JP2002178513A - 記録ヘッドと記録ヘッドの製造方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

記録ヘッドと記録ヘッドの製造方法及びインクジェット記録装置

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JP2002178513A
JP2002178513A JP2000376783A JP2000376783A JP2002178513A JP 2002178513 A JP2002178513 A JP 2002178513A JP 2000376783 A JP2000376783 A JP 2000376783A JP 2000376783 A JP2000376783 A JP 2000376783A JP 2002178513 A JP2002178513 A JP 2002178513A
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ink
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pressurized liquid
communication groove
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JP2000376783A
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Takeshi Nanjo
健 南條
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Ricoh Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】加圧液室に停留する気泡を確実に抑制し、イン
ク滴を安定して吐出させ、良質な画像を安定して形成す
る。 【解決手段】ノズルプレート13に加圧液室19からノ
ズル12に連通する連通溝27を設け、振動板基板22
の加圧液室19を構成するノズル12側の斜面221の
頂点にインク流路を形成し、振動板基板の斜面221と
ノズルプレート13に挟み込まれる領域が存在しないよ
うにして、加圧液室19に気泡溜りが発生することを確
実に抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、インク液滴をノ
ズルから射出させる記録ヘッドと記録ヘッドの製造方法
と及びインクジェット記録装置、特に印字特性の向上に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ノンインパクト記録装置は記録時の騒音
発生が無視できる程度に小さい点でオフィス用等として
注目されている。そのうち高速記録可能で、かつ普通紙
に特別の定着処理を要せずに記録できるインクジェット
記録装置が近年多く使用されている。このインクジェッ
ト記録装置のなかで特にオンデマンド方式は従来のイン
パクト方式の記録装置などと比べると、動作音が小さい
ことや、高精細な画像を出力できることなどの特徴を有
し、急速に普及している。
【0003】このオンデマンド方式の記録装置は、その
駆動方法からアクチュエータ方式と熱エネルギによりイ
ンク滴を吐出する方式に分類される。アクチュエータ方
式は圧電振動子などのアクチュエータでインク流路の壁
の一部を振動板として変形させることによりインクを押
し出す方式であり、インクを噴射する複数のノズルと加
圧液室をアレイ状に設け、共通液室から流体抵抗路を介
して各加圧液室に供給して充満しているインクの圧力を
加圧液室の一面に配置された振動板に圧電振動子を接合
し、圧電振動子により振動板を変位させ、この振動板の
変位によりノズルからインクを吐出させて記録紙等の記
録媒体に印字する。熱エネルギを利用した方式は薄膜の
抵抗加熱体によりインクを局所的に加熱して気泡を発生
させ、気泡の体積増大によりインクを吐出させて記録紙
等の記録媒体に印字する。
【0004】近年、出力画像の高品質化と出力速度の高
速化が要求されており、より小滴なインク滴をより高い
周波数で安定して吐出させることができる高密度の記録
ヘッドの開発が要望されている。しかしながら圧電振動
子を用いた記録ヘッドを高密度化するためには加圧液室
の幅も高密度化に対応した微少寸法にするため振動板の
板厚も数ミクロンと薄くする必要がある。この振動板を
研磨等の方法により数ミクロンの板厚に形成することは
加工精度上極めて困難である。また、熱エネルギを利用
した記録ヘッドは駆動手段が薄膜の抵抗加熱体により形
成されるため、上記のような問題はないが、薄膜の抵抗
加熱体が急速な加熱と冷却の繰り返すため、抵抗加熱体
が損傷して記録ヘッドの寿命が短くなってしまう。
【0005】これらの短所を解消するために、静電型の
記録ヘッドが特開平8−290567号公報や特開平11−1570
60号公報等に開示されている。この静電型の記録ヘッド
は、図10に示すように、ノズルプレート13と静電ア
クチュエータ14を有する。ノズルプレート13には、
図11(a)の表面からの斜視図と(b)の裏面からの
斜視図に示すように、アレイ状に設けられた複数のノズ
ル12を有する。静電アクチュエータ14には各ビット
毎に設けられた加圧液室19と流体抵抗路20と、各流
体抵抗路20を介して加圧液室19にインクを供給する
共通液室21を有し、ノズルプレート13が位置合わせ
して接合される。この静電アクチュエータ14の加圧液
室19を形成する振動板基板22には振動板23を有
し、電極基板24には振動板23に対して所定間隔で配
置された個別電極25を有する。この振動板23と個別
電極25の間に電圧を印加して正又は負の電荷をそれら
に与えて振動板23を個別電極25側に静電的吸引又は
反発させて変形させ、加圧液室19のインクをノズル1
2から吐出させて記録紙に印字する。
【0006】ノズルプレート13はNi電鋳又はステン
レスからなる主材131と、主材131の表面に設けら
れ、ニッケルとPTFEの共析メッキ膜又は塗布性の樹
脂撥インク膜からなる撥インク層132とで厚さt1に
形成され、静電アクチュエータ14側の面には、ノズル
12と加圧液室19を連通する連通孔121と、各ノズ
ル12と対に設けられ流体抵抗路20を形成する深さt
2の凹溝201を有する。この凹溝201は、図12の
模式図に示すように、幅dと、振動板基板22とで形成
する有効長さLを有し、深さt2と幅d及び有効長さL
で流体抵抗路20の流体抵抗を規制する。振動板基板2
2は(110)面方位を有するシリコンにより形成さ
れ、加圧液室19を構成する側面は斜面221で形成さ
れている。
【0007】この記録ヘッドにおいて、インクを充填す
るときやノズル面をクリーニングするために加圧液室1
9のインクを吸引するときに、図10及び図11に示す
ように、ノズル12の連通孔121の直下の加圧液室1
9の斜面221とノズルプレート13とで挟まれた部分
に気泡26が停留する。このように加圧液室19に気泡
26が停留すると、ノズル12からインクを吐出するた
めに振動板23を変位させたときに、加圧液室19内の
インクに十分な吐出圧力を加えることができず、インク
滴の吐出ができなくなりビット抜けの原因になってしま
う。また、停留しやすい気泡26を排除するために、長
時間ノズル孔側よりインクを吸引する必要があり、印字
に使用される以外のインクの消費量が多くなったり、印
字に要するまでの時間が長くなったりする問題もある。
さらに、加圧液室19の気泡26の停留を回避するため
に、ノズル12を加圧液室19の壁面を含む位置に配置
した場合にインク流線が所望の方向を向かず、吐出イン
クの噴射方向曲りを発生する問題もある。この加圧液室
19に対するインクの滞留を防止するために、例えば特
開平11−157060号公報に示す記録ヘッドは、加圧液室1
9の斜面221の頂点とノズル12の連通孔121との
距離をほぼ50μm以下にして、加圧液室19の斜面22
1とノズルプレート13とで挟まれた部分に気泡が停留
することを防いでいる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら加圧液室
19の斜面221の頂点とノズル12の連通孔121と
の距離をほぼ50μm以下にしても、ノズルプレート13
と静電アクチュエータ14を接合する際のアライメント
ずれ及びノズルプレート13と静電アクチュエータ14
の仕上精度のばらつきにより、ノズル12の連通孔12
1の直下の加圧液室19の斜面221とノズルプレート
13とで挟まれた領域が拡大し、この領域における気泡
の停留を完全に抑制することは困難であり、上記と同様
な問題が発生してしまうという短所があった。
【0009】この発明は係る短所を改善し、加圧液室に
停留する気泡を確実に抑制し、インク滴を安定して吐出
させ、良質な画像を安定して形成することができるとと
もに、ノズルプレートと静電アクチュエータを接合する
際のアライメントずれへの許容性とノズルプレートと静
電アクチュエータの仕上精度の許容性も広がることがで
きる記録ヘッドと記録ヘッドの製造方法及びインクジェ
ット記録装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明に係る記録ヘッ
ドは、複数のノズルがアレイ状に設けられたノズルプレ
ートと、振動板を有する加圧液室と振動板を変位させる
駆動手段を有する駆動アクチュエータとを有し、振動板
を変形させて加圧液室のインクをノズルから噴射させて
記録紙に記録する記録ヘッドにおいて、ノズルプレート
に加圧液室からノズルに連通する連通溝を設けたことを
特徴とする。
【0011】上記ノズルを加圧液室の壁面から外して設
け、ノズルの流入口の端部に連通溝の端部を設けると良
い。
【0012】この発明に係る記録ヘッドの製造方法は、
複数のノズルがアレイ状に設けられたノズルプレート
と、振動板を有する加圧液室と振動板を変位させる駆動
手段を有する駆動アクチュエータとを有し、振動板を変
形させて加圧液室のインクをノズルから噴射させて記録
紙に記録する記録ヘッドの製造方法において、ノズルプ
レートに加圧液室からノズルに連通する連通溝を形成し
たことを特徴とする。また、ノズルを加圧液室の壁面か
ら外して設け、ノズルの流入口の端部に連通溝の端部を
設けると良い。さらに、ノズルプレートを同一金属の2
層又は3層の電鋳法により形成し、連通溝を1層又は2
層の電鋳法で形成すると良い。
【0013】また、連通溝におけるインクの流体抵抗が
加圧液室にインクを供給する流体抵抗路のインクの流体
抵抗より小さくなるように連通溝を形成することが望ま
しい。さらに、連通溝におけるインクの流体抵抗がノズ
ルにおけるインクの流体抵抗より小さくなるように連通
溝を形成すると良い。
【0014】この発明に係るインクジェット記録装置
は、上記記録ヘッドの製造方法で製造した記録ヘッドを
有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明のインクジェットプリン
タはシアンC,マゼンタM、イェロY,ブラックBkの
各色のインクをそれぞれ収納した4個のインクカートリ
ッジと、複数のノズルを有し各インクカートリッジから
インクが供給される4個の記録ヘッドと、インクカート
リッジと記録ヘッドを搭載したキャリッジを有し、ホス
ト装置から送られる画像データを記録紙に印字すると
き、キャリッジを走査しながら記録紙に記録ヘッドのノ
ズルから画像データに応じてインクを噴射して文字や画
像を記録する。
【0016】記録ヘッドは複数のノズルが設けられたノ
ズルプレートと静電アクチュエータを有する。ノズルプ
レートにはアレイ状に設けられた複数のノズルを有す
る。静電アクチュエータは各ビット毎に設けられた加圧
液室と流体抵抗路と、各流体抵抗路を介して加圧液室に
インクを供給する共通液室を有し、ノズルプレートが位
置合わせして接合される。この静電アクチュエータの加
圧液室を形成する振動板基板には振動板を有し、電極基
板には振動板に対して所定間隔で配置された個別電極を
有する。振動板基板の加圧液室を構成する側面は斜面で
形成されている。この振動板と個別電極の間に電圧を印
加して正又は負の電荷をそれらに与えて振動板を個別電
極側に静電的吸引又は反発させて変形させ、加圧液室の
インクをノズルから吐出させて記録紙に印字する。
【0017】ノズルプレートはNi電鋳又はステンレス
からなる主材と、主材の表面に設けられた撥インク層と
で形成され、静電アクチュエータ側の面には、ノズルと
加圧液室を連通する連通溝と、各ノズルと対に設けられ
流体抵抗路を形成する凹溝を有する。連通溝は振動板基
板の加圧液室を構成する斜面の頂点の上部に中央部が配
置されるようにノズルプレートに設けられている。
【0018】この記録ヘッドにおいて、ノズルプレート
に、ノズルと加圧液室を連通する連通溝を設け、振動板
基板の加圧液室を構成するノズル側の斜面の頂点にイン
ク流路を形成し、振動板基板の斜面とノズルプレートに
挟み込まれる領域が存在しないようにすることにより、
加圧液室に気泡溜りが発生することを確実に抑制する。
したがって記録ヘッドにインクを充填するときやノズル
面のクリーニングするとき等で加圧液室のインクを吸引
する場合に、加圧液室に気泡が停留し、インク滴を吐出
するために十分な圧力を加圧液室内のインクに加えられ
ず、インク滴を吐出することができなくなるというよう
な問題を解消できる。また、加圧液室に気泡が停留する
ことを抑制することにより、インク吸引の時間を短くで
き、インク消費量を低減し、かつ印字までに要する時間
を短縮することができる。
【0019】
【実施例】図1はこの発明の一実施例の構成図である。
図に示すように、インクジェットプリンタ1はシアン
C,マゼンタM、イェロY,ブラックBkの各色のイン
クをそれぞれ収納した4個のインクカートリッジ2と、
複数のノズルを有し各インクカートリッジ2からインク
が供給される4個の記録ヘッド3と、インクカートリッ
ジ2と記録ヘッド3を搭載したキャリッジ4と、記録紙
を収納した給紙トレイ5a,5bや手差しテーブル6か
ら記録紙を印字部7に搬送する搬送ローラ8と、印字し
た記録紙を排紙トレイ9に排出する排出ローラ10を有
する。そしてホスト装置から送られる画像データを記録
紙に印字するときは、キャリッジ4をキャリッジガイド
ローラ11に倣って走査しながら、搬送ローラ8により
印字部7に送られた記録紙に記録ヘッド3のノズルから
画像データに応じてインクを噴射して文字や画像を記録
する。
【0020】記録ヘッド3は、図2の分解斜視図に示す
ように、複数のノズル12が設けられたノズルプレート
13と静電アクチュエータ14とFPCケーブル15と
フレーム16とフィルタ17及びジョイント部18を有
する。ノズルプレート13には、図3(a)の表面から
の斜視図と(b)の裏面からの斜視図に示すように、ア
レイ状に設けられた複数のノズル12を有する。静電ア
クチュエータ14は、図4の断面図に示すように、各ビ
ット毎に設けられた加圧液室19と流体抵抗路20と、
各流体抵抗路20を介して加圧液室19にインクを供給
する共通液室21を有し、ノズルプレート13が位置合
わせして接合される。この静電アクチュエータ14の加
圧液室19を形成する振動板基板22には振動板23を
有し、電極基板24には振動板23に対して所定間隔で
配置された個別電極25を有する。振動板基板22は
(110)面方位を有するシリコンにより形成され、加
圧液室19を構成する側面は斜面221で形成されてい
る。この振動板23と個別電極25の間に電圧を印加し
て正又は負の電荷をそれらに与えて振動板23を個別電
極25側に静電的吸引又は反発させて変形させ、加圧液
室19のインクをノズル12から吐出させて記録紙に印
字する。
【0021】ノズルプレート13はNi電鋳又はステン
レスからなる主材131と、主材131の表面に設けら
れ、ニッケルとPTFEの共析メッキ膜又は塗布性の樹
脂撥インク膜からなる撥インク層132とで厚さt1に
形成され、静電アクチュエータ14側の面には、ノズル
12と加圧液室19を連通する深さt2の連通溝27
と、各ノズル12と対に設けられ流体抵抗路20を形成
する深さt2の凹溝201を有する。連通溝27はノズ
ル12の流入口より幾分大きい幅d1と一定長さL1を
有し、図5の模式図に示すように、振動板基板22の加
圧液室19を構成する斜面221の頂点の上部に中央部
が配置されるようにノズルプレート13に設けられてい
る。凹溝201は、図5の模式図に示すように、幅dと
振動板基板22とで形成する有効長さLを有し、深さt
2と幅d及び有効長さLで流体抵抗路20の流体抵抗を
規制する。FPCケーブル15はドライバICが搭載さ
れ、静電アクチュエータ14に異方性導電膜によって電
気的に接続される。フィルタ17が熱溶着されたフレー
ム16とインク供給タンク又はインクカートリッジから
インクを供給するためのジョイント部18は接着剤によ
り接合され、静電アクチュエータ14と接合したノズル
形成部材13にフレーム16が位置合わせして接合され
る。
【0022】上記のように構成した記録ヘッド3におい
て、ノズルプレート13に、ノズル12と加圧液室19
を連通する連通溝27を設け、振動板基板22の加圧液
室19を構成するノズル12側の斜面221の頂点にイ
ンク流路を形成し、振動板基板22の斜面221とノズ
ルプレート13に挟み込まれる領域が存在しないように
することにより、気泡溜りが発生することを確実に抑制
することができる。したがって記録ヘッド3にインクを
充填するときやノズル面のクリーニングするとき等で加
圧液室19のインクを吸引する場合に、加圧液室19に
気泡が停留し、インク滴を吐出するために十分な圧力を
加圧液室19内のインクに加えられず、インク滴を吐出
することができなくなるというような問題を解消でき
る。また、加圧液室19に気泡が停留することを抑制す
ることにより、インク吸引の時間を短くでき、インク消
費量を低減し、かつ印字までに要する時間を短縮するこ
とができる。
【0023】また、連通溝27でノズル12と加圧液室
19を連通した場合、振動板23が変位して加圧液室1
9内のインクに吐出圧力が加わり、図6(a)に示すよ
うに、加圧液室19内にインク流28が発生し、連結溝
27を経由してノズル12から吐出するときに、加圧液
室19で発生した乱流のインク流28は加圧液室19を
形成する斜面221に沿って連通溝27に流入し、連通
溝27を通ることによりインク流28の方向が整流さ
れ、ノズル12内で方向が所望の方向に整えられ、所定
の方向にインク滴を吐出する。したがって、従来例のよ
うにノズル12の連通孔121の直下の加圧液室19の
斜面221を設け、図6(c)に示すように、ノズルプ
レート13と静電アクチュエータ14にずれが発生し
て、ノズル12と加圧液室19の斜面221の頂点が重
なって配置された場合のように、斜面221の頂点部分
で乱流になったインク流28をノズル12に直接流入さ
せることにより生じるインク滴の吐出方向のずれが生じ
ることを防ぐことができ、ノズルプレート13のノズル
面に対して垂直方向にインク滴を吐出させることがで
き、良質な画像を安定して形成することができる。ま
た、連通溝27を加圧液室19側に長く形成することに
より、ノズルプレート13と加圧液室19を有する静電
アクチュエータ14との接合時のアライメントずれへの
許容性や、ノズルプレート13と静電アクチュエータ1
4の仕上精度の許容性を広げることができ、記録ヘッド
3を作成するときに歩留を向上することができる。
【0024】次に、上記のように構成した記録ヘッド3
のノズルプレート13の製造方法を図7の工程図を参照
して説明する。図7(a)に示すように、まず、導電性
基板又は導電性薄膜を有する基板30上に感光性樹脂の
円形マスク31をパターニングする。次に、(b)に示
すように、マスク31を有する基板30の表面に電鋳法
によりニッケルなどの金属膜32を形成する。この金属
膜32の厚さt3は撥インク層132の厚さを含むノズ
ル12の部位の厚さに応じて定める。次に(c)に示す
ように、連通溝27と流体抵抗路20を形成する凹溝2
01に対応する位置に感光性樹脂を厚くパターニングし
て溝用マスク33を形成する。その後、(d)に示すよ
うに、溝用マスク33を有する金属膜32の表面に電鋳
法によりニッケルなどの金属膜34を形成する。この金
属膜34の厚さt2は連通溝27と凹溝201の深さt
2を定め、連通溝27と流体抵抗路20の流体抵抗を規
制する。次に(e)に示すように、基板30と円形マス
ク31及び溝用マスク33を除去し、金属膜32と金属
膜34で形成された主材131の基板30が有った面と
反対側の面にノズル孔部位を塞ぐ形で感光性樹脂のマス
ク35を形成する。次に、(f)に示すように、主材1
31の表面に、電解共析メッキ法によりニッケルとPT
FEの共析メッキ膜を形成したり、スプレーコート法な
どにより樹脂性撥インク膜を形成して撥インク層132
を例えば3μm以下の膜厚で形成する。その後、(g)
に示すように、マスク35を除去してノズル12と連通
溝27及び流体抵抗路20を構成する凹溝201を有す
るノズルプレート13を完成する。このようにノズルプ
レート13を製造するときに写真製版技術と2層電鋳法
を採用することにより、各部位の寸法を少なくともマイ
クロメータレベルで制御することができ、任意の寸法の
ノズルプレート13を高精度に製造することができる。
また、ノズルプレート13を製造するときに、3層の電
鋳法を使用して連通溝27及び流体抵抗路20を構成す
る凹溝201の深さを大きくしても良い。このように、
3層の電鋳法を使用して連通溝27及び流体抵抗路20
を構成する凹溝201の深さを大きくすることにより、
図6(b)に示すように、連通溝27を通るインク流2
8をより整流してノズル12に送ることができる。
【0025】このようにして作製したノズルプレート1
3を使用した記録ヘッド3のノズル12と連通溝27及
び流体抵抗部20におけるインクの流体抵抗値を算出
し、ノズル12から吐出されるインク滴の噴射方向と圧
力損失の影響が顕著に表れる吐出速度Vjとの関係を示
す。例えばノズル12を流れるインクの流体抵抗Raは
円管中を流れる流体の抵抗として求められる。円管中を
流れる流体の流量Qはハーゲン・ポアズイユの式、Q=
(πr/8μL)・ΔPより算出される。ここでμは粘
性係数、rは円管の半径、Lは円管の長さを表わし、Δ
Pは円管による圧力降下を表わす。上記式の(πr/8
μL)の逆数が円管中の流体抵抗すなわちノズル12に
おけるインクの流体抵抗Raを示す。ノズル12の形状
としては図8(a)に示すように、吐出口側と流入口側
の直径d2が同じである直管形状と、(b)に示すよう
に、流入側から吐出側に向かって直径が徐々に小さくな
る先細形状とがある。直管形状のノズル12は、図9
(a)に示すように、その直径d2と長さLからなる直
管として上記式の(πr/8μL)により流体抵抗Ra
を求めることができ、先細形状のノズル12は、図9
(b)に示すように、流入側の直径d4と流出側の直径
d3の間で直径が徐々に小さくなる微小直管が直列に接
続されているものとして流体抵抗Raを求めることがで
きる。同様に、連通溝27の流体抵抗Rbと流体抵抗部
20の流体抵抗Rcは、実際には直方管の流体抵抗にな
るが、内接円を直径とする円管に近似して算出される。
ここでノズル12と連通溝27及び流体抵抗路20を形
成する凹溝201の寸法を変えたノズルプレート13を
作製して記録ヘッド3を作製し、インクとして粘性係数
μが2.5×10-3 Pa・secの黒顔料インクを用いて吐出
速度Vjと噴射の方向性を調べた結果を下記表に示す。
【0026】
【表1】
【0027】上記表において、噴射速度Vjと噴射の方
向性の評価の2重丸印は特に良好な場合、丸印は良好で
安定している場合、ばつ印は安定していない不良の場合
を示す。図10に示すように、No.1の記録ヘッド
は、連通溝27の長さが短く、ノズル12が加圧液室1
9の斜面221近傍に位置するため、ノズル12から吐
出するインク流に乱れが有りインク滴が所望の方向を向
かない不良が見られた。また、No.4,8,9に記録
ヘッドは連通溝27の流体抵抗Rbがノズル12の流体
抵抗Raより大きくなるため、連通溝27で圧力損失が
増大し、所望の吐出速度に達しない不良が見られた。ま
た、No.10の記録ヘッドは連通溝27の流体抵抗R
bが流体抵抗路20の流体抵抗Rcと同等になったた
め、さらに圧力損失が増大して吐出速度が減少し、噴射
の方向性まで安定しない不良が見られた。No.2,
3,5,6.7の記録ヘッドは、連通溝27の長さが長
く、ノズル12が加圧液室19の斜面221からはずれ
て形成されているので、加圧液室19に気泡溜りも形成
されず、インク流の方向性が安定して所望の方向に噴射
することができた。さらに、連通溝27の流体抵抗Rb
もノズル12の流体抵抗Raと同等かそれ以下であり、
流体抵抗も小さく圧力損失による吐出速度の低下も生じ
ないでインクを安定して吐出することができた。
【0028】また、比較のために従来例で示した記録ヘ
ッドを作製して、各部位の流体抵抗と吐出速度y及び噴
射の方向性を調べた結果を下記表に示す。
【0029】
【表2】
【0030】上記表に示すように従来例でノズル12と
加圧液室19を連通する連通孔121の流体抵抗はノズ
ル12の流体抵抗と十分に小さいので、それに起因する
圧力損失は見られなかったが、No.11ノ記録ヘッド
は、ノズル12が加圧液室19の斜面221に重なって
いるため、噴射方向性の不良が見られ、No.12,1
3の記録ヘッドは加圧液室19の斜面221とノズルプ
レート13で挟まれる領域に気泡が停留すると考えられ
る吐出速度の低下が見られた。
【0031】上記実施例は静電アクチュエータ14を有
する記録ヘッド3について説明したが、圧電振動子等を
用いた記録ヘッドにも同様にして適用することができ
る。
【0032】
【発明の効果】この発明は以上説明したように、ノズル
プレートに加圧液室からノズルに連通する連通溝を設
け、振動板基板の加圧液室を構成するノズル側の斜面の
頂点にインク流路を形成し、振動板基板の斜面とノズル
プレートに挟み込まれる領域が存在しないようにするこ
とにより、加圧液室に気泡溜りが発生することを確実に
抑制することができる。したがって記録ヘッドにインク
を充填するときやノズル面のクリーニングするとき等で
加圧液室のインクを吸引する場合に、加圧液室に気泡が
停留し、インク滴を吐出するために十分な圧力を加圧液
室内のインクに加えられず、インク滴を吐出することが
できなくなるというような問題を解消できる。また、加
圧液室に気泡が停留することを抑制することにより、イ
ンク吸引の時間を短くでき、インク消費量を低減し、か
つ印字までに要する時間を短縮することができる。
【0033】また、ノズルを加圧液室の壁面から外して
設け、ノズルの流入口の端部に連通溝の端部を設けるこ
とにより、加圧液室で発生した乱流のインク流は連通溝
を通るときにインク流の方向が整流され、ノズル内で方
向が所望の方向に整えることができ、所定の方向にイン
ク滴を吐出することができ、良質な画像を安定して形成
することができる。また、連通溝を加圧液室側に長く形
成することにより、ノズルプレートと加圧液室を有する
駆動アクチュエータとの接合時のアライメントずれへの
許容性や、ノズルプレートと駆動アクチュエータの仕上
精度の許容性を広げることができ、記録ヘッドを作成す
るときに歩留を向上することができる。
【0034】さらに、ノズルプレートを同一金属の2層
又は3層の電鋳法により形成し、連通溝を1層又は2層
の電鋳法で形成することにより、各部位の寸法を少なく
ともマイクロメータレベルで制御することができ、任意
の寸法のノズルプレートを高精度に製造することができ
る。また、ノズルプレートを製造するときに、3層の電
鋳法を使用して連通溝の深さを大きくすることにより、
連通溝を通るインク流をより整流してノズルに送ること
ができる。
【0035】また、連通溝におけるインクの流体抵抗が
加圧液室にインクを供給する流体抵抗路のインクの流体
抵抗より小さくなるように連通溝を形成することによ
り、加圧液室において加圧されたインクが流体抵抗路に
逆流することを低減でき、加圧されたインクの圧力損失
を低減して噴射性能を向上することができる。
【0036】さらに、連通溝におけるインクの流体抵抗
がノズルにおけるインクの流体抵抗より小さくなるよう
に連通溝を形成することにより、加圧されたインクが連
通溝を通る時の圧力損失を低減して噴射性能をより向上
することができる。
【0037】また、この記録ヘッドをインクジェット記
録装置に使用することにより安定した噴射特性でインク
を吐出させて良質な画像を安定して形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例のインクジェットプリンタの
構成図である。
【図2】記録ヘッドの構成を示す分解斜視図である。
【図3】ノズルプレートの構成を示す斜視図である。
【図4】記録ヘッドの構成を示す断面図である。
【図5】ノズルプレートの連通溝と流体抵抗路と加圧液
室の配置を示す模式図である。
【図6】記録ヘッドのインク流の状態を示す断面図であ
る。
【図7】ノズルプレートの製造方法を示す工程図であ
る。
【図8】ノズルの形状を示す断面図である。
【図9】ノズルの流体抵抗値を算出するときの模式図で
ある。
【図10】従来例の記録ヘッドの構成を示す断面図であ
る。
【図11】従来例のノズルプレートの構成を示す斜視図
である。
【図12】従来例のノズルプレートのノズルと流体抵抗
路と加圧液室の配置を示す模式図である。
【符号の説明】
1;インクジェットプリンタ、3;記録ヘッド、12;
ノズル、13;ノズルプレート、14;静電アクチュエ
ータ、19;加圧液室、20;流体抵抗路、21;共通
液室、23;振動板、24;電極基板、25;個別電
極、27;連通溝、221;斜面。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のノズルがアレイ状に設けられたノ
    ズルプレートと、振動板を有する加圧液室と振動板を変
    位させる駆動手段を有する駆動アクチュエータとを有
    し、振動板を変形させて加圧液室のインクをノズルから
    噴射させて記録紙に記録する記録ヘッドにおいて、ノズ
    ルプレートに加圧液室からノズルに連通する連通溝を設
    けたことを特徴とする記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 上記ノズルを加圧液室の壁面から外して
    設け、ノズルの流入口の端部に連通溝の端部を設けた請
    求項1記載の記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 複数のノズルがアレイ状に設けられたノ
    ズルプレートと、振動板を有する加圧液室と振動板を変
    位させる駆動手段を有する駆動アクチュエータとを有
    し、振動板を変形させて加圧液室のインクをノズルから
    噴射させて記録紙に記録する記録ヘッドの製造方法にお
    いて、ノズルプレートに加圧液室からノズルに連通する
    連通溝を形成したことを特徴とする記録ヘッドの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記ノズルを加圧液室の壁面から外して
    設け、ノズルの流入口の端部に連通溝の端部を設けた請
    求項3記載の記録ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記ノズルプレートを同一金属の2層又
    は3層の電鋳法により形成し、連通溝を1層又は2層の
    電鋳法で形成する請求項3又は4記載の記録ヘッドの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 上記連通溝におけるインクの流体抵抗が
    加圧液室にインクを供給する流体抵抗路のインクの流体
    抵抗より小さくなるように連通溝を形成した請求項3,
    4又は5記載の記録ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 上記連通溝におけるインクの流体抵抗が
    ノズルにおけるインクの流体抵抗より小さくなるように
    連通溝を形成した請求項6記載の記録ヘッドの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項3乃至7のいずれかに記載の記録
    ヘッドの製造方法で製造した記録ヘッドを有することを
    特徴とするインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100529307B1 (ko) * 2002-09-04 2005-11-17 삼성전자주식회사 모노리틱 잉크제트 프린트 헤드 및 이의 제조 방법

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