JP2002172895A - ステアリングホイールの液圧転写方法 - Google Patents

ステアリングホイールの液圧転写方法

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JP2002172895A
JP2002172895A JP2000373166A JP2000373166A JP2002172895A JP 2002172895 A JP2002172895 A JP 2002172895A JP 2000373166 A JP2000373166 A JP 2000373166A JP 2000373166 A JP2000373166 A JP 2000373166A JP 2002172895 A JP2002172895 A JP 2002172895A
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hydraulic
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JP2000373166A
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Toshio Ogisu
敏夫 荻洲
Koichi Hiramatsu
幸一 平松
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KATSUYA SANGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的安価に製品供給ができるステアリング
ホイールの液圧転写技術を提供する。 【解決手段】 前転写工程で、液面に浮かべた転写フィ
ルム20にステアリングホイールのリム部の裏面10b
側を押し当て液圧転写を行い、その後、後転写工程で、
リム部の正面10a側から液圧転写を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3次元曲面を有す
るステアリングホイールに液圧転写で所望の模様を転写
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】3次元曲面を有する物体表面への印刷
は、液圧転写により行われている。液圧転写は、転写用
の模様を印刷した水溶性フィルムを水面に浮かべ、フィ
ルムを溶かした状態で水面に残った模様に被転写物を押
しつけ、その状態で水中に没入させて、被転写物の表面
に模様を水圧で押しつけ、3次元曲面の外周面に綺麗に
模様を転写する方法である。
【0003】3次元曲面を有する被転写物には、従来よ
り多種多様の物品が適用されてきた。ステアリングホイ
ールもその内の一つである。ステアリングホイールは、
概略、リング状のリム部と、リム部内側に設けられたス
ポーク部とを有し、スポーク部に設けたボス部でステア
リングシャフトに連結される構成である。
【0004】かかるステアリングホイールのリム部は、
現在は、樹脂成形でリング状に製造されているものが殆
どであるが、かかる樹脂成形が主流となる前には、例え
ば、一本の木材をリング状に形成したり、あるいは断面
半円状の木材をリング状に形成したものを2個張り合わ
せて形成するなどして製造されていた。このように木材
を使用したステアリングホイールは、自然の木目が美し
く出ているため、現在でも根強い人気がある。しかし、
その製造には手間がかかるため、高価である。
【0005】そこで、樹脂成形されたリム部の3次元曲
面に液圧転写により、木目調の模様を液圧転写すること
で、その需要に応えようとする技術が開発されてきた。
かかるステアリングホイールの液圧転写技術としては、
例えば、特開昭61−5981号に示すように、水面に
浮かべたフィルム面に、フィルム面の木目模様の流れに
沿ってステアリングホイールを立て、立てたステアリン
グホイールを木目模様に沿って回転させるようにして液
圧転写を行う技術が開示されている。
【0006】かかる方法により、それまで、木目模様が
ステアリングホイールの断面方向に流れるように転写さ
れていた状態が、ステアリングホイールに沿って木目模
様が流れるように転写できることとなり、実際の木質系
のステアリングホイールにより似せることができるよう
になった。
【0007】また、ステアリングホイールのリム部に液
圧転写する際には、リム部外周を包むように転写するた
め、どうしても合わせ目が生ずる。かかる合わせ目は、
どうしても木目模様が切れた状態となるため、合わせ目
を運転者から見えない位置に形成できるようにすること
が当業者の間では行われていた。特開平10−3294
98号公報には、水面上を浮遊進行する転写フィルムに
対して、ステアリングホイールの正面を転写方向に姿勢
を傾斜させた状態で押し当てて没入させることで、転写
の合わせ目を運転者から見にくいステアリングホイール
のほぼ裏側に形成する一回転写の技術が開示されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】木目調の模様を有した
ステアリングホイールの需要を詳細に検討すると、実際
の木質系のステアリングホイールに精緻に似せたもので
なくても、手軽な価格で木質系の模様を付けたステアリ
ングホイールが提供されることを望む声も相当数あるこ
とが判明した。
【0009】そこで、本発明者は、木質系のステアリン
グホイールに精緻に似せることができる液圧転写技術と
は別に、手間をかけずにそれなりに満足できる綺麗な木
目調模様が転写でき、比較的安価に製品供給ができるス
テアリングホイールの液圧転写技術の開発が必要と考え
た。
【0010】本発明の目的は、比較的安価に製品供給が
できるステアリングホイールの液圧転写技術を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、液面に浮かべ
た転写フィルムにステアリングホイールのリム部を押し
当て、前記リム部の転写面を液面下に没入させて、前記
転写フィルムに印刷された模様を前記リム部に液圧転写
する方法であって、前記リム部の正面または裏面の一方
の側から、前記液面下に没入させて液圧転写する前転写
工程と、前記リム部の他方の側から、前記液面下に没入
させて、前記前転写工程で形成された転写部分に重なる
ように液圧転写する後転写工程とを有することを特徴と
する。
【0012】前記前転写工程では、前記リム部の裏面側
から液圧転写することを特徴とする。前記前転写工程で
は、前記リム部がスポーク部で分断されてなるリム前方
部とリム後方部とを、前後して液圧転写することを特徴
とする。前記ステアリングホイールの転写に際しては、
前記ステアリングホイールの非転写所望部をマスキング
した状態で転写することを特徴とする。マスキングは、
前記非転写所望部を覆う熱収縮樹脂フィルムを熱により
収縮させて行うことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。
【0014】図1(A)は、本発明で転写対象とするス
テアリングホイールの全体を示す正面図であり、(B)
は側面図である。図2(A)〜(D)までは、ステアリ
ングホイールへの液圧転写の手順を示した説明図であ
る。
【0015】ステアリングホイール10は、図1(A)
に示すように、リング状に形成されたリム部11と、リ
ム部11のリング内に渡されたスポーク部12とから構
成されている。スポーク部12の中心位置には、図1
(B)に示すように、ボス部13が設けられている。
【0016】また、本明細書では、図1(B)に示すよ
うに、ステアリングホイール10のリム部11で形成さ
れるリング面からスポーク部12、ボス部13が突出し
ていない側を正面10aと、スポーク部12、ボス部1
3が突出している側を裏面10bと呼ぶことにする。
【0017】さらに、以下の説明を分かりやすくするた
めに、図1(A)に示すスポーク部12で分断されたリ
ム部11のうち、一方の側をリム前方部11a(11)
と、他方の側をリム後方部11b(11)と説明上呼ぶ
ことにする。図1(A)では、リム前方部11aと、リ
ム後方部11bとは、網かけ表示で示した。
【0018】本発明で使用するステアリングホイール1
0では、リム部11、スポーク部12、ボス部13を構
成する材質には、特にこだわらない。木質材でも、金属
材でも、あるいは樹脂材でも構わない。
【0019】かかる構成のステアリングホイール10に
本発明を適用して液圧転写を行う方法について次に説明
する。本発明では、前転写工程と後転写工程とを有し、
前転写工程でステアリングホイール10の正面10a側
あるいは裏面10b側のいずれか一方の側から液圧転写
を施し、後転写工程で残りの他方の側から液圧転写を行
う。
【0020】以下の説明では、前転写工程でステアリン
グホイール10の裏面10b側から液圧転写し、後転写
工程で正面10a側から液圧転写する場合について説明
する。
【0021】ステアリングホイール10の液圧転写を行
うに先立って、先ず、図2(A)に示すように、転写フ
ィルム20を水面21上に浮かべる。転写フイルム20
は、水溶性フィルム22面の上に印刷インキにより転写
模様23が印刷されて構成されている。転写模様23面
を上に向けて、背後の水溶性フィルム22面を水面21
上に着けるようにして浮かべる。
【0022】転写フィルム20を浮かべた状態で、上方
を向いている転写模様23面上に、接着剤をスプレー手
段などで噴霧して、転写模様23が転写できるように準
備する。転写模様23面に接着剤を噴霧し、転写模様2
3面の背後の水溶性フィルム22が水にほぼ溶解し、転
写模様23が水に浮かんでいる状態となる。
【0023】併せて、図2(B)、(C)に示すよう
に、ステアリングホイール10の裏面10b側を転写模
様23面側に下降させ、転写模様23面にステアリング
ホイール10の裏面10b側を当接した状態で水中に没
入させて液圧転写を行う。なお、スポーク部12、ボス
部13は予めマスキングテープなどでマスキングしてお
き、この部分への転写を防止する。
【0024】裏面10b側から液圧転写を行うに際して
は、図2(B)、(C)に示すように、ステアリングホ
イール10の裏面10b側を、リム前方部11a側、リ
ム後方部11bの順に分けて、前後して液圧転写する。
前後して転写するに際しては、リム前方部11aを先に
転写し、リム後方部11bを後に転写しても、あるいは
リム後方部11bを先に転写し、リム前方部11aを後
に転写しても、転写の先後はいずれでも構わない。
【0025】没入に際しては、水面上に浮かぶ転写模様
の歪みや乱れを極力発生させないように、水面に対して
斜めの状態でリム部11の水面下への没入を行うことが
好ましい。このようにすれば、スポーク部12、ボス部
13を水面下に深く没入させないで済み、その分転写模
様を大きく歪ませず、リム部11の転写への影響を少な
くすることができる。
【0026】没入量は、リム前方部11aが完全に水面
下に没する程度に行えばよい。同様に、リム前方部11
aの液圧転写終了後に、リム後方部11bの液圧転写を
行う。なお、かかる没入量は、厳密なものではなく、多
少、液圧転写模様の合わせ目が非転写部分として残って
いても構わない。
【0027】このように、図2(B)、(C)に示すス
テアリングホイール10を裏面10b側から行う前転写
工程では、リム前方部11aと、リム後方部11bとを
前後して相次いで転写する、所謂2回転写の工程とな
る。
【0028】このようにして水面下に前後してリム前方
部11a、リム後方部11bを没入させて液圧転写を行
った後は、シャワーをかけて洗浄し、印刷模様が中途半
端に接着している部分などを洗い流し、きちんと液圧転
写されている部分を残し、その後乾燥させることにより
液圧転写部分を確実に固定する。前転写終了後のステア
リングホイール10の液圧転写状況を図2(D)に示し
た。
【0029】上記のようにステアリングホイール10の
裏面10b側からの2回転写により形成された転写模様
の合わせ目は、図3(A)、(B)の部分断面に示すよ
うな位置に形成されることとなる。図3(A)に示す場
合は、水平な水面21上に対して所定角度傾斜させて液
圧転写を行うことにより、転写模様の合わせ目xは、ス
テアリングホイール10の正面10aのリム前方部11
a内側上方に形成されることとなる。図3(B)では、
かかる状況が分かり易いように、ステアリングホイール
10を平らにおいた場合の様子を示している。
【0030】図3(A)、(B)には、リム前方部11
aの場合を示したが、合わせ目xの形成状況は、リム後
方部11bでも、水面21に対してリム前方部11aと
ほぼ同様の傾斜で没入させて液圧転写を行えば、ほぼ同
様の位置に形成されることとなる。なお、リム前方部1
1aとリム後方部11bとで、合わせ目xの形成位置が
異なっていても問題はなく、液圧転写時における双方の
水面21に対する傾斜角度も厳密に一致させる必要がな
いことは言うまでもない。
【0031】このようにしてステアリングホイール10
のスポーク部12、ボス部13などが突出した裏面10
a側を先に2回転写により液圧転写する前転写工程が終
了した後は、次の後転写工程に移る。
【0032】後転写工程では、前転写工程で行ったステ
アリングホイール10の裏面10b側からではなく、正
面10a側から液圧転写を行う。転写に先立ち、前記要
領で、再度水面上に、図2(A)と同様に、転写模様を
印刷した転写フィルム20を水面21に浮かべる。浮か
べた水溶性フィルム22がほぼ溶解した状態で、図4
(A)に示すように、ステアリングホイール10の正面
10a側を転写模様23側に対面させて下降させ、水面
下に没入させて液圧転写を行う。没入量は、前転写工程
と同様にして行えばよい。
【0033】ステアリングホイール10の正面10a側
を水面21側の転写模様23に押しつけるに際しては、
正面10aと転写模様23面とを厳密に並行に保った状
態で押しつける必要はなく、傾斜させて押しつけるよう
にすればよい。要は、液圧転写時に気泡が転写模様23
面とリム部11との間に介在しないような液圧転写方法
をとればどのような方法でも構わない。
【0034】その後、水中から引き上げ、前記要領で洗
浄し、乾燥させることによりステアリングホイール10
は、リム前方部11a、リム後方部11bのそれぞれ
が、裏面10b、正面10aの両面側からそれぞれ転写
模様が形成されることとなる。このようにして後転写工
程を行うことにより、ステアリングホイール10のリム
部表面は、前転写工程により形成された転写部と、後転
写工程により形成された転写部とが重複した二重の転写
模様で覆われることとなる。この様子を、図4(B)に
示した。図中、二重転写部分を網目で示した。
【0035】このように本発明のステアリングホイール
の液圧転写方法では、前転写工程と後転写工程とで、転
写する側をステアリングホイール10の裏面10b側か
らと、正面10a側とで代えているため、前転写工程、
後転写工程の両転写工程で形成される転写模様の合わせ
目同士の位置が合うことがない。
【0036】そのため、例えば、前転写工程で形成され
た転写模様の合わせ目が非転写部分を残して綺麗に形成
されていなくても、その部分は、後転写工程により形成
された転写模様でカバーされるので合わせ目の不具合を
隠して目立たなくすることができる。
【0037】一方、後転写工程で形成された転写模様の
合わせ目は、前転写工程で綺麗に転写された転写模様面
上に形成されることとなるため、例え、合わせ目に非転
写部分が形成されたとしても、下地となる前転写工程が
見えるため後転写工程で形成された合わせ目の不具合を
目立たないように隠すことができる。
【0038】従来より、ステアリングホイールの液圧転
写における転写模様の合わせ目に関しては、どうしても
転写模様が歪んだり、あるいは合わせ目が綺麗に合わず
切れ目、すなわち非転写部分が発生し易かった。しか
し、本発明の上記方法を適用すれば、容易にその合わせ
目の問題を解消することができる。
【0039】また、図3で説明したように、前転写工程
でリム部11を傾斜させて裏面10b側から転写するこ
とにより、転写模様の合わせ目xがリム部上方内側に形
成されることとなるが、後転写工程でリム部11を正面
10a側から転写することにより、図3(A)、(B)
に示すように、ステアリングホイール10を自動車に装
着した状態で運転者から見え易い位置に形成された合わ
せ目xを、後転写模様でカバーすることができる。
【0040】かかる状況を、図1(A)に示すステアリ
ングホイール10のリム部11のA−A線で切断した断
面図として、図4(C)に示した。後転写工程で形成さ
れた後転写模様の合わせ目yは、図4(C)に示すよう
に、運転者から見えにくい位置、すなわちステアリング
ホイール10の下方に形成されることとなる。
【0041】上記本発明のステアリングホイールの液圧
転写方法では、上記のように、完成品には、前転写工程
による転写部分の合わせ目xと、後転写工程による転写
部分の合わせ目yとが2箇所形成されることとなるが、
万が一にも合わせ目x、yに多少の開きが発生していて
も、開き部分に相当する非転写部分は、前転写工程の転
写模様、あるいは後転写工程の転写模様で隠されるため
目立たなくなる。
【0042】確かに、かかる合わせ目x、yに開き部分
が発生すると、かかる部分は転写模様が一重に形成され
ることとなるが、転写する印刷模様、印刷濃度、印刷の
色彩などでは、周囲の二重に転写されている部分とは若
干の濃淡差程度に押さえることができ、商品価値に影響
を与えない程度に殆ど目立たないようにすることができ
る。
【0043】そのため、本発明のステアリングホイール
の液圧転写方法を使用すれば、転写工程で合わせ目に神
経質になって作業を行わなくても、十分に製品価値のあ
る液圧転写を安価にステアリングホイール10に施すこ
とができる。
【0044】また、本発明の液圧転写方法では、前転写
工程と、後転写工程とを有し、前転写工程で綺麗に転写
しにくい合わせ目部分を、後転写工程でカバーするよう
に転写する構成を有しているため、リング状のリム部1
1と、スポーク部12、ボス部13などの突出部をリン
グ内に有する複雑な形状の3次元曲面であっても、一回
で液圧転写を行う場合に比べて、確実に且つ容易に合わ
せ目部分の不具合を目立たなくさせる液圧転写を行うこ
とができる。
【0045】前記説明の方法では、スポーク部12、ボ
ス部13にも、転写模様が液圧転写されないように、予
めマスキングしておく場合について説明したが、かかる
部分への液圧転写が行われても後工程でふき取るなどの
処理を行う場合には、マスキングを行わずに前転写工
程、後転写工程を行っても構わない。
【0046】なお、本発明者は、前記説明の非転写所望
部のマスキングに際して、市販のマスキングテープを所
定長さに切断し、マスキングテープ同士を少しずつオー
バーラップさせてマスキングする従来方法は、手間がか
かり面倒な作業であるとかねがね考えていた。
【0047】そこで、もっと簡単に、手早くマスキング
することができないかと考え、熱収縮フィルム30を使
用することにより、かかる問題点の解消が図れることに
初めて気がついた。図5(A)、(B)に示すように、
熱収縮フィルム30を適当なサイズに切断しておき、こ
の熱収縮フィルム30でスポーク部12、ボス部13、
スポーク接続リム部11cなどの非転写所望部を軽く包
んでおく。包む要領としては、例えば、クレラップ(登
録商標)などで食品を軽く包む要領で包めばよい。その
様子を、図5(A)、(B)に示した。
【0048】その後、非転写所望部を包んだ熱収縮フィ
ルム30にドライヤーなどで温風を吹き当てたり、ある
いは電子レンジに入れたり、あいは庫内を熱収縮フィル
ム30を収縮させる温度に保った乾燥機内に入れるなど
して、熱収縮フィルム30を収縮させる。熱収縮フィル
ム30は、収縮してスポーク部12、ボス部13、スポ
ーク接続リム部11cの非転写所望部に密着して、マス
キングテープを貼ったと同様、あるいはそれ以上に確実
なマスキングが行える。
【0049】また、上記熱収縮フィルム30でマスキン
グ後、液圧転写を行い、その後マスキングを解除するに
は、熱収縮フィルム30と非転写所望部の間に切り込み
などを入れて剥がせば、簡単に剥がすことができる。複
数枚マスキングテープを使用する場合に比べて、製品側
に粘着材が移る心配もなく、一々テープ毎に剥がす場合
に比べて、熱収縮フィルム30では一度に剥離すること
ができマスキングの解除が簡単に行える。
【0050】なお、上記構成の本発明の液圧転写方法に
使用する液圧転写装置としては、従来構成の液圧転写装
置をそのまま使用することができるが、例えば、次のよ
うな液圧転写装置を使用すればよい。
【0051】水槽中を上流から下流に向けて水を流すよ
うに構成し、かかる流水面上に転写フィルムを供給して
浮かべる。転写フィルムの供給は、ロール状に巻いた転
写フィルムを連続的に流水面上に供給し、適宜、所定長
さになるように仕切部材を前後に入れる。仕切部材に前
後が区画された転写フィルム面に、ステアリングホイー
ルを押圧し、そのまま水没させ、さらに水中から引き上
げてて液圧転写を行う。ステアリングホイールの上記水
没、水中からの引き上げは、下降、上昇を自動的に行う
治具にステアリングホイールを保持させて行う。
【0052】液圧転写後の残った転写模様は、下流側の
溢流部まで流れ、トラップされ、インク模様が除かれた
水のみが再度上流側に循環される。
【0053】転写フィルムは、上記のように連続的に供
給するのではなく、所定サイズに切断したシート状の転
写フィルムを使用しても構わない。さらには、流水面上
に転写フィルムを供給しなくても、例えば、静止水面上
に供給しても一向に構わない。
【0054】本発明は、上記実施の形態に限定されるも
のではなく、その要旨を逸脱しない範囲で必要に応じて
変更してもよい。
【0055】例えば、前記説明では、天然木のステアリ
ングホイールに似せるため木目模様を転写模様として採
用したが、しかし、木目調以外にも適用できるのは言う
までもない。但し、本発明の液圧転写方法では、前転写
工程と後転写工程とにおける転写部分がオーバーラップ
する部分が発生するため、かかるオーバーラップする部
分が目立たない模様、色彩、濃度を採用することが好ま
しい。
【0056】また、オーバーラップ部分が問題とならな
い場合には、前転写工程における模様と、後転写工程に
おける模様とは異なる模様であっても構わない。
【0057】また、前記説明では、転写フィルムの構成
を、水溶性フィルムに転写模様を印刷した構成とした
が、転写フィルムの構成はかかる構成に限定する必要は
なく、その他の構成でも構わない。
【0058】前記実施の形態では、前転写工程で、裏面
側からの2回の液圧転写を行う場合について説明した
が、例えば、前転写工程では正面側からの1回転写と
し、後転写工程で裏面側からの2回転写とする構成でも
構わない。
【0059】前記説明では、正面側からの転写を、1回
転写で行う場合について説明したが、2回以上に分けて
転写するようにしても一向に構わない。さらには、裏面
側からの転写を2回転写で行う場合について説明した
が、かかる裏面側からの転写も1回転写あるいは3回以
上の複数回転写としても一向に構わない。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、前転写工程と、後転写
工程とを有するため、スポーク部を有した複雑な3次元
曲面を有するリム部からなるステアリングホイールを、
一回工程で液圧転写する場合に比べて、一回転写では発
生する虞がある合わせ目の不具合を確実に解消させるこ
とができる。
【0061】前転写工程と、後転写工程とでの液圧転写
する側を代えているため、両転写工程で形成される転写
模様の両方の合わせ目の位置は重なることがなく、各々
の合わせ目は、転写模様と合わせ目との重なり部分とな
るため、合わせ目に開きが発生しても開きに基づく非転
写部分は必ず転写模様で補われることとなり、合わせ目
の非転写部分を隠すことができる。
【0062】前転写工程と、後転写工程とに分けて転写
するため、一回工程でステアリングホイールを没入させ
て転写する場合に比べて、転写フィルムの皺、引張りな
どによる模様の歪みを小さくすることができ、液圧転写
を綺麗に仕あげることができる。
【0063】本発明では、マスキングに熱収縮フィルム
を使用しているので、従来よりもマスキング時、マスキ
ング解除時の手間を格段に少なくすることができる。
【0064】前転写工程で裏側からの液圧転写を行え
ば、後転写工程で形成される転写模様の合わせ目は、ス
テアリングホイールのリム部の下方に形成されることと
なり、ステアリングホイールを自動車に装着した状態
で、運転者からは見にくい位置に後転写工程による転写
模様の合わせ目を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はステアリングホイールの正面図であ
り、(B)は側面図である。
【図2】(A)〜(D)は、本発明の一実施の形態であ
るステアリングホイールの液圧転写方法の手順を示す説
明図である。
【図3】(A)、(B)は、前転写工程における転写模
様の合わせ目の形成状況を示す部分断面説明図である。
【図4】(A)は、後転写工程における転写状況を示す
説明図であり、(B)は後転写終了後の転写状況を示す
説明図であり、(C)は後転写工程による転写模様の合
わせ目の形成状況を示す断面説明図である。
【図5】(A)〜(C)は、熱収縮フィルムを使用する
マスキングの手順を示す説明図である。
【符号の説明】
10 ステアリングホイール 10a 正面 10b 裏面 11 リム部 11a リム前方部 11b リム後方部 11a スポーク接続リム部 12 スポーク部 13 ボス部 20 転写フィルム 21 水面 22 水溶性フィルム 23 転写模様 30 熱収縮フィルム x 合わせ目 y 合わせ目

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液面に浮かべた転写フィルムにステアリ
    ングホイールのリム部を押し当て、前記リム部の転写面
    を液面下に没入させて、前記転写フィルムに印刷された
    模様を前記リム部に液圧転写する方法であって、 前記リム部の正面または裏面の一方の側から、前記液面
    下に没入させて液圧転写する前転写工程と、 前記リム部の他方の側から、前記液面下に没入させて、
    前記前転写工程で形成された転写部分に重なるように液
    圧転写する後転写工程とを有することを特徴とするステ
    アリングホイールの液圧転写方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のステアリングホイールの
    液圧転写方法において、 前記前転写工程では、前記リム部の裏面側から液圧転写
    することを特徴とするステアリングホイールの液圧転写
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のステアリングホイールの
    液圧転写方法において、 前記前転写工程では、前記リム部がスポーク部で分断さ
    れてなるリム前方部とリム後方部とを、前後して液圧転
    写することを特徴とするステアリングホイールの液圧転
    写方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    のステアリングホイールの液圧転写方法において、 前記ステアリングホイールの転写に際しては、前記ステ
    アリングホイールの非転写所望部をマスキングした状態
    で転写することを特徴とするステアリングホイールの液
    圧転写方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のステアリングホイールの
    液圧転写方法において、 マスキングは、前記非転写所望部を覆う熱収縮樹脂フィ
    ルムを熱により収縮させて行うことを特徴とするステア
    リングホイールの液圧転写方法。
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