グランドパッキン(以
下、比較グランドパッキン(2)と称す)を得た。ま
た、実施例1と同様のシール性の評価を行った。その結
果を表1に示す。
【0037】−比較例3− 主原料として膨張黒鉛製シートをスリットして膨張黒鉛
テープとし、このテープを渦巻状に巻いた後、圧縮成形
し、ともにパッキン内径20mm、パッキン外径33m
mであるが、形状および密度の異なる3種のグランドパ
ッキン(A)、(B)、(C)を調製した。これら3種
のグランドパッキンは、図7に示している。(A)のグ
ランドパッキン11は、断面形状は平行四辺形で、角度
α(α11)、β(β11)がともに45°、密度が
1.00g/cm3(低密度)、外径側厚みが7mmで
ある。(B)のグランドパッキン12は、断面積が直角
を有する台形で、角度α(α12)が0°、角度β(β
12)が30°、密度が1.70g/cm3、外径側厚
みが5.9mmである。(C)のグランドパッキン13
は、断面積が直角を有する台形で、角度α(α13)が
30°、角度β(β13)が0°、密度が1.70g/
cm3、内径側厚みが5.9mmである。このようにし
て、比較例3の黒鉛製グランドパッキン(以下、上記
(A)、(B)、(C)の順に、比較グランドパッキン
(3−1)、比較グランドパッキン(3−2)、比較グ
ランドパッキン(3−3)と称す)とした。また、比較
例3のグランドパッキン3種の装着については、図7に
示すように、2つの比較グランドパッキン(3−1)
を、比較グランドパッキン(3−2)と比較グランドパ
ッキン(3−3)とではさんだ計4リングにする。そし
て、実施例1と同様のシール性の評価を行った。その結
果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】−実施例5〜8− 実施例1において調製した角度αおよび角度βを表2に
示したとおりにする以外は、実施例1と同様の操作を繰
り返して実施例5〜8の黒鉛製グランドパッキン(以
下、グランドパッキン(5)〜(8)と称す)を得た。 −比較例4− 比較例1のグランドパッキン(比較グランドパッキン
(1))と全く同様に調製されたものであるが、密封装
置に使用する際に比較グランドパッキン(1)と逆方向
で装着して使用する点で異なる。このように使用する比
較例4のグランドパッキンを比較グランドパッキン
(4)とする。ここで、グランドパッキン(1)、
(3)〜(8)および比較グランドパッキン(1)、
(2)、(4)はそれぞれ計4リングずつを、比較グラ
ンドパッキン(3)は図7に示す計4リングを、図4に
示すような密封装置に締付け面圧45MPaの下で用い
た場合をモデリングし、シミュレーションした。この状
態での、内径側および外径側各シール面への、締付け面
圧に起因する伝達面圧を、有限要素解析(FEA)によ
り求め、この伝達面圧の締付け面圧に対する割合、すな
わち「面圧伝達率(%)」について、その平均値と最大
値(MAX)を求めた。有限要素解析(FEA)は、軸
対称弾性計算の手法を用いた。その際、軸、スタフィン
グボックスおよびパッキン押え等のグランドパッキン以
外の部分は剛体とした。グランドパッキンの材料定数と
しては、摩擦係数、ヤング率、ポアソン比、密度および
要素数があるが、これらの値はグランドパッキン1リン
グあたりの歪み率、復元率および寸法変化と、文献値等
より決まる。具体的には、摩擦係数は0.3、ヤング率
は117.68MPa、ポアソン比は0.3、密度は
1.5g/cm3となった。(有限要素解析では、各グ
ランドパッキンの密度はシミュレーション上統一し
た。)要素数は、装着したグランドパッキン(4リン
グ)全体に対し、グランドパッキンの断面形状が矩形の
場合は400となった。また、断面形状が四辺形の場合
は、各要素の大きさが断面形状が矩形の場合とほぼ同じ
になるよう、角度α、βの大きさに応じて、適宜好まし
い要素数(300〜500)に調整した。グランドパッ
キンは、密封装置内の軸表面およびスタフィングボック
ス内壁面をシール面とするものであり、これらシール面
は中心軸に沿った面であり、面圧伝達率が大きいほど、
締付け面圧に対する内外径方向への応力伝達の効率が良
いということを示し、より低い締付け面圧で、高いシー
ル性を発揮することができる。また、以下の定義によ
り、「面圧伝達率向上長さ」も測定した。さらに、締付
け時の各グランドパッキンの「歪み率(%)」について
も測定した。
【0040】以上、歪み率、面圧伝達率(内径側、外径
側)、面圧伝達率向上長さの測定結果とともに、各グラ
ンドパッキンの形状特性(角度α、βおよびα−β)を
含め、表2に示した。面圧伝達率向上長さ(%): グランドパッキンを締付け
た後の、パッキン押え加圧面からみたスタフィングボッ
クス内の底面部までの長さ距離を1としたうえで、パッ
キン押え加圧面からの距離(長さ距離)に対応する面圧
伝達率について着目する。この時、比較例2のグランド
パッキン(断面形状が矩形のグランドパッキン)を用い
た場合と比べ、面圧伝達率が増加(向上)している部分
の距離(長さ距離)の総和を求め、この値の、総長さ距
離1に対する割合を、面圧伝達率向上長さ(%)とし
た。
【0041】
【表2】
【0042】表2の結果から、本発明のグランドパッキ
ンは、特に、「面圧伝達率向上長さ」において、特筆す
べき効果を示していることが分かる。次に、グランドパ
ッキン(1)および比較グランドパッキン(2)、
(3)について、グランドパッキン(1)および比較グ
ランドパッキン(2)はそれぞれ計4リングずつを、ま
た比較グランドパッキン(3)は図7に示す計4リング
を、図4に示すような密封装置に用いた場合をモデリン
グし、シミュレーションし、内径側、外径側の各シール
面への伝達面圧(MPa)を、上記同様の有限要素解析
(FEA)により求めた。締付け面圧は、グランドパッ
キン(1)では20MPaに、比較グランドパッキン
(2)では20MPaと35MPaとの2種類に、比較
グランドパッキン(3)では20MPaにした。上記
「面圧伝達率向上長さ」の測定時と同様に、パッキン押
えを締付けた際の、パッキン押え加圧面からみたスタフ
ィングボックス内の底面部までの「長さ距離」を1と
し、図8、図9に示すように、X軸を、パッキン押え加
圧面からの長さ距離、Y軸を、この長さ距離に対応する
「伝達面圧(MPa)」としてグラフ化した。なお、グ
ランドパッキン外径側からスタフィングボックス内壁面
への伝達面圧については図8に、内径側から軸(ステ
ム)表面への伝達面圧については図9に示した。
【0043】図8、図9に示されるグラフの結果より、
以下のことが分かる。すなわち、本発明のグランドパッ
キンは、内径側および外径側にあるいずれのシール面に
対しても高効率的に面圧を伝達する応力集中ポイントを
有するため、このグランドパッキンを密封装置に用いた
場合は、一定の締付け面圧に対し、通常のシール性(例
えば、矩形の断面を有するグランドパッキンを用いた場
合のシール性など)より優れたシール部分が、ピーク的
に、しかも複数で存在している。よって、効率的に、し
かも、多段シール的な相乗効果を発揮できることから、
単にそれぞれのピーク部分で発揮される優れたシール性
だけでなく、全体としても、はるかに効率的で優れた封
止効果をもたらすということが分かる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、ステムおよびスタフィ
ングボックス内壁面の優れた封止能を備え、さらに、ス
テムの動作抵抗の低減、形状安定性、腐食・磨耗への耐
性および適応性、軸受け機能、装着の容易性、封止構造
の単純化、密封装置のコンパクト化などに優れた効果を
もたらす、新規なグランドパッキンおよびこれを用いた
密封装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明にかかるグランドパッキンの
一実施例を示す斜視図であり、(b)は、図1(a)の
グランドパッキンを裏返しにした時の斜視図である。ま
た、(c)は、図1(a)または(b)のグランドパッ
キンの幅方向からの投影図であり、(d)は、図1
(a)または(b)のグランドパッキンの厚み方向から
の投影図である。
【図2】(a)、(b)ともに、本発明にかかるグラン
ドパッキンの一実施例を示す、直径軸2cでの部分断面
図であり、(a)はα<βの場合、(b)はα>βの場
合を表す。
【図3】(a)、(b)ともに、本発明にかかるグラン
ドパッキンの一実施例を示す、直径軸2cでの部分端面
図であり、(a)は変形前を表し、(b)は変形後を表
す。
【図4】本発明にかかるグランドパッキンを用いた密封
装置の一実施例を示す概略断面図であり、(a)は封止
前(パッキン押え8の締付け前)を表し、(b)は封止
後(パッキン押え8の締付け後)を表す。
【図5】本発明にかかるグランドパッキンを用いた密封
装置であって、さらにアダプターパッキンを装着した密
封装置の一実施例を示す概略断面図であり、封止前(パ
ッキン押え8の締付け前)を表す。
【図6】(a)、(b)、(c)ともに、本発明にかか
るグランドパッキンに構造的変化を加えた一実施例を示
す、直径軸2cでの部分端面図である。
【図7】比較例3に示す、形状および物性の異なる3種
のグランドパッキン(A)、(B)、(C)を同時に用
いた場合の一実施例を示す、直径軸2cでの部分端面図
である。
【図8】X軸が、パッキン押え加圧面からの「長さ距
離」、Y軸が、この長さ距離に対応する「外径側伝達面
圧(MPa)」を表すグラフである。
【図9】X軸が、パッキン押え加圧面からの「長さ距
離」、Y軸が、この長さ距離に対応する「内径側伝達面
圧(MPa)」を表すグラフである。
【図10】実施例に記載した、グランドパッキンのシー
ル性を試験する密封装置(シール性試験装置)の一例を
示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 グランドパッキン 2a 中心軸 2b 中心軸に対する直交軸 2c 直径軸 3a、3b 内径側角部 4a、4b 外径側角部 3c 内径側応力集中ポイント 4c 外径側応力集中ポイント 5 ステム 6 スタフィングボックス 7 スタフィングボックス内底面部 8 パッキン押え 8a パッキン押え加圧面 9 締付け用ボルト 10 アダプターパッキン 11 Oリング 12 締付け用ボルト 13 加圧孔 14 ベアリング 15 ステム(駆動軸) 16 ガス封入部 17 スラストベアリング 18 トルクレンチ装着部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】断面形状が四辺形のリング状パッキンであ
    って、前記四辺形の内径側と外径側の2辺はともに中心
    軸に対して平行であり、かつ他の2辺は前記中心軸と直
    交する軸に対して同方向の傾きを有するがそれぞれの傾
    きの角度が異なることを特徴とするグランドパッキン。
  2. 【請求項2】前記内径側と外径側の2辺において、外径
    側の辺の方が長い、請求項1に記載のグランドパッキ
    ン。
  3. 【請求項3】前記内径側と外径側の2辺において、内径
    側の辺の方が長い、請求項1に記載のグランドパッキ
    ン。
  4. 【請求項4】膨張黒鉛を含む、請求項1から3までのい
    ずれかに記載のグランドパッキン。
  5. 【請求項5】フッ素樹脂を含む、請求項1から4までの
    いずれかに記載のグランドパッキン。
  6. 【請求項6】断面形状が四辺形のグランドパッキンをス
    タフィングボックス内に積み重ねて装着し、前記スタフ
    ィングボックス内を封止する密封装置において、前記グ
    ランドパッキンのすべてが請求項1から5までのいずれ
    かに記載のグランドパッキンであり、前記他の2辺の傾
    き方向がすべてのグランドパッキンにおいて同じくなる
    ように積み重ねられていることを特徴とする密封装置。
  7. 【請求項7】前記スタフィングボックス内の底面部側お
    よび/またはパッキン押え側に、さらにアダプターパッ
    キンを装着させてなる、請求項6に記載の密封装置。
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