JP2002173096A - 宇宙構造体 - Google Patents

宇宙構造体

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JP2002173096A
JP2002173096A JP2000372793A JP2000372793A JP2002173096A JP 2002173096 A JP2002173096 A JP 2002173096A JP 2000372793 A JP2000372793 A JP 2000372793A JP 2000372793 A JP2000372793 A JP 2000372793A JP 2002173096 A JP2002173096 A JP 2002173096A
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antenna
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Shuichi Kawasaki
秀一 川崎
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 宇宙構造体に関し、宇宙に打ち上げ後ガス又
は空気で膨らませることによりアンテナを形成させ、反
射面の曲面をアクチュエータで正確に制御する。 【解決手段】 膨張体10、枠体11、支柱12はガス
又は変形自在な材料からなる密閉構造でガス又は空気を
注入して膨らませる。膨張体10の凹状曲面には複数の
アクチュエータCが取付けられ、ロッドLで膜状の反射
面1を支持している。アンテナ本体は4分割されてお
り、それぞれ膨張体、アクチュエータC、反射面1、枠
体11を一体的に結合して分割部分を構成し、各分割部
分は宇宙へ打ち上げ時には折り畳んで縮小して打ち上
げ、宇宙においてガス又は空気で膨らませる。その際に
反射面1の曲面はアクチュエータCを作動させ、正確な
曲面を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は宇宙空間において衛
星に装備される宇宙アンテナに関し、宇宙空間に打ち上
げた後ガス等を注入して膨らませることにより受信面を
形成させ超大型のアンテナを組み立てることができるも
のである。
【0002】
【従来の技術】宇宙空間の衛星に装備されるアンテナや
電波望遠鏡は大型であり、アンテナを組立てた状態で宇
宙空間に打ち上げることができず、現状では、複雑なリ
ンク機構で折り畳んでおり、スペースシャトル、等で打
ち上げ、宇宙空間の衛星においてリンク機構を作動させ
てアンテナを展開させてアンテナを宇宙にて完成させて
いる。そのために折り畳んだとしても相当の容量と重量
を必要とし打ち上げに制限を受ける。特に近年計画され
ている宇宙ステーションで使用するアンテナは超大型と
なり、アンテナの受信面の直径は数10m〜数kmにも及
ぶ膨大な大きさのアンテナの使用が計画されている。
【0003】従って、このような超大型のアンテナを宇
宙に打ち上げるには大型の構造物の部品を数多く打ち上
げる必要があり、打ち上げ能力にはおのずと限界があ
り、部品の軽量化はもちろん、小容量で部品の構造を簡
略化し、数も極力少なくして打ち上げることが必要とな
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のように宇宙ステ
ーションで用いられる超大型のアンテナは、形状、容
量、重量とも大型で、その部品も大型のものを数多く有
しており、スペースシャトル、等で打ち上げるにはおの
ずと制限があり、又、宇宙空間でのアンテナの組立てに
も多くの困難な作業を必要としている。従って、軽量
で、部品の数も少なく、宇宙への打ち上げの負担を出来
るだけ軽減し、又、宇宙空間での組立作業で簡略化し、
特にアンテナの反射面の曲面を正確に調整することを容
易な構造とする超大型のアンテナの開発が望まれてい
た。
【0005】そこで本発明では、アンテナは、膜状の構
造で形成した分割部分から構成し、宇宙空間へ打ち上げ
る際には折り畳んで小容量の縮小した形状の分割部分を
宇宙へ打ち上げ、打ち上げ後宇宙ステーション、等の衛
星において各部分にガス又は空気、等の気体を注入して
膨らませて、これらを組合せてアンテナとして完成さ
せ、その後反射面の曲面形状を正確に調整できる宇宙ア
ンテナを提供することを課題としてなされたものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を解
決するために次の(1))〜(7)の手段を提供する。
【0007】(1)膜状で変形自在な材料からなり密閉
された構造で宇宙空間においてガス又は空気を注入して
膨らませることにより一方の側面に凹状曲面を形成する
膨張体と、同膨張体の凹状曲面に配設された複数のシリ
ンダと、同複数のシリンダの作動ロッド先端にそれぞれ
支持され前記凹状曲面に沿って配設されて電波又は光を
反射する膜状の反射面と、変形自在な材料からなり密閉
された環状の構造で宇宙空間においてガス又は空気を注
入して膨らませることにより前記膨張体と反射面の周縁
部を固定し支持する枠体と、変形自在な材料からなり密
閉された棒状の構造で宇宙空間においてガス又は空気を
注入して膨らませることにより一端が前記枠体に固定さ
れ他端で送受信器を支持する複数の支柱と、前記複数の
アクチュエータの作動を制御し前記反射面の曲面の形状
を変化させて調整する制御部とを備えてアンテナを構成
することを特徴とする宇宙構造体。
【0008】(2)前記膨張体、アクチュエータ、反射
面及び枠体からなる構造体は中心から放射状に複数個に
分割されており、同分割部分を結合して構成されること
を特徴とする(1)記載の宇宙構造体。
【0009】(3)前記膨張体及び反射面及び支柱に
は、前記送受信器に代えて受光装置が取付けられ反射型
望遠鏡として用いられることを特徴とする(1)又は
(2)記載の宇宙構造体。
【0010】(4)前記各分割部分同志の結合、及び同
分割部分と前記支柱との結合は、結合面の一方には凸状
連結部を、他方には前記凸状連結部が挿入される凹状連
結部が設けられ、両連結部を膨張させることにより結合
されることを特徴とする(2)又は(3)記載の宇宙構
造体。
【0011】(5)前記支柱はテレスコピック方式によ
り折り畳まれていることを特徴とする(1)から(4)
のいずれかに記載の宇宙構造体。
【0012】(6)前記制御部は、前記注入されるガス
又は空気の注入圧力と温度を調整し、予め定められた適
正な圧力と温度となるように調整可能とすることを特徴
とする請求項(1)から(5)のいずれかに記載の宇宙
構造体。
【0013】(7)前記制御部は、前記複数のアクチュ
エータで支持された前記反射面の表面近辺の曲面位置を
順次測定し、基準の曲面位置と比較して誤差があれば、
該当するアクチュエータを作動させてその個所の前記反
射面の位置を修正し誤差をなくすように制御することを
特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の宇宙構
造体。
【0014】本発明の(1)においては、膨張体、枠
体、支柱は膜状の変形自在な材料からなる密閉構造であ
り、又反射面も膜状で変形自在な材料からなっており、
反射面はアクチュエータにより膨張体の凹状の曲面に支
持されている。従って、膨張体と反射面及び枠体とは一
体的に結合した状態であり、宇宙へ打ち上げる時には、
折り畳んだ状態で縮小した形状で容積を小さくして打ち
上げることができる。又、同様に支柱も折り畳んで打ち
上げることができる。宇宙へ打ち上げ後、宇宙において
膨張体、枠体、支柱にガス又は注入して膨らませること
により宇宙アンテナ本体を形成し、支柱の他端で送受信
器を支持すると、宇宙アンテナが組立てられる。組立
後、反射面の曲面が必ずしも正確な曲面が形成されてい
るとは限らないので正確な曲面に修正する必要がある。
制御部は複数のアクチュエータを制御して所定の形状を
保つために反射面の位置を予め定められた位置へ移動さ
せて位置調整を行うことにより正確な曲面の反射面を形
成させることができる。
【0015】従って、宇宙への打ち上げ時の容積や重量
が著しく軽減され、打ち上げ時の負担を軽減すると共
に、宇宙での組立も容易になされ、反射面の曲面の形成
が正確になされ、曲面の誤差の修正、調整が簡単になさ
れる。
【0016】本発明の(2)では、膨張体及び反射面は
複数個の分割部分に分割され打ち上げ時には折り畳んで
縮小状態とし、又、支柱も複数個所で折り畳んで縮小さ
れた状態で宇宙へ打ち上げられる。宇宙へ打ち上げられ
たこれら分割部分と支柱は宇宙の衛星において人手又は
ロボットによりガス又は空気が注入されて膨らませた
後、分割部分同志を結合して膨張体及び反射面を有する
パラボラアンテナが形成され、支柱によりアンテナへ送
受信器が取付けられアンテナが完成する。従って、アン
テナ完成後の反射面の曲面は、上記(1)の発明と同様
に形成され、正確なアンテナ反射面が得られる。
【0017】本発明の(3)では、組立てられた膨張体
及び反射面からなるパラボラアンテナは反射型の望遠鏡
として組立てることができるので宇宙アンテナと同様に
宇宙望遠鏡としても宇宙への打ち上げ容積や重量が著し
く軽減され打ち上げ時の負担を軽くし、又、打ち上げ後
の組立ても簡単になり、反射面の曲面の形成も上記
(1)の発明と同様に容易となる。
【0018】本発明の(4)では、各部の結合は凸状連
結部と凹状連結部とで構成し、凸状連結部を凹状連結部
に挿入し、両者を膨らませることにより密着させて結合
するので結合はガス又は空気の注入のみでなされ、特別
のボルト/ナット類を使用することなく容易になり、ア
ンテナ反射面の曲面も正確に形成することができる。
【0019】本発明の(5)では、支柱はテレスコピッ
ク方式に折り畳まれているので折り畳みが簡単となりガ
ス又は空気の注入により容易に突出して直線状の支柱が
形成できる。又、アンテナ反射面の曲面形成も正確にな
される。
【0020】本発明の(6)では、注入されるガス又は
空気の圧力と温度が適正に調整されるので、膨張体の膨
張により凹状曲面がアンテナの反射面に沿うように圧
力、温度を変化させて形成されることができ、かつ、ア
クチュエータによりアンテナの反射面が正確に形成さ
れ、精度の良いアンテナ反射面を得ることができる。
【0021】本発明の(7)では、制御部ではアクチュ
エータで支持された反射面の各位置を順次測定し、予め
設定されている基準の曲面位置と比較し、誤差があれ
ば、該当するアクチュエータを作動させてその個所の反
射面の位置を修正し誤差をなくするので、アンテナの反
射面をより一層正確に形成できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実
施の第1形態に係る宇宙構造体全体を示し、宇宙空間に
おいて最終的に組立てられた状態であり、(a)は斜視
図、(b)はアンテナ本体の側面図、(c)はその正面
図である。(a)図において、アンテナ本体30はパラ
ボラ型アンテナであり、アンテナの反射面1の背後には
反射面1の曲面を形成させる凹状曲面が形成され、又、
この凹状曲面には図示省略しているが、後述の図4,図
5で説明する複数のシリンダが取付けられ反射面1を支
持している。膨張体10は後述するようにガス又は空気
が所定の圧力で封入された膨張体である。
【0023】11は枠体であり、円形状でアンテナ本体
の外枠を形成している。12は支柱であり、図示の例で
は6本から構成され、一端が枠体11に取付けられ、他
端が送受信器61に取付けられ、アンテナ本体30と送
受信器61とを固定している。これら膨張体10、枠体
11、支柱12は後述するように膜状で気密性があり、
可撓性を有するCFRP、等の材料から構成され、ガス
又は空気を封入して形状を保持する構成である。
【0024】(b)図,(c)図において、アンテナ本
体30は放物線状の反射面1でパラボラアンテナの電波
の送受信面を形成しており、その外形は枠体11で支持
されている。又、反射面1の背後には図示省略している
が複数のシリンダが取付けられ、ガス又は空気で形成さ
れた反射面1の曲面を支持している。これら膨張体10
と枠体11は可撓性を有する薄い膜、例えばCFRP、
等から形成され、気密処理が施されて風船状に密閉され
た構造で、ガス又は空気が注入されて形状が保持され
る。
【0025】図2はアンテナ本体の詳細を示す図であ
り、(a)は側面図、(b)は(a)のA−A矢視図で
ある。図において、膨張体10と反射面1とは前記した
ように複数のアクチュエータで支持された構造である
が、説明の都合上、アクチュエータは省略し、膨張体1
0についての説明を行う。図において、膨張体10は中
心から放射状に10a,10b,10c,10d,10
e,10fのように6分割されている。各分割部分は接
合面で図8で後述するように連結部を有して結合され
る。図ではアンテナ本体30が完成された状態を示して
おり、宇宙へ打ち上げる前にはこれら分割部分10a〜
10fは、それぞれ折り畳まれて容積を縮小してスペー
スシャトル、等により宇宙ステーションへ打ち上げら
れ、打ち上げ後に宇宙において人手又はロボットにより
組立てが行われる。
【0026】図3はアンテナ本体30の分割例を示す斜
視図であり、(a)は膨張体10を2分割した例、
(b)は4分割した例、(c)は図2に示すように6分
割した例である。分割の数はこれらの例に限らず何分割
でも良く、アンテナの形状、大きさ、打ち上げ時の搭
載、等より適宜決定すれば良い。各分割部分は膨張体1
0の分割部分と反射面1の分割部分、枠体11の分割部
分とを一体化した構造からなり、各分割部分は密閉構造
とし、それぞれ膨張体10の分割部分を膨らませ、各分
割部分に取付けられた枠体も各分割部分で膨らませて外
形を形成する。それぞれ膨らませた分割片は、図8で後
述する方法か、又は接着、等により接合され、アンテナ
本体30全体を形成させる。
【0027】図4は本発明の実施の第1形態に係る宇宙
構造体のアクチュエータを示し、(a)は平面図、
(b)は(a)におけるB−B断面図、(c)は(a)
におけるC部拡大図である。(a),(b)図におい
て、膨張体10は4等分に分割された例であり、各分割
部分は膨張体1と枠体11、その上面の反射面1を一体
に取り付けた構造であり、膨張体10と反射面1との間
には、前述したように所定の隙間を有し両者は7個のア
クチュエータCで連結されている。従って、各分割部分
は膨張体10、反射面1、枠体11及び7個のアクチュ
エータCから構成されている。
【0028】(c)図はアクチュエータの拡大図でし
り、膨張体10にはアクチュエータCが補強材3で固定
されて取付けられており、アクチュエータCのロッドL
先端には支持板4が取付けられ、支持板4で反射面1を
支持する構成である。従ってロッドLを伸縮することに
より反射面1の曲面の形状を変化させることができる。
このようなアクチュエータCは各分割部分に7個が装備
され反射面1を支持しているが、アクチュエータCの数
は7個以上又はこれよりも少なくても良く、アンテナの
大きさに応じて適宜増減されるものである。
【0029】図5は上記に説明の各分割部分のアクチュ
エータの配置を示し、(a)は全体の側面図、(b)は
分割部分の平面図、(c)は分割部分の膨張体と反射面
の斜視図である。(a)図において、膨張体10にはア
クチュエータCが取付けられ、各アクチュエータCを駆
動する電気配線6は膨張体10内から支柱12内を通
り、送受信器61の制御装置へ導かれている。(b)図
において、各分割部分にはアクチュエータC1 〜C7
7個が配設されており、各アクチュエータC1 〜C7
らの配線は膨張体10内を通り、それぞれコネクタ5に
接続され、コネクタ5からの電線6は(a)図に示すよ
うに支柱12を通り送受信器61の制御装置へ接続され
ている。
【0030】(c)図において、膨張体10は分割され
ており、各分割部分はそれぞれ独立してガス又は空気を
注入することにより膨張し反射面1を支持する背面を構
成し、各膨張体10にはアクチュエータC1 〜C7 が取
付けられ4分割された反射面の各分割部分を支持する構
成である。これらの各分割部分は膨張体10,アクチュ
エータC1 〜C7 、枠体11(図示省略)及び反射面1
からなり、これら各分割部分を後述するように連結する
ことによりアンテナ本体が構成される。
【0031】図6は図1で説明した支柱22の折り畳み
から展開した状態を示す図であり、(a)は折り畳んだ
状態、(b)はガス又は空気の注入開始の状態、(c)
は徐々に伸張した状態、(d)は直線状直前の状態、
(e)は完全に直線状に伸びて支柱12が完成した状態
を、それぞれ示している。このように宇宙へ打ち上げ時
には(a)の状態で打ち上げ、宇宙において(b)〜
(e)のように膨らませて支柱12を完成した状態とす
る。
【0032】図7は支柱12の他の例を示し、テレスコ
ピック方式に縮小して膨らませる方式としたものであ
る。図において、30は支柱であり、図1に示す支柱1
2の代わりに用いられるものである。(a)図では支柱
30を折り畳んで縮小した状態を示し、(b)はガス又
は空気を注入開始時の状態であり、30aの中に30b
が、30bの中に30cが、それぞれ折り込まれてテレ
スコピック方式を形成している。(c)では30bがガ
ス又は空気圧により突出して伸びた状態で、30cの部
分は突出せず30b内に折り込まれている状態を示して
いる。(d)は、30cの部分も30b内から突出し、
支柱30が完全な直線状に形成した状態であり、支柱3
0が完成した状態を示している。
【0033】図8は膨張体10、枠体11、支柱12間
を連結する構造部を示し、(a)はその断面図、(b)
は(a)におけるD−D矢視図である。図では膨張体3
1と32とを連結する一般的な例で示し、ガス又は空気
を注入して膨張させて連結した状態を示しており、宇宙
へ打ち上げ時には各膨張体31,32は縮小して折り畳
まれた状態であり、両者は連結状態ではなく、離れた状
態で運搬され、宇宙での結合時には縮小された状態で連
結状態に配置し、加圧して結合状態とするものである。
【0034】図8に戻り、膨張体31には突設する軸部
31aが形成され、軸部31aの先端には連結フランジ
31bが形成されている。又、膨張体32には凹状に内
側へ突設した軸部32aが形成され、軸部32aには連
結フランジ32bが形成されている。連結フランジ31
bは連結フランジ32b内に入り、膨張時に連結フラン
ジ32b内で連結フランジ31bが密着し膨張体31と
32とを固定する構造である。
【0035】上記の構造の連結方式を用いることによ
り、膨張体31と32の接合面33は密着して結合され
るものであり、これらの軸部31a、連結フランジ31
b及び軸部32a、連結フランジ32bを所定のピッチ
で接合面に設けることにより強固なる接合が可能とな
る。このような結合は図示省略したが、膨張体10の各
分割部分同志の結合、枠体11と支柱12との結合にそ
れぞれ適用され超大型のアンテナが組立てられる。組立
後において、後述するようにアクチュエータC1 〜C7
を作動させ、膨張体10の背面に反射面1の曲面を形成
させる。
【0036】図9は本発明の実施の第2形態に係る宇宙
構造体を示し、(a)は側面図、(b)は(a)におけ
るC−C矢視図である。本実施の第2形態においてはア
ンテナを反射型望遠鏡に適用した例である。図におい
て、反射面1、膨張体10、枠体11の構成は図1〜図
5に示す実施の第1形態と同じ構造であり、枠体11に
は4本の支柱41の一端を取付け、支柱41の他端には
円形の支柱枠42を取付ける。支持枠42には4本の支
持材の一端を中心に向けて取付け、中心部において4本
の支持材43で受光装置44を支持する構成である。な
お、アクチュエータC1 〜C7 で反射面1を支持する構
成は図示省略しているが、これらの構成は図4,図5の
ものと同じである。
【0037】このように、本発明の実施の第2形態にお
いては、膨張体10、反射面1及び枠体11からなるア
ンテナ本体の構造を反射型望遠鏡として適用したもので
あり、この反射型望遠鏡40においても、枠体11と支
柱41、支柱41と支持枠42、支持枠42と支持材4
3、のそれぞれの結合は図8に示す結合方式を適用し、
又、支持材43に図6に示す方法で、又、支持材42も
円形部材を複数に分割して図6と同様の方法で縮小した
状態で宇宙へ運ぶ宇宙空間において膨張させて組立て
る。組立後において、後述するようにアクチュエータC
1 〜C7 を作動させ、膨張体10の背面に反射面1の曲
面を形成させる。
【0038】図10は本発明の実施の第1,第2形態に
係る宇宙構造体を宇宙において膨張させる制御のブロッ
ク図である。図において、宇宙アンテナ本体30の各分
割部分、支柱12,41、支持枠42、支持材43は、
それぞれガス又は気体を注入して膨張させ各部の形状を
形成する。図において、50は制御装置であり、各膨張
体の部品にガス又は空気の注入量や温度を制御する。5
1は流量調整弁でガス又は空気の流量を調整する弁であ
る。52はバッファタンクであり温度調節されたガス又
は空気が一時貯蔵されるタンク、53は気体供給タンク
であり、バッファタンク52へガス又は空気を供給する
タンクである。54は加熱装置であり、バッファタンク
52のガス又は空気を所定の温度に加熱する装置であ
る。55は膨張体に取付けた圧力センサである。
【0039】上記の構成において、制御装置50には膨
張体10がパラボラアンテナの曲面に沿うように凹状曲
面を保つための気体の圧力と温度との関係を示す特性デ
ータが予め記憶されており、制御装置50は各膨張体内
の気体の圧力を圧力センサ55で測定し、その信号を取
込み、所定の圧力と温度となり、正確な曲面形状が保て
るように加熱装置54を制御し、バッファタンク52内
の気体の温度を調節すると共に、流量調整弁51の弁の
開度を調整してバッファタンク52からの気体の流入量
を調整する。
【0040】このような気体の注入量の調整により膨張
体10の各分割部分が所定の圧力で膨らんで膨張し、そ
の背面に凹状曲面を形成し、凹状曲面には図4,図5に
示すように複数のアクチュエータC1 〜C7 が取付けら
れ、これらアクチュエータを作動させて反射面1の曲面
を正確に形成させる。
【0041】又、各分割部分同志の連結は、図8に示す
ように各連結フランジ31b,32bを接合面に複数個
所設けておき、これら連結フランジを膨らませる前に予
め縮小した状態で軸部31aを軸部32a内に入れて、
連結フランジ31bを連結フランジ32b内に挿入して
セットしておき、気体を注入して膨張させることにより
両連結部31b,32bが膨らんで密着し強固に結合さ
れる。又、膨張体10の枠体11と支柱12、図9に示
す支柱41と支持枠42、支持枠42と支持材43、そ
れぞれの結合も同様の方法により結合することができ
る。
【0042】図11は本発明の実施の第1形態及び第2
形態に適用される反射面の曲面を形成する制御の系統図
であり、反射面形成制御部70は送受信器61内に組み
込まれており、71は測定ビーム送受信部で反射面1の
曲面が正しい曲率であるか否かを調べるための測定用の
電波のビームを発射し、反射面1からの反射波を受信す
るものである。72は距離測定部であり測定用ビームの
送信波と反射波からその位置での距離を求める。73は
比較演算部であり、求められた反射面1からの距離から
反射面1の曲率の座標を求め、基準曲率データ記憶部7
4に記憶されている基準の曲率と比較する。
【0043】比較した結果、基準曲率からの誤差が所定
の基準値を超えていると比較演算部73は、その位置で
の曲率を訂正し正しい曲率となるように誤差を修正する
信号を駆動信号発生部75へ出力し、駆動信号発生部7
5はその位置のアクチュエータCへ駆動信号を出力し、
そのアクチュエータを駆動して曲率を修正する。
【0044】測定ビーム送受信部71は反射面1を支持
している28個のアクチュエータの支持点付近を順次ス
キャニングをしてビームを移動させ、各位置からの反射
波を受信し、上記のように、その位置での基準曲率との
誤差を求め、誤差があれば、その誤差のある位置のアク
チュエータを駆動して曲率の誤差を修正するので、基準
の曲率に合った正しい反射面の曲面を形成することがで
きる。なお、図示の例では4分割部分の1分割部分のみ
を示しているが、駆動信号発生部75は同様の制御によ
り、それぞれのアクチュエータを制御する。
【0045】以上説明の実施の第1,第2形態によれ
ば、膜状で気密性を有し可撓性材料からなる膨張体10
の背面に反射面1を設けてアンテナ本体30、望遠鏡本
体40を構成し、支柱11,41で送受信器61、受光
装置44を、それぞれ支持する構成とし、これらの構成
部品を分割して各分割部分は折り畳んで縮小した状態で
宇宙ステーション、等の衛星へスペースシャトル、等で
打ち上げ、打ち上げ後に、宇宙においてこれら部品にガ
ス又は空気を注入して膨らませると共に、結合して全体
を組立てる。
【0046】その後、反射面形成制御部70の測定ビー
ム送受信部71より測定用の電波をビームとして反射面
1のアクチュエータCで支持されている部分を順次スキ
ャニングして、その反射波を受け、距離測定部72で距
離を測定して曲面の座標を求める。比較演算部73で曲
面の曲率の誤差を求め、誤差があればその誤差を修正す
る信号を駆動信号発生部75より該当するアクチュエー
タへ出力し、アクチュエータを作動させて誤差を修正
し、正しい曲率の反射面を形成させる。
【0047】このような構成により、打ち上げ時のアン
テナ部品の容積を小さくし、重量も軽減されて打ち上げ
の負担を軽くし、又、宇宙での超大型アンテナの組立て
が容易になされるものである。又、宇宙へ打ち上げ後の
アンテナの成形時において、電波の反射面が正確な曲面
に成形でき、かつアンテナ組立、調整作業が簡略化され
る。
【0048】
【発明の効果】本発明の宇宙構造体は、(1)膜状で変
形自在な材料からなり密閉された構造で宇宙空間におい
てガス又は空気を注入して膨らませることにより一方の
側面に凹状曲面を形成する膨張体と、同膨張体の凹状曲
面に配設された複数のシリンダと、同複数のシリンダの
作動ロッド先端にそれぞれ支持され前記凹状曲面に沿っ
て配設されて電波又は光を反射する膜状の反射面と、変
形自在な材料からなり密閉された環状の構造で宇宙空間
においてガス又は空気を注入して膨らませることにより
前記膨張体と反射面の周縁部を固定し支持する枠体と、
変形自在な材料からなり密閉された棒状の構造で宇宙空
間においてガス又は空気を注入して膨らませることによ
り一端が前記枠体に固定され他端で送受信器を支持する
複数の支柱と、前記複数のアクチュエータの作動を制御
し前記反射面の曲面の形状を変化させて調整する制御部
とを備えてアンテナを構成することを特徴としている。
【0049】上記の構成により、膨張体と反射面及び枠
体とは一体的に結合した状態であり、宇宙へ打ち上げる
時には、折り畳んだ状態で縮小した形状で容積を小さく
して打ち上げることができ、同様に支柱も折り畳んで打
ち上げることができる。宇宙へ打ち上げ後、膨張体、枠
体、支柱にガス又は注入して膨らませることにより宇宙
アンテナ本体を形成し、宇宙アンテナが組立てられ、そ
の後制御部は複数のアクチュエータを制御して所定の形
状を保つために反射面の位置を予め定められた位置へ移
動させて位置調整を行うことにより正確な曲面の反射面
を形成させることができる。
【0050】従って、宇宙への打ち上げ時の容積や重量
が著しく軽減され、打ち上げ時の負担を軽減すると共
に、宇宙での組立も容易になされ、反射面の曲面の形成
が正確になされ、曲面の誤差の修正、調整が簡単になさ
れる。
【0051】本発明の(2)では、膨張体及び反射面は
複数個の分割部分に分割され打ち上げ時には折り畳んで
縮小状態とし、又、支柱も複数個所で折り畳んで縮小さ
れた状態で宇宙へ打ち上げられ、宇宙へ打ち上げ後これ
ら分割部分と支柱は宇宙の衛星においてガス又は空気が
注入されて膨らませた後、分割部分同志を結合して膨張
体及び反射面を有するパラボラアンテナが形成される。
従って、アンテナ完成後の反射面の曲面は、上記(1)
の発明と同様に形成され、正確なアンテナ反射面が得ら
れる。
【0052】本発明の(3)では、組立てられた膨張体
及び反射面からなるパラボラアンテナは反射型の望遠鏡
として組立てることができるので宇宙アンテナと同様に
宇宙望遠鏡としても宇宙への打ち上げ容積や重量が著し
く軽減され打ち上げ時の負担を軽くし、又、打ち上げ後
の組立ても簡単になり、反射面の曲面の形成も上記
(1)の発明と同様に容易となる。
【0053】本発明の(4)では、各部の結合は凸状連
結部と凹状連結部とで構成し、凸状連結部を凹状連結部
に挿入し、両者を膨らませることにより密着させて結合
するので結合はガス又は空気の注入のみでなされ、特別
のボルト/ナット類を使用することなく容易になり、ア
ンテナ反射面の曲面も正確に形成することができる。
【0054】本発明の(5)では、支柱はテレスコピッ
ク方式に折り畳まれているので折り畳みが簡単となりガ
ス又は空気の注入により容易に突出して直線状の支柱が
形成できる。又、アンテナ反射面の曲面形成も正確にな
される。
【0055】本発明の(6)では、注入されるガス又は
空気の圧力と温度が適正に調整されるので、膨張体の膨
張により凹状曲面がアンテナの反射面に沿うように圧
力、温度を変化させて形成されることができ、かつ、ア
クチュエータによりアンテナの反射面が正確に形成さ
れ、精度の良いアンテナ反射面を得ることができる。
【0056】本発明の(7)では、制御部ではアクチュ
エータで支持された反射面の各位置を順次測定し、予め
設定されている基準の曲面位置と比較し、誤差があれ
ば、該当するアクチュエータを作動させてその個所の反
射面の位置を修正し誤差をなくするので、アンテナの反
射面をより一層正確に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係る宇宙構造体を示
し、(a)はその全体斜視図、(b)はアンテナ本体の
側面図、(c)はその正面図である。
【図2】本発明の実施の第1形態に係る構造体本体を示
し、(a)は側面図、(b)は(a)のA−A矢視図で
ある。
【図3】本発明の実施の第1形態に係る構造体の分割を
示す斜視図であり、(a)は2分割、(b)は4分割、
(c)は6分割の例である。
【図4】本発明の実施の第1形態に係る宇宙構造体を示
し、(a)はアンテナ本体の平面図、(b)は(a)に
おけるB−B断面図、(c)は(a)におけるC部拡大
図である。
【図5】本発明の実施の第1形態に係る宇宙構造体を示
し、(a)はアクチュエータとその配線を示す全体の側
面図、(b)は分割部分のアクチュエータと配線の平面
図、(c)はアクチュエータと反射面の分割状況を示す
斜視図である。
【図6】本発明の実施の第1形態に係る支柱を示す側面
図であり、(a)は折り畳んだ状態、(b)は気体注入
開始時、(c)は注入途中、(d)は注入後半、(e)
は支柱の完成、の各状態を示す。
【図7】本発明の実施の第1形態に係る支柱の変形例を
示す側面図であり、(a)は折り畳んだ状態、(b)は
気体注入開始、(c)は注入途中、(d)は支柱の完
成、の状態を示す。
【図8】本発明の実施の第1形態に係る各分割部分の結
合部を示し、(a)は断面図、(b)は(a)における
D−D矢視図である。
【図9】本発明の実施の第2形態に係る宇宙構造体の組
立方法を適用した反射型望遠鏡を示し、(a)は側面
図、(b)は(a)のE−E矢視図である。
【図10】本発明の実施の第1,第2形態に係る宇宙構
造体に適用する気体注入の制御ブロック図である。
【図11】本発明の実施の第1,第2形態に係る宇宙構
造体の制御系統図である。
【符号の説明】
1 反射面 2,33 接合面 10,31,32 膨張体 11,21 枠体 12,22,41 支柱 61 送受信器 31a,32a 軸部 31b,32b 連結フランジ 42 支持枠 43 支持材 44 受光装置 50 制御装置 51 流量調整弁 52 バッファタンク 53 気体供給タンク 54 加熱装置 55 圧力センサ 70 反射面形成制御部 71 測定ビーム送受信部 72 距離測定部 73 比較演算部 74 基準曲率データ記憶部 75 駆動信号発生部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜状で変形自在な材料からなり密閉され
    た構造で宇宙空間においてガス又は空気を注入して膨ら
    ませることにより一方の側面に凹状曲面を形成する膨張
    体と、同膨張体の凹状曲面に配設された複数のシリンダ
    と、同複数のシリンダの作動ロッド先端にそれぞれ支持
    され前記凹状曲面に沿って配設されて電波又は光を反射
    する膜状の反射面と、変形自在な材料からなり密閉され
    た環状の構造で宇宙空間においてガス又は空気を注入し
    て膨らませることにより前記膨張体と反射面の周縁部を
    固定し支持する枠体と、変形自在な材料からなり密閉さ
    れた棒状の構造で宇宙空間においてガス又は空気を注入
    して膨らませることにより一端が前記枠体に固定され他
    端で送受信器を支持する複数の支柱と、前記複数のアク
    チュエータの作動を制御し前記反射面の曲面の形状を変
    化させて調整する制御部とを備えてアンテナを構成する
    ことを特徴とする宇宙構造体。
  2. 【請求項2】 前記膨張体、アクチュエータ、反射面及
    び枠体からなる構造体は中心から放射状に複数個に分割
    されており、同分割部分を結合して構成されることを特
    徴とする請求項1記載の宇宙構造体。
  3. 【請求項3】 前記膨張体及び反射面及び支柱には、前
    記送受信器に代えて受光装置が取付けられ反射型望遠鏡
    として用いられることを特徴とする請求項1又は2記載
    の宇宙構造体。
  4. 【請求項4】 前記各分割部分同志の結合、及び同分割
    部分と前記支柱との結合は、結合面の一方には凸状連結
    部を、他方には前記凸状連結部が挿入される凹状連結部
    が設けられ、両連結部を膨張させることにより結合され
    ることを特徴とする請求項2又は3記載の宇宙構造体。
  5. 【請求項5】 前記支柱はテレスコピック方式により折
    り畳まれていることを特徴とする請求項1から4のいず
    れかに記載の宇宙構造体。
  6. 【請求項6】 前記制御部は、前記注入されるガス又は
    空気の注入圧力と温度を調整し、予め定められた適正な
    圧力と温度となるように調整可能とすることを特徴とす
    る請求項1から5のいずれかに記載の宇宙構造体。
  7. 【請求項7】 前記制御部は、前記複数のアクチュエー
    タで支持された前記反射面の表面近辺の曲面位置を順次
    測定し、基準の曲面位置と比較して誤差があれば、該当
    するアクチュエータを作動させてその個所の前記反射面
    の位置を修正し誤差をなくすように制御することを特徴
    とする請求項1から6のいずれかに記載の宇宙構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1925959A1 (fr) * 2006-11-23 2008-05-28 ISP System Miroir actif à actionneurs d'application de micro effort
JP2019161629A (ja) * 2018-03-11 2019-09-19 龍駿 岡 開口面アンテナとこの開口面アンテナを備える通信装置

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