JP2002176034A - プラズマエッチングにおける異常放電自動防止装置 - Google Patents

プラズマエッチングにおける異常放電自動防止装置

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JP2002176034A
JP2002176034A JP2000404031A JP2000404031A JP2002176034A JP 2002176034 A JP2002176034 A JP 2002176034A JP 2000404031 A JP2000404031 A JP 2000404031A JP 2000404031 A JP2000404031 A JP 2000404031A JP 2002176034 A JP2002176034 A JP 2002176034A
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impedance
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】半導体製品製造時、プラズマエッチング工程で
発生する異常放電による被害を自動的に防止する。 【解決手段】本来安定な正常グロー放電中で行われるべ
きプラズマエッチングが、一部領域の放電不安定に起因
する異常放電が端緒となり、これがアーク放電に成長す
るのを妨げるため、異常放電の前兆信号を検出し、初期
段階の中に高周波電力を一時的に瞬断、或は減少せしめ
てアーク放電による熱的被害を阻止しようとするもので
ある。この手段を実現するために、プラズマ形成に不可
欠なインピーダンス整合装置を高周波電力制御スイッチ
に一時的に転用する技術を開発し、更にこの電力スイッ
チを無接点化するためにトロイダルコアを使用した補助
的制御スイッチ機構を組合わせた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の利用分野は、IC、LE
D、液晶、その他各種半導体の製造に広く用いられるプ
ラズマエッチングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、プラズマエッチングは
【図1】に示すように、エッチング加工を行う反応室C
H、プラズマ発生の電気エネルギ供給源である高周波電
源RFG、高周波電力を最高効率でプラズマに伝送する
ためのインビータンス整合装置MNの基本的に3種類の
装置を使用する系で行われる。全体のシステムは、コン
ピュータCOMPで管理され、全自動化による高効率な
生産が行われている。本発明に関連する装置の動作を
【図1】を用いて、以下簡単に説明する。反応室CHの
入力端子Pにインピーダンス整合装置MNの出力端子
を接続し、このMNの入力端子Pに高周波電源R
FGの出力端子Pを同軸ケーブル1で接続する。反応
室CH内の下部放電電極9上に加工物8を置き、気密扉
6で槽3を密閉後、排気管にコック11で真空排気した
後、反応ガス4が一定圧力で封入される。この状態で高
周波電源がONされると
【図5】に示すようにtON点でスタートした放電電圧
は上下電極5、9間で放電が開始するまで上昇を続
け、5、9間でグロー放電を開始し、プラズマ7が形成
されると同時にVが一定レベルEに低下する。この
時のVの最大値がEPKである。一定放電が開始する
と、インピーダンス整合装置MNは形成されたプラズマ
のインピーダンスZcとインビータンス整合装置の出力
インピーダンスZnが整合するように、MNに内蔵され
た反射波検出器RFDの出力で反応するモータ制御回路
MCCで駆動されたモーターM、MでバリコンVC
、VCを調整し、チューニング操作を行う。この操
作が行われている期間は放電電圧は不安定で変動が大き
く、この立ち上げ期間の終了点を
【図5】のtで示した。このインピーダンス整合操作
は、高周波回路特有の性質であって、整合が取れないと
高周波電力は整合点で反射され負荷のプラズマに充分伝
送されないし、場合によってはプラズマの発生が不可能
になる。従って、整合装置はプラズマ形成上不可欠な装
置である。以後、プラズマエッチングは高周波電源RF
GのOFF即ちtOFF点まで進行して行くが、詳細な
説明は省略する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】プラズマエッチングは
加工品の種類に関係なく
【図1】に示した装置系列で行われるのが普通である。
このような系で加工した場合の最大の問題は、局部的ア
ーク放電の突発的発生で、加工品の一部が熟的破壊を受
け、不良品が多発することである。これら加工品は当
然、究極的微細構造を有するものが多く、その製造条件
はデリケートであり、ましてこれら異常放電発生機構は
必ずしも解明されていない現状で、単に品質管理のみに
頼っていたのでは、この種の不良発生を防止できないの
は明らかと言えよう。特に問題なのは、不良発生の被害
状況が最終検査工程に到らなければ判明しないことであ
る。コンピュータによる生産効率化が裏目に出て知らな
いうちに不良品が山積しても最終検査を待たなければ確
認できないのである。いや最終検査で分かってもすでに
手遅れなのであって、これでは単に不良発生の事実が確
認されたに他ならないのである。このような事態になら
ざるを得ない理由は
【図1】の系が事故発生に対して自動的抑止能力を備え
ていないためである。本発明の課題はこのような問題を
解決するため自動的事故防止機能を系に与え、アーク放
電等の異常放電に起因する不良発生を積極的に抑制しよ
うとすることである。
【0004】
【発明を解決するための手段】本発明の要旨は、プラズ
マエッチングにおいて、アーク放電の瑞緒とみられる放
電電極上の異常放電信号を検出し、この信号の原因とな
った放電形態が時間の推移と共にアーク放電に移行する
以前に、プラズマ形成のエネルギである高周波供給電力
を極めて短時間遮断或は減衰せしめて、加工作業自体に
影響を与えることなく、局部的アーク放電に起因する不
良発生を防止する装置の構成に関するものである。この
目的を達成するための技術的諸問題は複雑多岐にわた
り、解決は簡単ではない。従って、本明細書では、本発
明の根幹である異常放電信号の本質およびその判定につ
いて検証し、次いで各自解決手段を次の6項目について
順次詳述して行くのが適当と思われる。 4−1異常放電波形の生成 4−2異常放電信号の検出と判別 4−3制御信号の作成 4−4高周波電力のスイッチング 4−5再放電に関する検討 4−6制御スイッチの構成 以上の解決手段について次の
【作用】の項で逐次詳述する。
【0005】
【作用】4−1異常放電波形の生成 放電理論によれば、放電現象は、一般にコロナ、正常グ
ロー、異常グロー、火花、およびアークの各形態に大別
され、プラズマ放電加工はその中の安定な正常グロー放
電領域で行われる。各形態の電流密度は後者ほど大きく
局部的に集中し、放電状態の維持は不安定となる。従っ
て、アーク放電を生じると加工中の材料は局部的に重大
な熱的破壊を受けることになる。勿論、アーク放電と一
口で言っても、放電電圧その他の条件で、その大きさに
程度の差を生じるので、説明の都合上、本明細書では1
個のアーク放電でプラズマ自体が一時的に消失する程度
の比較的大規模のものについて、説明することにする。
ここで便宜上、電極の印加電圧を電極電流で除した量、
即ちプラズマインピーダンスなる量を定義すれば、この
値はアーク放電において極めて小さく前者になるほど大
きい。
【図8】は
【図1】の反応室CH内において、プラズマ7の発生し
ている部分の拡大図である。但し、ここでは上部電極5
を正面図で省略した。ここで下部電極9の総面積Sをn
個の微小面積ΔSnに分割したと考える。電極間距離を
dとすればプラズマ内には
【図8】の平面図に示すように、ΔS・dの体積の微細
なプラズマ体が上下電極5、9間の電気力線と平行に存
在していると見なせる。即ち、プラズマの全体積はΔS
n・dであり、プラズマは対面に微小面積の導体電極を
持ち、互いに平行に整列した無数の独立のプラズマ柱の
集合体を見なすことができる。このように考えると、プ
ラズマ内のどの部分にどのような微小局部放電を生じて
も、必ず微細プラズマ柱の内部で放電していることにな
り、その捕捉が可能であると言える。この現象が異常放
電信号生成の原因である。今、この1個毎の微細プラズ
マ柱のインピーダンスをΔZとすれば、プラズマ全体の
プラズマインピーダンスZcは
【図9】の等価回路に示すようにΔZn個のインピーダ
ンスの並列合成値となる。ここで着目すべきは並列の言
葉の示す意味であって、並列接続の場合、その構成要素
1個の値で全体の値が支配されてしまう特徴があること
である。極端な場合、或る部分の1個のΔZが0オーム
であれば他の残りのΔZがどのような値であっても、そ
の並列合成インピーダンスは0オームである。この傾向
はΔZが0オームに近いほど大きく、この性質を使うこ
とにより、アーク放電のような極めてインピーダンスの
低い放電と、これが比較的高い他の放電形態とを判別す
ることができるのである。 4−2異常放電信号の検出と判別 本発明の電圧検出器の具体例を
【図10】に示す。R、Rで抵抗分圧器を構成し、
検出点であるP点の高周波高電圧をICレベルに降圧
する。Rは通常1MΩ以上の高抵抗を使用するからプ
ラズマの状態に無関係である。Cはパルス状電圧を検
出するための微小容量のスピードアップコンデンサで、
整合器CHの動作に影響を及ぼすことはない。高周波チ
ョークCHLとCでローパスフィルタを構成し、高周
波成分を減衰させる。C、Rは微分回路で信号の急
速な変化分のみを通過させる一方、ゆるやかな電圧レベ
ルの変動には不感であるから、作業の終点検出等のシス
テムの基本動作には全く影響を与えない特徴がある。
【図5】は、
【図1】のP点に
【図10】の分圧器入力P点を接続し、分圧点a点の
電圧信号をデジタルオシロスコープを用いて長時間記録
した例を模式的に画いたものである。ただし、これはそ
れぞれ独立した波形を便宜上一つにまとめたもので、波
形相互の関係はない。データは放電電圧(正極性尖頭値
電圧)Vおよび直流電圧Vの2種類とし、期間は高
周波電力印加時tONと停止時tOFFにわたって行っ
た。このようにして観測すると曲線上に幅の狭いパルス
上の電圧変動が時々発見される。この中、t、t
、tにおけるパルス状波形を異常放電波形とみな
すこととする。tN1、tN2、tN3の波形は比較の
ためノイズ波形を例示した。放電電圧Vは高周波電圧
の正の半サイクルを検波したものを用いて表し、正極性
尖頭値波形のエンベロープに相当する。一方、VはV
と同一点に発生する直流電圧である。一般に、高周波
電圧は正負対称の正弦波であるから、直流電圧の発生す
る余地はないが、高周波放電の場合は放電電極に通常、
負の極性の直流電圧が必ず誘起される。この理由は主と
して、イオンと電子の質量の相違、移動度の大小、プラ
ズマの電気的非直線性、電極間空間電荷の分布状態、高
調波含有率、等のプラズマ構成物質の純物理的性質及び
基本的特性に起因するものである。従ってVの値はそ
の時点でのプラズマの放電状態の結果を集約した値が示
されていると言って良い。もし、Vが0ボルトならば
プラズマは消失しているのであり、多少なりとも電圧が
検出されれば、弱いプラズマが残存していることを示す
ものである。本発明はこの特異性に着目し、直流電圧V
の観測によって異常放電信号を検出する手段を採用し
た。勿論、正極性尖頭値電圧V、負極性尖頭電圧−V
、および尖頭値電圧VP−Pも、その放電インピーダ
ンスの変動によって同時に変動するので、これ等も異常
放電信号検出の目的で使用することができる。
【図5】でt、t、tにおける3個のパルスは、
振幅の大小はあるもののV、V共0ボルトのレベル
に達していないが、tのもののみが最大振幅で0ボル
トに到達しているのが判る。この場合、次のように判定
できる。tのパルスのVが0ボルトレベルに到達し
たことは、プラズマ自体が一瞬消失したことの証拠であ
る。即ち、アーク放電によってプラズマが局部的に短絡
されたのである。t、t、tにおけるパルスはア
ーク以外の放電形態によって、プラズマの一部領域が局
部放電したものと考えられる。この場合、放電インピー
ダンスがアークの場合に比較して高いので、全体のプラ
ズマが消失するほどの影響を受けていない。この中、t
の最も振幅が大きくアーク放電に近いものは、例えば
花火放電であり、品質上やや危険を伴うものと判断され
る。t、tのものは、プラズマの一部が多分、異常
グロー放電領域に移行した程度で、製品不良の恐れはな
いものと推定される。この検出方法によればこのように
異常放電信号の振幅を見て、異常放電状態のおよその見
当がつけられる利点がある。次に、グロー放電が放電現
象の最終形態であるアーク放電に移行するまでの時間に
ついて考えよう。一般に雷波形のような初期エネルギの
極めて大きい衝撃電圧の場合は、他の放電形態を採るこ
となく、いきなりアーク放電になってしまうことは従来
良く知られている。このような場合、本発明の方式では
全く対応できないことは明らかである。しかし前述のご
とく、プラズマエッチングでの異常放電は、エネルギの
小さい、静かで安定なグロー放電を利用して加工作業を
行う途中で、その一部の領域が何等かの不安定要因で小
規模な異常放電に変わるものであり、この時、種々の放
電形態をとりつつ順次アーク放電に移行して行くもので
あるから、これには当然時間を要するのである。この理
由は
【図5】において、各種の放電形態が検出されることで
証明できる。なぜなら、もし、アーク放電に到る時間的
余裕がないのであれば、
【図5】で検出されるすべてのV上の異常放電信号は
の場合のように、すべて0ボルトレベルに到達して
いる筈であるからである。このように考えると、異常放
電がアーク放電に移行するまでの時間経過を有効に活用
しようとする本発明の要旨は、その適用範囲において充
分に実用的であるものと言えよう。以上の考察により、
次の各項に示す結論が得られた。 4−2−1 伝送線路上のパルス状電圧変動を常時監視
することにより異常放電の発生を検知できる。 4−2−2 どのように微弱な異常放電でもパルス状電
圧変動の形で検出できる。 4−2−3 異常放電信号の振幅の大きいものほどアー
ク放電に近い放電形態である。 4−2−4 異常放電信号の尖頭値が0ボルトのレベル
に到達していないものは、アーク放電に達する以前の放
電形態であって、製品は良品となる確率が高い。 4−2−5 異常放電信号の尖頭値が0ボルトのレベル
になったものは、局部的にアーク放電を生じた証拠であ
り、製品はほとんど不良になる。 4−2−6 4−2−5項の結果はプラズマ自体が消失
したことを意味する。4−2−7 正常グロー放電がア
ーク放電に移行するには、それなりの時間を要する。 以上、異常放電信号の発生、その検出方法及び判定につ
いて検証した。ここでは異常放電信号の検出点を
【図1】のP点としたが、実はこれに限定されるもの
ではなく、高周波電力伝送線路上ならばP、P
等、どこでも同様に検出可能である。異常放電によるプ
ラズマインピーダンスの急変は、電圧反射波となって伝
送線路全体に及ぶからである。 4−3制御信号の作成 次に、上述の検証に基づいて、補足された異常電圧信号
によって、高周波電力をスイッチングするための制御パ
ルスを作成する必要があるので、この代表的回路と動作
を以下に説明する。
【図10】の分圧回路の出力PをP10点のコンパレ
ータ入力に接続する。この場合、
【図10】のCで直流成分がカットされるので、P
点のVの負信号は接地レベルにレベルシフトされ、異
常電圧信号は0ボルトからVに立上る電圧パルスに変
換される。
【図3】は
【図5】のt及びt附近の時間軸を部分的に拡大し
たものである。
【図3】のV曲線上の異常放電信号を上述の
【図10】と
【図11】の組み合わせ回路で検出する。VRによっ
て基準電圧をEに設定すると、UのコンパレータP
点の入力電圧がEに達した瞬間、Uの出力は負極
性領域から正極性しきい値以上に立ち上がる。この点が
【 【図3】のPa、Pb点でり、この時点がta、tbで
ある。この立ち上がりパルスで、Uの出力とダイオー
ドDで結合されたモノステーブル・マルチバイブレー
タUのA端子入力をトリガーする。A端子入力は反対
に立ち上がりパルスではトリガーできない特性があるの
で、プラズマが一瞬消失あるいは減衰後、回復した瞬間
に生じる立ち上がりの電圧変動には不感であるから、動
作上の混乱は生じない。ここで、ダイオードUはモノ
ステーブルマルチバイブレータの入力電圧が負になるの
を禁止する目的で挿入されている。Uがトリガーされ
ると
【図4】に示すように、モノテーブルマルチバイブレー
タのQ端子の出力電圧Vはtの時間だけHレベルを
保つ。tはVRtで任意に設定できるが、tの期間
だけプラズマが消失、或は減衰する動作を行うので、異
常放電信号の補足率、等を考えると、これをあまり大き
く採っても無意味であり、得策とはいえない。ここで
は、アナログ回路で行う基本的動作について述べたが、
他の適当な方法を用いても良く、Uは片電源用ICを
用いても差し支えない。信号レベルの非常に低い微小放
電を検出する必要のある時は、コンパレータUに入る
信号を別のOPアンプで増幅しても良く、この場合、特
性上の厳密さを要求されないので技術的に容易である。 4−4高周波電力のスイッチング 一般に数100W以上の高周波電力の高速スイッチング
は、技術的に非常な困難を伴うものである。例えば有接
点スイッチの場合は、接点間耐電圧、伝送インピーダン
スの急変による電力の反射、大型化による動作の時間遅
れ、電流の増大に伴う接点材質の検討等、無接点スイッ
チの場合は高速化は可能であろうが、使用可能上限周波
数の制限、耐電圧および電流容量の不足、半導体素子の
信頼性、半導体素子にみられる単方向性の双方向性化の
技術的解決、インピーダンス急変による反射の低減化等
々、解決すべき難問が山積している。従って従来の常識
的な方法、手段では高周波電力の高速スイッチをその都
度、当該装置の仕様に合わせて製作することは不可能で
あると断言せざるを得ない。しかし、本発明ではその主
旨からして、この高周波電力の高速スイッチング技術の
解決が要求されているのである。この状況に立脚して研
究の結果、以上の技術的隘路を打開できる技術を開発し
た。以下その方法について述べる。この高周波電力の高
速スイッチングの方法を要約すれば、プラズマ形成に不
可欠なインピーダンス整合装置を、見掛け上一個のスイ
ッチとして利用しようとする方法である。これはすでに
当該装置に適合しているものを使用するのであるから、
電力不足等の新たな問題は全く生じない。インピーダン
ス整合装置は
【図1】のMNに示すごとく、反応室CHの入力インピ
ーダンスZに対して整合装置MNの出力インピーダン
スZnが共軛インピーダンスになるように整合回路を構
成する複数個のリアクタンス素子の中2個のリアクタン
スを可変としたものである。この整合条件を満たしてい
る場合は電源より伝送された高周波電力は全て負荷のプ
ラズマに吸収され反射電力は生じないが、もし不整合で
あれば高周波電力は整合装置で反射され、負荷に到達す
ることができない。この状態の中間に、整合のあいまい
な領域が存在し、この場合には100%全反射ではない
が多少の電力反射がみられ、その分だけ負荷への供給電
力が減少する状態になる。定常状態の時は反射電力が最
も少なくなるよう、即ち整合がとれるよう
【図1】のM、Mモーターでチューニング操作を行う
訳である。整合装置の通過可能最大電力は、構成する素
子の大きさと発熱に留意すれば、理論上制限は特にな
く、一般にKW級以上の電源に多用されている。ここ
で、上述の整合装置の動作を別の側面から見ると、これ
はスイッチの動作にほかならないことが判る。即ち、整
合状態がスイッチのONであり、この時高周波電力はほ
ぼ100%負荷に供給され、不整合状態がスイッチのO
FFに相当し、この時負荷に到達する電力は、全反射に
より0になるからである。従ってプラズマを消すには単
に強制的に整合装置を不整合状態にさせれば良いことに
なる。整合回路を構成している複数個のリアクタンス素
子を組合わせた各素子の値は、定常的に現在のプラズマ
インピーダンスZに整合しているわけであるから、過
渡的にどの箇所のリアクタンスが変化したとしても、
【図1】のチューニング用モーターは瞬時には動作でき
ず、この変化は時間遅れなく直ちに不整合状態を作り出
す。従って任意の一個のリアクタンスを目的の不整合の
程度に応じた値だけ一時的に瞬時に変化させてやれば本
発明の手段としての高速高周波電力スイッチを実現でき
るわけである。具体的原理を
【図12】に示す。これは、VC、L、VC、C
の4個のリアクタンスより成る整合回路のうちC
並列に新たなインピーダンスZを補助スイッチS
並列に付加し、整合条件を一時的に変更する整合器スイ
ッチの一例である。原理的にインピーダンスZはどの
部分のリアクタンスに付加しても良く、Zの内訳はキ
ャパシターC、インダクターL、場合によっては抵抗
R、或はこの組合わせによる回路網を任意に選択でき
る。要はこれ等素子の付加によって当該素子のリアクタ
ンス合成値が変化でき、現在整合している系が不整合に
なれば良いわけである。このようにインピーダンスZ
は実験的に広範囲に設定できるが、通常キャパシターC
を単独で用いるのが適当である。一般にグロー放電の安
定化の目的で、整合回路は負荷電流に対して電圧が垂下
特性を有しており、負荷に並列にCを挿入する本方式で
は、この過渡的短絡効果によってもプラズマの勢力減少
を期待でき、一石二鳥の効果があるからである。この整
合器スイッチはOFF状態の不整合時に生じる大きな反
射波で高周波電源を損傷するおそれがあり、一般的な用
途には不適当であるが、本発明では原理上OFF時間が
極めて短い特徴があるので、特に使用上の制限は必要と
しない。以上のように、インピーダンス整合装置を一時
的に転用するタイプの高速高周波電力スイッチを実現で
きた。以下の結論として特徴を列記する。本発明の
【請求項1】、
【請求項2】および
【請求項3】はすべてのこのスイッチを使用することを
前提として成立したものである。 (イ)インビータンス整合装置内部は全く改造の必要が
ない。 (ロ)ケースMN外の出力端子P或はP点の一点で
制御できる。 (ハ)制御できる高周波電力はすでに整合装置の定格電
力として決定されているので全く留意する必要がない。 (ニ)整合装置MN内部の構造、電力、メーカー名等に
は無関係に適用可能である。 (ホ)極めて小型のインピーダンス素子でKW級の高周
波電力を制御できる。 (ヘ)HF帯の電源周波数の場合、リアクタンス素子の
L、Cの値は常識的に10−7〜10−5(H)、10
−11〜10−10(F)程度であり、その過渡応答は
極めて早く、従って高速である。 (ト)異常放電信号の検出と高周波電力の制御が同一地
点で行なえる。 次に前述の異常放電信号でプラズマを瞬断した場合の効
果について説明する。
【図4】は
【図11】のトランジスタスイッチQの制御電圧V
と放電電圧Vの関係を示したもので、Vが立ち上が
ってから、Tの時間遅れの後Vが0ボルトに急落
し、プラズマが消失したことが判る。Tは高周波電力
スイッチの不可避的時間遅れであり、当然これが小さい
ほうが望ましく、本発明の成否はこの点にあると言って
良い。この時、
【図3】においてアーク放電になるはずのtの異常放
電は、もはやアーク放電になることはできないのであ
る。放電電極に印加されるべき放電電圧VP’が、
【図4】のtにおけるプラズマ消失区間t内に入る
結果、局部的異常放電を継続するエネルギーの供給を断
たれてしまうからである。このように本発明の方式で
は、あるレベル以上のアーク放電はプラズマ内に存在す
ることは不可能であると結論することができる。本発明
を適用したときの総括的結果を
【図6】に示す。
【図5】と
【図6】を比較してみると、tにおけるVとV
の波形が両図とも同一である点で混同しやすいが、この
内容は全く異なるのである。即ち、従来の
【図5】のVの場合は、アーク放電が発生したから、
その短絡作用によってプラズマが消失したのであって、
【図6】のV’の場合はアーク放電になる以前に強制
的にプラズマを消したのである。また、前述のごとく、
【図5】で従来アーク放電になり得ない筈のt
、tにおける異常放電信号、或は原因不明のT
N3における雑音信号でも感応してプラズマが消失して
いるのが判る。本発明を採用するにあたって、この性質
は本質的になんら不都合を生じるものではない。一般に
プラズマエッチング作業は数分間の処理時間を要するの
に対し、このプラズマ消失時間は一回当たり0.05秒
程度であり、その時間比は1万分の2程度であるから、
作業上の時間的損失は無視して良い。それよりも、原因
不明のノイズを含め、疑義を有する全ての異常信号に対
し、応答した方が本発明の主旨から見て得策といえるの
である。更に必要ならば前述のように、異常放電信号を
増幅して使用することも考えられる。これはあくまでも
実験的に決定すべき事項であるが、プラズマを消失でき
ない程度の小規模アーク放電対策として有効であろう。
本発明がプラズマエッチング作業に何等影響をおよぼさ
ない理由は以上述べたように時間的損失が少ないからで
ある。 4−5再放電に関する検討 次にプラズマが損失したのち
【図4】のt秒後、プラズマを回復させる問題につい
て考察する。放電瞬断後の再放電は、
【図5】t区間に示した初期状態での放電開始と比較
すれば次の如き特殊性がある。即ち、放電停止時の負荷
インピーダンスの急変に対し、
【図1】の整合用モーターM、Mは瞬時には機械的
に追従できず、寸前の整合状態をそのまま維持している
こと。ガス系の圧力その他は全く不変であること。放電
開始の瑞緒となるべきイオン、電子が充満しているこ
と。また、放電持続に充分な電気エネルギーが直前の値
を保持していること。等である。このため瞬断直後の再
放電は比較的容易に行われる。なお、一歩進めて
【図7】はV”のレベルを
【図6】の如く0ボルトレベルに落さず、すべてE
ルトに低下せしめたものである。Eボルトのレベルで
はグロー放電からアーク放電に移行できるだけの電気エ
ネルギーはもはや有しないが、微弱なグロー放電と継続
できる程度の電気エネルギーは保持している状態であ
る。この状態を実現する方法は
【図12】の原理図において、実験的にこの状態になる
ようにインピーダンスZを決定すれば良く、比較的容
易に行なえる。このように放電を完全に停止せず弱い放
電を継続させる場合は、何の支障もなく直ちに元のパワ
ーのプラズマに復帰できるので、特に放電開始が困難な
反応ガスの組成、圧力等の加工条件下においては、極め
て有効な方式といえよう。 4−6制御スイッチの構成 4−4項で整合装置を何等改造することなく負荷全電流
をON、OFFできる高周波大電力スイッチが実現され
たが、実用的にはこの整合装置を操作するための制御ス
イッチが必要である。制御スイッチには僅かの電力しか
消費されないので、電流容量は小さくても良いが、高電
圧の高周波電圧が印加され、しかも高速度が要求される
ので技術的には高度のレベルが要求される。この構成は
本発明の適用の成否に関わる重要課題といって良い。
【図2】における制御スイッチSは小型パワーリレー
を用いたもので、比較的小規模の装置に適したものであ
る。一般に小型パワーリレー1個の定格は動作時間数m
Sec、接点耐圧数KV、接点電流20A程度のものが
入手でき、本発明の目的に適合する場合が多い。有接点
であるから無極性であり、高周波でも使用可能なほど形
状が小さい。
【図13】に示したものは、複数個の小型パワーリレー
の接点Swl〜Swnを直列に、各励磁コイルLkl
knを並列に接続し、規模を増大させたものである。
このようにすると、全体の動作速度は1個の場合と同等
で、接点耐圧は直列個数の倍数に増大する。リレーを使
用する場合、この方式が本発明の目的に最も適合すると
思われる。
【図14】のものは制御スイッチとしてQS1とQS2
のトランジスタを使用し、無極性化した例である。トラ
ンジスタスイッチの場合、動作速度は早いが、1個のみ
では当然電流の極性が現れ、リアクタンス負荷の制御上
一般に不都合であるので、ここではnpn、pnpの2
種のトランジスタQS1、QS2を並列に接続し、各々
のベース電流のタイミング調整のためコンパレータ
、UでマルチバイブレータのQ出力信号を処理し
ている。QS1とQS2の逆方向耐圧を向上させる目的
で各コレクターにはダイオードO、Oが挿入されて
いる。しかし、効率に無関係に効果を得られれば良い場
合は、前述の双方向性は無視して、トランジスタ1回路
のみでも動作は期待できるものである。いずれにして
も、高電圧の高周波回路が対象であるのでトランジスタ
本体の規格上の制約からトランジスタの使用が困難な場
合がある。
【図18】のものは本発明において採用された新しい方
式で
【請求項2】で特許請求したものであるので、この方式
の制御スイッチについて以下に詳述する。
【図15】の原理図において、この方式は制御スイッチ
として、トロイダルコアTを使用した可変インダクタン
ス素子による無接点スイッチを実現させたものである。
トロイダルコアTに巻かれた高周波用コイルNと直流
励磁コイルNとは互いに鎖交していないことが構成の必
要条件である。従ってNで生じた高周波磁束ではNに
電圧を誘起せず、逆にNで生じる磁束ではNに誘起電
圧を生じない。ここで可変抵抗器Rで直流電流Iを増加
していくと、IとNの巻数で決まる磁化の強さHアンペ
アターン(AT)の増大に伴ってトロイダルコアTの透
磁率μは減少していき、Tの材質固有の特性により、直
流磁束が飽和すると、透磁率μは最小となる。この過程
で高周波コイルNの自己インダクタンスLはμに比例
して減少していき
【図16】に示すように、直流磁化の強さHによって最
大値Lmaxから最小値Lminにわたり直線的に変化
する、また高周波コイルNのQは磁化の強さHによ
ってはあまり変化せずほぼ一定に保たれる特徴がある。
【図17】でこの可変インダクタンス素子を制御スイッ
チとして使用する場合の原理を説明する。VC、VC
、LおよびCは整合器を構成するリアクタンス回
路網である。整合条件を変更させるには上記リアクタン
ス素子の中、どれを対象にしても良いわけであるが、こ
こではCと並列にトロイダルコイルのインダクタンス
LとコンデンサCの直列回路を挿入する方式を例示し
た。この場合、LとCの直列共振回路が制御スイッチと
して作動する。従って定常状態ではこの直列共振回路は
負荷と同等の高周波電圧に耐えなければならないが、直
列コンデンサCの値を小さく採り、離調時の直列インピ
ーダンスを大にしておけばこの消費電力は極めて僅かで
済み、特に問題はない。この状態で急速にトロイダルコ
アTの直流励磁電流Iを増加させるとトロイダルコイル
LのインダクタンスはLminまたはその附近まで急激
に減少する。LとCの直流インピーダンスとCの合成
インピーダンスは当然急変する結果、現在の時点で整合
していたリアクタンス回路網は瞬時に不整合状態に陥り
スイッチOFFの動作となる。直列インピーダンスの変
化を最大に採りたい場合はLmin或はその附近のイン
ダクタンスLと直列コンデンサCで直列共振を起こすよ
うに定数を決めてやれば良い。この回路は本質的にQ
が高いので良好な共振状態が得られる。また、直流励磁
回路の有する時定数で励磁操作に時間遅れを生じる場合
は動作に影響のない程度の微弱な励磁電流を常時流して
おくことで解決できる。このようにトロイダルコイルを
整合装置の制御スイッチとして使用した場合、無接点、
高信頼性、高速、高耐圧、広い周波数特性、大電力容
量、Q大、大きな耐過負荷性、長寿命等の大きな長所
が得られ、本方式の補助スイッチの用途に最適のものと
認められるものである。以上で4−6制御スイッチの構
成の項を終わる。これまで解決手段は
【図2】に代表されるように解決するための構成要素一
式をケースSPK内に納め、これを反応室CH、或は整
合装置MNに外付けする方式であった。しかし、本発明
の手段はこの方式に止まるものではなく原理的に整合装
置そのもののケースMN内に構成要素を内装させても成
立できるものである。
【図1】において、反応室CHの入力端子Pと整合装
置MNの出力端子Pは同電位であるから異常放電信号
の検出点と高周波電力スイッチの制御点を整合装置MN
の内部に移しても結果は同じである。このようにすると
【図12】の不整合化用外付けインピーダンス素子Z
をスイッチSで付加する位置は、コンデンサCのみ
ならず他のリアクタンス素子の何れについても可能とな
り、設計の自由度増大による性能向上が見込める利点が
ある。当然新たなSPKのケースは不要となり利便性も
向上する。
【図19】は本発明の異常放電防止機能を付加したイン
ピーダンス整合装置の一例を示したものである。ここで
は従来と異なり、制御スイッチをLとVCの接続点
に挿入し、更に制御効果を向上せしめた例を示した。以
上、整合装置を高周波電力スイッチとして使用する解決
手段について説明した。しかし、本発明の課題解決に
は、以上のようにいわゆるパワーレベルの高い箇所で高
周波電力をスイッチングする方式のみではなく、電力の
発生源である高周波電源のプリアンプ回路等、初段回路
の極めてパワーレベルの低い箇所でON、OFF制御し
ても原理的に何等矛盾するものではないことが判る。こ
のようにパワーレベルの低い箇所で高周波電力をスイッ
チングする方式について以下説明する。本発明では先
ず、異常放電信号の検出を行う必要があるが、異常放電
信号は負荷のプラズマインピーダンスの急変に起因する
から、このインピーダンス不整合による整合装置からの
反射波は、この入力端子Pおよび高周波電源出力端子
に確実に伝達される結果、ここを検出点に選ぶこと
ができる。パワーレベルの低い箇所で高周波電力スイッ
チングを行う場合の最大の利点は、性能の良いトランジ
スタスイッチが容易に適用できることで、どのように大
きな高周波電力でもその電源のプリアンプレベルのパワ
ーでON、OFFすれば制御可能であるからである。
【図20】は
【図5】の場合と同時に、Pに生じた異常放電信号の
一例であるが、直流信号VDCはVCで阻止されるか
ら、Vの立下りパルスを検出する必要がある。
【図21】は分圧器を含むこの検出回路の一例で、
【図10】との相違は検波用ダイオードDで高周波信
号正極性半サイクル尖頭値を検波している点である。
【図22】のUは立下りパルスを検出するためのコン
パレータである。その他の回路構成および動作は
【図10】で詳述したものと同様であるのでここでは省
略する。
【図22】のスイッチングトランジスタQで高周波電
力をON、OFFする場合の制御方式の一例を
【図23】の原理図に示す。これは高周波電源RFGの
プリアンプ出力を
【図22】のトランジスタスイッチQで抵抗Rを通
して接地させたものである。QがONになれば高周波
信号はRで短絡され、RGFの出力電力はOFFにな
る、この時の出力電力はRの値で調整できるので
【図7】で述べたような制御は容易である。Rの接続
点はオッシレータの出力端子でも良く、実験的に任意の
箇所に設定すれば良い。
【図24】は上記手段を実用化した実施例である。
【図24】において
【図21】、
【図22】の回路を内装したケースSPK2より導出さ
れた信号検出用ケーブル15、16をインピーダンス整
合装置MNの入力端子PへT型同軸コネクタ等で結合
し、他方SPKから導出された制御用ケーブル17の
末端に制御用トランジスタQを封入したプローブ状金
属ケースPBの出力端子P21は高周波電源内部のプリ
ント基板上の目標制御点に接続する。この配線は高周波
信号回路を最短にして動作上の影響をなくすためであ
る。この方式は前述の例えば
【図2】の場合と異なり、異常放電信号の検出点と高周
波電力の検出点が別々にならざるを得ず、高周波電源内
部も小規模の改造を要する点で不利であると言えるが、
高性能の高周波トランジスタで高速に高周波電力をスイ
ッチできる点はこれらの不利を補って余りあるものがあ
る。
【図24】の異常放電信号検出点はインピーダンス整合
装置MNの入力端子Pと高周波電源RFGの出力端子
との間に採り、異常放電信号をインピーダンス整合
装置MNの反射波として捕らえていたが、この検出点は
前述MNの出力端子Pに設定しても良く、この構成で
【図24】の方式の高周波電力制御を行っても結果は全
て同様で本発明の主旨に全致するものである。次に、
【図25】は高周波電源RFGのケース内に
【図24】の異常放電防止装置を内装せしめて本発明の
主旨を実現させたものである。このようにすると外付け
装置SPK或はSPK2は不要になり利便性は増すのみ
でなく、内部の回路構成を自由に設計できる自由度も向
上し、更に性能の向上を期待できるものである。特にア
ナログスイッチ等の専用電子スイッチを使用できるメリ
ットは大きい。最後に
【図26】は
【図2】と同様に異常放電信号は、この発生点に、最も
近い反応室CHの入力端子から直接検出し、高周波電力
の制御はパワーレベルの極めて低い高周波電源のプリア
ンプ部で行う主旨で構成されたものである。このように
すると検出信号はプラズマの直流成分を観察でき、検出
方法が容易かつ確実の上、高周波電力の制御は高性能の
小型トランジスタ1個で行なえるのでスイッチングが極
めて早い利点がある。
【0006】
【実施例】
【実施例1】
【請求項1】、
【実施例1】の構成を
【図2】に示した。
【図2】は
【図10】に示す分圧器を含む検出回路と
【図11】のコンパレータU、モノステーブルマルチ
バイブレータUおよびトランジスタスイッチQより
成る制御回路でリレー接点SをON、OFFし外部イ
ンピーダンス回路Zをインピーダンス整合装置MNの
リアクタンス回路網に外挿する方法で、インピーダンス
整合装置MNを高周波電力スイッチとして使用したもの
である。
【請求項1】の最大の長所は、信号検出と電力制御を同
時に1箇所の点、例えばPで行なえる点である。
【実施例2】
【図13】は
【請求項1】に基づく
【実施例2】を示した構成図である。
【図13】は、
【図2】の例を拡張し、リレーの数を増加させて更に実
用化させたものである。複数個のリレー接点は直列に接
続され、接点耐圧は個数倍に増大するが、並列に励磁コ
イルを接続されたリレー群の動作速度は1個の場合と同
様であるという特徴を有する。その他の動作は
【実施例1】と同様である。
【実施例3】
【図14】は
【請求項1】に関する
【実施例3】を示す構成図である。
【図14】は
【実施例1】と同様の動作を行うが、有接点リレーをト
ランジスタスイッチで無接点化したもので、動作の高速
化と高信頼性の点で有利である。有接点リレーの動作と
同様の無極性を得るためにNPN、PNPの2種のトラ
ンジスタで並列に接続し、これを正負双方向共に動作さ
せるためU、Uのコンパレータでそれぞれのベース
信号を作り出している。
【実施例4】
【請求項2】に基づく実施例を
【実施例4】とし、
【図18】にその構成図を示す。
【図18】は従来のリレー、トランジスタ等のスイッチ
素子と異なり、新しい構想により実現した無接点制御素
子である。インピーダンス整合装置とスイッチと利用す
る点は
【図2】、
【図13】、
【図14】等
【請求項1】の場合と同様であるが、その制御スイッチ
の構成が全く異なるもので、これを
【請求項2】とした。この方式は、制御スイッチにトロ
イダルコアを使用し、トロイダルコイルのインダクタン
スLとコンデンサCの直列共振回路を整合装置MNのリ
アクタンス回路網の出力に並列に挿入し、別に設けた励
磁コイルの直流電流を制御することでLを変化させ、そ
の共振インピーダンスの大きな変化を整合装置不整合化
に利用しようとする原理で開発されたものである。
【図18】は以上の構想をケースSPKに内装したもの
で、この使用例は
【図2】と全く同様である。
【実施例5】
【請求項3】に基づく実施例を
【実施例5】とし、その構成を
【図19】に示した。
【図19】は
【請求項1】および
【請求項2】に示した本発明の構成要素をインピーダン
ス整合装置MNのケース内部に内装し、異常放電防止機
能付きインピーダンス整合装置として独立させたもので
ある。この
【請求項3】の方式は、他に付属装置を要しないので利
便性が増加する上、設計上内部リアクタンス素子への制
御点選択の自由度が増す結果、
【請求項1】の場合に較べ、更なる性能向上を期待でき
る利点がる。
【実施例6】
【請求項4】に関する実施例を
【実施例6】とし、
【図24】にその構成図を示した。
【図24】は異常放電信号をインピーダンス整合装置よ
りの反射波として補足するため、その入力端子Pを検
出点に選び、ケースSPK2とケーブル15、16で接
続する一方、SPK2から導出されたケーブル17の先
端に制御用トランジスタQを封入したプローブ状ケー
スPBを設け、これを高周波電源RFGのケース内に延
長して出力端子P21点を電力制御部分に接続したもの
である。この方式の利点は動作速度が早く制御が容易な
ことである。
【実施例7】
【図25】は
【請求項5】の実施例を示す構成図である。
【図25】は本発明の異常放電防止装置の浅構を高周波
電源内部に内装せしめたものである。このようにすると
他に何等付属装置を要せず、利便性が増大する。また、
高周波電源の設計段階でスイッチングの最適回路を併せ
て設計でき、性能の更なる向上を計ることができる。
【実施例8】
【図26】は
【請求項6】の実施例を示す構成図である。これは
【請求項1】の場合と同様に、反応室CHの入力端子P
点から異常放電信号を検出するが、高周波電力のスイ
ッチはパワーレベルの低い高周波電源のプリアンプ部分
で行う点が
【請求項1】と異なる方式である。この方式の利点は異
常放電信号の検出が確実で、高周波電力のスイッチング
が早いことである。
【0007】
【発明の効果】プラズマエッチングにおける従来の事故
対策は、膨大な品質管理データに基づく受動的なもので
あったが、本発明の適用によって、発生の兆候が得られ
た時点で、事故一件毎にその都度1:1で対応するとい
う、極めて能動的かつ積極的な事故対策効果を初めて得
ることができた。本方式では事故発生の兆候が無ければ
全く動作せず、その動作もパルス的短時間であるので、
通常の作業条件に影響を与えることはなかった。殊に、
インピーダンス整合装置を高周波電力制御スイッチとし
て一時的に転用するという画期的効果によって、次のご
とき大きな利点を得ることができた。即ちこれは本発明
の構成要素一式を小型ケースに納めた
【図18】に示したような独立した商品を開発すること
ができたことである。この商品の使用効果について次に
特徴を列記してみる。 (イ) 異常放電信号検出点と高周波電力制御点が同一
地点であるから、この商品は2本の電線で当該装置に結
ぶのみで動作する。 (ロ) プラズマエッチング装置の規模の大小、構造、
配線方式、製造者名、定格電力、負荷電流、放電電圧、
等には原理的に無関係であり、いかなる場合もほぼ無条
件で対応できる。 (ハ) 電池のみの動作も可能で、雑音対策上有利、簡
便性大である。 (ニ) 経年変化を生じる要素が少なく、高信頼性を有
す。 (ホ) ほとんど無調整で使用できる。 (ヘ) 新たな消費原料を必要としない。 以上に本発明の商品化の一例とその効果を示したが、本
発明の採用にあたっての最大の効果は何といってもその
経済的効果である。プラズマエッチング装置系列全体の
巨大な経済的投資規模に比較すれば、本発明の適用に要
する投資費用は無視できるほど小さく、この程度の投資
で高価な被加工材料の異常放電による不良発生被害を自
動的に、定常的に、継続的に、無意識的に、繰返して、
無条件で、確実に、かつ余分な消耗材料を必要とせず
に、救済できるのであるから、本発明の効果は、これに
優るものはないといっても過言ではなかろう。
【0008】
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラズマエッチングの基本装置系統図
【図2】
【実施例1】を示す構成図
【図3】 異常放電信号の拡大説明図
【図4】 スイッチングパルスの動作説明図
【図5】 異常放電信号を示す説明図
【図6】 放電電圧波形を示す説明図
【図7】
【請求項7】に関する説明図
【図8】 放電電極の構造を示す平面図と正面図
【図9】 異常放電信号の成因を示す原理図
【図10】 異常放電信号の検出回路を示す回路図
【図11】 スイッチングパルスの形成回路を示す回路
【図12】 高周波電力制御スイッチの構成を示す原理
【図13】
【実施例2】を示す構成図
【図14】
【実施例3】を示す構成図
【図15】
【請求項2】に関する原理図
【図16】
【請求項2】に関する磁気的特性図
【図17】
【請求項2】に関する構成図
【図18】
【実施例4】を示す構成図
【図19】
【請求項3】に関する構成図
【図20】 異常放電信号の反射波を示す説明図
【図21】 異常放電信号の検出回路を示す回路図
【図22】 スイッチングパルスの形成回路を示す回路
【図23】
【実施例6】の電力制御回路を示す原理図
【図24】
【実施例6】を示す構成図
【図25】
【請求項5】に関する構成図
【図26】
【請求項6】に関する構成図
【符合の説明】
1:同軸ケーブル 2:電極引出線 3:気密槽 4:
反応ガス 5:上部電極 6:蓋 7:プラズマ 8:被加工物 9:下部電力
10:アース線 11:気密コック 12:排気管 13:電線 14:
接地用電線 COMP:コンピュータ RFG:高周波電源 MN:
インピーダンス整合装置 CH:反応室 RFD:反射波検出器 MCC:モータ
ー制御装置 M、M:モーター VC、VC:バリコン L
:直列コイル C:並列コンデンサ SPK:ケー
ス Zc:プラズマインピーダンス Zn:整合装置出
力インピーダンス Zm:整合装置入力インピーダンス
Zg:高周波電源出力インピーダンス V:放電電
圧波形 Z:任意のインピーダンス L:リレーコ
イル S:接点 CHL:チョークコイル VDC:プラズ
マの直流電圧波形 Pa、Pb:電圧変動パルスの変動
検出点 ta、tb:変動検出点の時間的位置 V:ta、tbを基準に作られたスイッチングパルス
波形 t:スイッチングトランジスタのON時間 V
’:本発明を適用した時の放電電圧波形 t:制御
スイッチの時間遅れ t:プラズマの消失期間 t、t:異常放電の最
大値を示す時間的位置 t、t、t、t:異常放電の時間的発生位置を
示す波形 t:プラズマが安定状態になる時間的位置
”:
【請求項7】に関する放電電圧波形 tN1、tN2、tN3:雑音電圧波形 S:放電電極
面積 ΔSn:Sをn個に分割した場合の微小面積
d:電極間距離 ΔZn:微小プラズマ柱1個のプラズ
マインピーダンス Z:放電電極から見たプラズマイ
ンピーダンス U:コンパレータ U:モノステー
ブルマルチバイブレータ Q:トランジスタスイッチ
:高周波電源の出力電圧 U、U:コンパレ
ータ QS1、QS2:トランジスタスイッチ T:ト
ロイダルコア N:直流励磁巻線 Φ:直流励磁巻線に
よる磁束 μ:トロイダルコアの透磁率 N:高周波
コイルの巻線 Φ:高周波コイルによる磁束 L:高周波コイルの自己インダクタンス H:磁化の強
さ(アンペアターン) Q:高周波コイルのクオリティフアクタ K:スイッ
チ Q:スイッチングトランジスタ PB:プローブ
SPK2:ケース SPK3:ケース
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年3月9日(2001.3.9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】プラズマエッチングにおける異常放電自
動防止装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の利用分野は、IC、LE
D、液晶、その他各種半導体の製造に広く用いられるプ
ラズマエッチングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、プラズマエッチングは
【図1】に示すように、エッチング加工を行う反応室C
H、プラズマ発生の電気エネルギ供給源である高周波電
源RFG、高周波電力を最高効率でプラズマに伝送する
ためのインビータンス整合装置MNの基本的に3種類の
装置を使用する系で行われる。全体のシステムは、コン
ピュータCOMPで管理され、全自動化による高効率な
生産が行われている。本発明に関連する装置の動作を
【図1】を用いて、以下簡単に説明する。反応室CHの
入力端子Pにインピーダンス整合装置MNの出力端子
を接続し、このMNの入力端子Pに高周波電源R
FGの出力端子Pを同軸ケーブル1で接続する。反応
室CH内の下部放電電極9上に加工物8を置き、気密扉
6で槽3を密閉後、排気管にコック11で真空排気した
後、反応ガス4が一定圧力で封入される。この状態で高
周波電源がONされると
【図2】に示すようにtON点でスタートした放電電圧
は上下電極5、9間で放電が開始するまで上昇を続
け、5、9間でグロー放電を開始し、プラズマ7が形成
されると同時にVが一定レベルEに低下する。この
時のVの最大値がEPKである。一定放電が開始する
と、インピーダンス整合装置MNは形成されたプラズマ
のインピーダンスZとインビータンス整合装置の出力
インピーダンスZnが整合するように、MNに内蔵され
た反射波検出器RFDの出力で反応するモータ制御回路
MCCで駆動されたモーターM、MでバリコンVC
、VCを調整し、チューニング操作を行う。この操
作が行われている期間は放電電圧は不安定で変動が大き
く、この立ち上げ期間の終了点を
【図2】のtsで示した。このインピーダンス整合操作
は、高周波回路特有の性質であって、整合が取れないと
高周波電力は整合点で反射され負荷のプラズマに充分伝
送されないし、場合によってはプラズマの発生が不可能
になる。従って、整合装置はプラズマ形成上不可欠な装
置である。以後、プラズマエッチングは高周波電源RF
GのOFF即ちtOFF点まで進行して行くが、詳細な
説明は省略する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】プラズマエッチングは
加工品の種類に関係なく
【図1】に示した装置系列で行われるのが普通である。
このような系で加工した場合の最大の問題は、局部的ア
ーク放電の突発的発生で、加工品の一部が熟的破壊を受
け、不良品が多発することである。これら加工品は当
然、究極的微細構造を有するものが多く、その製造条件
はデリケートであり、ましてこれら異常放電発生機構は
必ずしも解明されていない現状で、単に品質管理のみに
頼っていたのでは、この種の不良発生を防止できないの
は明らかと言えよう。特に問題なのは、不良発生の被害
状況が最終検査工程に到らなければ判明しないことであ
る。コンピュータによる生産効率化が裏目に出て知らな
いうちに不良品が山積しても最終検査を待たなければ確
認できないのである。いや最終検査で分かってもすでに
手遅れなのであって、これでは単に不良発生の事実が確
認されたに他ならないのである。このような事態になら
ざるを得ない理由は
【図1】の系が事故発生に対して自動的抑止能力を備え
ていないためである。本発明の課題はこのような問題を
解決するため自動的事故防止機能を系に与え、アーク放
電等の異常放電に起因する不良発生を積極的に抑制しよ
うとすることである。
【0004】
【発明を解決するための手段】本発明の要旨は、プラズ
マエッチングにおいて、アーク放電の瑞緒とみられる放
電電極上の異常放電信号を検出し、この信号の原因とな
った放電形態が時間の推移と共にアーク放電に移行する
以前に、プラズマ形成のエネルギである高周波供給電力
を極めて短時間遮断或は減衰せしめて、加工作業自体に
影響を与えることなく、局部的アーク放電に起因する不
良発生を防止する装置の構成に関するものである。この
目的を達成するための技術的諸問題は複雑多岐にわた
り、解決は簡単ではない。従って、本明細書では、本発
明の根幹である異常放電信号の本質およびその判定につ
いて検証し、次いで各自解決手段を次の6項目について
順次詳述して行くのが適当と思われる。 4−1 異常放電波形の生成 4−2 異常放電信号の検出と判別 4−3 制御信号の作成 4−4 高周波電力のスイッチング 4−5 再放電に関する検討 4−6 制御スイッチの構成 以上の解決手段について次の
【作用】の項で逐次詳述する。
【0005】
【作用】4−1 異常放電波形の生成 放電理論によれば、放電現象は、一般にコロナ、正常グ
ロー、異常グロー、火花、およびアークの各形態に大別
され、プラズマ放電加工はその中の安定な正常グロー放
電領域で行われる。各形態の電流密度は後者ほど大きく
局部的に集中し、放電状態の維持は不安定となる。従っ
て、アーク放電を生じると加工中の材料は局部的に重大
な熱的破壊を受けることになる。勿論、アーク放電と一
口で言っても、放電電圧その他の条件で、その大きさに
程度の差を生じるので、説明の都合上、本明細書では1
個のアーク放電でプラズマ自体が一時的に消失する程度
の比較的大規模のものについて、説明することにする。
ここで便宜上、電極の印加電圧を電極電流で除した量、
即ちプラズマインピーダンスなる量を定義すれば、この
値はアーク放電において極めて小さく前者になるほど大
きい。
【図3】は
【図1】の反応室CH内において、プラズマ7の発生し
ている部分の拡大図である。但し、ここでは上部電極5
を正面図で省略した。ここで下部電極9の総面積Sをn
個の微小面積ΔSnに分割したと考える。電極間距離を
dとすればプラズマ内には
【図3】の平面図に示すように、ΔS・dの体積の微細
なプラズマ体が上下電極5、9間の電気力線と平行に存
在していると見なせる。即ち、プラズマの全体積はΔS
n・dであり、プラズマは対面に微小面積の導体電極を
持ち、互いに平行に整列した無数の独立のプラズマ柱の
集合体を見なすことができる。このように考えると、プ
ラズマ内のどの部分にどのような微小局部放電を生じて
も、必ず微細プラズマ柱の内部で放電していることにな
り、その捕捉が可能であると言える。この現象が異常放
電信号生成の原因である。今、この1個毎の微細プラズ
マ柱のインピーダンスをΔZとすれば、プラズマ全体の
プラズマインピーダンスZcは
【図4】の等価回路に示すようにΔZn個のインピーダ
ンスの並列合成値となる。ここで着目すべきは並列の言
葉の示す意味であって、並列接続の場合、その構成要素
1個の値で全体の値が支配されてしまう特徴があること
である。極端な場合、或る部分の1個のΔZが0オーム
であれば他の残りのΔZがどのような値であっても、そ
の並列合成インピーダンスは0オームである。この傾向
はΔZが0オームに近いほど大きく、この性質を使うこ
とにより、アーク放電のような極めてインピーダンスの
低い放電と、これが比較的高い他の放電形態とを判別す
ることができるのである。 4−2 異常放電信号の検出と判別 本発明の電圧検出器の具体例を
【図5】に示す。R、Rで抵抗分圧器を構成し、検
出点であるP点の高周波高電圧をICレベルに降圧す
る。Rは通常1MΩ以上の高抵抗を使用するからプラ
ズマの状態に無関係である。Cはパルス状電圧を検出
するための微小容量のスピードアップコンデンサで、整
合器CHの動作に影響を及ぼすことはない。高周波チョ
ークCHLとCでローパスフィルタを構成し、高周波
成分を減衰させる。C、Rは微分回路で信号の急速
な変化分のみを通過させる一方、ゆるやかな電圧レベル
の変動には不感であるから、作業の終点検出等のシステ
ムの基本動作には全く影響を与えない特徴がある。
【図2】は、
【図1】のP点に
【図5】の分圧器入力P点を接続し、分圧点a点の電
圧信号をデジタルオシロスコープを用いて長時間記録し
た例を模式的に画いたものである。ただし、これはそれ
ぞれ独立した波形を便宜上一つにまとめたもので、波形
相互の関係はない。データは放電電圧(正極性尖頭値電
圧)Vおよび直流電圧Vの2種類とし、期間は高周
波電力印加時tONと停止時tOFFにわたって行っ
た。このようにして観測すると曲線上に幅の狭いパルス
上の電圧変動が時々発見される。この中、t、t
、tにおけるパルス状波形を異常放電波形とみな
すこととする。tN1、tN2、tN3の波形は比較の
ためノイズ波形を例示した。放電電圧Vは高周波電圧
の正の半サイクルを検波したものを用いて表し、正極性
尖頭値波形のエンベロープに相当する。一方、VはV
と同一点に発生する直流電圧である。一般に、高周波
電圧は正負対称の正弦波であるから、直流電圧の発生す
る余地はないが、高周波放電の場合は放電電極に通常、
負の極性の直流電圧が必ず誘起される。この理由は主と
して、イオンと電子の質量の相違、移動度の大小、プラ
ズマの電気的非直線性、電極間空間電荷の分布状態、高
調波含有率、等のプラズマ構成物質の純物理的性質及び
基本的特性に起因するものである。従ってVの値はそ
の時点でのプラズマの放電状態の結果を集約した値が示
されていると言って良い。もし、Vが0ボルトならば
プラズマは消失しているのであり、多少なりとも電圧が
検出されれば、弱いプラズマが残存していることを示す
ものである。本発明はこの特異性に着目し、直流電圧V
の観測によって異常放電信号を検出する手段を採用し
た。勿論、正極性尖頭値電圧V、負極性尖頭電圧−V
、および尖頭値電圧Vも、その放電インピーダ
ンスの変動によって同時に変動するので、これ等も異常
放電信号検出の目的で使用することができる。
【図2】でt、t、tにおける3個のパルスは、
振幅の大小はあるもののV、V共0ボルトのレベル
に達していないが、tのもののみが最大振幅で0ボル
トに到達しているのが判る。この場合、次のように判定
できる。tのパルスのVが0ボルトレベルに到達し
たことは、プラズマ自体が一瞬消失したことの証拠であ
る。即ち、アーク放電によってプラズマが局部的に短絡
されたのである。t、t、tにおけるパルスはア
ーク以外の放電形態によって、プラズマの一部領域が局
部放電したものと考えられる。この場合、放電インピー
ダンスがアークの場合に比較して高いので、全体のプラ
ズマが消失するほどの影響を受けていない。この中、t
の最も振幅が大きくアーク放電に近いものは、例えば
花火放電であり、品質上やや危険を伴うものと判断され
る。t、tのものは、プラズマの一部が多分、異常
グロー放電領域に移行した程度で、製品不良の恐れはな
いものと推定される。この検出方法によればこのように
異常放電信号の振幅を見て、異常放電状態のおよその見
当がつけられる利点がある。次に、グロー放電が放電現
象の最終形態であるアーク放電に移行するまでの時間に
ついて考えよう。一般に雷波形のような初期エネルギの
極めて大きい衝撃電圧の場合は、他の放電形態を採るこ
となく、いきなりアーク放電になってしまうことは従来
良く知られている。このような場合、本発明の方式では
全く対応できないことは明らかである。しかし前述のご
とく、プラズマエッチングでの異常放電は、エネルギの
小さい、静かで安定なグロー放電を利用して加工作業を
行う途中で、その一部の領域が何等かの不安定要因で小
規模な異常放電に変わるものであり、この時、種々の放
電形態をとりつつ順次アーク放電に移行して行くもので
あるから、これには当然時間を要するのである。この理
由は
【図2】において、各種の放電形態が検出されることで
証明できる。なぜなら、もし、アーク放電に到る時間的
余裕がないのであれば、
【図2】で検出されるすべてのV上の異常放電信号は
の場合のように、すべて0ボルトレベルに到達して
いる筈であるからである。このように考えると、異常放
電がアーク放電に移行するまでの時間経過を有効に活用
しようとする本発明の要旨は、その適用範囲において充
分に実用的であるものと言えよう。以上の考察により、
次の各項に示す結論が得られた。 4−2−1 伝送線路上のパルス状電圧変動を常時監視
することにより異常放電の発生を検知できる。 4−2−2 どのように微弱な異常放電でもパルス状電
圧変動の形で検出できる。 4−2−3 異常放電信号の振幅の大きいものほどアー
ク放電に近い放電形態である。 4−2−4 異常放電信号の尖頭値が0ボルトのレベル
に到達していないものは、アーク放電に達する以前の放
電形態であって、製品は良品となる確率が高い。 4−2−5 異常放電信号の尖頭値が0ボルトのレベル
になったものは、局部的にアーク放電を生じた証拠であ
り、製品はほとんど不良になる。 4−2−6 4−2−5項の結果はプラズマ自体が消失
したことを意味する。 4−2−7 正常グロー放電がアーク放電に移行するに
は、それなりの時間を要する。 以上、異常放電信号の発生、その検出方法及び判定につ
いて検証した。ここでは異常放電信号の検出点を
【図1】のP点としたが、実はこれに限定されるもの
ではなく、高周波電力伝送線路上ならばP、P
等、どこでも同様に検出可能である。異常放電によるプ
ラズマインピーダンスの急変は、電圧反射波となって伝
送線路全体に及ぶからである。 4−3 制御信号の作成 次に、上述の検証に基づいて、補足された異常電圧信号
によって、高周波電力をスイッチングするための制御パ
ルスを作成する必要があるので、この代表的回路と動作
を以下に説明する。
【図5】の分圧回路の出力PをP10点のコンパレー
タ入力に接続する。この場合、
【図5】のCで直流成分がカットされるので、P
のVの負信号は接地レベルにレベルシフトされ、異常
電圧信号は0ボルトからVに立上る電圧パルスに変換
される。
【図7】は
【図2】のt及びt附近の時間軸を部分的に拡大し
たものである。
【図7】のV曲線上の異常放電信号を上述の
【図5】と
【図6】の組み合わせ回路で検出する。VRによって
基準電圧をEに設定すると、UのコンパレータP
点の入力電圧がEに達した瞬間、Uの出力は負極性
領域から正極性しきい値以上に立ち上がる。この点が
【図7】のPa、Pb点であり、この時点がta、tb
である。この立ち上がりパルスで、Uの出力とダイオ
ードDで結合されたモノステーブル・マルチバイブレ
ータUのA端子入力をトリガーする。A端子入力は反
対に立ち上がりパルスではトリガーできない特性がある
ので、プラズマが一瞬消失あるいは減衰後、回復した瞬
間に生じる立ち上がりの電圧変動には不感であるから、
動作上の混乱は生じない。ここで、ダイオードUはモ
ノステーブルマルチバイブレータの入力電圧が負になる
のを禁止する目的で挿入されている。Uがトリガーさ
れると
【図8】に示すように、モノテーブルマルチバイブレー
タのQ端子の出力電圧Vはtの時間だけHレベルを
保つ。tはVRtで任意に設定できるが、tの期間
だけプラズマが消失、或は減衰する動作を行うので、異
常放電信号の補足率、等を考えると、これをあまり大き
く採っても無意味であり、得策とはいえない。ここで
は、アナログ回路で行う基本的動作について述べたが、
他の適当な方法を用いても良く、Uは片電源用ICを
用いても差し支えない。信号レベルの非常に低い微小放
電を検出する必要のある時は、コンパレータUに入る
信号を別のOPアンプで増幅しても良く、この場合、特
性上の厳密さを要求されないので技術的に容易である。 4−4 高周波電力のスイッチング 一般に数100W以上の高周波電力の高速スイッチング
は、技術的に非常な困難を伴うものである。例えば有接
点スイッチの場合は、接点間耐電圧、伝送インピーダン
スの急変による電力の反射、大型化による動作の時間遅
れ、電流の増大に伴う接点材質の検討等、無接点スイッ
チの場合は高速化は可能であろうが、使用可能上限周波
数の制限、耐電圧および電流容量の不足、半導体素子の
信頼性、半導体素子にみられる単方向性の双方向性化の
技術的解決、インピーダンス急変による反射の低減化等
々、解決すべき難問が山積している。従って従来の常識
的な方法、手段では高周波電力の高速スイッチをその都
度、当該装置の仕様に合わせて製作することは不可能で
あると断言せざるを得ない。しかし、本発明ではその主
旨からして、この高周波電力の高速スイッチング技術の
解決が要求されているのである。この状況に立脚して研
究の結果、以上の技術的隘路を打開できる技術を開発し
た。以下その方法について述べる。この高周波電力の高
速スイッチングの方法を要約すれば、プラズマ形成に不
可欠なインピーダンス整合装置を、見掛け上一個のスイ
ッチとして利用しようとする方法である。これはすでに
当該装置に適合しているものを使用するのであるから、
電力不足等の新たな問題は全く生じない。インピーダン
ス整合装置は
【図1】のMNに示すごとく、反応室CHの入力インピ
ーダンスZに対して整合装置MNの出力インビーダン
スZnが共軛インピーダンスになるように整合回路を構
成する複数個のリアクタンス素子の中2個のリアクタン
スを可変としたものである。この整合条件を満たしてい
る場合は電源より伝送された高周波電力は全て負荷のプ
ラズマに吸収され反射電力は生じないが、もし不整合で
あれば高周波電力は整合装置で反射され、負荷に到達す
ることができない。この状態の中間に、整合のあいまい
な領域が存在し、この場合には100%全反射ではない
が多少の電力反射がみられ、その分だけ負荷への供給電
力が減少する状態になる。定常状態の時は反射電力が最
も少なくなるよう、即ち整合がとれるよう
【図1】のM、Mモーターでチューニング操作を行う
訳である。整合装置の通過可能最大電力は、構成する素
子の大きさと発熱に留意すれば、理論上制限は特にな
く、一般にKW級以上の電源に多用されている。ここ
で、上述の整合装置の動作を別の側面から見ると、これ
はスイッチの動作にほかならないことが判る。即ち、整
合状態がスイッチのONであり、この時高周波電力はほ
ぼ100%負荷に供給され、不整合状態がスイッチのO
FFに相当し、この時負荷に到達する電力は、全反射に
より0になるからである。従ってプラズマを消すには単
に強制的に整合装置を不整合状態にさせれば良いことに
なる。整合回路を構成している複数個のリアクタンス素
子を組合わせた各素子の値は、定常的に現在のプラズマ
インピーダンスZに整合しているわけであるから、過
渡的にどの箇所のリアクタンスが変化したとしても、
【図1】のチューニング用モーターは瞬時には動作でき
ず、この変化は時間遅れなく直ちに不整合状態を作り出
す。従って任意の一個のリアクタンスを目的の不整合の
程度に応じた値だけ一時的に瞬時に変化させてやれば本
発明の手段としての高速高周波電力スイッチを実現でき
るわけである。具体的原理を
【図9】に示す。これは、VC、L、VC、C
の4個のリアクタンスより成る整合回路のうちCに並
列に新たなインピーダンスZを補助スイッチSで並
列に付加し、整合条件を一時的に変更する整合器スイッ
チの一例である。原理的にインピーダンスZはどの部
分のリアクタンスに付加しても良く、Zの内訳はキャ
パシターC、インダクターL、場合によっては抵抗R、
或はこの組合わせによる回路網を任意に選択できる。要
はこれ等素子の付加によって当該素子のリアクタンス合
成値が変化でき、現在整合している系が不整合になれば
良いわけである。このようにインピーダンスZは実験
的に広範囲に設定できるが、通常キャパシターCを単独
で用いるのが適当である。一般にグロー放電の安定化の
目的で、整合回路は負荷電流に対して電圧が垂下特性を
有しており、負荷に並列にCを挿入する本方式では、こ
の過渡的短絡効果によってもプラズマの勢力減少を期待
でき、一石二鳥の効果があるからである。この整合器ス
イッチはOFF状態の不整合時に生じる大きな反射波で
高周波電源を損傷するおそれがあり、一般的な用途には
不適当であるが、本発明では原理上OFF時間が極めて
短い特徴があるので、特に使用上の制限は必要としな
い。以上のように、インピーダンス整合装置を一時的に
転用するタイプの高速高周波電力スイッチを実現でき
た。以下の結論として特徴を列記する。本発明の
【図8】は
【図6】のトランジスタスイッチQの制御電圧V
放電電圧Vの関係を示したもので、Vが立ち上がっ
てから、Tの時間遅れの後Vが0ボルトに急落し、
プラズマが消失したことが判る。Tは高周波電力スイ
ッチの不可避的時間遅れであり、当然これが小さいほう
が望ましく、本発明の成否はこの点にあると言って良
い。この時、
【図7】においてアーク放電になるはずのtの異常放
電は、もはやアーク放電になることはできないのであ
る。放電電極に印加されるべき放電電圧VP’が、
【図8】のtにおけるプラズマ消失区間tv内に入る
結果、局部的異常放電を継続するエネルギーの供給を断
たれてしまうからである。このように本発明の方式で
は、あるレベル以上のアーク放電はプラズマ内に存在す
ることは不可能であると結論することができる。本発明
を適用したときの総括的結果を
【図10】に示す。
【図2】と
【図10】を比較してみると、tにおけるV
’の波形が両図とも同一である点で混同しやすい
が、この内容は全く異なるのである。即ち、従来の
【図2】のVの場合は、アーク放電が発生したから、
その短絡作用によってプラズマが消失したのであって、
【図10】のV’の場合はアーク放電になる以前に強
制的にプラズマを消したのである。また、前述のごと
く、
【図2】で従来アーク放電になり得ない筈のt
、tにおける異常放電信号、或は原因不明のT
N3における雑音信号でも感応してプラズマが消失して
いるのが判る。本発明を採用するにあたって、この性質
は本質的になんら不都合を生じるものではない。一般に
プラズマエッチング作業は数分間の処理時間を要するの
に対し、このプラズマ消失時間は一回当たり0.05秒
程度であり、その時間比は1万分の2程度であるから、
作業上の時間的損失は無視して良い。それよりも、原因
不明のノイズを含め、疑義を有する全ての異常信号に対
し、応答した方が本発明の主旨から見て得策といえるの
である。更に必要ならば前述のように、異常放電信号を
増幅して使用することも考えられる。これはあくまでも
実験的に決定すべき事項であるが、プラズマを消失でき
ない程度の小規模アーク放電対策として有効であろう。
本発明がプラズマエッチング作業に何等影響をおよぼさ
ない理由は以上述べたように時間的損失が少ないからで
ある。4−5 再放電に関する検討次にプラズマが損失
したのち
【図8】のtv秒後、プラズマを回復させる問題につい
て考察する。放電瞬断後の再放電は、
【図2】ts区間に示した初期状態での放電開始と比較
すれば次の如き特殊性がある。即ち、放電停止時の負荷
インピーダンスの急変に対し、
【図1】の整合用モーターM、Mは瞬時には機械的
に追従できず、寸前の整合状態をそのまま維持している
こと。ガス系の圧力その他は全く不変であること。放電
開始の瑞緒となるべきイオン、電子が充満しているこ
と。また、放電持続に充分な電気エネルギーが直前の値
を保持していること。等である。このため瞬断直後の再
放電は比較的容易に行われる。なお、一歩進めて
【図11】はV”のレベルを
【図10】の如く0ボルトレベルに落さず、すべてE
ボルトに低下せしめたものである。Eボルトのレベル
ではグロー放電からアーク放電に移行できるだけの電気
エネルギーはもはや有しないが、微弱なグロー放電と継
続できる程度の電気エネルギーは保持している状態であ
る。この状態を実現する方法は
【図9】の原理図において、実験的にこの状態になるよ
うにインピーダンスZを決定すれば良く、比較的容易
に行なえる。このように放電を完全に停止せず弱い放電
を継続させる場合は、何の支障もなく直ちに元のパワー
のプラズマに復帰できるので、特に放電開始が困難な反
応ガスの組成、圧力等の加工条件下においては、極めて
有効な方式といえよう。 4−6 制御スイッチの構成 4−4項で整合装置を何等改造することなく負荷全電流
をON、OFFできる高周波大電力スイッチが実現され
たが、実用的にはこの整合装置を操作するための制御ス
イッチが必要である。制御スイッチには僅かの電力しか
消費されないので、電流容量は小さくても良いが、高電
圧の高周波電圧が印加され、しかも高速度が要求される
ので技術的には高度のレベルが要求される。この構成は
本発明の適用の成否に関わる重要課題といって良い。
【図12】における制御スイッチSwは小型パワーリレ
ーを用いたもので、比較的小規模の装置に適したもので
ある。一般に小型パワーリレー1個の定格は動作時間数
mSec、接点耐圧数KV、接点電流20A程度のもの
が入手でき、本発明の目的に適合する場合が多い。有接
点であるから無極性であり、高周波でも使用可能なほど
形状が小さい。
【図13】に示したものは、複数個の小型パワーリレー
の接点Sw1〜Swnを直列に、各励磁コイルLk1
knを並列に接続し、規模を増大させたものである。
このようにすると、全体の動作速度は1個の場合と同等
で、接点耐圧は直列個数の倍数に増大する。リレーを使
用する場合、この方式が本発明の目的に最も適合すると
思われる。
【図14】のものは制御スイッチとしてQS1とQS2
のトランジスタを使用し、無極性化した例である。トラ
ンジスタスイッチの場合、動作速度は早いが、1個のみ
では当然電流の極性が現れ、リアクタンス負荷の制御上
一般に不都合であるので、ここではnpn、pnpの2
種のトランジスタQS1、QS2を並列に接続し、各々
のベース電流のタイミング調整のためコンパレータ
、UでマルチバイブレータのQ出力信号を処理し
ている。QS1とQS2の逆方向耐圧を向上させる目的
で各コレクターにはダイオードO、Oが挿入されて
いる。しかし、効率に無関係に効果を得られれば良い場
合は、前述の双方向性は無視して、トランジスタ1回路
のみでも動作は期待できるものである。いずれにして
も、高電圧の高周波回路が対象であるのでトランジスタ
本体の規格上の制約からトランジスタの使用が困難な場
合がある。
【図18】のものは本発明において採用された新しい方
式で
【図15】の原理図において、この方式は制御スイッチ
として、トロイダルコアTを使用した可変インダクタン
ス素子による無接点スイッチを実現させたものである。
トロイダルコアTに巻かれた高周波用コイルNと直流
励磁コイルNとは互いに鎖交していないことが構成の必
要条件である。従ってNで生じた高周波磁束ではNに
電圧を誘起せず、逆にNで生じる磁束ではNに誘起電
圧を生じない。ここで可変抵抗器Rで直流電流Iを増加
していくと、IとNの巻数で決まる磁化の強さHアンペ
アターン(AT)の増大に伴ってトロイダルコアTの透
磁率μは減少していき、Tの材質固有の特性により、直
流磁束が飽和すると、透磁率μは最小となる。この過程
で高周波コイルNの自己インダクタンスLはμに比例
して減少していき
【図16】に示すように、直流磁化の強さHによって最
大値Lmaxから最小値Lminにわたり直線的に変化
する、また高周波コイルNのQは磁化の強さHによ
ってはあまり変化せずほぼ一定に保たれる特徴がある。
【図17】でこの可変インダクタンス素子を制御スイッ
チとして使用する場合の原理を説明する。VC、VC
、LおよびCは整合器を構成するリアクタンス回
路網である。整合条件を変更させるには上記リアクタン
ス素子の中、どれを対象にしても良いわけであるが、こ
こではCと並列にトロイダルコイルのインダクタンス
LとコンデンサCの直列回路を挿入する方式を例示し
た。この場合、LとCの直列共振回路が制御スイッチと
して作動する。従って定常状態ではこの直列共振回路は
負荷と同等の高周波電圧に耐えなければならないが、直
列コンデンサCの値を小さく採り、離調時の直列インピ
ーダンスを大にしておけばこの消費電力は極めて僅かで
済み、特に問題はない。この状態で急速にトロイダルコ
アTの直流励磁電流Iを増加させるとトロイダルコイル
LのインダクタンスはLminまたはその附近まで急激
に減少する。LとCの直流インピーダンスとCの合成
インピーダンスは当然急変する結果、現在の時点で整合
していたリアクタンス回路網は瞬時に不整合状態に陥り
スイッチOFFの動作となる。直列インピーダンスの変
化を最大に採りたい場合はLmin或はその附近のイン
ダクタンスLと直列コンデンサCで直列共振を起こすよ
うに定数を決めてやれば良い。この回路は本質的にQ
が高いので良好な共振状態が得られる。また、直流励磁
回路の有する時定数で励磁操作に時間遅れを生じる場合
は動作に影響のない程度の微弱な励磁電流を常時流して
おくことで解決できる。このようにトロイダルコイルを
整合装置の制御スイッチとして使用した場合、無接点、
高信頼性、高速、高耐圧、広い周波数特性、大電力容
量、Q大、大きな耐過負荷性、長寿命等の大きな長所
が得られ、本方式の補助スイッチの用途に最適のものと
認められるものである。以上で4−6制御スイッチの構
成の項を終わる。これまで解決手段は
【図12】に代表されるように解決するための構成要素
一式をケースSPK内に納め、これを反応室CH、或は
整合装置MNに外付けする方式であった。しかし、本発
明の手段はこの方式に止まるものではなく原理的に整合
装置そのもののケースMN内に構成要素を内装させても
成立できるものである。
【図1】において、反応室CHの入力端子Pと整合装
量MNの出力端子Pは同電位であるから異常放電信号
の検出点と高周波電力スイッチの制御点を整合装置MN
の内部に移しても結果は同じである。このようにすると
【図9】の不整合化用外付けインピーダンス素子Z
スイッチSで付加する位置は、コンデンサCのみな
らず他のリアクタンス素子の何れについても可能とな
り、設計の自由度増大による性能向上が見込める利点が
ある。当然新たなSPKのケースは不要となり利便性も
向上する。
【図19】は本発明の異常放電防止機能を付加したイン
ピーダンス整合装置の一例を示したものである。ここで
は従来と異なり、制御スイッチをLとVCの接続点
に挿入し、更に制御効果を向上せしめた例を示した。以
上、整合装置を高周波電力スイッチとして使用する解決
手段について説明した。しかし、本発明の課題解決に
は、以上のようにいわゆるパワーレベルの高い箇所で高
周波電力をスイッチングする方式のみではなく、電力の
発生源である高周波電源のプリアンプ回路等、初段回路
の極めてパワーレベルの低い箇所でON、OFF制御し
ても原理的に何等矛盾するものではないことが判る。こ
のようにパワーレベルの低い箇所で高周波電力をスイッ
チングする方式について以下説明する。本発明では先
ず、異常放電信号の検出を行う必要があるが、異常放電
信号は負荷のプラズマインピーダンスの急変に起因する
から、このインピーダンス不整合による整合装置からの
反射波は、この入力端子Pおよび高周波電源出力端子
に確実に伝達される結果、ここを検出点に選ぶこと
ができる。パワーレベルの低い箇所で高周波電力スイッ
チングを行う場合の最大の利点は、性能の良いトランジ
スタスイッチが容易に適用できることで、どのように大
きな高周波電力でもその電源のプリアンプレベルのパワ
ーでON、OFFすれば制御可能であるからである。
【図20】は
【図2】の場合と同時に、Pに生じた異常放電信号の
一例であるが、直流信号VDCはVCで阻止されるか
ら、Vの立下りパルスを検出する必要がある。
【図21】は分圧器を含むこの検出回路の一例で、
【図5】との相違は検波用ダイオードDdで高周波信号
正極性半サイクル尖頭値を検波している点である。
【図22】のUは立下りパルスを検出するためのコン
パレータである。その他の回路構成および動作は
【図5】で詳述したものと同様であるのでここでは省略
する。
【図22】のスイッチングトランジスタQで高周波電
力をON、OFFする場合の制御方式の一例を
【図23】の原理図に示す。これは高周波電源RFGの
プリアンプ出力を
【図22】のトランジスタスイッチQで抵抗Rを通
して接地させたものである。QがONになれば高周波
信号はRで短絡され、RGFの出力電力はOFFにな
る、この時の出力電力はRの値で調整できるので
【図11】で述べたような制御は容易である。Rの接
続点はオッシレータの出力端子でも良く、実験的に任意
の箇所に設定すれば良い。
【図24】は上記手段を実用化した実施例である。
【図24】において
【図21】、
【図22】の回路を内装したケースSPK2より導出さ
れた信号検出用ケーブル15、16をインピーダンス整
合装置MNの入力端子PへT型同軸コネクタ等で結合
し、他方SPKから導出された制御用ケーブル17の
末端に制御用トランジスタQを封入したプロープ状金
属ケースPBの出力端子P21は高周波電源内部のプリ
ント基板上の目標制御点に接続する。この配線は高周波
信号回路を最短にして動作上の影響をなくすためであ
る。この方式は前述の例えば
【図12】の場合と異なり、異常放電信号の検出点と高
周波電力の検出点が別々にならざるを得ず、高周波電源
内部も小規模の改造を要する点で不利であると言える
が、高性能の高周波トランジスタで高速に高周波電力を
スイッチできる点はこれらの不利を補って余りあるもの
がある。
【図24】の異常放電信号検出点はインピーダンス整合
装置MNの入力端子Pと高周波電源RFGの出力端子
との間に採り、異常放電信号をインピーダンス整合
装置MNの反射波として捕らえていたが、この検出点は
前述MNの出力端子Pに設定しても良く、この構成で
【図24】の方式の高周波電力制御を行っても結果は全
て同様で本発明の主旨に全致するものである。次に、
【図25】は高周波電源RFGのケース内に
【図24】の異常放電防止装置を内装せしめて本発明の
主旨を実現させたものである。このようにすると外付け
装置SPK或はSPK2は不要になり利便性は増すのみ
でなく、内部の回路構成を自由に設計できる自由度も向
上し、更に性能の向上を期待できるものである。特にア
ナログスイッチ等の専用電子スイッチを使用できるメリ
ットは大きい。最後に
【図26】は
【図12】と同様に異常放電信号は、この発生点に、最
も近い反応室CHの入力端子から直接検出し、高周波電
力の制御はパワーレベルの極めて低い高周波電源のプリ
アンプ部で行う主旨で構成されたものである。このよう
にすると検出信号はプラズマの直流成分を観察でき、検
出方法が容易かつ確実の上、高周波電力の制御は高性能
の小型トランジスタ1個で行なえるのでスイッチングが
極めて早い利点がある。
【0006】
【実施例】
【実施例1】
【実施例1】の構成を
【図12】に示した。
【図12】は
【図5】に示す分圧器を含む検出回路と
【図6】のコンパレータU、モノステーブルマルチバ
イブレータUおよびトランジスタスイッチQより成
る制御回路でリレー接点SをON、OFFし外部イン
ピーダンス回路Zをインピーダンス整合装置MNのリ
アクタンス回路網に外挿する方法で、インピーダンス整
合装置MNを高周波電力スイッチとして使用したもので
ある。このインピーダンス整合装置との接続を具体化す
るために
【実施例1】では、インピーダンス整合装置をスイッチ
化するための制御機構をケースSPK内に一括して納め
製品化した。このようにするとどのようなエッチング装
置にも現場で直ちに適用できる利点が生じる。即ち、
【図1】でケースSPKをインピーダンス整合装置MN
の近傍に固定し、端子PとRを、短い、ただ1本の
電線で結び、端子PをケースSPKと共に接地するの
みで良く、使用法は極めて容易である。単純に1組の電
気配線で済む理由は前述のごとく、異常電圧の検出点と
電力の制御点が同一地点で良いとする本発明の要旨が生
かされた結果である。このように
【実施例1】は1個の独立した製品に構成することによ
り、非常に大きな利便性を生じる特長がある。
【実施例2】
【図13】は
【実施例2】を示した構成図である。
【図13】は、
【図12】の例を拡張し、リレーの数を増加させて更に
実用化させたものである。複数個のリレー接点は直列に
接続され、接点耐圧は個数倍に増大するが、並列に励磁
コイルを接続されたリレー群の動作速度は1個の場合と
同様であるという特徴を有する。
【図13】はインピーダンス整合器をスイッチ化するた
めの制御機構をすべてケースSPK内に納め、独立の製
品と成したもので
【図1】の端子Pと端子Pを短い電線で結び、P
をケースSPKと共に接地固定するのみで、あらゆるエ
ッチング装置に適用できる利便性を有しているのは
【実 【実施例1】で説明したものと同様である。
【実施例3】
【図14】は
【実施例3】を示す構成図である。
【図14】は
【実施例1】と同様の動作を行うが、有接点リレーをト
ランジスタスイッチで無接点化したもので、動作の高速
化と高信頼性の点で有利である。有接点リレーの動作と
同様の無極性を得るためにNPN、PNPの2種のトラ
ンジスタで並列に接続し、これを正負双方向共に動作さ
せるためU、Uのコンパレータでそれぞれのベース
信号を作り出している。
【図14】は以上のようにトランジスタスイッチで構成
されたインピーダンス整合器のスイッチ化機構を独立し
たケースSPKに一括して内装して成る装置の構成図で
あって、本図の端子P
【図1】のP3とを1本の電線で結び、一方のPをケ
ースSPKと共に接地するのみであらゆるエッチング装
置に対応できる利便性を有しているのは
【実施例1】の場合と同様である。
【実施例4】
【実施例4】とし、
【図18】にその構成図を示す。
【図18】は従来のリレー、トランジスタ等のスイッチ
素子と異なり、新しい構想により実現した無接点制御素
子である。インピーダンス整合装置とスイッチと利用す
る点は
【図12】、
【図13】、
【図14】等
【図18】はインピーダンス整合器をスイッチ化するた
めの制御機構を一括してケースSPKに納め、独立の製
品と成したものである。この使用法は
【図1】のインピーダンス整合装置MNの端子PとP
を1本の電線で結び、端子PをケースSPKと共に
接地固定するのみで良く極めて容易であり、どのような
エッチング装置にも適用できる大きな利便性がある。使
用上のこのような単純性は異常電圧の検出点と電力の制
御点が同一地点で良いとする本発明の主旨に由来するも
のである。
【実施例5】
【実施例5】とし、その構成を
【図19】に示した。
【図19】は
【実施例6】
【実施例6】とし、
【図24】にその構成図を示した。
【図24】は異常放電信号をインピーダンス整合装置よ
りの反射波として補足するため、その入力端子Pを検
出点に選び、ケースSPK2とケーブル15、16で接
続する一方、SPK2から導出されたケーブル17の先
端に制御用トランジスタQを封入したプローブ状ケー
スPBを設け、これを高周波電源RFGのケース内に延
長して出力端子P21点を電力制御部分に接続したもの
である。この方式の利点は動作速度が早く制御が容易な
ことである。但し、この方式が
【実施例1】から
【実施例5】のものに比べて異なるのは、異常放電信号
の検出点と電力の制御点が同一地点ではないことであ
り、電力制御はあくまでも高周波電源の低パワーレベル
の所で行うのが趣旨である点である。従って本方式では
インピーダンス整合装置のスイッチ化とは無関係に本発
明の主旨を実現しようとするものである。
【実施例7】
【図25】は
【図25】は本発明の異常放電防止装置の機構を高周波
電源内部に内装せしめたものである。このようにすると
他に何等付属装置を要せず、利便性が増大する。また、
高周波電源の設計段階でスイッチングの最適回路を併せ
て設計でき、性能の更なる向上を計ることができる。高
周波電源の出力端子Pにはプラズマの放電電極上に発
生した異常放電信号がパルスの状態で出力ケーブル上を
インピーダンス整合装置から反射し検出される。これを
波形処理して小規模の半導体スイッチQSでプリアンプ
出力等の低パワーレベルの信号回路を断続させ、パワー
レベルの大きな出力高周波電力をタイミングパルスの設
定に従ってON、OFFさせる。検出点と制御点は
【実施例1】〜
【実施例5】のように同一地点ではないが、設計段階で
考慮すれば、インピーダンス整合装置と無関係に、ま
た、出力の大きさに関係なく高周波電源単独で、いわゆ
るプラズマ異常放電防止機能付高周波電源が実現でき
る。
【実施例8】
【図26】は
【実施例1】と
【実施例6】とを複合させた構成であって、当然異常放
電信号検出点と電力制御点は異なるものであるが、それ
ぞれ最も基本的で間違いのない点を決定したのが
【実施例8】の特長である。検出及び波形処理回路をケ
ースSPK3に内装し、独立した製品として使用する。
【0007】
【発明の効果】プラズマエッチングにおける従来の事故
対策は、膨大な品質管理データに基づく受動的なもので
あったが、本発明の適用によって、発生の兆候が得られ
た時点で、事故一件毎にその都度1:1で対応するとい
う、極めて能動的かつ積極的な事故対策効果を初めて得
ることができた。本方式では事故発生の兆候が無ければ
全く動作せず、その動作もパルス的短時間であるので、
通常の作業条件に影響を与えることはなかった。殊に、
インピーダンス整合装置を高周波電力制御スイッチとし
て一時的に転用するという画期的効果によって、次のご
とき大きな利点を得ることができた。即ちこれは本発明
の構成要素一式を小型ケースに納めた
【図18】に示したような独立した商品を開発すること
ができたことである。この商品の使用効果について次に
特徴を列記してみる。 (イ) 異常放電信号検出点と高周波電力制御点が同一
地点であるから、この商品は2本の電線で当該装置に結
ぶのみで動作する。 (ロ) プラズマエッチング装置の規模の大小、構造、
配線方式、製造者名、定格電力、負荷電流、放電電圧、
等には原理的に無関係であり、いかなる場合もほぼ無条
件で対応できる。 (ハ) 電池のみの動作も可能で、雑音対策上有利、簡
便性大である。 (ニ) 経年変化を生じる要素が少なく、高信頼性を有
す。 (ホ) ほとんど無調整で使用できる。 (ヘ) 新たな消費原料を必要としない。 以上に本発明の商品化の一例とその効果を示したが、本
発明の採用にあたっての最大の効果は何といってもその
経済的効果である。プラズマエッチング装置系列全体の
巨大な経済的投資規模に比較すれば、本発明の適用に要
する投資費用は無視できるほど小さく、この程度の投資
で高価な被加工材料の異常放電による不良発生被害を自
動的に、定常的に、継続的に、無意識的に、繰返して、
無条件で、確実に、かつ余分な消耗材料を必要とせず
に、救済できるのであるから、本発明の効果は、これに
優るものはないといっても過言ではなかろう。
【0008】
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラズマエッチング作業に用いられる基本装
置相互間の接続方式を示す系統図
【図2】 プラズマの放電電極上の高周波印加電圧およ
び誘起される直流電圧の双方に発生するパルス状異常電
圧を示す説明図
【図3】 放電電極上に発生したプラズマの構造を模式
的に解析するための説明図
【図4】 プラズマインピーダンスを模式的に解析する
ための説明図
【図5】 異常放電信号の検出を行うための代表的回路
【図6】 異常放電信号の検出レベルの設定およびタイ
ミングパルスの発生を行う代表的回路図
【図7】
【図2】の異常電圧の部分拡大図で、検出レベルとタイ
ミングを示す説明図
【図8】
【図6】で作成されたタイミングパルスで、放電電力を
断続させる時のスイッチングタイム説明図
【図9】 インピーダンス整合回路の一般例を示す回路
【図10】 本発明により改良された効果を、高周波印
加電圧および誘起直流電圧双方のパルス状電圧で示した
説明図
【図11】 本発明により、特に
【図12】
【実施例1】を示し、リレーを制御スイッチとし、イン
ピーダンス整合装置で高周波電力のON、OFFを行う
方式の異常放電防止装置構成図
【図13】
【実施例2】示し、小型高速リレーを複数個接続して
【実施例1】の装置を大規模化した装置の構成図
【図14】
【実施例3】を示し、トランジスタを制御スイッチと
し、インピーダンス整合装置で高周波電力のON、OF
Fを行う方式の異常放電防止装置構成図
【図15】
【図16】
【図15】の素子の電気磁気的特性図
【図17】
【図18】
【実施例4】、
【図19】
【図20】 高周波電源の出力ライン上で検出される異
常放電パルスを示す説明図
【図21】
【図20】のパルスを検出するための代表的回路図
【図22】 異常放電パルスの検出レベルの設定及びタ
イミングパルスの発生を行う代表的回路図
【図23】 低いパワーレベルにおける高周波電力のO
N、OFF制御の一例を示す回路図
【図24】
【実施例6】に関し、インピーダンス整合装置入力ライ
ンから異常放電信号を検出し、そのタイミングパルスで
高周波電源を制御する異常放電防止装置の構成図
【図25】
【図26】
【符合の説明】 1:同軸ケーブル 2:電極引出線 3:気密槽 4:
反応ガス 5:上部電極 6:蓋 7:プラズマ 8:被加工物 9:下部電極
10:アース線 11:気密コック 12:排気管 1
3:ケーブル 14:ケーブル 15:ケーブル 1
6:ケーブル 17:ケーブル COMP:コンピュー
タ RFG:高周波電源 MN:インピーダンス整合装
置 CH:反応室 RFD:反射波検出器MCC:モー
ター制御装置 M、M:モーター VC、V
:バリコン L:直列コイル C:並列コンデ
ンサ SPK:ケース Z:プラズマインピーダンス
Zn:整合装置出力インピーダンス Zm:整合装置
入力インピーダンス Zg:高周波電源出力インピーダ
ンス V:放電電圧波形 Z:任意のインピーダン
ス L:リレーコイル S:接点 CHL:チョー
クコイル VDC:プラズマの直流電圧波形 Pa、P
b:電圧変動パルスの変動検出点 ta、tb:変動検
出点の時間的位置 V:ta、tbを基準に作られた
スイッチングパルス波形 t:スイッチングトランジ
スタのON時間 V’:本発明を適用した時の放電電圧波形 t:制
御スイッチの時間遅れ tv:プラズマの消失期間 t、t:異常放電の最
大値を示す時間的位置 t、t、t、t:異常放電の時間的発生位置を
示す波形 ts:プラズマが安定状態になる時間的位置
”:
【請求項7】に関する放電電圧波形 tN1、tN2、tN3:雑音電圧波形 S:放電電極
面積 ΔSn:Sをn個に分割した場合の微小面積
d:電極間距離 ΔZn:微小プラズマ柱1個のプラズ
マインピーダンス Z:放電電極から見たプラズマイ
ンピーダンス U:コンパレータ U:モノステー
ブルマルチバイブレータ Q:トランジスタスイッチ
:高周波電源の出力電圧 U、U:コンパレ
ータ QS1、QS2:トランジスタスイッチ T:ト
ロイダルコア N:直流励磁巻線 Φ:直流励磁巻線に
よる磁束 μ:トロイダルコアの透磁率 N:高周波
コイルの巻線 Φ:高周波コイルによる磁束 L:高
周波コイルの自己インダクタンス H:磁化の強さ(ア
ンペアターン) Q:高周波コイルのクオリティフア
クタ K:スイッチ Q:スイッチングトランジスタ
PB:プローブ SPK2:ケース SPK3:ケー
ス ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年3月9日(2001.3.9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図12】
【図15】
【図6】
【図7】
【図8】
【図16】
【図21】
【図22】
【図24】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図18】
【図13】
【図17】
【図19】
【図20】
【図23】
【図25】
【図26】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラズマエッチングにおいて、インピーダ
    ンス整合装置出力端子上に出現するパルス状電圧変動
    を、プラズマ中の異常放電現象発生信号と認知し、この
    パルス状電圧の変動開始初期値を検出し、その時間的位
    置を基準とするスイッチングパルスを作成する一方、別
    に設けた補助制御スイッチによって、インピーダンス整
    合装置出力端子線に、任意の外部インピーダンスを一時
    的に並列に挿入することにより、整合回路の合成インピ
    ーダンスが急変し、現在の整合状態が瞬時に不整合化さ
    れる原理により、インピーダンス整合装置を等価的に高
    周波電力制御スイッチとして使用し、前記異常放電の形
    態が最終的にアーク放電に移行する時間経過以前に、前
    記スイッチングパルスのタイミングに応じた補助制御ス
    イッチの動作で、一時的にプラズマの勢力を消失、或は
    減衰させ、異常放電現象の増大化を阻止する方式の異常
    放電自動防止装置。
  2. 【請求項2】高周波電力制御スイッチに関し、それぞれ
    に発生する磁束が鎖交しないように、トロイダルコアに
    高周波コイルと直流励磁コイルを巻き、直流励磁コイル
    の直流電流を増大して行くと、トロイダルコアの透磁率
    μの低下に伴い、高周波コイルの自己インダクタンスL
    が減少して行き、最終的に飽和段階に到るトロイダルコ
    ア固有の特性を利用する一方、このLとコンデンサCで
    直列共振回路を形成し、これをインピーダンス整合回路
    を構成するリアクタンス回路網の任意のリアクタンス素
    子に付加させると、直列共振回路特有の大きなインピー
    ダンス変化に伴って整合状態が不整合化される特性を利
    用して、トロイダルコアの直流励磁電流の制御によって
    インピーダンス整合装置を等価的に無接点スイッチ化し
    た高周波電力制御スイッチ。
  3. 【請求項3】プラズマエッチングに使用されるインピー
    ダンス整合装置に関し、インピーダンス整合装置出力端
    子に出現するパルス状電圧変動を異常放電現象発生信号
    と認知し、そのパルス状電圧変動の初期値を検出し、こ
    の時間的位置を基準とするスイッチングパルスを作成す
    る一方、インピーダンス整合回路を構成する複数の任意
    のリアクタンス素子に任意の外部インピーダンスを付加
    すると、整合回路が瞬時に不整合化される原理に基づ
    き、インピーダンス整合回路を等価的に高周波電力制御
    スイッチとして使用し、前記異常放電の形態が最終的に
    アーク放電に移行する時間経過以前に前記スイッチング
    パルスのタイミングに応じた補助制御スイッチの作用
    で、一時的に伝送電力を停止或は減衰させ、プラズマ中
    の異常放電現象増大化を阻止する方式の異常放電自動防
    止機能を内装したインピーダンス整合装置。
  4. 【請求項4】プラズマエッチングに関し、インピーダン
    ス整合装置入力端子から反射されるパルス状電圧変動を
    プラズマ中の異常放電現象発生信号と認知し、このパル
    ス状電圧変動の初期値を検出し、この時間的位置を基準
    とするスイッチングパルスを作成する一方、このパルス
    により制御されるトランジスタスイッチで、高周波電源
    を構成する任意の高周波信号回路を短絡させることによ
    り、高周波出力電力をスイッチングさせる手段を用い
    て、前記異常放電の形態が最終的にアーク放電に移行す
    る時間経過以前にプラズマに供給する高周波出力電力を
    一時的に停止、或は減少させて、異常放電現象の増大化
    を阻止する方式の異常放電自動防止装置。
  5. 【請求項5】プラズマエッチングに使用される高周波電
    源に関し、その出力端子に出現するパルス状電圧変動を
    インピーダンス整合装置入力端子から反射された負荷プ
    ラズマに起因する異常放電現象発生信号と認知し、その
    パルス状電圧変動初期値を検出し、この時間的位置を基
    準とするスイッチングパルスを作成する一方、このパル
    スタイミングで制御された電子スイッチにより、任意の
    高周波信号回路をスイッチングし、前記異常放電の形態
    が最終的にアーク放電に移行する時間経過以前に高周波
    出力電力を一時的に停止、或は減衰させて負荷の異常放
    電現象増大化を阻止する方式の異常放電自動防止機能を
    内装した高周波電源装置。
  6. 【請求項6】プラズマエッチングにおいて、インピーダ
    ンス整合装置出力端子に出現するパルス状電圧変動をプ
    ラズマ中の異常放電現象発生信号と認知し、このパルス
    状電圧変動開始初期値を検出し、その時間的位置を基準
    とするスイッチングパルスを作成する一方、このパルス
    で制御されるトランジスタスイッチで高周波電源を構成
    する任意の高周波信号回路を短絡することにより、高周
    波出力電力をスイッチングさせる手段を用いて、前記異
    常放電の形態が最終的にアーク放電に移行する時間経過
    以前にプラズマに供給する高周波出力電力を一時的に停
    止、或は減衰させてプラズマ中の異常放電現象増大化を
    阻止する方式の異常放電自動防止装置。
  7. 【請求項7】プラズマエッチングに関し、プラズマ中の
    異常放電現象増大化を阻止する目的で、異常放電発生の
    初期値にタイミングを合わせて、プラズマの勢力を消
    失、或は減少せしめて異常放電発生による被害を防止す
    る本発明の主旨を実施する際、プラズマ瞬断後の再放電
    を容易にするため、完全にプラズマを消失させず、実験
    的に調整された微弱な放電を継続的に発生させておくこ
    とを特徴とする異常放電自動防止装置。
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