JP2002161435A - ポリアルキレンテレフタレート繊維及びその識別方法 - Google Patents

ポリアルキレンテレフタレート繊維及びその識別方法

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JP2002161435A
JP2002161435A JP2000364635A JP2000364635A JP2002161435A JP 2002161435 A JP2002161435 A JP 2002161435A JP 2000364635 A JP2000364635 A JP 2000364635A JP 2000364635 A JP2000364635 A JP 2000364635A JP 2002161435 A JP2002161435 A JP 2002161435A
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Japan
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terephthalate
dimethyl
fiber
polyalkylene terephthalate
acid
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Masahiko Maesaki
雅彦 前崎
Ryoji Tsukamoto
亮二 塚本
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリアルキレンテレフタレートを繊維構造体
に加工する際に、バージンのテレフタル酸ジメチルから
なるポリアルキレンテレフタレート繊維との識別が容易
に可能であり、更にバージンのテレフタル酸ジメチルか
らなるポリアルキレンテレフタレートと同等の品質を有
するポリアルキレンテレフタレート繊維及びその識別方
法を提供すること。 【解決手段】 識別化合物として、水素或いは/及び炭
素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを、テ
レフタル酸ジメチルに対し1〜1000重量ppm添加
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、識別化合物として
水素或いは/及び炭素の同位体から構成されるテレフタ
ル酸ジメチルを含有するテレフタル酸ジメチル組成物か
らなるポリアルキレンテレフタレート繊維及びその識別
方法に関する。
【0002】更に詳しくは、本発明は、ポリアルキレン
テレフタレートを解重合し、メタノールでエステル化さ
れたテレフタル酸ジメチル(以下、原料リサイクルDM
Tと略記する。)に識別化合物として水素或いは/及び
炭素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを添
加したテレフタル酸ジメチル組成物からなるポリアルキ
レンテレフタレートを繊維構造体に加工する際に容易
に、パラキシレンから生産されたテレフタル酸ジメチル
(以下、バージンDMTと略記する。)と容易に識別可
能であり、更にバージンのテレフタル酸ジメチルからな
るポリアルキレンテレフタレートと同等の品質を有する
ポリアルキレンテレフタレート繊維に関する。
【0003】
【従来の技術】現在、ポリエチレンテレフタレート(以
下、PETと略記する。)は、繊維、樹脂、包装材料、
フィルム、その他成形体として広く世の中で使用されて
いるが、使用済材料、特に、PETボトルの処分につい
て近年大きな問題となっている。ここ数年で、使用済P
ETボトルは、回収した後、粉砕処理、他の材料との分
離処理及び洗浄処理を経て、繊維やシートなどに再加工
されるマテリアルリサイクルの循環ループが出来、機能
し始めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このシステム
で処理された材料は、再加工設備及び条件に制約があ
り、且つ、再加工樹脂製品の品質低下の問題もあり、そ
の用途も制約されている。また、マテリアルリサイクル
再加工樹脂製品とバージン材料からなる樹脂の樹脂製品
とを容易に識別することも出来ていない。
【0005】本発明は、リサイクル樹脂を使用している
ことを容易に識別でき、更にバージン樹脂製品との品質
差の少ないポリアルキレンテレフタレート繊維及びその
識別方法を提供することを課題とし、これを用いた紡績
糸、フィラメント糸、複合糸、織物、編物、不織布、レ
ース、網等の繊維構造体を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術に鑑み鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに
到った。
【0007】すなわち、本発明の目的は、識別化合物と
しての水素或いは/及び炭素の同位体から構成されるテ
レフタル酸ジメチルを、全テレフタル酸ジメチルに対し
1〜1000重量ppm添加するポリアルキレンテレフ
タレート繊維によって達成することができる。
【0008】さらに、本発明の他の目的は、ポリアルキ
レンテレフタレート繊維を製造するに際し、識別化合物
としての水素或いは/及び炭素の同位体から構成される
テレフタル酸ジメチルを、全テレフタル酸ジメチルに対
し1〜1000重量ppm添加したテレフタル酸ジメチ
ル組成物を使用することを特徴とする、ポリアルキレン
テレフタレート繊維の識別方法によって達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明の識別方法においては、まず、識別
化合物となるDMTの同位体化合物が必要である。DM
Tの同位体化合物の中でも、テレフタル酸−カルボキシ
13C−ジメチルエステル、テレフタル酸−カルボキシ
132−ジメチルエステル、テレフタル酸−136−ジ
メチルエステル、テレフタル酸−d−ジメチルエステ
ル、テレフタル酸−d4−ジメチルエステルからなる群
から選ばれた少なくとも1種の同位体化合物であること
が好ましい。
【0011】次に、ポリエステルを既知の解重合触媒存
在下、EG中で解重合反応させる。ここでポリエステル
とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘ
キサメチレンテレフタレートである。解重合反応で得ら
れた混合物は必要であれば、解重合反応で用いた過剰な
EGを抜出し、その後MeOHと共に反応器内へ導入
し、置換エステル化反応、及び冷却晶析により、粗テレ
フタル酸ジメチルを得る。更にこの得られた粗テレフタ
ル酸ジメチルを蒸留精製することにより、高純度のテレ
フタル酸ジメチルを得ることができる。
【0012】以上の工程を経て得られた高純度の回収テ
レフタル酸ジメチルを140〜170℃の溶融状態に保
ち、既知の方法でテレフタル酸ジメチルの同位体化合物
を添加することができ、回分式と連続式、どちらでも問
題なく採用することができる。例えば、同位体化合物を
添加する時の形態としては、同位体化合物の微粉末状
態、あるいは、例えばメタノールに代表される有機溶媒
のスラリー状態とし、添加した後、攪拌や液循環により
テレフタル酸ジメチル中に均一に分散させる方法が挙げ
られる。
【0013】識別化合物としての炭素或いは/及び水素
の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルは、ポリ
エステルからEG及びMeOHを用いて回収したテレフ
タル酸ジメチル中に、1〜1000重量ppm、好まし
くは50〜300重量ppm添加することが好ましい。
添加量が1重量ppm未満であると、検出が困難であ
り、1000重量ppmを超えると樹脂組成物の品質及
び成形性悪化をもたらす為、好ましくない。
【0014】本発明のポリアルキレンテレフタレート繊
維は、識別化合物としての水素或いは/及び炭素の同位
体から構成されるテレフタル酸ジメチルを、全テレフタ
ル酸ジメチルに対し1〜1000重量ppm添加するポ
リアルキレンテレフタレート繊維である。
【0015】本発明のポリアルキレンテレフタレート
は、テレフタル酸単位とジオ−ル単位からなる熱可塑性
ポリエステルであり、テレフタル酸単位を全酸成分の8
5モル%以上の成分とすることが好ましい。テレフタル
酸単位は、エステル誘導体に由来しており、誘導体とし
て、メチルエステルであるテレフタル酸ジメチルが好ま
しい。
【0016】上述のテレフタル酸ジメチルは、ポリアル
キレンテレフタレートをエチレングリコールで解重合
し、次いでメタノールでエステル交換反応して得られた
テレフタル酸ジメチルに前述の識別化合物としての水素
或いは/及び炭素の同位体から構成されるテレフタル酸
ジメチルを1〜1000重量ppm添加されたテレフタ
ル酸ジメチルであることが好ましい。
【0017】全酸成分の15モル%未満の範囲で、例え
ば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタ
レンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、
1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレン
ジカルボン酸、その他のナフタレンジカルボン酸の異性
体、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエ−
テルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、
ベンゾフェノンジカルボン酸、フェニルインダンジカル
ボン酸、5−スルホキシイソフタル酸金属塩、5−スル
ホキシイソフタル酸ホスホニウム塩等の如き芳香族ジカ
ルボン酸或いはこれらの低級アルキルエステル、ヘキサ
ヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の如
き脂環属族ジカルボン酸或いはこれらの低級アルキルエ
ステル、アジピン酸、スベリン酸、セバチン酸、アゼラ
イン酸、シュウ酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸或いはこれらの低級ア
ルキルエステル、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香
酸、ε−オキシカプロン酸、ドデカン二酸等の如きオキ
シ酸等の二官能性カルボン酸或いはこれらの低級アルキ
ルエステルから選ばれる少なくとも1種以上の酸成分を
共重合できる。
【0018】また、ポリアルキレンテレフタレートを構
成するジオール成分としては、例えば、エチレングリコ
−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレングリコ
−ル、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリ
コ−ル、オクタメチレングリコール、デカメチレングリ
コ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、1,1−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,4−シ
クロヘキサンジメタノ−ル等の脂肪族グリコール、o,
m,p−キシリレングリコール、1,4−ビス(2−ヒ
ドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒド
ロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス
(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、4,4’−ビ
ス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ビフェニル、
2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエ
トキシエトキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス
(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス
(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、1,2
−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2−
ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、
4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニル
スルホン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシエ
トキシ)ジフェニルスルホン等の芳香族グリコールの1
種以上であることができる。
【0019】本発明において、ポリアルキレンテレフタ
レートには、3官能以上の化合物が2%以下の範囲で共
重合されていても差し支えない。
【0020】3官能以上の化合物としては、トリメリッ
ト酸、ピロメリット酸の如きポリカルボン酸、グリセリ
ン、トリメチロール、プロパンペンタエリスリトールの
如きポリオールを共重合することができる。
【0021】次に、本発明のポリアルキレンテレフタレ
ート繊維の識別方法につき説明する。
【0022】本発明のポリアルキレンテレフタレート繊
維の識別方法は、上記の識別化合物としての水素或いは
/及び炭素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチ
ルを添加したテレフタル酸ジメチル及びジオ−ルとを含
む原料を、エステル交換触媒の存在下のエステル交換反
応させ、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−ト
及び/又はそのオリゴマ−を形成させ、その後、重縮合
触媒及び安定剤の存在下で高温減圧下に溶融重縮合を行
って、ポリアルキレンテレフタレートを得ることにより
達成される。
【0023】エステル交換触媒としては、マグネシウ
ム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、チタン、亜
鉛、マンガン等の金属化合物が好ましく使用される。重
縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物、アンチモン化
合物、チタン化合物、コバルト化合物、錫化合物等が知
られている。
【0024】触媒の使用量は、エステル交換反応、重縮
合反応を進行させるために必要な量であるならば特に限
定されるものではなく、また複数種を併用しても構わな
い。
【0025】また、安定剤としては、トリメチルホスフ
ェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフ
ェート等のリン酸エステル類、トリフェニルホスファイ
ト、トリスドデシルホスファイト等の亜リン酸エステル
類、メチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェー
ト、モノブチルホスフェート酸性リン酸エステル、リン
酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸等のリン化合物
が好ましい。
【0026】エステル交換反応触媒の供給は、原料調製
時の他、エステル交換反応の初期の段階において行うこ
とができる。また、安定剤の供給は、重縮合反応初期ま
でに行うことが出来るが、エステル交換反応終了時に添
加することが好ましい。
【0027】さらに、重縮合触媒は重縮合反応工程の初
期までに供給することができる。エステル交換反応時の
反応温度は、通常200〜260℃であり、反応圧力は
常圧〜0.3Mpaである。また、重縮合時の反応温度
は、通常250〜300℃であり、反応圧力は通常60
〜0.1Kpaである。この様なエステル交換反応及び
重縮合反応は、一段で行っても、複数段階に分けて行っ
ても良い。この様にして得られるポリマーは、固有粘度
が通常0.4〜0.90dl/gであり、常法によりチ
ップ化される。ポリマ−チップの平均粒径は、通常2.
0〜5.5mm、好ましくは2.2〜4.0mmの範囲
とされる。次に、上記の様に溶融重縮合により得られた
ポリマーは、固相重合しても良い。固相重合に供される
ポリマーチップは、予め固相重合を行う温度より低い温
度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重合に供され
る。予備結晶化工程は、非晶状態のポリマーチップを、
チップ結晶化発熱での融着が起こらないように常に流動
状態下で一段もしくは二段で結晶化させる。次の固相重
合工程は、少なくとも一段からなり、通常そのポリマ−
の融着温度以下の重合温度で、0.05〜5kPaの真
空下、もしくは常圧〜0.1MPaの条件下で窒素、ア
ルゴン、二酸化炭素等の不活性ガス流通下で実施され
る。固相重合時間は、温度が高いほど短時間でよいが、
通常1〜50時間、好ましくは5〜30時間、更に好ま
しくは10〜25時間である。
【0028】本発明のポリアルキレンテレフタレートの
固有粘度は、好ましくは0.5〜1.6dl/g、更に
好ましくは、0.6〜1.3dl/gである。固有粘度
が0.5dl/g未満であると衝撃強度が低下したり、
延伸成形性が低下するなどの物性低下があり好ましくな
い。固有粘度が1.6dl/gを超えると生産性が悪
く、延伸成形性が低下して好ましくない。
【0029】添加したDMTの同位体化合物は、13CN
MR、1HNMR、ガスクロマトグラフ質量分析計で分
析を行うことで、バージンDMTとの識別判定を行うこ
とができる。
【0030】以上に詳述した方法により製造されるポリ
アルキレンテレフタレートを繊維化する場合には、特別
な方法を採用する必要はなく、従来公知のポリアルキレ
ンテレフタレート繊維の溶融紡糸法を任意の条件で採用
することができる。例えば、500〜2500m/分の
速度で溶融紡糸し、延伸、熱処理する方法、1500〜
5000m/分の速度で溶融紡糸し、延伸と仮撚加工と
を同時にまたは引き続いて行う方法、5000m/分以
上の高速で溶融紡糸し、用途によっては延伸工程を省略
する方法等任意の製糸条件を採用できる。ここで、紡出
された繊維は中空部のない中実繊維であっても、中空部
を有する中空繊維であってもよい。また、紡出された繊
維の横断面における外形や中空部の形状は、円形であっ
ても異形であってもよい。
【0031】本発明のポリアルキレンテレフタレート繊
維は、その固有粘度が0.5〜1.5の範囲にあること
が好ましい。該固有粘度がこの範囲内にあるときには、
最終的に得られる繊維の機械的強度が充分高く、また取
り扱いが良好となる。該固有粘度は0.52〜1.4の
範囲にあることが更に好ましく、特に0.55〜1.3
の範囲にあることが好ましい。
【0032】本発明のポリアルキレンテレフタレート繊
維は、その末端カルボキシル基濃度が40eq/ton
以下の範囲にあることが好ましい。該末端カルボキシル
基濃度がこの範囲内に有るときには、繊維の耐加水分解
性が更に良好なものとなる。該末端カルボキシル基濃度
は35eq/ton以下の範囲にあることが更に好まし
く、30eq/ton以下の範囲にあることが特に好ま
しい。
【0033】本発明のポリアルキレンテレフタレート繊
維は引張伸度が50%以下の範囲にあることが好まし
い。該引張伸度がこの範囲内に有るときには、最終的に
得られる繊維製品の性能が十分で、且つ取り扱いも良好
なものとなる。該引張伸度は40%以下の範囲にあるこ
とが特に好ましい。
【0034】本発明のポポリアルキレンテレフタレート
繊維は引張強度が1.5〜5.0cN/dtexの範囲
にあることが好ましい。該引張強度がこの範囲内に有る
ときには、最終的に得られる繊維製品の性能が十分で、
且つ取り扱いも良好なものとなる。該引張強度は2.0
〜4.5cN/dtexの範囲にあることが更に好まし
く、2.5〜4.0cN/dtexの範囲にあることが
特に好ましい。
【0035】なお、本発明のポリアルキレンテレフタレ
ート繊維を製造するに際し、溶融紡糸−延伸の工程につ
いては特に制限はなく、通常のポリアルキレンテレフタ
レート繊維を製造する従来公知の工程で製造することが
でき、例えば紡糸後、未延伸糸を巻き取り別途延伸する
方法、未延伸糸をいったん巻き取ることなく連続して延
伸を行う方法、溶融紡糸後、凝固浴中で未延伸糸を冷却
固化させた後、加熱媒体中又は加熱ローラー等の接触加
熱下、あるいは非接触型ヒーターで延伸する方法などが
採用される。
【0036】ここで、溶融紡糸した未延伸糸を延伸する
際に、トータル延伸倍率が2.5〜6.0倍の範囲内と
なるように設定すれば、最終的に得られる繊維の引張強
度を高い水準にて達成させることができると共に、延伸
工程における断糸率も低く、生産性が更に向上する。該
トータル延伸倍率は更に好ましくは2.8〜5.5倍の
範囲であり、特に好ましくは3.0〜5.0倍の範囲で
ある。
【0037】該延伸工程は一段延伸のみでも、また二段
以上の延伸段階を経ても良く、例えば二段延伸する方法
を採用する場合は一段目の延伸倍率を2.0〜5.5
倍、二段目の延伸倍率を1.0〜2.0倍程度とし、ト
ータル延伸倍率を2.5〜6.0倍に調整すればよい。
【0038】この様にして得られるポリアルキレンテレ
フタレート繊維は、そのまま、あるいは嵩高加工を施し
た後に織編用途等に用いても、他の繊維と混繊あるいは
複合加工した後に織編用途等に用いてもよい。また、得
られる織編物は、通常の方法で精練やアルカリ減量処理
を施すこともでき、さらに必要に応じて親水加工、撥水
加工、防炎加工等の後加工を施すこともできる。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれによって何ら限定を受けるも
のではない。なお、例中の特性は下記の方法で測定し
た。 1)固有粘度(以下、IVと略記する。):ポリマーを
一定量計量し、o−クロロフェノールに0.012g/
mlの濃度に溶解し、35℃にて測定した。 2)Col−b:160℃×60分乾燥機中で熱処理し
乾燥させたポリマーを、ミノルタ社製CR−200型色
彩色差計で測定した。 3)末端カルボキシル基濃度:Makromol.ch
em.,26,226(1958)記載の方法に準拠し
て測定した。 4)識別化合物としての水素或いは/及び炭素の同位体
から構成されるテレフタル酸ジメチルの識別方法:繊維
組成物中の炭素或いは/及び水素の同位体から構成され
るテレフタル酸ジメチルは、FT−NMR装置(日本電
子(株)製、JEOL A−600)を使用して分析を
行った。 5)ジエチレングリコール含有量(以下、DEGと略記
する。):ポリマーをヒドラジンにて分解し、ガスコロ
マトグラフィーにて測定した。 6)引張伸度、引張強度:JIS L1070記載の方
法に準拠して測定した。
【0040】[実施例1]ポリエチレンテレフタレート
をエチレングリコールで解重合し、次いでメタノールで
エステル交換反応して得られたテレフタル酸ジメチル
に、識別化合物として、テレフタル酸−カルボキシ−13
2−ジメチルエステルを50重量ppm添加したテレ
フタル酸ジメチル(以下、NA−DMTと略記する)1
00重量部、およびエチレングリコ−ル(以下、「E
G」と略記する)64重量部を、エステル交換反応触媒
として酢酸マンガン4水和塩を用い、副生するメタノー
ルを系外に留去しつつ、エステル交換反応を実施する。
さらに、重合触媒として二酸化ゲルマニウムを添加し、
285℃まで加熱昇温しながらエステル交換反応させ、
メタノールの留去がほぼ終了した段階で、安定剤として
正リン酸を添加して、エステル交換反応を終了せしめ
た。
【0041】次いで、反応生成物を高温高真空下で重縮
合反応させて,固有粘度0.59dl/g、Col−b
値2.2、末端カルボキシル基濃度27eq/ton、
DEG1.9wt%のポリエチレンテレフタレ−トを得
た。また、得られたポリエチレンテレフタレ−トを13
NMRで分析すると、テレフタル酸−カルボキシ−13
2−ジメチルエステル由来と考えられるカルボキシル基
炭素のシグナル強度が他の炭素のシグナル強度と比較し
て異常に高く検出され、明らかに既知のポリエチレンテ
レフタレ−トのスペクトルとは異なっていた。
【0042】得られたポリエチレンテレフタレ−トを乾
燥機にて160℃で5時間乾燥させた後、24ホールの
口金を装備した溶融紡糸装置にて、ポリマー温度280
℃、吐出速度400m/分で溶融紡糸を行った。引き続
いて、加熱ローラーで110℃、プレートヒーターで1
60℃に予熱し、小型延伸機にて延伸倍率3.5倍で延
伸して、92dtex/24フィラメントの延伸糸を得
た。得られた延伸糸は、引張伸度29%、引張強度4.
0cN/dtexで、強伸性は良好であった。
【0043】[実施例2]NA−DMT中の識別化合物
の種類及び量を、テレフタル酸−カルボキシ−132
ジメチルエステルを70重量ppmと変更する以外は実
施例1と同様に行った。固有粘度0.62dl/g、C
ol−b値2.1、末端カルボキシル基濃度27eq/
ton、DEG2.1wt%のポリエチレンテレフタレ
−トを得た。また、得られたポリエチレンテレフタレ−
トを13CNMRで分析すると、テレフタル酸−カルボキ
シ−132−ジメチルエステル由来と考えられるカルボ
キシル基炭素のシグナル強度が他の炭素のシグナル強度
と比較して異常に高く検出され、明らかに既知のポリエ
チレンテレフタレ−トのスペクトルとは異なっていた。
【0044】実施例1と同様に紡糸、延伸し、延伸糸の
繊度は93dtex、引張伸度は30%、引張強度は
4.0cN/dtexで、強伸性は良好であった。
【0045】[参考例1]テレフタル酸ジメチルを帝人
製のバージンのテレフタル酸ジメチル(識別化合物な
し)とする以外は実施例1と同様に行った。固有粘度
0.61dl/g、Col−b値2.1、末端カルボキ
シル基濃度27eq/ton、DEG1.7wt%のポ
リエチレンテレフタレ−トを得た。
【0046】また、各炭素のシグナル強度は既知のポリ
エチレンテレフタレートのシグナル強度とほぼ同程度で
あった。
【0047】実施例1と同様に紡糸、延伸し、延伸糸の
繊度は92dtex、引張伸度は31%、引張強度は
4.0cN/dtexで、強伸性は良好であった。
【0048】[実施例3]識別化合物として、テレフタ
ル酸−136−ジメチルエステルを50重量ppm含有
するNA−DMT95重量部、イソフタル酸ジメチル5
重量部およびEG64重量部を、エステル交換反応触媒
として酢酸マンガン4水和塩、整色剤として酢酸コバル
ト4水和塩を用い、副生するメタノールを系外に留去し
つつ、エステル交換反応を実施した。さらに、重合触媒
として三酸化アンチモンを添加し、250℃まで加熱昇
温しながらエステル交換反応させ、メタノールの留去が
ほぼ終了した段階で、安定剤として正リン酸を添加し
て、エステル交換反応を終了せしめた。
【0049】次いで、反応生成物を高温高真空下で重縮
合反応させて,固有粘度0.61dl/g、Col−b
値1.4、末端カルボキシル基濃度24eq/ton、
DEG1.5wt%のポリエチレンテレフタレ−トを得
た。また、得られたポリエチレンテレフタレ−トを13
NMRで分析すると、テレフタル酸−136−ジメチル
エステル由来と考えられる13C炭素のシグナル強度が他
の炭素のシグナル強度と比較して異常に高く検出され、
明らかに既知のポリエチレンテレフタレ−トのスペクト
ルとは異なっていた。
【0050】得られたポリエチレンテレフタレ−トを乾
燥機にて160℃で5時間乾燥させた後、24ホールの
口金を装備した溶融紡糸装置にて、ポリマー温度280
℃、吐出速度400m/分で溶融紡糸を行った。引き続
いて、加熱ローラーで80℃、プレートヒーターで14
0℃に予熱し、小型延伸機にて延伸倍率3.6倍で延伸
して、94dtex/24フィラメントの延伸糸を得
た。得られた延伸糸は、引張伸度30%、引張強度4.
0cN/dtexで、強伸性は良好であった。
【0051】[実施例4]NA−DMT中の識別化合物
の種類及び量を、テレフタル酸−136−ジメチルエス
テルを100重量ppmと変更する以外は実施例3と同
様に行った。固有粘度0.62dl/g、Col−b値
1.4、末端カルボキシル基濃度27eq/ton、D
EG1.3wt%のポリエチレンテレフタレ−トを得
た。また、得られたポリエチレンテレフタレ−トを13
NMRで分析すると、テレフタル酸− 136−ジメチル
エステル由来と考えられる13C炭素のシグナル強度が他
の炭素のシグナル強度と比較して異常に高く検出され、
明らかに既知のポリエチレンテレフタレ−トのスペクト
ルとは異なっていた。
【0052】実施例1と同様に紡糸、延伸し、延伸糸の
引張伸度31%、引張強度は3.9cN/dtexで、
強伸性は良好であった。
【0053】[参考例2]テレフタル酸ジメチルを帝人
製のバージンのテレフタル酸ジメチル(識別化合物な
し)とする以外は実施例3と同様に行った。固有粘度
0.62dl/g、Col−b値1.7、末端カルボキ
シル基濃度28eq/ton、DEG1.4wt%のポ
リエチレンテレフタレ−トを得た。
【0054】また、各炭素のシグナル強度は既知のポリ
エチレンテレフタレートのシグナル強度とほぼ同程度で
あった。実施例1と同様に紡糸、延伸し、延伸糸の引張
伸度30%、引張強度は4.0cN/dtexで、強伸
性は良好であった。
【0055】[実施例5]識別化合物として、テレフタ
ル酸−136−ジメチルエステルを50重量ppm添加
したNA−DMT100重量部、およびトリメチレング
リコ−ル(以下、「TRMG」と略記する)65重量部
を、エステル交換反応触媒としてテトラ−t−ブトキシ
チタンを用い、副生するメタノールを系外に留去しつ
つ、210℃まで加熱昇温しながらエステル交換反応さ
せ、次いで、反応生成物を高温高真空下で重縮合反応さ
せて固有粘度0.64dl/g、Col−b値4.4、
末端カルボキシル基濃度28eq/tonのポリトリメ
チレンテレフタレ−トを得た。
【0056】また、得られたポリエチレンテレフタレ−
トを13CNMRで分析すると、テレフタル酸−136
ジメチルエステル由来と考えられる13C炭素のシグナル
強度が他の炭素のシグナル強度と比較して異常に高く検
出され、明らかに既知のポリエチレンテレフタレ−トの
スペクトルとは異なっていた。
【0057】得られたポリトリメチレンテレフタレ−ト
を乾燥機にて160℃で5時間乾燥させた後、24ホー
ルの口金を装備した溶融紡糸装置にて、ポリマー温度2
65℃、吐出速度400m/分で溶融紡糸を行った。引
き続いて、加熱ローラーで60℃、プレートヒーターで
90℃に予熱し、小型延伸機にて延伸倍率3.6倍で延
伸して、94dtex/24フィラメントの延伸糸を得
た。得られた延伸糸は、引張伸度29%、引張強度4.
0cN/dtexで、強伸性は良好であった。
【0058】[参考例3]テレフタル酸ジメチルを帝人
製のバージンのテレフタル酸ジメチル(識別化合物な
し)とする以外は実施例5と同様に行った。固有粘度
0.64dl/g、Col−b 4.5、末端カルボキ
シル基濃度29eq/tonのポリトリメチレンテレフ
タレ−トを得た。
【0059】また、各炭素のシグナル強度は既知のポリ
エチレンテレフタレートのシグナル強度とほぼ同程度で
あった。
【0060】得られたポリトリメチレンテレフタレ−ト
を乾燥機にて160℃で5時間乾燥させた後、24ホー
ルの口金を装備した溶融紡糸装置にて、ポリマー温度2
40℃、吐出速度400m/分で溶融紡糸を行った。引
き続いて、加熱ローラーで60℃、プレートヒーターで
90℃に予熱し、小型延伸機にて延伸倍率3.3倍で延
伸した。得られた延伸糸は、引張伸度30%、引張強度
4.0cN/dtexで、強伸性は良好であった。
【0061】[実施例6]識別化合物として、テレフタ
ル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステルを50重
量ppm添加したNA−DMT100重量部、およびテ
トラメチレングリコ−ル(以下、「TMG」と略記す
る)65重量部を、エステル交換反応触媒としてテトラ
−t−ブトキシチタンを用い、副生するメタノールを系
外に留去しつつ、210℃まで加熱昇温しながらエステ
ル交換反応させ、次いで、反応生成物を高温高真空下で
重縮合反応させ、更に固相重合反応を行って、固有粘度
0.88dl/g、Col−b値−3.1、末端カルボ
キシル基濃度15eq/tonのポリテトラメチレンテ
レフタレ−トを得た。また、得られたポリエチレンテレ
フタレ−トを13CNMRで分析すると、テレフタル酸−
カルボキシ−132−ジメチルエステル由来と考えられ
るカルボキシル基炭素のシグナル強度が他の炭素のシグ
ナル強度と比較して異常に高く検出され、明らかに既知
のポリエチレンテレフタレ−トのスペクトルとは異なっ
ていた。
【0062】得られたポリテトラメチレンテレフタレ−
トを乾燥機にて160℃で5時間乾燥させた後、24ホ
ールの口金を装備した溶融紡糸装置にて、ポリマー温度
290℃、吐出速度400m/分で溶融紡糸を行った。
引き続いて、加熱ローラーで110℃、プレートヒータ
ーで160℃に予熱し、小型延伸機にて延伸倍率4.0
倍で延伸して、90dtex/24フィラメントの延伸
糸を得た。得られた延伸糸は、引張伸度25%、引張強
度6.0cN/dtexで、強伸性は良好であった。
【0063】[参考例4]テレフタル酸ジメチルを帝人
製のバージンのテレフタル酸ジメチル(識別化合物な
し)とする以外は実施例6と同様に行った。固有粘度
0.86dl/g、Col−b値−3.3、末端カルボ
キシル基濃度14eq/tonのポリテトラメチレンテ
レフタレ−トを得た。また、各炭素のシグナル強度は既
知のポリエチレンテレフタレートのシグナル強度とほぼ
同程度であった。
【0064】得られたポリテトラメチレンテレフタレ−
トを乾燥機にて160℃で5時間乾燥させた後、24ホ
ールの口金を装備した溶融紡糸装置にて、ポリマー温度
290℃、吐出速度400m/分で溶融紡糸を行った。
引き続いて、加熱ローラーで110℃、プレートヒータ
ーで160℃に予熱し、小型延伸機にて延伸倍率4.1
倍で延伸して、90dtex/24フィラメントの延伸
糸を得た。得られた延伸糸は、引張伸度24%、引張強
度6.1cN/dtexで、強伸性は良好であった。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、ポリアルキレンテレフ
タレートを解重合し、メタノールでエステル化されたテ
レフタル酸ジメチルに、識別化合物として水素或いは/
及び炭素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチル
を添加したテレフタル酸ジメチル組成物からなるポリア
ルキレンテレフタレート繊維であり、更にバージンDM
Tからなるポリアルキレンテレフタレート繊維と同等の
品質を有するポリアルキレンテレフタレート繊維及びそ
の識別方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA03 AB01 AB07 AC01 AD10 AE01 BA03 BA04 BA05 CB06A HA01 HB03A 4L035 EE20 GG01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 識別化合物としての水素或いは/及び炭
    素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを、全
    テレフタル酸ジメチルに対し1〜1000重量ppm添
    加するポリアルキレンテレフタレート繊維。
  2. 【請求項2】 炭素の同位体が、13Cである請求項1記
    載のポリアルキレンテレフタレート繊維。
  3. 【請求項3】 水素の同位体が、重水素である請求項1
    記載のポリアルキレンテレフタレート繊維。
  4. 【請求項4】 水素或いは/及び炭素の同位体から構成
    されるテレフタル酸ジメチルが、テレフタル酸−カルボ
    キシ−13C−ジメチルエステル、テレフタル酸−カルボ
    キシ−132−ジメチルエステル、テレフタル酸−136
    −ジメチルエステル、テレフタル酸−d−ジメチルエス
    テル、テレフタル酸−d4−ジメチルエステルからなる
    群から選ばれた少なくとも1種の同位体化合物である請
    求項1記載のポリアルキレンテレフタレート繊維。
  5. 【請求項5】 ポリアルキレンテレフタレート繊維が、
    ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテ
    レフタレート繊維、ポリテトラメチレンテレフタレート
    繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種類以上のポ
    リアルキレンテレフタレート繊維である請求項1記載の
    ポリアルキレンテレフタレート繊維。
  6. 【請求項6】 ポリアルキレンテレフタレート繊維を製
    造するに際し、識別化合物としての水素或いは/及び炭
    素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを、全
    テレフタル酸ジメチルに対し1〜1000重量ppm添
    加したテレフタル酸ジメチル組成物を使用することを特
    徴とする、ポリアルキレンテレフタレート繊維の識別方
    法。
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