JP2002171700A - 整流子モータ用界磁鉄心 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 モータ効率を低下させることなく鉄板１同士
を積層固着しカシメ凹凸部４、５により形成した界磁用
鉄心を提供すること。 【解決手段】 継鉄部３に設置したカシメ凹凸部４を、
磁極部２に設置したカシメ凹凸部５より小さい寸法ない
しは深さの浅い形状とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は鉄板を多数積層して
カシメ固着することにより形成する整流子モータ用界磁
鉄心に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の整流子モータ用界磁鉄心は、図５
に示すように、カシメ凹凸部４、５を介して鉄板１間の
隙間をなくして密着積層させることにより形成され、コ
イル装着時や外枠への界磁鉄心取り付け時の作業に不具
合が生じるのを回避するためにカシメ凹凸部４、５が鉄
板１の磁極部２及び継鉄部３に設けられている。カシメ
凹凸部４、５は、同一形状で形成され個々のカシメ結束
力の総和を積層された鉄板１が外力の作用によって容易
に分離しない結束力以上にするために必要な面積あるい
は深さを有していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記した界磁鉄心によ
ると、積層された鉄板１が外力の作用によって容易に分
離しない結束力以上にするため必要な面積あるいは深さ
を有するカシメ凹凸部５が磁路を形成している継鉄部３
に設けられているため、カシメ凹凸部５が磁路の障害物
となり磁束の流れが妨害されひいてはモータ効率の低下
を招くという不具合があった。特に外径４５〜１００ｍ
ｍの小形界磁鉄心においては、磁束密度がほとんど飽和
領域に達するまで継鉄部３の磁路断面積を狭くしている
ため磁路妨害の影響が大きく、磁路妨害によるモータ効
率の低下は著しくなるという問題があった。一方、継鉄
部３のカシメ凹凸部５をなくすことにより磁路妨害を回
避しようとすると、鉄板１が密着固定されず積層した鉄
板１がずれたり継鉄部３において隙間が生じ、コイル装
着時や外枠への界磁鉄心取り付け時の作業に不具合が生
じる。このため、モータ効率を重視する高速回転用の小
形モータの積層鉄心に上述のカシメ固定方法を採用する
ことは困難であった。

【０００４】本発明の目的は、上記した従来技術の欠点
をなくし、カシメを用いて鉄板を積層固着してもモータ
効率を低下させることのない整流子モータ用界磁鉄心を
提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的は、継鉄部に設
けたカシメ凹凸部を磁極部に設けたカシメ凹凸部より小
さい寸法ないしは深さの小さい形状とすることで達成さ
れる。

【０００６】

【発明の実施の形態】図１〜図４に本発明整流子モータ
用界磁鉄心の一実施形態を示す。図１は整流子モータ用
界磁鉄心の平面図、図２はその側面図である。本発明
は、例えば４５〜１００ｍｍの鉄心に適用した例を示し
たものである。

【０００７】図１に示した鉄心は、図２に示すように多
数の鉄板１から構成されている。また、この多数の鉄板
１は、対応して積層されていると共に磁極部２及び継鉄
部３に設けられたカシメ凹凸部４、５により互いに隣接
するもの同士がカシメ固定されている。各カシメ凹凸部
４、５による固定は、図３に示したように隣接する鉄板
１の一方の凸部６を他方の凹部７に嵌着固定することで
達成されている。鉄板１は、図１に示したように、磁極
部２に寸法の大きいカシメ凹凸部４を設け、継鉄部３に
は磁極部２のカシメ凹凸部４よりも寸法の小さい形状の
カシメ凹凸部５が設けられているのが特徴であり、この
磁極部２及び継鉄部３に設けたカシメ凹凸部４と５とは
カシメ結束力が異なるがカシメ結束力の総和は積層され
た界磁鉄心が外力の作用によって容易に分離しない結束
力を確保できる寸法形状となっている。

【０００８】上記の実施形態によれば、磁路断面積が大
きく磁路妨害の影響がほとんどない磁極部２に設けたカ
シメ凹凸部４の寸法を大きくしカシメ面積を大きくする
ことにより界磁鉄心の結束力の大部分を受け持たせてい
るので、継鉄部３のカシメ凹凸部５は鉄板１間に隙間が
生じない程度の結束力を有するだけの小さい寸法形状で
良く、継鉄部３における磁束の流れにほとんど影響を及
ぼさなくすることが可能になる。これにより、界磁鉄心
の磁路妨害は大幅に低減されモータ効率の低下を最小限
にとどめた整流子モータとすることが可能となる。

【０００９】また、カシメ結束力及び磁束の流れに対す
る影響はカシメ凹凸部４、５の嵌着枚数によっても変わ
る。従って、カシメ凹凸部４、５の寸法面積が同一であ
っても、磁極部２に設置するカシメ凹凸部４の深さを、
例えば図３(ａ)に示すように鉄板１の１〜２枚以上と多
くして結束力を確保し、継鉄部３に設置するカシメ凹凸
部５の深さは磁極部２のカシメ凹凸部４の深さより浅く
し、例えば図３(ｂ)に示すように磁束の流れに対する影
響の少ない鉄板１の１枚以下にすることでも上記の効果
が得られる。

【００１０】次に本発明界磁鉄心の他の実施形態を図４
に示す。図４に示すように、外枠等に界磁鉄心を固定す
るためのボルト挿通孔８を有する界磁鉄心においては、
継鉄部３上の磁路を確保するためにボルト挿通孔８のま
わりは局部的に継鉄部３の幅が大きく形成されている。
すなわち、図４において磁路aと磁路bの幅の合計が磁路
cの幅になるように形成されている。この幅の広い位置
を利用し、継鉄部３に設けるカシメ凹凸部５を磁路の中
に入らないにボルト挿通孔８に並設させてある。これに
より、継鉄部３の磁路妨害が発生しないためモータの効
率低下の回避に更に大きな効果が得られる。

【００１１】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、継鉄部に
設けられたカシメ凹凸部による磁路の妨害率を最小限に
とどめることができ、磁路妨害によるモータ効率の大き
な低下を招くことなく鉄心を構成する多数の鉄板同士を
多少の外力では分離不能に結束させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明整流子モータ用界磁鉄心の一実施形態を
示す平面図。

【図２】図１の側面図。

【図３】カシメ凹凸部による固定状態の一実施形態を示
す部分断面図。

【図４】本発明界磁鉄心の他の実施形態を示す部分拡大
平面図。

【図５】従来の整流子モータ用界磁鉄心の一例を示す平
面図。

【符号の説明】

１は鉄板、２は磁極、３は継鉄、４、５はカシメ凹凸
部、６はカシメ凸部、７はカシメ凹部、８はネジ挿通孔
である。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の磁極部及び磁極部間を連結する継
   鉄部を有する鉄板を多数積層すると共に磁極部及び継鉄
   部に設けられたカシメ凹凸部を介して積層方向にカシメ
   ることにより形成される整流子モータ用界磁鉄心であっ
   て、 前記磁極部に設けられたカシメ凹凸部を継鉄部に設けら
   れたカシメ凹凸部より大きい寸法としたことを特徴とす
   る整流子モータ用界磁鉄心。
2. 【請求項２】 前記磁極部に設けられたカシメ凹凸部の
   深さを継鉄部に設けられたカシメ凹凸部の深さより大き
   い寸法としたことを特徴とする請求項１記載の整流子モ
   ータ用界磁鉄心。
3. 【請求項３】 前記継鉄部のカシメ凹凸部を鉄心取り付
   けボルト挿通孔近傍に設けたことを特徴とする請求項１
   記載の整流子モータ用界磁鉄心。
4. 【請求項４】 鉄心外径を４５〜１００ｍｍとしたこと
   を特徴とする請求項１記載の整流子モータ用界磁鉄心。