JP2002172790A - 静電アクチュエータ及びそれを用いたインクジェットヘッド - Google Patents

静電アクチュエータ及びそれを用いたインクジェットヘッド

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JP2002172790A
JP2002172790A JP2000368932A JP2000368932A JP2002172790A JP 2002172790 A JP2002172790 A JP 2002172790A JP 2000368932 A JP2000368932 A JP 2000368932A JP 2000368932 A JP2000368932 A JP 2000368932A JP 2002172790 A JP2002172790 A JP 2002172790A
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electrostatic actuator
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chamber
vibration
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Akira Sano
朗 佐野
Masahiro Fujii
正寛 藤井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動室と封止位置との距離を短縮することの
できる静電アクチュエータ及びインクジェットヘッドを
提供すること。 【解決手段】 インクジェットヘッド1において、アク
チュエータ1′の振動室16を気密封止するために通路
9に塗布される封止材90として、メチル基若しくはフ
ェニル基を有する有機ポリシロキサンを主剤とする組成
物を硬化してなる常温ガラス、若しくは、珪素含有ポリ
イミド系封止材を用いる。この封止材90は、空気中の
水分と反応して常温あるいは比較的低い温度で短時間に
硬化するので、通路9に塗布した封止材90が振動室1
6に流れ込むことがない。従って、通路93や配線部2
3を短縮でき、インクジェットヘッド1の小型化を図る
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電アクチュエー
タ及びこの静電アクチュエータを備えたインクジェット
ヘッドに関するものである。さらに詳しくは、静電アク
チュエータの振動室に対する封止技術に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置のインクジェッ
トヘッド等は、半導体の微細加工技術を用いて形成され
たアクチュエータを備えている。この種のアクチュエー
タとしては、駆動源として静電気力を利用した静電アク
チュエータが知られている。
【0003】この静電アクチュエータは、例えば、図1
及び図2に示すように、ガラス基板4、流路形成板2及
びノズルプレート3がこの順に積層された構造になって
おり、流路形成板2の表面に形成されている凹部がノズ
ルプレート3によって塞がれて、独立した複数のインク
室5、1つの共通インク室6、及び共通インク室6を各
インク室5に連通させるインク供給路7が区画形成され
ている。
【0004】また、流路形成板2において、インク室5
の底壁は肉薄に形成されて、面外方向、すなわち、図1
の上下方向に弾性変位可能な振動板51が構成されてい
る。これに対して、ガラス基板4の表面には、流路形成
板2の各インク室5に対応する位置に凹部8が形成さ
れ、この凹部8の上面側を流路形成板2で塞ぐことによ
り、振動室16及びこの振動室16に連通する通路9が
形成されている。また、振動室16の底部にはITO膜
からなるセグメント電極10が形成され、このセグメン
ト電極10からは、通路9の底部を通るように配線部2
3が延設され、配線部23の先端部は、流路形成板2か
ら露出する位置で端子部24を構成している。
【0005】ここで、流路形成板2は、導電性を有して
いるので、流路形成板2と各端子部24との間に駆動信
号を印加すると、駆動信号の電圧変化に基づいて、動板
51とセグメント電極10との間に静電気力が発生して
振動板5が撓んでインク室5の容積が拡がった後、静電
気力が消失し、振動板51がその弾性復帰力によって元
の形状に復帰してインク室5の容積が急激に収縮する
と、この時発生するインク圧力によって、インク室5を
満たすインクの一部が、このインク室5に連通するノズ
ル11からインク滴として吐出される。
【0006】ここで、振動室16が通路9を介して外部
に連通していると、振動室16内に大気中の水分や塵埃
が侵入し、振動板51の弾性変位が阻害される。このた
め、従来は、流路形成板2の縁部分において通路9を塞
ぐようにエポキシ系封止材などを塗布した後、熱硬化さ
せ、振動室16を気密封止している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ように、通路9に塗布したエポキシ系封止材を熱硬化さ
せることにより、振動室16を気密封止する構成では、
未硬化のエポキシ系封止材が振動室16内に向けて流れ
込むという問題点がある。
【0008】このような問題点は、通路9や配線部23
を長くして、振動室16と封止部分との間に十分な距離
を確保することによって解消できる。しかしながら、こ
のような対策を施すと、インクジェットヘッド1(静電
アクチュエータ)の小型化を妨げてしまうという新たな
問題点が発生する。
【0009】以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、
振動室を気密封止するための封止材として振動室に流れ
込みにくいものを用いることにより、振動室と封止位置
との距離を短縮することのできる静電アクチュエータ、
及びこの静電アクチュエータを用いたインクジェットヘ
ッドを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の第1の形態では、振動板と、該振動板に対
向配置された対向電極と、該対向電極と前記振動板との
間に形成された振動室と、該振動室に連通し他方が封止
材によって気密封止された通路とを有する静電アクチュ
エータにおいて、前記封止材として、メチル基若しくは
フェニル基を有する有機ポリシロキサンを主剤とする組
成物からなり、150℃以下で硬化するガラスを用いる
ことを特徴とする。
【0011】本発明では、静電アクチュエータの振動室
を気密封止するための封止材として、メチル基若しくは
フェニル基を有する有機ポリシロキサンを主剤とする組
成物を150℃以下で硬化するガラスを用いたため、常
温あるいは150℃以下の比較的低い温度、かつ、短時
間で封止材を硬化させることができる。すなわち、有機
ポリシロキサンを主剤とする封止材は、空気中の水分と
反応して、常温あるいは比較的低い温度で短時間で硬化
する。このため、封止材が振動室に流れ込むことがな
い。それ故、振動室に封止材が侵入することを防止する
ことを目的に、振動室から離れた位置で気密封止を行う
必要がないので、この部分の距離を短縮できる。よっ
て、静電アクチュエータの小型化を図ることができる。
また、メチル基若しくはフェニル基を有する有機ポリシ
ロキサンを主剤とする組成物を硬化してなるガラスから
なる封止材は、耐環境性や耐薬品性にも優れているの
で、静電アクチュエータの信頼性が高い。さらに、有機
ポリシロキサンを主剤とする組成物を硬化してなる常温
ガラスからなる封止材は、シリコン基板への密着性に優
れているため、前記通路の上面となる基板がシリコンか
らなる静電アクチュエータの振動室は気密性が高い。
【0012】本発明において、前記組成物には、官能性
側鎖を有する有機シロキサンが架橋剤として含まれてい
るとともに、金属有機化合物及びB3+イオンが硬化触媒
として含まれているものを用いることが好ましい。
【0013】本発明の第2の形態では、振動板と、該振
動板に対向配置された対向電極と、該対向電極と前記振
動板との間に形成された振動室と、該振動室に連通し他
方が封止材によって気密封止された通路とを有する静電
アクチュエータにおいて、前記封止材として、珪素含有
ポリイミド系封止材を用いることを特徴とする。
【0014】本発明において、静電アクチュエータの振
動室を気密封止するための封止材として用いた珪素含有
ポリイミド系封止材も、空気中の水分と反応して常温あ
るいは比較的低い温度で短時間に硬化する。従って、封
止材が振動室に流れ込むことがない。それ故、振動室に
封止材が侵入することを防止することを目的に、振動室
から離れた位置で気密封止を行う必要がないので、この
部分の距離を短縮できる。よって、静電アクチュエータ
の小型化を図ることができる。また、珪素含有ポリイミ
ド系封止材は、耐環境性や耐薬品性にも優れているの
で、静電アクチュエータの信頼性が高い。さらに、珪素
含有ポリイミド封止材は、シリコン基板への密着性に優
れているため、前記通路の上面となる基板がシリコンか
らなる静電アクチュエータの振動室は気密性が高い。
【0015】本発明において、前記珪素含有ポリイミド
系封止材として、シロキサン含有ポリイミド系封止材を
用いることがきる。この場合、シロキサンは、ジシロキ
サン構造を有してもの、あるいはポリシロキサン構造を
有しているものなどを用いることができる。
【0016】また、前記珪素含有ポリイミド系封止材と
しては、シリケート含有ポリイミド系封止材を用いても
よい。
【0017】また、前記振動板が形成された前記第2の
基板は、例えば、シリコンからなる。
【0018】本発明に係る静電アクチュエータでは、前
記対向電極からは、前記通路を通って前記封止材による
封止部分の外側にまで至る配線部が延設されている。
【0019】また、前記振動室及び前記通路は、例え
ば、当該振動室及び当該通路を構成するための凹部が形
成された第1の基板の表面に、前記振動板が形成された
第2の基板が積層されてなる。
【0020】本発明を適用した静電アクチュエータは、
例えば、ノズルと、該ノズルに連通し前記振動板が一部
に形成されているインク流路と、前記振動板と前記対向
電極との間に静電気を発生させて前記振動板を変位させ
る駆動手段とを有し、該駆動手段は、前記振動板と前記
対向電極との間に駆動信号を印加する電圧印加手段を備
え、前記駆動信号の電圧変化に基づいて前記ノズルから
インク滴が吐出されるように構成されているインクジェ
ットヘッドに用いることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】図面を参照して、本発明の実施の
形態を説明する。
【0022】[静電アクチュエータ/インクジェットヘ
ッドの構成]本発明は、静電アクチュエータ(インクジ
ェットヘッド)において、振動室を気密封止する封止材
に特徴を有しており、この封止材が用いられる静電アク
チュエータの構成は、以下に説明する各実施の形態で共
通である。従って、各実施の形態を説明する前に、図1
及び図2を参照して、本発明が適用される静電アクチエ
ュータ(インクジェットヘッド)の要部の構成を説明す
る。
【0023】図1は、本発明が適用される静電アクチュ
エータを備えたインクジェットヘッドの断面図であり、
図2は、その平面図である。
【0024】図1及び図2に示すように、インクジェッ
トヘッド1に構成されている静電アクチュエータ1′
は、ガラス基板4、導電性を有するシリコン基板からな
る流路形成板2、及びシリコン基板からなるノズルプレ
ート3がこの順に積層された3層構造になっている。ガ
ラス基板4としては、シリコン基板と熱膨張係数が近い
ホウ珪酸ガラス基板が用いられている。
【0025】中央の流路形成板2には、半導体プロセス
を利用して表面からエッチングを施すことにより、多数
の溝が形成されており、これらの溝の上面がノズルプレ
ート3によって塞がれて、独立した複数のインク室5、
1つの共通インク室6、及び共通インク室6を各インク
室5に連通させるインク供給路7が区画形成されてい
る。
【0026】ノズルプレート3には、各インク室5の先
端側の部分に対応する位置にノズル11が形成され、こ
れらのノズル11は、各インク室5にそれぞれ連通して
いる。共通インク室6が位置しているノズルプレート3
の部分には、共通インク室6に連通するインク供給口1
2が形成されている。インクは、外部に設置されている
インクタンク(図示せず)からインク供給口12を通っ
て共通インク室6に供給され、共通インク室5に供給さ
れたインクは、各インク供給路7を通って各インク室5
に供給される。
【0027】独立した各インク室5の底壁は、肉薄に形
成されて、面外方向、すなわち、図1の上下方向に弾性
変位可能な振動板51として機能する。
【0028】ガラス基板4において、その上面である流
路形成板2との接合面では、流路形成板2の各インク室
5に対応する位置に浅い凹部8が複数、エッチング形成
され、これらの凹部8の上面が流路形成板2によって塞
がれて各振動室16が構成されているとともに、各振動
室16の各々に連通する通路9が形成されている。
【0029】各振動室16及び各通路9の底部には、I
TO膜からなるセグメント電極10が形成されている。
これらのセグメント電極10の各々からは、各通路9を
通って、流露形成板2の縁からはみ出す位置まで配線部
23が延設され、これらの配線部23の先端部によって
端子部24が構成されている。
【0030】ここで、振動板51と、これに対向配置さ
れたセグメント電極10との対向間隔(振動室16の深
さ)は、凹部8の深さとセグメント電極10の厚さとの
差に相当し、かなり狭いものである。
【0031】このように構成したインクジェットヘッド
1の静電アクチュエータ1′において、一方が振動室1
6に連通する通路9は、他方端が流路形成板2との間
で、各実施の形態ごとに後述する封止材90によって封
止され、振動室16は気密封止された状態にある。従っ
て、振動室16には、大気中の水分や塵埃が侵入するこ
とがない。
【0032】図2において、インクジェットヘッド1で
は、導電性を有するシリコン基板からなる流路形成板2
の振動板51と、ガラス基板4に形成されている各セグ
メント電極10との間に駆動電圧を印加する電圧印加手
段21を備えた駆動手段20が構成されており、外部か
ら供給される信号に応じて、振動板51とセグメント電
極10との間に駆動信号を印加する。すなわち、電圧印
加手段21の一方の出力は、各セグメント電極10の端
子部24に接続されているとともに、他方に出力は、流
路形成板2に形成されている共通電極22に接続されて
いる。ここで、流路形成板2は、それ自身が導電性を有
するため、共通電極22から振動板51の共通電極に電
圧を印加することが可能である。
【0033】なお、振動板51に対してより低い電気抵
抗で電圧を印加する必要がある場合には、例えば、流路
形成板2の一方の面に金などの導電性材料の薄膜を蒸着
法やスパッタ法により形成すればよい。
【0034】このように構成したインクジェットヘッド
1において、駆動手段20の電圧印加手段21からの駆
動信号が振動板51と各セグメント電極10との間に印
加されると、駆動信号の電圧変化に基づいて、振動板5
1と各セグメント電極10との間に充電された電荷によ
って静電気力が発生し、振動板51はセグメント電極1
0の側に撓み、インク室5の容積が拡がる。この状態か
ら、電圧印加手段21から印加される駆動信号の電圧が
低下すると、振動板51と各セグメント電極10との間
で放電が起こって静電気力が消失し、振動板51は、そ
の弾性復帰力によって元の形状に復帰する結果、インク
室5の容積が急激に収縮する。この時に発生するインク
圧力によって、インク室5を満たすインクの一部が、こ
のインク室5に連通するノズル11からインク滴として
吐出され、インク滴によって、記録用紙などの記録媒体
に記録が行われる。
【0035】このような構成のインクジェットヘッド1
を製造するときには、流路形成板2の端縁において、通
路9に封止材90をスポット状、あるいはライン状に塗
布した後、封止材90を硬化させて振動室16を気密封
止する。このような気密封止を行うにあたって、本発明
では、以下に説明するように、封止材90を通路9の先
端側に塗布しても、振動室16の内部に侵入することの
ないものを用いることにより、振動室16と、封止位置
との距離Lを狭めてインクジェットヘッド1の小型化を
実現する。
【0036】[実施の形態1]本発明の実施の形態1で
は、図1及び図2を参照して説明したインクジェットヘ
ッド1において、振動室16を気密封止するための封止
材90として、以下に成分を示すように、メチル基若し
くはフェニル基を有する有機ポリシロキサンを主剤とす
る組成物からなり、150℃以下で硬化するガラス(以
下常温ガラスという)を用いる。ここで、封止材90に
は、官能性側鎖を有する有機シロキサンが架橋剤として
含まれているとともに、金属有機化合物及びB3+イオン
が硬化触媒として含まれている。
【0037】 封止材90の組成 主 剤 無溶剤のメチル基もしくはフェニル基を有す る液状の有機ポリシロキサン 架橋剤 アルコキシ基、アシロキシ基、オキシム基な どの官能性側鎖を有する有機ポリシロキサン 硬化触媒 Zn、Al、Ti、Sn等の含金属有機化合 物及びB3+ハロゲン 溶剤 イソプロピルアルコール
【0038】本形態で用いた封止材90では、メチル基
若しくはフェニル基を有する液状の有機ポリシロキサン
(主剤)と、アルコキシ基、アシロキシ基、オキシム基
などの官能性側鎖を有する有機ポリシロキサン(架橋
剤)と、Zn、Al、Ti、Sn等の含金属有機化合物
及びB3+ハロゲン(硬化触媒)とを含んでいる。従っ
て、これらの成分を所定の溶剤に溶かして塗布すると、
常温(25℃〜30℃)であれば30分間、50℃であ
れば20分間、空気中に放置するうちに、下式で表され
る反応過程(化学式1、2)を経て封止材90が硬化
し、金属酸化物ガラス膜が形成される。
【0039】
【化1】
【化2】 なお、上記の反応過程は、第一段(化学式1)におい
て、空気中の水分により主剤の有機ポリシロキサン官能
基が加水分解して水酸基に変化し、第二段(化学式2)
において、この有機ポリシロキサンの水酸基を架橋剤の
有機シロキサンの官能基がアタックするとともに、以下
の化学式3、4、5、6に示すような硬化触媒の作用も
受けて脱アルコール反応を起して三次元構造の高分子化
合物のポリシロキシサン硬化体を形成するものと考えら
れる。
【0040】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】 すなわち、化学式3で示すように、B3+とX-とから生
じるBX4 -錯イオンが、化学式4で示すように、(O
R)nのMと極めて容易に交換してMX-n+1錯イオンと
なり、化学式5、化学式6に示す加水分解、脱水縮合の
反応が促進される結果、常温領域において金属酸化物ガ
ラスが得られるものと考えられる。
【0041】このように、本実施の形態では、インクジ
ェットヘッド1の振動室16を気密封止するための封止
材90として、メチル基若しくはフェニル基を有する有
機ポリシロキサンを主剤とする組成物を硬化してなる常
温ガラスを用いたため、封止材90は、空気中の水分と
反応して、常温あるいは比較的低い温度、かつ、短時間
に硬化し、通路9を通って振動室16に流れ込むことが
ない。従って、振動室16に封止材90が侵入すること
を防止することを目的に、通路9や配線部23を延ばし
て振動室16から離れた位置で気密封止を行う必要がな
い。それ故、本実施の形態によれば、通路9や配線部2
3を短縮できるので、インクジェットヘッド1の小型化
を図ることができる。
【0042】また、メチル基若しくはフェニル基を有す
る有機ポリシロキサンを主剤とする組成物を硬化してな
る常温ガラスからなる封止材90は、耐環境性や耐薬品
性にも優れているので、インクジェットヘッド1の信頼
性が高い。さらに、有機ポリシロキサンを主剤とする組
成物を硬化してなる常温ガラスからなる封止材90は、
シリコン基板への密着性に優れているため、通路9の上
面がシリコン基板からなる静電アクチュエータの振動室
は気密性が高い。
【0043】[実施の形態2]本発明の実施の形態2で
は、図1及び図2を参照して説明したインクジェットヘ
ッド1において、振動室16を気密封止するための封止
材90として珪素含有ポリイミド系封止材を用いる。本
形態では、日本接着学会誌、Vol.33,No.2
(1997)の17頁〜27頁に紹介されている各種の
珪素含有ポリイミド系封止材のうち、ポリイミドの主鎖
にシロキサン構造を有するシロキサン含有ポリイミド系
封止材を用いる。ここで、シロキサン含有ポリイミドで
は、シロキサンをジシロキサン構造として含むもの、ポ
リシロキサン構造として含むもののいずれであってもよ
い。
【0044】シロキサンをジシロキサン構造として含む
シロキサン含有ポリイミド系の封止材90としては、例
えば、化学式7に示すものがあり、芳香族ポリイミドと
完全に相溶し、高い密着性を発揮する。
【0045】
【化7】 このようなシロキサン含有ポリイミド系の封止材90
も、インクジェットヘッド1の振動室16を気密封止す
るための封止材90として用いたとき、空気中の水分と
反応して、常温あるいは比較的低い温度で短時間に硬化
するので、通路9に塗布した封止材90が振動室16に
流れ込むことがない。従って、振動室16に封止材90
が侵入することを防止することを目的に、通路9や配線
部23を延ばして振動室16から離れた位置で気密封止
を行う必要がない。それ故、本実施の形態によれば、通
路9や配線部23を短縮できるので、インクジェットヘ
ッド1の小型化を図ることができる。また、シロキサン
含有ポリイミド系の封止材90も、耐環境性や耐薬品性
にも優れているので、インクジェットヘッド1の信頼性
が高い。さらに、シロキサン含有ポリイミド系の封止材
90も、シリコン基板への密着性に優れているため、通
路9の上面がシリコン基板からなる静電アクチュエータ
の振動室は気密性が高い。
【0046】なお、シロキサン含有ポリイミド系の封止
材90としては、化学式8に示すように、ビニル基を含
む架橋性シロキサン含有ポリイミドを用いてもよい。
【0047】
【化8】 さらに、シロキサン含有ポリイミド系の封止材90とし
ては、化学式9に示すように、側鎖シロキサン構造を有
するシロキサン含有ポリイミドを用いてもよい。
【0048】
【化9】 さらにまた、シロキサン含有ポリイミド系の封止材90
としては、化学式10に示すように、ジシロキサン構造
に代えて、ポリシロキサン構造を主鎖に含有しているポ
リシロキサンブロックポリアミック酸を用いた封止材を
用いてもよい。
【0049】
【化10】
【0050】[実施の形態3]本発明の実施の形態3で
も、実施の形態2と同様、図1及び図2を参照して説明
したインクジェットヘッド1において、振動室16を気
密封止するための封止材90として珪素含有ポリイミド
系封止材を用いる。本形態では、日本接着学会誌、Vo
l.33,No.2(1997)の17頁〜27頁に紹
介されている各種の珪素含有ポリイミド系封止材のう
ち、シリケート含有ポリイミド系封止材を用いる。
【0051】このシリケート含有ポリイミドとしては、
例えば、化学式11、12に示すように、両末端基をシ
リケート含有酸無水物やシリケート含有ジアミンで封止
したものがある。
【0052】
【化11】
【化12】 これらのシリケート含有ポリイミドのうち、化学式11
に示すシリケート含有ポリイミドでは、反応機構を化学
式12に示すように、アルキルシリケートとともに用い
たとき、空気中の水分によって末端のアルキリシリケー
ト基の加水分解重縮合が起こり、架橋反応が進行し、シ
リケートネットワークが形成される。
【0053】
【化13】 さらに、シリケート含有ポリイミド系の封止材90とし
ては、日本接着学会年次大会要旨集、Vol.35(1
997)の109頁〜110頁に紹介されているシリケ
ート含有シロキサンブロックポリイミドを用いてもよ
い。
【0054】
【化14】 このように、本実施の形態で用いたシリケート含有ポリ
イミド系の封止材90も、インクジェットヘッド1の振
動室16を気密封止するための封止材90として用いた
とき、空気中の水分と反応して、常温あるいは比較的低
い温度で短時間に硬化するので、通路9に塗布した封止
材90が振動室16に流れ込むことがない。従って、振
動室16に封止材90が侵入することを防止することを
目的に、通路9や配線部23を延ばして振動室16から
離れた位置で気密封止を行う必要がない。それ故、本実
施の形態によれば、通路9や配線部23を短縮できるの
で、インクジェットヘッド1の小型化を図ることができ
る。また、シリケート含有ポリイミド系の封止材90
も、耐環境性や耐薬品性にも優れているので、インクジ
ェットヘッド1の信頼性が高い。さらに、シリケート含
有ポリイミド系の封止材90も、シリコン基板への密着
性に優れているため、通路9の上面がシリコン基板から
なる静電アクチュエータの振動室は気密性が高い。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において、
静電アクチュエータの振動室を気密封止するための封止
材として用いたメチル基若しくはフェニル基を有する有
機ポリシロキサンを主剤とする組成物を硬化してなる常
温ガラス、あるいは珪素含有ポリイミド系封止材は、空
気中の水分と反応して常温あるいは比較的低い温度で短
時間に硬化する。従って、封止材が振動室に流れ込むこ
とがない。それ故、振動室に封止材が侵入することを防
止することを目的に、振動室から離れた位置で気密封止
を行う必要がないので、この部分の距離を短縮できる。
よって、静電アクチュエータおよびインクジェットヘッ
ドの小型化を図ることができる。また、これらの封止材
は、耐環境性や耐薬品性にも優れているので、静電アク
チュエータの信頼性が高い。さらに、これらの封止材
は、シリコン基板への密着性に優れているため、気密封
止する通路の上面がシリコン基板からなる静電アクチュ
エータの振動室は気密性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される静電アクチュエータを備え
たインクジェットヘッドの断面図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッドの平面図であ
る。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 1′ 静電アクチュエータ 2 流路形成板 3 ノズルプレート 4 ガラス基板 5 独立したインク室 6 共通インク室 7 インク供給路 8 凹部 9 通路 10 セグメント電極 11 ノズル 12 インク供給口 16 振動室 20 駆動手段 21 電圧印加手段 22 共通電極 23 配線部 24 端子部 51 振動板 90 封止材

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動板と、該振動板に対向配置された対
    向電極と、該対向電極と前記振動板との間に形成された
    振動室と、該振動室に連通し他方が封止材によって気密
    封止された通路とを有する静電アクチュエータにおい
    て、 前記封止材は、メチル基若しくはフェニル基を有する有
    機ポリシロキサンを主剤とする組成物からなり150℃
    以下で硬化するガラスであることを特徴とする静電アク
    チュエータ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記組成物には、官
    能性側鎖を有する有機シロキサンが架橋剤として含まれ
    ているとともに、金属有機化合物及びB3+イオンが硬化
    触媒として含まれていることを特徴とする静電アクチュ
    エータ。
  3. 【請求項3】 振動板と、該振動板に対向配置された対
    向電極と、該対向電極と前記振動板との間に形成された
    振動室と、該振動室に連通し他方が封止材によって気密
    封止された通路とを有する静電アクチュエータにおい
    て、 前記封止材は、珪素含有ポリイミド系封止材であること
    を特徴とする静電アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記珪素含有ポリイ
    ミド系封止材は、シロキサン含有ポリイミド系封止材で
    あることを特徴とする静電アクチュエータ。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記シロキサン含有
    ポリイミド系封止材では、シロキサンがジシロキサン構
    造を有していることを特徴とする静電アチュエータ。
  6. 【請求項6】 請求項4において、前記シロキサン含有
    ポリイミド系封止材では、シロキサンがポリシロキサン
    構造を有していることを特徴とする静電アクチュエー
    タ。
  7. 【請求項7】 請求項3において、前記珪素含有ポリイ
    ミド系封止材は、シリケート含有ポリイミド系封止材で
    あることを特徴とする静電アクチュエータ。
  8. 【請求項8】 請求項7において、前記シリケート含有
    ポリイミド系封止材は、シリケート含有シロキサンブロ
    ックポリイミドであることを特徴とする静電アクチュエ
    ータ。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかにおいて、
    前記対向電極からは、前記通路を通って前記封止材によ
    る封止部分の外側にまで至る配線部が延設されているこ
    とを特徴とする静電アクチュエータ。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし8のいずれかにおい
    て、前記振動室及び前記通路は、当該振動室及び当該通
    路を構成するための凹部が形成された第1の基板の表面
    に、前記振動板が形成された第2の基板が積層されてな
    ることを特徴とする静電アクチュエータ。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし8のいずれかにおい
    て、前記振動室及び前記通路は、当該振動室及び当該通
    路を構成するための凹部が形成された第1の基板の表面
    に、前記振動板が形成された第2の基板が積層されてな
    り、当該第2の基板がシリコンで形成されていることを
    特徴とする静電アクチュエータ。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし9のいずれかに記載の
    静電アクチュエータを備えたインクジェットヘッドであ
    って、ノズルと、該ノズルに連通し前記振動板が一部に
    形成されているインク流路と、前記振動板と前記対向電
    極との間に静電気を発生させて前記振動板を変位させる
    駆動手段とを有し、 該駆動手段は、前記振動板と前記対向電極との間に駆動
    信号を印加する電圧印加手段を備え、 前記駆動信号の電圧変化に応じて前記ノズルからインク
    滴が吐出されるように構成されていることを特徴とする
    インクジェットヘッド。
JP2000368932A 2000-12-04 2000-12-04 静電アクチュエータ及びそれを用いたインクジェットヘッド Withdrawn JP2002172790A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7530670B2 (en) 2004-12-27 2009-05-12 Seiko Epson Corporation Electrostatic actuator, droplet discharging head, droplet discharging apparatus, electrostatic device, and method of manufacturing these

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