JP2002177764A - 無機粒子の窒化ホウ素による被覆または担持方法、およびそれにより得られる材料 - Google Patents

無機粒子の窒化ホウ素による被覆または担持方法、およびそれにより得られる材料

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JP2002177764A
JP2002177764A JP2000374155A JP2000374155A JP2002177764A JP 2002177764 A JP2002177764 A JP 2002177764A JP 2000374155 A JP2000374155 A JP 2000374155A JP 2000374155 A JP2000374155 A JP 2000374155A JP 2002177764 A JP2002177764 A JP 2002177764A
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oxide
boron
oxidizing
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Kinya Adachi
吟也 足立
Toshiyuki Masui
敏行 増井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】無機粒子を窒化ホウ素で安定かつ均一に被覆す
る方法、およびそれにより得られる材料を提供する。 【解決手段】無機粒子の表面上で、ホウ素源と窒素源に
なる化合物の重合反応を行って得られた前駆体、あるい
は、窒化ホウ素粉末を無機塩の溶液に含浸し、溶媒を除
去して得られた前駆体を、非酸化性または酸化性雰囲気
下で少なくとも一度焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機粒子の表面を
窒化ホウ素により被覆する方法、およびこの方法により
製造されたことを特徴とする材料に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化ホウ素は、黒鉛に類似した層状構造
を有し、熱伝導性、絶縁性、化学安定性等の特性に優れ
ていることから、電子材料分野において、電子部品から
発生した熱を効率よく放散させる放熱部材として用いら
れている。また、電子材料分野以外では、耐熱性コーテ
ィング材料、絶縁性ゴム材料、被覆材料、耐アーク性を
有する材料、中性子遮蔽材料、自動車用潤滑グリースや
オイル等に使用されている。
【0003】また、窒化ホウ素は伸び、艶、滑り性に優
れることから、使用感を向上させる目的で化粧料に配合
されている。
【0004】そして、窒化ホウ素粉末の有する物性を生
かしながら、熱伝導性、電気絶縁性放熱特性等に優れた
材料や、伸び、艶、滑り感、紫外線遮断特性等に優れた
化粧料材料を得る目的で、特開2000−169137
号公報、特開平8−113514号公報、また本発明者
らによる特開2000−80346号公報、特開200
0−86210号公報等に見られるように、様々な有機
粒子及び無機粒子の表面に窒化ホウ素を被覆した材料と
その製造方法が提案されている。
【0005】これらの方法では、荷電現象を利用した静
電気力、衝撃による物理的な力、乾燥時における溶媒の
表面張力を利用して粒子表面に窒化ホウ素粉末を付着さ
せる方法、あるいはホウ酸と尿素もしくはメラミンを母
粒子に混合し、これを窒素、アンモニア等の非酸化性雰
囲気下で焼成する方法によって粒子表面に窒化ホウ素を
生成させている。
【0006】しかしながら、上述のいずれの方法におい
ても、本質的に物理的な力で付着しているだけであった
り、あるいは未反応の原料物質が洗浄時に溶け出したり
することがあるため、被覆される粒子と窒化ホウ素の密
着性が十分ではなく、表面からはがれ落ちたりし、目的
とする特性が得られないなどの問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の技術にみられる問題点を解決し、無機粒子の表面を窒
化ホウ素で安定かつ均一に被覆する技術を提供するこ
と、および熱伝導性、電気絶縁性、放熱特性、伸び、
艶、滑り感、紫外線遮断特性に優れた材料を提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段作用効果】上記の課題を解
決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、無
機粒子表面上でホウ素源と窒素源になる化合物の重合反
応を行って得られた前駆体を、非酸化性または酸化性雰
囲気下で少なくとも一度焼成する方法、および六方晶窒
化ホウ素粉末を金属塩の溶液に含浸し、溶媒を除去して
得られた前駆体を、非酸化性または酸化性雰囲気下で少
なくとも一度焼成する方法により上記課題を解決しうる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は無機粒子の表面を窒化
ホウ素で安定かつ均一に被覆する技術、およびそれによ
り得られる材料を提供するものである。
【0010】本発明の複合粒子において、被覆される無
機粒子の種類は特に限定されないが、金属、酸化物、炭
化物、ハロゲン化物、硫化物、硝酸塩、硫酸塩、ケイ酸
塩、炭酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、クエン酸
塩、およびこれらの複合物、混合物粒子が使用され、好
ましくは安定性の面で酸化物および複合酸化物粒子が用
いられる。具体的には、例えば、酸化ケイ素、酸化アル
ミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、
酸化鉄、酸化カルシウム、酸化スカンジウム、酸化イッ
トリウム、ならびに酸化ランタン、酸化セリウムをはじ
めとする原子番号57〜71の希土類元素の各酸化物、
炭酸セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケ
イ酸アルミニウム、ケイ酸ストロンチウム、ケイ酸セリ
ウム、ケイ酸バリウム、リン酸セリウム、タングステン
酸カルシウム、タングステン酸セリウム、ホウ酸マグネ
シウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸セリウム、粘土鉱
物、マイカ、タルク、カオリン、およびこれらの複合物
および混合物等が挙げられる。
【0011】わけても、酸化セリウム、酸化チタン、酸
化亜鉛、酸化ジルコニウム、又はこれらのうち少なくと
も一つを成分として含む複合酸化物及び混合物のなかか
ら選ばれるものを使用すれば、得られる材料の紫外線遮
断効果が大きいという効果がある。
【0012】この無機粒子の形状は特に限定されず、目
的に応じて任意に選択することができるが、球状、針
状、柱状、板状、花びら状、多面体形、多孔体、中空形
およびこれらの凝集体等、用途に応じて粒子の形態を変
化させて用いることができる。わけても、球状や中空
状、板状、花びら状であると分散性やのびの効果が大き
くなる点でより好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、無機粒子表面上でホウ素源
と窒素源になる化合物の重合反応を行って得られた前駆
体を、非酸化性または酸化性雰囲気下で少なくとも一度
焼成する方法について詳細に説明する。
【0014】本方法において使用される無機粒子の平均
粒子径は特に限定されるものではないが、好ましくは1
nm〜10μmである。 平均粒子径が1nmよりも小
さいと取り扱いや窒化ホウ素粉末の被覆が難しくなり、
また、10μmを超えると、分散性が低下したり、ざら
ざらした感触を生じるようになる。さらに、平均粒子径
を1nm〜100nmにすることにより、400〜80
0nmの可視光線に対する透明性が大きくなる効果があ
る。
【0015】一方、無機粒子を被覆する窒化ホウ素(B
N)の相としては、h(六方晶)−BN、w(ウルツ鉱
型構造)−BN、c(立方晶)−BN、r(菱面体晶)
−BN、t(乱層構造)−BNのいずれの粉末であって
もよいが、層間の結合力が弱く、良好な滑り性を有する
h−BNとすることが好ましい。
【0016】無機粒子を被覆する窒化ホウ素(BN)の
厚さは、原料濃度、反応温度、反応時間、被覆される酸
化物の種類等によって数nm〜数十nmの範囲で変化す
る。これも特に限定されるものではないが、上述の諸特
性を同時に達成するために、1〜30nmに調節するこ
とが望ましい。
【0017】本発明において用いられるホウ素源として
は、例えば、金属ホウ素、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸
アンモニウム、ジボランとその誘導体、およびこれらの
混合物等が、また窒素源としては、例えば窒素、アンモ
ニア、尿素、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫
酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、ホウ酸アンモニウ
ム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ラウ
リルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、セチルトリ
メチルアンモニウムハロゲン化物等の四級アンモニウム
塩、ヒドラジンとその誘導体、およびこれらの混合物が
あげられるが、重合反応が効率よく進行することを鑑
み、好ましくはホウ素源として酸化ホウ素、ホウ酸、ホ
ウ酸アンモニウム、また上記窒素源としてジエタノール
アミン、トリエタノールアミン、およびこれらの混合物
から選ばれるものが使用される。
【0018】また、本発明における重合反応とは、無機
粒子表面に存在する水酸基とホウ素源、および/または
窒素源となる化合物の間、ならびにホウ素源と窒素源と
なる化合物の間に起こる脱水縮合を利用したものであ
る。これにより、無機粒子表面とホウ素源、窒素源が互
いに化学結合を作り、この状態を保ったまま、その後の
焼成により窒化ホウ素が生成されるため、被覆される粒
子と窒化ホウ素の密着性が非常に大きくなり、表面から
はがれ落ちたりしない。
【0019】また、窒素源、ホウ素源および無機粒子か
ら構成される前駆体は、窒素源とホウ素源をともに無機
粒子と混合し、これを真空下、あるいは窒素雰囲気下に
て70〜150℃で加熱し、脱水することにより得られ
る。
【0020】この際、ホウ素源及び/又は窒素源が溶媒
に可溶である場合、前駆体の合成に溶媒を用いることが
できる。この際に用いられる溶媒としては窒素源及び/
又はホウ素源が可溶であるものであればいかなるもので
もよいが、安価な水またはアルコールが好ましく用いら
れる。ここで、溶媒にアルコールを用いる場合には、炭
素数1以上のアルコールであればいかなるものでも良い
が、好ましくは比較的安価で入手容易なメタノールある
いはエタノールが用いられる。なお、重合反応を効率よ
く進めるために、ここで用いられた溶媒は、前項の真空
下、あるいは窒素雰囲気下における加熱により除去され
るのが望ましい。
【0021】さらに、この重合反応を進める際に、窒化
ホウ素の生成効率を高めるため、あらかじめ種結晶とし
て、窒化ホウ素を1〜50モル%混合しておいてもよ
い。この際に用いられる窒化ホウ素の結晶相や粒径は特
に限定されないが、好ましくは平均粒径が10nm〜1
μmのh−BN粒子が用いられる。
【0022】次に、窒化ホウ素粉末を無機塩の溶液に含
浸し、溶媒を除去して得られた前駆体を、非酸化性また
は酸化性雰囲気下で少なくとも一度加熱する方法につい
て詳細に説明する。
【0023】この方法において使用される無機塩は、溶
媒に可溶なものであればいかなるものでもよく、特に限
定されないが、例えば、金属のハロゲン化物、硝酸塩、
酢酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、およびこれらの複合物、
混合物が使用され、好ましくは安価な金属ハロゲン化
物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩が用いられる。また、本発
明では無機塩の他にも、例えば、金属アセチルアセトナ
ト錯体や金属アルコキシド等の有機金属錯体や有機金属
化合物等についても、溶媒に可溶であれば使用すること
ができる。
【0024】本発明において用いられる溶媒としては、
無機塩、有機金属錯体や有機金属化合物が可溶であるも
のであればいかなるものでもよいが、安価な水、アルコ
ール、アセトンまたは炭化水素、及びこれらの混合物が
好ましく用いられる。ここで、溶媒にアルコールを用い
る場合には、炭素数1以上のアルコールであればいかな
るものでも良いが、比較的安価で扱いが容易なメタノー
ル、エタノールあるいはイソプロパノールが、また溶媒
に炭化水素を用いる場合にも同様の理由で、ヘキサンや
シクロヘキサンが好ましく用いられる。
【0025】この方法において担体として用いられる窒
化ホウ素(BN)粉末としては、h(六方晶)−BN、
w(ウルツ鉱型構造)−BN、c(立方晶)−BN、r
(菱面体晶)−BN、t(乱層構造)−BNのいずれの
粉末であってもよいが、層間の結合力が比較的小さく、
良好な滑り性を有するh−BN粉末を用いることが好ま
しい。
【0026】さらに、使用される窒化ホウ素粒子の平均
粒子径も特に限定されないが、好ましくは5nm〜10
μm、さらに好ましくは10nm〜1μmである。 平
均粒子径がこの範囲にあるとき分散性、透明性が大き
く、ざらつき感の少ない被覆粒子が得られる。
【0027】窒化ホウ素粒子に対する無機塩、有機金属
錯体や有機金属化合物の含浸担持量は特に限定されない
が、好ましくは5〜70重量%である。金属塩の量が5
%より少ないと、得られた材料において目的とする特性
が発現し難く、また70%より多いと、窒化ホウ素粒子
に含浸担持されないものが多くなり、滑らかな感触が得
られ難くなる。ここで、本発明においては、窒化ホウ素
粒子表面に無機粒子が結合している状態に加え、無機粒
子が窒化ホウ素の粒子間に結合して、周りを窒化ホウ素
で囲まれている状態、ならびに窒化ホウ素の粒子の層間
に金属イオンが導入されている状態も含めて含浸担持と
表している。
【0028】窒化ホウ素粒子に無機塩、有機金属錯体や
有機金属化合物を含浸担持する方法としては、窒化ホウ
素粉末をこれらの溶液に浸し、吸引ろ過や遠心分離等に
よって窒化ホウ素粒子を回収するか、あるいは溶媒を蒸
発させる。溶媒の蒸発は、自然蒸発、加熱蒸発のほか
に、恒温乾燥器やロータリーエバポレーター等を用いて
も良い。また、あらかじめ吸引ろ過や遠心分離によって
窒化ホウ素粒子を回収したのちに溶媒の蒸発を行っても
よい。
【0029】さらに、前項の溶媒の蒸発を行った後、得
られた前駆体のボールミルを行い、物理的な力を外部よ
り強制的に付け加えてもよい。
【0030】このようにして得られた各前駆体粒子を窒
素、水素、アンモニア、アルゴン、ヘリウム、一酸化炭
素、およびこれらの混合ガス等、非酸化性または不活性
ガス雰囲気、あるいは真空中で焼成することにより、無
機粒子表面に安定かつ均一に窒化ホウ素が生成される。
このときの酸素分圧はガスの全圧に対して0.01%以
下にするのが望ましい。このときの処理温度は200〜
1500℃の範囲にある任意の温度で行うことができる
が、粒子の凝集を抑えるには200〜800℃で行うこ
とが望ましい。また、200℃以下では反応速度の減少
により、窒化ホウ素の生成効率が著しく低下し、他方1
500℃以上では粒子間の焼結や粒成長が起こり、分散
性や透明性が低下する。
【0031】さらに本発明では、上記非酸化性雰囲気下
での焼成によって得られた紫外線遮断剤粒子を、必要に
応じてさらに焼成してもよい。この焼成は還元されやす
い無機酸化物粒子を母粒子に用いた際に特に有効であ
り、非酸化性雰囲気下での熱処理によって還元された酸
化物が元に戻る。この際の焼成温度は150〜1000
℃、好ましくは300〜800℃であり、昇温速度は5
00℃/時間以下、好ましくは100℃/時間で行い、
また焼成時間は30分〜12時間、好ましくは1〜3時
間とする。焼成温度、焼成時間及び昇温時間は、いずれ
にしろ再酸化が不十分とならず、かつ、焼成処理による
凝集、粒成長、焼結が起こりやすくならないよう、その
上限及び下限値を定めることが望ましいといえる。
【0032】次いで本発明では、上記酸化性雰囲気下で
の焼成を行った後、再び非酸化性雰囲気下や酸化性雰囲
気下での焼成を1回以上、例えば1〜3回行ってもよ
い。これにより、未反応の窒素源及び/又はホウ素源の
反応がさらに進行し、窒化ホウ素の生成効率を向上させ
たり、担持された粒子の還元や酸化を行うことができ
る。
【0033】このようにして得られた窒化ホウ素被覆無
機粒子は、必要に応じて水、炭化水素、アルコール、ア
セトン、石油エーテル等により洗浄される。洗浄手段は
遠心分離、濾別、デカンテーションを繰り返すか、セラ
ミックフィルターや限外ろ過膜を使った微粉洗浄装置で
もよい。洗浄が終わった粒子は、室温による自然乾燥、
あるいはオーブン等を用いた加熱乾燥により乾燥する。
このときに真空乾燥機や凍結乾燥機、あるいはスプレー
ドライヤーなどを用いても良い。
【0034】このようにして、熱伝導性、電気絶縁性、
放熱特性、伸び、艶、滑り感、紫外線遮断特性に優れた
材料を得ることができる。
【0035】わけても、酸化セリウム、酸化チタン、酸
化亜鉛、酸化ジルコニウム、又はこれらのうち少なくと
も一つを成分として含む複合酸化物及び混合物のなかか
ら選ばれるものの表面を、窒化ホウ素で被覆して得られ
る材料は紫外線遮断効果が大きく、日焼け止めを目的と
した紫外線カット化粧品、ビニルハウス等に用いられる
耐紫外線フィルム、衣服等に用いられる耐紫外線繊維、
その他耐紫外線プラスチック、耐紫外線塗料等に使用す
ることができる。なかでも日焼け止め化粧料や耐紫外線
繊維、耐紫外線フィルムに好適に使用される。
【0036】この場合、プラスチックやフィルム、繊
維、塗料としては、例えば、照明用カバー、電子基板及
びEL等の電気・電子材料、自動車用内装パネル等の自
動車部品、機械部品、食品および薬品等の包装や容器、
繊維、看板、鋼板、プラスチック板、シート、農業用被
覆資材、屋根、テント及び屋外倉庫等の屋外構築物、自
動車、車両、船舶、航空機、家庭用電化製品、機械類、
建築物外壁、橋梁、事務用品、眼鏡用レンズ、コンタク
トレンズ、玩具、雑貨等が例示されるが、紫外線遮断性
が必要とされるものであれば、いかなるフィルム、繊
維、プラスチック、塗料等に配合することができる。ま
た、日焼け止め化粧料としては、例えば、ファンデーシ
ョン、白粉、下地化粧料、頬紅、アイシャドウ、口紅、
アイライナー、マスカラ、美爪料、乳液、クリーム等の
化粧料に配合することができる。 配合量は特に限定さ
れないが、好ましくは1〜80%である。
【0037】さらに、本発明の方法により得られた材料
を化粧料に配合する場合、化粧品用原料として用いられ
る水性成分や油性成分、粉体成分、例えば保湿剤、防腐
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、美容成分、香料、水溶
性高分子、体質顔料、着色顔料、光輝性顔料、有機粉
体、疎水化処理顔料、タール色素等を本発明の効果を損
なわない範囲で配合することができる。
【0038】
【物性の測定法】本発明の方法により得られた材料の粉
末X線回折測定((株)マックサイエンス社製、M18
XHF−SHA型)、ならびに高分解能透過型電子顕微
鏡((株)日立製作所製、H−9000型)観察を行
い、平均粒子径を1次粒子の個数平均径で算出した。
【0039】本発明の方法により得られた材料の紫外線
吸収性は紫外可視分光光度計((株)島津製作所製、U
V−2200型、積分球付き)を用いて測定した。硫酸
バリウム粉体を参照試料として、波長200〜800n
mの波長の光を照射し、各波長における光反射率を測定
し、100%から光反射率を差し引いた値を紫外線遮断
性の評価値とした。
【0040】本発明の方法により得られた材料を日焼け
止め化粧料や耐紫外線繊維、耐紫外線フィルム等に応用
する場合、光又は熱による触媒活性が小さければ小さい
程良い。そこで本発明の方法により得られた材料の熱触
媒活性、光触媒活性をそれぞれ評価した。ここで、熱触
媒活性は、例えば、粧技誌、第31巻(1997年)第
329〜332頁に記載されている方法に準じ、ひまし
油5g中に窒化ホウ素被覆粒子0.3gを混合し、1時
間あたり15リットルの空気流通下、130℃で加熱し
ながら流通後の空気を50ミリリットルの脱イオン水中
へ導いて分解生成物を捕集し、3時間後の水の導電率変
化を測定することで評価した。さらに、光触媒活性につ
いては130℃で3時間加熱するかわりに、ソーラシミ
ュレータ(山下電装(株)製、YSS−80型)で9時
間光照射した後の水の導電率変化を測定することで評価
した。
【0041】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0042】(実施例1)1モル/リットルの塩化セリ
ウム水溶液500ミリリットルと5モル/リットルのア
ンモニア水500ミリリットルとを調製した。その両者
を2リットルの容器に同時に投入し、撹拌混合し、水酸
化セリウムゲルを沈澱させた。次にこの沈殿ゲルを回収
し、メタノール中に分散後、オートクレーブにて200
℃で24時間加熱処理した。遠心分離により回収し、脱
イオン水で洗浄した後、80?で減圧乾燥して、平均粒
子径が10nmの酸化セリウム超微粒子を得た。
【0043】次いで、ジエタノールアミン44gとホウ
酸26gを200mlの脱イオン水に溶解し、これに得
られた酸化セリウム超微粒子73gを加え、超音波分散
機により1時間分散させた後、80℃でロータリーエバ
ポレーターにより溶媒の留去、および重合反応を行っ
た。得られた前駆体粉末を窒素気流中150℃で5時間
乾燥した後、アンモニアガス中500℃で6時間焼成し
た。得られた粉末を空気中500℃で24時間再焼成し
た後、脱イオン水で10回洗浄し、乾燥器中80℃で一
晩乾燥した。
【0044】このようにして得られた被覆粒子のX線回
折測定を行ったところ、図1aに示すように酸化セリウ
ムの回折パターンに加え、2θ=20〜25゜に乱層構
造の窒化ホウ素に特有のピークが観察された。さらに、
高分解能TEM観察を行ったところ、酸化セリウム粒子
の表面が乱層構造をもつ別の層によって均一に覆われて
いる様子が観察された。
【0045】(実施例2)酸化セリウム超微粒子を得る
までは、実施例1と全く同様にして行った。 次いで、
ジエタノールアミン22gとホウ酸13gを200ml
の脱イオン水に溶解し、さらに粒径1μmの六方晶窒化
ホウ素5.2gを分散させた。これに得られた酸化セリ
ウム超微粒子73gを加え、超音波分散機により1時間
分散させた後、80℃でロータリーエバポレーターによ
り溶媒の留去、および重合反応を行った。得られた前駆
体粉末を窒素気流中150℃で5時間乾燥した後、アン
モニアガス中500℃で6時間焼成した。得られた粉末
を空気中500℃で24時間再焼成した後、脱イオン水
で10回洗浄し、乾燥器中80℃で一晩乾燥した。
【0046】このようにして得られた被覆粒子のX線回
折測定を行ったところ、酸化セリウムの回折パターンに
加え、2θ=20〜25゜に乱層構造の窒化ホウ素に特
有のピークが観察された。さらに、高分解能TEM観察
を行ったところ、酸化セリウム粒子の表面が乱層構造を
もつ別の層によって均一に覆われている様子が観察され
た。
【0047】(実施例3)粒径1μmの六方晶窒化ホウ
素粒子5gを0.05mol・l-1濃度の塩化セリウム
イソプロパノール溶液500mlに超音波分散した。一
晩含浸した状態で放置し、吸引濾過によって粒子を回収
した。これを空気中、80℃で一晩乾燥し、次いで12
時間ボールミル処理を行った。回収後、空気中800℃
まで昇温し、直ちに冷却した。
【0048】このようにして得られた被覆粒子のX線回
折測定を行ったところ、図1bに示すように、酸化セリ
ウムの回折パターンに加え、六方晶窒化ホウ素の回折ピ
ークが観察された。さらに、高分解能TEM観察を行っ
たところ、酸化セリウム粒子が六方晶窒化ホウ素の表面
に均一に担持されている様子が観察された。
【0049】(実施例4)粒径1μmの六方晶窒化ホウ
素粒子5gを0.05moll-1濃度の塩化セリウムイ
ソプロパノール溶液500mlに超音波分散した。一晩
含浸した状態で放置し、溶媒を真空エバポレーターによ
り留去した。これを空気中、80℃で一晩乾燥し、次い
で12時間ボールミル処理を行った。回収後、空気中8
00℃まで昇温し、直ちに冷却した。
【0050】このようにして得られた被覆粒子のX線回
折測定を行ったところ、酸化セリウムの回折パターンに
加え、六方晶窒化ホウ素の回折ピークが観察された。さ
らに、高分解能TEM観察を行ったところ、酸化セリウ
ム粒子が六方晶窒化ホウ素の表面に均一に担持されてい
る様子が観察された。
【0051】図2a、bはそれぞれ実施例1および実施
例3により得られた被覆粒子の光反射率に関する測定結
果を示すものである。この図から本発明の方法により製
造された被覆粒子は紫外領域において優れた遮断能を有
することが明らかとなっている。さらに、本発明で得ら
れた被覆粒子は強い凝集がおこっておらず、極めて分散
性に優れるものであった。
【0052】実施例1〜4で製造した被覆粒子の物性測
定結果を表1に示す。これにより、本発明の方法により
製造された被覆粒子は紫外線遮断効果が大きく、滑り性
に優れていることがわかる。さらに、本発明の方法によ
り製造された被覆粒子は熱・光触媒活性のいずれも示さ
なかった。
【0053】
【表1】
【0054】なお、表1における熱・光触媒活性の評価
項目と評価基準は次の通りである。 ◎:触媒活性が全くみられない。 ○:ごくわずかに触媒活性がみられるが、実用的には全
く問題ない。 ×:触媒活性が著しく、実用的には使用できない。
【0055】また、表1における滑り性の評価法と評価
基準は以下の通りである。評価パネル20名により、各
パウダーを指先でつまみ、肌触り、伸びの各項目につい
て、後記の5段階で評点した。 評価パネルの評点の平
均点が4.5点以上のものを◎、3.5点以上〜4.5点
未満を○、2.5点以上〜3.5点未満を△、2.5点未
満を×として官能評価した。 5段階評点;5点:非常に良い、4点:良い、3点:普
通、2点:悪い、1点:非常に悪い
【0056】
【発明の効果】本発明により、従来の技術では達成が困
難であった、無機粒子の表面を窒化ホウ素で安定かつ均
一に被覆する技術、および熱伝導性、電気絶縁性、放熱
特性、伸び、艶、滑り感、紫外線遮断特性に優れた材料
が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】a:実施例1で製造した被覆粒子のX線回折図
である。 b:実施例3で製造した被覆粒子のX線回折図である。
【図2】a:実施例1で製造した被覆粒子の紫外線遮断
効果を示す曲線図である。 b:実施例3で製造した被覆粒子の紫外線遮断効果を示
す曲線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/00 104 C09K 3/00 104Z (72)発明者 増井 敏行 大阪府吹田市青山台1丁目2番C20−103 号 Fターム(参考) 4G042 DA02 DB27 DC03 DD01 4G075 AA27 BA02 BA05 BB02 BB10 CA02 CA63 FB01 4G076 AA02 AC01 BF05 CA02 DA30 4J037 AA08 CA18 CA26 CB16 EE03 EE26 EE44 EE47 FF03 FF11 FF13

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機粒子表面上で、ホウ素源と窒素源に
    なる化合物の重合反応を行って得られた前駆体を、非酸
    化性または酸化性雰囲気下で少なくとも一度焼成するこ
    とを特徴とする、無機粒子を窒化ホウ素で被覆する方
    法。
  2. 【請求項2】 上記ホウ素源として酸化ホウ素、ホウ
    酸、ホウ酸アンモニウム、また上記窒素源としてジエタ
    ノールアミン、トリエタノールアミン、およびこれらの
    混合物から選ばれるものが使用される請求項1に記載の
    被覆方法。
  3. 【請求項3】 六方晶窒化ホウ素粉末を無機塩の溶液に
    含浸し、溶媒を除去して得られた前駆体を、非酸化性ま
    たは酸化性雰囲気下で少なくとも一度焼成することを特
    徴とする、金属粒子や金属酸化物粒子又はそれらの混合
    物を窒化ホウ素に担持する方法。
  4. 【請求項4】 上記非酸化性雰囲気として窒素、アンモ
    ニア、ヘリウム、アルゴン、一酸化炭素およびこれらの
    混合物から選ばれるものが使用される、請求項1ないし
    3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 被覆される無機粒子として、酸化セリウ
    ム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、又はこ
    れらのうち少なくとも一つを成分として含む複合酸化物
    及び混合物のなかから選ばれるものが使用される、請求
    項1ないし4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の方
    法により得られた紫外線遮断剤。
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