JP2002168396A - 圧力容器 - Google Patents

圧力容器

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JP2002168396A
JP2002168396A JP2000366546A JP2000366546A JP2002168396A JP 2002168396 A JP2002168396 A JP 2002168396A JP 2000366546 A JP2000366546 A JP 2000366546A JP 2000366546 A JP2000366546 A JP 2000366546A JP 2002168396 A JP2002168396 A JP 2002168396A
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pressure vessel
pressure
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Goichi Hen
吾一 邉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量であり、かつ高い耐圧強度を有し、更に
は内部損傷の有無を非破壊的に、かつ簡便に判定するこ
とが可能な、天然ガス自動車、呼吸用ボンベ等における
圧縮ガス用耐圧容器として有用な圧力容器の提供。 【解決手段】 略円筒状容器の少なくとも一部に、当該
容器径より小さい形状を記憶させた形状記憶合金ワイヤ
ーによる補強材を有する圧力容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量でありながら
高い耐圧強度を有し、天然ガス自動車、呼吸用ボンベな
どにおける圧縮ガス用耐圧容器として有用な圧力容器に
関する。
【0002】
【従来の技術】天然ガス自動車や呼吸用ボンベに用いら
れる圧縮ガス用耐圧容器には、主として金属製や炭素繊
維強化プラスチック(以下、「CFRP」と略称する)製の
容器が用いられているが、内部の圧力に耐えるよう高強
度を達成するには、容器壁は十分な厚さを持ったものと
する必要があり、このため必然的に高重量となってしま
う。このような高重量の耐圧容器は、天然ガス自動車に
おける燃費向上、二酸化炭素の排出量抑制、及び呼吸用
ボンベの高容量化を図る上での大きな障害となってい
る。
【0003】一方、耐圧容器内部の圧力をその耐圧強度
を超えて増加させていくと、容器の周方向に引張応力が
生じて軸方向に亀裂が生じ、破壊が起こる。しかし、CF
RP製のボンベの内部に損傷がある場合、その継続使用の
可否を非破壊的に、かつ簡便に判定する手法は未だに確
立されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、重量
を大幅に軽量化すると共に、高い耐圧強度を実現した圧
力容器を提供すること、更には、その内部の損傷の有無
を非破壊的に、かつ簡便に判定することの可能な圧力容
器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者は鋭意研究を重ねた結果、形状記憶合金(以下、
「SMA」と略称する)の形状回復力による圧縮応力を利
用することに思い至り、上記要請に沿う圧力容器を開発
することに成功し、本発明を完成した。
【0006】すなわち本発明は、略円筒状容器の少なく
とも一部に、当該容器径より小さい形状を記憶させた形
状記憶合金ワイヤーによる補強材を有する圧力容器を提
供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を示す図
面を参照しつつ、本発明を説明する。
【0008】本発明の圧力容器において、「略円筒状」
とは、容器形状は正確に円筒状である必要はなく、例え
ば図1に示すように直胴部が円筒形状で末端部が曲面形
状(ドーム型)のものであってもよく、また容器の断面
形状も円形のほか、楕円形等でもよいことを意味する。
【0009】SMA以外の容器材料としては、CFRP、GFR
P、AFRP又はそれらのハイブリッドFRP等のFRP(繊維強
化プラスチック)、アルミニウムなど、特に限定されな
いが、FRPが特に好ましい。またアルミニウム製又はプ
ラスチック製のライナーの周囲をFRP製としたものも好
ましい態様として挙げられる。
【0010】SMAとしては、特に限定されず、Ni-Ti合
金、Cu系合金、Fe系合金等が挙げられ、なかでも形状回
復応力の大きいNi-Ti合金が好ましい。
【0011】本発明の圧力容器の製造法の概略を図2に
示す。(i)まずSMAワイヤー(2)を目的とする圧力容器
の容器径より小径の円筒(マンドレル)(3)に巻き、熱
処理を行い、その形状を記憶させる。(ii)次に形状が
記憶されたSMAワイヤー(2)を、SMAの変態温度未満の温
度(一般には常温)で円筒から解く。(iii)このSMAワ
イヤー(2)を、記憶させた形状より大きな径を有する容
器(1)(又はライナー)に、変態温度未満の温度で巻き
付ける。SMAワイヤーを巻き付ける際には、ワイヤーに
引張りひずみを与えながら(張力を加えながら)固く巻
くのが好ましい。このひずみが大きいほど耐圧強度は高
まるが、大きすぎるとライナー自身の強度を超え、破壊
が起こるので、ライナーの強度を考慮し、適度なひずみ
を与えるのが好ましい。
【0012】本発明の圧力容器は、SMAワイヤーによる
補強材を、その形状回復力による圧縮応力がかかるよう
な態様で容器の少なくとも一部に有していればよい。こ
のような態様としては、圧力容器の外側にSMAワイヤー
を巻き付けた層(以下「SMA層」という)を有するも
の、圧力容器壁厚みの内部にSMA層を有するものなどが
挙げられる。またSMAワイヤーによる補強材は、容器の
円筒形状部分のみに形成しても、あるいは容器のほぼ全
体にわたって形成してもよい。SMA層は、単層巻きでも
多層巻きでもよく、巻き方としても例えばヘリカル巻き
(つる巻き)、フープ巻き(周巻き)、インプレーン巻
き等、又はこれらの組合わせなど、いずれの巻き方を採
用することもでき、目的とする容器形状や強度に応じて
適宜決定すればよい。多層巻きの場合には、SMA層とFRP
層を交互に積層することもできる。図3は本発明の圧力
容器の実施態様を示す1/4断面図であり、図3(a)は容器
本体(1)(アルミ製又はライナー+FRP)上にSMA層(4)を
1層だけ形成した単層巻きの例、図3(b)はライナー(6)
上にSMA層(4)とFRP層(5)を交互に積層した例である。更
には、SMAワイヤーの巻きピッチ(間隔)も限定されな
いが、ピッチが小さいほど高強度となるので、要求され
る強度及び製造コストを考慮して適宜決定すればよい。
【0013】SMAワイヤーに記憶させるべき「容器径よ
り小さい形状」としては、SMAワイヤーに変態温度以上
の温度を与えた際に、その形状回復力により本発明の圧
力容器に圧縮応力がかかるような形状であればよく、特
に限定されるものではないが、代表的な形状として、容
器へのSMAワイヤーの巻き付け径より小径の円筒状が挙
げられる。また、容器径と、SMAワイヤーに記憶させる
形状の大きさの差は、目的とする圧力容器に想定される
最大圧力に耐えられるだけの圧縮応力が得られるよう
に、用いるSMA材料の形状回復力、ワイヤーの太さ、ワ
イヤー巻き付け時に与えるひずみの大きさ等の各要素を
総合的に考慮して決定するのが好ましい。
【0014】以上のようにして製造された本発明の圧力
容器のSMAワイヤーをその変態温度以上に加熱すること
により、SMAワイヤーは記憶された小さな形状に戻ろう
とする。この形状回復応力により、金属の焼き嵌めと同
様の効果を得て容器に圧縮応力がかかることとなる。そ
の結果、この形状回復応力による圧縮応力とSMAワイヤ
ーに与えたひずみとが相俟って、内圧による引張り応力
を軽減させ、容器の耐圧強度を向上させることとなる。
【0015】SMAワイヤーの形状回復のための加熱方法
としては、例えば外部からヒーター等により加熱する方
法、SMAワイヤーに電流を流してジュール熱を発生させ
る方法等が挙げられる。なお、変態温度が常温未満の場
合には、冷却下でSMAを巻き付けた後、常温に戻すのみ
でよい。
【0016】本発明の圧力容器は、SMAワイヤーに電流
を流してSMAが断線していないかどうかを確認すること
により、FRP製圧力容器の内部の損傷同定を非破壊的
に、かつ簡便に行うことができる。
【0017】以下に、アルミニウム円筒殻にSMAワイヤ
ーを単層巻きした試験体を用いた耐圧試験を示す。
【0018】試験例1 (1)試験体の製作 試験体の外形を図4に示す。耐圧試験用の試験体は、ア
ルミニウムの円筒殻にSMAワイヤー(2)を巻き付け、両端
に耐圧試験用のジグ(7)を常温硬化型エポキシ系接着剤
(セメダイン社製,EP-008)で取り付けることにより作
製する。ジグは耐圧試験の際、ジグ部で破壊しないよう
に、接着長さを取り、端部にテーパーを付け、応力集中
を緩和するようにした。円筒殻にはアルミニウムのパイ
プを用いる。材質は63S丸管、外径29mm、肉厚0.5mmで、
両端のジグ接着部(95mm)を含めて、試験体の全長は34
0mmである。SMAワイヤーとしては、直径0.5mmのTi-Ni合
金のワイヤー(関東特殊製鋼社製,VA5724;変態温度50
〜60℃,80℃におけるヤング率72.4GPa)を用いる。こ
のワイヤーを試験体の外径よりも小さい径(28mm)のア
ルミニウムパイプのジグに巻き付け、緩まないように固
定し、マッフル炉で460℃、30分間熱処理を行った後、
水で急冷し、形状を記憶させる。旋盤を用いて、アルミ
ニウムの円筒殻の上に、形状を記憶させたSMAワイヤー
にひずみを与えながら巻き付け固定する。
【0019】(2)耐圧試験の方法 耐圧試験の概略を図5に示す。ストレインゲージ(8)及
びメータ(9)を取り付けた試験体に、水圧により内圧を
負荷する。試験体に水を満たし、ジョイント(10)を介し
て高圧ホース(11)を接続する。そして、形状記憶合金の
ワイヤーに圧縮力を発生させるためヒータ(12)で温度を
80℃に上げ、毎秒0.1MPaで加圧する。試験体中央から30
mmのところまでのひずみを測定する。
【0020】(3)結果 図6は試験体のSMAワイヤーのひずみを2%とし、ワイ
ヤーのピッチ0.75mmでアルミ管にSMAワイヤーを巻き付
けた場合(△)と、アルミ管だけの場合(○)とで耐圧
試験を行い、周方向のひずみを測定した結果である。い
ずれの場合もアルミ管は2500×10-6のひずみで破壊して
いる。しかし、アルミ管だけの場合の耐圧強度は7.1MP
a、SMAワイヤーによる補強をしたアルミ管は13.8MPaで
あり、明らかに耐圧強度が向上している。
【0021】試験例2 試験例1と同様の方法により、試験体のSMAワイヤーの
ピッチを2mmとし、SMAワイヤーのひずみを変化させ耐
圧試験を行った。この結果、図7に示すように、SMAワ
イヤーにひずみを与えない場合の耐圧強度は8.7MPaであ
ったのに対し、ひずみを3%与えた場合には耐圧強度は
13.8MPaに向上した。
【0022】
【発明の効果】本発明の圧力容器は、軽量でありながら
高い耐圧強度を有する。従って、天然ガス自動車の燃料
容器においては、例えばライナー上にFRP層とSMA層を積
層して燃料容器を形成した場合、現状の鋼製継目なし燃
料容器の約1/3以下の重量で同等の強度が得られるこ
とが見込まれ、燃費が向上し、二酸化炭素の排出量も少
なくなることが期待される。また呼吸器用高圧ガス容器
においては、消防活動や在宅医療での携行ガス量を増大
できることが期待される。またSMAワイヤーの断線の有
無を電気的に確認することにより、圧力容器の内部の損
傷同定を非破壊的に、かつ簡便に行うことも可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の略円筒状圧力容器の代表例を示す図で
ある。
【図2】本発明の圧力容器の製造法の概略を示す図であ
る。
【図3】本発明の圧力容器の1/4断面図であり、(a)はSM
Aワイヤーを単層巻きにした実施態様、(b)はライナー上
にFRP層とSMA層を交互に積層した実施態様を示す図であ
る。
【図4】耐圧試験に用いた試験体の外形を示す図であ
る。
【図5】耐圧試験の概略を示す図である。
【図6】アルミ管にSMAワイヤーを巻いた試験体(△)
と、アルミ管のみの試験体(○)について、耐圧強度を
比較した図である。
【図7】SMAワイヤーに与えるひずみをの大きさと耐圧
強度との関係を示す図である。
【符号の説明】 1 容器本体 2 SMAワイヤー 3 円筒(マンドレル) 4 SMA層 5 FRP層 6 ライナー 7 ジグ 8 ストレインゲージ 9 メータ 10 ジョイント 11 高圧ホース 12 ヒータ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略円筒状容器の少なくとも一部に、当該
    容器径より小さい形状を記憶させた形状記憶合金ワイヤ
    ーによる補強材を有する圧力容器。
  2. 【請求項2】 略円筒状容器の少なくとも一部に、当該
    容器径より小径の円筒形状を記憶させた形状記憶合金ワ
    イヤーの巻き付け層を有するものである請求項1記載の
    圧力容器。
  3. 【請求項3】 略円筒状ライナー上の少なくとも一部
    に、当該ライナーの径より小径の円筒形状を記憶させた
    形状記憶合金の巻き付け層及び炭素繊維強化プラスチッ
    ク層を積層したものである請求項1又は2記載の圧力容
    器。
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