JP2002178379A - 発泡体の製造装置 - Google Patents

発泡体の製造装置

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JP2002178379A
JP2002178379A JP2000381506A JP2000381506A JP2002178379A JP 2002178379 A JP2002178379 A JP 2002178379A JP 2000381506 A JP2000381506 A JP 2000381506A JP 2000381506 A JP2000381506 A JP 2000381506A JP 2002178379 A JP2002178379 A JP 2002178379A
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Takeo Kitayama
威夫 北山
Nobuhiro Usui
信裕 臼井
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設備コストおよび運転コストの低減化を実現
した上で、良質の発泡体からなる成形製品を得る。 【解決手段】 溶融状態の原料合成樹脂R1に炭酸ガス
Cを供給して拡散させることにより気体溶解樹脂R2を
得る押出し装置(発泡原料調製装置)20と、背圧を加
えることにより上記押出し装置20内の気体溶解樹脂R
2を下流側に向けて押圧する油圧シリンダ292と、こ
の油圧シリンダ292により押圧された気体溶解樹脂R
2をキャビティ34内で成形処理する金型30と、上記
油圧シリンダ292の駆動を制御する制御装置800と
が備えられ、上記制御装置800は、押出し装置本体2
1からのキャビティ34向けの気体溶解樹脂R2の射出
が阻止された状態で背圧が所定の値になるように油圧シ
リンダ292に向けて制御信号を出力するように構成さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、所定の気体が溶
解した熱可塑性合成樹脂を原料として発泡体を製造する
ために用いられる発泡体の製造装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開平10−230528
号公報に記載されているような、溶融状態の気体溶解樹
脂を原料として成形処理を施し、各種の発泡製品を製造
する発泡体の製造装置が知られている。この製造装置
は、所定温度および所定圧力の環境内で超臨界状態の炭
酸ガスを溶融状態の熱可塑性合成樹脂に添加して溶け込
ませ、得られた発泡原料を所定の金型に供給することに
より発泡製品を製造するように構成されている。
【0003】この発泡製品の製造装置は、気泡核を発生
させるために化学物質である発泡剤を用いるものではな
いため、気泡径が0.1〜10μmと極めて小さく、発
泡剤を用いた場合に比べて1/10〜1/100である
ことから、合成樹脂材料の物理的特性を損なうことなく
製品の軽量化を図ることが可能になり、将来の展望が期
待されている。
【0004】そして、かかる製造装置は、内部に押出し
スクリューを備えた筒状の発泡原料調製装置と、この発
泡原料調製装置内に炭酸ガスを供給するためのガスボン
ベとを有しており、このガスボンベからの炭酸ガスが発
泡原料調製装置内に直接導入され、加熱されながら押出
しスクリューの回転駆動で混合されつつある溶融状態の
合成樹脂に供給されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】また、上記特開平10
−230528号公報に記載された発泡製品の製造装置
は、発泡原料調製装置と金型との間に介設された射出装
置を有している。この射出装置は、開閉バルブを介して
発泡原料調製装置からスクリューの回転で導出された気
体溶解樹脂を一旦貯留したのち金型に向けて射出するも
のであり、シリンダに進退可能に内装されたこのプラン
ジャーを有し、発泡原料調製装置から導出された所定量
の気体溶解樹脂をシリンダ内に一時貯留したのち開閉バ
ルブを閉止してプランジャーを前進させてシリンダ内の
気体溶解樹脂を金型のキャビティ内に射出させるように
なっている。
【0006】このような射出装置を発泡原料調製装置と
金型との間に介設することにより、気体溶解樹脂を発泡
原料調製装置から金型のキャビティ内に直接射出する場
合に生じる発泡原料調製装置内の背圧の減少を防止する
ことが可能になり、背圧の減少に起因して気体溶解樹脂
からガスが抜けるという従来の不都合を回避することが
できると記載されている。
【0007】しかしながら、発泡原料調製装置と金型と
の間に射出装置を介設するとなると、設備コストが嵩む
とともに、発泡原料調製装置の運転とは別に射出装置も
間欠的に運転しなければならず、運転コストも嵩むとい
う問題点を有している。
【0008】本発明は、かかる問題点を解消するために
なされたものであり、設備コストおよび運転コストの低
減化を実現した上で、良質の発泡体からなる成形製品を
得ることができる発泡体の製造装置を提供することを目
的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
所定の温度および圧力下で所定の気泡形成用気体が溶解
された溶融状態の気体溶解樹脂を、圧力を低下させるこ
とによる気泡核の形成で多孔質に変換しながら成形処理
する発泡体の製造装置であって、原料合成樹脂を貯留す
る原料ホッパーと、この原料ホッパーから供給された原
料合成樹脂を気泡形成用気体が溶解した溶融状態の気体
溶解樹脂にする発泡原料調製装置と、背圧を加えること
により上記発泡原料調製装置内の気体溶解樹脂を下流側
に向けて押圧する樹脂押圧機構と、この樹脂押圧機構に
より押圧されて上記発泡原料調製装置から射出された気
体溶解樹脂をキャビティ内で成形処理する金型と、上記
樹脂押圧機構の駆動を制御する制御装置とが備えられ、
上記制御装置は、発泡原料調製装置から金型のキャビテ
ィ内に向けて気体溶解樹脂が射出された直後からつぎの
射出までの間の全てについて上記背圧が所定の値になる
ように上記樹脂押圧機構に向けて制御信号を出力するよ
うに構成されていることを特徴とするものである。
【0010】この発明においては、発泡原料調整装置内
のみで原料合成樹脂に気泡形成用気体を溶解させること
によって気体溶解樹脂を形成させてもよいし、原料合成
樹脂を貯留する原料ホッパー内で予め気泡形成用気体を
原料合成樹脂に溶解させておいてもよい。さらに、原料
ホッパーに投入される前に予め気泡形成用気体を原料合
成樹脂に溶解させる処理が行われた結果得られた気体溶
解樹脂を原料として使用してもよい。
【0011】そして、この発明によれば、気体溶解樹脂
が発泡原料調製装置から金型のキャビティ内に向けて射
出されない状態のとき、具体的には、樹脂押圧機構の駆
動により発泡原料調製装置から金型のキャビティ内に向
けて気体溶解樹脂が射出された直後からつぎの射出まで
の待機期間中の全てにおいて、制御装置からの制御信号
による樹脂押圧機構の駆動で発泡原料調製装置内の背圧
が所定の値になるため、この背圧の値を気体溶解樹脂か
ら気泡形成用気体が分離しない圧力に予め設定しておく
ことにより、気体溶解樹脂を金型へ向けて射出した後の
発泡原料調製装置内において気体溶解樹脂から気泡形成
用気体が抜け出るような不都合が防止される。
【0012】従って、従来のように発泡原料調製装置か
ら導出された発泡体を一旦別の射出装置に移し替えてか
らこの射出装置によってキャビティに向けて気体溶解樹
脂を射出するような面倒なことを行う必要がなくなり、
その分運転コストの低減化に寄与するとともに、射出機
が不要な分設備コストの低減化が達成された上で、良質
の発泡製品が製造される。
【0013】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、上記金型には、発泡原料調製装置からの気
体溶解樹脂をキャビティ内に導く樹脂注入路が設けら
れ、この樹脂注入路の下流端には、閉止することにより
気体溶解樹脂のキャビティ内への注入を阻止し得るシャ
ットオフバルブが設けられていることを特徴とするもの
である。
【0014】この発明によれば、発泡原料調製装置から
の気体溶解樹脂を金型のキャビティ内に導く樹脂注入路
の下流端にシャットオフバルブが設けられているため、
このシャットオフバルブを閉止することによりシャット
オフバルブと発泡原料調製装置内との間の空間を容易に
気密性が保持された状態にすることができ、樹脂押圧機
構の押圧操作による気体溶解樹脂への背圧付与で容易に
上記空間内の圧力を気泡形成用気体が気体溶解樹脂から
抜けない圧力にすることができる。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の発明において、上記発泡原料調製装置は、筒状の
ケーシング内に形成した気体溶解樹脂を押し出すプッシ
ュチャンバーを有し、上記樹脂押圧機構は、プッシュチ
ャンバーに同心で軸心回りに回転することによって気体
溶解樹脂を上記金型に向けて押圧する押出しスクリュー
と、この押出しスクリューを軸心回りに回転させるスク
リュー駆動モータと、上記押出しスクリューを前進させ
るシリンダ機構とを備えて構成されていることを特徴と
するものである。
【0016】この発明によれば、原料供給装置からの合
成樹脂と、気体供給源からの気泡形成用気体との双方を
所定の温度および圧力環境に設定されたプッシュチャン
バーに供給することにより、気泡形成用気体が合成樹脂
中に溶解し、気体溶解樹脂が得られる。この気体溶解樹
脂をスクリュー駆動モータの駆動による押出しスクリュ
ーの回転で合成樹脂を攪拌することにより、気泡形成用
気体が樹脂内に均一に拡散して金型に注入する直前の発
泡原料が得られる。
【0017】そして、発泡原料調製装置から金型のキャ
ビティ内に向けの気体溶解樹脂の射出が阻止された状態
で、シリンダ機構の駆動によって押出しスクリューを前
進させることにより、発泡原料調製装置内の容積が減少
して気体溶解樹脂に対する背圧が上昇する。このよう
に、シリンダ機構を設けることにより、発泡原料調製装
置内の気体溶解樹脂に対して所定の背圧を容易に付与し
得るようになる。
【0018】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の
いずれかに記載の発明において、上記原料ホッパーは、
上部に密閉構造の開閉蓋を有しているとともに、底部に
気密を保持しながら原料合成樹脂を上記発泡原料調製装
置に送り込む原料送込み手段を備えていることを特徴と
するものである。
【0019】この発明によれば、原料ホッパーに原料合
成樹脂を装填した後に密閉構造の開閉蓋を閉止すること
により、原料ホッパー内は気密が保持される。そして、
原料送込み手段は、気密を保持しながら原料合成樹脂を
発泡原料調製装置に送り込み得るように構成されている
ため、送り込み操作時に気密が解除されて一旦溶解した
気泡形成用気体が原料合成樹脂から抜け出るような不都
合が回避される。
【0020】また、原料送込み手段の気密性によって発
泡原料調製装置内の気密性が確保されるため、気体溶解
樹脂に背圧を加えるに際し、発泡原料調製装置内の圧力
が原料ホッパーに抜け出る不都合が回避される。
【0021】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の
いずれかに記載の発明において、上記金型は、圧縮成形
用のものであることを特徴とするものである。
【0022】この発明によれば、成形の初期に予め雌型
を雄型に外嵌してキャビティを最小容量に設定してお
き、発泡原料調製装置からの気体溶解樹脂が注入される
に従って雌型を雄型から離間させるようにし、この離間
速度を調節することにより、押し出されてキャビティに
導入された気体溶解樹脂の受ける圧力を調節することが
可能になる。
【0023】従って、キャビティの有効容量が不変であ
る射出成形用の金型を用いた場合には、別途設けた圧力
調整装置からの高圧気体をキャビティ内に供給し、バル
ブの開閉操作でキャビティ内の圧力調節を行わなければ
ならないが、バルブ操作による圧力調整は非常に困難で
あり、圧力のばらつきに起因して発泡製品の品質がばら
つくという不都合が存在するが、この発明では、予め設
定された雌型の画一的な離間操作でキャビティ内の気体
溶解樹脂に対して常に所望の圧力を付与することが容易
になり、これによって発泡製品の品質がばらつくという
従来の不都合が解消される。
【0024】請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の
いずれかに記載の発明において、上記気泡形成用気体
は、二酸化炭素、窒素および一酸化炭素の内から選ばれ
たいずれかであることを特徴とするものである。
【0025】この発明によれば、二酸化炭素、窒素およ
び一酸化炭素は、超臨界状態にするのが容易な気体であ
るため、これらを超臨界状態にすることにより、気泡形
成用気体を合成樹脂内に容易に溶解させることが可能に
なる。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る発泡体製造
装置の一実施形態を示す側面断面視の説明図である。こ
の図に示すように、発泡体製造装置10は、気泡形成用
気体を供給し、この気泡形成用気体を溶融状態の合成樹
脂内に拡散させることにより合成樹脂を気体溶解樹脂に
する押出し装置(発泡原料調製装置)20と、この押出
し装置20からの気体溶解樹脂を圧縮成形処理する金型
30と、これら押出し装置20および金型30の各駆動
機構に油圧を与える油圧ユニット40とを備えた基本構
成を有している。
【0027】上記押出し装置20は、フロア11上に形
成された鉄筋コンクリート製の基台12上に据え付けら
れた円筒状の押出し装置本体21と、この押出し装置本
体21の基端側(図1の左方)に付設された原料ホッパ
ー260と、同略中央部に炭酸ガスを供給するために押
出し装置本体21の近傍に配設されたガスボンベ23
と、押出し装置本体21の外周面に巻き付けられた加熱
部材24と、押出し装置本体21に内装された押出しス
クリュー25とを備えている。
【0028】上記押出し装置本体21内には、基端側か
ら先端側にかけて形成されたプッシュチャンバー26が
設けられている。このプッシュチャンバー26は、押出
しスクリュー25を内装するとともに、熱可塑性合成樹
脂からなる原料合成樹脂R1に炭酸ガスCを供給して気
体溶解樹脂R2とし、この気体溶解樹脂R2を押出しス
クリュー25の軸心回りの回転で下流端に設けられた樹
脂導出孔21cに向けて押し出すためのものである。そ
して、押出し装置本体21の基端位置には、かかるプッ
シュチャンバー26に原料合成樹脂R1を導入するため
の樹脂導入孔21aが穿設されているとともに、同樹脂
導入孔21aの右方位置には炭酸ガスCを導入するため
のガス導入孔21bが穿設されている。
【0029】上記原料ホッパー260は、押出し装置本
体21に穿設された樹脂導入孔21aの直上に配設され
ている。この原料ホッパー260には、粒状または粉状
に粒度調製された原料合成樹脂R1が装填される。原料
合成樹脂R1としては、圧縮成形、射出成形、押出成形
等で通常用いられる熱可塑性合成樹脂であればいずれも
適用可能であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ンなどのポリオレフィン樹脂、アクリルニトリル−スチ
レン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、ナイロンな
どのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、
アクリル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体
などの一般的な熱可塑性樹脂、EPMやEPDMなどの
熱可塑性エラストマー、これらの混合物、あるいはこれ
らを用いたポリマーアロイ等を挙げることができる。
【0030】かかる原料ホッパー260の底部と樹脂導
入孔21aとの間には原料導入管が介設されているとと
もに、この原料導入管にはロータリーバルブ(原料送込
み手段)263が設けられ、このロータリーバルブ26
3の起動/停止により原料ホッパー260内の原料合成
樹脂R1のプッシュチャンバー26内に対する導入/導
入停止が行われるようになっているとともに、樹脂導出
孔21cに設けられた後述する開閉バルブ250の閉止
によってプッシュチャンバー26内が密閉状態になるよ
うにしている。
【0031】図2は、原料ホッパー260の一実施形態
を示す側面断面視の説明図である。この図に示すよう
に、原料ホッパー260は、上部に開口を有し、かつ、
底部が漏斗状に形成されたホッパー本体261と、この
ホッパー本体261の上部開口を密閉状態で閉止する蓋
体262と、ホッパー本体261の漏斗状の部分の底部
開口から押出し装置本体21に向けて延設されたロータ
リーバルブ263とからなっている。上記蓋体262
は、ホッパー本体261の上縁部に径方向の外方に向か
って全周に亘るように突設されたフランジにボルト止め
で着脱自在に固定されるようになっている。
【0032】上記ロータリーバルブ263は、ホッパー
本体261の底部開口と押出し装置本体21の樹脂導入
孔21aとの間に介設された原料導出管264と、この
原料導出管264に介設された、原料導出管264と直
交する方向に延びる円筒状のハウジング265と、この
ハウジング265に内装されたローター266と、この
ローター266を回転駆動する電動機267とを備えて
構成されている。
【0033】上記原料導出管264の下端部にはフラン
ジが設けられ、このフランジがボルト止めあるいは溶接
止めで押出し装置本体21に固定されることによりホッ
パー本体261内とプッシュチャンバー26内とが原料
導出管264および樹脂導入孔21aを介して連通され
るようになっている。
【0034】上記ローター266は、中心位置に貫通固
定された中心軸268と共回り可能になっている。かか
るローター266は、ハウジング265内に摺接状態で
嵌挿され得るように外径寸法が設定された円柱体の周面
に径方向に向かって周方向等ピッチで凹設された複数の
凹部266aを備えて形成されている。凹部266aの
周面開口の周方向幅寸法は、原料導出管264の径寸法
と同一に寸法設定されている。
【0035】そして、ホッパー本体261内の原料合成
樹脂R1は、ローター266の中心軸268回りの回転
でホッパー本体261の底部開口に位置した凹部266
aに装填されるとともに、ローター266の回転の継続
で原料合成樹脂R1の装填された凹部266aが樹脂導
入孔21aに対向した位置に到達したとき、装填されて
いた原料合成樹脂R1が凹部266aから原料導出管2
64および樹脂導入孔21aを介して押出し装置本体2
1のプッシュチャンバー26内に供給されるようになっ
ている。
【0036】このような凹部266aは、ホッパー本体
261内とプッシュチャンバー26内とが直接連通しな
いように凹設位置および凹設個数が設定されている。従
って、ローター266の回転によってホッパー本体26
1内の原料合成樹脂R1は順次プッシュチャンバー26
内に送り込まれる一方、ホッパー本体261内およびプ
ッシュチャンバー26内の気密性は確保されるようにな
っている。
【0037】上記電動機267は、その駆動軸が図略の
減速機構を介して上記中心軸268に接続され、ロータ
ー266は電動機267の駆動によって中心軸268と
一体回転するようになっている。
【0038】また、上記ホッパー本体261の周面の上
部位置には、ガスボンベ23からの炭酸ガスCを受け入
れるためのガス受入れ管261aが設けられ、このガス
受入れ管261aを介した炭酸ガスCの導入でホッパー
本体261内を所定の圧力の炭酸ガス雰囲気にし得るよ
うになっている。
【0039】上記ガスボンベ23は、所定の高圧に圧縮
された炭酸ガスを貯留するためのものである。かかるガ
スボンベ23からは、元バルブ231を介してガス本管
232が配管されているとともに、このガス本管232
の先端は二方に分岐され、一方の第1ガス支管233
は、その先端が押出し装置本体21のガス導入孔21b
に接続されているとともに、他方の第2ガス支管234
は、その先端がホッパー本体261のガス受入れ管26
1aに接続されている。
【0040】そして、第1ガス支管233には、第1バ
ルブ235が設けられているとともに、第2ガス支管2
34には第2バルブ236が設けられ、これら第1およ
び第2バルブ235,236の開閉操作でプッシュチャ
ンバー26内およびホッパー本体261内への炭酸ガス
Cの供給および遮断が行われるようになっている。
【0041】このようなガスボンベ23からの炭酸ガス
Cを対象とした配管構成、および上記原料ホッパー26
0の構成によれば、第1バルブ235の開閉操作による
ガスボンベ23内の炭酸ガスCのプッシュチャンバー2
6内への供給および供給遮断でプッシュチャンバー26
内の炭酸ガス環境をコントロールすることができるとと
もに、第2バルブ236の開閉操作によってホッパー本
体261内の炭酸ガス環境をコントロールすることが可
能になる。
【0042】そして、特にホッパー本体261内を所定
温度および所定圧力の炭酸ガス環境にすることにより、
押出し装置本体21に供給される前の段階で原料合成樹
脂R1に炭酸ガスCをある程度溶解させることが可能に
なり、これによって押出し装置本体21内での原料合成
樹脂R1の滞留時間の短縮化が実現するため、生産効率
が向上する。
【0043】上記加熱部材24は、本実施形態において
は通電発熱体によって形成されている。かかる加熱部材
24は、押出し装置本体21に巻き付けられて環状を呈
し、これによってプッシュチャンバー26に導入された
原料合成樹脂R1および炭酸ガスCの混入された気体溶
解樹脂R2が押出し装置本体21の外周面から万遍なく
加熱されるようになっている。
【0044】上記押出しスクリュー25は、基端側(図
1の左方)の開口から押出し装置本体21のプッシュチ
ャンバー26内に同心かつ密封状態で軸心回りに回転可
能に装入されている。かかる押出しスクリュー25は、
棒状のスクリュー軸25aと、このスクリュー軸25a
の外周面に螺設されたスパイラルフィン25bとからな
っている。かかる押出しスクリュー25は、押出し装置
本体21の図1における左端部であって、基台12上に
据え付けられた油圧駆動機構290によって駆動される
ようになっている。
【0045】油圧駆動機構290は、押出しスクリュー
25を軸心回りに回転させるスクリュー駆動モータ29
1と、押出しスクリュー25を進退させる油圧シリンダ
292とを備えて構成されている。スクリュー駆動モー
タ291の駆動回転は、スクリュー駆動モータ291の
駆動軸と同心の駆動ギヤ293およびスクリュー軸25
aと同心の従動ギヤ294を介して押出しスクリュー2
5に伝達されるようになっている。
【0046】一方、スクリュー軸25aは、その基端側
から油圧シリンダ292に向けて延設されたスプライン
軸25cを有しており、上記従動ギヤ294は同心で相
対移動可能および共回り可能にスプライン軸25cに外
嵌されており、これによって従動ギヤ294の回転がス
プライン軸25cを介して押出しスクリュー25に伝達
されることになる。
【0047】上記油圧シリンダ292は、筒状のシリン
ダ本体295と、このシリンダ本体295に同心で内装
されたピストン296と、このピストン296から上記
スプライン軸25cに向けて同心で突設されたピストン
ロッド297とを備えて構成されている。ピストンロッ
ド297の先端部はスプライン軸25cの基端部と同心
で一体に結合され、これによって油圧ユニット40から
の油圧の供給によるピストン296の進退がピストンロ
ッド297を介してスプライン軸25cに伝達され、こ
れによって押出しスクリュー25がプッシュチャンバー
26内で進退し得るようになっている。従って、プッシ
ュチャンバー26内に気体溶解樹脂R2が装填された状
態で油圧シリンダ292の駆動により押出しスクリュー
25を進退させることによって気体溶解樹脂R2に対す
る背圧が調整されることになる。
【0048】そして、油圧駆動機構290の駆動で押出
しスクリュー25を軸心回りに回転させるとともに、加
熱部材24への通電でプッシュチャンバー26内を所定
の温度に加熱した状態で、プッシュチャンバー26内に
原料ホッパー260からの原料合成樹脂R1とガスボン
ベ23からの炭酸ガスCを導入することにより、プッシ
ュチャンバー26内が所定の高温・高圧環境になり、こ
れによって粒状の原料合成樹脂R1が溶解して溶融状に
なるとともに、炭酸ガスCがこの液状の原料合成樹脂R
1内に溶解し、気体溶解樹脂R2が形成されることにな
る。
【0049】また、プッシュチャンバー26内における
炭酸ガスの温度および圧力が所定の値になるようにして
いる。こうすることによって炭酸ガスは気体と液体との
中間的な挙動を示す、いわゆる超臨界状態になり、炭酸
ガスCの原料合成樹脂R1に対する溶解が極めて良好に
行われる。
【0050】なお、本発明は、気泡形成用気体が超臨界
状態とされることに限定されるものではない。例えば、
PP(ポリプロピレン)の例では、炭酸ガスが超臨界状
態に突入していなくても、その時の圧力条件でPPが溶
解する温度環境を現出させれば、炭酸ガスは気体が液体
に溶け込むメカニズムでPPに溶け込み、気体溶解樹脂
R2を得ることができる。
【0051】このような溶融状態の気体溶解樹脂R2を
急激に減圧環境に置くと、溶解していた炭酸ガスCが相
分離して溶融樹脂内で均一に気泡核が形成され、この気
泡核が成長して(すなわち径寸法が大きくなって)セル
核になり、さらにこのセル核が成長した時点で樹脂を冷
却することにより、内部に無数の微細な気泡を有する成
形体が得られる。
【0052】図3は、開閉バルブ250の一実施形態を
示す側面視の断面図であり、(イ)は、樹脂導出孔21
cが開通された状態、(ロ)は、樹脂導出孔21cが閉
止された状態をそれぞれ示している。この図に示すよう
に、開閉バルブ250は、筒状のケーシング251と、
このケーシング251に内装されたシリンダ装置252
と、このシリンダ装置252の駆動で進退するニードル
弁255とからなっている。
【0053】上記ケーシング251は、外径寸法が押出
し装置本体21の樹脂導出孔21cに摺接状態で嵌入し
得るように寸法設定されているとともに、図3における
右端部にフランジが設けられ、樹脂導出孔21cに嵌入
された状態でこのフランジが押出し装置本体21の端面
にボルト止めされることによって押出し装置本体21に
固定されるようになっている。
【0054】かかるケーシング251には、シリンダ装
置252を同心で装着するための装着室250bが設け
られているとともに、この装着室250bの先端部には
装着室250bと同心で円錐状を呈した円錐孔258
と、この円錐孔258に続く射出孔259とが設けられ
ている。これら円錐孔258および射出孔259の内周
面には強靭でかつ断熱性に優れた合成樹脂材料(シリコ
ン樹脂やポリテトラフルオロエチレン等)からなる環状
断熱部材250aが内張りされ、この環状断熱部材25
0aの存在で各孔258,259部分での伝熱による放
熱が防止されるようになっている。
【0055】上記ケーシング251の先端部には、後述
する下型31の樹脂注入路33から延設された接続管3
3aがボルト止めによって同心で接続され、これによっ
てケーシング251の射出孔259は接続管33aを介
して樹脂注入路33と連通するようになっている。
【0056】上記シリンダ装置252は、上記油圧ユニ
ット40からの油圧の供給を受けて駆動するシリンダ2
53と、このシリンダ253の駆動で進退するピストン
ロッド254とを備えて構成されている。上記ピストン
ロッド254の先端にはニードル弁255が同心で固定
され、シリンダ253の正逆駆動によるピストンロッド
254の進退で射出孔259に対して進退するようにな
っている。
【0057】上記ニードル弁255は、ピストンロッド
254の先端に同心で固定された円柱状の弁本体256
と、この弁本体256の先端から同心で突設された円錐
体257とからなっている。上記弁本体256は、装着
室250bの内周面から中心方向に向けて突設された複
数の支持板251aに支持されることよって装着室25
0b内に固定されている。
【0058】上記円錐体257の外周面は軸心に対する
傾斜角度が円錐孔258のそれと同一に角度設定され、
これによってニードル弁255が前進したとき、図3の
(ロ)に示すように、円錐体257の外周面が円錐孔2
58の内周面に押圧当接し、これによってプッシュチャ
ンバー26内の気体溶解樹脂R2の射出孔259を介し
た導出が阻止されるようになっている。
【0059】かかる開閉バルブ250の構成によれば、
図3の(イ)に示すように、ニードル弁255がシリン
ダ装置252の方向に後退することにより、円錐体25
7が環円錐孔258の内周面から離間した開閉バルブ2
50の開通状態になるため、プッシュチャンバー26内
の気体溶解樹脂R2は装着室250bおよび射出孔25
9を介して接続管33aに向けて導出されることにな
る。
【0060】そして、ニードル弁255が、図3の
(イ)に示す状態からシリンダ装置252の駆動で前進
することにより、図3の(ロ)に示すように、円錐体2
57の周面が環状断熱部材250aを介して円錐孔25
8の内周面に押圧当接するため、プッシュチャンバー2
6内の気体溶解樹脂R2の接続管33aに向かう流通が
阻止された状態になる。
【0061】上記金型30は、基台12上に据え付けら
れた下型(雄型)31と、この下型31に対向してその
上方に配設された上型(雌型)32とを備えて構成され
ている。
【0062】上記下型31は、中実の金属材料によって
形成された2段の円柱状または角柱状の下型基体部31
aと、この下型基体部31aの頂面から同心で上方に突
設された円柱状または角柱状の下型本体31bとからな
っている。かかる下型31には、下型本体31bの上面
の中心位置から下方に向けて垂下してから押出し装置本
体21の開閉バルブ250に向かうように穿設された樹
脂注入路33が設けられている。押出しスクリュー25
の駆動で開閉バルブ250を介してプッシュチャンバー
26から押し出された気体溶解樹脂R2は、この樹脂注
入路33を通って下型本体31bの上面に送り込まれる
ことになる。
【0063】上記上型32は、平面寸法が下型本体31
bのそれより大きい上型基体部32aと、この上型基体
部32aから下方に向けて延設された上型本体32b
と、上型基体部32aの上縁部から外方に向けて突設さ
れたフランジ部32cとを備えて構成されている。
【0064】上型本体32bは、下型本体31bに摺接
状態で外嵌されるように筒状に形状設定されている。従
って、上型本体32bが下型本体31bに外嵌された状
態で下型本体31bの上面と上型本体32bの天井面と
の間に、押出し装置20から樹脂注入路33を介して送
り込まれた気体溶解樹脂R2を発泡させて発泡体を成形
するためのキャビティ34が形成されることになる。そ
して、上型32は、その上部に設けられた昇降装置(移
動手段)50の駆動で昇降され、これによってキャビテ
ィ34が外部に開放され得るとともに、上型本体32b
が下型本体31bに外嵌された状態ではキャビティ34
の上下寸法が調節可能になっている。
【0065】上記フランジ部32cの前後端部(図1に
おける左右の端部)は、前後の各一対の主支柱61間に
摺接状態で嵌挿され、これら主支柱61に案内されるこ
とによって上型32の昇降が安定するようになされてい
る。
【0066】また、金型30には、下型本体31bを貫
通するように穿設された複数本の下型冷却水通路35
と、上型本体32bを貫通するように穿設された上型冷
却水通路36とが設けられており、キャビティ34内に
成形された発泡体R3はこれらの冷却水通路35,36
に供給される冷却水との熱交換で冷却される。
【0067】かかる金型30の下型31には、樹脂注入
路33の下流端にシャットオフバルブ210が設けられ
ている。図4は、シャットオフバルブ210の一実施形
態を示す断面図であり、(イ)はバルブ開通状態、
(ロ)はバルブ閉止状態をそれぞれ示している。この図
に示すように、シャットオフバルブ210は、下型31
のキャビティ34内の底板に樹脂注入路33に連通して
穿設された樹脂注入路33より若干大径の装着孔310
に密着状態で嵌め込まれてねじ止めにより固定されてい
る。
【0068】かかるシャットオフバルブ210は、上記
装着孔310に嵌挿される筒状のケーシング230と、
このケーシング230にさらに内装される内子211
と、この内子211に内装されるニードル弁212と、
このニードル弁212を、リンクアーム213を介して
開閉操作するシリンダ装置214とを備えて構成されて
いる。
【0069】上記内子211は、円の一部が弦によって
切り欠かれた不完全円柱体によって形成されている。そ
して、ケーシング230の上下方向の略中間位置より下
部の内周面であって内子211に当接していない部分
と、内子211の弦の部分、すなわち内子211の外周
面であってケーシング230の内周面に当接していない
部分とによって、平面視(すなわち図4の上方位置から
見た状態)で弦を備えた弓状の樹脂通路231が形成さ
れている。
【0070】かかる内子211は、外径寸法がケーシン
グ230内に摺接状態で嵌挿され得るように寸法設定さ
れ、中心位置に注入口240と同心で設けられた円筒状
のニードル弁装着室215と、このニードル弁装着室2
15と平行なシリンダ装着室216と、上流側(図4の
下側)でニードル弁装着室215およびシリンダ装着室
216間を連通するリンクアーム装着室217とを有し
ている。そして、ニードル弁装着室215の上流壁およ
び下流壁には、ニードル弁212が摺接状態で貫入され
る貫入孔がそれぞれ穿設されている。
【0071】上記ニードル弁212は、先端が先鋭に形
成されたに円錐体219を有する弁本体218と、基端
側に形成された、ニードル弁装着室215に摺接状態で
嵌入されるフランジ220とを備えて構成されている。
かかるニードル弁212は、ニードル弁装着室215に
装着された状態で、フランジ220とニードル弁装着室
215の下流壁との間の弁本体218に圧縮状態のコイ
ルスプリング221が外嵌され、これによって、普段は
図4の(イ)に示すように、フランジ220がコイルス
プリング221の付勢力で押圧されてニードル弁装着室
215の上流壁に当止するとともに、円錐体219が上
流側に引き戻された状態になっている。
【0072】上記シリンダ装置214は、シリンダ装着
室216の図4における上方に装着されている。かかる
シリンダ装置214は、シリンダ222と、このシリン
ダ222の下端面から外部に突出したピストンロッド2
23とからなり、油圧ユニット40(図1)から送られ
てくる作動油の油圧によってピストンロッド223がシ
リンダ222に対して進退し、これによってリンクアー
ム213を操作するようになっている。
【0073】上記リンクアーム213は、内子211内
の径方向の外方側に形成された、ピストンロッド223
の先端部によって押圧される被押圧部224と、シリン
ダ222内の中心位置で弁本体218の下端面を押圧す
る押圧部225と、これら押圧部225および被押圧部
224の中間位置の下面に上方に向かって凹設された凹
部226とからなっている。
【0074】そして、リンクアーム装着室217内の上
壁面には、上記凹部226に対応した支持突起227が
設けられている。リンクアーム213は、凹部226が
支持突起227に外嵌された状態で後退状態にピストン
ロッド223の先端が被押圧部224に当接するととも
に、押圧部225が弁本体218の下端面に当接するよ
うに形状設定されている。
【0075】一方、ケーシング230の上部に穿設され
た孔は、ニードル弁212の円錐体219に対応して円
錐状に形成され、この円錐状に形成された部分によって
気体溶解樹脂R2をキャビティ34内に向けて吐出する
いわゆる注入口240が形成されている。
【0076】そして、注入口240の内周面には、上記
同様の強靭でかつ断熱性に優れた合成樹脂材料からなる
環状断熱部材229が内張りされ、これによって冷却さ
れた発泡体R3との熱交換で冷却され易い注入口240
部分におけるケーシング230内の気体溶解樹脂R2の
保温が確実に行われるようにしている。
【0077】かかるシャットオフバルブ210の構成に
よれば、樹脂注入路33内の気体溶解樹脂R2を金型3
0に供給するに際しては、図4の(イ)に示すように、
シリンダ装置214の駆動でピストンロッド223がシ
リンダ222内に引き戻される。そうすると、コイルス
プリング221の付勢力でフランジ220が上方に押圧
されてリンクアーム213の支持突起227回りの反時
計方向へ回動させつつ弁本体218が下方に移動し、円
錐体219が環状断熱部材229から離間して注入口2
40が開放状態になる。
【0078】このとき、リンクアーム213は、弁本体
218の下端面で押圧部225が押圧されることにより
支持突起227の先端回りに反時計方向に回動し、これ
によって被押圧部224のピストンロッド223先端へ
の当接状態が維持される。そして、注入口240が開放
状態にされることにより、樹脂注入路33内の気体溶解
樹脂R2は、注入口240を介してキャビティ34へ導
出されることになる。
【0079】ついで、樹脂注入路33内の気体溶解樹脂
R2のキャビティ34への導出を停止するに際しては、
図4の(イ)に示す状態において、シリンダ装置214
の駆動でピストンロッド223がシリンダ222から突
出される。そうすると、コイルスプリング221の付勢
力に抗してリンクアーム213が支持突起227回りに
時計方向に回動し、これによる弁本体218の図4にお
ける上方への移動によって円錐体219が、図4の
(ロ)に示すように、環状断熱部材229の上流端内面
に当接して注入口240が閉止され、樹脂注入路33内
の気体溶解樹脂R2の注入口240を介したキャビティ
34への導出が停止されることになる。
【0080】そして、本発明においては、下型31の樹
脂注入路33内に存在する気体溶解樹脂R2を加熱して
その溶融状態を維持するための溶融状態維持装置(加熱
手段)70が設けられている。この溶融状態維持装置7
0は、電源装置71と、下型31内で樹脂注入路33を
螺旋状で取り巻くように設けられた通電発熱体72と、
この通電発熱体72の一方の端部に電源装置71からの
電力を供給する電力線73と、同他方の端部から引き出
されたアース線74とからなっている。
【0081】そして、電源装置71からの電力が通電発
熱体72に供給されることによる発熱で、樹脂注入路3
3内の気体溶解樹脂R2が溶融状態を維持するために必
要な温度(気体溶解樹脂R2の種類によって異なるが、
通常100℃〜250℃)になるよう加熱される。
【0082】このような溶融状態維持装置70を採用す
ることにより、金型30の大型化によって樹脂注入路3
3が複数本とされ、合計長が長くなっても、樹脂注入路
33内の気体溶解樹脂R2が冷却固化して流路を閉塞す
るような不都合が防止される。
【0083】上記昇降装置50は、押出し装置20の一
部および金型30を跨ぐようにフロア11上に構築され
た支持枠体60に支持されている。支持枠体60は、金
型30の四隅の外方でフロア11上に立設された4本の
主支柱61(図1には2本のみが示されている)と、こ
れら主支柱61の図1における左方の2本よりさらに左
寄りの位置に押出し装置本体21を跨いで立設された2
本の逆L形支柱62と、上記4本の主支柱61上に架設
された天板63とからなっている。
【0084】そして、かかる支持枠体60に支持される
昇降装置50は、天板63の中央位置に取り付けられた
主シリンダ装置51と、この主シリンダ装置51を挟ん
で天板63の側部位置に取り付けられた一対の補助シリ
ンダ装置54とからなっている。これら主および補助シ
リンダ装置51,54を採用することによって、上型3
2が横振れすることなく昇降し得るようになっている。
【0085】そして、上記主シリンダ装置51は、天板
63上に据え付けられた主シリンダ52と、この主シリ
ンダ52に装着され、かつ、天板63を貫通して下方に
垂下された主ピストンロッド53とからなっているとと
もに、各補助シリンダ装置54は、天板63上に据え付
けられた補助シリンダ55と、この補助シリンダ55に
装着され、かつ、天板63を貫通して下方に垂下された
補助ピストンロッド56とからなっている。
【0086】上記補助ピストンロッド56の下端は上型
基体部32aの上面中央部にボルト止めその他で固定さ
れているとともに、各補助ピストンロッド56は、その
下端部分が上型32のフランジ部32cを貫通した状態
でナットにより締結され、これによって主および補助ピ
ストンロッド53,56の上型32に対する結合状態が
確実なものになるようにしている。このような昇降装置
50は、上記油圧ユニット40から送り込まれる作動油
によって駆動されるようになっている。
【0087】油圧ユニット40は、作動油を貯留するオ
イルタンク、このオイルタンク内の作動油を吸引して吐
出するオイルポンプ、必要に応じて作動油の流通経路を
切り替える電磁切替弁等の図略の油圧機器が内装されて
いる。そして、発泡体製造装置10の稼働時には、図略
の制御装置からの予め記憶されているプログラムに基づ
く制御信号によって上記各種の油圧機器が所定の動作を
行い、これによる油圧ユニット40からの作業スケジュ
ールに応じた作動油の吐出によって油圧駆動機構290
および昇降装置50が互いに同期しながら駆動し、キャ
ビティ34に注入された気体溶解樹脂R2が金型30に
より成形されて発泡体が製造されるようになっている。
【0088】上記のように構成された発泡体製造装置1
0は、マイクロコンピュータからなる制御装置800に
よって運転制御されるようになっている。図5は、制御
装置800による発泡体製造装置10の運転制御の一実
施形態を示すブロック図である。以下図5および必要に
応じて図1および図6を参照しながら制御装置800に
よる発泡体製造装置10の運転制御について説明する。
【0089】この図に示すように、発泡体製造装置10
の運転制御のために上型32(図1)の近傍にはキャビ
ティ34内に発泡体R3が存在するか否かを検出する発
泡体有無センサ801と、上型32の上下方向の位置レ
ベルを検出するレベルセンサ802とが設けられてい
る。また、押出し装置本体21(図1)のプッシュチャ
ンバー26内の適所には、押出しスクリュー25による
背圧を検出するための背圧センサ803およびプッシュ
チャンバー26内の温度を検出する温度センサ804が
設けられているとともに、原料ホッパー260(図1)
の適所には、ホッパー内の圧力を検出する圧力センサー
805が設けられている。
【0090】各センサ801〜805からの検出信号
は、制御装置800に向けて出力されるようになってお
り、検出信号が入力された制御装置800は、予め記憶
しているプログラムに基づいて逐一発泡体製造装置10
の可動機器に制御信号を出力し、これによって発泡体製
造装置10が一連の成形処理を自動的に行うようになっ
ている。
【0091】発泡体有無センサ801は、発光素子と受
光素子とからなる光電素子によって形成され、発光素子
と受光素子とが下型31の上面より若干上方位置で対向
配置されている。そして、上型32が、図6の(イ)に
示すように、下型31から相当離間した上方位置に位置
しているにも拘わらず受光素子が発光素子からの光を受
光しないときに制御装置800が下型31上に発泡体R
3が存在すると判別するようになされている。
【0092】上記レベルセンサ802は、上型32のフ
ランジ部32cの位置を検出する一般的な公知のものが
使用されている。また、プッシュチャンバー26内の背
圧を検出する背圧センサ803および原料ホッパー26
0内の炭酸ガスCの圧力を検出する圧力センサー805
は、圧力の大きさに応じた起電力を発生する圧電素子に
よって形成されている。かかる圧電素子は、プッシュチ
ャンバー26および原料ホッパー260の内壁面の適所
に面一状態で貼設されている。温度センサ804は、所
定の温感素子がプッシュチャンバー26の内壁面に取り
付けられることによって形成されている。
【0093】上記制御装置800は、中央演算処理装置
であるCPU810と、記憶装置820とを備えて構成
されている。CPU810には、予め発泡体製造装置1
0の運転制御に関するプログラムが与えられており、各
センサ801〜804からの検出信号が入力される都
度、各検出信号に対応する制御信号を発泡体製造装置1
0の可動機器に向けて出力する。
【0094】上記記憶装置820は、各種の判断材料と
なるデータや、各センサ801〜804からの検出信号
を経時的に記憶するものであり、検出信号については、
所定のスパンで内容が更新されるようになっている。
【0095】そして、本実施形態においては、所定の立
ち上がり操作が行われて発泡体製造装置10の操業が開
始された後、発泡体有無センサ801からの検出信号に
よりキャビティ34に発泡体R3が存在しないことがC
PU810により判別された時点から、レベルセンサ8
02からの検出信号によりキャビティ34内に発泡体R
3が成形されたことがCPU810により判別されるま
でを1サイクルとし、このサイクルが繰り返されること
によって発泡体R3が順次製造されるようになってい
る。
【0096】具体的には、発泡体有無センサ801から
の検出信号により、キャビティ34内が空であることが
判別された1サイクルの終了時点では、上型32が最上
昇位置に位置しているとともに(図6の(イ)参照)、
ロータリーバルブ263、第1バルブ235、開閉バル
ブ250およびシャットオフバルブ210が閉止され、
プッシュチャンバー26内および樹脂注入路33内は密
封状態にされている。
【0097】特にプッシュチャンバー26内について
は、制御装置800の駆動で気体溶解樹脂R2に対する
背圧が、気体溶解樹脂R2からの炭酸ガスCの抜け出し
を抑える所定の値になるように圧力設定されている。
【0098】かかる圧力設定のためにCPU810は、
背圧センサ803からの検出信号に基づいてプッシュチ
ャンバー26内の背圧(具体的にはプッシュチャンバー
26内の気体溶解樹脂R2が押出しスクリュー25の前
進によって受ける圧力)が予め設定された許容範囲の値
から外れているか否かを判別し、外れている場合には、
油圧駆動機構290の油圧シリンダ292に向けて所定
の制御信号が出力されるようになっている。なお、実際
は制御装置800からの制御信号は一旦油圧ユニット4
0に向けて出力され、この油圧ユニット40内の油圧流
路の切り換えで油圧シリンダ292を駆動させるように
なっているが、この明細書では説明を容易にするために
末端の油圧機器に向けて制御信号が出力されるように表
現している。
【0099】そして、この制御信号を受けた上記油圧シ
リンダ292の駆動による押出しスクリュー25の進退
によってプッシュチャンバー26内の気体溶解樹脂R2
は、予め設定された背圧を受けることになるため、この
背圧によってキャビティ34へ射出される気体溶解樹脂
R2から炭酸ガスCが分離するような不都合が防止され
る。
【0100】また、下型31の樹脂注入路33は、上流
端が開閉バルブ250によって閉止されているととも
に、下流端がシャットオフバルブ210によって閉止さ
れていることにより密封状態になって所定の圧力が確保
されているため、樹脂注入路33内に貯留している気体
溶解樹脂R2から炭酸ガスCが抜け出るような不都合が
防止される。
【0101】また、CPU810は、温度センサ804
からの検出信号に基づいてプッシュチャンバー26内の
温度が予め設定された温度の許容範囲からを外れている
ことを判別したときは、プッシュチャンバー26内の温
度を許容範囲に戻すように加熱部材24に向けて制御信
号を出力するようになっている。かかるフィードバック
制御によってプッシュチャンバー26内は常に所定の温
度が確保された状態になっている。
【0102】また、CPU810は、圧力センサー80
5からの検出信号に基づいて原料ホッパー260内の圧
力が予め設定された圧力の許容範囲から外れているか否
かを判別し、外れているときは第2バルブ236に向け
て制御信号を出力し、これによる第2バルブ236の開
閉で原料ホッパー260内の所定の設定圧力が常に確保
されるようになっている。
【0103】そして、1サイクルの開始時点で、CPU
810は、まず、昇降装置50に向けて上型32下降の
制御信号を出力する。これによる昇降装置50の駆動で
上型32は所定長だけ下降して図6の(ロ)に示す状態
になる。なお、このときの下降長については記憶装置8
20に予め記憶されており、CPU810は、上型32
がこの設定下降長に到達したか否かをレベルセンサ80
2からの検出信号によって判別し、到達した時点で上型
32の下降を停止させる制御信号を昇降装置50に向け
て出力するようになっている。
【0104】ついで、CPU810は、開弁のための制
御信号をシャットオフバルブ210および開閉バルブ2
50に向けて出力し、これによるシャットオフバルブ2
10および開閉バルブ250の開通でプッシュチャンバ
ー26内の気体溶解樹脂R2をキャビティ34に向けて
射出し得る状態になる。
【0105】引き続き、CPU810は、押出しスクリ
ュー25を前進させるための制御信号を油圧シリンダ2
92に向けて出力し、これによるピストン296の突出
で押出しスクリュー25が前進するため、プッシュチャ
ンバー26内の気体溶解樹脂R2は、開閉バルブ25
0、樹脂注入路33およびシャットオフバルブ210を
通ってキャビティ34内に供給される(図6の
(ハ))。このときのキャビティ34内への気体溶解樹
脂R2の供給量については、押出しスクリュー25の突
出量で制御されるようになっている。
【0106】そして、本発明においては、この押出しス
クリュー25の前進で気体溶解樹脂R2のキャビティ3
4への射出が完了した後、ロータリーバルブ263の駆
動で原料ホッパー260内の原料合成樹脂R1がプッシ
ュチャンバー26内に供給されるまでの間、CPU81
0は、押出しスクリュー25の後退を行わせないばかり
か、背圧センサ803による検出信号に基づきプッシュ
チャンバー26内の気体溶解樹脂R2が所定の設定圧力
を維持しているか否かを常に確認し、維持していないと
きは油圧シリンダ292へ制御信号を出力して押出しス
クリュー25を前進させ、これによってプッシュチャン
バー26内の気体溶解樹脂R2が常に所定の背圧を受け
るようにしている。
【0107】このようにされるのは、押出しスクリュー
25の前進で気体溶解樹脂R2をプッシュチャンバー2
6から排出するときは、プッシュチャンバー26内の気
体溶解樹脂R2は動的で不安定になっているため、一旦
溶解した炭酸ガスCが気体溶解樹脂R2から抜け出てし
まうことがあり、このような不都合を防止するためであ
る。
【0108】キャビティ34内に所定量の気体溶解樹脂
R2が装填された後、CPU810は、シャットオフバ
ルブ210および開閉バルブ250に弁閉の制御信号を
出力し、これらバルブ210,250の閉止で樹脂注入
路33内を密封状態にする。ついで、CPU810は、
ロータリーバルブ263に制御信号を出力してロータリ
ーバルブ263を駆動させると同時に第1バルブ235
に制御信号を出力して第1バルブ235を開弁させ、ガ
スボンベ23中の炭酸ガスCをプッシュチャンバー26
内に導入する。
【0109】そして、原料合成樹脂R1がロータリーバ
ルブ263および押出しスクリュー25の駆動により、
プッシュチャンバー26内に導入されて可塑化され、気
体溶解樹脂R2が順次装填されていく。このときもCP
U810は、背圧センサ803からの検出信号を逐一チ
ェックし、背圧が予め設定された値より小さくなったと
きは、例えば即座に油圧シリンダ292に向けて制御信
号を出力し、この制御信号によって押出しスクリュー2
5の背圧を増加させ、プッシュチャンバー26内の気体
溶解樹脂R2に加わる圧力が常に所定の値になるように
している。
【0110】ついで、CPU810は、プッシュチャン
バー26内に所定量の原料合成樹脂R1が装填されたこ
とを時間管理で判別すると、予め設定された時間、スク
リュー駆動モータ291の駆動を継続させてプッシュチ
ャンバー26内の気体溶解樹脂R2の押出しスクリュー
25による混練捏和を実行する。この押出しスクリュー
25の回転による混練捏和処理によって、所定の温度お
よび圧力に設定されたプッシュチャンバー26内の原料
合成樹脂R1は溶融して流動状態になりながら、供給さ
れた炭酸ガスCを溶解し、これによってプッシュチャン
バー26内に気体溶解樹脂R2が生成し、つぎのサイク
ルの射出に備えられる。
【0111】一方、CPU810は、先の気体溶解樹脂
R2のキャビティ34に向けた射出が完了した後に、昇
降装置50に向けて上型32を上昇させる制御信号を出
力し、これによってキャビティ34内に発泡体R3を形
成させる制御を行うが、これについては、以下の図6〜
図9によって詳細に説明する。
【0112】そして、キャビティ34内に発泡体R3が
形成されると(図6の(ニ))、CPU810は、昇降
装置50に上型32を上昇させるための制御信号を出力
し、これによって1サイクルの発泡体製造装置10の成
形処理操作が終了する。かかる制御がサイクル毎に繰り
返されることにより、発泡体R3が自動的に順次製造さ
れる。
【0113】以下、図6および図7を基に発泡体製造装
置10による発泡体の製造についてさらに詳細に説明す
る。図6は、発泡体の製造方法の第1実施形態を説明す
るための金型30の動作を示す断面視の説明図であり、
(イ)は、上型32が最上位まで上昇してキャビティ3
4が開放された状態、(ロ)は、上型32が最下位まで
下降してキャビティ34が最小容量に設定された状態、
(ハ)は、気体溶解樹脂R2がキャビティ34内に導入
されることにより上型32が上昇しつつある状態、
(ニ)は、気体溶解樹脂R2の発泡で上型32がさらに
上昇した状態をそれぞれ示している。また、図7は、第
1実施形態の成形処理におけるキャビティ34の底面お
よび天井面間の距離(キャビティクリアランス)の経時
変化を示すグラフである。
【0114】まず、図6の(イ)に示す状態は、図7の
グラフのA点に対応する。すなわち、この状態では、上
型32が昇降装置50(図1)の駆動で最上位まで上昇
させられ、これによってキャビティクリアランスtが最
大になっているとともに、キャビティ34が外部に開放
された状態になっている。
【0115】ついで、昇降装置50の駆動による主およ
び補助ピストンロッド53,56の下動によって上型3
2が下降させられ、図6の(ロ)に示すように、上型本
体32bが下型本体31bに摺接しながら外嵌され、キ
ャビティ34が外部に対して密閉された状態になる。こ
の状態は、図7のグラフのB点に対応している。
【0116】そして、この状態がC点まで継続された
後、樹脂導出孔21c(図1)が開通されるとともに、
油圧ユニット40からの作動油の供給を受けた油圧駆動
機構290の内の押出しシリンダーの駆動による押出し
スクリュー25の前進でプッシュチャンバー26内の気
体溶解樹脂R2が開閉バルブ250を介して金型30に
向けて押し出される。この押し出しによってすでに熟成
しているプッシュチャンバー26内の下流側の気体溶解
樹脂R2が玉突き式に樹脂導出孔21c、開閉バルブ2
50および樹脂注入路33を通ってキャビティ34に導
入される。
【0117】そして、これに呼応した油圧ユニット40
からの昇降装置50に対する作動油の供給により主およ
び補助ピストンロッド53,56が上動し、これによっ
て上型32が上昇して、図6のグラフに示すように、キ
ャビティクリアランスtがC点からD点に向けて漸増す
る。図6のグラフのD点が図6の(ハ)に示す状態に対
応している。
【0118】そして、図6の(ハ)に示すように、キャ
ビティ34内が気体溶解樹脂R2によって略満たされた
状態で、上型32が急激に上昇させられ、キャビティク
リアランスtは、短時間に図6のグラフの点Eから点F
に増加する。このキャビティクリアランスtの急激な変
化によってキャビティ34内は減圧状態とされる。この
急激な圧力の減少によって、気体溶解樹脂R2内に溶け
込んでいた炭酸ガスCが相分離して気泡核になり、気体
溶解樹脂R2内に多数形成された気泡核は時間の経過に
伴ってセル核に成長する。これによって気体溶解樹脂R
2はキャビティ34の容積一杯にまで膨張する。
【0119】ついで、膨張後の気体溶解樹脂R2は、冷
却水通路35,36を流通している冷却水により下型3
1および上型32を介して冷却されてキャビティ34内
で固化し、これによって、図6の(ニ)に示すように、
キャビティ34内に発泡体R3が形成される。
【0120】その後、図7のグラフのG点に到達する
と、昇降装置50の駆動で上型32が上昇され、キャビ
ティ34が開放された製品としての発泡体R3が取り出
され、図6の(イ)に示す初期状態に戻される。このよ
うな図7のA点からE点に到る操作が繰り返されること
によって、発泡体R3が順次製造される。
【0121】上記の実施形態は、以上詳述したように、
所定の温度環境に調整されている押出し装置20のプッ
シュチャンバー26内に炭酸ガスCを供給して溶融状態
の原料合成樹脂R1内に拡散させることにより、原料合
成樹脂R1を気体溶解樹脂R2にした後、圧縮成形用の
金型30のキャビティ34に気体溶解樹脂R2を注入
し、ここで上型32を迅速に上昇させることによってキ
ャビティ34内を急激に減圧環境にし、これによってキ
ャビティ34内に発泡体R3を形成させるようにしてい
るため、従来のキャビティの有効容量が不変である射出
成形用の金型を用い、別途設けた圧力調整装置からの高
圧気体をキャビティ内に供給してバルブの開閉操作でキ
ャビティ内の圧力調節を行わう場合に比較し、困難なバ
ルブ操作による圧力調整が不要になるとともに、圧力の
ばらつきに起因して発泡製品の品質がばらつくような従
来の不都合が解消され、作業性が向上するとともに、発
泡製品の品質が大きくばらつくという従来の不都合を解
消することができる。
【0122】加えて、金型の近傍に圧力調整装置を設け
る必要がなくなり、その分設備コストの低減化に貢献す
ることができる。
【0123】以下、発泡体R3の製造方法の第2実施形
態について説明する。図8は、発泡体の製造方法の第2
実施形態を説明するための金型の動作を示す断面視の説
明図であり、(イ)は、最上位まで上昇してキャビティ
34が開放された金型30の下型31上に表皮材Tが装
着された状態、(ロ)は、上型32が下降し下型31に
外嵌されてキャビティ34が形成された状態、(ハ)
は、キャビティ34に気体溶解樹脂R2が導入された状
態、(ニ)は、さらに上型32が下降することによりキ
ャビティ34が最小容量に設定された状態、(ホ)は、
上型が急激に上昇されることによりキャビティ34内が
減圧された状態、(ヘ)は、上型32が最上位に戻され
てキャビティ34が開放された状態をそれぞれ示してい
る。また、図9は、第2実施形態の成形処理におけるキ
ャビティ34の底面および天井面間の距離(キャビティ
クリアランス)の経時変化を示すグラフである。
【0124】第2実施形態の成形方法は、発泡製品R4
が、発泡体R3の表面に表皮材Tが積層されてなる発泡
製品R4を製造する、いわゆる表皮一体発泡成形法を採
用するときに採用されるものである。なお、第2実施形
態においては、表皮材Tの厚み分を吸収して破れなくす
るために、上型本体32bの内寸法は、下型基体部31
aの外寸法より僅かに大きめに寸法設定され、これによ
って上型本体32bが下型基体部31aそのものに摺接
状態で外嵌されるようにしている。
【0125】そして、成形成形処理を行うに際しては、
まず、図8の(イ)に示すように、上型32が最上位に
まで上昇された状態で下型本体31bの上面に表皮材T
が載置される(図9のA点)。この状態で上型32が下
型基体部31aに若干外嵌される位置まで下降され、こ
れによって、図8の(ロ)に示すように、表皮材Tがそ
の下面と下型本体31bの上面との間に若干の隙間を形
成した状態でキャビティ34内に装填される(図9のB
点)。
【0126】この状態で、押出し装置20から所定量の
気体溶解樹脂R2をキャビティ34内に導入することに
より、図8の(ハ)に示すように、気体溶解樹脂R2
は、キャビティ34内における表皮材Tの下面と下型本
体31bの上面との間の隙間に導入された状態になる
(図9のC点)。図9のB点からC点までの間はキャビ
ティクリアランスtの値が不変で推移する。
【0127】そして、図9のC点に到達した後、気体溶
解樹脂R2を表皮材Tの下面全面へ行き渡らせるため
に、所定時間をかけて上型32が若干下降される賦形処
理が施され、これによるキャビティクリアランスtの漸
減で、図8の(ニ)に示すように、表皮材Tの下面全面
に気体溶解樹脂R2が行き渡って表皮材Tの下にスキン
層T1が形成される(図9のD点)。ついでスキン層T
1が形成された図9のグラフのD点からE点までの所定
時間にかけてさらに僅かにキャビティクリアランスtが
漸減され、これによってスキン層T1の表皮材Tに対す
る密着状態が安定する(図9のE点)。
【0128】ついで、図9のE点における図8の(ニ)
に示す状態で、昇降装置50の駆動により上型32が若
干上昇されて図9のF点に至ることによってキャビティ
34内が急激に減圧され、これによって気体溶解樹脂R
2内の炭酸ガスCが相分離を起して多数の気泡核とな
る。そうすると、キャビティ34内のスキン層T1は、
冷却されつつ気体溶解樹脂R2内の気泡核周りにセル核
が形成されて成長し、等容量のまま図9におけるG点ま
で移行した後、冷却によるスキン層T1の収縮および養
生作用で僅かに減容して表皮材付き発泡体R4になる
(図9のH点)。
【0129】そしてその後、昇降装置50の駆動で上型
32を最上位(図9のA点と同一のキャビティクリアラ
ンスtとなる位置)まで上昇させることによって、図8
の(へ)に示すように、下型本体31bの上面に表皮材
Tとスキン層T1とからなる製品としての表皮材付き発
泡体R4が得られる(図9のI点)。この発泡製品R4
は、下型本体31bから剥がし取られた後、検査等の後
工程を経て出荷される。このような図9のA点からI点
に到る工程が繰り返されることによって発泡製品R4が
順次製造される。
【0130】そして、本実施形態の発泡体製造装置10
は、原料ホッパー260を蓋体262およびロータリー
バルブ263の採用で気密構造にするとともに、ホッパ
ー本体261内にガスボンベ23からの所定圧力の炭酸
ガスCを導入し得るように構成したため、蓋体262を
開放して原料合成樹脂R1を装填してから蓋体262の
閉止でホッパー本体261内を気密状態にした後、この
気密状態の原料ホッパー260に炭酸ガスCを導入する
ことにより、原料ホッパー260内は加圧状態で、か
つ、炭酸ガス雰囲気になる。なお、予め原料合成樹脂R
1に炭酸ガスCを溶解させた気体溶解樹脂R2を原料ホ
ッパー260に装填する場合には、原料ホッパー260
が密閉構造になっているため、気体溶解樹脂R2から炭
酸ガスCが抜け出る不都合を防止することができる。
【0131】このような炭酸ガス雰囲気下に置かれた原
料合成樹脂R1は、押出し装置本体21のプッシュチャ
ンバー26に導入されるまでの貯留期間中に、炭酸ガス
Cが含浸されてある程度内部に拡散した状態になる。そ
して、原料合成樹脂R1が押出し装置本体21に装填さ
れたときには、すでに樹脂中にある程度の炭酸ガスCが
溶解しているため、プッシュチャンバー26内での原料
合成樹脂R1に対する炭酸ガスCの含浸処理時間が短縮
化され、これによってプッシュチャンバー26内での気
体溶解樹脂R2の形成効率が向上し、引いては発泡体R
3製造の生産性が向上することになる。
【0132】また、原料ホッパー260からの原料合成
樹脂R1を受け入れる押出し装置本体21は、そのプッ
シュチャンバー26に内装された軸心回りに回転する押
出しスクリュー25を備えて構成されているため、原料
ホッパー260からの原料合成樹脂R1と、ガスボンベ
23からの炭酸ガスCとの双方を所定の温度および圧力
の炭酸ガス環境に設定されたプッシュチャンバー26に
供給することにより、原料合成樹脂R1は、スパイラル
フィン25bによる攪拌で外表面積が大きくなって原料
合成樹脂R1に炭酸ガスCが有効に溶解するとともに原
料合成樹脂R1内に容易に拡散し、上記原料ホッパー2
60内での炭酸ガスCの原料合成樹脂R1への事前含浸
と相俟って気体溶解樹脂R2を効率的に得ることができ
る。
【0133】また、原料ホッパー260の上部開口にボ
ルト止めで密閉可能に蓋体262を設けるとともに、原
料送込み手段としてホッパー本体261の底部にロータ
リーバルブ263を設けたため、原料ホッパー260の
密閉構造を簡単なものにした上で確実な密閉状態を得る
ことができる。そして、ロータリーバルブ263は、気
密を保持しながら原料合成樹脂R1を押出し装置本体2
1に送り込み得るように構成されているため、送り込み
操作時に気密が解除されて一旦溶解した炭酸ガスCが原
料合成樹脂R1から抜け出るような不都合を回避するこ
とができる。
【0134】そして、特に本実施形態においては、ガス
ボンベ23からの炭酸ガスCを、第1バルブ235およ
び第2バルブ236の開閉操作でプッシュチャンバー2
6および原料ホッパー260のいずれか一方または双方
に供給することができるばかりか、双方に供給する場合
には、各バルブ235,236の開度を調節することに
より、プッシュチャンバー26および原料ホッパー26
0への炭酸ガスCの供給量を任意に調節することができ
る。従って、原料合成樹脂R1の種類や発泡体製造装置
10の規模、さらには運転状況等を勘案して炭酸ガスC
のプッシュチャンバー26および原料ホッパー260に
対する振り分け量を適正に設定し、気体溶解樹脂R2を
より良質の発泡原料にすることが可能になり、つまり各
種の状況に応じた発泡体製造装置10の操業の自由度が
大幅に向上する。
【0135】そして、本発明の発泡体製造装置10は、
押出し装置20からの金型30のキャビティ34向けの
気体溶解樹脂R2の射出が阻止された状態で上記背圧が
所定の値、すなわち炭酸ガスCが気体溶解樹脂R2から
分離しない値になるように制御装置800から油圧シリ
ンダ292に向けて制御信号を出力するようにしている
ため、気体溶解樹脂R2が押出し装置20から金型30
のキャビティ34内に向けて射出されない状態のとき、
具体的には、油圧シリンダ292の駆動により押出し装
置20から金型30のキャビティ34内に向けて気体溶
解樹脂R2が射出された直後からつぎの射出までの待機
期間中に、制御装置800からの制御信号による油圧シ
リンダ292の駆動で押出し装置20内の背圧が所定の
値になるため、気体溶解樹脂R2を金型30へ向けて射
出した後の押出し装置20内において気体溶解樹脂R2
から炭酸ガスCが抜け出るような不都合が確実に防止さ
れ、これによって良質の発泡体R3からなる成形製品を
容易に製造することができる。
【0136】また、押出し装置20からの気体溶解樹脂
R2をキャビティ34内に導く下型31の樹脂注入路3
3の上流端には開閉バルブ250が設けられているとと
もに、同下流端にはシャットオフバルブ210が設けら
れているため、これらのバルブ210,250を閉止す
ることによりプッシュチャンバー26内を容易に気密性
が保持された状態にすることができ、しかも、油圧シリ
ンダ292の駆動による押出しスクリュー25の押圧操
作で気体溶解樹脂R2へ適正に背圧を付与することがで
き、これによって炭酸ガスCが気体溶解樹脂R2から抜
け出ないようにすることができる。
【0137】本発明は、上記の実施形態に限定されるも
のではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0138】(1)上記の実施形態においては、ガスボ
ンベ23と押出し装置本体21との間に第1ガス支管2
33を配管し、プッシュチャンバー26内の既に気体溶
解樹脂R2になっている原料ホッパー260からの合成
樹脂に対してさらに炭酸ガスCを供給するようにしてい
るが、本発明は、第1ガス支管233を設けてプッシュ
チャンバー26内の気体溶解樹脂R2にさらに炭酸ガス
Cを供給することに限定されるものではなく、原料ホッ
パー260内で必要かつ充分な炭酸ガスCが原料合成樹
脂R1に溶解するような操業条件の場合には、特にプッ
シュチャンバー26内の気体溶解樹脂R2にあえて炭酸
ガスCを供給しなくてもよい。
【0139】(2)上記の実施形態においては、原料合
成樹脂R1に溶解させる気泡発生用気体として炭酸ガス
が用いられているが、本発明は、気泡発生用樹脂が炭酸
ガスであることに限定されるものではなく、窒素ガスで
あってもよいし、一酸化炭素であってもよい。
【0140】(3)上記の実施形態においては、押出し
装置20のプッシュチャンバー26内の温度および圧力
環境を、炭酸ガスCが超臨界状態になるように設定して
いるが、本発明は、プッシュチャンバー26内の環境を
常に気泡発生用気体が超臨界状態になる環境に設定する
ことに限定されるものではなく、原料合成樹脂R1の種
類や操業の状況に応じて気泡発生用気体が超臨界状態に
ならない環境であっても、所定の温度および圧力環境で
あれば原料合成樹脂R1に気体を溶解させるようにする
ことが可能である。
【0141】(4)上記の実施形態においては、押出し
スクリュー25の回転駆動および昇降装置50の昇降駆
動を、油圧ユニット40から供給される作動油の圧力に
よって行うようにしているが、かかる油圧機構による駆
動に代えて電動モータを用いた駆動方式を採用してもよ
い。
【0142】(5)上記の実施形態においては、下型3
1として雄型が採用されている一方、上型32として雌
型が採用されているが、これを逆にして下型に雌型を用
いるとともに、上型に雄型を採用してもよい。また、型
を縦置きにすることに限定されるものではなく、型を横
置きして雌雄の型の一方を水平方向に正逆移動させるよ
うにしてもよい。
【0143】(6)上記の実施形態においては、原料ホ
ッパー260に炭酸ガスCの含浸されていない原料合成
樹脂R1が装填されるようにしているが、こうする代わ
りに発泡体製造装置10とは独立した他の装置で予め原
料合成樹脂R1に炭酸ガスCを溶解させ、この事前溶解
処理が完了した原料合成樹脂をホッパー本体261内に
装填するようにしてもよい。こうすることによって原料
ホッパー260内で原料合成樹脂R1に炭酸ガスCを含
浸させる必要がなくなり、連続的な緊急生産に対応する
ことができる。また、ホッパー本体261は気密構造に
なっているため、ホッパー本体261に装填された原料
合成樹脂から炭酸ガスCが抜け出るような不都合は生じ
ない。
【0144】(7)上記の実施形態においては、ホッパ
ー本体261から押出し装置本体21のプッシュチャン
バー26に原料合成樹脂R1を送り込む本発明の原料送
込み手段としてロータリーバルブ263が採用されてい
るが、本発明は、原料送込み手段がロータリーバルブ2
63であることに限定されるものではなく、周面に原料
合成樹脂R1が入り込む凹部を備えたピストン部材が、
シリンダ部材に摺接状態で軸心方向に移動可能に嵌挿さ
れた、いわゆるピストンタイプのバルブや、原料導出管
264の上下に通常の開閉バルブを設け、これら上下の
開閉バルブ間に気密室を形成し得るようにし、まず、上
部の開閉バルブを開放して原料合成樹脂R1を一旦気密
室に導入してから上部の開閉バルブを閉止し、ついで下
部の開閉バルブを開放して気密室内の原料合成樹脂R1
をプッシュチャンバー26に供給し、その後下部の開閉
バルブを閉止するような操作を繰り返してホッパー本体
261内の気密性を維持しながら原料合成樹脂R1をプ
ッシュチャンバー26に供給するタイプのものでもよ
い。
【0145】(8)上記の実施形態において、図10に
示すように、押出し装置本体21内を括れ通路28を介
して二分し、括れ通路28の上流側に上記同様にプッシ
ュチャンバー26を設けるとともに、同下流側に拡散チ
ャンバー27を設け、この拡散チャンバー27における
滞留時間中に気体溶解樹脂R2内における炭酸ガスCの
拡散を助長させるようにしてもよい。すなわち、拡散チ
ャンバー27での滞留時間中に気泡形成用気体が樹脂内
に均一に拡散して良質な発泡原料を得ることができる。
さらに、括れ通路28内に気体溶解樹脂R2の流路を強
制的に変える混合エレメント28aを内装することによ
り、括れ通路28を通過する気体溶解樹脂R2は、混合
エレメント28aによる干渉で炭酸ガスCとの混合が促
進され、炭酸ガスCがより均一に気体溶解樹脂R2内に
拡散される。なお、図示の都合上、拡散チャンバー27
を設けない図1における押出し装置本体21と、拡散チ
ャンバー27を設けた図10における拡散チャンバー2
7の長さ寸法とが同一になっているが、実際は、図10
の押出し装置本体21は、拡散チャンバー27を設けた
分図1の設けないものより長さ寸法が長くなっている。
【0146】(9)上記の実施形態において、金型30
の適所にシール部材を設け、このシール部材によってキ
ャビティ34内の気密性を高めるようにしてもよい。
【0147】(10)上記の実施形態においては、押出
し装置本体21の下流端に、図3に示すような開閉バル
ブ250が設けられているとともに、樹脂注入路33の
下流端に、図4に示すようなシャットオフバルブ210
が設けられているが、本発明は、押出し装置本体21の
下流端に開閉バルブ250を設けるとともに、樹脂注入
路33の下流端にシャットオフバルブ210を設けるこ
とに限定されるものではなく、押出し装置本体21の下
流端にシャットオフバルブ210を設けるとともに、樹
脂注入路33の下流端に開閉バルブ250を設けてもよ
いし、押出し装置本体21および樹脂注入路33の下流
端の双方に開閉バルブ250またはシャットオフバルブ
210を設けてもよい。また、本発明は、かかるバルブ
210,250に限らず、気体溶解樹脂R2の流通を確
実に止めることができるものであれば、どのようなもの
でも使用可能である。
【0148】(12)図11は、金型30′の他の実施
形態を示す断面視の説明図である。この実施形態の金型
30′においては、下型31′に複数本の樹脂注入路3
3が設けられている(図11に示す例では3本の樹脂注
入路33が設けられている)とともに、各樹脂注入路3
3の上端部には、キャビティ34に臨むようにそれぞれ
シャットオフバルブ210が設けられている。
【0149】この実施形態の金型30′によれば、下型
31′に複数本の樹脂注入路33を設けることにより、
気体溶解樹脂R2のキャビティ34に対する単位時間当
りの注入量を多くすることが可能になるとともに、各樹
脂注入路33にシャットオフバルブ210が設けられて
いるため、樹脂注入路33内の気体溶解樹脂R2が事前
発泡する不都合も生じない。従って、金型30′は、大
型化に充分対応し得るものになる。
【0150】(13)上記の実施形態においては、原料
ホッパー260において原料合成樹脂R1に予め炭酸ガ
スCを溶解させるようにしているが、本発明は、原料ホ
ッパー260で原料合成樹脂R1に予め炭酸ガスCを溶
解させることに限定されるものではなく、原料ホッパー
を開放状態のものとし、原料ホッパー内では原料合成樹
脂R1に炭酸ガスCを溶解させなくてもよい。但し、こ
のようにすると、プッシュチャンバー26内での炭酸ガ
スCの原料合成樹脂R1に対する溶解処理を充分に行う
必要がある。
【0151】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、樹脂押圧
機構の駆動制御用の制御装置を、発泡原料調製装置から
キャビティに向けて気体溶解樹脂の射出が行われない全
ての期間において気体溶解樹脂に対する背圧が所定の値
になるように樹脂押圧機構に向けて制御信号を出力する
ように構成したため、樹脂押圧機構の駆動により発泡原
料調製装置から金型のキャビティ内に向けて気体溶解樹
脂が射出された直後からつぎの射出までの期間中に、制
御装置からの制御信号による樹脂押圧機構の駆動で発泡
原料調製装置内の背圧が所定の値になり、この背圧の値
を気体溶解樹脂から気泡形成用気体が分離しない圧力に
設定しておくことにより、気体溶解樹脂を金型へ向けて
射出した後の発泡原料調製装置内において気体溶解樹脂
から気泡形成用気体が抜け出るような不都合を確実に防
止することができ、これによって常に良質の発泡体から
なる成形製品を製造することができる。
【0152】請求項2記載の発明によれば、発泡原料調
製装置からの気体溶解樹脂を金型のキャビティ内に導く
樹脂注入路の下流端にシャットオフバルブが設けられて
いるため、このシャットオフバルブを閉止することによ
りシャットオフバルブと発泡原料調製装置内との間の空
間を容易に気密性が保持された状態にすることができ、
樹脂押圧機構の押圧操作による気体溶解樹脂への背圧付
与で容易に上記空間内の圧力を気泡形成用気体が気体溶
解樹脂から抜けない圧力にすることができる。
【0153】請求項3記載の発明によれば、原料供給装
置からの合成樹脂と、気体供給源からの気泡形成用気体
との双方を所定の温度および圧力環境に設定されたプッ
シュチャンバーに供給することにより、気泡形成用気体
が合成樹脂中に溶解し、これによって気体溶解樹脂を容
易に得ることができる。また、シリンダ機構を設けるこ
とにより、発泡原料調製装置内の気体溶解樹脂に対して
所定の背圧を容易に付与することができる。
【0154】請求項4記載の発明によれば、原料ホッパ
ーの上部開口に密閉構造を備えた開閉蓋を設けたため、
原料ホッパーに原料合成樹脂を装填した後に密閉構造の
開閉蓋を閉止することにより、原料ホッパー内を気密が
保持された状態にすることができる。そして、原料ホッ
パーの底部の原料送込み手段は、気密を保持しながら原
料合成樹脂を発泡原料調製装置に送り込み得るように構
成されているため、原料合成樹脂の発泡原料調製装置へ
の送り込み操作時に気密が解除されて一旦溶解した気泡
形成用気体が原料合成樹脂から抜け出るような不都合を
回避することができる。また、原料送込み手段の気密性
によって発泡原料調製装置内の気密性が確保されるた
め、気体溶解樹脂に背圧を加えるに際し、発泡原料調製
装置内の圧力が原料ホッパーに抜け出る不都合を回避す
ることができる。
【0155】請求項5記載の発明によれば、金型として
圧縮成形用のものを採用したため、成形の初期に予め雌
型を雄型に外嵌してキャビティを最小容量に設定してお
き、発泡原料調製装置からの気体溶解樹脂が注入される
に従って雌型を雄型から離間させるようにし、この離間
速度を調節することにより、押し出されてキャビティに
導入された気体溶解樹脂の受ける圧力を調節することが
できる。
【0156】従って、キャビティの有効容量が不変であ
る射出成形用の金型を用いた場合には、別途設けた圧力
調整装置からの高圧気体をキャビティ内に供給し、バル
ブの開閉操作でキャビティ内の圧力調節を行わなければ
ならないが、バルブ操作による圧力調整は非常に困難で
あり、圧力のばらつきに起因して発泡製品の品質がばら
つくという不都合が存在するが、この発明では、予め設
定された雌型の画一的な離間操作でキャビティ内の気体
溶解樹脂に対して常に所望の圧力を付与することが容易
になり、これによって発泡製品の品質がばらつくという
従来の不都合を解消することができる。
【0157】請求項6記載の発明によれば、気泡形成用
気体として二酸化炭素、窒素および一酸化炭素の内から
選ばれたいずれかを用いるようにしたため、二酸化炭
素、窒素および一酸化炭素は、超臨界状態にするのが容
易な気体であり、これらを超臨界状態にすることによ
り、気泡形成用気体を合成樹脂内に容易に溶解させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る発泡体製造装置の一実施形態を示
す側面断面視の説明図である。
【図2】原料ホッパーの一実施形態を示す側面断面視の
説明図である。
【図3】開閉バルブの一実施形態を示す側面視の断面図
であり、(イ)は、樹脂導出孔が開通された状態、
(ロ)は、樹脂導出孔が閉止された状態をそれぞれ示し
ている。
【図4】シャットオフバルブの一実施形態を示す断面図
であり、(イ)はバルブ開通状態、(ロ)はバルブ閉止
状態をそれぞれ示している。
【図5】制御装置による発泡体製造装置の運転制御の一
実施形態を示すブロック図である。
【図6】発泡体の製造方法の第1実施形態を説明するた
めの金型の動作を示す断面視の説明図であり、(イ)
は、上型が最上位まで上昇してキャビティが開放された
状態、(ロ)は、上型が最下位まで下降してキャビティ
が最小容量に設定された状態、(ハ)は、気体溶解樹脂
がキャビティ内に導入されることにより上型が上昇しつ
つある状態、(ニ)は、気体溶解樹脂の発泡で上型がさ
らに上昇した状態をそれぞれ示している。
【図7】第1実施形態の成形処理におけるキャビティの
底面および天井面間の距離(キャビティクリアランス)
の経時変化を示すグラフである。
【図8】発泡体の製造方法の第2実施形態を説明するた
めの金型の動作を示す断面視の説明図であり、(イ)
は、最上位まで上昇してキャビティが開放された金型の
下型上に表皮材Tが装着された状態、(ロ)は、上型が
下降し下型に外嵌されてキャビティが形成された状態、
(ハ)は、キャビティに気体溶解樹脂が導入された状
態、(ニ)は、さらに上型が下降することによりキャビ
ティが最小容量に設定された状態、(ホ)は、上型が急
激に上昇されることによりキャビティ内が減圧された状
態、(ヘ)は、上型が最上位に戻されてキャビティが開
放された状態をそれぞれ示している。
【図9】第2実施形態の成形処理におけるキャビティの
底面および天井面間の距離(キャビティクリアランス)
の経時変化を示すグラフである。
【図10】押出し装置本体の他の実施形態を示す側面断
面視の説明図である。
【図11】金型の他の実施形態を示す断面視の説明図で
ある。
【符号の説明】
10 発泡体製造装置 11 フロア 12 基台 20 押出し装置(発泡原料調製装置) 21 押出し装置本体 21a 樹脂導入孔 21b ガス導入孔 21c 樹脂導出孔 210 シャットオフバルブ 211 内子 212 ニードル弁 213 リンクアーム 215 ニードル弁装着室 214 シリンダ装置 217 リンクアーム装着室 216 シリンダ装着室 218 弁本体 219 円錐体 221 コイルスプリング 220 フランジ 222 シリンダ 223 ピストンロッド 224 被押圧部 225 押圧部 226 凹部 226 上記凹部 227 支持突起 228 樹脂導出管 229 環状断熱部材 230 ケーシング 231 樹脂通路 240 注入口 22 原料ホッパー 22a ロータリーバルブ 23 ガスボンベ 231 元バルブ 232 ガス本管 233 第1ガス支管 234 第2ガス支管 235 第1バルブ 236 第2バルブ 24 加熱部材 25 スクリュー 25b スパイラルフィン 25a スクリュー軸 250 開閉バルブ 250a環状断熱部材 250b 装着室 251 ケーシング 252 シリンダ装置 243 シリンダ 254 ピストンロッド 255 ニードル弁 256 弁本体 257 円錐体 258 中心軸 259 射出孔 26 プッシュチャンバー 260 原料ホッパー 261 ホッパー本体 262 蓋体 263 ロータリーバルブ 264 原料導出管 265 ハウジング 266 ローター 266a 凹部 267 電動機 27 拡散チャンバー 28a 混合エレメント 28 括れ通路 29 油圧モータ 30 金型 31 下型(雄型) 31a 下型基体部 31b 下型本体 32c フランジ部 32 上型(雌型) 32a 上型基体部 32b 上型本体 32c 上記フランジ部 33 樹脂注入路 34 キャビティ 35 下型冷却水通路 36 上型冷却水通路 40 油圧ユニット 50 昇降装置(移動手段) 51 主シリンダ装置 52 主シリンダ 53 主ピストンロッド 54 補助シリンダ装置 55 補助シリンダ 56 上記補助ピストンロッド 56 補助ピストンロッド 60 支持枠体 61 主支柱 62 逆L形支柱 63 天板 C 炭酸ガス R1 原料合成樹脂 R2 気体溶解樹脂 R3 発泡体 R4 発泡製品 t キャビティクリアラ
ンス T 表皮材 T1 スキン層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29C 45/56 B29C 45/56 // B29K 105:04 B29K 105:04 Fターム(参考) 4F201 AB02 AG20 AL01 AR02 AR06 BA01 BC02 BC12 BC37 BD04 BK02 BK13 BK40 BN18 BN36 BQ08 BQ16 4F204 AB02 AG20 AL01 AR02 AR06 FA01 FB01 FF01 FF06 FN11 FQ01 4F206 AB02 AG20 AL01 AR022 AR061 JA04 JD03 JF04 JF11 JF22 JF46 JL02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の温度および圧力下で所定の気泡形
    成用気体が溶解された溶融状態の気体溶解樹脂を、圧力
    を低下させることによる気泡核の形成で多孔質に変換し
    ながら成形処理する発泡体の製造装置であって、原料合
    成樹脂を貯留する原料ホッパーと、この原料ホッパーか
    ら供給された原料合成樹脂を気泡形成用気体が溶解した
    溶融状態の気体溶解樹脂にする発泡原料調製装置と、背
    圧を加えることにより上記発泡原料調製装置内の気体溶
    解樹脂を下流側に向けて押圧する樹脂押圧機構と、この
    樹脂押圧機構により押圧されて上記発泡原料調製装置か
    ら射出された気体溶解樹脂をキャビティ内で成形処理す
    る金型と、上記樹脂押圧機構の駆動を制御する制御装置
    とが備えられ、上記制御装置は、発泡原料調製装置から
    金型のキャビティ内に向けて気体溶解樹脂が射出された
    直後からつぎの射出までの間の全てについて上記背圧が
    所定の値になるように上記樹脂押圧機構に向けて制御信
    号を出力するように構成されていることを特徴とする発
    泡体の製造装置。
  2. 【請求項2】 上記金型には、発泡原料調製装置からの
    気体溶解樹脂をキャビティ内に導く樹脂注入路が設けら
    れ、この樹脂注入路の下流端には、閉止することにより
    気体溶解樹脂のキャビティ内への注入を阻止し得るシャ
    ットオフバルブが設けられていることを特徴とする請求
    項1記載の発泡体の製造装置。
  3. 【請求項3】 上記発泡原料調製装置は、筒状のケーシ
    ング内に形成した気体溶解樹脂を押し出すプッシュチャ
    ンバーを有し、上記樹脂押圧機構は、プッシュチャンバ
    ーに同心で軸心回りに回転することによって気体溶解樹
    脂を上記金型に向けて押圧する押出しスクリューと、こ
    の押出しスクリューを軸心回りに回転させるスクリュー
    駆動モータと、上記押出しスクリューを前進させるシリ
    ンダ機構とを備えて構成されていることを特徴とする請
    求項1または2記載の発泡体の製造装置。
  4. 【請求項4】 上記原料ホッパーは、上部に密閉構造の
    開閉蓋を有しているとともに、底部に気密を保持しなが
    ら原料合成樹脂を上記発泡原料調製装置に送り込む原料
    送込み手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至
    3のいずれかに記載の発泡体の製造装置。
  5. 【請求項5】 上記金型は、圧縮成形用のものであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発泡
    体の製造装置。
  6. 【請求項6】 上記気泡形成用気体は、二酸化炭素、窒
    素および一酸化炭素の内から選ばれたいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発泡
    体の製造装置。
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